発明の詳細な説明
本発明は、分子生物学および医薬品の分野に含まれる。具体的には、本発明は、虚弱性の診断および/または予測のためのインビトロ方法に関する。より具体的には、本発明は、バイオマーカーまたは分子マーカーに関し、ならびに対象が虚弱性に罹患しているか否か、および/または虚弱性が進行しそうか否かを決定するためのその使用に関する。
〔発明の背景〕
老齢人口は、公衆衛生政策および社会経済開発の成功であり、かつ社会の課題である。社会は、高齢者の社会的ニーズおよび健康上のニーズを持続可能な方法で考慮しつつ、高齢者の福祉および社会的参加、ならびに高齢者に対するサービスの提供を確保しなければならない。加齢に伴って一連の生理学的変化が生じ、環境の要求に対する適応が徐々に失われ、脆弱性が増大する。老齢人口の問題の最も深刻な発現は、虚弱性の臨床症状である。
虚弱性(frailty)とは、高齢者の機能的蓄積および適応能力の低下を特徴とする、老年状態または老年症候群と定義される。この欠陥は、依存症に向かって確実に進行する、健康の全体的な衰えを決定づける。虚弱性は、施設入所、入院、転倒、障害および依存症などの重篤で有害な健康上の事象とは別の危険因子であることが証明されている。虚弱な人々は、同じ年齢および性別の、頑強(robust)であると考えられる人々よりも、依存状態になる可能性が6倍高い。虚弱性の罹患率は、それを測定するために使用される器具および研究の分野に依存して変化するが、70歳超の人口の15~25%の範囲である。依存症とは異なり、虚弱性は可逆的であり、運動を通じた筋力強化、食生活改善または多剤投与の制御に基づく干渉の有効性に関する証拠が豊富に存在する。したがって、虚弱性は検出可能であり、干渉を受けやすいと考えれば、虚弱性に作用することによって障害を防止することが可能である。虚弱性は別個に、死亡率、依存症、転倒および骨折、入院、ならびに健康に関連する生活の質の低下のより高いリスクと関連付けられている。
虚弱性の重要な要素は、複数の相互に関連した系の変化によって引き起こされる低強度ストレッサーに対する脆弱性の増加であり、これは、生物の機能的貯蔵および適応能力の低下につながる。これが、有害な健康上の事象を起こしやすくし、虚弱な人が罹患している機能的能力の喪失のために、正常な日々の発達を妨げる。
虚弱で高齢な対象の同定は、非常に関連性がある。これは、対象およびその家族のニーズに適合したパーソナライズされた干渉によって、依存症に向かう虚弱性の自然進行を停止することが可能になるからである。虚弱性に対処することは、依存症の防止において、重要な焦点である。依存症の発達を防ぐことは、それに対処することよりも重要でなくとも、同じくらいには重要であり、虚弱性の早期発見による発達を遅延することは、それが新しく可逆的なものである場合には、より効果的である。
近年、様々なヘルスケア分野において、虚弱な対象を同定するための多くの器具が提案されている。虚弱性を同定するための古典的なアプローチは、Friedによって提唱された表現型、Tilburg frailty indicator、またはFRAILツールなどの予測尺度;Clinical Frailty ScaleまたはGerontopole Frailty Scaleなどの専門家の臨床的判断;および最後に、Frailty Index(Rodriguez-Manas L、Fried LP.Lancet.2015;385(9968):e7-e9)などの欠損カウントに基づいている。しかしながら、これまでのところ、これらはいずれも、国民保健制度における標準的技法には体系的に組み込まれていない。臨床環境において許容可能なツールのこのような欠落には、いくつかの理由があり、その中でも、以下は特筆すべきである:1)臨床環境におけるそれらの妥当性の確認が不十分であり、虚弱性の罹患率が、集団ベースの研究における既存の罹患率よりもはるかに高いこと、2)集団の二分的な特性付け(虚弱対非虚弱)により、対象のモニタリングおよび追跡が不可能になること、3)対象の一部が必要とする過剰な時間。
近年、臨床的特徴および機能的衰えの発達を伴う虚弱性の特徴である生理学的衰えに関与する分子メカニズムに関連する特定の分子バイオマーカーを同定および決定するための異なる試みもなされている。このように、虚弱な集団において、異なった発現をする異なる遺伝子を調べた研究もある。それらの大部分は、炎症(例えば、IL-1、IL-6およびTNF-α)、酸化的ストレス(例えば、一般的なマロンジアルデヒドレベルおよびタンパク質酸化レベル)、および代謝(例えば、グルコース、インスリン、サーチュイン1およびサーチュイン3)に関与する遺伝子であり(Calvani Rら.SPRINTT Consortium.Aging Clin Exp Res.2017年2月;29(1):29-34);生物の異なる系に影響を及ぼす。しかし、その情報は、一貫しては検証されておらず、臨床実務および国民保健制度への転換は行われていない。
したがって、様々なヘルスケア分野における虚弱性のスクリーニングおよび診断を進めるために、とりわけ、前記スクリーニングおよび診断を単純に、客観的に、かつ確実に個別にまたは集団的に実施することを可能にする機能的および分子的ツールが、医療専門家が利用できるようにしなければならない。そのため、非侵襲的で個々の診療記録に日常的に含まれることさえ可能な、実用的にも一時的にも実施しやすいツールを作成し、検証することの重要性がますます必要になってきている。虚弱な人を迅速かつ容易に同定することを可能にする非侵襲的試験によるバイオマーカーの使用は、前記ツールであり得る。
〔発明の説明〕
虚弱性基質の生物学的基礎を理解するための虚弱性の分子マーカーを同定すること、ならびに、その適切な同定および検出のための単純、迅速、安価、確実および定量可能な機器を有することは、現在、革新的かつ工業的な潜在性を以て関心が高まっている分野である。この点に関して、本発明者らは、対象における虚弱性の診断および/または予測に有用なバイオマーカーを同定した。具体的には、本発明のバイオマーカーは、EGR1遺伝子および/またはその発現産物もしくはタンパク質に関する。
したがって、本発明の第1の態様は、対象における虚弱性のインビトロ診断および/または予測のための、EGR1バイオマーカー(以下、本発明のバイオマーカー)の遺伝子および/またはタンパク質発現レベルの使用に関する。
好ましい実施形態において、本発明の第1の態様は、DDX11L1、hsa-miR-454および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの使用をさらに含む。好ましい実施形態において、本発明の第1の態様は、EGR1、DDX11L1およびhsa-miR-454バイオマーカーのセットの発現レベルの使用を含む。
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態において、当該使用は、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを決定することをさらに含む。より好ましくは、本発明の第1の態様は、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、およびTRAV8-3からなるリストから選択されるバイオマーカーのセットの発現レベルを決定することをさらに含む。
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態において、当該使用は、EGR1、DDX11L1、hsa-miR-454、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、mi-R626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16、TRBV3-1、および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを決定することをさらに含む。
別のより好ましい実施形態において、本発明の第1の態様は、EGR1、DDX11L1、hsa-miR-454、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、mi-R626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16、およびTRBV3-1からなるリストから選択されるバイオマーカーのセットの発現レベルを決定することをさらに含む。
好ましい実施形態において、本発明のバイオマーカーの発現レベルの決定は、対象の単離された生物学的試料において、インビトロで行われる。
「単離された生物学的試料」は、以下を含むが、これらに限定されない:細胞;組織;および/または当業者に公知の任意の方法によって、血液、血清、血漿、尿、および/または涙から選択される生物の生物学的流体。本発明における好ましい単離された生物学的試料は末梢血であるか、および/または末梢血細胞(PBMC)、より好ましくは単核細胞を含む。これらの細胞は例えば、Ficollを使用する密度勾配による分離によって単離されるが、これに限定されない。Ficollは、密度勾配媒体であり、本方法の遠心分離工程の間に媒体を通る細胞の差次的移動の原理に基づく。これらの細胞は、一旦単離されると、制御された条件下でインキュベートされ、これは、続く決定を信頼できるものにする。
本文書中で使用される場合、用語「虚弱性」または「虚弱性症候群」は、生理学的蓄積が低下した状態と、高齢化の加速に関連するストレス因子に対する脆弱性とを反映する老年症候群として定義される。虚弱性の生理病理学は、複数の相互に関連した系、特に免疫系、ホルモン系および内分泌系の脱調節に根ざしている。虚弱な人は、臨床的虚弱性尺度で測定され、分類されている一連の臨床的属性を共有している。これらの属性は、とりわけ、不随意的な体重減少、筋力低下、遅い歩行速度、疲労、低い身体活動、認知障害、および気分の変化を含む。他方、虚弱とみなされない個体は、「頑強である」個体であるか、または虚弱性の前段階である「依存症である」個体である。
本明細書中で使用される場合、用語「個体」または「対象」は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトに言及する。本明細書における用語「個体」は、「患者」の同義語であり、いかなる意味においても限定することを意図するものではなく、前者は、任意の年齢、性別、または任意の身体状態である。個体は、誰であっても、虚性弱に罹患しやすい個体であっても、前記疾患に罹患している個体であってもよい。
本発明の別の態様は、個体における虚弱の診断および/または予後のためのインビトロ方法に関する。以下、本発明の方法は、以下を含む:
(a)前記個体の単離された生物学的試料におけるEGR1バイオマーカーの遺伝子および/またはタンパク質の発現レベルを定量化すること、および、
(b)工程(a)において得られた発現レベルを参照値と比較すること、
を含み、
前記バイオマーカーについての前記参照値に対する、患者の前記試料におけるEGR1バイオマーカーの発現レベルの増加は、虚弱性を有すること、または罹患しやすいことを示す。
本発明の方法の別の好ましい実施形態において、当該方法は、工程(a)において、DDX11L1、miR-454および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを定量化することをさらに含む。本発明の方法の別のより好ましい実施形態において、当該方法はまた、工程(a)において、DDX11L1およびmiR-454バイオマーカーの発現レベルを決定することを含むことを特徴とする。
本発明の方法の別のより好ましい実施形態において、当該方法は、工程(a)において、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを決定することをさらに含むことを特徴とする。より好ましくは、当該方法は、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19およびTRAV8-3からなるリストから選択されるバイオマーカーの発現レベルを決定することをさらに含む。
別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、工程(a)において、EGR1、DDX11L1、hsa-miR-454、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、mi-R626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16、TRBV3-1、および/またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択されるバイオマーカーのセットを決定することを含む。より好ましくは、当該方法は、EGR1、DDX11L1、hsa-miR-454、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、mi-R626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16、およびTRBV3-1からなるリストから選択されるバイオマーカーのセットの発現レベルを決定することを含む。
好ましい実施形態において、本発明の方法の工程(a)において、すべてのバイオマーカーの発現レベルは、同時に定量化することができ、または前記バイオマーカーのいずれか、もしくはそれらの任意の組み合わせを独立して選択することができる。
「診断」は、疾病または疾患、好ましくは虚弱性が同定される方法として、解釈される。本発明において、用語「診断」は、虚弱性または虚弱性症候群に罹患した個体または罹患していない個体を区別する能力に言及する。用語「予測」は、疾病、好ましくは虚弱性または虚弱性症候群の発生または経過において起こることの予想を確立する方法に言及する。予測は、予想される疾病の発展として理解され、対象が疾病に罹患する確率の評価、およびその始まりの評価、その発生、発展、もしくは退行の状態の評価、ならびに/または将来の疾病の経過の予測に言及する。当業者が理解するように、この評価は、そうであることが好ましいが、通常は、診断される対象について100%正確であるわけではない。しかしながら、当該用語は、疾病に罹患しているか、または同じ傾向を有する対象の統計的に有意な割合を同定することを必要とする。統計的に有意な量とは、異なる統計的ツールを使用することによって、当業者によって確立され得る。異なる統計的ツールは例えば、信頼区間を決定すること、有意なp値を決定すること、スチューデントのt検定もしくはFisherの判別関数、ノンパラメトリックMann-Whitney測定、Spearmanの相関、ロジスティック回帰、線形回帰、ROC曲線下面積(AUC)であるが、これらに限定されない。好ましくは、信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。好ましくは、p値は、0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.0001未満である。好ましくは、本発明は、特定の分析された群または集団の対象のうち、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、またはさらに好ましくは少なくとも90%の疾病が異なる様式で正確に同定されることを可能にする。
本発明に記載されるバイオマーカー、遺伝子および/またはタンパク質の発現レベルは、特定の発現プロファイルを提供する。用語「発現レベル」は、「遺伝子産物量」または「発現産物量」としても言及されるが、RNAであろうとタンパク質であろうと、遺伝子発現の結果であろうと、生化学物質に言及する。遺伝子産物量の測定を使用して、遺伝子がどの程度活性であるかを推定することがある。「遺伝子発現プロファイル」とは、単離された生物学的試料における、本発明に記載される対象の遺伝子またはバイオマーカーによって産生されるmRNAおよび/またはタンパク質の定量後に得られる遺伝子プロファイルとして、理解される。バイオマーカーの発現プロファイルは、好ましくは、単離された生物学的試料中に存在する全RNAの抽出の前に、その転写由来のmRNAレベルを決定することによって、行われる。mRNAレベルの決定は、当技術分野で公知のプロトコルによって、行うことができる。本発明のバイオマーカーの発現産物量の検出は、当技術分野において公知の任意の手段によって、行われ得る。本発明の著者らは、半定量的または定量的な様式でのこれらのバイオマーカーと比較した抗体の量または濃度の検出が、対象における虚弱性の診断および/または予測を可能にすることを示した。これらの遺伝子の発現産物の量または濃度の測定は、好ましくは半定量的または定量的な様式で、直接的または間接的に行われ得る。直接的な測定は、前記遺伝子の転写物またはタンパク質から直接得られるシグナルに基づく、遺伝子の発現産物の量または濃度の測定に関する。当該シグナルは、遺伝子によって産生されるRNA分子やタンパク質分子の数と直接相関している。強度シグナルとも言及できる前記シグナルは、例えば前記生成物の化学的または物理的特性の強度値を測定することによって、得ることができる。間接的な測定は、第2の構成要素または生物学的測定系(例えば、細胞応答、リガンド、「標識」または酵素反応産物の測定)から得られる測定を含む。
本発明において生物学的マーカーとして使用される遺伝子の転写由来のmRNAレベルの決定は例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT-PCR)、定量的RT-PCR、リガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT-LCR)、または任意の他の核酸増幅法;遺伝子発現の連続解析(SAGE、SuperSAGE);任意のメカニズムによって堆積したオリゴヌクレオチドを用いて調製されたDNAマイクロアレイ;フォトリソグラフィーによって、または任意の他のメカニズムによってインサイチュで合成されたオリゴヌクレオチドを用いて調製されたDNAマイクロアレイ;任意の標識法で標識された特異的プローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーション;電気泳動ゲル;膜転写、および特異的プローブとのハイブリダイゼーション;常磁性診断ナノ粒子または抗体で官能化された任意の他の種類の検出可能なナノ粒子を使用する核磁気共鳴または任意の他の診断用画像化技術によって、または任意の他の手段によって、行うことができるが、これらに限定されない。本発明において生物学的マーカーとして使用される遺伝子の発現の定量的検出は、より好ましくはリアルタイムPCR(RT-PCRまたはRTqPCR)によって、行うことができる。増幅産物のリアルタイム検出は、二本鎖DNA中に散在する蛍光分子を使用することによって、または異なるタイプのプローブとのハイブリダイゼーションによって、行うことが出来る。
別の好ましい実施形態において、遺伝子発現プロファイルは、本発明において生物学的マーカーとして使用される遺伝子の転写由来のmRNA翻訳のタンパク質産物の検出および/または定量化によって得ることができる。これは、例えば、ウェスタンブロット、サイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、およびラジオイムノメトリー技術、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、またはそれらの任意の組み合わせによる免疫検出によるものであるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「比較」は、分析される生物学的試料(問題の生物学的試料とも呼ばれる)における本発明のバイオマーカーの発現レベルと、1つ以上の参照試料の発現レベルとの比較に言及するが、これに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「参照値」または「参照量」は、本発明のバイオマーカーの遺伝子および/またはタンパク質発現レベルの絶対量または相対量に言及する。これらは、疾病に罹患している個体、または疾病に罹患するであろう個体、すなわち虚弱な個体および/または依存症な個体を、疾病に罹患していない個体、または罹患しないであろう個体、すなわち頑健な個体と区別することを可能にする。前記値または量は、本発明の方法によって、例えば問題の生物学的試料と同時に、または連続して分析することができる参照試料から、決定することができる。このように、非限定的な様式の例として、参照試料は、ネガティブコントロール、すなわち、疾病、虚弱性に罹患していない個体、すなわち頑強な個体の試料において、本発明の方法によって検出される量であり得る。
本発明の方法のセクション(b)に記載される比較は、手動またはコンピュータアシストであり得る。
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書中で互換的に使用され、ヌクレオチドの、リボヌクレオチド(RNA)およびデオキシリボヌクレオチド(DNA)の両方の任意の長さの高分子形態に言及する。用語「アミノ酸配列」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で互換的に使用され、アミノ酸の任意の長さの高分子形態に言及し、コードまたは非コードであり得、化学的または生化学的に修飾され得る。
本発明の目的であるバイオマーカーの特性を以下に記載する。
本発明の文脈において、EGR1(初期成長応答タンパク質1)は、Zif268(ジンクフィンガータンパク質225)、NGFI-A(神経成長因子誘導タンパク質A)、AT225、G0S30、KROX-24、TIS8、ZNF225、転写因子ETR103、TIS8としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:1958を有する、配列番号1のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P18146を有する、配列番号2のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号2と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがEGR1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号1に含まれるものがある。
本発明の文脈において、DDX11L1またはDEAD/H-boxヘリカーゼ11like1は、NCBIにおける遺伝子番号:100287102を有する、配列番号3のヌクレオチドの配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:B7ZGX0を有する、配列番号4のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号4と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがDDX11L1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号3に含まれるものがある。
本発明の文脈において、miR-454またはMicroRNA454、Hsa-miR-454は、NCBIにおける遺伝子番号:768216を有する、配列番号5のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、CD69は、CLEC2CまたはMLR-3としても知られ、NCBIにおける遺伝子番号:969を有する、配列番号62のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によって定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q07108を有する、配列番号63のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含む:a)配列番号63のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号63と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCISHタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号62に含まれるものがある。
本発明の文脈において、PTENは、BZSまたはMHAMとしても知られ、NCBIにおける遺伝子番号:5728を有する、配列番号64のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によって定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P60484を有する、配列番号65のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含む:a)配列番号65のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号65と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCISHタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号64に含まれるものがある。
本発明の文脈において、JUNは、AP1、C-JUNまたはP39としても知られ、NCBIにおける遺伝子番号:3725を有する、配列番号66のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によって定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P05412を有する、配列番号67のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含む:a)配列番号67のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号67と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCISHタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号66に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CISH(サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質)は、BACTS2、CIS、CIS-1、G18またはSOCSとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:1154を有する、配列番号6のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q9NSE2を有する、配列番号7のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含む:a)配列番号7のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号7と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCISHタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号6に含まれるものがある。
本発明の文脈において、DDX11L10(DEAD/H-boxヘリカーゼ11like10)は、DDX11L1またはDDX11Pとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:100287029を有する、配列番号8のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:B7ZGX5を有する、配列番号9のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号9のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号9と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがDDX11L10タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号8に含まれるものがある。
本発明の文脈において、LOC101929775は、C-Jun-アミノ末端キナーゼ相互作用タンパク質1-likeとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:101929775を有する、配列番号10のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、LOC644172は、MAPK8IP1P2(マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ8相互作用タンパク質1偽遺伝子2)としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:644172を有する、配列番号11のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、NSF(-N-エチルマレイミド感応性因子)は、SKD2またはSEC18としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:4905を有する、配列番号12のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によって定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q96D47を有する、配列番号13のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号13のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号13と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがNSFタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号12に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAJ17(T細胞受容体α結合17)は、NCBIにおける遺伝子番号:28738を有する、配列番号14のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A075B6W8を有する、配列番号15のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号15のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号15と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAJ17タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号14に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAJ19(T細胞受容体α結合19(非機能的))は、NCBIにおける遺伝子番号:28736を有する、配列番号16のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A075B6Y4を有する、配列番号17のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号17のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号17と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAJ19タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号16に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAV8-3(T細胞受容体α可変体8-3)は、TCRAV1S4、TCRAV8S3またはTRAV83としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:28683を有する、配列番号18のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A0A6YYJ7を有する、配列番号19のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号19のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号19と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAV8-3タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号18に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CD40L(リガンドCD40)は、IGM;IMD3;TRAP;gp39;CD154;HIGM1;T-BAM;TNFSF5およびhCD40Lとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:959を有する、配列番号20のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q45QX2を有する、配列番号21のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号21のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号21と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCD40Lタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号20に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CLDN12(クローディン12)は、NCBIにおける遺伝子番号:9069を有する、配列番号22のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P56749を有する、配列番号23のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号23のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号23と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCLDN12タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号22に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CNTNAP3(コンタクチン関連タンパク質-Like3)は、CASPR3;CNTNAP3Aとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:79937を有する、配列番号24のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q9BZ76を有する、配列番号25のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号25のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号25と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCNTNAP3タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号24に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CNTNAP3B(コンタクチン関連タンパク質-Like3B)は、CASPR3Bとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:728577を有する、配列番号26のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q96NU0を有する、配列番号27のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号27のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号27と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCNTNAP3Bタンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号26に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CSRNP1(システインおよびセリンリッチ核タンパク質1)は、AXUD1;URAX1;TAIP-3;CSRNP-1およびFAM130Bとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:64651を有する、配列番号28のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q96S65を有する、配列番号29のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号29のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号29と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCSRNP1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号28に含まれるものがある。
本発明の文脈において、CTSLP8(カテプシンL偽遺伝子8)は、CTSL1P8としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:1518を有する、配列番号30のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、CXCL8(C-X-Cモチーフケモカインリガンド8)は、IL8;NAF;GCP1;LECT;LUCT;NAP1;GCP-1;LYNAP;MDNCF;MONAPおよびNAP-1としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:3576を有する、配列番号31のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P10145を有する、配列番号32のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号32のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号32と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがCXCL8タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号31に含まれるものがある。
本発明の文脈において、G0S2(G0/G1スイッチ2)は、NCBIにおける遺伝子番号:50486を有する、配列番号33のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P27469を有する、配列番号34のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号34のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号34と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがG0S2タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号33に含まれるものがある。
本発明の文脈において、GCNT4(グルコサミニル(N-アセチル)トランスフェラーゼ4、コア2)は、C2GNT3としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:51301を有する、配列番号35のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q9P109を有する、配列番号36のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号36のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号36と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがGCNT4タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号35に含まれるものがある。
本発明の文脈において、GJB6(ギャップ結合タンパク質β6)は、ED2;EDH;HED;CX30;HED2;DFNA3;ECTD2;DFNA3BおよびDFNB1Bとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:10804を有する、配列番号37のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:Q95452を有する、配列番号38のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号38のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号38と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがGJB6タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号37に含まれるものがある。
本発明の文脈において、IGHV2-26(免疫グロブリン重可変体2-26)は、VHおよびIGHV226としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:28455を有する、配列番号39のヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A0B4J1V2を有する、配列番号40のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号40のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号40と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがIGHV2-26タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号39に含まれるものがある。
本発明の文脈において、LOC100505530は、NCBIにおける遺伝子番号:100505530を有する、配列番号41のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、LOC105378916は、NCBIにおける遺伝子番号:105378916を有する、配列番号42のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、miR-3941、microRNA3941、MIR3941またはHsa-miR-3941は、NCBIにおける遺伝子番号:100500866を有する、配列番号43のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、miR-487A、microRNA487A、MIR487AまたはHsa-miR-487Aは、NCBIにおける遺伝子番号:619555を有する、配列番号44のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、miR-626、microRNA626、MIR626またはHsa-miR-626は、NCBIにおける遺伝子番号:693211を有する、配列番号45のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。
本発明の文脈において、MTRNR2L2(MT-RNR2-like2)は、HN2としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:100462981を有する、配列番号46のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P0CJ69を有する、配列番号47のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号47のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号47と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがMTRNR2L2タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号46に含まれるものがある。
本発明の文脈において、RLN1(リラキシン1)は、H1;H1RLX;RLXH1;bA12D24.3.1およびbA12D24.3.2としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:6013を有する、配列番号48のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P04808を有する、配列番号49のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号49のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号47と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがRLN1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号48に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TIA1(TIA1細胞毒性顆粒関連RNA結合タンパク質)は、WDMおよびTIA-1としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:7072を有する、配列番号50のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:P31483を有する、配列番号51のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号51のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号51と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTIA1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号50に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAJ14(T細胞受容体α結合14)は、NCBIにおける遺伝子番号:28741を有する、配列番号52のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0N4Z3を有する、配列番号53のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号53のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号53と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAJ14タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号52に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAJ16(T細胞受容体α結合16)は、NCBIにおける遺伝子番号:28739を有する、配列番号54のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A75B6V0を有する、配列番号55のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号55のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号55と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAJ16タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号54に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAJ48(T細胞受容体α結合48)は、NCBIにおける遺伝子番号:28707を有する、配列番号56のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A075B6V3を有する、配列番号57のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号57のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号57と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAJ48タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号56に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRAV16(T細胞受容体α可変体16)は、TCRAV9S1およびTCRAV16S1としても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:28667を有する、配列番号58のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A0A6YYK6を有する、配列番号59のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号59のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号59と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRAV16タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号58に含まれるものがある。
本発明の文脈において、TRBV3-1(T細胞受容体α可変体3-1)は、TRBV31;TCRBV3S1およびTCRBV9S1A1Tとしても知られるが、NCBIにおける遺伝子番号:28619を有する、配列番号60のヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列によっても定義される。当該配列は、UniProtデータベースにおけるアクセス番号:A0A576を有する、配列番号61のタンパク質のコード配列を構成し、以下とは異なる変異体を含み得る:a)配列番号61のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、b)相補鎖がa)のポリヌクレオチド配列とハイブリッドする核酸分子、c)配列が、遺伝子コードの縮重に起因して、a)および/またはb)とは異なる核酸分子、d)配列番号61と少なくとも80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、および前記核酸によってコードされるポリペプチドがTRBV3-1タンパク質の活性および構造特性を示す核酸分子。前記核酸分子の中には、配列番号60に含まれるものがある。
本発明のバイオマーカーの活性の計測は、当技術分野で公知の任意の手段によって、行うことができる。さらに、多型または変異の存在は、DNAシークエンスによって、決定され得る。
本明細書中で使用される意味において、用語「変異体」は、本発明のバイオマーカーのいずれかと実質的に等価であるタンパク質に言及する。一般的に、変異体は、アミノ酸および/またはヌクレオチドの付加、欠失または置換を含む。また、用語「変異体」は、例えばリン酸化、グリコシル化、SUMO化、メチル化またはアシル化などであるがこれに限定されない翻訳後修飾から生じるタンパク質も含む。
本明細書中で使用される場合、そのアミノ酸および/またはヌクレオチド配列が本発明のバイオマーカーのアミノ酸および/またはヌクレオチドと良好なアラインメントを有する場合に、すなわち、そのアミノ酸および/またはヌクレオチド配列が本発明のバイオマーカーのアミノ酸および/またはヌクレオチド配列に対して、少なくとも50%、典型的には少なくとも80%、有利には少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一性レベルを有する場合に、バイオマーカーは本発明のバイオマーカーと「実質的に等価」である。本発明のバイオマーカーと等価な配列は、例えば配列を比較するために適したコンピュータプログラムを用いて、当業者によって容易に同定され得る。本明細書中で使用される場合、「機能的に等価である」という表現は、問題のタンパク質または当該タンパク質の断片が、本文書に記載されている生物学的または免疫学的特性を本質的に保持していることを意味するものである。前記能力は、従来の方法によって、決定され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「同一性」は、比較される2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間で同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸の割合に言及する。配列を比較するための方法は、当技術分野で公知であり、GAP(Devereuxefら、Nucleic Acids Research 12:287(1984))、Genetics Computer Group University of Wisconsin、Madison、(WI);BLAST、BLASTPまたはBLASTN、およびFASTA(Altschulら、1999.JMol.Biol.215:403-41)を含むGAGプログラムを含むが、これらに限定されない。
本文書に記載される診断および予測方法は、本文書に記載されるバイオマーカーの発現レベルと虚弱性に罹患するリスクとの間の関係を捕捉するように、設計される。本文書に記載される方法によって個体が診断されると、または患者によって特性付けられる疾病の状態に応じて適切と考えられる治療または干渉レジメンに従って、この個体は治療され得るか、干渉が行われ得る。
本発明の別の態様は、キットまたはデバイス(以下、本発明のキット)に関する。当該キットは、個体の単離された生物学的試料における本発明のバイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素を含む。
好ましい実施形態において、本発明のキットは、バイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素を含む。別の好ましい実施形態において、本発明のキットは、DDX11L1、miR-454バイオマーカー、および/またはそれらの任意の組み合わせの発現レベルを定量化するために必要な要素をさらに含む。より好ましくは、キットは、EGR1、DDX11L1およびmiR-454バイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素を含む。別のより好ましい実施形態において、キットは、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択されるバイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素をさらに含む。
別のより好ましい実施形態において、キットは、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、miR-626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16、TRBV3-1、またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択されるバイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素をさらに含む。
別のより好ましい実施形態において、キットは、EGR1、DDX11L1、miR-454、CD69、PTEN、JUN、CISH、DDX11L10、LOC101929775、LOC644172、NSF、TRAJ17、TRAJ19、TRAV8-3、CD40LG、CLDN12、CNTNAP3、CNTNAP3B、CSRNP1、CTSLP8、CXCL8、G0S2、GCNT4、GJB6、IGHV2-26、LOC100505530、LOC105378916、miR-3941、miR-487A、miR-626、MTRNR2L2、RLN1、TIA1、TRAJ14、TRAJ16、TRAJ48、TRAV16およびTRBV3-1からなるリストから選択されるバイオマーカーのセットの発現レベルを定量化するために必要な要素を含む。
この態様の別のより好ましい実施形態において、本発明のバイオマーカーの発現レベルを定量化するために必要な要素は、プライマー、プローブおよび/または抗体からなるリストから選択される。
本発明のこの態様の好ましい実施形態において、単離された試料は、末梢血であり、さらにより好ましくは末梢血単核細胞である。
前記キットまたはデバイスは、当技術分野に存在する方法のいずれか、および/または本文書に記載される方法のいずれかによって、本発明のバイオマーカーを決定するために必要なすべての試薬を含み得る。キットはまた、限定されるものではないが、緩衝液、汚染を防止するための薬剤、遺伝子および/またはタンパク質分解阻害剤なども含み得る。さらに、キットは、それを開始および最適化するために必要なすべての媒体および容器を含み得る。好ましくは、キットは、本発明の方法のいずれかを行うための説明書をさらに含む。
本発明のこの態様の別の好ましい実施形態において、本発明のキットまたはデバイスは、パーツキットであり、工程a)の試料を収集するためのデバイスによって形成される構成要素Aと、工程a)の試料の定量分析または本発明の方法のいずれかを行うために必要な要素によって形成される構成要素Bとを含む。
本発明の別の態様は、個体における虚弱性のインビトロ診断および/または予測のための、本発明のキットの使用に関する。
本文書および特許請求の範囲を通じて、用語「含む」およびその変形は、他の技術的特徴、付加物、構成要素または工程を排除することを意図しない。当業者にとって、本発明の他の目的、利点および特徴は、本発明の説明および実際の使用の両方から推論され得る。以下の実施例および図面は、例示のために提供され、本発明を限定することを意図しない。
〔図面の簡単な説明〕
〔図1〕分析した患者(n=26)の試料における虚弱性の罹患率を示すグラフであり、分析した試料において、男性に対して虚弱な女性の数の有意な増加を観察した(p<0.001)。
〔図2〕(A)Time Up and Go試験(TUG)のボックスプロット形式のデータであり、男性と女性との間でp<0.001の統計的有意性が観察される;および(B)歩行速度(GS)のボックスプロット形式のデータであり、男性と女性との間でp=0.711の統計的有意性が観察される。
〔図3〕(A)本発明において分析され、調査されたすべての試験によると頑強な対象および虚弱な対象のグループ間で異なって発現されたバイオマーカーの発現の階層的グループ化。(B)分析した患者の試料における各分類器の感度および特異度の値。(C)複合共変量予測分類子により、本発明の35個のバイオマーカーのセットを用いて得られたROC曲線。
〔図4〕オリジナルコホート(n=26)の対象セットにおける、頑強な個体(黒四角)と虚弱な個体(白四角)との間のDDX11L1(A)、EGR1(B)、およびhsa-miR-454(C)バイオマーカーの遺伝子発現の解析。バイオマーカーとコントロールとして使用される参照遺伝子との間のサイクル差(Ct)が示されており、前記マーカーのサイクル数の大きな値は、当該マーカーのより低い発現を伴うことを意味する。(D)この図は、頑健な群に対して、虚弱な集団におけるバイオマーカーの発現が高かった回数(EGR1の場合)または低かった回数(DDX11L1およびhsa-miR-454の場合)を示す。
〔図5〕示された各試験に従って得られた検証集団(n=182)におけるEGR1バイオマーカーの遺伝子発現の解析。黒四角は頑強な個体を表し、白四角は虚弱な個体を表す。Carlson試験では、灰四角は依存症の個体を表す。
〔図6〕実施されたすべての試験において個体が頑強または虚弱であると同定された58個体のサブコホートにおける、EGR1バイオマーカー発現。
〔図7〕元々のコホート(n=25)(A)およびqPCRによる検証コホート(n=58)(分類末端)(B)における、EGR1バイオマーカーのROC曲線。
〔図8〕EGR1、DDX11L1およびhsa-miR-454のバイオマーカーの組み合わせを含む、検証コホート(n=182)から選択された58個の試料のサブコホートにおける3つの遺伝子のROC曲線。
〔図9〕qPCRにより評価した虚弱または頑強な個体における、EGR1関連遺伝子、CD69、c-JunおよびPTENの遺伝子発現。
〔図10〕健康な対象(頑強)から得て、その頑強な状態を維持するか(頑強な細胞)、または連続継代により虚弱に変化した(虚弱な細胞)培養線維芽細胞におけるEGR1、DDX11L1およびhsa-miR-454バイオマーカーの遺伝子発現。
〔実施例〕
本発明は、本発明の産物の有効性を明らかにする、本発明者らによって行われた試験によって、以下に説明される。
〔実施例1.虚弱性バイオマーカーの同定〕
プライマリーケアリサーチユニットは、Guipuzcoa州(スペイン)のコミュニティから1000人の対象のコホートを形成した。具体的には、対象は、OSI BidasoaおよびOSI Donostialdeaに由来し、関係のプライマリーケア専門家に参加するように招待された。インフォームドコンセントを与えた後、彼らは、1回の対面インタビューを依頼され、計画された基礎評価が行われた。当該基礎評価は、社会人口統計学的および健康状態データ(KOS)の収集、人体計測の測定、TilburgおよびBarthel試験アンケート、ならびにTime Up and Goおよび歩行速度などの機能遂行試験を含む。さらに、現在の共疾病率、慢性的な処方、ならびに転倒の発生および医療サービスの使用に関する情報を、彼らの医療記録に基づいて得た。得られた結果は、対象の56%が女性であり、コホートの平均年齢は83歳であることを確認した。
虚弱性は、調査される試料において非常に一般的な状態であるが、これは使用される同定器具、ツール、または試験に依存して変化する。したがって、Tilburg質問票に基づく虚弱性を考慮すると、罹患率は30%であるが、図1で観察されるように、これは性別によって異なり、女性については38.0%の虚弱性を示すのに対して、男性については22.4%の虚弱性を示す(p<0.001)。分析された個体の試料について、機能遂行試験、Time Up and Goおよび歩行速度で得られた結果は、図2に見られるように、虚弱な個体の割合(TUGにおいて50%)が、Tilburg試験で観察された割合(38.46%)よりも高いことを示した。さらに、これらの調査はまた、転倒または入院などの有害事象に罹患するリスクを有する対象の割合が高く、性別を考慮した場合、特にTime Up and Go試験の場合に有意差があることを示す(図2A)。最後に、Barthel試験は、個体を頑強、虚弱、及び依存症にグループ分けすることを可能にした。
完全なトランスクリプトームの分析のために計画された年齢、性別および年齢幅に関する代表性を維持しつつ、Tilburgにより頑強および虚弱と記載された個体の群を無作為に選択した。実施した試験に基づいて母集団グループに分類した26人の対象全体を選択し、その詳細を表1に示す。
表1に記載した26人の対象の分類に使用した異なる分類ツールの比較を行った。結果は、使用された機能的ツールまたは試験に基づいて、頑強、虚弱および依存へのグループ分けが変化することを示し、母集団グループにおける個体数は表2に要約する。得られた差異にもかかわらず、分析したすべての分類尺度または試験において、虚弱または頑強な個体とみなされる対象が存在すると見ることが可能であった(表1)。
次に、調査されたコホートにおいて特性付けられた異なる母集団グループについてトランスクリプトーム調査を実施する(表1)。最初に、発現アレイによってバイオマーカーを検索するために、調査におけるすべての参加者(n=26)から採血した。RNeasyミニキット(Qiagen)により、血液細胞(末梢血単核細胞-PBMC)からRNAを単離した。RNAの量を、吸光度(Nanodrop)による特性付けによって、試料当たりで定量化し、個体当たり2μgをアリコートした。
HuGene-2_0-st-v1発現アレイ(Affymetrix)をトランスクリプトーム解析に使用し、この調査に含まれる対象(n=26)から採血された血液試料の単離されたRNA中に存在する48226個の転写物の発現を分析した。Expression consoleソフトウェアによりAffymetrix品質管理をした後、R-Bioconductorにより実施するRMA(Robust Median Analysis)により、データを標準化した。さらに、試料および得られたデータについて、アレイ自身の内部コントロール、ならびに階層的クラスタリングおよび主成分分析(PCA)による調査の使用を用いて、また考えられる技術的異常値の探索を用いて、品質管理を行った。
データ解析は26人の対象について行い、表1に示した頑強な群および虚弱な群に記載された尺度および試験を使用して、虚弱な個体の分子パターンに対して、頑強な個体が示した分子パターンを比較した。虚弱な個体の分子パターンは、Tilburg試験、Time Up and Go試験、またはGait Speed試験のいずれに基づいて分析が行われるかに応じて、変化し、非常に不均一である(図3A)。
次いで、使用された5つの尺度またはツールにおいて虚弱または頑強である個体の試料を選択した。これにより、頑強な群および虚弱な群の分子パターンの明確な差異を観察することが可能になる。さらに、虚弱な個体の感度および特異度の値は、化合物共変量予測子(CCP)、対角線形判別解析(DLDA)、1-最近傍(1NN)、3-最近傍(3NN)、最近傍中心(NC)、サポートベクターマシン(SVM)およびベイジアン複合共変量予測子(BCCP)などの異なる統計的分類器によって、特異的に決定した。
前述の異なる分類器を用いて得られた結果は、35個のバイオマーカーのセット(表3)が同定されることを可能にした。これにより、有望なROC曲線(曲線下の面積:0.943)を用いて、頑強な個体と虚弱な個体とを区別することが可能になる(図3C)。この35個の遺伝子のセットの選択のために行われた分析は、0.714~0.857の間の感度および0.8~1の間の特異度を示す(図3B)。最良の結果(感度0.857および特異度1)は、3NNおよびNC分類器を用いて得られる。
表3は、見込まれる虚弱性バイオマーカーとして同定された35個のバイオマーカーのリストを、その統計値と共に含む。
したがって、使用される5つの尺度またはツールにおいて虚弱または頑強である個体の試料の分析は、得られた結果を区別することを可能にし、本発明において記載された方法および得られた結果に対して、現在までに当技術分野で知られているいかなる調査においても示されていない有効性および健全性を提供する。ここで、得られた結果は、虚弱性を同定するための1つまたは2つの機能的尺度またはツールに由来する。主成分分析(PCA)の分析は、虚弱性を評価するために使用される尺度およびツール(臨床試験)が、その不均一性にもかかわらず、分類ツールとなり得、当該分類ツールが、その結果を異なる分子発現パターンと相関させることを可能にすることを示す。
次の工程は、日常の臨床診療において使用することができる十分に健全なプロファイルを得ることであった。そのために、上述の同定された35個のバイオマーカー(表3)に基づいて、虚弱な個体が高い特異度および感度で同定されることを可能にする最小の分子パターンが求められた。そのために、T検定により統計解析を行い(Fc>|2|、およびp値<0.05)、EGR1バイオマーカーを、虚弱な個体を同定するために最も再現性があり確かな候補として同定した。アレイから得られたデータにおいて、EGR1は、曲線下面積0.831(p=0.009)を示し、所定のカットオフ点6.18について感度100%および特異度87.5%を有する。
表3に示すデータを考慮すると、EGR1に加えて、EGR1ほど良好ではないが、虚弱な個体を同定するための良好なデータを別々に有する他のバイオマーカーが存在することが分かる。このように、本発明者らは、3個のバイオマーカー、EGR1、DDSおよびmiR454の組み合わせが、虚弱な個体の同定において相乗効果を有し、曲線下値0.868(p=0.004)を提供し、感度100%および特異度94.1%を有することを示す。
次に、トランスクリプトーム解析で同定され、虚弱な個体と頑強な個体との間で異なって発現する35個の遺伝子のセットから選択された3つの遺伝子を検証した。最初に、元々のマイクロアレイで使用された頑強な個体および虚弱な個体の試料におけるその発現を、定量的PCR(RTqPCR)によって、分析した。この分析は、マイクロアレイにおいて得られた結果を確認し、EGR1遺伝子(配列番号1)の発現レベルが増加したが、DDX11L1遺伝子(配列番号3)の発現レベル、およびmiRNAであるhsa-miR-454(配列番号5)の発現レベルは、頑強な個体と比較して虚弱な個体において減少したことが観察された(図5)。
DDX11L1遺伝子(配列番号3)と組み合わせて、およびmiRNAであるhsa-miR-454(配列番号5)と組み合わせて、使用することができるEGR1遺伝子(配列番号1)が虚弱性バイオマーカーとして一度同定し、再度qPCR技術によってEGR1バイオマーカーが同定されたが、虚弱な個体と頑強な個体との間の前記バイオマーカーの差異は、より広い集団系列(n=172)においてより大きかった。Qiagen社のEGR遺伝子のための事前設計されたプローブ(EGR1(QT00999964)用、内因性遺伝子としてB2M(QT00088935)を使用)を用いて、RTqPCRは実施された。この検証系列の臨床的特徴を表4に要約する。
虚弱性バイオマーカーEGR1(配列番号1)について、この検証コホートにおいて得られた結果は、以前に得られたデータを確認し、前記バイオマーカーの発現が変化したことを示す。その発現は、頑強な個体における前記バイオマーカーの発現に対して、虚弱な個体において有意に増加する(p=0.0260)。EGR1バイオマーカー(配列番号1)の発現レベルは、分析されたすべての機能的試験および尺度を使用した虚弱な個体において増加する(1.07~1.43の範囲)ことに留意しなければならない。当該機能的試験および尺度は、Tilburg試験、TUGおよびGS、SPPB、GerontopoleおよびCarlson試験(図6)を含むが、とりわけ、検証コホートにおいて調査された試験および尺度により、虚弱な個体および頑強な個体を選択する場合にそうである(図7)。上記の図表によると、検証コホートにおいて、すべての尺度で分類が共通する個体が58人いる。このサブコホートにおいて、EGR1はバイオマーカーとして最も良く機能する(FC:1.84)(図7)。
これらのデータは、EGR1が、調査された機能的試験および尺度の大部分を使用して、虚弱な個体を同定およびグループ化し得ることを確認するが、とりわけ、虚弱な個体がすべての試験および尺度によって選択される場合にそうである。
元々のコホートおよび検証コホートの両方の、分析されたコホートにおいてEGR1バイオマーカーについて行った分析は、感度0.75~0.83および特異度0.66~1を有するROC曲線を示す(図7)。
これらの結果は、虚弱な対象または虚弱性に罹患するであろう対象と、頑強な対象とを区別するためのEGR1バイオマーカーの発現レベルの分析の有用性を確証する。
最後に、アレイにおいて使用される分析図に従って、前記バイオマーカーの各々を別々に使用して、虚弱な個体が感度よく特異的に同定されることを可能にする群分子パターンとしての、EGR1(配列番号1)およびDDX11L1(配列番号3)遺伝子およびmiRNAであるhsa-miR-454(配列番号5)の影響を分析した。前記分析を行うために、頑強な個体および虚弱な個体の検証コホート(n=58)において、各バイオマーカーのROC曲線、ならびに3つのバイオマーカーの組み合わせについてのROC曲線を、個別に分析した。結果は、上記のように、別々の他のバイオマーカー(DDX11L1およびmiR-454)に対して、特異度および感度に関する最良の結果がEGR1バイオマーカー単独によって示されることを示す。しかし、図8に見られるように、EGR1、DDXL11およびmiR-454バイオマーカーの3つを組み合わせた場合には、虚弱な個体の同定における感度および特異度に対して、相乗効果がある(図8)。
本明細書中に示されるすべての結果は、対象における虚弱性のインビトロ診断および/または予測におけるEGR1バイオマーカーの有用性を証明する。DDX11L1およびmiR-454バイオマーカーと組み合わせて使用した場合には、虚弱な個体の同定においてより大きな特異度および感度を示す。
EGR1は、転写因子である。したがって、本発明者らは、それが、虚弱性にも関連するのであろうさらなる遺伝子の発現に影響を及ぼし得るかどうかを検討した。このために、本発明者らは、バイオインフォマティクス分析を行った。Regnetwork repositoryを使用し、マイクロアレイにおいて高レベルの信頼性および倍率変化FC>1.2を有する7つの推定される標的候補を同定した。さらに、追加の調査により、EGR1の標的候補遺伝子が3つ明らかになり、マイクロアレイにおいても統計学的に有意であった(表5)。
さらに、本発明者らは、元々のマイクロアレイで使用した試料において、見込まれるEGR1関連経路、CD69、PTENおよびJunの発現を試験することによって、これらの結果を検証した。5人の頑強な個体および7人の虚弱な個体からの試料をqPCRによって分析した。EGR1の発現と並行して、技術的検証を行ったところ、頑強のコントロールと比較して、虚弱な個体においてはCD69、PTENおよびJUN遺伝子の発現レベルが上昇していた(図9)。
〔実施例2.線維芽細胞培養物における本発明の虚弱性バイオマーカーの発現の分析〕
細胞培養物、特に線維芽細胞の連続継代による維持は、老化や虚弱性の進行が伴う分子的および生理学的レベルに近いストレスを細胞内に生み出す。これを考慮し、30~50歳の大人の対象の試料から得られたインビトロ線維芽細胞培養物における、虚弱性バイオマーカーであるEGR1、DDX11L1、hsa-miR-454の発現を解析した。
線維芽細胞を前記個体の皮膚から単離し、機械的細胞分解およびトリプシンを用いた酵素的細胞分解の方法によって、細胞培養物を作製した。単離された線維芽細胞を、それらが十分に確立され、そして増殖するまで、多数の継代(各継代は、培養液中での7日間の維持である)の間、培養液中で維持した。前記線維芽細胞を用いた連続継代試験(インビトロエイジング)は、細胞がまだ頑強である初期段階で開始した。それらは、50~70歳の個体において観察される老化および虚弱状態に類似した酸素20%のインキュベーター中、細胞培養状態における連続継代によって、細胞が虚弱性の特性を提供する高継代に達するまで、培養された。
前記時間が経過した後、前記培養物を収集し、前記細胞における本発明のバイオマーカーの発現を分析した。インビトロ線維芽細胞の結果は、虚弱な線維芽細胞培養物(連続培養)に対するコントロールとして使用された頑強な線維芽細胞培養物(初期継代)においては、本発明のバイオマーカーEGR1(配列番号1)が異なる発現もあることを示す。具体的には、当該結果は、前記バイオマーカーの発現が虚弱な細胞において変化し、バイオマーカーの発現において、頑強な細胞に対して2.49倍の有意な増加(p=0.018)が観察されることを示す(図10)。
さらに、虚弱な繊維芽細胞培養物(連続培養)に対するコントロールとして使用された頑強な繊維芽細胞培養物(初期継代)における、DDXL11およびhsa-miR-454バイオマーカーの発現も解析した。当該結果は、前記バイオマーカーの発現が虚弱な細胞において変化し、堅牢細胞に関して、DDX11L1(配列番号3)(p=0.0038)およびhsa-miR-454(配列番号5)(p=0.0001)バイオマーカーの発現レベルのそれぞれで、0.70倍および0.44倍の有意な減少が観察されたことを示す(図9)。
前記インビトロの結果は、本発明のバイオマーカーを用いて虚弱と診断された対象の試料において得られた結果と相関する。
分析した患者(n=26)の試料における虚弱性の罹患率を示すグラフであり、分析した試料において、男性に対して虚弱な女性の数の有意な増加を観察した(p<0.001)。
(A)Time Up and Go試験(TUG)のボックスプロット形式のデータであり、男性と女性との間でp<0.001の統計的有意性が観察される;および(B)歩行速度(GS)のボックスプロット形式のデータであり、男性と女性との間でp=0.711の統計的有意性が観察される。
本発明において分析され、調査されたすべての試験によると頑強な対象および虚弱な対象のグループ間で異なって発現されたバイオマーカーの発現の階層的グループ化。
分析した患者の試料における各分類器の感度および特異度の値。
複合共変量予測分類子により、本発明の35個のバイオマーカーのセットを用いて得られたROC曲線。
オリジナルコホート(n=26)の対象セットにおける、頑強な個体(黒四角)と虚弱な個体(白四角)との間のDDX11L1(A)、EGR1(B)、およびhsa-miR-454(C)バイオマーカーの遺伝子発現の解析。バイオマーカーとコントロールとして使用される参照遺伝子との間のサイクル差(Ct)が示されており、前記マーカーのサイクル数の大きな値は、当該マーカーのより低い発現を伴うことを意味する。
オリジナルコホート(n=26)の対象セットにおける、頑強な個体(黒四角)と虚弱な個体(白四角)との間のDDX11L1(A)、EGR1(B)、およびhsa-miR-454(C)バイオマーカーの遺伝子発現の解析。バイオマーカーとコントロールとして使用される参照遺伝子との間のサイクル差(Ct)が示されており、前記マーカーのサイクル数の大きな値は、当該マーカーのより低い発現を伴うことを意味する。
オリジナルコホート(n=26)の対象セットにおける、頑強な個体(黒四角)と虚弱な個体(白四角)との間のDDX11L1(A)、EGR1(B)、およびhsa-miR-454(C)バイオマーカーの遺伝子発現の解析。バイオマーカーとコントロールとして使用される参照遺伝子との間のサイクル差(Ct)が示されており、前記マーカーのサイクル数の大きな値は、当該マーカーのより低い発現を伴うことを意味する。
この図は、頑健な群に対して、虚弱な集団におけるバイオマーカーの発現が高かった回数(EGR1の場合)または低かった回数(DDX11L1およびhsa-miR-454の場合)を示す。
示された各試験に従って得られた検証集団(n=182)におけるEGR1バイオマーカーの遺伝子発現の解析。黒四角は頑強な個体を表し、白四角は虚弱な個体を表す。Carlson試験では、灰四角は依存症の個体を表す。
実施されたすべての試験において個体が頑強または虚弱であると同定された58個体のサブコホートにおける、EGR1バイオマーカー発現。
元々のコホート(n=25)(A)およびqPCRによる検証コホート(n=58)(分類末端)(B)における、EGR1バイオマーカーのROC曲線。
EGR1、DDX11L1およびhsa-miR-454のバイオマーカーの組み合わせを含む、検証コホート(n=182)から選択された58個の試料のサブコホートにおける3つの遺伝子のROC曲線。
qPCRにより評価した虚弱または頑強な個体における、EGR1関連遺伝子、CD69、c-JunおよびPTENの遺伝子発現。
健康な対象(頑強)から得て、その頑強な状態を維持するか(頑強な細胞)、または連続継代により虚弱に変化した(虚弱な細胞)培養線維芽細胞におけるEGR1、DDX11L1およびhsa-miR-454バイオマーカーの遺伝子発現。