以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る複合ケーブルは、例えば、車両に搭載されている各装置間の接続のために、電源からの電力供給及び信号通信に用いられる部品としてワイヤハーネスに適用される。本発明に係る複合ケーブルが適用されるワイヤハーネスは公知のワイヤハーネスであり、特定のワイヤハーネスに限定されない。例えば、本発明の実施の形態に係る複合ケーブル1は、図1及び図2に示すワイヤハーネス100に適用される。
図1は、本発明の実施の形態に係る複合ケーブル1を有するワイヤハーネス100の配索構造300を示す要部斜視図である。図2は、本発明に係る複合ケーブル1を用いたワイヤハーネス100の配索構造300の平面図である。ワイヤハーネス100は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の車両200において搭載されている電気・電子機器同士を接続するものである。ワイヤハーネス100は、電源からの電流を必要な機器に供給したり、機器同士において信号の伝送をしたりする。なお、ここでいう機器は、インバータ、油冷モータ、インホイールモータ等であってよい。これら機器は、機器側端子(図示せず)と、機器側端子を収容した機器ハウジング(図示せず)とを備える。
ワイヤハーネス100は、複数のケーブルを備える。ケーブルは、電源線及び通信線を含む幹線と、幹線から分岐した枝線とを有する。ワイヤハーネス100は、車載用のワイヤハーネスとして配索される。車両200に配索された状態におけるワイヤハーネス100の配索構造300は、電源の供給系統として、電源幹線21aと、電源分配器22aと、電源幹線21bと、電源分配器22bと、電源幹線21cと、電源分配器22cと、電源幹線21dと、電源分配器22dと、を有する。
電源幹線21aは、一端において車両200に搭載された電源20に接続されており、他端において電源分配器22aに接続されている。電源幹線21bは、一端において電源分配器22aに接続されるとともに、車両200の前後方向に配索されて、他端において電源分配器22bに接続されている。電源幹線21cは、一端において電源分配器22bに接続されるとともに、車両200の車幅方向に配索されて、他端において電源分配器22cに接続されている。電源幹線21dは、一端において電源分配器22cに接続されるとともに、車両200の前後方向に配索されて、他端において電源分配器22dに接続されている。
また、ワイヤハーネス100の配索構造300は、通信インフラとして、通信制御部23aと、通信幹線24aと、通信制御部23bと、通信幹線24bと、通信制御部23cと、通信制御部24dとを有する。通信制御部23aは、電源分配器22aに設けられている。通信制御部23bは、電源分配器22bに設けられている。通信制御部23cは、電源分配器22cに設けられている。通信制御部23dは、電源分配器22dに設けられている。通信幹線24aは、車両200の前後方向に配索されており、一端において通信制御部23aに接続されており、他端において通信制御部23bに接続されている。通信幹線24bは、車両200の車幅方向に配索されており、一端において通信制御部23bに接続されており、他端において通信制御部23cに接続されている。通信幹線24cは、車両200の前後方向に配索されており、一端において通信制御部23cに接続されており、他端において通信制御部23dに接続されている。
また、ワイヤハーネス100の配索構造300は、枝線(通信枝線及び電源枝線)25aと、補機26aと、枝線(通信枝線および電源枝線)25bと、補機26bとを有する。枝線25aは、電源分配器22a~22dの各々の電源分配器に接続されている。補機26aは、各々の枝線25aに接続されている。枝線25bは、通信制御部23a~23dの各々の通信制御部に接続されている。補機26bは、各々の枝線25bに接続されている。電源分配器22aと通信制御部23aは、ハウジング27aに収容され、一体化されている。電源分配器22bと通信制御部23bは、ハウジング27bに収容され、一体化されている。電源分配器22cと通信制御部23cは、ハウジング27cに収容され、一体化されている。電源分配器22dと通信制御部23dは、ハウジング27d収容され、一体化されている。
本実施の形態に係る複合ケーブル1は、軸線に沿って延在しかつ前記軸線の周りに配置された導体部11と、導体部11の外周面を覆う絶縁性の外部被覆(第1の外部被覆)12と、通信部13と、を備える。図3は、端子30が取り付けられた本発明に係る複合ケーブル1を示す斜視図である。図4は、第1の実施の形態に係る複合ケーブル1の構成を説明するための斜視図である。図5は、図4におけるV-V線に沿った複合ケーブル1の断面図である。複合ケーブル1は、複合ケーブル1の軸線(中立軸線)xに直交する断面形状が円形又は略円形である。複合ケーブル1において導体部11は、複数の導電性の導体セグメント14を有する。導体セグメント14はそれぞれ、外周面を覆う絶縁性の外部被覆(第2の外部被覆)15を有する。以下、複合ケーブル1の構成について具体的に説明する。
ワイヤハーネス100において複合ケーブル1は、電源幹線21a~21dの少なくとも一部として用いられている。複合ケーブル1における導体部11は、導電性を有する材料を含んでいる。複合ケーブル1をワイヤハーネス100の幹線21a~21d又は枝線25a,25bに採用した場合、導体部11は、例えば、電力伝送のための電源線として機能させることが可能となっている。
導体部11は、軸線xに沿って延在しかつ軸線xの周りに配置されている。導体部11は、円筒状に形成されている。導体部11は、軸線xに沿って複合ケーブル1の延在方向に沿って、複合ケーブル1の一端から他端に亘って延びている。導体部11は、4つの導体セグメント14を有する。各導体セグメント14は、軸線xに沿って延在しかつ軸線xの周りに設けられている。軸線xに垂直な断面において導体セグメント14の配置は、円形状又は略円形状に形成されている。換言すれば、軸線xに垂直な断面において導体部11の外側の輪郭は、円形状又は楕円形状である。なお、導体セグメント14の配置における断面形状、つまり、導体部11の外側の輪郭は、楕円形状、長円形状であってもよい。各導体セグメント14は、周方向において互いに隣接して設けられている。ここで「セグメント」とは、筒状の導体部11の一部を構成する個別の部材である。
導体セグメント14は、軸線xに直交する断面形状が扇形又は略扇形であり、軸線xの周りに湾曲した板状の断面形状を有する。導体セグメント14の外周面14aと内周面14bとは円弧状に互いに平行に延びている。外周面14aにおける円弧長さは、内周面14bの円弧長さよりも長くなっている。
導体セグメント14は、導体性を有する金属材料であればよく、アルミニウム、銅、銅合金、錫めっき線、鉄及びニッケル等の金属材料を例示することができる。導体セグメント14は、例えば、例えば押出成形によって形成される。つまり、導体セグメント14は、金属材料の押出成形により形成されていた単一の金属線により形成された電線である。
各導体セグメント14は、外周面を絶縁材料により形成された外部被覆15によって被覆されている。絶縁材料としては、例えば、ポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等を例示することができる。外部被覆15は、導体セグメント14の外周面に対して、例えば、押出成形により形成されている。各導体セグメント14には、それぞれ外部被覆15が設けられ、周方向に配置されている。なお、導体セグメント14同士は、それぞれの外周面14aと内周面14bとの間に延びる側面14cの側が互いに接するように配置されている。なお、導体セグメント14同士は、外部被覆15を介して、互いに連結されていてもよい。
外部被覆12は、導体部11の外周面を被覆している。外部被覆12は、導体部11を各導体セグメント14の外周面14aの側で被覆している。外部被覆12は、絶縁材料により形成されている。絶縁材料としては、例えばポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等を例示することができる。外部被覆12は、導体部11の外周面に対して、例えば、押出成形により形成されている。外部被覆12は、導体部11の全周を一体に覆っている。外部被覆12は、例えば、導体部11と同様に、軸線xに直交する断面が略円形の円筒状に形成されている。なお、外部被覆12の絶縁材料と、外部被覆15の絶縁材料とは互いに同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
通信部13は、導体部11の内側に設けられている。通信部13は、筒状体16と、信号線17とを有する。筒状体16は、導体部11の内周面の側に軸線xに沿って延在し、内側で信号線17を収容する。筒状体16は、絶縁性を有する材料により形成されており、信号線17を収容する空間18を画定している。絶縁材料としては、例えばポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等を例示することができる。筒状体16は、例えば、押出成形により形成されている。筒状体16は、軸線xに直交する断面形状が円形状になっている。
図6は、図5における通信線の構成を説明するための断面図である。信号線17は、線状体(線状部材)である。2本の信号線17が筒状体16の空間18内に設けられている。信号線17は、例えば、光ファイバ心線である。複合ケーブル1をワイヤハーネス100の幹線21a~21d又は枝線25a,25bに採用した場合、信号線17は、例えば、信号伝送のための信号線として機能させることが可能となっている。
なお、本実施の形態においては、筒状体16の空間18に、2本の信号線17としての光ファイバ心線が収容された場合が例示されているが、筒状体16の内部に収容される信号線17の本数は、特に制限されない。すなわち、筒状体16の内部に収容される信号線17は1本であってもよく、3本以上であってもよい。
信号線17としての光ファイバ心線は、コア17aと、クラッド17bと、ファイバ素線被覆17cと、緩衝材17dと、アウタージャケット17eとを有する。コア17a及びクラッド17bは、例えば、石英ガラスや樹脂等により構成されている。クラッド17bの外径は、通信用途で通常用いられる125マイクロメートルと同等又は小さくすることができ、例えば80マイクロメートル(±5%の誤差を含む)とすることができる。クラッド17bの外径を小さくすることにより、光ファイバ心線の曲げひずみが小さくなり、破断確率を下げることができる。しかし、クラッド17bの外径を小さくしすぎると、コアサイズを小さくする必要性が生じ、接続損失が増大する傾向がある。ファイバ素線被覆17cは、例えば、シリコンアクリレートから構成されている。
緩衝材17dは、光ファイバ心線の長手方向にかかる引張力に対する強度を高めるためにファイバ素線被覆17cの周囲に配置される部材である。緩衝材17dは、例えば、複数の繊維からなり、ファイバ素線被覆17cの全周に配置される。上記繊維としては、アラミド繊維等を例示することができる。アウタージャケット17eは、例えば、ナイロンやフッ素樹脂(例えばETFE)から構成されていることが好ましい。アウタージャケット17eの外径は、1ミリメートル以下であることが好ましく、例えば800~900マイクロメートルで、適宜所望の値で構成する。アウタージャケット17eの外径を小さくすることにより、光ファイバ心線が曲がりやすくなり、配索性の向上につながる。しかし、アウタージャケット17eの外径を小さくしすぎると、外力からの保護が不十分になり、伝送損失が増大する傾向がある。
信号線17は、導体部11の内周面の側で軸線xに沿って延在し、非拘束状態で収容されている。信号線17において少なくとも一部の外周面と、筒状体16の内周面との間が離間されており、つまり、少なくとも一部の外周面と、筒状体16の内周面との間に空間18が確保されている。例えば、空間18は空気で満たされており、各信号線17は、筒状体16の空間18において移動可能な状態で配置されている。
外部端子30は、複合ケーブル1の少なくとも一方の端部に設けられている(図3参照)。具体的には、各導体セグメント14の少なくとも一方の端部に外部端子として簡易接続部材31~34が取り付けられている。また、各信号線17の少なくとも一方の端部に外部端子として簡易接続部材35,36が取り付けられている。
次に、複合ケーブル1の製造方法について説明する。図7は、本実施の形態に係る複合ケーブル1の製造方法の流れを示すフロー図である。ここでは、代表的に、複合ケーブル1の製造方法の流れについて説明するが、後述する他の実施の形態に係る複合ケーブル1A~1Eについても略同様の流れによって製造することができる。
まず、導電材料により形成されている複数の導体セグメント14のそれぞれの周面に絶縁材料を被覆して、各導体セグメント41に外部被覆15を形成する(ステップS1)。例えば、上述したように、各導体セグメント14の周面に、ポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等の材料を押出成形(例えば、一括押出成形)することによって、外部被覆15を形成する。
次いで、複数の導体セグメント14を筒状に配置して導体部11を形成する(ステップS2)。ステップS2においては、筒状体16を取り囲むようにして導体セグメント14を周方向に配置して導体部11を形成する。この場合、周方向に互いに隣接するように導体セグメント14を配置した状態において、導体セグメント14の長手方向における所定の箇所においてテープ等の締結部材により導体セグメント14同士を連結してもよい。
次いで、導体部11の外周面に絶縁材料により形成され外部被覆12を押出成形により形成する(ステップS3)。例えば、上述したように、導体部11の外部被覆15の周面に、ポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等の材料を押出成形(例えば、一括押出成形)することによって、外部被覆12を形成する。
次いで、筒状体16の内部に、信号線17を挿入する(ステップS4)。例えば、筒状体16を囲む導体部11に外部被覆12が形成されたサブアセンブリが所定の長さとなるようにこのサブアセンブリを切断し、その切断されたサブアセンブリの端部(筒状体16の端部)から信号線17としての光ファイバ心線を挿入する。
次いで、必要に応じて、導体セグメント14それぞれの延在方向の端部に外部端子30として簡易接続部材31~34を取り付ける(ステップS5)。導体セグメント14に簡易接続部材31~34をする場合、各導体セグメント14の端部において、外部被覆15を削り、導体セグメント14を露出させる。外部被覆15から導体セグメント14が露出した部分を簡易接続部材31~34に挿入して、簡易接続部材31~34の一部を押圧する。これにより、簡易接続部材31~34と導体セグメント14とが接続される。
次いで、必要に応じて、ステップS4において筒状体16の内部に挿入された信号線17それぞれの延在方向の端部に外部端子30として簡易接続部材35,36を取り付ける(ステップS6)。ステップS5,S6における簡易接続部材31~36の取付けは、従来の圧着端子の接続方法等の公知の手法を用いることにより、実現することができる。なお、ステップS5及びステップS6は、順不同であってよい。
以上により、複合ケーブル1を製造することができる。
なお、ステップS4において、筒状体16の内部に線状体として信号線(光ファイバ心線)17を挿入する場合を例示したが、光ファイバ心線の代わりに、伝送線路として機能しない糸部材(例えば引き紐等)を挿入してもよい。この構成においては、糸部材の一端に信号線17を結びつけ、糸部材を引っ張ることにより、簡単に信号線17を筒状体16内に通すことができる。
具体的には、ステップS4おいて、線状体としての引き紐を筒状体16の内部に移動可能な状態で挿通させる。信号線17を有しておらず、引き紐が挿通されたものを複合ケーブルとして出荷してもよい。
この場合、現場の複合ケーブルの設置現場において、その引き紐等にメタル線や光ファイバ心線等の信号線17を結びつけて引き紐を引っ張ることにより、筒状体16の内部に信号線17を容易に導入することができる。これによれば、複合ケーブルを設置する現場において、メタル線や光ファイバ心線等の任意の信号線を複合ケーブル内に導入することができる。
以上のような複合ケーブル1によれば、導体部11はそれぞれ、絶縁性の外部被覆15を介して筒状に連結された4つの導体セグメント14を有しているので、状況に応じて複数系統の電源からの電力供給を可能にすることができる。さらに、複合ケーブル1における導体部11は、筒状、好ましくは円筒状に形成されているため、複合ケーブル1に対して外部より負荷がかかった場合であっても、外部からの負荷が導体部11の内部に直接的に伝達されることを抑えることができる。
また、導体セグメント14は、略扇状に形成されているので、導体部11を円筒状とすることができ、外部被覆12を導体部11の外周に形成しやすい。
また、導体セグメント14が単一の金属線として形成されている場合、複合ケーブル1の屈曲性が高まり、屈曲状態を保持することができる。
また、導体セグメント14同士が連結解除自在に連結されている場合、複合ケーブル1をワイヤハーネス100において使用した場合、必要に応じて導体セグメント14を個々に分離させることができる。これにより、状況に応じた電力供給に柔軟に対応することができる。
また、各導体セグメント14が簡易接続部材31~34を有することにより、複合ケーブル1と外部の接続対象との接続が容易になる。
また、複合ケーブル1は、導体部11に加えて、少なくとも1つの信号線17を有しているので、導体部11による電気信号の伝送(例えば電力伝送)と、信号線17による光信号の伝送とを1つのケーブルによって実現することができる。さらに、信号線17は、導体部11の内側で移動自在に収容されているので、複合ケーブル1に外部からの負荷がかかった場合であっても、信号線17に負荷は作用せず、信号障害の発生を効果的に抑えることができる。
また、信号線17が筒状体16の内側に収容されており、信号線17は収容状態において、少なくとも外周面の一部が筒状体16の内周面に接触しておらず、筒状体16の空間18内を移動可能になっている。そのため、外部から複合ケーブル1に負荷がかかり、筒状体16が変形した場合であっても、信号線17が筒状体16内を移動し、信号線17へ負荷が加わることを回避することができる。これにより、信号線17に外部からの負荷が加わることによる、信号線17による信号伝送への悪影響を抑えることができる。
また、信号線17は、電気信号を伝送するとりわけ光ファイバであると、大容量の情報を伝送することができる。また、信号線17が光ファイバである場合、周囲からのノイズによる影響を受けずに信号を伝送することができる。
また、信号線17が簡易接続部材35,36を有することにより、複合ケーブル1と外部の接続対象との接続が容易になる。
また、筒状体16の断面形状は円形状であるため、信号線17を筒状体16内に挿通する際、筒状体16の内壁との接触面積を小さくすることがでるとともに、負荷に対して強い構造となっている。
また、外部被覆12と外部被覆15とは互いにことなる絶縁材料により形成されているので、例えば、導体セグメント14を個別に分割させたい場合、外部被覆12を剥ぎ取っても導体セグメント14が円筒状の導体部11の構成を維持することができる。これにより、個々に独立した導体セグメント14は維持され、複合ケーブル1として多系統の電源に対応することができる。
以上、複合ケーブル1によれば、ワイヤハーネス100として十分な性能を有と共に、多系統の電源に対応することができる。
なお、上記実施の形態においては、幹線21a~21dの少なくとも一部が複合ケーブル1を有していたが、枝線25a,25bの少なくとも一部が複合ケーブル1を有していてもよく、また、幹線21a~21d及び枝線25a,25bそれぞれの少なくとも一部が複合ケーブル1を有していてもよい。
上記の実施の形態において導体セグメント14は、金属材料の押出成形により形成されていたが、複数の金属製の撚線(金属線)により形成された電線であってもよい。これにより、複合ケーブル1の屈曲性がより高まり、屈曲状態をより長期的に保持することができる。
上記の実施の形態において筒状体16は、絶縁材料のみにより形成された絶縁体であったが、導電材料のみにより形成された導電体であってもよい。筒状体16が導電体である場合、筒状体16にも電気信号又は電気を流すことができる。さらに、筒状体16は、3つの層により形成されていてもよい。例えば、導体部11に面する外層と、信号線17に面する内層とが樹脂等の絶縁材料により絶縁体として形成されており、外層と内層との間の中層が金属材料により導電体として形成されていてもよい。これにより、筒状体16は、電磁シールドとしての機能を有することができる。さらに、筒状体16は、外層及び内層により形成されており、外層及び内層の一方が絶縁材料により形成され、他方が金属材料により形成されていてもよい。
上記の実施の形態において筒状体16の空間18には空気のみが充填されていたが、樹脂材料又は繊維材料が少なくとも部分的に充填されていてもよい。これにより、筒状体16内の信号線17を保護することができる。なお、この状態においても信号線17は筒状体16の内側において移動可能である。
上記の実施の形態において外部端子30は、導体セグメント14及び信号線17に取り付けられていたが、筒状体16に導電体を含む場合には、筒状体16の延在方向の一方の端部に外部端子として簡易接続部材(図示せず)を取り付けてもよい。この場合、複合ケーブル1の製造方法に、筒状体16の少なくとも一方の端部に外部端子を取り付けるステップS7が含まれる。なお、ステップS5,S6,S7は順不同であってよい。
上記の実施の形態において信号線17は、光ファイバ心線であったが、例えば、金属線(メタル線)としての信号線19であってもよい。なお、複合ケーブル1は、光ファイバ心線としての信号線17及び金属線としての信号線19の少なくとも一方を有していればよい。
図8は、金属線としての信号線19の断面図である。信号線19は、例えば、ツイスト線301と、ツイスト線301の外周を覆うジャケット302とを含む。ツイスト線301は、複数の被覆電線311を撚り合わせたものである。一例としてツイスト線301が2本の被覆電線311を撚り合わせたものである場合を例示しているが、被覆電線311の本数は特に制限されない。
各被覆電線311は、金属から成る例えば金属から成る導体3110と、導体3110の外周を覆う絶縁材料から成る絶縁層3111とを含む。導体3110は、例えば、導体セグメント14と同様の材料によって形成することができる。絶縁層3111は、例えば、外部被覆12,15と同様の材料によって形成することができる。また、ジャケット302は、例えば、外部被覆12,15と同様の材料によって形成することができる。なお、導体3110は、単線であっても、撚線であってもよい。
なお、上記の実施の形態において複合ケーブル1は、筒状体16を有していたが、複合ケーブル1は、筒状体16を有していなくてもよい。
次に、図9を用いて複合ケーブル1の他の実施の形態に係る複合ケーブル1Aについて説明する。図9は、軸線xに対して直交する複合ケーブル1Aの断面図である。以下では、上記の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
ワイヤハーネス100において複合ケーブル1Aは、電源幹線21a~21dの少なくとも一部として用いられている。複合ケーブル1Aにおける導体部40は、導電性を有する材料から構成されている。複合ケーブル1Aをワイヤハーネス100の幹線21a~21d又は枝線25a,25bに採用した場合、導体部40は、例えば、電力伝送のための電源線として機能させることが可能となっている。
導体部40は、4つの導体セグメント41を有する。各導体セグメント41は、軸線xの周りに設けられている。各導体セグメント41には、それぞれ外部被覆15が設けられている。各導体セグメント41は、周方向において外部被覆15を介して互いに隣接して設けられている。ここで「セグメント」とは、筒状の導体部40の一部を構成する個別の部材である。
導体セグメント41は、軸線xに直交する断面形状が巴形又は略巴形であり、軸線xの周りに湾曲した断面形状を有する。ここで「巴形」とは、コンマ(,)に類似する形状である。具体的に、導体セグメント41は、4つの湾曲面42~45を有する。湾曲面42は、筒状体16に面する側に位置し、筒状体16の周面に沿って湾曲している。湾曲面43は、外部被覆12に面する側に位置し、外部被覆12の内周面に沿って湾曲している。湾曲面43の周方向における長さは、湾曲面42の周方向における長さよりも大きい。湾曲面44,45は、湾曲面42,43の間で延びている。湾曲面44は、湾曲面42,43の間を湾曲面45に向かって円弧状に延びている。湾曲面45は、湾曲面42,43の間を湾曲面44から離れる方向に円弧状に延びている。導体セグメント41が周方向に外部被覆15を介して連結されて導体部11を形成した状態において、一の導体セグメント41の湾曲面44は、隣接する導体セグメント41の湾曲面45に沿って対向している。
複合ケーブル1Aによれば、導体セグメント41が巴形に形成されているので、周方向において互いに隣接する導体セグメント41同士の湾曲面44,45における接触面積を大きく確保することができる。これにより、導体部11における導体セグメント41同士の連結状態の安定性が向上する。
次に、図10を用いて複合ケーブル1の他の実施の形態に係る複合ケーブル1Bについて説明する。図10は、軸線xに対して直交する複合ケーブル1Bの断面図である。以下では、上記の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
複合ケーブル1Bは、多層に設けられた導体部50を備える。導体部50は、軸線x周りに二重に設けられた外側導体部51と、内側導体部55とを有する。外側導体部51及び内側導体部55は、軸線xに直交する断面形状が略円形の円筒状に形成されている。外側導体部51は、内側導体部55の径方向外側に設けられている。
外側導体部51は、4つの導体セグメント52を有する。各導体セグメント52は、軸線xの周りに設けられている。各導体セグメント52は、周方向において互いに隣接して設けられている。ここで「セグメント」とは、筒状の導体部50の一部を構成する個別の部材である。導体セグメント52の構成は、複合ケーブル1における導体セグメント14の構成と同じである。内側導体部55は、4つの導体セグメント56を有する。各導体セグメント56の構成は、外側導体部51の導体セグメント52の構成と同じである。
各導体セグメント52,56は、外周面を絶縁材料により形成された外部被覆15によって被覆されている。各導体セグメント52,56が周方向及び径方向に外部被覆15を介して連結されている。
多層に設けられた導体部50のうち1つの層の各導体セグメント52の周方向の位置と、1つの層に隣接する各導体セグメント52の周方向の位置とが、周方向においてずらされている。つまり、外側導体部51における導体セグメント52同士の連結位置と、内側導体部55における導体セグメント56同士の連結位置とが径方向において一致することはない。
以上のような複合ケーブル1Bによれば、導体部50は、径方向に二重に配置された外側導体部51及び内側導体部55を有しているので、外部から通信部13にかかる負荷をより軽減することができる。また、外側導体部51における導体セグメント52同士の連結位置と、内側導体部55における導体セグメント56同士の連結位置とは、周方向にずらされているので、例えば、外部からの負荷が外側導体部51の導体セグメント52の連結位置に作用した場合であっても、内側導体部55の導体セグメント56において吸収することができる。
また、導体セグメント52,56が軸線xの周囲に二重に配置されているので、より多くの多系統の電源に対応することができる。
次に、図11を用いて複合ケーブル1の他の実施の形態に係る複合ケーブル1Cについて説明する。図11は、軸線xに対して直交する複合ケーブル1Cの断面図である。以下では、上記の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
複合ケーブル1Cは、導体部60を備える。導体部60は、例えば7つの導体セグメント61を有する。各導体セグメント61は、軸線xに直交する断面形状が円形状に形成されており、軸線xの周りで筒状体16の外周側に環状に配置されている。各導体セグメント61の外周面は、絶縁材料により形成された外部被覆15によって覆われている。各導体セグメント61は、周方向において隣接して互いに連結解除自在に設けられている。ここで「セグメント」とは、筒状の導体部60の一部を構成する個別の部材である。なお、導体セグメント61同士は、筒状体16の周囲に導体セグメント61を配置した状態において、例えば、テープ等を巻くことにより連結される。
以上のような複合ケーブル1Cによれば、導体部60は、複数の導体セグメント61の集合により筒状体16の外周側に形成されているので、複合ケーブル1Cに対して外部より負荷がかかった場合であっても、外部からの負荷が導体部60の内部に直接的に伝達されることを抑えることができる。
また、各導体セグメント61同士は、互いにテープ等が巻き付けられてまとめられているので、極めて容易に連結解除することができるので、
次に、図12を用いて複合ケーブル1の他の実施の形態に係る複合ケーブル1Dについて説明する。図12は、軸線xに対して直交する複合ケーブル1Dの断面図である。以下では、上記の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
導体部60は、軸線xに直交する断面形状が多角形、具体的には四角形の角筒状に形成されている。導体部60は、4つの導体セグメント61を有する。各導体セグメント61は、軸線xの周りに設けられている。各導体セグメント61は、それぞれ外部被覆15が設けられ、周方向において外部被覆15を介して互いに隣接して設けられている。ここで「セグメント」とは、個々が周方向に連結されることにより、全体として筒状の導体部60を形成する個別の部材である。導体セグメント61は、軸線xに直交する断面形状が台形又は略台形である。なお、本実施の形態において導体部60の断面形状は四角形であったが、多角形であれば特に限定されない。
複合ケーブル1Dの筒状体16は、軸線xに直交する断面形状が角筒状に形成されている。なお、複合ケーブル1Dにおける筒状体16の軸線に直交する断面形状は四角形状であるが、多角形状であればよく、特に限定されない。
以上のような複合ケーブル1Dによれば、導体部60は四角筒状に形成されているので、外部被覆12を形成する際に容易に整列させることができる。
次に、図13を用いて複合ケーブル1の他の実施の形態に係る複合ケーブル1Eについて説明する。図13は、軸線xに対して直交する複合ケーブル1Eの断面図である。以下では、上記の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
複合ケーブル1Eは、軸線xに直交する断面形状が多角形、特に四角形である。複合ケーブル1Eの導体部60及び筒状体16は、複合ケーブル1Dにおける導体部60及び筒状体16と同じ構成である。本実施の形態において複合ケーブル1Eの断面形状は四角形であったが、多角形であれば特に限定されない。
以上のような複合ケーブル1Eによれば、断面が四角形に構成されているので、例えば、ワイヤハーネス100において複数の複合ケーブル1Eを用いた場合、複合ケーブル1E同士を容易に整列させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、上記実施の形態の各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、ワイヤハーネス100において、電源幹線21a~21d及び枝線25a,25b(電源枝線)は、電源電圧が供給される信号線とグラウンド電圧が供給される信号線(アース線)を含んでいてもよいし、電源幹線21a~22d及び枝線25a,25b(電源枝線)が電源電圧が供給される信号線とし、これらの電源線とは別にグラウンド電圧が供給されるアース線を設けてもよい。