JP7342287B2 - 車両の情報通知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の情報通知装置に関する。
本願は、2020年11月19日に、日本に出願された特願2020-192716号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、ステアリングホイールのリム部分などに設けられた触覚刺激装置によって、車両の自動運転時に、運転者に触覚を通じた情報提示を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018-181269号公報
上記のような触覚による情報の通知は、視覚による情報の通知に比べて、車両運転中に運転者が常に接触している部位で行うことから、運転者に情報を確実に通知することが可能である。
しかし、情報の通知を受けながらステアリング操作が必要になると、運転者が情報の通知の受け取りを繁雑に感じることが考えられるため、改善が望まれている。
そこで本発明は、運転者に触覚による情報通知を行う車両の情報通知装置において、情報の通知を受け取りやすくすることを目的とする。
上記課題の解決手段として、本発明における車両の情報通知装置は、ステアリング系部品(10A)を操舵可能に支持する車体(1A)における左右一対の車体外側部(1L,1R)の少なくとも一方に、アクチュエータ(105L,105R)により作動する可動部(56,57)を備えている。前記可動部(56,57)は、運転者の身体を接触可能な外表面(56e,57e)を有し、前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を予め定めた動作で作動させることで、運転者に予め定めた情報を通知する。
この構成によれば、車体の左右一対の車体外側部の少なくとも一方に可動部を備える。この可動部の作動によって、運転者の身体に対して予め定めた情報を通知することができる。可動部は、ステアリング系部品(特にハンドル)とは分離する。これにより、可動部による情報の通知とステアリング操作とが切り離され、運転者が情報の通知の受け取りやすくすることができる。
本発明において、前記可動部(56,57)は、シート(19)よりも前方でステップ(25)よりも上方に、運転者の脚部を接触可能な前記外表面(56e,57e)を有してもよい。
この構成によれば、シートよりも前方でステップよりも上方の位置(運転者がニーグリップする位置)に、運転者の脚部を接触可能な外表面を配置して作動させる。これにより、運転者の脚部に対して予め定めた情報を通知することができる。
本発明において、前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動してもよい。
この構成によれば、可動部が外表面を車幅方向外側へ移動させるように作動する。これにより、運転者の脚部に接触する確実性を高め、運転者が情報の通知を受け取りやすくすることができる。
本発明において、前記可動部(56,57)は、前記左右一対の車体外側部(1L,1R)の各々に備えられ、左右独立して作動可能であってもよい。
この構成によれば、左右一対の可動部が互いに独立して作動するので、左右可動部の何れを作動させるかの違いを組み合わせることが可能となる。これにより、運転者に多くの情報を通知することができとともに、通知する情報の種類を増やすことができる。
本発明において、運転者が行う操作に介入可能な操作介入機能を備え、前記可動部(56,57)は、前記操作介入機能に連動して作動してもよい。
この構成によれば、運転者の操作に対する操作介入機能に連動して可動部を作動させる。これにより、操作介入機能が作動することを、可動部の作動によって運転者に通知することができる。
本発明において、前記操作介入機能が作動するとき、前記操作介入機能の作動開始のタイミング(tb、tf)よりも早いタイミング(ta,te)で、前記可動部(56,57)が作動を開始してもよい。
この構成によれば、操作介入機能の作動開始よりも早いタイミングで可動部が作動を開始する。これにより、操作介入機能の作動開始を事前に運転者に通知することができる。
本発明において、前記操作介入機能として、操舵介入機能及び制動介入機能の少なくとも一方を備えてもよい。
この構成によれば、操作介入機能における操舵介入機能及び制動介入機能の少なくとも一方が作動する。これにより、可動部の作動によって運転者に通知することができる。
本発明において、前記制動介入機能の作動時は、左右両方の前記可動部(56,57)が作動してもよい。
この構成によれば、制動介入機能が作動することを、左右両方の可動部の作動によって運転者に通知する。これにより、挙動が生じやすい制動介入機能の作動通知の確実性を高めることができる。
本発明において、前記操舵介入機能の作動時は、左右一方の前記可動部(56,57)が作動してもよい。
この構成によれば、操舵介入機能が作動することを、左右一方の可動部の作動によって運転者に通知する。これにより、左右何れの可動部が作動するかによって、操舵介入機能による操舵の方向を含んだ情報を運転者に通知することができる。
本発明において、前記操舵介入機能は、車両の進路を左右何れかに変化させる進路変更機能を有してもよい。前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動してもよい。前記操舵介入機能の作動時は、車両の進路を変化させる側の前記可動部(56,57)が、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動してもよい。
この構成によれば、操舵介入機能の進路変更機能の作動時において、車両の進路を変化させる側の可動部が、外表面を車幅方向外側へ移動させるように作動する。これにより、運転者における進路変更側の脚部が車幅方向外側へ開くこととなり、操舵に適した姿勢を促すことができる。
本発明において、前記操作介入機能のシステムが起動し、かつ前記操作介入機能が作動する前の待機状態において、前記可動部(56,57)は、以下のように作動してもよい。すなわち、前記可動部(56,57)は、前記操作介入機能が作動しているときとは異なる作動形態で作動してもよい。
この構成によれば、操作介入機能が作動する前に操作介入機能の待機状態を有し、待機状態で可動部は、操作介入機能が作動しているときとは異なる作動形態で作動する。これにより、操作介入機能が待機状態にあることを運転者に通知することができる。
本発明において、前記可動部(56,57)の作動と連動して、運転者に予め定めた情報を表示するための表示装置(66,67)を備えてもよい。
この構成によれば、可動部の作動と連動する表示装置をさらに備える。これにより、可動部の作動および表示装置の表示によって、運転者への情報通知をより確実に行うことができる。
本発明によれば、転者に触覚による情報通知を行う車両の情報通知装置において、情報の通知を受け取りやすくすることができる。
本発明の実施形態の自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車の車体前部を運転者目線から見た斜視図である。 上記自動二輪車のステアリングアクチュエータの説明図である。 上記自動二輪車の運転支援装置のブロック図である。 図1のV-V断面図であり、左可動部の非作動状態を示す。 上記左可動部の第一作動状態を示す図5に相当する断面図である。 上記左可動部の第二作動状態を示す図5に相当する断面図である。 上記運転支援装置の待機状態の作用説明図である。 上記運転支援装置の待機状態における各種装置類の作動の経時変化を示すグラフである。 上記運転支援装置の制動介入作動時の作用説明図である。 上記運転支援装置の制動介入作動時における各種装置類の作動の経時変化を示すグラフである。 上記運転支援装置の左操舵介入作動時の作用説明図である。 上記運転支援装置の左操舵介入作動時における各種装置類の作動の経時変化を示すグラフである。 上記運転支援装置の右操舵介入作動時の作用説明図である。 上記運転支援装置の右操舵介入作動時における各種装置類の作動の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
<車両全体>
図1は、本実施形態の車両の一例としての自動二輪車1を示す。自動二輪車1は、ハンドル2によって操舵される前輪(操舵輪)3と、パワーユニット20によって駆動される後輪(駆動輪)4と、を備えている。自動二輪車1は、運転者が車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両である。自動二輪車1は、前後輪3,4の接地点を基準に車体を左右方向(ロール方向)に揺動(バンク)可能である。実施形態の車両は、自動二輪車のように車体をバンクさせた方向に旋回する車両に限らない。実施形態の車両は、車体をバンクさせずに操舵輪の操舵によって旋回する車両を含む。
自動二輪車1は、ハンドル2及び前輪3を含むステアリング系部品10Aを備えている。ステアリング系部品10Aは、ヘッドパイプ6に操舵可能に支持されている。ヘッドパイプ6は、自動二輪車1の骨格となる車体フレーム5の前端部にある。前輪3は、ステアリング系部品10Aにおける左右一対のフロントフォーク10の下端部に支持されている。車体フレーム5の周囲は、車体カバー12で覆われている。自動二輪車1において、車体フレーム5等を含む車体本体(ステアリング系部品10Aを操舵可能に支持する車体本体)を車体1Aと称する。
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6、左右一対のメインフレーム7、左右一対のピボットフレーム8、左右一対のシートフレーム9を備えている。
ヘッドパイプ6は、ステアリング系部品10Aを操舵可能に支持する。左右のメインフレーム7は、ヘッドパイプ6から後ろ下がりに延びる。左右のピボットフレーム8は、左右のメインフレーム7の各後端部からそれぞれ下方に延びる。左右のシートフレーム9は、左右のピボットフレーム8の各上部からそれぞれ後ろ上がりに延びる。
左右のピボットフレーム8には、車幅方向に沿うピボット軸8aが渡設される。左右のピボットフレーム8には、ピボット軸8aを介して、スイングアーム11の前端部が上下揺動可能に支持されている。後輪4は、スイングアーム11の後端部に支持されている。車体フレーム5とスイングアーム11との間には、緩衝器であるクッションユニット(不図示)が渡設される。
左右のメインフレーム7の上部には、燃料タンク18が支持されている。燃料タンク18の後方には、左右のシートフレーム9によってシート19が支持されている。シート19の下方には、シート19に着座した運転者が足を載せる左右一対のステップ25が配置されている。
自動二輪車1のパワーユニット20は、左右のメインフレーム7及び左右のピボットフレーム8に支持されている。パワーユニット20の出力軸は、チェーン式伝動機構(不図示)を介して、後輪4に動力伝達可能に接続されている。
パワーユニット20は、原動機となるエンジン(内燃機関)13と、エンジン13の後方に連なる変速機21と、を一体に備えている。
自動二輪車1は、前輪3を制動する前輪ブレーキ3Bと、後輪4を制動する後輪ブレーキ4Bと、を備えている。前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bは、それぞれディスクブレーキである。
前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bは、ブレーキ操作子であるブレーキレバー及びブレーキペダルが操作されることで、前輪3および後輪4の回転を適宜制動する。また、前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bは、後述するブレーキアクチュエータ102(図4参照)が作動することによっても、前輪3および後輪4の回転を適宜制動する。
自動二輪車1は、運転者の運転操作(実施形態では、前輪3を操舵する操舵操作、および前輪3及び後輪4を制動する制動操作)を支援する運転支援装置70(図4参照)を備えている。運転支援装置70は、運転者の運転操作に自動で介入する機能(自動操作介入機能)を制御する制御装置71を備えている。自動操作介入機能は、自動操舵介入機能及び自動制動介入機能を含む。運転支援装置70については後に詳述する。
図2は、運転者目線から見た車体前部を示す。左右のフロントフォーク10の上部は、ステアリングステム31を介してヘッドパイプ6に支持されている。左右のフロントフォーク10は、テレスコピック型の緩衝器である。ステアリングステム31は、左右のフロントフォーク10の上部同士を連結するトップブリッジ32およびボトムブリッジ33、ならびにヘッドパイプ6に挿通されるステムシャフト(操舵軸)34を備えている。車体前部は車体カバー12のフロントカウル27に覆われている。
例えば、自動二輪車1のハンドル2は、左右別体式のセパレートハンドルであり、左右一対の右ハンドル36及び左ハンドル37を備えている。例えば、右ハンドル36及び左ハンドル37は、それぞれトップブリッジ32の下方において左右のフロントフォーク10の上部に取り付けられている。
図1、図5を併せて参照し、車体1Aは、車幅方向外側に臨む左右一対の車体外側部1L,1Rを備えている。左右の車体外側部1L,1Rには、アクチュエータ105L,105Rによって作動する可動部56,57が備えられている。左右の可動部56,57は、シート19よりも前方であって、ステップ25よりも上方に配置されている。シート19に着座してステップ25に足を載せた運転者の脚部は、燃料タンク18の左右外側に向けて大腿を延ばす。また、脚部は、燃料タンクの左右外側で膝を曲げ、ステップ25に向けて下腿を延ばす。この脚部に対し、各可動部56,57は、車両側面視で重なる配置となる。各可動部56,57における車幅方向外側に臨む外側面(外表面)56e,57eは、運転者の脚部に対して車幅方向内側から接触可能である。
各可動部56,57は、外側面56e,57eを予め定めた動作で作動させることで、運転者の脚部に予め定めた情報を通知する手段として機能する。実施形態において、各可動部56,57は、自動操作介入機能に関する情報を運転者に通知する手段として機能する。各可動部56,57は、外側面56e,57eを車幅方向外側へ移動させるように作動する。各可動部56,57は、運転者の脚部を車幅方向内側から押圧する脚部押圧装置72に含まれる。
脚部押圧装置72は、右車体外側部1Rに設けられる右脚部押圧部72Rと、左車体外側部1Lに設けられる左脚部押圧部72Lと、後述する脚部押圧制御部89(図4参照)と、を備えている。右脚部押圧部72R及び左脚部押圧部72Lは、車体外側面に沿う板状の右可動部(可動部)56及び左可動部57を、それぞれ車幅方向で移動(揺動)可能である。右可動部56及び左可動部57は、車両側面視において、メインフレーム7の上縁に沿うように後ろ下がりに傾斜して延びている。右可動部56及び左可動部57は、運転者の左右の脚部(大腿や膝等)に対し、車幅方向内側から接触可能である。
車体1Aにおける右可動部56及び左可動部57を配置する位置は、運転者が左右の脚部で車体1Aを挟み込む位置(いわゆるニーグリップを行う位置)である。右車体外側部1R及び左車体外側部1Lには、運転者の左右の脚部を整合させるように形成された左右一対の脚部グリップ部120が備えられる。これら左右の脚部グリップ部120の各々に、右可動部56及び左可動部57が配置されている。
従って、運転者が通常の乗車姿勢でニーグリップを行えば、運転者の左右の脚部が自然に右可動部56及び左可動部57の外側面56e,57eに接触する。右可動部56及び左可動部57は、初期位置P0(図5参照)から作動位置P1,P2(図6、図7参照)となるように作動する。前記初期位置P0は、外側面56e,57eを車体外側部1R,1Lの外側面に沿わせるように配置した位置である。前記作動位置P1,P2は、外側面56e,57eを車幅方向外側へ移動(揺動)させた位置である。右可動部56及び左可動部57が作動位置P1,P2となったとき、左右の外側面56e,57eは、脚部グリップ部120の残余の一般面よりも車幅方向外側へ張り出す。
前記作動位置P1,P2は、第一作動位置P1(図6参照)と、第二作動位置P2(図7参照)と、を含む。第一作動位置P1は、外側面56e,57eを初期位置P0から車幅方向外側へ第一の規定量S1だけ移動(揺動)させた位置である。第二作動位置P2は、外側面56e,57eを第一作動位置P1からさらに車幅方向外側へ第二の規定量S2だけ移動(揺動)させた位置である。右可動部56及び左可動部57は、車幅方向外側に移動(揺動)することで、運転者の脚部を車幅方向内側から押圧する。この押圧により、運転者に自動操作介入機能が作動していること等の情報を通知する。
図2を参照し、フロントフォーク10の前方には、メータ装置61が配置される。メータ装置61は、車体フレーム5又はフロントカウル27に支持されている。メータ装置61は、例えば車速およびエンジン回転数などを画像表示する液晶ディスプレイ等の表示画面62と、表示画面62の周囲に配置されて各種情報を通知するインジケータランプ群63と、を備えている。
インジケータランプ群63は、表示画面62の右側方に配置される右インジケータランプ(表示装置)66と、表示画面62の左側方に配置される左インジケータランプ(表示装置)67と、を備える。右インジケータランプ66は、右可動部56の作動と連動して発光する。左インジケータランプ67は、左可動部57の作動と連動して発光する。表示画面62は、予め定めた画像表示を行うことによって、運転者に予め定めた情報を通知する。インジケータランプ群63は、予め定めた発光表示(点灯または点滅)を行うことによって、運転者に予め定めた情報を通知する。
図3は、ステムシャフト34の軸方向上方から見たトップブリッジ32周辺を示している。
ステアリング系部品10Aには、運転者によるハンドル2への操作とは別に、ステアリングアシスト装置73により自動で操舵入力がなされる。
ステアリングアシスト装置73は、ステアリングアクチュエータ74、アーム75、連結ロッド76、ステアリング制御部77を備えている。
ステアリングアクチュエータ74は、自動操舵介入機能の駆動源となる電動モータを含む。ステアリングアクチュエータ74は、例えば車体フレーム5に固定されている。ステアリングアクチュエータ74の出力軸である駆動軸74aには、アーム75の基端部が一体回動可能に固定されている。アーム75の先端部には、連結ロッド76の一端部が第1連結ピン78を介して揺動可能に連結されている。連結ロッド76の他端部は、トップブリッジ32に設けられたロッド連結部32aに、第2連結ピン79を介して揺動可能に連結される。
ステアリングアクチュエータ74の作動は、ステアリング制御部77によって制御される。ステアリングアクチュエータ74の出力(駆動軸74aの回転トルク)は、アーム75及び連結ロッド76を介して、トップブリッジ32に伝達される。これにより、ステアリングアクチュエータ74は、ステアリング系部品10Aに操舵トルク(アシストトルク)を発生させる。
<運転支援装置>
図4に示すように、運転支援装置70は、制御装置71、各種センサ類81、各種装置類82を備える。制御装置71は、各種センサ類81から取得した検出情報に基づき、各種装置類82の作動を制御する。
制御装置71は、例えば、単一または複数のECU(Electronic Control Unit)からなる。制御装置71は、少なくとも一部がソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
制御装置71は、エンジン制御部85、ステアリング制御部77、ブレーキ制御部87、表示制御部88、脚部押圧制御部89を備える。
各種センサ類81は、操舵トルクセンサ91、操舵角センサ92、車体加速度センサ93、車速センサ94、カメラ装置96、レーダ装置97を備える。
操舵トルクセンサ91は、例えばハンドル2とハンドル2以外のステアリング系部品10Aとの間に設けられた磁歪式トルクセンサである。操舵トルクセンサ91は、ハンドル2から他のステアリング系部品10Aに入力される捩じりトルク(操舵入力)を検出する。
操舵角センサ92は、例えば、操舵軸(ステムシャフト34)に設けられたポテンショメータである。操舵角センサ92は、車体に対する操舵軸の回動角度(操舵角度)を検出する。
車体加速度センサ93は、5軸または6軸のIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)である。車体加速度センサ93は、車体における3軸(ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)の角速度を検出し、さらにその結果から角度及び加速度を推定可能とする。
車速センサ94は、例えばパワーユニット20の出力軸の回転速度を検出する。車速センサ94は、前記回転速度から後輪4の回転速度ひいては自動二輪車1の車速を検知可能とする。
カメラ装置96は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を用いたカメラを備える。カメラ装置96は、前記カメラによって、例えば周期的に自動二輪車1の周辺(例えば前後左右)を撮影する。カメラ装置96は、撮影した画像からフィルタリングや二値化などの画像処理を経て画像データを生成する。
レーダ装置97は、自動二輪車1の周辺にミリ波などの電波を放射する。レーダ装置97は、車両周囲の物体によって反射された電波(反射波)を検出する。レーダ装置97は、少なくとも前記物体における、自動二輪車1に対する前後左右の位置(自動二輪車1に対する距離及び方位)と速度とを検知可能とする。
上記したカメラ装置96及びレーダ装置97からの情報は、検出方向の物体の位置、種類、速度等の認識に供される。この認識に基づいて、自動二輪車1の運転アシスト制御や自動運転制御等がなされる。
各種装置類82は、ステアリングアクチュエータ74、ブレーキアクチュエータ102、インジケータランプ群63、可動部アクチュエータ105を備える。
ステアリングアクチュエータ74は、運転者によるハンドル2への操作とは別に、前輪3を操舵する操舵トルクを発生させる。ステアリングアクチュエータ74は、ステリングダンパーを兼ねてもよい。
ブレーキアクチュエータ102は、運転者によるブレーキ操作子への操作とは別に、前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bに液圧を供給して前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bを作動させる。ブレーキアクチュエータ102は、ABS(Anti-lock Brake System)の制御ユニットを兼ねていてもよい。ブレーキアクチュエータ102は、通常のブレーキ回路から分岐させたブレーキ配管に接続されていてもよい。
インジケータランプ群63は、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67を備えている。右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67は、可動部アクチュエータ105の作動と連動して発光する。
可動部アクチュエータ105は、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lを備える。右可動部アクチュエータ105Lは、車体右側部に設けられた右可動部56を駆動する。左可動部アクチュエータ105Lは、車体左側部に設けられた左可動部57を駆動する。
次に、制御装置71について説明する。
エンジン制御部85は、エンジン13におけるスロットル開度、吸入負圧、燃料噴射量、バルブタイミング、点火時期等に基づいてエンジン13の出力を制御する。また、エンジン13の出力が制御されることで、エンジン13のクランク軸回転数と変速機21の変速比とにより、自動二輪車1の車速が変更される。
ステアリング制御部77は、以下の信号および情報などに基づいて、ステアリングアクチュエータ74の作動を制御する。前記信号および情報は、操舵トルクセンサ91により検出された操舵トルク信号、車体加速度センサ93により検出された角速度信号、車速センサ94により検出された車速信号、カメラ装置96及びレーダ装置97により検出された検出情報、などである。これにより、ステアリング系部品10Aにアシストトルクが付与される。このアシストトルクにより、操舵輪である前輪3の操舵がアシストされる。このように、ステアリング制御部77は、自動操舵介入機能の制御を行う。
ブレーキ制御部87は、エンジン出力、車速センサ94により検出された車速信号、カメラ装置96及びレーダ装置97により検出された検出情報などに基づいて、ブレーキアクチュエータ102の作動を制御する。これにより、前輪ブレーキ3B及び後輪ブレーキ4Bがアシスト制動力を発生する。このアシスト制動力により、前輪3及び後輪4の制動がアシストされる。このように、ブレーキ制御部87は、自動制動介入機能の制御を行う。
表示制御部88は、以下の機能の制御に伴って、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67の発光(点灯又は点滅)を制御する。前記機能の制御は、ステアリング制御部77による自動操舵介入機能の制御、及びブレーキ制御部87による自動制動介入機能の制御である。
脚部押圧制御部89は、以下の機能の制御に伴って、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lの作動を制御する。前記機能の制御は、ステアリング制御部77による自動操舵介入機能の制御、及びブレーキ制御部87による自動制動介入機能の制御である。右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lの作動が制御されることで、右可動部56及び左可動部57の車幅方向外側への移動が制御される。
表示制御部88と脚部押圧制御部89とは、ステアリングアクチュエータ74及びブレーキアクチュエータ102が作動しているときは、それぞれの制御が同期して行われる。
上記したエンジン制御部85、ステアリング制御部77、ブレーキ制御部87、表示制御部88及び脚部押圧制御部89は、全てマイクロコンピュータを備えるとともに、相互に通信自在に構成される。
<脚部押圧部>
以下、図5~図7に示す左脚部押圧部72Lの構成を説明する。右脚部押圧部72Rは左右対称の構成を有するものとして説明を省略する。
左脚部押圧部72Lは、左可動部アクチュエータ(アクチュエータ)105L、円板106、リンク部材107、左可動部57を備える。
左可動部アクチュエータ105Lは、メインフレーム7の上縁と燃料タンク18との間に配置された電動モータである。左可動部アクチュエータ105Lは、メインフレーム7又は燃料タンク18に固定される。例えば、前記電動モータは、回転軸105aの回動角度を所定角度に制御可能なステッピングモータである。例えば、前記電動モータは、回転軸105aが所定回動角度で停止しているときには、その回動角度で回転軸105aを保持する保持力を有する。円板106は、左可動部アクチュエータ105の回転軸105aに一体回転可能に取り付けられる。回転軸105aは、車両前後方向に延びている。
左可動部57の上端部は、タンク側部カバー111の下端部に支持されている。タンク側部カバー111は、メインフレーム7の上方に配置されている。左可動部57は、車両前後方向に延びる(メインフレーム7の上縁に沿うように延びる)上縁部を支点に、揺動可能に支持されている。左可動部57の外側面57eは、自動二輪車1に乗車した運転者の脚部に車幅方向内側から接触可能である。
図5に示す左可動部57は、最も車幅方向内側に揺動した位置にある。このときの左可動部57の位置を、初期位置P0またはクローズドポジションと称する。
左可動部57の車幅方向内側には、リンク連結部57cが突設される。リンク連結部57cには、リンク部材107を介して円板106が連結される。リンク部材107の一端部は、第1支軸113により、円板106の外周部に揺動可能に連結される。リンク部材107の他端部は、第2支軸114により、左可動部57のリンク連結部57cに揺動可能に連結される。
なお、右脚部押圧部72Rが有する右可動部アクチュエータ(アクチュエータ)105Rを図4のブロック図に示す。右可動部アクチュエータ105Rは、左可動部アクチュエータ105Lと同一構造の電動モータである。右可動部57は、乗車した運転者の脚部に接触可能な外側面56eを備える。
図6に示すように、左脚部押圧部72Lにおいて、図5の状態から左可動部アクチュエータ105Lが作動すると、以下の動作が生じる。すなわち、左可動部アクチュエータ105Lの回転軸105aと共に、円板106が矢印A方向に回転する。
この回転に伴い、リンク部材107が車幅方向外側に押し出され、左可動部57を車幅方向外側に押し出す。その結果、左可動部57は、上端部を揺動支点として揺動し、以下のように移動する。すなわち、左可動部57は、二点鎖線で示す図5の初期位置P0(クローズドポジション)から、実線で示す第一作動位置P1(LOWポジション)まで移動する。左可動部57は、初期位置P0から第一作動位置P1までの揺動で、車幅方向外側へ第一の規定量S1だけ突出する。
図7に示すように、左脚部押圧部72Lにおいて、図6の状態から更に左可動部アクチュエータ105Lが作動すると、以下の動作が生じる。すなわち、左可動部アクチュエータ105Lの回転軸105aと共に、円板106が更に矢印A方向に回転する。
この回転に伴い、リンク部材107が更に車幅方向外側に押し出され、左可動部57を更に車幅方向外側に押し出す。その結果、左可動部57は、上端部を揺動支点として更に大きく揺動し、以下のように移動する。すなわち、左可動部57は、二点鎖線で示す図6の第一作動位置P1(LOWポジション)から、実線で示す第二作動位置P2(HIGHポジション)まで移動する。左可動部57は、第一作動位置P1から第二作動位置P2までの揺動で、車幅方向外側へ第二の規定量S2だけ突出する。例えば、第二作動位置P2は、左可動部57の車幅方向外側への最大突出位置である。
左可動部57(および右可動部56)は、車幅方向外側への突出量が小さいLOWポジションと、車幅方向外側への突出量が大きいHIGHポジションと、の二段階に移動可能である。これにより、自動操作介入機能に関して、複数で且つ種類の異なる情報を運転者に通知することができる。
なお、左可動部57(および右可動部56)における運転者の脚部に触覚刺激を与える作動は、上端部を揺動支点として揺動する構成に限らない。例えば、左可動部57(および右可動部56)は、下端部や前後端部を揺動支点として揺動してもよい。また、左可動部57(および右可動部56)は、全体的に概ね平行移動したり、他の種々動作をしたり、さらには外側面56e,57eを振動させたり、しかも前述の各種作動を複数組み合わせたりしてもよい。
以上に述べた左右の脚部押圧部72L,72Rの作用について説明する。
まず、運転支援装置70のシステムが起動していないときには、図5に示すように、右可動部56及び左可動部57は、前記初期位置P0に配置されている。すなわち、右可動部56及び左可動部57は、自動二輪車1の右車体外側部1R及び左車体外側部1Lの外表面に沿うように配置されている。前記初期位置P0にある右可動部56及び左可動部57は、右車体外側部1R及び左車体外側部1Lにおいて、以下の状態にある。すなわち、右可動部56及び左可動部57は、メインフレーム7、燃料タンク18、および他の車体カバー等の車体構成部品とともに、ほぼ連続する外表面を形成している。
右可動部56及び左可動部57は、運転者が左右の脚部で車体1Aを挟み込む位置(いわゆるニーグリップを行う位置)にある。運転支援装置70が起動していないとき、右可動部56及び左可動部57は、右車体外側部1R及び左車体外側部1Lの外表面上で突出しない。このため、運転者は、右車体外側部1R及び左車体外側部1Lをニーグリップする際、右可動部56及び左可動部57の存在を特に意識せず、違和感なく運転することができる。
次に、運転支援装置70のシステムが起動した状態であって、自動操作介入機能が作動していない非作動状態にあるとき(以下、待機状態という。)について説明する。このとき、図6に示すように、右可動部56及び左可動部57は、自動二輪車1の右車体外側部1R及び左車体外側部1Lの外表面から第一の規定量S1だけ車幅方向外側に突出した配置となる。
待機状態では、右可動部56及び左可動部57は、前記初期位置P0と、第一作動位置P1と、の間で往復動を繰り返す。前記第一作動位置P1は、初期位置P0から第一の規定量S1だけ車幅方向外側に突出した位置である。このため、運転者は、右車体外側部1R及び左車体外側部1Lをニーグリップした左右の脚部に、右可動部56及び左可動部57の存在を意識する。このため、運転手は、運転支援装置70が起動していることを認識することができる。
次に、運転支援装置70の待機状態から、自動操作介入機能の操舵介入機能及び制動介入機能が作動した状態にあるときについて説明する。このとき、図7に示すように、右可動部56及び左可動部57の少なくとも一方は、第一作動位置P1からさらに車幅方向外側に突出した配置となる。このとき、右可動部56及び左可動部57は、第一作動位置P1からさらに第二の規定量S2だけ車幅方向外側に突出した第二作動位置P2となる。
これにより、運転者は、右可動部56及び左可動部57の少なくとも一方の移動を感じ取り、自動操作介入機能が作動していることを認識することができる。
実施形態では、自動操作介入機能の作動中、右可動部56及び左可動部57の少なくとも一方は、第二作動位置P2に移動した状態を維持する。しかし、運転支援装置はこの構成に限らない。例えば、自動操作介入機能の作動中、右可動部56及び左可動部57の少なくとも一方は、第一作動位置P1と第二作動位置P2との間で往復動を繰り返してもよい。
以上に述べた運転支援装置70の作用について説明する。
図8は、運転支援装置70のシステムが起動した状態であって、自動操作介入機能が作動していない待機状態を示す。待機状態では、自動二輪車1のメインスイッチ(電源)がオンで、かつ運転支援装置70の作動スイッチがオンとなり、自動操作介入機能の作動が許可された状態となる。待機状態では、各種センサ類81が自動操作介入機能の作動のための各種パラメータ等を監視している。この監視情報に基づいて、自動操作介入機能が直ちに作動開始可能となる。
待機状態では、右脚部押圧部72Rの右可動部56と、左脚部押圧部72Lの左可動部57とが、互いに同期して作動する。このとき、右可動部56および左可動部57は、車幅方向で一往復の移動(揺動)を行う。具体的に、右可動部56および左可動部57は、初期位置P0(クローズドポジション)から第一作動位置P1(LOWポジション)に至る往動と、第一作動位置P1から初期位置P0に戻る復動と、を行う。
またこのとき、メータ装置61の右インジケータランプ66および左インジケータランプ67は、右可動部56および左可動部57の動作と同期して発光(点滅)する。具体的に、右インジケータランプ66および左インジケータランプ67は、右可動部56および左可動部57が初期位置P0から第一作動位置P1に至ったときに発光する。また、右インジケータランプ66および左インジケータランプ67は、第一作動位置P1から初期位置P0に戻ったときに消灯する。待機状態における右インジケータランプ66および左インジケータランプ67の点滅周期(左右可動部56,57の作動周期でもある)を第一の周期とする。
このように、運転者の脚部に触覚刺激を与えるとともに視覚も利用して、運転者にシステム起動中であることを通知する。
図9は、待機状態の可動部アクチュエータ105等の作動の時間経過を示す。
図9のグラフの縦軸は、左右可動部56,57の各アクチュエータ105L,105R、ならびに左右インジケータランプ66,67の作動状態(ON(作動)およびOFF(非作動))を示している。縦軸はさらに、操舵介入又は制動介入の作動状態(ONおよびOFF)を示している。
左右アクチュエータ105L,105Rの作動状態において、左右可動部56,57がクローズドポジションにあるときをOFF、LOWポジション及びHIGHポジションにあるときをONとしている。また、左右可動部56,57がLOWポジションにあるときをグラフ中に「L」と記載し、HIGHポジションにあるときをグラフ中に「H」と記載している。グラフの横軸は、時間T(sec)を表している。
図中「RH可動部」は右可動部アクチュエータ105R、「LH可動部」は左可動部アクチュエータ105Lをそれぞれ示す。また、「indRH」は右インジケータランプ66、「indLH」は左インジケータランプ67をそれぞれ示す。なお、図11、図13、図15のグラフにおいても、縦軸及び横軸は、図9に示したグラフのものと同一である。
上記した待機状態では、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lは、互いに同じタイミングで断続的に作動する。待機状態では、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lは、左右可動部56,57を初期位置P0から第一作動位置P1に開く作動を行う。この作動は、予め定めた時間T1(例えば0.5~1秒)の間だけ行われる。待機状態では、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lは、左右可動部56,57を開く作動を行う。この作動は、予め定めた時間T2(例えば約2秒)の時間間隔を空けて繰り返される。
初期位置P0から車幅方向外側に開いた右可動部56及び左可動部57は、運転者の左右の脚部(大腿や膝等)に対し、車幅方向内側から接触して押圧する。待機状態では、右可動部56及び左可動部57は、これらの周囲の脚部グリップ部120よりも突出したLOWポジションに移動する。このとき、右可動部56及び左可動部57は、クローズドポジションに位置するよりも、運転者の左右の脚部を車幅方向外側に開く。その結果、運転者は、右可動部56及び左可動部57の作動から、待機状態であることを認識する。
このとき、右可動部56及び左可動部57は、車幅方向外側に移動して運転者の左右の脚部を押圧することで、その反作用によって運転者が車体を挟み込む力が増す。またこのとき、運転者が前記押圧に抗して車体を強く挟み込む作用が生じる。これにより、運転者が左右の脚部で車体を保持する力が増し、自動操作介入機能に適した乗車体勢となる。
また、右可動部56及び左可動部57の断続的な作動に同期して、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67が点滅する。すなわち、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67は、時間T1の発光を、時間T2の時間間隔を空けて繰り返す。このように、右可動部56及び左可動部57と右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67とは、互いに連動する。
待機状態では、自動操作介入機能の操舵介入機能及び制動介入機能は作動しておらず、OFFのままである。
図10は、運転支援装置70が待機状態から自動制動介入機能を作動させ、自動二輪車1を制動させようとしている状態を示す。
実施形態の自動制動介入機能は、左右方向に関連性が無いので、右可動部56及び左可動部57の両方を作動させる。このとき、右可動部56及び左可動部57の両方を、クローズドポジションからHIGHポジションまで移動させる。自動制動介入機能は、運転者の身体の挙動を誘発し、かつ緊急であることが想定されるので、右可動部56及び左可動部57の両方を作動させる。このとき、右可動部56及び左可動部57は、断続的な作動ではなく、時間間隔のない連続的な作動状態を維持する。
また、右可動部56及び左可動部57の作動中、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67の両方が発光(点滅)する。この発光は点滅に限らず、右可動部56及び左可動部57の作動に連動した点灯であってもよい。
上記した自動制動介入機能の作動時、右可動部56及び左可動部57は、待機状態とは異なる作動形態で比較的大きく作動する。また、メータ装置61の右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67は、待機状態よりも早く点滅する。
これにより、運転者は、車体をニーグリップする左右の脚部の触覚と視覚とを通じて、自動制動介入機能が作動していることを認識することができる。
自動制動介入機能の作動状態では、右可動部56及び左可動部57は、これらの周囲の脚部グリップ部120よりも大きく突出したHIGHポジションに移動する。これにより、LOWポジションよりも突出量の大きい右可動部56及び左可動部57によって、左右両方の脚部が、それぞれLOWポジションのときよりも左右の車幅方向外側に大きく開かれる。これにより、自動制動介入機能が作動していることを運転者に強く認識させる。
このとき、両方の脚部は、内側から右可動部56及び左可動部57によって押圧されることで、以下の作用を生じさせる。すなわち、両脚部が車体を保持する保持力が、LOWポジションのときよりも高くなる。これにより、自動制動介入機能の作動時における自動二輪車1の減速度への対応に適した乗車体勢となる。
図11は、自動制動介入機能の作動時の右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105L等の作動の形態を示す。
自動二輪車1前方の障害物等によって自動制動介入機能が作動するときには、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105Lの両方が作動を開始する。このとき、右可動部56及び左可動部57は、クローズドポジションからHIGHポジションへ移動する。この作動は、自動制動介入機能が作動する時間T5の間、時間間隔を空けず連続して維持される。
また、右可動部56及び左可動部57の作動の間、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67がともに点滅を開始する。具体的に、右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67は、予め定めた時間T3(例えば0.5~1秒)の発光を繰り返す。前記時間T3の発光は、予め定めた時間T4(例えば0.5~1秒)の時間間隔を空けて繰り返される。時間T4は、前記待機状態での時間T2よりも短い。時間T3は、前記待機状態での時間T1と同じか短い時間でよい。
ここで、右可動部56及び左可動部57が作動を開始するとともに右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67が点滅を開始するタイミングteは、以下のように設定される。すなわち、前記タイミングteは、自動制動介入機能が作動を開始するタイミングtfよりも時間th(例えば約1秒)だけ早い。つまり、右可動部56及び左可動部57の作動、ならびに右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67の点滅は、自動制動介入機能の作動よりも前に開始される。これにより、自動制動介入機能の作動開始を運転者に予告することができる。
なお、右可動部56及び左可動部57の作動、ならびに右インジケータランプ66及び左インジケータランプ67の点滅は、自動操舵介入機能の作動が停止するタイミングtgにおいて同時に停止する。
図12は、運転支援装置70が待機状態から自動操舵介入機能を作動させ、自動二輪車1の進路を左側に向けようとしている状態を示す。
運転支援装置70のステアリング制御部77は、例えば自動二輪車1が車線の右側に寄り過ぎたと判定したときに、自動二輪車1の進路を左側に戻そうとする。
このとき、ステアリング制御部77は、ステアリングアクチュエータ74によって前輪3を右側に操舵させる。つまり、自動二輪車1の進路を変えようとする側とは反対側に前輪3を操舵する(逆操舵)。これにより、自動二輪車1を自然に進路変更方向に操舵することができる。
上記した自動操舵介入機能の作動時、自動二輪車1の進路変更方向(左側)の左可動部57のみが、LOWポジションからHIGHポジションに移動する。また、メータ装置61の左インジケータランプ67が、待機状態とは異なる点滅形態で点滅する。
これにより、運転者は、車体をニーグリップする脚部の触覚と視覚とを通じて、以下の点を認識することができる。すなわち、運転者は、自動操舵介入機能が作動していることと、自動二輪車1を向かわせようとしている方向と、を認識することができる。
左可動部57が乗員の左脚部を車幅方向外側(左側)に押圧することで、左脚部が車幅方向外側(左側)に開かれる。これにより、車両左方への自動操舵介入機能が作動していることを運転者に強く認識させることができる。また、左側の脚部が右側に開くことで、運転者の重心が車体に対して左側に移動し、左旋回に適した姿勢をとることができる。
図13は、自動操舵介入機能の図12に示す作動時における、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105L等の作動の形態を示す。
自動操舵介入機能の図12に示す作動時には、左可動部アクチュエータ105Lのみが作動し、左可動部57をLOWポジションからHIGHポジションに移動させる。
また、上記した作動の間、左インジケータランプ67が待機状態とは異なる点滅を開始する。この点滅は、例えば自動制動介入時と同様、時間T3(例えば0.5~1秒)の発光を、時間T4(例えば0.5~1秒)の時間間隔を空けて繰り返す態様としてもよい。
ここで、左可動部57がHIGHポジションに移動するとともに、左インジケータランプ67が点滅を開始するタイミングtaは、以下のように設定される。すなわち、前記タイミングtaは、自動操舵介入機能が作動を開始するタイミングtbよりも時間td(例えば約1秒)だけ早い。つまり、左可動部アクチュエータ105Lの作動および左インジケータランプ67の点滅は、自動操舵介入機能の作動よりも前に開始される。これにより、自動操舵介入機能の作動開始を運転者に予告することができる。
なお、左可動部アクチュエータ105Lの作動及び左インジケータランプ67の点滅は、自動操舵介入機能の作動が停止するタイミングtcにおいて同時に停止する。
図14は、運転支援装置70が待機状態から自動操舵介入機能を作動させ、自動二輪車1の進路を右側に向けようとしている状態を示す。
運転支援装置70のステアリング制御部77は、例えば自動二輪車1が車線の左側に寄り過ぎたと判定したときに、自動二輪車1の進路を右側に戻そうとする。
このとき、ステアリング制御部77は、ステアリングアクチュエータ74によって前輪3を左側に操舵させる。つまり、自動二輪車1の進路を変えようとする側とは反対側に前輪3を操舵する(逆操舵)。これにより、自動二輪車1を自然に進路変更方向に操舵することができる。
上記した自動操舵介入機能の作動時、自動二輪車1の進路変更方向(右側)の右可動部56のみが、LOWポジションからHIGHポジションに移動する。また、メータ装置61の右インジケータランプ66が、待機状態とは異なる点滅形態で点滅する。
これにより、運転者は、車体をニーグリップする脚部の触覚と視覚とを通じて、以下の点を認識することができる。すなわち、自動操舵介入機能が作動していることと、自動二輪車1を向かわせようとしている方向と、を認識することができる。
右可動部56が乗員の右脚部を車幅方向外側(右側)に押圧することで、右脚部が車幅方向外側(右側)に開かれる。これにより、車両右方への自動操舵介入機能が作動していることを運転者に強く認識させることができる。また、右側の脚部が右側に開くことで、運転者の重心が車体に対して右側に移動し、右旋回に適した姿勢をとることができる。
図15は、自動操舵介入機能の図14に示す作動時における、右可動部アクチュエータ105R及び左可動部アクチュエータ105L等の作動の形態を示す。
自動操舵介入機能の図14に示す作動時には、右可動部アクチュエータ105Rのみが作動し、右可動部56をLOWポジションからHIGHポジションに移動させる。
また、上記した作動の間、右インジケータランプ66が待機状態とは異なる点滅を開始する。この点滅は、例えば自動制動介入時と同様、時間T3(例えば0.5~1秒)の発光を、時間T4(例えば0.5~1秒)の時間間隔を空けて繰り返す態様としてもよい。
ここで、右可動部56がHIGHポジションに移動するとともに、右インジケータランプ66が点滅を開始するタイミングtaは、以下のように設定される。すなわち、前記タイミングtaは、自動操舵介入機能が作動を開始するタイミングtbよりも時間td(例えば約1秒)だけ早い。つまり、右可動部アクチュエータ105Rの作動および右インジケータランプ66の点滅は、自動操舵介入機能の作動よりも前に開始される。これにより、自動操舵介入機能の作動開始を運転者に予告することができる。
なお、右可動部アクチュエータ105Rの作動及び右インジケータランプ66の点滅は、自動操舵介入機能の作動が停止するタイミングtcにおいて同時に停止する。
以上説明したように、上記実施形態における車両の情報通知装置は、ステアリング系部品10Aを操舵可能に支持する車体1Aにおける左右一対の車体外側部1L,1Rの少なくとも一方に、左右可動部アクチュエータ105L,105Rにより作動する左右可動部56,57を備えている。前記左右可動部56,57は、運転者が着座するシート19よりも前方で、運転者が足を乗せるステップ25よりも上方に、運転者の脚部を接触可能な左右外側面56e,57eを有している。前記左右可動部56,57は、前記左右外側面56e,57eを予め定めた動作で作動させることで、運転者に予め定めた情報を通知する。
この構成によれば、車体1Aの左右一対の車体外側部1L,1Rの少なくとも一方に左右可動部56,57を備える。この左右可動部56,57の作動によって、運転者の脚部に対して予め定めた情報を通知することができる。左右可動部56,57は、ステアリング系部品10A(特にハンドル2)とは分離する。これにより、左右可動部56,57による情報の通知とステアリング操作とが切り離され、運転者が情報の通知の受け取りやすくすることができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記左右可動部56,57は、前記左右外側面56e,57eを車幅方向外側へ移動させるように作動する。これにより、運転者の脚部に接触する確実性を高め、運転者が情報の通知を受け取りやすくすることができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記左右可動部56,57は、前記左右一対の車体外側部1L,1Rの各々に備えられ、左右独立して作動可能である。これにより、左右可動部56,57の何れを作動させるかの違いを組み合わせることが可能となる。これにより、運転者に多くの情報を通知することができとともに、通知する情報の種類を増やすことができる。
また、上記車両の情報通知装置において、運転者が行う操作に介入可能な操作介入機能を備え、前記左右可動部56,57は、前記操作介入機能に連動して作動する。これにより、操作介入機能が作動することを、左右可動部56,57の作動によって運転者に通知することができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記操作介入機能が作動するとき、前記操作介入機能の作動開始のタイミングtb、tfよりも早いタイミングta,teで、前記左右可動部56,57が作動を開始する。これにより、操作介入機能の作動開始を事前に運転者に通知することができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記操作介入機能として、操舵介入機能及び制動介入機能の少なくとも一方を備える。これにより、操舵介入機能及び制動介入機能の少なくとも一方が作動することを、左右可動部56,57の作動によって運転者に通知することができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記制動介入機能の作動時は、左右両方の可動部56,57が作動する。これにより、制動介入機能が作動することを、左右両方の可動部の作動によって運転者に通知することができる。これにより、挙動が生じやすい制動介入機能の作動通知の確実性を高めることができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記操舵介入機能の作動時は、左右一方の可動部56,57が作動する。これにより、操舵介入機能が作動することを、左右一方の可動部56,57の作動によって運転者に通知することができる。すなわち、左右何れの可動部56,57が作動するかによって、操舵介入機能による操舵の方向を含んだ情報を運転者に通知することができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記操舵介入機能は、自動二輪車1の進路を左右何れかに変化させる進路変更機能を有する。前記操舵介入機能の作動時は、前記左右可動部56,57の内、自動二輪車1の進路を変化させる側のものが、前記外側面56e,57eを車幅方向外側へ移動させるように作動する。これにより、運転者における進路変更側の脚部が車幅方向外側へ開くこととなり、操舵に適した姿勢を促すことができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記操作介入機能のシステムが起動し、かつ前記操作介入機能が作動する前の待機状態において、前記左右可動部56,57は、以下のように作動する。すなわち、前記左右可動部56,57は、前記操作介入機能が作動しているときとは異なる作動形態で作動する。これにより、操作介入機能が待機状態にあることを運転者に通知することができる。
また、上記車両の情報通知装置において、前記左右可動部56,57の作動と連動して、運転者に予め定めた情報を表示するための左右表示装置66,67をさらに備える。これにより、左右可動部56,57の作動および左右表示装置66,67の表示によって、運転者への情報通知をより確実に行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、運転支援装置70は、操作介入機能として、操舵介入機能及び制動介入機能を備えるが、これに限らない。すなわち、運転支援装置70は、操作介入機能として、操舵介入機能及び制動介入機能の一方のみを備えてもよい。
実施形態では、運転支援に関する装置の作動情報を通知する例を示したが、これに限らない。すなわち、前記通知は、例えばナビゲーションシステムやITS(Intelligent Transport Systems)からの情報を通知するものでもよい。
本発明は、左右の車体外側部の両方に可動部を備える構成に限らない。すなわち、本発明は、左右の車体外側部の一方にのみ可動部を備える構成としてもよい。
可動部は、運転者の脚部の下腿や足に接する位置(例えば、ふくらはぎ、くるぶし、足裏等)が接触可能な車体外側部の一部(ステップを含む)に設けてもよい。ステップは、バータイプに限らず、フロアタイプやボードタイプを含む。可動部は、運転者の臀部や脚の付け根付近に接するシートや、腰に接するランバー等に設けてもよい。すなわち、可動部は、通常の乗車姿勢の運転者の身体(特に下半身)に自然に接する外表面を形成するものであればよい。
鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれる。すなわち、鞍乗り型車両には、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。また、原動機に電気モータを含む車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例である。すなわち、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
1A 車体
1L 左車体外側部(車体外側部)
1R 右車体外側部(車体外側部)
10A ステアリング系部品
19 シート
25 ステップ
56 右可動部(可動部)
56e 外側面
57 左可動部(可動部)
57e 外側面
66 右インジケータランプ(表示装置)
67 左インジケータランプ(表示装置)
105R 右可動部アクチュエータ(アクチュエータ)
105L 左可動部アクチュエータ(アクチュエータ)
tb,tf タイミング(操作介入機能の作動開始のタイミング)
ta,te タイミング(操作介入機能の作動開始よりも早いタイミング)

Claims (12)

  1. ステアリング系部品(10A)を操舵可能に支持する車体(1A)における左右一対の車体外側部(1L,1R)の少なくとも一方に、アクチュエータ(105L,105R)により作動する可動部(56,57)と、
    運転者が行う操作に介入可能な操作介入機能と、を備え、
    前記可動部(56,57)は、運転者の身体を接触可能な外表面(56e,57e)を有し、
    前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を予め定めた動作で作動させることで、運転者に予め定めた情報を通知し、
    前記可動部(56,57)は、前記操作介入機能に連動して作動し、
    前記操作介入機能が作動するとき、前記操作介入機能の作動開始のタイミング(tb、tf)よりも早いタイミング(ta,te)で、前記可動部(56,57)が作動を開始する車両の情報通知装置。
  2. 前記可動部(56,57)は、シート(19)よりも前方でステップ(25)よりも上方に、運転者の脚部を接触可能な前記外表面(56e,57e)を有する請求項1に記載の車両の情報通知装置。
  3. 前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動する請求項1又は2に記載の車両の情報通知装置。
  4. 前記可動部(56,57)は、前記左右一対の車体外側部(1L,1R)の各々に備えられ、左右独立して作動可能である請求項1から3の何れか一項に記載の車両の情報通知装置。
  5. (削除)
  6. (削除)
  7. 前記操作介入機能として、操舵介入機能及び制動介入機能の少なくとも一方を備える請求項1から4の何れか一項に記載の車両の情報通知装置。
  8. 前記制動介入機能の作動時は、左右両方の前記可動部(56,57)が作動する請求項7に記載の車両の情報通知装置。
  9. 前記操舵介入機能の作動時は、左右一方の前記可動部(56,57)が作動する請求項7又は8に記載の車両の情報通知装置。
  10. 前記操舵介入機能は、車両の進路を左右何れかに変化させる進路変更機能を有し、
    前記可動部(56,57)は、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動し、
    前記操舵介入機能の作動時は、車両の進路を変化させる側の前記可動部(56,57)が、前記外表面(56e,57e)を車幅方向外側へ移動させるように作動する請求項7から9の何れか一項に記載の車両の情報通知装置。
  11. 前記操作介入機能のシステムが起動し、かつ前記操作介入機能が作動する前の待機状態において、
    前記可動部(56,57)は、前記操作介入機能が作動しているときとは異なる作動形態で作動する請求項1から4、7から10の何れか一項に記載の車両の情報通知装置。
  12. 前記可動部(56,57)の作動と連動して、運転者に予め定めた情報を表示するための表示装置(66,67)を備える請求項1から4、7から11の何れか一項に記載の車両の情報通知装置。
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