JP7334469B2 - 粉体収納容器 - Google Patents

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Description

本願発明は表面に微細な凹凸を備えた合成樹脂成形体に関し、より詳しくは、合成樹脂成形体の表面に防汚性を備えた成形体に関する。
従来、表面に防汚性(非付着性)を有するプラスチック製品について、各種の技術の開示が行われており、その非付着性を活用して、例えば容器表面の汚染を軽減させたり、容器内部の内容物の残留を減らすことが可能である。
特許文献1では、プラスチックに高級脂肪酸化合物を1~9%の割合で配合する技術が開示されている。その技術により製造された容器において、容器内部に内容物が付着しにくいことから、内容物を取り出す際に内容物の残留を削減できるとしている。
特許文献2では、熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を設けた包装材において、前記熱可塑性樹脂に疎水性微細粒子を添加し、ヒートシール層の表面に微細凹凸形状を設けることにより、撥水性を付与している。本技術により、ヒートシール層の表面に、液体、半固体、及びゲル状物質の付着を防止できることから、優れたヒートシール性のある包装材を提供することができるとしている。
しかしながら、特許文献1の技術は、容器内部の非付着性に関するものであり、容器外部に防汚性を有しない虞れがある。
また、特許文献2の技術は、微細凹凸形状は疎水性微細粒子を添加することにより形成されているので、疎水性微細粒子を使用せずに凹凸形状を形成させる方法に比較してコストアップとなる。また、前記疎水性微細粒子が脱落して、内容物に混入する虞れがある。また、本開示の技術は、軟包装にかかるものである。
特開2001-247779号公報 特開2013-18533号公報
本願発明はこのような状況を鑑みてなされたものであって、合成樹脂成形体の表面に防汚性を付与することにより、使用する際に、合成樹脂成形体の表面に付着する汚れの量を削減することができて、清浄な状態を保持できる合成樹脂成形体を提供することを目的とする。
本願発明の合成樹脂成形体は、質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有しており、前記合成樹脂成形体の表面に梨地状の凹凸面を有し、前記表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから4.5μmであることを特徴としている。
前記合成樹脂成形体は、質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有しており、前記合成樹脂成形体の表面に梨地状の凹凸面を有し、前記表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから4.5μmであることから、前記合成樹脂成形体の表面は防汚性を有している。
また本願発明の合成樹脂成形体は、質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有しており、前記合成樹脂成形体の表面に複数個の外周部が閉じた凹部を備え、前記表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから3.0μmであることを特徴としている。
前記合成樹脂成形体は、質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有しており、前記合成樹脂成形体の表面に複数個の外周部が閉じた凹部を備え、前記表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから3.0μmであることから、前記合成樹脂成形体の表面は防汚性を有している。
本願発明によれば、合成樹脂成形体の表面に防汚性を付与したことにより、前記合成樹脂成形体の使用中に表面に汚れが付着することが減少し、清浄な状態で使用することができる。
特に、粉体の振り出しに使用される注出口の用途にて、本願発明は顕著な効果を認める。
本願発明の第一の実施形態の合成樹脂成形体の表面の10倍の拡大写真である。(実施例1) 本願発明の第一の実施形態の合成樹脂成形体の表面の100倍の拡大写真である。(実施例1) 本願発明の第一の実施形態の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。(実施例1) 本願発明の第二の実施形態の合成樹脂成形体の表面の10倍の拡大写真である。(実施例2) 本願発明の第二の実施形態の合成樹脂成形体の表面の100倍の拡大写真である。(実施例2) 本願発明の第二の実施形態の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。(実施例2) 本願発明の第三の実施形態の合成樹脂成形体の表面の10倍の拡大写真である。(実施例3) 本願発明の第三の実施形態の合成樹脂成形体の表面の100倍の拡大写真である。(実施例3) 本願発明の第三の実施形態の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。(実施例3) 比較例1の合成樹脂成形体の表面の10倍の拡大写真である。 比較例1の合成樹脂成形体の表面の100倍の拡大写真である。 比較例1の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。 比較例2の合成樹脂成形体の表面の10倍の拡大写真である。 比較例2の合成樹脂成形体の表面の100倍の拡大写真である。 比較例2の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。 比較例3の合成樹脂成形体の表面の20倍の拡大写真である。 比較例3の合成樹脂成形体の表面の200倍の拡大写真である。 比較例3の合成樹脂成形体の表面粗さの測定データである。 注出口成形体である。 注出口成形体付き容器である。 注出口成形体の平面図である。
以下、本願発明について図面を用いながら説明する。但し、本願発明はこれら具体的に例示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
<本願発明の第一の実施形態>
第一の実施形態の合成樹脂成形体について、以下に図面等を用いて説明する。
本実施形態の合成樹脂成形体の表面の拡大写真を図1と図2に示す。図1は10倍の拡大率であり、図2は100倍の拡大率である。また、図3に表面粗さの測定のデータを示す。
図3の原本はカラーのデータである。図3の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る第一の実施形態の表面粗さの高さの範囲h3は、右側の図に示されており、約-10μmから10μmの範囲である。
拡大写真の撮影に使用される機器は、株式会社キーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHX-1000であり、後述される拡大写真は、上記の機器で撮影されたものである。
表面粗さの測定に使用する機器は、株式会社東京精密製 SURFCOM 1400G-12であり、測定方法は、JIS B 0681(ISO25178)規格に準拠しており、後述される表面粗さの測定は上記の機器及び方法で行われたものである。
表面粗さは、表面の算術平均高さSa及び最大高さSzにて表示をしており、後述される表面粗さの数値は、上記の測定機器を使用し、上記の規格にて測定された数値である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の表面には梨地状の凹凸面を有する。また表面粗さの測定データを図3に示すが、表面粗さの算術平均高さSaは2.11μm、最大高さSzは18.10μmである。
<本願発明の第二の実施形態>
第二の実施形態による合成樹脂成形体について、以下に図面等を用いて説明する。
本実施形態の合成樹脂成形体の表面の拡大写真を図4と図5に示す。図4は10倍の拡大率であり、図5は100倍の拡大率である。また、図6に表面粗さの測定のデータを示す。
図6の原本はカラーのデータである。図6の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る第二の実施形態の表面粗さの高さの範囲h6は、右側の図に示されており、約-20μmから20μmの範囲である。
図4及び図5に示すように、本実施形態の表面には梨地状の凹凸面を有する。また表面粗さの測定データを図6に示すが、前記表面粗さの算術平均高さSaは4.28μm、最大高さSzは37.80μmである。
<本願発明の第三の実施形態>
第三の実施形態による合成樹脂成形体について、以下に図面等を用いて説明する。
本実施形態の合成樹脂成形体の表面の拡大写真を図7と図8に示す。図7は10倍の拡大率であり、図8は100倍の拡大率である。また、図9に表面粗さの測定のデータを示す。
図9の原本はカラーのデータである。図9の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る第三の実施形態の表面粗さの高さの範囲h9は、右側の図に示されており、約-10μmから10μmの範囲である。
図7及び図8に示すように、本実施形態の表面は、前記表面に渡って規則性が無い複数の凹部を備えた表面である。また表面粗さの測定データを図9に示すが、図9からも面状に規則性が無い複数の凹部を備えた表面であることが分かる。
前記凹部の深さは約6μm~約16μmである。また、前記凹部は上側から見ると閉じた形状をしており、その周長(閉じた輪郭の長さ)は、約0.5mm~約2.0mmである。
また、前記凹部を上側から見た形状(輪郭)において、最大幅の数値は約0.1~約0.7mmである。最大幅とは、前記輪郭を平行な2本の線で挟んだ時の最大の幅の数値である。ノギスにて外径を測定する方法と同様である。
また、前記凹部の面積は約0.007mm2~約0.5mm2である。
図9の表面粗さの測定データより、前記表面粗さの算術平均高さSaは2.83μm、最大高さSzは20.80μmである。
上記の3つの実施形態によれば、合成樹脂成形体の表面に防汚性を付与することができる。
特に、粉体に対する防汚性が優れており、粒径が40μm~1000μmである粉体に対して特に防汚性が高い。
次に本願発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1は、上記の第一の実施形態に対応するものである。
本実施形態の合成樹脂成形体は、射出成形法にて注出口成形体を成形した。射出樹脂は、ポリプロピレンを主成分として使用しており、そのポリプロピレンは、株式会社サンアロマー製、ポリプロピレンランダムポリマー PM931Mをベースレジンとして使用しており、その代表的な物性値はMFRが25(g/10min、JIS K 6921-2)、密度は0.9(g/cm3、JIS K 6921-2)、引張弾性率920(Mpa、JIS K 6921-2)、引張降伏応力27(Mpa、JIS K 6921-2)、曲げ弾性率990(Mpa、JIS K 6921-2)、ロックウエル硬さ80(HRR,JIS K 7202)である。
なお、本実施形態に使用するポリプロピレンは、上記の型番によるポリプロピレンには限られず、他のランダムポリプロピレンでもよい。また、用途に応じてホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを用いてもよい。ポリプロピレンは適切な剛度があり、また合成樹脂成形体にヒンジ機構(折り曲げ機構)を設ける用途では必要なヒンジ強度を有するので、望ましい。
また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなど用いてもよい。
射出成形法は量産性や製品精度が優れており、その射出成形性やコストを考慮すると、ポリオレフィンを主成分とすることが望ましい。
また、前記ポリプロピレンに、シリコーンポリマーを質量比で2.5%添加しており、前記シリコーンポリマーは、マスターバッチとして、東レ・ダウコーニング株式会社製、BY27-001を添加した。前記マスターバッチの構成としてはポリプロピレンをベース樹脂として、シリコーンポリマーを質量比で50%含有しており、射出成形の主成分となるポリプロピレンの質量に対して、前記マスターバッチを質量比で5%添加することで、シリコーンポリマーを質量比2.5%で添加することになる。
上記の処方をしたポリプロピレンを用いて射出成形を行い、図19のような注出口成形体30を成形した。
なお、前記注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には第一の実施形態で説明した合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
(実施例2)
実施例2は上記の第二の実施形態に対応するものである。
実施例2では、実施例1と同じく注出口成形体30を成形した。注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には第二の実施形態で説明した合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
その他の材質、形状、製造方法等は実施例1と同じである。
(実施例3)
実施例3は上記の第三の実施形態に対応するものである。
実施例3では、実施例1と同じく注出口成形体30を成形した。注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には第三の実施形態で説明した合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
その他の材質、形状、製造方法等は実施例1と同じである。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同じく注出口成形体30を成形した。注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には後述する合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
その他の材質、形状、製造方法等は実施例1と同じである。
比較例1の合成樹脂成形体の表面性状は、図10及び図11に示すように、略菱形状の凹部が規則的に配置されている。菱形の長い方の対角線の長さは約0.7mmであり、短い方の対角線の長さは約0.25mmである。また、深さは約10μm~約30μmである。
また表面粗さの測定データを図12に示す。図12の原本はカラーのデータである。図12の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る比較例1の合成樹脂成形体の表面粗さの高さの範囲h12は、右側の図に示されており、約-25μmから25μmの範囲である。
図12のデータから、表面粗さの算術平均高さSaは7.65μm、最大高さSzは48.80μmである。
また、凹部の配置密度(個数)は、1mm2当たり約3個である。なお、前記凹部の配置密度は単位面積当たりで計算する(除算する)ため、その数値は小数点以下の桁数の含むこともある。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同じく注出口成形体30を成形した。注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には後述する合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
その他の材質、形状、製造方法等は実施例1と同じである。
比較例2の合成樹脂成形体の表面性状は、図13及び図14に示すように、直線状の凹部が規則的(平行に)に配置されている。前記凹部の幅は約0.15mmであり、前記凹部のピッチは約0.5mmである。また、深さは約10μmである。
また表面粗さの測定データを図15に示す。図15の原本はカラーのデータである。図15の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る比較例2の合成樹脂成形体の表面粗さの高さの範囲h15は、右側の図に示されており、約-12μmから12μmの範囲である。
図15のデータから算出される表面の算術平均高さSaは6.60μm、最大高さSzは25.40μmである。
(比較例3)
比較例3では、実施例1と同じく注出口成形体30を成形した。注出口成形体30の開口部32(振り出し口)の周辺部の外側の表面領域には、図21のように表面加工部34があり、前記表面加工部34には後述する合成樹脂成形体の表面性状を備えている。
その他の材質、形状、製造方法等は実施例1と同じである。
比較例3の合成樹脂成形体の表面性状は、図16及び図17に示すように、ほぼ平面状である。また表面粗さの測定データを図18に示す。
図18の原本はカラーのデータである。図18の左側の図では表面粗さの高さがカラーで表されており、右側の図では高さの指標が示されている。合成樹脂成形体の検査する表面の領域は約2mm角の正方形であり、その面積は約4mm2である。表示される色彩から読み取る比較例3の表面粗さの高さの範囲h18は、右側の図に示されており、ほとんど色の変化はなく、ほぼ0μmの付近である。
図18のデータから、表面の算術平均高さSaは0.13μm、最大高さSzは2.50μmである。
(比較例4)
比較例4は、実施例1と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(比較例5)
比較例5は、実施例2と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(比較例6)
比較例6は、実施例3と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(比較例7)
比較例7は、比較例1と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(比較例8)
比較例8は、比較例2と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(比較例9)
比較例9は、比較例3と形状、製造方法等は同じであり、材料となるポリプロピレンにシリコーンを添加していない点のみが異なる注出口成形体30である(不図示)。
(防汚性の評価)
上記の通り、実施例1~3、及び比較例1~9の注出口成形体30を準備した。また、注出口成形体30に取り付けられるガラス瓶41を準備した。
さらに、防汚性を評価する物質(ガラス瓶41に入れる内容物)を準備した、液体としてはドレッシンク、食用油、ソースを準備した。粉体としては小麦粉、片栗粉、粉末洗剤(洗濯用)、顆粒調味料を準備した。
粉体については、株式会社キーエンス製 デジタルマイクロスコープ VHX-1000にて、粒径を測定した。
(防汚性の評価方法)
防汚性に評価方法について説明する。本願発明の合成樹脂成形体の表面性状を備えた注出口成形体を使用する状況を反映して、評価方法を決定した。
容器に内容物を充填して、その内容物を注出して使用する際に、内容物が注出口成形体30に付着する場合があるが、その内容物の付着量を防汚性の評価基準とした。即ち内容物の付着量が少ない注出口成形体30は、防汚性に優れるとの評価となる。
まず、評価テストを実施する前に注出口成形体30の重量を測定する。次に用意したガラス瓶41に、5gの評価用の内容物(液体又は粉体)を収納して、次に前記注出口成形体30をガラス瓶41の口部42に取り付ける。なお、ガラス瓶41の口部42の外径側にはおねじが備えられており、前記注出口成形体30の胴部33の内側には、めねじが備えられており、両者は螺合する。
内容物入り容器40を斜め下向き45°として、5秒間、前記注出口成形体30の開口部32から内容物を振り出す。その後に、内容物の付着状況を目視にて確認する。そして、内容物の付着量(重量)を測定する。なお、テスト環境は室温23℃、相対湿度38%の室内であった。
その測定結果を表1にまとめる。
Figure 0007334469000001
(評価の基準)
個々のテスト条件での判定について説明する。テスト後に、注出口成形体30に付着した内容物の重量により判定した。評価の判定基準は以下の通りである。
○:0.001g未満
△:0.001g~0.003g
×:0.003g以上
総合的な判定は、粉体のグループ、及び液体のグループごとに判定している。それぞれのグループの個々の評価結果が○または△のみであり、×を含まないものを総合判定で○としている。1つの条件でも×があるものは、総合判定でも×とした。
(粉体の粒径)
粉体の測定した平均粒径を記載しており、最小粒径は片栗粉の28μm、ついで小麦粉が45μm、粉末洗剤が900μm、最大粒径は顆粒調味料の1500μm(1.5mm)である。
小麦粉、片栗粉、粉末洗剤については、本願発明の合成樹脂成形体の効果が確認できる条件が見られるが、顆粒調味料については、すべての条件で○であり、本願発明の合成樹脂成形体の効果が確認できない。
(液体の評価結果)
内容物が液体の場合は、すべての条件で×であり、本願発明の合成樹脂成形体の効果が確認できない。
(粉体の総合評価)
実施例1~3は、粉体総合判定が○になっており、本願発明の合成樹脂成形体の効果が確認できた。
比較例1~3は、粉体総合判定が×になっており、効果がないことが分かる。
実施例1と実施例2の合成樹脂成形体の表面性状は梨地状である。表面性状が梨地状の場合は、ISO25178の規定に準じて測定した表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから4.5μmであることが望ましい。
また、合成樹脂成形体の表面粗さの最大高さ(Sz)は、15μmから40μmであることが望ましい。
実施例3の合成樹脂成形体の表面には、複数の外周部が閉じた凹部を備えている。このような表面性状の場合は、ISO25178の規定に準じて測定した表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2μmから3μmであることが望ましい。
また、合成樹脂成形体の表面粗さの最大高さ(Sz)は、20μmから25μmであることが望ましい。
(シリコーンを含まない合成樹脂成形体の評価)
比較例4~9は、いずれも材料にシリコーンを含まない注出口成形体30である。それらの防汚性の評価結果を表2に示す。
Figure 0007334469000002
表2より、いずれの比較例4~9も粉体総合判定で×となっており、防汚性を付与するにはシリコーンを含有する必要があることが分かる。
なお、シリコーンの含有量は質量比率で0.5%以上~5%以下が望ましい。0.5%未満であると防汚効果が充分に得られず、5%を超えると蓋を開かないようにするため係止部の摩擦力が不足したり、又はコストアップ要因となる。
また表2より、いずれの比較例4~9も液体総合判定で×となっており、さらに表1で示したように実施例1~3及び比較例1~3においても液体総合判定で×となっている。これらの結果により、液体に対してはシリコーンを含有することの効果が認められない。
本願発明によれば、合成樹脂成形体に防汚性を付与したことにより、前記合成樹脂成形体の使用中に、表面に汚れが付着することが減少し、清浄な状態で使用することができる。
30 注出口成形体
31 フタ
32 開口部
33 注出口成形体の胴部
40 注出口成形体付き容器
41 ガラス瓶
42 ガラス瓶の口部

h3、h6、h9、h12、h15、h18 表面粗さの高さの範囲

Claims (6)

  1. 質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有する合成樹脂成形体を含む注出口成形体を備える容器において、
    前記合成樹脂成形体の表面に梨地状の凹凸面を有し、前記表面の表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから4.5μmであり、
    前記合成樹脂成形体は前記注出口成形体の開口部の周辺に設けられ、
    前記容器には粉体が収納され、
    前記粉体の粒径が、45μmから900μmであることを特徴とする容器。
  2. 前記合成樹脂成形体の表面粗さの最大高さ(Sz)が15μmから40μmであることを特徴とする請求項1に記載の容器
  3. 質量比率で0.5%以上5%以下のシリコーンを含有する合成樹脂成形体を含む注出口成形体を備える容器において、
    前記合成樹脂成形体の表面に複数の外周部が閉じた凹部を備え、前記表面の表面粗さの算術平均高さ(Sa)が2.0μmから3.0μmであり、
    前記合成樹脂成形体は前記注出口成形体の開口部の周辺に設けられ、
    前記容器には粉体が収納され、
    前記粉体の粒径が、45μmから900μmであることを特徴とする容器。
  4. 前記合成樹脂成形体の表面粗さの最大高さ(Sz)が20μmから25μmであることを特徴とする請求項3に記載の容器
  5. 前記合成樹脂成形体の材質が、ポリオレフィンを主成分であることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の容器
  6. 前記合成樹脂成形体の材質が、ポリプロピレンを主成分であることを特徴とする請求項5に記載の容器
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JP2015193115A (ja) 2014-03-31 2015-11-05 凸版印刷株式会社 包装材料および包装容器
JP2015214144A (ja) 2014-04-25 2015-12-03 東洋製罐グループホールディングス株式会社 表面に液膜を有する構造体
JP2018123175A (ja) 2017-01-30 2018-08-09 三井化学株式会社 樹脂組成物およびその成形体

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