JP7336648B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、リチウムイオン二次電池の需要が急激に伸びている。リチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質として、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
リチウムイオン二次電池については、現在研究開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型のリチウム金属複合酸化物を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)で代表されるリチウムコバルト複合酸化物とともに、ニッケル酸リチウム(LiNiO)で代表されるリチウムニッケル複合酸化物、マンガン酸リチウム(LiMn)で代表されるリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)等のリチウム金属複合酸化物が提案されている。
コバルト酸リチウムは、埋蔵量が少ないため高価であり、かつ供給不安定で価格の変動も大きいコバルトを主成分として含有しているという問題点があった。このため、比較的安価なニッケル又はマンガンを主成分として含有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物又はリチウムマンガン複合酸化物がコストの観点から注目されている。
しかしながら、マンガン酸リチウムについては、熱安定性ではコバルト酸リチウムと比べて優れているものの、充放電容量が他の材料に比べ非常に小さく、かつ寿命を示す充放電サイクル特性も非常に短いことから、電池としての実用上の課題が多い。一方、ニッケル酸リチウムは、コバルト酸リチウムよりも大きな充放電容量を示すことから、安価で高エネルギー密度の電池を製造することができる正極活物質として期待されている。
上記正極活物質中でも、近年、熱安定性に優れて高容量であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)が注目されている。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケルコバルト複合酸化物などと同じく層状化合物であり、遷移金属サイトにおいてニッケルとコバルト、マンガンを基本的に組成比1:1:1の割合で含んでいる。
リチウムニッケル複合酸化物は、焼成による合成後そのまま使用すると、粒界等に残存する炭酸リチウムや硫酸リチウムの影響で充放電における電池性能が十分に発揮できないことがある。このため、焼成後の焼成粉末を水洗することにより、炭酸リチウムや硫酸リチウムなどの不純物の除去が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。焼成粉末の水洗は、この他にも表面の不純物を洗い落とすことによる真の比表面積(電解液との反応に関与する面積)なる指標を示し、熱安定性や容量に対しても相関があるとの理由からも、有効な手法とされている(例えば、特許文献2参照)。
また、正極活物質の表面に残留する水酸化リチウム、及び炭酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極部材として使用され、二次電池を動作させた際に、電池セル内においてリチウム化合物と電解液との間における電気化学反応に起因してガスを発生させることがある。ガス発生に起因する電池セルの膨張は、電池特性の低下を引き起こすことに加え、破裂や内部部材短絡による発火を引き起こす要因となりうる。また、水酸化リチウム、及び炭酸リチウムは正極活物質を正極塗工膜として加工する際において、用いる有機溶媒の炭素鎖をその強いアルカリ作用によって切断し、スラリーのゲル化を引き起こし、二次電池の製造工程における問題発生の要因となりうる。
よって、正極活物質を水洗処理して、正極活物質の表面に残留する水酸化リチウム、及び炭酸リチウムを除去することにより、ガス発生等の問題が生じることを抑制することができる。
一方、リチウムニッケル複合酸化物を水洗処理した場合、水洗後のリチウムニッケル複合酸化物が熱力学的に不安定となる。特に、水洗後のリチウムニッケル複合酸化物が水分を含んだ状態でCOガス等炭素と接触した場合、リチウムニッケル複合酸化物の粒子内部から溶出するリチウムと炭素とが反応し、炭酸塩が生成することがある。炭酸塩の生成に伴い、正極活物質に含まれる炭素含有量も上昇する(特許文献3参照)。また、硫黄についても、同様の影響あることが知られている。生成した炭酸塩(炭酸リチウム)、硫酸塩(硫酸リチウム)等は、リチウムイオン二次電池の部材として使用し、二次電池を動作させた際にガス発生を促進することがある。
しがたって、従来、水洗処理後の正極活物質の粉末は、水分を十分に除去するために乾燥処理が行われ、かつ、乾燥処理は、炭素及び硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下又は真空雰囲気下で行うことが求められていた。(特許文献2および特許文献4~6参照)
特開2003-17054号公報 特開2007-273108号公報 特開2007-227310号公報 特開2007-273106号公報 WO2009/139157号パンフレット WO2011/155523号パンフレット
本発明者らは、リチウムニッケルマンガン複合酸化物において、上記水洗処理の施し、その水洗方法について鋭意研究を重ねた結果、水洗処理後の乾燥において、適切な条件で乾燥を施すことで、必ずしも炭素及び硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下又は真空雰囲気を用いる必要はなく、目的としている正極活物資の表面に残留する水酸化リチウム、炭酸リチウムなどのリチウム化合物の除去が可能であり、かつ粒子表面の炭酸塩の生成と、それに伴う炭素含有量の増加が抑制可能であることを見出し、本発明を完成させた。これにより、従来よりも簡便な方法で電池使用時のガス発生、およびスラリーのゲル化を抑制することが可能なリチウムニッケルマンガン複合酸化物を発明するに至った。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、電池セルの膨張やスラリーのゲル化の要因となる、正極活物質の表面に存在するリチウム量及び炭素含有量の低減と、生産性とを両立させるリチウムイオン二次電池用の正極活物質の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、下記の一般式(1)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、少なくともニッケルと、マンガンとを含有するニッケル化合物と、リチウム化合物とを含む混合物を、酸素雰囲気下、最高温度が650℃以上1000℃以下の範囲で焼成して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の焼成粉末を調製する焼成工程と、焼成粉末と、水とを混合してスラリーを形成し、撹拌する水洗工程と、スラリーをろ過して、固体粉末を分離し、大気雰囲気下で乾燥して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を調製する乾燥工程と、を備える、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法が提供される。
一般式:LiNi1-a-bMn・・・(1)
(ただし、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.5≦(1-a-b)<0.70、0.90≦d≦1.20である。)
また、ニッケル化合物は、ニッケル水酸化物、そのオキシ水酸化物、及び、これらを焙焼して得られるニッケルマンガン酸化物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、ニッケル水酸化物は、晶析法により得られることが好ましい。また、リチウム化合物は、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩及びハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、正極活物質を水に浸漬した際に溶出するリチウム量が、正極活物質全量に対して0.07質量%以下であり、前記正極活物質の炭素含有量が、正極活物質全量に対して0.08質量%以下であることが好ましい。また、正極活物質の比表面積が0.3m/g以上1.5m/g以下であることが好ましい。
本発明によれば、正極活物質の表面に存在するリチウム量及び炭素含有量の低減と、生産性とを両立できるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法が提供される。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極活物質の製造方法の一例を示す図である。
以下、本実施形態について、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、及びリチウムイオン二次電池について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.リチウムイオン二次電池用の正極活物質の製造方法
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法(以下、「正極活物質の製造方法」ともいう。)について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、製造方法の一例であって、製造方法を限定するものではない。
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、少なくともニッケルと、マンガンとを含有するニッケル化合物と、リチウム化合物とを含む混合物を、酸素雰囲気下、最高温度が650℃以上1000℃以下の範囲で焼成して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の焼成粉末を調製する焼成工程(S2)と、焼成粉末と、水とを混合してスラリーを形成し、撹拌する水洗工程(S3)と、スラリーをろ過して、固体粉末を分離し、大気雰囲気下で乾燥して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を調製する乾燥工程(S4)と、を備える。
また、上記製造方法により、下記の一般式(1)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を含む正極活物質を得ることができる。
一般式:LiNi1-a-bMn・・・(1)
(上記一般式(1)中、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.30≦(1-a-b)<0.70、0.90≦d≦1.20である。)
図1は、本実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示す図である。図1に示すように、正極活物質の製造方法は、少なくともニッケル化合物とリチウム化合物と混合して混合物(リチウム混合物)を得る混合工程(S1)を含んでもよい。以下、工程毎に説明する。
[混合工程(S1)]
混合工程(S1)は、少なくともニッケル化合物とリチウム化合物と混合してリチウム混合物を得る工程である。以下、混合工程(S1)に用いられる各材料と、その混合方法について説明する。
(ニッケル化合物)
混合工程(S1)で用いられるニッケル化合物は、ニッケルと、マンガンとを含む化合物であり、正極活物質として公知の化合物を用いることができる。ニッケル化合物は、例えば、主成分としてニッケルを、かつ副成分としてマンガン、上記一般式中のM(以下、「元素M」ともいう。)等を含有するニッケル水酸化物、そのニッケルマンガンオキシ水酸化物、及びそれらを焙焼して得られるニッケルマンガン酸化物からなる群から選ばれる。また、ニッケル化合物は、晶析法によりリチウム以外の金属元素である元素Mを固溶又は分散させたものが好ましい。なお、リチウムニッケルマンガン複合酸化物に含まれる元素Mについては、ニッケル化合物に含有されていなくてもよく、この場合は、混合工程(S1)において、リチウム化合物、及び、ニッケル化合物ともにM元素を含む化合物を混合してもよい。また、ニッケル化合物に元素Mを被覆したものを用いてもよい。
ところで、一般に、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の代表的な製造方法としては、例えば、(i)晶析法によりリチウム以外の金属元素を固溶又は分散させたニッケル化合物とリチウム化合物とを混合し焼成する方法、(ii)所望の金属元素を含有する水溶液を全て混合した液を噴霧熱分解処理する方法、及び、(iii)ボールミルなど機械粉砕により所望の金属元素の化合物を全て粉砕混合した後、焼成する方法等が挙げられる。
しかしながら、上記製造方法において、上記(ii)、(iii)の方法では、得られるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の比表面積が非常に大きくなり、熱安定性の問題が生じることがあり、効率的でない。一方、(i)の方法のように、晶析法により得られたニッケル化合物を用いて、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を製造する場合、正極活物質として好適な、高嵩密度の球状粒子であるニッケル化合物(例えば、ニッケル水酸化物、オキシニッケル水酸化物など)を容易に製造することができるので、それらを焙焼して得られるニッケル酸化物を含め、充填性にも有利である。よって、ニッケル化合物の製造方法としては、晶析法を用いることが好ましい。以下、晶析法により得られるニッケル化合物であるニッケル水酸化物、ニッケルオキシ水酸化物、及びニッケル酸化物について説明する。
(ニッケル水酸化物)
ニッケル水酸化物としては、特に限定されるものではなく、種々の条件による晶析法で得られるものが用いられるが、この中で、例えば、好ましくは40~60℃に加温した反応槽中に、主成分としてニッケルを、かつ副成分としてマンガン、及び、任意に元素Mから選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物の水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを滴下し、その際、反応溶液をアルカリ性に、好ましくはpHを10~14に保持するのに十分な量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を所望に応じて適宜滴下して調製されたものが好ましい。すなわち、この方法により製造されたニッケル水酸化物は、高嵩密度の粉末であるので、リチウムイオン二次電池用の正極活物質に用いるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の原料として好適である。
晶析法において、温度が60℃を超えるか、又はpHが14を超えると、液中で核生成の優先度が高まり結晶成長が進まずに微細な粒子しか得られない。一方、温度が40℃未満、又はpHが10未満では、液中で核の発生が少なく、粒子の結晶成長が優先的となるため、電極作製時に凹凸が発生するほどの非常に大きい粒子が生成するか、又は反応液中の金属イオンの残存量が高く反応効率が非常に悪いという問題が発生することがある。
(ニッケル水酸化物)
ニッケルオキシ水酸化物としては、特に限定されるものではなく、上記ニッケル水酸化物粒子に、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素水等の酸化剤をさらに添加して調製されたものが好ましい。すなわち、この方法により製造されたニッケルオキシ水酸化物は、高嵩密度であるので、リチウムイオン二次電池用の正極活物質に用いるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の原料として好適である。
(ニッケル酸化物)
ニッケル酸化物としては、特に限定されるものではないが、上記したニッケル水酸化物またはニッケルオキシ水酸化物を焙焼して得られたものが好ましい。上記ニッケル水酸化物又はニッケルオキシ水酸化物の焙焼条件として、特に限定されるものではなく、好ましくは500℃以上1100℃以下、より好ましくは550℃以上1000℃以下、さらに好ましくは600℃以上700℃以下の温度で行なうことが望ましい。
焙焼温度が500℃未満である場合、これを用いて得られるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の品位の安定が難しく、合成時に組成の不均一化が起こりやすい。一方、焙焼温度が1100℃を超えると、粒子を構成する一次粒子が急激に粒成長を起こし、後続のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の調製において、ニッケル化合物側の反応面積が小さすぎることから、リチウムと反応することができずに下層の比重の大きなニッケル化合物と上層の溶融状態のリチウム化合物に比重分離してしまう問題が生ずる。
なお、ニッケル化合物中の金属(Ni、Mn、元素M)の含有量(組成)は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粒子中でもほぼ維持されるため、各金属(Ni、Mn、元素M)の含有量は、後述のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末中の含有量と同様の範囲であることが好ましい。なお、本実施形態で用いられるニッケル化合物は、上述した金属元素(Ni、Mn、元素M)、水素及び酸素以外の元素を、本発明の効果を阻害しない範囲で少量含んでもよい。
(リチウム化合物)
リチウム化合物としては、特に限定されるものではなく、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩及びハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
(混合方法)
ニッケル化合物とリチウム化合物との混合方法は、特に限定されず、ニッケル化合物等の形骸が破壊されない程度で、それぞれの化合物が十分に混合されればよい。混合方法としては、例えば、一般的な混合機を使用して混合することができ、例えばシェーカーミキサーやレーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダーなどの乾式混合機又は混合造粒装置を用いて混合することができる。なお、リチウム混合物は、後述する焼成工程(S2)の前に十分混合しておくことが好ましい。混合が十分でない場合、正極活物質の個々の粒子間で、Li以外の金属元素Me(例えば、Ni+Mn+元素M)に対するリチウムのモル比(Li/Me比)がばらつき、十分な電池特性が得られない等の問題が生じることがある。
ニッケル化合物とリチウム化合物の混合比としては、特に限定されるものではなく、例えば、Li以外の金属元素Me(例えば、混合物中のニッケルとマンガンと元素M)の合計量に対して、リチウム化合物中のリチウム(Li)量がモル比(Li/Me比)で0.95以上1.25以下になるように調整することが好ましい。上記モル比が0.95未満である場合、得られる焼成粉末のモル比も0.95未満となり、結晶性が非常に悪く、また、水洗後のリチウムとリチウム以外の金属とのモル比が0.90未満となることもあるため、充放電サイクル時の電池容量の大きな低下を引き起こす要因となる。一方、モル比が1.25を超える場合、得られる焼成粉末のモル比も1.25を超え、表面に余剰のリチウム化合物が多量に存在し、これを水洗で除去するのが難しくなる。このため、これを正極活物質として用いると、電池の充電時にガスが多量に発生されるばかりでなく、高pHを示す粉末であるため、電極作製時に使用する有機溶剤などの材料と反応してスラリーがゲル化して不具合を起こす要因となる。また、水洗後のモル比が1.20を超えるため、二次電池としたときの正極の内部抵抗が大きくなってしまう。
[焼成工程(S2)]
焼成工程(S2)は、少なくともニッケルと、マンガンとを含有するニッケル化合物と、リチウム化合物とを含む混合物を、酸素雰囲気下、最高温度が650℃以上1000℃以下の範囲で焼成して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の焼成粉末を調製する工程である。また、少なくともニッケルと、マンガンとを含有するニッケル化合物と、リチウム化合物とを含む混合物としては、混合工程(S1)により得られるリチウム混合物を用いることが好ましい。
焼成温度としては、最高温度が650℃以上1000℃以下の範囲、好ましくは850以上970℃以下、より好ましくは900℃以上950℃以下の範囲が用いられる。すなわち、500℃を超えるような温度で熱処理すればニッケル酸リチウムが生成されるが、650℃未満では、その結晶が未発達で構造的に不安定であり、充放電による相転移などにより容易に構造が破壊されてしまう。一方、1000℃を超える場合、層状構造が崩れ、リチウムイオンの挿入、脱離が困難となったり、さらには、分解により酸化ニッケルなどが生成されてしまう。
さらに、リチウム化合物の結晶水などを取り除いた上で、結晶成長が進む温度領域で均一に反応させるという観点から、400℃以上600℃以下の温度で1時間以上仮焼した後、続いて650℃以上1000℃以下の範囲の温度で3時間以上の2段階で焼成することが好ましい。
焼成の雰囲気としては、酸素雰囲気、除湿及び除炭酸処理を施した乾燥空気雰囲気等であり、酸素濃度20質量%以上のガス雰囲気に調整することが好ましい。
焼成炉としては、特に限定されず、大気や大気に酸素を導入した酸化性雰囲気に調整した電気炉、キルン、管状炉、プッシャー炉等の焼成炉が用いられる。
[水洗工程(S3)]
水洗工程(S3)は、焼成粉末と、水とを混合してスラリーを形成し、撹拌する工程である。
焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を水洗せずに、正極活物質として用いた場合、その表面もしくは結晶の粒界に炭酸リチウムや硫酸リチウム、水酸化リチウムといった余剰の不純物が残留し、これを用いた二次電池において、電池内の内部抵抗が大きく、充放電効率やサイクル性能といった電池容量に対し材料の持つ性能を充分に発揮できないことがある。ここで、焼成工程(S2)で得られた焼成粉末(リチウムニッケルマンガン複合酸化物)を水洗することにより、焼成粉末の表面や粒界に存在する余剰な不純物成分を溶出させ除去することが可能となり、二次電池の内部抵抗が低減され、リチウムニッケルマンガン複合酸化物が本来持つ電池性能を十分に発揮することができるようになる。
水洗工程(S3)は、例えば、焼成粉末を、10℃以上40℃以下の温度の水と混合して、スラリーを形成することが好ましい。10℃以上40℃以下の温度の水を用いることにより、不純物成分が除去され、その結果、電池の正極として用いられた場合の内部抵抗が大幅に低減され、高出力の電池が得られる。
水洗(撹拌)時間としては、特に限定されないが、溶出リチウム量が、正極活物質全量に対して0.07質量%以下となるように、適宜水洗時間を調整することが好ましい。水洗時間は、水洗温度によっても変動するため、一概に言えないが、例えば、5分以上1時間以下である。
なお、水洗工程(S3)において、過剰に洗浄された場合、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の表面近傍のリチウムが脱離し、表面層にLiが抜けたNiMn-O酸化物あるいはLiとHが置換されたNiOOHが生成し、いずれも電気抵抗が高いことから粒子表面の抵抗が上昇するといった問題が起こる。
水洗に使用される水としては、特に限定されるものではなく、電気伝導率測定で10μS/cm未満の水が好ましく、1μS/cm以下の水がより好ましい。すなわち、電気伝導率測定で10μS/cm未満の水を用いて水洗した場合、正極活物質への不純物の付着による電池性能の低下を防ぐことができる。
[乾燥工程(S4)]
乾燥工程(S4)は、上記スラリーをろ過して、固体粉末を分離し、大気雰囲気下で乾燥して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を調製する工程である。本実施形態に係る製造方法においては、乾燥工程(S4)を大気雰囲気で行うことにより、生産性高く容易に、溶出リチウム量が低減された正極活物質を得ることができる。
スラリーのろ過は、吸引ろ過機、フィルタープレス、遠心分離機等を用いて行うことができる。なお、スラリーのろ過後の分離された固体粉末の表面に残存する付着水は、少ないことが好ましい。付着水が多いと、液中に溶解したリチウムが再析出し、乾燥中にリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の表面に存在するリチウムが炭酸化して炭素含有量が増加することがある。付着水は、通常、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末に対し1質量%以上10質量%以下が好ましい。
乾燥温度としては、特に限定されるものではなく、好ましくは80℃以上700℃以下である。乾燥温度が80℃以上である場合、水洗後の正極活物質を素早く乾燥し、粒子表面と粒子内部とでリチウム濃度の勾配が起こることを抑制することができる。一方、乾燥温度が700℃を超える場合、正極活物質の表面付近では、化学量論比にきわめて近いか、もしくは若干リチウムが脱離して充電状態に近い状態になっていることが予想され、充電状態に近い粉末の結晶構造が崩れる契機になり、電気特性の低下を招く恐れがある。
また、乾燥温度としては、水洗後の正極活物質の物性及び特性上の懸念を低減するという観点から、100℃以上550℃以下が望ましく、さらに生産性及び熱エネルギーコストも考慮すると、120℃以上350℃以下がより望ましい。また、乾燥温度は、正極活物質の特性向上の観点から、150℃以上200℃以下が望ましい。
乾燥雰囲気としては、従来の方法とは異なり、大気雰囲気下で行う。水洗工程(S3)により正極活物質から溶出したリチウムは、上述したとおり、乾燥時の雰囲気に炭素が含まれている場合、雰囲気中の炭素等と反応して、炭酸リチウム等の炭酸塩として固定化され、正極活物質中の炭素含有量が増加することが知られている。しかし、本発明者らは、この反応は、特に、リチウムニッケルマンガン複合酸化物中のニッケルの含有量の影響を受け、具体的には、リチウム以外の金属元素の合計に対するニッケルのモル比(上記一般式(1)中の1-a-bの値)が0.7程度よりも低い時には、実質的にこの反応の影響は無視できることを見出した。
リチウムニッケルマンガン複合酸化物中のニッケルのモル比(上記一般式(1)中の1-a-bの値)は0.7未満であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましい。ニッケルのモル比が0.7以上では、大気中では水洗により生じた溶出リチウムと炭素が反応して炭酸リチウム等の炭酸塩が生成する反応が進行しやすくなる。よって、従来からの炭素及び硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下又は真空雰囲気下で乾燥させないと、正極活物質の炭素含有量が増加してしまう。さらに、炭素含有量の影響をより抑えたい場合には、ニッケルのモル比が0.65以下とすることが好ましい。
リチウムニッケルマンガン複合酸化物中のニッケルのモル比の下限については特に限定されないが、ニッケルのモル比が低下すると電池特性も低下してしまうので、電池特性の観点から下限は0.30以上とするのが好ましく、電池特性をより重視するという観点から、下限を0.5以上とするのがより好ましい。なお、後述する実施例中の従来例1~4で示されるように、ニッケルのモル比が上記説明した範囲内であっても、炭素及び硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下又は真空雰囲気下に制御できる乾燥機を用いることを妨げるものではない。
乾燥時間としては、特に限定されず、好ましくは4時間以上48時間以下、さらに好ましくは6時間以上24時間以下である。乾燥時間が不必要に長く取りすぎる場合、正極活物質の表面における炭酸化の発生を引き起こし、それに伴い正極活物質の表面に存在するリチウム量や炭素含有量が上昇してしまうことから大気中での乾燥によるメリットが失われる。一方、乾燥時間が短すぎる場合、正極活物質の乾燥が十分に行われず正極活物質の水分率が高くなる。水分率の高い正極活物質をリチウムイオン二次電池に用いると、電解質の加水分解を引き起こして電池特性の低下を引き起こすことがある。
[正極活物質]
以下、上記製造方法により得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」とも略称する。)の特性について、説明する。
(組成)
正極活物質は、下記の一般式(1)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を含む。
一般式:LiNi1-a-bMn…(1)
(上記一般式(1)中、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.30≦(1-a-b)<0.70、0.90≦d≦1.20である。)
上記一般式(1)中、ニッケルの含有量は、リチウム以外の金属元素の合計に対するニッケルのモル比に対応する(1-a-b)で示される。(1-a-b)の値は、0.30以上0.7未満である。(1-a-b)の値が0.7未満である場合、乾燥工程(S4)の項目で記載したように、水洗後の乾燥時に溶出した不純物成分であるリチウムが炭酸化する反応が進行しにくくなり、大気雰囲気下で乾燥しても実質的に炭酸化の影響を無視できるので、生産性の高い大気乾燥とすることができる。また、(1-a-b)の値が0.3以上である場合、高容量、高出力の電池が得られる。(1-a-b)の値は、好ましくは0.30以上0.65以下であり、より好ましくは0.5以上0.65以下である。
上記一般式(1)中、マンガンの含有量は、リチウム以外の金属元素の合計に対するマンガンのモル比に対応するaで示される。aの値は、0.05以上0.60以下であり、好ましくは0.05以上0.45以下である。マンガンの含有量が上記範囲である場合、正極活物質は高い熱安定性を有する。
上記一般式(1)中、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、Mの含有量は、リチウム以外の金属元素の合計に対するMのモル比に対応するbで示される。bの値は、0以上0.60以下であり、好ましくは0以上0.30以下である。また、Mは、Coを含んでもよく、上記一般式(1)中、リチウム以外の金属元素の合計に対するコバルトのモル比をb1とする場合、0≦b1≦0.6であってもよく、0≦b1≦0.3であってもよい。
上記一般式(1)中、リチウムの含有量は、リチウム以外の金属元素の合計に対するリチウムのモル比(Li/Me比)に対応するdで示される。dの値は、0.90以上1.20以下であり、好ましくは0.95以上1.20以下である。また、上述した正極活物質を製造方法では、dの値が1を超える場合においても、溶出リチウム量を特定の範囲に低減することができる。
また、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末の組成は、以下の組成式(2)で表されることが好ましい。
一般式:LiNi1-a-bMn…(2)
(上記一般式(2)中、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.45、0≦b≦0.30、0.30≦(1-a-b)≦0.65、0.95≦d≦1.20である。)
また、本実施形態に係る正極活物質は、六方晶の層状構造を有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲でリチウムニッケルマンガン複合酸化物以外の異相が存在してもよい。異相が存在する場合、電池特性が悪化することがある。
(炭酸含有量)
二次電池として使用されている正極活物質の表面に、炭酸リチウムが存在する状態で高温状態に保持されると、炭酸リチウムの分解によりガスが発生して、電池を膨張させるために安全性が低下することがある。したがって、正極活物質中の炭酸リチウム量を可能な限り低減させることが好ましい。
正極活物質の炭素含有量は、正極活物質全量に対して0.08質量%以下であり、0.04質量%以下であることがより好ましい。正極活物質の炭酸含有量が上記範囲である場合、高温時のガス発生を抑制することができる。正極活物質の炭素含有量が0.08質量%を超える場合、電池として使用されているときの炭酸リチウムが多くなり、高温状態に晒されると分解してガス発生量が多く、電池の膨れが発生する。
なお、正極活物質の炭素含有量の下限は、特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましい。炭素含有量が0.01質量%未満である場合、リチウムニッケルマンガン複合酸化物が過剰に洗浄された状態となっている場合がある。
(溶出リチウム量)
製造時の正極活物質の炭酸リチウム量を低減させるのみでは、二次電池内におけるガス発生の抑制効果が不十分となることがある。すなわち、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の表面もしくは結晶の粒界には、通常、炭酸リチウムや硫酸リチウム、水酸化リチウムといった余剰の不純物が残留する。表面に残留する水酸化リチウムは、正極活物質が製造された後、二次電池に組み込まれるまでの間に、雰囲気中の炭酸ガスと反応して炭酸リチウムとなり、正極活物質表面の炭酸リチウムは正極活物質の製造直後より増加することがある。したがって、正極活物質の炭酸リチウム量に加えて、正極活物質の表面に存在する水酸化リチウムなどを含む、リチウム化合物全体の量を制御することで、高温時のガス発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態においては、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の表面に存在するリチウム化合物の量を、正極活物質を水に浸漬した際に溶出するリチウム量(以下、「溶出リチウム量」ともいう。)で評価する。溶出リチウム量は、正極活物質全量に対して0.07質量%以下とすることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。溶出リチウム量が0.07質量%以下である場合、高温時のガス発生をより効果的に抑制することができる。溶出リチウム量が0.07質量%を超えると、二次電池として使用されているときの炭酸リチウムも多くなり、高温状態に晒されると分解してガス発生量が多く、電池の膨れが発生することがある。
一方、溶出リチウム量の下限は、特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましい。溶出リチウム量が0.01質量%未満になると、リチウムニッケルマンガン複合酸化物が過剰に洗浄された状態となっている場合がある。すなわち、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末が過剰に洗浄された場合においては、表面に存在するリチウム化合物がほとんど存在しない状態となる。
なお、溶出リチウム量は、正極活物質に溶媒として水を添加してスラリー化した後、スラリーのpHを指標とした酸の滴定により、水に溶出したリチウム量を定量し、正極活物質に対する質量比として求めることができる。
すなわち、滴定ではスラリー中のアルカリ分を定量することになるが、該アルカリ分は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末表面に存在する水酸化リチウム、炭酸リチウム(炭酸水素リチウムを含む)などのリチウム化合物中のリチウムと考えられる。したがって、滴定の中和によって定量されたアルカリ分を、粉末表面に存在するリチウム化合物中のリチウムとして、溶出リチウム量を求める。
溶媒として用いる水は、スラリーへの不純物混入を防止するため、純水、例えば、1μS/cm以下、より好ましくは0.1μS/cm以下の水を用いることが好ましく、スラリー濃度は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末表面のリチウム化合物を溶媒中に十分に溶解させ、かつ滴定での操作が容易となるように、質量比でリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末1に対する溶媒の比率を5~100にすることが好ましい。また、前記酸も、滴定に通常用いられる酸であればよく、塩酸、硫酸、硝酸及び有機酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記滴定の条件は、アルカリ性溶液に対するpHを指標とした滴定で用いられる通常の条件でよく、pHの変極点から当量点を求めることができる。例えば、水酸化リチウムの当量点はpH8付近であり、炭酸リチウムの当量点はpH4付近となる。
なお、表面にリチウム化合物がほとんど存在しない場合においても、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末内部から微量のリチウムが溶出して、溶出リチウム量として0.01質量%未満のリチウムが検出されることがある。また、過剰に洗浄された場合、上記粒子表面の抵抗上昇の問題が生じるおそれがあるばかりでなく、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末中の充放電に寄与するリチウム量が減少して容量が低下するといった問題が起こる。
また、正極活物質の表面には、水酸化リチウムおよび炭酸リチウム以外にもリチウム化合物が存在するが、通常の条件で製造される場合には、大部分が水酸化リチウムおよび炭酸リチウムである。これらの正極活物質の表面に存在するリチウム化合物の量を、水に浸漬したに溶出するリチウム量として制御することで、高温時のガス発生をより効果的に抑制することができる。
(比表面積)
正極活物質の比表面積は、乾燥工程(S4)後において、0.3m/g以上1.5m/g以下である。乾燥工程(S4)後の粉末の比表面積が1.5m/gを超える場合、電解質との反応による発熱量が急激に大きくなり、熱安定性の低下を招くことがある。一方、乾燥工程(S4)後の比表面積が0.15m/g未満であるが場合、発熱は抑えられるものの電池の容量及び出力特性が低下することがある。
(水分率)
正極活物質の水分率は、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.10質量%、さらに好ましくは0.05質量%である。すなわち、正極活物質の水分率が0.15質量%を超える場合、大気中の炭素、硫黄を含むガス成分を吸収して表面にリチウム化合物を生成する契機となり、高温時のガス発生の原因となることがある。なお、水分率の測定値は、カールフィッシャー水分計で測定されたものである。
(電池特性)
本発明の正極活物質は、電池として用いられた場合、170mAh/g以上、より好ましくは180mAh/g以上の高容量が得られるとともに高出力であり、高温時のガス発生が抑制されて安全性も高く、リチウムイオン二次電池用として優れた正極活物質である。
2.リチウムイオン二次電池
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)の製造方法は、正極、負極、及び電解質を備え、正極は、上記の正極活物質を含む。上記のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を含む正極活物質を用いて、正極を作製し、これを組み込んでなるチリウムイオン二次電池は、高容量で、熱安定性に優れる。また、リチウムイオン二次電池は、特に、上記製造方法により得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を正極活物質として用いることが好ましい。
二次電池は、例えば、正極、負極、及び非水系電解液を備える。また、二次電池は、例えば、正極、負極、及び固体電解質を備えてもよい。また、二次電池は、リチウムイオンの脱離及び挿入により、充放電を行う二次電池であればよく、例えば、非水系電解液二次電池であってもよく、全固体リチウム二次電池であってもよい。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本実施形態に係る二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用してもよい。
[二次電池の形状、構成]
二次電池の形状は、特に限定されず、コイン型電池、セパレータを介して捲回して得られる円筒形電池や角形電池、積層形電池など、種々の形状にすることができる。また、二次電池の構成は、特に限定されず、正極、負極、セパレータ、非水系電解質などで構成されてもよく、正極、負極、固体電解質などで構成されもよい。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質自体の特性が向上するため、それを用いて得られる二次電池の性能は、二次電池の形状によらず、向上させることができる。以下、二次電池を構成する各構成について説明する。
[正極]
以下、正極の作製方法について、一例を説明するが、正極の製造方法は、これに特に限定されるものではない。正極は、例えば、上記の正極活物質と結着剤(バインダー)とを含む正極合剤を、帯状の正極芯材(正極集電体)に担持させて作製される。なお、正極合剤には、他に、導電材などの添加剤を任意成分として含ませることができる。正極合剤を芯材に担持させるためには、正極合剤を液状成分に分散させてペーストを調製し、ペーストを芯材に塗工し、乾燥させることにより行なわれる。
正極合剤の結着剤(バインダー)としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらは、Naイオンなどによる架橋体であってもよい。
正極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料、フッ化カーボン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤の導電材の添加量としては、特に限定されるものではなく、正極合剤に含まれる正極活物質に対して、0.5~50質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、0.5~15質量%がさらに好ましい。
正極芯材(正極集電体)としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であれば何でもよい。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔又はシートを用いることができ、この中でアルミニウム箔、アルミニウム合金箔等がより好ましい。ここで、箔又はシートの表面には、カーボン又はチタンの層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔またはシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を用いることもできる。
前記正極芯材の厚みとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1~500μmが用いられる。
次いで、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池に用いる正極以外の構成要素について説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池は、上記正極活物質を用いる点に特徴を有するものであり、その他の構成要素は、特に限定されるものではない。
[負極]
まず、負極としては、リチウムを充放電することができるものが用いられ、例えば、負極活物質と結着剤を含み、任意成分として導電材や増粘剤を含む負極合剤を負極芯材に担持させたものを用いることができる。このような負極は、正極と同様の方法で作製することができる。
負極活物質としては、リチウムを電気化学的に充放電し得る材料であればよい。例えば、黒鉛類、難黒鉛化性炭素材料、リチウム合金等を用いることができる。前記リチウム合金は、特にケイ素、スズ、アルミニウム、亜鉛及びマグネシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む合金が好ましい。
負極活物質の平均粒径としては、特に限定されるものではなく、例えば、1~30μmが用いられる。
負極合剤の結着剤としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらは、Naイオンなどによる架橋体であってもよい。
負極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電材の添加量としては、特に限定されるものではなく、負極合剤に含まれる負極活物質粒子に対して、1~30質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
負極芯材(負極集電体)としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であれば何でもよい。例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔又はシートを用いることができ、銅及び銅合金が好ましい。箔又はシートの表面には、カーボン、チタン、ニッケル等の層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔又はシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を用いることもできる。
負極芯材の厚みとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1~500μmが用いられる。
[非水系電解質]
非水系電解質としては、例えば非水系電解液を用いることができる。非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。また、非水系電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状の塩をいう。非水系電解液としては、リチウム塩を溶解した非水溶媒が好ましい。また、非水系電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状の塩をいう。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネ-ト(EC)、プロピレンカーボネ-ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3-プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいが、二種以上を混合して用いることが好ましい。なかでも、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒、又は環状カーボネートと鎖状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルとの混合溶媒が好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、Li(CFSO、LiAsF、LiN(CFSO、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミド塩等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、少なくともLiPFを用いることが好ましい。
非水溶媒中のリチウム塩濃度としては、特に限定されるものではなく、0.2~2mol/Lが好ましく、0.5~1.5mol/Lがより好ましい。
非水系電解液には、電池の充放電特性を改良する目的で、種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、クラウンエーテル類、第四級アンモニウム塩、エチレングリコールジアルキルエーテル等を挙げることができる。
また、非水系電解質としては、固体電解質を用いてもよい。固体電解質は、高電圧に耐えうる性質を有する。固体電解質としては、無機固体電解質、有機固体電解質が挙げられる。
無機固体電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質等が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば酸素(O)を含有し、かつリチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものを好適に用いることができる。酸化物系固体電解質としては、例えば、リン酸リチウム(LiPO)、LiPO、LiBO、LiNbO、LiTaO、LiSiO、LiSiO-LiPO、LiSiO-LiVO、LiO-B-P、LiO-SiO、LiO-B-ZnO、Li1+XAlTi2-X(PO(0≦X≦1)、Li1+XAlGe2-X(PO(0≦X≦1)、LiTi(PO、Li3XLa2/3-XTiO(0≦X≦2/3)、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、Li3.6Si0.60.4等から選択された1種類以上を用いることができる。
硫化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば硫黄(S)を含有し、かつリチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものを好適に用いることができる。硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-B、LiPO-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P等から選択された1種類以上を用いることができる。
なお、無機固体電解質としては、上記以外のものを用いてよく、例えば、LiN、LiI、LiN-LiI-LiOH等を用いてもよい。
有機固体電解質としては、イオン伝導性を示す高分子化合物であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの共重合体などを用いることができる。また、有機固体電解質は、支持塩(リチウム塩)を含んでいてもよい。
[セパレータ]
また、正極と負極との間には、セパレータが介在されてもよい。セパレータとしては、大きなイオン透過度と所定の機械的強度を持ち、かつ絶縁性である微多孔性薄膜が好ましい。この微多孔性薄膜としては、一定温度以上で孔を閉塞し、抵抗を上昇させる機能を持つものが好ましい。また、微多孔性薄膜の材質としては、耐有機溶剤性に優れ、疎水性を有するポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンが好ましく用いられる。また、ガラス繊維等から作製されたシート、不織布、織布等も用いられる。
セパレータの孔径は、例えば、0.01μm以上1μm以下である。また、セパレータの厚みは、特に限定されず、一般的には10μm300μmである。また、セパレータの空孔率は、特に限定されず、一般的には30%以上80%以下である。
[ポリマー電解質]
なお、非水系電解液及びこれを保持するポリマー材料からなるポリマー電解質を、セパレータとして正極又は負極と一体化させて用いてもよい。このポリマー材料としては、非水系電解液を保持することができるものであればよいが、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体が好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたリチウムニッケルマンガン複合酸化物の金属の分析方法及び比表面積の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)正極活物質の表面に存在するリチウム量の測定: リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末10gに超純水を100mlまで添加し攪拌した後、1mol/リットルの塩酸で滴定し第二中和点まで測定した。塩酸で中和されたアルカリ分をリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末表面に存在するリチウムとして、滴定結果からリチウムニッケルマンガン複合酸化物に対するリチウムの質量比を求め、この値を表面に存在するリチウム量(全溶出Li量)とした。
(3)炭素含有量(T-C)の分析:高周波燃焼-赤外吸収法で行った。
(4)比表面積の測定:BET法で行った。
(5)水分率の測定:カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社製 型式:MKC210)を用いて気化温度が300℃の条件で測定した。
[実施例1]
以下に示す所定組成のニッケルコバルトマンガン水酸化物を調製する工程、所定組成の焼成粉末を調製する工程、及び得られた焼成粉末を水洗処理した後、乾燥する工程の一連の工程によって、リチウムニッケルマンガン複合酸化物からなる正極活物質を製造した。
なお、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の各金属成分のモル比が、Ni:Co:Mn:Li=0.55:0.20:0.25:1.015となるように各原料を秤量した。
(1)ニッケルコバルトマンガン水酸化物を調製する工程
まず、硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、及び硫酸マンガン(和光純薬製)を所望の比となるよう混合し、水溶液を調製した。この水溶液をアンモニア水(和光純薬製)および苛性ソーダ水溶液(和光純薬製)と同時に、50℃に保温された水をはった吐出口付攪拌反応槽中に滴下した。ここで、pHを11.5に保持し、滞留時間が11時間となるよう制御した反応晶析法により、1次粒子が凝集した球状ニッケルコバルトマンガン水酸化物粒子(組成:Ni0.55Co0.20Mn0.25(OH))を製造した。
(2)焼成粉末を調製する工程
得られたニッケルコバルトマンガン水酸化物粒子に、所望の組成になるようにリチウム(Li)原料として水酸化リチウム(無水物)を加え、小型混合器を用いて混合した。得られた混合物を、電気炉を用いて酸素濃度20%以上の雰囲気中で900℃で15時間、本焼成した。その後、室温まで炉内で冷却した後、解砕処理を行い一次粒子が凝集した球状焼成粉末を得た。
(3)焼成粉末を水洗・乾燥する工程
得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、1500g/Lのスラリー(水洗濃度)を15分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水した。取り出した粉末を120℃に加温した大気乾燥機を用いて24時間静置した。その後、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li量、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。また、Cu-Kα線による粉末X線回折で分析したところ、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[実施例2]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、1500g/Lのスラリーを5分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水したこと以外は、実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[実施例3]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、750g/Lのスラリーを15分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[実施例4]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、1500g/Lのスラリーを15分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水し、取り出した粉末を170℃に加温した大気乾燥機を用いて24時間静置したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[実施例5]
実施例3に記載の焼成粉末を水洗・乾燥する工程において、大気乾燥を行う時間を48h調整したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[実施例6]
実施例3に記載の焼成粉末を水洗・乾燥する工程において、大気乾燥を行う時間を3h調整したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[従来例1]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、1500g/Lのスラリーを15分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水し、取り出した粉末を190℃に加温した真空乾燥機を用いて24時間静置したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[従来例2]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、1500g/Lのスラリーを5分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水し、取り出した粉末を190℃に加温した真空乾燥機を用いて24時間静置したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られた粉末の組成と炭素含有量、表面リチウム量及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[従来例3]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、750g/Lのスラリーを15分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水し、取り出した粉末を190℃に加温した真空乾燥機を用いて24時間静置したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[従来例4]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末に20℃の純水を加えて、750g/Lのスラリーを5分間撹拌した後ろ過し、20℃の純水を掛け水し、取り出した粉末を190℃に加温した真空乾燥機を用いて24時間静置したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[比較例1]
実施例1の(2)で得られた焼成粉末において、水洗・乾燥工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[比較例2]
実施例1の(2)において、リチウム原料を水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)とし、(3)において、水洗・乾燥工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折により、六方晶系の層状構造であるリチウムニッケルマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
[比較例3]
実施例1の(2)において、リチウム原料を炭酸リチウムとし、(3)において、水洗・乾燥工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末を製造した。
得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物粉末の組成と全溶出Li、水分率、炭素含有量(T-C)の分析及び比表面積を測定した結果を表1、2に示す。なお、得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、Cu-Kα線による粉末X線回折によりリ、六方晶系の層状構造であるチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物単相であることが確認された。
Figure 0007336648000001
Figure 0007336648000002
(評価結果)
表1、2より、乾燥を大気雰囲気で行った実施例では、水洗・乾燥工程を行っていない比較例1~3に対して、得られた正極活物質の全溶出Li量及びT-Cが低かった。
特に、実施例1~4では、得られた正極活物質の全溶出Li量およびT-Cがより低く、乾燥を真空下で行った従来例1~4と同等であることがわかる。
これに対して、水洗・乾燥工程を行っていない比較例1~3では全溶出Li量の値が高い。また、乾燥時間が長い実施例4、及び短い実施例5においても、比較例1~3に対して全溶出Li量は低下していた。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(1)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    少なくともニッケルと、マンガンとを含有するニッケル化合物と、リチウム化合物とを含む混合物を、酸素雰囲気下、最高温度が650℃以上1000℃以下の範囲で焼成して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の焼成粉末を調製する焼成工程と、
    前記焼成粉末と、水とを混合してスラリーを形成し、撹拌する水洗工程と、
    前記スラリーをろ過して固体粉末を分離し、大気雰囲気下で乾燥して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の粉末を調製する乾燥工程と、
    備え、
    前記正極活物質の炭素含有量が、正極活物質全量に対して0.08質量%以下である、
    リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
    一般式:LiNi1-a-bMn・・・(1)
    (一般式(1)中、Mは、Co、W、Mo、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素であり、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.5≦(1-a-b)<0.70、0.90≦d≦1.20である。)
  2. 前記ニッケル化合物は、ニッケル水酸化物、そのオキシ水酸化物、及び、これらを焙焼して得られるニッケルマンガン酸化物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記ニッケル水酸化物は、晶析法により得られる、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記リチウム化合物は、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩及びハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記正極活物質を水に浸漬した際に溶出するリチウム量が、正極活物質全量に対して0.07質量%以下である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記正極活物質の比表面積が0.3m/g以上1.5m/g以下である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
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