JP7331013B2 - コア、ステータ、及び回転電機 - Google Patents
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Description
本出願は、2018年12月18日付の日本国出願の特願2018-236767に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
アキシャルギャップ型の回転電機に用いられるコアであって、
円環板状のヨークと、
前記ヨークの周方向に間隔をあけて配置される柱状の複数のティースとを備え、
前記ヨークは、
外周面と、
内周面と、
前記外周面と前記内周面とをつなぐ平面状の第一面と、
前記第一面につながる複数の凹部とを有し、
前記複数のティースの各々は、前記第一面に対して前記ヨークの軸方向に突出する外周面を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記複数のティースの各々における前記外周面の周方向の少なくとも一部につながり、
前記第一面の外周縁及び前記第一面の内周縁の少なくとも一方と前記複数のティースの各々における前記外周面との間の最短距離の全てが4mm以下であり、
前記ヨークと前記複数のティースとは一体成形された圧粉成形体で構成されている。
アキシャルギャップ型の回転電機のステータであって、
本開示に係るコアと、
前記コアにおける前記複数のティースの各々に配置されるコイルとを備える。
ロータとステータとを備え、前記ロータと前記ステータとが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型の回転電機であって、
前記ステータが本開示に係るステータである。
ヨークの大きさに対するティースの大きさの割合が大きくて高密度なコアが望まれている。しかし、そのようなコアの最適な形状、及び製造方法は十分に検討されていなかった。
本開示に係るコアは、高密度であり、かつヨークの大きさに対するティースの大きさの割合が大きくて、生産性に優れる。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
アキシャルギャップ型の回転電機に用いられるコアであって、
円環板状のヨークと、
前記ヨークの周方向に間隔をあけて配置される柱状の複数のティースとを備え、
前記ヨークは、
外周面と、
内周面と、
前記外周面と前記内周面とをつなぐ平面状の第一面と、
前記第一面につながる複数の凹部とを有し、
前記複数のティースの各々は、前記第一面に対して前記ヨークの軸方向に突出する外周面を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記複数のティースの各々における前記外周面の周方向の少なくとも一部につながり、
前記第一面の外周縁及び前記第一面の内周縁の少なくとも一方と前記複数のティースの各々における前記外周面との間の最短距離の全てが4mm以下であり、
前記ヨークと前記複数のティースとは一体成形された圧粉成形体で構成されている。
前記複数のティースの各々における前記外周面は、
前記ヨークの周方向の一方に隣り合う前記ティースの前記外周面に臨む第一領域と、
前記ヨークの周方向の他方に隣り合う前記ティースの前記外周面に臨む第二領域と、を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記第一領域につながる部分と前記第二領域につながる部分とを有することが挙げられる。
前記複数の凹部の各々は、前記複数のティースの各々における前記外周面の周方向の全周につながることが挙げられる。
前記複数の凹部の各々は、前記第一面から前記複数のティースの各々における前記外周面に近づくにしたがって深くなる傾斜面を有することが挙げられる。
前記ヨークは、前記ティースよりも前記ヨークの前記外周面側及び前記内周面側の少なくとも一方に設けられる切欠部を有し、
前記切欠部は、前記ヨークの前記外周面及び前記内周面の少なくとも一方に開口することが挙げられる。
前記切欠部は、前記ヨークの前記外周面及び前記内周面の少なくとも一方のうち、隣り合う前記ティース同士の間に対応する箇所に開口することが挙げられる。
前記切欠部における前記ヨークの周方向に沿った長さは、1.0mm以上10mm以下であることが挙げられる。
前記切欠部における前記ヨークの径方向に沿った長さは、0.5mm以上5mm以下であることが挙げられる。
前記圧粉成形体の相対密度が90%以上であることが挙げられる。
前記圧粉成形体は、軟磁性粉末で構成され、
前記軟磁性粉末は、純鉄、Fe-Si系合金、及びFe-Al系合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなる複数の鉄系粒子を有することが挙げられる。
アキシャルギャップ型の回転電機のステータであって、
上記(1)から上記(10)のいずれか1つのコアと、
前記コアにおける前記複数のティースの各々に配置されるコイルとを備える。
ロータとステータとを備え、前記ロータと前記ステータとが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型の回転電機であって、
前記ステータが上記(11)に記載のステータである。
本開示の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
〔コア〕
主に図1から図5を参照して、実施形態1に係るコア1を説明する。実施形態1に係るコア1は、後述するアキシャルギャップ型の回転電機9(図12)に用いられる。このコア1は、円環板状のヨーク3と柱状の複数のティース2とを備える(図1)。ヨーク3は、平面状の第一面31を有する。第一面31は、ヨーク3の外周面30oと内周面30iとをつなぐ。複数のティース2は、ヨーク3の第一面31にヨーク3の周方向に間隔を空けて設けられている。複数のティース2は、ヨーク3の第一面31に対してヨーク3の軸方向に突出する外周面21を有する。ヨーク3と複数のティース2とは一体成形された圧粉成形体で構成されている。実施形態1に係るコア1の特徴の一つは、以下の要件(1)及び要件(2)を満たすことにある。
(1)ヨーク3が複数の凹部34を有する。複数の凹部34の各々は、複数のティース2の各々における外周面21の少なくとも一部につながる。
(2)第一面31の外周縁333と複数のティース2の各々における外周面21との間の最短距離L1(図2)の全てと、第一面31の内周縁334と複数のティース2の各々における外周面21との間の最短距離L2(図2)の全ての少なくとも一方が特定の長さである。
以下、各構成を詳細に説明する。以下の説明では、コア1におけるヨーク3側を下側とし、ティース2側を上側とする。
ヨーク3は、外周面30oと内周面30iと平面状の第一面31と平面状の第二面32とを有する(図1)。第一面31は、ヨーク3の上面となる。第二面32は、ヨーク3の下面となる。ヨーク3は、ヨーク3の周方向に並ぶティース2のうち、隣り合うティース2同士を磁気的に結合する。ヨーク3は、その中央部に上下面を貫通する軸孔39を備える。
各凹部34は、各ティース2の外周面21の周方向の少なくとも一部につながるように設けられている。即ち、各凹部34は、第一面31と各ティース2の外周面21とをつなぐ。各凹部34は、後述する金型5(図6)の各第一下パンチ55の凸部554により形成される。凸部554は、各第一下パンチ55において、第二孔552の内周面の周方向の少なくとも一部につながるように設けられる。各第一下パンチ55が凸部554を備えることで、各第一下パンチ55の破損を抑制できる。その理由は、次の通りである。各第一下パンチ55がコア1の原料粉末を圧縮する際、凸部554が原料粉末に進入することによるアンカー効果により第一下パンチ55の変形が抑制される。そのため、第二孔552の内周角部に発生する応力が低減される。即ち、ヨーク3が凹部34を備えるということは、金型5の破損が低減されているため、コア1の生産性に優れる。
ヨーク3の厚みTyは、例えば、1.0mm以上10mm以下が挙げられ、更に1.5mm以上7.0mm以下が挙げられる(図5)。ヨーク3の厚みTyは、第一面31と第二面32との間のヨーク3の軸方向に沿った長さをいう。ヨーク3の内径は、例えば、5mm以上150mm以下が挙げられる。ヨーク3の外径は、例えば、30mm以上300mm以下が挙げられる。本例では、ヨーク3の厚みTyは、3.5mmである。ヨーク3の径方向に沿った長さWy、即ち内外径差は、20mmである。
各ティース2は、ヨーク3の第一面31に対してヨーク3の軸方向に突出する(図1から図3,図5)。即ち、各ティース2は、コア1において、第一面31の同一平面よりも上方の部分である。各ティース2は、コア1とコイル80とで後述するステータ8(図11)を構築する際、コイル80が設けられる。
ヨーク3の第一面31の外周縁333と各ティース2の外周面21との間の最短距離L1の全てと、ヨーク3の第一面31の内周縁334と各ティース2の外周面21との間の最短距離L2の全ての少なくとも一方の長さは、4mm以下とすることが挙げられる(図2)。ヨーク3の第一面31の外周縁333と各ティース2の外周面21との間の最短距離L1は、単に外周側の最短距離L1ということがある。ヨーク3の第一面31の内周縁334と各ティース2の外周面21との間の最短距離L2は、単に内周側の最短距離L2ということがある。上記外周側の最短距離L1と上記内周側の最短距離L2とは、ヨーク3を軸方向から平面視した場合の距離をいう。勿論、上記外周側の最短距離L1の全てと上記内周側の最短距離L2の全てとが、上記範囲を満たしてもよい。上記外周側の最短距離L1の全て、及び上記内周側の最短距離L2の全ての少なくとも一方の長さが4mm以下のとき、凹部34を備えることで金型5の第一下パンチ55の破損を効果的に抑制できる。上記外周側の最短距離L1の全て及び上記内周側の最短距離L2の全ての少なくとも一方の長さは、1mm以上が好ましく、更には1.5mm以上3.5mm以下が好ましい。上記外周側の最短距離L1の全ての長さと、上記内周側の最短距離L2の全ての長さとは、本例では互いに同一である。なお、上記外周側の最短距離L1の全ての長さと上記内周側の最短距離L2の全ての長さとは、互い異なっていても良い。本例において、上記外周側の最短距離L1の位置は、ヨーク3の第一面31の外周縁333とティース2の外周面21の外周領域213の周方向に沿って互いに対向する領域である。上記内周側の最短距離L2の位置は、各ティース2の周方向を径方向に沿った線分で二等分する箇所である。上記外周側の最短距離L1の全ての長さと上記内周側の最短距離L2の全ての長さとは、本例では3mmである。
圧粉成形体は、軟磁性粉末を圧縮成形したものである。圧粉成形体は、主として軟磁性粉末で構成されている。軟磁性粉末は、純鉄又は鉄基合金からなる複数の鉄系粒子を有する。純鉄は、純度99質量%以上である。鉄基合金は、Fe-Si(ケイ素)系合金、Fe-Al(アルミニウム)系合金、Fe-Si-Al系合金、及びFe-Ni(ニッケル)系合金からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。Fe-Si系合金としては、例えば、ケイ素鋼が挙げられる。Fe-Si-Al系合金としては、例えば、センダストが挙げられる。Fe-Ni系合金としては、例えば、パーマロイが挙げられる。上記材質は比較的軟質であるため、圧粉成形体の成形時に軟磁性粒子が変形し易い。そのため、コア1が高密度で寸法精度に優れる。軟磁性粉末は、上記鉄系粒子の表面に絶縁被覆を有することが好ましい。上記鉄系粒子の表面に絶縁被覆が設けられていれば、絶縁被覆により粒子間の電気的絶縁を確保し易い。そのため、渦電流損に起因する圧粉成形体の鉄損が低減される。絶縁被覆としては、例えば、リン酸塩被覆やシリカ被覆などが挙げられる。
圧粉成形体の相対密度は90%以上が好ましい。その理由は、飽和磁束密度等の磁気特性、強度等の機械的特性に優れるからである。相対密度は更に93%以上が好ましい。「圧粉成形体の相対密度」は、圧粉成形体の真密度に対する実際の圧粉成形体の密度の比率(%)をいう。即ち、圧粉成形体の相対密度は、[(実際の圧粉成形体の密度/圧粉成形体の真密度)×100]によって求める。実際の圧粉成形体の密度は、圧粉成形体を油中に浸漬して圧粉成形体に油を含浸させ、[含油密度×(含油前の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の質量)]によって求めることができる。含油密度は、(含油後の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の体積)である。即ち、実際の圧粉成形体の密度は、(含油前の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の体積)で求めることができる。含油後の圧粉成形体の体積は、代表的には液体置換法によって測定することができる。圧粉成形体の真密度とは、内部に空隙が含まれていないとしたときの理論密度のことである。圧粉成形体の真密度は、使用した軟磁性粉末の真密度から求めることもできる。
実施形態1に係るコア1は、充填工程と成形工程とを備えるコアの製造方法(I)により製造できる。充填工程は、原料粉末を金型5のキャビティに充填する(図6)。成形工程は、キャビティ内の原料粉末を圧縮成形する。まず、図6を参照して金型5を説明し、その後、各工程を説明する。
金型5は、ダイ51とコアロッド52と上パンチ53と下パンチ54とを備える。原料粉末を充填するキャビティは、ダイ51とコアロッド52と下パンチ54とで構成される。
ダイ51は、型孔511を有する。型孔511は、ヨーク3の外周面30oを形成する内周面を有する。型孔511の内周形状は、ヨーク3の外周面30oの形状に対応した形状であり、本例では円形状である。
コアロッド52は、ヨーク3の内周面30iを形成する外周面521を有する。コアロッド52の形状は、ヨーク3の内周面30iの形状に対応した形状であり、本例では円柱状である。コアロッド52は、ダイ51の型孔511の内部に配置される。
上パンチ53は、ヨーク3の第二面32を形成する下端面531を有する。上パンチ53の形状は、円筒状である。上パンチ53の中央には、コアロッド52が挿通される挿通孔532が設けられている。挿通孔532の内周形状は、コアロッド52の形状に対応した形状であり、本例では円形状である。上パンチ53の下端面531は平面で構成されている。上パンチ53の下端面531の形状は、ヨーク3の第二面32の形状に応じて適宜選択でき、本例では円環状である。上パンチ53は、ダイ51の型孔511とコアロッド52との間に嵌合される。
下パンチ54は、第一下パンチ55と第二下パンチ56とを有する。下パンチ54は、ダイ51の型孔511とコアロッド52との間に嵌合される。第一下パンチ55及び第二下パンチ56はそれぞれ、ダイ51及びコアロッド52に対して上下方向に独立して駆動可能である。
第一下パンチ55は、ヨーク3の第一面31及び凹部34とティース2の周面とを形成する。第一下パンチ55の形状は、円筒状である。第一下パンチ55は、第一孔551と複数の第二孔552と上端面553とを有する。
第一孔551は、コアロッド52が挿通される内周面を有する。第一孔551は、第一下パンチ55の中央に第一下パンチ55の上下方向に貫通するように設けられている。第一孔551の内周形状は、コアロッド52の外周形状に対応した形状であり、本例では円形状である。
第二孔552は、ティース2の外周面21を形成する内周面を有する。第二孔552は、第一下パンチ55における第一孔551の外周に第一下パンチ55の上下方向に貫通するように設けられている。第二孔552の数は、ティース2の数に対応した数であり、本例では12個である。複数の第二孔552は、第一下パンチ55の周方向に等間隔に設けられている。第二孔552には、第二下パンチ56が挿通される。
上端面553は、ヨーク3の第一面31及び凹部34を形成する。上端面553の形状は、円環状である。上端面553の外周縁と第二孔552の内周面との間の最短距離が、上述した外周側の最短距離L1に対応し、上端面553の内周縁と第二孔552の内周面との間の最短距離が上述した内周側の最短距離L2に対応する。上端面553の外周縁と第二孔552の内周面との間の最短距離と、上端面553の内周縁と第二孔552の内周面との間の最短距離は、1mm以上4mm以下である。上記両最短距離は、図6の紙面左右方向の長さである。本例では、上記両最短距離が3mmである。
第二下パンチ56は、ティース2の上面を形成する上端面561を有する。第二下パンチ56の形状は、第二孔552の内周形状に対応した形状であり、本例では台形柱状である。第二下パンチ56の上端面561は平面で構成されている。上端面561の形状は、ティース2の端面形状に応じて適宜選択でき、本例では台形状である。第二下パンチ56の数は、第二孔552と同数であり、本例では12本である。
この工程では、ダイ51とコアロッド52と下パンチ54とで形成されるキャビティ内に原料粉末が充填される。原料粉末には、上述した軟磁性粉末が利用できる。原料粉末は、軟磁性粉末に加えて、バインダや潤滑剤を含んでもよい。金型5に潤滑剤が塗布されていてもよい。原料粉末に利用する軟磁性材料の粉末の平均粒径は、例えば、20μm以上350μm以下が挙げられる。上記粉末の平均粒径が上記の範囲であれば、上記粉末を取り扱い易い上に、圧縮成形し易い。上記粉末の平均粒径は、40μm以上300μm以下であってもよく、更に250μm以下であってもよい。上記粉末の平均粒径とは、レーザ回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置を用いて測定し、積算質量が全粒子の質量の50%となる粒径とする。
この工程では、キャビティ内の原料粉末が上パンチ53及び下パンチ54で圧縮成形される。圧縮成形時の圧力が高いほど、緻密化し易く、相対密度の高いコア1が製造される。上記圧力は、例えば、700MPa以上が挙げられ、更に980MPa以上が挙げられる。
成形工程後、必要に応じて熱処理を施してもよい。例えば、熱処理によって、歪みを除去することで、低損失なコア1が製造される。又は、例えば、熱処理によって、バインダや潤滑剤を除去してもよい。原料粉末が上述の被覆粒子を含む場合、熱処理温度は、絶縁被覆の分解温度以下が好ましい。
実施形態1に係るコア1は、ヨーク3の大きさに対するティース2の大きさの割合が大きい。その上、コア1は、成形圧力を高めても第一下パンチ55の損傷を抑制できるため、高密度であり、生産性に優れる。
〔コア〕
図7、図8を参照して、実施形態2に係るコア1を説明する。実施形態2に係るコア1は、ヨーク3が切欠部35を有する点が、実施形態1に係るコア1と相違する。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行う。実施形態1と同様の構成の説明は省略する。
(切欠部)
切欠部35は、後述する回転電機9(図12)のケース92に対してコア1を位置決めしたり、後述するステータ8のコイル80を構成する巻線の端部を引っ掛けたりするための凹部である。切欠部35は、各ティース2よりもヨーク3の外周面30o側及び内周面30i側の少なくとも一方に設けられる。切欠部35は、ヨーク3の外周面30o及び内周面の少なくとも一方に開口する。切欠部35は、ヨーク3の厚み方向の全域を切り欠いて構成している。
ヨーク3の第一面31の外周縁333と各ティース2の外周面21との間の最短距離L1、即ち外周側の最短距離L1の位置は、切欠部35の角部と各ティース2の外周面21の角部との間である(図8)。各ティース2の外周面21の角部は、外周領域213と第一領域211との接続箇所と、外周領域213と第二領域212との接続箇所である。上記外周側の最短距離L1の長さは、2.7mm程度である。なお、ティース2の周方向を径方向に沿った線分で二等分する箇所におけるヨーク3の第一面31の外周縁333と各ティース2の外周面21との間の長さは、実施形態1のコア1と同様、3mmである。ヨーク3の第一面31の内周縁334と各ティース2の外周面21との間の最短距離L2、即ち内周側の最短距離L2の位置とその長さは、実施形態1のコア1における内周側の最短距離L2と同様である。即ち、上記内周側の最短距離L2の位置は、ティース2の周方向を径方向に沿った線分で二等分する箇所である。上記内周側の最短距離L2の長さは、3mmである。
実施形態2に係るコア1は、上述したコアの製造方法(I)と同じ工程を備えるコアの製造方法(II)により製造できる。コアの製造方法(II)では、使用する金型5が、コアの製造方法(I)で使用する金型5(図6)と相違する。具体的には、コアの製造方法(II)の金型5におけるダイ51と上パンチ53と第一下パンチ55とが、コアの製造方法(I)の金型5と相違する。図9、図10を参照して、コアの製造方法(II)で使用する金型5を説明する。以下の説明は、コアの製造方法(I)の金型5との相違点を中心に行う。図9は、原料粉末が充填される前のキャビティを上パンチ側から見た状態を示す。図9は、説明の便宜上、ダイ51とコアロッド52にハッチングを付している。
(ダイ)
ダイ51の内周面は、ダイ51の径方向の内周側に突出する凸部512を有する(図9)。凸部512は、ヨーク3の切欠部35を形成する。各凸部512の数、形状、大きさ、及び形成箇所は、切欠部35の数、形状、大きさ、及び形成箇所に応じて適宜選択できる。凸部512の数は、本例では12個である。凸部512の形状は、本例では台形状である。凸部512の形成箇所は、第一下パンチ55の外周面において、隣り合う第二孔552同士の間に対応する箇所の各々である。
上パンチ53の外周面は、図示は省略しているものの、ダイ51の凸部512が嵌合する凹部を有する。凹部の数、形状、大きさ、及び形成箇所は、凸部512に対応する。
〈第一下パンチ〉
第一下パンチ55の外周面は、上パンチ53と同様、ダイ51の凸部512が嵌合する凹部555を有する(図9,図10)。凹部555の数、形状、大きさ、及び形成箇所は、凸部512に対応する。
実施形態2に係るコア1は、実施形態1に係るコア1と同様、高密度であり、かつヨーク3の大きさに対するティース2の大きさの割合が大きくて、生産性に優れる。その上、ヨーク3が切欠部35を備えることで、後述する回転電機9のケース92内でのコア1の位置決めに利用できるため、回転電機9を構築し易い。
〔ステータ〕
図11を参照して、実施形態3に係るステータ8を説明する。実施形態3に係るステータ8は、コア1とコイル80とを備える。コア1は、実施形態1に係るコア1又は実施形態2に係るコア1が利用できる。コイル80は、コア1に備わる複数のティース2の各々に配置される。このステータ8は、アキシャルギャップ型の回転電機9に用いられる。図11では、ステータ8が、図7,図8に示す実施形態2に係るコア1を備える場合を例示する。勿論、ステータ8は、図1から図5に示すコア1を備えていてもよい。
実施形態3に係るステータ8は、高密度で生産性に優れる実施形態2のコア1を備えるため、磁気特性及び生産性に優れるアキシャルギャップ型の回転電機9を構築できる。
〔回転電機〕
図12を参照して、実施形態4に係る回転電機9を説明する。図12は、回転電機9の回転軸91に平行な平面であり、かつコア1の切欠部35を通る平面で切断した断面図である。回転電機9は、ロータ90とステータ8とを備える。ステータ8には、上述の実施形態3に係るステータ8が利用できる。この回転電機9は、ロータ90とステータ8とが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型のものである。回転電機9は、モータ又は発電機に利用できる。図12では、一つのロータ90が二つのステータ8で挟まれるように組み付けられるシングルロータ、ダブルステータ型のものを例示する。その他、一つのロータと一つのステータとを備える形態や、一つのステータが二つのロータで挟まれるように組み付けられる形態等が挙げられる。回転電機9は、ケース92を備える。
実施形態4に係る回転電機9は、実施形態3のステータ8を備えるため、磁気特性及び生産性に優れる。
図9、図10(適宜、図6を参照)に示す第一下パンチ55の凸部554の有無によって、圧縮成形時に第一下パンチ55に発生する最大応力値(MPa)の違いを評価した。
試料No.1では、図9、図10を参照して説明した金型5を用いて、図7、図8を参照して説明した実施形態2に係るコア1を製造した。即ち、第一下パンチ55は、凸部554と凹部555とを備える(図9、図10)。凸部554は、第二孔552の内周面の周方向の全周にわたってつながるように設けられている。凸部554の形状は、台形環状である。凹部555は、第一下パンチ55の外周面に設けられる。凹部555の形状は、台形状である。
試料No.101では、ヨークに各ティースの外周面につながる凹部が設けられていない点を除き、試料No.1と同様のコアを製造した。この試料No.101のコアの製造に用いた金型5の第一下パンチ55は、図13に示すように、第二孔552の内周面につながる凸部が設けられておらず、上端面553が平面状である。
試料No.1のコア1とNo.101のコアとを製造したときに、それぞれ第一下パンチ55に作用する応力分布をCAE(Computer Aided Engineering)により解析した。CAEの解析結果から、第一下パンチ55に発生した最大応力値(MPa)を算出した。
2 ティース
21 外周面
211 第一領域
212 第二領域
213 外周領域
214 内周領域
3 ヨーク
30o 外周面
30i 内周面
31 第一面
32 第二面
333 外周縁
334 内周縁
34 凹部
341 傾斜面
342 曲面
35 切欠部
39 軸孔
5 金型
51 ダイ
511 型孔
512 凸部
52 コアロッド
521 外周面
53 上パンチ
531 下端面
532 挿通孔
54 下パンチ
55 第一下パンチ
551 第一孔
552 第二孔
553 上端面
554 凸部
555 凹部
56 第二下パンチ
561 上端面
8 ステータ
80 コイル
9 回転電機
90 ロータ
91 回転軸
92 ケース
921 円筒部
922 凸部
923 プレート
93 軸受け
95 磁石
L1、L2 最短距離
D 深さ
Wd 幅
R 曲率半径
Ty 厚み
Wy 長さ
Ht 高さ
Claims (10)
- アキシャルギャップ型の回転電機に用いられるコアであって、
円環板状のヨークと、
前記ヨークの周方向に間隔をあけて配置される柱状の複数のティースとを備え、
前記ヨークは、
外周面と、
内周面と、
前記外周面と前記内周面とをつなぐ平面状の第一面と、
前記第一面につながる複数の凹部とを有し、
前記複数のティースの各々は、前記第一面に対して前記ヨークの軸方向に突出する外周面を有し、
前記複数の凹部の各々は、前記複数のティースの各々における前記外周面の周方向の全周につながり、
前記第一面の外周縁及び前記第一面の内周縁の少なくとも一方と前記複数のティースの各々における前記外周面との間の最短距離の全てが4mm以下であり、
前記ヨークと前記複数のティースとは一体成形された圧粉成形体で構成されている、
コア。 - 前記複数の凹部の各々は、前記第一面から前記複数のティースの各々における前記外周面に近づくにしたがって深くなる傾斜面を有する請求項1に記載のコア。
- 前記ヨークは、前記ティースよりも前記ヨークの前記外周面側及び前記内周面側の少なくとも一方に設けられる切欠部を有し、
前記切欠部は、前記ヨークの前記外周面及び前記内周面の少なくとも一方に開口する請求項1または請求項2に記載のコア。 - 前記切欠部は、前記ヨークの前記外周面及び前記内周面の少なくとも一方のうち、隣り合う前記ティース同士の間に対応する箇所に開口する請求項3に記載のコア。
- 前記切欠部における前記ヨークの周方向に沿った長さは、1.0mm以上10mm以下である請求項3又は請求項4に記載のコア。
- 前記切欠部における前記ヨークの径方向に沿った長さは、0.5mm以上5mm以下である請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のコア。
- 前記圧粉成形体の相対密度が90%以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコア。
- 前記圧粉成形体は、軟磁性粉末で構成され、
前記軟磁性粉末は、純鉄、Fe-Si系合金、及びFe-Al系合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなる複数の鉄系粒子を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコア。 - アキシャルギャップ型の回転電機のステータであって、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコアと、
前記コアにおける前記複数のティースの各々に配置されるコイルとを備える、
ステータ。 - ロータとステータとを備え、前記ロータと前記ステータとが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型の回転電機であって、
前記ステータが請求項9に記載のステータである、
回転電機。
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