JP7328880B2 - マルチカーエレベーター - Google Patents
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Description
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、複数台の乗りかごが主索で連結されると共に、主索が巻上機で駆動されるマルチカーエレベーターに適用したものである。
そして、複数台の乗りかごのそれぞれは、乗客又は荷物を搭載するかご室と、主索と接続されかご室を保持するかご枠と、かご室をかご枠に対して鉛直方向に駆動して、かご室とかご枠の鉛直方向の距離を補正する着床位置補正部と、巻上機に対するかご枠の鉛直方向の距離を計測するかご枠位置センサと、かご室に搭載された乗客又は荷物の質量を計測する荷重計と、乗場に対するかご室の鉛直方向距離を計測するための、乗りかごに設置された床高さセンサと、を備える。
ここで、着床位置補正部の駆動は、床高さセンサの計測結果に基づいて行われ、巻上機は、複数台の乗りかごの内のいずれか1台の特定の乗りかごに搭載されているかご枠位置センサの計測値に基づいて、当該特定の乗りかごのかご枠を所望の乗場の位置に停止させるように駆動し、乗りかごのそれぞれの着床位置補正部は、当該乗りかごを停止させようとする乗場の床の高さと当該乗りかごのかご室の床の高さとを一致させる駆動を行い、所望の停止位置に1台の前記乗りかごを停止させたときの他の乗りかごの停止予想位置と、かご枠位置センサの計測値とから、主索の経年的な伸び成分の変化量を算出し、経年的な伸び成分を更新するようにした。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本実施の形態例のマルチカーエレベーターの構成を示す。
図1の例は、2台の乗りかご1、2が1組の主索3で連結された連結式マルチカーエレベーターとしたものである。
2台の乗りかご1,2は同じ構成であり、乗りかご1,2が備える各構成要素については、一方の乗りかご1は符号の末尾に「a」を付し、他方の乗りかご2は符号の末尾に「b」を付して区別する。
かご枠11a,11bは、主索3の一端3E-1と他端3E-2に連結されている。
かご室12a,12bは、乗客又は荷物を積載する。かご室12a,12bは不図示のかご内ドアを備え、各乗場5a,5bに停止したとき、乗場側ドアと連動してかご内ドアが開く。
荷重計14a,14bは、かご室12a,12bの積載荷重を計測する。
かご枠位置センサ15a,15bは、かご枠11a,11bの昇降路内での高さ方向位置を計測する。それぞれのかご枠位置センサ15a,15bは、昇降路側に固定された目印との相対位置を計測するものであり、この目印はそれぞれの乗場5a,5b付近に離散的に配置されるものであっても、昇降路の略全長に亘って配置されるものであってもよい。
床高さセンサ16a,16bは、乗場5a,5bとかご室12a,12bとの床高さの差を検出する。
制御装置100は、各かご室12a,12bの積載荷重と各センサ15a,15b,16a,16bに基づいて、巻上機4の駆動状態と着床位置補正部13a,13bでの補正量を制御する。
図2は、制御装置100のハードウェア構成例を示す。
制御装置100は、コンピュータ装置で構成することができる。
図2に示す制御装置(コンピュータ装置)100は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103とを備える。さらに、制御装置100は、不揮発性ストレージ104と、ネットワークインタフェース105と、入出力部106とを備える。
RAM103には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
ネットワークインタフェース105には、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。ネットワークインタフェース105は、外部(エレベーター監視装置など)と各種情報の送受信を行う。
入出力部106は、荷重計14a,14bや各センサ15a,15b,16a,16bの計測値などを取得する。また、入出力部106は、巻上機4や着床位置補正部13a,13bに対して、その駆動を制御する指令などを出力する。
図3は、制御装置100の制御で実行される、乗りかご1,2の着床時の処理の流れを示すフローチャートである。
制御装置100が乗りかご1,2の着床を制御する際には、主索3の伸びを考慮して制御する。
ここで、主索3の伸びについて説明すると、張力Pが作用するときの主索の全長LFは、次の[式1]で示される。
[式1]において、L0は主索3に張力が作用しない状態での長さである主索3の自然長(張力が作用しない状態での長さ)、KEは主索の単位長さ当たりの弾性係数、Pは主索3の両端に作用する張力を、raは、主索3の経年的な伸びの自然長L0に対する割合である。
そこで、制御装置100は、2台の乗りかご1,2それぞれの積載荷重による主索3の弾性伸びを、それぞれの着床位置補正部13a,13bで補償するように配慮している。さらに、制御装置100は、乗りかご等の自重による弾性伸びや経年的な伸びについて、2台の着床位置補正部13a,13bが均等に補償されるように制御している。
まず、制御装置100は、主索3の自然長の配分を行う(ステップS11)。
すなわち、制御装置100は、主索3の伸びのうち、積載荷重に依存しない成分を求める。ここでは、主索3の据付時に計測した自然長をL00とし、暫定的にこれを巻上機4から乗場5a,5bまでの距離H1、H2の比率で分配する。このとき、主索3の全長のうち、巻上機4に巻き掛かっている区間の長さは微小であるので、この区間の主索3の伸びは無視される。また、乗りかご1側の主索3の自然長L10は、[式2]で算出される。同様に、乗りかご2側の主索3の自然長L20は、[式3]で算出される。
[式2]、[式3]において、Dsは巻上機4の直径である。
L20=(L00-Ds×π÷2)×H2÷(H1+H2)・・・(式3)
ここでは、制御装置100は、自然長Ln0、積載荷重がゼロのときの張力Pn0、ならびに後述する方法で更新されるraを[式1]に代入して、この状態でのかご枠11a,11bの位置L1’,L2’を算出する。
dY2=L2’+Hf-Y2-H2・・・(式5)
L2z=L2’-dY2+(dY1+dY2)÷2・・・(式7)
このようにして、積載荷重に起因する弾性伸び成分を除いた長さの主索3の両端それぞれから、主索3に接続された乗りかご1,2を停止させようとする乗場5a,5bまでの距離が互いに等しくなる位置を求める処理が行われる。
ここは、制御装置100は、ステップS12で算出した、一方の乗りかご1側の主索3の自然長L1r、ならびに、実際の積載荷重から算出した主索3の張力P1を[式1]に代入して、乗りかご1側の主索3の長さ、すなわち、巻上機4からかご枠11aまでの距離L1を算出する。
ここでは、距離L1の位置に乗りかご1のかご枠11aを停止させたとき、乗りかご1のかご枠11aの下端からかご室12aの下端までの距離が、次の[式8]で算出される距離Y1となるように、制御装置100が着床位置補正部13aを制御する。このようにして、乗りかご1のかご室12aが、目的の乗場5aに着床する。
各乗りかご1,2の着床を制御する際には、主索3の経年的な伸びを考慮して補正する。
この経年的な伸びを考慮して補正するために、主索3の経年的な伸びの自然長に対する割合raを更新する。ここでは、更新前のraをra[n]と表記し、更新後のraをra[n+1]と表記する。
すなわち、乗場5aに乗りかご1を停止させたときの他の乗りかご2の停止予想位置と、かご枠11bに設置されたかご枠位置センサ15bの計測値とから、主索3の経年的な伸び成分の変化量を算出し、経年的な伸び成分を更新する学習機能を備えることで、経年的な伸びがあっても適正に着床位置を補正できるようになる。
以上のようにして、巻上機4と着床位置補正部13a,13bを制御することで、主索3の伸びのうち、乗りかご1,2の積載荷重に依存しない成分は2台の着床位置補正部13a,13bで均等に補正される。そして、それぞれの乗りかごの積載荷重に起因する主索3の伸びは、それぞれの乗りかご1,2の着床位置補正部13a,13bで補正されるようになる。したがって、着床位置補正部13a,13bの最大の補正量(最大ストローク)を低減することができ、乗りかご1,2に搭載された着床位置補正部13a,13bを小型化でき、着床位置補正部13a,13bを搭載するかご枠11a,11bの高さも低減させることができる。
着床後は、乗客等の積載荷重の変化に応じて、着床位置補正部13a,13bのストロークを調整する。この調整には、かご枠位置センサ15a,15bの計測値と着床位置補正部13a,13bに内蔵したストローク検出器でかご室12a,12bの床と乗場5a,5bの床の間の高さの差を算出し、この算出結果を用いる。あるいは、かご室12a,12bの床と乗場5a,5bの床の間の高さの差を、床高さセンサ16a,16bで直接計測し、この計測値を用いてもよい。
図1に示したマルチカーエレベーターは、主索3の一端と他端に乗りかご1,2が接続された連結式マルチカーエレベーターとした。
これに対して、本発明の実施の形態例で説明した着床制御処理は、他の方式のマルチカーエレベーターに適用してもよい。
以下、本発明の実施の形態例で説明した着床制御処理が適用できる、他の方式のマルチカーエレベーターの構成について、図4以降を参照して説明する。
図4に示すマルチカーエレベーターは、図1に示すマルチカーエレベーターに対して、下方索6とプーリ7が追加されたものである。下方索6の一端6E1は、一方の乗りかご1の下端に接続され、下方索6の他端6E2は、他方の乗りかご2の下端に接続される。プーリ7は、昇降路の底部に配置される。
図4に示す構成において、その他の部分については、図1に示すマルチカーエレベーターと同様に構成する。
巻上機4を境とした主索3の長さの差が大きくなる場合がある、行程が長いエレベーターでは、巻上機4を境とした主索3の張力の差が過大になって、主索3と巻上機4との間の摩擦駆動が成立しない条件がある。
そこで、図4に示すように、下方索6を乗りかご1,2に吊り下げることで、この張力の差を抑制することが可能である。望ましくは、主索3と下方索6の単位長さ当たりの質量を同一にして、主索3と下方索6による張力の差をなくすのが好ましい。
この図4に示す構成のマルチカーエレベーターの場合にも、上述した図1の構成の場合と同様に着床制御を行うことで、着床位置補正部13a,13bの最大ストロークの低減や作動時間の短縮が可能である。
図5及び図6に示すマルチカーエレベーターでは、2組の主索3a,3bと2組の下方索6a,6bを設け、一方の主索3aを接続点J1,J2で一方の下方索6aに無端状に接続すると共に、他方の主索3bを接続点J3,J4で他方の下方索6bに無端状に接続する。
図6の平面図に示すように、水平投影面において、連結棒17a,17bは、乗りかご1,2の対角線とおよそ一致しており、乗りかご1,2と巻上機4a,4bやプーリ7a,7bの投影範囲が重複しないようになっている。
なお、図1の例のように、一方の乗りかご1の乗場5aと、他方の乗りかご2の乗場5bとの向きが異なる場合、かご枠位置センサ15a,15bは、図5及び図6に示すように、各向きの乗場5a,5bに対応して2個配置する必要がある。図示は省略するが、床高さセンサ16a,16bについても、同様に2個配置する必要がある。
この図5及び図6に示す構成のマルチカーエレベーターの場合にも、上述した図1の構成の場合と同様に着床制御を行うことで、着床位置補正部13a,13bの最大ストロークの低減や作動時間の短縮が可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
プログラムを実行する構成とした場合には、各機能を実現するプログラム等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
制御装置100が行う着床制御機能の一部または全部を、専用のハードウェアによって実現する場合には、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)が適用可能である。
Claims (2)
- 複数台の乗りかごが主索で連結されると共に、前記主索が巻上機で駆動されるマルチカーエレベーターにおいて、
前記複数台の乗りかごのそれぞれは、
乗客又は荷物を搭載するかご室と、
前記主索と接続され、前記かご室を保持するかご枠と、
前記かご室を前記かご枠に対して鉛直方向に駆動して、前記かご室と前記かご枠の鉛直方向の距離を補正する着床位置補正部と、
前記巻上機に対する前記かご枠の鉛直方向の距離を計測するかご枠位置センサと、
前記かご室に搭載された乗客又は荷物の質量を計測する荷重計と、
乗場に対する前記かご室の鉛直方向距離を計測するための、前記乗りかごに設置された床高さセンサと、を備え、
前記着床位置補正部の駆動は、前記床高さセンサの計測結果に基づいて行われ、
前記巻上機は、複数台の前記乗りかごの内のいずれか1台の特定の乗りかごに搭載されている前記かご枠位置センサの計測値に基づいて、当該特定の乗りかごの前記かご枠を所望の乗場の位置に停止させるように駆動し、
前記乗りかごのそれぞれの前記着床位置補正部は、当該乗りかごを停止させようとする前記乗場の床の高さと当該乗りかごの前記かご室の床の高さとを一致させる駆動を行い、
所望の停止位置に1台の前記乗りかごを停止させたときの他の前記乗りかごの停止予想位置と、前記かご枠位置センサの計測値とから、前記主索の経年的な伸び成分の変化量を算出し、前記経年的な伸び成分を更新する
マルチカーエレベーター。 - 前記かご枠の所望の停止位置は、乗客又は荷物の積載荷重に起因する弾性伸び成分を除いた長さの前記主索の両端それぞれから、前記主索に接続された前記乗りかごを停止させようとする前記乗場までの距離が互いに等しくなる位置である
請求項1に記載のマルチカーエレベーター。
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