以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、押印装置を含む宅配ボックスの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
以下の説明及び図面で、Rは、宅配ボックスの外側から扉がある正面に向かって見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Fは、宅配ボックスの正面側であり、Bは、宅配ボックスの裏側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
図1は、実施形態の宅配ボックス12の斜視図である。宅配ボックス12は、例えば戸建住宅等で使用され、宅配荷物を無人で受け取り可能である。宅配ボックス12は、ユーザとしての荷物の配達員が荷物を入れた状態で、扉16を施錠するとともに用紙に受領印を押印するために使用される。
宅配ボックス12は、略直方体状の外装体(本体)13と、外装体13の内側に設けられた荷物室14と、荷物室14の開口15を開閉する扉16と、押印装置20とを備える。荷物室14は、荷物100(図15参照)を出し入れ可能に収容する略直方体の箱状である。押印装置20は、扉16の正面側Fに露出する後述のスリット28に差し込まれた用紙としての伝票102(図15参照)にユーザの操作に応じて押印する機能を果たす。押印装置20は、ユーザの操作に応じて外装体13に扉16を施錠する施錠装置としての機能も果たす。
扉16は、荷物室14の正面側Fの開口15を塞いでいる。扉16は、宅配ボックス12に取り付けられる片開き型であり、幅方向一端部(図1の右端部)の上下方向の軸(図示せず)を中心として回動することで、荷物室14の開口15を開閉可能である。扉16は、鍵穴部を有する錠装置40の解錠状態、及び後述の荷受の待機状態で開放可能である。
扉16の幅方向他端部(図1の左端部)の上下2つの位置には、プッシュオープン式のマグネットキャッチの磁石側部材(図示せず)が取り付けられ、外装体13の開口縁部には、磁石側部材と対向する鉄板等の金属板(図示せず)が固定される。荷受の待機状態で、扉16はマグネットキャッチの磁力により閉鎖されており、扉16の正面F側から荷物室側である裏側Bに押すことで扉16が開放される。また、扉16がマグネットキャッチで閉状態が保持される構成としたことで、押印装置20が解錠された状態で扉16を荷物室14の内側から押せば磁石側部材から金属板が外れて扉16を開放することができる。
以下、図2~図18を用いて押印装置20を詳しく説明する。図2は、図1から扉16及び押印装置20を取り出して扉16の裏側から見た斜視図である。図3は、図2のA部拡大図である。
押印装置20は、扉16の内側(裏側)に取り付けられ、一部が扉16の外側面である正面16aから露出している。図2に示すように扉16の裏面には、斜格子状のリブ16bが突出して形成される。押印装置20は、扉16の裏面のリブ16bがない部分に配置される。
押印装置20は、ケース20aと、ケース20a内に大部分が配置される施錠機構としての施錠解錠機構43(図3)と、ケース20a内に配置されるスタンプ機構110とを含む。ケース20aは、ベース部材25と、ベース部材25の裏側端(図2、図3の紙面の表側端)の開口を塞ぐようにベース部材25に接続されるカバー部としての内側カバー21とを有する。ベース部材25は、後述の図4に示すように正面側の略T字状の板部25aと、板部25aの周縁部に形成された壁部25bとを有する略T字形の箱状である。内側カバー21は、略T字形の板状である。ベース部材25及び内側カバー21は、金属または樹脂により形成される。ベース部材25の開口25c(図3)は、ベース部材25において、扉16とは反対側に形成される。ケース20aは扉16の先端部(図2、図3の右端部)の裏側にネジ、接着等の固定手段により取り付けられる。
図4は、荷受の待機状態において、図1から押印装置20を取り出して扉正面側から見た斜視図である。図5は、押印装置20を扉裏側から見た図である。図6は、図4のC-C断面図である。図7は、押印装置20を扉16に取り付けた状態を示している図4のC-C断面相当図である。図8は、図7のD部拡大図である。図9は、押印装置20から、内側カバー21を取り外して示す斜視図である。図10は、図9のE矢視図である。図11は、図4のG-G断面図である。
ケース20aを形成するベース部材25の正面側F面には、上下方向に長尺な矩形の箱形状の垂直部26が正面側Fに膨出するように形成される。垂直部26の正面側Fの矩形状面27が扉16の正面16aに形成された開口16c(図1)から外側に露出するように、ベース部材25が扉16において、開口15近傍の扉先端部(図1の左端部)の裏側に取り付けられる。
矩形状面27には、上端部に鍵穴部41が露出して配置される。矩形状面27の下側半部には開口であるスリット28が形成され、鍵穴部41とスリット28との間には矩形状の窓29が形成される。窓29は、後述の操作レバー50の上端部にある操作部51aを露出させるために用いられる。操作部51aは、ユーザが手で操作レバー50を押し下げるときに手で押される部分である。スリット28は、上下方向に長い略矩形に形成される。スリット28には、用紙としての伝票102(図15参照)を差込可能である。これにより、扉16の外側に露出するように、鍵穴部41の下側に操作レバー50の操作部51aが配置され、操作部51aの下側にスリット28が上下方向に延びるように配置される。このため、押印装置20の幅方向(図4の左右方向)の寸法を小さくしやすい。
垂直部26は、扉16の開放時にユーザが掴む掴み部として用いられる。垂直部26の下側部分の左右方向一方側または両側の側面には、ユーザが手指を入れることが可能な開口26aが形成される。垂直部26に開口26aが形成されないようにしてもよい。ベース部材25のうち、左右方向に延びる張り出し部25gの裏側には、後述のスタンプケースユニット79(図9)が配置される。ベース部材25の垂直部26に対し張り出し部25gと反対側(図4の左側)の裏側Bには後述のドアロック70(図10)が配置される。
図8、図9に示すように、ベース部材25の壁部25bの先端面(図8の右端面、図9の紙面の表側端面)は、内周側が内側に窪んだ段差面25f(図8)となっており、その段差面25fの底部(図8の左端)に突き当てるように、内側カバー21が壁部25bの先端に嵌め込まれる。この状態で、ベース部材25に形成された複数のネジ穴とネジとの結合によって、ベース部材25に内側カバー21が固定される。また、内側カバー21は、ケース20aにおいて、扉16とは反対側端に配置され、スリット28の裏側に対向する。
さらに、図4に示すように、ベース部材25の扉側である正面側の下部には、横長で略矩形状の排水口25dが形成される。排水口25dは、板部25aの最下端と、下端の壁部25bの正面側F端部との連続部に形成される。図7、図8に示すように、ケース20aを扉16に取り付けた状態で、排水口25dの正面側Fは、扉16の裏側面(図7の右側面)に対向する。この状態で、扉16の裏側面と下端の壁部25bの正面側F端との間には、排水口25dの下端が開口する。排水口の形状は、横長の矩形状に限定せず、種々の形状とすることができる。上記のように内側カバー21と排水口25dとが形成されるので、スリット28から図7の矢印α方向にケース20a内に雨水が入り込んだときに、雨水をケース20aの下部に落下させ、排水口25dからケース20aの外側に流出させるように構成される。また、スリット28を通って内側カバー21に当たった雨水を内側カバー21で跳ね返して、ケース20a内で落下させる。これにより、スリット28からケース20a内に雨水が入り込んだ場合に、雨水が扉16と反対側に漏れ出ることを内側カバー21で防ぎ、雨水を排水口25dから排出できるので、荷物室14内の荷物が濡れることを防止できる。
また、図6~図8に示すように、ベース部材25の底部である下端の壁部25bの上面において、内側カバー21との接続部側(図6~図8の右側)には堰25eが突出している。堰25eは左右方向に長い略矩形の板状である。これにより、スリット28からケース20a内に雨水が入り込んだ場合に、ベース部材25の底面を流れた雨水が内側カバー21との接続のための段差面25fと内側カバー21との隙間を通じて裏側に漏れ出ることを防止できるので、荷物室14内の荷物が濡れることをより効果的に防止できる。
また、堰25eの頂部である上端には扉16に向かって下側に傾斜した傾斜面となっている。これにより、ケース20a内に入り込んだ雨水が堰25eの上端に落下した場合でもその雨水を扉16側に流すことができるので、荷物室14内の荷物が濡れることをより効果的に防止できる。図8では、水平面を二点鎖線βで示している。本例の場合には、下端の壁部25bの上面も、扉16に向かって下側に傾斜させている。これにより、ベース部材25の底部上に落下した雨水を図8の矢印γで示すように、扉16側の排水口25dに向けて流しやすい。
さらに、宅配ボックス12は、スリット28からケース20a内に雨水が入り込んだときに、排水口25dからケース20aの外側に流出した雨水を、図8の矢印δ方向で示すように、扉16の裏側面に沿って落下させるように構成される。また、扉16の裏側に沿って落下した雨水は、扉16裏側のリブ16bによって、図2に矢印ηで示すように、扉16の先端側に案内される。その雨水は、扉16の下側で、外装体13の開口縁部との隙間を通じて外部に排出される。これによっても、荷物室14内の荷物が濡れることをより効果的に防止できる。
さらに、図9に示すように、ベース部材25の板部25aの裏側面(図9の紙面の表側面)において、スリット28の開口周縁部には、断面矩形の筒部30が突出している。筒部30の右側Rの壁部31aの先端には上下に離れた2つの突板32が突出して形成される。この壁部31aの先端で2つの突板32に挟まれた部分には円弧形の凹部33が形成される。この凹部33を通じて後述のスタンプ手段88の先端が、筒部30を横切って、スリット28に外側から差し込まれた伝票102(図15)に押印する。
ベース部材25の裏側面において、筒部30の左側Lには金属板製のドアロックプレート23が固定され、後述のドアロック70(図10)を覆う。ドアロックプレート23のスリット28側端(R端)の上下方向中間部には受け板部24が裏側に突出するように形成される。後述のスタンプ手段88(図9)の先端は、押印時にこの受け板部24の側面に押し付けられることで、伝票102に受領印を印字されやすくする。
次に、施錠解錠機構43及びスタンプ機構110を詳しく説明する。施錠解錠機構43は、鍵穴部41(図4)、施錠ピン45、操作レバー50、レバー連動部材60、及びドアロック70(図10)を含んで構成される。鍵穴部41を有する後述の錠装置40(図4)、施錠ピン45、操作レバー50、及びレバー連動部材60はケース20a内に配置される。施錠解錠機構43は、ユーザの操作レバー50を用いた操作に応じて扉16を閉鎖状態でロックする施錠機能を有する。施錠解錠機構43は、鍵穴部41に入れられた鍵(図示せず)の回転で扉16を解錠状態とする解錠機能も有する。
鍵穴部41は、ベース部材25に固定された錠装置40に形成される。鍵穴部41はベース部材25の正面側Fに露出する。鍵穴部41に専用の鍵が入れられ回転部分が回転された場合には、この回転部分の裏側Bに固定された略V字形の板状のアーム42(図11)も回転する。アーム42には、一端部(図11の下端部)に、裏側(図11の紙面の裏側)に突出するように施錠ピン45が固定される。このため、施錠ピン45は、鍵穴部41に入れられた鍵に連動して回転する。図4~図11に示す荷受の待機状態では、鍵穴部41が鍵により施錠方向(図10)に回転されていることで、アーム42及び施錠ピン45も施錠方向に回転した位置となっている。
操作レバー50は、ベース部材25の垂直部26に対し上端部の操作部51aが窓29から露出した状態で、上下方向に移動可能に支持される。操作レバー50は、荷物の配達員等のユーザが荷物室14内に荷物を入れて扉16を閉じた状態で、扉ロック方向である下側に押し下げ操作することで錠装置40を施錠状態とするための操作部材である。
図12は、レバー連動部材60及び操作レバー50を分離して示す図である。操作レバー50は、上端部に天板である操作部51aを有し断面が略矩形の筒部51を含み、筒部51の下端の左右方向両端位置には、上下方向に延びる2つの脚部53,54が形成される。筒部51の裏側(図12の紙面の表側)の外面には、後述のレバー連動部材60を係合するための円筒状の柱部55が突出している。
図6、図7に示すように、筒部51の内側には付勢部材56が配置される。付勢部材56は、例えばコイルバネである。付勢部材56の上端は操作レバー50の操作部51aの下面に突き当てられ、付勢部材56の下端はスリット28周縁部の筒部30の上端に突き当てられる。これにより、操作レバー50は、上側に付勢される。このような操作レバー50は、図4に示すように、操作部51aがベース部材25の窓29から露出し、ユーザがこの操作部51aを付勢部材56の付勢力に逆らって押し下げるように操作することにより、下側に移動させることが可能である。
図12に示すレバー連動部材60は、操作レバー50の上端部に連結される。レバー連動部材60は、互いに直交する直線部62,63を有するL字形部61と、L字形部61の上端部から曲がりながら上側に延びる係止アーム64とを含む。略上下方向に延びる直線部62の中間部には円孔62aが形成され、円孔62aに操作レバー50の柱部55が嵌合状態で挿入されることにより、レバー連動部材60と操作レバー50とが連結される。これにより、レバー連動部材60は、操作レバー50に連動する。この状態で、レバー連動部材60は、柱部55を中心として揺動移動が可能である。ベース部材25の垂直部26の裏側面にはレバーカバー66(図9)が固定されており、レバーカバー66には裏側(図9の紙面の表側)に膨出形成される断面略矩形のトンネル部67が形成される。レバー連動部材60の直線部62の下側部分は、このトンネル部67に挿入される。レバー連動部材60の直線部63と係止アーム64との連結部の付近とベース部材25の壁部25bとには、付勢部材121(図9)の両端が係止され、レバー連動部材60が右側Rに揺動する側に付勢されている。L字形部61の略左右方向に延びる直線部63の先端部には、略上下方向に延びる掴み部63aが形成される。直線部63aの先端部は、ベース部材25の壁部25bにおいて、張り出し部25g(図4)より上側の部分に形成された開口115を通じて、ベース部材25の外側に突出している。これにより、子供等がいたずら等で誤って荷物室14に閉じ込められた場合にその子供等がレバー連動部材60に触りやすくなるので、レバー連動部材60の揺動によって後述のように扉16を解錠することができる。これにより、子供等が宅配ボックス12から脱出できるので安全性を高くできる。
図12に示すように、係止アーム64の上端部には、施錠ピン45(図9)の先端部と係止可能な溝部65が形成される。係止アーム64において、溝部65から離れた下側部分の側面64aには、鍵が施錠方向(図10)に回転したときに施錠ピン45が対向する。この側面64aの上側部分は、上側に向かって右側Rに傾斜した傾斜面である。これにより、図10に示すように、施錠ピン45が施錠方向に回転し施錠ピン45が側面64aに接近して配置された場合でも、後述の施錠禁止レバー93が施錠方向と逆方向に回転した状態で、操作レバー50の押し下げに連動して施錠ピン45を側面64aの傾斜面に滑らせるように、レバー連動部材60を揺動させながら下側に移動させることができる。
一方、後述の図18に示すように施錠ピン45が施錠方向に回転した状態で、操作レバー50が扉ロック方向である下側に移動するように押し下げられた後、レバー連動部材60の溝部65(図12)に施錠ピン45が係止される。この場合には、操作レバー50及びレバー連動部材60の扉アンロック方向である上側への移動が阻止される。これにより、付勢部材56(図6)の付勢力による操作レバー50の上側への戻りが阻止される。このため、後述のように扉16の施錠状態が維持される。
図10に示すように、ドアロック70は、裏側の略V字形の板部71と正面側の山形の板部(図示せず)がV字形の谷部で連結されたもので、2つの板部71の上端部に円孔72が形成される。ベース部材25の左側L端部の裏側面(図10の紙面の表側面)には円柱状の柱部34が突出する。その柱部34がドアロック70の各円孔72に嵌合状態で挿入されることで、ドアロック70がベース部材25に柱部34を中心として揺動移動可能に支持される。2つの板部71の間で柱部34の周囲には付勢部材としてのコイルバネ(図示せず)が配置され、そのコイルバネによりドアロック70が、スリット28側である右側R(扉先端側とは反対側)に付勢される。図10に示す待機状態で、ドアロック70の一方の板部71の先端部(図10の下端部)は、ベース部材25の左側Lの端とほぼ同じ位置にある。
さらに、ドアロック70の上端部には、操作レバー50の一方の脚部53に形成された突部53aの下端が対向する。これにより、操作レバー50が下側に移動することに連動して、ドアロック70が揺動移動する。具体的には、操作レバー50が押し下げられた場合に、操作レバー50の一方の脚部53の突部53aの下端がドアロック70の上端部を押し下げて、後述の図18に示すようにドアロック70の先端部がベース部材25の左側Lの端より大きく突出するようにドアロック70を揺動移動させることが可能となる。この状態で、外装体13の開口周縁部に形成された係止部(図示せず)にドアロック70の先端部が係止されることで、扉16が閉鎖状態でロックされる。
図9に示すように、施錠解錠機構43は、施錠禁止レバー93とレバーロック部材96とを含む。施錠禁止レバー93は、配達員が荷物室14に荷物を入れる前に、子供等がいたずらで扉16の外側から操作レバー50を押し下げて扉16が施錠されることを防止するために設けられる。施錠禁止レバー93は、ベース部材25の扉裏側に揺動可能に支持される。施錠禁止レバー93は、ベース部材25の壁部25bの上端部に形成された開口から突出する操作アーム94を有する。施錠禁止レバー93が図9に示すように第1方向に揺動した状態では、操作レバー50に連動して扉アンロック方向である上側に移動したレバー連動部材60の係止アーム64の裏側Bに突出する突部64bが、施錠禁止レバー93に形成された係止溝95に入り込む。この状態で、突部64bの下端が施錠禁止レバー93の下端に位置する先端部と上下方向に係合可能に対向する。これにより、レバー連動部材60と連動する操作レバー50が下側に移動することが阻止されるので、子供等がいたずらで扉16の外側から操作レバー50を押し下げて扉16が施錠されることを防止できる。
施錠禁止レバー93は、図18に示すように操作アーム94が略直立するように第1方向(図9)と逆方向に揺動した状態で、施錠禁止レバー93の先端部がレバー連動部材60の突部64bの下側から退避する。これにより、操作レバー50が扉ロック方向である下側に移動することが許可される。配達員は、荷物室14に荷物を入れる場合に、扉16を開けて施錠禁止レバー93の操作アーム94を掴んで図18のように揺動させた状態で、荷物室14に荷物を収容し、扉16を閉めて操作レバー50を下側に移動させることで、扉16をドアロック70でロックすることができる。
レバーロック部材96は、図18に示すように施錠禁止レバー93が、操作アーム94が略直立するように揺動した状態で、施錠禁止レバー93から左側Lに延びる係止部93aを、レバーロック部材96の上端部の正面側面(図18の裏側面)に形成した溝部97(図9)に係止させる。レバーロック部材96は、ベース部材25の壁部25bとレバーロック部材96とに係止された付勢部材121により、施錠禁止レバー93の側に傾斜するか、または略直立を維持するように付勢されている。
図13は、スタンプケースユニット79を取り出して示す斜視図である。図14は、スタンプケースユニット79を扉正面側から見た斜視図である。スタンプ機構110(図9)は、スタンプケースユニット79、スタンプ手段88、及びスタンプレバー75を含んで構成される。スタンプ機構110は、ケース20a内に配置される。スタンプ機構110は、スリット28に差し込まれた伝票にユーザの操作レバー50を用いた操作に応じて押印する。
ベース部材25には、スタンプケースユニット79のスタンプケース80が左右方向の移動可能に支持され、スタンプケース80には、スタンプ手段88(図9)が保持可能である。具体的には、スタンプケースユニット79は、スタンプケース80と、スタンプケース80に支持されたシートストッパ90とを含む。スタンプケース80は、台形状の板部81と、板部81の裏側B面に形成されたホルダ82とを有する。ホルダ82は、上下2つの壁部83と壁部83の右端(R端)を連結する端壁部84とから形成される。ホルダ82には、スタンプ手段88を保持可能である。スタンプ手段88は、例えばインク浸透式のはんこであり、スタンプ手段88の先端(L端)が伝票に押し付けられた場合に伝票に受領印を押印する。
さらに、板部81においてホルダ82より上側及び下側のそれぞれには、左右方向に長い長孔81a、81bが形成される。これらの長孔81a、81bには、ベース部材の裏側面から突出する柱部35,36(図9)が挿入されることで、板部81がベース部材25に対し左右方向の移動可能に支持される。
図14に示すように、板部81の正面側F面において、左側Lの部分には、2つのU字形部85と、壁部86とが、左右方向に並んで突出している。2つのU字形部85には、左右方向へ移動可能に、シートストッパ90が挿入される。シートストッパ90は、細長で略直方体形状の部材である。板部81のU字形部85と壁部86との下側には柱部87が形成され、柱部87の周囲には、付勢部材としてのコイルバネ92が配置される。コイルバネ92の一端は、壁部86の側面に押し付けられ、他端はシートストッパ90の右側R端部の孔に挿入される。これにより、シートストッパ90は、左側Lに付勢され、その先端部(左側L端部)は、板部81の左端(L端)より突出する。このため、施錠ピン45が施錠方向に回転した状態で、操作レバー50が下側に押し下げられることで、後述のようにスタンプケース80がスリット28側に移動してからスリット28から退避した場合に、シートストッパ90の先端部が、スリット28の裏側を左右に横切る。このため、スリット28への伝票の差し込みが妨害されるので、荷物の配達員が宅配ボックス12で受領印を押印できるのが扉施錠時(ロック時)の1回限りとなり、受領印による荷物の配送の証明性が高くなる。
図11に示すように、スタンプケース80の板部81とベース部材25の正面側端との間には、略L字形のスタンプレバー75が配置される。スタンプレバー75の中間部には円孔76が形成され、両端部には、長孔77,78が形成される。一方の長孔77には、板部81に形成された柱部81cが挿入される。円孔76には、ベース部材25に形成された柱部36が挿入される。さらに、他方の長孔78には、操作レバー50の他方の脚部54の下端部に形成された円柱状の柱部54a(図12)が挿入される。これにより、スタンプレバー75は、操作レバー50に連動して柱部36を中心に回転する。具体的には、操作レバー50が図9の下側に押し下げられると、柱部54aの下降に伴って、スタンプレバー75が柱部36を中心に、図9の時計方向に回転する。これにより、スタンプケース80がスリット28側である左側Lに移動し、スタンプ手段88の先端がスリット28の裏側を通過する。したがって、荷物の配達員がスリット28に伝票を差し込んだ状態で、操作レバー50の1回の押し下げ操作を行うだけで機械的に扉16の施錠と伝票への受領印の押印を行える。このため、扉16の施錠と押印を簡単な操作で行えるとともに、施錠と押印に電池等の電源を必要としない。
図15は、宅配ボックス12において、荷物100を収容し、伝票102への押印及び施錠を行い、その後、扉16を開放する方法を示している。上記のように、宅配ボックス12の荷受待機時には、扉16は、プッシュオープン式のマグネットキャッチで開口15を塞いでいる。荷物の配達員が宅配ボックス12に荷物100を配送するときには、配達員が扉16を荷物室14側に押すことで図15(a)に示すように荷物室14を開放する。図15(a)より前では、押印装置20は図4~図11に示した荷受けの待機状態である。そして、図15(b)に示すように配達員が荷物室14に荷物100を入れた後、押印装置20の施錠禁止レバー93を第1方向と逆方向に揺動させることにより、操作レバー50の押下動作が可能となるようにする。そして、図15(c)に示すように配達員が扉16を閉める。その後、図15(d)に示すように、配達員が押印装置20のスリット28に伝票102を差し込む。次いで、この状態で、図15(e1),(e2),(e3)に示すように、押印装置20の操作レバー50を押し下げ、ドアロック70を外装体13の係止部に係止させる。これと同時に、スタンプ手段88がスリット28側に移動することで伝票102に受領印が押印される。このとき、操作レバー50の押し下げ力が解除されると、操作レバー50は、付勢部材56(図6)の付勢力によって少し上昇するが、操作レバー50に連動するレバー連動部材60の上端部の溝部65(図12)に施錠ピン45が係止されて上昇が停止される。
図16は、操作レバー50を押し下げ後、その押し下げ力が解除されてドアロック70(図10)が扉をロックした状態における押印装置20を正面側から見た斜視図である。図17は、図16の状態における押印装置20を扉裏側から見た斜視図である。図18は、図16の状態における押印装置20から内側カバー21を取り外して扉裏側から見た図である。
図16~図18に示すように、操作レバー50の押し下げ力が解除された状態では、スタンプ手段88がスリット28の裏側から右側Rに退避する。また、このとき、ドアロック70の先端部の突出量は、操作レバー50の押し下げ時の状態に比べて小さくなるが、外装体13の係止部に係止され、扉16が施錠された状態は維持される。
その後、図15(f)に示すように、荷物の受取人が、専用の鍵を鍵穴部41に入れて解錠方向に回すことで、扉16を解錠して、荷物100を取り出すことができる。図15(e2),(e3)では、扉16の外側から内部の一部を透視して示している。
本例の宅配ボックス12の押印装置20は、簡易な構造により低コスト化を図れる。また、ユーザの操作が簡単であるため、操作性を高くできる。また、押印装置20の主要構成を、スタンプ手段88及びスタンプケースユニット79を除いて、上下方向に長い配置構成とできるので、多くの部分で左右方向長さを小さくできる。これにより、多くの種類の宅配ボックスへの適用の容易化を図れるとともに、意匠性を高くできる。
さらに、押印用の伝票102を差し込むためのスリット28が扉16の正面側に露出しているので、このスリット28を通じて雨水が宅配ボックス12の内側に入り込む可能性がある。この場合でも本例の場合には、スリット28からケース20a内に雨水が入り込んだ場合に、雨水が扉16と反対側に漏れ出ることを内側カバー21で防ぎ、雨水をケース20aの扉16側の下部に形成された排水口25dから排出できる。これにより、荷物室14内の荷物が濡れることを防止できる。また、ケース20a内で雨水が溜まることがないので、押印装置20の押印機能が損なわれることがない。したがって、押印機能を損なうことなく、荷物室14内の荷物が濡れることを防止できる押印装置20、及び宅配ボックス12を提供できる。
なお、本開示に係る押印装置及び宅配ボックスは、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更や改良が可能である。例えば、上記では、押印装置20のケース20aが箱状のベース部材の裏側端を内側カバー21で塞ぐ構成を説明したが、ケースは、正面側端に配置されスリットを有する板状のベース部材の裏側に、箱状の内側カバーが結合される構成としてもよい。このとき、内側カバーの裏側端を構成する板部が、スリットの裏側に対向するカバー部となる。