以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態であるノズル11を有するレーザ加工装置10の概略について説明する。図1は、そのノズル11を有するレーザ加工装置10の構成を概略的に示す概略図である。
レーザ加工装置10は、レーザ光Lにより例えばシリコンウエハ等の加工対象物(以下、単に「ワーク」と称す)Wをレーザ加工するための装置である。レーザ加工とは、レーザ光LによりワークWの表面を削るクリーニング加工や、レーザ光Lにより半導体に不純物を添加するドーピング加工、レーザ光LによりワークWの壊れた結晶構造を回復するためのレーザアニーリング加工等の加工をはじめとするレーザ光Lによる全ての加工をいう。なお、本実施形態では円形(例えば、直径6インチ)のシリコンウエハをワークWとし、ワークWに対してアニーリング加工を行う場合の例について説明する。
図1に示す通り、レーザ加工装置10は、ノズル11と、レーザ照射装置30と、ガス供給吸入装置40と、ステージ制御装置57と、制御装置60と、ミラーMと、ステージSとを備える。制御装置60は、レーザ照射装置30、ガス供給吸入装置40、ステージ制御装置57を制御するための装置であり、レーザ照射装置30、ガス供給吸入装置40、ステージ制御装置57と電気的に接続されている。また、制御装置60は、ステージ制御装置57を介してステージSと電気的に接続されている。
レーザ照射装置30は、希ガスとハロゲンガスとの混合ガスを用いてレーザ光Lを発振させる装置(エキシマレーザ)である。レーザ照射装置30は、制御装置60からの指示に基づいて、レーザ光Lの照射と停止とを行う。レーザ光Lの発振に用いる希ガスとしては、例えば、アルゴン、クリプトン、キセノンを用いることができる。また、ハロゲンガスとしては、例えば、フッ素、塩素を用いることができる。なお、本実施形態では、レーザ照射装置30は、エキシマレーザとしたが、これに限定されるものではない。例えば、レーザ照射装置30は、イットリウム、アルミニウム、ガーネットを使用したYAG(Yttrium Alminium Garnet)レーザや、希土類元素を添加した光ファイバーをレーザ媒質として利用するファイバーレーザとしてもよい。
ミラーMは、レーザ照射装置30から照射されたレーザ光Lを反射させ、ノズル11へ送り込むための部材である。
ノズル11は、レーザ加工装置10に非可動に取付けられて、ワークWに向けてレーザ光Lを照射させるための部材である。詳細は後述するが、本発明のノズル11は通気口から例えば窒素ガスなどの不活性ガス(以下、単に「ガス」とも称す)を吐出し、ガスを吐出する通気口とは別の通気口でガスを吸入することでノズル11の後述のレーザ照射口12付近にガスの気流を生成するように構成される。そして、ノズル11は、レーザ光LがワークWに照射される位置であるレーザ照射位置Eで生じる微粒子Dをそのガスの気流に乗せて除去することが可能に構成される。また、ノズル11を用いたレーザ加工装置10は、ガスを吐出させる通気口と、ガスを吸入させる通気口とを切り替え可能に構成されている。
ガス供給吸入装置40は、ノズル11から吐出されるガスを供給し、ノズル11からガスを吸入するための装置である。ガス供給吸入装置40は、制御装置60からの指示に基づいてガスの吐出と吸入とを行う。
ステージSは、ワークWが載置され、ワークWを図1に示すx軸方向とy軸方向とに移動させるための装置である。ステージ制御装置57は、制御装置60からの移動の指示に基づいてステージSの移動を制御するための装置である。ステージSは、x軸方向に移動するための動力を発生させるx軸モータ56aとy軸方向に移動するための動力を発生させるy軸モータ56bとを備える。x軸モータ56aにはステージSをx軸方向に移動させるためのx軸送りねじ(図示せず)が設けられており、y軸モータ56bにはステージSをy軸方向に移動させるためのy軸送りねじ(図示せず)が設けられている。そして、制御装置60からの指示に基づいて、ステージ制御装置57がx軸モータ56aを駆動するとx軸送りねじが回転し、ステージSがx軸方向に移動するようになっている。また、制御装置60からの指示に基づいて、ステージ制御装置57がy軸モータ56bを駆動するとy軸送りねじが回転し、ステージSがy軸方向に移動するようになっている。これにより、ステージSはx軸方向とy軸方向とに移動し、ステージSに対して、ノズル11の位置を相対的に変化させることができるようになっている。
ここで、ステージSとノズル11との関係について説明する。上述の通り、ノズル11はレーザ加工装置10に非可動に取付けられているのに対して、ステージSは移動可能となっている。そのため、ステージSが移動するとノズル11と対向するステージS上の位置が変化する。そこで、本実施形態では、ノズル11が対向するステージS上の位置(以下、「ノズル11の位置」と称す)をx軸方向とy軸方向との座標(x,y)で表し、ステージSに対してノズル11が相対的にどの位置に存在するかが認識できるようになっている。なお、図1に示すレーザ加工装置10の方向を正面とし、レーザ加工装置10を正面から見たときの左右方向をx軸方向とし、手前から奥行きへの方向をy軸方向とする。このときの右方向をx軸の正の方向、左方向をx軸の負の方向、奥行き方向をy軸の正の方向、手前方向をy軸の負の方向としている。
ノズル11の位置は、予め定められたステージS上の位置である原点(0,0)を起点に求められる。ステージSが原点(0,0)からx軸方向に-Mミリメートル(以下、「mm」と表す)、y軸方向に-N(mm)移動したときのノズル11の位置を座標(M,N)として表す。このように、ステージSの移動方向とノズル11の位置の座標との正負が反対になるのは、ノズル11が非可動にレーザ加工装置10に取付けられており、ステージSが負の方向に移動すると、ステージSに対するノズル11の位置の座標は相対的に正の方向に移動することになるからである。
例えば、ノズル11の位置を原点(0,0)から座標(M,N)に移動させる場合、ステージSをx軸方向に-M(mm)移動するようにx軸モータ56aがx軸送りねじを回転させ、ステージSをy軸方向に-N(mm)移動するようにy軸モータ56bがy軸送りねじを回転させる。このように、ステージSを移動させることで、ノズル11の位置を所望の位置に移動させることができるようになっている。
また、x軸送りねじにはx軸送りねじの回転角を検出するセンサであるロータリエンコーダ(図示せず)が取り付けられており、x軸送りねじの回転角に基づいてステージSがx軸方向にどれだけの距離を移動したかがわかるようになっている。そのため、原点からのx軸送りねじの回転角を求めることで、ノズル11の位置におけるx軸方向の座標を求めることができるようになっている。
同様に、y軸送りねじにはy軸送りねじの回転角を検出するセンサであるロータリエンコーダ(図示せず)が取り付けられており、y軸送りねじの回転角に基づいてステージSがy軸方向にどれだけの距離を移動したかがわかるようになっている。そのため、原点からのy軸送りねじの回転角を求めることで、ノズル11の位置におけるy軸方向の座標を求めることができるようになっている。
ロータリエンコーダが検出する原点からのx軸送りねじの回転角と原点からのy軸送りねじの回転角とは、所定時間毎(例えば3ミリ秒)にステージ制御装置57に送信される。ステージ制御装置57は、原点からのx軸送りねじの回転角と原点からのy軸送りねじの回転角とに基づいて演算を行いノズル11の位置の座標を求める。そして、演算により求めたノズル11の位置の座標と、制御装置60からの移動の指示により目指すべきノズル11の位置の座標との差がなくなるように、ステージ制御装置57はx軸モータ56aとy軸モータ56bとを駆動する。
制御装置60には、表示装置64とタッチパネル65とが取り付けられている。表示装置64は、制御装置60の各種状態を表示するディスプレイである。タッチパネル65は、表示装置64の表示面を覆うように設けられ、表示装置64に表示されたボタンと連動して、制御装置60に対し、使用者が種々の設定を行うための入力装置である。使用者はタッチパネル65を用いて、レーザ加工の開始を指示したりすることができるようになっている。
予め設定されたノズル11の位置の移動経路に基づいて、制御装置60はステージ制御装置57を介してx軸モータ56aとy軸モータ56bとを駆動して、ステージSを移動させることでノズル11の位置を移動させる。また、予め設定されたレーザ光Lの照射を開始・終了するノズル11の位置にノズル11が到着すると、制御装置60はレーザ光Lを照射したり照射を停止したりするようにレーザ照射装置30を制御する。また、予め設定されたガスの吐出と吸入とを開始・終了するノズル11の位置にノズル11が到着すると、制御装置60はガスの吐出及び吸入を開始したり停止したりするようにガス供給吸入装置40を制御する。
次に図2(a)~(f)を参照して、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから微粒子Dが発生するまでのワークW表面の経時的な変化について説明する。図2(a)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射された瞬間のワークW表面の状態を模式的に示した模式図であり、図2(b)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから0.5μ秒後のワークW表面の状態を模式的に示した模式図であり、図2(c)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから1μ秒後のワークW表面の状態を模式的に示した模式図であり、図2(d)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから5μ秒後のワークW表面の状態を模式的に示した模式図であり、図2(e)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから10μ秒後のワークW表面の状態を模式的に示した模式図であり、図2(f)は、レーザ照射位置Eにレーザ光Lが照射されてから50μ秒後のワークW表面の状態を模式的に示した模式図である。
図2(a)~(f)に示す通り、高エネルギーのレーザ光LがワークWに照射されると(図2(a))、レーザ照射から0.5μ秒後にはレーザ照射位置Eでレーザ光Lを吸収して原子、クラスタ、イオン等の軽い原子からなる高温のプルームPが形成される(図2(b))。その後、プルームPとワークWとの間にワークWから微粒子Dが放出されプルームPに熱を供給し続ける。レーザ照射から5μ秒後には微粒子Dの放出が終わり、プルームPが冷却され縮む(図2(c)~(e))。そして、レーザ照射から50μ秒後には、微粒子DはワークW側に引き付けられ、ワークWに反射し飛散する。このとき飛散する微粒子Dは、対象物に含まれる原子を含んだデブリである。デブリはプラズマにより分解・蒸発した原子が再度固化し形成する物質である。レーザ光Lのフルエンス(単位面積あたりのエネルギー量)が20J/cm2の場合の微粒子Dが飛散する速度は、約100メートル/秒である。
なお、図2(a)~(f)は、一例を示したものであり、ワークWの材質やレーザ光Lの強度等の条件によりプルームPの大きさや微粒子Dが飛散するまでの時間、微粒子Dが飛散する速度は異なる。
次に、図3、図4を参照して、ノズル11とガス供給吸入装置40との構成について説明する。図3は、ノズル11を鉛直方向に切断したときの断面とガス供給吸入装置40の構成とを概略的に示す概略図であり、図4は、ノズル11を下側(ワークWと対向する側)から見たときのノズル11の構成を模式的に示した模式図である。
ノズル11は、上面(ワークWと対向する側と反対側)にレーザ侵入口13を備え、下面(ワークWと対向する側)にレーザ照射口12、第1ガス通気口15、第2ガス通気口17、第3ガス通気口19、チャンバー21を備え、側面に第4ガス接続口14、第1ガス接続口16、第2ガス接続口18、第3ガス接続口20を備える。また、ノズル11の内部上方にはレンズ55が取り付けられている。
ガス供給吸入装置40は、第1ガスボンベ41a、第3ガスボンベ41b、第4ガスボンベ41c、吸引ポンプ42、第1ガス供給弁43、第2ガス供給弁44、第3ガス供給弁45、第4ガス供給弁46、第1ガス吸入弁47、第2ガス吸入弁48、第1切替弁49、第2切替弁50を備える。
先ず、ノズル11におけるレーザ光Lの通路の構成について説明するためにノズル11のレーザ照射口12、レーザ侵入口13、レンズ55について説明する。レーザ侵入口13は、ミラーMにより反射されたレーザ光Lがノズル11に侵入するための開口部である。レンズ55は、レーザ侵入口13の下側にレーザ侵入口13を塞ぐように取り付けられる。レンズ55は、レーザ光Lをレーザ照射口12に集光させるためのものである。レーザ照射装置30から照射されるレーザ光Lは矩形であり、レンズ55を通過したレーザ光Lも矩形になっている。レーザ照射口12は、レーザ光LをワークWに向けて通過させるための開口部である。レーザ照射口12は、レンズ55の下側でレーザ光Lが通過する位置に設けられる。これにより、レーザ侵入口13から侵入したレーザ光Lは、レンズ55、レーザ照射口12を通過してワークWに矩形の形状で照射されるようになっている。
なお、本実施形態では、レーザ照射装置30から照射されるレーザ光Lを整形することなくそのまま用いたが、これに限定されるものではない。例えば、レンズ55の上側にレーザ光Lの形状を整形にするための光学素子であるビームシェイパーを設けてもよい。ビームシェイパーは、レーザ光Lの形状を正方形や円形等に整形するものであってもよい。
また、図3に示す通り、レンズ55を通過したレーザ光Lは、レーザ光Lの幅が一旦極小となった後でワークWに照射される。ここで、レーザ照射口12は、レーザ光Lの幅が極小となるビームウエストの位置に設けられる。そのため、レーザ照射口12の開口部の面積を小さく抑えることができる。よって、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dがレーザ照射口12を通過してノズル11の内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるという効果がある。
更に、図4に示す通り、レーザ照射口12の形状は略矩形である。一方、レーザ照射口12を通過するレーザ光Lの形状はレーザ照射口12よりわずかに小さい矩形であり、略同一形状となっている。ここで略同一形状とは、厳密に同じ形状である場合に限定されるものではなく、わずかな違いを有する形状をも含むものである。即ち、レーザ照射口12の形状はレーザ照射口12を通過するレーザ光Lの形状と略同一形状であるため、レーザ光Lの形状に合うようにレーザ照射口12の開口部の面積を狭めることができるようになっている。よって、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dがレーザ照射口12を通過してノズル11の内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるようになっている。
次に、レーザ照射口12から第4のガスを吐出するための構成について説明するために、第4ガス接続口14、第4ガスボンベ41c、第4ガス供給弁46について説明する。第4ガス接続口14は、第4ガス供給弁46をノズル11に接続させるための開口部である。第4ガスボンベ41cは、不活性ガスである第4のガスを貯蔵する容器である。第4ガス供給弁46は、第4ガスボンベ41cから流れる第4のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第4のガスの吐出量を調整するためのバルブである。第4ガス接続口14は、ノズル11の側面に設けられ、ノズル11内部に設けられたレンズ55とレーザ照射口12との空間と連通する。そして、第4ガス接続口14は、第4ガス供給弁46を介して第4ガスボンベ41cと接続される。これにより、第4ガス供給弁46が第4ガスボンベ41c側から第4ガス接続口14側への通路を開放すると、第4ガスボンベ41cから第4のガスが所定の圧力で吐出され、第4ガス接続口14からノズル11内に第4のガスが吹き込むようになっている。ノズル11内では、レンズ55がレーザ侵入口13を塞いでいるため、第4のガスがレーザ侵入口13から吐出されないようになっている。
このとき、ノズル11内に入り込んだ第4のガスがレーザ照射口12からガスが吐出されるように、第4ガスボンベ41cから吐出される第4のガスの圧力が第4ガス供給弁46により調整できるように構成されている。即ち、第4のガスの圧力は、レーザ照射口12における圧力がレーザ照射位置Eにおける圧力よりも高くなるように第4ガス供給弁46により調整できるようになっている。第4ガス供給弁46の開放度合いを調整することで、第4ガスボンベ41cから吐出される第4のガスの圧力が調整される。これにより、レーザ照射口12から第4のガスが吐出されるため、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dがレーザ照射口12を通過してノズル11の内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるという効果がある。
なお、レーザ照射口12から吐出される第4のガスの圧力が強すぎると、後述の第1のガスの気流が乱されるおそれがあるので、第4のガスの圧力は第1のガスの気流を乱さない程度に調整されるとよい。また、後述の第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17から吸入するガスの量を第1のガスの吐出量と第4のガスの吐出量とを合算した量になるように調整することで、第4のガスが吐出されることで第1のガスの気流が乱されるのを抑えるようにしてもよい。
次に、レーザ照射位置Eにおいて発生する微粒子Dを除去するための構成について説明するために、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とについて説明する。第1ガス通気口15は、ステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より後方側(ノズル11の位置の移動方向に対して前方側)にある場合は不活性ガスである第1のガスを吐出するために用いられる。一方で、第1ガス通気口15がステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より前方側(ノズル11の位置の移動方向に対して後方側)にある場合は第2ガス通気口17から吐出される第1のガスを吸入するために用いられる。このように、第1ガス通気口15は、第1のガスの吐出と吸入とを切り替えて使用する通気口である。第2ガス通気口17は、ステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より後方側(ノズル11の位置の移動方向に対して前方側)にある場合は第1のガスを吐出するために用いられる。一方で、第2ガス通気口17がステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より前方側(ノズル11の位置の移動方向に対して後方側)にある場合は第1ガス通気口15から吐出される第1のガスを吸入するために用いられる。このように、第2ガス通気口17は、第1のガスの吐出と吸入とを切り替えて使用する通気口である。
図3に示す通り、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは、ノズル11の底面に設けられた凹部(後述のチャンバー21)の凹んだ部分のうちノズル11の底面部分に設けられる。なお、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは、凹部の凹んだ部分のうちノズル11の底面部分に設けられるものに限定されるものではない。例えば、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは凹部の側面に設けられてもよい。また、図4に示す通り、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは同一形状であり、レーザ照射口12を対称軸として対称となる位置に設けられる。第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは、それぞれレーザ照射口12と隣り合う位置に設けられる。
第1ガス通気口15はx軸方向の正の方向側に設けられており、図3に示す例ではステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より後方側(ノズル11の位置の移動方向に対して前方側)にある。第2ガス通気口17はx軸方向の負の方向側に設けられており、図3に示す例ではステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より前方側(ノズル11の位置の移動方向に対して後方側)にある。
図3に示す例では、ステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より後方側(ノズル11の位置の移動方向に対して前方側)にある第1ガス通気口15から第1のガスが吐出され、第1ガス通気口15から吐出される第1のガスはステージSの移動方向に対してレーザ照射口12より前方側(ノズル11の位置の移動方向に対して後方側)にある第2ガス通気口17により吸入されるようになっている。即ち、第1のガスは第1ガス通気口15から第2ガス通気口17へと移動し、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流が生じるようになっている。
また、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とはレーザ照射口12を対称軸として対称となる位置に設けられるため、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17との中央の位置にレーザ照射口12が存在するようになっている。よって、レーザ照射口12から第1ガス通気口15までの距離と、レーザ照射口12から第2ガス通気口17までの距離とに偏りが生じるのを抑えることができるため、レーザ照射口12付近における第1のガスの気流は偏りの少ない安定したものとなるようになっている。
更に、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とはレーザ照射口12と隣り合う位置に設けられる。これにより、レーザ照射口12と第1ガス通気口15との間、及び、レーザ照射口12と第2ガス通気口17との間において、第1のガスの気流を乱す要因になるものを減らすことができるため、第1のガスの気流を安定化することができるようになっている。よって、第1ガス通気口15から第1のガスが吐出され、第2ガス通気口17により吸入される場合、少なくともレーザ照射口12と第2ガス通気口17との間に微粒子Dが近付くと、安定した気流により微粒子Dは第2ガス通気口17に吸入される。一方、第2ガス通気口17から第1のガスが吐出され、第1ガス通気口15により吸入される場合、少なくともレーザ照射口12と第1ガス通気口15との間に微粒子Dが近付くと、安定した気流により微粒子Dは第1ガス通気口15に吸入される。従って、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dを第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17により吸入する精度を高めることができるという効果がある。
ノズル11の第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とは同一形状である。これにより、一の方向に相対的に移動することにより第1ガス通気口15から第1のガスを吐出して第2ガス通気口17から第1のガスを吸入する場合の第1ガス供給弁43及び第2ガス吸入弁48の制御と、一の方向とは逆方向に相対的に移動することにより第2ガス通気口17から第1のガスを吐出して第1ガス通気口15から第1のガスを吸入する場合の第2ガス供給弁44及び第1ガス吸入弁47の制御とを、同一の条件で実行するだけで、いずれの方向に相対的にノズル11が移動したとしても、レーザ照射口12付近で同様のガスの流れを実現できる。即ち、移動方向の切り替えに伴い、第1ガス通気口15及び第2ガス通気口17におけるガスの吐出及び吸入を切り替えたとしても、複雑な調整を不要にできるという効果がある。
次に、第1ガス通気口15における第1のガスの吐出と吸入とを切り替え可能にするための構成について説明するために、第1ガス通気口15、第1ガス接続口16、第1ガスボンベ41a、吸引ポンプ42、第1ガス供給弁43、第1ガス吸入弁47、第1切替弁49について説明する。
第1ガス接続口16は、第1切替弁49をノズル11に接続させるための開口部である。第1ガスボンベ41aは、不活性ガスである第1のガスを貯蔵する容器である。吸引ポンプ42は、第2ガス吐出口から吐出される第1のガスを第1ガス通気口15より吸入するためのポンプである。第1ガス供給弁43は、第1ガスボンベ41aから流れる第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吐出量を調整するためのバルブである。第1ガス吸入弁47は、吸引ポンプ42へと吸入される第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吸入量を調整するためのバルブである。第1切替弁49は、第1ガス通気口15による第1のガスの吐出と吸入とを電気的な信号により切り替えるためのバルブである。
図3に示す通り、ノズル11の側面に、第1ガス通気口15までの空間と連通する第1ガス接続口16が設けられ、第1ガス接続口16には第1切替弁49が接続される。第1切替弁49には、第1ガス供給弁43を介して第1ガスボンベ41aが接続され、第1ガス吸入弁47を介して吸引ポンプ42が接続される。
第1ガス供給弁43において第1ガスボンベ41a側から第1切替弁49側への通路が開放されている場合に、第1切替弁49により第1ガス供給弁43側から第1ガス接続口16側への通路が開放されると、第1ガスボンベ41aから吐出される第1のガスが、第1ガス接続口16を通って第1ガス通気口15から吐出されるようになっている。一方で、第1ガス吸入弁47において吸引ポンプ42側から第1切替弁49への通路が開放されている場合に、第1切替弁49により第1ガス吸入弁47側から第1ガス接続口16側への通路が開放されると、吸引ポンプ42の吸引により第1のガスが第1ガス通気口15から吸入されるようになっている。このように第1切替弁49により、第1ガス通気口15における第1のガスの吐出と吸入とを切り替えることができるようになっている。
次に、第2ガス通気口17における第1のガスの吐出と吸入とを切り替え可能にするための構成について説明するために、第2ガス通気口17、第2ガス接続口18、第1ガスボンベ41a、吸引ポンプ42、第2ガス供給弁44、第2ガス吸入弁48、第2切替弁50について説明する。
第2ガス接続口18は、第2切替弁50をノズル11に接続させるための開口部である。吸引ポンプ42は、上述の通り、第2ガス吐出口から吐出される第1のガスを第1ガス通気口15より吸入するポンプであり、一方で第1ガス通気口15から吐出される第1のガスを第2ガス通気口17より吸入するためのポンプでもある。第2ガス供給弁44は、第1ガスボンベ41aから流れる第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吐出量を調整するためのバルブである。第2ガス吸入弁48は、吸引ポンプ42へと吸入される第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吸入量を調整するためのバルブである。第2切替弁50は、第2ガス通気口17による第1のガスの吐出と吸入とを電気的な信号により切り替えるためのバルブである。
図3に示す通り、ノズル11の側面に、第2ガス通気口17までの空間と連通する第2ガス接続口18が設けられ、第2ガス接続口18には第2切替弁50が接続される。第2切替弁50には、第2ガス供給弁44を介して第1ガスボンベ41aが接続され、第2ガス吸入弁48を介して吸引ポンプ42が接続される。
第2ガス供給弁44において第1ガスボンベ41a側から第2切替弁50側への通路が開放されている場合に、第2切替弁50により第2ガス供給弁44側から第2ガス接続口18側への通路が開放されると、第1ガスボンベ41aから吐出される第1のガスが、第2ガス接続口18を通って第2ガス通気口17から吐出されるようになっている。一方で、第2ガス吸入弁48において吸引ポンプ42側から第2切替弁50への通路が開放されている場合に、第2切替弁50により第2ガス吸入弁48側から第2ガス接続口18側への通路が開放されると、吸引ポンプ42の吸引により第1のガスが第2ガス通気口17から吸入されるようになっている。このように第2切替弁50により、第2ガス通気口17における第1のガスの吐出と吸入とを切り替えることができるようになっている。
次に、第3ガス通気口19から第3のガスを吐出するための構成について説明するために、第3ガス通気口19、第3ガス接続口20、第3ガスボンベ41b、第3ガス供給弁45について説明する。第3ガス通気口19は、第3のガスを吐出するための通気口である。第3ガス接続口20は、第3ガス供給弁45をノズル11に接続させるための開口部である。第3ガスボンベ41bは、不活性ガスである第3のガスを貯蔵する容器である。第3ガス供給弁45は、第3ガスボンベ41bから流れる第3のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第3のガスの吐出量を調整するためのバルブである。
図3に示す通り、ノズル11の側面に、第3ガス通気口19までの空間と連通する第3ガス接続口20が設けられる。そして、第3ガス接続口20は、第3ガス供給弁45を介して第3ガスボンベ41bと接続される。図4に示す通り、第3ガス通気口19は、ノズル11の底面においてレーザ照射口12と第1ガス通気口15、第2ガス通気口17とを包囲する位置に設けられる。
ここで、第3ガス供給弁45において第3ガスボンベ41b側から第3ガス接続口20側への通路が開放されると、第3ガスボンベ41bから第3のガスが吐出され、第3ガス接続口20からノズル11内に第3のガスが吹き込み、第3ガス通気口19から第3のガスが吐出されるようになっている。このとき、レーザ照射位置Eを包囲するように第3のガスが吐出されるようになっている。
これにより、レーザ照射位置Eを第3のガスで取り囲んだ空間内に存在させ、レーザ照射位置Eが大気に触れるのを抑制することができる。ここで、第3ガス通気口19はレーザ照射位置Eを包囲するように第3のガスを吐出するため、レーザ照射位置Eで生じる微粒子Dは第3のガスで取り囲まれた空間から外に出ることが抑制される。一方で、第3のガスで取り囲まれた空間内には、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とが存在するため、第1ガス通気口15により吐出され第2ガス通気口17により吸入される第1のガスの気流、又は、第2ガス通気口17により吐出され第1ガス通気口15により吸入される第1のガスの気流が存在する。そして、第3のガスで取り囲まれた空間内のレーザ照射位置Eで生じる微粒子Dは、第1のガスの気流に乗り、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17に吸入される。これにより、第3のガスで取り囲まれた空間内で発生する微粒子Dをその空間内で滞留させことなく、除去することができる。よって、レーザ照射位置Eを第3のガスで取り囲まれた空間内に存在させることでレーザ照射位置Eが大気に触れるのを防ぎつつ、第3のガスで取り囲まれた空間内で発生した微粒子Dを除去することができるという効果がある。
また、第3ガス通気口19における第3のガスの吐出量がノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17のガスの吸入量より多くなるように調整できるようになっている。具体的には、第3ガス通気口19により吐出される第3のガスの量、及び/又は、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第1ガス通気口15若しくは第2ガス通気口17により吸入されるガスの量が第3ガス供給弁45、第1ガス吸入弁47、第2ガス吸入弁48により調整できるようになっている。
これにより、第3ガス通気口19から吐出される第3のガスの量は第2ガス通気口17により吸入されるガスの量より多くなるため、ノズル11の内側の気圧がノズル11の外側の気圧より高くなる。よって、ノズル11の内側から外側へ向かう第3のガスの気流が生じ、第3ガス通気口19より外側にある大気が第3ガス通気口19より内側に侵入するのを抑制することができる。従って、第3ガス通気口19より内側にあるレーザ照射位置Eが大気に触れるのを抑制することができるという効果がある。
次に、チャンバー21について説明する。チャンバー21は、ノズル11の底面に設けられる凹部状に形成された空間である。図3に示す通り、チャンバー21はレーザ照射位置Eと対向する位置に設けられる。そして、レーザ照射口12はチャンバー21の凹んだ面のうちノズル11の底面に設けられる。
このとき、チャンバー21の凹んだ面のうちノズル11の底面であるチャンバー21の底面とワークWとの間に、ノズル11とワークWとで形成される間隙よりも広い間隙が形成されるようになっている。また、レーザ照射口12がチャンバー21の底面に設けられるため、ノズル11とワークWとの距離を近付けてもレーザ照射位置Eからレーザ照射口12までの距離を離すことができる。これにより、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dがレーザ照射口12に付着する可能性を抑制することができるという効果がある。なお、膨張したプルームPがレーザ照射口12に接触するのを防ぐため、レーザ照射位置Eからレーザ照射口12までの距離が1mm以上離れるようにチャンバー21を設けるとよい。
また、ノズル11とワークWとの距離を近付けた場合、チャンバー21とワークWとの間に形成される間隙内に外部から侵入する空気が少なくなるようになっている。そして、チャンバー21の凹んだ面のうちノズル11の底面に第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とが設けられるため、第1ガス通気口15から吐出された第1のガスはチャンバー21とワークWとの間に形成される間隙内を移動して第2ガス通気口17により吸入される。同様に、第2ガス通気口17から吐出された第1のガスはチャンバー21とワークWとの間に形成される間隙内を移動して第1ガス通気口15により吸入される。よって、間隙内に外部から侵入する空気が少ない中で第1のガスの気流が生じるため、第1のガスの気流が乱れるのを抑制することができる。従って、レーザ照射位置Eで発生する微粒子Dを第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17により吸入する精度を高めることができるという効果がある。
次に、図5を参照して、ステージSの移動、即ち、ワークWに対するノズル11の相対的な移動について説明する。図5は、ワークWに対するノズル11の相対的な移動方向を模式的に示した模式図である。
先ず、ワークWに対するノズル11の相対的な移動、即ち、ノズル11の位置の移動について説明する。使用者がタッチパネル65を操作してレーザ加工装置10によりレーザ加工を開始するように指示すると、制御装置60が後述のプログラムデータ62aに従ってノズル11の位置を移動させるようにステージ制御装置57に指示する。
図5に示す例では、ノズル11の位置は、後述のプログラムデータ62aに従い原点の座標(0,0)から出発し、座標(0,n1)、(m1,n1)、(m4,n1)、(m5,n1)、(m8,n1)、(m8,n2)、(m6,n2)、(m3,n2)、(m1,n2)、(m1,n3)、(m2,n3)、(m7,n3)、(m8,n3)、(m8,n4)、(m6,n4)、(m3,n4)、(m1,n4)、(m1,n5)、(m4,n5)、(m5,n5)、(m8,n5)、(m8,0)を順に通過し、原点に戻るように移動する。
図5に示すように、レーザ加工装置10は、x軸の正の方向の移動(例えば、座標(0,n1)から座標(m8,n1)への移動)が終了したらy軸の負の方向にノズル11の位置をずらすようにステージSを移動させる(例えば、座標(m8,n1)から座標(m8,n2)への移動)。そして、レーザ加工装置10は、ノズル11の位置をx軸の負の方向に折り返して移動させ(例えば、座標(m8,n2)から座標(m1,n2)への移動)、x軸方向の移動が終了したらy軸の負の方向にノズル11の位置をずらすようにステージSを移動させる(例えば、座標(m1,n2)から座標(m1,n3)への移動)。これを繰り返すことでステージS上に載置されるワークWにレーザ光Lを照射できるようになっている。ワークWへのレーザ光Lの照射が終わると、レーザ加工装置10はノズル11の位置を原点に戻す。なお、ノズル11の位置が原点を出発してから原点に戻るまでの間、ノズル11は、レーザ照射口12の長手方向がx軸と直交する向きを維持した状態で相対的に移動するようになっている。
次に、ステージSが移動している最中にどの位置でレーザ光Lが照射されるかについて説明する。図5では、レーザ光Lが照射される区間を太線で表している。レーザ加工装置10は、ノズル11の位置がレーザ照射を開始する位置であるレーザ照射開始位置LSに到着するとレーザ光Lの照射を開始し、ノズル11の位置がレーザ照射を終了する位置であるレーザ照射終了位置LFに到着するとレーザ光Lの照射を終了する。図5の例では、ノズル11の位置がレーザ照射開始位置LSの座標(m4,n1)に到着してからレーザ照射終了位置LFの座標(m5,n1)に到着するまでの間、レーザ照射開始位置LSの座標(m6,n2)に到着してからレーザ照射終了位置LFの座標(m3,n2)に到着するまでの間、レーザ照射開始位置LSの座標(m2,n3)に到着してからレーザ照射終了位置LFの座標(m7,n3)に到着するまでの間、レーザ照射開始位置LSの座標(m6,n4)に到着してからレーザ照射終了位置LFの座標(m3,n4)に到着するまでの間、レーザ照射開始位置LSの座標(m4,n5)に到着してからレーザ照射終了位置LFの座標(m5,n5)に到着するまでの間はレーザ光LをワークWに照射し、それ以外はレーザ光Lの照射を中断させるようになっている。このように、ノズル11の位置がワークW上においてx軸方向に移動するときに、レーザ照射装置30はレーザ光Lを照射させるようになっている。一方で、ノズル11の位置がy軸方向に移動するときには、レーザ照射装置30はレーザ光Lの照射を中断させるようになっている。
次に、ステージSが移動している最中にどの位置でガスの吐出及び吸入が行われるかについて説明する。レーザ加工装置10は、ノズル11の位置がガスの吐出吸入を開始する位置であるガス吐出吸入開始位置GSに到着するとガスの吐出及び吸入を開始し、ノズル11の位置がガスの吐出吸入を終了する位置であるガス吐出吸入終了位置GFに到着するとガスの吐出及び吸入を終了する。図5の例では、ノズル11の位置が、ガス吐出吸入開始位置GSの座標(m1,n1)に到着してから、ガス吐出吸入終了位置GFの座標(m8,n5)に到着するまで、ガスの吐出と吸入とを行うようになっている。なお、ガス吐出吸入開始位置GSは、ワークWとレーザ照射口12とが対向しない位置にあり、レーザ照射が始まる前にガスの吐出及び吸入が開始されるようになっている。レーザ照射が開始されるときには既にガスの吐出と吸入とが行われているため、レーザ照射開始直後から微粒子Dを確実に除去できるようになっている。
なお、本実施形態では、ガス吐出吸入終了位置GFをレーザ照射が全て完了するレーザ照射終了位置LFよりも後の位置としている。これにより、レーザ照射が全て完了した後もガスの吐出及び吸入が継続されるため、レーザ照射が全て完了した後に吸入されずに滞留している微粒子Dが存在したとしても、微粒子Dを除去することができるようになっている。
次に、図6を参照して、レーザ加工装置10の電気的構成について説明する。図6は、レーザ加工装置10の電気的構成を示したブロック図である。レーザ加工装置10に備えられた制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)61と、メモリ62とを有しており、それらはバスライン66を介して接続されている。また、バスライン66には、制御装置60の外部からレーザ照射装置30、ガス供給吸入装置40、表示装置64、タッチパネル65、ステージ制御装置57が接続されている。
CPU61は、メモリ62に記憶されたプログラムデータ62aに従って、レーザ照射装置30によるレーザ光Lの照射、ガス供給吸入装置40によるガスの吐出及び吸入、ステージSの移動を制御するための各種演算を実行する演算装置である。
メモリ62は、CPU61において後述のレーザ照射プログラムを実行するためのプログラムデータ62aを記憶するほか、固定値データ等を記憶するためのメモリである。メモリ62には、例えば、書換え可能な不揮発性のメモリであるフラッシュメモリを用いることができる。プログラムデータ62aの詳細は後述する。
次に、ステージ制御装置57について説明する。ステージ制御装置57は、CPU58と、メモリ59とを有しており、それらはバスライン54を介して接続されている。また、バスライン54には、ステージ制御装置57の外部から制御装置60、ステージSが接続されている。
CPU58は、制御装置60のCPU61から送信される移動の命令に従って、ステージSの移動を制御するための各種演算を実行する演算装置である。CPU58は、CPU61から送信される移動の命令で示される座標と後述のノズル位置情報59aの座標とが一致するようにx軸モータ56aとy軸モータ56bとを駆動させるようになっている。
メモリ59は、少なくともノズル位置情報59aを記憶するためのメモリである。メモリ59には、例えば、書換え可能な揮発性のメモリであるRAM(Random access memory)を用いることができる。
ノズル位置情報59aは、ノズル11の位置の座標を示すデータである。ステージSのx軸送りねじ及びy軸送りねじに取付けられたロータリエンコーダから送信されるx軸送りねじの回転角とy軸送りねじの回転角とをステージ制御装置57が例えば3ミリ秒毎に受信すると、x軸送りねじの回転角とy軸送りねじの回転角に基づいてステージ制御装置57は演算を行いノズル11の位置を求め、ノズル位置情報59aとして順次記憶する。ノズル位置情報59aは、ノズル11の位置がCPU61から送信される移動の命令で示される座標の位置に到着したか否かを判断するときにCPU58により用いられる。ノズル位置情報59aにより、ノズル11の位置がわかるため、ノズル11の位置に基づいて、レーザ光Lの照射やガスの吐出及び吸入の制御を行うことができるようになっている。
次に、図7~図9を参照して、レーザ照射プログラムについて説明する。図7は、メモリ62に格納されるレーザ照射プログラムのプログラムデータ62aの一例を模式的に示した模式図であり、図8は、CPU61により実行されるレーザ照射プログラムの前半部分を示すフローチャートであり、図9は、CPU61により実行されるレーザ照射プログラムの後半部分を示すフローチャートである。レーザ照射プログラムは、ステージSを移動させ、レーザ照射装置30からレーザ光Lを照射させ、ガス供給吸入装置40からガスを吐出及び吸入させるためのプログラムである。図7に示す通り、プログラムデータ62aには予め設定された命令の内容62a1が記憶されている。命令の内容62a1は、CPU61がレーザ照射装置30、ガス供給吸入装置40、ステージ制御装置57に対して指示する命令のデータである。
使用者がタッチパネル65を操作してレーザ加工装置10によりレーザ加工を開始するように指示すると、レーザ照射プログラムがCPU61により実行される。図8、図9に示す通り、レーザ照射プログラムにおいて、CPU61は、命令の内容62a1を図7の上から順番に実行する。
図5、図7~図9の例では、CPU61がレーザ照射プログラムを実行すると、CPU61はレーザ照射装置30に対してレーザ条件を設定する(S1)。具体的には、レーザ光Lのパワーp(W)と周波数F(Hz)とを設定する。例えば、レーザ光Lのパワーpは50Wに設定され、周波数Fは100Hzに設定される。
次に、CPU61はステージ制御装置57に対してステージSの移動速度V(mm/s)を設定する(S2)。例えば、ステージSの移動速度Vは10mm/sに設定される。これにより、ステージ制御装置57は、ステージSの移動速度が設定値となるようにx軸モータ56a、y軸モータ56bを駆動させることができるようになっている。また、ステージSの移動速度Vを設定することで、ワークW上にある一点をレーザ照射口12が通過するのに要する時間を調整することができる。よって、ワークW上にある一点に対してレーザ光Lが照射される時間を調整できるようになっている。
次に、CPU61はガス供給吸入装置40に対してノズル11の第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17から吐出されるガスの吐出量(L/min)及び吸入量(L/min)と第3ガス通気口19、レーザ照射口12から吐出されるガスの吐出量(L/min)を設定する(S3)。これにより、ガス供給吸入装置40は第1ガス供給弁43、第2ガス供給弁44、第3ガス供給弁45、第4ガス供給弁46、第1ガス吸入弁47、第2ガス吸入弁48の開閉を調整する。例えば、第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17から吐出・吸入されるガスの吐出量と吸入量とはそれぞれ1L/minに設定される。ガスの吐出量と吸入量とは同量にすることで、吐出されたガスが過不足なく吸入されるため、気流を安定させることができるようになっている。また、第3ガス通気口19から吐出されるガスの吐出量は、例えば、2L/minに設定され、レーザ照射口12から吐出されるガスの吐出量は、例えば、0.1L/minに設定される。
次に、CPU61はノズル11の位置をy軸の正の方向に移動させて座標(0,n1)に移動させる(S4)。具体的には、CPU61は、ステージSをy軸方向に-n1(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してy軸モータ56bによってy軸送りねじを回転させる。その後、CPU61はノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させてガス吐出吸入開始位置GSの座標(m1,n1)に移動させる(S5)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向に-m1(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。これにより、ノズル11の位置をガス吐出吸入開始位置GSに移動させることができるため、レーザ加工装置10は、後述のS8の処理によりガス吐出吸入開始位置GSでガスの吐出吸入を開始できるようになっている。
ここで、上述の通り、第1ガス通気口15はx軸方向の正の方向側に設けられており、第2ガス通気口17はx軸方向の負の方向側に設けられているため、ノズル11の位置がx軸方向の正の方向に移動する場合(図5の例では座標(0,n1)から座標(m8,n1)に移動する場合)、第1ガス通気口15はノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側にあり、第2ガス通気口17はノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側にある。そこで、CPU61は、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側にある第1ガス通気口15から第1のガスを吐出するためにS6の処理を実行し、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側にある第2ガス通気口17から第1のガスを吸入するためにS7の処理を実行する。
具体的には、S6の処理において、CPU61は、ガス供給吸入装置40に指示して第1ガス供給弁43側の通路を開き、第1ガス吸入弁47側の通路を閉じる(以下、『第1の状態』と称す)ように第1切替弁49を駆動する。
次にS7の処理において、CPU61は、ガス供給吸入装置40に指示して第2ガス供給弁44側の通路を閉じ、第2ガス吸入弁48側の通路を開く(以下、『第2の状態』と称す)ように第2切替弁50を駆動する。これにより、ノズル11の位置がx軸方向の正の方向に移動する場合、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を作ることができる。
次に、CPU61は、ガスの吐出吸入をONするようにガス供給吸入装置40に指示する(S8)。これにより、第1ガス通気口15から第1のガスが吐出され、第2ガス通気口17により吸入され、第3ガス通気口19から第3のガスが吐出され、レーザ照射口12から第4のガスが吐出される。
S6~S8の処理は、後述するS10の処理より前に行われるため、レーザ照射開始前にノズル11の位置の移動方向の前方側から後方側への気流を作っておくことができる。そのため、レーザ照射が開始されると発生する微粒子Dを確実に除去することができるようになっている。
その後、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させてレーザ照射開始位置LSの座標(m4,n1)へ移動させる(S9)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm1-m4(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、レーザ照射をONするようにレーザ照射装置30に指示する(S10)。これにより、レーザ加工装置10は、レーザ照射開始位置LSでレーザ照射を開始できるようになっている。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させてレーザ照射終了位置LFの座標(m5,n1)へ移動させる(S11)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm4-m5(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、レーザ照射をOFFするようにレーザ照射装置30に指示する(S12)。これにより、レーザ加工装置10は、レーザ照射終了位置LFでレーザ照射を終了できるようになっている。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させて座標(m8,n1)に移動させた後(S13)、y軸の負の方向に移動させて座標(m8,n2)に移動させる(S14)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm5-m8(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、ステージSをy軸方向にn1-n2(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してy軸モータ56bによってy軸送りねじを回転させる。
次に、図9を参照して、レーザ照射プログラムの後半部分について説明する。CPU61は、S14の処理によりノズル11の位置を座標(m8,n2)に移動させた後、x軸方向の負の方向への移動を開始する前にS15の処理とS16の処理とを実行する。
ここで、上述の通り、第1ガス通気口15はx軸方向の正の方向側に設けられており、第2ガス通気口17はx軸方向の負の方向側に設けられているため、ノズル11の位置がx軸方向の負の方向に移動する場合(図5の例では座標(m8,n2)から座標(m1,n2)に移動する場合)、第1ガス通気口15はノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側にあり、第2ガス通気口17はノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側にある。そこで、CPU61は、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側にある第1ガス通気口15から第1のガスを吸入するためにS15の処理を実行し、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側にある第2ガス通気口17から第1のガスを吐出するためにS16の処理を実行する。
具体的には、S15の処理において、CPU61は、第1ガス供給弁43側の通路を閉じ、第1ガス吸入弁47側の通路を開く(以下、『第3の状態』と称す)ように第1切替弁49を駆動する。
次に、S16の処理において、CPU61は、第2ガス供給弁44側の通路を開き、第2ガス吸入弁48側の通路を閉じる(以下、『第4の状態』と称す)ように第2切替弁50を駆動する。これにより、ノズル11の位置がx軸方向の負の方向に移動する場合、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を作ることができる。
S15の処理とS16の処理とは、後述するS18処理によってレーザ照射が開始される前に行われるため、レーザ照射開始前からノズル11の位置の移動方向の前方側から後方側への気流を作っておくことができる。そのため、レーザ照射が開始されると発生する微粒子Dを確実に除去することができるようになっている。
なお、本実施形態では、第3の状態になるように第1切替弁49を駆動した後、第4の状態になるように第2切替弁50を駆動するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、先に第4の状態になるように第2切替弁50を駆動した後、第3の状態になるように第1切替弁49を駆動するようにしてもよい。これにより、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17との両方がガスの吸入を行うことを避けることができるため、負圧になることによってレーザ照射位置E付近に外気が侵入する可能性をより確実に抑制することができるという効果がある。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の負の方向に移動させてレーザ照射開始位置LSの座標(m6,n2)へ移動させる(S17)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm6-m8(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、レーザ照射をONするようにレーザ照射装置30に指示する(S18)。これにより、レーザ加工装置10は、レーザ照射開始位置LSでレーザ照射を開始できるようになっている。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の負の方向に移動させてレーザ照射終了位置LFの座標(m3,n2)へ移動させる(S19)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm6-m3(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、レーザ照射をOFFするようにレーザ照射装置30に指示する(S20)。これにより、レーザ加工装置10は、レーザ照射終了位置LFでレーザ照射を終了できるようになっている。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の負の方向に移動させて座標(m1,n2)に移動させた後(S21)、y軸の負の方向に移動させて座標(m1,n3)に移動させる(S22)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm3-m1(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、ステージSをy軸方向にn2-n3(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してy軸モータ56bによってy軸送りねじを回転させる。
以降、同様にCPU61は命令の内容62a1を図7の上から順番に実行していく。そして、S43の処理でCPU61は、ノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させてレーザ照射終了位置LFの座標(m5,n5)へ移動させる。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm4-m5(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、レーザ照射をOFFするようにレーザ照射装置30に指示する(S44)。これにより、レーザ加工装置10は、レーザ照射終了位置LFでレーザ照射を終了できるようになっている。なお、本実施形態では座標(m5,n5)が全てのレーザ照射が完了する位置となっている。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をx軸の正の方向に移動させて座標(m8,n5)に移動させる(S45)。具体的には、CPU61は、ステージSをx軸方向にm5-m8(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、ガスの吐出吸入をOFFするようにガス供給吸入装置40に指示する(S46)。これにより、全てのレーザ照射が完了する座標(m5,n5)よりも後の位置でガスの吐出吸入がOFFされるため、レーザ照射が全て完了した後もガスの吐出吸入が継続され、レーザ照射が全て完了した後に吸入されずに滞留している微粒子Dが存在したとしても、微粒子Dを除去することができるという効果がある。
次に、CPU61は、ノズル11の位置をy軸の負の方向に移動させて座標(m8,0)に移動させた後(S47)、x軸の負の方向に移動させて原点(0,0)に移動させ(S48)、CPU61はレーザ照射プログラムを終了する。具体的には、CPU61は、ステージSをy軸方向にn5(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してy軸モータ56bによってy軸送りねじを回転させる。その後、CPU61は、ステージSをx軸方向にnm8(mm)移動させるようにステージ制御装置57を介してx軸モータ56aによってx軸送りねじを回転させた後、レーザ照射プログラムを終了する。これにより、ノズル11の位置を原点に復帰させた後でレーザ照射プログラムが終了するようになっている。従って、次に新しいワークWに対してレーザ照射プログラムを実行する場合、ノズル11の位置を原点の位置として実行することができる。
以上説明した通り、第1実施形態におけるノズル11及びノズル11を有するレーザ加工装置10によれば、ノズル11に備えられたレーザ照射口12からワークWのレーザ照射位置Eに向けてレーザ光Lが照射される。ノズル11の位置が第1ガス通気口15の側に移動する場合、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側に設けられた第1ガス通気口15から第1のガスが吐出される。そして、第1ガス通気口15から吐出された第1のガスは、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第2ガス通気口17により吸入される。これにより、第1のガスは第1ガス通気口15から第2ガス通気口17へと移動する。そして、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流が生じる。同様に、ノズル11の位置が第2ガス通気口17の側に移動する場合、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より前方側に設けられた第2ガス通気口17から第1のガスが吐出される。そして、第2ガス通気口17から吐出された第1のガスは、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第1ガス通気口15により吸入される。これにより、第1のガスは第2ガス通気口17から第1ガス通気口15へと移動する。そして、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流が生じる。
よって、いずれの場合もノズル11の位置の進行方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を生じさせることができる。従って、ノズル11の位置の移動方向が変化した場合であっても、ノズル11の向きを変化させることなくレーザ加工を行うことができ、ノズル11の向きを変化させる手間を省きつつ、微粒子Dを効率的に除去することができるという効果がある。
また、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とはレーザ照射口12を対称軸として対称となる位置に設けられるため、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17との中央の位置にレーザ照射口12が存在する。よって、レーザ照射口12から第1ガス通気口15までの距離と、レーザ照射口12から第2ガス通気口17までの距離とに偏りが生じるのを抑えることができるため、レーザ照射口12付近における第1のガスの気流は偏りの少ない安定したものとなる。そして、レーザ照射位置Eにおいてレーザ光Lが照射されることで発生する微粒子Dがレーザ照射口12付近に近付くと、微粒子Dは安定した第1のガスの気流に乗り、ノズル11の位置の移動方向に対してレーザ照射口12より後方側に設けられた第1ガス通気口15又は第2ガス通気口17により吸入される。従って、真空にするための構成を必要とすることなく微粒子Dを効率的に除去することができるという効果がある。
レーザ光LがワークWに照射されてから微粒子Dが飛散するまでに約50μ秒の時間を要する。その間にもワークWとノズル11との相対的な位置は変化する。即ち、レーザ光Lが照射された位置はノズル11の位置の移動方向の後方側へと移動する。一方で、ノズル11の位置の移動方向の後方側にある第2ガス通気口17で微粒子Dが吸入されるため、微粒子Dの発生場所と第2ガス通気口17との距離を近付けることができる。よって、微粒子Dをより確実に除去することができるという効果がある。
次いで、図10及び図11を参照して、本発明の第2実施形態であるノズル211を有するレーザ加工装置10について説明する。第1実施形態のノズル11を有するレーザ加工装置10は、ノズル11の位置をx軸の正の方向と負の方向との2方向に移動させてレーザ光Lを照射する場合に、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とを切り替えて使用することで微粒子Dを除去することができるものとした。
これに対し、第2実施形態であるノズル211を有するレーザ加工装置10は、ノズル11の位置を4つの往復方向つまり8方向に移動させてレーザ光Lを照射する場合に12個の通気口を切り替えて使用することで微粒子Dを除去できるものである。具体的に8方向は(1)x軸の正の方向、(2)原点から座標(m、m)に向かう方向(以下、「x軸の正の方向かつy軸の正の方向」と称す)、(3)原点から座標(m、-m)に向かう方向(以下、「x軸の正の方向かつy軸の負の方向」と称す)、(4)原点から座標(-m、m)に向かう方向(以下、「x軸の負の方向かつy軸の正の方向」と称す)、(5)原点から座標(-m、-m)に向かう方向(以下、「x軸の負の方向かつy軸の負の方向」と称す)、(6)x軸の負の方向、(7)y軸の正の方向、(8)y軸の負の方向である。このように、第2実施形態であるノズル211を有するレーザ加工装置10は、ノズル11の位置を8方向に移動させてレーザ光Lを照射する場合に12個の通気口を切り替えて使用することで微粒子Dを除去できるものであるため、レーザ光Lの照射を続けたままノズル211の位置の移動方向を8方向に変化させることができるようになっている。よって、レーザ光Lの照射を続けたままワークW全体にレーザ加工を施すことができるようになっている。
以下、第2実施形態のノズル211を有するレーザ加工装置10について、第1実施形態のノズル11を有するレーザ加工装置10と相違する点を中心に説明し、第1実施形態のノズル11を有するレーザ加工装置10と同一の構成及び処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は、第2実施形態であるノズル211を下側(ワークWと対向する側)から見たときのノズル11の構成とガス供給吸入装置40a~40mの構成とを模式的に示した模式図である。第2実施形態のノズル211は第1のガスを吐出及び吸入するための通気口として、12個の通気口が設けられている。これらの通気口は、ノズル211の位置が移動可能な8方向、即ち4つの往復方向のそれぞれの方向における前方側と後方側とに設けられ、レーザ照射口12を対称軸又は対称中心として対称の位置に通気口が設けられている。また、それぞれの通気口は、それぞれの通気口毎に第1のガスの吐出及び吸入が切替できるようになっている。
先ず、それぞれの通気口の配置について説明する。図10に示す通り、第1のガスを吐出及び吸入するための通気口であるX1通気口101、X2通気口102、X3通気口103、X4通気口104、X5通気口105、X6通気口106、X7通気口107、X8通気口108、Y1通気口109、Y2通気口110、Y3通気口111、Y4通気口112がレーザ照射口12を取り囲むように設けられている。
そして、X1通気口101、X4通気口104、X5通気口105、X8通気口108は同一の形状であり、X2通気口102、X3通気口103、X6通気口106、X7通気口107は同一の形状であり、Y1通気口109、Y2通気口110、Y3通気口111、Y4通気口112は同一の形状である。
X1通気口101はX5通気口105と、X2通気口102はX6通気口106と、X3通気口103はX7通気口107と、X4通気口104はX8通気口108と、レーザ照射口12の中心を通るy軸方向の直線を対称軸として、それぞれ対称の位置に配置されている。そして、ノズル211の位置がx軸方向に移動する場合に、その移動方向において対称の関係にある通気口間でガスの吐出及び吸入を行うようなっている。
X1通気口101はX4通気口104と、X5通気口105はX8通気口108と、Y1通気口109はY3通気口111と、Y2通気口110はY4通気口112と、レーザ照射口12の中心を通るx軸方向の直線を対称軸として、それぞれ対称の位置に配置されている。そして、ノズル211の位置がy軸方向に移動する場合に、その移動方向において対称の関係にある通気口間でガスの吐出及び吸入を行うようなっている。
X1通気口101はX8通気口108と、X2通気口102はX7通気口107と、Y2通気口110はY3通気口111と、レーザ照射口12の中心を対称中心として、それぞれ対称の位置に配置されている。そして、ノズル211の位置がx軸の負の方向かつy軸の負の方向、x軸の正の方向かつy軸の正の方向に移動する場合に、その移動方向において対称の関係にある通気口間でガスの吐出及び吸入を行うようなっている。
X3通気口103はX6通気口106と、X4通気口104はX5通気口105と、Y1通気口109はY4通気口112とレーザ照射口12の中心を対称中心として、それぞれ対称の位置に配置されている。そして、ノズル211の位置がx軸の負の方向かつy軸の正の方向、x軸の正の方向かつy軸の負の方向に移動する場合に、その移動方向において対称の関係にある通気口間でガスの吐出及び吸入を行うようなっている。
次に、それぞれの通気口とガス供給吸入装置40a~40mとの接続について説明する。X1通気口101にはガス供給吸入装置40aに備えられる切替弁101aが接続されている。また、切替弁101aには第1ガスボンベ41aと接続されたガス供給弁101bと、吸引ポンプ42と接続されたガス吸入弁101cとが接続されている。
ガス供給弁101bは、第1ガスボンベ41aから流れる第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吐出量を調整するためのバルブである。ガス吸入弁101cは、吸引ポンプ42へと吸入される第1のガスの通路を電気的な信号により開閉することで、第1のガスの吸入量を調整するためのバルブである。切替弁101aは、X1通気口101における第1のガスの吐出、吸入、停止を電気的な信号により切り替えるためのバルブである。
ガス供給弁101bにおいて第1ガスボンベ41a側から切替弁101a側への通路が開放されている場合に、切替弁101aによりガス供給弁101b側からX1通気口101側への通路が開放されると、第1ガスボンベ41aから吐出される第1のガスがX1通気口101から吐出されるようになっている。一方で、ガス吸入弁101cにおいて吸引ポンプ42側から切替弁101a側への通路が開放されている場合に、切替弁101aによりガス吸入弁101c側からX1通気口101側への通路が開放されると、吸引ポンプ42の吸引により第1のガスがX1通気口101から吸入されるようになっている。このように切替弁101aにより、他の通気口とは関係なく独立してX1通気口101における第1のガスの吐出と吸入とを切り替えることができるようになっている。
図示はしないが、X2通気口102、X3通気口103、X4通気口104、X5通気口105、X6通気口106、X7通気口107、X8通気口108、Y1通気口109、Y2通気口110、Y3通気口111、Y4通気口112もX1通気口101と同様の構成のガス供給吸入装置40b~40mが接続されており、これにより他の通気口とは関係なく独立して第1のガスの吐出と吸入とを切り替えることができるようになっている。
このように、ノズル211の位置が上記の8方向に移動する場合に、その移動方向において対称の関係にある通気口のそれぞれでガスの吐出及び吸入を切り替えることができるようなっている。このとき、ガスの吐出を行う通気口の数とガスの吸入を行う通気口の数は同数になっている。
次に、図11(a)~(h)を参照して、ノズル211の位置がどの方向に移動したときにどの通気口がガスの吐出・吸入を行うかについて説明する。図11(a)は、ノズル11の位置が(1)x軸の正の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(b)は、ノズル11の位置が(2)x軸の正の方向かつy軸の正の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(c)は、ノズル11の位置が(3)x軸の正の方向かつy軸の負の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(d)は、ノズル11の位置が(4)x軸の負の方向かつy軸の正の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(e)は、ノズル11の位置が(5)x軸の負の方向かつy軸の負の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(f)は、ノズル11の位置が(6)x軸の負の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(g)は、ノズル11の位置が(7)y軸の正の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図であり、図11(h)は、ノズル11の位置が(8)y軸の負の方向に移動する場合の各通気口の吐出・吸入の状態を示す模式図である。なお、図11(a)~(h)において表示されている矢印は、ガスが流れる方向を示している。
図11(a)に示す通り、ノズル211の位置が(1)x軸の正の方向に移動する場合は、X1通気口101、X2通気口102、X3通気口103、X4通気口104から第1のガスを吐出し、X5通気口105、X6通気口106、X7通気口107、X8通気口108から第1のガスを吸入し、Y1通気口109、Y2通気口110、Y3通気口111、Y4通気口112は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の正の方向からx軸の負の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(b)に示す通り、ノズル211の位置が(2)x軸の正の方向かつy軸の正の方向に移動する場合は、X1通気口101、X2通気口102、Y2通気口110から第1のガスを吐出し、X7通気口107、X8通気口108、Y3通気口111から第1のガスを吸入し、X3通気口103、X4通気口104、X5通気口105、X6通気口106、Y1通気口109、Y4通気口112は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の正の方向かつy軸の正の方向からx軸の負の方向かつy軸の負の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(c)に示す通り、ノズル211の位置が(3)x軸の正の方向かつy軸の負の方向に移動する場合は、X3通気口103、X4通気口104、Y4通気口112から第1のガスを吐出し、X5通気口105、X6通気口106、Y1通気口109から第1のガスを吸入し、X1通気口101、X2通気口102、X7通気口107、X8通気口108、Y2通気口110、Y3通気口111は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の正の方向かつy軸の負の方向からx軸の負の方向かつy軸の正の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(d)に示す通り、ノズル211の位置が(4)x軸の負の方向かつy軸の正の方向に移動する場合は、X5通気口105、X6通気口106、Y1通気口109から第1のガスを吐出し、X3通気口103、X4通気口104、Y4通気口112から第1のガスを吸入し、X1通気口101、X2通気口102、X7通気口107、X8通気口108、Y2通気口110、Y3通気口111は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の負の方向かつy軸の正の方向からx軸の正の方向かつy軸の負の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(e)に示す通り、ノズル211の位置が(5)x軸の負の方向かつy軸の負の方向に移動する場合は、X7通気口107、X8通気口108、Y3通気口111から第1のガスを吐出し、X1通気口101、X2通気口102、Y2通気口110から第1のガスを吸入し、X3通気口103、X4通気口104、X5通気口105、X6通気口106、Y1通気口109、Y4通気口112は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の負の方向かつy軸の負の方向からx軸の正の方向かつy軸の正の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(f)に示す通り、ノズル211の位置が(6)x軸の負の方向に移動する場合は、X5通気口105、X6通気口106、X7通気口107、X8通気口108から第1のガスを吐出し、X1通気口101、X2通気口102、X3通気口103、X4通気口104から第1のガスを吸入し、Y1通気口109、Y2通気口110、Y3通気口111、Y4通気口112は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、x軸の負の方向からx軸の正の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(g)に示す通り、ノズル211の位置が(7)y軸の正の方向に移動する場合は、X1通気口101、X5通気口105、Y1通気口109、Y2通気口110から第1のガスを吐出し、X4通気口104、X8通気口108、Y3通気口111、Y4通気口112から第1のガスを吸入し、X2通気口102、X3通気口103、X6通気口106、X7通気口107は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、y軸の正の方向からy軸の負の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
図11(h)に示す通り、ノズル211の位置が(8)y軸の負の方向に移動する場合は、X4通気口104、X8通気口108、Y3通気口111、Y4通気口112から第1のガスを吐出し、X1通気口101、X5通気口105、Y1通気口109、Y2通気口110から第1のガスを吸入し、X2通気口102、X3通気口103、X6通気口106、X7通気口107は、吐出及び吸入が停止するようになっている。これにより、y軸の負の方向からy軸の正の方向に向かうガスの流れが生じるようになっている。
このように、ノズル211の位置が8方向のうちのいずれの方向に進んでも、ノズル211の位置の移動方向の前方側にある通気口から第1のガスを吐出し、ノズル211の位置の移動方向の後方側にある通気口から第1のガスを吸入することができるようになっている。なお、吐出及び吸入が停止している通気口からガスが漏れることで気流が乱れるのを防ぐために気圧を調節するための弁を設けてもよい。
以上説明した通り、第2実施形態のノズル211及びノズル211を有するレーザ加工装置10によれば、ノズル211は、ノズル211の位置の移動方向を4つの往復方向(8方向)に変化可能なレーザ加工装置10に取着される。これに対して、第1のガスを吐出、吸入するための通気口は、ノズル211の位置の移動方向のそれぞれの方向に対して設けられる。また、ノズル211は、ノズル211の位置の移動方向に係る往復の方向毎に同じ数の通気口を備える。そして、CPU61は、前方側にある通気口により第1のガスを吐出しつつ、後方側にある通気口により第1のガスを吸入するようにガス供給吸入装置40a~40mを制御する。これにより、ノズル211の位置の移動方向の前方側にある通気口から第1のガスを吐出し、ノズル211の位置の移動方向の後方側にある通気口からその吐出された第1のガスを吸入することができる。このとき、ガスを吐出する通気口の数とガスを吸入する通気口の数とは同じであるため、ガスの気流を安定したものとすることができる。よって、ノズル211の位置の移動方向が複数の往復の方向に変化する場合であっても、ノズル211の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かうガスの安定した気流を生じさせることができ、微粒子Dを効率的に除去することができるという効果がある。
その他、第2実施形態のおけるノズル211及びノズル211を有するレーザ加工装置10は、第1実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
次いで、図12を参照して、本発明の第3実施形態であるレーザ加工装置10について説明する。第1実施形態のレーザ加工装置10は、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とで第1のガスの吐出及び吸入を切り替えることで、ノズル11の位置の移動方向の前方側にある通気口から第1のガスを吐出し、後方側にある通気口により第1のガスを吸入するものである。
これに対し、第3実施形態におけるレーザ加工装置10は、第1ガス通気口15と第2ガス通気口17とで第1のガスの吐出及び吸入を切り替えることは行わず、第1ガス通気口15から第1のガスを吐出し、第2ガス通気口17により第1のガスを吸入する。一方で、第1ガス通気口15がノズル11の位置の移動方向の前方側に来るように、モータMOによりノズル11を回転させるものである。
以下、第3実施形態のレーザ加工装置10について、第1実施形態のレーザ加工装置10と相違する点を中心に説明する。第1実施形態のノズル11を有するレーザ加工装置10と同一の構成及び処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図12は、第3実施形態であるステージSがx軸の負の方向(ノズル11の位置がx軸の正の方向)に移動しているときのレーザ加工装置10の構成を概略的に示す概略図である。
先ず、モータMOについて説明する。図12に示す通り、第3実施形態のレーザ加工装置10はモータMOを有する。モータMOは、第1ガス通気口15がノズル11の位置の移動方向の前方側に来るようにノズル11の向きを回転させるための装置である。モータMOはノズル11と接続されており、モータMOが駆動されるとレーザ光Lの通路を回転軸としてノズル11が回転するようになっている。
また、モータMOは制御装置60と電気的に接続されており、制御装置60の指示に基づいてモータMOが駆動するようになっている。図12に示す通り、ステージSの移動方向がx軸の負の方向(ノズル11の位置の移動方向がx軸の正の方向)である場合、ステージSの移動方向の後方側(ノズル11の位置の移動方向の前方側)であるx軸の正の方向側に第1ガス通気口15がある。これに対し、ステージSの移動方向がx軸の正の方向(ノズル11の位置の移動方向がx軸の負の方向)である場合、ステージSの移動方向の後方側(ノズル11の位置の移動方向の前方側)であるx軸の負の方向側に第1ガス通気口15が来るように、制御装置60はモータMOを駆動する。このように、ステージSの移動方向の後方側(ノズル11の位置の移動方向の前方側)に第1ガス通気口15が来るように、制御装置60はモータMOを駆動するようになっている。
次に、第1ガス接続口16、第2ガス接続口18について説明する。第1実施形態のレーザ加工装置10は第1ガス接続口16には第1切替弁49が接続され、第2ガス接続口18には第2切替弁50が接続される。これに対して、第3実施形態のレーザ加工装置10は、第1ガス接続口16に第1ガス供給弁43が接続され、第2ガス接続口18に第2ガス吸入弁48が接続される点で相違する。これにより、第1ガス通気口15から第1のガスが吐出され、第2ガス通気口17により第1のガスが吸入されるようになっている。そして、上述の通り、ステージSの移動方向の後方側(ノズル11の位置の移動方向の前方側)に第1ガス通気口15が来るように、制御装置60はモータMOを駆動する。これにより、ノズル11の位置の移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を生じさせることができるため、微粒子Dを効率的に除去することができるという効果がある。
以上説明した通り、第3実施形態におけるレーザ加工装置10によれば、第1のガスを吐出する第1ガス通気口15がノズル11の位置の移動方向の前方側に来るように、モータMOによりノズル11を回転させる。また、第1ガス通気口15から第1のガスが吐出され、第2ガス通気口17により第1のガスが吸入される。そのため、常にノズル11の移動方向の前方側にある第1ガス通気口15から第1のガスを吐出し、後方側にある第2ガス通気口17により第1のガスを吸入することができる。よって、第1ガス通気口15にはガスの吐出を可能にするための配管だけを設けて、第2ガス通気口17にはガスの吸入を可能にするための配管だけを設ければよい。従って、ガス供給吸入装置40の配管が複雑になることを抑制しつつ、微粒子Dを効率的に除去することができるという効果がある。
その他、第3実施形態におけるレーザ加工装置10は、第1実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしてもよい。また、上記各実施形態に挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施形態では、ノズルのワークWに対する相対的な位置を移動させるために、ワークWを載置したステージSを移動させたが、これに限定されるものではない。例えば、ステージSを固定し、ノズルを水平方向に移動するロボットアームに取付けることでノズルのワークWに対する相対的な位置を移動させてもよい。
上記各実施形態では、第1のガスを吐出及び吸入するときの気流の速度は限定されるものではないが、第1のガスを吐出及び吸入するときの気流の速度を微粒子Dが飛散する速度より速くしてもよい。例えば、図2(f)に示す例では、微粒子Dは20m/秒の速度で飛散するため、第1のガスを吐出及び吸入するときの気流の速度を20m/秒より速くしてもよい。これにより、微粒子DがノズルやワークWに付着するのを抑制することができるという効果がある。
上記第2実施形態では、ノズル211は、12個の通気口を設けることでノズル211の位置を4つの往復方向(8方向)に移動可能なものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ノズルに設ける通気口の数を増やすことで、移動可能な方向の数を増やすようにしてもよい。
一方で、ノズルの位置の移動方向が2つの往復方向(x軸方向とy軸方向)のみである場合は、レーザ照射口12の中心を通るy軸方向の直線を対称軸としてそれぞれ対称の位置に同一形状の1対の通気口を配置しつつ、レーザ照射口12の中心を通るx軸方向の直線を対称軸としてそれぞれ対称の位置に同一形状の1対の通気口を配置するようにしてもよい。
上記各実施形態では、レーザ加工装置10は、ノズルの位置を複数方向に移動可能なものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、レーザ加工装置10はノズルの位置を1方向だけに移動可能なものとしてもよい。この場合、ガスの吐出を行う通気口とガスの吸入を行う通気口とを切り替える必要はない。
上記第1実施形態では、第1切替弁49と第2切替弁50との切り替えの内容については、プログラムデータ62aに記憶するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、CPUにおいてノズルの位置の移動方向を判定し、その判定結果に基づいてノズルの位置の移動方向の前方側にある通気口からガスを吐出し、後方側にある通気口からガスを吸入するように第1切替弁49と第2切替弁50とを駆動させるようにしてもよい。
(その他)
本発明の詳細な説明に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(手段)
手段1のノズルは、レーザ加工の対象物であるワークにレーザ光を照射することで前記ワークを加工するレーザ加工装置に取着され、前記ワークとの位置を相対的に移動させながら前記ワークにレーザ光を照射するためのものであって、前記ワークのレーザ照射位置に向けて照射するレーザ光が出力されるレーザ照射口と、前記ノズルの相対的な移動方向に対して前記レーザ照射口より前方側に設けられ、第1のガスを吐出する第1ガス通気口と、前記ノズルの相対的な移動方向に対して前記レーザ照射口より後方側であって、該レーザ照射口を対称中心又は対称軸として前記第1ガス通気口と対称となる位置に設けられ、前記第1ガス通気口が吐出する第1のガスを吸入する第2ガス通気口と、を備える。
手段2のノズルは、手段1のノズルにおいて、前記ノズル上の位置であって、前記ワークの前記レーザ照射位置と対向する位置に凹部を備え、前記レーザ照射口は前記凹部の底面に設けられ、前記第1ガス通気口と前記第2ガス通気口とは前記凹部の凹面に設けられる。
手段3のノズルは、手段1又は2のノズルにおいて、前記第2ガス通気口は、前記レーザ照射口と隣り合う位置に設けられる。
手段4のノズルは、手段1から3のいずれかのノズルにおいて、前記ノズル上の位置であって、前記レーザ照射口と前記第1ガス通気口と前記第2ガス通気口とを包囲する位置に設けられ、前記レーザ照射位置を包囲するように第3のガスを吐出する第3ガス通気口を備える。
手段5のノズルは、手段1から4のいずれかのノズルにおいて、前記レーザ照射口は、前記レーザ照射口から吐出する第4のガスを供給するための第4ガス供給手段と接続可能な第4ガス接続手段を有する。
手段6のノズルは、手段1から5のいずれかのノズルにおいて、前記レーザ照射口の形状が前記レーザ照射口を通過するレーザ光の形状と略同一形状である。
手段7のノズルは、手段1から6のいずれかのノズルにおいて、前記ノズルは、前記ワークに対する相対的な移動方向を複数方向に変化可能に前記レーザ加工装置に取着され、前記ノズルの相対的な移動方向のそれぞれに対して前記第1ガス通気口と前記第2ガス通気口とを備える。
手段8のレーザ加工装置は、レーザ加工の対象物である前記ワークにレーザ光を照射することで前記ワークを加工するものであって、手段1から7のいずれかのノズルと、前記ノズルを前記ワークに対して相対的に移動させる移動手段と、前記レーザ照射口を通過して前記ワークに照射されるレーザ光を発振させるレーザ照射手段と、前記第1ガス通気口に接続され、前記第1ガス通気口から吐出される第1のガスを供給する第1ガス供給手段と、前記第2ガス通気口に接続され、前記第1ガス通気口から吐出される第1のガスを、前記第2ガス通気口を介して吸入する第1ガス吸入手段と、を備える。
手段9のレーザ加工装置は、手段8のレーザ加工装置において、前記レーザ加工装置は、前記ノズルを回転させることなく、前記ノズルの相対的な移動方向を第1方向とその第1方向とは逆方向である第2方向とに少なくとも変化可能であって、前記第1ガス通気口は、前記ノズルの相対的な移動方向が前記第1方向である場合に前記ノズルの相対的な移動方向に対して前記レーザ照射口より前方側に位置し、前記ノズルの相対的な移動方向が前記第2方向である場合に前記ノズルの相対的な移動方向に対して前記レーザ照射口より後方側に位置するように配設されており、前記第2ガス通気口に接続され、前記第2ガス通気口から吐出される第1のガスを供給するための第2ガス供給手段と、前記第1ガス通気口に接続され、前記第2ガス通気口から吐出される第1のガスを吸入するための第2ガス吸入手段と、前記ノズルの相対的な移動方向の前方側にある前記第1ガス通気口又は前記第2ガス通気口により第1のガスを吐出するように前記第1ガス供給手段又は前記第2ガス供給手段を制御しつつ、前記ノズルの相対的な移動方向の後方側にある前記第2ガス通気口又は前記第1ガス通気口により第1のガスを吸入するように前記第1ガス吸入手段又は前記第2ガス吸入手段を制御する制御手段とを備える。
手段10のレーザ加工装置は、手段9のレーザ加工装置において、前記ノズルは、前記第1ガス通気口の形状と前記第2ガス通気口の形状とが同一である。
手段11のレーザ加工装置は、手段10のレーザ加工装置において、前記移動手段は、前記ノズルの相対的な移動方向を複数の往復の方向に変化可能であって、前記ノズルは、前記ノズルの相対的な移動方向に係る往復の方向毎に前記第1ガス通気口と前記第2ガス通気口とを同一の個数ずつ備える。
手段12のレーザ加工装置は、レーザ加工の対象物である前記ワークにレーザ光を照射することで前記ワークを加工するものであって、手段4のノズルと、前記第3ガス通気口と接続され、前記第3ガス通気口から吐出される第3のガスを供給する第3ガス供給手段と、前記第2ガス通気口に接続され、前記第1ガス通気口から吐出される第1のガスを、前記第2ガス通気口を介して吸入する第1ガス吸入手段と、前記第3ガス通気口により吐出される第3のガスの量が前記第2ガス通気口により吸入されるガスの量より多くなるように、前記第3ガス供給手段により供給される第3のガスの量、及び/又は、前記第1ガス吸入手段により吸入されるガスの量を調整するガス量調整手段と、を備える。
手段13のレーザ加工装置は、レーザ加工の対象物である前記ワークにレーザ光を照射することで前記ワークを加工するものであって、手段5のノズルと、前記第4ガス供給手段と、前記レーザ照射口の気圧が前記レーザ照射位置の気圧より高くなるように、前記第4ガス供給手段により供給される第4のガスの量を調整する気圧調整手段と、を備える。
(効果)
手段1のノズルによれば、レーザ加工の対象物であるワークにレーザ光を照射することでワークを加工するレーザ加工装置に取着され、ワークとの位置を相対的に移動させながらワークにレーザ光を照射する。ノズルに備えられたレーザ照射口からワークのレーザ照射位置に向けてレーザ光が照射される。ノズルの相対的な移動方向に対してレーザ照射口より前方側に設けられた第1ガス通気口から第1のガスが吐出される。そして、第1ガス通気口から吐出された第1のガスは、ノズルの相対的な移動方向に対してレーザ照射口より後方側に設けられた第2ガス通気口により吸入される。これにより、第1のガスは第1ガス通気口から第2ガス通気口へと移動する。そして、ノズルの相対的な移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流が生じる。また、第1ガス通気口と第2ガス通気口とはレーザ照射口を対称中心又は対称軸として対称となる位置に設けられるため、第1ガス通気口と第2ガス通気口との中央の位置にレーザ照射口が存在する。よって、レーザ照射口から第1ガス通気口までの距離と、レーザ照射口から第2ガス通気口までの距離とに偏りが生じるのを抑えることができるため、レーザ照射口付近における第1のガスの気流は偏りの少ない安定したものとなる。そして、レーザ照射位置においてレーザ光が照射されることで発生する微粒子がレーザ照射口付近に近付くと、微粒子は安定した第1のガスの気流に乗り第2ガス通気口により吸入される。従って、真空にするための大掛かりな装置を必要とすることなく微粒子を効率的に除去することができるという効果がある。
手段2のノズルによれば、手段1のノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、ノズル上の位置であって、ワークのレーザ照射位置に対向する位置に凹部が設けられるため、凹部とワークとの間に間隙が形成される。また、レーザ照射口が凹部の底面に設けられるため、ノズルとワークとの距離を近付けてもレーザ照射位置からレーザ照射口までの距離を離すことができる。これにより、レーザ照射位置で発生する微粒子がレーザ照射口に付着する可能性を抑制することができるという効果がある。
また、ノズルとワークとの距離を近付けた場合、凹部とワークとの間に形成される間隙内に外部から侵入する空気が少なくなる。そして、凹部の凹面に第1ガス通気口と第2ガス通気口とが設けられるため、第1ガス通気口から吐出された第1のガスは凹部とワークとの間に形成される間隙内を移動して第2ガス通気口により吸入される。よって、間隙内に外部から侵入する空気が少ない中で第1のガスの気流が生じるため、第1のガスの気流が乱れるのを抑制することができる。従って、レーザ照射位置で発生する微粒子を第2ガス通気口により吸入する精度を高めることができるという効果がある。
手段3のノズルによれば、手段1又は2のノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2ガス通気口はレーザ照射口と隣り合う位置に設けられるため、レーザ照射口と第2ガス通気口との間における気流を乱す要因を減らし、レーザ照射口と第2ガス通気口との間にある第1のガスの気流が乱されるのを抑制することができる。そのため、レーザ照射位置で発生する微粒子が第1のガスの気流に乗りレーザ照射口と第2ガス通気口との間に近付いた場合、安定した気流により第2ガス通気口に吸入される。よって、レーザ照射位置で発生する微粒子を第2ガス通気口により吸入する精度を高めることができるという効果がある。
手段4のノズルによれば、手段1から3のいずれかのノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第3ガス通気口は、ノズル上の位置であって、レーザ照射口と第1ガス通気口と第2ガス通気口とを包囲する位置に設けられ、レーザ照射位置を包囲するように第3のガスを吐出する。これにより、レーザ照射位置を第3のガスで取り囲んだ空間内に存在させ、レーザ照射位置が大気に触れるのを抑制することができる。ここで、第3ガス通気口はレーザ照射位置を包囲するように第3のガスを吐出するため、レーザ照射位置で生じる微粒子は第3のガスで取り囲まれた空間から外に出ることが抑制される。一方で、第3のガスで取り囲まれた空間内には、第1ガス通気口と第2ガス通気口とが存在するため、第1ガス通気口により吐出され第2ガス通気口により吸入される第1のガスの気流が存在する。そして、第3のガスで取り囲まれた空間内のレーザ照射位置で生じる微粒子は、第1のガスの気流に乗り第2ガス通気口に吸入される。これにより、第3のガスで取り囲まれた空間内で発生する微粒子をその空間内で滞留させことなく、除去することができる。よって、レーザ照射位置を第3のガスで取り囲まれた空間内に存在させることでレーザ照射位置が大気に触れるのを防ぎつつ、第3のガスで取り囲まれた空間内で発生した微粒子を除去することができるという効果がある。
手段5のノズルによれば、手段1から4のいずれかのノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、レーザ照射口は、第4ガス接続手段により、レーザ照射口から吐出する第4のガスを供給するための第4ガス供給手段と接続可能であるため、レーザ照射口は第4ガス供給手段から供給される第4のガスを吐出することができる。よって、レーザ照射口から第4のガスを吐出することで、レーザ照射位置で発生する微粒子がレーザ照射口を通過してノズルの内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるという効果がある。
手段6のノズルによれば、手段1から5のいずれかのノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、レーザ照射口の形状はレーザ照射口を通過するレーザ光の形状と略同一形状であるため、レーザ光の形状に合うようにレーザ照射口の開口部の面積を狭めることができる。よって、レーザ照射位置で発生する微粒子がレーザ照射口を通過してノズルの内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるという効果がある。
手段7のノズルによれば、手段1から6のいずれかのノズルの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、ノズルは相対的な移動方向を複数方向に変化可能にレーザ加工装置に取着される。これに対して、第1ガス通気口と第2ガス通気口とは、ノズルの相対的な移動方向のそれぞれに対して設けられるため、ノズルの相対的な移動方向が変化した場合であっても、ノズルの相対的な移動方向の前方側にある第1ガス通気口により第1のガスを吐出し、ノズルの相対的な移動方向の後方側にある第2ガス通気口により第1のガスを吸入することで、ノズルの相対的な移動方向に対して後方側で第1のガスを吸入することができる。よって、ノズルの相対的な移動方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を生じさせることができる。従って、ノズルの相対的な移動方向が変化した場合でも、ノズルの向きを変化させることなくレーザ加工を行うことができ、ノズルの向きを変化させる手間を省きつつ、微粒子を効率的に除去することができるという効果がある。
手段8のレーザ加工装置によれば、手段1から7のいずれかのノズルを有することにより、対応のノズルによって奏する効果が得られるレーザ加工装置を得ることができるという効果がある。
手段9のレーザ加工装置によれば、手段8のレーザ加工装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、レーザ加工装置は、ノズルを回転させることなく、ノズルの相対的な移動方向を第1方向とその第1方向とは逆方向である第2方向とに少なくとも変化させる。第1ガス通気口は、ノズルの相対的な移動方向が第1方向である場合にノズルの相対的な移動方向に対してレーザ照射口より前方側に位置し、ノズルの相対的な移動方向が第2方向である場合にノズルの相対的な移動方向に対してレーザ照射口より後方側に位置するように配設されている。ノズルの相対的な移動方向が第1方向でノズルの相対的な移動方向の前方側に第1ガス通気口がある場合、制御手段は、前方側にある第1ガス通気口により第1のガスを吐出するように第1ガス供給手段を制御しつつ、後方側にある第2ガス通気口により第1のガスを吸入するように第1ガス吸入手段を制御する。一方で、ノズルの相対的な移動方向が第2方向でノズルの相対的な移動方向の前方側に第2ガス通気口がある場合、制御手段は、前方側にある第2ガス通気口により第1のガスを吐出するように第2ガス供給手段を制御しつつ、後方側にある第1ガス通気口により第1のガスを吸入するように第2ガス吸入手段を制御する。
これにより、ノズルの相対的な進行方向に対して第1ガス通気口が前方側にある場合は、第1ガス通気口により第1のガスが吐出され、第2ガス通気口により第1のガスが吸入されるため、ノズルの相対的な進行方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を生じさせることができる。一方で、ノズルの相対的な進行方向に対して第2ガス通気口が前方側にある場合は、第2ガス通気口により第1のガスが吐出され、第1ガス通気口により第1のガスが吸入されるため、ノズルの相対的な進行方向に対して前方側から後方側に向かう第1のガスの気流を生じさせることができる。
よって、いずれの場合もノズルの相対的な進行方向に対して前方側から後方側に向かうガスの気流を生じさせることができる。従って、ノズルの相対的な移動方向が変化した場合であっても、ノズルの向きを変化させることなくレーザ加工を行うことができ、ノズルの向きを変化させる手間を省きつつ、微粒子を効率的に除去することができるという効果がある。
手段10のレーザ加工装置によれば、手段9のレーザ加工装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、ノズルの第1ガス通気口と第2ガス通気口とは同一形状である。これにより、一の方向に相対的に移動することにより第1ガス通気口から第1のガスを吐出し第2ガス通気口から第1のガスを吸入する場合の第1ガス供給手段及び第1ガス吸入手段の制御と、一の方向とは逆方向に相対的に移動することにより第2ガス通気口から第1のガスを吐出し第1ガス通気口から第1のガスを吸入する場合の第2ガス供給手段及び第2ガス吸入手段の制御とを、同一の条件で実行するだけで、いずれの方向に相対的にノズルが移動したとしても、レーザ照射口付近で同様のガスの流れを実現できる。即ち、移動方向の切り替えに伴い、第1ガス通気口及び第2ガス通気口におけるガスの吐出及び吸入を切り替えたとしても、複雑な調整を不要にできるという効果がある。
手段11のレーザ加工装置によれば、手段10のレーザ加工装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、ノズルは、移動手段により相対的な移動方向を複数の往復の方向に変化させる。一方で、ノズルは、ノズルの相対的な移動方向に係る往復の方向毎に第1ガス通気口と第2ガス通気口とを同一の個数ずつ備える。そして、制御手段は、前方側にある第1ガス通気口により第1のガスを吐出するように第1ガス供給手段を制御しつつ、後方側にある第2ガス通気口により第1のガスを吸入するように第1ガス吸入手段を制御する。一方で、ノズルの相対的な移動方向の前方側に第2ガス通気口がある場合、制御手段は、前方側にある第2ガス通気口により第1のガスを吐出するように第2ガス供給手段を制御しつつ、後方側にある第1ガス通気口により第1のガスを吸入するように第2ガス吸入手段を制御する。これにより、ノズルの相対的な移動方向に係る往復の方向に備えられた第1ガス通気口又は第2ガス通気口であって、相対的な移動方向の前方側にある第1ガス通気口又は第2ガス通気口から第1のガスを吐出し、相対的な移動方向の後方側にある第1ガス通気口又は第2ガス通気口からその吐出された第1のガスを吸入することができる。よって、ノズルの相対的な移動方向が複数の往復の方向に変化する場合であっても、ノズルの相対的な進行方向に対して前方側から後方側に向かうガスの気流を生じさせることができ、微粒子を効率的に除去することができるという効果がある。
手段12のレーザ加工装置によれば、手段4のノズルを備え、第3ガス通気口における第3のガスの吐出量が第2ガス通気口のガスの吸入量より多くなるように、第3ガス通気口により吐出される第3のガスの量、及び/又は、第2ガス通気口により吸入されるガスの量がガス量調整手段により調整される。これにより、第3ガス通気口から吐出される第3のガスの量は第2ガス通気口により吸入されるガスの量より多くなるため、ノズルの内側の気圧がノズルの外側の気圧より高くなる。よって、ノズルの内側から外側へ向かう第3のガスの気流が生じ、第3ガス通気口より外側にある大気が第3ガス通気口より内側に侵入するのを抑制することができる。従って、第3ガス通気口より内側にあるレーザ照射位置が大気に触れるのを抑制することができるという効果がある。
手段13のレーザ加工装置によれば、手段5のノズルを備え、第4ガス供給手段は、ノズルにおけるレーザ照射口から吐出される第4のガスを供給する。一方で、気圧調整手段は、第4ガス供給手段により供給される第4のガスの量を調整することで、レーザ照射口の気圧がレーザ照射位置の気圧より高くなるように気圧を調整する。これにより、レーザ照射口の気圧がレーザ照射位置の気圧より高くなるため、第4のガスはレーザ照射口からレーザ照射位置に向かって流れる。従って、レーザ照射位置で発生する微粒子がレーザ照射口を通過してノズルの内部に侵入し、付着する可能性を抑制することができるという効果がある。