図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、車両用空調装置1は、車両に搭載されている。車両は、例えばガソリン駆動のエンジンを搭載した自動車である。ただし、車両としては、走行用モータを搭載した電気自動車や、エンジンとモータの両方を搭載したハイブリッド自動車なども採用可能である。車両用空調装置1は、空気を送風する送風ユニットと空気温度を調整する空調ユニットを備えている。車両用空調装置1は、取り込まれた空気の温度を調整して車室内に吹き出す装置である。言い換えると、車両用空調装置1は、車室内の暖房運転や冷房運転や除湿運転などの空調運転を行う装置である。
車両用空調装置1は、内部に空気が流れる空気経路が形成されている空調ケース2を備えている。空調ケース2の内部には、蒸発器6とヒータコア7とヒータ装置8とが収納されている。ヒータコア7は、空調風の流れにおいて蒸発器6よりも下流に位置している。ヒータ装置8は、空調風の流れにおいてヒータコア7よりも下流に位置している。蒸発器6は、内部に冷媒が流れており、冷媒が液体から気体に気化する際の気化熱を周囲の空気から奪うことで空気を冷却する熱交換器である。蒸発器6は、冷風を生成する冷却器の一例を提供する。ヒータコア7は、内部に高温のエンジン冷却水が流れており、エンジン冷却水の熱を用いて周囲の空気を加熱する熱交換器である。ヒータコア7は、温風を生成する加熱器の一例を提供する。ヒータ装置8としては、電気式ヒータや燃焼式ヒータなどの様々な加熱装置を利用可能である。ヒータ装置8としては、正の温度係数を有する電気ヒータであるPTCヒータを用いることが好ましい。ヒータ装置8は、温風を生成する加熱器の一例を提供する。
車両用空調装置1は、前席に着座している乗員に向けた空調運転を実施可能である。車両用空調装置1は、車両のフロントウィンドウに吹き出される空調風をダクト内に吸い込むためのデフロスタ開口部21を備えている。デフロスタ開口部21から吸い込まれた空調風は、ダクトを通ってデフロスタ吹き出し口からフロントウィンドウの車室内側に吹き出されることとなる。車両用空調装置1は、前席の前方上部に吹き出される空調風をダクト内に吸い込むためのフェイス開口部31を備えている。フェイス開口部31から吸い込まれた空調風は、ダクトを通ってフェイス吹き出し口から車室内に吹き出されることとなる。車両用空調装置1は、前席の前方下部に吹き出される空調風をダクト内に吸い込むためのフット開口部41を備えている。フット開口部41から吸い込まれた空調風は、ダクトを通ってフット吹き出し口から車室内に吹き出されることとなる。
車両用空調装置1は、後席に着座している乗員に向けた空調運転を実施可能である。車両用空調装置1は、後席の前方上部に吹き出される空調風をダクト内に吸い込むためのリアフェイス開口部131を備えている。リアフェイス開口部131から吸い込まれた空調風は、ダクトを通ってリアフェイス吹き出し口から吹き出されることとなる。車両用空調装置1は、後席の前方下部に吹き出される空調風をダクト内に吸い込むためのリアフット開口部141を備えている。リアフット開口部141から吸い込まれた空調風は、ダクトを通ってリアフット吹き出し口から吹き出されることとなる。
車両用空調装置1は、空調ケース2の内部に第1冷風通路15aと第2冷風通路15bと第1温風通路16aと第2温風通路16bとを備えている。第1冷風通路15aと第2冷風通路15bとは、ヒータコア7やヒータ装置8を経由せずに空調風を流すための通路であって、蒸発器6で冷却された冷風が通過することとなる。第1温風通路16aと第2温風通路16bとは、ヒータコア7やヒータ装置8を経由して空調風を流すための通路であって、ヒータコア7やヒータ装置8で加熱される温風が通過することとなる。各通路15a、15b、16a、16bは、上下方向において上から第1冷風通路15a、第1温風通路16a、第2温風通路16b、第2冷風通路15bの順に並んで設けられている。
各通路15a、15b、16a、16bの下流側には、冷風と温風とを混合させる冷温風混合空間が形成されている。冷温風混合空間においては、冷風と温風とが混合されることで、空調風の温度が冷風の温度と温風の温度との間の温度となる。ただし、冷温風混合空間における空調風の温度は均一ではない。冷温風混合空間において、第1冷風通路15aや第2冷風通路15bに近い位置は、温度が低くなりやすい。一方、冷温風混合空間において、第1温風通路16aや第2温風通路16bに近い位置は、温度が高くなりやすい。また、各通路15a、15b、16a、16bから離れた下流に向かうほど、温風と冷風との混合が進んで空調風の温度が均一な温度に近づきやすい。
車両用空調装置1は、第1エアミックスドア12aと第2エアミックスドア12bとを備えている。第1エアミックスドア12aと第2エアミックスドア12bとは、蒸発器6よりも下流であって、ヒータコア7やヒータ装置8よりも上流に位置している。第2エアミックスドア12bは、第1エアミックスドア12aよりも下方に位置している。
第1エアミックスドア12aは、第1冷風通路15aを閉じることで、空調風が第1冷風通路15aを通過せず、第1温風通路16aを通過する状態とすることができる。あるいは、第1エアミックスドア12aは、第1温風通路16aを閉じることで、空調風が第1温風通路16aを通過せず、第1冷風通路15aを通過する状態とすることができる。第1エアミックスドア12aは、第1冷風通路15aと第1温風通路16aとを同時に一部分開くことで、空調風が第1冷風通路15aと第1温風通路16aとを同時に通過する状態とすることができる。この時、第1冷風通路15aを開く量と第1温風通路16aを開く量との割合を調整することで、全体として冷風の風量と温風の風量とを調整して必要な温度の空調風とすることができる。
第2エアミックスドア12bは、第2冷風通路15bを閉じることで、空調風が第2冷風通路15bを通過せず、第2温風通路16bを通過する状態とすることができる。あるいは、第2エアミックスドア12bは、第2温風通路16bを閉じることで、空調風が第2温風通路16bを通過せず、第2冷風通路15bを通過する状態とすることができる。第2エアミックスドア12bは、第2冷風通路15bと第2温風通路16bとを同時に一部分開くことで、空調風が第2冷風通路15bと第2温風通路16bとを同時に通過する状態とすることができる。この時、第2冷風通路15bを開く量と第2温風通路16bを開く量との割合を調整することで、全体として冷風の風量と温風の風量とを調整して必要な温度の空調風とすることができる。
図2は、空調ケース2の概略構成を示す正面図であって、空調ケース2におけるデフロスタ開口部21とフェイス開口部31とフット開口部41とリアフェイス開口部131とリアフット開口部141とのおおよその位置関係を示している。
フェイス開口部31は、センターフェイス開口部31aとサイドフェイス開口部31bとを備えている。センターフェイス開口部31aは、車室内の中央部から前席の上部に向けて吹き出される空調風が流れる開口である。言い換えると、センターフェイス開口部31aは、センターフェイス吹き出し口に向けて流れる空調風を吸い込むセンターフェイス吸い込み口である。センターフェイス開口部31aは、空調ケース2の2箇所に設けられている。2つのセンターフェイス開口部31aは、左右方向に互いに隣り合って配置されている。
サイドフェイス開口部31bは、車室内の側方部から前席の上部に向けて吹き出される空調風が流れる開口部である。言い換えると、サイドフェイス開口部31bは、サイドフェイス吹き出し口に向けて流れる空調風を吸い込むサイドフェイス吸い込み口である。サイドフェイス開口部31bは、空調ケース2の2箇所に設けられている。2つのサイドフェイス開口部31bは、2つ並んだセンターフェイス開口部31aの並び方向における両外側に配置されている。言い換えると、フェイス開口部31は、4つの開口部が左右方向に並んで構成されている。4つ並んだ開口部のうち内側に位置している2箇所の開口部がセンターフェイス開口部31aであり、外側に位置している2箇所の開口部がサイドフェイス開口部31bである。
フェイス開口部31は、4つの開口部で構成されていなくてもよい。例えば、開口部を1つだけ設けて、開口部の内部を複数に仕切ることでセンターフェイス吹き出し口とサイドフェイス吹き出し口とのそれぞれの吹き出し口に空調風を送ってもよい。言い換えると、フェイス開口部31は、4つよりも少ない数の開口部で構成してもよい。あるいは、左右方向に並んだ4つの開口部を上下方向に2段設けて、8つの開口部を用いてセンターフェイス吹き出し口とサイドフェイス吹き出し口とから吹き出される空調風の風量や風向を細かく調整可能な構成としてもよい。言い換えると、フェイス開口部31は、4つよりも多い数の開口部で構成してもよい。
フット開口部41は、空調ケース2の下部であって、空調ケース2の左右方向の側面を構成する左側面と右側面とのそれぞれに1箇所ずつ設けられている。リアフェイス開口部131は、空調ケース2の下部であって、空調ケース2の左右方向における真ん中の位置を含む中央寄りに設けられている。リアフット開口部141は、空調ケース2の下面において、左右方向に互いに離間して2箇所に設けられている。言い換えると、空調ケース2において、フット開口部41よりも左右方向の中央寄りにリアフット開口部141が形成されている。さらに、リアフット開口部141よりも左右方向の中央寄りにリアフェイス開口部131が形成されている。
図1において、車両用空調装置1は、デフロスタ開口部21を開閉するデフロスタドア22を備えている。デフロスタドア22は、デフロスタ開口部21を閉じる閉状態とデフロスタ開口部21を開く開状態との2つの状態に切り替え可能である。デフロスタドア22の開状態においては、デフロスタ開口部21に吸い込まれる空調風が最も多い全開状態と、デフロスタ開口部21に吸い込まれる空調風が全開状態よりも少なく閉状態よりも多い小開状態とを備えている。
車両用空調装置1は、フェイス開口部31を開閉するフェイスドア32を備えている。フェイスドア32は、フェイス開口部31を閉じる閉状態とフェイス開口部31を開く開状態との2つの状態に切り替え可能である。フェイスドア32の開状態においては、フェイス開口部31に吸い込まれる空調風が最も多い全開状態と、フェイス開口部31に吸い込まれる空調風が全開状態よりも少なく閉状態よりも多い小開状態とを備えている。車両用空調装置1は、リアフェイス開口部131を開閉するリアフェイスドアを備えている。リアフェイスドアは、フェイスドア32と連動しており、フェイスドア32の開度とリアフェイスドアの開度とが等しい開度となるように構成されている。ただし、フェイスドア32とリアフェイスドアとを連動させず、互いに独立して開度を制御するようにしてもよい。
車両用空調装置1は、フット開口部41を開閉するフットドア42を備えている。フットドア42は、フット開口部41を閉じる閉状態とフット開口部41を開く開状態との2つの状態に切り替え可能である。フットドア42の開状態においては、フット開口部41に吸い込まれる空調風が最も多い全開状態と、フット開口部41に吸い込まれる空調風が全開状態よりも少なく閉状態よりも多い小開状態とを備えている。車両用空調装置1は、リアフット開口部141を開閉するリアフットドアを備えている。リアフットドアは、フットドア42と連動しており、フットドア42の開度とリアフットドアの開度とが等しい開度となるように構成されている。ただし、フットドア42とリアフットドアとを連動させず、互いに独立して開度を制御するようにしてもよい。
車両用空調装置1に搭載されている各モードについて以下に説明する。車両用空調装置1は、吹き出し口モードとしてデフロスタモード、フェイスモード、フットモード、バイレベル(B/L)モード、フットデフロスタ(F/D)モードの5つのモードを備えている。ただし、吹き出し口モードの種類は上述のモードに限られない。
デフロスタモードは、デフロスタ吹き出し口から空調風を吹き出すモードである。デフロスタモードにおいては、デフロスタドア22が開状態となり、フェイスドア32とフットドア42とは閉状態となる。デフロスタモードは、フロントウィンドウの曇りを解消する場合によく用いられる。
フェイスモードは、フェイス吹き出し口とリアフェイス吹き出し口とから空調風を吹き出すモードである。フェイスモードにおいては、フェイスドア32が開状態となり、デフロスタドア22とフットドア42とは閉状態となる。フェイスモードは、冷房運転時によく用いられる。
フットモードは、主にフット吹き出し口とリアフット吹き出し口とから空調風を吹き出すモードである。フットモードにおいては、フットドア42が開状態となる。一方、フェイスドア32は閉状態となり、デフロスタドア22は、わずかに開いた小開状態となる。フットモードは、暖房運転時によく用いられる。
バイレベル(B/L)モードは、フェイス吹き出し口とリアフェイス吹き出し口とフット吹き出し口とリアフット吹き出し口との各吹き出し口から略等しい量の空調風を吹き出すモードである。バイレベル(B/L)モードにおいては、フェイスドア32とフットドア42とが開状態となり、デフロスタドア22は閉状態となる。バイレベル(B/L)モードは、冷房と暖房との中間温度の空調運転時によく用いられる。
フットデフロスタ(F/D)モードは、フット吹き出し口とリアフット吹き出し口とデフロスタ吹き出し口との各吹き出し口から略等しい量の空調風を吹き出すモードである。フットデフロスタ(F/D)モードにおいては、フットドア42とデフロスタドア22とが開状態となり、フェイスドア32は閉状態となる。フットデフロスタ(F/D)モードは、フットモードでの暖房運転中にフロントウィンドウが曇ってしまう場合によく用いられる。
車両用空調装置1において、第1冷風通路15aと第1温風通路16aとにまたがる位置に温風トンネル50が設けられている。温風トンネル50は、蒸発器6やヒータコア7やヒータ装置8よりも下流であって、デフロスタドア22及びフェイスドア32よりも上流に位置している。温風トンネル50は、筒状に形成された部分に温風が流れる部品である。温風トンネル50の筒状に形成された部分の下流端における軸方向は、デフロスタ開口部21に向かう方向である。このため、温風トンネル50は、第1温風通路16aや第2温風通路16bを通過した温風をデフロスタ開口部21に向けて吹き出す風路を提供することとなる。
図3において、温風トンネル50は、第1部材50aと第2部材50bとを備えている。第1部材50aと第2部材50bとで構成される温風トンネル50において、第1部材50aと第2部材50bとの間には、板部材99が配置されることとなる。板部材99により、温風トンネル50の内部が左右に分断された状態となる。第1部材50aと第2部材50bとは、板部材99を中心に左右対称な形状である。ただし、温風トンネル50は、分割された複数の部材から構成されるものに限られない。例えば、温風トンネル50が連続する1つの部品で構成されていてもよい。
温風トンネル50は、筒状部51を備えている。筒状部51は、上流入口部52と下流入口部53とを備えている。上流入口部52は、筒状部51の長手方向における端に位置している開口端である。上流入口部52は、第1温風通路16aを通過した温風と第2温風通路16bを通過した温風と第2冷風通路15bを通過した冷風とが混合された空調風を吸い込む入口として機能する部分である。ただし、上流入口部52は、第2冷風通路15bよりも第1温風通路16a及び第2温風通路16bに近い位置に設けられている。このため、比較的温度の高い空調風を吸い込みやすい。下流入口部53は、筒状部51の上流入口部52よりも下流に設けられている。下流入口部53は、第1温風通路16aを通過した温風を吸い込む入口として機能する部分である。上流入口部52は、入口部の一例を提供する。下流入口部53は、入口部の一例を提供する。
筒状部51は、側面部55と上面部と下面部とを備えている。筒状部51は、2つの側面と上面と下面との4面を有する角筒状である。側面部55は、第1部材50aに設けられている第1側面部55aと、第2部材50bに設けられている第2側面部55bとによって構成されている。第1側面部55aと第2側面部55bとは、互いに対向している。筒状部51の上面をなす上面部と筒状部51の下面をなす下面部とは、互いに対向している。
筒状部51は、第1出口部56と第2出口部57とを備えている。第1出口部56は、筒状部51の長手方向における端に位置している開口端である。第1出口部56は、筒状部51の軸方向に沿う方向に温風を吹き出すための開口である。第1出口部56は、デフロスタ開口部21に向けて空調風を吹き出す出口として機能する部分である。これにより、デフロスタ開口部21になるべく温度が高い温風を導いて、デフロスタ吹き出し口から吹き出される空調風の温度を高くする。第1出口部56は、側面部55の長手方向における第1側面部55aの端部と側面部55の長手方向における第2側面部55bの端部との間に形成されている。第1出口部56の下方は、下面部によって閉じられている。一方、第1出口部56の上方は、上面部によって閉じられておらず、開放されている。側面部55の長手方向における2つの端部のうち、一方の端部は、第1出口部56の一部を構成し、他方の端部は、上流入口部52の一部を構成している。
第2出口部57は、筒状部51において上流入口部52から第1出口部56に至るまでの経路上に設けられた開口である。言い換えると、第2出口部57は、上流入口部52と第1出口部56との間に設けられている。第2出口部57は、筒状部51の軸方向に交差する方向に温風を吹き出すための開口である。したがって、第2出口部57の温風吹き出し方向は、第1出口部56の温風吹き出し方向とは異なる方向である。第2出口部57は、フェイス開口部31に向けて空調風を吹き出す出口として機能する部分である。これにより、フェイス開口部31になるべく温度が高い温風を導いて、フェイス吹き出し口から吹き出される空調風の温度を高くする。第2出口部57は、側面部55の短手方向における第1側面部55aの端部と側面部55の短手方向における第2側面部55bの端部との間に形成されている。第2出口部57は、筒状部51の上面部に形成されている。
温風トンネル50は、筒状部51の外側に外枠部61を備えている。外枠部61は、温風トンネル50において、筒状部51の外側における空調風の流れをガイドする部材である。外枠部61を流れる空調風は、筒状部51の内側を流れる温風に比べて温度が低い。外枠部61には、空調風の入口として機能する開口が複数設けられている。外枠部61には、空調風の出口として機能する開口が複数設けられている。外枠部61は、空調ケース2に温風トンネル50を取り付けるための取り付け機能を提供している。
図4において、第2出口部57の開口端の一部は、第1出口部56の開口端の一部と連続しており、第1出口部56と第2出口部57とは、互いに連続するL字状の1つの開口を形成している。言い換えると、第1出口部56と第2出口部57とをなすL字状の開口において、デフロスタ開口部21に向けて開放されている部分が第1出口部56であり、フェイス開口部31に向けて開放されている部分が第2出口部57である。
筒状部51の長手方向に沿う方向における第2出口部57の長さL2は、筒状部51の短手方向に沿う方向における第1出口部56の長さL1よりも長い。第1出口部56の左右方向の長さと第2出口部57の左右方向の長さは等しい。このため、第2出口部57の開口面積は、第1出口部56の開口面積よりも大きい。したがって、第2出口部57は、第1出口部56よりも広範囲に温風を吹き出し可能に構成されている。これにより、軸方向に沿って第1出口部56から吹き出されやすい温風を、筒状部51の軸方向に交差する方向に沿って第2出口部57から吹き出させやすい。ただし、第1出口部56からの温風吹き出し量は、第2出口部57からの温風吹き出し量よりも多くなるように構成されている。
第1出口部56の開口面積と第2出口部57の開口面積との大小関係は、第2出口部57の開口面積が第1出口部56の開口面積よりも大きい場合に限られない。第2出口部57の開口面積が第1出口部56の開口面積よりも小さくてもよい。あるいは、第2出口部57の開口面積が第1出口部56の開口面積と等しい面積であってもよい。
筒状部51の内部には、合流部60が設けられている。合流部60は、上流入口部52から吸い込まれた温風と下流入口部53から吸い込まれた温風とを合流させる部分である。合流部60は、上流入口部52及び下流入口部53よりも下流であって、第1出口部56及び第2出口部57よりも上流に設けられている。合流部60は、第1出口部56よりも第2出口部57に近い位置に設けられている。合流部60において、上流入口部52から吸い込まれた温風は、後方から前方に向かって流れ込む。一方、下流入口部53から吸い込まれた温風は、下方から上方に向かって流れ込む。互いに異なる向きで筒状部51の内部に吸い込まれた温風同士は、合流部60において互いにぶつかり合うこととなる。すなわち、合流部60において、温風の流れに乱れが生じることとなる。したがって、合流部60での温風同士の合流により温風の流れに変化を生じさせることで、第2出口部57から吹き出す温風の量を増やすことができる。
筒状部51は、筒状部51の下面部に屈曲部54を備えている。屈曲部54は、筒状部51の長手方向において略中間の位置に設けられている。屈曲部54は、平坦部と連続して筒状部51の下面部を形成している。屈曲部54は、上流入口部52及び下流入口部53よりも下流であって、第1出口部56及び第2出口部57よりも上流に設けられている。屈曲部54は、第1出口部56よりも第2出口部57に近い位置に設けられている。屈曲部54における下流側の端部は、第2出口部57の下流側の端部よりも温風の流れにおける上流に位置している。さらに、屈曲部54における上流側の端部は、第2出口部57の上流側の端部よりも温風の流れにおける上流に位置している。屈曲部54は、断面が円弧状に湾曲した形状である。屈曲部54は、筒状部51の内側に向かって突出するように湾曲している。
屈曲部54は、筒状部51の内部を流れる温風の流れを部分的に曲げることで、温風の直線的な流れに変化を与えて流れを乱す部分である。屈曲部54の近傍を通過する温風において、屈曲部54の前後で温風の流れに局所的な圧力差が生じることとなる。このため、温風の流れの速度ベクトルにおいて、第2出口部57から吹き出す向きの成分が屈曲部54を設けない場合に比べて増加する。したがって、屈曲部54により温風の流れに変化を生じさせることで、第2出口部57から吹き出す温風の量を増やすことができる。ここで、屈曲部54の大きさや形状によって、第1出口部56から吹き出される温風の量と第2出口部57から吹き出される温風の量とを調整することができる。例えば、屈曲部54の大きさを大きくするなどして、屈曲部54が温風の流れに与える影響を大きくすることで、第1出口部56から吹き出される温風の割合を減らして、第2出口部57から吹き出される温風の割合を増やすことができる。
筒状部51の上面部には、屈曲部54に向かって延びるガイドリブが設けられている。このため、屈曲部54から離れた位置である上面部に沿って流れる温風は、ガイドリブによって屈曲部54に近づく方向にガイドされる。したがって、ガイドリブの形状や大きさによっても、屈曲部54が温風の流れに与える影響を調整可能である。
図5は、温風トンネル50とフェイス開口部31との位置関係を模式的に示す断面図である。温風トンネル50は、空調ケース2の左右方向における略中央に位置している。言い換えると、温風トンネル50は、サイドフェイス開口部31bよりもセンターフェイス開口部31aに近い位置に設けられている。温風トンネル50は、左右方向に並んで設けられている2つのセンターフェイス開口部31aから等しい距離に位置している。
温風トンネル50の中央には、温風トンネル50を貫通している板部材99が設けられている。板部材99におけるフェイス開口部31側の端部からフェイス開口部31までの距離は、温風トンネル50のフェイス開口部31側の端部からフェイス開口部31までの距離よりも短い。板部材99は、第2出口部57から吹き出された温風をセンターフェイス開口部31aに向けてガイドするガイド機能を提供している。第2出口部57は、筒状部51の上面部において、第1部材50aと第2部材50bとのそれぞれに同じ形状で設けられている。
温風トンネル50の第2出口部57から吹き出される温風を含むフェイス開口部31周辺における空調風の流れについて以下に説明する。フェイス開口部31には、様々な温度の空調風が吸い込まれることとなる。より詳細には、フェイス開口部31には、第1冷風通路15aを通過した冷風が吸い込まれる。また、フェイス開口部31には、第2冷風通路15bを通過した冷風と第1温風通路16aまたは第2温風通路16bを通過した温風とが混合された空調風が吸い込まれる。また、フェイス開口部31には、温風トンネル50を通過した温風の一部が吸い込まれる。ここで、温風トンネル50を通過してフェイス開口部31に吸い込まれる温風の流れは、図中に矢印F1で示される流れである。
温風トンネル50を流れる温風の一部は、第1出口部56に到達することなく、第2出口部57から吹き出される。第2出口部57から吹き出される温風の吹き出し方向は、第1冷風通路15aを通過した冷風の流れ方向に沿った方向である。このため、冷風と温風とが互いに略平行に流れる状態を維持してフェイス開口部31に向けて流れる。言い換えると、第2出口部57から吹き出された温風は、筒状部51の軸方向に交差する方向に流れる。第2出口部57から吹き出された温風は、サイドフェイス開口部31bよりも距離の近いセンターフェイス開口部31aに多く吸い込まれる。このため、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風は、サイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風よりも温風の割合が多くなりやすい。
第2出口部57の開口面積の大きさを変更することで、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風の温度を調整することができる。第2出口部57の開口面積を大きくすることで、第1出口部56から吹き出される温風の割合を減らして、第2出口部57から吹き出される温風の割合を増やすことができる。言い換えると、デフロスタ開口部21に向かう温風の割合を減らして、センターフェイス開口部31aに向かう温風の割合を増やすことができる。これにより、温風トンネル50によって得られるセンターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風の温度上昇効果を大きくしやすい。一方、第2出口部57の開口面積を小さくすることで、第1出口部56から吹き出される温風の割合を増やして、第2出口部57から吹き出される温風の割合を減らすことができる。言い換えると、デフロスタ開口部21に向かう温風の割合を増やして、センターフェイス開口部31aに向かう温風の割合を減らすことができる。これにより、温風トンネル50によって得られるセンターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風の温度上昇効果を小さくしやすい。
リアフェイス開口部131が開いている場合には、リアフェイス開口部131に一部の空調風が吸い込まれることとなる。このため、リアフェイス開口部131が閉じている場合に比べて、第2冷風通路15bを通過した冷風がセンターフェイス開口部31aに向けて流れにくい。一方、第2温風通路16bを通過した温風についても同様に、一部の温風がリアフェイス開口部131に吸い込まれるため、センターフェイス開口部31aに向けて流れにくい。ただし、リアフェイス開口部131は、第2温風通路16bよりも第2冷風通路15bに近い位置に配置されており、温風よりも冷風を多く吸い込みやすい。したがって、リアフェイス開口部131が開いている場合には、第2冷風通路15bからセンターフェイス開口部31aに向かう冷風の量が、第2冷風通路15bからサイドフェイス開口部31bに向かう冷風の量よりも少なくなりやすい。よって、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風の温度がサイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風の温度よりも高くなりやすい。
フット開口部41が開いている場合には、フット開口部41に一部の空調風が吸い込まれることとなる。このため、フット開口部41が閉じている場合に比べて、温風がサイドフェイス開口部31bに向けて流れにくい。したがって、フット開口部41が開いている場合には、サイドフェイス開口部31bに向かう温風の量が、センターフェイス開口部31aに向かう温風の量よりも少なくなりやすい。よって、サイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風の温度がセンターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風の温度よりも低くなりやすい。
上述のように、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風の温度とサイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風の温度とは、リアフェイス開口部131やフット開口部41などの吸い込み口に吸い込まれる空調風の量によって変化する。このため、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風とサイドフェイス吹き出し口から吹き出される空調風との間に温度差が生じることがある。この空調風の温度差を乗員が感じることで、車両用空調装置1の空調運転に対して違和感を覚えることがある。あるいは、車両用空調装置1が故障していると誤解する可能性がある。
また、空調ケース2の内部の形状によっても、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風とサイドフェイス吹き出し口から吹き出される空調風との間に温度差が生じることがある。例えば、冷風がセンターフェイス吹き出し口に向かいやすいようにガイドリブが設けられている場合には、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風は、サイドフェイス吹き出し口から吹き出される空調風よりも温度が低くなりやすい。
また、蒸発器6やヒータコア7などの温度が左右方向において均一でない場合も、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風とサイドフェイス吹き出し口から吹き出される空調風との間に温度差が生じる原因となる。
温風トンネル50に設けた第2出口部57によって、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風とリアフェイス吹き出し口から吹き出される空調風との間の温度差を解消することができる。すなわち、センターフェイス開口部31aで吸い込む空調風の温度が、サイドフェイス開口部31bで吸い込む空調風の温度よりも低くなりやすい場合には、第2出口部57から多くの温風を吹き出させる。これにより、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風の温度を高めて、サイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風との温度差を解消する。フェイスモードやバイレベル(B/L)モードなどのフェイス吹き出し口から空調風を吹き出すモードにおいて、空調風の吹き出し温度の温度差を解消できる。
上述した実施形態によると、温風トンネル50は、センターフェイス開口部31aまたはサイドフェイス開口部31bに向けて温風を吹き出す第2出口部57を備えている。このため、フェイス開口部31の配設位置によらず吸い込まれる空調風の温度を均一にしやすい。言い換えると、フェイス吹き出し口から吹き出される空調風の温度をフェイス吹き出し口の位置によらず略均一にすることができる。したがって、吹き出し位置による空調風の温度差が原因で乗員が空調運転に違和感を覚えてしまうといった事態を抑制しやすい。よって、車両用空調装置1による空調運転の快適性を高めやすい。特に、車両用空調装置1の空調ケース2は、車種によって様々な形状のものが存在し、内部構成も異なることが多い。このため、空調ケース2の形状変更ではなく、空調ケース2とは別部品の温風トンネル50の形状変更によって、温度差を緩和することは非常に有用である。
温風トンネル50は、センターフェイス開口部31aに向けて温風を吹き出す第2出口部57を備えている。このため、センターフェイス開口部31aから吸い込まれる空調風の温度を高めてサイドフェイス開口部31bから吸い込まれる空調風の温度と同等の温度に調整しやすい。したがって、吹き出し位置による空調風の温度差が原因で乗員が空調運転に違和感を覚えてしまうといった事態を抑制しやすい。
温風トンネル50は、第1出口部56と第2出口部57とを備えている。このため、温風をデフロスタ開口部21に向けて吹き出す機能と、温風をセンターフェイス開口部31aに向けて吹き出す機能との2つの機能を1つの部品で提供できる。したがって、温風をデフロスタ開口部21に向けて吹き出すための部品と、温風をセンターフェイス開口部31aに向けて吹き出すための部品とを別々の部品で備える場合に比べて、温風トンネル50を小型かつ軽量にしやすい。
第1出口部56は、筒状部51の軸方向に沿う方向に温風を吹き出し、第2出口部57は、筒状部51の軸方向に交差する方向に温風を吹き出している。ここで、筒状部51を流れている温風は、筒状部51の軸方向に沿う流れを維持しやすい。このため、温風は、筒状部51の軸方向とは異なる方向に吹き出される第2出口部57よりも、筒状部51の軸方向に沿う方向に吹き出される第1出口部56から吹き出されやすい。したがって、温風トンネル50は、フェイス開口部31よりもデフロスタ開口部21に温風を供給しやすい。よって、デフロスタ吹き出し口から吹き出される空調風の温度を高めて、フロントウィンドウの曇りをスムーズに解消しやすい。また、第1出口部56と第2出口部57との両方を筒状部51の軸方向に交差する方向に温風を吹き出す構成とする場合に比べて、温風トンネル50からの温風吹き出しをスムーズに行いやすい。
第2出口部57は、下流入口部53と第1出口部56との間に設けられている。言い換えると、第2出口部57は、第1出口部56よりも温風トンネル50の内部を流れる温風の流れにおける上流に位置している。このため、温風が第1出口部56に向かって流れる過程で、一部の温風が第2出口部57の近傍を通過することとなる。したがって、第2出口部57から吹き出される温風の量を適切に確保しやすい。
上流入口部52から吸い込まれた温風と下流入口部53から吸い込まれた温風とを合流させる合流部60を備えている。このため、合流部60において2つの温風の流れが混合されることで、流れが乱れた状態で合流部60から先に流れやすい。したがって、温風トンネル50の内部に合流部60を備えずに温風を流す場合に比べて、第2出口部57から吹き出される温風の量を多く確保しやすい。また、合流部60から第2出口部57までの距離を調整することで、第2出口部57の近傍を通過する温風の流れにおける乱れの影響を調整できる。言い換えると、合流部60から第2出口部57までの距離を短くするほど、温風が大きく乱れた状態で第2出口部57の近傍まで流れることとなる。したがって、第2出口部57からの温風の吹き出し量を調整しやすい。
筒状部51は、上流入口部52及び下流入口部53と第2出口部57との間に屈曲部54を備えている。このため、屈曲部54の作用により、屈曲部54の周囲を流れる温風の流れに乱れを生じさせて、第2出口部57から吹き出す温風の割合を屈曲部54が形成されていない場合に比べて増やすことができる。また、屈曲部54の形状や屈曲部54と第2出口部57との距離などを調整することで、第1出口部56から吹き出される温風の割合と第1出口部56から吹き出される温風の割合とを調整可能である。したがって、第2出口部57からの温風の吹き出し量を適切に調整しやすい。
第2出口部57の開口面積は、第1出口部56の開口面積よりも大きい。このため、第2出口部57から吹き出される温風を確保しやすい。ここで、第2出口部57は、筒状部51の軸方向に交差する方向に沿って温風を吹き出す必要がある。言い換えると、第2出口部57は、第1出口部56に比べて温風が吹き出されにくい。したがって、第1出口部56の開口面積よりも第2出口部57の開口面積を大きくすることは、第2出口部57からの温風吹き出し量を適切に確保するために非常に有用である。
第1出口部56と第2出口部57とは、互いに連続する1つの開口である。このため、温風トンネル50に第1出口部56と第2出口部57とを隔てる部分が存在しない。したがって、第1出口部56や第2出口部57から温風が勢いよく吹き出しても、温風トンネル50の第1出口部56の周辺部分や第2出口部57の周辺部分において、破損や変形が引き起こされにくい。よって、温風トンネル50による温風の吹き出しが適切に行われやすい。また、複数の開口を設ける場合に比べて、加工しやすい。このため、温風トンネル50の製造性を高めやすい。また、第1出口部56と第2出口部57とを別々の開口とする場合に比べて、開口の大きさを大きく確保しやすい。このため、第1出口部56や第2出口部57から温風が吹き出される際の圧力損失を小さくしやすい。さらに、第2出口部57から温風が吹き出される際に生じる音を低減しやすい。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、温風トンネル50に設けられている第2出口部257が第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとによって構成されている。
図6において、温風トンネル50は、第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとを備えている。第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとは、筒状部51の長手方向に沿って上面部に並んで設けられている。第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとは、ともにセンターフェイス開口部31aに向けて温風を吹き出すための開口である。第2上流出口部257aは、第2下流出口部257bよりも上流入口部52及び下流入口部53に近い位置に設けられている。第2下流出口部257bは、第2上流出口部257a及び第1出口部56よりも上流入口部52及び下流入口部53から遠い位置に設けられている。第2下流出口部257bは、第1出口部56から吹き出した温風の一部をセンターフェイス開口部31aに向けて吹き出すための開口である。
第2上流出口部257aの開口面積は、第1出口部56の開口面積よりも小さい。第2下流出口部257bの開口面積は、第1出口部56の開口面積よりも小さい。第2上流出口部257aの開口面積と第2下流出口部257bの開口面積の合計である第2出口部257の開口面積は、第1出口部56の開口面積よりも大きい。
第2上流出口部257aと第1出口部56とは、互いに離間した開口である。第2下流出口部257bと第1出口部56とは、互いに離間した開口である。第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとは、互いに離間した開口である。言い換えると、第1出口部56と第2出口部257とは、それぞれの開口が互いに連続しておらず、互いに独立して設けられている。
温風トンネル50は、外枠部61と連続して一体に形成されている補強部262を備えている。補強部262は、筒状部51が大きく変形することを抑制している。補強部262は、第1出口部56や第2出口部257が適切な位置からずれてしまうことを抑制している。
上述した実施形態によると、第1出口部56と第2出口部257とは、互いに離間した開口である。このため、第1出口部56から吹き出された温風と第2出口部257から吹き出された温風とが互いに影響しにくい。したがって、第1出口部56から吹き出された温風をデフロスタ開口部21に導きやすい。また、第2出口部257から吹き出された温風をフェイス開口部31に導きやすい。よって、温風トンネル50からの温風の吹き出し方向や吹き出し量を安定させやすい。
第2出口部257は、第2上流出口部257aと第2下流出口部257bとを備えている。言い換えると、第2出口部257は、互いに離間した複数の開口を備えている。このため、フェイス開口部31に向かう温風の温風トンネル50からの吹き出し位置を細かく調整することができる。したがって、空調ケース2の形状やフェイスドア32の位置に応じて、フェイス開口部31に向けて吹き出させる温風の量を調整しやすい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、第2出口部357がサイドフェイス開口部31bに向けて温風を吹き出すように構成されている。
図7において、温風トンネル50は、第2出口部357を備えている。第2出口部357は、第1冷風通路15aからフェイス開口部31までの空調風の流れる経路上に設けられている。したがって、第2出口部357から吹き出された温風は、第1冷風通路15aを流れる冷風と混合されやすい。特に、第2出口部357は、空調ケース2における第1冷風通路15aをなす部分の上端面と下端面との略中間に位置している。このため、第1冷風通路15aを流れる冷風に対して、温風を均一に作用させやすい。
図8において、第2出口部357は、サイドフェイス開口部31bに向けて温風を吹き出すための開口である。第2出口部357は、矩形状の開口である。第2出口部357は、側面部55に設けられている。第2出口部357は、温風トンネル50内部を流れる温風の流れにおいて、第1出口部56よりも上流に設けられている。したがって、第2出口部57から温風を勢いよく吹き出しやすい。
温風トンネル50は、第1出口部56と第2出口部357との間に壁部358を備えている。壁部358は、第1出口部56と第2出口部357とを離間させる部分である。壁部358は、第2出口部357から吹き出されなかった温風を第1出口部56に向けてガイドする機能を備えている。
図9は、温風トンネル50とフェイス開口部31との位置関係を模式的に示す断面図である。第2出口部357は、筒状部51の側面部55をなす第1側面部55aと第2側面部55bとのそれぞれに設けられている。
温風トンネル50の第2出口部357から吹き出される温風を含むフェイス開口部31周辺における空調風の流れについて以下に説明する。フェイス開口部31には、冷風と温風とが混ぜ合わされた混合風や第1冷風通路15aを通過した冷風が吸い込まれる。さらに、フェイス開口部31には、第2出口部357から吹き出された温風が吸い込まれる。ここで、温風トンネル50を通過してフェイス開口部31に吸い込まれる温風の流れは、図中に矢印F2で示される流れである。
第2出口部357から吹き出される温風の吹き出し方向は、第1冷風通路15aを通過した冷風の流れ方向に直交する方向である。このため、冷風と温風とが互いにぶつかり合った後にフェイス開口部31に向けて流れる。言い換えると、第2出口部357から吹き出された温風は、温風トンネル50から左右方向に離れるように流れるとともに、フェイス開口部31に近づくように流れる。第2出口部57から吹き出された温風は、センターフェイス開口部31aよりもサイドフェイス開口部31bに多く吸い込まれる。このため、サイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風は、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風よりも温風の割合が多くなりやすい。
温風トンネル50に設けた第2出口部357によって、センターフェイス吹き出し口から吹き出される空調風とリアフェイス吹き出し口から吹き出される空調風との間の温度差を解消することができる。すなわち、サイドフェイス開口部31bで吸い込む空調風の温度が、センターフェイス開口部31aで吸い込む空調風の温度よりも低くなりやすい場合には、第2出口部357から多くの温風を吹き出させる。これにより、サイドフェイス開口部31bに吸い込まれる空調風の温度を高めて、センターフェイス開口部31aに吸い込まれる空調風との温度差を解消する。
上述した実施形態によると、温風トンネル50は、サイドフェイス開口部31bに向けて温風を吹き出す第2出口部357を備えている。このため、サイドフェイス開口部31bから吸い込まれる空調風の温度を高めてセンターフェイス開口部31aから吸い込まれる空調風の温度と同等の温度に調整しやすい。したがって、センターフェイス吹き出し口の吹き出し温度とサイドフェイス吹き出し口の吹き出し温度との温度差が原因で、乗員が空調運転に違和感を覚えてしまうといった事態を抑制しやすい。
温風トンネル50は、第1出口部56と第2出口部57との間に壁部358を備えている。言い換えると、第1出口部56と第2出口部57とは、壁部358によって離間された互いに独立した開口である。したがって、第1出口部56から吹き出される温風と第2出口部57から吹き出される温風とが混ざりあって、意図しない方向に温風が流れてしまうことを抑制しやすい。よって、デフロスタ開口部21とサイドフェイス開口部31bとに適切な量の温風を向かわせやすい。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、第2出口部57からスムーズに温風を吹き出すための温風ガイド部459が温風トンネル50の内側に設けられている。
図10において、温風トンネル50は、第1出口部56と第2出口部57との間に温風ガイド部459を備えている。温風ガイド部459は、筒状部51の長手方向における端部を含む位置に設けられている。温風ガイド部459は、平板状の部材である。温風ガイド部459は、筒状部51の内側から板部材99に向けて突出している。言い換えると、温風ガイド部459は、筒状部51の軸方向に交差する方向に突出している。このため、温風ガイド部459は、筒状部51の軸方向に沿って第1出口部56に向かう温風の一部を強制的に第2出口部57に向かわせることとなる。筒状部51を流れる温風のうち、温風ガイド部459と接触した温風は、温風ガイド部459によってガイドされて流れる向きが変更される。これにより、一部の温風の流れる向きが第1出口部56に向かう向きから第2出口部57に向かう向きに変更される。
温風ガイド部459は、筒状部51の下面部とは連続していない。言い換えると、温風ガイド部459の下端部と筒状部51の下面部との間には、温風が通過可能な空間が形成されている。このため、温風の一部は、温風ガイド部459によってガイドされることなく第1出口部56から吹き出される。したがって、温風ガイド部459の下端部と筒状部51の下面部との間の空間の大きさを調整することで、第1出口部56から吹き出される温風と第2出口部57から吹き出される温風との割合を調整することができる。すなわち、第2出口部57から吹き出される温風の量を多く確保したい場合には、温風ガイド部459の下端部と筒状部51の下面部との間の空間の大きさを小さくする。これにより第1出口部56から吹き出される温風の量を減らして、第2出口部57から吹き出される温風の量を増やすことができる。
上述した実施形態によると、温風トンネル50は、第2出口部57に向けて温風をガイドする温風ガイド部459を備えている。このため、第1出口部56から吹き出される温風と第2出口部57から吹き出される温風との割合を調整可能である。したがって、必要な箇所に必要な量の温風を供給して、空調風に意図しない温度差が生じることを抑制しやすい。また、温風ガイド部459により温風を適切な吹き出し方向にガイドすることができる。このため、第2出口部57から吹き出された温風が、フェイス開口部31に適切に吸い込まれないといった事態を抑制しやすい。
他の実施形態
温風トンネル50は、センターフェイス開口部31aに向けて温風を吹き出す第2出口部57、257と、サイドフェイス開口部31bに向けて温風を吹き出す第2出口部357とを両方備えてもよい。これによると、第2出口部57、257、357の大きさや位置を適宜調整することで、フェイス開口部31に吹き出される温風の量や向きを適切に調整することができる。言い換えると、第2出口部57、257、357を調整することでセンターフェイス吹き出し口の吹き出し温度とサイドフェイス吹き出し口の吹き出し温度との温度差を解消できる。したがって、空調ケース2の形状を変えることなく、フェイス吹き出し口の吹き出し位置の違いによって生じる空調風の温度差を低減することができる。空調ケース2は、温風トンネル50に比べて大型の部品である。このため、空調ケース2の形状変更ではなく温風トンネル50の形状変更によって温度差を解消することは、車両用空調装置1の製造性を高める上で、非常に有用である。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。