JP7336796B1 - 親綱支柱 - Google Patents
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Abstract
Description
親綱支柱は、所定の作業が終了した段階で簡単に撤去できる構造でなければならないが、その一方で、作業員の落下に伴う衝撃が加わった場合でも上述のH鋼のフランジなどから外れないような構造でなければならない。
特許文献1に開示された発明は、親綱ロープが上端部に係合されるとともに、基部と、この基部からそれぞれ開口部に向けて伸びる第1のクランプ片及び第2のクランプ片を備えたクランプ具が下端部に設けられた支柱部材を有しており、H鋼のフランジなどの被装着板の一方面に突き当てられる突当面が第1のクランプ片に設けられるともに、基部から開口部に向けて突当面との隙間寸法が大きくなるように傾斜した傾斜面が第2のクランプ片に設けられ、さらに、突当面と傾斜面によって形成される締結スリットに挿入された被装着板の先端エッジが傾斜面に押し付けられた状態で、被装着板の他方の面に締結されるボルトが第2のクランプ片の先端部に設けられた構造となっている。
このような構造によれば、第1のクランプ片の突当面と第2のクランプ片の傾斜面及び上記ボルトによって被装着板が挟持されるため、クランプ具による被装着板に対する親綱支柱の取り付け強度が高められる。
特許文献2に開示された発明は、連結金具を介して支柱の下端に設置された台座が、側面視「コ」の字状をなすように曲折された第1の金属板と、この第1の金属板に取り付けられた第1の補強用ボルト及び第2の補強用ボルトと、第1の補強用ボルトに取り付けられた第1のナットと、第2の補強用ボルトに取り付けられた第2のナットと、からなり、第1の金属板は、第1のボルト挿通孔が四隅に設けられた矩形状の第1の上板と、第1の上板の両端からそれぞれ直角に下方へ延設されるとともに第1の上板と平行に設置された第2の補強用ボルトを連通可能に一対の第2のボルト挿通孔がそれぞれ設けられた矩形状の一対の第1の側板と、この一対の第1の側板の下端から互いに近づく方向へそれぞれ直角に延設されるとともに第1の上板と直交するように第1のボルト挿通孔に挿通された状態の第1の補強用ボルトを挿通可能に一対の第3のボルト挿通孔がそれぞれ設けられた矩形状の一対の第1の下板と、一対の第1の側板の一方に設けられたボルト孔へ第1の上板と平行をなすように螺入された締結用ボルトと、を備えた構造となっている。
その一方で、第1の補強用ボルトの軸方向に直交する方向を中心とする曲げや第2の補強用ボルトの軸方向に直交する方向を中心とする曲げに対する強度に比べて、第1の補強用ボルトの軸方向を中心とする曲げや第2の補強用ボルトの軸方向を中心とする曲げに対する強度が低いことから、第1の補強用ボルトや第2の補強用ボルトの軸方向を中心とする曲げ変形が台座に生じ易いという作用を有する。すなわち、第1の補強用ボルトや第2の補強用ボルトの軸方向を中心とする曲げ変形が台座に生じ易いため、例えば、作業者の落下などにより上記支柱に衝撃力が加わった場合には、支柱がその軸方向を中心として捻じれるように台座が変形することで、当該衝撃力が緩和される。
特許文献3に開示された発明は、対向する第1の脚部及び第2の脚部を有して下向きに開口するクランプ本体と、第1の脚部に設けられた締付ボルト孔に螺入された締付ボルトと、第2の脚部に装着されて板状部材を締付ボルトとともに挟持する受け側パッドと、この受け側パッドに設けられたネジ挿通孔に挿通されるネジ部材と、このネジ部材の挿通孔を有し、側面視楔状をなす座金と、からなるクランプと、このクランプの上側に設置された連結金具と、この連結金具が下端に取り付けられて長手方向が鉛直方向と平行をなすように設置される支柱本体と、を備えている。また、締付ボルトは、支柱本体と平行な仮想平面内に中心軸が配置され、クランプは板状部材に対して仮想平面と板状部材が直交するように取り付けられており、第2の脚部には、ネジ部材が螺入されるネジ孔と、座金の一部を内部に配置可能な凹状の保持部が設けられている。
なお、ネジ挿通孔は、平面視した場合の輪郭線が、少なくとも一方がネジ部材の軸部の半径よりも大きな半径を有する2つの円が一部を重なり合わせたような形状をなすとともに、最も間隔の狭い箇所がネジ部材の軸部の太さよりも狭くなっている。そして、座金は、側面視した場合に幅の狭い側が上を向くように保持部に設置されていることを特徴としている。
特許文献4に開示された発明は、通路部材の取付対象片に締結されるクランプ部材が下端部に設けられた2本の支柱部材が連結部材を介して連結された門形フレームを有し、この門形フレームの上端部には、フック部材と親綱ガイドの少なくとも一方が設けられた構造となっている。
このような構造によれば、2本の支柱部材を通路部材の2箇所で取付対象片に締結することで、門形親綱支柱の取り付け強度が高まるため、作業者が通路部材を利用して移動する際の安全性を高めることができる。
また、特許文献2に開示された発明では、作業者の落下などにより上記支柱に加わった衝撃力が台座の変形によって緩和されるものの、支柱が設置される板材に対するクランプの保持力については変化しないことから、当該保持力が強まるような構造にするなどの改善の余地があった。
さらに、特許文献3に開示された発明では、作業者の落下などに伴って支柱本体が上方へ引っ張られた場合に、クランプの保持力が強まることにより、支柱本体が板状部材から外れ難くなるという作用が発揮されるが、クランプが従来品と比べてやや複雑な構造をしているという課題があった。
そして、特許文献4に開示された発明では、2本の支柱部材が通路部材の2箇所で取付対象片に締結されるため、その取り付け強度が高いというメリットがあるものの、作業者の落下などに伴って支柱部材に衝撃力が加わった場合に、クランプ部材が通路部材から簡単に外れてしまうおそれがあるという課題があった。
すなわち、第1の発明においては、第1の受け具と第2の受け具によって板状部材が挟持された状態でクランプが上方へ引っ張られた場合、座金によって第1の受け具が板状部材に押し付けられる結果、クランプによる板状部材の保持力が高まるという作用を有する。
座金は第1の受け具に対する接触面が締付ボルトの中心軸に対して直交していないため、第3のネジ挿通孔に第2の大径部を設けない場合には、上記接触面に対して第1のネジ部材の頭部の軸部側の面の一部のみが接触する状態となる。これに対し、第2の発明においては、第2の大径部を底面(第2の小径部との境界となる面)が締付ボルトの中心軸に対して直交するように設けることで、上記底面に対して第1のネジ部材の頭部の軸部側の面全体が接触するという作用を有する。
すなわち、第3の発明においては、第1の受け具と第2の受け具によって板状部材が挟持された状態でクランプが上方へ引っ張られた場合、第2の受け具の板状部材に対する押し付け力が強まることにより、クランプによる板状部材の保持力が高まるという第1の発明の作用がより一層発揮される。
第4の発明においては、第3の発明の作用に加え、第3のネジ部材の頭部がクランプの外面から突出した状態にならないという作用を有する。
なお、本発明の親綱支柱は、高所作業が行われる建設現場や工事現場等において、作業者の命綱を係留するための親綱を設置する際に用いられるものである。したがって、本明細書では、実際に本発明の親綱支柱がH鋼のフランジなどに取り付けられた状態を想定して、「上面」や「下面」、「上向き」や「下向き」あるいは「上端」や「下端」などの表現を用いている。すなわち、この「上」又は「下」の記載は、鉛直上下方向における上方側、又は、下方側をそれぞれ意味している。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明の親綱支柱1は、角筒状の金属製部材からなり、長手方向が鉛直方向と平行をなすように設置される支柱本体2と、下向きに開口するように設置され、水平に設置されたH鋼において鉛直方向と平行をなすフランジなどの板状部材を挟持するクランプ5と、このクランプ5の上側に設置されるとともに支柱本体2の下端2bに取り付けられる連結金具4を備えている。
支柱本体2は、親綱の一端が取り付けられる環状の把持部6aが上端2aに設置された上部支柱3aと、下端2bの近傍の側面2cに把持部6bが設けられた下部支柱3bと、からなり、上部支柱3aが下部支柱3bに対して上方からスライド自在に挿入された構造となっている。また、支柱本体2の互いに平行な一対の側面2c、2cには、連結具7が横架されている。
なお、本実施例では、上部支柱3aが下部支柱3bに挿入される構造となっているが、上部支柱3aに下部支柱3bが挿入される構造であっても良い。また、上部支柱3aと下部支柱3bはいずれも筒状であるが、挿入される方のみを筒状とし、挿入する方を中実構造とすることもできる。さらに、把持部6aは、図1(a)及び図1(b)に示した構造に限定されるものではなく、例えば、単体では完全な環状をなしているとは言えないものの、支柱本体2の上端2aに接続された部分を併せると環状をなす場合のように、略環状をなす部材によって形成されたものであっても良い。
連結金具4(図1(a)又は図1(b)参照)は、支柱本体2の下端2bから上部支柱3aの内部に挿設される金属製の角筒体9を備えており、角筒体9の互いに平行な一対の側面9a、9aには、上部支柱3aの一対の連結孔8a、8a及び下部支柱3bの一対の連結孔8b、8bとともにネジ7aを挿通可能に一対の連結孔9b、9bが設けられている。
クランプ5が連結された連結金具4(図1(a)又は図1(b)参照)の角筒体9が図2(a)に示すように支柱本体2の下端2bから上部支柱3aの内部に挿設された状態で、上部支柱3aの一対の連結孔8a、8a及び下部支柱3bの一対の連結孔8b、8b並びに角筒体9の一対の連結孔9b、9bに連結具7のネジ7aが挿通されていると、支柱本体2からクランプ5及び連結金具4を分離することはできない。
一方、図2(b)に示すように、上部支柱3aの一対の連結孔8a、8a及び下部支柱3bの一対の連結孔8b、8bと角筒体9の連結孔9b、9bにネジ7aが挿通されていない状態であれば、支柱本体2からクランプ5及び連結金具4を分離することができる。
また、親綱支柱1では、運搬や保管をする際にクランプ5及び連結金具4を支柱本体2から取り外して嵩張らない状態にすることができる。さらに、親綱支柱1では、クランプ5や連結金具4が破損した場合に支柱本体2から取り外すことができるため、クランプ5や連結金具4の交換が容易である。
なお、支柱本体2が破損した場合には、その支柱本体2からクランプ5や連結金具4を取り外して、別の支柱本体2に付け替えるなどしてクランプ5や連結金具4を再利用することが可能である。
図3及び図4に示すように、連結金具4は、図2を用いて既に説明した角筒体9と、角筒体9の下端9cに上面10aが接合され、角筒体9が上部支柱3a及び下部支柱3bに連結されることによって支柱本体2の下端2bに設置される略矩形状の基板10と、平面視略同一形状をなし、十字に組まれた状態(図3参照)で上端11a、12aが基板10の下面10bに接合される2枚の支持板11、12と、四隅にそれぞれ固定ボルト挿通孔13aを有し、支持板11、12の下端11b、12bが上面13bに接合される略矩形状の連結板13を備えている。なお、連結金具4が支柱本体2に取り付けられた状態でクランプ5がH鋼のフランジなどの板状部材に取り付けられた際に、2枚の支持板11、12は一方が板状部材と平行をなすように配置されている。
なお、本実施例では支持板11、12が切り欠き11c、12cを利用して十字に組まれる構造となっているが、切り欠き11c、12cを設ける代わりに支持板11、12のいずれかを対称軸の位置で2つに切断し、支持板を切断することによって形成される2つの切断片を他方の支持板の中心軸の位置に各切断面を接合することにより、中心軸と平行な方向に見た場合に十字をなす構造とすることもできる。
図5(a)及び図5(b)並びに図6(a)及び図6(b)に示すように、クランプ5は、第1の脚部15及び第2の脚部16が対向するように2つずつ設けられるとともに、上面14aに固定ボルト22(図7参照)の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が内周面に形成された4つの固定ボルト孔14bが設けられたクランプ本体14と、第1の脚部15に保持される締付ボルト17と、この締付ボルト17の先端部に取り付けられた第1の受け具18と、第2の脚部16に取り付けられた第2の受け具19と、第1の受け具18と締付ボルト17の間に設置された座金20を備えている。また、第1の脚部15には締付ボルト17の軸部17b(図8(c)を参照)の外周面に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が内周面に形成された締付ボルト孔15a(図8(c)を参照)が設けられており、第2の脚部16には第2の受け具19をネジ止めするための一対の第4のネジ挿通孔16a、16a(図6(a)を参照)が設けられている。
本実施例では、クランプ本体14に2つずつ設けられた第1の脚部15及び第2の脚部16のそれぞれに対して締付ボルト孔15aや第4のネジ挿通孔16aが形成されているが、第1の脚部15及び第2の脚部16を図5(a)に示すように2つずつに分ける代わりに、それぞれ1つに繋がった形状として、1つの第1の脚部15に2つの締付ボルト孔15aを設けるとともに、1つの第2の脚部16に二対の第4のネジ挿通孔16a、16aを設けた構造としても良い。
このように、親綱支柱1においては、連結金具4に対してクランプ5が着脱自在に連結可能な構造であるため、運搬や保管をする際には連結金具4からクランプ5を取り外して嵩張らない状態にすることができる。また、締付ボルト17、第1の受け具18、第2の受け具19及び座金20のセット数や各セットの間隔がクランプ5とは異なるクランプを複数個準備しておき、用途に応じて適切なクランプを選択して、連結金具4に取り付けることもできる。
さらに、締付ボルト17は、鉛直方向と平行に設置される支柱本体2と平行であって、かつ、クランプ5が板状部材に取り付けられた際に板状部材と直交する同一の仮想平面23(図5(b)を参照)内に中心軸17aが配置されている。なお、一対の締付ボルト17、17の中心軸17aがそれぞれ配置される一対の仮想平面23(図5(b)参照)は互いに平行をなしている。
なお、図8(c)、図9(b)及び図9(d)では、締付ボルト17、第1のネジ部材24及び第2のネジ部材25を断面表示ではなく、外観表示としている。また、図9(b)及び図9(d)では、H鋼のフランジ28を破線で示している。さらに、図1乃至図7を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより適宜その説明を省略する。
第1の受け具18に設けられた第2のネジ挿通孔18dは段付き構造をなしており、第1の接触面18a側に設けられた第1の大径部26aの内径は第2のネジ部材25の頭部25aの外径よりも大きく、第2の接触面18b側に設けられた第1の小径部26bの内径は第2のネジ部材25の軸部25bの外径よりも大きいが第2のネジ部材25の頭部25aの外径よりも小さい。すなわち、第2のネジ挿通孔18dは、第2のネジ部材25の軸部25bが第1の小径部26bに挿通された状態で頭部25aが第1の大径部26aの内部に配置される構造となっている(図8(c)を参照)。また、第1のネジ挿通孔18cの内径は第1のネジ部材24の頭部24aの外径よりも大きく、第1のネジ部材24の軸部24bは締付ボルト17の軸部17bの先端面に設けられた第1のネジ孔17cに螺入されている。さらに、図8(e)に示すように第2のネジ挿通孔18dの第1の小径部26bは平面視した場合に、第2のネジ部材25の軸部25bの半径よりも大きな内径を有し、上下に配置された第1の円弧30a及び第2の円弧30bによって形成されるダルマ型をなしており、第1の円弧30aと第2の円弧30bの接続部分(すなわち、間隔が最も狭い部分)の間隔は第2のネジ部材25の軸部25bの太さよりも狭くなっている。
なお、第2のネジ挿通孔18dは平面視した場合に、図18(e)に示した下側の第2の円弧の30bの内部のみが第2のネジ部材25の軸部25bを挿通可能な構造であっても良い。
さらに、第1の受け具18の第2のネジ挿通孔18dの第1の大径部26aは、第1の小径部26bを平面視した場合に内壁面の輪郭線によって形成される第1の円弧30a及び第2の円弧30bのうちのいずれかの内部に第2のネジ部材25の軸部25bが配置されている状態で、内壁面が第2のネジ部材25の頭部25aの側面と干渉しない構造となっている。
この状態で、親綱支柱1の支柱本体2(図1(a)及び図1(b)を参照)が親綱によって紙面に対して左右のいずれかの方向へ引っ張られると、2本の第1の脚部15のうちの少なくとも1本には鉛直方向上向きに移動させようとする力が加わる。このとき、座金20はクランプ5の第1の脚部15に取り付けられた締付ボルト17に第1のネジ部材24を用いて固定されているため、座金20にはクランプ5の第1の脚部15から鉛直上向きの力を受ける。一方、第1の受け具18に対しては第1の接触面18aとフランジ28の側面の間に発生する摩擦力が下向きに作用する。その結果、図9(c)及び図9(d)に示すように、座金20はクランプ5の第1の脚部15ととともに上方へ移動し、座金20の第2のネジ孔20dに軸部25bが螺入されている第2のネジ部材25は第1の受け具18の第2のネジ挿通孔18dの第1の小径部26bを変形させながら、第2の円弧30bの内部から第1の円弧30aの方に向かって移動する。
このように座金20が第1の受け具18に対して相対的に上方へ移動すると、第2の接触面18bに座金20の第1の接触面20aが接触している第1の受け具18は座金20が楔としての機能を発揮する結果、座金20からフランジ28の方へ押し付けられるような力を受けることになる。これにより、クランプ5の保持力が高まり、支柱本体2がフランジ28から外れ難くなるため、親綱支柱1の安全性が向上する。
なお、図10(a)、図11(b)及び図11(d)では、第3のネジ部材32を断面表示ではなく、外観表示とし、図10(d)では第3のネジ部材32の図示を省略している。また、図1乃至図9を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより適宜その説明を省略する。
なお、本実施例では第3のネジ孔19cを有底孔としているが、第3のネジ孔19cはこのような構造に限定されるものではなく、貫通孔であっても良い。
また、図10(e)に示すように第4のネジ挿通孔16aの第3の小径部29bは平面視した場合に、第3のネジ部材32の軸部32bの半径よりも大きな内径を有し、上下に配置された第3の円弧31a及び第4の円弧31bによって形成されるダルマ型をなしており、第3の円弧31aと第4の円弧31bの接続部分(すなわち、間隔が最も狭い部分)の間隔は第3のネジ部材32の軸部32bの太さよりも狭くなっている。
また、図10(d)に示すように第2の受け具19は、第1の接触面19aが第2の脚部16の内面16bに接触し、第2の接触面19bが鉛直平面と平行をなすとともに、側面視した場合に幅の広い側を上に向けた状態で一対の第3のネジ部材32、32を用いてクランプ5の第2の脚部16にネジ止めされている。
さらに、クランプ5の第2の脚部16の第4のネジ挿通孔16aの第3の大径部29aは、第3の小径部29bを平面視した場合に内壁面によって形成される第3の円弧31a及び第4の円弧31bのうちのいずれかの内部に第3のネジ部材32の軸部32bが配置されている状態で、内壁面が第3のネジ部材32の頭部32aの側面と干渉しない構造となっている。
この状態で、親綱支柱1の支柱本体2(図1(a)及び図1(b)を参照)が親綱によって紙面に対して左右のいずれかの方向へ引っ張られると、2本の第2の脚部16のうちの少なくとも1本には鉛直方向上向きに移動させようとする力が加わる。このとき、第2の受け具19に対しては第2の接触面19bとフランジ28の側面の間に発生する摩擦力が下向きに作用する。その結果、図11(c)及び図11(d)に示すように、クランプ5の第2の脚部16は第2の受け具19に対して相対的に上方へ移動し、第2の受け具19の第3のネジ孔19cに軸部32bが螺入されている第3のネジ部材32はクランプ5の第2の脚部16の第4のネジ挿通孔16aの第3の小径部29bを変形させながら、第3の円弧31aの内部から第4の円弧31bの方に向かって移動する。
このようにクランプ5の第2の脚部16が第2の受け具19に対して相対的に上方へ移動すると、クランプ5の第2の脚部16の内面16bに第1の接触面19aが接触している第2の受け具19が第2の脚部16とフランジ28との間で楔として機能する結果、第2の受け具19のフランジ28の側面に対する押し付け力が強まる。これにより、クランプ5の保持力が高まり、支柱本体2がフランジ28から更に外れ難くなるため、親綱支柱1の安全性がより一層向上する。
また、第2の脚部16の第4のネジ挿通孔16aを段付き構造とせずに、第3の小径部29bと内径が等しい貫通孔とすることもできる。ただし、この場合、第3のネジ部材32の頭部32aが第2の脚部16の外面16cから突出した状態となる。これに対し、第4のネジ挿通孔16aを段付き構造とすると、第3の大径部29aの内部に第3のネジ部材32の頭部32aを配置して、第3のネジ部材32の頭部32aを第2の脚部16の外面16cから突出させないようにすることできる。この場合、見栄えが良いことに加え、作業者が第3のネジ部材32の頭部32aに指などを引掛けて怪我をするおそれがないため、安全性が向上するというメリットがある。
Claims (4)
- 下向きに開口するクランプと、このクランプの上側に設置された連結金具と、この連結金具が下端に取り付けられて長手方向が鉛直方向と平行をなすように設置される支柱本体と、を備えて前記鉛直方向と平行に設置された板状部材に設置される親綱支柱であって、
前記クランプは、
対向する第1の脚部及び第2の脚部を有するクランプ本体と、
前記第1の脚部に設けられた締付ボルト孔に螺入された締付ボルトと、
この締付ボルトの先端面に設けられた第1のネジ孔に螺入される第1のネジ部材と、
この第1のネジ部材の頭部が遊挿されるとともに前記頭部が内部に配置される第1のネジ挿通孔と第2のネジ部材が挿通される第2のネジ挿通孔を有し、側面視楔状をなして前記締付ボルトの先端に取り付けられた第1の受け具と、
前記第1のネジ部材が挿通される第3のネジ挿通孔と前記第2のネジ部材が螺入される第2のネジ孔を有し、側面視楔状をなして前記第1の受け具と前記締付ボルトの間に設置され前記第2のネジ部材によって前記第1の受け具に連結されるとともに前記第1のネジ部材によって前記締付ボルトに固定された座金と、
前記第2の脚部に取り付けられて前記板状部材を前記第1の受け具とともに挟持する第2の受け具と、を備え、
前記第2のネジ挿通孔は、前記板状部材との接触面側に設けられて前記第2のネジ部材の頭部の外径よりも内径が大きく、かつ、前記第2のネジ部材の前記頭部が内部に配置される第1の大径部と、前記第2のネジ部材の前記頭部を挿通不能に前記座金との接触面側に設けられた第1の小径部と、からなる段付き構造をなし、
前記第2のネジ挿通孔の前記第1の小径部は、平面視した場合の輪郭線が、上下に配置された第1の円弧及び第2の円弧によって形成されるダルマ型をなすとともに、最も間隔の狭い箇所が前記第2のネジ部材の軸部の太さよりも狭く、
前記第2のネジ部材の前記軸部は前記第2の円弧の内部に設置され、
前記第3のネジ挿通孔の内径は、前記第1のネジ部材の前記頭部の外径よりも小さく、
前記第1の受け具は、側面視した場合に幅の狭い側が下を向くように設置され、
前記座金は、側面視した場合に幅の狭い側が上を向くように設置されていることを特徴とする親綱支柱。 - 前記第3のネジ挿通孔は、前記第1の受け具との接触面側に設けられて前記第1のネジ部材の前記頭部の前記外径よりも内径が大きい第2の大径部と、前記締付ボルトとの接触面側に設けられて前記第1のネジ部材の前記頭部の前記外径よりも内径が小さい第2の小径部と、からなる段付き構造をなし、
前記第1のネジ部材の軸部は、前記第3のネジ挿通孔の前記第2の小径部に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の親綱支柱。 - 前記第2の受け具は、側面視楔状をなすとともに第3のネジ部材が螺入される第3のネジ孔を有し、
前記第2の脚部には、前記第3のネジ部材が挿通される第4のネジ挿通孔が設けられ、
前記第4のネジ挿通孔は、平面視した場合の輪郭線が、上下に配置された第3の円弧及び第4の円弧によって形成されるダルマ型をなすとともに、最も間隔の狭い箇所が前記第3のネジ部材の軸部の太さよりも狭く、
前記第3のネジ部材の前記軸部は前記第3の円弧の内部に設置され、
前記第2の受け具は、側面視した場合に幅の狭い側が下を向くように設置されるとともに前記第3のネジ部材によって前記第2の脚部に連結され、
前記第2の脚部の内面は、前記第1の脚部との間隔が上へ向かうほど狭くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の親綱支柱。 - 前記第4のネジ挿通孔は、外面側に設けられて前記第3のネジ部材の頭部の外径よりも内径が大きく、かつ、前記第3のネジ部材の前記頭部が内部に配置される第3の大径部と、内面側に設けられて前記第3のネジ部材の前記頭部の前記外径よりも内径が小さい第3の小径部と、からなる段付き構造をなし、
前記第4のネジ挿通孔の前記第3の小径部が前記第3の円弧及び前記第4の円弧によって形成されるダルマ型をなしていることを特徴とする請求項3に記載の親綱支柱。
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