JP7328465B2 - 演算装置、制御装置、培養システム、及び培養システムの設計方法 - Google Patents

演算装置、制御装置、培養システム、及び培養システムの設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、培養対象物を培養する培養槽を制御するための演算装置、制御装置、培養システム、及び培養システムの設計方法に関する。
動物細胞や微生物などの培養対象物を培養槽において培養する場合、培養槽内の溶存酸素量(Dissolved Oxygen:DO)が制御される。DO制御は、長時間において連続的に行われるものであり、時間経過と共に培養対象物が増殖するのに従って酸素消費量が増大するという性質がある(例えば、特許文献1参照)。培養槽におけるDO制御においては、機械的な制御と異なり、酸素を供給する制御量に対して溶存酸素量がすぐに目標値に追従するものではなく、目標値に対して実際に被制御量が現れるまでのむだ時間が発生する。また、DO制御においては、与える制御量である酸素供給量に対して被制御量であるDO値が現れるまで大きな応答遅れが発生するという性質がある。
日本国特開2008-161850号公報
培養槽において培養対象物に必要な溶存酸素量の制御値を算出するために、実際の培養槽を用いて実験をする場合、実験規模が大規模となり、多大な費用を要すると共に、データの取得に長期間を要するという課題がある。
本発明は、実際の培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、培養槽における溶存酸素量の制御値を算出することができる演算装置、制御装置、培養システム、及び培養システムの設計方法を提供することを目的とする。
本発明は、培養対象物を培養する第1培養槽に貯留された培養液中において検出されたDO値と任意の制御方法により制御された酸素供給量との関係を示す経時的な培養データを取得し、前記培養データに基づいて、経時的に増加する前記培養対象物に対する前記酸素供給量と前記DO値との関係を示す培養モデルを同定し、前記培養モデル及び第2培養槽において前記酸素供給量に基づいて前記培養対象物を培養する培養制御方法を用いて、仮想的に前記第2培養槽において前記培養対象物を培養するシミュレーションを実行し、シミュレーション結果に基づいて前記培養制御方法に用いられるパラメータを算出する演算部を備える、演算装置である。
本発明によれば、第1培養槽において得られた培養データに基づいて培養モデルを同定し、培養モデルに基づいて第2培養槽を制御するシミュレーションを実行することで、実際に第2培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、第2培養槽における制御方法のパラメータを調整することができ、実験に必要なコストを大幅に低減することができる。
また、本発明の前記演算部は、前記シミュレーションを繰り返し実行し、仮想的に前記制御方法に基づいて制御される前記酸素供給量と前記第2培養槽において検出される前記DO値との関係に基づいて前記パラメータを調整してもよい。
本発明によれば、実際に第2培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、シミュレーション上で制御方法に用いられるパラメータを回数に制限無く調整し、適切なパラメータを取得することができ、実験に必要なコストを大幅に低減することができる。
また、本発明は、前記演算装置における前記培養制御方法を実行するプログラムがインストールされた制御装置であって、前記パラメータが入力された後、実際の前記第2培養槽において、前記パラメータが適用された前記培養制御方法に基づいて前記酸素供給量を制御し、前記第2培養槽おける前記DO値を予め設定された設定値に調整する制御部を備える制御装置である。
本発明によれば、実際の第2培養槽を制御する制御装置は、予め演算装置により制御方法のパラメータが調整されているため、実際の第2培養槽における培養実験を行うこと無く、第2培養槽の稼働開始と共に正確に第2培養槽を制御することができる。
また、本発明の前記制御部は、前記第2培養槽内に微細気泡を放出するスパージャを制御し前記酸素供給量を調整してもよい。
本発明によれば、制御装置がスパージャを制御することにより、第2培養槽内のDO値を調整することができる。
また、本発明は、前記演算装置と、前記制御装置と、前記第2培養槽と、前記第2培養槽内に設けられ前記前記制御装置により制御される微細気泡を放出するスパージャと、を備える培養システムである。
本発明によれば、小規模な第1培養槽において取得された培養データに基づいて実行されたシミュレーション結果を実際の第2培養槽内に設けられたスパージャを制御装置により制御し、実際に第2培養槽における培養対象物の培養実験を行う必要が無く実験に必要なコストを大幅に低減することができる。
また、本発明の前記制御方法は、PFC制御であってもよい。
本発明によれば、第2培養槽を制御する制御方法に一次遅れとむだ時間が存在するプロセス制御に適したPFC制御を用いることにより、PID制御において発生するハンチング現象を抑制しつつ、設定値付近でDO値を安定的に制御することができる。
本発明は、培養対象物を培養する第1培養槽に貯留された培養液中において検出されたDO値と任意の制御方法により制御された酸素供給量との関係を示す経時的な培養データを取得する工程と、前記培養データに基づいて、経時的に増加する前記培養対象物に対する前記酸素供給量とDO値との関係を示す培養モデルを同定する工程と、第2培養槽において前記酸素供給量に基づいて前記培養対象物を培養する制御方法を実行するプログラムがインストールされた演算装置を用いて、前記培養モデル及び前記制御方法に基づいて、仮想的に前記第2培養槽において前記培養対象物を培養するシミュレーションを実行し、シミュレーション結果に基づいて前記制御方法のパラメータを算出する工程と、を備える、培養システムの設計方法である。
本発明によれば、第1培養槽において得られた培養データに基づいて培養モデルを同定し、培養モデルに基づいて第2培養槽を制御するシミュレーションを実行することで、実際に第2培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、第2培養槽における制御方法のパラメータを調整することができ、実験に必要なコストを大幅に低減することができる。
また、本発明は、前記演算装置を用いて前記シミュレーションを繰り返し実行し、仮想的に前記制御方法に基づいて制御される前記酸素供給量と前記第2培養槽において検出されるDO値との関係に基づいて前記パラメータを調整する工程を有していてもよい。
本発明によれば、実際に第2培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、シミュレーション上で制御方法に用いられるパラメータを回数に制限無く調整することができ、実験に必要なコストを大幅に低減することができる。
また、本発明は、前記制御方法を実行するプログラムがインストールされた制御装置に前記パラメータを入力する工程と、実際の前記第2培養槽において、前記制御装置を用いて前記パラメータが適用された前記制御方法に基づいて前記酸素供給量を制御し、前記第2培養槽おける前記DO値を予め設定された設定値に調整する工程を有していてもよい。
本発明によれば、実際の第2培養槽を制御する制御装置は、予め演算装置により制御方法のパラメータが調整されているため、実際の第2培養槽における培養実験を行うこと無く、第2培養槽の稼働開始と共に正確に第2培養槽を制御することができる。
本発明によれば、実際の培養槽における培養対象物の培養実験を行うことなく、培養槽における溶存酸素量の制御値を算出することができる。
培養システムの構成を示すブロック図である。 制御対象培養槽の構成を概略的に示す図である。 培養モデルの同定方法を概念的に示す図である。 演算装置において実行されるシミュレーションを概念的に示す図である。 シミュレーションの結果の一例を示す図である。 演算装置において実行されるPFC制御のシミュレーションの各処理を示すフローチャートである。
動物細胞や微生物などの培養対象物を培養槽において培養する場合、様々な問題が生じる。例えば、培養槽におけるDO制御は、目標値に対して実際に被制御量が現れるまでのむだ時間のあるプロセス制御であり、プラント等の制御において一般的に使用されているPID制御(Proportional-Integral-Differential Controller)を適用することが困難である。PID制御は、フィードバック制御の一種であり、培養槽におけるDO制御に適用する場合、時間経過と共に増大する酸素消費量に対して1つのパラメータで対応することには不向きだからである。
その他の培養制御方法として、ON/OFF制御が知られている。ON/OFF制御は、例えば、培養槽内のDO設定値に対してDO測定値を比較し、ある一定時間経過してもDO設定値に到達しない場合は、任意の量の酸素供給量を増加させ、或いは減少させるように制御する。しかしながら、ON/OFF制御に基づくDO制御は、制御精度が非常に悪くなり、酸素を過剰に供給することに起因して、泡立ちが発生しやすくなる場合がある。培養槽において、通気により培養界面での発泡が生じると、微生物や、動物細胞の増殖を悪化させる原因となる場合がある。
発泡は、例えば、培養液中の炭酸ガスの排出を阻害し、培養槽の排気からの泡が漏出すると排気フィルターを閉塞し、培養槽中において微小粒子であるマイクロキャリアを用いた培養においてマイクロキャリアを浮上させ、微生物、動物細胞から泡沫を分離させ、微生物、動物細胞への酸素供給を低減させる等の悪影響を及ぼす。培養槽における泡立ちの解消のため、消泡剤を添加すると、消泡剤により培養対象物の増殖を阻害し、精製工程への負荷を発生させる可能性もある。そのため、培養槽においては消泡剤をなるべく使用せず、且つ、通気制御に基づいて発泡を抑制することが望ましい。
更に、培養槽におけるDO制御の制御値を算出するために、実際の培養槽において培養実験を行うと、実験規模が大規模となり、多大な費用を要すると共に、データの取得に長期間を要する。発明者らは、大規模な実験を行うことなく、培養槽における適切なDO制御を行うことについて鋭意研究を行ってきた。以下、本発明の実施形態に係る培養管理装置について説明する。
図1及び図2に示されるように、培養システム1は、実験用の培養槽2(第1培養槽)と、実際に培養対象物を培養するための制御対象培養槽20(第2培養槽)と、培養槽2の実験結果に基づいて制御対象培養槽20を制御するシミュレーションを実行する演算装置10と、制御対象培養槽20を制御する制御装置30とを備えている。培養槽2は、例えば、DO制御に基づいて、培養対象物を培養し培養データを測定するための実験室レベルの小規模な培養設備である。培養槽2は、現在稼働中の実際の培養設備であってもよいし、制御対象培養槽20であってもよい。即ち、培養槽2は、培養対象物の培養データが取得可能であれば任意の培養槽が用いられてもよい。
培養槽2は、例えば、培養対象物を培養する培養液を収容する容器を有している。培養槽2には、培養液中の溶存酸素量(DO値)を検出する検出部3が設けられている。検出部3は、例えば、容器内に設けられた溶存酸素センサを有している。また、培養槽2には、培養液中に酸素を供給するDO調整装置4が設けられている。DO調整装置4は、例えば、酸素を供給するマスフローコントローラ(不図示)とスパージャ(不図示)とを有している。マスフローコントローラは、酸素供給ラインを介して気体酸素をスパージャに供給する。スパージャは、気体酸素を培養槽2内の培養液中に拡散する。
スパージャは、マスフローコントローラに接続された酸素供給ラインの先端に設けられ、培養槽2内に配置されている。スパージャは、例えば、SPG膜、セラミック膜、焼結金属等の多孔質体により形成されている。スパージャは、多孔質体に形成された無数の細孔を介して溶液中に酸素の微細な気泡(マイクロバブル)を供給し、溶液と酸素との接触面積を増大させ、溶液中に酸素を溶解しやすくするように構成されている。
制御対象培養槽20は、実際に培養対象物を培養する大規模な培養設備である。制御対象培養槽20は、新たに設計される培養槽や、制御システムを更改する予定の既存の培養槽である。制御対象培養槽20は、例えば、培養対象物を培養する培養液を収容する収容容器に構築されている。制御対象培養槽20には、培養液中の溶存酸素量を検出する検出部21が設けられている。検出部21は、例えば、容器内に設けられた溶存酸素センサを有している。また、制御対象培養槽20には、水中に酸素を供給するDO調整装置22が設けられている。DO調整装置22は、例えば、酸素を供給するマスフローコントローラとスパージャ22Aとを有している。マスフローコントローラは、酸素供給ラインを介して気体酸素をスパージャ22Aに供給する。スパージャ22Aは、上述した構成を有し気体酸素を制御対象培養槽20内の培養液中に拡散する。
演算装置10は、大規模な制御対象培養槽20を稼働させる前に仮想的に制御対象培養槽20において培養対象物を培養するシミュレーションを実行するシミュレーション装置である。演算装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の制御装置を含む情報処理端末装置により実現される。演算装置10は、培養槽2に通信可能に接続されている。演算装置10は、ネットワークWを介して培養槽2に接続されていてもよい。ネットワークWは、例えば、公衆網、構内LAN(Local Area Network)により構成されている。演算装置10は、ネットワークWに接続されたサーバ装置であってもよい。演算装置10は、ネットワークWに接続されたクラウド上のシステムであってもよい。演算装置10は、培養槽2から培養データを取得する。演算装置10は、培養槽2に接続されていなくてもよく、データが記録された記録媒体に基づいて、培養槽2から培養データを取得してもよい。
培養データは、培養対象物を培養する任意の培養槽2に貯留された培養液中において、時刻tにおいて検出されたDO値と酸素供給量との関係を示す経時的なデータである。培養データは、細胞増殖のデータが含まれている必要はなく、培養対象物の培養において、DO値と、従来方式のON/OFF制御等の任意の制御方法により制御された酸素供給量との関係を示すものでよい。即ち、培養データは、培養対象物を培養する過程で得られたものであり、時刻tにおける酸素供給量とDO値が連続的に示され、且つ、時間経過と共に酸素供給量が増大していく状態が示されているデータであれば、制御方法を問わず利用可能である。従って培養データは、実験データに限らず現在稼働中の培養槽から取得されたデータや過去に培養槽から取得されたデータであってもよい。
演算装置10は、培養槽2において培養された培養対象物の培養データを取得部12から取得する。取得部12は、通信データを送受信する通信インタフェース、データが記録された記憶媒体を読み込み可能なドライブ装置等により構成されている。取得部12から取得されたデータは、記憶部16に記憶される。記憶部16には、演算や制御に用いられるデータやプログラムが記憶されている。記憶部16は、ハードディスクドライブ(HDD)や、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶媒体により構成されている。記憶部16は、ネットワークWに接続されたクラウド上の仮想サーバ装置であってもよい。
記憶部16に記憶されたデータは、演算部14により読み出され、演算が実行される。演算部14は、例えば、取得された培養データに基づいて、経時的に増加する培養対象物に供給する酸素供給量と仮想DO値との関係を経時的に示す培養モデルを同定する。培養モデルは、例えば、酸素供給量を入力すると所定時間後に一次遅れ応答にて検出される仮想DO値を算出する、簡単な式で近似した経時的なモデルである。培養モデルは、酸素供給量と仮想DO値との関係を経時的に再現できればどのようなものを用いてもよい。
培養モデルは、実際の酸素供給量データを入力して算出された仮想DO値をDO値の実測値に近づくように所定の式に含まれるパラメータを調整することにより同定される。培養モデルの調整は、培養データに基づいて、人的に行ってもよいし、多数の培養データを教師データとする機械学習に基づいて演算部14が自動的に行ってもよい。
演算部14は、同定した培養モデル及び予め設定された所定の培養制御方法を用いて、仮想的に制御対象培養槽20において培養対象物を培養するシミュレーションを実行する。培養制御方法は、培養対象物を培養するように酸素供給量を調整しDO値を設定値に近づくように所定のアルゴリズムに基づいて制御するものである。培養制御方法は、例えば、培養槽における一次遅れ+むだ時間が存在するプロセス制御に適したPFC制御(Predictive Functional Control)が用いられる。
PFC制御は様々種類が存在するモデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)のうちの一手法である。PFC制御は、制御対象であるDO値の出力が入力(酸素供給量:MV値)に対して一時遅れ応答をすると仮定して、制御対象(DO値)の動きを予測し、システム(培養量)が安定的に動作するように最適化する制御方式である。
PFC制御においては、制御目標となる設定値が設定される。本実施形態において設定値は、目標とするDO値である。次に、設定値に対して現在のDO値を理想的に近づける参照軌道と呼ばれる曲線が定義される。参照軌道は、例えば、指数関数により設定される。参照軌道の軌道上には、一致点と呼ばれる点が設定される。PFC制御は、一致点において制御対象値の予測値と参照軌道の値との差を最小化するように酸素供給量に基づく最適制御を行う。
培養制御方法は、酸素供給量を制御するものであればON/OFF制御、PID制御等の他のアルゴリズムが用いられてもよい。演算部14は、DO調整装置22を制御して酸素供給量を調整するための制御プログラムに基づく培養制御方法を用いてシミュレーションを実行する。演算部14は、入力された制御対象培養槽20の設計値、制御対象培養槽20に収容される培養液の液量、DO調整装置22の制御量等の設定値に基づいてシミュレーションを実行する。演算部14は、シミュレーションにおいて培養制御方法に基づいて酸素供給量(MV値)を制御し、DO値を目標値(設定値)に保つ制御を実行する。
演算部14は、シミュレーションにおいて、培養モデルに基づいて、制御対象培養槽20に供給した仮想的な酸素供給量(MV値)に対する仮想的に検出されるDO値を算出する。演算部14は、仮想的に検出されるDO値に対して、培養制御方法に基づいて仮想的なDO値を目標値に制御するように仮想的な酸素供給量を算出する。演算部14は、算出した仮想的な酸素供給量を制御対象培養槽20に供給するシミュレーションを実行し、仮想的に検出されるDO値を算出する。演算部14は、シミュレーションを実行する。演算部14は、上記処理を繰り返すシミュレーションを繰り返し実行し、仮想的に培養制御方法に基づいて制御される酸素供給量と制御対象培養槽20において検出されるDO値との関係に基づいてパラメータを調整する。
演算装置10によれば、実際に制御対象培養槽20を稼働させる前に事前にシミュレーションを行うことにより、大規模な培養実験を行うことなく、培養対象物の培養予測を行うことができる。演算装置10によれば、シミュレーションを実行し、大規模な培養実験を行うことなく、培養制御方法に使用されるパラメータを調整することができる。調整されたパラメータのデータは、例えば、ネットワークWを介して実際の制御対象培養槽20を制御するために制御装置30に入力される。
制御装置30は、例えば、ネットワークWを介して制御対象培養槽20に接続されている。制御装置30は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の制御装置を含む情報処理端末装置、制御対象機器を制御するシーケンサ等により実現される。制御装置30は、パラメータを入出力部32から取得する。入出力部32は、通信データを送受信する通信インタフェースや、データ信号を入出力する装置、データが記録された記憶媒体を読み込み可能なドライブ装置等により構成されている。
入出力部32は、また、制御対象培養槽20の検出部21から検出された培養液中の溶存酸素量(DO値)のデータを取得し、記憶部36に記憶する。入出力部32から取得されたデータは、記憶部36に記憶される。記憶部36には、更に演算や制御に用いられるデータやプログラムが記憶されている。記憶部36は、ハードディスクドライブ(HDD)や、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶媒体により構成されている。
記憶部36に記憶されたデータは、制御部34により読み出され、実際の制御対象培養槽20を制御する。記憶部36には、培養制御方法を実行するプログラムがインストールされている。制御部34は、記憶部36からプログラムを読み出し、培養制御方法を実行する。制御部34は、実際の制御対象培養槽20において、入力されたパラメータが適用された培養制御方法に基づいて酸素供給量を制御する。制御部34は、検出部21のDO値の検出値に基づいて、培養制御方法に基づいて酸素供給量を制御し、制御対象培養槽20におけるDO値を予め設定された設定値に調整する。
制御部34は、DO調整装置22を制御するための制御信号を生成する。制御信号は、DO調整装置22を制御するための信号である。制御部34は、制御信号を入出力部32から出力し、DO調整装置22を制御し、制御対象培養槽20に供給する酸素供給量を調整する。具体的に制御部34は、制御対象培養槽20に微細気泡を放出するスパージャ22Aを制御し培養液中の酸素供給量を調整する。制御部34は、記憶部36に記憶されたプログラムに基づいてDO調整装置22を制御する。制御部34は、制御対象培養槽20においてPFC制御に基づいて培養対象物を培養する。
制御対象培養槽20には、検出部21が設けられている。検出部21は、DO計21Aを用いて制御対象培養槽20内の溶存酸素量(mg/L)を測定し、演算装置10に検出値を出力する。演算装置10において演算部14は、設定したDO設定値と検出部3により検出されたDO測定値とを比較し、PFC制御を用いて酸素供給量(mL/min)を算出する。
制御部34は、酸素供給量の算出値に基づいて制御信号を生成し、DO調整装置22に設けられた酸素供給ラインのマスフローコントローラに制御信号を出力する。マスフローコントローラは、酸素供給ラインを介して気体酸素をスパージャ22Aに供給する。気体酸素は、スパージャ22Aから制御対象培養槽20内の培養液中に拡散される。
本実施形態では、PFC制御において、モデル予測制御ソフトウェアを使用せずにモデル予測制御の計算式を直接、制御部34に接続されたシーケンサのプログラムに書き込み処理を行っている。シーケンサは、数ミリ秒の周期で演算処理することができる。本実施形態におけるシーケンサは、例えば、1秒周期で演算処理するように構成されている。そのため、シーケンサは、制御対象培養槽20内において時間経過に伴って細胞の増殖に応じて酸素流量(細胞による酸素消費量)が増加した場合、1秒周期で適切な酸素流量を計算する。これにより、制御部34は、酸素流量を制御しているマスフローコントローラにほぼリアルタイムに操作量を出力することができる。実際の制御対象培養槽20を用いて培養対象物を培養する際の初期の所定期間においては、培養制御方法に用いられるパラメータをDO値の検出値に基づいて適宜調整される。
培養システム1によれば、7~10日間程度行う培養工程においても、培養期間中は継続して、DO設定値に対して±0.1~0.2mg/L程度(実績値)の制御精度で制御することができる。
次に培養システム1における培養管理方法の各工程について説明する。
図3に示されるように、制御対象培養槽20のDO制御にPFC制御を適用する場合、制御対象培養槽20を稼働させる事前に実験室レベルの小スケールの培養槽2を用いた培養試験に基づいて、時刻tにおける酸素供給量とDO値との関係を示す培養データDを取得する。演算部14は、時刻tにおける酸素供給量x(t)を供給した際に仮想DO値を算出する培養モデルMを同定する。培養モデルMは、時刻tにおける酸素供給量に基づいて仮想DO値を算出するように初期パラメータが設定されている。
演算部14は、例えば、培養データDに基づいて、時刻tにおける酸素供給量x(t)を取得する。演算部14は、取得した酸素供給量x(t)を初期パラメータが設定された培養モデルMに入力し、仮想DO値y_sim(t)を算出する。演算部14は、培養データDに基づいて得られた時刻tにおける酸素供給量x(t)に対して検出された実測DO値y(t)と、算出された仮想DO値y_sim(t)とが近似するように培養モデルMの初期パラメータを調整し、培養モデルMを同定する。初期パラメータは、例えば、DO値y(t)と仮想DO値y_sim(t)との誤差を最小とするように調整される。
次に、演算部14は、仮想的な制御対象培養槽20において培養モデルを用いて培養対象物の増殖を再現しつつ、PFC制御に基づいて仮想的に培養対象物を培養するシミュレーションを実行する。PFC制御には、任意に設定可能な複数のパラメータが存在している。実際に制御対象培養槽20において培養対象物を培養する前に、対象プロセスに合わせてPFC制御において用いられるパラメータを調整する必要がある。
通常のプラント設備においては、水等を使用した試運転時にパラメータをチューニングし、その後、実液を用いた運転の過程でパラメータの微調整を行い、パラメータを最適化する。しかし、培養対象物を培養する培養工程において用いられる溶存酸素制御は、酸素を消費する細胞を用いて実験を行わない限り、制御の挙動を再現することができない。また、培地や細胞は非常に高価であり、実際に培養対象物を培養しながら培養制御方法のパラメータのチューニング作業を実施することは困難である。
そのため、培養システム1においては、事前に演算装置10においてPFC制御に基づいて培養対象物を培養するシミュレーションを実行し、制御装置30と制御対象培養槽20とがオフラインの状態においてPFC制御に用いられるパラメータを調整する。PFC制御に用いられるパラメータは、実際に培養対象物を培養した実験結果に基づいて再度培養モデルを構築し、PFC制御に基づくシミュレーションを実施することにより最適化されてもよい。
図4には、演算部14により実行されるPFC制御に基づくシミュレーションのフローが示されている。演算部14は、仮想的な制御対象培養槽20において、PFC制御に基づいて時刻tにおいて検出されるDO値に対する酸素供給量(MV値)を算出する。演算部14は、次の周期における計算時に用いるため、算出したMV値を記憶部16に記憶する。演算部14は、算出した計算MV値を培養モデルMに適用し、仮想的に培養対象物を増殖させ検出部21において検出されると予測される仮想DO値を算出する。
演算部14は、前回算出したMV値を記憶部16から読み出し、算出した仮想DO値と前回算出したMV値とに基づいて新たなMV値を算出し、培養モデルに適用し、新たな仮想DO値を算出する。演算部14は、シミュレーションにおいて上記演算を繰り返し実行し、結果を出力する。PFC制御に基づくシミュレーションの結果は、グラフで可視化することで安定制御できていることを確認できる。
図5には、PFC制御に基づくシミュレーションの結果の一例が示されている。シミュレーションは、例えば8.3時間(30000秒)分行われている。図示するように、培養モデルに基づいて、経時的に培養対象物(細胞)が増殖し、それに伴い酸素消費量が増大する状態がシミュレーションにより再現される。通常のPID制御の場合、酸素流量の立ち上がり時のオーバーシュートやその後のハンチング現象が発生する。それに対してPFC制御は、DO値の制御に適用された場合、PID制御において発生するハンチング現象を抑制しつつ、設定値付近でDO値を安定的に制御することができる。
DO値は、DO値は、初期状態から所定時間経過後は、3.00mg/Lの目標値に対して、2.94mg/Lの値に安定的に制御される。これは、0から10mg/Lの設定レンジに対して制御精度が0.6%のフルスケール精度において制御されていることを示す。図示するようにPFC制御は、時間経過に伴って制御対象物が増殖して酸素消費量が増加した場合でも、DO値を目標値に近い値に安定的に制御することができる。PFC制御によれば、酸素供給量を適正化し、培養液中への過剰な酸素供給に基づく発泡を防止することができる。
図6には、演算装置10において実行されるPFC制御に基づくシミュレーションの各工程が示されている。以下に示すPFC制御は、シミュレーションにおいて実行されると共に、実際の制御対象培養槽20の制御においても実行される。実施形態のPFC制御は、制御対象(DO値)が一時遅れ応答をすると仮定して、制御対象(DO値)の動きを予測し、安定的な動作をするように酸素供給量(MV値)の算出を繰り返し行い、パラメータを最適化する。制御対象培養槽20のDO制御においては、例えば、「積分+1次遅れむだ時間プロセス」用のPFC制御の計算式が採用されている。実施形態のPFC制御は、以下に示すように酸素供給量(MV値)を経時的に繰り返し算出する。
演算部14は、PFC制御に基づく酸素供給量(MV値)の算出において、1周期目の計算時はMV値の初期値として任意のパラメータで設定したデータを取得し、1周期前のMV値が存在する場合には、1周期前のMV値のデータを取得する(ステップS100)。演算部14は、MV値の初期値を培養モデルに入力し制御対象培養槽20における仮想的なDO値を算出すると共に(図4参照)、PFC制御に基づいて仮想的なDO値に対する酸素供給量(MV値)を計算MV値として算出する(ステップS102)。算出された計算MV値は、PFC制御が起動した直後や、外乱発生時は安定せず、1周期前のMV値に比して過剰に増大し、或いは過剰に減少する場合がある。
そのため、演算部14は、計算MV値をそのまま出力せず、任意に設定可能なパラメータであるMV上限値(=MVmax)と計算MV値とを比較し、計算MV値がMV上限値より大きいか否かを判定する(ステップS104)。演算部14は、計算MV値がMV上限値より大きい場合、MV上限値を出力MV値として出力する(ステップS106)。演算部14は、計算MV値がMV上限値以下である場合(ステップS104:No)、計算MV値と任意に設定可能なパラメータであるMV下限値(=MVmin)とを比較し、計算MV値がMV下限値未満であるか否かを判定する(ステップS108)。
演算部14は、計算MV値がMV下限値未満である場合(ステップS108:Yes)、MV下限値を出力MV値として出力する(ステップS110)。演算部14は、計算MV値がMV下限値以上である場合(ステップS108:No)、計算MV値を出力MV値として出力する(ステップS112)。演算部14は、出力した出力MV値と1周期前のMV値との差分と、任意に設定できるパラメータDMVとを比較し、差分がDMVに比して大きいか否かを判定する(ステップS114)。
演算部14は、出力MV値と1周期前のMV値との差分がDMVに比して大きい場合(ステップS114:Yes)、出力MV値にDMVを加算(または減算)した値を本周期のMV値として出力する(ステップS116)。演算部14は、出力MV値と1周期前のMV値との差分がDMV以下の場合(ステップS114:No)、出力MV値を本周期のMV値として出力する(ステップS118)。演算部14は、出力した本周期のMV値を1周期前のMV値としてシーケンサ内のメモリに格納し、次周期のPFC制御計算式に使用する(ステップS120)。演算部14は、処理をステップS100に戻し、上記シミュレーションのステップを繰り返し実行し、経時的なシミュレーションデータを蓄積する(図5参照)。
蓄積されたシミュレーション結果は、演算装置10においてグラフに出力されて可視化され、検証される。演算装置10において、シミュレーション結果を検証し、PFC制御に基づいて制御されるMV値と制御対象培養槽20において検出される仮想的なDO値との関係に基づいて、仮想的なDO値が安定的に制御されるようにPFC制御に基づくパラメータが適宜調整される。演算装置10において調整されたパラメータは、実際の制御対象培養槽20が施工された後、制御装置30に入力され、制御対象培養槽20において培養対象物を実際に培養し、検証される。
制御装置30には、PFC制御を実行するプログラムがインストールされる。制御装置30には、調整されたパラメータが入力される。制御装置30は、パラメータが入力された後、実際の制御対象培養槽20において、パラメータが適用されたPFC制御に基づいて制御対象培養槽20内に微細気泡を放出するスパージャ22Aを制御し酸素供給量(MV値)を制御する。制御装置30は、検出部21に検出されたDO値に基づいて、スパージャ22Aを制御して酸素供給量(MV値)を調整し、制御対象培養槽20おけるDO値を予め設定された設定値に調整する。検出結果は、検証期間の間、記憶部36に記憶される。
蓄積された実験結果は、演算装置10に入力される。演算装置10は、実験結果をグラフに出力し可視化する。演算装置10において、実験結果を検証し、PFC制御に基づいて制御されるMV値と制御対象培養槽20において検出される実際のDO値との関係に基づいて、実際のDO値が安定的に制御されるようにPFC制御に基づくパラメータが再度微調整される。
培養システム1によれば、PFC制御を培養対象物の培養に適用することで、ON/OFF制御等の従来の制御方式に比して、制御対象培養槽20において酸素を安定的且つ連続的に供給することができる。培養システム1によれば、細胞や微生物の増加に伴う酸素消費量の増加に対して、酸素供給量を徐々に増加させることで、DO値をハンチングさせることなく設定値付近で高精度に制御できる。
培養システム1によれば、酸素供給量を細胞に必要な最小限の量で供給することができ、酸素供給による培養槽内の泡立ちを抑制することができる。具体的には、酸素を培養液に効率よく溶け込ませるために、酸素は、マイクロバブル等の微細気泡の状態で供給されるのが好ましい。例えば、本実施形態では、酸素は、気泡径が0.5~数100μmの微細気泡の状態でスパージャから供給される。しかしながら、酸素を微細気泡とすることで泡立ち易くなる。そのため、微細気泡の酸素は、必要最小限の量で供給されるのがより重要である。培養システム1によれば、PFC制御を使用することにより、酸素供給量を高精度に調整(必要量だけ供給)することができるため、酸素を微細気泡の状態で供給しても泡立ちを抑えることができる。また、これに伴い、酸素消費量を抑えることもできる。培養システム1によれば、泡立ちを抑制することでマイクロキャリアを使用した細胞培養においてもマイクロキャリアが泡に巻き込まれることを回避することができる。
培養システム1によれば、実験室レベルの小規模な培養槽2から得られた培養データに基づいて培養モデルを同定することができる。培養システム1によれば、演算装置10においてPFC制御に基づく培養対象物を培養するシミュレーションを実行することにより、制御パラメータをオフラインで検討することができる。培養システム1によれば、シミュレーションにおいて得られたパラメータに基づいて実際の培養において高精度に制御することができる。培養システム1によれば、大規模な制御対象培養槽20において実験を行うことを不要とし、実際に培養対象物を培養するまでのコストを大幅に低減することができる。
培養システム1によれば、培養槽の規模や制御方法を問わず、培養データに基づいて培養モデルを同定し、シミュレーションを実行することができる。培養システム1によれば、現在稼働中の制御対象培養槽20の規模を拡張する他の培養槽(第3培養槽)を設計することができる。即ち、培養システム1によれば、第2培養槽において培養対象物を培養して得られた培養データに基づいて、第2培養槽を拡張する第3培養槽におけるシミュレーションを実行し、シミュレーション結果に基づいて第3培養槽の性能を評価することができる。この場合、第3培養槽は、第2培養槽と同じ規模に限らず、任意の規模において設定されてもよい。
上述した演算装置10の構成要素のうち、一部又は全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)、SSD、フラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVD、CD-ROM、フラッシュメモリなどの着脱可能な非一時的な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、演算部14は、PFC制御だけでなく他の培養制御方法に基づいてシミュレーションを実行すると共に、制御対象培養槽20を制御してもよい。演算部14は、培養データに基づいて、機械学習を行い、学習結果に基づいてシミュレーションを実行すると共に、制御対象培養槽20を制御してもよい。
制御装置30は、複数の制御対象培養槽20を制御するものであってもよい。演算装置10は、統合的に複数の培養槽2や複数の制御対象培養槽20から培養データを取得してもよい。演算装置10は、統合的に複数の制御対象培養槽20に対する複数のシミュレーションを実行してもよい。演算装置10は、制御対象培養槽20を稼働させている所定の期間の経過後等の所定のタイミングにおいて記録された培養データに基づいて、適宜シミュレーションを実行し、PFC制御に用いられるパラメータを調整してもよい。制御装置30は、現存する制御対象培養槽20の制御装置と置き換えられてもよい。
1 培養システム
2 培養槽
10 演算装置
14 演算部
22A スパージャ
30 制御装置
34 制御部
D 培養データ
M 培養モデル

Claims (9)

  1. 培養対象物を培養する第1培養槽に貯留された培養液中において検出されたDO値と任意の制御方法により制御された酸素供給量との関係を示す経時的な培養データを取得し、
    前記培養データに基づいて、経時的に増加する前記培養対象物に伴って増加させ、或いは減少させる前記酸素供給量と前記DO値との関係を示す培養モデルを同定し、
    前記培養モデル及び第2培養槽において前記酸素供給量に基づいて、前記培養対象物を培養する培養制御方法を用いて、仮想的に前記第2培養槽において前記第2培養槽内のDO値を予め設定された設定値に保つように前記酸素供給量を制御し前記培養対象物を培養するシミュレーションを実行し、
    シミュレーション結果に基づいて前記培養制御方法において酸素供給量及び/又はDO値を制御するために用いられるパラメータを算出する演算部を備える、演算装置。
  2. 前記演算部は、前記酸素供給量を入力すると所定時間後に一次遅れ応答にて検出される前記DO値を算出する前記培養モデルを同定し、前記培養対象物の仮想的な増減に伴い増減する酸素消費量に従って前記第2培養槽内に必要とされる酸素供給量を増減させるように制御しつつ、且つ前記第2培養槽内のDO値を予め設定された設定値に保つように前記酸素供給量を制御する前記シミュレーションを繰り返し実行し、仮想的に前記培養制御方法に基づいて制御される前記酸素供給量と前記第2培養槽において検出される前記DO値との関係に基づいて前記パラメータを調整する、
    請求項1に記載の演算装置。
  3. 請求項1または2に記載の前記演算装置における前記培養制御方法を実行するプログラムがインストールされた制御装置であって、
    前記パラメータが入力された後、実際の前記第2培養槽において、前記パラメータが適用された前記培養制御方法に基づいて前記酸素供給量を制御し、前記第2培養槽おける前記DO値を予め設定された設定値に調整する制御部を備える、制御装置。
  4. 前記制御部は、前記第2培養槽内に微細気泡を放出するスパージャを制御し前記酸素供給量を調整する、
    請求項3に記載の制御装置。
  5. 請求項1または2に記載の前記演算装置と、
    請求項3または4に記載の前記制御装置と、
    前記第2培養槽と、
    前記第2培養槽内に設けられ前記前記制御装置により制御される微細気泡を放出するスパージャと、を備える、
    培養システム。
  6. 前記培養制御方法は、PFC制御である、
    請求項5に記載の培養システム。
  7. 培養対象物を培養する第1培養槽に貯留された培養液中において検出されたDO値と任意の制御方法により制御された酸素供給量との関係を示す経時的な培養データを取得する工程と、
    前記培養データに基づいて、経時的に増加する前記培養対象物に伴って増加させ、或いは減少させる前記酸素供給量とDO値との関係を示す培養モデルを同定する工程と、
    第2培養槽において前記酸素供給量に基づいて前記培養対象物を培養する培養制御方法を実行するプログラムがインストールされた演算装置を用いて、前記培養モデル及び前記培養制御方法に基づいて、仮想的に前記第2培養槽において前記第2培養槽内のDO値を予め設定された設定値に保つように前記酸素供給量を制御し前記培養対象物を培養するシミュレーションを実行し、シミュレーション結果に基づいて前記培養制御方法において酸素供給量及び/又はDO値を制御するために用いられるパラメータを算出する工程と、を備える、
    培養システムの設計方法。
  8. 前記演算装置を用いて前記酸素供給量を入力すると所定時間後に一次遅れ応答にて検出される前記DO値を算出する前記培養モデルを同定し、前記培養対象物の仮想的な増減に伴い増減する酸素消費量に従って前記第2培養槽内に必要とされる酸素供給量を増減させるように制御しつつ、且つ前記第2培養槽内のDO値を予め設定された設定値に保つように前記酸素供給量を制御する前記シミュレーションを繰り返し実行し、仮想的に前記培養制御方法に基づいて制御される前記酸素供給量と前記第2培養槽において検出されるDO値との関係に基づいて前記パラメータを調整する工程を有する、
    請求項7に記載の培養システムの設計方法。
  9. 前記培養制御方法を実行するプログラムがインストールされた制御装置に前記パラメータを入力する工程と、
    実際の前記第2培養槽において、前記制御装置を用いて前記パラメータが適用された前記培養制御方法に基づいて前記酸素供給量を制御し、前記第2培養槽における前記DO値を予め設定された設定値に調整する工程を有する、
    請求項8に記載の培養システムの設計方法。
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