したがって、製品がもはや安全に投与されない程度まで製品の貯蔵寿命を短縮することなく、非常に低濃度の保存剤だけを利用することができるように、製薬環境の安定性を維持する手段についてのニーズが存在する。
低い保存剤濃度でグルココルチコイドを含む水性医薬製剤の安定性を維持する手段についてのニーズが存在する。グルココルチコイドを含み、保存剤の量が低いかまたは無しであり、安定性あるいは貯蔵寿命が低減していない水性医薬製剤が望まれる。
概要
以下の簡潔な要約は、本発明の全ての特徴および態様を含むことを意図したものではなく、また、本発明が、この要約で議論される全ての特徴および態様を含まなければならないことを暗示するものでもない。
本開示は、低減されたレベルの抗酸化作用性保存剤を含む高濃度グルココルチコイド含有医薬組成物に関する。より詳細には、本開示は、グルココルチコイドを含む水性医薬製剤に関する。本明細書に開示される医薬製剤は、既知のグルココルチコイド含有製剤と比較して、低減されたレベルの保存剤および/またはキレート剤を含む。
本開示は、バイアルへの製剤の充填の際に規定されたヘッドスペース体積対API比を使用することにより、低減されたレベルの抗酸化保存剤の存在下で、製造直後の状態に近い組成物の維持された安定性がもたらされるという発見に基づいている。
すなわち、本開示は、容器(例えばバイアル)へとグルココルチコイド含有製剤を封入する際に、グルココルチコイド(mg) に対する規定されたヘッドスペース体積(ml) の比を使用すると、製剤の安定性が製造直後の状態に近い状態に維持されることがもたらされるという発見に基づいている。驚くべきことに、この効果は、製剤が、低減された量の保存剤(例えば抗酸化剤)を含むかまたは保存剤(例えば抗酸化剤)を含まない場合でも観察される。本明細書に開示される、規定されたヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比は、公知のグルココルチコイド製剤で使用されるものよりも低い(実施例1、表1参照)。
理論に縛られるものではないが、本明細書に開示されているような規定の(そして既知のグルココルチコイド製剤で使用されているものよりも低い)ヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比を使用すると、所与のグルココルチコイド分子当たりに存在する酸素分子が少なくなると考えられる。従って、与えられた量のグルココルチコイド分子が、より少ない酸素分子とともに提供され、酸化分解(および経時的な不純物の蓄積)がより少なくなる。
より具体的には、本発明は、典型的な製造(表1参照)を超えて低減されたヘッドスペース体積対API比により、亜硫酸塩保存剤を35 ppm以下とし、キレート剤(エデト酸二ナトリウム)を500 ppm以下とし(実施例2)、2℃から30℃の間で少なくとも最短24ヶ月の貯蔵寿命を達成することを可能にする(表4、図1~26)という発見に基づいている。
すなわち、本発明者らは、そのような低減されたヘッドスペース体積(ml) 対 グルココルチコイド(mg) 比の使用が、25℃/60% RHで保存した場合に48ヵ月までの貯蔵寿命を有する製剤中に存在する亜硫酸塩保存剤を0.035 mg/ml (35 ppm) 以下としキレート剤(エデト酸二ナトリウム)を0.5 mg/ml (500 ppm) 以下とすることを可能にすることを実証した(実施例2参照)。
さらに、本発明は、溶液中でより高濃度のリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP:Dexamethasone Sodium Phosphate)が、加水分解や酸化のような分解プロセスに対してAPIとしての自己保護性を増進的に高め(当業界で知られていない濃度依存性)、亜硫酸塩保存剤については0~35 ppm、キレート剤(エデト酸二ナトリウム)については0~500 ppmの上記範囲を可能にするという発見にさらに基づいている。
すなわち、本開示は、グルココルチコイドであるリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)が、水性製剤中に高濃度で存在する場合、加水分解および酸化のような分解プロセスに対して増進的に自己保護的となるという予想外の発見にも基づいている。この濃度依存的な自己保護性も、これまでに報告されていなかったものであるが、開示された水性製剤の安定性に寄与する。
本発明者らのこれらの予想外の発見は、グルココルチコイドを含み保存剤および/またはキレート剤の量が少なく、または無く、公知の保存剤含有グルココルチコイド製剤のものと同等またはそれより長い貯蔵寿命を有する、水性医薬製剤の製造を可能にする。すなわち、本発明の組成物および製剤は、保存剤および/またはキレート剤の含有量が低いかまたは含有が無いグルココルチコイド溶液の長期保存を可能にする。
従って、第1の態様では、本発明は、(i) グルココルチコイド(重量 [mg])に対するヘッドスペース(体積;[ml])の比が0~0.00588で封入された、グルココルチコイドと、(ii) 70 ppm未満の濃度の保存剤とを含む医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物は、既存の製剤と比べていくつかの利点を提供する。抗酸化保存剤が患者の感受性および毒性と関連することが見出されていることを考慮すると、そのような保存剤をより低レベルの含みながら組成物の安定性を維持する医薬組成物は非常に望ましい。本発明の特定の実施形態では、酸化防止剤は、小児集団での使用のための毒性賦形剤を監視しているSTEPデータベース(Thabet et al. 2018; Nellis et al. 2015; Turner et al. 2014)には存在しない賦形剤である亜硫酸ナトリウム(無水)である。本発明の特定の実施形態において、AVM0703は、DoE試験の初期標的製剤を指す(表4~7の製剤2、4、6、8、12参照)。
第2の態様では、本発明は、保存剤の濃度が低い医薬組成物を製造するための方法であって、グルココルチコイド(重量[mg])に対するヘッドスペース(体積;[ml])の比が0~0.00588である前記医薬組成物の充填に基づく方法を提供する。
上記で概説したように、本開示はまた、低減されたレベルの抗酸化保存剤を含む高濃度グルココルチコイド含有医薬組成物の製造方法にも関する。このような方法は、組成物の成分を混合し、ヘッドスペース体積対API比ならびに抗酸化剤対総API比が低減される環境で該組成物を封入する工程を含む。
第3の態様において、本発明は、本発明の医薬組成物を投与することを含む、グルココルチコイド治療を必要とする宿主を治療する方法を提供する。すなわち、本開示は、さらに、グルココルチコイド薬を必要とする患者の治療のための、本明細書に開示された医薬組成物の使用に関する。宿主を治療するこのような方法は、例えば、抗炎症、免疫抑制、リンパ球除去、胚中心除去、IL-2 IL-7 IL-12および/またはIL-15の上昇、間葉系幹細胞の上昇、G-CSFの増加、好中球の増加、腫瘍/癌の殺傷もしくは細胞療法前のリンパ球枯渇(プレコンディショニング)、FGF-18の上昇、軟骨の産生、造血幹細胞の上昇および/または好中球の産生、または、癌および自己免疫疾患を含むがこれらに限定されない疾患を有する患者におけるパフォーマンスステータスの改善、を必要とする患者への該組成物の投与を含む。
第4の態様において、本発明は、デキサメタゾンと保存剤とを含む水性医薬製剤であって、該製剤が、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比が0.007以下で容器に封入され、かつ保存剤の濃度が約0.1 mg/ml以下である、水性医薬製剤を提供する。本発明者らは、グルココルチコイド含有製剤を容器(例えばバイアル)に封入する際に、規定されたヘッドスペース体積(ml)対グルココルチコイド(mg)比を使用すると、製剤の安定性が、製造直後の状態に近く維持されることを見出した。驚くべきことに、この効果は、製剤が含む保存剤(例えば抗酸化物質)の量が低減されているかまたは無い場合でも観察される。
ある態様において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。ある態様において、製剤中のリン酸デキサメタゾンの濃度は、少なくとも24 mg/mlである。ある態様において、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、0.00588以下である。ある実施形態では、ヘッドスペース体積は、約10%未満、より好ましくは約5%未満の酸素を含む。
ある態様において、保存剤の濃度は、約0.035 mg/ml以下である。ある態様において、保存剤は、亜硫酸塩、パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンゼトニウム、プロピレングリコール、および/またはクレアチニンである。いくつかの実施態様において、亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウム(無水)、亜硫酸水素ナトリウム、および/またはメタ重亜硫酸ナトリウムである。いくつかの特に好ましい態様において、製剤は保存剤を含まない。本発明者らは、本発明の規定されたヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比を使用することにより、本発明の製剤が、保存剤が少量であってもまたは全くなくても、製造後29ヶ月に至っても(そして推定で48ヶ月後に至るまで)安定であり続けることができることを実証した。
ある態様において、製剤は、1種以上のキレート剤を含む。ある態様において、キレート剤の濃度は、約0.50 mg/ml以下である。ある態様において、キレート剤は、エデト酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)である。いくつかの特に好ましい態様において、製剤はキレート剤を含まない。本発明者らは、本発明の規定されたヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比の使用により、本発明の製剤がキレート剤の使用なしで安定なままでいられることを実証した。
ある態様において、デキサメタゾンは、デキサメタゾン塩基、リン酸デキサメタゾンナトリウム、および酢酸デキサメタゾンからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
いくつかの実施形態では、製剤の貯蔵寿命は、2℃から40℃の間で貯蔵した場合、少なくとも約18、24、36、または48ヶ月である。いくつかの実施形態では、製剤は、2℃から40℃の間で貯蔵した場合、少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間に渡り安定なままである。
いくつかの実施形態において、製剤中のグルココルチコイドの量は、製剤が2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、製造日と比較して±5.0%の間に維持される。いくつかの実施形態では、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、±0.5未満のpH変化を示す。
いくつかの実施態様において、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、約0.50%未満の不純物Aの蓄積を示す。いくつかの実施態様において、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、約0.50%未満の不純物Bの蓄積を示す。いくつかの実施態様において、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、約0.50%未満の不純物Gの蓄積を示す。いくつかの実施態様において、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、約0.20%未満の未特定不純物の蓄積を示す。いくつかの実施態様において、製剤は、2℃から40℃の間で少なくとも約18、24、36、または48ヵ月間保存された場合において、約3.0%未満の総不純物の蓄積を示す。
第5の態様において、本発明は、治療方法で使用するための、本明細書に定義される水性医薬製剤を提供する。
第6の態様において、本発明は、治療方法に使用するための医薬の調製のための、本明細書に定義される水性医薬製剤の使用を提供する。
第7の態様において、本発明は、本明細書に定義される水性医薬製剤の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、治療方法を提供する。
第8の態様において、本発明は、デキサメタゾンおよび保存剤を含む水性医薬製剤を安定化させるための方法を提供し、該方法は、本明細書に定義される水性医薬製剤を、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比を0.007以下として容器に封入することを含む。
本発明は、記述された態様および好ましい特徴の組合せを含むが、ただしそのような組合せが明らかに許容不可能であるかまたは明示的に回避されている場合を除く。
[表の簡単な説明]
表1は、AVM0703が、ヘッドスペース体積 [ml] 対 総API(リン酸デキサメタゾン当量)[mg] 比、総亜硫酸 [mg] 対 総API(リン酸デキサメタゾン当量)[mg] 比に関して、業界で製造されたリン酸デキサメタゾンナトリウム製剤において典型的に見られる値よりも低く、また、「(亜硫酸塩/API) × ヘッドスペース体積」値が最も低いものの1つでもあることを示している。さらに、この比較は、AVM0703と比べた、市場からの選ばれた(市販の)リン酸デキサメタゾンナトリウム溶液(バイアルまたはアンプル)の推定/測定のヘッドスペース体積、API濃度および含有量、亜硫酸塩濃度および含有量、並びにそれらの計算された比を示している。
表2は、実験計画法の目標点(中心点)製剤の組成をmg/mlで示している。
表3は、実験計画法の目標点製剤の組成を重量パーセントで示している。
表4は、長期保存(25℃/60% RH)についてモニターされた16製剤のうち10製剤の組成を示す。これらの製剤は最初の実験計画法研究の一部であった。
表5は、18ヵ月(25℃/60% RH)の時点でアッセイ値を維持することについて試験された、様々なレベルの亜硫酸ナトリウム(無水)およびヘッドスペース酸素を有する6つの製剤を示す。F15(大気酸素レベルの20.9%)を除き、他の5つの製剤(F2、4、9、10および11)はすべて、要求されるAPIアッセイ値または不純物閾値の範囲内であった。これら6つは、DoE研究のために製造された16の製剤のなかから、これら2つの因子を評価するために選ばれた:14の製剤(F1~F13)が、亜硫酸ナトリウム(無水)が0~0.07 mg/mLの範囲内でありヘッドスペース酸素が0~10%の範囲内である場合を評価するため、そして2つのさらなる製剤(F15、F16)が、亜硫酸ナトリウム(無水)をそれぞれ0.035または0.07 mg/ml用いた場合の大気酸素(20.9%)での安定性を評価するために製造された。
表6は、24ヶ月における安定性について試験された、様々なレベルの亜硫酸ナトリウム(無水)およびヘッドスペース酸素を有する9つの製剤を示す。F15(大気酸素レベルの20.9%)を除き、他の8製剤(F2、4、6、8、9、10、11、および12)はすべて、要求されるAPIアッセイ値または不純物閾値の範囲内であった。これら9つは、DoE研究のために製造された15の製剤のなかから、これら2つの因子を評価するために選ばれた:13の製剤(F1~F13)が、亜硫酸ナトリウム(無水)が0~0.07 mg/mLの範囲内でありヘッドスペース酸素が0~10%の範囲内である場合を評価するため、そして2つのさらなる製剤(F15、F16)が、亜硫酸ナトリウム(無水)をそれぞれ0.035または0.07 mg/ml用いた場合の大気酸素(20.9%)での安定性を評価するために製造された。
表7は、29ヵ月における安定性について試験された、様々なレベルの亜硫酸ナトリウム(無水)およびヘッドスペース酸素を有する9つの製剤を示す。F15(大気酸素レベルの20.9%)を除き、他の8製剤(F2、4、6、8、9、10、11、および12)はすべて、要求されるAPIアッセイ値または不純物閾値の範囲内であった。これら9つは、DoE研究のために製造された15の製剤のなかから、これら2つの因子を評価するために選ばれた:13の製剤(F1~F13)が、亜硫酸ナトリウム(無水)が0~0.07 mg/mLの範囲内でありヘッドスペース酸素が0~10%の範囲内である場合を評価するため、そして2つのさらなる製剤(F15、F16)が、亜硫酸ナトリウム(無水)をそれぞれ0.035または0.07 mg/ml用いた場合の大気酸素(20.9%)での安定性を評価するために製造された。
表8は、ヘッドスペース酸素(headspace oxygen=HO)のレベルを増加させて(0%、5%、10%、および15%)亜硫酸ナトリウムまたはEDTAの非存在下で製剤の安定性を評価するための実験計画法シリーズ(40℃/75%RHで6ヶ月まで)において使用された10の製剤の組成を示す。表に示される仕様を有する10の製剤を製造し(GLP等級)、安定性について試験した。26.23 mg/ml DSPは24 mg/mlリン酸デキサメタゾンに相当する。
表9は、異なるレベルのヘッドスペース酸素(0、5、10、15%)において亜硫酸ナトリウム(無水)および/またはエデト酸二ナトリウムの非存在下で、製剤の貯蔵寿命を評価するために実施された拡大DoE試験のために追加的に製造された10の製剤を示す。保存条件は40℃/75% RH(反転(inverted)バイアル位)であり、0、1、3および6ヶ月目にサンプリングを実施した。
表10は、エデト酸二ナトリウム(0.5 mg/ml)の存在下または非存在下でのDSP濃度の増加による製剤の貯蔵寿命を評価するために実施された拡大DoE試験のための、2つの異なるレベルのDSP(10および30 mg/ml)を有する、追加的に製造された4つの製剤を示す。4つすべての製剤は5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み亜硫酸塩を欠いた。保存条件は40℃/75% RH(反転バイアル位)であり、0、1、3および6ヶ月目にサンプリングを実施した。
表11は、エデト酸二ナトリウム(0.5 mg/ml)の存在下または非存在下で、増加するDSP濃度の製剤の貯蔵寿命を評価するために実施された拡大DoE試験のための、45 mg/ml DSPを有する2つの追加的に製造された製剤を示している。両製剤とも5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み亜硫酸塩を欠いた。保存条件は40℃/75% RH(反転バイアル位)であり、0、1、3および6ヶ月目にサンプリングを実施した。
表12は、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させる追加的な実験計画法の結果を示している。それぞれ0.5 mg/mlのEDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30、および45 mg/ml、9.15、27.45、および41.17のリン酸デキサメサゾン(DP)に相当)を有する6つの製剤(表10および表11に示す)を製造し、安定性評価のために置いた(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月)。6つ全ての製剤が5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み亜硫酸塩を欠いた。結果は、DSP濃度を増加させた製剤は経時的な総不純物の形成がより少ないことを実証している。
補足表Aは、米国において市販されているヒト使用のためのリン酸デキサメタゾンナトリウム注射剤の賦形剤プロファイル、強度およびバイアル容量を示す。
補足表Bは、リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤の例をそれらの賦形剤プロファイルと共に示している(米国市場)。
補足表Cは、リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤の例をそれらの賦形剤プロファイルと共に示している(米国獣医科市場)。
補足表Dは、高用量リン酸デキサメタゾンナトリウム製剤(注射剤)の例をそれらの賦形剤プロファイルと共に示している(国際市場)。
補足表Eは、はるかに高い亜硫酸塩含有量を有するデキサメタゾン製剤を開示している先行特許の例を示す。
補足表Fは、デキサメタゾン製剤の例を、製造業者によって開示されたそれらの貯蔵寿命と共に示している。
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の原理を例示する実施形態および実験について説明する。図面の説明は以下の通りである。
図1は、25℃/60% RH(29ヶ月)においてアッセイ値を維持することについて試験した、様々なレベルの亜硫酸ナトリウム(無水)およびヘッドスペース酸素を有する6つの製剤を示す。製剤2および4(F2、4)は、0.035 mg/mlの亜硫酸ナトリウム(無水)および5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を有するターゲットポイント製剤である。この結果は、5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素における0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)の亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値について製剤は95~105%DSP含有量の範囲内にあり、試験したいずれの製剤についても95%未満には低下していないことを実証している。
図2は、製剤15(大気ヘッドスペース酸素)を除き、試験された全ての製剤が、最初に遊離デキサメタゾンについてNMT(not more than:~以下)0.5%の範囲内にあることを示す(後に1%に変更;Imp A)。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は、0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった。遊離デキサメタゾンはDSPからの酸加水分解により蓄積する(25℃/60% RH;29ヶ月)。
図3は、試験された全ての製剤が、未同定不純物についてNMT(~以下)0.2%の範囲内にあることを示す。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は、0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった。製剤F15(大気酸素レベル)のみが、18ヵ月以降の時点について閾値を超えていた(25℃/60% RH;29ヶ月)。
図4は、試験された全ての製剤が、総不純物についてNMT(~以下)3%の範囲内にあることを示す(USPに合致)。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった(25℃/60% RH;29ヶ月)。
図5は、ターゲットポイント製剤2および4(F2、F4:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース)は、48ヶ月(Months)に渡りリン酸デキサメタゾンナトリウム含有量について95%(Percent)超のアッセイ値を有すると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図6は、製剤9(F9;0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が48ヶ月間に渡りリン酸デキサメタゾンナトリウム含有量について95%超のアッセイ値を有することが予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図7は、製剤10(F10:0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が、48ヶ月間に渡りリン酸デキサメタゾンナトリウム含有量について95%超のアッセイ値を有すると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図8は、製剤11(F11:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%酸素ヘッドスペース)が、48ヶ月間に渡りリン酸デキサメタゾンナトリウム含有量について95%超のアッセイ値を有すると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図9は、製剤15(F15:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース)が、48ヶ月間に渡りリン酸デキサメタゾンナトリウム含有量について95%超のアッセイ値を有すると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図10は、製剤2および4(F2、F4:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、不純物(Impurity)Aについて0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図11は、製剤9(F9:0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、不純物Aについて0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図12は、製剤10(F10:0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、不純物Aについて0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図13は、製剤11(F11:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、不純物Aについて0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図14は、製剤15(F15:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース;大気性)が、24ヵ月において不純物Aについて0.5%を超えたことを示す。この投影は、不純物Aが48ヶ月間に渡り1%未満であると予測されることを示している(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図15は、製剤2(F2:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%ヘッドスペース酸素)が、29ヵ月において未同定不純物について0.2%に達したが、48ヵ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図16は、製剤4(F4:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%ヘッドスペース酸素)が、29ヵ月において0.2%に達したが、48ヵ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図17は、製剤9(F9:0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%ヘッドスペース酸素)が約32ヵ月で0.2%を超えるが48ヵ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図18は、製剤10(F10:0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%ヘッドスペース酸素)が約32ヵ月で0.2%を超えるが48ヵ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図19は、製剤11が(F11:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%ヘッドスペース酸素)が約31ヵ月で0.2%を超えるが48ヵ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図20は、製剤15(F15:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース;大気性)が10ヵ月で0.2%を超え、30ヵ月では0.5%を超えることが予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図21は、製剤2(F2:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図22は、製剤4(F4:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図23は、製剤9(F9:0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図24は、製剤10(F10:0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図25は、製剤11(F11:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%ヘッドスペース酸素)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図26は、製剤15(F15:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース;大気性)が、48ヵ月間に渡り、総不純物について3%未満であると予測されることを示す(測定データ6点による投影;29ヶ月まで、25℃/60% RH)。
図27は、保存中のリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP;9-フルオロ-11b,17,21トリヒドロキシ-16a-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン21-(リン酸二水素)二ナトリウム塩)溶液に由来する既知の不純物(不純物A、B、C、D、E、F、G)のアイデンティティおよび構造を示す。不純物A:(9-フルオロ-11β,17,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-3,20-ジオン(デキサメタゾン));不純物B:(9-フルオロ-11β,17-ジヒドロキシ-16β-メチル-3,20-ジオキソプレグナ-1,4-ジエン-21-イルリン酸二水素(リン酸ベタメタゾン);不純物C、D、E、F:各不純物について、(9-フルオロ-11β,17a-ジヒドロキシ-16-メチル-3,17-ジオキソ-D-ホモ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17a-イル)メチル二水素リン酸(C-16およびC-17aにおいて不定立体化学)または(9-フルオロ-11β,17-ジヒドロキシ-16α-メチル-3,17a-ジオキソ-D-ホモ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17-イル)メチル二水素リン酸(C-17において不定立体化学)の1つまたは複数のジアステレオ異性体;不純物G:9-フルオロ11β,17-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸。等価USP不純物名を概説している。
図28は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)において亜硫酸ナトリウム(Sulfite)またはEDTAの非存在下での製剤の安定性を評価するために、DSPアッセイ値について10種の製剤が試験されたことを示す(40℃/75% RHで6ヶ月(Months)まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て26.23 mg/mlのDSPを含有し、これは24 mg/mlのリン酸デキサメタゾン(DP)と等価である。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載(description)をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、すべての製剤のなかで製剤2‐1が6ヶ月の時点で最も少ない分解を示しながら依然として記載(沈殿なし)をパスすることを示している。
図29は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Aについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、すべての製剤のなかで製剤2‐1が6ヶ月の時点で不純物A(デキサメタゾン)の蓄積が最も低かったことを示している。
図30は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Bについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。不純物Bはいずれの製剤でも増加していなかった。
図31は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Cについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、ヘッドスペース酸素値が最も高い製剤が、6ヶ月の時点ですべての製剤のなかで不純物Cの蓄積が最も低かったことを示している。
図32は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Dについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。全ての製剤について、不純物Dは、3ヶ月の時点から6ヶ月の時点までに最も増加した。沈殿を伴わず記載をパスした3つの製剤のうち、0%ヘッドスペース酸素(HO)において亜硫酸塩とEDTAを存在させた製剤3‐1が、6ヶ月において最も低い値を有していた。
図33は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Fについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、いずれの製剤も不純物Fについては0.2%の閾値を超えて増加することはないことを示している。
図34は、増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)における亜硫酸ナトリウムおよび/またはEDTAの非存在下での製剤の不純物Gについての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、不純物Gについては全ての製剤のなかで製剤2‐1が6ヶ月の時点で最も低い蓄積を示したことを示している。
図35は、未同定不純物についての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。結果は、(6ヶ月で沈殿を有さなかった3つ全てのなかで)EDTAを欠く2つの亜硫酸塩製剤(2-1、2-2)が、最多未同定不純物の値が最も低いことを示している。
図36は、総不純物についての追加的な実験計画法の結果を示す(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP)。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。総不純物は、前述の不純物すべて(A、B、C、D、F、G、最多未同定不純物)に、より低値である他のすべての未同定不純物(異なる保持時間を有する)を合わせた合計総量である。結果は、(6ヶ月で沈殿を有さなかった3つ全てのなかで)EDTAを欠く2つの亜硫酸塩製剤(2-1、2-2)が、最低値最少量の総不純物を示すことをを示している。従って、この製剤は、0または5%ヘッドスペース酸素における40℃/75% RHの貯蔵条件でEDTAを必要としない。
図37は、追加的実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素(HO)0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)のDSPの結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月(Months)までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1では12ヶ月(40℃/75% RH)でリン酸デキサメタゾンナトリウム含量が95%(Percent)にあると予測される一方、2-2および3-1はそれぞれ約93%および93.5%のレベルにあると予測されることを示している。この結果は、これらの製剤について向上した安定性を達成するためにEDTAは必要ではないことを示している。
図38は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物A結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1および2-2では12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Aレベルが1%未満にあると予測される一方、製剤3-1では約9ヶ月で1%に達すると予測されることを示している。この結果は、これらの製剤について向上した安定性を達成するためにEDTAは必要ではないことを示している。
図39は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物C結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1では12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Cレベルが0.5%にあると予測される一方、製剤2-2および3-1ではその時点で0.5%を少し下回ることを示している。
図40は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物D結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Dレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図41は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物F結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Fレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図42は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物G結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Gレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図43は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の未同定不純物結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で未同定不純物のレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。さらに、EDTAを含まない2製剤(2-1および2-2)は、12ヵ月時点で0.2%をさえも下回る予測レベルを示している。
図44は、追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の総不純物結果および投影を示す。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、EDTAを含まない2製剤(2-1および2-2)では12ヶ月(40℃/75% RH)で総不純物のレベルが3%未満であると予測される一方、亜硫酸塩およびEDTAを含む製剤3‐1では3%に達することを示している。この結果は、これらの製剤の安定性を増加させるためにEDTAは必要ではないことを示している。
図45は、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させることについての追加的な実験計画法の不純物AおよびCに関する結果を示す。それぞれ0.5 mg/ml EDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30および45 mg/ml)を有する、6種類の製剤を製造し、安定性試験に供した(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月(Months))。全6製剤は5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み、亜硫酸塩を欠いていた。6ヶ月にわたってすべての製剤で不純物Cの明らかな減少が存在するが、不純物AについてはEDTAを含む製剤において明らかな傾向は存在しないと見られる。EDTAを含まない製剤における不純物Aについては、初期増加が認められるが最終的には停滞している。
図46は、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させることについての追加的な実験計画法の不純物DおよびGに関する結果を示す。それぞれ0.5 mg/ml EDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30および45 mg/ml)を有する、6種類の製剤を製造し、安定性試験に供した(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月)。全6製剤は5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み、亜硫酸塩を欠いていた。6ヶ月にわたってすべての製剤で不純物Gの明らかな減少が存在するが、不純物DについてはEDTAを含む製剤において明らかな傾向は存在しないと見られる。EDTAを含む製剤における不純物Dについては、約0.2%にまで至る経時的な増加が認められる。
図47は、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させることについての追加的な実験計画法の総不純物に関する結果を示す。それぞれ0.5 mg/ml EDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30および45 mg/ml)を有する、6種類の製剤を製造し、安定性試験に供した(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月)。全6製剤は5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み、亜硫酸塩を欠いていた。最も高い45 mg/mlのDSP含量を有する製剤は3ヶ月でまだ記載をパスしたが、他の全ては不合格となり沈殿を示した。この結果は、DSP濃度を増加させた製剤は、EDTAの有無に関係なく、経時的に形成する総不純物がより少ないことを示している。
本開示は、低減されたレベルの抗酸化作用性保存剤を含む高濃度グルココルチコイド含有医薬組成物に関する。本開示は、組成物を封入容器に分配する際に、規定されたヘッドスペース体積対API比を使用すると、低減されたレベルの抗酸化保存剤のもとで組成物の安定性の上昇がもたらされるという発見に基づく。本発明の医薬組成物は、既存の製剤と比べていくつかの利点を有する。抗酸化保存剤が患者の感受性および毒性と関連することが見出されていることを考慮すると、より低いレベルのそのような保存剤を含みながら20℃~40℃で組成物の安定性を維持する医薬組成物が非常に望ましい。
すなわち、本開示は、グルココルチコイドを含む水性医薬製剤に関する。この水性医薬製剤は低減されたレベルの保存剤を含み、それは抗酸化作用保存剤であり得る。本発明の水性医薬製剤は、既存の製剤と比べていくつかの利点を有する。保存剤が患者の感受性および毒性と関連することが見出されていることを考慮すると、より低いレベルのそのような保存剤を含みながら組成物の安定性を維持する医薬組成物が非常に望ましい。
本発明は、製剤を容器に封入する際に、規定されたヘッドスペース体積 (ml) 対グルココルチコイド (mg) 比を使用すると、保存剤の量が低減されていたり無かったりしていても、製剤の安定性の増大がもたらされるという発見に部分的に基づいている。従って、グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比を0.007以下にして容器に封入される。いくつかの実施形態において、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、0.0065以下、0.0060以下、0.00588以下、0.0055以下、0.0050以下、0.0045以下、0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、または0.0010以下であり得る。いくつかの好ましい態様において、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、0.00588以下であり得る。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比が約0.0046から約0.0099の間で容器に封入される。いくつかの実施形態において、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、約0.003と0.007との間、または約0.004と0.006との間であり得る。いくつかの実施形態において、総グルココルチコイド含有量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、約0.001~0.00588であり得る。
当業者は、以下に詳細に概説するように、所与のグルココルチコイドに対するデキサメタゾンの等価濃度を容易に計算することができる。従って、いくつかの場合において、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比として表され得るが、ここでグルココルチコイド含量は、デキサメタゾン(mg) の等価含量として表される。すなわち、いくつかの実施形態において、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比であり得、または、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比として表され得る。
容器内のヘッドスペース体積を決定するための手段は、当業者によく知られている。例えば、封入の際に、ヘッドスペース体積を、(バイアル縁容積-ストッパー体積-液体充填体積)という計算によって測定することができる。または、液体を加えて、すべてのガスが置き換えられたときのその体積を測定する。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、総グルココルチコイド含量(mg) に対する総亜硫酸塩含量(mg) の比が0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、0.00146以下、または0.0010以下で容器に封入され得る。いくつかの好ましい態様において、製剤は、総グルココルチコイド含量(mg)に対する総亜硫酸塩含量(mg) の比が0.00150以下で容器に封入され得る。いくつかの特に好ましい実施形態では、製剤は、総グルココルチコイド含量(mg) に対する総亜硫酸塩含量(mg)比が0.00146以下で容器に封入され得る。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、亜硫酸塩含量(mg) :グルココルチコイド含量(mg) :ヘッドスペース体積(mg) の比が0.000203以下で容器に封入されてもよい。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、((亜硫酸塩(mg) :グルココルチコイド含量(mg))×ヘッドスペース体積(mg))の値が0.01050以下で容器に封入されてもよい。
いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1 mlであり得る。いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1 ml未満であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、ヘッドスペース体積は、約8 ml、または約8 ml未満であってもよい。他の好ましい実施形態では、ヘッドスペース体積は、約7.2 ml、または約7.2 ml未満であってもよい。
いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、総容器容積の約16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%であり得る。いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、総容器容積の約16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%未満であり得る。
いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、約21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%の酸素を含み得る。いくつかの実施形態では、ヘッドスペース体積は、約21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満の酸素を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、ヘッドスペース体積は、約5%の酸素を含んでもよく、または約5%未満の酸素を含んでもよい。他の好ましい実施形態では、ヘッドスペース体積は、約0%の酸素を含み得る。
所与のヘッドスペース体積内のヘッドスペース酸素レベルを測定するための手段は、当業者によく知られている。例えば、ヘッドスペース酸素レベルは、電気化学的方法またはガスクロマトグラフィーのような従来型の破壊的技術によって、またはレーザーベース周波数変調分光法のような非破壊的方法によって測定することができる(Pharmaceutical Technology, July 2002; Lighthouse Instruments Application Note 102)。
本発明の水性医薬製剤は、有利なことに、公知のグルココルチコイド製剤よりも少量の(例えば抗酸化剤や抗微生物剤のような)保存剤を含む。従って、いくつかの態様において、製剤は、薬学的に許容される保存剤を含み得る(含んでいなくてもよい)。ある態様において、製剤は、約1 mg/ml未満の濃度で存在する亜硫酸塩保存剤、約0.2 mg/ml未満の濃度で存在するパラベン保存剤、約8 mg/ml未満の濃度で存在するクレアチニン、および/または約0.1 mg/ml未満の濃度で存在する塩化ベンゼトニウムを含み得る。いくつかの好ましい態様において、製剤中の保存剤の合計濃度は、約0.1 mg/ml未満であり得る。
ある態様において、保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml、約0.08 mg/ml、約0.07 mg/ml、約0.06 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.04 mg/ml、約0.035 mg/ml、約0.03 mg/ml、約0.02 mg/ml、または約0.01 mg/mlであり得る。ある態様において、保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml未満、約0.08 mg/ml未満、約0.07 mg/ml未満、約0.06 mg/ml未満、約0.05 mg/ml未満、約0.04 mg/ml未満、約0.035 mg/ml未満、約0.03 mg/ml未満、約0.02 mg/ml未満、または約0.01 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、保存剤の濃度は、約0.07 mg/mlであってもよく、または約0.07 mg/ml未満であってもよい。他の好ましい態様において、保存剤の濃度は、約0.035 mg/mlであってもよく、または約0.035 mg/ml未満であってもよい。
いくつかの特に好ましい態様において、保存剤の濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの特に好ましい態様において、製剤は保存剤を含まない。
上記で概説したように、本発明の薬学的製剤は、製剤の安定性を維持するために、(例えば抗酸化剤や抗微生物剤のような)薬学的に許容される保存剤添加剤を含んでもよい(含まなくてもよい)。抗酸化剤は、公知のグルココルチコイド含有製剤で通常使用されるレベルと比較して低減された量で添加され、それにより、そのような抗酸化保存剤の使用に関連する毒性および有害な副作用を低減する。
本明細書中で使用される場合、抗酸化剤(抗酸化保存剤)とは、分子の酸化プロセスを遅延または阻害し、それにより組成物の安定性を増加させるための、当業者に公知の賦形剤である。そのような抗酸化剤としては、アスコルビン酸、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、システイン塩酸塩、ジチオナイトナトリウム、ゲンチシン酸、グルタミン酸モノナトリウム、グルタチオン、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メチオニン、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸塩、チオグリコール酸ナトリウム、α-チオグリセロール、トコフェロールアルファ、アルファトコフェロールコハク酸水素、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、リコペン、ルテイン、セレン、マンガン、ゼアキサンチン、フラボノイド、フラボン、カテキン、ポリフェノール、およびフィトエストロゲン、およびチオグリコール酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合には、抗酸化剤(抗酸化保存剤)は亜硫酸塩である。このような亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウム(無水)(Na2SO3)、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)、亜硫酸水素カリウム(KHSO3)、メタ重亜硫酸カリウム(K2S2O5)およびメタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)に関連するが、これらに限定されない。
したがって、本発明の薬学的製剤のいくつかの態様において、保存剤は、亜硫酸塩、パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンゼトニウム、プロピレングリコール、および/またはクレアチニンであり得る。ある態様において、亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウム (無水) 、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、および/またはメタ重亜硫酸カリウムであり得る。ある態様において、パラベンは、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベンおよび/またはイソブチルパラベンであり得る。ある態様において、パラベンは、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベンであり得る。
ある態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は、約1 mg/mlまたは約1 mg/ml未満であり得る。ある態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は、約0.9 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.2 mg/ml、または約0.1 mg/mlであり得る。ある態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は、約0.9 mg/ml未満、約0.8 mg/ml未満、約0.7 mg/ml未満、約0.6 mg/ml未満、約0.5 mg/ml未満、約0.4 mg/ml未満、約0.3 mg/ml未満、約0.2 mg/ml未満、または約0.1 mg/ml未満であり得る。ある態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml、約0.08 mg/ml、約0.07 mg/ml、約0.06 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.04 mg/ml、約0.03 mg/ml、約0.02 mg/ml、または約0.01 mg/mlであり得る。ある態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml未満、約0.08 mg/ml未満、約0.07 mg/ml未満、約0.06 mg/ml未満、約0.05 mg/ml未満、約0.04 mg/ml未満、約0.03 mg/ml未満、約0.02 mg/ml未満、または約0.01 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、亜硫酸塩保存剤の濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの好ましい態様において、製剤は亜硫酸塩保存剤を含まない。
ある態様において、パラベン保存剤の濃度は、約0.2 mg/mlまたは約0.2 mg/ml未満であり得る。ある態様において、パラベン保存剤の濃度は、約0.1 mg/mlまたは約0.1 mg/ml未満であり得る。ある態様において、パラベン保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml、約0.08 mg/ml、約0.07 mg/ml、約0.06 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.04 mg/ml、約0.03 mg/ml、約0.02 mg/ml、または約0.01 mg/mlであり得る。ある態様において、パラベン保存剤の濃度は、約0.09 mg/ml未満、約0.08 mg/ml未満、約0.07 mg/ml未満、約0.06 mg/ml未満、約0.05 mg/ml未満、約0.04 mg/ml未満、約0.03 mg/ml未満、約0.02 mg/ml未満、または約0.01 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、パラベン保存剤の濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの好ましい態様において、製剤はパラベン保存剤を含まない。
ある態様において、クレアチニンの濃度は、約8 mg/mlであり得、または約8 mg/ml未満であり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約7 mg/ml、約6 mg/ml、約5 mg/ml、約4 mg/ml、約3 mg/ml、約2 mg/ml、または約1 mg/mlであり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約7 mg/ml未満、約6 mg/ml未満、約5 mg/ml未満、約4 mg/ml未満、約3 mg/ml未満、約2 mg/ml未満、または約1 mg/ml未満であり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約0.9 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.2 mg/ml、または約0.1 mg/mlであり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約0.9 mg/ml未満、約0.8 mg/ml未満、約0.7 mg/ml未満、約0.6 mg/ml未満、約0.5 mg/ml未満、約0.4 mg/ml未満、約0.3 mg/ml未満、約0.2 mg/ml未満、または約0.1 mg/ml未満であり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約0.09 mg/ml、約0.08 mg/ml、約0.07 mg/ml、約0.06 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.04 mg/ml、約0.03 mg/ml、約0.02 mg/ml、または約0.01 mg/mlであり得る。ある態様において、クレアチニンの濃度は、約0.09 mg/ml未満、約0.08 mg/ml未満、約0.07 mg/ml未満、約0.06 mg/ml未満、約0.05 mg/ml未満、約0.04 mg/ml未満、約0.03 mg/ml未満、約0.02 mg/ml未満、または約0.01 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、クレアチニンの濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの好ましい態様において、製剤はクレアチニンを含まない。
ある態様において、塩化ベンゼトニウムの濃度は、約0.1 mg/mlまたは約0.1 mg/ml未満であり得る。 態様において、塩化ベンゼトニウムの濃度は、約0.09 mg/ml、約0.08 mg/ml、約0.07 mg/ml、約0.06 mg/ml、約0.05 mg/ml、約0.04 mg/ml、約0.03 mg/ml、約0.02 mg/ml、または約0.01 mg/mlであり得る。ある態様において、塩化ベンゼトニウムの濃度は、約0.09 mg/ml未満、約0.08 mg/ml未満、約0.07 mg/ml未満、約0.06 mg/ml未満、約0.05 mg/ml未満、約0.04 mg/ml未満、約0.03 mg/ml未満、約0.02 mg/ml未満、または約0.01 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、塩化ベンゼトニウムの濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの好ましい態様において、製剤は塩化ベンゼトニウムを含まない。
本発明の水性医薬製剤は、有利なことに、公知のグルココルチコイド製剤と比べてより少量のキレート剤を含み得る。キレート剤は、製剤中に存在し得る金属イオンを隔離しその反応性を低下させるために、医薬製剤中に一般に含まれる。
従って、いくつかの態様において、本発明の製剤は、キレート剤を含んでもよい(含まなくてもよい)。いくつかの態様において、製剤はキレート剤を含み得、ここで、キレート剤の濃度は、約0.50 mg/mlであるかまたはそれ未満である。ある態様において、キレート剤の濃度は、約0.45 mg/ml、約0.40 mg/ml、約0.35 mg/ml、約0.30 mg/ml、約0.25 mg/ml、約0.20 mg/ml、約0.15 mg/ml、約0.10 mg/ml、または約0.05 mg/mlであり得る。ある態様において、キレート剤の濃度は、約0.45 mg/ml未満、約0.40 mg/ml未満、約0.35 mg/ml未満、約0.30 mg/ml未満、約0.25 mg/ml未満、約0.20 mg/ml未満、約0.15 mg/ml未満、約0.10 mg/ml未満、または約0.05 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、キレート剤の濃度は0 mg/mlであり得る。すなわち、いくつかの好ましい態様において、製剤はキレート剤を含まない。いくつかの好ましい態様において、製剤はエデト酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)を含まない。
可能なキレート剤としては、EDTA二ナトリウムカルシウム0.01~0.1%(EDTA=エチレンジアミン四酢酸あるいはエデト酸)、EDTA二ナトリウム0.01~0.11%、EDTAナトリウム0.20%、ベルセタミドナトリウムカルシウム2.84%、カルテリドール0.023%およびDTPA 0.04~1.2%(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)が挙げられるが、これらに限定されない。他のキレート剤としては、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、エデト酸、ニトリロ酢酸、ジピコリン酸、ガドリック酸、ペンテト酸、グルコン酸、L-酒石酸、チオ硫酸、エメラミド、ポリグルサム、アクテオシド、テノイルトリフルオロアセトン、タガトース、テトラチオモリブデン酸、アラノシン、ジメルカプロール、トリエチルテトラミン、デフェリプロン、酢酸カルシウム、サクシマー、セベラマー、デフェロキサミン、ペニシラミン、トレバマー、デフェラシロクス、1,10-フェナントロリン、およびジチオカルブが挙げられるが、これらに限定されない。ある態様において、キレート剤は、これらのうちの1つまたは複数であり得る。ある態様において、キレート剤は、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸 ( EDTA ) 、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸二ナトリウムカルシウム、ベルセタミドナトリウムカルシウム、カルテリドール、および/またはジエチレントリアミンペンタ酢酸 ( DPTA ) であり得る。いくつかの好ましい態様において、キレート剤は、エデト酸二ナトリウム (EDTA二ナトリウム) であり得る。
本明細書中で使用される場合、グルココルチコイドという用語は、グルココルチコイド受容体アゴニスト、およびグルココルチコイド受容体に結合するあらゆる化合物を包含する。かかる化合物は、デキサメタゾン、デキサメタゾン含有剤、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾンおよびベクロメタゾンに関連するが、これらに限定されない。その他のグルココルチコイドとしては、モメタゾンフロエート、トリアムシノロンアセトニド、およびメチルプレドニゾンが挙げられる。グルココルチコイドはさらに、グルココルチコイド受容体調節アゴニストを含む。さらに、選択的グルココルチコイド受容体アゴニストまたはモジュレーターが、本明細書に開示されている医薬製剤において使用され得る。このようなアゴニストまたはモジュレーターとしては、例えば、選択的グルココルチコイド受容体モジュレーター(SEGRM:selective glucocorticoid receptor modulator)および選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト(SEGRA:selective glucocorticoid receptor agonist)が挙げられる。本明細書に開示される製剤および方法において利用され得るグルココルチコイド、グルココルチコイド受容体モジュレーターおよび選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト(SEGRA)は、当業者によく知られている。
本明細書で使用されるグルココルチコイド受容体調節剤という用語は、非限定的に、化合物A[CPDA;(2-((4-アセトフェニル)-2-クロロ-N-メチル)エチルアンモニウムクロリド)]およびN-(4-メチル-1-オキソ-1H-2,3-ベンゾオキサジン-6-イル)-4-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-2(トリフルオロメチル)-4-メチルペンタンアミド(ZK216348)、AL-438、マプラコラット、LGD-5552、RU 24858、フォスダグロコラット、PF-802、化合物10、MK5932、C108297、LGD5552、およびORG 214007-0を含むがこれらに限定されないグルココルチコイド受容体アゴニストまたはグルココルチコイド受容体調節因子に関するものである。
グルココルチコイドおよびグルココルチコイド受容体(GR:glucocorticoid-receptor)調節剤は、遺伝子発現を活性化または抑制する膜グルココルチコイド受容体と細胞質GRの両方を介して効果を発揮する。グルココルチコイドおよびGR調節剤の望ましいリンパ枯渇効果のいくらかは、それらのゲノム性作用に加えて、膜GRまたは他の非ゲノム性作用を通して媒介されると見られる。興味深いことに、デキサメタゾンとの共処置が、グルココルチコイド耐性を低減させることができたことが示されている(Serafin et al., 2017)。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態において、グルココルチコイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、およびベクロメタゾンからなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、グルココルチコイドは、デキサメタゾンを含み、これは、デキサメタゾン塩基、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ヘミコハク酸デキサメタゾン、コハク酸デキサメタゾンナトリウム、コハク酸デキサメタゾン、および酢酸デキサメタゾンからなる群より選択され得る。いくつかの好ましい態様において、グルココルチコイドは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。いくつかの好ましい態様において、グルココルチコイドは、以下の式を有するデキサメタゾンである(リン酸デキサメタゾン(ナトリウムとして)):
リン酸デキサメタゾン(ナトリウムとして)は、白色あるいはわずかに黄色の、著しく吸湿性である結晶性粉末である。本品は無臭であるかまたはわずかにアルコール臭を有する。リン酸デキサメタゾン(ナトリウムとして)は水中に1対2で可溶であり、アルコールにわずかに可溶であり、クロロホルムおよびエーテルには実質的に不溶であり、ジオキサンにはごくわずかに可溶である。
本発明は、グルココルチコイドであるリン酸デキサメタゾンナトリウム ( DSP ) が、水性製剤中に高濃度で存在する場合、加水分解や酸化のような分解プロセスに対して増加的に自己保護性となるという発見に部分的に基づいている。従って、グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの実施形態において、グルココルチコイドの濃度は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、26.23、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45 mg/mlであり得る。ある態様において、グルココルチコイドの濃度は、少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45 mg/mlであり得る。いくつかの特に好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約24 mg/mlであってもよく、または少なくとも約24 mg/mlであってもよい。他の好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約26.23 mg/mlであってもよく、または少なくとも約26.23 mg/mlであってもよい。他の好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約30 mg/mlであってもよく、または少なくとも約30 mg/mlであってもよい。他の好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約45 mg/mlであってもよく、または少なくとも約45 mg/mlであってもよい。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤のいくつかの態様において、グルココルチコイドの濃度は、約500、457、450、400、350、300、250、200、150、または100 mg/ml未満であり得る。いくつかの好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約457 mg/ml未満であり得る。他の好ましい態様において、グルココルチコイドの濃度は、約250 mg/ml未満であり得る。
当業者は、例えば公的に利用可能なコルチコイド変換アルゴリズムを用いて、グルココルチコイドまたはグルココルチコイド受容体調節剤の等価濃度を容易に計算することができる。当業者は、例えば、10、26.23、30および45 mg/mlのリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)が、それぞれ、9.15、24、27.45および41.17 mg/mlのリン酸デキサメタゾン(DP)と等価であることを知っている。同様に、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)26.23 mg/mlおよび45 mg/mlは、それぞれデキサメタゾン19.94 mg/mlおよび34.2 mg/mlと等価である。従って、ある場合には、グルココルチコイドの濃度は、別のグルココルチコイドの所定の濃度と等価である濃度、例えば「デキサメタゾンの所定の濃度と等価である濃度」として表され得る。例えば、9.15 mg/mlのリン酸デキサメタゾンは、代替的に、「10 mg/mlのリン酸デキサメタゾンナトリウムと等価であるリン酸デキサメタゾンの濃度」と表され得、その逆もしかりである。別の例として、34.2 mg/mlのデキサメタゾンは代替的に「45 mg/mlのリン酸デキサメタゾンナトリウムと等価であるデキサメタゾンの濃度」として表わされ得る。
ある態様において、グルココルチコイドの濃度は、約4.4 mg/ml~約1000 mg/mlであり得る。ある実施態様では、グルココルチコイドは、約4.4 mg/ml~約457 mg/ml DP(リン酸デキサメタゾン)、より好ましくは約24 mg/ml~約457 mg/ml DPの濃度のリン酸デキサメタゾンである。ある実施態様では、グルココルチコイドは、約24 mg/ml~約450 mg/ml DP、約24 mg/ml~約400 mg/ml DP、約24 mg/ml~約350 mg/ml DP、約24 mg/ml~約300 mg/ml DP、より好ましくは約24 mg/ml~約250 mg/ml DPの濃度のリン酸デキサメタゾンである。
いくつかの実施形態では、製剤のpHは、約7.0~約8.2、約7.2~約8.0、約7.3~約7.9、または約7.4~約7.8であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、製剤のpHは、約7.4~約7.8であり得る。いくつかの好ましい態様において、製剤のpHは約7.6であり得る。
上記で概説したグルココルチコイド、保存剤(抗酸化性保存剤であり得る)、およびキレート剤に加えて、当業者に周知のさらなる成分を本発明の医薬製剤に含めることができる。医薬製剤は、安全かつ有効であると考えられる材料から構成される、薬学的に許容される「担体」を用いて調製され得る。「薬学的に許容される」とは、「一般に安全と見なされる」、例えば、生理学的に許容され、ヒトに投与された場合に、胃の不調等のようなアレルギー性または同様の不快な反応を典型的に生じない分子実体および組成物をいう。いくつかの実施形態において、この用語は、FDAにより販売前のレビューおよび承認を受ける米国食品医薬品化粧品法の第204(s)条および第409条に基づくGRASリストまたは同様のリスト、米国薬局方、または動物、特にヒトにおける使用に関する他の一般認知された薬局方のような、米国連邦政府または州政府の規制機関によって承認された分子実体および組成物を指す。
用語「担体」は、希釈剤、結合剤、潤滑剤、および崩壊剤に関するが、これらに限定されない。当業者は、そのような医薬担体、およびそのような担体を用いて医薬組成物および製剤を配合する方法に精通している。
本発明の医薬製剤は、1以上の賦形剤、例えば、溶媒、溶解性増強剤、懸濁剤、緩衝剤、等張剤、安定剤、および抗酸化剤または抗微生物性保存剤を含んでもよい(含まなくてもよい)。IIDは、賦形剤が使用される各剤形における単位用量当たりの賦形剤の最高量を記載している。最大力価として示された量は、記載の根拠となる製品の最大1日用量が単一ユニットに限る場合を除き、その賦形剤の最大1日摂取量(MDI:maximum daily intake)を反映してはいない。使用される場合、組成物の賦形剤は、製剤に使用される活性成分すなわちグルココルチコイドの安定性、バイオアベイラビリティ、安全性および/または有効性に悪影響を及ぼさない。したがって、剤形の成分のいずれかの間にも不和合性がない製剤が提供される。賦形剤は、緩衝剤、可溶化剤、浸透圧調整剤、キレート剤、酸化防止剤、抗微生物剤、および保存剤からなる群から選択され得る。ある態様において、医薬製剤は、バッファー(緩衝剤)を含み得る。いくつかの態様において、バッファーはクエン酸ナトリウムであり得る。いくつかの好ましい態様において、バッファーの濃度は、約10 mg/mlであり得る。
本開示は、製剤を容器に封入する際に、規定されたヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比を使用すると、製造直後の状態に近い製剤の安定性の維持がもたらされるという発見に部分的に基づいている。ある態様において、容器は、バイアル、アンプル、溶媒リザーバ、貯蔵ボトル、医療用ボトル、シリンジ、またはボトルであり得る。
当業者であれば、より小容量で封入された製剤は安定化がより容易であり、したがってより少ない保存剤を必要とすることを理解するであろう。例えば、より小容量で封入された製剤は、酸素(酸化分解)に対して安定化させやすい。驚くべきことに、本発明の規定されたヘッドスペース体積(ml) 対グルココルチコイド(mg) 比の使用は、大容量の容器においてでも、保存剤の量が低減されているかまたは全くない状態で、水性製剤の安定性の増加をもたらす。従って、ある態様では、容器の容積は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、51、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100 mlであり得る。いくつかの実施形態では、容器の容積は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、51、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100 mlであり得る。いくつかの好ましい態様において、容器の容積は、約59 mlであってもよく、または少なくとも約59 mlであってもよい。いくつかの好ましい態様において、容器の容積は、約51 mlであってもよく、または少なくとも約51 mlであってもよい。他の好ましい態様において、容器の容積は、約50 mlであってもよく、または少なくとも約50 mlであってもよい。ある態様において、容器に封入された薬学的製剤の容量は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100 mlであり得る。いくつかの好ましい態様において、容器に封入された薬学的製剤の容量は、約43 mlであってもよく、または少なくとも約43 mlであってもよい。いくつかの好ましい態様において、容器に封入された医薬製剤の容量は、約50 mlであってもよく、または少なくとも約50 mlであってもよい。いくつかの好ましい態様において、容器に封入された薬学的製剤の容量は、約51 mlであってもよく、または少なくとも約51 mlであってもよい。
本発明の水性医薬製剤は、有利なことに、公知の保存剤含有グルココルチコイド製剤に匹敵する安定性を維持しながら、保存剤および/またはキレート剤を含む量が少ない、または無い。
従って、いくつかの実施形態において、本発明の水性医薬製剤は、製造後少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、水性医薬製剤は、製造後少なくとも約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、または48ヶ月間安定である。従って、製剤の安定性は、製造から18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47又は48ヶ月後の時点で評価され得る。いくつかの好ましい態様において、製剤の安定性は、製造から18、24、36、または48ヶ月後の時点で評価され得る。
ある態様において、水性医薬製剤は、製造後少なくとも約18、24、36または48ヶ月の貯蔵寿命を有する。いくつかの実施態様において、水性医薬製剤は、製造後少なくとも約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47又は48ヶ月の貯蔵寿命を有する。
グルココルチコイドを含む水性医薬製剤の安定性および貯蔵寿命を決定する手段は、当業者にはよく知られている。例えば、製剤の安定性および貯蔵寿命は、グルココルチコイドAPIまたはその分解生成物のレベルのような、製剤の定量的化学的特性をアッセイすることによって決定することができる。
いくつかの実施形態において、安定性は、2℃~40℃の間で製剤を保存した後に決定される。いくつかの実施形態において、安定性は、15℃~40℃の間で製剤を保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態において、安定性は、20℃~40℃の間で製剤を保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態において、安定性は、15℃~20℃の間で製剤を保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態において、安定性は、室温で製剤を保存した後に決定される。いくつかの好ましい態様において、安定性は、製剤を25℃で保存した後に決定される。いくつかの好ましい態様において、安定性は、製剤を40℃で保存した後に決定される。
いくつかの実施形態では、安定性は、製剤を40~80%の相対湿度(RH:relative humidity)で保存した後に決定される。いくつかの実施形態では、安定性は、製剤を50~70% RHで保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態では、安定性は、製剤を60% RHで保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態では、安定性は、製剤を75% RHで保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態では、安定性は、製剤を25℃、60% RHで保存した後に決定される。いくつかの好ましい実施形態では、安定性は、製剤を40℃、75% RHで保存した後に決定される。
ある態様において、安定性は、製剤中のグルココルチコイドAPIの分解の程度を決定することによって決定される。製剤中のグルココルチコイドAPIの量を測定する手段は、当業者にはよく知られており、例えば、UV分光分析にカップリングされた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-UV) 法、または超高速液体クロマトグラフィー (UPLC) 法がある。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0%未満のグルココルチコイドAPIの分解を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、グルココルチコイドAPIの約5.0%未満の分解を示す。
いくつかの実施形態において、製剤中のグルココルチコイドの量は、製造日と比較して、約95.0、95.2、95.4、95.6、96.0、96.2、96.4、96.6、96.8、97.0、97.2、97.4、97.6、98.0、98.2、98.4、98.6、98.8、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9%超で維持される。いくつかの好ましい態様において、製剤中のグルココルチコイドの量は、製造日と比較して約95.0%超で維持される。
いくつかの実施形態において、製剤中のグルココルチコイドの量は、製造日と比較して、約±1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0%の間に維持される。いくつかの好ましい態様において、製剤中のグルココルチコイドの量は、製造日と比較して約±5.0%の間に維持される。
ある態様において、安定性は、製剤のpHの変化の程度を決定することによって決定される。製剤のpHを測定する手段は、当業者によく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、または2.0未満のpH変化を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約±0.5未満のpH変化を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約±0.2未満のpH変化を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物A(9-フルオロ-11β,17,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-3,20-ジオン(デキサメタゾン))の蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Aの量を決定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態において、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Aの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態において、製剤は、約0.50%未満の不純物Aの蓄積を示す。他の好ましい実施形態において、製剤は、約1.0%未満の不純物Aの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物B(9-フルオロ-11β,17-ジヒドロキシ-16β-メチル-3,20-ジオキソプレグナ-1,4-ジエン-21-イルリン酸二水素(リン酸ベタメタゾン))の蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Bの量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Bの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Bの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物Cの蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Cの量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Cの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Cの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物Dの蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Dの量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Dの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Dの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物Eの蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Eの量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Eの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Eの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物Fの蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物Fの量を決定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Fの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Fの蓄積を示す。
ある態様において、グルココルチコイドはリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、安定性は、製剤中の不純物Gの蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の不純物G(9-フルオロ-11β,17-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸)の量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Gの蓄積を示す。いくつかの好ましい実施形態では、製剤は、約0.50%未満の不純物Gの蓄積を示す。
ある態様において、安定性は、製剤中の未特定不純物の蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の未特定さ不純物の量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態において、製剤は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、または0.30%未満の未特定不純物の蓄積を示す。いくつかの好ましい態様において、製剤は、約0.20%未満の未特定不純物の蓄積を示す。
いくつかの実施態様において、安定性は、製剤中の総不純物の蓄積の程度を決定することによって決定される。製剤中の総不純物の量を測定する手段は、当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0%未満の総不純物の蓄積を示す。いくつかの好ましい態様において、製剤は、約3.0%未満の総不純物の蓄積を示す。
本発明の水性医薬製剤のいくつかの特定の態様は、以下の通りである。
いくつかの態様において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヵ月間、または29ヵ月間保存された後に、DSPアッセイ値が94%以上、好ましくは97%以上に維持されるものであり得る。いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヵ月間保存された後にDSPアッセイ値が、94%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上に維持されるものであり得る。いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヶ月間、または29ヶ月間保存された後に、不純物Aのレベルが0.35%以下、好ましくは0.25%未満、より好ましくは0.20%未満のままとなるものであり得る。
いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存された後に、不純物A(不純物A(デキサメタゾン))のレベルが2.0%以下および1.5%未満、好ましくは0.9%未満、より好ましくは0.8%未満に留まるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃およびRH 60%で24ヶ月間または29ヶ月間保存された後に、不純物B(リン酸ベタメタゾンナトリウム)のレベルが、0.3%以下、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.1%未満に留まるものであり得る。いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、40℃および75% RHで6ヶ月間保存された後に、不純物Bのレベルが0.3%以下、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.07%未満に留まるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヵ月または29ヵ月間保存した後に、不純物Cのレベルが0.3%以下、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.11%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃および75% RHで6ヶ月間保存した後に、不純物Cのレベルが0.3%以下、好ましくは0.26%未満、より好ましくは0.25%未満に留まるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヵ月または29ヵ月間保存した後に、不純物Dのレベルが0.2%以下、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存した後に、不純物Dのレベルが0.3%未満、好ましくは0.2%未満、より好ましくは0.18%未満にとどまるようなものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヵ月または29ヵ月間保存した後に、不純物Fのレベルが0.3%未満、好ましくは0.11%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存した後に、純度Fのレベルが0.3%未満、好ましくは0.11%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヵ月または29ヵ月間保存した後に、不純物Gのレベルが0.3%未満、好ましくは0.11%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存した後に、不純物Gのレベルが0.3%未満、好ましくは0.11%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。
いくつかの態様において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヶ月または29ヶ月保存した後に、亜硫酸イオン付加物のレベルが0.21%未満、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存した後に、亜硫酸イオイ付加物のレベルが0.21%未満、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満にとどまるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヶ月または29ヶ月保存した後に、未特定不純物のレベルが0.21%未満、好ましくは0.17%未満、より好ましくは0.14%未満に留まるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃およびRH 75%で6ヶ月間保存した後に、未特定不純物のレベルが0.21%未満、好ましくは0.16%未満、より好ましくは0.11%未満のままとするものであり得る。
いくつかの実施態様において、組成物によって達成される安定性は、25℃及び60% RHで24ヶ月又は29ヶ月保存した後に、総不純物のレベルが2.9%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.6%未満にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態では、組成物によって達成される安定性は、40℃および75% RHで6ヶ月間保存した後に、総不純物のレベルが2.9%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1.7%未満にとどまるものであり得る。
いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、25℃および60% RHで24ヶ月間または29ヶ月間保存した後、pHのレベルが7.4~7.8の範囲内、好ましくは7.5~7.7の範囲内にとどまるものであり得る。いくつかの実施形態において、組成物によって達成される安定性は、40℃および75% RHで6ヵ月間保存した後、pHのレベルが7.4~7.8の範囲内、好ましくは7.5~7.7の範囲内にとどまるものであり得る。
いくつかの実施態様において、亜硫酸ナトリウムが抗酸化保存剤である場合、濃度は、亜硫酸ナトリウム (無水物) 0~70 ppmである。本発明の具体的な実施形態において、0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%ヘッドスペース酸素、および約6~9 mlヘッドスペース体積を含有する、製剤10(F10)と呼ばれる製剤は、亜硫酸ナトリウムの非存在下であっても、約906~1306 mgのリン酸デキサメタゾン等価含有量に関して、安定したアッセイプロファイル(29ヶ月間に渡り、48ヶ月間に至る投影を伴う)、および許容可能な不純物プロファイルを示した。
本開示は、抗酸化剤のレベルが低減されたグルココルチコイド含有医薬組成物に関する。抗酸化剤のレベルを低減させる能力は、そのような抗酸化剤の使用に関連する毒性副作用の低減につながるが、これは、総APIに対するヘッドスペース体積の比を、業界で一般的に使用されているもの(表1)を超えて低減させる結果である。従って、本発明の特定の態様では、総API(リン酸デキサメタゾン等価量)[mg] に対するヘッドスペース体積[ml] の比は、0~約0.00588の間である。好ましい実施形態では、「(亜硫酸塩:API) × ヘッドスペース体積」の値は0~約0.05の間である。最も好ましい実施形態では、「(亜硫酸塩:API)×ヘッドスペース体積」の値は0から~約0.02の間である。
40℃(相対湿度75% RH)の加速保存条件において、2つの異なるヘッドスペース酸素レベル(0%、5%)、約6~9 mlのヘッドスペース体積での、エデト酸二ナトリウムの除去は、約0.0046~約0.0099の間の低減されたヘッドスペース体積対API比のもとで、約12ヶ月(6ヶ月間に渡り測定され、12ヶ月に至る投影を伴う)まで安定性を維持する。後者はGRAS賦形剤のみで作られた製剤である。亜硫酸ナトリウム(無水物)とエデト酸ナトリウムの両方の除去もまた可能であり、加速保存条件(40℃/75% RH)で約0.0046~約0.0099の間のヘッドスペース体積対API比で3ヶ月間に至って安定性を維持する。F10(25℃/60% RH)の結果は、いかなる抗酸化剤も存在しなくても少なくとも29ヶ月以上の貯蔵寿命を達成できることを示している。さらに、エデト酸二ナトリウムを欠きながらの、ICHで規定された40℃/75% RHの加速保存条件(6ヶ月まで検査された)において、リン酸デキサメタゾンナトリウムの濃度を増加(10~40 mg/mlまたは10~200 mg/ml)させると、総不純物の減少がもたらされる。本明細書で詳細に開示されているように、低減されたレベルの抗酸化剤を使用する能力は、組成物が封入容器内に分配される際のヘッドスペース体積対API比の低減、並びに、リン酸デキサメタゾンナトリウムは溶液中の濃度が高くなると(分解に対する)自己保護性が増大するという知見によりもたらされる。
本開示はまた、グルココルチコイド薬を必要とする患者の治療のための、本明細書に開示された医薬組成物の使用に関する。そのような治療は、例えば、抗炎症、免疫抑制、リンパ球除去、胚中心除去、IL-2、IL-7、IL-12および/またはIL-15の上昇、間葉幹細胞の上昇、G-CSFの増加、好中球の増加、腫瘍/癌の殺傷、または細胞ベースの治療に先立つリンパ球枯渇(プレコンディショニング)を必要とする患者への組成物の投与を含む。
従って、本発明はまた、治療方法における使用のための、本明細書に開示された水性医薬製剤を提供する。
本発明はまた、治療方法における使用のための医薬の調製用の、本明細書に開示された水性医薬製剤の使用を提供する。
本発明はまた、それを必要とする対象に、本明細書に開示される水性医薬製剤の治療的有効量を投与することを含む、治療方法を提供する。
いくつかの態様において、本方法は、対象における脾臓への幹細胞の蓄積を低減させる方法であって、幹細胞治療に先立って対象に該製剤を投与することを含む方法である。そのような方法は、例えば、WO 2012/024519に開示されている。ある態様において、本方法は、対象における養子細胞療法(ACT:adoptive cellular therapy)を増強する方法であって、養子細胞療法に先立って対象に該製剤を投与することを含む方法である。そのような方法は、例えば、WO 2018/183927に開示されている。或る実施態様では、該方法は、対象におけるリンパ球媒介性疾患の治療方法であって、対象に該製剤を投与することを含む方法である。そのような方法は、例えば、PCT/US 2019/054395に開示されている。
本明細書中で使用される、「それを必要とする患者」および「それを必要とする対象」は、炎症性、免疫抑制性または癌性疾患と診断された、例えばヒト、イヌ、ネコ、ブタなどの哺乳動物である個体を含み得る。「治療すること(treating)」、「治療(treatment)」または「治療する(treat)」とは、以下のことを表し得る:疾患もしくは状態に罹患しているか、またはその臨床的もしくは前臨床的な症状をまだ経験もしくは呈示していないがその疾患もしくは状態に罹患しやすくなっている可能性がある患者において、疾患または状態の臨床的症状の出現を軽減または遅延させること。
特定の実施形態において、「治療すること」、「治療する」または「治療」とは、疾患または状態に罹患しているか、またはその臨床的もしくは前臨床的な症状をまだ経験もしくは呈示していないがその疾患もしくは状態に罹患しやすくなっている可能性がある患者において、疾患または状態の臨床的症状の出現を防止することを表し得る。「治療すること」、「治療する」または「治療」はまた、疾患または状態を阻害すること、例えば、その発生または少なくとも1つのその臨床的もしくは前臨床的な症状を停止または低減することも指す。「治療すること」、「治療する」または「治療」は、さらに、疾患または状態の緩和、例えば、疾患もしくは状態またはその少なくとも1つの臨床的もしくは前臨床的な症状の退縮を引き起こすことを表す。治療される患者に対する利益は、統計学的に有意であるか、数学的に有意であるか、または少なくとも患者および/または医師にとって知覚可能である。いずれにしても、予防的(防止的)処置および治療的(治癒的)処置は、本明細書における開示の2つの別個の実施形態である。
組成物の他の使用には、癌治療、非骨髄除去的療法または骨髄除去的療法(化学療法、放射線療法、および併用療法を含む)のための血液学的回復を必要としない対象における損傷された組織または臓器を再生させるための医薬の製造における、幹細胞調製物と、リンパ組織内の胚中心へのその幹細胞の結合を阻害する治療剤との使用が含まれ、その治療剤は、損傷された臓器または組織への幹細胞の結合を阻害せず、それによって標的組織または臓器に引き付けられて損傷臓器または組織を再生させることができる循環幹細胞の数を増加させる。
投与することとは、当業者に知られる種々の方法および送達システムのいずれかを使用して、対象に薬剤を物理的に導入することを表す。本明細書に開示される製剤のための例示的な投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば注射または注入による投与が含まれる。本明細書中で使用される場合、「非経口投与」という語句は、通常は注射による、腸内投与および局所投与以外の投与モードを意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ節内、病巣内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、クチクラ内、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボ電気穿孔を含む。いくつかの態様において、製剤は非経口経路、例えば経口経路を介して投与される。他の非経口経路としては、例えば鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所的投与のような、局所、表皮または粘膜投与経路が挙げられる。
本明細書で使用される用語「注射部位」は、非限定的に、腫瘍内、または腎臓、肝臓、膵臓、心臓、肺、脳、脾臓、もしくは眼のような臓器内、筋肉内、眼内、線条体内、皮内、真皮パッチによるもの、皮膚パッチによるもの、パッチによるもの、脳脊髄液中へのもの、脳中へのもの、その他に関係する。
本開示はまた、低減されたレベルの抗酸化保存剤を含む高濃度グルココルチコイド含有医薬組成物の製造方法に関する。このような方法は、組成物の成分を混合し、APIに対するヘッドスペース体積の比が低減される環境で該組成物を封入する工程を含む。
本発明の特定の態様では、ヘッドスペース体積対API比は0~0.00588である。そのような場合には、封入の際にこのような比率を利用することにより、例えば亜硫酸塩のレベルを低減させるなど、低減された保存剤濃度の使用が可能になる。一態様では、亜硫酸塩の濃度は0~70 ppmである。パッケージングについて、ヘッドスペース体積は、計算(バイアル縁容積-ストッパー体積-液体充填体積)によって、または、液体を加えて、全てのガスが置き換えられたときのその体積を測定することによって、測定することができる。
また、グルココルチコイドを含む水性医薬製剤を安定化させる方法も開示され、この方法は、本明細書に開示されている水性医薬製剤を、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比を0.007以下として容器に封入することを含む。いくつかの好ましい態様において、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比は、0.00588以下である。
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書に開示された発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および趣旨は下記の特許請求の範囲およびその均等物によって示されることが意図される。
定義
本明細書で使用される「アッセイ値の維持」とは、製造時の値と比較して、製剤の定量的化学的特性を許容限度内に維持することを意味する。これは、例えば、製剤の定量的な化学的特性を分析し、製造時に測定されたその同じ特性とそれらを比較することによって、決定することができる。具体的なケースにおいて、これは、製剤中の活性医薬成分(API)のレベル/量をアッセイし、それを製造時のレベル/量と比較することを表す。他の場合ではこれは、活性医薬成分(API)の分解生成物のレベル/量、または製剤中の未知不純物のレベル/量をアッセイすることも表し得る。他の場合には、これは、製剤中の総不純物のレベル/量をアッセイすることも表し得る。
本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、その2つの特定された特徴または成分のそれぞれの、他方を伴うまたは伴わない具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」というような語句で使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」 「A」(単独)と「B」(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」というような語句において使用される用語「および/または」は、以下の各側面を包含することを意図している:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);C(単独)。
代替的記載(例えば「または」)の使用は、代替物の一方、両方、またはそれらのいずれかの組合せを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」または「an」は、列記または列挙された成分の「一つ以上」を表すと理解されるべきである。
本明細書に記載される場合、濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、別段の指定がない限り、記載された範囲内のあらゆる整数の値、および適切な場合には、その分数(たとえば整数の10分の1と100分の1)を含むと理解されるべきである。
量または持続時間などの測定可能な値を表す場合の用語「約」は、 +/- 20%または +/- 10%または +/- 5%の変動を表す。すなわち、用語「約」は、その特定の値または組成についての、当業者によって決定される許容可能な誤差範囲内にある値または組成を表し、これは、その値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの制約に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における実務に従って、1標準偏差内または1超の標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、20%までの範囲(すなわち、±20%)を意味することができる。例えば、約3 mgは、2.3 mg~3.6 mgの間の任意の数値(20%について)を含むことができる。さらに、特に生物学的なシステムまたはプロセスに関して、この用語は、値から1桁以内までまたは値の5倍以内までを意味し得る。特定の値または組成が本願および特許請求の範囲に記載される場合、別段の記載がない限り、「約」の意味は、その特定の値または組成についての許容される誤差範囲内、例えば10分の1の誤差範囲内にあると推定されるべきである。
本開示において、濃度は、例えば、グラム/リットル(g/l)またはミリグラム/ミリリットル(mg/ml)として表され得る。濃度は百万分率(ppm)として表すこともできる。1000 ml中の1 g(1 g/l)は1000 ppmに相当する。したがって、1000 ml中の1ミリグラム(1 mg/L)は1 ppmであり、1 ml中の1ミリグラム(1 mg/ml)は1000 ppmである。同様に、0.1 mg/mlは100 ppm、0.07 mg/mlは70 ppm、0.01 mg/mlは10 ppmである。当業者は、mg/mlおよびppmで表される濃度の間で容易に変換を行うことができる。
以下の実施例は、本発明の選択された実施形態をさらに例証するために提示される。
実施例の方法
リン酸デキサメタゾン注射液についてのアッセイおよび関連物質(UPLC)。医薬製剤中のリン酸デキサメタゾンおよび関連物質を定量するためのUPLC法の詳細。
実施例1
表1は、選択された市販のリン酸デキサメタゾンナトリウム溶液(バイアルまたはアンプル)とAVM0703との比較を、推定/測定ヘッドスペース体積、API濃度および含量、亜硫酸塩濃度および含量、並びに選択された計算比率に関して示している:AVM0703は、ヘッドスペース体積[ml] 対総API(リン酸デキサメタゾン当量)[mg] 比、総亜硫酸塩[mg] 対総API(リン酸デキサメタゾン当量)[mg] 比に関して、業界における製造されたリン酸デキサメタゾンナトリウム製剤で通常見られる値を下回っており、また、「(亜硫酸塩/API) ×ヘッドスペース体積」値に関して最も低いものの一つである。
実施例2
DoE試験のターゲットポイント製剤の組成 (mg/ml) 。
重量パーセント(濃度)で表された、DoE試験のターゲットポイント(センターポイント)製剤の組成。
実験計画法試験製剤:16製剤中10製剤を長期保存(25℃/60% RH)についてモニターした。25℃/60% RHで29ヶ月間モニターした実験計画法研究の一部として、16製剤を調製した。表4は、16製剤中10製剤の規格・組成を示す。製剤14は事故により大気暴露を経てしまい、試験には用いられなかった。すべての製剤は透明で黄色がかった溶液と記載(described)された。全ての製剤は、24 mg/mlのリン酸デキサメタゾン(DP) と等価である26.23 mg/mlのDSP、ならびに0.05 mg/ml EDTA二ナトリウムおよび10 mg/mlクエン酸ナトリウムを含有した。全ての製剤を、表1に概説するAVM0703ヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量(mg) 比を用いて封入した(24 mg/mlリン酸デキサメタゾン;51 mlバイアル;7.2 mlヘッドスペース体積;約0.00588のヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量(mg) 比)。
AVM0703 ― 実験計画法 ― 6つの製剤を18ヶ月以上に渡りモニターした (25℃/60% RH) 。様々なレベルの亜硫酸ナトリウム (無水物) およびヘッドスペース酸素を有する6つの製剤について、18ヶ月の時点での安定性を試験した。F15(20.9%の大気性酸素レベル)を除いて、他の5つの製剤(F2、4、9、10および11)はいずれも、要求されるAPIアッセイ値または不純物の閾値の範囲内であった。これら6つは、これら2つの因子を評価するためのDoE研究のために製造された15の製剤から選択された:13の製剤(F1~F13)は、0から0.07 mg/mLの範囲の亜硫酸ナトリウム (無水物) および0から10%の範囲のヘッドスペース酸素を評価するため、2つの追加の製剤(F15、F16)は、それぞれ0.035または0.07 mg/mlを用いて大気酸素(20.9%) での安定性を評価するために製造された。結果を表5に示す。
AVM0703 ― 実験計画法 ― 9つの製剤を24ヶ月以上に渡りモニターした (25℃/60% RH) 。様々なレベルの亜硫酸ナトリウム (無水物) およびヘッドスペース酸素を有する9つの製剤について、24ヶ月の時点での安定性を試験した。F15(20.9%の大気性酸素レベル)を除き、他の8製剤(F2、4、6、8、9、10、11、および12)はすべて、要求されるAPIアッセイ値または不純物の閾値の範囲内であった。これらの9つは、これら2つの因子を評価するためのDoE研究のために製造された15の製剤から選択された:13の製剤(F1~F13)は、0から0.07 mg/mLの範囲の亜硫酸ナトリウム (無水物) および0から10%の範囲のヘッドスペース酸素を評価するため、2つの追加の製剤(F15、F16)は、それぞれ0.035または0.07 mg/mlを用いて大気酸素(20.9%) での安定性を評価するために製造された。結果を表6に示す。
AVM0703 ― 実験計画法 ― 9つの製剤を29ヶ月以上モニターした(25℃/60% RH)。様々なレベルの亜硫酸ナトリウム (無水物) およびヘッドスペース酸素を有する9つの製剤について、29ヶ月の時点での安定性を試験した。F15(20.9%の大気性酸素レベル)を除き、他の8製剤(F2、4、6、8、9、10、11、および12)はすべて、要求されるAPIアッセイ値または不純物の閾値の範囲内であった。これらの9つは、これら2つの因子を評価するためのDoE研究のために製造された15の製剤から選択された:13の製剤(F1~F13)は、0から0.07 mg/mLの範囲の亜硫酸ナトリウム (無水物) および0から10%の範囲のヘッドスペース酸素を評価するため、2つの追加の製剤(F15、F16)は、それぞれ0.035または0.07 mg/mlの亜硫酸ナトリウム (無水物)を用いて大気酸素(20.9%) での安定性を評価するために製造された。結果を表7に示す。
AVM0703製剤中の活性医薬成分APIについての29ヶ月間の実験計画法結果。(図1) リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)。様々なレベルの亜硫酸ナトリウム(無水物)およびヘッドスペース酸素を有する6つの製剤を、安定性について試験している。製剤2および4(F2、4)は、0.035 mg/mlの亜硫酸ナトリウム(無水)および5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を有するターゲットポイント製剤である。この結果は、5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素における0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)の亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値について製剤は95~105%DSP含有量の範囲内にあり、試験したいずれの製剤についても95%未満には低下していないことを実証している(25℃/60% RH)。
AVM0703製剤中の「不純物A」(遊離デキサメタゾン)についての29ヶ月間の実験計画法結果。(図2) 結果は、試験された全ての製剤が、遊離デキサメタゾン(不純物A)についてNMT(not more than:~以下)1%の範囲内にあることを示す(最初は0.5%、後に1%に増加)。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は、0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった。遊離デキサメタゾンはDSPからの酸加水分解により蓄積する(25℃/60% RH)。
AVM0703製剤中の「未特定不純物」についての29ヶ月間の実験計画法結果。(図3) 結果は、試験された全ての製剤が、未同定不純物についてNMT(~以下)0.2%の範囲内にあることを示す。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は、0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった。製剤F15(大気酸素レベル)のみが、最終時点について閾値を超えていた(25℃/60% RH)。
AVM0703製剤中の「総不純物」についての29ヶ月間の実験計画法結果。(図4) 結果は、試験された全ての製剤が、NMT(~以下)3%の範囲内にあることを示す。5%(F2、4、9、10)、10%(F11)および20.90%(F15)のヘッドスペース酸素において、亜硫酸ナトリウム(無水)の試験値は0(F10)、0.035(F2、4、11、15)および0.07 mg/ml(F9)であった(25℃/60% RH)。
図5:実験計画法ターゲットポイント製剤2および4(F2、F4):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、両方の製剤について、リン酸デキサメタゾンナトリウム含有量は48ヶ月(Months)に渡り95%(Percent)超であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図6:実験計画法製剤9(F9):0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、リン酸デキサメタゾンナトリウム含有量が48ヶ月間に渡り95%超であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図7:実験計画法製剤10(F10):0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、リン酸デキサメタゾンナトリウム含有量が48ヶ月間に渡り95%超であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図8:実験計画法製剤11(F11):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%酸素ヘッドスペース。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、リン酸デキサメタゾンナトリウム含有量が36ヶ月間に渡り95%超であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図9:実験計画法製剤15(F15):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、リン酸デキサメタゾンナトリウム含有量が48ヶ月間に渡り95%超であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図10:実験計画法製剤2および4(F2、F4):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、両方の製剤について、不純物Aが48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図11:実験計画法製剤9(F9):0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、不純物Aが48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図12:実験計画法製剤10(F10):0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、不純物Aが48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図13:実験計画法製剤11(F11):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%酸素ヘッドスペース。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、不純物Aが48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図14:実験計画法製剤15(F15):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース(大気性)。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、不純物Aが24ヵ月の時点で0.5%を超えたことを示す一方、この不純物が48ヶ月間に渡り1%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図15:実験計画法製剤2(F2):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%ヘッドスペース酸素。測定データ6点(29ヶ月まで)による投影は、この製剤について、未特定不純物が29ヵ月の時点で0.2%に達したが、48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図16:実験計画法製剤4(F4):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%ヘッドスペース酸素)。測定データ6点による投影は、この製剤について、未特定不純物が29ヵ月の時点で0.2%に達したが、48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図17:実験計画法製剤9(F9):0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%ヘッドスペース酸素)。測定データ6点による投影は、この製剤について、未特定不純物が約32ヵ月で0.2%を超えるが、48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図18:実験計画法製剤10(F10):0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%ヘッドスペース酸素)。測定データ6点による投影は、この製剤について、未特定不純物が32ヵ月で0.2%を超えるが、48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図19:実験計画法製剤11(F11):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%ヘッドスペース酸素)。測定データ6点による投影は、この製剤について、未特定不純物が約31ヵ月で0.2%を超えるが、48ヶ月間に渡り0.5%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図20:実験計画法製剤15(F15):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース(大気性)。測定データ6点は、この製剤について、未特定不純物が約10ヵ月で0.2%を超え、約30ヵ月では0.5%を超えると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図21:実験計画法製剤2(F2):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図22:実験計画法製剤4(F4):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.4%酸素ヘッドスペース。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図23:実験計画法製剤9(F9):0.07 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース)。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図24:実験計画法製剤10(F10):0 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、5.1%酸素ヘッドスペース。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図25:実験計画法製剤11(F11):0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、10.4%ヘッドスペース酸素。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
図26:実験計画法製剤15(F15:0.035 mg/ml亜硫酸ナトリウム無水物、20.9%酸素ヘッドスペース;大気性)。測定データ6点による投影は、この製剤について、総不純物が48ヶ月間に渡り3%未満であると予測されることを示す(25℃/60% RH)。
実施例3
拡張DoE ― 亜硫酸ナトリウム/エデト酸二ナトリウムを含まない製剤の安定性。増加するヘッドスペース酸素のレベル(0%、5%、10%、および15%)における、亜硫酸ナトリウムまたはEDTAのいずれかの不存在下での製剤の安定性を評価するための一連の実験計画法(40℃/75% RHで6ヶ月まで):表8に示す仕様を有する10種類の製剤を製造し(GLP等級)、安定性について試験した。26.23 mg/ml DSPは24 mg/mlリン酸デキサメタゾンに相当する。全ての製剤を、表1に概説したAVM0703ヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量 (mg)比を用いて封入した(24 mg/mlリン酸デキサメタゾン;51 mlバイアル;7.2 mlヘッドスペース体積;約0.00588のヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量 (mg) 比)。
亜硫酸ナトリウムもしくはエデト酸二ナトリウムのいずれかまたは両方を欠く、1ヵ月間の実験計画法(拡張DoE)結果(表9)。2つの異なるレベル(0または0.035 mg/ml)の亜硫酸ナトリウム(無水物)、2つの異なるレベルのエデト酸二ナトリウム(0または0.5 mg/ml)、および4つの異なるレベルのヘッドスペース酸素(0、5、10、15%)を有する10種類の製剤(すべて、26.23 DSP mg/mlに相当するリン酸デキサメタゾン等価量として24 mg/ml;10 mg/mlクエン酸ナトリウム)を、安定性について試験した(40℃/75% RH)。製剤1-1、1-2、1-3および1-4は亜硫酸ナトリウム (無水) を欠き、エデト酸二ナトリウムを0.5 mg/ml含有し、増加する量のヘッドスペース酸素(1-1:0%、1-2:5%、1-3:10%、1-4:15%)を有する。製剤2-1、2-2、2-3および2-4はエデト酸二ナトリウムを欠き、亜硫酸ナトリウム (無水) を0.035 mg/ml含有し、増加する量のヘッドスペース酸素(2-1:0%、2-2:5%、2-3:10%、2-4:15%)を有する。製剤3-1は0.035 mg/mlの亜硫酸ナトリウム (無水) および0.5 mg/mlのエデト酸二ナトリウムを含むが、ヘッドスペース酸素を欠く。製剤4-1は亜硫酸ナトリウム (無水) およびエデト酸二ナトリウムを欠き、5%のヘッドスペース酸素を含む。結果は、全10製剤がDSP含有量について95~105%の範囲内であり、既知不純物(A:1%以下;B、C、D、F及びG:0.5%以下)及び未知不純物(0.2%以下)について設定した閾値以内であり、「総不純物」値は3%の閾値よりはるかに低いことを示している(保存条件は40℃/75% RH、反転)。
亜硫酸ナトリウムもしくはエデト酸二ナトリウムのいずれかまたは両方を欠く、1、3、および6ヵ月間の実験計画法(拡張DoE)結果(図28~44)。10の製剤は全て3ヶ月の時点で記載をパスしたが、6ヶ月の安定性時点で透明な溶液として記載をパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。これらの3つの製剤(2-1、2-2、3-1)はすべてDSPアッセイ値の合格基準内であった(95~105%)。
図28:増加するレベルのヘッドスペース酸素(=HO:0%、5%、10%、および15%)において亜硫酸ナトリウム(Sulfite)またはEDTAのどちらかの非存在下での製剤の安定性を評価するための、DSPアッセイ値についての実験計画法結果(40℃/75% RHで6ヶ月(Months)まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て26.23 mg/mlのDSPを含有し、これは24 mg/mlのリン酸デキサメタゾン(DP)と等価である。10種の製剤は全て3ヶ月においては記載(description)をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。上のチャートはDSPアッセイの結果をパーセント単位の絶対値で示し、下のチャートは、0ヶ月値(製造時)から差し引いた1、3、および6ヶ月におけるパーセントの差を示す。結果は、製剤2‐1が6ヶ月時点で、記載(沈殿なし)を依然としてパスしながら、すべての製剤のなかで最も分解が少ないことを示している。
図29および図30:不純物AおよびBについての実験計画法結果(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。図29は不純物Aの結果を示し、図30は不純物Bを記述する。結果は、すべての製剤のなかで製剤2‐1が6ヶ月の時点で不純物A(デキサメタゾン)の蓄積が最も低かったことを示している。不純物Bはいずれの製剤でも増加していなかった。
図31および図32:不純物CおよびDについての実験計画法結果(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。図31は不純物Cの結果を示し、図32は不純物Dを記述する。結果は、すべての製剤のなかで、最も高いヘッドスペース酸素値を有する製が6ヶ月の時点で不純物Cの蓄積が最も低かったことを示している。不純物Dは全ての製剤で3ヶ月時点から6ヶ月時点までで最も増加した。0%ヘッドスペース酸素(HO)において存在する亜硫酸塩とEDTAとを含む製剤3‐1は、沈殿なしで記載をパスした3製剤のなかで、6ヶ月の時点で最も低い値を有していた。
図33および図34:不純物FおよびGについての実験計画法結果(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。図33は不純物Fの結果を示し、図34は不純物Gを記述する。結果は、いずれの製剤も不純物Fについて0.2%の閾値を超えた増加はしないことを示している。不純物Gに関しては、製剤2‐1が6ヶ月時点で全て製剤のなかで最も低い蓄積を示した。
図35および図36:最も高い値を有する未同定不純物および総不純物についての実験計画法結果(40℃/75% RHで6ヶ月まで;26.23 mg/ml DSP=24 mg/ml DP):10種の製剤は全て3ヶ月においては記載をパスしたが、透明な溶液という記載を6ヶ月の安定性時点においてパスしたのは以下の製剤のみであった:(バッチ番号-製剤番号)2‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)。他のすべては6ヶ月において沈殿を示した。図35は、最も高い値を有する未同定不純物についての結果を示す一方、図36は総不純物を示している。総不純物とは、前述のすべての不純物(A、B、C、D、F、G、最も高い未同定不純物)に加えて、より低値のすべての他の未同定不純物(保持時間が異なる)を合計したものである。結果は、EDTAを欠く(6ヶ月時点で沈殿を示さない3種全てのうちの)2種の亜硫酸塩製剤(2-1、2-2)は、最も高い未同定不純物の値が、最も低かった。同様に、同じこれら2つの製剤(2-1および2-2)は、総不純物の量が最も少ないことで特徴付けられる。したがって、この製剤については、0または5%のヘッドスペース酸素で40℃/75% RHの保存条件でEDTAは必要とされない。
図37:追加的実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、ヘッドスペース酸素5%)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、ヘッドスペース酸素0%)のDSPの結果および投影。4つの測定された(6ヶ月(Months)までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1では12ヶ月(40℃/75% RH)でリン酸デキサメタゾンナトリウム含量が95%(Percent)にあると予測される一方、2-2および3-1はそれぞれ約93%および93.5%のレベルにあると予測されることを示している。この結果は、これらの製剤について向上した安定性を達成するためにEDTAは必要ではないことを示している。
図38:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物A結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1および2-2では12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Aレベルが1%未満にあると予測される一方、製剤3-1では約9ヶ月で1%に達すると予測されることを示している。この結果は、これらの製剤について向上した安定性を達成するためにEDTAは必要ではないことを示している。
図39:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物Cの結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、これらの製剤について、製剤2-1では12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Cレベルが0.5%にあると予測される一方、製剤2-2および3-1ではその時点で0.5%を少し下回ることを示している。
図40:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物Dの結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Dレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図41:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物Fの結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Fレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図42:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の不純物Gの結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で不純物Gレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。
図43:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の未同定不純物の結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、3つの製剤全てについて、12ヶ月(40℃/75% RH)で未同定不純物のレベルが0.5%未満であると予測されることを示している。さらに、EDTAを含まない2製剤(2-1および2-2)は、12ヵ月時点で0.2%をさえも下回る予測レベルを示している。
図44:追加的な実験計画法製剤2‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)、2‐2(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0 mg/ml、および5%酸素ヘッドスペース)および3‐1(亜硫酸ナトリウム無水物0.035 mg/ml、EDTA 0.5 mg/ml、および0%酸素ヘッドスペース)の総不純物の結果および投影。4つの測定された(6ヶ月までの)データポイントによる投影は、EDTAを含まない2製剤(2-1および2-2)では12ヶ月(40℃/75% RH)で総不純物のレベルが3%未満であると予測される一方、亜硫酸塩およびEDTAを含む製剤3‐1では3%に達することを示している。この結果は、これらの製剤の安定性を増加させるためにEDTAは必要ではないことを示している。
実施例4
それぞれ0.5 mg/mlのEDTAを伴ってまたは伴わないで、3つの異なるレベルのDSP(10、30、45 mg/ml、9.15、27.45、41.17のリン酸デキサメサゾン(DP)と等価)を有する6種類の製剤を製造した。これらの6つの製剤の組成を表10および11に概説する。バッチ1および2(表10)の製剤は、デキサメタゾン含量(mg)に対するヘッドスペース体積(ml)を0.05143として封入された(10 mg/mlリン酸デキサメタゾンナトリウム、9.15 mg/mlリン酸デキサメタゾンに相当;51 mlバイアル;7.2 mlヘッドスペース体積;約0.01543のヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量(mg) 比)。バッチ3および4(表10)における製剤は、デキサメタゾン含量(mg)に対するヘッドスペース体積(ml) を0.0514として封入された(30 mg/mlリン酸デキサメタゾンナトリウム、27.45 mg/mlリン酸デキサメタゾンに相当);51 mlバイアル;7.2 mlヘッドスペース体積;約0.00514のヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量(mg) 比)。バッチ1および2(表11)の製剤は、デキサメタゾン含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml)を0.00343として封入された(45 mg/mlリン酸デキサメタゾンナトリウム、41.17 mg/mlリン酸デキサメタゾンに相当;51 mlバイアル;7.2 mlヘッドスペース体積;約0.00343のヘッドスペース体積(ml) 対デキサメタゾン含量(mg) 比)。
それぞれ0.5 mg/mlのEDTAを伴ってまたは伴わないで、3つの異なるレベルのDSP(10、30、45 mg/ml、9.15、27.45、41.17のリン酸デキサメサゾン(DP)と等価)を有する6種類の製剤を製造し、安定性試験に供した(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RH)0、1、3、6ヶ月)。6製剤は全て5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み、亜硫酸塩を欠いていた。結果は、DSP濃度を増加させた製剤は経時的に形成される総不純物より少ないことを示している。これらの結果の概要を表12に示す。
図45および図46:AVM0703製剤中の活性医薬成分(API)すなわちリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させることについての追加的な実験計画法の結果。それぞれ0.5 mg/ml EDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30および45 mg/ml)を有する、6種類の製剤を製造し、安定性試験に供した(50 mlアンバーバイアル;40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月(Months))。全6製剤は5%ヘッドスペース酸素(95%窒素)を含み、亜硫酸塩を欠いていた。6ヶ月にわたってすべての製剤で不純物CおよびGの明らかな減少が存在するが、EDTAを含む製剤における不純物AあるいはEDTAを欠く製剤における不純物Dについては明らかな傾向が存在しないと見られる。EDTAを欠く製剤における不純物Aについては、初期増加が認められるが最終的には停滞している一方、EDTAを含む製剤における不純物Dについては、約0.2%に至る経時的な増加が見られる。
図47:AVM0703製剤中の活性医薬成分(API)すなわちリン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)の濃度を増加させることについての実験計画法の結果(40℃/75% RHで0、1、3、6ヶ月)。それぞれ0.5 mg/ml EDTAを伴ってまたは伴わないで3つの異なるレベルのDSP(10、30および45 mg/ml、9.15、27.45、および41.17のリン酸デキサメタゾンに相当)を有し、それぞれ5%のヘッドスペース酸素(95%窒素)を含む、6種類の製剤を、安定性について試験した。6つの製剤は全て亜硫酸塩を欠いていた。上のチャートにはすべての製剤が含まれており、中央および下のチャートには、それぞれEDTAを含む(中央)または含まない(下)3つの製剤が示されている。最も高い45 mg/mlのDSP含量を有する製剤は3ヶ月でまだ記載をパスしたが、他の全ては不合格となり沈殿を示した。結果は、DSP濃度を増加させた製剤は、EDTAの有無とは無関係に、経時的に形成される総不純物がより少ないことを示している。
参考文献
本発明と、本発明が関係する技術水準とをより完全に記述し開示するために、多数の刊行物が上記で引用されている。これらの参考文献の完全な引用を以下に示す。
発明の陳述
101. (i) グルココルチコイド(重量 [mg])に対するヘッドスペース(体積 [ml])の比が0~0.00588で封入された、グルココルチコイドと、(ii) 70 ppm未満の濃度の保存剤とを含む、医薬組成物。
102. グルココルチコイドがデキサメタゾンである、記載101の医薬組成物。
103. 保存剤が亜硫酸塩である、記載101の医薬組成物。
104. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムである、記載103の医薬組成物。
105. 保存剤の濃度が0 ppmである、記載101の医薬組成物。
106. キレート剤をさらに含む、記載101
107. キレート剤がエデト酸二ナトリウムである、記載106の医薬組成物。
108. キレート剤エデト酸二ナトリウムの濃度が0 ppmである、記載101の医薬組成物。
109. グルココルチコイド(重量 [mg])に対するヘッドスペース(体積 [ml])の比を0~0.00588として医薬組成物を封入することに基づく、保存剤の濃度が低い医薬組成物を製造する方法。
110. 保存剤が亜硫酸塩である、記載109の方法。
111. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムである、記載109の方法。
112. 保存剤の濃度が0 ppmである、記載109の方法。
113. キレート剤をさらに含む、記載109の方法。
114. キレート剤としてエデト酸二ナトリウムをさらに含む、記載109の方法。
115. キレート剤エデト酸二ナトリウムの濃度が0 ppmである、記載109の方法。
116. グルココルチコイド治療を必要とする宿主を治療する方法であって、クレーム記載101の医薬組成物を投与することを含む方法。
117. グルココルチコイドがデキサメタゾンである、記載116の方法。
118. グルココルチコイドに対するヘッドスペースが0~0.00588である、記載116の方法。
119. 保存剤が亜硫酸塩である、記載116の方法。
120. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムである、記載116の方法。
121. 保存剤の濃度が0 ppmである、記載116の方法。
122. キレート剤をさらに含む、記載116の方法。
123. キレート剤としてエデト酸二ナトリウムをさらに含む、記載116の方法。
124. キレート剤エデト酸二ナトリウムの濃度が0 ppmである、記載116の方法。
201. グルココルチコイドを含む水性医薬製剤であって、総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比が0.007以下で容器に封入されている、水性医薬製剤。
ヘッドスペース対API比
202. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積 (ml) の比が、0.0065以下、0.0060以下、0.00588以下、0.0055以下、0.0050以下、0.0045以下、0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、または0.0010以下である、記載201の水性医薬製剤。
203. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積 (ml) の比が0.00588以下である、記載202の水性医薬製剤。
亜硫酸塩対API比
204. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対する総亜硫酸塩含量 (mg) の比が0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、0.00146以下、または0.0010以下で容器に封入された、記載201~203のいずれか一項の水性医薬製剤。
205. 総亜硫酸塩含量 (mg) 対総グルココルチコイド含量 (mg) 比が0.00150以下、好ましくは0.00146以下で容器に封入されている、記載204の水性医薬製剤。
ヘッドスペース体積
206. ヘッドスペース体積が、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1 ml以下である、記載201~205のいずれか一項の水性医薬製剤。
207. ヘッドスペース体積が約8 ml以下である、記載206の水性医薬製剤。
ヘッドスペース酸素
208. ヘッドスペース体積が、約21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%未満の酸素を含む、記載201~207のいずれか一項の水性医薬製剤。
209. ヘッドスペース体積が約5%未満の酸素を含む、記載208の水性医薬製剤。
210. ヘッドスペース体積が0%の酸素を含む、記載201~207のいずれか一項の水性医薬製剤。
保存剤濃度
211. 1種以上の保存剤を含み、保存剤の濃度が約0.1 mg/ml以下である、記載201~210のいずれか一項の水性医薬製剤。
212. 保存剤の濃度が約0.09 mg/ml以下であるか、約0.08 mg/ml以下であるか、約0.07 mg/ml以下であるか、約0.06 mg/ml以下であるか、約0.05 mg/ml以下であるか、約0.04 mg/ml以下であるか、約0.035 mg/ml以下であるか、約0.03 mg/ml以下であるか、約0.02 mg/ml以下であるか、または約0.01 mg/ml以下である、記載211の水性医薬製剤。
213. 保存剤の濃度が約0.07 mg/ml以下であり、好ましくは保存剤の濃度が約0.035 mg/ml以下である、記載212の水性医薬製剤。
214. 保存剤の濃度が0 mg/mlである、記載201~210のいずれか一項の水性医薬製剤。
215. 保存剤を含まない、記載201~210のいずれか一項の水性医薬製剤。
保存剤のアイデンティティ
216. 保存剤が亜硫酸塩、パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンゼトニウム、プロピレングリコール、および/またはクレアチニンである、記載211~215のいずれか一項の水性医薬製剤。
217. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウム (無水物)、亜硫酸水素ナトリウム、および/またはメタ重亜硫酸ナトリウムである、記載216の水性医薬製剤。
218. パラベンがメチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベンおよび/またはイソブチルパラベンであり、好ましくはパラベンがメチルパラベンおよび/またはプロピルパラベンである、記載216の水性医薬製剤。
キレート剤濃度
219. 1種以上のキレート剤を含み、キレート剤の濃度が約0.50 mg/ml以下である、記載201~219のいずれか一項の水性医薬製剤。
220. キレート剤の濃度が約0.45 mg/ml以下であるか、約0.40 mg/ml以下であるか、約0.35 mg/ml以下であるか、約0.30 mg/ml以下であるか、約0.25 mg/ml以下であるか、約0.20 mg/ml以下であるか、約0.15 mg/ml以下であるか、約0.10 mg/ml以下であるか、約0.10 mg/ml以下であるか、または約0.05 mg/ml以下である、記載219の水性医薬製剤。
221. キレート剤の濃度が0 mg/mlである、記載201~219のいずれか一項の水性医薬製剤。
222. キレート剤を含まない、記載201~219のいずれか一項の水性医薬製剤。
キレート剤のアイデンティティ
223. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、カルシウムベルセタミドナトリウム、カルテリドールおよび/またはジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)である、記載201~222のいずれか一項の水性医薬製剤。
224. キレート剤がエデト酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)である、記載223の水性医薬製剤。
グルココルチコイドのアイデンティティ
225. グルココルチコイドが、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、およびベクロメタゾンからなる群より選択される、記載201~224のいずれか一項の水性医薬製剤。
226. グルココルチコイドがデキサメタゾンを含み、任意で、デキサメタゾンが、デキサメタゾン塩基、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ヘミコハク酸デキサメタゾン、コハク酸デキサメタゾンナトリウム、コハク酸デキサメタゾン、および酢酸デキサメタゾンからなる群から選択される、記載225の水性医薬製剤。
227. デキサメタゾンがリン酸デキサメタゾンナトリウムである、記載226の水性医薬製剤。
グルココルチコイド濃度
228. グルココルチコイドの濃度が約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、もしくは45 mg/mlであるか、または少なくともその濃度である、記載201~227のいずれか一項の水性医薬製剤。
229. グルココルチコイドの濃度が約24 mg/mlであるか、または少なくとも約24 mg/mlである、記載228の水性医薬製剤。
230. グルココルチコイドの濃度が約30 mg/mlであるか、または少なくとも約30 mg/mlである、記載228の水性医薬製剤。
231. グルココルチコイドの濃度が約45 mg/mlであるか、または少なくとも約45 mg/mlである、記載228の水性医薬製剤。
製剤のpH
232. 製剤のpHが約7.0~約8.2、約7.2~約8.0、約7.3~約7.9、または約7.4~約7.8である、記載201~231のいずれか一項の水性医薬製剤。
233. 製剤のpHが約7.4~約7.8であり、好ましくは製剤のpHが約7.6である、記載232の水性医薬製剤。
製剤の他成分
234. 製剤が緩衝剤を含む、記載201~233のいずれか一項の水性医薬製剤。
235. 緩衝剤がクエン酸ナトリウムである、記載234の水性医薬製剤。
236. 緩衝剤の濃度が約10 mg/mlである、記載234または235の水性医薬製剤。
容器の種類および容積
237. 容器がバイアル、アンプル、溶媒リザーバ、貯蔵ボトル、医療用ボトル、シリンジ、またはボトルであり、好ましくは容器がバイアル、アンプル、またはボトルである、記載201~236のいずれか一項の水性医薬製剤。
238. 容器の容積が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、51、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mlであるか、または少なくともその容積である、記載201~237のいずれか一項の水性医薬製剤。
239. 容器の容積が約51 mlであるか、または少なくとも約51 mlである、記載238の水性医薬製剤。
240. 容器に封入されたグルココルチコイドの体積が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100 mlである、記載201~239のいずれか一項の水性医薬製剤。
機能的特徴
241. 20℃~40℃または15℃~20℃で保存された場合の貯蔵寿命が少なくとも約18、24、36または48ヶ月である、記載201~240のいずれか一項の水性医薬製剤。
242. 20℃~40℃または15℃~20℃で保存された場合に少なくとも約18、24、36または48ヶ月間安定である、記載201~240のいずれか一項の水性医薬製剤。
243. 20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0%未満のグルココルチコイドの分解を示す、記載201~242のいずれか一項の水性医薬製剤。
244. 製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、製剤中のグルココルチコイドの量が、製造日と比べて約95.0、95.2、95.4、95.6、96.0、96.2、96.4、96.6、96.8、97.0、97.2、97.4、97.6、98.0、98.2、98.4、98.6、98.8、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9%超で維持される、記載201~242のいずれか一項の水性医薬製剤。
245. 製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、製剤中のグルココルチコイドの量が、製造日と比べて±1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8または5.0%の間で維持される、記載201~242のいずれか一項の水性医薬製剤。
246. 20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、または2.0未満のpH変化を示す、記載201~245のいずれか一項の水性医薬製剤。
247. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Aの蓄積を示す、記載201~246のいずれか一項の水性医薬製剤。
248. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Bの蓄積を示す、記載201~247のいずれか一項の水性医薬製剤。
249. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Cの蓄積を示す、記載201~248のいずれか一項の水性医薬製剤。
250. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Dの蓄積を示す、記載201~249のいずれか一項の水性医薬製剤。
251. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Eの蓄積を蓄積を示す、記載201~250のいずれか一項の水性医薬製剤。
252. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Fの蓄積を示す、記載201~251のいずれか一項の水性医薬製剤。
253. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Gの蓄積を示す、記載201~252のいずれか一項の水性医薬製剤。
254. 製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、または0.30%未満の未特定不純物の蓄積を示す、記載201~253のいずれか一項の水性医薬製剤。
255. 製剤が20℃~40℃または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間保存された場合に、約0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0%未満の総不純物の蓄積を示す、記載201~254のいずれか一項の水性医薬製剤。
医学的使用
256. 治療方法における使用のための、記載201~255のいずれか一項の水性医薬製剤。
257. 治療方法における使用のための医薬の調製のための、記載201~255のいずれか一項の水性医薬製剤の使用。
258. それを必要とする対象に記載201~255のいずれか一項の水性医薬製剤の治療的有効量を投与することを含む、治療方法。
259. 前記方法は、対象における脾臓への幹細胞の蓄積を低減させる方法であって、該方法は、幹細胞治療に先立って対象に該製剤を投与することを含む、記載256~258のいずれか一項の製剤、使用、または方法。
260. 前記方法は、対象における養子細胞療法(ACT)を増強する方法であって、該方法は、養子細胞療法に先立って対象に該製剤を投与することを含む、記載256~258のいずれか一項の製剤、使用、または方法。
261. 前記方法は、対象におけるリンパ球媒介性疾患の治療方法であって、該方法は、対象に該製剤を投与することを含む、記載256~258のいずれか一項の製剤、使用、または方法。
製造方法
262. グルココルチコイドを含む水性医薬製剤を安定化させるための方法であって、記載201~255のいずれか一項の水性医薬製剤を、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比を0.007以下として容器に封入することを含む、方法。
301. グルココルチコイドおよび保存剤を含む水性医薬製剤であって、グルココルチコイドの濃度が少なくとも約24 mg/mlであり、保存剤の濃度が約0.1 mg/ml未満である、水性医薬製剤。
302. グルココルチコイドおよび保存剤を含む水性医薬製剤であって、グルココルチコイドの濃度が少なくとも約24 mg/mlであり、保存剤が以下のものを含む、水性医薬製剤:
約1 mg/ml未満の濃度で存在する亜硫酸塩;
約0.2 mg/ml未満の濃度で存在するパラベン;
約8 mg/ml未満の濃度で存在するクレアチニン;および/または
約0.1 mg/ml未満の濃度で存在する塩化ベンゼトニウム。
303. 保存剤の濃度が約0.1 mg/ml未満である、記載302の水性医薬製剤。
ヘッドスペース対API比
304. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積 (ml) の比が0.007以下で容器内に封入されている、記載301~303のいずれか一項の水性医薬製剤。
305. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積 (ml) の比が、0.0065以下、0.0060以下、0.00588以下、0.0055以下、0.0050以下、0.0045以下、0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、または0.0010以下である、記載304の水性医薬製剤。
306. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対するヘッドスペース体積 (ml) の比が0.00588以下である、記載305の水性医薬製剤。
亜硫酸塩対API比
307. 総グルココルチコイド含量 (mg) に対する総亜硫酸塩含量 (mg) の比が0.0040以下、0.0035以下、0.0030以下、0.0025以下、0.0020以下、0.0015以下、0.00146以下、または0.0010以下で容器に封入されている、記載301~306のいずれか一項の水性医薬製剤。
308. 総グルココルチコイド含量(mg) に対する総亜硫酸塩含量(mg) の比が0.00150以下、好ましくは0.00146以下で容器に封入されている、記載307の水性医薬製剤。
ヘッドスペース体積
309. ヘッドスペース体積が、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1 mlであるかまたはこれら未満である、記載301~308のいずれか一項の水性医薬製剤。
310. ヘッドスペース体積が約8 ml以下である、記載309の水性医薬製剤。
ヘッドスペース酸素
311. ヘッドスペース体積が、約21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%未満の酸素を含む、記載301~310のいずれか一項の水性医薬製剤。
312. ヘッドスペース体積が約5%未満の酸素を含む記載311の水性医薬製剤。
313. ヘッドスペース体積が0%酸素を含む、記載301~312のいずれか一項の水性医薬製剤。
保存剤濃度
314. 保存剤の濃度が約0.09 mg/ml以下であるか、約0.08 mg/ml以下であるか、約0.07 mg/ml以下であるか、約0.06 mg/ml以下であるか、約0.05 mg/ml以下であるか、約0.04 mg/ml以下であるか、約0.035 mg/ml以下であるか、約0.03 mg/ml以下であるか、約0.02 mg/ml以下であるか、約0.01 mg/ml以下である、記載301~313のいずれかの水性医薬製剤。
315. 保存剤の濃度が約0.07 mg/mlであるか、またはそれ未満であり、好ましくは保存剤の濃度が約0.035 mg/mlであるかまたはそれ未満である、記載314の水性医薬製剤。
316. 保存剤の濃度が0 mg/mlである、記載301から313のいずれか一項の水性医薬製剤。
317. 保存剤を含まない、記載301~313のいずれか一項の水性医薬製剤。
保存剤のアイデンティティ
318. 保存剤が亜硫酸塩、パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンゼトニウム、プロピレングリコール、および/またはクレアチニンである、記載301~317のいずれか一項の水性医薬製剤。
319. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウム(無水物)、亜硫酸水素ナトリウム、および/またはメタ重亜硫酸ナトリウムである記載318の水性医薬製剤。
320. パラベンがメチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、イソプロピルパラベンおよび/またはイソブチルパラベンであり、好ましくはパラベンがメチルパラベンおよび/またはプロピルパラベンである、記載318の水性医薬製剤。
キレート剤濃度
321. 製剤が1つ以上のキレート剤を含み、キレート剤の濃度が約0.50 mg/ml以下である、記載301~321のいずれか一項の水性医薬製剤。
322. キレート剤の濃度が約0.45 mg/ml以下であるか、約0.40 mg/ml以下であるか、約0.35 mg/ml以下であるか、約0.30 mg/ml以下であるか、約0.25 mg/ml以下であるか、約0.20 mg/ml以下であるか、約0.15 mg/ml以下であるか、約0.10 mg/ml以下であるか、約0.10 mg/ml以下であるか、または約0.05 mg/ml以下である、記載321の水性医薬製剤。
323. キレート剤の濃度が0 mg/mlである、記載301~321のいずれか一項の水性医薬製剤。
324. 製剤がキレート剤を含まない、記載301~321のいずれか一項の水性医薬製剤。
キレート剤のアイデンティティ
325. キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、カルシウムベルセタミドナトリウム、カルテリドールおよび/またはジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)である、記載301~324のいずれか一項の水性医薬製剤。
326. キレート剤がエデト酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)である、記載325の水性医薬製剤。
グルココルチコイドのアイデンティティ
327. 前記グルココルチコイドが、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、およびベクロメタゾンからなる群より選択される、記載301~326のいずれか一項の水性医薬製剤。
328. グルココルチコイドがデキサメタゾンを含み、場合によりデキサメタゾンがデキサメタゾン塩基、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ヘミコハク酸デキサメタゾン、コハク酸デキサメタゾンナトリウム、コハク酸デキサメタゾン、および酢酸デキサメタゾンからなる群から選択される、記載327の水性医薬製剤。
329. デキサメタゾンがリン酸デキサメタゾンナトリウムである、記載328の水性医薬製剤。
グルココルチコイド濃度
330. グルココルチコイド濃度が少なくとも約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45 mg/mlであるかまたはこれら以上である、記載301~329のいずれか1つの水性医薬製剤。
331. グルココルチコイドの濃度が約30 mg/mlであるか、または少なくとも約30 mg/mlである、記載330の水性医薬製剤。
332. グルココルチコイドの濃度が約45 mg/mlであるか、または少なくとも約45 mg/mlである、記載330の水性医薬製剤。
製剤のpH
333. 製剤のpHが約7.0~約8.2、約7.2~約8.0、約7.3~約7.9、または約7.4~約7.8である、記載301~332のいずれか1つの水性医薬製剤
334. 製剤のpHが約7.4~約7.8であり、好ましくは製剤のpHが約7.6である、記載333の水性医薬製剤。
製剤の他の成分
335. 製剤が緩衝剤を含む、記載301~334のいずれか1つの水性医薬製剤。
336. 緩衝剤がクエン酸ナトリウムである、記載335の水性医薬製剤。
337. 緩衝剤の濃度が約10 mg/mlである、記載335または336の水性医薬製剤。
容器の種類と容積
338. 容器がバイアル、アンプル、溶媒リザーバ、貯蔵ボトル、医療用ボトル、シリンジ、またはボトルであり、好ましくは容器がバイアル、アンプル、またはボトルである、記載301~337のいずれか一項の水性医薬製剤。
339. 容器の容積が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、51、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100 mlであるか、または少なくともその容積である、記載301~338のいずれか1つの水性医薬製剤。
340. 容器の容量が約51 mlであるか、または少なくとも約51 mlである、記載339の水性医薬製剤。
341. 容器に封入されたグルココルチコイドの体積が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100 mlである、記載301~340のいずれか1つの水性医薬製剤。
機能的特徴
342. 製剤の貯蔵寿命が、20℃~40℃、または15℃~20℃で保存された場合に少なくとも約18、24、36、または48ヶ月である、記載301~341のいずれか1つの水性医薬製剤。
343. 20℃~40℃、または15℃~20℃で保存された場合に少なくとも約18、24、36、または48ヶ月間に渡り安定である、記載301から341のいずれか1つの水性医薬製剤。
344. 20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0%未満のグルココルチコイドの分解を示す、記載301~343のいずれか1つの水性医薬製剤。
345. 20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、製剤中のグルココルチコイドの量が、製造日と比べて、約95.0、95.2、95.4、95.6、96.0、96.2、96.4、96.6、96.8、97.0、97.2、97.4、97.6、98.0、98.2、98.4、98.6、98.8、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9%超で維持される、記載301~343のいずれか1つの水性医薬製剤。
346. 20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、製剤中のグルココルチコイドの量が、製造日と比べて、±1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0%の間で維持される、記載301~343のいずれか1つの水性医薬製剤。
347. 20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、製剤が示すpHの変化が±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、または2.0未満である、記載301~346のいずれか1つの水性医薬製剤。
348. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Aの蓄積を示す、記載301~347のいずれか一項の水性医薬製剤。
349. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Bの蓄積を示す、記載301~348のいずれか一項の水性医薬製剤。
350. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Cの蓄積を示す、記載301~349のいずれか一項の水性医薬製剤。
351. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Dの蓄積を示す、記載301~350のいずれか一項の水性医薬製剤。
352. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Eの蓄積をを示す、記載301~351のいずれか1つの水性医薬製剤。
353. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Fの蓄積を示す、記載301~352のいずれか一項の水性医薬製剤。
354. グルココルチコイドがリン酸デキサメタゾンナトリウムであり、製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、または1.0%未満の不純物Gの蓄積を示す、記載301~353のいずれか一項の水性医薬製剤。
355. 製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、または3.0%未満の未特定不純物の蓄積を示す、記載301~354のいずれか1つの水性医薬製剤。
356. 製剤が20℃~40℃、または15℃~20℃で少なくとも約18、24、36、または48ヶ月保存された場合に、約0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、または5.0%未満の総不純物の蓄積を示す、記載301~355のいずれか1つの水性医薬製剤。
医学的使用
357. 治療方法に使用するための、記載301~356のいずれか1項の水性医薬製剤。
358. 治療方法に使用する医薬の調製のための、記載301~356のいずれか1つの水性医薬製剤の使用。
359. それを必要とする対象に記載301~356のいずれか1つの水性医薬製剤の治療的有効量を投与することを含む、治療方法。
360. 前記方法は対象の脾臓における幹細胞蓄積を低減させる方法であって、該方法は、幹細胞治療に先立って対象に該製剤を投与することを含む、記載357~359のいずれか1つの製剤、使用、または方法。
361. 前記方法は対象における養子細胞療法(ACT)を増強する方法であって、該方法は、養子細胞療法に先立って対象に該製剤を投与することを含む、記載357~359のいずれか一項の製剤、使用、または方法。
362. 前記方法は対象におけるリンパ球媒介性疾患の治療方法であって、該方法は対象に該製剤を投与することを含む、記載357~359のいずれか一項の製剤、使用、または方法。
製造方法
363. グルココルチコイドを含む水性医薬製剤を安定化させるための方法であって、記載301~356のいずれか1つの水性医薬製剤を、総グルココルチコイド含量(mg) に対するヘッドスペース体積(ml) の比が0.007以下で容器に封入することを含む、方法。