[0024] 図1は、本発明の一実施形態に従ったリソグラフィシステム100を概略的に示し、リソグラフィシステムは、リソグラフィ装置、及びEUV放射、例えばEUV放射ビームを生成するために構成された、EUV放射源を備える。図に示される実施形態において、EUV放射源はソースコレクタモジュールSOを備える。図に示される実施形態において、リソグラフィスキャン装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された、基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された、投影システム(例えば、反射型投影システム)PSと、を備える。
[0025] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[0026] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた手法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
[0027] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0028] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
[0029] 投影システムは、照明システムと同様に、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。投影システムPSは、本発明による投影システムPSであり得る。
[0030] 本明細書で示すように、装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。
[0031] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0032] 図1を参照すると、イルミネータILはソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法は、必ずしも限定ではないが、例えばキセノン、リチウム、又はスズのような、EUV範囲内に1つ以上の輝線を持つ少なくとも1つの元素を有する材料を、プラズマ状態に変換することを含む。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる1つのそのような方法では、必要な線発光元素を有する材料の小滴、流れ、又はクラスタのような燃料を、レーザビームで照射することにより、必要なプラズマを生成できる。ソースコレクタモジュールSOは、図1には示されていない、レーザビームを提供し燃料を励起するためのレーザを含むEUV放射システムの一部とすることができる。これによって生じるプラズマは、例えばEUV放射のような出力放射を放出し、この出力放射はソースコレクタモジュール内に配置された放射コレクタを用いて収集される。例えばCO2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザとソースコレクタモジュールは別個の構成要素である可能性がある。
[0033] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザからソースコレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、ソースコレクタモジュールの一体部分であってもよい。
[0034] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えていてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、ファセットフィールドミラーデバイス及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0035] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSは放射ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けによって、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に様々なターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wを位置合わせすることができる。
[0036] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
[0037] 前述の使用モード又は全く異なる使用モードの組み合わせ及び/又は変形も採用可能である。例示する実施形態は、前述のモード2及び3のようなスキャンを含む。
[0038] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0039] 図2は、ソースコレクタモジュールSOを備えるEUV放射源、並びに、照明システムIL及び投影システムPSを備えるリソグラフィスキャン装置を含む、システム100をより詳細に示す。EUV放射源のソースコレクタモジュールSOは、ソースコレクタモジュールSOの閉鎖構造220内で真空環境が維持できるように構築及び配置される。システムIL及びPSは、それら自体の真空環境内に同様に格納される。EUV放射放出プラズマ210は、レーザ生成LPPプラズマ源によって形成可能である。ソースコレクタモジュールSOの機能は、EUV放射ビーム20が仮想光源点に合焦するように、EUV放射ビーム20をプラズマ210から搬送することである。仮想光源点は、通常、中間焦点(IF)と呼ばれ、ソースコレクタモジュールは、中間焦点(IF)が閉鎖構造220内の開口221に、又は開口221近くに位置するように配置される。仮想光源点IFは放射放出プラズマ210の像である。
[0040] 中間焦点IFにある開口221から、放射は、この例ではファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含む、照明システムILを横断する。これらのデバイスは、いわゆる「フライアイ」イルミネータを形成し、フライアイイルミネータは、パターニングデバイスMAで放射ビーム21の望ましい角度分布を、並びに、パターニングデバイスMAで望ましい放射強度の均一性提供するように、配置される。支持構造(マスクテーブル)MTによって保持される、パターニングデバイスMAでのビーム21の反射時に、パターン付与されたビーム26が形成され、パターン付与されたビーム26は、投影システムPSによって、反射要素28、30を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
[0041] 各システムIL及びPSは、閉鎖構造220と同様の閉鎖構造によって画定される、それ自体の真空又は近真空環境内に配置される。一般に、照明システムIL及び投影システムPS内には、図に示されたよりも多くの要素が存在可能である。更に、図に示されたよりも多くのミラーが存在可能である。例えば、照明システムIL及び/又は投影システムPS内には、図2に示される反射要素に加えて、1から6つの追加の反射要素が存在可能である。上記で言及した米国特許出願公開は、例えば、照明システム内に3つの追加要素を示している。
[0042] ソースコレクタモジュールSOをより詳細に考察すると、レーザエネルギー224をキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料内に蓄積させ、数十eVの電子温度を伴う高度にイオン化されたプラズマ210を生み出すために、レーザ223を備えるレーザエネルギー源が配置される。より高エネルギーのEUV放射を、他の燃料材料、例えばTb及びGdで生成することができる。脱励起中に生成されたエネルギー放射及びこれらのイオンの再組み合わせが、近法線入射コレクタCOによって集められ、開口221上に合焦される。プラズマ210及び開口221は、それぞれ、コレクタの第1及び第2の焦点又はコレクタミラーCOに位置する。
[0043] 燃料、例えば液体スズを搬送するために、液滴ジェネレータ226は、液滴の高周波数ストリーム228をプラズマ210の望ましいロケーションに向けて発火させるように配置された、エンクロージャ220内に配置される。動作中、レーザエネルギー224は、各燃料液滴をプラズマ210に変えるために放射のインパルスを搬送するために、液滴ジェネレータ226の動作と同期して搬送される。液滴の搬送の周波数は、数キロヘルツ、例えば50kHzとすることができる。実際に、レーザエネルギー224は少なくとも2つのパルスで搬送され、エネルギーが制限されたプリパルスは、燃料材料を小さなクラウドに気化させるために、プラズマロケーションに達する前に液滴に搬送され、その後レーザエネルギー224のメインパルスが、プラズマ210を生成するために、望ましいロケーションのクラウドに搬送される。何らかの理由でプラズマに変換されない燃料をキャプチャするために、閉鎖構造220の反対側にトラップ230が提供される。
[0044] ソースコレクタモジュール及びリソグラフィ装置内の多数の追加コンポーネントは典型的な装置内に存在するが、ここでは図示されていない。これらは、例えば、コレクタ又はコレクタミラーCO及び他の光学系のパフォーマンスに損害を与えるか又は損なう、燃料材料の堆積を防止するために、閉鎖真空内のコンタミの影響を低減又は軽減させるための配置を含む。また、1つ以上のスペクトル純度フィルタが、ソースコレクタモジュールSO及び/又は照明システムILに含まれることになる。これらのフィルタは、UV放射の望ましくない波長に加えて、レーザ及び/又はプラズマ210によって生成された望ましくない波長の放射をできる限り取り除くためのものである。スペクトル純度フィルタは、仮想光源点近く、又は、コレクタと仮想光源点との間の任意のポイントに、位置決めすることができる。フィルタは、放射経路内の他のロケーション、例えば仮想光源点IFのダウンストリームに置くことができる。複数のフィルタが採用可能である。当業者はこれらの手段の必要性及びこれらの手段が実施可能な様式に精通しており、本開示のために更なる詳細は必要ない。
[0045] 図2からのレーザ223をより詳細に参照すると、提示される実施形態におけるレーザは、MOPA(主発振器パワー増幅器)タイプである。これは、図内でMOと標示された「メイン」レーザ又は「シード」レーザと、その後のパワー増幅器(PA)からなる。レーザエネルギー224をモジュールSO内に搬送するために、ビームデリバリシステム240が提供される。実際には、レーザエネルギーのプリパルス要素は、図内では別々に示されていない別のレーザによって搬送されることになる。レーザ223、燃料源(すなわち、液滴ジェネレータ)226、及び他のコンポーネントは、例えばソース制御モジュール242によって制御可能である。
[0046] 当業者であればわかるように、基準軸X、Y、及びZは、装置のジオメトリ及び挙動、その様々なコンポーネント、及び放射ビーム20、21、26を、測定及び記述するために画定することができる。装置の各部分において、X、Y、及びZ軸のローカル基準フレームを画定することができる。Z軸は広義には、システム内の所与のポイントで光軸の方向と一致し、一般には、パターニングデバイス(レチクル)MAの平面に垂直であり、基板Wの平面に垂直である。ソースコレクタモジュールにおいて、X軸は広義には、燃料ストリーム(228、下記で説明)の方向と一致し、Y軸はそれに対して直角であって、図2に示されるようにページの外を示している。他方で、レチクルMAを保持している支持構造MTの近くで、X軸は一般に、Y軸と位置合わせされたスキャン方向を横断する。便宜上、図2の概略図のこのエリアでは、再度マークされるように、X軸はページの外を示す。これらの指示は当分野では従来通りであり、便宜上本明細書で採用される。原則として、装置及びその挙動を説明するために、任意の基準フレームを選択することができる。
[0047] 照明システムをもう少し詳細に参照すると、ファセットフィールドミラーデバイス22は、EUV放射ビーム20がいくつかのサブビームに分割されるような個々のファセットのアレイを備え、図内ではサブビームの1つが260と標示されている。各サブビームは、ファセット瞳ミラーデバイス24上の個々のファセットに向かって誘導される。瞳ミラーデバイス24のファセットは、それら個々のサブビームを、パターニングデバイスMAのスリット型エリアであるターゲット上に誘導するように配置される。サブビーム260への分割及び単一のビーム21への組み合わせは、ソースコレクタモジュールから到達する照明がその角度分布において非常に不均一であるとき、スリットエリアにわたって非常に均一な照明を生み出すように設計される。同じく周知のように、デバイス22及び/又は24のファセットは、異なる照明モードを実装するために、ステアリング可能及び/又はマスク可能であり得る。
調節されたEUV放射ビーム21は、調節及びマスキングモジュール262を介してパターニングデバイスMAに搬送される。このモジュールは、X及びY方向に照明スリットの範囲を画定する可動ブレードを有し得る、レチクルマスク(REMA)とも呼ばれるマスキングユニットを含む。典型的には、EUV型のリソグラフィ装置内に印加される照明スリットは湾曲可能である。
REMAの前は、照度均一性補正モジュール(UNICOM)でもあり得る。
[0048] 基板W上のターゲット部分Cを露光するために、放射のパルスが基板テーブルWT上に生成され、マスクテーブルMTは、照明のスリットを介してパターニングデバイスMA上のパターンをスキャンするために、同期化運動266、268を実行する。
[0049] REMA及びUNICOM機能を含む照明システムの例は、米国特許出願公開第2005/0274897A1号及び第2011/0063598A号に記載されている。
[0050] 多くの手段がソースコントローラ242において適用される。こうした手段は、仮想光源点IFが、ソースコレクタモジュールSOからの出口で開口221と位置合わせされていることを保証するために、監視することを含む。LPP源に基づくシステムにおいて、アライメントの制御は一般に、コレクタ光学系COを移動させることではなく、プラズマ210のロケーションを制御することによって達成される。コレクタ光学系、出口開口221、及びイルミネータILは、セットアッププロセス中に正確に位置合わせされ、開口221はコレクタ光学系の第2の焦点に位置するようになる。しかしながら、EUV放射によってソース光学系の出口に形成される仮想光源点IFの正確なロケーションは、コレクタ光学系の第1の焦点に対して、プラズマ210の正確なロケーションに依存する。このロケーションを、十分なアライメントを十分維持するように正確に固定するためには、一般にアクティブな監視及び制御を必要とする。
[0051] このために、この例におけるソース制御モジュール(コントローラ)242は、燃料の噴射、及び、例えばレーザからのパルスにエネルギーを与えるタイミングも制御することによって、プラズマ210(EUV放射源)のロケーションを制御する。典型的な例では、レーザ放射224のエネルギーを与えるパルスは、50kHzのレート(20μs周期)で搬送され、バーストでは、例えば20msから20秒のいずれかで持続する。各メインレーザパルスの持続時間はおよそ1μsであってよく、結果として生じるEUV放射パルスは、およそ2μs持続することができる。適切な制御によって、EUV放射ビームがコレクタCOによって開口221上に精密に合焦されることが維持される。これが達成されない場合、ビームのすべて又は一部は閉鎖構造の周囲の材料に衝突することになる。
[0052] ソース制御モジュール242には、プラズマのロケーションに関する情報についての第1のフィードバック経路を提供する、1つ以上のセンサのアレイ(図示せず)からの監視データが供給される。センサは、例えば前述の米国特許出願公開第2005/0274897A1号に記載されたような、様々なタイプであってよい。センサは、放射ビーム経路に沿った複数の位置に位置し得る。それらは例えば、純粋に例示の目的で、フィールドミラーデバイス22の周囲及び/又は後ろに位置し得る。今説明したセンサ信号は、イルミネータIL及び投影システムPSの光学システムの制御に使用可能である。センサ信号は、フィードバック経路を介して、ソースコレクタモジュールSOの制御モジュール242を支援し、EUVプラズマ源210の強度及び位置を調整するためにも使用可能である。センサ信号は、例えば仮想光源IFの観察されたロケーションを決定するために、処理可能であり、これはEUV源のロケーションを間接的に決定するために推定される。センサ信号によって示されるように仮想光源ロケーションがドリフトする場合、開口221内のビームを再度中心に置くために、制御モジュール242によって補正が適用される。
[0053] イルミネータセンサからの信号に完全に依拠するのではなく、一般に、放射源のより迅速、直接的、及び/又は自己完結型の制御を提供するために、ソースコレクタモジュールSO自体に追加のセンサ及びフィードバック経路を提供することができる。こうしたセンサは、例えばプラズマのロケーションを監視する、1つ以上のカメラを含むことができる。このようにして、ロケーションビーム20は開口221内に維持され、機器への損傷が回避され、放射の効率的な使用が維持される。
[0054] EUV放射ビームの基板W上への正確な位置決めを達成するために、本明細書で説明する本発明に従って、投影システムPSを具体化することができる。
[0055] 本発明は、リソグラフィ装置のための投影システム300に関する。こうした投影システム300の実施形態が、図3に概略的に示される。投影システム300は、ビーム311を経路に沿って誘導するように構成された複数の光学要素301、302、303、304、及び制御システム305を備える。制御システム305は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第1の光学要素301の変形を示す入力信号351を受信するように構成される。制御システム305は、入力信号351に基づいて、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第2の光学要素302の位置を制御するための出力信号352を生成するように、更に構成される。
一実施形態において、制御システム305はしたがって、複数の光学要素301、302、303、304のうちの1つの光学要素の変形を示す入力信号351を受信するように構成可能であり、また、入力信号351に基づいて、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第2の光学要素302の位置を制御するための出力信号352を生成するように構成可能である。こうした実施形態において、制御システム305は、任意選択として、1つの光学要素の位置を制御するための出力信号を生成するようにも構成可能である。こうした実施形態において、1つの光学要素の変形は、ビーム311がオブジェクト308上に位置決めされる際の正確さに誤差を生じさせる可能性がある。少なくとも第2の光学要素302の位置を制御することによって、ビーム311の経路を適合させることが可能であり、誤差を少なくとも部分的に軽減することができる。一実施形態において、制御システム305は、複数の光学要素301、302、303、304の2つ以上の光学要素の変形を示す入力信号を受信するように構成可能であり、また、入力信号に基づいて、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも1つの他の光学要素の位置を制御するための出力信号を生成するように構成可能である。こうした実施形態において、制御システム305は、任意選択として、2つ以上の光学要素の位置を制御するための出力信号を生成するようにも構成可能である。
2つ以上の光学要素の変形は、ビーム311がオブジェクト308上に位置決めされる際の正確さに誤差を生じさせる可能性がある。少なくとも1つの他の光学要素302の位置を制御することによって、ビーム311の経路を適合させることが可能であり、誤差を少なくとも部分的に軽減することができる。
[0056] 図示された例において、例えばレチクル又はマスクであり得るパターニングデバイス313によって、例えばEUV放射を含み得るビーム311に、パターンが付与される。次いで、ビーム311は、任意選択として、真空又は近真空環境が提供されたハウジング307に入る。ビーム311は、第4の光学要素304から第3の光学要素303へと誘導され、続いて、第2の光学要素302及び第1の光学要素301へと誘導される。光学要素301、302、303、304は、例えばミラー及び/又はレンズであり得る。最終的に、ビーム311は第1の光学要素301から、例えば基板又はウェーハであり得るオブジェクト308上へと誘導される。図示された例において、投影システム300は4つの光学要素301、302、303、304を備えるが、実際には、任意数の、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の適切な光学要素が提供可能である。一実施形態において、投影システムの光学要素のうちの1つ以上は、複数の離散的光学要素からなるか、又はそれらを備えることができる。一例として、本発明に従って投影システム内に印加される光学要素は、複数のより小さなミラーからなるミラーとすることができる。こうしたミラーは、例えばファセットミラーと呼ぶことができる。同様に、本発明に従って投影システム内に印加される光学要素は、複数のレンズからなるか又はそれらを備えることができる。光学要素301、302、303、304は図3では概略的に示されており、実際には、ビーム311を適切な方向に誘導するために回転させるか、及び/又は湾曲表面を備えることができることに留意されたい。
[0057] 正確なリソグラフィプロセス、例えば、オブジェクト308上の特定のロケーションへのパターンの正確な投影を達成するために、ビーム311の正確な位置決めが必要である。オブジェクト308上のビーム311の位置決めは、とりわけ、光学要素301、302、303、304の形状及び位置によって影響を受ける。特に発明者らは、光学要素301、302、303、304の変形が、投影パターンにかなりの影響を与える可能性があることを発見した。例えば露光中、リソグラフィプロセスにおいて、XY面内でビーム311を逸脱させる不正確さは、結果としてオーバーレイ誤差を生じさせる可能性がある。ビーム311が進行する距離も変形によって影響を受ける可能性があり、結果としてZ方向における逸脱を生じさせる。これは例えば、結果としてビーム311がオブジェクト308に達したときに、ビーム311の焦点外れを生じさせる可能性がある。
[0058] 光学要素301の形状における変化は、収差も生じさせる可能性がある。例えば、投影システム300の光学要素301、302、303、304の変形に起因してより優勢になる収差のタイプは、例えばディストーション、非点収差、及びコマである。こうした収差はいわゆるより高次の結像誤差を生じさせる可能性がある。より高次の明示的意味は、ゼルニケ多項式を使用する数学的方法でビーム311を記述することから導出される。オーバーレイ及び合焦は、1次ゼルニケ多項式を使用して記述され、例えば、ディストーション、非点収差、及びコマは、より高次の多項式を使用して記述される。
[0059] 前述の誤差は、例えば半導体業界における需要が増え続けると共に、最新のリソグラフィ装置にとって重要となる可能性がある。
[0060] 光学要素301、302、303、304の変形は、例えば光学要素301、302、303、304に及ぼされる力から生じる可能性がある。この力は、例えば、光学要素301、302、303、304から、及び/又は、例えば振動を生じさせる外部ソースから起こる可能性がある。温度及び圧力などの環境ファクタも、光学要素301、302、303、304の変形を生じさせる可能性がある。例えば、圧力の変動は、結果として、変形を生じさせ得る光学要素301、302、303、304に及ぼされる力の変動を生じさせる可能性がある。投影システムの光学要素の変形の影響を少なくとも軽減させることが望ましい。
[0061] 本発明は、入力信号351を制御システム305に提供することによって、解決策を与える。入力信号351は、第1の光学要素301の変形を示す。このコンテキストが示す意味において、入力信号351は、第1の光学要素301の変形が少なくとも部分的に決定可能な情報を含む。例えば入力信号351は、変形に寄与する1つ以上のファクタに関する情報を含むことができる。例えば入力信号351は、第1の光学要素301に及ぼされる力に関する情報を含むことができる。例えば入力信号351は、第1の光学要素301がさらされる振動に関する情報を含むことができる。例えば入力信号351は、温度及び/又は圧力などの環境ファクタに関する情報を含むことができる。
[0062] 受信した入力信号351に基づいて、第2の光学要素302の位置を制御するために、制御システム305によって出力信号352が生成される。したがって、第2の光学要素302の位置は、第1の光学要素301の変形を考慮して制御される。したがってオブジェクト308上のビーム311の位置決めの正確さを向上させることができる。例えば、第1の光学要素301の変形は、ビーム311がオブジェクト308上に位置決めされる際の正確さにおける誤差を生じさせる可能性がある。第2の光学要素302の位置を制御することによって、ビーム311の経路を適合させることが可能であり、誤差を少なくとも部分的に軽減することができる。
[0063] 図3は、任意選択の実施形態において、制御システム305が、入力信号に基づいて、第1の光学要素301ではなく、複数の光学要素302、303、304のうちの複数の位置を制御するために、1つ以上の出力信号352を生成するように構成されることを示している。図示された例において、これは、ドライブシステム306によって受信される単一の出力信号352に含まれる。ドライブシステム306は、下記で更に詳しく述べる。しかしながら、例えば、それぞれの複数のドライブシステム306によって受信される、複数の出力信号352を生成することも可能である。例えば、第2の光学要素302及び第3の光学要素303は、出力信号352に基づいて制御可能である。したがって、オブジェクト308上のビーム311の位置決めの正確さを、更に向上させることができる。
[0064] 本実施形態において、複数の光学要素302、303の各々の位置を調整することが可能である。これが、第1の光学要素301の変形を軽減するための更なるオプションを与える。したがって、複数の光学要素302、303の各々の位置は、相対的に小さな距離で調整することが可能であり得る。特に、この距離は、入力信号351に基づいて第2の光学要素の位置のみを制御する実施形態において、第2の光学要素302の位置を調整しなければならない距離よりも小さい可能性がある。したがって、光学要素302、303に及ぼされる力も小さくなり、したがって、光学要素302、303の変形も小さくなる可能性がある。光学要素302、303の変形302、303によって生じるビーム311の位置決めにおいて起こり得る不正確さも小さくなる可能性がある。
[0065] 複数の光学要素302、303の位置が制御されるこの実施形態は、第1の光学要素301の変形の結果として生じ得るより高次の結像誤差を軽減させるためにも有利であり得る。ビーム311の方向を調整することに加えて、複数の光学要素302、303の位置を制御することによって、ビーム311の収差を調整することもできる。したがって、オブジェクト308上に投影されるビーム311の品質、及び例えばビーム311に付与されるパターンを、向上させることができる。
[0066] 図3に示される任意選択の実施形態において、制御システム305は、入力信号に基づいて、第1の光学要素301以外の複数の光学要素302、303、304の各々の位置を制御するために、1つ以上の出力信号352を生成するように構成される。したがって、オブジェクト308上のビーム311の位置決めの正確さは、更に向上させることが可能であり、またより高次の結像誤差を更に軽減させることが可能である。
[0067] 図示された例において、投影システム300は、第1の光学要素301の位置を制御するように構成された任意選択のドライブシステム306を備える。図示された例において、入力信号351は、例えば第1の光学要素301に及ぼされ、ドライブシステム306によって制御される力を、表すことが可能である。この力は変形の少なくとも一部を生じさせることができるため、この力は第1の光学要素301の変形を示すことができる。したがって、及ぼされる力を表す入力信号351は、変形を表すものとみなすことができ、また、変形を少なくとも部分的に軽減させるために入力として使用することができる。図示された例において、ドライブシステム306は、出力端子305.2及び入力端子306.1を介して、制御システム305から出力信号352を受信する。
[0068] 任意選択として、ドライブシステム306は、第1の光学要素301の位置と所望の位置との間の差を少なくとも部分的に補償するために、第1の光学要素301に及ぼされるべき力を制御するように構成される。例えば、第1の光学要素301の位置を測定することが可能であり、この測定を第1の光学要素301の所望の位置と比較できるように、フィードバックループを提供することができる。第1の光学要素301の位置と所望の位置との間の差は、例えば振動によって発生する可能性がある。こうした振動は、例えば外部ファクタによって発生すること、並びに、フロア及び/又はベースフレームを介して伝達又は励振することができる。一実施形態において、投影システム300は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ又はそれ以上のマスクテーブル)を有する、「マルチステージ」リソグラフィ装置において使用可能である。追加のテーブル又はステージは、並列に使用可能であるか、又はその上で、1つ以上の他のテーブル又はステージが露光に使用されている間に、予備ステップが実施される。これらの追加のテーブル又はステージ、及び/又はそこで実施される予備ステップは、第1の光学要素301の位置に影響を与える振動を発生させる可能性がある。
[0069] これらの実施形態において、第1の光学要素301に及ぼされる力は、したがって実際の状況を表すフィードバック情報に基づく。実際の状況は、高周波数で変化し得る。力は先験的に既知ではなく、フィードバック力と呼ばれることもある。フィードバック力を考慮することによって、第1の光学要素301の実際の変形が考慮され、オブジェクト308上のビーム311の位置決めの正確さを向上させることができる。
[0070] 図示された例において、ドライブシステム306は、第1の光学要素301の位置を制御するために第1のアクチュエータ321を制御する。本発明の意義の範囲内で、アクチュエータは、単一アクチュエータ、又は複数アクチュエータの配置又はセットと呼ぶことができる。こうしたアクチュエータの配置又はセットは、例えば、複数の自由度で光学要素の位置を制御するように構成可能である。一例として、こうしたアクチュエータのセットは、例えば6自由度(DOF)、すなわちX、Y、Zでの並進及び回転Rx、Ry、Rzで、光学要素の位置を制御するように構成可能である。第1のアクチュエータ321は、出力端子306.3から制御信号354を受信する。第1のアクチュエータ321によって第1の光学要素301上に及ぼされる力は、出力端子306.2及び入力端子305.1を介して、入力信号351として、ドライブシステム306から制御システム305に伝達される。
[0071] 図示された例において、ドライブシステム306は、第2の光学要素302の位置を制御するために、第2のアクチュエータ322も制御する。第2のアクチュエータ322は、出力端子306.6を介して制御信号357を受信する。図示された例において、ドライブシステム306は、第3の光学要素303の位置を制御するために、第3のアクチュエータ323も制御する。第3のアクチュエータ323は、出力端子306.4を介して制御信号355を受信する。図示された例において、ドライブシステム306は、第4の光学要素304の位置を制御するために、第4のアクチュエータ324も制御する。第4のアクチュエータは、出力端子306.5を介して制御信号356を受信する。しかしながら、第1の光学要素301以外の光学要素302、303、304の位置を制御するために、別のドライブシステムが提供されることも可能である。光学要素302、303、304のうちの1つ以上の位置を制御しないことも可能である。
[0072] 光学要素301、302、303、304の各々について、コントローラ帯域幅を任意選択で定義することができる。光学要素301、302、303、304のコントローラ帯域幅は、光学要素301、302、303、304が制御されるように構成される周波数レンジを表す。コントローラ帯域幅は、例えば、光学要素301、302、303、304の駆動が共振周波数に近過ぎるのを避けるように、制限することができる。コントローラ帯域幅は、例えばエレクトロニクス及び/又はソフトウェアのレベルで、例えばドライブシステム306内に実装可能である。光学要素301、302、303、304のうちの2つ以上のコントローラ帯域幅は、互いに異なってよい。
[0073] 出力信号352は、第2の光学要素302の制御可能な位置に基づく情報を含む。例えば図示された例において、情報は、第2の光学要素302の所望の位置を表すことができる。例えば図示された例において、情報は、第2の光学要素302の位置の所望の補正を表すことができる。したがって図示された例において、制御システム305によって、所望の位置又は所望の補正が決定され、出力信号352の一部としてドライブシステム306に伝送される。出力信号352は、更なる情報、例えば他の光学要素301、302、303、304のうちの1つ以上の位置の所望の位置又は所望の補正を含むことができる。ドライブシステム306は、含まれる情報を、出力信号352によって、アクチュエータ321、322、323、324のための制御信号354、355、356、357に変換するための計算機能を含むことができる。
[0074] しかしながら、本発明の範囲内で多くの他の実装が可能である。例えば、光学要素301、302、303、304のうちの1つ以上に対して、別々のドライブシステムが提供可能であり、例えば制御システム305は、それらのドライブシステムの各々についての入力信号である別々の出力信号を生成する。例えば、制御システム305及びドライブシステム306は単一コンポーネントに組み合わせ可能であり、任意選択として、出力信号352及び入力信号351はこのコンポーネント内の内部信号を表す。例えば、出力信号352は、第2の光学要素302に及ぼされるべき所望の力を含む情報を含むことができる。例えば出力信号352は、アクチュエータ321、322、323、324のうちの1つ以上を制御するための制御信号を含むこと、及び/又は制御信号とすることができる。例えば制御システム305は、任意選択として中間ステップにおいて、第1の光学要素301の変形を決定することができる。
[0075] 図3に示される実施形態において、複数の光学要素301、302、303、304は、ビーム311をオブジェクト308上に位置決めするように構成される。オブジェクト308はオブジェクトサポート309上に配置される。制御システム305は、任意選択として、入力信号351に基づいて、オブジェクトサポート309の位置を制御するために、出力信号353を生成するように更に構成される。この実施形態において、オブジェクトサポート309の位置、並びに、光学要素302、303、304のうちの1つ以上の位置を制御することができる。したがって、ビーム311がオブジェクト308上に位置決めされる際の正確さを向上させることが可能であり、特に、オーバーレイ及び合焦にとっては有益であり得る。本実施形態は、オブジェクトサポート309がすでに、リソグラフィプロセス中の露光中に高速で移動するように構成可能であるため、特に有利であり得る。オブジェクトサポート309の位置は、例えばオブジェクトサポートドライブシステム310によって制御可能である。オブジェクトサポートドライブシステム310は、任意選択として、任意選択のオブジェクトサポートアクチュエータ329を、及びしたがってオブジェクトサポート309を制御する。オブジェクトサポート309は、特定のコントローラ帯域幅を伴うオブジェクトサポートドライブシステム310によって制御可能である。適用されるコントローラ帯域幅は、光学要素301、302、303、304についてのコントローラ帯域幅と同様に定義され得る。オブジェクトサポート309のコントローラ帯域幅は、オブジェクトサポート309が制御されるように構成される、周波数レンジを表すことができる。コントローラ帯域幅は、例えば、オブジェクトサポート309の駆動が共振周波数に近過ぎるのを避けるように、制限することができる。コントローラ帯域幅は、例えばエレクトロニクス及び/又はソフトウェアのレベルで、例えばオブジェクトサポートドライブシステム310内に実装可能である。オブジェクトサポート309は、例えば光学要素301、302、303、304に比べて、相対的に高いコントローラ帯域幅で制御可能である。これは、光学要素よりも高い共振周波数を有するオブジェクトサポートによって発生可能である。これによって、第1の光学要素301の変形をより正確及び高速に軽減することができる。
[0076] しかしながら、ビーム311がオブジェクト308上に位置決めされる際の正確さは、光学要素301、302、303、304の位置を制御することなく、オブジェクトサポート309の位置を制御することによって高めることができることも予想される。これは、オブジェクトサポート309の位置が相対的に高いコントローラ帯域幅で制御可能であり得るため、有利であり得る。したがって本発明は、ビーム311を経路に沿って誘導するように構成された複数の光学要素301、302、303、304を備える、リソグラフィ装置のための投影システム300にも関する。複数の光学要素301、302、303、304は、ビーム311をオブジェクト308上に位置決めするように構成され、オブジェクト308はオブジェクトサポート309上に配置される。投影システム300は更に制御システム305を備え、複数の光学要素301、302、303、304の少なくとも第1の光学要素301の変形を示す入力信号351を受信するように構成される。制御システム305は更に、入力信号351に基づいて、オブジェクトサポート309の位置を制御するために出力信号353を生成するように構成される。
[0077] 図示された例において、投影システム300は、任意選択のオブジェクトサポートドライブシステム310を備える。オブジェクトサポートドライブシステム310は、オブジェクトサポート309の位置を制御するように構成され、制御システム305の出力端子305.3及びオブジェクトサポートドライブシステム310の入力端子310.1を介して、出力信号353を受信する。図示された例において、オブジェクトサポートドライブシステム310は、出力端子310.2に接続された任意選択のオブジェクトサポートアクチュエータ329を制御する。いくつかの実施形態において、オブジェクトサポートドライブシステム310及びドライブシステム306は、単一のドライブシステムとして組み込まれることが可能である。オブジェクトサポートアクチュエータ329は、オブジェクトサポート309のX、Y、及び/又はZ方向の位置を制御すること、及び、オブジェクトサポート309のRx、Ry、及び/又はRz方向の回転を制御することが可能であり得る。
[0078] 図示された例において、ビーム311は、複数の光学要素301、302、303、304がビーム311を受信する前に、パターニングデバイス313によって付与されたパターンを有するように構成される。パターニングデバイス313は、支持構造312によってサポートされる。一実施形態において、制御システム305は更に、入力信号351に基づいて、支持構造312の位置を制御するために、出力信号359を生成するように構成される。したがって、パターンをオブジェクト308上に投影する正確さを向上させることが可能であり、特に、オーバーレイ及び合焦のために有利である。例えば、支持構造312の位置は、支持構造ドライブシステム314によって制御可能である。支持構造ドライブシステム314は、出力端子305.5及び入力端子314.1を介して出力信号359を受信する。支持構造ドライブシステム314は、支持構造312の位置を制御するための支持構造アクチュエータ330を制御するために、出力端子314.2を備える。コントローラ帯域幅は、上記の光学要素301、302、303、304及びオブジェクトサポート309と同様に、支持構造312について定義可能である。
[0079] しかしながら、ビーム311及びパターンのオブジェクト308上への投影の正確さは、光学要素301、302、303、304及び/又はオブジェクトサポート309の位置を制御することなく、支持構造312の位置を制御することによって高めることができることも予想される。したがって本発明は、複数の光学要素301、302、303、304を備えるリソグラフィ装置のための投影システム300にも関する。複数の光学要素301、302、303、304は、経路に沿ってビーム311を誘導するように構成される。ビーム311は、複数の光学要素301、302、303、304がビーム311を受信する前に、パターニングデバイス313によって付与されたパターンを有するように構成される。パターニングデバイス313は支持構造312によって支持される。投影システム300は更に制御システム305を備え、複数の光学要素301、302、303、304の少なくとも第1の光学要素301の変形を示す入力信号351を受信するように構成される。制御システム305は更に、入力信号351に基づいて、支持構造312の位置を制御するための出力信号359を生成するように構成される。
[0080] いくつかの実施形態において、オブジェクトサポートドライブシステム310及び/又はドライブシステム306及び/又は支持構造ドライブシステム314は、単一のドライブシステムとして組み込むことが可能である。
[0081] 図示された例において、制御システム305は、オブジェクトサポート309及び/又は支持構造312の位置の所望の位置又は所望の補正を決定する。出力信号353及び出力信号359はそれぞれ、所望の位置又は所望の補正に関する情報を含む。この情報に基づき、オブジェクトサポートドライブシステム310及び支持構造ドライブシステム314はそれぞれ、オブジェクトサポートアクチュエータ329及び支持構造アクチュエータ330をそれぞれ制御するための制御信号を生成する。しかしながら、ドライブシステム306に関して上記で説明したのと同様に、他の配置が可能である。例えば、出力信号353及び/又は出力信号359は、オブジェクトサポート309及び支持構造312それぞれに及ぼされるべき所望の力に関する情報を含むことができる。例えば、出力信号353及び/又は出力信号359は、オブジェクトサポートアクチュエータ329及び支持構造アクチュエータ330それぞれについての制御信号を含むこと及び/又は制御信号であることが可能である。
[0082] アクチュエータ321、322、323、324、329、330は、一実施形態において、ピエゾ、機械、電気、電磁、及び/又は磁気のアクチュエータとすることができる。
[0083] 図示された例において、第1の光学要素301は、ビーム311の経路内の複数の光学要素301、302、303、304のうちの最後に配置される光学要素である。これは例えば、第1の光学要素301のコントローラ帯域幅が相対的に小さいときに有利であり得る。これは例えば、これが相対的に大きい光学要素301及び/又は重い光学要素301であるとき、及び/又は、光学要素301が相対的に低い共振周波数を有するときに、当てはまる可能性がある。これは例えば、ビーム311の経路の最後に配置される光学要素は、相対的に大きい角度範囲にわたってビーム311を誘導できるべきであるため、当てはまる可能性がある。第2の光学要素302、第3の光学要素303、及び/又は、第4の光学要素304、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312のコントローラ帯域幅は、例えばより高くてもよい。この場合、第1のアクチュエータ321は、第1の光学要素301の変形を軽減するのに十分高速に反応できない可能性がある。有利には、この変形は、他の光学要素302、303、304、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312のうちの1つ以上の位置を制御することによって、軽減することができる。もちろん他の実施形態において、第1の光学要素は、ビーム311の経路内の複数の光学要素301、302、303、304のうちの最後以外の光学要素とすることができる。
[0084] 一実施形態において、投影システムは、第1の光学要素301の変形を、およそ30、40、又は50Hzまで、少なくとも部分的に軽減するように構成される。この周波数レンジにおいて、アクチュエータ321によって及ぼされる力、及び/又は外部擾乱力は、本発明を使用して軽減可能な変形の最も重要な原因であり得る。
[0085] 任意選択の実施形態において、制御システム305は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの複数又は各々の変形を示す、1つ以上の入力信号351を受信するように構成される。制御システム305は、入力信号351に基づいて、1つ以上の出力信号352、353、359を決定するように構成される。複数の光学要素301、302、303、304の変形を考慮することによって、ビーム311がオブジェクト308上に投影される際の正確さを更にまた高めることができる。図示された例において、ドライブシステム306は、光学要素301、302、303、304の各々の位置を制御する。したがって入力信号351は、アクチュエータ321、322、323、324の各々に関する情報、及び、各アクチュエータ321、322、323、324がそれぞれの光学要素301、302、303、304に及ぼす力に関する情報を、含むことができる。
[0086] 更なる実施形態において、制御システム305は、1つ以上の入力信号351に基づいて、複数の光学要素301、302、303、304の各々の位置を制御するために、1つ以上の出力信号352を生成するように構成可能である。この実施形態において、それらの光学要素301、302、303、304の各々の変形も考慮に入れながら、複数の光学要素301、302、303、304の各々の位置を制御することによって、正確さが更にまた高められる。図示された例において、ドライブシステム306は、光学要素301、302、303、304の各々の位置を制御する。したがって出力信号352は、アクチュエータ321、322、323、324を伴う光学要素301、302、303、304の各々の位置を制御するために使用可能である。しかしながら、制御システム305は、光学要素301、302、303、304のうちの1つ以上の位置を別々に制御するために、1つ以上の追加の出力信号を生成することも可能である。
[0087] 図3は、図示された実施形態において、投影システム300が任意選択の測定システム371を備えることを概略的に示す。測定システム371は、少なくとも第1の光学要素301の位置を決定するように構成される。測定システム371によって取得された測定値は、例えば制御システム305及び/又はドライブシステム306によって使用可能である。測定値は、例えば測定信号358として伝送可能である。測定信号358は、例えば出力端子371.1及び入力端子305.4を介して、例えば測定信号358aとして制御システム305に伝送され得る。測定信号358は、例えば出力端子371.1及び入力端子306.7を介して、例えば測定信号358bとしてドライブシステム306に伝送され得る。測定システム371によって取得された測定値は、例えば第1の光学要素301の位置と所望の位置との間の差を決定するために使用可能である。測定システム371を用いて位置を決定するために、第1の光学要素301のいずれのロケーションが使用されるかに依存して、測定値は第1の光学要素301の変形によって影響を受ける可能性がある。例えば、第1の光学要素301のいくつかのロケーションは、変形によって大きく影響を受ける可能性があるが、他のロケーションはそれほどでもないかまったく影響を受けない可能性がある。影響を受けるロケーションは、第1の光学要素301が変形しない状況に比べて、異なる位置にある可能性がある。測定システム371がこうしたロケーションの位置を測定した場合、変形が考慮されなければ測定値は不正確な可能性がある。制御システム305は、第1の光学要素301の変形を示す入力信号351及び測定信号358の両方に基づいて、出力信号352、353、359のうちの1つ以上を生成するように構成可能である。
[0088] 測定システム371は、例えば1つ以上の干渉計システム、関連するエンコーダ、及び/又は静電容量センサを備えることができる。
[0089] 任意選択として、測定システム371は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの複数又は各々の位置を決定するように構成される。任意選択として、投影システムは、複数の光学要素301、302、303、304のうちの複数又は各々の位置を決定するように構成された、複数の測定システムを備える。測定システムは、任意選択として、同じフレーム上又は別々のフレーム上に配置される。
[0090] 一実施形態において、投影システムは、複数の光学要素301、302、303、304が、例えばアクチュエータ321、322、323、324を介して配置される、任意選択の第1のフレーム361を備える。投影システム300は、任意選択の第2のフレーム362を更に備え、任意選択の測定システム371は、第2のフレーム362上に配置される。第1の光学要素301の位置は、第2のフレーム362に関して測定される。わかりやすくするために、図3では、第1のフレーム361、第2のフレーム362、及び測定システム371は、第1のアクチュエータ321及び第1の光学要素301に関してのみ示される。
[0091] 任意選択として、第1のフレーム361及び第2のフレーム362は、例えば振動分離システムを使用して、例えば特定の周波数レンジより上の、相対運動のために機械的に分離することができる。したがって、第1のフレーム361及びしたがって第1の光学要素301がさらされる振動は、第2のフレーム362にそれほど伝達されないか、又は伝達されない。第1の光学要素301の位置は第2のフレーム362に対して決定されるため、本実施形態において決定される位置の正確さは向上する。
[0092] 任意選択の実施形態において、制御システム305は更に、例えば測定システム371を用いて第1の光学要素301の位置を決定するように構成される。制御システム305は更に、第1の光学要素301の位置に更に基づいて、少なくとも第2の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の位置を制御するために、出力信号352、353、359を生成するように構成される。本実施形態において、第1の光学要素301の変形及び位置の両方が考慮され、軽減可能であるため、それによってビーム311の位置決めの正確さが更にまた高められる。
[0093] いくつかの実施形態において、第1の光学要素301の位置は、他の光学要素302、303、304を位置決めするための基準として採用することができる。すなわち、他の光学要素302、303、304は、概して、第1の光学要素301に対して位置決めされる。第1の光学要素301の変形に起因して、第1の光学要素301の位置に関して測定システム371によって取得された測定値は、変形が反映されない場合、不正確であり得る。これが結果として、他の光学要素302、303、304の不正確な位置決め、及びしたがって、ビーム311の位置決めの不正確さを生じさせる可能性がある。第1の光学要素301の変形を考慮することによって、本発明は、ビーム311の位置決めにおける正確さを向上させる。
[0094] 図4は、本発明の一実施形態を概略的に示す。図4の下端に、第1の光学要素301の位置を制御するための制御アルゴリズムの一実施形態が示されている。所望の位置r301が、制御ユニット305の出力信号352aとして伝送され、制御アルゴリズムのための入力として働く。第1の光学要素301が配置される測定位置y301は、例えば測定システム371によって決定される。測定位置y301は、測定信号358bとしてフィードバックされ、所望の位置r301から差し引かれ、結果として差e301が生じる。差e301は、第1の光学要素ドライブブロック306aのための入力として働く。第1の光学要素ドライブブロック306aは、第1のアクチュエータ321のための制御信号354を決定する。第1のアクチュエータ321は、例えばミラー301を所望の位置r301の近くに移動させるために、アクチュエータ力Faを及ぼす。いくつかの実施形態において、第1の光学要素301に及ぼされる合力Ftotを生じさせる、擾乱力Fdが存在し得る。擾乱力Fdは、例えば振動するフロア又はベースフレームなどの、外部ファクタから生じる可能性がある。擾乱力Fdは、例えば、マルチステージリソグラフィ装置内の別のステージから生じる可能性がある。合力Ftotは、第1の光学要素301の位置を決定する。次いで測定システム371は、例えば、第1の光学要素301の測定位置y301を決定するために使用可能であり、これが測定信号358a、358bの一部としてフィードバックされる。
[0095] 図に示される制御アルゴリズムは、振動などの外的影響の結果であり得る、差e301を補償するために、アクチュエータ力Faを使用する。アクチュエータ力Faは実際の状況に基づくものであり、先験的に既知ではない。
[0096] 図4は、所望の位置r301が、オブジェクト上のビームの所望の位置を入力として使用することが可能な、例えば任意選択の計算ブロック305xによって決定されることを、更に示す。所望の位置r301は、例えばビームのための所望の経路に依存する。任意選択として、測定位置y301を含む測定信号358aは、位置計算ブロック305a内で入力として使用される。位置計算ブロック305aは、位置y301に基づいて、他の光学要素(例えば、光学要素302)、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312のうちの1つ以上の所望の位置r302、r309、r312を決定するように構成される。位置y301は、第1の光学要素301の位置における望ましくない逸脱を表すことができる。この逸脱の結果としてビームの位置決めに生じる可能性のある不正確さは、本実施形態において少なくとも部分的に軽減される。この軽減は、他の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の位置を適合させることによって、特に達成される。位置計算ブロック305aのための入力として差e301を使用することも可能であることに留意されたい。図4では、簡略化するために、第2の光学要素302のみが示されていることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態において、複数の光学要素のうちの複数あるいは各々について、差e301に基づいて所望の位置を計算することができる。計算ブロック305xのような計算ブロックは、例えばビームの所望の経路に基づいて、各光学要素の所望の位置を決定するために光学要素の各々に対して提供することも可能である。任意選択として、次いで位置計算ブロック305aは、第1の光学要素の測定位置y301に基づいて、所望の位置を調節することができる。
[0097] オブジェクト上でのビームの位置決めの不正確さの、別の考えられる原因は、第1の光学要素301の変形である。変形はアクチュエータ力Faによって少なくとも部分的に発生する。図4は、本発明の一実施形態において、アクチュエータ力Faを代表する第1の光学要素ドライブブロック306aからの制御信号が、変形補償ブロック305bに対する入力351aとして使用されることを示す。変形補償ブロック305bは、入力351aに基づいて、他の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312のうちの1つ以上の位置の、所望の補正rc302、rc309、rc312を決定するように構成される。
[0098] 所望の補正rc302、rc309、rc312は、第1の光学要素301の変形の結果としてビームの位置決めにおいて生じる可能性のある不正確さを、少なくとも部分的に軽減する。この軽減は、他の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の位置を制御することによって、達成される。第1の光学要素301の変形は、結果として第1の光学要素301の測定位置y301における誤差も生じさせる可能性がある。測定位置y301は位置計算ブロック305aのための入力として使用されるため、次いで位置計算ブロック305aによる所望の位置r302、r309、r312の決定において、誤差が発生する可能性がある。この誤差は、所望の補正rc302、rc309、rc312を用いて少なくとも部分的に軽減可能である。
[0099] 次いで所望の補正rc302、rc309、rc312は、それぞれの光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の所望の位置r302、r309、r312に追加される。この結果として、補正された所望の位置r’302、r’309、r’312が生じる。補正された所望の位置r’302は、例えば第2のアクチュエータ322を伴う第2の光学要素302の位置を制御するために制御アルゴリズムのための入力として使用される、出力信号352bとして伝送される。特に、入力352bは、第2のアクチュエータ322のための制御信号357を決定する、第2の光学要素ドライブブロック306bによって受信することができる。補正された所望の位置r’309は、例えばオブジェクトサポートアクチュエータ329を伴う、オブジェクトサポート309の位置を制御するために制御アルゴリズムのための入力として使用される、出力信号353を形成する。補正された所望の位置r’312は、例えば支持構造アクチュエータ330を伴う、支持構造312の位置を制御するために制御アルゴリズムのための入力として使用される、出力信号359を形成する。
[00100] 図4は、わかりやすくするために簡略化された他の光学要素302の制御アルゴリズムを示す。しかしながらこれらは、一実施形態において、第1の光学要素301と同様であり得る。すなわち、擾乱力は、他の光学要素302の位置決めに影響を与える可能性があり、及び/又は任意選択として、他の要素302の変形も軽減される可能性がある。例えば、他の光学要素302に及ぼされる力は、例えば入力351aに加えて、又は入力351aの代替として、変形補償ブロック305bのための入力として使用可能である。任意選択として、例えば所望の補正rc302、rc309、rc312のうちの1つ以上に加えて、又はそれらの代替として、第1の光学要素301のための所望の補正も決定可能である。いくつかの実施形態において、所望の補正rc302、rc309、rc312は、光学要素302のうちの1つ以上についてのみ、又はオブジェクトサポート309及び/又は支持構造312についてのみ、決定可能であることに、更に留意されたい。
[00101] 変形補償ブロック305bは、例えば補正マトリクスを利用することができる。補正マトリクスは結果として、アクチュエータ力Faを表す入力351aに基づいて、所望の補正rc302、rc309、rc312を生じさせる。補正マトリクスは一定値を含むことができる。代替又は組み合わせとして、周波数に依存する値を含むことができる。代替又は組み合わせとして、より複雑なアルゴリズムを使用して、他の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の補正を決定することができる。補正マトリクスにおける値及び/又はアルゴリズムは、例えば有限要素を適用する、モデルを用いて決定可能であり、また、例えば実際的な実験を用いて、又は使用中に、検証又は微調整可能である。
[00102] 図4において、第1に、測定位置y301に基づいて、所望の位置r302、r309、r312が決定される。しかしながら、測定位置y301及びアクチュエータ力351aの両方を、補正された所望の位置r’302、r’309、r’312を直接決定するための入力として使用することも可能である。これは例えば、補正マトリクスを少なくとも暗黙的に含むマトリクスを使用して行うことができる。これは有利には、例えば、必要な非線形計算の数を減少させることができるため、補正された所望の位置r’302、r’309、r’312を決定するために必要な計算及び計算リソースを制限することができる。
[00103] 一実施形態において、第1の光学要素301の所望の位置r301は、使用中、例えばリソグラフィプロセス中、例えば基板の露光中、一定であり得る。本実施形態において、ビームの経路は相対的に一定に維持することが可能であり、ビームが位置決めされるオブジェクトの位置を変更するために、オブジェクトサポート309を移動させることができる。
[00104] 任意選択として、計算ブロック、及び/又は位置計算ブロック305a、及び/又は変形補償ブロック305bは、図3に示される制御システム305によって含まれ得ることに留意されたい。図4に示される第1の光学要素ドライブブロック306a及び第2の光学要素ドライブブロック306bは、図3に示されるドライブシステム306の一部とすることができる。図4に示される入力351aは、図3に示される入力信号351によって含まれ得る。図4に示される出力352a及び出力352bは、図3に示される出力信号352によって含まれ得る。図4に示される測定信号358a及び358bは、図3に示される測定信号358によって含まれ得る。
[00105] 一実施形態において、変形補償ブロック305bは、例えば第1の光学要素の所望の位置r301を補正するために使用可能な、第1の光学要素301の所望の補正を決定するように構成可能である。変形補償ブロック305bについて、第1の光学要素301の変形、及び/又は、変形に起因して第1の光学要素301の位置y301の位置決め及び/又は測定において生まれる誤差を、決定することも可能である。次いでこれを使用して、第1の光学要素301の位置を調節すること、及び/又は、所望の位置r301及び/又は測定位置y301を調節することが可能である。本段落で説明する実施形態は、他の光学要素302、及び/又はオブジェクトサポート309、及び/又は支持構造312の、位置を調節することと組み合わせて、又はその代替として、使用可能である。例えば、いくつかの実施形態において、例えば第1の光学要素の変形を軽減するために、入力信号351aに基づいて、第1の光学要素301の位置を制御するのみで十分であり得る。
[00106] 本発明は更に、リソグラフィ装置に関する。こうしたリソグラフィ装置の実施形態が、図1及び図2に示される。本発明に従ったリソグラフィ装置は、基板Wを保持するように構成された基板サポートWTと、ビームを生成するように構成された放射源とを備える。リソグラフィ装置は更に、本発明に従った、例えば本明細書に示された実施形態のうちの1つ以上に従った、投影システムPSを備える。本実施形態において、本発明に従った投影システム内でビームが投影されるオブジェクトは、基板Wに対応する。本発明に従ったリソグラフィ装置を用いて、パターンをより正確に基板上に投影することができる。
[00107] 更なる実施形態において、リソグラフィ装置は、更なる基板を保持するように構成された更なる基板サポートを備える。リソグラフィ装置は、パターンが基板サポートWT上の基板W上で露光される間に、更なる基板の後続の露光の準備において、更なる基板上でステップを実施するように構成される。例えば、リソグラフィ装置は、上記で説明したように、「マルチステージ」機械とすることができる。本発明は、本実施形態に従ったリソグラフィ装置で適用されるとき、更なる基板上で実施されるステップが投影システムPS上に振動を発生させる可能性があるため、特に有利であり得る。これらの振動は、第1の光学要素及び他の光学要素の位置に影響を与える可能性があるため、第1の光学要素の位置は、例えば振動を補償するように調節可能である。第1の光学要素の位置を調節するために、例えばアクチュエータを用いて第1の光学要素に力を及ぼすことができ、結果として第1の光学要素の変形が生じる。本発明に従った投影システムにおいて、これらの変形を軽減させ、それによって、パターンが基板上に投影される正確さを高めることが可能である。
[00108] 一実施形態において、本発明に従ったリソグラフィ装置は、パターンをビームに付与するように構成された、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構成された、支持構造(例えば、マスクテーブル)MTを更に備える。投影システムの制御システムは、入力信号に基づいて、支持構造MTの位置を制御するための出力信号を生成するように構成可能である。本実施形態において、第1の光学要素の変形は、支持構造MTの位置を制御することによって、例えば第1のポジショナPMを用いて少なくとも部分的に補償することができる。
[00109] 一実施形態において、図3及び図4に示されるオブジェクトサポートドライブシステム310は、図1に示される第2のポジショナPWに対応する、PWを備える、又はPWの一部であることが可能である。一実施形態において、図3及び図4に示される支持構造ドライブシステム314は、図1に示される第1のポジショナPMに対応する、PMを備える、又はPMの一部であることが可能である。
[00110] 本発明は更に、図3を参照しながら下記で詳述する、投影システム300を制御するための方法に関する。方法は、本発明に従った投影システム及び/又はリソグラフィ装置を用いて実行可能であるが、本方法はこれらに限定されない。本発明に従った投影システム及び/又はリソグラフィ装置を参照しながら説明する特徴のいずれかを、本発明に従った方法のうちの1つ以上に追加することができる。
[00111] 一実施形態において、本発明は、ビーム311を経路に沿って誘導するように構成された複数の光学要素301、302、303、304を備える、投影システムを制御するための方法に関する。方法は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第1の光学要素301の変形を示す、入力信号351を決定するステップを含む。方法は、入力信号351に基づいて、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第2の光学要素302の位置を制御するステップを含む。
[00112] 一実施形態において、本発明は、ビーム311を経路に沿ってオブジェクト308上に誘導するように構成された、複数の光学要素301、302、303、304を備える、投影システム300を制御するための方法に関する。方法は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第1の光学要素301の変形を示す、入力信号351を決定するステップを含む。方法は、入力信号351に基づいて、オブジェクト308の位置を制御するステップを含む。
[00113] 一実施形態において、本発明は、ビーム311を経路に沿ってオブジェクト308上に誘導するように構成された、複数の光学要素301、302、303、304を備える投影システム300を制御するための方法に関し、パターニングデバイス313によってビーム311にパターンが付与される。方法は、複数の光学要素301、302、303、304のうちの少なくとも第1の光学要素301の変形を示す入力信号351を決定するステップを含む。方法は、入力信号351に基づいて、パターニングデバイス313の位置を制御するステップを含む。
[00114] 一実施形態において、ビームは一般にDUVとも呼ばれる深紫外線放射を含み、及び/又は、光学要素はレンズである。
[00115] 上記では本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明は説明した以外の方法で実践可能であることを理解されよう。装置の挙動は、多くの部分が、前述の方法の特定のステップを実装するための機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は、こうしたコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)によって、定義され得る。上記の説明は例示的であり、限定的ではないことが意図される。したがって当業者であれば、下記に示される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本発明に改変を行うことが可能であることが明らかとなろう。