JP7330824B2 - 荷受台昇降装置 - Google Patents

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Description

本発明は、平行リンクにより荷受台を昇降させる荷受台昇降装置に関し、特に荷受台を起立させて格納する荷受台昇降装置に係る。
荷受台昇降装置には、車両の荷台に対してアーム(平行リンク)を上下に回動させることで、アームに取り付けた荷受台を上下に平行移動させて荷役作業を支援するものがある。この種の荷受台昇降装置として、アームに対して荷受台を回動させるチルトシリンダを備え、荷受台を荷台の後面に沿って起立させて格納するものが知られている。
荷受台を起立格納する荷受台昇降装置では、起立姿勢から水平姿勢に荷受台を展開する際、オペレータのマニュアル操作によって荷受台の水平を調整する方式よりも、自動的に荷受台が水平に展開される方式がユーザフレンドリーである。従前はチルトシリンダを既定の長さに伸縮させることで荷台に対して荷受台を所定角度にする方式が一般に採用されていたが、この方式では坂道に停車して車両自体が傾斜している場合には荷受台が水平にならない。それに対し、荷受台の絶対角度を検出し、車両が前後に傾斜していても荷受台を水平にできる荷受台昇降装置が知られている(特許文献1参照)。
特許3713704号公報
荷受台の絶対角度を検出する傾斜センサは荷受台に搭載される一方で、荷受台昇降装置の制御装置は一般的に荷台の下方に配置したボックス内に設置される。このように傾斜センサと制御装置は離れて設置されることが多く、電気配線を延ばして傾斜センサと制御装置とを接続する必要があるため、電気配線は一般にコネクタを介して接続される。こうした構成の荷受台昇降装置の場合、荷受台の姿勢角度の制御に関して上記のセンサ等の寄与度が大きい点を考慮して、電気配線の接続に関してさらに改善の余地があることに本願発明者らは着目した。例えばコネクタに防水対策を施しても接続部に水が浸入する可能性が残り、接続部に水が浸入すれば傾斜センサの電気応答に変化が生じる恐れがある。
傾斜センサと制御装置を接続する電気配線にコネクタによる接続部が介在しなければ電気配線の防水性は向上するが、荷受台昇降装置は、荷受台がアームに取り付けられる前の状態で出荷される場合がある。この場合、車両に荷受台昇降装置を架装する際、まず荷受台が取り外された状態の荷受台昇降装置の本体を車両に装着し、その後で荷受台を本体に取り付けるため、電気配線にコネクタ接続が必要となる。
また、荷受台昇降装置の荷受台は屋外で雨風に晒され、雨中の荷役作業では濡れた地面に繰り返し接触し得る。荷受台は製缶構造物であり、荷受台の内部への水の浸入を完全に防ぐことも容易ではない。加えて、離して設置した傾斜センサと制御装置とを接続する電気配線が荷受台の角度変化等で繰り返し一定の張力を受ける等して断線する可能性もあるため、電気配線が断線した場合についても対策することが好ましい。
本発明の目的は、電気配線の浸水や断線による傾斜センサの電気応答の変化を検知することができる荷受台昇降装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車両に取り付ける基部構造体である支持フレームに対して上下に回動可能なリフトアームと、前記リフトアームの先端に上下に回動可能に連結した荷受台と、前記リフトアームを上下に回動させるリフトシリンダと、前記リフトアームに対して前記荷受台を上下に回動させるチルトシリンダと、前記荷受台に設けられて重力方向を基準に前記荷受台の前記上下回動に基づく傾斜を測定し電圧信号を出力する傾斜センサと、前記傾斜センサの前記電圧信号を基に前記チルトシリンダを制御する制御装置と、前記傾斜センサと前記制御装置とを接続する電気配線とを備え、前記電気配線は、前記傾斜センサに繋がる出力ケーブル、前記制御装置に繋がる入力ケーブル、及びこれらケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタを有し、前記制御装置は、前記傾斜センサの前記電圧信号について異常判定するためのリファレンスデータを記憶しており、前記電気配線を介して入力される前記傾斜センサの前記電圧信号を前記リファレンスデータと比較に基づいて、前記傾斜センサの電気応答の異常の有無を判定する荷受台昇降装置を提供する。
本発明によれば、電気配線の浸水や断線による傾斜センサの電気応答の変化を検知することができる。
本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を車両に取り付けた様子を表す斜視図 本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図 図2の荷受台昇降装置に備えられた荷受台の基部の左側面図 図2の荷受台昇降装置に備えられた荷受台の基部の下面図 図2の荷受台昇降装置に備えられた傾斜センサ及び制御装置を接続する電気配線の模式図 図3のVI部の拡大図 荷受台の傾斜センサ取付部の拡大図 傾斜センサを取り付けるブラケットの側面図 傾斜センサを取り付けるブラケットの平面図 傾斜センサを取り付けるブラケットの背面図 図2の荷受台昇降装置に備えられた駆動システムの油圧回路図 図2の荷受台昇降装置に備えられた駆動システムの電気回路図 図2の荷受台昇降装置に備えられた制御装置による荷受台の駆動装置への指令出力手順を表すフローチャート 図2の荷受台昇降装置に備えられた制御装置による異常判定手順を表すフローチャート
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
-荷受台昇降装置-
図1は本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を車両に取り付けた様子を表す斜視図、図2は荷受台昇降装置の側面図である。本願明細書では車両を基準として前後を定義する。つまり車両の運転席(不図示)の正面方向(図1では左斜め上方向)を前方とする。図1及び図2に示した荷受台昇降装置は平行リンクにより荷受台を昇降させて荷役作業を支援する装置であり、荷受台を起立させて格納する種のものである。この荷受台昇降装置は、支持フレーム1、左右のリフトアーム2、荷受台3、左右のリフトシリンダ4、左右のチルトシリンダ5(図2)、及び駆動システム6(図11、図12)を備えている。
本実施形態では、荷受台3を駆動する駆動装置には2つの油圧シリンダが含まれる。上記リフトシリンダ4が荷受台3を昇降させる第1シリンダであり、上記チルトシリンダ5が荷受台3を傾斜させる第2シリンダである。荷役作業時には主にリフトシリンダ4が用いられ、荷受台3を格納する(格納姿勢に移行させる)際にはチルトシリンダ5が用いられる。リフトシリンダ4及びチルトシリンダ5は複動式でも良いが、本実施形態では単動式の油圧シリンダが用いてある。続いて、荷受台昇降装置の構成要素、具体的には、支持フレーム1、リフトアーム2、荷受台3、リフトシリンダ4、チルトシリンダ5の連結関係について説明する。
まず支持フレーム1は荷受台昇降装置を車両に取り付けるための同装置の基部構造体であり、車両の車枠(シャシフレーム)の後部の下側に取り付けられている。支持フレーム1の後端面には左右に延びるバンパB1-B3が取り付けられている。バンパB1-B3は左右に並んでおり、中央のバンパB1と左右のバンパB2,B3との間には、上下に回動する左右のリフトアーム2を通すために所定の間隔が介在している。
リフトアーム2は、車両に対して上下に回動する部材であり、チルトアーム7を介して支持フレーム1に連結されている。チルトアーム7は左右に延びるピンP0を介して上端部が支持フレーム1に連結されており、ピンP0を中心に支持フレーム1に対して回動自在である。リフトアーム2の基端部(前端部)はピンP0よりも下側の位置で左右に延びるピンP1を介してチルトアーム7に連結されている。リフトアーム2はピンP1を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトアーム2の先端部(後端部)は左右に延びるピンP2を介して荷受台3の基端部分の上部に連結されている。つまり荷受台3はリフトアーム2の先端にピンP2を中心にして上下に回動自在に連結されている。
チルトシリンダ5は、リフトアーム2に対して荷受台3を上下に回動(傾斜)させる油圧シリンダである。チルトシリンダ5の基端部(前端部)はピンP1よりも下側の位置で左右に延びるピンP3を介して支持フレーム1に連結されている。チルトシリンダ5はピンP3を中心に支持フレーム1に対して回動自在である。チルトシリンダ5の先端部(後端部)は左右に延びるピンP4を介して荷受台3の基端部分の下部に連結されている。チルトシリンダ5と荷受台3はピンP4を中心に相対的に回動自在である。
リフトシリンダ4は、リフトアーム2を上下に回動させて荷受台3を昇降させる油圧シリンダである。リフトシリンダ4の基端部(前端部)はピンP3よりも下側の位置で左右に延びるピンP5を介してチルトアーム7に連結されている。リフトシリンダ4はピンP5を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトシリンダ4の先端部(後端部)は左右に延びるピンP6を介してリフトアーム2の先端付近の下部に連結されている。リフトシリンダ4とリフトアーム2はピンP6を中心にして相対的に回動自在である。
ここで、チルトシリンダ5は、チルトアーム7及びリフトアーム2と共に平行リンクを構成するリンクアームを兼ねる。例えば図2においてチルトシリンダ5が収縮して荷受台3が水平になった場合(二点鎖線3a)ピンP4は位置Xに移動する。ピンP4が位置Xにあり荷受台3が接地していない状態では、ピンP1-P4を頂点とする四角形が平行四辺形になるように構成されている。ピンP1-P4が平行四辺形の頂点を形成する状態でリフトシリンダ4が伸縮すると、ピンP1,P3を支点としてリフトアーム2及びチルトシリンダ5が平行を保って矢印bのように回動し、荷受台3が上下に平行移動する。但し、荷受台3が接地(二点鎖線3b)してからリフトシリンダ4が更に収縮すると、チルトアーム7が矢印cのようにピンP0を支点に後方(図2では反時計回り)に回動する。これにより支持フレーム1に装着されたピンP3に相対してチルトアーム7に装着されたピンP1が後方に移動し(チルトシリンダ5に対してリフトアーム2が後方に移動し)、先端が接地する(二点鎖線3c)まで荷受台3が矢印dのように後傾する。
チルトシリンダ5を伸縮させると、矢印aのように荷受台3はリフトアーム2に対してピンP2を支点に回動し傾斜動作する。荷受台3が荷台Aの床面の高さにある場合にチルトシリンダ5を伸長させると、図2に実線で示したように(図1も参照)車両の荷台Aの後面に沿って荷受台3が起立し格納姿勢に移行する。反対にチルトシリンダ5を収縮させれば、格納姿勢の荷受台3を基準角度(例えば水平)に展開して荷役作業に使用できる状態にできる。
-傾斜センサ-
図3は荷受台3の基部の左側面図、図4は下面図(荷受台3の基部における荷受面と反対側の面の左側部分を表した図)、図5は傾斜センサ及び制御装置を接続する電気配線の模式図である。これらの図に示したように、荷受台3には傾斜センサ8が設けられている。傾斜センサ8は荷受台3の傾斜角度を測定するセンサであり、例えばジャイロセンサを用いることができる。但し、ジャイロセンサの他にも、振り子式又はフロート式の傾斜センサ(吊るした錘や液面に対する荷受台3の傾きを検出するセンサ)や加速度センサ、慣性センサ等を傾斜センサ8として用いることができる。
傾斜センサ8が設置される荷受台3の部位は例えば左右の少なくとも一方(本例では左側)のスチフナ3Aである。本実施形態におけるスチフナ3Aは中空の部材であり、荷受台3の下面(荷受面と反対側の面であって格納時に後方を向く面)の左右の領域に1本ずつ設けられている。荷受台3の荷受面が水平な状態を想定して説明すると、左右から見てスチフナ3Aは前後方向に細長い三角形状であり、上面は水平で厚みが後方(荷受台3の先端)に向かうにつれて薄くなっている。本実施形態では、スチフナ3Aの内部における比較的広い前部(荷受台3の基部側の部分)の空間に傾斜センサ8を収容してある。
傾斜センサ8は電気配線EWを介して制御装置41と接続されている。制御装置41はユニットボックス9(図1、図5)に収納されて支持フレーム1に設置されている。電気配線EWは、傾斜センサ8の出力ケーブルEW1、連絡ケーブルEW2、制御装置41の入力ケーブルEW3及びコネクタCN1,CN2を含んで構成されている。コネクタCN1は荷受台3のスチフナ3Aに収納されており、出力ケーブルEW1と連絡ケーブルEW2とを接続している。コネクタCN2はユニットボックス9に収容されており、入力ケーブルEW3と連絡ケーブルEW2とを接続している。連絡ケーブルEW2はリフトアーム2の内部を通してある。但し、コネクタCN2については省略し、制御装置41の入力ケーブルEW3をスチフナ3Aの内部まで延ばしてコネクタCN1を介して傾斜センサ8の出力ケーブルEW1に接続する場合もある。
本実施形態では傾斜センサ8から傾斜センサ8の角度に応じた大きさの信号(電圧信号)が制御装置41に入力され、傾斜センサ8からの入力信号を基に重力方向を基準とした荷受台3の角度が制御装置41で演算される。例えば、荷受台3の角度が90度(鉛直姿勢)のときに4.5V、45度(傾斜姿勢)のときに2.5V、0度(水平姿勢)のときに0.5Vの信号が出力される。また、傾斜センサ8に繋がる電気配線が短絡した場合、傾斜センサ8から制御装置41に0V又は24V(電源電圧)の信号が入力されるようになっている。つまり、荷受台3が0-90度の場合に正常に入力される信号の大きさ(0.5-4.5V)から逸脱した大きさの信号が入力される。電気配線EWが断線した場合も同様であり、例えば制御装置に0Vの信号が入力される。断線時に短絡時と大きさの異なる信号が制御装置41に入力されるように回路を構成し、異常の原因が短絡なのか断線なのかが判定できるようにすることもできる。
図6は図3のVI部の拡大図、図7は荷受台3の傾斜センサ取付部の拡大図である。図8-図10は荷受台3に傾斜センサ8を取り付けるブラケットの三面図であり、図8はブラケットの側面図、図9は平面図、図10は背面図である。傾斜センサ8は取り付け部材10を介して荷受台3に取り付けられている。取り付け部材10は、主要な要素として、後述するピン11、ガイド穴12、固定具13を含んで構成されている。
本実施形態では、荷受台3との取り合いのために傾斜センサ8にブラケット14が装着されている。このブラケット14は、図8-図10に示したように平板をL字型に折り曲げて形成されており、荷受台3に対する取り付け板部14Aとセンサ装着板部14Bとを備えている。取り付け板部14Aは荷受台3との取り合い部位であり、センサ装着板部14Bは傾斜センサ8を装着する部位である。取り付け板部14Aとセンサ装着板部14Bがなす角は本実施形態では直角である。取り付け板部14Aには2つの貫通孔(バカ穴)H1,H2が設けられており、貫通孔H1,H2に対応してナットN1,N2が溶接されている。ナットN1,N2は、取り付け板部14Aの荷受台3との接触面と反対側(センサ装着板部14Bが存在する側)の面に設けられている。センサ装着板部14Bには2つの貫通孔(バカ穴)H3,H4が設けられており、これら貫通孔H3,H4に通したボルトb3,b4及びナットN3,N4(図6)で傾斜センサ8にセンサ装着板部14Bが固定されている。傾斜センサ8は、本実施形態では図6に示すように、センサ装着板部14Bに対して取り付け板部14Aが存在する側の面に装着されているが、反対側の面に取り付けても良い。
対して荷受台3側のブラケット14との取り合い部(本実施形態ではスチフナ3Aの鉛直な内壁面)には、図7に示したようにブラケット14の貫通孔H1,H2にそれぞれ対応して支点穴15及び上記ガイド穴12が設けられている。支点穴15及び貫通孔H1には、上記のピン11が挿し込まれる。ピン11は荷受台3に対する傾斜センサ8の回動中心となる。またピン11は左右方向(荷受台3の回動軸であるピンP2の延在方向)に延びており、ピン11を中心にして荷受台3に対して傾斜センサ8が荷受台3の回動方向に(つまり前後に延びる鉛直面内で)回動するように構成されている。ガイド穴12は支点穴15における傾斜センサ8の回動中心Oを中心とする円弧状の長穴であり、ガイド穴12及び貫通孔H2には上記の固定具13が挿し込まれる。ガイド穴12の中心線が描く円弧の半径はピン11及び固定具13の中心間距離L2に等しい。本実施形態ではピン11及び固定具13にボルトが用いてあり、スチフナ3Aの外側からピン11及び固定具13を挿し込み、それぞれブラケット14のナットN1,N2に締め込むことで傾斜センサ8がブラケット14を介して荷受台3に固定される。ボルトであるピン11及び固定具13を緩めることで、ピン11を中心として傾斜センサ8が回動可能となる。この機構の可動範囲(ガイド穴12の中心角αの範囲)で傾斜センサ8の角度が調節可能である。
このとき、ガイド穴12の円弧の外周部又は内周部(本実施形態では内周部)には窪み12Aが形成されている。支点穴15はガイド穴12の円弧中心(回動中心O)から窪み12Aの窪み方向(本実施形態ではガイド穴12の円弧の径方向の内向き)に距離L1(窪み12Aの深さ程度)だけ直線状に延びる長穴としてある。言い換えれば、支点穴15の延長線上(支点穴15の開口形状の長軸の延長線上)に窪み12Aが位置している。また固定具13を窪み12Aに合わせて傾斜センサ8をガイド穴12の円弧の内側にシフトさせることで、固定具13を窪み12Aに入れ込むことができる。支点穴15が長穴であり、窪み12Aの窪み方向へのピン11の移動が許容されるためである。本実施形態では、固定具13が窪み12Aに入り込んだ状態で荷受台3(荷受面)に対してなす荷受台3の角度を傾斜センサ8の取り付け角度についての標準角度βとしている。本実施形態では標準角度βの場合で荷受台3(荷受面)に対して傾斜センサ8が相対的に45°傾斜しており、荷受台3が起立すると傾斜センサ8は45°、荷受台3が水平になると-45°を出力する。これにより角度測定範囲が90°程度しかない安価な傾斜センサでも水平から起立までの荷受台3の角度をモニタすることができる。また、本実施形態では、窪み12Aはガイド穴12が描く円弧の中点に位置し、窪み12Aの両側にα/2ずつ角度調節ができる構成としてある。
-駆動システム-
駆動システム6は支持フレーム1の左右方向の一方側(本実施形態では左側)に取り付けられたユニットボックス9(図1)に収容されている。ユニットボックス9には荷受台昇降装置を操作するための操作装置30(図12)の収容スペースも備わっている。駆動システム6はリフトシリンダ4及びチルトシリンダ5を駆動するシステムである。操作装置30は有線操作式のリモコンであるが、無線操作式のリモコンであっても良い。
(油圧回路)
図11は駆動システム6の油圧回路図である。同図に示したように、荷受台昇降装置には、作動油タンク21、油圧ポンプ22、モータ23、切換弁V1-V6が備わっている。油圧ポンプ22は、作動油タンク21に貯留された作動油を吸い込んでポンプ油路L22に吐出する。後の図12に示したようにモータ23はコンタクタCTを介して電源BT(例えば車両のバッテリ)に接続しており、電源BTからの給電により駆動されて油圧ポンプ22を駆動する。ポンプ油路L22にはリリーフ弁RVが設けられており、リリーフ弁RVによってポンプ油路L22の圧力の最大値が規定されている。
またポンプ油路L22はチェックバルブC1を介して油路L4に接続しており、リフトシリンダ4の油室と油圧ポンプ22とがポンプ油路L22及び油路L4を介して接続している。油路L4には上昇動作用の切換弁V1が設けられている。切換弁V1はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁により油路L4を遮断しているが、ソレノイドS1が励磁されると開いて油路L4を開通させる。
切換弁V1とポンプ油路L22との間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT1が油路L4から分岐している。タンク油路LT1には下降動作用の切換弁V2が設けられている。切換弁V2はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT1を遮断しているが、ソレノイドS2が励磁されると開いてタンク油路LT1を開通させる。
本実施形態では切換弁V1,V2及び後述する切換弁V5でリフトシリンダ4の動作を制御するように構成されているが、1つの3位置切換弁でリフトシリンダ4を制御する構成とすることもできる。タンク油路LT1における切換弁V2の下流側には絞り弁TV1が設けられている。絞り弁TV1には可変絞りが用いてあるが、流量調節機能が不要であれば固定絞りに変更しても良い。
また、ポンプ油路L22は油路L5を介してチルトシリンダ5の油室にも接続している。油路L5の入口(ポンプ油路L22からの分岐部)は切換弁V1と油圧ポンプ22との間にある。油路L5には前傾動作用の切換弁V3が設けられている。切換弁V3はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁により油路L5におけるチルトシリンダ5への作動油の流れを遮断しているが、ソレノイドS3が励磁されると開いて油路L5を開通させる。
切換弁V3とチルトシリンダ5との間の位置において、油路L5には切換弁V6が設けられている。切換弁V6はノーマルクローズタイプの電磁方向切換弁であり、ソレノイドS6が励磁されるとチルトシリンダ5からの作動油の排出を許容する。反対にソレノイドS6が消磁されると切換弁V6は、チェック弁によりチルトシリンダ5への作動油の供給を許容すると共にチルトシリンダ5からの作動油の排出を禁止する。
切換弁V3,V6の間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT2が油路L5から分岐している。タンク油路LT2には後傾動作用の切換弁V4が設けられている。切換弁V4はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT2を遮断しているが、ソレノイドS4が励磁されると開いてタンク油路LT2を開通させる。
本実施形態では3つの切換弁V3,V4,V6で各チルトシリンダ5の動作を制御する構成であるが、1つの3位置切換弁でチルトシリンダ5を制御する構成とすることもできる。タンク油路LT2における切換弁V4の下流側には絞り弁TV2が設けられている。絞り弁TV2には可変絞りが用いてあるが、流量調節機能が不要であれば固定絞りを用いても良い。
上昇動作用の切換弁V1とリフトシリンダ4との間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT3が油路L4から分岐している。タンク油路LT3は油路L4から分岐してタンク油路LT1をバイパスし、絞り弁TV2及びタンク油路LT2を介して作動油タンク21に接続している。つまり、リフトシリンダ4の油室と作動油タンク21は、第1タンク管路であるタンク油路LT1を介して作動油タンク21に接続される他、第2タンク油路であるタンク油路LT3を介して作動油タンク21に接続されている。この第2タンク油路であるタンク油路LT3には第2の下降動作用の切換弁V5が設けられている。切換弁V5はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT3を遮断しているが、ソレノイドS5が励磁されると開いてタンク油路LT3を開通させる。
タンク油路LT3には切換弁V5とリフトシリンダ4との間の位置に接地センサ24が設けられている。接地センサ24は荷受台3の接地を検出する検出器であり、本実施形態では圧力センサが用いてある。荷受台3が接地すると荷受台3の下降中に比べてリフトシリンダ4の油室の圧力が低下する。リフトシリンダ4の油室の圧力を接地センサ24により検出し、例えば制御装置(図12)でその検出値を予め設定した値と比較し、検出値が設定値以下である場合に荷受台3の接地を検知することができる。なお、接地センサ24はリフトシリンダ4の油室の圧力が測定できれば良いため、油路L4における切換弁V1とリフトシリンダ4の間の位置に設けることもできる。また、例えばピンP1,P3,P5の回転角を検出する角度センサ、リフトシリンダ4のストロークを検出するストロークセンサ(近接センサや距離計)を接地センサとして用いることもできる。リフトアーム2又はリフトシリンダ4の傾斜角を検出する傾斜センサや近接センサを接地センサとして用いることもできる。
(電気回路)
図12は駆動システム6の電気回路図である。同図に示したように、荷受台昇降装置には、操作装置(有線式リモコン)30、制御盤(マイコンボード)40及び出力装置50が更に備わっている。無線操作式の操作装置も使用可能であるが、同図では図示省略してある。
操作装置30は前述した通り有線操作式のリモコンであり、3つの押しボタン式のスイッチ(上スイッチ31、下スイッチ32及び開閉スイッチ33)を備えている。荷受台3の上昇(リフトシリンダ4の伸長)を指示する場合は上スイッチ31、荷受台3の下降(リフトシリンダ4の収縮)を指示する場合は下スイッチ32を単独操作する。開閉スイッチ33は上スイッチ31及び下スイッチ32の操作対象をリフトシリンダ4からチルトシリンダ5に切り換えるボタンである。本実施形態では、荷受台3の閉動作(チルトシリンダ5の伸長)を指示する場合は開閉スイッチ33と上スイッチ31を同時操作し、荷受台3の開動作(チルトシリンダ5の収縮)を指示する場合は開閉スイッチ33と下スイッチ32を同時操作する。荷受台3の開動作は荷受台3を前傾つまり左側から見て左回り(反時計回り)に回動させる動作であり、荷受台3の閉動作は荷受台3を後傾つまり左側から見て右回り(時計回り)に回動させる動作である。
制御盤40は、制御装置(マイコン)41、入力回路42,43及び出力回路44を備えている。制御装置41は、傾斜センサ8及び操作装置30からの信号を基に駆動装置(リフトシリンダ4及びチルトシリンダ5)を制御し、荷受台3の姿勢を制御する処理装置である。接地センサ24については、図1及び図12では図示を省略してある。制御装置41や傾斜センサ8はメインスイッチMSを介して電源BTに接続しており、メインスイッチMSを入り操作すると制御装置41や傾斜センサ8に給電される。制御装置41の機能については後述する。
入力回路42,43は、例えばアナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータである。傾斜センサ8及び接地センサ24から出力される信号が入力回路42で、操作装置30から出力される信号が入力回路43で、それぞれデジタル信号化されて制御装置41に入力されるようになっている。出力回路44は、例えばデジタル信号をアナログ信号に変換するDAコンバータである。制御装置41から出力される信号が出力回路44でアナログ信号化されて切換弁V1-V6のソレノイドS1-S6やコンタクタCT、出力装置50に入力されるようになっている。
出力装置50は、制御装置41からの指令信号に基づいて異常を報知出力する装置であり、本実施形態では例えばブザーやスピーカー等の音声出力装置である。ランプ等の表示出力装置を出力装置50として使用しても良い。
-動作-
(基本動作)
制御装置41は、メモリ(不図示)に格納されたプログラムに従って操作装置30、傾斜センサ8、接地センサ24からの信号を基に指令信号を生成し、ソレノイドS1-S6やコンタクタCTに出力してリフトシリンダ4やチルトシリンダ5を駆動する。操作装置30を操作した場合を例に説明するが、無線操作式の操作装置を使用した場合も同様の動作をする。前述した通り荷受台3を上昇させる場合には上スイッチ31を単独操作し、荷受台3を下降させる場合には下スイッチ32を単独操作する。荷受台3を前傾させる場合には開閉スイッチ33を上スイッチ31と同時操作し、荷受台3を後傾させる場合には開閉スイッチ33を下スイッチ32と同時操作する。これを踏まえて基本動作について以下に詳しく説明する。
図13は制御装置による荷受台の駆動装置への指令出力手順を表すフローチャートである。制御装置41は同図の手順を所定のサイクルタイム(例えば0.01s)で繰り返し実行する。
・閉動作(S101-S106)
メインスイッチMSが入り操作されて制御装置41への給電が開始されると、制御装置41は図13の手順を開始し、まず傾斜センサ8の信号Sa、接地センサ24の信号Sgを入力する(S101)。その後、制御装置41は、開閉スイッチ33からの信号が入力されているかを判定し(S102)、入力されていれば上スイッチ31からの信号が入力されているかを判定する(S103)。開閉スイッチ33及び上スイッチ31が同時操作されていれば、制御装置41は荷受台3の角度θが基準角度θrと異なっているかを判定し(S104)、異なっていれば閉動作指令をすると同時にフラグF=1を設定して図13の手順を終える(S105)。基準角度θrは設定値であり、ここでは車両の傾斜によらず重力方向を基準とする絶対角度(例えば水平)であるとする。フラグFは操作装置30のチルト操作継続中であるかを識別する値であり、前サイクルでチルト操作がなければF=0、前サイクルでチルト操作がさればF=1に設定されている。初期値(電源投入時)はF=0である。
制御装置41により閉動作指令がされると、ソレノイドS1,S2,S4-S6は消磁状態のまま、コンタクタCT及びソレノイドS3が励磁される。これにより切換弁V1,V2,V4-V6が閉じた状態で、切換弁V3が開くと同時にモータ23が電源BTに接続して駆動される。その結果、油圧ポンプ22から供給される作動油によりチルトシリンダ5が伸長し、荷受台3が前傾(左側から見て左回りに回動)する。荷受台3が荷台Aの床面の高さにある場合に以上の閉動作が実行されることにより、荷受台3を荷台Aの後面に沿って起立させて格納することができる。
また、開閉スイッチ33及び上スイッチ31の同時操作が継続して行われ、S101-S105の手順が繰り返されるうちにθ=θrになった場合、制御装置41はF=1であるかを判定する(S106)。制御装置41は、F=1であれば閉動作指令を中止して図13の手順を終える。例えば基準角度θrよりも荷受台3が後傾した姿勢から閉動作を開始する場合、θ=θrとなった時点で一旦荷受台3の前傾動作が停止する。開閉スイッチ33及び上スイッチ31の同時操作が継続して行われている間は、その後も荷受台3は動作しない。同時操作を中断する(開閉スイッチ33及び上スイッチ31の少なくとも一方をオフにする)と、F=0が設定される(S111,S114,S117-S115)。その後開閉スイッチ33及び上スイッチ31の同時操作が再開された場合、制御装置41はθ=θrであってもS106からS105に手順を移して閉動作指令をする。
・開動作(S101-S103,S107-S111)
信号Sa,Sg及び開閉スイッチ33の信号が入力され、上スイッチ31の信号の入力がない場合、制御装置41は、下スイッチ32からの信号が入力されているかを判定する(S107)。制御装置41は、下スイッチ32からの信号の入力がない場合はF=0を設定して図13の手順を終え(S111)、入力がある場合はS108に手順を移す。S108-S110の手順はS104-S106の手順に対応している。制御装置41は、開閉スイッチ33及び下スイッチ32が同時操作されていれば荷受台3の角度θが基準角度θrと異なっているかを判定し(S108)、異なっていれば開動作指令をすると同時にフラグF=1を設定して図13の手順を終える(S109)。
制御装置41により開動作指令がされると、ソレノイドS1-S3,S5及びコンタクタCTは消磁状態のまま、ソレノイドS4,S6が励磁される。これにより切換弁V1-V3,V5が閉じモータ23が停止した状態で、切換弁V4,V6が開く。その結果、荷受台3の重量がチルトシリンダ5の収縮方向に作用し、タンク油路LT2を介してチルトシリンダ5から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてチルトシリンダ5が収縮することにより、荷受台3が自重で後傾(左側から見て右回りに回動)する。
また、開閉スイッチ33及び下スイッチ32の同時操作が継続して行われ、S101-S103,S107-S109の手順が繰り返されるうちにθ=θrになった場合、制御装置41はF=1であるかを判定する(S110)。制御装置41は、F=1であれば開動作指令を中止する。例えば基準角度θrよりも荷受台3が前傾した姿勢から開動作を開始する場合、θ=θrとなった時点で一旦荷受台3の後傾動作が停止する。開閉スイッチ33及び下スイッチ32の同時操作が継続して行われている間は、その後も荷受台3は動作しない。同時操作を中断する(開閉スイッチ33及び下スイッチ32の少なくとも一方をオフにする)と、F=0が設定される(S111,S114,S117-S115)。開閉スイッチ33及び下スイッチ32の同時操作が再開された場合、制御装置41はθ=θrであってもS110からS109に手順を移して開動作指令をする。
・上昇動作(S101,S102,S112-S115)
信号Sa,Sgが入力され、開閉スイッチ33の信号の入力がない場合、制御装置41は上スイッチ31からの信号が入力されているかを判定する(S112)。制御装置41は、上スイッチ31が単独操作されていればθ=θrであるかを判定し(S113)、θ=θrであることを条件に上昇動作指令をすると同時にフラグF=0を設定して図13の手順を終える(S114)。θ≠θrである場合、制御装置41は上昇動作指令をすることなくF=0を設定して図13の手順を終える(S115)。
制御装置41により上昇動作指令がされると、ソレノイドS2-S6は消磁状態のまま、コンタクタCT及びソレノイドS1が励磁される。これにより切換弁V2-V6が閉じた状態で、切換弁V1が開くと同時にモータ23が電源BTに接続して駆動される。その結果、油圧ポンプ22から供給される作動油によりリフトシリンダ4が伸長し荷受台3が上昇する。
・下降動作(S101,S102,S112,S116-S120)
信号Sa,Sgが入力され、開閉スイッチ33及び上スイッチ31の信号の入力がない場合、制御装置41は、下スイッチ32からの信号が入力されているかを判定する(S116)。制御装置41は、下スイッチ32からの信号の入力がない場合はF=0を設定して図13の手順を終える(S115)。下スイッチ32が単独操作されていれば、制御装置41は、荷受台3が接地しているかを判定する(S117)。接地していない場合、制御装置41はθ=θrであるかを判定し(S118)、θ=θrであることを条件に第1の下降動作指令をすると同時にフラグF=0を設定して図13の手順を終える(S119)。θ≠θrである場合、制御装置41は第1の下降動作指令をすることなくF=0を設定して図13の手順を終える(S115)。S117の判定時に荷受台3が接地している場合、制御装置41は第2の下降動作指令をすると同時にフラグF=0を設定して図13の手順を終える(S120)。
制御装置41により第1の下降動作指令がされると、ソレノイドS3-S6及びコンタクタCTは消磁状態のまま、ソレノイドS1,S2が励磁される。これにより切換弁V3-V6が閉じモータ23が停止した状態で、切換弁V1,V2が開く。その結果、荷受台3、リフトアーム2、リフトシリンダ4及びチルトシリンダ5の重量がリフトシリンダ4の収縮方向に作用し、タンク油路LT1を介してリフトシリンダ4から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてリフトシリンダ4が収縮することにより、荷受台3が自重で下降する。
制御装置41により第2の下降動作指令がされると、ソレノイドS3-S4,S6及びコンタクタCTは消磁状態のまま、ソレノイドS1,S2,S5が励磁される。これにより切換弁V3-V4,V6が閉じモータ23が停止した状態で、切換弁V1,V2に加えて切換弁V5が開く。その結果、荷受台3の重量がリフトシリンダ4の収縮方向に作用し、タンク油路LT1を介するルートの他、タンク油路LT3,LT2を介するルートを介して、リフトシリンダ4から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてリフトシリンダ4が収縮することにより、接地状態の荷受台3が前述したように後傾する。
(異常判定動作)
本実施形態において、制御装置41は、傾斜センサ8の信号Saについて異常判定するためのリファレンスデータをRAMやROM等の記憶装置に記憶しており、信号Saをリファレンスデータと比較して傾斜センサ8の電気応答の異常の有無を判定する。リファレンスデータには、電気配線EWが短絡又は断線した状態で傾斜センサから出力される信号の異常値Sa1,Sa2(Sa1<Sa2)が含まれている。また、本実施形態では、チルトシリンダ5の動作時(荷受台3の傾斜動作時)に傾斜センサ8から出力される信号Saの変化率ΔSaの正常範囲(下限値ΔSa1)もリファレンスデータに含まれている。変化率ΔSaは単位時間当たりの信号Saの変化量である。任意の時刻t0から単位時間後の時刻をt1として、時刻t0における信号Sat0と時刻t1における信号Sat1から、変化率はΔSa=(Sat1-Sat0)/(t1-t0)という式で求めることができる。なお、変化率ΔSaの正常範囲は、荷受台3の開操作時の値、閉操作時の値のいずれか一方又は双方を設定することができ、開操作時及び閉操作時のいずれか一方又は双方の際に異常判定をする構成とすることができる。
図14は制御装置による異常判定手順を表すフローチャートである。制御装置41は、同図の手順を所定のサイクルタイム(例えば0.01s)で繰り返し実行する。同図において、メインスイッチMSが入り操作されて制御装置41への給電が開始されると、制御装置41は図13の手順と並行して図14の手順を開始し、まず傾斜センサ8の信号Saを入力する(S201)。その後、制御装置41は傾斜センサ8から入力される信号Saが異常値Sa1又はSa2であるかを判定する(S202)。例えば図12に点線W1で示したように電気配線EWがアース配線との間で短絡したり電気配線EWが断線したりすると、信号Saは異常値Sa1(例えば0V)となる。点線W2で示したように電気配線EWが電源配線との間で短絡すると信号Saは異常値Sa2(例えば24V)となる。Sa=Sa1又はSa2で短絡又は断線が推定される場合、つまり異常を検知した場合、制御装置41は荷受台3の動作を緊急停止させると共に、異常を報知して図14の手順を終える(S203)。荷受台3の動作停止は操作の有無に関わらずコンタクタCT及びソレノイドS1-S6への信号出力を停止することで実行される。異常報知は出力装置50に指令して出力装置50を作動させることで実行される。
Sa≠Sa1でかつSa≠Sa2である場合、制御装置41はチルト操作中であるかを判定する(S204)。チルト操作中であるかは、操作装置30からの信号を基に上スイッチ31又は下スイッチ32が開閉スイッチ33と同時操作されているかを識別することにより制御装置41で判定できる。チルト操作中でなければ、制御装置41は異常報知等の手順(S203)を経ずにそのまま図14の手順を終える。Sa≠Sa1でかつSa≠Sa2の条件下でチルト操作中である場合、制御装置41はチルトシリンダ5の動作時に傾斜センサ8から入力される信号Saの変化率ΔSaが正常範囲を逸脱しているかを判定する(S205)。信号Saの変化率ΔSaが正常範囲を逸脱し傾斜センサ8の電気応答の異常の発生が検知された場合(ΔSa<ΔSa1の場合)、制御装置41は荷受台3の動作を緊急停止させると共に、異常を報知して図14の手順を終える(S203)。信号Saの変化率ΔSaが正常範囲であって傾斜センサ8の電気応答が正常である場合(ΔSa≧ΔSa1の場合)、制御装置41は異常報知等の手順(S203)を経ずにそのまま図14の手順を終える。
-効果-
(1)傾斜センサ8の信号Saをリファレンスデータと比較することで、例えば電気配線EWの短絡又は断線による傾斜センサ8の電気応答の異常を検知することができる。傾斜センサ8の電気応答に異常が生じると、信号Saに基づく荷受台3の角度θの制御に支障を来すところ、傾斜センサ8の電気応答の異常を検知できることで種々の対策を講じることができる。
(2)傾斜センサ8の電気応答の異常が検知された場合の対策の一つとして、制御装置41からの指令信号に基づいて出力装置50により異常を報知出力することが例示できる。オペレータに逸早く異常を知らせることで、荷受台昇降装置の慎重な操作、使用中止、メンテナンス等を促すことができる。
(3)傾斜センサ8の電気応答の異常が検知された場合の他の対策として、荷受台3の動作を強制停止させることも例示できる。異常状態での荷受台3の動作を禁止できる。但し、荷受台3の強制停止は異常報知と共に実行される必要は必ずしもなく、強制停止機能と異常報知機能のいずれかを省略することができる。
(4)異常判定の一具体例として、電気配線EWの短絡時又は断線時に制御装置41に入力される信号Saの異常値Sa1,Sa2をリファレンスデータとして記憶しておき、信号Saが異常値Sa1又はSa2であるかを判定する形態が例示できる。これにより電気配線EWの短絡又は断線を検知できる。
(5)異常判定の他の例として、傾斜センサ8から出力される信号の変化率ΔSaの正常範囲をリファレンスデータとして記憶しておき、荷受台3のチルト操作時に変化率ΔSaが正常範囲を逸脱しているかを判定する形態が例示できる。
信号Saは正常であれば荷受台3の角度θに応じて変化するところ、電気配線EWに不具合が生じて傾斜センサ8の電気応答に異常を来すと、荷受台3の角度θと信号Saとの関係にずれが生じて変化率ΔSaが正常範囲を逸脱し得る。例えば本実施形態では正常なら荷受台3が水平の場合に信号Saの値が0.5Vとなるところ、電気配線EWに異常が生じると信号Saの値が0.5Vであるにも関わらず荷受台3が傾斜した状態となる。制御装置41は信号Saで荷受台3の角度θを判断するため、図13で説明したように荷受台3が基準角度θrであることを条件に荷受台3の昇降操作を許容する構成である場合、荷受台3が現実には基準角度θrであっても異常時には昇降操作ができなくなる。反対に信号Saを基に演算された角度θが基準角度θrであれば、現実は荷受台3が基準角度θrでなくても昇降操作が可能となり、インタロックの本来的意義が果たせなくなる。それに対し、本実施形態では変化率ΔSaを基に電気配線EWの電気応答の異常を検知できるので、上記のような不具合を抑制できる。
(6)本実施形態では電気配線EWにコネクタCN1,CN2を介在させているため、荷受台3をリフトアーム2等から取り外して荷受台昇降装置の本体と分離して出荷する場合等の作業性が良い。荷受台3のチルト動作を許容すべく電気配線EWの長さも調整し易い。但し、コネクタCN1は荷受台3のスチフナ3Aの内部に収容されているため、雨水等に直接触れることはないが、荷受台3は製缶部品であって内部への水の侵入を完全に防止できるものではない。荷受台3の内部に侵入した水がコネクタCN1に触れると電気配線EWの浸水による傾斜センサ8の電気応答に異常を来し得る。コネクタCN2を収容するユニットボックス9も内部への水の侵入を完全に防止することは容易ではない。それに対し、本実施形態は異常が生じても上記の通り異常を検知できるので、コネクタCN1,CN2を採用する場合に特に懸念される電気応答の異常対策として好適である。なお、コネクタCN1,CN2の少なくとも一方を省略した電気配線EWを採用した構成としても、本実施形態の異常判定が適用可能であることは言うまでもない。
1…支持フレーム、2…リフトアーム、3…荷受台、4…リフトシリンダ、5…チルトシリンダ、8…傾斜センサ、41…制御装置、50…出力装置、CN1,CN2…コネクタ、EW…電気配線、Sa…傾斜センサの信号、Sa1,Sa2…異常値、ΔSa…信号、ΔSa1(正常範囲の下限値)、θ…荷受台の角度

Claims (6)

  1. 車両に取り付ける基部構造体である支持フレームに対して上下に回動可能なリフトアームと、
    前記リフトアームの先端に上下に回動可能に連結した荷受台と、
    前記リフトアームを上下に回動させるリフトシリンダと、
    前記リフトアームに対して前記荷受台を上下に回動させるチルトシリンダと、
    前記荷受台に設けられて重力方向を基準に前記荷受台の前記上下回動に基づく傾斜を測定し電圧信号を出力する傾斜センサと、
    前記傾斜センサの前記電圧信号を基に前記チルトシリンダを制御する制御装置と、
    前記傾斜センサと前記制御装置とを接続する電気配線とを備え、
    前記電気配線は、前記傾斜センサに繋がる出力ケーブル、前記制御装置に繋がる入力ケーブル、及びこれらケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタを有し、
    前記制御装置は、前記傾斜センサの前記電圧信号について異常判定するためのリファレンスデータを記憶しており、前記電気配線を介して入力される前記傾斜センサの前記電圧信号を前記リファレンスデータと比較に基づいて、前記傾斜センサの電気応答の異常の有無を判定する荷受台昇降装置。
  2. 請求項1の荷受台昇降装置において、前記制御装置からの指令信号に基づいて異常を報知出力する出力装置を備えている荷受台昇降装置。
  3. 請求項1の荷受台昇降装置において、前記制御装置は、異常を検知した場合に前記荷受台の動作を停止させる荷受台昇降装置。
  4. 請求項1-3のいずれか1項の荷受台昇降装置において、
    前記リファレンスデータには、前記電気配線が短絡又は断線した状態で前記傾斜センサから出力される前記電圧信号の異常値が含まれており、
    前記制御装置は、前記傾斜センサから入力される前記電圧信号が前記異常値である場合に前記傾斜センサの電気応答の異常の発生を検知し、前記異常の原因が短絡であるのか断線であるのかを判定する荷受台昇降装置。
  5. 請求項1-4のいずれか1項の荷受台昇降装置において、
    前記リファレンスデータには、前記チルトシリンダの動作時に前記傾斜センサから出力される前記電圧信号の変化率の正常範囲が含まれており、
    前記制御装置は、前記チルトシリンダの動作時に前記傾斜センサから入力される前記電圧信号の変化率が前記正常範囲を逸脱している場合に前記傾斜センサの電気応答の異常の発生を検知する荷受台昇降装置。
  6. 請求項1-5のいずれか1項の荷受台昇降装置において、前記傾斜センサは前記荷受台に、前記制御装置は前記支持フレームにそれぞれ設置されている荷受台昇降装置。
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