JP7330923B2 - 試験装置 - Google Patents
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航空機等に搭載される電子機器(ユニット)が故障すると、電子機器を構成する交換可能な複数のモジュールのうち、どのモジュールが故障したかが特定(要因解析)され、特定された故障モジュールの調整、修理又は交換が行われる。
そして、試験を実施すると、個々の試験の試験結果の組み合わせから、試験結果パターン表を参照してパターンを特定し、故障モジュール予測順位表を参照して、当該パターンに対応する故障モジュール予測順位を求めるようになっている。
また、従来の試験装置では、被試験器毎に、試験結果や故障モジュールの候補の順位を表示するようになっていた。
尚、従来の試験装置は、ユニット単位の試験を行うものであり、モジュール単体の試験は実施されていない。
このような場合、当該性能に異常があれば、それに関わる全てのモジュールを順番に交換しながら再度試験を行って、その結果に基づいて故障モジュールを探求する必要があった。そのため、ユニットの整備作業に時間を要していた。
試験装置に関する従来技術としては、特開2012-58120号公報「試験装置」(特許文献1)、特開2013-186717号公報「試験装置」(特許文献2)がある。
特許文献1には、上述した試験装置が記載されている。
特許文献2には、試験結果に基づいてモジュール毎の平均故障期間を算出し、復旧作業予算を求め、更に校正検定予算を算出して、特定期間内の保守予算を算出することが記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る試験装置(本試験装置)は、被試験装置(ユニット)毎に、当該ユニットを構成する複数のモジュールについて、メーカ出荷時の初期値や、過去の試験結果に基づいて、作動時間に対応する性能(劣化傾向)を推定して推定性能として記憶しておき、試験を実施する毎に、試験実施時点における各モジュールの推定性能とメーカ出荷時の性能に基づいて、各モジュールを新品に交換した場合に、ユニットが故障するまでに作動可能な時間(予測故障作動時間)を算出し、予測故障作動時間が最も長いモジュールを交換候補モジュールとして特定し、また、交換候補モジュールを新品に交換した場合に予測される試験項目毎の試験結果(予測項目試験結果)を算出するものであり、ユニットが実際に故障する前に、予防交換の候補となるモジュールや、ユニットが故障するタイミングを予測して、モジュールの利用効率及び整備作業の効率を向上させることができるものである。
本試験装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本試験装置の概略構成図である。
図1に示すように、試験装置(本試験装置)1は、被試験器(被試験装置)2とネットワークにより接続され、各種の試験を実施するものである。
試験装置1は、試験コントローラ20と、各種の計測を行うn台の測定器10-1,10-2,…~10-n(測定器10と記載することもある)と、切替部30とを備えている。
切替部30は、試験コントローラ20と切替部制御ラインによって接続され、試験コントローラ20からの切替制御信号に従って、被試験器2に接続する測定器10を切り替える。
後述する実施の形態で説明する各種の処理は、制御部が、記憶部に記憶された処理プログラムを起動することによって実行されるものである。
また、試験コントローラ20の記憶部には、後述する各種テーブルが記憶されている。
また、試験コントローラ20は、試験結果を蓄積するデータベース(図示せず)に接続され、データベースへのデータの書き込み/読み出しを行う。
被試験器2は、ネットワークを介して試験コントローラ20に接続し、試験に必要な情報の送受信を行う。
例えば、試験コントローラ20は、被試験器2に各種の試験条件を設定し、被試験器2は、応答を送信する。
試験コントローラ20の動作については後述する。
次に、試験コントローラ20の記憶部に記憶されている単体モジュール性能テーブルについて図2を用いて説明する。図2は、単体モジュール性能テーブルの説明図である。
単体モジュール性能テーブルは、本試験装置の特徴部分であり、被試験器2を構成する複数のモジュール21のそれぞれに対応して、作動時間に応じて推定される性能を数値化して記憶するものである。
本試験装置の試験コントローラ20は、これを前提に、過去に実施した試験結果や同種類のモジュール21の故障履歴等に基づいて、作動時間に対応した性能(推定性能)を数値として算出する。
作動時間「0」以外の各時点における推定性能は、例えば、メーカ出荷時性能を100とした場合の、各時点での性能(能力、パフォーマンス)を表す数値としてもよい。
そして、試験コントローラ20は、試験を実施する度に、最新の試験結果を反映させて推定性能を算出しなおして、単体モジュール性能テーブルを更新するようになっている。
被試験器2の整備では、試験を実施して故障と判定される前に、予防的にモジュールを交換する場合がある。
本試験装置では、予防交換の作業をサポートするために、現時点で予防交換をする必要があるか、また、予防交換を行う場合にはどのモジュールを交換するのが望ましいか、を作業者が判断する際の判断材料となる情報を提供する。
これらの情報は、性能改善予測画面として表示される。
性能改善予測画面について、図3を用いて説明する。図3は、性能改善予測画面の説明図である。
性能改善予測画面は、試験実施後に試験コントローラ20によって表示され、特に、試験結果が「正常」であった場合に表示されるものである。
作業者は性能改善予測画面に表示される情報に基づいて、予防交換をするか否か、またどのモジュールを交換するか、といった判断を行う。
試験コントローラ20の記憶部には、性能改善予測画面を表示するための元になるデータが記憶され、必要に応じて制御部が演算処理を行って値を算出し、表示部に表示する。
更に、性能改善予測画面は、各状態に応じた予測故障作動時間(予測される故障タイミングまでの作動時間)も表示する。
交換候補モジュールは、試験コントローラ20によって選択され、予測項目試験結果が算出されて、性能改善予測画面に表示される。交換予測結果については後述する。
本試験装置では、予防交換をサポートする情報として、予測故障作動時間を算出する。
上述したように、予測故障作動時間とは、現時点から被試験器(ユニット)2が故障するまでの作動時間であり、試験コントローラ20が、現時点での作動時間や推定性能、メーカ出荷時の初期値に基づいて、過去のユニット及びモジュールの故障の情報や、故障までの作動時間の実績等を参照して算出する。
その際、例えば、予防交換をしない場合の予測故障作動時間(T1)と、正常判定基準に対応する予測故障作動時間(T0)とを比較して、T1がT0に比べて十分長ければ、予防交換の必要はないと判断し、T1がT0にかなり近い場合には、予防交換の必要があると判断する。
試験コントローラ20は、試験実施後、予防交換を行うとしたらどのモジュールを交換するのがよいかを予測して、性能改善予測画面に表示する。
具体的には、試験コントローラ20は、各モジュールを新品に交換した場合の予測故障作動時間を算出し、予測故障作動時間が長いモジュールを交換候補モジュールとして選択する。図3の例では交換候補モジュールを3つ(候補M1、候補M2、候補M3)選択している。
ユニットの試験結果が良であった場合、当該性能(特性)に関わるモジュールは現時点では不良とはなっていないものの、性能としては新品に比べて劣化している。
試験コントローラ20は、このことを反映させて、現時点で各モジュールを新品に交換した場合に、ユニットが故障するまでの期間をどの程度長くできるかを比較するため、予測故障作動時間を算出する。
具体的には、交換対象のモジュールの性能としては、新品(メーカ出荷時)の性能の値を用い、当該ユニットの他のモジュールについては、現時点での推定性能の値を用いて、被試験器全体の予測故障作動時間を算出する。これが、当該モジュールを交換した場合の予測故障作動時間となる。
交換候補モジュールの予測故障作動時間も、上述した予測故障作動時間(T0)と同様の方法で算出される。
図3の例では、交換候補モジュールとして、候補M1、候補M2、候補M3が選択されており、それぞれの予測故障作動時間はt1、t2、t3(t1>t2>t3)となっている。
つまり、現時点で候補M1を交換すれば、当該ユニットは、これから時間t1が経過するまでは故障せずに作動することが予測されており、最も有力な予防交換候補となっている。
尚、図3の性能改善予測画面において、予測故障作動時間の代わりに(又は、予測故障作動時間に加えて)、推定故障タイミングを算出して表示してもよい。
次に、性能改善予測画面の交換予測結果で表示される予測項目試験結果について説明する。
予測項目試験結果は、交換候補モジュールを新品に交換した場合に予測されるユニットの試験結果であり、試験コントローラ20が、各モジュールの推定性能、被試験器及び試験項目に対応して記憶された計算式によって算出した数値である。
計算式は、実績や実験によって求められている。
予測項目試験結果=定数a×Σ(性能A×性能B+性能C)-定数b 式(1)
で算出されるものとする。
カッコ内の項は、モジュール単体の性能を示す項であり、式(1)では、当該試験項目に関わる全てのモジュールの性能を合算して、定数aを乗算し、定数bを減算している。
具体的には、交換候補モジュールについてはメーカ出荷時性能の値を用い、それ以外のモジュールについては試験実施日時点の推定性能の値を用いて、当該試験項目に関わる全てのモジュールの性能を反映させて、交換候補モジュールだけを新品に交換した場合の予測項目試験結果を算出する。
試験コントローラ20は、交換候補モジュールについて、試験項目ごとに予測項目試験結果を算出して記憶し、性能改善予測画面に表示する。
尚、予測項目試験結果は、作業者によって指示が入力された場合に、算出して表示するようにしてもよい。
本試験装置を用いた試験の流れについて、図4を用いて説明する。図4は、本試験装置を用いた試験の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、本試験装置の試験コントローラ20は、被試験器が選択されて(S11)、試験が実施されると、試験結果を取得し(S12)、今回の試験結果や過去のデータに基づいてモジュール単体の性能を推定し、図2に示した単体モジュール性能テーブルを更新する(S13)。
作業者によって故障モジュールが交換されると(S17)、処理S19に移行する。
予防交換処理については後述する。
また、処理S19で再試験の指示が入力されなかった場合には、そのまま処理を終わる。
このようにして、本装置を用いた試験が行われるものである。
次に、図4のS18に示した予防交換処理について図5を用いて説明する。図5は、予防交換処理の流れを示すフローチャートである。
図4の処理S14で「正常」と判定された場合に、予防交換処理が開始され、試験コントローラ20は、上述した予防交換を行わない場合の予測故障作動時間(T1)、正常判定基準に対応した予測故障作動時間(T2)、各モジュールを交換した場合の予測故障作動時間を算出する(S21)。
また、予防交換を行う旨が入力された場合には、試験コントローラ20は、交換候補モジュールのそれぞれについて、試験項目毎の予測項目試験結果を算出して表示する(S25)。
そして、作業者が交換するモジュールを特定して、予防交換を行って(S26)、図4の処理S19に移行する。
このようにして予防交換処理が行われる。
本試験装置によれば、試験コントローラ20が、被試験装置(ユニット)毎に、当該ユニットを構成する複数のモジュールについて、メーカ出荷時性能の値や、過去の試験結果に基づいて、作動時間に対応する性能を推定して推定性能として記憶しておき、試験を実施する毎に、試験実施時点での各モジュールの推定性能とメーカ出荷時の性能に基づいて、各モジュールを新品に交換した場合に、ユニットが故障するまでに作動可能な時間(予測故障作動時間)を算出し、予測故障作動時間が長いモジュールから順に交換候補モジュールとして特定するようにしているので、ユニットが故障してから故障モジュールを特定するのではなく、ユニットが正常な内に、予防交換の候補となるモジュールや、ユニットが故障するタイミングを予測して、モジュールの利用効率及び整備作業の効率を向上させることができる効果がある。
Claims (4)
- 交換可能なモジュールを複数備えた被試験器に対して試験を実施する試験装置であって、
試験信号を出力して、前記被試験器からの出力を計測する複数の測定器と、
前記測定器のいずれかと前記被試験器とを接続する切替部と、
前記複数の測定器からの計測結果を入力して分析する制御部とを備え、
前記制御部が、前記複数のモジュールのそれぞれについて、前記各モジュールが関わる性能に関する、前記被試験器の作動時間に応じた劣化傾向を推定して推定性能としての数値を記憶しておき、前記被試験器の試験結果が正常であった場合に、当該時点における作動時間に対応する推定性能の値と、メーカ出荷時の当該性能の値とに基づいて、前記モジュールのいずれかを新品に交換した場合に前記被試験器が故障するまでに予測される作動可能な時間を、予測故障作動時間として前記モジュール毎に算出することを特徴とする試験装置。 - 制御部が、予測故障作動時間が長いモジュールから順に、被試験器が故障する前に新品に交換する予防交換の交換候補として選択することを特徴とする請求項1記載の試験装置。
- 制御部が、被試験装置のそれぞれの性能を試験する試験項目毎に、交換候補のモジュールを新品に交換した場合に予想される前記被試験器の項目試験結果を、メーカ出荷時の性能の値及び当該時点の作動時間に応じた推定性能の値に基づいて予測し、予測項目試験結果として求めることを特徴とする請求項1又は2記載の試験装置。
- 制御部が、試験項目毎に、被試験器の項目試験結果と、正常/故障を判定する基準値と、複数の交換候補と前記各交換候補に対応した予測故障作動時間及び予測項目試験結果とを表示部に表示することを特徴とする請求項3記載の試験装置。
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