JP7336132B2 - 単結晶ダイヤモンド、それを用いた単結晶ダイヤモンド粒および単結晶ダイヤモンド粒を備える工具 - Google Patents

単結晶ダイヤモンド、それを用いた単結晶ダイヤモンド粒および単結晶ダイヤモンド粒を備える工具 Download PDF

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Description

この発明は、単結晶ダイヤモンド、それを用いた単結晶ダイヤモンド粒および単結晶ダイヤモンド粒を備える工具に関する。
特許文献1は、単結晶ダイヤモンド中の全窒素原子数に対する単結晶ダイヤモンド中の孤立置換型窒素原子数の割合が0.02%以上40%未満である単結晶ダイヤモンドを開示する。
また、特許文献1は、単結晶ダイヤモンドを被削材との接触部分に用いた切削バイト、フライスワイパーおよびエンドミル等の工具を開示する。
そして、単結晶ダイヤモンドは、化学気相合成法によって製造され、{100}面における<100>方向の硬度が80GPa以上125GPa以下である。
国際公開第WO2016/010028号パンフレット
H. Sumiya, N. Toda, S. Satoh, "Mechanical properties of synthetic type IIa diamond crystal", Diamond and Related Materials 6 (1997) 1841-1846. https://sei.co.jp/technology/tr/bn177/pdf/sei10645.pdf.
しかし、特許文献1に開示された単結晶ダイヤモンドの硬度よりも大きい硬度を有する単結晶ダイヤモンドが望まれている。
そこで、この発明の実施の形態によれば、より大きい硬度を有する単結晶ダイヤモンドを提供する。
また、この発明の実施の形態によれば、より大きい硬度を有する単結晶ダイヤモンドを備える単結晶ダイヤモンド粒を提供する。
更に、この発明の実施の形態によれば、より大きい硬度を有する単結晶ダイヤモンド粒を備える工具を提供する。
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、単結晶ダイヤモンドは、レーザラマン分光法によって測定したラマンシフトの1332cm-1のピークがスプリットしている単結晶ダイヤモンドである。
(構成2)
構成1において、単結晶ダイヤモンドの厚み方向に垂直な方向において、第1の領域と、第1の領域の位置と異なる位置に配置された第2の領域とを有する。第1の領域は、レーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトの1332cm-1のピークのスプリット幅として第1のスプリット幅を有する。第2の領域は、レーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトの1332cm-1のピークのスプリット幅として第1のスプリット幅よりも小さい第2のスプリット幅を有する。
(構成3)
構成1または構成2において、点欠陥を含む。
(構成4)
構成3において、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかと、シリコンおよびモリブデンとを含む。
(構成5)
構成1から構成4のいずれかにおいて、13000kg/mmよりも大きいヌープ硬度を有する。
(構成6)
構成1から構成4のいずれかにおいて、ボロンをドーパントとして含む。
(構成7)
また、この発明の実施の形態によれば、単結晶ダイヤモンド粒は、コアと、被覆層とを備える。コアは、第1の単結晶ダイヤモンドからなる。被覆層は、コアを覆い、第2の単結晶ダイヤモンドからな。第2の単結晶ダイヤモンドは、構成1から構成6のいずれかに記載の単結晶ダイヤモンドからなる。
(構成8)
構成7において、第2の単結晶ダイヤモンドは、第1の単結晶ダイヤモンドよりも大きい硬度を有する。
(構成9)
更に、この発明の実施の形態によれば、工具は、構成7または構成8に記載の単結晶ダイヤモンド粒を備える。
単結晶ダイヤモンド粒の硬度をより大きくできる。
この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドの断面図である。 熱フィラメントCVD装置の概略図である。 図1に示す単結晶ダイヤモンドの製造方法を示す工程図である。 この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドを備える単結晶ダイヤモンド粒の概念図である。 図4に示す線II-II間における単結晶ダイヤモンド粒の断面図である。 図4に示す線III-III間における単結晶ダイヤモンド粒の断面図である。 図4から図6に示す単結晶ダイヤモンド粒の製造方法を示す工程図である。 実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1および比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1のレーザラマン分光法によって測定したラマンシフトを示す図である。 実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1の歪み量を求める方法を説明するための図である。 実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1の断面を示す図である。 図10に示す位置P1におけるラマンシフトを示す図である。 図10に示す位置P2におけるラマンシフトを示す図である。 図10に示す位置P3におけるラマンシフトを示す図である。 単結晶ダイヤモンド1-1のレーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトのマッピング像を示す図である。 ヌープ硬度と窒素(N)濃度との関係を示す図である。 耐磨耗特性を評価するための試料の断面SEM写真である。 この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒を用いたブレードの概略図である。 単結晶ダイヤモンド粒の電着方法を説明するための図である。 この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒を用いたバイトの概略図である。 図19に示すバイトを用いた切削方法を示す図である。 この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒を用いた回転工具の平面図である。 図21に示す刃の厚み方向の断面図である。 この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒を用いた掘削機の概略図である。
図1は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドの断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド1は、領域11,12を備える。領域11,12は、単結晶ダイヤモンド1の厚み方向に垂直な方向に交互に配置される。領域11は、レーザラマン分光法によって測定したラマンシフトの1332cm-1のピークがスプリットしており、スプリット幅が第1のスプリット幅からなる領域である。領域12は、レーザラマン分光法によって測定したラマンシフトの1332cm-1のピークがスプリットしており、スプリット幅が第1のスプリット幅よりも小さい第2のスプリット幅からなる領域である。その結果、単結晶ダイヤモンド1は、第1のスプリット幅および第2のスプリット幅が厚み方向に垂直な方向に交互に存在する断面構造を有する。なお、1332cm-1のスプリットしたピークは、ダイヤモンド結晶中の巨大な歪みエネルギーによる分裂である。
スプリット幅は、単結晶ダイヤモンドの歪み量に影響するものであり、単結晶ダイヤモンドの歪み量は、スプリット幅が大きいほど大きくなり、スプリット幅が小さいほど小さくなる。従って、領域11は、第1の歪み量σを有し、領域12は、第1の歪み量σよりも小さい第2の歪み量σを有する。その結果、単結晶ダイヤモンド1は、第1の歪み量σおよび第2の歪み量σが厚み方向に垂直な方向に交互に存在する断面構造を有する。
そして、単結晶ダイヤモンド1は、1332cm-1のピークのスプリット幅から導出される歪み量として0.1~20GPaの歪み量を有する。このように、単結晶ダイヤモンド1は、大きな歪み構造を有する結果、ヌープ硬度が130GPaよりも大きく、132~153GPaである。
単結晶ダイヤモンド1は、カーボン(C)の原子半径よりも大きい原子半径を有する不純物元素を含む。不純物元素は、格子間に配置される。不純物元素の濃度は、1×1019cm-3以上であり、好ましくは、1×1019cm-3~1×1020cm-3である。不純物原子は、例えば、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウム、シリコン、モリブデンおよびリンである。
そして、単結晶ダイヤモンド1は、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかを含む。また、単結晶ダイヤモンド1は、好ましくは、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかと、シリコンおよびモリブデンとを含む。タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかの濃度は、1×1019cm-3以上であり、好ましくは、1×1019cm-3~1×1020cm-3である。シリコンおよびモリブデンの濃度は、例えば、1×1016~1×1017cm-3である。なお、不純物元素は、ドーパントと異なる元素である。
単結晶ダイヤモンド1は、不純物元素を含むことによって点欠陥を格子間に有する。単結晶ダイヤモンド1においては、点欠陥が格子間に配置される結果、歪みが発生し、歪み量が大きい領域11と、歪み量が小さい領域12とが単結晶ダイヤモンド1の厚み方向に垂直な方向に交互に配置される。また、単結晶ダイヤモンド1においては、点欠陥が格子間に配置される結果、転位の伝搬が抑制され、転位密度が低くなる。
単結晶ダイヤモンド1は、ドーパントとしてボロン(B)を含んでいてもよい。Bの濃度は、例えば、1×1020cm-3~1×1022cm-3である。
また、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドは、上述した不純物元素を基板との界面に1×1019cm-3以上含み、基板との界面に存在する不純物元素によって転位を減少させた単結晶ダイヤモンドであってもよい。
更に、この発明の実施の形態によるダイヤモンドは、単結晶ダイヤモンドに限らず、上述した不純物元素を含む多結晶ダイヤモンドであってもよい。そして、多結晶ダイヤモンドは、上述した不純物元素に加え、Bをドーパントとして含んでいてもよい。
図2は、熱フィラメントCVD(Chemical Vapor Deposition)装置の概略図である。図2を参照して、熱フィラメントCVD装置100は、チャンバ101と、排気装置102と、基板ホルダー103と、複数の熱フィラメント105と、バイブレータ106と、棒部材107と、配管108~110と、マスフローコントローラ111~113と、バルブ114~116とを備える。
チャンバ101は、例えば、中空の立方体または直方体の形状を有する。排気装置102は、チャンバ101の排気口101Cに連結される。排気装置102は、例えば、ターボポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリポンプを直列に接続した構成からなる。この場合、ターボポンプは、排気口101Cに最も近い位置に配置され、ロータリポンプは、排気口101Cから最も遠い位置に配置される。
基板ホルダー103は、チャンバ101の底面101Aによって支持される。複数の熱フィラメント105は、基板ホルダー103から所定の距離(例えば、1cm~1.5cm)の位置に支持され、所定の間隔で配置される。
複数の熱フィラメント105の各々は、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかと、シリコンおよびモリブデンとを含み、タングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかの純度が3N(99.9%)である。そして、複数の熱フィラメント105の各々は、例えば、125μmの直径および40cmの長さを有する。バイブレータ106は、棒部材107によって基板ホルダー103に連結される。
チャンバ101の配管連結部101-1は、チャンバ101の上面101Bに設けられたガス導入口101Dに連結される。配管108は、一方端が配管連結部101-1に接続され、他方端がボンベ117に接続される。配管109は、一方端が配管連結部101-1に接続され、他方端がボンベ118に接続される。配管110は、一方端が配管連結部101-1に接続され、他方端がボンベ119に接続される。
マスフローコントローラ111は、配管108中に配置され、マスフローコントローラ112は、配管109中に配置され、マスフローコントローラ113は、配管110中に配置される。
バルブ114は、マスフローコントローラ111とボンベ117との間において配管108中に配置される。バルブ115は、マスフローコントローラ112とボンベ118との間において配管109中に配置される。バルブ116は、マスフローコントローラ113とボンベ119との間において配管110中に配置される。
排気装置102は、チャンバ101内の気体を所定の圧力まで排気する。基板ホルダー103は、基板120を保持する。そして、基板ホルダー103は、バイブレータ106(振動駆動装置)によって矢印ARW1の方向に所定の周波数で振動する。所定の周波数は、例えば、100Hzである。この発明の実施の形態においては、基板120が0.1~数mmの粒径を有する単結晶ダイヤモンドからなる場合、基板ホルダー103は、基板120が基板ホルダー103から落下するのを防止する落下防止部材103-1を有する。
複数の熱フィラメント105は、図示しない電源によって2000℃以上に加熱される。バイブレータ106は、棒部材107を介して、上記の周波数で基板ホルダー103を振動させる。
配管108は、メタン(CH)ガスをボンベ117からチャンバ101内へ流す。配管109は、水素(H)ガスをボンベ118からチャンバ101内へ流す。配管110は、水素希釈したトリメチルホウ素ガスをボンベ119からチャンバ101内へ流す。
マスフローコントローラ111は、CHガスの流量を所定の流量に制御する。マスフローコントローラ112は、Hガスの流量を所定の流量に制御する。マスフローコントローラ113は、水素希釈したトリメチルホウ素ガスの流量を所定の流量に制御する。
バルブ114は、CHガスをマスフローコントローラ111へ供給し、またはCHガスの供給を停止する。バルブ115は、Hガスをマスフローコントローラ112へ供給し、またはHガスの供給を停止する。バルブ116は、水素希釈したトリメチルホウ素ガスをマスフローコントローラ113へ供給し、または水素希釈したトリメチルホウ素ガスの供給を停止する。
図3は、図1に示す単結晶ダイヤモンド1の製造方法を示す工程図である。図3を参照して、基板120を基板ホルダー103上に配置し、チャンバ101内を所定の圧力まで排気する(工程S1)。基板120は、例えば、高圧合成法で製造された単結晶ダイヤモンドをダイヤモンドからなる。また、所定の圧力は、例えば、1Pa以下である。
工程S1の後、電源によって熱フィラメント105に電流を流して熱フィラメント105を所定の温度(例えば、2100℃)に加熱する(工程S2)。これによって、基板120は、所定の温度(例えば、900℃)に加熱される。
そして、CHガスおよびHガスをチャンバ101内に供給し、チャンバ101内の圧力を所定の圧力に設定する(工程S3)。この場合、CHガスの流量は、例えば、30~50sccmであり、Hガスの流量は、例えば、1000sccmである。また、所定の圧力は、例えば、1330~19,950Paである。
そうすると、CHガスは、熱フィラメント105によって分解されてカーボンが基板120上に堆積し、単結晶ダイヤモンド1が基板120上に形成される。そして、単結晶ダイヤモンド1の膜厚が所定の膜厚(1μm以上)になると、CHガスおよびHガスを停止し、基板温度および熱フィラメント105の温度を下げる。これによって、単結晶ダイヤモンド1の製造が終了する。
なお、Bをドーパントとしてドーピングする場合、工程S3において、水素希釈したトリメチルホウ素ガスが更にチャンバ101内に供給される。これによって、p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド1が基板120上に形成される。
図4は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドを備える単結晶ダイヤモンド粒の概念図である。図5は、図4に示す線II-II間における単結晶ダイヤモンド粒の断面図である。図6は、図4に示す線III-III間における単結晶ダイヤモンド粒の断面図である。
図4から図6を参照して、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒10は、コア1と、被覆層2とを備える。単結晶ダイヤモンド粒10は、例えば、三角形の平板形状を有する。
コア1は、単結晶ダイヤモンドからなり、例えば、三角形の平板形状を有する。被覆層2は、コア1の周囲を覆う。被覆層2は、上述した単結晶ダイヤモンド1からなる。
コア1は、例えば、0.1~数mmの粒径を有する。被覆層2は、例えば、1~100μmの膜厚を有する。
コア1を構成するダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンド、ヘテロエピタキシャルダイヤモンド、高温高圧ダイヤモンド、および複数のダイヤモンドを板状に配列したモザイク基板等からなる。
図7は、図4から図6に示す単結晶ダイヤモンド粒10の製造方法を示す工程図である。図7に示す工程図は、図3に示す工程図に工程S4を追加したものであり、その他は、図3に示す工程図と同じである。
図7を参照して、単結晶ダイヤモンド粒10の製造が開始されると、上述した工程S1~工程S3が順次実行される。この場合、工程S1において、高圧合成法で製造された単結晶ダイヤモンドをダイヤモンドによって研磨して作製された三角形の平板形状を有する単結晶ダイヤモンド粒からなる基板120が基板ホルダー103上に配置される。
工程S3の後、バイブレータ106によって基板ホルダー103を所定の周波数で振動させる(工程S4)。これによって、基板120は、基板ホルダー103上を回転しながら移動し、CHガスは、熱フィラメント105によって分解されてカーボンが基板120の表面全体に堆積し、被覆層2が基板120の表面全体に形成される。そして、被覆層2の膜厚が所定の膜厚(1μm以上)になると、CHガスおよびHガスを停止し、基板温度および熱フィラメント105の温度を下げる。これによって、単結晶ダイヤモンド粒10の製造が終了する。
なお、Bをドーパントとして被覆層2にドーピングする場合、工程S3において、水素希釈したトリメチルホウ素ガスが更にチャンバ101内に供給される。これによって、p型単結晶ダイヤモンドからなる被覆層2が基板120の表面全体に形成される。
この発明の実施の形態においては、コア1は、三角形の平板形状に限らず、窒素を含むtype-Ibの単結晶ダイヤモンドからなり、6面体、8面体および12面体のいずれかであればよい。その結果、単結晶ダイヤモンド粒10は、三角形の平板形状に限らず、6面体、8面体および12面体のいずれかであればよい。
なお、この発明の実施の形態によるダイヤモンド粒は、単結晶ダイヤモンド粒10の被覆層2を多結晶ダイヤモンドからなる被覆層に変えたものであってもよい。この場合、多結晶ダイヤモンドは、上述した不純物元素を含む。また、多結晶ダイヤモンドは、上述した不純物元素と、ドーパントとしてのBとを含んでいてもよい。
単結晶ダイヤモンド1の実施例について説明する。
(実施例1)
熱フィラメントCVD法を用いて次の条件によって基板上に単結晶ダイヤモンドを形成して実施例1の単結晶ダイヤモンド1-1を作製した。
基板:単結晶ダイヤモンド(CVD法によって作製した単結晶ダイヤモンド)
フィラメント:タングステンフィラメント1
フィラメントの純度:3N(99.9%)
フィラメント温度:2100℃
CHガスの流量:30sccm
ガスの流量:1000sccm
圧力:1330Pa
基板温度:1100℃
作製した単結晶ダイヤモンド1-1は、20μmの膜厚を有する。
(比較例1)
熱フィラメントCVD法を用いて次の条件によって基板上に単結晶ダイヤモンドを形成して比較例1の単結晶ダイヤモンドComp-1を作製した。
基板:単結晶ダイヤモンド(CVD法によって作製した単結晶ダイヤモンド)
フィラメント:タングステンフィラメント2
フィラメントの純度:3N(99.9%)
フィラメント温度:2100℃
CHガスの流量:30sccm
ガスの流量:1000sccm
圧力:3990Pa
基板温度:1100℃
作製した単結晶ダイヤモンドComp-1は、50μmの膜厚を有する。
CAMECA社製、型番IMS-7fのSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)装置を用いて実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1および比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1のタングステン、シリコンおよびモリブデンの濃度を測定した。
その結果、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1においては、タングステンの濃度が1×1019cm-3であり、シリコンおよびモリブデンの濃度が1×1016cm-3であった。
一方、比較例Comp-1における単結晶ダイヤモンドにおいては、タングステンの濃度が1×1018cm-3であり、シリコンおよびモリブデンの濃度が1×1016cm-3であった。
このように、タングステンフィラメント1,2の純度が同じ(3N)であっても、タングステンフィラメント1を用いて単結晶ダイヤモンドを形成した場合、単結晶ダイヤモンド中のタングステンの濃度は、タングステンフィラメント2を用いた場合よりも高くなる。これは、タングステンフィラメント1中のタングステン元素以外の残留不純物元素の濃度がタングステンフィラメント2中のタングステン元素以外の残留不純物元素の濃度と異なるためであると考えられる。
次に、Nanophoton社製のレーザラマン分光装置(RAMAN-touch)を用いて単結晶ダイヤモンド1-1,Comp-1のラマンシフトをレーザラマン分光法によって測定した。レーザラマン分光の測定条件は、次の通りである。なお、レーザラマン分光法による測定に用いる単結晶ダイヤモンドの膜厚は、20μm以上であることが好ましい。
波長:785nm
グレーティング:1200gr/mm
レンズ倍率:×50
レンズの開口数NA(Numerical Aperture):0.8
レーザエネルギー:30mW
図8は、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1および比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1のレーザラマン分光法によって測定したラマンシフトを示す図である。図8において、横軸は、ラマンシフトを表し、縦軸は、強度を表す。
また、スペクトルSP1は、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1のレーザラマン分光法によって測定したラマンシフトを示し、スペクトルSP2は、比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1のレーザラマン分光法によって測定したラマンシフトを示す。
図8を参照して、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1のラマンシフトにおいては、1332cm-1のピークがスプリットする(SP1参照)。一方、比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1のラマンシフトにおいては、1332cm-1のピークがスプリットしない(SP2参照)。
このスプリットしたピークは、ダイヤモンド結晶中の巨大な歪みエネルギーによる分裂であり、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1は、比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1と結晶構造が異なる。
このように、タングステンフィラメントの純度が同じ(3N)であっても、ダイヤモンドの合成条件とフィラメントの残留不純物によって、合成された単結晶ダイヤモンド中のタングステン濃度が異なり、ラマンシフトにおける1332cm-1のピークが異なる。
図9は、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1の歪み量を求める方法を説明するための図である。図9において、横軸は、ラマンシフトを表し、縦軸は、強度を表す。また、スペクトルSP1-1~SP1-3は、LorentzianによってフィッティングしたスペクトルSP1の分解スペクトルを示す。
図9を参照して、スペクトルSP1-1のピーク波数とスペクトルSP1-3のピーク波数とに基づいて1332cm-1のピークのスプリット幅Δωを求めた結果、スプリット幅Δωは、8cm-1であった。
スプリット幅Δωと単結晶ダイヤモンドの歪み量σとの間には、次式の関係がある。
σ=Δω/α・・・(1)
式(1)において、α=1.9(cm-1/GPa)である。
式(1)を用いて単結晶ダイヤモンド1-1の歪み量σを求めた結果、歪み量σは、4.2GPaであった。
一方、比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1は、上述したようにラマンシフトのピークがスプリットしないので、歪み量は、小さい。
このように、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1は、大きな歪み構造を有することが分かった。
実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1が大きな歪み量を有するのは、比較例1における単結晶ダイヤモンドComp-1に比べて単結晶ダイヤモンドに含まれるタングステンの濃度が高いためであると考えられる。
上記のレーザラマン分光装置を用いて実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1の断面の複数点におけるラマンシフトを測定した。
図10は、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1の断面を示す図である。図10を参照して、レーザラマン分光装置を用いて単結晶ダイヤモンド1-1の位置P1~P3におけるラマンシフトを測定した。比較のために、レーザラマン分光装置を用いて基板の位置P4におけるラマンシフトを測定した。
レーザラマン分光の測定条件は、次の通りである。
波長:785nm
グレーティング:1200gr/mm
レンズ倍率:×20
レンズの開口数NA(Numerical Aperture):0.45
レーザエネルギー:37.60mW
図11は、図10に示す位置P1におけるラマンシフトを示す図である。図12は、図10に示す位置P2におけるラマンシフトを示す図である。図13は、図10に示す位置P3におけるラマンシフトを示す図である。
図11から図13において、横軸は、ラマンシフトを表し、縦軸は、強度を表す。図11において、スペクトルSP3は、単結晶ダイヤモンド1-1の位置P1におけるラマンシフトを示し、スペクトルSP_Refは、基板の位置P4におけるラマンシフトを示す。図12において、スペクトルSP4は、単結晶ダイヤモンド1-1の位置P2におけるラマンシフトを示し、スペクトルSP_Refは、基板の位置P4におけるラマンシフトを示す。図13において、スペクトルSP5は、単結晶ダイヤモンド1-1の位置P3におけるラマンシフトを示し、スペクトルSP_Refは、基板の位置P4におけるラマンシフトを示す。
図11から図13を参照して、単結晶ダイヤモンド1-1の位置P1~P3におけるラマンシフトの1332cm-1のピークは、いずれもスプリットしている(SP3~SP5参照)。一方、基板の位置P4におけるラマンシフトの1332cm-1のピークは、スプリットしていない(SP_Ref参照)。
スペクトルSP3~SP5をLorentzianによってフィッティングして1332cm-1のピークのスプリット幅Δωを検出し、その検出したスプリット幅Δωを式(1)に代入して歪み量σを算出した。
その結果、位置P1における歪み量σは、3.6GPaであり、位置P2における歪み量σは、6.0GPaであり、位置P3における歪み量σは、5.3GPaであった。従って、単結晶ダイヤモンド1-1の歪み量σは、3~6GPaの範囲である。
図14は、単結晶ダイヤモンド1-1のレーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトのマッピング像を示す図である。図14に示すマッピング像は、1307~1357cm-1の波数範囲におけるピーク強度の面積からなる積分強度の分布を示すものである。なお、図14は、単結晶ダイヤモンド1-1の断面におけるラマンシフトのマッピング像を示す。
図14を参照して、単結晶ダイヤモンド1-1の厚み方向に垂直な方向において、領域REG1,REG2が交互に存在する。領域REG1は、1332cm-1のピークのスプリット幅としてΔωを有する領域である。また、領域REG2は、1332cm-1のピークのスプリット幅としてΔωを有する領域である。そして、図14に示すように、スプリット幅Δωは、スプリット幅Δωよりも大きい。従って、式(1)によれば、領域REG1は、σ=Δω/αの歪み量を有し、領域REG2は、歪み量σよりも小さいσ=Δω/αの歪み量を有する。その結果、領域REG1は、領域REG2よりも大きい歪み量を有する。
このように、単結晶ダイヤモンド1-1は、単結晶ダイヤモンド1-1の厚み方向に垂直な方向において、1332cm-1のピークのスプリット幅がスプリット幅Δω(第1のスプリット幅)である領域REG1と、1332cm-1のピークのスプリット幅がスプリット幅Δωよりも小さいスプリット幅Δω(第2のスプリット幅)である領域REG2とを交互に有することを特徴とする。即ち、単結晶ダイヤモンド1-1は、単結晶ダイヤモンド1-1の厚み方向に垂直な方向において、歪み量が歪み量σ(第1の歪み量)である領域REG1と、歪み量が歪み量σよりも小さい歪み量σ(第2の歪み量)である領域REG2とを交互に有することを特徴とする。なお、領域REG1は、図1に示す領域11に相当し、領域REG2は、図1に示す領域12に相当する。
上述したように、単結晶ダイヤモンド1-1は、1332cm-1のピークのスプリット幅としてスプリット幅Δωとスプリット幅Δωとを有する。このことは、1332cm-1のピークが単結晶ダイヤモンド1-1の全領域においてスプリットしていることを意味する。従って、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドは、レーザラマン分光法によって測定したラマンシフトの1332cm-1のピークがスプリットしている単結晶ダイヤモンドであればよい。
日本電子社製のJSM-7001Fを用いて単結晶ダイヤモンド1-1および基板のカソードルミネッセンスを測定し、転位密度を求めた。その結果、単結晶ダイヤモンド1-1の転位密度は、1×10cm-2よりも低く、基板の転位密度は、1×10cm-2であった。
一般に、転位を有する単結晶ダイヤモンドを基板として基板上に単結晶ダイヤモンドをCVD法によって形成した場合、形成した単結晶ダイヤモンド中に基板の転位が伝搬する。
しかし、単結晶ダイヤモンド1-1の転位密度が基板の転位密度よりも2桁以上減少しており、基板の転位が単結晶ダイヤモンド1-1中に伝搬するのが抑制されている。これは、上述したように、単結晶ダイヤモンド1-1は、大きな歪み構造を有するので、この大きな歪み構造が転位の伝搬を抑制したものと考えられる。
フューチュアテック社製、マイクロビッカース硬さ試験機(FM-ARS9000)を用いて、単結晶ダイヤモンド1-1のヌープ硬度を測定した。より具体的には、単結晶ダイヤモンド1-1の試料表面の<100>の方向に沿ってダイヤモンドヌープ圧子を500gf(4.9N)で印加し、凹部の長さLを測定し、その測定した長さLを次式に代入してヌープ硬度HKを求めた。
HK=P/(C)・・・(2)
式(2)において、Pは、荷重であり、Cは、0.070279である。
測定された長さLは、23μmであり、式(2)によって求めたヌープ硬度HKは、132GPaであった。そして、単結晶ダイヤモンド1-1のヌープ硬度の最大値は、153GPaであった。なお、同様にして求めた基板のヌープ硬度は、97GPaであった。
このように、単結晶ダイヤモンド1-1は、基板に比べ高い硬度を有していることが分かった。
図15は、ヌープ硬度と窒素(N)濃度との関係を示す図である。図15において、縦軸は、ヌープ硬度を表し、横軸は、窒素濃度を表す。また、黒丸は、非特許文献1に記載されたヌープ硬度を示し、星印は、単結晶ダイヤモンド1-1のヌープ硬度を示す。
図15を参照して、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1は、非特許文献1に記載された単結晶ダイヤモンドよりも大きいヌープ硬度を有する。
大きい硬度を有するダイヤモンドとしてナノ多結晶ダイヤモンドがあるが、ナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、140(GPa)よりも小さい(非特許文献2)。従って、実施例1における単結晶ダイヤモンド1-1は、ナノ多結晶ダイヤモンドよりも大きいヌープ硬度を有する。
タングステン等の不純物を含まない単結晶ダイヤモンドによって単結晶ダイヤモンド1-1を挟んだ試料を作製し、耐磨耗特性を評価した。
図16は、耐磨耗特性を評価するための試料の断面SEM写真である。図16を参照して、耐磨耗特性を評価するための試料は、不純物フリー層1、金属原子導入層1~4および不純物フリー層2を順次基板上に積層した構造からなる。
不純物フリー層1,2は、マイクロ波CVD法によって形成された単結晶ダイヤモンドからなり、金属原子導入層1~4の各々は、単結晶ダイヤモンド1-1からなる。
マイクロ波CVD法による単結晶ダイヤモンドの形成条件は、次のとおりである。
CHガスの流量:20sccm
ガスの流量:500sccm
圧力:15,960Pa
基板温度:1100℃
マイクロ波パワー:2000W
試料の側面をスカイフ盤で研磨した結果、不純物フリー層1,2は、へき開し、無数のクラックが形成され、金属原子導入層1~4は、削られ難かった。従って、単結晶ダイヤモンド1-1は、耐磨耗特性が高いことが分かった。
単結晶ダイヤモンド粒10の実施例について説明する。
(実施例2)
ダイヤモンドによって研磨して数mmのサイズを有する単結晶ダイヤモンド基板を作製した。そして、作製した単結晶ダイヤモンド基板を混酸(硫酸:硝酸=3:1の混酸)に浸漬し、250℃でボイルして単結晶ダイヤモンド基板を洗浄した。その後、洗浄した単結晶ダイヤモンド基板を熱フィラメントCVD装置に入れ、熱フィラメントCVD法を用いて次の条件によって単結晶ダイヤモンド基板上に単結晶ダイヤモンドからなる被覆層2を形成して実施例2の単結晶ダイヤモンド粒1-2を作製した。
基板:数mmのサイズを有する単結晶ダイヤモンド
フィラメント:タングステンフィラメント1
フィラメントの純度:3N(99.9%)
フィラメント温度:2200℃
CHガスの流量:30sccm
ガスの流量:1000sccm
圧力:1330Pa
基板温度:700~1100℃
振動条件:100Hz,15分間インターバルで10秒間の振動を繰り返し
作製した単結晶ダイヤモンド粒10においては、被覆層2(単結晶ダイヤモンド)が単結晶ダイヤモンド基板の周囲に均一に形成されていることが分かった。そして、被覆層2は、上述したヌープ硬度を有することが分かった。
[工具]
上述した単結晶ダイヤモンド粒10を用いた工具について説明する。図17は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒10を用いたブレードの概略図である。図17を参照して、ブレード20は、本体部21と、単結晶ダイヤモンド粒22とを備える。
本体部21は、例えば、円盤形状からなり、ブレード20の回転軸が挿入される貫通孔22-1を有する。
単結晶ダイヤモンド粒22は、単結晶ダイヤモンド粒10からなり、例えば、六面体の平面形状を有する。そして、単結晶ダイヤモンド粒22は、本体部21の側面22Aおよび円周面22Bに電着される。また、単結晶ダイヤモンド粒22は、例えば、500μm~2mmのサイズを有する。
図18は、単結晶ダイヤモンド粒の電着方法を説明するための図である。図18を参照して、単結晶ダイヤモンド粒22は、電解メッキ法によって本体部21に電着される。この場合、メッキ層23は、本体部21の表面に形成され、単結晶ダイヤモンド粒22は、一部がメッキ層23にめり込む。これによって、単結晶ダイヤモンド粒22は、本体部21に固定される。メッキ層23は、例えば、ニッケル(Ni)からなる。
単結晶ダイヤモンド粒22を本体部21に電着することによって次の効果を得ることができる。細かい単結晶ダイヤモンド粒22を均一に、かつ、高密度に本体部21に付着できる。その結果、単結晶ダイヤモンド粒22がぎっしりと詰まっているので、耐摩耗性に優れ、切れ味が鋭く、滑らかで高精度の加工を実現できる。また、本体部21が複雑な形状を有していても、単結晶ダイヤモンド粒22を本体部21に固着できる。更に、メッキ層23は、基本的に一層であるので、厚さをコントロールすることが可能で単結晶ダイヤモンド粒22が突出している高さを揃えることができる。
なお、単結晶ダイヤモンド粒22は、六面体の平面形状に限らず、八面体の平面形状を有していてもよい。
また、単結晶ダイヤモンド粒22は、電着に限らず、メタルボンドまたは溶着によって本体部21に固着されていてもよい。
ブレード20は、単結晶ダイヤモンド粒22を表面に備えるので、耐磨耗性を有するとともに硬い被加工物でも容易に切削できる。また、単結晶ダイヤモンド1を被覆層2に用いることによってチッピングを防止できる。
図19は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒10を用いたバイトの概略図である。
図19を参照して、バイト30は、本体部31と、刃32とを備える。本体部31は、棒状形状を有する。刃32は、単結晶ダイヤモンド粒10からなり、例えば、三角形の平面形状を有する。そして、刃32は、例えば、ろう付けによって、本体部31の一方端に固定される。
図20は、図19に示すバイト30を用いた切削方法を示す図である。図20を参照して、被加工物40を矢印ARW1の方向に回転させ、バイト30の刃32を被加工物40の表面に当てて被加工物40を所定の厚みだけ切削しながらバイト30を矢印ARW2の方向に移動させる。これによって、被加工物40を切削できる。
なお、刃32は、三角形の平面形状に限らず、被加工物40の最終的な形状に応じて各種の形状を有する。
バイト30は、単結晶ダイヤモンド粒10からなる刃32を備えるので、耐磨耗性を有するとともに硬い被加工物でも容易に切削できる。
なお、バイト30の刃32は、上述したBドープの単結晶ダイヤモンド粒からなっていてもよい。これによって、チッピングを防止できる。
図21は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒10を用いた回転工具の平面図である。
図21を参照して、回転工具50は、本体部51と、台部52と、刃53とを備える。本体部51は、円盤形状を有する。台部52は、本体部51の外周部に周方向に所定の間隔で配置される。刃53は、例えば、ろう付けによって台部52に固定される。
図22は、図21に示す刃53の厚み方向の断面図である。図21を参照して、刃53は、三角形の断面形状を有し、コア531と、被覆層532とを含む。被覆層532は、コア531の周囲を覆う。コア531は、単結晶ダイヤモンドからなり、被覆層532は、上述した単結晶ダイヤモンド1-1からなる。従って、刃53は、非常に大きい硬度を有する。
回転工具50は、例えば、2~150mmの直径を有する。そして、回転工具50は、例えば、プリント基板等の被加工材にV字状の切り込みを入れるために用いられる。刃53は、非常に大きい硬度を有するので、回転工具50は、耐磨耗性に優れた工具である。
図23は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド粒10を用いた掘削機の概略図である。図23を参照して、掘削機60は、本体部61と、刃62とを備える。掘削機60は、トンネルを掘削する掘削機である。
本体部61は、円柱形状を有する。刃62は、本体部61の軸方向の一方の端面に、例えば、放射状に配置される。そして、刃62は、上述した単結晶ダイヤモンド粒10からなる。
なお、単結晶ダイヤモンド粒10を用いた工具は、上述したブレード、バイト、回転工具および掘削機に限らず、ボールエンドミル、スクエアエンドミル、ラジアスエンドミル、エンドミル以外の切削工具、例えば、ドリルなどの穴あけ工具、ダイス、スクライバー、スクライビングホイール、およびドレッサー等であってもよい。そして、単結晶ダイヤモンド粒10を用いた工具は、耐磨耗性およびチッピング等に優れた工具である。
この発明は、単結晶ダイヤモンド、それを用いた単結晶ダイヤモンド粒および単結晶ダイヤモンド粒を備える工具に適用される。
1,531 コア、2,532 被覆層、10,22 単結晶ダイヤモンド粒、20 ブレード、21,31,51,61 本体部、23 メッキ層、30 バイト、32,53,62 刃、50 回転工具、52 台部、60 掘削機、101 チャンバ、102 排気装置、103 基板ホルダー、105 熱フィラメント、106 バイブレータ、107 棒部材、108~110 配管、111~113 マスフローコントローラ、114~116 バルブ、117~119 ボンベ、120 基板。

Claims (9)

  1. レーザラマン分光法によって測定したラマンシフトの1332cm-1のピークがスプリットしており、
    濃度1×10 19 cm -3 以上でタングステンを含み、
    歪み量σが3.6GPa以上6.0GPa以下である単結晶ダイヤモンド。
  2. 前記単結晶ダイヤモンドの厚み方向に垂直な方向において、第1の領域と、前記第1の領域の位置と異なる位置に配置された第2の領域とを有し、
    前記第1の領域は、前記レーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトの1332cm-1のピークのスプリット幅として第1のスプリット幅を有し、
    前記第2の領域は、前記レーザラマン分光法によって測定されたラマンシフトの1332cm-1のピークのスプリット幅として前記第1のスプリット幅よりも小さい第2のスプリット幅を有する、請求項1に記載の単結晶ダイヤモンド。
  3. 点欠陥を含む、請求項1または請求項2に記載の単結晶ダイヤモンド。
  4. リコンおよびモリブデンとを含む、請求項3に記載の単結晶ダイヤモンド。
  5. 13000kg/mmよりも大きいヌープ硬度を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド。
  6. ボロンをドーパントとして含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド。
  7. 第1の単結晶ダイヤモンドからなるコアと、
    前記コアを覆い、第2の単結晶ダイヤモンドからなる被覆層とを備え、
    前記第2の単結晶ダイヤモンドは、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンドからなる、単結晶ダイヤモンド粒。
  8. 前記第2の単結晶ダイヤモンドは、前記第1の単結晶ダイヤモンドよりも大きい硬度を有する、請求項7に記載の単結晶ダイヤモンド粒。
  9. 請求項7または請求項8に記載の単結晶ダイヤモンド粒を備える工具。
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