JP7336237B2 - 改質多孔質体、改質多孔質体の製造方法、反射材、多孔質シート - Google Patents

改質多孔質体、改質多孔質体の製造方法、反射材、多孔質シート Download PDF

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本発明は、改質多孔質体、改質多孔質体の製造方法、反射材、及び多孔質シートに関する。
従来より、相分離を伴うゾル-ゲル反応は、シリカ、チタニア等の酸化物、及び三官能アルコキシシランを出発物質とする有機無機ハイブリッド系において、大きさの制御された連続貫通孔をもつモノリス状多孔材料を得る方法として知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。また、高い柔軟性も併せもつモノリス状多孔材料の研究が進められており、特許文献3及び非特許文献1には、二官能基のアルコキシシランと、三官能基のアルコキシシラン又は三官能以上のアルコキシシラン類との両方を出発原料とし、ゾル-ゲル反応によりこれらのシランを共重合させ、Si-O結合によりネットワークを形成させると共に相分離を行い、連続貫通流路と化学種を溶解できるシリコーン骨格とを有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体を作製することが開示されている。特許文献3に記載のシリコーン製モノリス体は、物質の分離、精製、濃縮を目的に、化学種を溶解できるシリコーン骨格を有していることが開示されている。上記シリコーン製モノリス体は、上述したように、高い柔軟性と高い気孔率とを併せもち、物質の分離、精製、濃縮時の材料として有用であるとされている。
特許文献4には、連通する気孔と、気孔を形成する三次元網目状のシリコーン骨格とを有するシリコーン多孔質体であって、シリコーン骨格が、二官能のアルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとの共重合により形成されたものであり、シリコーン骨格における未反応部の割合が特定値以下であるシリコーン多孔質体が開示されている。特許文献5には、連通する気孔と、二官能アルコキシシランと三官能のアルコキシシランとの共重合により形成された、気孔を形成する三次元網目状のシリコーン骨格とを有するシリコーン多孔質基体の、シリコーン骨格の表面少なくとも一部を高分子被覆物により被覆した多孔質体が開示されている。
なお、特許文献4及び5には、シリコーン骨格における未反応部の割合を小さくすることを目的として、シリコーン骨格にUV光照射することが記載されている。しかしながら、本発明者は、シリコーン骨格にUV光照射すると、未反応部の割合が高くなることを見出している。すなわち、特許文献4及び5に記載されるようなUV光照射により、シリコーン骨格における未反応部の割合を小さくすることはできていない。また、特許文献4及び5の実施例では、UV光照射ではなく、加熱処理を行っており、実際にUV光照射は検討されていない。以上のとおり、引用文献4及び5ではシリコーン骨格にUV光照射することは想定されていない。
特許第2893104号 特許第3397255号 特開2014-61457号公報 特開2016-69499号公報 特開2016-196539号公報
Journal of Materials Chemistry (2011), 21(43): 17077-17079.
特許文献3及び非特許文献1に記載のシリコーン製モノリス体は、上述したように、高い柔軟性と高い気孔率とを併せもち、物質を保持する材料として有用であるが、さらに機能性を有し、広い用途に適用可能な材料が求められている。特許文献4については、制振材、防振材、クッション材に有用に用いられるとあり、特許文献5については、遮音/吸音材、シール材、衝撃吸収材、制振材、断熱材、防水材に有用に用いられることを想定している。しかしながら、これらの多孔質体に新たな機能を付与して、さらに広い用途に用いられることが求められている。
本発明は、高い柔軟性と高い気孔率とを併せもち、且つ、新たな機能性を有する新規シリコーン多孔質材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のシリコーン多孔質体が、高い柔軟性及び高い気孔率を有しながら、親水性機能を有し、且つ新たな機能性を有する材料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有する改質多孔質体であって、
前記シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体に由来し、
前記改質多孔質体が、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含む、改質多孔質体。
[2]
1aが、炭素数1~5のアルキル基である、
[1]に記載の改質多孔質体。
[3]
前記シロキサン単位Aの前記重合体に占める割合が、10質量%以上である、
[1]又は[2]に記載の改質多孔質体。
[4]
前記重合体が、(R2aSiO2/2)で表されるシロキサン単位B(式中、R2aは、1価の基を表す。)を含む、
[1]~[3]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[5]
2aが、炭素数1~5のアルキル基である、
[4]に記載の改質多孔質体。
[6]
吸水率が、300%以上である、
[1]~[5]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[7]
0.01~0.30g/cm3の密度を有する、
[1]~[6]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[8]
前記重合体が、三官能アルコキシシランを少なくとも重合させることにより形成される重合体であり、
前記シロキサン単位Aが、前記三官能アルコキシシランに由来する単位である、
[1]~[7]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[9]
前記重合体が、三官能アルコキシシランと、二官能アルコキシシランと、を少なくとも共重合させることにより形成される重合体であり、
前記シロキサン単位Bが、前記二官能アルコキシシランに由来する単位である、
[1]~[8]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[10]
前記二官能アルコキシシランが、下記式(1)により表される化合物である、
[9]に記載の改質多孔質体。
(式(1)中、アルコキシ基(-OR1)は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルコキシ基である。
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~5のアルキル基である。)
[11]
前記三官能アルコキシシランが、下記式(2)により表される化合物である、
[8]~[10]のいずれかに記載の改質多孔質体。
(式(2)中、アルコキシ基(-OR3)としては、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルコキシ基である。
4は、置換又は非置換の炭素数1~5のアルキル基である。)
[12]
一軸圧縮試験において50%圧縮した後、圧力を開放して10秒以内の形状回復率が90%以上である、
[1]~[11]のいずれかに記載の改質多孔質体。
[13]
三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体の少なくとも一部に紫外線を照射することにより改質多孔質体を得る工程を含む、改質多孔質体の製造方法。
[14]
前記工程において、オゾン存在下で紫外線を照射する、
[13]に記載の製造方法。
[15]
前記紫外線の波長域が、150~300nmである、
[13]又は[14]に記載の製造方法。
[16]
[1]~[12]のいずれかに記載の改質多孔質体を含む、反射材。
[17]
前記改質多孔質体の少なくとも一部を被覆する高分子材料を含む、
[16]に記載の反射材。
[18]
前記高分子材料が、シート状の形態を有する、
[17]に記載の反射材。
[19]
[1]~[12]のいずれかに記載の改質多孔質体を含む、多孔質シート。
[20]
前記多孔質シートの一方の面(面I)において、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含み、
前記多孔質シートの一方の面と反対側の面(面II)が、前記親水化部位を含まない、
[19]に記載の多孔質シート。
本発明によれば、高い柔軟性と高い気孔率とを併せもち、親水性機能を有し、且つ新たな機能性を有する新規シリコーン多孔質材料を提供可能である。
改質前の多孔質体の断面のSEM画像であり、本実施形態における三次元網目状を説明することを目的とする図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく。その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<多孔質体>
本実施形態の改質多孔質体は、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有する改質多孔質体である。上記シリコーン骨格は、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体に由来する。また、本実施形態の改質多孔質体は、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含む。
本実施形態の改質多孔質体における「改質」とは、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体(以下、「改質前の多孔質体」ともいう。)中のシリコーン骨格の少なくとも一部の表面に、シラノール基を含むことを指す。
本実施形態の改質多孔質体は、後述するように、上記改質前の多孔質体に紫外線を照射して改質することにより得られる。したがって、本実施形態におけるシリコーン骨格は、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体に由来するということができる。
上記改質前の多孔質体は、例えば、三官能のアルコキシシランの重合により形成することができる。また、本実施形態の改質前の多孔質体は、三官能のアルコキシシランを、相分離を伴ったゾル-ゲル反応により重合させることにより得られるものであることが好ましい。
また、本実施形態の改質多孔質体は、IRスペクトル測定から求められる、シラノール基面積/SiOSi基面積の比が、0.02以上である親水化部位を含む。本実施形態の改質多孔質体は、モノリス構造を有する。ここで、「モノリス構造」とは、三次元網目状骨格と、気孔とにより一体的に構成される共連続構造である。上記気孔は、連通構造を有していてもよい。本実施形態のモノリス構造は、例えば、図1に示される構造である。図1は、改質前の多孔質体の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、シリコーン骨格の拡大図である。改質前の多孔質体のモノリス構造は、改質多孔質体でも同様に有する構造である。図1に示される構造によって、本実施形態の改質多孔質体の構造は限定されるものではなく、図1は三次元網目状を説明することを目的とする。
本実施形態の改質多孔質体は、IRスペクトル測定から求められる、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である。上記の比は、より好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.04以上である。上記比が0.02以上であることにより、多孔質体が親水性を有する。上記の比の上限値は、特に制限されるものではないが、通常0.5以下である。
シラノール基面積/SiOSi基面積の比は、例えば、多孔質体に含まれるシリコーン骨格を構成するシロキサン結合のケイ素原子上にヒドロキシ基を導入すること、具体的には、後述する改質前のシリコーン多孔質体に対し、紫外光照射を行うことにより制御することができる。
シラノール基面積/SiOSi基面積の比は、実施例に記載の方法によって求めることができる。
本実施形態におけるシロキサン単位Aの前記重合体に占める割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。シロキサン単位Aの前記重合体に占める割合の上限値は、特に限定されないが、通常100質量%以下であればよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。
本実施形態の改質多孔質体は、改質多孔質体の全体が親水化部位である形態であってもよく、改質多孔質体の少なくとも一部に親水化部位を含む形態であってもよい。本実施形態の改質多孔質体における親水化部位(連通する気孔の容積も含む)が占める割合は、改質多孔質体の体積を100%としたとき(気孔の容積も含む)、通常0%より大きく100%以下であり、5%以上100%以下であってもよく、10%以上100%以下であってもよく、20%以上100%以下であってもよく、30%以上100%以下であってもよく、40%以上100%以下であってもよく、50%以上100%以下であってもよく、60%以上100%以下であってもよく、70%以上100%以下であってもよく、80%以上100%以下であってもよく、90%以上100%以下であってもよく、95%以上100%以下であってもよい。
本実施形態において、改質多孔質体及び改質前の多孔質体に含まれるシリコーン骨格は、気孔を形成する三次元網目状の形状を有する。本発明者は、上記シリコーン骨格は、高い反射率を有することを見出した。さらに、シリコーン骨格にシラノール基を所定の比率で導入することにより、改質多孔質体の反射性能が維持されるとともに、改質多孔質体に親水性の機能を付与できることを見出した。通常、反射性能と親水性をバランスよく両立させることは難しいと考えられていたところ、本実施形態の改質多孔質体には、光の吸収がUVC領域の狭い範囲で且つ吸収量が小さいシラノール基が導入されているため、反射性能と親水性とをバランスよく両立できると考えられる。
さらに、本実施形態によれば、シリコーン骨格にシラノール基を所定の比率で導入しても、高い柔軟性(ソフト性)及び高い気孔率を維持できる。これは、シリコーン骨格内部はシラノール基に改質されておらず、改質前の三次元網目状構造が維持されたまま、導入されたシラノール基が骨格の表面近傍(表面近傍には、多孔質体自体の外形を形成(画定)する表面部分のみならず、前記連通する空孔を形成(画定)する表面部分を含む。)に配向しているためであると考えられる。
またさらに、本実施形態によればシリコーン骨格にシラノール基を所定の比率で導入されているため、当該シラノール基を反応の起点として、修飾剤と反応させることができる。したがって、本実施形態の改質多孔質体は、様々な種類の修飾剤と反応させることが可能であり、新たな機能性を付与することもできる。
本実施形態では、反射性能と親水性機能をバランスよく両立させ、高い柔軟性及び高い気孔率を維持でき、修飾基をさらに導入することができるため、この多孔質体材料を用いて、広い用途に適用可能となる。
本実施形態における重合体は、((R2a)2SiO2/2)で表されるシロキサン単位B(式中、R2aは、それぞれ独立して、1価の基を表す。)を含むことが好ましい。本実施形態におけるシロキサン単位Bの前記重合体に占める割合は、好ましくは0質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。シロキサン単位Aの前記重合体に占める割合の上限値は、特に限定されないが、通常90質量%以下であればよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
本実施形態における重合体は、シロキサン単位A及びシロキサン単位Bを含むことが好ましい。ここで「重合体がシロキサン単位A及びシロキサン単位Bを含む」とは、「シリコーン骨格が、前記シロキサン単位Aを構成単位とする分岐状シロキサン構造と、前記シロキサン単位Bを構成単位とする直鎖状シロキサン構造とを含む」とも言うことができる。シロキサン単位A及びシロキサン単位Bの前記重合体に占める割合は、20質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。また、シロキサン単位A及びシロキサン単位Bの前記重合体に占める割合は、100質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよい。
また、本実施形態における重合体は、シロキサン単位A、シロキサン単位Bに加えて、(SiO4/2)で表されるシロキサン単位及び/又は((R3a)3SiO1/2)で表されるシロキサン単位(式中、R3aは、それぞれ独立して、1価の基を表す。)を含んでいてもよい。(SiO4/2)で表されるシロキサン単位及び/又は((R3a)3SiO3/2)で表されるシロキサン単位の前記重合体に占める割合は、10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。(SiO4/2)で表されるシロキサン単位及び/又は((R3a)3SiO1/2)で表されるシロキサン単位の前記重合体に占める割合の上限値は、特に限定されないが、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
本実施形態におけるシロキサン単位中のR1a、R2a、R3aは、1価の基であれば特に制限されず、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数7~10のアラルキル基、炭素数6~10のアリール基等が挙げられる。上記アルキル基、アラルキル基、アリール基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、及び/又は、オキシ基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。R1a、R2a、R3aは、好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。R1a、R2a、R3aが炭素数1~5のアルキル基であることにより、改質多孔質体が、高い柔軟性及び高い気孔率を有しながら、紫外線を一層高い反射率で反射することができ、また、ヒドロキシ基の導入のしやすさ、すなわち、改質前の多孔質体からの改質に寄与する傾向にある。
本実施形態におけるシリコーン骨格を構成する重合体は、三官能アルコキシシランを少なくとも重合させることにより形成される重合体であり、前記シロキサン単位Aが、三官能アルコキシシランに由来する単位であることが好ましい。
また、本実施形態におけるシリコーン骨格を構成する重合体は、前記三官能アルコキシシランと、二官能アルコキシシランと、を少なくとも共重合させることにより形成される重合体であり、且つ、前記シロキサン単位Bが、二官能アルコキシシランに由来する単位であることが好ましい。
本実施形態の改質多孔質体の吸水率は、300%以上であることが好ましい。吸水率が300%以上であることによって、シリコーン多孔質体は、親水性の高い材料となる傾向にある。多孔質体の吸水率は、例えば、多孔質体に含まれるシリコーン骨格を構成するシロキサン結合のケイ素原子上にヒドロキシ基を導入すること、具体的には、後述する改質前のシリコーン多孔質体に対し、紫外光照射を行うことにより、300%以上に調整することができる。
改質多孔質体は、前述のとおり、ピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が特定値以上であることにより、優れた吸水性を有する。このため、吸水率は、好ましくは300%以上、より好ましくは350%以上、さらに好ましくは400%以上である。吸水率の上限値は、特に制限されないが、5000%以下であってもよい。
吸水率は、実施例に記載の測定方法によって求めることができる。
本実施形態において、シリコーン骨格を構成するシロキサン結合のケイ素原子上にヒドロキシ基を有することは、例えば、表面のシラノール基の割合から以下のようにして評価することができる。ここで、前記シリコーン骨格の表面とは、モノリス構造体の表面と周囲雰囲気との境界、及び連通する気孔とシリコーン骨格との境界から、それぞれ1マイクロメートル相当のシリコーン骨格内部までを指す。
まず、(縦20mm×横20mm)×厚み1mmの試験サンプル1を用意する。次に、当該試験サンプル1を、ATR-IRによる反射測定を行い、以下の式で表される、1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さと、3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さを比較する。3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さの比が大きいほど、その表面にヒドロキシ基が導入されているといえる。
有効に親水性及び反射性をより付与できるという観点から、「紫外線照射前の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」と、「紫外線照射後の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」との関係は、「紫外線照射前の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」<「紫外線照射後の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」となっていることが好ましく、「紫外線照射前の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」×0.75<「紫外線照射後の3000cm-1付近のシラノール基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」となっていることがより好ましく、「紫外線照射前の1100cm-1付近のSiメチル基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」×0.5<「紫外線照射後の1100cm-1付近のSiメチル基のピーク高さ/1000cm-1付近のSi-O-Si結合のピーク高さ」となっていることがさらに好ましい。
本実施形態の改質多孔質体は、例えば、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体、すなわち、改質前の多孔質体に対して、紫外線照射を行うこと等によって得ることができる。
改質前のシリコーン多孔質体では、当該多孔質体に含まれるシリコーン骨格(重合体部分)の表面(多孔質体自体の外形を形成(画定)する部分)における有機官能基の割合が、表面以外のシリコーン骨格部分(前記連通する空孔を形成(画定)する部分)における有機官能基の割合未満である。シリコーン骨格が有機官能基を有することにより、有機官能基を起点とした改質が可能になる。
本実施形態によれば、前記シリコーン骨格の表面におけるケイ素原子に結合した有機官能基の割合が表面以外のケイ素原子に結合した有機官能基の割合未満に制御することにより、外形の骨格は維持したまま、表面以外のシリコーン骨格部分(前記連通する空孔を形成(画定)する部分)にシラノール基を導入することができる。したがって、本実施形態の改質多孔質体は、高い柔軟性及び高い気孔率を維持しながら、親水性を併せもつことができると考えられる。
改質前の多孔質体は、三次元網目状のシリコーン骨格を含む多孔質体であり、二官能のアルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとを共重合させることにより形成された共重合体、すなわち、二官能のアルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとの共重合体を含むことが好ましい。シリコーン骨格は、例えば、二官能アルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとを相分離を伴ったゾル-ゲル反応により共重合体させることにより得られるものである。二官能のアルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとの共重合体は、改質前のシリコーン多孔質体にも、本実施形態の改質多孔質体にも含まれることが好ましい。
本明細書において、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランにおける「官能」とは、反応してシロキサン結合(Si-O-Si)の形成に関与する性質を指す。二官能のアルコキシシランは、シロキサン結合(Si-O-Si)の形成に関与する性質のある基を2つ有しており、三官能のアルコキシシランは、シロキサン結合(Si-O-Si)の形成に関与する性質のある基を3つ有している。
二官能のアルコキシシランは、例えば、ケイ素の4本の結合基のうち重合(結合)に関与するアルコキシ基を二つ有し、残りの反応に関与しない置換基を二つ有し、下記式(1)により表される。
式(1)におけるアルコキシ基(-OR1)は、好ましくは炭素数1~5のアルコキシ基である。炭素数1~5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシを含む)、ブトキシ基(n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、シクロブチルオキシを含む)、ペンチルオキシ基(n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、sec-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ等を含む)が挙げられる。
重合反応を円滑に進行させる観点から、アルコキシ基(-OR1)は、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基であることがより好ましく、メトキシ基及びエトキシ基であることがさらに好ましい。
なお、式(1)における二つのアルコキシ基(-OR1)は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(1)における置換基(-R2)としては、例えば、置換又は非置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、メルカプトアルキル基等が挙げられる。
置換又は非置換のアルキル基におけるアルキル基は、好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピルを含む)、ブチル基(n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロブチルを含む)、ペンチル基(n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等を含む)が挙げられる。
置換基(-R2)は、より好ましくはメチル基及びエチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
アルキル基上の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素等が挙げられる。置換されたアルキル基としては、フルオロアルキル基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
メルカプトアルキル基としては、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基等が挙げられ、メルカプトプロピル基であることが好ましい。
二官能のアルコキシシランにおける二つの置換基(-R2)は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
得られる多孔質体への一層反射率を高くする観点から、これら二つの置換基のうちの一つ以上が、置換又は非置換のアルキル基及びフルオロアルキル基からなる群より選択される基であることが好ましく、メチル基及びフルオロアルキル基からなる群より選択される基であることがより好ましい。
二官能のアルコキシシランとしては、具体的には、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
一層反射率を高くする観点からは、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
なお、二官能のアルコキシシランとしては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
三官能のアルコキシシランは、例えば、ケイ素の4本の結合基のうち重合(結合)に関与するアルコキシ基を三つ有し、残りの反応に関与しない置換基を一つ有し、下記式(2)により表される。
式(2)におけるアルコキシ基(-OR3)としては、二官能のアルコキシシランのアルコキシ基(-OR1)と同様の基を例示することができ、同様の好ましい基を挙げることができる。また、三官能のアルコキシシランの置換基(-R4)についても、二官能のアルコキシシランの置換基(-R2)と同様の基を例示することができ、同様の好ましい基を挙げることができる。
三官能のアルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、一層反射率を高くする観点からは、メチルトリメトキシシランが好ましい。
なお、三官能のアルコキシシランとしては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態においては、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランとともに、2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類をさらに共重合させてもよい。ここで、2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類とは、重合(結合)に関与するアルコキシ基を1つ以上、好ましくは3つ以上含み、ケイ素原子を2つ以上含む化合物を指す。
2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類としては、例えば、-Si-C-C-Si-構造または-Si-フェニル-Si-構造を持つアルコキシシランが挙げられる。Siの結合基は4つであるが、-Si-C-C-Si-構造または-Si-フェニル-Si-構造を持つアルコキシシランは、その6つの官能基を利用することができ、より緻密なシリコーンのネットワークを形成することができる。
-Si-C-C-Si-構造をもつアルコキシシランとしては、例えば、1,2-ビス(メチルジエトキシシリル)エタン等が挙げられる。
さらに、本実施形態においては、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシラン並びに2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類とともに、四官能のアルコキシシランをさらに共重合させてもよい。
ここで、四官能のアルコキシシランとは、重合(結合)に関与するアルコキシ基を4つ含む、テトラアルコキシシランである。
二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランの重合比は、適宜選択することができ特に限定されない。
重合比(二官能のアルコキシシラン:三官能のアルコキシシラン)は、容積比で、好ましくは2:8~6:4であり、より好ましくは3:7~5:5である。
前記重合比が2:8以上であると、得られる多孔質体への柔軟性を付与できる傾向にある。また、前記重合比が6:4以下であると、機械強度を維持できる傾向にある。
なお、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランとともに、2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類及び/又は四官能のアルコキシシランをさらに共重合させる場合、当該アルコキシシラン類及び/又は四官能のアルコキシシランの重合比は特に限定されないが、例えば、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランの合計に対する容積比(二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランの合計:2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類及び/又は四官能のアルコキシシラン)として、好ましくは6:4~4:6である。
本実施形態において、改質多孔質体及び改質前の多孔質体に含まれるシリコーン骨格における未反応部の割合が10mol%以下であってもよい。シリコーン骨格における未反応部の割合を10mol%以下に制御することにより、本実施形態の改質多孔質体が、優れた耐熱クッション回復性を得ることができる。
ここで、クッション回復性とは、ある物体をある温度での圧縮下に置いた後に圧力を開放することにより、当該物体の形状が圧縮前の形状に回復する性質をいう。また、耐熱クッション回復性とは、ある物体を高温での圧縮下に置いた後に圧力を開放すると、当該物体の形状が高温での圧縮前の形状に回復する性質をいう。本実施形態において、(耐熱)クッション回復性は、圧縮残留歪み(50%圧縮永久歪み)によって評価することができる。圧縮残留歪み(50%圧縮永久歪み)は、特開2016-69499号公報に記載の方法、具体的には本実施例に記載の方法によって算出される。
圧縮残留歪み(50%圧縮永久歪み)が小さいほど、その試験温度下における(耐熱)クッション回復性に優れているといえる。本実施形態においては、試験温度150℃における圧縮残留歪み(50%圧縮永久歪み)が5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。また、試験温度250℃における圧縮残留歪み(50%圧縮永久歪み)が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
前述のように、本実施形態の改質多孔質体は、前記シリコーン骨格における未反応部の割合が10mol%以下に制御されていてもよい。このように、シリコーン骨格における未反応部の割合を小さく制御することにより、本実施形態の改質多孔質体及び改質前の多孔質体は、多孔質体の構造に起因する高い柔軟性及び高い耐熱性を有するとともに、優れた耐熱クッション回復性をも発揮することができる。
ここで、本実施形態において、シリコーン骨格における未反応部の割合は、固体29Si-NMRによる測定結果より導き出すことができる。
本実施形態の改質多孔質体のシリコーン骨格は、二官能のアルコキシシランと、三官能のアルコキシシランとの共重合により形成されたものであることが好ましい。この場合の本実施形態の改質多孔質体を固体29Si-NMRにより解析すると、得られるNMRスペクトルにおいて、以下の4つの構造単位に起因するピークが観察される。なお、式(3)の構造単位をD1、式(4)の構造単位をD2、式(5)の構造単位をT2、式(6)の構造単位をT3ともいう。
構造単位D1及びD2は二官能のアルコキシシランに由来する構造単位であり、構造単位T2及びT3は三官能のアルコキシシランに由来する構造単位である。
(式(3)中、R5は、水素又は式(1)におけるR1と同じであり、R2は、式(1)におけるR2と同じである。)
(式(4)中、R2は、式(1)におけるR2と同じである。)
(式(5)中、R6は、水素又は式(2)におけるR3と同じである。R4は式(2)におけるR4と同じである。)
(式(6)中、R4は式(2)におけるR4と同じである。)
構造単位D1は未反応基であるOR5を有する。また、構造単位T2も未反応基であるOR6を有する。一方、構造単位D2及びT3は未反応基を有していない。ここで、固体29Si-NMR解析により得られるNMRスペクトルの各ピークの積分値より、各構造単位の割合(mol%)を導き出すことができる。そして、構造単位D1及びT2を未反応部とし、構造単位D2及びT3を反応部として、全構造単位に占める未反応部(構造単位D1及びT2)の割合(mol%)の合計を、シリコーン骨格における未反応部の割合とする。
構造単位D2の含有量A(mol%)は、例えば、1.0~90mol%であってもよく、1.0~70mol%であるのが好ましく、1.0~50mol%であるのがより好ましく、構造単位T3の含有量B(mol%)は、例えば、1.0~90mol%であってもよく、10~80mol%であることが好ましく、30~70mol%であることがより好ましい。
なお、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランとともに、三官能以上のアルコキシシラン類をさらに共重合させた場合においては、構造単位D1、D2、T2及びT3に加えて、三官能以上のアルコキシシラン類に由来する未反応基を有する構造単位(未反応部)及び未反応基を有さない構造単位(反応部)の割合も同様に導き出した上で、全構造単位に占める構造単位D1、構造単位D2及び三官能以上のアルコキシシラン類に由来する未反応基を有する構造単位の割合(mol%)の合計を、シリコーン骨格における未反応部の割合とすればよい。
本実施形態において、シリコーン骨格における未反応部の割合は、例えば、10mol%以下であってもよく、好ましくは9mol%以下であり、より好ましくは8mol%以下である。未反応部の割合を10mol%以下に制御することにより、優れた耐熱クッション回復性を得ることができる。一方、未反応部の割合の下限は特に限定されないが、通常0mol%以上であり、0mol%超過であってもよい。したがって、未反応部の割合は、柔軟性を高める観点から、例えば2mol%以上であり、好ましくは3mol%以上である。
シリコーン骨格における未反応部の割合は、例えば、後述する加熱処理(アニール処理)によって、制御することができる。また、レーザー、LEDやランプ光源等によって発せられるUV光照射等によっても制御することができる。
本実施形態の改質多孔質体の反射率は、有効に紫外線を反射できるという観点から、265nmにおける反射率がスペクトラロン標準反射板に対して、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
シリコーン骨格表面における官能基はレーザー、LEDやランプ光源等によって発せられる紫外線照射の波長、時間等によって制御することができる。
紫外線が当たらなかった部分は紫外線照射による親水化改質が起こらないことから、1つの多孔質体の中で親水領域及び疎水領域を作り分けることができる。
本実施形態の改質多孔質体の気孔率は、特に限定されるものではないが、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。気孔率が50%以上であることにより、柔軟性及び軽量性を高めることができる傾向にある。また、気孔率が95%以下であることにより、機械強度を高めることができる傾向にある。
本実施形態の改質多孔質体における気孔の平均孔径は、特に限定されるものではないが、通常50~50,000nmである。また、シリコーン骨格の骨格径も特に限定されないが、通常50~10,000nmである。なお、本実施形態の改質多孔質体における気孔の平均孔径は、SEMや光学顕微鏡等により測定することができる。また、シリコーン骨格の骨格径は、SEMや光学顕微鏡等により測定することができる。
本実施形態の改質多孔質体は、一軸圧縮試験において50%圧縮した後、圧力を開放して10秒以内の形状回復率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは100%である。当該形状回復率が90%以上であることにより、高い柔軟性を発揮することができる。
本実施形態の改質多孔質体の密度は、0.01~0.30g/cm3であることが好ましく、0.02~0.30g/cm3であることがより好ましく、0.05~0.20g/cm3であることが更に好ましい。多孔質体の密度が、0.05~0.20g/cm3であることにより、一層優れた柔軟性と強度とをバランスよく両立できることができる。
本実施形態の改質多孔質体は、後述するように親水面と撥水面とを備えていてもよい。撥水面の水接触角は、130°以上であることが好ましく、140°以上であることがより好ましく、150°以上であることがさらに好ましい。多孔質体の水接触角が、130°以上であることにより、一層優れた撥水性を発揮することができる。
本実施形態の改質多孔質体は、TG-GTA(示差熱及び熱重量同時測定)において、熱分解開始温度が250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。当該熱分解開始温度が250℃以上であることにより、優れた耐熱性を発揮することができる。
本実施形態の改質多孔質体は、シリコーン骨格の少なくとも一部の表面にシラノール基を含むため、当該シラノール基を相互作用を形成するための起点とし修飾剤と接触させることができる。このとき修飾剤とシラノール基との間に相互作用が形成される。相互作用としては、特に制限されず、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合等が挙げられる。
修飾性基の導入は、親水化部位の少なくとも一部におけるシラノール基が、修飾性基を含有する修飾剤と接触することにより形成される。修飾剤としては、シラノール基と相互作用を形成できるものであれば特に制限されず、有機ケイ素化合物、温度応答性部位を含む修飾剤、シリル化剤、シランカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、イソシアネート化合物、撥液性基を含有するシランカップリング剤等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、加水分解性基含有シロキサン(商品名KPN3504、信越シリコーン製)等のシラン化合物、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、ハイドロジェン変性シリコーンメタクリル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、シラノール変性シリコーン、アクリル変性シリコーンカルボン酸無水物変性シリコーン等が挙げられる。
温度応答性部位を含む修飾剤としては、例えば、(N-イソプロピルアクリルアミド)が重合したユニットを含むシランカプリング剤等が挙げられる。例えば末端がポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)修飾トリエトキシシランが挙げられる。
シリル化剤としては、例えば、トリメチルシリルクロライド、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシリルトリフロロメタンスルホネート、トリエチルシリルクロライド、t-ブチルジメチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン、クロロメチルトリメチルシラン、トリエチルシラン、t-ブチルジメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、ヘキサメチルジシラン、アリルトリメチルシラン、トリメチルビニルシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド(商品名:オルガチックスZAシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウム、テトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、オクチル酸ジルコニウム化合物、ステアリン酸ジルコニウム、塩化ジルコニル化合物、ジルコニウムラクテートアンモニウム等のジルコニウムキレート(商品名:オルガチックスZCシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート等のチタンアルコキシド(商品名:オルガチックスTAシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)、テトラアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、テトライソプロピルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンイソステアレート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジエタノールアミネートチタンアミノエチルアミノエタノレート等のチタンキレート(商品名:オルガチックスTCシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムセカンダリーブトキシド等のアルミニウムアルコキシド(商品名:オルガチックスALシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート(商品名:オルガチックスALシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、メチルトリイソシアネートシラン、テトライソシアネートシラン等のシリルイソシアネート(商品名:オルガチックスSIシリーズ、松本ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
撥液性基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、下記式(II-1)~(II-6)のシランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(II-1)~(II-6)中、
-ORcは、好ましくは炭素数1~5のアルコキシ基である。炭素数1~5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシを含む)、ブトキシ基(n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、シクロブチルオキシを含む)、ペンチルオキシ基(n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、sec-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ等を含む)が挙げられる。
dは、置換又は非置換のアルキル基、アリール基、ビニル基、メルカプトアルキル基である。
置換又は非置換のアルキル基におけるアルキル基は、好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピルを含む)、ブチル基(n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロブチルを含む)、ペンチル基(n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等を含む)が挙げられ、好ましくはメチル基及びエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
アルキル基上の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素等が挙げられる。置換されたアルキル基としては、フルオロアルキル基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
メルカプトアルキル基としては、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基等が挙げられ、メルカプトプロピル基であることが好ましい。
炭素数1~5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシを含む)、ブトキシ基(n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、シクロブチルオキシを含む)、ペンチルオキシ基(n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、sec-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ等を含む)が挙げられる。
式(II-1)~(II-6)中、Rfは、フッ素基、炭素数1~100の直鎖状若しくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3~200のフルオロポリエーテル基であり、Qは、単結合又は炭素数1~12の2価の有機基である。
Rfにおけるフッ素基、炭素数1~100の直鎖状若しくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3~200のフルオロポリエーテル基としては、上述した、撥液性基と同様の例示をすることができ、同様の好ましい基を挙げることができる。
Qにおける炭素数1~12の2価の有機基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン-アリーレン基等)、あるいはこれらの基にエーテル結合、アミド結合、エステル結合、ジオルガノシリレン基等から選ばれる1種又は2種以上の構造を介在させたもの、さらに上記以外に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子から選ばれる1種又は2種以上を含む基を含有してもよい2価の炭化水素基が挙げられる。
Qとしては、下記式に示される基が好適に挙げられる。
-CH2-,
-CH2CH2-,
-CH2CH2CH2-,
-CH2-O-(CH2t-,
-CH2CH2-O-(CH2t-,
-OCH2-,
-CO-NH-CH2-,
-CO-N(Ph)-CH2-,
-CO-NH-CH2CH2-,
-CO-N(Ph)-CH2CH2CH2-,
-CO-N(CH3)-CH2CH2CH2-,
-CO-O-CH2-,
-CO-N(CH3)-Ph’-,
-CO-NRb-Y’-
上記式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基であり、tは1~10の整数である。Y’は、-CH2-又は下記式で表される2価の基である。
(高分子被覆物)
本実施形態の改質多孔質体は、高分子被覆物が、三次元網目状のシリコーン骨格の表面の少なくとも一部を被覆した形態であってもよい。この場合、本実施形態の改質多孔質体は、高分子被覆物を含み、このような被覆した形態を「被覆多孔質体」ともいう。また、高分子被覆物は、改質前の多孔質体におけるシリコーン骨格の表面の少なくとも一部において被覆していてもよい。
なお、「高分子被覆物が、多孔質体の三次元網目状のシリコーン骨格の表面を被覆している」とは、高分子被覆物が多孔質体の三次元網目状のシリコーン骨格の表面を直接的あるいは間接的に被覆していることをいう。また、以下において、「高分子被覆物が、多孔質体の三次元網目状のシリコーン骨格の表面の少なくとも一部を被覆している」ことを、「高分子被覆物が多孔質体を被覆している」、「多孔質体が高分子被覆物により被覆されている」等のように、省略して表現する場合がある。
ここで、高分子被覆物は、多孔質体の三次元網目状のシリコーン骨格の表面の一部のみを被覆していてもよく、あるいは、前記骨格の表面の全部を被覆していてもよい。ここで、多孔質体の三次元網目状のシリコーン骨格の表面は、多孔質体自体の外形を形成(画定)する部分と、空孔を形成(画定)する部分とからなる。
本実施形態によれば、多孔質体が高分子被覆物により被覆されている場合、引張に強い(すなわち、引張強度の高い)多孔質体を得ることができる。
本実施形態において、高分子被覆物による多孔質体のシリコーン骨格表面の被覆率は、所望される引張強度向上の効果が奏される限りにおいては、特に限定されない。引張強度を高める観点からは、当該被覆率は、例えば50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%(すなわち、シリコーン多孔質体のシリコーン骨格表面の全部が高分子被覆物により被覆されている状態)がよりさらに好ましい。
また、上記と同様の理由により、引張強度を良好に向上させるためには、高分子被覆物が、多孔質体のシリコーン骨格の表面の、多孔質体自体の外形を形成(画定)する部分のみならず、空孔を形成(画定)する部分をも被覆していることが好ましい。また、被覆多孔質体が優れた柔軟性を有するためには、空孔が高分子被覆物により埋まらない範囲で、高分子被覆物を形成させることが好ましい。
高分子被覆物を形成する高分子材料としては、得られる被覆多孔質体の引張強度を向上しうるものであれば、特に制限なく使用することができる。高分子材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン、ポリイミド、ポリフタルアミド等のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、イソプレンゴム、ニトリルゴム、パーフロロゴム、クロロプレンゴム、アクリル酸エステルゴム、スチレンブタジエンゴム、シス-1,4-ポリブタジエン合成ゴム、天然ゴム等のゴム系材料、ユリアホルムアルデヒド樹脂等のユリア樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルエチレン、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸オクチル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(ポリ四フッ化エチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、非晶性ポリアルファオレフィンアタクチックポリプロピレンアクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンアクリレート、クレゾール樹脂、クレゾールホルムアルデヒド、エチレンジアミン四酢酸、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレンーメチルアクリレート共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、エチルビニルエーテル、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアリルエーテルケトン、ポリアクリロニトリル、ポリアリルスルホン、ポリカーボネート、ポリジシクロペンタジエン、ポリエーテルニトリル、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキル、ビニルエーテルコポリマー、ポリイソブチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンポリビニリデンフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体、ポリウレタン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリキナゾリンジオン、ポリベンゾオキサジノン、ポリオキサジアゾール等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることも可能である。
また、高分子被覆物を形成する高分子材料としては、耐熱性の観点から、シリコーン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジノン、ポリベンゾイミダゾール、ポリキナゾリンジオン、ポリオキサジアゾール等が好ましい。
これらの中でも、改質多孔質体のシリコーン骨格との親和性の観点からは、シリコーンが好ましい。シリコーンとは、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合(-Si-O-Si-)を骨格とし、そのケイ素(Si)にメチル基(-CH3)を主体とする有機基が結合したポリマーである。ここで、シリコーンの側鎖の有機基は、メチル基の他、フェニル基、ジオール基、メタクリル基、シラノール基、フェノール基、ポリエーテル基、メチル基以外の直鎖アルキル基、フロロアルキル基、脂肪酸アミド基、アラルキル基、ミルカプト基等の不活性基であってもよく、(ジ)エポキシ基、(ジ)アミノ基、ビニル基、カルビノール基、メルカプト基、カルボキシル基、アクリル基、メタクリル基等の反応性官能基であってもよい。また、シリコーンは、直鎖状(オイル)であってもよく、分岐(樹脂)構造あるいは環状構造を有していてもよい。シリコーンの具体例としては、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、上記記載の各種有機基変性シリコーン、上記記載の反応性官能基変性シリコーンが挙げられる。なお、環状構造を有するシリコーンを高分子材料として用いる場合には、白金触媒、酸もしくは塩基触媒等の適宜な触媒によって、環状構造を開環させてもよい。
なお、高分子材料の数平均分子量は特に限定されるものではないが、例えば、100~1,000,000程度であり、好ましくは500~500,000である。ここで、高分子材料の数平均分子量は、ゲル パーミエーション クロマトグラフィ(GPC)により測定されるものとする。
本実施形態において、高分子被覆物の被覆形態は特に限定されるものではないが、例えば、高分子被覆層の形態として多孔質体を被覆していてもよい。当該被覆層の形態の場合の被覆層の厚みは、多孔質体に所望される気孔率や気孔の平均孔径等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、10~5000nmであり、好ましくは100~1000nmである。
本実施形態における被覆多孔質体は、高い引張強度と優れた柔軟性を両立する観点から、そのかさ密度が0.01~0.3g/ccであることが好ましく、0.08~0.2g/ccであることがより好ましい。なお、多孔質体のかさ密度は、多孔質体の見かけ容積(多孔質体の外形容積)の質量を測ることにより測定することができる。
また、本実施形態の改質多孔質体は、高分子被覆物が三次元網目状のシリコーン骨格の表面の少なくとも一部を被覆した形態である場合、シリコーン多孔質体と高分子被覆物の質量比が50:1~1:1であることが好ましく、30:1~2:1であることがより好ましい。当該質量比が前記範囲内であると、高分子被覆物の被覆により被覆多孔質体の引張強度を向上させる効果が良好に発揮されるとともに、被覆多孔質体が優れた柔軟性を有することができる。
本実施形態における被覆多孔質体は、歪み20%時の弾性率が0.01MPa以上であることが好ましい。歪み20%時の弾性率が0.01MPa以上となるように調整することにより、引張応力が加えられた際に容易に脆性破壊せず、引張に強い(引張強度の高い)多孔質体とすることができる。歪み20%時の弾性率は、より好ましくは0.02MPa以上であり、さらに好ましくは0.04MPa以上である。なお、歪み20%時の弾性率の上限は特に限定されないが、柔軟性の観点からは、例えば0.1MPa以下である。
なお、本明細書において、被覆多孔質体の歪み20%時の弾性率は、温度:25℃、引張速度50mm/minで引張試験を行った際の引張応力-歪み曲線の、歪み20%時の傾きから得られるものを示す。
また、本実施形態における被覆多孔質体は、歪み80%時の圧縮応力が0.6MPa以下であることが好ましい。歪み80%時の圧縮応力が0.6MPa以下となるように調整することにより、柔軟性に優れた被覆多孔質体とすることができる。歪み80%時の圧縮応力は、より好ましくは0.4MPa以下であり、さらに好ましくは0.3MPa以下である。なお、歪み80%時の圧縮応力の下限は特に限定されないが、形状回復性の観点からは、例えば0.05MPa以上である。
なお、本明細書において、被覆多孔質体の歪み80%時の圧縮応力は、温度:25℃、圧縮速度10mm/minで圧縮試験を行った際の圧縮応力-歪み曲線から得られるものを示す。
<改質多孔質体の製造方法>
本実施形態の改質多孔質体の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう)について以下に説明する。
本実施形態の改質多孔質体の製造方法は、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体(すなわち、改質前のシリコーン多孔質体)の少なくとも一部に紫外線を照射することにより改質多孔質体を得る工程を含む。この工程により、当該シリコーン骨格を構成するシロキサン結合のケイ素原子上にヒドロキシ基(シラノール基)を導入できる。
本実施形態の改質多孔質体の製造方法は、改質前のシリコーン多孔質体を製造する工程として、三官能のアルコキシシランを、相分離を伴ったゾル-ゲル反応により重合させることにより、三次元網目状のシリコーン骨格を有するシリコーン多孔質体を形成する工程(シリコーン多孔質体形成工程)をさらに含んでいてもよい。
上記次元網目状のシリコーン骨格を含むシリコーン多孔質体が、元々、光を反射する特性を有していたとしても、紫外線を照射することにより、多孔質体の内部表面(すなわち、連通する気孔と接するシリコーン骨格)もシラノール化することができ、紫外線領域でも高い反射率を示し、且つ親水性を有する多孔質体を得ることができる。
本実施形態の製造方法では、改質前のシリコーン多孔質体を製造する工程において、第1の工程として、少なくとも三官能のアルコキシシランを前駆体として用い、これをゾル-ゲル反応による重合によりSi-O結合のネットワーク化をしつつ、界面活性剤で相分離を制御しながら、酸触媒及び塩基触媒による酸塩基2段階反応を行うことにより、三次元網目状のシリコーン骨格とを有するシリコーン多孔質体を形成する。
まず、ガラス容器等の容器中で、水等の溶媒と酸触媒を混合して酸溶液を調製し、その酸溶液中に界面活性剤及び塩基触媒を添加する。
次に、三官能のアルコキシシラン、及び必要に応じて二官能のアルコキシシランを添加し、例えば、10~30℃で0.5~2.0時間撹拌して、これらアルコキシシランの加水分解を進行させる。
その後、得られた溶液を密封容器に移してから、例えば、50~85℃で6~48時間加熱することにより、塩基触媒を加水分解して塩基性条件下としつつ、加水分解したアルコキシシランをゾル-ゲル反応により重縮合させることにより、湿潤ゲル(ウェットゲル)を得る。
続いて、得られた湿潤ゲルを、水とイソプロピルアルコールとの混合溶液等に含浸させ、その後、イソプロピルアルコール、メタノール等にて洗浄し、未反応のアルコキシシランや界面活性剤を除去する。
さらに、このようにして得られるモノリス状ゲルをノルマルヘキサン等の非極性溶媒に含浸させて溶媒置換をした後に、例えば、20~80℃で5~24時間乾燥させることにより、キセロゲルとしてのモノリス構造を有するシリコーン多孔質体が得られる。また、このようにして得られるモノリス状ゲルを炭酸ガス等により超臨界乾燥させることにより、エアロゲルとしてのモノリス構造を有するシリコーン多孔質体とすることもできる。
なお、本実施形態の製造方法は、目的とするモノリス構造を有する多孔質体を得られる限り、材料の種類やそれらを添加する順番、反応条件等は適宜調整することができ、上記実施形態に限定されない。
界面活性剤としては、例えば、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)等を用いることができる。
酸触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸、ギ酸等を用いることができる。
塩基触媒としては、例えば、尿素、アンモニア水等を用いることができる。
また、二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシランに加えて、必要に応じて、2つ以上のケイ素原子を含むアルコキシシラン類及び四官能のアルコキシシランを用いてもよい。
本実施形態の製造方法は、前記シリコーン多孔質体形成工程に続き、第2の工程として、上記第1の工程により得られたシリコーン多孔質体に対して、その熱分解開始温度未満の温度で加熱処理(アニール処理)を行う工程を含んでいてもよい。当該加熱処理(アニール処理)を行うことにより、シリコーン多孔質体を構成するシリコーン骨格における未反応部の割合を制御することができる。なお、加熱処理(アニール処理)は、例えば、シリコーン多孔質体を所定の温度に加熱された加熱炉中にて所定時間保持することにより行うことができる。
加熱処理(アニール処理)の加熱温度は、多孔質体の熱分解開始温度未満の温度であればよく、使用する出発原料(二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシラン等)の種類や加熱時間等を考慮して適宜設定することができるが、好ましくは320℃以下であり、より好ましくは300℃以下である。
一方、加熱処理(アニール処理)における加熱温度の下限は特に限定されないが、例えば100℃以上であり、好ましくは150℃以上である。また、多孔質体が所望の耐熱クッション回復性を有するためには、その多孔質体が高温での圧縮下で使用される際の温度以上の温度で加熱処理(アニール処理)を施すことが好ましい。
また、加熱処理(アニール処理)における加熱時間は、使用する出発原料(二官能のアルコキシシラン及び三官能のアルコキシシラン等)の種類や加熱温度等を考慮して適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば8時間以上であり、好ましくは12時間以上であり、より好ましくは18時間以上である。また、加熱時間は、例えば120時間以下であり、好ましくは100時間以下であり、より好ましくは80時間以下であり、さらに好ましくは70時間以下であり、よりさらに好ましくは60時間以下ある。ただし、高温且つ長時間の加熱処理(アニール処理)を施すと、シリコーン多孔質体が劣化し、所望の柔軟性や耐熱クッション回復性を発揮できなくなるおそれがある。一方、低温且つ短時間の加熱処理(アニール処理)では、シリコーン骨格における未反応部の割合を十分に制御できないおそれがある。したがって、加熱処理(アニール処理)を行うにあたっては、これらを考慮した上で、適切な条件を選択して行うことが好ましい。
本実施形態の製造方法は、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体(すなわち、改質前のシリコーン多孔質体)の少なくとも一部にオゾン存在下で紫外線を照射することが好ましい。
紫外線照射には、レーザー、LEDやランプ等の光源を用いることができる。また、セン特殊光源(株)PL17-110等の市販の装置を用いて、オゾン存在下で紫外線照射を行うことができる。
照射する紫外線の波長としては、通常10nm以上400nm以下であり、好ましくは100nm以上400nm以下であり、より好ましくは150nm以上350nm以下であり、さらに好ましくは150nm以上300nm以下である。
紫外線照射の時間は、照射対象の改質前の多孔質体の大きさ等により適宜調整すればよく、通常0.5時間以上30時間以下である。
本実施形態の製造方法は、紫外線照射の工程の後得られた改質多孔質体を修飾剤と接触させ修飾性基を導入する工程(修飾性基の導入工程)を含んでもよい。修飾剤としては、前述の修飾剤を使用することができる。
改質多孔質体に修飾剤を導入することは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、PEGME、2-メトキシエタノール、テトラヒドロフラン等の極性溶媒やヘキサン、トルエン等の非極性存在下で接触させてもよい。
修飾剤は、塩酸、酢酸、及び硝酸等の酸や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、及び水酸化ナトリウム等の塩基や、スズ触媒等の触媒存在下で接触させてもよい。
改質多孔質体と修飾剤とを接触させる際は、加熱を行ってもよく、未反応や未吸着の修飾剤を除去するために、修飾性基が導入された改質多孔質体を溶媒で洗浄してもよく、修飾性基が導入された改質多孔質体を焼成してもよい。
本実施形態の製造方法は、前記改質前のシリコーン多孔質体形成工程の後、又は、前記加熱処理(アニール処理)を行う工程の後、又は、紫外線照射の工程の後、高分子被覆物をシリコーン多孔質体に被覆する工程(被覆工程)を含んでもよい。被覆工程に供する多孔質体としては、紫外線照射の工程の後の多孔質体であることが好ましい。
高分子被覆物をシリコーン多孔質体に被覆する方法としては、例えば、高分子材料を含む溶液にシリコーン多孔質体を浸漬した後、引き上げる方法(以下、ディップコート法ともいう)が挙げられる。また、ディップコート法以外にも、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の各種ウェットコーティング法を用いることもできる。なお、ウェットコーティングによりシリコーン多孔質体表面に高分子材料を含む溶液の塗膜を形成した後には、溶媒を自然乾燥、加熱乾燥等により適宜除去して高分子被覆物を形成すればよい。乾燥を行う際の条件は、例えば、20~250℃で2~24時間である。
高分子材料を含む溶液の溶媒としては、高分子材料の種類等を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロルエタン、1,2-ジクロルエチレン(別名:二塩化アセチレン)、1,1,2,2-テトラクロルエタン(別名:四塩化アセチレン)、トリクロルエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール(別名:イソアミルアルコール)、ベンジルアルコール、フェノール、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:セロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル(別名:ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルセロソルブ)、オルト-ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル(別名:酢酸イソアミル)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル-ブチル、酢酸ノルマル-プロピル、酢酸ノルマル-ペンチル(別名酢酸ノルマル-アミル)、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、ジクロルメタン(別名:二塩化メチレン)、N,N-ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン(別名:パークロルエチレン)、テトラヒドロフラン、1,1,1-トリクロルエタン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、1-ブタノール、2-ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル-ノルマル-ブチルケトン、ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、グリセリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜選択して用いることもできる。
高分子材料を含む溶液中の高分子材料の濃度は、使用する高分子材料や溶媒の種類等によって適宜調整することができ、特に限定されるものではないが、高分子被覆物の被覆により被覆多孔質体の引張強度を向上させる効果を良好に発揮させる観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。一方、被覆多孔質体が優れた柔軟性を有するためは、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
また、高分子材料を含む溶液は、高分子材料及び溶媒以外の物質を含んでいてもよく、例えば、高分子被覆物とシリコーン多孔質体のシリコーン骨格との密着性を向上させるために、有機バインダーを含んでいてもよい。
また、高分子被覆物をシリコーン多孔質体に被覆する方法としては、上記のディップコート法等の各種ウェットコーティング法以外にも、高分子材料を揮発させた状態とし、シリコーン多孔質体に蒸着させる方法や、シリコーン多孔質体となるゲルに粉末状の高分子材料を混合し、加熱溶融させてから固化させる方法等も使用可能である。なお、高分子被覆物をシリコーン多孔質体の表面の全部に均一に被覆するためには、ディップコート法、高分子材料を揮発させた状態としシリコーン多孔質体に蒸着させる方法等が好ましい。
本実施形態の製造方法は、被覆工程の後、シリコーン多孔質体の表面に被覆された高分子被覆物を硬化させる工程(硬化工程)を含んでもよい。シリコーン多孔質体の表面に被覆された高分子被覆物は、必要に応じて硬化される。高分子被覆物の硬化は、例えば、加熱や、紫外線や電子線等の光の照射等により行われる。また、必要に応じて、高分子材料に触媒や架橋剤等を添加してもよい。
本実施形態の製造方法では、三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体に対して、紫外線を照射することにより、当該多孔質体の少なくとも一部がIRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含むようにすることができる。したがって、本実施形態の製造方法において紫外線を照射する対象の多孔質体の紫外線照射位置を調整することによって、得られる改質多孔質体を、改質多孔質体の全体が親水化部位である形態とすることも、改質多孔質体の少なくとも一部に親水化部位を含む形態とすることもできる。
本実施形態の改質多孔質体の形状は特に制限されず、用途に応じて切断等の加工をして所望の形状とすればよい。改質多孔質体を加工して所望の形状とする場合、改質前のシリコーン多孔質体を加工して、その後親水化部位を含む改質多孔質体としてもよく、親水化多部位を含む多孔質体を加工してもよい。多孔質体の形状は、例えば、シート状、円筒状、立方体状、直方体状、球状等が挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態の改質多孔質体の大きさもまた特に制限されず、用途に応じて所望の大きさとすればよい。
本実施形態の改質多孔質体は、親水性が高いため、多種の分野における機能性材料に用いられ、用途範囲が広い。具体的には、本実施形態のシリコーン多孔質体は、可視光領域だけでなく、光に対する反射性を持たせることもできる。したがって、例えば、航空、宇宙、自動車、原子力施設、船舶、水処理、住宅、建築、医療、電子材料、農業、等の分野における光触媒材料、植物栽培用材料、細胞培養用材料、再生医療用材料、液体捕集材料、水捕集材料、エネルギー変換材料、熱応答性材料、光応答性材料、pH応答性材料、刺激応答性材料、センサー、自己修復性材料、ホログラム用材料、放射線遮蔽材料、断熱材料、吸音材料、分離材料用担体、触媒等の担持用担体、防汚性材料、貯蔵用材料、ウイルス、細菌等の除去、分離、または吸着材料、吸血材料、撥血材料、熱、光、放射線に対する防護材料、止血材料、反射材、紫外領域のリフレクター等として有用に用いることができる。本実施形態の反射材は、本実施形態の改質多孔質体の少なくとも一部を被覆する高分子材料を含むことが好ましい。上記高分子材料は、シート状の形態を有することが好ましい。シート状の形態を有する高分子材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフィルムが挙げられる。フィルムの厚さとしては、特に制限されず、例えば、0.01mm~10.0mmであってもよい。本実施形態の反射材が上記高分子材料を含む場合、反射材は、シート状の形態を有する高分子材料を筒状に形成し、形成した筒状の高分子材料の表面に多孔質体を巻きつける形態であってもよい。この場合、形成した筒状は、円筒状であってもよく、蛇腹の筒状であってもよい。
本実施形態の改質多孔質体は、シートとすることができる。本実施形態の改質多孔質体を含むシートは、親水性を有する特性から、気体分離膜や、細胞培養用のシートや支持体、又は植物を栽培するためのシートとして用いることができる。
本実施形態の改質多孔質体は少なくとも一部に親水化部位を含む形態とすることができるため、多孔質体をシートとする場合、1枚のシートにおいて撥水面及び親水面の双方を有する構成とすることができる。本実施形態のシートの一つの態様は、シートの一方の面(面I)が親水面、すなわち、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含み、前記多孔質シートの一方の面と反対側の面(面II)が撥水面、すなわち、前記親水化部位を含まない多孔質シートである。また、本実施形態のシートにおける撥水面は、改質前のシリコーン多孔質体を含むともいうことができる。
上記構成により、本実施形態の多孔質シートは、水分を吸収する一方で、シートから水分が漏れださない、又は底から水分が抜けない等の液保持特性に優れるものとなる。したがって、本実施形態の多孔質シートは、水耕栽培用のシート、おむつのような吸水シート、及び吸血シート等に展開できる。
以下、本発明につき、実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
[紫外線照射前及び紫外線照射後の反射率の測定]
反射率は、直径3.5cm、厚さ1又は0.5cmの試験サンプルの試験サンプルを用意し、265nmの標準試料(スペクトラロンSRS-99-020)に対する反射率を分光光度計UV-4100(日立製)を用いて測定した。
[密度]
反射率の測定に用いたサンプルの重量及び体積から各シリコーン多孔質体の密度を算出した。
[水への接触角の測定]
協和界面科学製接触角計にて、ヘキサデカン及び水の接触角を測定した。
[熱分解開始温度の測定]
熱重量-示差熱分析(TG-DTA)は、差動型示差熱天秤(リガク製、ThermoPlusTG8120)を用いて、エアーを100mL/分で常時供給しながら昇温速度5℃/分で実施した。
[吸水率の測定]
吸水率は、(縦20mm×横20mm)×厚さ1cm又は0.5cmの試験サンプルを用意し、イオン交換水に10分浸漬させた後サンプルを取り出し、以下の式より吸水率を求めた。
吸水率(%)=(浸漬後のサンプル質量-浸漬前のサンプル質量)/浸漬前のサンプル質量×100
[IRスペクトル測定(シラノール基面積/SiOSi基面積、Siメチル基面積/SiOSi基面積)]
パーキンエルマージャパン製(型式Spectrum400, Spotlight400)のIR測定装置を用いて、試料のATR-IRを測定した。ATR-IRの測定結果であるIRスペクトルから、シラノール基の面積、SiCH3の面積、及びSiOSi基の面積を、計算ソフトIgorProを用いて求めた。具体的には、得られたIRスペクトルに対して、Muiltipeak Fitting ver. 2を行い、シラノール基の面積の範囲を2600~3800cm-1とし、SiCH3の面積の範囲を1240~1300cm-1とし、SiOSi基の面積の範囲を960~1220cm-1として、面積を求めた。ただし、2900cm-1のCH結合由来のピークは、シラノール基の面積には含まなかった。
(実施例1)
5mMの酢酸水溶液150mLに、界面活性剤としての塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム10gと尿素50gを添加し、ガラス容器中で撹拌混合した。
次いで、前駆体としてのメチルトリメトキシシラン30mLとジメチルジメトキシシラン20mLを加え、60分間スターラーで撹拌した。撹拌後に、この溶液を密封容器に移し、80℃で24時間加熱することにより、尿素を加水分解して塩基性条件下としつつ、加水分解した前駆体をゾル-ゲル反応により重縮合させ、ウェットゲルを得た。得られたウェットゲルを水/イソプロピルアルコール(1:1)溶液に含浸させ、その後、イソプロピルアルコールにて洗浄することにより未反応試薬や界面活性剤を除去し、モノリス状ゲルを得た。得られたモノリス状ゲルを、ノルマルヘキサンに含浸させ溶媒置換した後に、60℃で24時間乾燥させることにより、キセロゲルとしてのモノリス構造を有するシリコーン多孔質体を得た。
さらに、得られたシリコーン多孔質体を直径3.5cm、厚さ1cmにカットし、192nm及び254nmのUVC照射装置(セン特殊光源(株)PL17-110)の平面台上で、カットした多孔質体の一方の面(直径3.5cmの円形の面)について3時間オゾン/UVC処理を行って、実施例1の改質多孔質体を作製した。
(実施例2)
厚さ0.5cmにカットしたシリコーン多孔質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、改質多孔質体を作製した。
(実施例3)
厚さ0.5cmカットした多孔質体の一方の面(直径3.5cmの円形の面)について6時間オゾン/UVC処理を行った後、多孔質体を裏返し、照射面に対する反対側の面に対し3時間オゾン/UVC処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の改質多孔質体を作製した。
(実施例4)
オゾン/UVC処理の代わりに、254nmのみ照射可能なオゾンレスランプ(セン特殊光源)を1000時間照射したこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の改質多孔質体を作製した。
(実施例5)
オゾン/UVC処理の代わりに、254nmのみ照射可能なオゾンレスランプ(セン特殊光源)を1000時間照射したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例5の改質多孔質体を作製した。
(比較例1)
オゾン/UVC処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のシリコーン多孔質体を作製した。
(比較例2)
得られたシリコーン多孔質体に対して、6時間オゾン/UVC処理に代えて、温度250℃の加熱炉中で48時間アニール処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のシリコーン多孔質体を作製した。
(比較例3)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりに白シリコンスポンジ(アズワン製、品番1-9675-04)を、シリコーン多孔質体として用いた。
(比較例4)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりにシートSi-300-白(アズワン製、品番3-2298-04)を、シリコーン多孔質体として用いた。
(比較例5)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりにシリコンシートRA(アズワン製、品番3-2298-04)を、シリコーン多孔質体として用いた。
(比較例6)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりに発泡シリコンシート SSP6.0s(アズワン製、品番1-9873-03)を、シリコーン多孔質体として用いた。
(比較例7)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりに発泡シリコンシート SSP4.0s(アズワン製、1-9873-02)を、シリコーン多孔質体として用いた。
(比較例8)
実施例1のシリコーン多孔体の代わりにシリコフォーム(アズワン製、5-3032-01)を、シリコーン多孔質体として用いた。
実施例1~5及び比較例1~8の結果を表1及び表2に示す。
(実施例6)
酢酸20μLをイオン交換水20mLに添加した溶液に、チタンテトライソプロポキシド(松本ファインケミカル製)65.2μLを滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製した改質多孔質体を室温で2時間浸漬した。浸漬後の改質多孔質体をエタノールで洗浄し、30℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて改質多孔質体を80℃で2時間加熱後、実施例6のチタニウム化された改質多孔質体を得た。SEM-EDX(極低加速高分解能電子顕微鏡SU8220、HITACHI製)にて、多孔体表面のチタンの有無を確認し、熱分解開始温度を測定した。
(実施例7)
酢酸20μLをイオン交換水20mLに添加した溶液に、チタンテトライソプロポキシド(松本ファインケミカル製)65.2μLを滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製した改質多孔質体を室温で2時間浸漬した。浸漬後の改質多孔質体をエタノールで洗浄し、30℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて改質多孔質体を80℃で2時間加熱後、卓上型電気炉にて300℃で6時間焼成し、実施例7のチタニウム化された改質多孔質体を得た。SEM-EDX(極低加速高分解能電子顕微鏡SU8220、HITACHI製)にて多孔体表面のチタンの有無を確認し、熱分解開始温度を測定した。
(実施例8)
酢酸20μLをイオン交換水20mLに添加した溶液に、ノルマルプロピルジルコネート(松本ファインケミカル製)65.2μLを滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製した改質多孔質体を室温で2時間浸漬した。浸漬後の改質多孔質体をエタノールで洗浄し、30℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて改質多孔質体を80℃で2時間加熱後、実施例8のジルコニウム化された改質多孔質体を得た。SEM-EDX(極低加速高分解能電子顕微鏡SU8220、HITACHI製)にて多孔体表面のジルコニウムの有無を確認し熱分解開始温度を測定した。
(実施例9)
酢酸20μLをイオン交換水20mLに添加した溶液に、アルミニウムセカンダリーブトキシド(松本ファインケミカル製)65.2μLを滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製した改質多孔質体を室温で2時間浸漬した。浸漬後のシリコーン多孔質体をエタノールで洗浄し、30℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて改質多孔質体を80℃で2時間加熱後、実施例9のアルミニウム化された改質多孔質体を得た。SEM-EDX(極低加速高分解能電子顕微鏡SU8220、HITACHI製)にて多孔体表面のアルミニウムの有無を確認し熱分解開始温度を測定した。
(比較例9)
比較例1のシリコーン多孔体を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、修飾の処理を行ったが、修飾基が導入されたものは得られなかった。
(比較例10)
比較例1のシリコーン多孔体を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、修飾の処理を行ったが、修飾基が導入されたものは得られなかった。
(比較例11)
比較例1のシリコーン多孔体を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、修飾の処理を行ったが、修飾基が導入されたものは得られなかった。
(比較例12)
比較例1のシリコーン多孔体を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、修飾の処理を行ったが、修飾基が導入されたものは得られなかった。
実施例6~9及び比較例9~12の結果を表3に示す。
(実施例10)
酢酸20μLをイオン交換水20mLに添加した溶液に、トリメトキシシラン(和光純薬工業製)65.2μLを滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製した改質多孔質体を室温で2時間浸漬した。浸漬後の改質多孔質体をエタノールで洗浄し、30℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて80℃で2時間加熱後、実施例10のSiH化された改質多孔質体を得た。得られた改質多孔質体をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製、IRAffinity-1)により臭化カリウムを混合した標準試料を用いてラマン分光測定を行った。また、ラマン分光測定は、共焦点ラマン分光測定装置(HORIBA製、Xplora)を用いて行った。FT-IRおよびラマンのいずれにおいても、波数2250cm-1にシャープなSi-H伸縮振動が確認された。また、FT-IRにおいて、波数1000~1250cm-1に強いSi-O-Siの振動と、波数800~925cm-1にO-Si-Hの振動が確認された。
(比較例13)
国際公開第2014083729号の実施例1に記載の方法で得られたSiH基を有するシリコーン多孔質体を合成した。得られた多孔質体をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製、IRAffinity-1)により臭化カリウムを混合した標準試料を用いてラマン分光測定を行った。また、ラマン分光測定は、共焦点ラマン分光測定装置(HORIBA製、Xplora)を用いて行った。FT-IRおよびラマンのいずれにおいても、波数2250cm-1にシャープなSi-H伸縮振動が確認された。また、FT-IRにおいて、波数1000~1250cm-1に強いSi-O-Siの振動と、波数800~925cm-1にO-Si-Hの振動が確認された。ポリエチレンオキシド(PEO)は、波数1750cm-1付近のエーテル単位による広いピークによって、モノリス中に残っていることが確認された。
実施例10及び比較例13の結果を表4に示す。
(実施例11)
5mMの酢酸水溶液150mLに、界面活性剤としての塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム10gと尿素50gを添加し、ガラス容器中で撹拌混合した。次いで、前駆体としてのメチルトリメトキシシラン50mLを加え、60分間スターラーで撹拌した。撹拌後に、この溶液を密封容器に移し、80℃で24時間加熱することにより、尿素を加水分解して塩基性条件下としつつ、加水分解した前駆体をゾル-ゲル反応により重縮合させ、ウェットゲルを得た。得られたウェットゲルを水/イソプロピルアルコール(1:1)溶液に含浸させ、その後、イソプロピルアルコールにて洗浄することにより未反応試薬や界面活性剤を除去し、モノリス状ゲルを得た。得られたモノリス状ゲルを、ノルマルヘキサンに含浸させ溶媒置換した後に、60℃で24時間乾燥させることにより、キセロゲルとしてのモノリス構造を有するシリコーン多孔質体を得た。
さらに、得られたシリコーン多孔質体を直径3.5cm、厚さ1cmにカットし、192nm及び254nmのUVC照射装置(セン特殊光源(株)PL17-110)の平面台上で、カットした多孔質体の両面(直径3.5cmの円形の面)について6時間オゾン/UVC処理を行って、実施例11の改質多孔質体を作製した。吸水率を求めた。
(比較例14)
オゾン/UVC処理を行わなかったこと以外は、実施例11と同様にして、比較例14のシリコーン多孔質体を作製した。
実施例11及び比較例14の結果を表5に示す。
(実施例12)
実施例1の方法で得られた改質多孔質体に0.2mm厚のPTFRフィルム(アズワン製)を巻いた。UVCオゾン処理前後の反射率及びUVCオゾン処理後の水の染み込みを調べた。
実施例12の結果を表6に示す。
(実施例13)
酢酸5μLをイオン交換水0.5mLに添加した溶液に、側鎖がポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を有するトリエトキシシラン(アルドリッチ製、商品名Poly(N-isopropylacrylamide) triethoxysilane terminated)0.001g、メチルトリメトキシシラン1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチルトリエトキシシラン(東京化成製)6.52μLをエタノール0.5mL添加した溶液を滴下し、5分攪拌して処理液を得た。得られた処理液中で実施例3にて作製したUVCオゾン処理シリコーン多孔質体0.01gを室温で2時間浸漬した。浸漬後のシリコーン多孔質体をエタノール洗浄し、60℃で1時間真空乾燥を行った。その後乾燥機にて80℃で2時間加熱後、実施例13のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)修飾シリコーン多孔質体を得た。得られたポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)修飾シリコーン多孔質体のATRIR分析を行い、カルボニル基の有無を確認した。また、得られたポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)修飾シリコーン多孔質を80℃及び25℃で保管し、その温度での水の接触角を確認した。
実施例13の結果を表7に示す。

Claims (19)

  1. 三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有する改質多孔質体であって、
    前記シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体に由来し、
    前記改質多孔質体が、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含み、
    吸水率が、300%以上である、
    改質多孔質体。
  2. 1aが、炭素数1~5のアルキル基である、
    請求項1に記載の改質多孔質体。
  3. 前記シロキサン単位Aの前記重合体に占める割合が、10質量%以上である、
    請求項1又は2に記載の改質多孔質体。
  4. 前記重合体が、(R2aSiO2/2)で表されるシロキサン単位B(式中、R2aは、1価の基を表す。)を含む、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の改質多孔質体。
  5. 2aが、炭素数1~5のアルキル基である、
    請求項4に記載の改質多孔質体。
  6. 0.01~0.30g/cm3の密度を有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載の改質多孔質体。
  7. 前記重合体が、三官能アルコキシシランを少なくとも重合させることにより形成される
    重合体であり、
    前記シロキサン単位Aが、前記三官能アルコキシシランに由来する単位である、
    請求項1~のいずれか1項に記載の改質多孔質体。
  8. 前記重合体が、三官能アルコキシシランと、二官能アルコキシシランと、を少なくとも
    共重合させることにより形成される重合体であり、
    前記シロキサン単位Bが、前記二官能アルコキシシランに由来する単位である、
    請求項4又は5に記載の改質多孔質体。
  9. 前記二官能アルコキシシランが、下記式(1)により表される化合物である、
    請求項に記載の改質多孔質体。
    Figure 0007336237000018
    (式(1)中、アルコキシ基(-OR1)は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルコキシ基である。
    2は、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数1~5のアルキル基である。)
  10. 前記三官能アルコキシシランが、下記式(2)により表される化合物である、
    請求項のいずれか1項に記載の改質多孔質体。
    Figure 0007336237000019
    (式(2)中、アルコキシ基(-OR3)としては、それぞれ独立して、炭素数1~5の
    アルコキシ基である。
    4は、置換又は非置換の炭素数1~5のアルキル基である。)
  11. 一軸圧縮試験において50%圧縮した後、圧力を開放して10秒以内の形状回復率が90%以上である、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の改質多孔質体。
  12. 三次元網目状の形状を有するシリコーン骨格を含有し、当該シリコーン骨格が、(R1aSiO3/2)で表されるシロキサン単位A(式中、R1aは、1価の基を表す。)を含む重合体で構成される多孔質体の少なくとも一部に紫外線を照射することにより改質多孔質体を得る工程を含む、改質多孔質体の製造方法。
  13. 前記工程において、オゾン存在下で紫外線を照射する、
    請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記紫外線の波長域が、150~300nmである、
    請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 請求項1~11のいずれか1項に記載の改質多孔質体を含む、反射材。
  16. 前記改質多孔質体の少なくとも一部を被覆する高分子材料を含む、
    請求項15に記載の反射材。
  17. 前記高分子材料が、シート状の形態を有する、
    請求項16に記載の反射材。
  18. 請求項1~11のいずれか1項に記載の改質多孔質体を含む、多孔質シート。
  19. 前記多孔質シートの一方の面(面I)において、IRスペクトル測定において、シラノール基に由来するピーク面積と、SiOSi基に由来するピーク面積の比(シラノール基/SiOSi基)が、0.02以上である親水化部位を含み、
    前記多孔質シートの一方の面と反対側の面(面II)が、前記親水化部位を含まない、
    請求項18に記載の多孔質シート。
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