以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態によるトイレシステムの構成を示す模式図である。
図1に示すように、実施形態に係るトイレシステム1は、大便器10と、洗浄水供給部30と、トイレ装置40と、報知部50と、ゲートウエイ60と、を備えている。本願明細書においては、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側方」、「右側方」のそれぞれは、大便器10の便座に着座した使用者からみた方向とする。
大便器10は、いわゆる腰掛け大便器であり、上面10aから下方に凹む凹状のボウル部11を有する。大便器10の上面10aには、便座20が配設されている。大便器10は、ボウル部11において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。使用者が便器洗浄の操作を行ったり、便座から立ち上がったりすると、洗浄水Wが供給されてボウル部11内の排泄物を排出してボウル部11の表面12を洗浄する便器洗浄がなされる。便器洗浄が終了した後には、ボウル部11の底部11aに洗浄水W(封水)が溜まる。大便器10は、例えばトイレ室A(図6参照)のトイレブースにそれぞれ設けられている。なお、トイレ室Aは、複数個のトイレブースを有している場合に限らず、1つのトイレブースを有していてもよい。
洗浄水供給部30は、ボウル部11に洗浄水Wを吐水する流路(図示せず)に設けられている。洗浄水供給部30は、例えばソレノイドやモータなどにより開閉される開閉弁を有し、上水道や貯水タンクなどの給水源と接続される。洗浄水供給部30は、例えばフラッシュバルブを有している。洗浄水供給部30は、開閉制御部46に接続され、開閉制御部46からの指令信号により開閉が制御される。洗浄水供給部30は、この他に、水を貯留するタンクや、水を圧送するポンプなどを適宜有していてもよい。
使用者がリモコン80などにより大便器10を洗浄するための洗浄操作を行うと、開閉制御部46は、その洗浄操作に応じた信号を洗浄水供給部30へ送信する。洗浄水供給部30は、開閉制御部46から送信された指令信号(開信号)に基づいて、閉状態から開状態に切り替える。これにより、給水源から流路を介して大便器10へ洗浄水Wが供給される。
トイレ装置40は、大便器10に設けられる検知部41と、検知部41に接続される供給制御部45と、供給制御部45に接続される送信部47と、を備えている。検知部41は、例えばボウル部11の表面12に対向する大便器10の内部または外面に取付けられる。
検知部41は、ボウル部11に洗浄水Wがあるか否かを検知するものである。具体的には、検知部41は、大便器10のボウル部11に溜まる洗浄水Wが満水位S1より低くかつ封水位S2より高い位置にあるか否かを検知する。満水位S1は、ボウル部11の内部から洗浄水Wが溢れる位置で、大便器10の上面10aの位置となっている。封水位S2は、大便器10の洗浄が終了した後に、ボウル部11の底部11aに溜まる洗浄水W(封水)の位置となっている。検知部41は、例えば大便器10の表面12の所定領域における水の有無または大便器10に溜まった洗浄水Wの圧力などを検知する。検知部41としては、電波センサ、静電容量センサ、圧力センサ、超音波式測距センサ、および光学式測距センサなどが用いられる。
電波センサは、電波を放射し、その反射波を検知する。反射波の強度は、電波が放射された位置における水の有無で変化する。電波センサを検知部41として用いる場合、電波がボウル部11の表面12の所定領域に放射されるように検知部41を設ける。
また、静電容量センサは、当該センサと、それに対向する所定領域と、の間の静電容量を検知する。静電容量は、その所定領域における水の有無で変化する。静電容量センサを検知部41として用いる場合、ボウル部11の表面12の検知領域と対向するように検知部41を設ける。
電波センサまたは静電容量センサを検知部41として用いることで、ボウル部11内の水位が、所定領域よりも高い位置に有るか否かを検知できる。また、静電容量センサは、異なる高さに連続的に複数個所配置することで、直接的に水位を検知することができる。
超音波式測距センサは、超音波を放射し、その反射波を受信する。超音波が水面に対して鉛直方向に放射されると、超音波を放射してから反射波のピークが検出されるまでの時間は、水面の位置に応じて変化する。また、光学式測距センサは、対象に向けて光(例えば赤外光)を照射し、その反射光を受光素子に結像させる。受光素子の結像位置が、水面の位置に応じて変化する。従って、超音波式測距センサまたは光学式測距センサを検知部41として用いることで、大便器10の内部の水位を直接的に検知できる。
図2は、大便器に詰まりがないときの検知部による検知状態を模式的に示す断面図である。
図3は、大便器が完全閉塞状態であるときの検知部による洗浄水の検知を模式的に示す断面図である。
図4は、大便器が一部閉塞状態であるときの検知部による洗浄水の検知を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、検知部41としての電波センサを大便器10の内部に設けた場合を例示している。この例では、検知部41は、電波Pを放射して、ボウル部11の表面12のうち満水位S1より低くかつ封水位S2より高い位置に洗浄水Wがあるか否かを検知している。すなわち、検知部41は、大便器10が詰まることにより、封水位S2よりも高い位置に洗浄水Wが溜まった状態を検知する。
図2に示すように、大便器10に詰まりがない通常の状態では、大便器10内の水(封水)の水面の位置は封水位S2となる。一方、図3に示すように、大便器10内に異物E1が完全に詰まった状態を完全閉塞状態としている。この完全閉塞状態では、洗浄水Wが流れないので、大便器10内の水面の位置が封水位S2よりも高く、満水位S1よりも低い限界水位S3となる。限界水位S3は、封水位S2と満水位S1との間に位置して大便器10が完全閉塞となっているときに、ボウル部11に溜まる洗浄水Wの表面の位置となっている。従って、異物E1が詰まっていても1回の洗浄水Wの供給ではボウル部11から洗浄水Wが溢れないようになっている。そして、検知部41は、封水位S2と限界水位S3との間に位置する洗浄水Wを検知する。
また、図4に示すように、大便器10内に異物E2が一部に詰まった状態を一部閉塞状態としている。この一部閉塞状態では、洗浄水Wがゆっくり流れるので、大便器10内の水面の位置が限界水位S3から封水位S2に向けて徐々に下がることになる。すなわち、一部閉塞状態は、供給制御部45が詰まり判定を開始したときには洗浄水Wを検知しているが、所定の時間が経過したら洗浄水Wを検知しなくなる状態である。
図5(a)は、大便器に詰まりがないときの検知部による検知結果を例示する特性線図である。
この場合、時刻t0では、使用者による便器洗浄操作により、洗浄水供給部30が閉状態から開状態に切換わる。これにより、ボウル部11の表面12には、洗浄水Wが流れる。この場合、検知部41は、洗浄水Wを検知することができるので、電圧V0から電圧V1となる。
次の時刻t1では、ボウル部11への洗浄水Wの供給を終了させるために、洗浄水供給部30を開状態から閉状態に切換える。そして、時刻t1から時刻t2までは、洗浄水供給部30の下流側の流路の洗浄水Wがボウル部11の表面12に流れる。従って、検知部41は、洗浄水Wを検知して電圧V1が継続される。
時刻t2では、供給制御部45が詰まり判定を開始する。時刻t2では、ボウル部11の表面12を流れる洗浄水Wが検知部41で検知されなくなる。これにより、検知部41は、電圧V1から電圧V0に切換えられる。時刻t1から時刻t2までの時間は、数秒~数十秒程度となっており、大便器10の仕様や検知部41の検知領域などにより、実験、シミュレーションにより設定される。
図5(b)は、大便器が完全閉塞状態であるときの検知部による検知結果を例示する特性線図である。
この場合、供給制御部45が詰まり判定を開始する時刻t2では、検知部41が洗浄水Wを検知しているので、電圧V1が継続される。そして、供給制御部45が詰まり判定を終了する時刻t4でも検知部41が洗浄水Wを検知しているので、電圧V1が継続される。時刻t2から時刻t4までの時間は、大便器10の仕様や検知部41の検知領域、大便器10の使用者への使い勝手などを考慮して、実験、シミュレーションにより設定される。これにより、供給制御部45は、大便器10が完全閉塞状態となっていることを判定する。
図5(c)は、大便器が一部閉塞であるときの検知部による検知結果を例示する特性線図である。
この場合、供給制御部45が詰まり判定を開始する時刻t2では、検知部41が洗浄水Wを検知しているので、電圧V1が継続される。そして、供給制御部45が詰まり判定を終了する前の時刻t3で検知部41が洗浄水Wを検知しなくなる。これにより、時刻t3では、電圧V1から電圧V0に切り換えられる。これにより、供給制御部45は、大便器10が一部閉塞状態となっていることを判定する。すなわち、一部閉塞状態は、供給制御部45が完全閉塞状態と判定する前に、大便器10の内部の洗浄水Wが封水位S2近くまで下がった場合となっている。なお、完全閉塞状態以外での供給制御部45による詰まり判定は、検知部41が電圧V1から電圧V0に切換えられたときに終了してもよい。これにより、時刻t4まで判定を継続した場合に比べて制御処理を効率化できる。
供給制御部45は、例えば大便器10に設けられている。なお、供給制御部45は、大便器10の上面10aに載置されるケーシング90(図7参照)に設けられていてもよいし、大便器10の外部(例えば、トイレ室A)に設けられていてもよい。供給制御部45は、検知部41と、開閉制御部46と、送信部47と、に接続されている。
供給制御部45は、検知部41の検知結果に基づいて大便器10の複数の詰まり状態を判定する。具体的には、供給制御部45による詰まり判定は、判定を開始(時刻t2)してから検知部41が洗浄水Wを検知している時間が第1閾値(時刻t4)以上となっている完全閉塞状態と、判定を開始(時刻t2)してから検知部41が洗浄水Wを検知している時間が第1閾値(時刻t4)未満となっている一部閉塞状態と、を有する。第1閾値は、供給制御部45のメモリ(図示せず)に予め記憶されている。なお、判定時間は、洗浄水供給部30が閉じた時刻t1から計測していてもよい。
供給制御部45は、大便器10に完全閉塞が発生していると判定した場合に、ボウル部11への洗浄水Wの供給を不可と判定する。また、供給制御部45は、洗浄水供給部30が閉じてから大便器10の詰まり状態の判定が終了するまではボウル部11への洗浄水Wの供給を不可と判定する。
そして、供給制御部45は、洗浄水Wの供給が不可とする指令信号を開閉制御部46に送信する。開閉制御部46は、洗浄水Wの供給不可とする指令信号を受信している場合には使用者による便器洗浄の指令信号を受信しても、洗浄水供給部30の開動作を禁止する。なお、開閉制御部46は、供給制御部45と一体となっていてもよい。また、供給制御部45は、送信部47に向けて大便器10の詰まり状態を報知するための指令信号を送信する。
送信部47は、大便器10の詰まり状態を報知する報知部50に向けて供給制御部45の判定結果を送信する。送信部47は、供給制御部45と報知部50とに接続され、例えば大便器10の内部に設けられている。なお、送信部47は、トイレ室A内に設けられていてもよい。送信部47は、供給制御部45からの指令信号により、報知部50に向けて大便器10の詰まり状態を報知する。この場合、送信部47は、供給制御部45による複数の詰まり状態の判定結果に応じて報知部50への送信を異ならせる。具体的には、送信部47は、大便器10の完全閉塞状態と一部閉塞状態とで報知部50への送信を異ならせる。
図6は、表示端末が設けられたトイレ室を示す正面図である。
図7は、第1補助端末と表示端末とが設けられたトイレ室およびトイレ装置を示す斜視図である。
図8は、管理端末または第2補助端末に表示される画面を模式的に示す説明図である。
報知部50は、大便器10の詰まり状態を大便器10の管理者、清掃者、および使用者に報知するものである。そのために、報知部50は、大便器10の管理者が大便器10の状態を確認可能な管理端末51、大便器10の清掃者が大便器10の状態を確認可能な第1補助端末52と第2補助端末53、大便器10の使用者が大便器10の状態を確認可能な表示端末54を有している。
図1に示すように、報知部50は、電気通信回線を介して送信部47に接続された管理端末51を有している。この管理端末51は、例えば大便器10が設置された建物の管理室や、大便器10を管理する管理会社に設置されている。なお、管理端末51は、管理者が所有する携帯端末でもよい。送信部47は、例えばトイレ室Aに設置されたゲートウエイ60、クラウド70を介して管理端末51に接続されている。すなわち、管理端末51は、インターネット回線を介して送信部47に接続されている。なお、管理端末51は、例えば大便器10と同じ建物内に設置されている場合には有線により送信部47に接続されていてもよい。
送信部47は、供給制御部45から大便器10の完全閉塞状態と判定した指令信号を受信したときには大便器10の完全閉塞状態を管理端末51に送信する。図8に示すように、管理端末51は、完全閉塞が発生していることにより使用不可となっている大便器10を例えば「×」と表示する。これにより、管理者は、どの大便器10が完全閉塞状態となっているかを把握することができる。
一方、送信部47は、供給制御部45から大便器10の一部閉塞状態と判定した指令信号を受信したときには大便器10の一部閉塞状態を管理端末51に未送信とする。すなわち、管理端末51は、一部閉塞状態の大便器10は表示しない。大便器10が一部閉塞状態の場合は、大便器10の内部でゆっくりと洗浄水Wの水面が下がる。従って、このような大便器10は、使用可能となる。そこで、送信部47は、大便器10が使用不可の完全閉塞状態となっているときのみに、管理端末51に使用不可の大便器10を送信する。
次に、図1に示すように、報知部50は、送信部47に接続され大便器10が設置されたトイレ室Aに設けられた第1補助端末52と、電気通信回線を介して送信部47に接続された第2補助端末53と、を有している。第1補助端末52と第2補助端末53とは、少なくとも一方を有していればよい。トイレ室Aに設けられた第1補助端末52とは、例えばトイレ室Aの壁面などに設けられる場合に限らず、トイレ室に設置された大便器10やリモコン80などに設けられる場合も含んでいる。すなわち、第1補助端末52は、トイレ室Aの清掃にきた清掃者が大便器10の状態を確認することができるものであり、設置箇所については任意である。
一例を挙げると、図7に示すように、第1補助端末52は、例えば使用者が視認し難い大便器10の側面に設けられている。すなわち、第1補助端末52を目立たない場所に設けることで、トイレ室Aおよび大便器10の意匠性を向上できる。第1補助端末52は、有線または無線により送信部47に接続されている。
第2補助端末53は、例えば清掃者が所有する携帯端末となっている。第2補助端末53は、管理端末51と同様に、インターネット回線を介して送信部47に接続されている。清掃者は、第1補助端末52または第2補助端末53を確認することにより、大便器10の状態を把握することができる。
送信部47は、供給制御部45から大便器10の完全閉塞状態と判定した指令信号を受信したときには大便器10の完全閉塞状態を第1補助端末52および第2補助端末53に送信する。第1補助端末52は、例えば赤色に点灯することにより、大便器10が完全閉塞状態となっていることを表示する。一方、第2補助端末53は、管理端末51と同様に、完全閉塞が発生していることにより使用不可となっている大便器10を例えば「×」(図8参照)と表示する。これにより、清掃者は、大便器10が完全閉塞状態となっていることを把握することができる。
なお、完全閉塞状態は、清掃者による簡易的なメンテナンスでは対処できない場合が多い。従って、送信部47は、完全閉塞状態を第1補助端末52および第2補助端末53に送信しなくてもよい。この場合、清掃者は、後述する使用者用の表示端末54を確認することで、大便器10が完全閉塞状態となっていることを把握することができる。
一方、送信部47は、供給制御部45から大便器10の一部閉塞状態と判定した指令信号を受信したときにも大便器10の一部閉塞状態を第1補助端末52および第2補助端末53に送信する。すなわち、第1補助端末52と第2補助端末53とは、完全閉塞状態または一部閉塞状態となっている大便器10を表示する。第1補助端末52は、例えば黄色に点灯することにより、大便器10が一部閉塞状態となっていることを表示する。一方、第2補助端末53は、一部閉塞が発生している大便器10を例えば「△」(図8参照)と表示する。これにより、清掃者は、大便器10が一部閉塞状態となっていることを把握することができる。従って、清掃者は、大便器10を清掃して大便器10の一部閉塞状態を解消させることができる。
次に、図1に示すように、報知部50は、送信部47に接続され大便器10が設置されたトイレ室Aに設けられた表示端末54を有している。トイレ室Aに設けられた表示端末54とは、例えばトイレ室Aの壁面などに設けられる場合に限らず、トイレ室に設置された大便器10やリモコン80などに設けられる場合も含んでいる。すなわち、表示端末54は、トイレ室Aの使用者が大便器10の状態を確認することができるものであり、設置箇所については任意である。
一例を挙げると、図6に示すように、表示端末54は、例えば各大便器10が設置されたトイレブースの壁面に設けられている。このような場合には、トイレ室A内に並んでいる使用者が使用可能な大便器10を把握することができる。また、図7に示すように、表示端末54は、使用者の見やすい位置である大便器10のケーシング90や、リモコン80の側方に設けられていてもよい。これにより、使用者は、大便器10が使用可能か否かを確認することができる。表示端末54は、有線または無線により送信部47に接続されている。
送信部47は、供給制御部45から大便器10の完全閉塞状態と判定した指令信号を受信したときには大便器10の完全閉塞状態を表示端末54に送信する。図6、図7に示すように、表示端末54は、完全閉塞が発生していることにより使用不可となっている大便器10を例えば「×」と表示する。これにより、管理者は、大便器10が完全閉塞状態となっていることを把握することができる。
一方、送信部47は、供給制御部45から大便器10の一部閉塞状態と判定した指令信号を受信したときには大便器10の一部閉塞状態を表示端末54に未送信とする。すなわち、表示端末54は、一部閉塞状態の大便器10は表示しない。大便器10が一部閉塞状態の場合は、大便器10の内部でゆっくりと洗浄水Wの水面が下がる。従って、このような大便器10は、使用可能となる。そこで、送信部47は、大便器10が使用不可の完全閉塞状態となっているときのみに、表示端末54に使用不可の大便器10を送信する。これにより、大便器10の使い勝手が悪化するのを抑制することができる。
次に、供給制御部45が実行する大便器10の詰まり状態の判定と、その判定に基づく報知態様との制御処理を説明する。
図9は、大便器の詰まり状態とその報知態様を決定するための制御処理を示す流れ図である。図9に示す制御処理は、供給制御部45のメモリ(図示せず)に予め格納されている。なお、図9に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「St」という表記を用い、例えばステップ1を「St1」として示すものとする。
まず、St1では、洗浄水Wの供給が終了する。すなわち、洗浄水供給部30が開状態から閉状態に切換えられることにより、大便器10への洗浄水Wの供給を終了する。次のSt2では、洗浄水Wの供給を禁止する。すなわち、供給制御部45は、開閉制御部46に洗浄水供給部30の開動作を禁止する。次のSt3では、検知部41の検知結果を取得する。すなわち、供給制御部45は、検知部41による検知電圧(電圧V0または電圧V1)を取得する。
St4では、大便器10に詰まりがあるか否かを判定する第一工程を行う。この第一工程は、洗浄水供給部30が閉じた時刻t1から所定時間が経過した時刻t2で行われる。第一工程は、大便器10に詰まりが発生していないことを判定する。供給制御部45は、検知部41が検知した電圧が電圧V1から電圧V0に切換わっている場合には詰まりなしと判定する。一方、供給制御部45は、検知部41が検知した電圧が電圧V1を継続している場合には詰まりありと判定する。そして、St4で「NO」、すなわち供給制御部45が詰まりなしと判定した場合には、St5に進み、洗浄水Wの供給禁止を解除してエンドとなる。一方、St4で「YES」、すなわち供給制御部45が詰まりありと判定した場合には、St6に進む。
St6では、洗浄水Wの供給禁止を延長する。すなわち、供給制御部45は、大便器10に詰まりが発生しているので、St2で実行された大便器10への洗浄水供給の禁止を継続して、St7に進む。次のSt7では、検知部41の検知結果を再度取得する。すなわち、供給制御部45は、検知部41による検知電圧(電圧V0または電圧V1)を取得して、St8に進む。
St8では、大便器10に詰まりがあるか否かを判定する第二工程を行う。この第二工程は、St4の第一工程が実行された時刻t2以降に継続して行われる。すなわち、供給制御部45は、第一工程後に継続して検知部41の検知結果を監視して、大便器10の洗浄水Wの有無を判定している。この第二工程は、第一工程が実行された時刻t2から所定時間経過後の時刻t4で終了する。
第二工程は、大便器10に発生している詰まりが完全閉塞状態か一部閉塞状態かを判定する。供給制御部45は、時刻t4までの間に検知部41が検知した電圧が電圧V1から電圧V0に切換わっている場合には一部閉塞状態と判定する。一方、供給制御部45は、時刻t4まで検知部41が検知した電圧が電圧V1を継続している場合には完全閉塞状態と判定する。そして、St8で「YES」、すなわち供給制御部45が完全閉塞状態と判定した場合には、St9に進む。一方、St8で「NO」、すなわち供給制御部45が一部閉塞状態と判定した場合には、St11に進む。
St9では、洗浄水Wの供給禁止を延長する。すなわち、供給制御部45は、大便器10が完全閉塞状態となっているので、St2で実行された大便器10への洗浄水供給の禁止を継続する。これにより、大便器10は、使用不可となり、大便器10から洗浄水Wが溢れるのを抑制することができる。
St10では、管理端末51と表示端末54とに完全閉塞状態を送信する。すなわち、供給制御部45は、大便器10が完全閉塞状態となっていることを送信部47から管理端末51と表示端末54とに送信させて、エンドとなる。これにより、管理者は、管理端末51を確認して完全閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。また、使用者は、表示端末54を確認して完全閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。なお、なお、清掃者は、表示端末54を確認することで完全閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。また、St10で、供給制御部45は、送信部47から第1補助端末52と第2補助端末53とに完全閉塞状態を送信させてもよい。
St11では、洗浄水Wの供給禁止を解除する。すなわち、一部閉塞状態では、時間経過とともに大便器10の内部の洗浄水Wの水面が低下するので、大便器10が使用可能となる。従って、供給制御部45は、開閉制御部46に洗浄水供給部30の開動作を許可して、次のSt12に進む。
St12では、第1補助端末52および第2補助端末53に一部閉塞状態を送信する。この場合、St12では、管理端末51と表示端末54とには一部閉塞状態を送信しない。供給制御部45は、大便器10が一部閉塞状態となっていることを送信部47から第1補助端末52および第2補助端末53に送信させて、エンドとなる。これにより、清掃者は、第1補助端末52または第2補助端末53を確認して一部閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。そして、清掃者は、一部閉塞状態の大便器10を対処することにより、早期に一部閉塞状態を解消させることができる。
また、一部閉塞状態は、清掃者により解消させることが可能な場合が多いため、管理者への報知は不要としている。これにより、大便器10の管理を効率よく行うことができる。また、一部閉塞状態は、大便器10の使用が可能なため、使用者への報知は不要としている。これにより、使用者による大便器10の使い勝手が悪化するのを抑制できる。
次に、本発明の第2実施形態によるトイレ装置について説明する。第2実施形態では、供給制御部45が一部閉塞状態を軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とに判定可能としたことにある。この場合、軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とは、一部閉塞状態の判定時間により判定される。
供給制御部45は、判定を開始してからの時間が第1閾値(時刻t4)よりも短い第2閾値(時刻ta)を有している。この第2閾値は、供給制御部45のメモリに予め記憶されている。そして、一部閉塞状態は、検知部41が洗浄水Wを検知している時間が第2閾値(時刻ta)未満となっている軽度一部閉塞状態と、検知部41が洗浄水Wを検知している時間が第2閾値(時刻ta)以上第1閾値(時刻t4)未満となっている重度一部閉塞状態と、を有している。送信部47は、軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とで報知部50への送信を異ならせる。軽度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まりが小さく、比較的早くに封水位S2に向けて水面が下がる状態となっている。一方、重度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まりが大きく、完全閉塞状態に近い状態となっている。
図10は、本発明の第2実施形態による制御処理を示す図9と同様の流れ図である。
図10に示す制御処理は、供給制御部45のメモリ(図示せず)に予め格納されている。図10に示す制御処理は、図9中のSt11以降にSt21~St23を設けている。図10中のSt1~St11は、図9中のSt1~St11と同様の制御処理が実行される。
St21では、判定時間が第2閾値(時刻ta)以上か否かを判定する。すなわち、供給制御部45は、St8での詰まりなしと判定した時間と第2閾値とを比較する。判定時間が第2閾値以上の場合には、重度一部閉塞状態であると判定され、判定時間が第2閾値未満の場合には、軽度一部閉塞状態であると判定される。そして、St21で「YES」、すなわち判定時間が第2閾値以上と判定された場合には、St22に進む。一方、St21で「NO」、すなわち判定時間が第2閾値未満と判定された場合には、St23に進む。
St22では、管理端末51、第1補助端末52、第2補助端末53に重度一部閉塞状態を送信する。すなわち、供給制御部45は、大便器10が重度一部閉塞状態となっていることを送信部47から管理端末51、第1補助端末52、第2補助端末53に送信させて、エンドとなる。
管理端末51は、重度一部閉塞状態の大便器10を例えば「△」で点滅表示させる。これにより、管理者は、管理端末51を確認して重度一部閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。従って、管理者は、大便器10が完全閉塞状態となって使用不可となる前に対応することができ、大便器10の管理を効率よく行うことができる。
第1補助端末52は、重度一部閉塞状態の大便器10を例えば黄色で点滅表示させる。また、第2補助端末53は、重度一部閉塞状態の大便器10を例えば「△」で点滅表示させる。これにより、清掃者は、第1補助端末52または第2補助端末53を確認して重度一部閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。従って、清掃者は、大便器10が完全閉塞状態となって使用不可となる前に対応することができ、大便器10の管理を効率よく行うことができる。
一方、送信部47は、重度一部閉塞状態を表示端末54に送信しない。その結果、表示端末54は、大便器10の重度一部閉塞状態を表示しない。これにより、大便器10が使用可能か否かを使用者が迷うのを抑制することができ、大便器10の使い勝手が悪化するのを抑制できる。
St23では、第1補助端末52および第2補助端末53に軽度一部閉塞状態を送信する。すなわち、供給制御部45は、大便器10が軽度一部閉塞状態となっていることを送信部47から第1補助端末52および第2補助端末53に送信させて、エンドとなる。
第1補助端末52は、軽度一部閉塞状態の大便器10を例えば黄色で重度一部閉塞状態のときよりも早く点滅表示させる。また、第2補助端末53は、軽度一部閉塞状態の大便器10を例えば「△」で重度一部閉塞状態のときよりも早く点滅表示させる。これにより、清掃者は、第1補助端末52または第2補助端末53を確認して軽度一部閉塞状態となっている大便器10を把握することができる。従って、清掃者は、一部閉塞状態の大便器10を対処することにより、早期に一部閉塞状態を解消させることができる。
一方、送信部47は、軽度一部閉塞状態を管理端末51と表示端末54とに送信しない。軽度一部閉塞状態は、清掃者により解消させることが可能な場合が多いため、管理者への報知は不要としている。これにより、大便器10の管理を効率よく行うことができる。また、軽度一部閉塞状態は、大便器10の使用が可能なため、使用者への報知は不要としている。これにより、使用者による大便器10の使い勝手が悪化するのを抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態によるトイレ装置について説明する。第3実施形態では、供給制御部45が一部閉塞状態を軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とに判定可能としたことにある。軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とは、一部閉塞状態の連続回数により判定される。
供給制御部45は、大便器10の一部閉塞状態の連続回数を記憶する。一部閉塞状態は、大便器10の一部閉塞状態の連続回数が第3閾値未満の軽度一部閉塞状態と、第3閾値以上の重度一部閉塞状態と、を有している。この第3閾値は、例えば大便器10の使用頻度などを考慮して実験、シミュレーションにより設定され、供給制御部45のメモリに予め記憶されている。そして、送信部47は、軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とで報知部50への送信を異ならせる。この場合、軽度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まり状態が発生した初期である。一方、重度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まり状態が連続して複数回発生している場合となっている。
図11は、本発明の第3実施形態による制御処理を示す図9と同様の流れ図である。
図11に示す制御処理は、供給制御部45のメモリ(図示せず)に予め格納されている。図11に示す制御処理は、図10中のSt21をSt31に変更したものであり、その他の制御処理は図10と同様である。
St31では、第二工程の連続回数が第3閾値以上か否かを判定する。すなわち、供給制御部45は、St8での詰まりなしと判定した連続回数を第3閾値と比較する。連続回数が第3閾値以上の場合には、重度一部閉塞状態であると判定され、連続回数が第3閾値未満の場合には、軽度一部閉塞状態であると判定される。例えば、第3閾値が「5回」と設定されていた場合には、1~4回の一部閉塞状態は軽度一部閉塞状態と判定され、5回以上の一部閉塞状態は重度一部閉塞状態と判定される。そして、St31で「YES」、すなわち連続回数が第3閾値以上と判定された場合には、St22に進む。一方、St31で「NO」、すなわち連続回数が第3閾値未満と判定された場合には、St23に進む。
St22では、管理端末51、第1補助端末52、第2補助端末53に重度一部閉塞状態を送信する。St23では、第1補助端末52および第2補助端末53に軽度一部閉塞状態を送信する。管理者は、重度一部閉塞状態を確認することで、例えば清掃者による軽度一部閉塞状態の対応でも一部閉塞状態を解消することができなかったことを把握することができる。従って、管理者は、清掃者が対応できなかった大便器10を早期に対応することができる。
次に、本発明の第4実施形態によるトイレ装置について説明する。第4実施形態では、供給制御部45が一部閉塞状態を軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とに判定可能としたことにある。軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とは、一部閉塞状態の判定時間が増加しているか否かにより判定される。
供給制御部45は、大便器10の一部閉塞状態の判定時間を記憶する。一部閉塞状態は、今回実行された大便器10の一部閉塞状態の判定時間が前回実行された大便器10の一部閉塞状態の判定時間未満となっている軽度一部閉塞状態と、今回実行された大便器10の一部閉塞状態の判定時間が前回実行された大便器10の一部閉塞状態の判定時間以上となっている重度一部閉塞状態と、を有している。判定時間は、洗浄水供給部30が開いたとき(時刻t0)、洗浄水供給部30が閉じたとき(時刻t1)、および第一工程を実行したとき(時刻t2)のいずれから計測してもよい。
送信部47は、軽度一部閉塞状態と重度一部閉塞状態とで報知部50への送信を異ならせる。この場合、軽度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まり状態が解消傾向にある場合である。一方、重度一部閉塞状態とは、大便器10の詰まり状態が完全閉塞状態に向かっている傾向となっている。
図12は、本発明の第4実施形態による制御処理を示す図9と同様の流れ図である。
図12に示す制御処理は、供給制御部45のメモリ(図示せず)に予め格納されている。図12に示す制御処理は、図10中のSt21をSt41に変更したものであり、その他の制御処理は図9、図10と同様である。
St41では、判定時間が増加しているか否かを判定する。すなわち、供給制御部45は、今回の一部閉塞判定にかかった時間と、前回の一部閉塞判定にかかった時間とを比較する。今回の一部閉塞判定にかかった時間が前回の一部閉塞判定にかかった時間よりも短ければ軽度一部閉塞状態と判定される。一方、今回の一部閉塞判定にかかった時間が前回の一部閉塞判定にかかった時間よりも長ければ重度一部閉塞状態と判定される。すなわち、S41では、一部閉塞状態が解消方向に向かっているか、完全閉塞状態に向かっているかを判定する。そして、St41で「YES」、すなわち判定時間が増加していると判定された場合には、St22に進む。一方、St41で「NO」、すなわち第二工程の判定時間が減少していると判定された場合には、St23に進む。
St22では、管理端末51、第1補助端末52、第2補助端末53に重度一部閉塞状態を送信する。St23では、第1補助端末52および第2補助端末53に軽度一部閉塞状態を送信する。管理者は、重度一部閉塞状態を確認することで、例えば大便器10が一部閉塞状態から完全閉塞状態に向かっていることを把握することができる。従って、管理者は、大便器10が完全閉塞状態となって使用不可となる前に対処することができ、大便器10の管理を効率よく行うことができる。
以上説明した実施形態に基づくトイレ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様は、大便器のボウル部に溜まる洗浄水が満水位より低くかつ封水位より高い位置にあるか否かを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記大便器の複数の詰まり状態を判定する制御部と、前記大便器の詰まり状態を報知する報知部に向けて前記制御部の判定結果を送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記制御部による複数の詰まり状態の判定結果に応じて前記報知部への送信を異ならせる。
第1の態様によれば、大便器の詰まり状態の報知対象を異ならせることができる。これにより、適切な者に必要な情報を報知することができるので、大便器のメンテナンス管理を効率よく行うことができる。また、大便器の使い勝手が悪くなるのを抑制できる。
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部による前記判定は、前記判定を開始してから前記検知部が前記洗浄水を検知している時間が第1閾値以上となっている完全閉塞状態と、前記判定を開始してから前記検知部が前記洗浄水を検知している時間が第1閾値未満となっている一部閉塞状態と、を有し、前記送信部は、前記完全閉塞状態と前記一部閉塞状態とで前記報知部への送信を異ならせる。
第2の態様によれば、大便器の完全閉塞状態と一部閉塞状態とで報知対象を異ならせることができる。これにより、適切な者に大便器の完全閉塞状態および一部閉塞状態を報知することができるので、大便器のメンテナンス管理を効率よく行うことができる。また、大便器の使い勝手が悪くなるのを抑制できる。
第3の態様は、第2の態様において、前記報知部は、電気通信回線を介して前記送信部に接続された管理端末を有し、前記送信部は、前記完全閉塞状態を前記管理端末に送信し、前記一部閉塞状態を前記管理端末に未送信とする。
第3の態様によれば、管理端末は、例えば大便器の管理者が大便器の状態を確認するものとして設定される。管理端末は、例えば大便器が設置されたトイレ室とは離れた遠隔地に設置されている。これにより、管理者は、大便器を確認しなくても、管理端末により完全閉塞状態となっている大便器を把握することができる。従って、管理者は、完全閉塞状態となっている大便器を早期に対処して、完全閉塞状態を解消させることができる。一方、送信部は、一部閉塞状態の大便器は使用が可能であるため管理端末には送信しない。これにより、大便器の管理を効率よく行うことができる。
第4の態様は、第2または第3の態様において、前記報知部は、前記送信部に接続され前記大便器が設置されたトイレ室に設けられた第1補助端末と、電気通信回線を介して前記送信部に接続された第2補助端末と、のうち少なくとも一方の補助端末を有し、前記送信部は、前記一部閉塞状態を前記補助端末に送信する。
第4の態様によれば、補助端末は、例えば大便器10の清掃者が大便器の状態を確認するものとして設定される。これにより、清掃者は、一部閉塞状態となっている大便器を把握することができる。従って、清掃者は、早期に一部閉塞状態を解消させることができる。
第5の態様は、第2~第4のいずれか1つの態様において、前記報知部は、前記送信部に接続され前記大便器が設置されたトイレ室に設けられた表示端末を有し、前記送信部は、前記完全閉塞状態を前記表示端末に送信し、前記一部閉塞状態を前記表示端末に未送信とする。
第5の態様によれば、表示端末は、例えば大便器10の使用者が大便器の状態を確認するものとして設定される。これにより、使用者は、完全閉塞状態となっている大便器を把握することができる。従って、使用者は、表示端末により使用可能な大便器と使用不可能な大便器とを把握することができる。
第6の態様は、第2の態様において、前記制御部は、前記判定を開始してからの時間が前記第1閾値よりも短い第2閾値を有し、前記一部閉塞状態は、前記検知部が前記洗浄水を検知している時間が前記第2閾値未満となっている軽度一部閉塞状態と、前記検知部が前記洗浄水を検知している時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満となっている重度一部閉塞状態と、を有し、前記送信部は、前記軽度一部閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とで前記報知部への送信を異ならせる。
第6の態様によれば、大便器の一部閉塞状態が比較的詰まりが軽い軽度一部閉塞状態と、完全閉塞状態に近い重度一部閉塞状態とで報知対象を異ならせることができる。これにより、適切な者に大便器の軽度一部閉塞状態および重度一部閉塞状態を報知することができるので、大便器に完全閉塞状態が発生する前に速やかに対処することができる。従って、大便器のメンテナンス管理を効率よく行うことができる。また、大便器の使い勝手が悪くなるのを抑制できる。
第7の態様は、第2の態様において、前記制御部は、前記大便器の一部閉塞状態の連続回数を記憶し、前記一部閉塞状態は、前記大便器の一部閉塞状態の連続回数が第3閾値未満の軽度一部閉塞状態と、前記第3閾値以上の重度一部閉塞状態と、を有し、前記送信部は、前記軽度一部閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とで前記報知部への送信を異ならせる。
第7の態様によれば、軽度一部閉塞状態が解消されていない場合に重度一部閉塞状態と判定している。これにより、適切な者に大便器の軽度一部閉塞状態および重度一部閉塞状態を報知することができるので、大便器に完全閉塞状態が発生する前に速やかに対処することができる。従って、大便器のメンテナンス管理を効率よく行うことができる。また、大便器の使い勝手が悪くなるのを抑制できる。
第8の態様は、第2の態様において、前記制御部は、前記大便器の一部閉塞状態の判定時間を記憶し、前記一部閉塞状態は、今回実行された前記大便器の一部閉塞状態の判定時間が前回実行された前記大便器の一部閉塞状態の判定時間未満となっている軽度一部閉塞状態と、今回実行された前記大便器の一部閉塞状態の判定時間が前回実行された前記大便器の一部閉塞状態の判定時間以上となっている重度一部閉塞状態と、を有し、前記送信部は、前記軽度一部閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とで前記報知部への送信を異ならせる。
第8の態様によれば、一部閉塞状態が完全閉塞状態に近づいているのを判定することができる。これにより、適切な者に大便器の軽度一部閉塞状態および重度一部閉塞状態を報知することができるので、大便器に完全閉塞状態が発生する前に速やかに対処することができる。従って、大便器のメンテナンス管理を効率よく行うことができる。また、大便器の使い勝手が悪くなるのを抑制できる。
第9の態様は、第6~第8の態様のいずれか1つの態様において、前記報知部は、電気通信回線を介して前記送信部に接続された管理端末を有し、前記送信部は、前記完全閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とを前記管理端末に送信し、前記軽度一部閉塞状態を前記管理端末に未送信とする。
第9の態様によれば、管理端末は、例えば大便器の管理者が大便器の状態を確認するものとして設定される。管理端末は、例えば大便器が設置されたトイレ室とは離れた遠隔地に設置されている。これにより、管理者は、大便器を確認しなくても、管理端末により完全閉塞状態および完全閉塞状態に近い重度一部閉塞状態になっている大便器を把握することができる。従って、管理者は、大便器を早期に対処して、完全閉塞状態および重度一部閉塞状態を解消させることができる。特に、管理者は、大便器の重度一部閉塞状態を把握することで、大便器が完全閉塞状態になる前に早期に対処することができる。一方、送信部は、軽度一部閉塞状態の大便器は使用が可能であるため、また大便器の清掃などにより解消する可能性が高いので管理端末には送信しない。これにより、大便器の管理を効率よく行うことができる。
第10の態様は、第6~第8の態様のいずれか1つの態様において、前記報知部は、前記送信部に接続され前記大便器が設置されたトイレ室に設けられた第1補助端末と、電気通信回線を介して前記送信部に接続された第2補助端末と、のうち少なくとも一方の補助端末を有し、前記送信部は、前記軽度一部閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とを前記補助端末に送信する。
第10の態様によれば、補助端末は、例えば大便器10の清掃者が大便器の状態を確認するものとして設定される。これにより、清掃者は、軽度一部閉塞状態および重度一部閉塞状態になっている大便器を把握することができる。従って、清掃者は、早期に一部閉塞状態を解消させることができる。
第11の態様は、第6~第8の態様のいずれか1つの態様において、前記報知部は、前記送信部に接続され前記大便器が設置されたトイレ室に設けられた表示端末を有し、前記送信部は、前記完全閉塞状態を前記表示端末に送信し、前記軽度一部閉塞状態と前記重度一部閉塞状態とを前記表示端末に未送信とする。
第11の態様によれば、表示端末は、例えば大便器10の使用者が大便器の状態を確認するものとして設定される。これにより、使用者は、完全閉塞状態となっている大便器を把握することができる。従って、使用者は、表示端末により使用可能な大便器と使用不可能な大便器とを把握することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレシステム1およびトイレ装置40などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。