JP7342991B1 - 金属容器 - Google Patents

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【課題】積み重ね状態でのブロッキング現象を回避するための形状を得る。【解決手段】金属容器は、開口部1Aは、外側に湾曲するカール部10又はフランジ部20を有し、開口部1Aの内面には、積み重ね時に側壁部1Bの外面における外面接触箇所F1と接触する内面接触箇所F2が有り、外面接触箇所F1と内面接触箇所F2の間には、側壁部1Bの周囲を外側に膨出させた掛かり部11が設けられ、掛かり部11は、外面に側壁部が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、金属容器に関するものである。
金属容器は、主な材料がアルミやステンレスなどの金属であって、内容物を収容するための収容空間と収容空間に内容物を出し入れする開口部を有するものであり、その形態としては、開口部を蓋体で密封する缶や開口部を開放させた状態で使用するカップなどを含む。
従来の金属容器として、所謂テーパ容器が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この金属容器は、有底筒状で上部開口の容器であり、上部の開口部から底部に至る側壁に内径が底部に向かうに従って徐々に小さくなるテーパ状の側壁を有している。
特開平1-150418号公報
前述した従来の金属容器は、テーパ状の側壁を有していることで、開口部の内径が底部の外径より大きくなっており、内容物を収容する前の輸送時には、一つの容器の底部を他の容器の開口部から内側に挿入して、同一容器を多段に積み重ねた状態(以下、積み重ね状態)で輸送することが行われている。
従来技術のようなテーパ状の側壁を有する金属容器を積み重ね状態で輸送する際には、輸送時の振動や衝撃によって相対的に上側の容器が下側の容器に入り込み、積み重ね状態から分離する際の引き離しを容易に行うことができなくなる現象(所謂、ブロッキング現象)が問題視されている。
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、積み重ね状態で輸送を行う金属容器において、輸送後の引き離しを容易に行えるようにすること、などが本発明の課題である。
このような課題を解決するために、本発明による金属容器は、以下の構成を具備するものである。
開口部と側壁部と底部を有する金属容器であって、前記開口部は、外側に湾曲するカール部又はフランジ部を有し、前記開口部の内面には、積み重ね時に前記側壁部の外面における外面接触箇所と接触する内面接触箇所が有り、前記外面接触箇所と前記内面接触箇所の間には、前記側壁部の周囲を外側に膨出させた掛かり部が設けられ、前記掛かり部は、前記外面に傾斜壁が設けられ、前記掛かり部における上側と下側は、縮径絞り成形部であることを特徴とする金属容器。
このような特徴を有する金属容器によると、金属容器を積み重ね状態にした際に、上側の金属容器の側壁部における外面接触箇所に下側の金属容器の開口部内面における内面接触箇所が接触することになり、一つの金属容器の外面接触箇所と内面接触箇所の間に設けられる掛かり部に、傾斜壁が設けられているので、掛かり部の掛かり幅や傾斜壁の傾斜角度の設定で前述したブロッキング現象を回避することができる。
本発明の実施形態に係る金属容器の外観を示す説明図。 本発明の実施形態に係る金属容器を積み重ねた状態の部分断面図。 本発明の他の実施形態に係る金属容器の部分断面図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る金属容器1は、一体成形部である開口部1Aと側壁部1Bと底部1Cを有するもので、従来使い捨てされている紙コップやプラスチックコップに代替え可能なカップ状の容器である。図1の例では、開口部1Aに、外側に向けて湾曲するカール部10を設けて、開口部1Aを開放状態で使用する例を示しているが、後述する例のように、開口部1Aに、蓋体の外周縁部がまき締められる湾曲状のフランジ部を設けて、缶容器として使用するものであってもよい。なお、本明細書等における「上」と「下」は、開口部1Aを上にして底部1Cを下にした状態を前提にしている。
図1に示した金属容器1は、開口部1Aの内径よりも底部1Cの外径が小さくなるように、全体的にテーパ状の輪郭を有する側壁部1Bを有している。これにより金属容器1は、複数の金属容器1のうち上側の金属容器1の底部1Cを下側の金属容器1の開口部1A内に入れた積み重ね状態が可能であり、金属容器1の未使用時には、複数の金属容器1を積み重ね状態にして輸送することが可能な形状になっている。
図1に示した金属容器1は、開口部1A(カール部10)の下側に掛かり部11を設けている。これにより、積み重ね状態では、図2に示すように、上側の金属容器1(top)の側壁部1Bの外面における外面接触箇所F1に対して、下側の金属容器1(bottom)の開口部1Aの内面における内面接触箇所F2が接触して積み重ねられ、一つの金属容器1においては、外面接触箇所F1と内面接触箇所F2の間に前述した掛かり部11が設けられている。
掛かり部11は、側壁部1Bの周囲を外側に膨出させた箇所であり、ビード加工や拡径成形や縮径成形などのそれぞれ或いはこれらを組み合わせて形成することができる。一例としては、掛かり部11における上側と下側は縮径絞り成形されており、それぞれ外面が傾斜壁(縮径成形部)11a,11bになっている。これにより、掛かり部11には、外面接触箇所F1に向かって徐々に縮径になるテーパ面Tpが設けられており、開口部1Aに向かって徐々に縮径になるテーパ面Tpが設けられている。
掛かり部11は、図2に示すように、一つの金属容器1において、外面接触箇所F1と内面接触箇所F2を結ぶ垂線Lpと掛かり部11の外面との最大幅を掛かり幅fとする。また、外面接触箇所F1に向かうテーパ面Tpの垂線Lpに対する傾斜角度をテーパ角度αとする。
前述したブロッキング現象を回避するためには、掛かり幅fは、0.3mm以上にすることが好ましく、更には0.8mm以上にすることが好ましい。掛かり幅fがこれより小さいと、掛かり部11に対して開口部1Aが食い込みやすくなり、積み重ね状態での輸送時に振動や衝撃を受けると食い込みが大きくなって前述したブロッキング現象が生じ易くなる。
掛かり幅fの上限を決める要素として、掛かり幅fを含む掛かり部11の外径R11がある。掛かり部11の外径R11は、カール部10(開口部1A)の外径R10より小さくすることが好ましい。掛かり部11の外径R11がカール部10の外径R10より大きくなると、金属容器1を横に並べて収納する際に、カール部10から掛かり部11が横に突出する状態になることで、その突出分だけ収納スペースを大きくとることになり、収納効率が低下する。
また、ブロッキング現象を回避するには、テーパ角度(傾斜壁11bの傾斜角度)αを10°~50°の範囲にすることが好ましい。テーパ角度αが小さくなると、前述した掛かり幅fを小さくした場合と同じ状況になり、また、積み重ね状態から引き離す際の摩擦抵抗が大きくなるので、ブロッキング現象が生じ易くなる。なお、掛かり幅fとテーパ角度αは、互いに関係のある調整因子であり、両者の条件を組み合わせることでブロッキング現象に対する回避策がより効果的になる。
また、金属容器1の積み重ね状態では、上側の金属容器1(top)における開口部1Aの上端と下側の金属容器1(bottom)における開口部1Aの上端との距離が積み重ね高さhsになる。この積み重ね高さhsは、積み重ね状態での高さ方向の収納スペースに影響する。積み重ね高さhsをより小さくすることで、金属容器1を積み重ねた状態での高さ方向の収納効率が高くなる。
図1に示す金属容器1の全体構成について更に言及する。側壁部1Bは、前述した掛かり部11を含めて、垂直部sとテーパ部tが交互に形成されており、これによって、側壁部1Bの全体がテーパ状の輪郭になっている。そして、側壁部1Bの中央付近には、テーパ部tのテーパ長さが最も長い最長テーパ部tmが形成されている。
このように側壁部1Bに垂直部sとテーパ部tを交互に形成することで、金属容器1を飲料用のカップとして使用する場合に、垂直部sとテーパ部tによって形成される段差が人手で把持する際の滑り止めとして機能する。また、側壁部1B中央付近の最長テーパ部tmが印刷等による表示を施すための表示スペースとして機能する。
金属容器1を構成する基材の材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、スチールなどを用いることができるが、アルミニウム又はアルミニウム合金を採用することで、軽量で、光沢による外観性を有し、内容物(例えば、冷水)の温度を手で感じ易くなる、飲料用容器に適した金属容器1を得ることができる。また、金属容器1の材用としては、アルミニウム又はアルミニウム合金又はスチールの基材両面にPETフィルムなどの樹脂フィルムを単層又は多層コーティングしたものを用いることができる。
金属容器1は、積み重ね時状態では、外面接触箇所F1と内面接触箇所F2のみで接触することが好ましい。積み重ね時状態で外面と内面が接触する箇所を1箇所にすることで、積み重ね時に金属容器1の外面が内面に接触することによる表面の汚れや傷付きを最小限に抑えることができる。
また、外面接触箇所F1がテーパ面Tpに設けられていることで、積み重ね状態で外面接触箇所F1と内面接触箇所F2が接触した状態を安定に保つことができる。これにより、積み重ね状態での輸送時に振動等が有った場合にも、下側の金属容器1(bottom)の内面に上側の金属容器1(top)の側壁部1Bや底部1Cが過度に当たることが無く、金属容器1の内面の傷付きや変形を抑止することできる。
本発明の他の実施形態に係る金属容器1は、図3に示すように、開口部1Aにフランジ部20を備える。フランジ部20は、図示省略した蓋体の外縁部を巻き締めるための部位である。蓋体を巻き締めることで、金属容器1は内容物を密封する缶体になる。ここで巻き締められる蓋体は、例えば、金属製のステイオンタブ蓋を用いることができるが、他の形態の蓋体であってもよい。また、フランジ部20に替えて、他の形態の開口部1Aとし、それに対して、ネジ蓋等の他の形態の蓋体を取り付け取り外し自在に装着するようにしてもよい。
以上のとおり、本発明の実施形態によると、開口部1Aと側壁部1Bと底部1Cを有する金属容器1であって、開口部1Aは、外側に湾曲するカール部10又はフランジ部20を有し、開口部1Aの内面には、積み重ね時に側壁部1Bの外面における外面接触箇所F1と接触する内面接触箇所F2が有り、外面接触箇所F1と内面接触箇所F2の間には、側壁部1Bの周囲を外側に膨出させた掛かり部11が設けられ、掛かり部11には、外面接触箇所F1に向かう傾斜壁が設けられている。これにより、掛かり部11の掛かり幅fやテーパ面のテーパ角度αの設定で金属容器1を積み重ねた際のブロッキング現象を効果的に回避することができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
1:金属容器,1A:開口部,1B:側壁部,1C:底部,
10:カール部,11:掛かり部,11a,11b:傾斜壁(縮径絞り部),
20:フランジ部,t:テーパ部,tm:最長テーパ部,s:垂直部,
F1:外面接触箇所,F2:内面接触箇所

Claims (6)

  1. 開口部と側壁部と底部を有する金属容器であって、
    前記開口部は、外側に湾曲するカール部又はフランジ部を有し、
    前記開口部の内面には、積み重ね時に前記側壁部の外面における外面接触箇所と接触する内面接触箇所が有り、
    前記外面接触箇所と前記内面接触箇所の間には、前記側壁部の周囲を外側に膨出させた掛かり部が設けられ、
    前記掛かり部は、前記外面に傾斜壁が設けられ
    前記掛かり部における上側と下側は、縮径絞り成形部であることを特徴とする金属容器。
  2. 前記外面接触箇所と前記内面接触箇所を結ぶ垂線と前記掛かり部の外面との最大幅である掛かり幅を、0.3mm以上としたことを特徴とする請求項1記載の金属容器。
  3. 前記傾斜壁の前記外面に対する傾斜角度を、10°~50°にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の金属容器。
  4. 前記傾斜壁がテーパ面であり、前記テーパ面のテーパ角度を、10°~50°にしたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の金属容器。
  5. 前記開口部と前記側壁部と前記底部は、アルミニウム又はアルミニウム合金又はスチールの一体成形部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の金属容器。
  6. 前記掛かり部の外径が前記開口部の外径より小さいことを特徴とする請求項1~のいずれか1項記載の金属容器。
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