JP7325467B2 - 少量の対立遺伝子および多型の同定ならびに定量のためのマルチプレックス法 - Google Patents

少量の対立遺伝子および多型の同定ならびに定量のためのマルチプレックス法 Download PDF

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Description

関連出願
本願は、米国仮特許出願第62/280951号(2016年1月20日に出願され、MULTIPLEXED METHOD FOR THE IDENTIFICATION AND QUANTITATION OF MINOR ALLELES AND POLYMORPHISMSと題され、発明者としてAnders Nygrenが指名され、代理人ドケット番号AGB-7001-PV2が割り当てられる)の利益を主張する。この特許出願は、米国仮出願第62/152697号(2015年4月24日に出願され、MULTIPLEXED METHOD FOR THE IDENTIFICATION AND QUANTITATION OF MINOR ALLELES AND POLYMORPHISMSと題され、発明者としてAnders Nygrenが指名され、代理人ドケット番号AGB-7001-PVが割り当てられる)の利益も主張する。この特許出願は、米国特許出願第10/903,268号(2004年1月30日に出願され、現在は米国特許第8,003,317号であり、発明者としてMartin BeaulieuおよびDirk Johannes van den Boomが指名され、METHODS FOR HIGH LEVEL MULTIPLEXED POLYMERASE CHAN REACTIONS AND HOMOGENOUS MASS EXTENSION REACTIONSと題され、代理人ドケット番号SEQ-2079-UTを有し、この米国特許法第119条(e)項のもとの優先権の利益は、米国仮出願第60/492,102号(2003年7月31日に出願され、Martin BeaulieuおよびDirk van den Boomに対して、「METHODS FOR HIGH LEVEL MULTIPLEXED POLYMERASE CHAIN REACTIONS AND HOMOGENEOUS MASS EXTENSION REACTIONS」と題され、代理人ドケット番号17082-087P01(P2079)を有する))の継続出願である、米国特許出願第13/193,390号(2011年7月28日に出願され、現在は米国特許第8,349,566号であり、発明者としてMartin BeaulieuおよびDirk Johannes van den Boomが指名され、METHODS FOR HIGH LEVEL MULTIPLEXED POLYMERASE CHAN REACTIONS AND HOMOGENOUS MASS EXTENSION REACTIONSと題され、代理人ドケット番号AGB-2079-CTを有する)の継続出願である、米国特許出願第13/718,758号(2012年12月18日に出願され、発明者としてMartin BeaulieuおよびDirk Johannes van den Boomが指名され、METHODS FOR HIGH LEVEL MULTIPLEXED POLYMERASE CHAN REACTIONS AND HOMOGENOUS MASS EXTENSION REACTIONSと題され、代理人ドケット番号AGB-2079-CT2を有する)に関連する。本願は、国際PC出願第PCT/US2004/024953号(2012年12月18日に出願され、「METHODS FOR HIGH LEVEL MULTIPLEXED POLYMERASE CHAIN REACTIONS AND HOMOGENEOUS MASS EXTENSION REACTIONS」と題され、発明者としてMartin BeaulieuおよびDirk van den Boomが指名される)にも関連する。これら出願の文章、表および図を含むそれぞれの主題は、全体が参照によって組み込まれる。
分野
本技術は、部分的に核酸変種、例えば野生型対立遺伝子の多型またはバリアント変種を同定および/または定量することに関する。
背景
特異的核酸の検出は、診断医学および分子生物学の研究にとって重要なツールである。核酸アッセイは、例えば宿主対象における細菌およびウイルスなどの感染性生物を同定する、正常な遺伝子の発現を探索してがん遺伝子などのバリアント遺伝子を同定する、組織移植前に適合性に関して組織の型を決定する、法医学のために組織または血液試料を合致させる、異なる種の遺伝子間の相同性を分析する、ならびに遺伝子の変種である多型および対立遺伝子を同定することができる。これらの応用はしばしば、相対的に多量の非標的(大量)核酸種を含有する核酸試料または混合物に存在する相対的に少量の目的の少量核酸種(例えば、野生型対立遺伝子の少量の対立遺伝子変種またはがん遺伝子)を検出および/または定量する能力を必要とする。この能力は、核酸アッセイをマルチプレックス方式で、すなわち複数の核酸がスクリーニングされるように実施することができれば(例えば、効率に関して)さらに増強される。
対立遺伝子、多型、または他の変異の中から低頻度(コピー数)の変種を検出する、マルチプレックス方法を含むこれまでの方法は、しばしば信頼性があり、再現可能であるが、低頻度の変種を同定するために必要とされる検出感度または限界より低い検出感度または限界を有する(例えば、約10%~15%頻度という検出限界は、その範囲より低い変異頻度を同定することができない)。相対的に低い検出限界は一般的に、優勢な野生型種のより大きい検出シグナルによって、低頻度の変種の検出シグナルが小さく見えることによる。他の方法は、「野生型」シグナルを除去して、それによって低頻度変種の検出を改善することによって、この問題を克服する。しかし、野生型シグナルの除去によって、核酸試料中の変種の相対量を定量すること、または低頻度変種の非存在を明確に確認することが困難になる場合がある。高い検出感度を高い精度と組み合わせる、マルチプレックス方法を含む方法は、これまでの方法によって検出されないかまたは最適に検出されないある特定の低頻度変種の改善された同定および/または定量を提供することができる。
要旨
本明細書において、高い検出感度を高い精度と組み合わせて、そうでなければ検出されないかまたは最適に検出もしくは定量されないある特定の低頻度変種の改善された同定および/または定量を提供する、マルチプレックス法を含む方法を提供する。
ある特定の実施形態では、本明細書において、1つまたは複数の少量核酸種と1つまたは複数の大量核酸種の混合物を含む核酸集団において、1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、方法が
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて、混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと;
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で増幅混合物を伸長プライマーに接触させるステップであって、
(i)1つまたは複数の大量核酸種が、大量核酸種に対して特異的であるが、少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、少量核酸種に対して特異的であるが、大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬が(A)増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または(B)1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによってプライマーが、大量核酸種と比較して少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって、少量核酸種および大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬のそれぞれの濃度より低い、
ステップと、
(c)(b)の伸長産物を分析し、それによって1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するステップと、
を含むマルチプレックス方法を提供する。
ある特定の実施形態では、核酸集団は、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、複数の少量核酸種は、単一のマルチプレックス反応において同定される。一部の実施形態では、方法の一部(b)は、少なくとも2つの反応槽または区画の組において実施され:
第1の槽または区画は、大量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含有するが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含有しない伸長条件を含み、
残りの槽または区画のそれぞれが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的かつ共通である単一の鎖停止試薬を含有するが、大量核酸種に対して特異的または共通の単一の鎖停止試薬を共有しない少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含有しない伸長条件を含む。一部の実施形態では、鎖停止試薬のそれぞれの濃度は既知である。
同様に本明細書において、1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種の混合物を含む核酸集団において1つまたは複数の少量核酸種を定量する方法であって、少量核酸種が同じ大量核酸種の変種であり、それぞれ大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、方法が
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含有する核酸の増幅混合物を産生するステップと;
(b)(i)1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれ、および(ii)大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含む伸長条件下で、増幅混合物を伸長プライマーに接触させるステップであって、それによってプライマーが、大量核酸種と比較して少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって、少量核酸種および大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、(1)鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、(2)大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度より低い、
ステップと、
(c)大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度と比較した、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度に基づいて、大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと、
を含む方法が提供される。
同様に、1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種の混合物を含む核酸集団において1つまたは複数の少量核酸種を定量するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、方法が
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で増幅混合物を伸長プライマーに接触させるステップであって、
(i)1つまたは複数の大量核酸種が、大量核酸種に対して特異的であるが、少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、少量核酸種に対して特異的であるが、大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬が(A)増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または(B)1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによってプライマーが、大量核酸種と比較して少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって、少量核酸種および大量核酸種にそれぞれ対応する連鎖停止伸長産物が生成され、(1)鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、(2)大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度より低い、
ステップと、
(c)大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度と比較した、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度に基づいて、大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと、
を含むマルチプレックス方法が提供される。
本発明の実施形態では、核酸集団は、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、複数の少量核酸種は、単一のマルチプレックス反応において同定される。ある特定の実施形態では、方法の一部(b)は、少なくとも2つの反応槽または区画の組で実施され:
第1の槽または区画は、大量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含有するが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含有しない伸長条件を含み、
残りの槽または区画のそれぞれは、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的かつ共通である単一の鎖停止試薬を含有するが、大量核酸種に対して特異的または共通の単一の鎖停止試薬を共有しない少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含有しない伸長条件を含む。
本明細書において提供される方法のある特定の実施形態では、少量および大量核酸種の配列は、単一塩基だけ異なり、プライマーは、異なっている単一塩基までまたはそれを超えて伸長する。一部の実施形態では、少量核酸種の配列は、大量核酸種の配列と比較して挿入または欠失を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸種は、大量核酸種の単一ヌクレオチド多型(SNP)変種である。ある特定の実施形態では、少量および大量核酸種はそれぞれ、同じ遺伝子のバリアントおよび野生型対立遺伝子である。
本明細書において提供される方法の一部の実施形態では、大量核酸種は宿主対象に由来し、少量核酸種は、宿主以外の対象に由来する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種はそれぞれ、大量核酸種のコピー数の約10%未満であるコピー数で存在する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種はそれぞれ、大量核酸種のコピー数の約1%~10%未満の間であるコピー数で存在する。
一部の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種はそれぞれ、大量核酸種のコピー数の約2%~10%未満の間であるコピー数で存在する。
本明細書において提供される方法のある特定の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約1%~約20%の間である。本明細書において提供される方法のある特定の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.1%~約10%の間である。本明細書において提供される方法のある特定の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.01%~約5%の間である。一部の実施形態では、鎖停止試薬は鎖停止ヌクレオチドである。実施形態では、鎖停止ヌクレオチドは独立して、ddATP、ddGTP、ddCTP、ddTTP、およびddUTPの中から選択される。
本明細書において提供される方法の一部の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドは、1つの鎖停止ヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドは、2つの鎖停止ヌクレオチドからなる。一部の実施形態では、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドは、3つの鎖停止ヌクレオチドからなる。
本明細書において提供される方法のある特定の実施形態では、鎖停止試薬は、1つまたは複数の非環式停止剤を含む。本明細書において提供される方法の実施形態では、部分(a)での増幅は、増幅プライマーを使用して約30~約45の間のPCR増幅サイクルを含む。一部の実施形態では、(b)の伸長条件は、伸長プライマーを伸長させる約20~約300の間のサイクルを含む。ある特定の実施形態では、(b)の伸長条件は、少なくとも50サイクルの伸長を含む。
本明細書において提供される方法の実施形態では、1つまたは複数の鎖停止試薬および/または伸長プライマーは、検出可能な標識を含む。ある特定の実施形態では、標識は蛍光標識または色素である。一部の実施形態では、標識は、質量標識である。実施形態では、標識は検出することができ、それによって1つまたは複数の少量核酸種が同定または定量される。ある特定の実施形態では、標識は、質量標識であり、検出は質量分析によるものである。
本明細書において提供される方法は、ある特定の実施形態では、少量核酸種および/または大量核酸種の増幅を含み、これは伸長(鎖停止剤を使用する単一塩基または数塩基の伸長)の前に実施される。一部の実施形態では、(a)の増幅反応条件は、水、ゲノムDNA、緩衝剤、dNTP、プライマー対、MgCl、およびポリメラーゼを含み、MgCl濃度の、dNTPのそれぞれ1つの濃度に対する比率は、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、または5:1以下から選択される。ある特定の実施形態では、ポリメラーゼは、少なくとも約0.03単位/μlの濃度のTaqポリメラーゼである。本明細書において提供される方法の実施形態では、(a)の増幅反応条件は、約400~700μMの間の各dNTP、約100nMのプライマー対、および約1.6~最大約4.8mMの間のMgClを含む。一部の実施形態では、増幅プライマー対における1つまたは複数のプライマーに配列タグを結合させる。一部の実施形態では、遊離のMg2+濃度は1.0~2.0mMの間である。
一部の実施形態では、例えば蛍光シグナルを検出することによって、または質量分析によって、伸長した産物の分析に成功すると共に、マルチプレックスPCRおよびプライマー伸長反応の高レベル(例えば、7重から50重またはそれ超)を可能にする特定のMgCl濃度が、本明細書における方法において実施される増幅のために同定されている。その後に質量伸長反応を実施し、その後に質量分析を行うPCR増幅反応において使用するためのdNTPおよびMgClの濃度を選択するときの検討は、PCR反応混合物の遊離のMg2+濃度を、その後の質量伸長反応および質量分析に有害な影響を及ぼさないように十分に低いが、強いPCR増幅を可能にするために十分に高い特定の範囲内で維持しなければならないことである。
したがって、本明細書において、少量種の複数の核酸標的領域と大量核酸種の対応する領域とを増幅条件下で同時に増幅させて、それによって7個またはそれ超の核酸標的領域の少なくとも60%が7個またはそれ超のプライマー対によって増幅されて、多型座または他の変種を含有する核酸標的領域の増幅混合物を産生するステップと、大量核酸種に対して特異的な少なくとも1つの鎖停止試薬および少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の存在下で、核酸標的領域の増幅混合物に7つまたはそれ超の遺伝子型決定プライマー(すなわち、伸長プライマーまたはUEP)をプライマー質量伸長条件下で接触させて、それによってプライマーがそれぞれの多型座までまたはそれを超えて伸長するステップであって、核酸標的分子内のそれぞれの多型座に対して1つの遺伝子型決定プライマーが存在するステップと、質量または他の標識、例えば蛍光または電気化学標識によって伸長した遺伝子型決定プライマーを検出するステップであって、企図される前記7個またはそれ超の核酸標的領域の遺伝子型の少なくとも60%が決定されるステップとによって、少量核酸種の複数の多型座または他の変種の遺伝子型を決定するマルチプレックス方法が提供される。ある特定の実施形態では、増幅プライマー対の量は、8個もしくはそれ超、9個もしくはそれ超、10個もしくはそれ超、11個もしくはそれ超、12個もしくはそれ超、または13個もしくはそれ超から選択されうる。
上記のこれらの方法のそれぞれのある特定の実施形態では、それぞれのプライマー対のいずれか1つまたは両方の増幅プライマーの5’末端に配列タグを結合させる。他の実施形態では、複数の配列バリエーションのマルチプレックス検出を実施する方法は、企図される少量核酸種の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、最大100%を決定することができる(すなわち、要求することができる)条件(例えば、本明細書において提供される増幅反応条件および/またはプライマー質量伸長反応条件)を使用して行われる。本明細書において提供される条件は、多様な増幅プライマー対および多様な標的核酸を使用して7重またはそれ超の増幅反応の多数のマルチプレックス反応に当てはまる。加えて、最適化された増幅および/またはプライマー質量伸長遺伝子型決定反応の全ては、本明細書において記載される2重から6重およびそれ超の範囲のマルチプレックスアッセイに応用可能である。
特定の実施形態では、配列タグを、13個もしくはそれ超、14個もしくはそれ超、15個もしくはそれ超、16個もしくはそれ超、17個もしくはそれ超、18個もしくはそれ超、19個もしくはそれ超、または20個もしくはそれ超、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、または50個もしくはそれ超の一次および二次プライマー対から選択される複数の一次および二次増幅プライマー対に結合させる。配列タグは、それぞれの対から一次および二次プライマーのいずれか1つまたは両方に結合させることができる。典型的に、配列タグを、それぞれの対の一次および二次プライマーに結合させる。本明細書において使用される配列タグは、長さが5~最大20、5~最大30、5~最大40、または5~最大50ヌクレオチドの範囲でありうるが、10量体の長さの配列タグが本明細書において提供される方法において特に有用である。配列タグは、マルチプレックス増幅反応においてそれぞれのプライマー対で同じ配列である必要はなく、または特定の増幅対における一次および二次プライマーで同じ配列である必要もない。特定の実施形態では、配列タグは、マルチプレックス増幅反応においてそれぞれのプライマーで同じである。例えば、ある特定の実施形態では、配列タグは10量体であり、それぞれ一次および二次プライマーの5’末端に結合する。本明細書において提供される方法の特定の実施形態では、それぞれ特定の核酸標的(少量核酸種)領域を増幅するために、単一のプライマー対のみを使用する。
本明細書において提供される方法の実施形態では、上記の方法の増幅反応条件は、水、少量核酸種と大量核酸種の混合物、緩衝剤、dNTP、一次および二次プライマー対、MgCl、およびポリメラーゼを含み、MgClの濃度の、dNTPのそれぞれ1つの濃度に対する比率は、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、または5:1以下から選択される。特定の実施形態では、MgClの濃度の、dNTPのそれぞれ1つの濃度に対する比率は7:1以下である。他の実施形態では、増幅反応条件は、約50~250nMプライマー対と共に、約400~700μMの間、約500~600μMの間、または約500μMの各dNTPを含む。これらの実施形態では、総MgCl濃度は、約2.6mM~最大約4.8mMの間のMgCl、約3.0~最大約4.5mMの間のMgCl、および約3.5mM~最大約4.0mMの間のMgClでありうる。実施形態では、dNTPおよびMgClの濃度を選択するとき、遊離のMg2+濃度は、約1~2mMの間である。本明細書において使用されるように、遊離のMg2+濃度=総Mg2+濃度(例えば、総[MgCl])-4つ全てのdNTPの総dNTP濃度(例えば、200μMの各dNTP=800μMの総[dNTP])である。ある特定の実施形態では、遊離のMg2+は、1.1~1.9mMの間、1.2~1.8mMの間、1.3~1.7mMの間、1.4~1.6mMの間である。特定の実施形態では、遊離のMg2+濃度は、約1.5mMである。これらの方法のそれぞれで、増幅サーモサイクルの多重度は、約30~約35、40、または45サイクルでありうる。特定の実施形態では、増幅反応条件は、各dNTP約500μM、約100nMのプライマー対、および約3.5mMのMgClを含む。これらの方法のそれぞれで、ポリメラーゼは、濃度0.03単位/μlのTaqポリメラーゼ(例えばQIAGEN(登録商標)から入手可能なHOTSTARTAQ(登録商標)など)でありうる。本明細書において提供される方法の特定の実施形態では、増幅反応条件は、以下の、BSA(ウシ血清アルブミン)、グリセロール、DMSO(ジメチルスルホキシド)、尿素、またはQ-SOLUTION(登録商標)から選択される添加剤の1つまたは任意の組合せの添加を除外する。
伸長プライマー(UEP)は、配列バリエーションに隣接してハイブリダイズして、混合物は、dNTPおよびddNTPの予め選択された組合せ、または他の鎖停止試薬、例えば非環式停止剤を含む試薬をさらに含む。dNTPとddNTPの予め選択された組合せにおいて、ddNTPが混合物中に存在するとき、同じdNTPは存在しない。これらの方法では、プライマー質量伸長サーモサイクルの多重度は、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200またはそれ超のサイクルから選択される。方法の実施形態では、プライマー質量伸長反応条件は、約20μM~約300μMのddNTPまたはそれぞれの少量核酸種に対して特異的な他の鎖停止試薬(C[Mut])、一般的に約20μM~約200μMのddNTP、約40μM~約200μMのddNTP、約100μM~約200μMのddNTP、または約50μMのddNTP、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])の20%未満であり、一般的にC[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%~約2%の間である、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度C[WT]、および約1μMのUEPプライマーを含む。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%~約10%の間である。これらのプライマー伸長反応のある特定の実施形態では、伸長反応条件はさらに、1マイクロリットルあたり約0.05~最大約0.5単位のDNAポリメラーゼを含む。他の実施形態では、プライマー質量伸長反応条件はさらに、1マイクロリットルあたり約0.1~最大約0.3単位のDNAポリメラーゼを含む。他の実施形態では、プライマー質量伸長反応条件はさらに、1マイクロリットルあたり約0.14~最大約0.2単位のDNAポリメラーゼを含む。一実施形態では、プライマー質量伸長反応条件はさらに、1マイクロリットルあたり約0.14単位のDNAポリメラーゼを含む。
ある特定の実施形態では、プライマー伸長反応は、少量種の鎖停止試薬の約0.1%~約10%である量で存在する大量種の鎖停止試薬を有する。他の実施形態では、大量種の鎖停止試薬の百分率は、鎖停止試薬のトランジション特異的取り込みの差を考慮に入れて、それぞれのトランジション(すなわち、A~C、A~G、A~T、C~A、C~G、C~T、G~A、G~C、G~T、T~A、T~C、およびT~G)に関して個々に調整される。例えば、少量種の鎖停止剤と比較した大量種の鎖停止剤の百分率の最適化の基準は、特異的少量種の頻度(例えば、約10%もしくはそれ未満、約5%もしくはそれ未満、約2.5%もしくはそれ未満、または約1%もしくはそれ未満)における、大量種のピークに対する少量種のピークの相対的ピーク高さでありうる。ある特定の実施形態では、調整された大量種の鎖停止試薬の百分率は、特異的トランジションに応じて、例えば、少量種の鎖停止試薬の濃度と比較して約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約1%~約4%、または約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%もしくは9.9%でありうる。
ある特定の実施形態では、調整された大量種の鎖停止試薬の百分率は、特異的トランジションに応じて、例えば少量種の鎖停止試薬の濃度と比較して約0.01%~約5%、約0.01%~約4%、または約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%もしくは5.0%でありうる。
一部の実施形態では、複数の増幅プライマー対における少なくとも1つのプライマー対で、1つのプライマーは、他のプライマーより濃度が低い。あるいは、複数のプライマー対のそれぞれで、1つのプライマーは、他のプライマーより濃度が低い。そのような実施形態では、特定の核酸標的領域(少量核酸種における領域)に対するより低濃度のプライマーは、その核酸標的領域に対する伸長(UEP)プライマーと同じ方向でありうる。さらに、増幅ステップの増幅産物は、一本鎖核酸分子でありうる。
同様に、伸長前に、少量および大量核酸種のマルチプレックス増幅を実施する方法であって、方法が、a)一次および二次プライマーの7個またはそれ超の対を設計するステップであって、それぞれのプライマー対が少量核酸種上の特定の核酸標的領域を増幅するステップと、b)複数のプライマー対および1つまたは複数の少量核酸種および大量核酸種を含有する混合物を形成して、複数の核酸標的領域を増幅するステップと、c)ステップb)の混合物を、7個またはそれ超の核酸標的領域の60%超の増幅を可能にする増幅反応条件下で多数のサーモサイクルに供するステップであって、増幅反応条件が、dNTPおよびMgClを含み、遊離のMg2+濃度が1.0~2.0mMの間(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9)であるステップとを含む方法も提供される。他の実施形態では、一次および二次プライマー対の量は、8個もしくはそれ超、9個もしくはそれ超、10個もしくはそれ超、11個もしくはそれ超、12個もしくはそれ超、または13個もしくはそれ超から選択されうる。
上記のこれらの方法のそれぞれのある特定の実施形態では、配列タグを、それぞれの増幅プライマー対のいずれか1つまたは両方のプライマーの5’末端に結合させる。一部の実施形態では、本明細書において提供される増幅反応条件は、7個またはそれ超の核酸標的領域の60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%超、最大100%から選択される百分率の7個またはそれ超の核酸標的領域の増幅を可能にする。本明細書において提供される条件は、多様な増幅プライマー対ならびに大量および少量核酸種の多様な混合物を使用する7重またはそれ超の増幅反応の多数のマルチプレックス反応に当てはまる。
特定の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
1つまたは複数の少量核酸種と1つまたは複数の大量核酸種の混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、
(i)前記1つまたは複数の大量核酸種が、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬が、(A)前記増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが、前記増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって、前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度より低い、ステップと、
(c)(b)の伸長産物を分析し、それによって、前記1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するステップと
を含む、マルチプレックス方法。
(項目2)
前記核酸集団が、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が、単一のマルチプレックス反応において同定される、項目1に記載の方法。
(項目3)
(b)が少なくとも2つの反応槽または区画の組において実施され、
第1の槽または区画が、前記大量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬を含むが、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含まない伸長条件を含み、
残りの槽または区画のそれぞれが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的かつ共通である単一の鎖停止試薬を含むが、前記大量核酸種に対して特異的または共通の単一の鎖停止試薬を共有しない少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含まない伸長条件を含む、
項目1に記載の方法。
(項目4)
前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種との混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種を定量する方法であって、前記少量核酸種が同じ大量核酸種の変種であり、それぞれ前記大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)(i)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれ、および(ii)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含む伸長条件下で、前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、(1)前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、かつ(2)前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度より低い、ステップと、
(c)前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度と比較した、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度に基づいて、前記大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと
を含む、方法。
(項目6)
1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種との混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種を定量するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、
(i)前記1つまたは複数の大量核酸種が、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬が(A)前記増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが前記増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、(1)前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、(2)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度より低い、ステップと、
(c)前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量(複数)の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度と比較した、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度(複数)に基づいて、前記大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと
を含む、マルチプレックス方法。
(項目7)
前記核酸集団が、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が単一のマルチプレックス反応において同定される、項目5または項目6に記載の方法。
(項目8)
前記少量および前記大量核酸種の配列が、単一塩基だけ異なり、プライマーが、異なっている前記単一塩基までまたはそれを超えて伸長する、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記少量核酸種の配列が、前記大量核酸種の配列と比較して挿入または欠失を含む、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の単一ヌクレオチド多型(SNP)変種である、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記少量および前記大量核酸種がそれぞれ、同じ遺伝子のバリアントおよび野生型対立遺伝子である、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記大量核酸種が宿主対象に由来し、そして前記少量核酸種が前記宿主以外の対象に由来するか、または、前記少量核酸種が宿主対象に由来し、そして前記大量核酸種が前記宿主以外の対象に由来する、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約10%未満であるコピー数で存在する、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約1%~10%未満の間であるコピー数で存在する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約2%~10%未満の間であるコピー数で存在する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約5%またはそれ未満であるコピー数で存在する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約2%またはそれ未満であるコピー数で存在する、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約1%~約20%の間である、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.1%~約10%の間である、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.1%~約4%の間である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.01%~約10%の間である、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.01%~約4%の間である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記大量核酸種に対する前記鎖停止試薬の濃度が、特定の大量種/少量種トランジションに基づいて変化する、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記鎖停止試薬が鎖停止ヌクレオチドである、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記鎖停止ヌクレオチドが、独立してddATP、ddGTP、ddCTP、ddTTP、およびddUTPから選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが1つの鎖停止ヌクレオチドからなる、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが2つの鎖停止ヌクレオチドからなる、項目24または25に記載の方法。
(項目28)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが3つの鎖停止ヌクレオチドからなる、項目24または25に記載の方法。
(項目29)
前記鎖停止試薬が、1つまたは複数の非環式停止剤を含む、項目1から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
(a)において約30~約45の間のPCR増幅サイクルを含む、項目1から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
(b)の前記伸長条件が、約20~約300の間のサイクルを含む、項目1から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
(b)の前記伸長条件が少なくとも50サイクルを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
1つまたは複数の前記鎖停止試薬が検出可能な標識を含む、項目1から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記標識が蛍光標識または色素である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記標識が質量標識である、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記標識の検出をさらに含み、それによって前記1つまたは複数の少量核酸種が同定または定量される、項目33から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記標識が質量標識であり、検出が質量分析による、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記標識が蛍光標識または色素であり、検出が電気泳動またはリアルタイムPCRによる、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約1%であるコピー数で存在する、項目1から14および16から38のいずれか一項に記載の方法。
ある特定の実施形態を、以下の説明、特許請求の範囲、および図面においてさらに説明する。
図面は、本技術についてのある特定の非限定的な実施形態を例示するものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
図1は、本明細書において提供される方法を使用した、大量対立遺伝子と比較して頻度5%で存在する少量対立遺伝子の検出について示す。
図2は、各種比率の、バリアントに特異的なddNTP(C[Mut]dd NTP)濃度に対する野生型に特異的なddNTP(C[WT]ddNTP)濃度での、野生型またはバリアント対立遺伝子のいずれかに対応する単一塩基伸長産物への、ddNTP鎖停止試薬の経時的な組込みについて示す。
図3は、本明細書において提供される方法を使用した、大量対立遺伝子と比較して頻度5%、2.5%または1.25%で存在する少量対立遺伝子の検出について示す。
図4は、各希釈系列の試料タイプ(0%、1%、2.5%および5%)における、トランジションごと(個々のパネル)の検出感度(y軸)を示す。
図5は、5%チンパンジー希釈系列において観察されたチンパンジー頻度(y軸)を示す。パネルは独自のトランジションを表し、データ点はそのトランジションでのアッセイで観察されたチンパンジー頻度を表す。
図6は、様々な伸長反応条件(x軸)におけるアッセイ伸長率(y軸)について示す箱ひげ図である。
詳細な説明
本明細書において、1つまたは複数の少量核酸種と1つまたは複数の大量核酸種の混合物を含有する試料中に存在する複数の少量核酸種中の1つまたは複数の存在または非存在を同定する方法が提供される。同様に、試料中の大量核酸種の量と比較して少量核酸種(例えば、頻度またはコピー数)を定量する方法も提供される。
本明細書において提供される方法は、大量核酸種と比較して約0.25%~最大約50%の頻度またはコピー数で存在する少量核酸種を分析するために使用することができ、特定の範囲は、約0.25%もしくはそれに等しい値~約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、または1%もしくはそれに等しい値を含むがこれらに限定されるわけではない。ある特定の実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の頻度またはコピー数と比較して、約1%または約2%~約10%、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、または2.5%の頻度またはコピー数で存在する。実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の頻度またはコピー数と比較して約1%または約2%~約10%未満の頻度で存在する。実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の頻度またはコピー数と比較して約5%の頻度で存在する。
本明細書における方法は、大量核酸種の存在および/または量と比較した信頼可能な同定および/または定量を可能にしつつ、大量核酸種と比較した少量核酸種の改善された検出感度(検出限界)を提供する。
例えば、iPLEX(商標)または均質的MassExtend(登録商標)(hME)(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2013/0237428 A1号、米国特許第8,349,566号、および米国特許第8,003,317号)などの方法では、少量核酸種(例えば、バリアント対立遺伝子)と大量核酸種(例えば、野生型対立遺伝子)の混合物を、1組の増幅プライマー、ポリメラーゼ、およびデオキシヌクレオチド(dNTP)を使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に供し、それによって野生型およびバリアント種のアンプリコンを生成する。取り込まれていないdNTPを脱リン酸化するために、エビのアルカリホスファターゼ(SAP)による処置後、アンプリコン混合物を伸長プライマー(非伸長プライマーまたはUEP)、ポリメラーゼ、および鎖停止試薬(例えば、ジデオキシヌクレオチドまたはddNTP)を含む停止ミックスを使用して伸長させる。UEPはアンプリコンにハイブリダイズして、バリアント種と野生型種の間の相違部位まで伸長するか(すなわち、伸長は、バリアント種と野生型種の間で塩基の差が存在する変異部位で停止して、iPLEX(商標)の場合では単一塩基伸長産物またはSBEを生成する)、または相違部位を数塩基(例えば、2~3塩基)超えて停止する(例えば、hME法の場合)。次に、得られた伸長産物を処理して(例えば、質量分析の前に脱塩することによって)、野生型対立遺伝子と比較した検出シグナル(例えば、質量)の差に基づいてバリアント対立遺伝子の存在に関して分析することができる。
上記のiPLEX(商標)および均質的MassExtend(登録商標)(hME)法は、野生型およびバリアント種に対応する伸長産物を生成するために、伸長ステップにおいてddNTPの等モル混合物を使用する。このため、iPLEX(商標)および均質的MassExtend(登録商標)(hME)法では、少量核酸種と比較して大量核酸種が大過剰存在することを除き、他の全ての要因は等しく、UEPの大部分は、大量核酸種にハイブリダイズして、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を使用して伸長する。少量核酸種のハイブリダイゼーションおよび伸長に利用できるのは、UEPの相対的に少数の分子である。これにより、少量核酸種に対応する検出シグナルの大きさが損なわれ、大量核酸種からの優勢な検出シグナルより見劣りし、バックグラウンドノイズに組み込まれうる。
これに対し、本明細書において提供される方法は、バリアントまたは少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬と比較して限定的な濃度の、野生型または大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を使用して伸長ステップを実施する。大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度より低い濃度で添加すると、大量核酸種を鋳型として使用して伸長するUEPの数がより少なくなり、それによって、鋳型として少量核酸種を使用する伸長のために利用できるUEPの数がより多くなる。このように、一連の伸長サイクルに関して、少量核酸種に対応する伸長産物がより多く蓄積して、それによって少量核酸種に対応する検出シグナルが増加して、検出感度(限界)を改善する。本明細書において提供される方法は、鎖停止試薬の濃度が少量核酸種から生成されたアンプリコンを伸長させるために有利となるように偏っており、目的の試料中の大量核酸種の頻度より低い頻度で存在するいかなる少量核酸種も分析するために使用することができる。実施形態では、方法は、大量核酸種のコピー数または頻度の10%未満であるコピー数または頻度、例えば、大量核酸種のコピー数または頻度の約0.25%~10%未満、約0.5%~10%未満、約1%~10%未満、または約2%~10%未満の頻度で存在する少量核酸種の検出にとって有利である。
図1は、本明細書において提供される方法の一実施形態を実証する。少量対立遺伝子が大量対立遺伝子と比較して5%頻度で存在する、少量核酸種(少量対立遺伝子)と大量核酸種(大量対立遺伝子)との混合物を含有する試料を、iPLEX(商標)法に従う、または本明細書において提供される方法に従う増幅および伸長反応に供し、それによって検出および分析するための伸長産物を提供する。一番左のパネルは、等モル濃度の鎖停止試薬を使用するiPLEX(商標)法を使用する分析結果を示す。パネルから示されるように、左のシグナルピークは、大量対立遺伝子からの伸長産物に対応し、そのため優勢であるが、右側の少量ピークは、バックグラウンドノイズレベルまで低減して、そのため検出不能である。中央のパネルは、大量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が少量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度の20%(5分の1)であるときに得られた結果を示す。中央のパネルに見られるように、少量対立遺伝子伸長産物(右のピーク)からの検出シグナルの強度は、この場合、大量対立遺伝子伸長産物(左のピーク)からのシグナルと比較してより高くより明白である。しかし、少量対立遺伝子シグナルはなおも小さく、バックグラウンドノイズレベルに近い。一番右のパネルは、大量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、少量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度の約6~7%(15分の1)であるときに得られた結果を示す。右のパネルに見られるように、少量対立遺伝子伸長産物からのシグナル(右のピーク)は、この場合、大量対立遺伝子からのシグナル(左のピーク)と同等である。このように、図1は、鎖停止試薬の濃度を少量核酸種にとって有利となるように偏らせることによって、iPLEX(商標)などの方法では有効に検出することができない10%未満の頻度の少量核酸種を、本明細書において提供される方法によって検出することができることを実証する。
少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])と比較して、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[WT])は、2つの濃度の比率、すなわちC[WT]:C[Mut]が、少量核酸種が検出不能となるほど高くないように調整される。一部の実施形態では、比率は、対応する大量核酸種と比較したそれぞれの少量核酸種のコピー数または頻度に応じて、それぞれの少量種ついて調整することができる。一般的に、大量核酸種と比較して10%またはそれ未満の頻度で存在する少量核酸種の場合、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度C[WT]は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])の20%未満であり、C[WT]は、一般的にC[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、C[Mut]の約0.01%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。2つの濃度の比率は、低くなりすぎてはならず、すなわちC[WT]は、C[Mut]より低くなりすぎてはならない。C[WT]がC[Mut]よりかなり低いとき、大量核酸種について得られる伸長産物の量は少なく、それによって大量核酸種の検出シグナルは低くなる。しかし、それに加えて、少量核酸種は一般的に大量核酸種と比較して10%またはそれより少ない量で試料中に存在し、したがって少量種伸長産物を生成することができる量には限度があることから、少量種伸長産物のシグナルは、たとえC[Mut]がC[WT]よりかなり高い場合であっても、大量種伸長産物からのシグナルより高くなる可能性は低い。このため、C[WT]がC[Mut]よりかなり低いとき、大量および少量核酸種の両方からのシグナルは、互いに対して同等であっても、低くなりすぎて、バックグラウンドノイズに近くなりすぎて検出不能となりうる。
図2は、大量種に対して特異的なddNTP鎖停止剤(C[WT]ddNTP)および少量種に対して特異的なddNTP鎖停止剤(C[Mut]ddNTP)の様々な相対的濃度での、大量核酸種からの検出シグナルと比較した少量核酸種からの検出シグナルの分析を表す。PCR増幅およびSAP処置後、試料中の少量および大量核酸種のアンプリコンは、例えばddNTP鎖停止ヌクレオチドおよび伸長プライマー(UEP)を使用する単一塩基伸長反応による伸長のための鋳型として利用可能な十分量である。UEPプライマーのモル濃度は、PCR増幅プライマーのモル濃度より高く、それによって伸長の際の繰り返しサイクリングを通してシグナルの増幅が可能となる。少量核酸種と比較して大量核酸種に対応するアンプリコンが大過剰であるために、UEPのほとんどは大量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチド([WT]ddNTP)と共に伸ばされ、そのため、少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチド([Mut]ddNTP)と共に伸ばされるのはUEPのごく一部の割合である。最初の伸長サイクル後、UEPプライマーの大部分は、鋳型として大量核酸種を使用して伸ばされ、次の伸長サイクルのために利用可能なUEPプライマーの数は低減される。これらの伸長したUEPプライマー、すなわち大量核酸種の単一塩基伸長産物(SBE-WT)はまた、鋳型の大量核酸種および少量核酸種アンプリコンに結合することから、非伸長プライマー(UEP)に対する競合剤としても作用する(SBE-WTは、大量および少量核酸種アンプリコンの両方に関してUEPと競合して、それによってUEPを使用して生成される伸長産物の量が低減される)。大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(C[WT]ddNTP)が、少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(C[Mut]ddNTP)に等しい場合、および少量核酸種が試料中に大量核酸種の10%未満の頻度またはコピー数で存在する場合、少量核酸種に対応するシグナルは、少量核酸種に対応するシグナルと比較して低くなり、そのためにバックグラウンドノイズに対して検出不能となる。これを、図2の上のパネルに例証する(左から右に:非伸長プライマーからのシグナル、大量核酸種伸長産物からのシグナル、少量核酸種伸長産物からのシグナル、水平の破線はバックグラウンドを表し、すなわち、検出限界はノイズと区別できない)。
他方で、C[WT]ddNTPが、C[Mut]ddNTPより低い場合、試料中の相対的に多量の大量核酸種によるUEPプライマーの消費は少なく、以降のサイクルにおいてより多くのUEPプライマーを、少量核酸種に対応するアンプリコンからの伸長のために利用することができる。C[Mut]ddNTPは、C[WT]ddNTPよりかなり高いことから、反応は、サイクルごとの間に完了まで進行し、そのため単一塩基伸長反応のサイクルの総数にわたって進行することから、非常に多数のUEPが少量核酸種に対して特異的なddNTPと共に伸長し、それによって大量核酸種に対応するシグナルと比較してより高く、バックグラウンドノイズとは異なるシグナルを生成する。これを、図2の上から2番目および3番目のパネルに例証する(左から右に、非伸長プライマーからのシグナル、大量核酸種伸長産物からのシグナル、少量核酸種伸長産物からのシグナル、水平の破線はバックグラウンドを表し、すなわち、検出限界はノイズと区別できない)。このように、本明細書において提供される方法は、[Mut]ddNTPと比較して低い濃度の[WT]ddNTPを使用することによって、大量核酸種の頻度と比較して10%未満の頻度で存在する少量核酸種の検出を可能にする。しかし、伸長反応に添加される[WT]ddNTP分子が少なすぎると、大量核酸種アンプリコンの伸長が本質的に阻害され、これが低頻度の少量核酸種と組み合わさると、大量および少量核酸種の両方に関して低いピークのシグナルが生成されうる。方法の実施形態では、大量核酸種からのシグナルは、方法の完全性を確保するために陽性対照として使用することができる。このため、大量核酸種からのシグナルが低すぎる場合、もはや陽性対照として検出することができず、加えて、少量核酸種からのシグナルも同様に低すぎて正確に同定できない。このことを図2の下のパネルに例証する(左から右に、非伸長プライマーからのシグナル、大量核酸種伸長産物からのシグナル、少量核酸種伸長産物からのシグナル、水平の破線はバックグラウンドを表し、すなわち、検出限界はノイズと区別できない)。
図3に示すように、本明細書において提供される方法は、試料中の大量核酸種と比較して2%未満、1.25%もの低い頻度で存在する少量核酸種の検出にとって有用でありうる。図3は、試料を、増幅後に3つの条件、(A)大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(野生型対立遺伝子;C[WT]ddNTP)が、少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(バリアント対立遺伝子;C[Mut]ddNTP)に等しい;(B)C[WT]ddNTPが、C[Mut]ddNTPの濃度の約20%未満(すなわち、C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率が0.2)である;および(C)C[WT]ddNTPが、C[Mut]ddNTPの濃度の約5%未満である(すなわち、C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率が0.05)である条件下での伸長に供するときに得られた結果の比較を示す。図3に見られるように、C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率が1であるとき、すなわち2つの鎖停止剤濃度が等しいとき(例えば、iPLEX(商標)法で使用されるように)、5%、2.5%、および1.25%のバリアント対立遺伝子頻度は全て、検出限界(LOD)未満であった。C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率を0.2に減少させると、5%のバリアント対立遺伝子頻度は検出することができるが、2.5%および1.25%のバリアント対立遺伝子頻度は、なおも検出限界未満であった。C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率を0.05にさらに減少させると、3つ全てのバリアント対立遺伝子頻度(5%、2.5%、および1.25%)が検出可能であった。
本明細書において提供される方法はまた、試料中の大量核酸種の量と比較した1つまたは複数の少量核酸種(例えば、頻度またはコピー数)の定量のために使用することができる。例えば、大量核酸種および少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の相対濃度が既知である場合(すなわち、C[WT]およびC[Mut]が既知である場合)、少量および大量核酸種の相対量を、標準化係数を使用してC[WT]:C[Mut]の比率から誘導することができる。本方法の実施形態では、伸長反応は各伸長サイクルにおいて線形に増幅され、少量および大量核酸種の相対量は、C[WT]:C[Mut]の比率に反比例する。このため、大量核酸種に対応するシグナルの検出可能な量が存在することは、方法の完全性に対する陽性対照を提供し、同様に試料中の大量核酸種の量と比較して1つまたは複数の少量核酸種(例えば、頻度またはコピー数)の量も定量することができる。
本明細書において提供される方法を、マルチプレックスフォーマットに適合させることができる。例えば、複数の大量核酸種の変種(例えば、バリアント、対立遺伝子、多型、欠失変種、挿入変種等)である複数の少量核酸種を分析するとき、一連の反応槽、区画、または容器にマルチプレックス化を実施することができ、各容器は1つのみの鎖停止試薬(例えば、ddATP、ddCTP、ddUTP、ddGTP、またはddTTPのいずれか)を含有する伸長反応ミックスを有する。同じ特異的鎖停止試薬を有する全ての大量核酸種(例えば、ddATPで停止するこれらの大量核酸種の全ての単一塩基伸長産物)を、1つの容器で伸長させることができる。同様に、同じ特異的鎖停止試薬を有する全ての少量核酸種を、もう1つの容器で伸長させることができる。大量核酸種のアンプリコンが伸長される容器中のより低い濃度の大量核酸種特異的鎖停止試薬を使用して生成されたシグナルと比較して、それぞれの容器が共通の特異的鎖停止試薬を共有する各群の少量核酸種に対して相対的に高濃度の鎖停止試薬を有する一連の容器を使用して、複数の標的少量核酸種からのシグナルを分析することができる。マルチプレックス方法の一実施形態では、全て同じ大量核酸種の変種である複数の少量核酸種が分析される。
本明細書において提供される方法によって得られる大量および少量核酸種に対応する伸長産物は、多様な方法で検出することができる。例えば、伸長プライマー(UEP)および/または鎖停止試薬を、質量標識、放射活性分子、蛍光分子、抗体、抗体断片、ハプテン、炭水化物、ビオチン、ビオチン誘導体、リン光部分、発光部分、電気化学発光部分、酸化もしくは還元により電気化学シグナルを生成する部分、例えば鉄、ルテニウム、またはオスミウムの錯体(例えば、Pierceら、J. Clin. Micribiol. 50巻(11号):3458~3465頁(2012年)において記載されるように、Genmark Diagnostics,Inc.によって使用されるeSensor技術を参照されたい)、色素部分、および検出可能な電子スピン共鳴、電気容量、誘電定数、もしくは電気伝導率を有する部分、またはその標識の任意の組合せを含むがこれらに限定されるわけではない、シグナルの検出および/またはシグナルの定量を可能にする、任意のタイプの化学基または部分で標識してもよい。
少量および大量核酸種に対応する標識された伸長産物は、多様な方法によって分析することができ、これらの方法には、質量分析、MALDI-TOF質量分析、蛍光検出、DNAシークエンシングゲル、自動DNAシークエンシング機器でのキャピラリー電気泳動、マイクロチャネル電気泳動、ならびにシークエンシング、質量分析の他の方法、飛行時間型質量分析、四重極型質量分析、磁場型質量分析、電場型質量分析、赤外線分光法、紫外線分光法、定電位電流測定、電流/電気化学シグナルの測定、またはDNA断片が「プローブ」および「標的」の両方として有用である、サザンブロット、スロットブロット、ドットブロット、およびDNAマイクロアレイを含むDNAハイブリダイゼーション技術、ELISA、蛍光分光法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、SNP-IT、GeneChips、HuSNP、ビーズアレイ、TaqManアッセイ、Invaderアッセイ、MassExtend(登録商標)またはMassCleave(登録商標)法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において提供される方法は、例えば、(a)特定の標的配列(例えば遺伝子バリエーションを含む標的配列)が試料中に存在するか否かを迅速に決定するため、(b)混合物分析を実施するため、例えば混合物および/もしくはその組成を同定する、または混合物(例えば、混合集団、疑似種)中の標的配列の頻度を決定するため、(c)試料中の配列バリエーション(例えば、変異、単一ヌクレオチド多型)を検出するため、(d)ハプロタイプ決定を実施するため、(e)微生物(例えば、病原体)の型決定を実施するため、(f)試料中の微生物標的配列の存在または非存在を検出するため、(g)疾患マーカーを同定するため、(h)マイクロサテライトを検出するため、(i)短いタンデム反復配列を同定するため、(j)生物または複数の生物を同定するため、(k)対立遺伝子バリエーションを検出するため、(l)対立遺伝子頻度を決定するため、(m)メチル化パターンを決定するため、(n)エピジェネティック決定を実施するため、(o)生体分子の領域を再シークエンシングするため、(p)ヒト臨床研究および医学において分析を実施するため(例えば、がんマーカーの検出、配列バリエーションの検出、特定の薬物投与にとって好都合または不都合な配列シグネチャーの検出)、(q)HLA型決定を実施するため、(r)法医学分析を実施するため、(s)ワクチンの品質管理分析を実施するため、(t)処置をモニターするため、(u)ベクターが何かの分析を実施するため、(v)ワクチンまたは産生株の品質管理を実施するため、および(w)株が何かを試験するため、(x)植物、に利用することができる。そのような方法はまた、例えば商業、教育、医学、農業、環境、疾患モニタリング、防衛、および法医学分野を含むがこれらに限定されるわけではない多様な分野で利用することができる。
核酸
本明細書において使用される用語「核酸」は、天然の核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA))、合成核酸、非天然核酸(例えば、ペプチド核酸(PNA))、非修飾核酸、修飾核酸(例えば、メチル化DNAまたはRNA、標識DNAまたはRNA、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを有するDNAまたはRNA)を含むがこれらに限定されるわけではない、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。核酸を「ポリヌクレオチド」と呼ぶことは、共有結合によって連結された2つまたはそれ超のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を指す。核酸は、本明細書において記載されるプロセスと共に使用するために適した任意のタイプの核酸でありうる。ある特定の実施形態では、核酸は、DNA(例えば、相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、プラスミドおよびベクターDNAなど)、RNA(例えば、ウイルスRNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、リボソームRNA(rRNA)、tRNAなど)、および/またはDNAもしくはRNA類似体(例えば、塩基類似体、糖類似体、および/または非ネイティブ骨格などを含有する)でありうる。核酸は、本明細書におけるプロセスを行うために有用な任意の形態(例えば、線形、環状、スーパーコイル、一本鎖、二本鎖など)でありうる。核酸は、ある特定の実施形態では、プラスミド、ファージ、自律複製配列(ARS)、セントロメア、人工染色体、染色体、細胞、細胞核、もしくは細胞の細胞質であってもよく、またはそれらに由来してもよい。一部の実施形態では、核酸は、単一の染色体(例えば、核酸試料は、二倍体生物から得た試料の1つの染色体に由来しうる)に由来する。胎児核酸の場合、核酸は、父親の対立遺伝子、母親の対立遺伝子、または母親と父親の対立遺伝子に由来しうる。
本明細書において標的核酸、アンプリコン、プライマー、配列タグ、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを参照して使用される用語「少量核酸種」は、ヌクレオチド配列を整列させたときに、「大量核酸種」であるもう1つの核酸のヌクレオチド配列とは1つまたは複数のヌクレオチドが異なるヌクレオチド配列を有する1つの核酸を指す。このため、2つの種の配列を整列させるとき、第1の核酸種は、第2の核酸種と、1つまたは複数のヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100ヌクレオチドまたは100ヌクレオチド超の差)が異なる。ある特定の実施形態では、少量もしくは大量核酸種などの核酸種の数、少量もしくは大量核酸種のPCR増幅によって得られたアンプリコン種、または伸長したオリゴヌクレオチド種は、約2~約10000核酸種、約2~約1000核酸種、約2~約500核酸種、または時に約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000もしくは10000核酸種を含むがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において使用される用語「少量核酸種」または「標的核酸種」は、試料中の目的の任意の核酸種を指しうる。少量核酸種には、(i)2つまたはそれ超の起こりうる対立遺伝子における特定の少量対立遺伝子、および(ii)特定の変異、ヌクレオチド置換、配列バリエーション、反復配列、マーカー、または識別配列を有するまたは有しない核酸、が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。本明細書において使用される用語「大量核酸種」は、少量核酸種と1つまたは複数の特徴が異なり、少量核酸種より高い頻度またはコピー数で試料中に存在する核酸種を指す。本明細書において使用される用語「遺伝子バリエーション」は、1つまたは複数の特徴が異なる核酸種を指す。本明細書において使用される用語「変種」は、1つまたは複数の特徴が異なる核酸種を指す。特徴には、1つまたは複数のメチル基またはメチル化状態、1つまたは複数のホスフェート、1つまたは複数のアセチル基、および1つまたは複数のヌクレオチドの1つまたは複数の欠失、付加、または置換が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。1つまたは複数のヌクレオチドの1つまたは複数の欠失、付加、または置換の例には、特定の変異の存在または非存在、ヌクレオチド置換(例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP))の存在または非存在、反復配列の存在または非存在(例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタヌクレオチド反復配列)、マーカー(例えば、マイクロサテライト)の存在または非存在、および識別配列(例えば、1つの生物を別の生物と区別する配列(例えば、1つのウイルス株を別のウイルス株と区別する配列))の存在または非存在が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。異なる標的核酸は、任意の公知の方法によって、例えば本明細書において記載される、質量、結合、識別可能なタグなどによって識別されうる。
本明細書において提供される方法において、試料は、1つもしくは複数の「少量核酸」種と1つもしくは複数の「大量核酸」種の混合物を含有しうるか、または混合物は、少量核酸種と大量核酸種を含有する1つ超の試料を組み合わせることによって生成されうる。少量核酸種は、大量核酸種の変種を含み、これには、野生型(大量核酸)対立遺伝子のバリアント(少量核酸)、1つ超の宿主に見出される遺伝子の変種(例えば、正常で健康な遺伝子(大量核酸)の変種であるウイルスがん遺伝子(少量核酸))、単一ヌクレオチド多型(SNP)を含む多型、大量核酸種の挿入、欠失、または他の変異型が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。少量核酸種は、試料(または試料の組合せ)中に大量核酸種と比較して約0.25%~最大約50%の間である頻度またはコピー数で存在し、特定の範囲は、約0.25%またはそれに等しい値~約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、または1%またはそれに等しい値を含むがこれらに限定されるわけではない。ある特定の実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の頻度またはコピー数と比較して、約1%または約2%~約10%、9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、または2.5%の頻度またはコピー数で存在する。実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の頻度またはコピー数と比較して、約1%または約2%~約10%未満の頻度で存在する。
本明細書において使用される用語「複数」の標的核酸、少量核酸種、および/または大量核酸種は、1つ超の標的核酸種、少量核酸種、および/または大量核酸種を指す。複数とは、ある特定の実施形態では、約2~約10000核酸種、約2~約1000核酸種、約2~約500核酸種、または時に約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900,1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000もしくは10000核酸種でありうる。核酸の検出または同定によって少量核酸種が検出され、特定の変異、配列バリエーション(変異または多型)、または遺伝子バリエーション(例えば、配列バリエーション、配列の差または多型)の存在または非存在を示すことができる。核酸の検出または同定によって大量核酸種が一般的に検出または同定され、陽性対照としておよび/または少量核酸種を定量するための基礎として役立ちうる。複数の少量核酸および大量核酸種において、同じもしくは異なる種の検出および/もしくは定量、全て同じ大量核酸種の変種である少量核酸種の検出および/もしくは定量、または複数の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種の検出および/もしくは定量が起こりうる。
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド種は、核酸鋳型(例えば、アンプリコン)にハイブリダイズして、それによって二本鎖核酸を形成し、鋳型にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド種を、本明細書においてハイブリダイズオリゴヌクレオチド種と呼ぶ。一部の実施形態では、ハイブリダイズオリゴヌクレオチド種は、鋳型にハイブリダイズしない1つまたは複数のヌクレオチドを含みうる。例えば、ハイブリダイズオリゴヌクレオチド種は、1つまたは複数のミスマッチヌクレオチド(例えば、非相補的ヌクレオチド)を含み、時に、ハイブリダイズしない5’および/または3’領域のヌクレオチドを含みうる。一部の実施形態では、ハイブリダイズオリゴヌクレオチド種は、タグ(例えば、質量識別可能なタグ、配列タグ、光放射タグ、または放射活性タグ)を含む。一部の実施形態では、ハイブリダイズオリゴヌクレオチド種は、捕捉剤(例えば、ビオチン、または結合対の任意のメンバー)を含む。一部の実施形態では、ハイブリダイズオリゴヌクレオチド種は停止ヌクレオチドを含む。
本明細書において「鎖停止剤試薬」または「鎖停止剤」と互換的に使用される用語「鎖停止試薬」は、伸長プライマーに添加されると、伸長反応を停止させる分子を指す。鎖停止剤は、ポリヌクレオチド鎖に存在するとき、鎖のさらなる伸長を防止するヌクレオチド類似体を含みうる。鎖停止ヌクレオチドである例示的な鎖停止試薬には、ジデオキシヌクレオチド、例えばddA(ジデオキシアデニン)、ddT(ジデオキシチミン)、ddC(ジデオキシシトシン)、ddG(ジデオキシグアニン)、およびddU(ジデオキシウラシル)が挙げられる。
本明細書において使用される用語「ヌクレオチド」は、天然および非天然ヌクレオチドを指す。ヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド一、二、および三リン酸;デオキシアデノシン一、二、および三リン酸;デオキシグアノシン一、二、および三リン酸;デオキシチミジン一、二、および三リン酸;デオキシシチジン一、二、および三リン酸;デオキシウリジン一、二、および三リン酸;ならびにデオキシイノシン一、二、および三リン酸(本明細書においてそれぞれ、dA、dG、dT、dC、dU、およびdI、またはA、G、T、C、U、およびIと呼ぶ)を含むがこれらに限定されるわけではない。ヌクレオチドはまた、修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含むがこれらに限定されるわけではない。修飾ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体には、デアザプリンヌクレオチド、例えば7-デアザ-デオキシグアノシン(7-デアザ-dG)、および7-デアザ-デオキシアデノシン(7-デアザ-dA)一、二、および三リン酸、デューテロ-デオキシチミジン(デューテロ-dT)一、二、および三リン酸、メチル化ヌクレオチド、例えば5-メチルデオキシシチジン三リン酸、13C/15N標識ヌクレオチド、ならびにデオキシイノシン一、二、および三リン酸が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。修飾ヌクレオチド、同位体濃縮ヌクレオチド、枯渇ヌクレオチド、タグ付けおよび標識ヌクレオチド、ならびにヌクレオチド類似体は、官能性および結合位置の多様な組合せを使用して得ることができる。
本明細書において核酸に関連して使用される用語「組成物」は、1つまたは複数の核酸を含む有形の項目を指す。時に組成物は、ある起源から抽出された試料であるが、同様にその起源の全ての試料の組成物であり、時に、1つまたは複数の核酸の起源である。組成物は、核酸を含みうる。一部の実施形態では、組成物はゲノムDNAを含みうる。一部の実施形態では、組成物は、母親のDNA、胎児DNA、または母親と胎児DNAの混合物を含みうる。一部の実施形態では、組成物は、ゲノムDNAの断片を含みうる。一部の実施形態では、組成物は、ウイルス、細菌、酵母、真菌、哺乳動物またはその混合物に由来する核酸を含みうる。
核酸試料は、1つまたは複数の起源に由来して、少量核酸種と大量核酸種の混合物を含有しうる。試料を組み合わせて、少量核酸種と大量核酸種を含む混合物を生成することもできる。試料は、例えば、生物、鉱物、または地理学上の場所(例えば、土壌、岩、鉱床、化石)、または法医学上の場所(例えば、犯罪現場、密売品、または疑われる密売品)から収集してもよい。このように、起源は、地理的、農業、戦場、または土壌起源などの環境でありうる。起源はまた、任意のタイプの生物、例えば任意の植物、真菌、原生生物、モネラ界生物、ウイルス、またはヒト、非ヒト、哺乳動物、は虫類、畜牛、ネコ、イヌ、ヤギ、ブタ(swine)、ブタ(pig)、サル、類人猿、ゴリラ、雄牛、ウシ、クマ、ウマ、ヒツジ、家禽、マウス、ラット、魚、イルカ、クジラ、およびサメを含むがこれらに限定されるわけではない動物、または検出可能な核酸を有しうる任意の動物もしくは生物に由来しうる。起源はまた、生物の異なる部分、例えば内部部分、外部部分、生存または非生存細胞、組織、液体なども指しうる。したがって、試料は、「生物試料」であってもよく、これは生きている起源またはこれまで生きていた起源、例えばヒトまたは他の哺乳動物などの動物、植物、細菌、真菌、原生生物、またはウイルスから得た任意の材料を指す。起源は、固体材料、例えば組織、細胞、細胞沈降物、細胞抽出物、もしくは生検、または体液、例えば尿、血液、唾液、羊水、感染症もしくは炎症領域からの滲出物、または口腔細胞を含有するマウスウォッシュ、毛髪、脳脊髄液、および滑液、ならびに臓器を含むがこれらに限定されるわけではない任意の形態でありうる。試料はまた、試料のそれぞれが同じまたは異なる起源に由来する、別の試料と比較して異なる時点で単離されてもよい。核酸は、核酸ライブラリー、例えばcDNAまたはRNAライブラリーに由来しうる。核酸は、試料からの核酸分子の核酸精製、または単離、および/または増幅の結果でありうる。本明細書において記載される配列分析プロセスのために提供される核酸は、1つの試料からまたは2つもしくはそれ超の試料(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個またはそれ超の試料)からの核酸を含有しうる。
核酸は、本明細書において提供される方法の間、前、または後に多様な方式で処置されうる。例えば、核酸は、大きさを低減させてもよく(例えば、剪断、ヌクレアーゼまたは制限酵素による消化、脱リン酸化、脱メチル化)、大きさを増加させてもよく(例えば、リン酸化、メチル化特異的試薬との反応、検出可能な標識との結合)、核酸切断の阻害剤による処置などを行ってもよい。
核酸は、ある特定の実施形態では、プロセシングを受けることなく、本明細書において提供される方法に従って分析のために提供されうる。一部の実施形態では、核酸は、プロセシング後、本明細書において記載される方法を行うために提供される。例えば、核酸は、試料から抽出、単離、精製、または増幅されてもよい。本明細書において使用される用語「単離された」とは、その当初の環境(例えば、それが天然に存在する場合には天然の環境、または外因性に発現される場合には宿主細胞)から除去されている核酸を指し、このため、その当初の環境から「ヒトの手によって」変更されている。単離核酸は一般的に、起源試料に存在する成分の量より少ない非核酸成分(例えば、タンパク質、脂質)を有する。単離核酸を含む組成物は、実質的に単離されうる(例えば、非核酸成分を約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超含まない)。本明細書において使用される用語「精製された」は、核酸が由来する試料起源におけるより少ない核酸種を含有することを条件とする核酸を指す。核酸を含む組成物は、実質的に精製されうる(例えば、他の核酸種を約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%超含まない)。
核酸は、ある特定の実施形態では、本明細書において記載されるプロセスのために核酸を提供する前に、核酸断片を生成する方法によってプロセシングされうる。一部の実施形態では、断片化または切断に供される核酸は、名目上の、平均、または算術平均の長さ約5~約10,000塩基対、約100~約1,00塩基対、約100~約500塩基対、または約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000もしくは10000塩基対を有しうる。断片は、当技術分野で公知の任意の適した方法によって生成することができ、核酸断片の平均、算術平均または名目上の長さは、適切な断片生成手順を選択することによって制御することができる。ある特定の実施形態では、相対的に長さの短い核酸を利用して、小さい配列バリエーションを含有するおよび/または相対的に多量の公知のヌクレオチド配列情報を含有する配列を分析することができる。一部の実施形態では、相対的に長さの長い核酸を利用して、より大きい配列バリエーションを含有する、および/または相対的に少量の未知のヌクレオチド配列情報を含有する配列を分析することができる。
増幅および伸長
本明細書において提供される方法の実施形態では、核酸種(例えば、少量および/または大量核酸種)は、ある特定の実施形態では増幅することができる。本明細書において使用される用語「増幅する」およびその文法的変化形は、鋳型核酸のコピーを生成するプロセスを指す。例えば、核酸鋳型を、鋳型または鋳型の一部のヌクレオチド配列と同じまたは実質的に同じヌクレオチド配列を有する2つまたはそれ超の核酸アンプリコン(コピー)を線形または指数的に生成するプロセスに供してもよい。核酸増幅はしばしば特異的(例えば、アンプリコンは同じまたは実質的に同じ配列を有する)であるが、ある特定の実施形態では、時に非特異的でありうる(例えば、アンプリコンは異なる配列を有する)。核酸増幅は時に、試料中に存在する標的配列の量が少ないときに有益である。標的配列を増幅して、合成されたアンプリコンを検出することによって、標的核酸の検出のためにアッセイの最初に必要な標的配列がより少なくてすむことから、アッセイの感度を改善することができる。核酸種(少量または大量核酸種)は時に、ある特定の実施形態では、伸長オリゴヌクレオチド(プライマー、すなわちUEP)にハイブリダイズする前に増幅されない。
増幅条件は公知であり、増幅される特定の核酸に対して選択することができる。増幅条件は、その一部がヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド三リン酸)、修飾ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(例えば、ポリメラーゼに基づく増幅のためのプライマーオリゴヌクレオチドおよびリガーゼに基づく増幅のためのオリゴヌクレオチド構築ブロック)、1つまたは複数の塩(例えば、マグネシウムを含有する塩)、1つまたは複数の緩衝剤、1つまたは複数の重合剤(例えば、リガーゼ酵素、ポリメラーゼ酵素)、1つまたは複数のニッキング酵素(例えば、二本鎖核酸の1つの鎖を切断する酵素)、および1つまたは複数のヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNアーゼ)を含みうるがこれらに限定されるわけではない、ある特定の試薬を含む。増幅にとって適した任意のポリメラーゼ、例えばエキソヌクレアーゼ活性を有するまたは有しないポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、およびRNAポリメラーゼ、これらの酵素のバリアント形態を利用してもよい。1つのオリゴヌクレオチドの5’を別のオリゴヌクレオチドの3’に結合させるために適した任意のリガーゼを利用することができる。増幅条件はまた、ある特定の反応条件、例えば等温または温度サイクル条件を含みうる。増幅プロセスにおける温度のサイクリング方法は、例えばサーモサイクル装置を使用することなどにより公知である。用語「サイクリング」は、温度サイクリングを使用する、1つのプライマーまたは多数のプライマーを利用する増幅(例えば、増幅反応または伸長反応)を指す。増幅条件はまた、一部の実施形態では、単一の核酸分子種を増幅することができる多数の反応区画を形成するために利用することができる乳化剤(例えば、油)を含みうる。増幅は時に、指数的な産物生成プロセスであり、時に線形の産物生成プロセスである。
一本鎖核酸標的の鎖を増幅することができ、二本鎖核酸標的の1つまたは2つの鎖を増幅することができる。増幅産物(アンプリコン)は、一部の実施形態では、長さが約10ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、長さが約10~約1000ヌクレオチド、長さが約10~約500ヌクレオチド、長さが10~約100ヌクレオチドであり、時に、長さが約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900もしくは1000ヌクレオチドである。
増幅するために特定の核酸に対して任意の適した増幅技術および増幅条件を選択することができる。公知の増幅プロセスには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、伸長およびライゲーション、ライゲーション増幅(またはリガーゼ連鎖反応(LCR))、ならびにQ-ベータレプリカーゼまたは鋳型依存的ポリメラーゼの使用に基づく増幅方法(米国特許出願公開第US20050287592号を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。同様に、鎖置換増幅(SDA)、好熱性SDA、核酸配列に基づく増幅(3SRまたはNASBA)、および転写関連増幅(TAA)も有用である。増幅プロセスを行うための試薬、装置、およびハードウェアは、市販されており、増幅条件は公知であり、手元の標的核酸に対して選択することができる。
ポリメラーゼに基づく増幅は、ある特定の実施形態では、ユニバーサルプライマーを使用することによって行うことができる。そのようなプロセスにおいて、1つまたは複数のユニバーサルプライマーにハイブリダイズするハイブリダイゼーション領域を、鋳型核酸に組み込む。そのようなハイブリダイゼーション領域は、(i)標的核酸にハイブリダイズして伸長されるプライマー、および/または(ii)例えば標的核酸もしくは(i)の産物に結合(例えば、リガーゼ酵素を使用してライゲート)するオリゴヌクレオチドに組み込むことができる。ユニバーサルプライマーを伴う増幅プロセスは、例えば1つまたは2つのみの増幅プライマーを使用して複数の標的核酸を増幅するという利点を提供することができる。
ある特定の少量核酸種および大量核酸種を、ある特定の実施形態では、増幅の前または後のいずれかに伸長させることができる。本明細書において使用される用語「伸長」およびその文法的変化形は、核酸の1つの鎖を伸ばすことを指す。例えば、少量もしくは大量核酸種にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、または少量もしくは大量核酸種から生成されたアンプリコンを、ある特定の実施形態では伸長させることができる。伸長反応は、伸長条件下で行われ、そのような多様な条件が公知であり、特定の応用のために選択される。伸長条件は、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド、伸長オリゴヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド三リン酸(dNTP))、鎖停止試薬またはヌクレオチド(例えば、1つまたは複数のジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)または非環式停止剤)、1つまたは複数の塩(例えば、マグネシウムを含む塩)、1つまたは複数の緩衝剤(例えば、ベータ-NAD、TritonX-100を含む)、および1つまたは複数の重合剤(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ)を含むがこれらに限定されるわけではない、ある特定の試薬を含みうる。大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度C[WT]は、一般的に、少量核酸に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])の約20%未満であり、C[WT]は一般的にC[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、C[Mut]の約0.01%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。
伸長は、ある特定の実施形態では、等温条件または非等温条件(例えば、サーモサイクル条件)で行われうる。1つまたは複数の核酸種を、伸長反応において伸長させることができ、それぞれの核酸種の1つまたは複数の分子を伸長させることができる。核酸は、1つまたは複数のヌクレオチドだけ伸長させることができ、一部の実施形態では、伸長産物は、長さが約10ヌクレオチド~約10,000ヌクレオチド、長さが約10~約1000ヌクレオチド、長さが約10~約500ヌクレオチド、長さが10~約100ヌクレオチドであり、時に、長さが約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900もしくは1000ヌクレオチドである。停止ヌクレオチド(例えば、ddNTP)の取り込み、ハイブリダイゼーションの場所、または他の要因は、オリゴヌクレオチドが伸長する長さを決定しうる。ある特定の実施形態では、増幅および伸長プロセスは、同じ検出手順で行われる。
一部の実施形態では、伸長反応は、反応における伸長産物の量を増幅するために繰り返される多数の温度サイクルを含む。一部の実施形態では、伸長反応は2回またはそれ超繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は10回またはそれ超繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は、約10、15、20、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、または600回またはそれ超繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は20~50回繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は20~100回繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は20~300回繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は、200~300回繰り返される。一部の実施形態では、伸長反応は、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100回繰り返される。
一部の実施形態では、少量または大量核酸種は、伸長組成物の存在下で伸長し、核酸種は1ヌクレオチドだけ伸長する。伸長組成物は、1つまたは複数の緩衝剤、塩、酵素(例えば、ポリメラーゼ、Klenow等)、水、鋳型(例えば、DNA、RNA、アンプリコン等)、プライマー(例えば、オリゴヌクレオチド)、ヌクレオチド三リン酸、グリセロール、高分子排除分子、および当技術分野で使用される他の任意の添加剤を含みうる。伸長組成物は、停止ヌクレオチド(例えば、ジデオキシヌクレオチド(例えばddNTP))、または他の鎖停止試薬、非停止または伸長ヌクレオチド(例えば、dNTP)、または停止ヌクレオチドと非停止ヌクレオチドの混合物を含みうる。本質的に特定の停止ヌクレオチドまたは複数の停止ヌクレオチドからなる伸長組成物は、伸長組成物の他の任意の成分(例えば、緩衝剤、塩、鋳型、プライマー等)を含みうるが、明記されている以外の他のいかなる停止ヌクレオチドまたはヌクレオチド三リン酸(例えば、dNTP)も含まない。例えば、本質的にddTTPおよびddCTPからなる伸長組成物は、ddATP、ddGTP、または他のいかなるdNTPも含まない。一部の実施形態では、伸長組成物におけるヌクレオチドは、停止ヌクレオチドのみであり、標的核酸は、1ヌクレオチドだけ伸長する(すなわち、時に、伸長組成物に伸長ヌクレオチドは存在しない)。一部の実施形態では、伸長組成物は、本質的に停止ヌクレオチド(例えば、ddNTP)からなる。本明細書において提供される方法の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度C[WT]は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])の20%未満であり、C[WT]は一般的にC[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、C[Mut]の約0.01%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。
一部の実施形態では、鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドは、1つまたは複数の検出可能な標識を含む。検出可能な標識には、質量標識、放射活性分子、蛍光分子、抗体、抗体断片、ハプテン、炭水化物、ビオチン、ビオチン誘導体、リン光部分、発光部分、電気化学発光部分、酸化または還元時に電気化学シグナルを生成する部分、例えば、鉄、ルテニウムまたはオスミウムの錯体(例えば、Pierceら、J. Clin. Micribiol. 50巻(11号):3458~3465頁(2012年)に記載されるように、Genmark Diagnostics,Inc.によって使用されるeSensor技術を参照されたい)、色素部分、および検出可能な電子スピン共鳴、電気容量、誘電定数、もしくは電気伝導率を有する部分、またはその標識の任意の組合せが挙げられうるがこれらに限定されるわけではない。一部の実施形態では、鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドは、1つの検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、第1の鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドは、第2の鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドの検出可能な標識とは異なる検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、伸長組成物は、1つまたは複数の鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドを含み、それぞれの鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドは異なる検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、伸長組成物は、1つまたは複数の鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチドを含み、それぞれは同じ検出標識を含有する。一部の実施形態では、伸長組成物は、鎖停止試薬または鎖停止ヌクレオチド、および伸長ヌクレオチド(例えば、dNTP)を含み、ヌクレオチド(例えば、停止ヌクレオチドおよび/または伸長ヌクレオチド)の1つまたは複数は検出標識を含む。
任意の適した伸長反応を選択して利用することができる。伸長反応は、例えば、標的核酸におけるSNP部位に隣接する領域にハイブリダイズする伸長オリゴヌクレオチドにデオキシヌクレオチドおよび/またはジデオキシヌクレオチドを取り込むことによって、SNP対立遺伝子を識別するために利用することができる。プライマーはしばしば、ポリメラーゼによって伸長される。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、SNP部位と相補的な1つのデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドだけ伸長する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、dNTPの取り込みによって伸長してddNTPによって停止するか、またはある特定の実施形態ではdNTPの伸長を行わずにddNTPの取り込みによって停止する。伸長は、一部の実施形態では、非修飾伸長オリゴヌクレオチドと非修飾ジデオキシヌクレオチド、非修飾伸長オリゴヌクレオチドとビオチニル化ジデオキシオリゴヌクレオチド、デオキシイノシンを含有する伸長オリゴヌクレオチドと非修飾ジデオキシヌクレオチド、デオキシイノシンを含有する伸長オリゴヌクレオチドとビオチニル化ジデオキシヌクレオチド、ビオチニル化ジデオキシヌクレオチドによる伸長、またはビオチニル化デオキシヌクレオチドによる伸長および/または非修飾ジデオキシヌクレオチドを使用して行われうる。
一部の実施形態ではオリゴヌクレオチド種は、ハイブリダイゼーション条件下で遺伝子バリエーションまたは変種に隣接する鋳型(例えば、少量または大量核酸種)にハイブリダイズすることができる(例えば、オリゴヌクレオチド種の3’末端が遺伝子バリエーション部位の5’に位置してもよく、遺伝子バリエーション部位の5’末端から0~10ヌクレオチド離れていてもよい)。いくつかの変種が標的核酸の遺伝子バリエーション部位に存在してもよい。遺伝子変種は時に、単一ヌクレオチド多型(SNP)または単一ヌクレオチド変種である。いくつかの単一ヌクレオチド変種は、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの3’に位置する鋳型標的上の単一塩基位置に存在しうる。いくつかの単一ヌクレオチド変種は、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド種の3’である鋳型標的上の位置に存在する単一塩基が異なりうる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド種は、変種位置で1ヌクレオチドだけ伸長する。オリゴヌクレオチドは、一部の実施形態では、存在する変種の数に応じて、5個の停止ヌクレオチド(例えば、ddATP、ddUTP、ddTTP、ddGTP、ddCTP)のいずれか1つだけ伸長させることができる。大量核酸種およびその少量核酸種変種、または対応するアンプリコンは鋳型として作用することができ、一部には、伸長反応においてどの停止ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドに付加されるかを決定することができる。大量核酸種は2つまたはそれ超の少量核酸種変種を有しうる。一部の実施形態では、大量核酸種は、2、3、または4つの少量核酸種変種を有する。
本明細書において提供される方法のマルチプレックス形態において、大量核酸種およびその少量核酸種変種の1つまたは複数を単一の反応容器で分析することができ、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬は、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬とは異なる。ある特定の実施形態では、少量核酸種は全て、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬とは異なる、同じ鎖停止試薬によって停止する。一部の実施形態では、少なくとも1つの少量核酸種は、他の少量核酸種の鎖停止試薬とは異なる鎖停止試薬を有する。ある特定の実施形態では、反応中の少量核酸種のそれぞれの鎖停止試薬は、互いに異なり、同様に大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬とも異なる。
本明細書において提供される方法の一部のマルチプレックス形態において、1つ超の大量核酸種と1つ超の少量核酸種の混合物を、一連の反応容器において分析することができる。同じ特異的鎖停止試薬を有する全ての大量核酸種が、同じ反応容器において伸長に供され(例えば、鎖停止試薬を使用して単一塩基伸長産物を生成する)、実施形態では、容器中の唯一の鎖停止試薬は、容器中の大量核酸種に対して特異的(かつ共通)である鎖停止試薬である。同様に、同じ特異的鎖停止試薬を有する全ての少量核酸種が、同じ反応容器中において伸長に供され、実施形態では、容器中の唯一の鎖停止試薬は、容器中の少量核酸種に対して特異的(かつ共通)である鎖停止試薬である。
方法のマルチプレックス形態を含む本明細書において提供される方法の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[WT])は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度(C[Mut])の20%未満でありえて、C[WT]は一般的に、C[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、C[Mut]の約0.01%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。
得られた伸長産物は、伸長プライマー(UEP)の1つまたは複数上に存在しうる検出標識、鎖停止試薬、および伸長反応に存在する場合には1つまたは複数のヌクレオチドによって同定されうる。標識は、質量標識、放射活性分子、蛍光分子、抗体、抗体断片、ハプテン、炭水化物、ビオチン、ビオチン誘導体、リン光部分、発光部分、電気化学発光部分、酸化または還元時に電気化学シグナルを生成する部分、例えば鉄、ルテニウム、もしくはオスミウムの錯体(例えば、Pierceら、J. Clin. Micribiol. 50巻(11号):3458~3465頁(2012年)において記載されるように、Genmark Diagnostics,Inc.によって使用されるeSensor技術を参照されたい)、色素部分、および検出可能な電子スピン共鳴、電気容量、誘電定数、もしくは電気伝導率を有する部分、またはその標識の任意の組合せを含むがこれらに限定されるわけではない、シグナルの検出および/またはシグナルの定量を可能にする、任意のタイプの化学基または部分でありうる。
少量および大量核酸種に対応する標識された伸長産物を、多様な方法によって分析することができ、方法には、質量分析、MALDI-TOF質量分析、蛍光検出、DNAシークエンシングゲル、自動DNAシークエンシング機器でのキャピラリー電気泳動、マイクロチャネル電気泳動、および他のシークエンシング、質量分析方法、飛行時間型質量分析、四重極型質量分析、磁場型質量分析、電場型質量分析、赤外線分光法、紫外線分光法、定電位電流測定、電流/電気化学シグナルの測定、またはDNA断片が「プローブ」および「標的」の両方として有用であるサザンブロット、スロットブロット、ドットブロット、およびDNAマイクロアレイを含むDNAハイブリダイゼーション技術、ELISA、蛍光分光法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、SNP-IT、GeneChips、HuSNP、ビーズアレイ、TaqManアッセイ、Invaderアッセイ、MassExtend(登録商標)またはMassCleave(登録商標)法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
一部の実施形態では、大量核酸種の量に対する少量核酸種の相対量(例えば、頻度またはコピー数)は、標準化係数を使用して、少数派核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度に対する大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度の比率と比較した、その検出シグナルの割合によって決定することができる。方法の実施形態では、伸長の際の大量および少量核酸種の増幅は、少量核酸種、大量核酸種の分子の相対量、およびアッセイにおけるその鎖停止試薬の相対濃度(比率)に対して線形であり、比例する。一部の実施形態では、少数核酸種の量(例えば、コピー数、濃度、百分率)は、係数を使用して大量核酸種のシグナルに対して少量核酸種のシグナルの比率を標準化することによって定量される。この係数は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬またはヌクレオチドの濃度と比較した、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬またはヌクレオチドの濃度の割合に反比例する(すなわち、大量核酸種特異的鎖停止試薬の割合が少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬と比較して低ければ、係数は大きくなる)。本明細書において提供される方法の実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬は、少量核酸種の存在または非存在を同定するための陽性対照として役立ち、同様に、試料中の少量核酸種の相対量(例えば、頻度またはコピー数)を定量するための基礎として役立ちうる、検出可能なシグナルを生成するために十分な量で添加される。
一部の実施形態では、1つの少量核酸種は、他の少量核酸種より大量に存在しうる。一部の実施形態では、様々な少量核酸種のそれぞれに対して特異的な鎖停止試薬の相対濃度は、少量核酸種のそれぞれに対応する検出シグナルの大きさを最適にするために調整することができる。一部の実施形態では、大量核酸種は、第1、第2、および第3の変種少量核酸種を含み、第2の変種は、第1および第3の変種と比較して大量に存在する。一部の実施形態では、大量核酸種は、第1、第2、第3、および第4の変種少量核酸種を含み、第2の変種は、第1、第3、および第4の変種と比較して大量に存在する。より大量に存在する変種は、一般的に別の変種と比較してより高濃度で存在するか、またはより多数の分子(例えば、コピー)で存在する。高濃度は、2倍またはそれ超でありうる。一部の実施形態では、高濃度は、10倍またはそれ超である。一部の実施形態では、高濃度は100倍、1000倍、または10000倍またはそれ超である。一部の実施形態では、大量核酸種は、少量核酸種より100倍またはそれより高い濃度で存在する。一部の実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の30%、20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.8%、0.75%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%未満またはそれ未満に相当する。一部の実施形態では、少量核酸種は、大量核酸種の約5%~約0.75%の間に相当する。一部の実施形態では、少量核酸種は、組成物中の総核酸の30%、20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.8%、0.75%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%未満、またはそれ未満に相当する。
一部の実施形態では、伸長組成物中に存在する(または一部の実施形態では存在しない)停止ヌクレオチドによって、どの停止ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドに付加されるかが決定される。一部の実施形態では、伸長組成物は、1つまたは複数の停止ヌクレオチド(例えば、ddNTP)を含む。一部の実施形態では、伸長組成物は、特異的少量核酸種または大量核酸種に対応し、したがってその種の伸長を可能にする停止ヌクレオチドのみを含む。一部の実施形態では、複数の少量核酸種を含有する試料において、伸長組成物は、検出されることが望ましい少量核酸種(変種)に対応するそれらの停止ヌクレオチドのみを含む。
本明細書において使用される用語「シグナル対ノイズ比」は、検出プロセス(例えば、質量分析)を使用するときにノイズと比較したシグナルの強度の比率を定量することによるシグナルの質の定量的測定を指す。一部の実施形態では、1つのスペクトル上の強いピークは、別のスペクトル上の同じ検体(例えば、伸長オリゴヌクレオチド種)によって生成される低い強度のピークより大きいシグナル対ノイズ比を有する。一部の実施形態では、ノイズは、大量核酸種(例えば、野生型対立遺伝子、第2の変種、野生型変種)に由来する伸長オリゴヌクレオチド種によって生成される。一部の実施形態では、少量核酸種(例えば、バリアント変種、バリアント対立遺伝子、SNP)に由来する伸長オリゴヌクレオチド種から生成されるシグナルは、より多量の少量または大量伸長オリゴヌクレオチド種によって生成されるノイズによってあいまいになる。本明細書において語句「シグナル対ノイズ比」において使用される用語「シグナル」は、伸長オリゴヌクレオチド種のシグナルピークの強度を指す。一部の実施形態では、本明細書において語句「シグナル対ノイズ比」において使用される用語「シグナル」は、一般的に少量核酸種(例えば、バリアント変種、バリアント対立遺伝子、SNP)に由来する伸長オリゴヌクレオチド種のシグナルピークの強度を指す。一部の実施形態では、大量核酸種(例えば、野生型対立遺伝子)の伸長を可能にする停止ヌクレオチドは、少量核酸種を定量するための対照および基礎として役立つ大量核酸種シグナルをなおも提供しながら、少量核酸種の伸長によって生成されたシグナルの増強を可能にする濃度で添加される。
本明細書において使用される用語「感度」は、検出プロセス(例えば、質量分析)を使用するときに所定のシグナル対ノイズ比で検出することができる検体の量を指す。一部の実施形態では、感度は、バックグラウンドまたはノイズレベルを減少させることによって改善することができる。一部の実施形態では、ノイズは、大量核酸種(例えば、野生型対立遺伝子、野生型変種)に由来する伸長オリゴヌクレオチド種によって生成される。一部の実施形態では、大量核酸種に由来する伸長オリゴヌクレオチド種から生成されるシグナルが低減されるとき、感度は増加する。
任意の適したタイプのヌクレオチドを、増幅産物または伸長産物に組み入れることができる。ヌクレオチドは、一部の実施形態では、天然に存在するヌクレオチド、停止ヌクレオチド、または天然に存在しないヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド類似体または誘導体)でありうる。ある特定のヌクレオチドは、一部の実施形態では、検出可能な標識および/または結合対のメンバーまたはFRETによる検出のための蛍光標識対を含みうる(例えば、対の1つのメンバーが、伸長によりUEPに取り込まれる終止ヌクレオチド上に存在し、対の他のメンバーが伸長産物オリゴヌクレオチド上のいずれかに存在しうる)。
増幅プロセスによって産生されるアンプリコンを含有する溶液または伸長プロセスによって産生される伸長産物を含有する溶液を、さらなるプロセシングに供することができる。例えば、溶液に、アンプリコンまたは伸長産物に組み入れられていない遊離のヌクレオチドからのホスフェート部分を除去する薬剤を接触させることができる。そのような薬剤の例は、ホスファターゼ(例えば、エビのアルカリホスファターゼなどのアルカリホスファターゼ)である。アンプリコンおよび伸長産物はまた、固相に会合させてもよく、洗浄してもよく、末端のホスフェートを除去する薬剤に接触させてもよく(例えば、ホスファターゼに対する曝露)、末端のヌクレオチドを除去する薬剤(例えば、エキソヌクレアーゼ)に接触させてもよく、切断する薬剤(例えば、エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ)等に接触させてもよい。
本明細書において使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、共有結合によって連結された2つまたはそれ超のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を指す。オリゴヌクレオチドは、任意の簡便な長さのオリゴヌクレオチドであり、一部の実施形態では、長さが約5~約200ヌクレオチド、長さが約5~約150ヌクレオチド、長さが約5~約100ヌクレオチド、長さが約5~約75ヌクレオチド、または長さが約5~約50ヌクレオチドであり、時に、長さが約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175もしくは200ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチドまたはその組合せ、ならびにその任意の化学または酵素的修飾(例えば、メチル化DNA、修飾ヌクレオチドのDNA)を含みうる。時に、オリゴヌクレオチドの長さは、アンプリコンまたは標的核酸の長さより短いが、増幅のために使用されるプライマーまたはポリヌクレオチドより必ずしも短い必要はない。しばしばオリゴヌクレオチドは、アンプリコン、標的核酸、またはその総補体と相補的なまたは実質的に相補的なヌクレオチド小配列またはハイブリダイゼーション配列を含む(例えば、整列させたときにアンプリコンまたは標的核酸相補体と約95%、96%、97%、98%、99%または99%超同一である)。オリゴヌクレオチドは、アンプリコン、標的核酸、またはその相補体と相補的でないまたは実質的に相補的でないヌクレオチド小配列を含有しうる(例えば、アンプリコンと相補的なまたは実質的に相補的なプライマー中のヌクレオチド小配列の3’または5’末端で)。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、検出可能な分子(例えば、タグ、フルオロフォア、放射性同位元素、比色剤、粒子、酵素等)および/またはある特定の実施形態では結合対のメンバー(例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン)を含有しうる。
本明細書において使用される用語「溶液」は、例えば1つまたは複数の核酸を含有する液体などの液体を指す。溶液中の核酸および他の成分をその中に分散させてもよく、溶液はしばしば水(例えば、水溶液)を含む。溶液は、任意の簡便な数のオリゴヌクレオチド種を含有してもよく、しばしば検出されるアンプリコン種または標的核酸種が存在するのと少なくとも同数のオリゴヌクレオチド種が存在する。
本明細書において使用される用語「ハイブリダイゼーション配列」は、アンプリコン、標的核酸、またはその相補体に特異的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド中のヌクレオチド配列を指す。ハイブリダイゼーション配列は容易に設計および選択され、本明細書において記載される溶液中のアンプリコン、標的配列、またはその相補体にハイブリダイズするために適した長さの配列でありうる。一部の実施形態では、それぞれのオリゴヌクレオチド中のハイブリダイゼーション配列は、長さが約5~約200ヌクレオチド(例えば、長さが約5~10、約10~15、約15~20、約20~25、約25~30、約30~35、約35~40、約40~45または約45~50、約50~70、約80~90、約90~110、約100~120、約110~130、約120~140、約130~150、約140~160、約150~170、約160~180、約170~190、約180~200ヌクレオチド)である。
本明細書において使用される用語「ハイブリダイゼーション条件」は、相補的なヌクレオチド配列を有する2つの核酸が互いに相互作用することができる条件を指す。ハイブリダイゼーション条件は、高ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、または低ストリンジェンシーでありえて、これらの多様な程度のストリンジェンシーの条件が公知である。目的の応用に応じて、増幅および/または伸長を可能にするハイブリダイゼーション条件がしばしば選択される。
本明細書において使用される用語「1つのアンプリコンまたは標的核酸に特異的にハイブリダイズする」は、1つのアンプリコン種または標的核酸種に実質的にハイブリダイズするが、溶液中の他のアンプリコン種または標的核酸種には実質的にハイブリダイズしないことを指す。特異的ハイブリダイゼーションはミスマッチを除外することから、例えばオリゴヌクレオチドは、ある特定の対立遺伝子に特異的に、その対立遺伝子のみにハイブリダイズするように設計されうる。対立遺伝子に均質的にマッチするまたは相補的であるオリゴヌクレオチドは、その対立遺伝子に特異的にハイブリダイズするが、1つまたは複数の塩基ミスマッチが存在する場合、ハイブリダイゼーションは起こらないであろう。
本明細書において使用される用語「ハイブリダイゼーション位置」は、別の核酸がハイブリダイズするアンプリコンまたは標的核酸上の特異的位置を指す。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの末端は、別のアンプリコン種または標的核酸種とは異なる配列を有するアンプリコン種または標的核酸種上の部位に隣接するかまたは実質的に隣接する。オリゴヌクレオチドの末端は、ある部位とオリゴヌクレオチド末端の間にヌクレオチドが存在しないとき、その部位に「隣接する」。オリゴヌクレオチドの末端は、ある特定の実施形態では、ある部位とオリゴヌクレオチド末端の間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドが存在するとき、その部位に「実質的に隣接する」。
識別可能な標識および放出
本明細書において使用される用語「識別可能な標識」および「識別可能なタグ」は、互いに識別することができ、タグが結合する核酸を同定するために使用することができる標識またはタグのタイプを指す。多様なタイプの標識およびタグが、本明細書において提供されるマルチプレックス方法で選択および使用されうる。例えば、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、小有機分子、光放射分子、吸光分子、光散乱分子、発光分子、同位元素、酵素等が、識別可能な標識またはタグとして使用されうる。ある特定の実施形態では、多様な長さ、多様な質量対電荷比、多様な電気泳動移動度(例えば、キャピラリー電気泳動移動度)、および/または多様な質量のオリゴヌクレオチド、アミノ酸、および/または低分子有機分子もまた、識別可能な標識またはタグとして使用されうる。したがって、蛍光体、放射性同位元素、比色剤、光放射剤、化学発光剤、光散乱剤等が、標識として使用されうる。標識の選択は、必要な感度、核酸とのコンジュゲーションの容易さ、安定性の要件、および利用可能な機器に依存しうる。本明細書において識別可能な標識およびタグに対して使用される用語「識別可能な特徴」は、別の標識またはタグ(例えば、質量および本明細書において記載される他のもの)と識別することができる1つの標識またはタグの任意の特徴を指す。一部の実施形態では、識別可能な標識およびタグの標識組成物は、質量分析において最適な飛行挙動が得られるように、および高いマルチプレックスレベルで標識およびタグを識別することができるように、選択および/または設計することができる。
本明細書において使用される方法では、特定の標的(大量または少量)核酸種、アンプリコン種、および/または伸長オリゴヌクレオチド種はしばしば、特定の標識またはタグ種の検出によって、特定の組成物中の特定の標的少量核酸種、アンプリコン種、および/または伸長オリゴヌクレオチド種の存在が直接同定されるおよび/または定量されるように、識別可能で検出可能な標識種と対を形成する。したがって、その特定の識別可能な特徴が特定の標的核酸に対応することから、標識種の1つの識別可能な特徴を、例えば組成物中の1つの標的核酸種を同定するために使用することができる。標識およびタグは、任意の公知の方法によって任意の位置に(例えば、オリゴヌクレオチドの5’で)核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)に結合させてもよい。このように、本明細書において使用されるそれぞれの特定の標的核酸種に「特異的に対応する」などのそれぞれの特定の標識種に対する言及は、1つの標的種と対を形成した1つの標識種を指す。標識種の存在が検出されるとき、ある特定の実施形態では、その標的種に関連する標的核酸種の存在は、それによって検出および/または定量される。
本明細書において識別可能なタグまたは標識(集合的に、「標識」)を参照して使用される用語「種」は、別の標識と検出可能に識別可能である1つの標識を指す。ある特定の実施形態では、標識種の数は、約2~約10000標識種、約2~約500,000標識種、約2~約100,000、約2~約50000、約2~約10000、および約2~約500標識種、または時に約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000,100000、200000、300000、400000もしくは500000標識種を含むがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において使用される用語「質量識別可能な標識」は、特徴として質量によって識別される標識を指す。例えばコンポマー、アミノ酸、および/またはコンカテマーなどの多様な質量識別可能な標識を選択および使用することができる。異なる長さおよび/または組成の一連のヌクレオチド(例えば、核酸、コンポマー)、一連のアミノ酸(例えば、ペプチド、ポリペプチド、コンポマー)、および/またはコンカテマーを質量によって識別することができ、標識として使用することができる。質量識別可能な標識において、任意の数の単位を利用することができ、そのような単位の上限および下限は、そのような標識を検出および識別するために使用されるシステムの質量ウインドウおよび分解能に一部依存する。このため、質量識別可能な標識の長さおよび組成は、標識を検出および識別するために使用される検出器の質量ウインドウおよび分解能に基づいて選択することができる。
本明細書において使用される用語「コンポマー」は、モノマー単位の特定の配列ではないモノマー単位の組の組成を指す。核酸に関して、用語「コンポマー」は、モノマー単位が塩基である核酸の塩基組成物を指す。塩基のそれぞれのタイプの数は、B(すなわち、A、Aは「空」のコンポマー、または塩基を含有しないコンポマーを表す)によって表示されうる。天然のコンポマーは、全ての成分単量体単位(例えば、核酸の場合は塩基、およびポリペプチドの場合はアミノ酸)がゼロより大きいかまたはゼロに等しいコンポマーである。ある特定の実施形態では、A、C、G、またはTの少なくとも1つは、1またはそれ超に等しい(例えば、A、A、A、A)。本明細書において提供される方法において、配列バリエーションを決定するために配列を比較する目的で、データを処理するために利用されるアルゴリズムによって、負の数の単量体単位を含有する「非天然」コンポマーを生成することができる。ポリペプチドの場合、コンポマーは、ポリペプチド断片のアミノ酸組成物を指し、それぞれのタイプのアミノ酸類似性の数も同様に表示される。コンポマー種は、多数の配列に対応しうる。例えば、コンポマーAは、配列AGGAG、GGGAA、AAGGG、GGAGAおよびその他に対応する。一般的に、配列に対応する独自のコンポマーが存在するが、1つ超の配列が同じコンポマーに対応しうる。ある特定の実施形態では、1つのコンポマー種は、1つの標的核酸種、アンプリコン種、および/またはオリゴヌクレオチド種と対を形成する(例えば、対応する)。異なるコンポマー種は、本明細書における実施形態では異なる塩基組成、および識別可能な質量を有する(例えば、AおよびAは異なるおよび質量識別可能なコンポマー種である)。一部の実施形態では、コンポマー種の組は、塩基組成が異なるが同じ長さを有する。ある特定の実施形態では、コンポマー種の組は、塩基組成および長さが異なる。
質量識別可能な標識として使用されるヌクレオチドコンポマーは、全てのコンポマー種を検出可能に識別することができる任意の長さのコンポマーでありえて、例えば、長さが約1~15、5~20、1~30、5~35、10~30、15~30、20~35、25~35、30~40、35~45、40~50もしくは25~50、または時には約55、60、65、70、75、80、85、90、85もしくは100ヌクレオチドでありうる。質量識別可能な標識として使用されるペプチドまたはポリペプチドコンポマーは、全てのコンポマー種を検出可能に識別することができる任意の長さのコンポマーでありえて、例えば長さが約1~20、10~30、20~40、30~50、40~60、50~70、60~80、70~90、または80~100アミノ酸でありうる。上記のように、コンポマー中の単位数に対する制限は、しばしばコンポマー種を識別するために使用される検出方法の質量ウインドウおよび分解能によって制限される。
用語「コンカタマー」および「コンカテマー」は、本明細書において同義的に使用され(集合的に「コンカテマー」)、互いに連結した(例えば、しばしば連続して連結した、ある特定の実施形態では時に分岐した)2つまたはそれ超の単位を含有する分子を指す。コンカテマーは、一部の実施形態では、時に核酸および/または人工ポリマーである。コンカテマーは、一部の実施形態では同じタイプの単位(例えば、ホモコンカテマー)を含み、時にコンカテマーは異なるタイプの単位(例えば、ヘテロコンカテマー)を含有しうる。コンカテマーは、ヌクレオチド単位、アミノ酸単位、小有機分子単位(例えば、トリチル)、特定のヌクレオチド配列単位、特定のアミノ酸配列単位等を含む、任意のタイプの単位を含有しうる。3つの特定の配列単位ABCのホモコンカテマーは、一実施形態では、ABCABCABCである。コンカテマーは、それぞれのコンカテマー種が他の種と検出可能に識別することができる限り、任意の数の単位を含有しうる。例えば、トリチルコンカテマー種は、一部の実施形態では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900または1000トリチル単位を含有しうる。
識別可能な標識は、ある特定の実施形態では、核酸産物(例えば伸長オリゴヌクレオチド)から放出することができる。識別可能な標識と核酸との間の連結は、転写および切断されうる、切断されて、放出された標識または複数の標識の検出を可能にし、それによって核酸産物を同定および/または定量することができる任意のタイプの結合でありうる(例えば、Ehrichらによる「Target-Specific Compomers and Methods of Use」と題する米国特許出願公開第US20050287533A1号)。そのような連結および連結を切断する方法(「切断条件」)は公知である。ある特定の実施形態では、標識はそれが結合する分子の他の部分から分離することができる。一部の実施形態では、標識(例えば、コンポマー)は、より大きい一連のヌクレオチド(例えば、伸長オリゴヌクレオチド)から切断される。連結の非制限的な例には、ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ)によって切断することができる連結、化学物質によって切断することができる連結、物理的処置によって切断することができる連結、および光によって切断することができる光切断可能なリンカー(例えば、o-ニトロベンジル、6-ニトロベラトリルオキシカルボニル、2-ニトロベンジル基)が挙げられる。光切断可能なリンカーは、切断および検出を組み合わせて単一ステップで実施することから、光を放射する(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析は、レーザーによる光の放射を含む)検出システムを使用するとき、利点を提供する。
ある特定の実施形態では、標識は、より大きい単位の一部でありえて、検出前にその単位から分離することができる。例えば、ある特定の実施形態では、標識は、より大きいヌクレオチド配列における連続ヌクレオチドの組であり、標識はより大きいヌクレオチド配列から切断される。そのような実施形態では、標識はしばしば、それが存在するヌクレオチド配列または核酸の1つの末端に位置する。一部の実施形態では、標識またはその前駆体は、標識をコードする前駆体配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む転写カセットに存在する。後者の実施形態では、プロモーターは時に、標識を含むまたは標識からなるRNAを生成するRNAポリメラーゼ動員プロモーターである。標識を含むRNAは検出前に切断されて(例えば、RNアーゼによって)標識を放出することができる。
ある特定の実施形態では、識別可能な標識またはタグは、伸長オリゴヌクレオチドから切断されず、一部の実施形態では、識別可能な標識またはタグは、捕捉剤を含む。ある特定の実施形態では、識別可能な特徴を検出することは、伸長オリゴヌクレオチドの存在または非存在を検出することを含み、一部の実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドは捕捉剤を含む。
検出およびマルチプレックス化の程度
本明細書において使用される、標識の「検出」という用語は、標識種の同定を指す。任意の適した検出装置を使用して、試料中の標識種を識別することができる。質量識別可能な標識を検出するために適した検出装置には、ある特定の質量分析、およびゲル電気泳動装置が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。質量分析フォーマットの例には、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析(MS)、MALDI直交型TOF MS(OTOF MS;二次元)、レーザー脱離質量分析(LDMS)、エレクトロスプレー(ES)MS、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)MS、およびフーリエ変換MSが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。本明細書において記載される方法は、検体を揮発させてイオン化する質量分析フォーマット(「イオン化MS」、例えばMALDI-TOF MS、LDMS、ESMS、線形TOF、OTOF)に容易に応用可能である。直交型イオン抽出MALDI-TOFおよびアキシャルMALDI-TOFは、比較的高い分解能をもたらすことができ、それによって相対的に高レベルのマルチプレックス化をもたらすことができる。光放射、吸光、および/または光散乱標識を検出するために適した検出装置は、ある特定の光検出器および光子検出器(例えば、蛍光、化学発光、吸収、および/または光散乱標識)を含むがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において提供される方法は、1つまたは複数の大量核酸種を含有する試料または試料の組合せに存在する複数の少量核酸種のハイスループット検出または発見を可能にする。マルチプレックス化は、それぞれの個々の少量核酸種に対して異なる質量分析または他の分析を実施する必要がある場合と比較して、複数の少量核酸種(例えば、一部は異なる配列バリエーションを有する)を、単一の質量分析スペクトルまたは蛍光もしくは電気シグナルなどの他の検出系で同定することができるという利点を提供する。本明細書において提供される方法は、一部の実施形態では、高い速度および精度で配列バリエーションを分析するためのハイスループットの高度自動化プロセスである。一部の実施形態では、本明細書において記載される方法は、単一の反応で、高レベルでマルチプレックス化されうる。マルチプレックス化は、多型座の遺伝子型が公知ではないとき、および一部の実施形態では、座の遺伝子型が公知であるときに応用可能である。
ある特定の実施形態では、マルチプレックス化される標的(少量および/または大量)核酸種の数は、約2~1,000種、時に約1-3、3-5、5-7、7-9、9-11、11-13、13-15、15-17、17-19、19-21、21-23、23-25、25-27、27-29、29-31、31-33、33-35、35-37、37-39、39-41、41-43、43-45、45-47、47-49、49-51、51-53、53-55、55-57、57-59、59-61、61-63、63-65、65-67、67-69、69-71、71-73、73-75、75-77、77-79、79-81、81-83、83-85、85-87、87-89、89-91、91-93、93-95、95-97、97-101、101-103、103-105、105-107、107-109、109-111、111-113、113-115、115-117、117-119、121-123、123-125、125-127、127-129、129-131、131-133、133-135、135-137、137-139、139-141、141-143、143-145、145-147、147-149、149-151、151-153、153-155、155-157、157-159、159-161、161-163、163-165、165-167、167-169、169-171、171-173、173-175、175-177、177-179、179-181、181-183、183-185、185-187、187-189、189-191、191-193、193-195、195-197、197-199、199-201、201-203、203-205、205-207、207-209、209-211、211-213、213-215、215-217、217-219、219-221、221-223、223-225、225-227、227-229、229-231、231-233、233-235、235-237、237-239、239-241、241-243、243-245、245-247、247-249、249-251、251-253、253-255、255-257、257-259、259-261、261-263、263-265、265-267、267-269、269-271、271-273、273-275、275-277、277-279、279-281、281-283、283-285、285-287、287-289、289-291、291-293、293-295、295-297、297-299、299-301、301-303、303-305、305-307、307-309、309-311、311-313、313-315、315-317、317-319、319-321、321-323、323-325、325-327、327-329、329-331、331-333、333-335、335-337、337-339、339-341、341-343、343-345、345-347、347-349、349-351、351-353、353-355、355-357、357-359、359-361、361-363、363-365、365-367、367-369、369-371、371-373、373-375、375-377、377-379、379-381、381-383、383-385、385-387、387-389、389-391、391-393、393-395、395-397、397-401、401-403、403-405、405-407、407-409、409-411、411-413、413-415、415-417、417-419、419-421、421-423、423-425、425-427、427-429、429-431、431-433、433-435、435-437、437-439、439-441、441-443、443-445、445-447、447-449、449-451、451-453、453-455、455-457、457-459、459-461、461-463、463-465、465-467、467-469、469-471、471-473、473-475、475-477、477-479、479-481、481-483、483-485、485-487、487-489、489-491、491-493、493-495、495-497、497-501種またはそれ超を含むがこれらに限定されるわけではない。
マルチプレックスアッセイによって分離された質量分析スペクトルを得るための設計方法は、プライマーおよびオリゴヌクレオチド設計法、鎖停止試薬などの試薬の相対濃度、検出標識の選択、および他の反応設計方法を含みうる。マルチプレックスアッセイにおけるプライマーおよびオリゴヌクレオチドの設計に対しては、偽プライミングおよびプライマー二量体の回避などの、ユニプレックス反応でのプライマー設計に対するものと同じ一般的ガイドラインが当てはまるが、ただマルチプレックス反応ではより多くのプライマーを必要とする。加えて、質量分析スペクトルによる分析に関して、休止ピークおよび他の任意の副産物ピークを含む、1つのアッセイの質量分析における検体ピークは、そのアッセイがマルチプレックス化される任意のアッセイの産物から十分に分離される。同様に、検体ピークは、最適には、ユーザー指定の質量ウインドウ内に入り、例えば5,000~8,500Daの範囲内に入る。一部の実施形態では、所定のSNP鎖の標的配列に対する伸長オリゴヌクレオチドを設計することができる。そのような実施形態では、長さはしばしば、例えばユーザー指定(例えば、17~24塩基または17~26塩基)でありえて、しばしば標的配列において不確かである塩基を含有しない限界の間である。時に、ハイブリダイゼーション強度は、配列依存的融解(またはハイブリダイゼーション/解離)温度、Tを計算することによって測定される。特定のプライマーの選択は、そのヘアピン能、偽プライミング能、プライマー-二量体能、低複雑度領域、およびGGGGなどの問題の多い小配列のために、プライマーの他の選択と比較して、認められないかまたはペナルティーが科される。伸長オリゴヌクレオチド(例えば、これらの基準に従う)を設計するための方法およびソフトウェアは公知であり、例えばSpectroDESIGNER(Sequenom)を含む。
本明細書において使用される用語「コールレート」または「コーリングレート」は、得ることが企図されるコール数と比較した、得られたコール数(例えば、決定された遺伝子型またはバリアント)を指す。言い換えれば、12重反応において、本明細書において提供される方法を実施することによって10の遺伝子型が最終的に決定されれば、10コールが得られており、コールレートは10/12である。異なる事象によって、特定の企図されるアッセイの失敗が起こりえて、コールレートは100%より低くなる。時に、停止のためのdNTPとddNTPのミックスの場合、1つの非停止ヌクレオチド(すなわち、dNTP)の取り込み後のポリメラーゼの休止によって不適切な伸長産物が起こり、例えば早期に停止された伸長プライマーが起こる。多型部位でのこの誤って停止したおよび正確に停止したプライマー質量伸長反応の間の質量の差は、時に、一貫して分離するには小さすぎて、不適切な停止ミックスを使用する場合にはミスコールが起こりうる。正確な停止と誤停止(すなわち、休止によって引き起こされるもの)ならびに正確な停止と塩付加物ならびに正確な停止と非特異的取り込みの間の質量の差は、ミスコールの数を低減させるためにしばしば最大限にされる。
マルチプレックスアッセイの精度は、1つまたは複数のアッセイにおいて、得られたコール数(例えば、正しくまたは正確に評価される)、ならびに/または偽陽性および/もしくは偽陰性結果の数を評価することによって決定されうる。精度はまた、マルチプレックスアッセイにおいて評価した標的のそれぞれの対応するユニプレックスアッセイの精度を比較することによって評価してもよい。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の方法を使用して、コールレートを決定してもよい。例えば、手動の方法を、コールを行うための自動またはコンピューター法と共に利用してもよく、一部の実施形態では、それぞれの方法のレートを合計して、総コールレートを計算してもよい。ある特定の実施形態では、2つまたはそれ超の標的核酸(少量および/または大量核酸種)、例えば50個またはそれ超の標的核酸をマルチプレックス化するとき、精度またはコールレートは、約99%またはそれ超、例えば98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、87~88%、85~86%、83~84%、81~82%、80%、78~79%、または76~77%でありうる。一部の実施形態では、約2~200個の標的種を含むマルチプレックスアッセイにおけるそれぞれの標的種のコールレートは、80%またはそれ超(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)より大きいかまたはそれに等しい。
ある特定の実施形態では、エラーレートは、コールレートまたは精度のレートに基づいて決定されうる。例えば、エラーレートは、誤ってなされたコール数でありうる。一部の実施形態では、例えば、エラーレートは、コールレートまたは精度レートの100%未満でありうる。エラーレートはまた、「失敗率」とも呼ばれうる。偽陽性および/または偽陰性の同定は、コールレートおよびエラーレートの両方を再調整することができる。ある特定の実施形態では、より多くのアッセイの実施はまた、偽陽性および/または偽陰性を同定するために役立ち、それによってコールレートおよび/またはエラーレートを調整することができる。ある特定の実施形態では、大量および/または少量核酸種である2つまたはそれ超の標的核酸、例えば50個またはそれ超の標的核酸種をマルチプレックス化するとき、エラーレートは、例えば約1%またはそれ未満、2%、3%、4,%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%でありうる。
応用
以下は、本明細書において記載されるマルチプレックス技術の非制限的な応用の例である。
1.配列バリエーション(例えば、遺伝子変種)の検出
疾患のゲノム基礎およびそのマーカーを同定する改善された方法を提供する。本明細書において提供される方法によって同定することができる配列バリエーション(例えば、遺伝子変種)候補体は、多型である配列バリエーションを含む配列を含む。多型は、天然に存在する体細胞配列バリエーション、および変異により生じるものの両方を含む。多型は、局在化領域における1つまたは複数のヌクレオチドが個体によって異なる配列マイクロバリアント、1つのヌクレオチドから数百万塩基までサイズが異なりうる挿入および欠失、ならびに反復配列の数が異なるマイクロサテライトまたはヌクレオチド反復配列を含むがこれらに限定されるわけではない。ヌクレオチド反復配列は、何回も同じ配列が反復される同種反復配列、例えばジヌクレオチド、トリヌクレオチド、テトラヌクレオチド、またはより大きい反復配列、および同様に配列モチーフが反復することが見出されるヘテロヌクレオチド反復配列を含む。所定の座に関して、ヌクレオチド反復配列の数は、個体に応じて変化しうる。
多型マーカーまたは部位は、相違が起こる座である。そのような部位は、1塩基対(SNP)もの小ささでありうる。多型マーカーには、制限断片長多型(RFLP)、反復回数が異なるタンデム反復配列(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復配列、トリヌクレオチド反復配列、テトラヌクレオチド反復配列および他の反復パターン、単純な配列反復配列およびAluなどの挿入エレメントが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。多型はまた、1つの遺伝子に対して異なるメンデルの対立遺伝子として出現する。多型は、タンパク質の差、タンパク質修飾、RNA発現修飾、DNAおよびRNAメチル化、遺伝子発現およびDNA複製を変更する調節因子、ならびにゲノム核酸またはオルガネラ核酸における変更の他の任意の出現によって観察することができる。
さらに、多数の遺伝子が多型領域を有する。個体は、多型領域のいくつかの対立遺伝子変種のいずれか1つを有することから、遺伝子の多型領域の対立遺伝子変種のタイプに基づいて個体を同定することができる。これは、例えば、法医学目的のために使用することができる。他の状況において、個体が有する対立遺伝子変種が何かを知ることが極めて重要である。例えば、ある特定の遺伝子、例えば主要組織適合遺伝子複合体(MHC)遺伝子における対立遺伝子の差は、骨髄移植における移植片拒絶または移植片対宿主病に関係している。したがって、遺伝子または遺伝子病変の多型領域の対立遺伝子変種が何かを決定するための、迅速で感度がよく、かつ正確な方法を開発することは非常に望ましい。本明細書において提供される方法またはキットを使用して、対象の1つまたは複数の遺伝子または染色体における1つまたは複数の多型領域の1つまたは複数の対立遺伝子変種が何かを決定することによって、対象の遺伝子型を決定することができる。本明細書において提供される方法を使用する対象の遺伝子型決定は、法医学または身元確認試験目的のために使用することができ、多型領域はミトコンドリア遺伝子に存在しうるかまたは短いタンデム反復配列でありうる。
単一ヌクレオチド多型(SNP)は、一般的に2対立遺伝子系であり、すなわち、任意の特定のマーカーに対して個体が有しうる対立遺伝子が2つ存在する。このことは、SNPマーカーあたりの情報内容が、最大10対立遺伝子を有しうるマイクロサテライトマーカーと比較すると相対的に少ないことを意味する。SNPはまた、非常に集団特異的である傾向があり、1つの集団において多型であるマーカーは、別の集団において必ずしも多型とはならない。およそ1キロべースごとに見出されるSNP(Wangら(1998年) Science 280巻:1077~1082頁)は、目的の遺伝子または領域に対するハプロタイピングシステムを開発するために極めて有用である非常に高密度の遺伝子マップを作成する可能性を提供し、SNPの性質から、それらは実際に、試験中の疾患表現型に関連する多型でありうる。SNPの変異率が低いこともまた、それらを複雑な遺伝子形質を試験するための優れたマーカーにする。
ゲノム学の注目の多くは、SNPの同定であり、これは多様な理由から重要である。それによって、間接的な試験(ハプロタイプの関連)および直接的な試験(機能的変種)が可能となる。それらは最も豊富で安定な遺伝子マーカーである。一般的な疾患は、一般的な遺伝子の変更によって最もよく説明され、ヒト集団における天然のバリエーションは、疾患、治療、および環境相互作用の理解に役立つ。
体細胞変異の感度のよい検出は、その関心が腫瘍の開始および増殖の遺伝的決定因子の同定である、がん研究の社会にとって特に貴重である。感度のよいアプローチから得られた情報はまた、患者の転帰を予測するために変異のプロファイリングに使用することができ、関連する処置選択肢を知らせることができる。一部の実施形態では、その対応する野生型配列の5%未満に相当するまたは5%に等しい遺伝子変種を検出することができる感度のよい検出方法が必要である。一部の実施形態では、1%未満または1%に等しい野生型を検出することができる検出方法が実施される。一部の実施形態では、5%、4%、3%、2%、1%、0.8%、0.75%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%未満またはそれに等しい野生型を検出することができる検出方法が実施される。加えて、出生前診断において、このタイプの方法は、子宮内で父親由来の変異を明らかにすることができる。
一部の実施形態では、目的の1つまたは複数の体細胞変異(例えば、SNP、疾患マーカー等およびその組合せ)を有する核酸標的から伸長オリゴヌクレオチドを生成することによって、対立遺伝子分析を実施することができる。体細胞変異を有する対立遺伝子を表す放出された伸長オリゴヌクレオチドの存在または非存在の検出は、一部の実施形態では、標的集団における特定の変異の存在または非存在をスクリーニングする迅速な方法として利用することができる。バリアント対立遺伝子から伸長オリゴヌクレオチドを生成することを含むある特定の実施形態では、適切なバリアント対立遺伝子が伸長オリゴヌクレオチド産物を生じることから、伸長オリゴヌクレオチドを検出することができる。
2.疾患マーカーの同定
本明細書において、疾患を診断するまたは疾患の予後を決定するために使用することができる、疾患の遺伝子マーカーである配列バリエーションの迅速かつ正確な同定方法が提供される。遺伝子マーカーによって特徴付けられる疾患には、アテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病、自己免疫疾患、およびがんが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。全ての生物の疾患は、遺伝性であるかまたはウイルスおよび毒素などの環境ストレスに対する体の反応に起因する遺伝的成分を有する。進行中のゲノム研究の最終的な目標は、この情報を使用して、これらの疾患を同定、処置、およびおそらく治癒する新規方法を開発することである。第1のステップは、疾患組織をスクリーニングして、個々の試料のレベルでゲノムの変化を同定することであった。これらの「疾患」マーカーの同定は、逸脱した遺伝子または配列変種を同定するために、ゲノムマーカーの変化の検出能に依存する。ゲノムマーカー(単一ヌクレオチド多型(SNP)、マイクロサテライト、ならびに他の非コードゲノム領域、タンデム反復配列、イントロンおよびエキソンを含む全ての遺伝子座)を、ヒトを含む全ての生物の同定のために使用することができる。これらのマーカーは、集団を同定する方法のみならず、疾患に対するその反応、薬物処置、環境物質に対する抵抗性、および他の要因に従って集団の階層化を可能にする方法を提供する。疾患マーカーは時に変異であり、一部の実施形態では、例えば野生型対立遺伝子のバックグラウンドに対する体細胞変異(例えば、がん組織対正常組織、バリアントウイルス型対正常なウイルス型(例えば、HIV))などの比較的まれな対立遺伝子でありうる。一部の実施形態では、まれな対立遺伝子または変異は、野生型の5%、4%、3%、2%、1%、0.8%、0.75%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%未満に相当する。一部の実施形態では、まれな対立遺伝子または変異は、野生型の1%未満に相当しうる。
3.微生物の同定
本明細書において、微生物およびウイルスの属、種、株、またはサブタイプを同定するプロセスまたは方法が提供される。微生物およびウイルスは、細菌、真菌、原虫、繊毛虫、およびウイルスを含むがこれらに限定されるわけではない多様な生物から選択される。微生物は、特定の属、種、株、サブタイプ、または血清型または他の任意の分類に限定されない。微生物およびウイルスは、1つまたは複数の参照配列または試料と比較して標的微生物配列中の配列バリエーションを決定することによって同定されうる。参照配列は、例えば、同じもしくは異なる属、種、株、もしくは血清型もしくは他の任意の分類の他の微生物から得ることができ、または宿主原核生物もしくは真核生物もしくは任意の混合集団から得ることができる。
病原体の同定および型決定(例えば、細菌またはウイルス)は、感染疾患の臨床管理において極めて重要である。微生物が正確に何であるかは、疾患の状態と健康な状態とを区別するためのみならず、感染源およびその伝播、ならびにどの抗生物質または他の抗菌剤治療が処置にとって最も適切であるかの決定においても根本となる。病原体の型決定の従来の方法は、微生物(例えば、細菌)を同定するために、増殖特徴、色、細胞またはコロニーの形態、抗生物質感受性、染色、臭い、血清型決定、生化学的型決定、および特異的抗体との反応性を含む多様な表現型特徴を使用している。これらの方法は全て、疑われる病原体の培養を必要とし、これは、高い材料および労働コスト、労働者の曝露の危険、取り扱いミスによる偽陽性、および少ない生存細胞数によるまたは多くの病原体の細心の注意を必要とする培養による偽陰性を含む多数の重大な欠点を有する。加えて、培養方法は、診断に達するまでに比較的長期間を必要とし、そのような感染症の生命を脅かす可能性がある性質のために、抗菌剤治療はしばしば結果を得ることができる前に開始される。一部の生物は、培養で維持することができないか、または極めて遅い増殖速度を示しうる(例えば、Mycobacterium tuberculosisの場合には最大6~8週間)。
多くの場合において、病原体は、少量存在するか、および/または正常な菌叢を構成する生物と非常に類似であり、上記で引用した方法では無害な株と識別不可能でありうる。これらの場合、病原性株の存在の決定は、本明細書において提供される分子型決定方法によって与えられるより高度の分解能を必要としうる。
4.感染症を示すウイルスまたは細菌核酸配列の存在の検出
本明細書において提供される方法を使用して、1つまたは複数の参照配列と比較してウイルスまたは細菌核酸配列中に存在する配列バリエーションを同定することによって、感染症を示すウイルスまたは細菌核酸配列の存在を決定することができる。参照配列は、感染性生物、関連する非感染性生物から得た配列、または宿主生物からの配列を含みうるがこれらに限定されるわけではない。
ウイルス、細菌、真菌、および他の感染性生物は、宿主細胞に含有される配列とは異なる、配列変種を含む、別個の核酸配列を含有する。標的DNA配列は、例えば細菌およびそのファージ、ウイルス、真菌、原虫等を含む侵襲性の微生物のゲノムなどの外来の遺伝子配列の一部でありうる。本明細書において提供されるプロセスは、例えば適切な治療介入を選択するために、微生物(例えば、病原性、より病原性の低い、耐性対非耐性等)の異なる変種または株を識別するために特に応用可能である。ヒトおよび動物に感染して、開示のプロセスによって検出することができる、疾患を引き起こすウイルスの例には、Retroviridae(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV-1(HTLV-III、LAV、またはHTLV-III/LAVとも呼ばれる;Ratnerら、Nature 313巻:227~284頁(1985年);Wain Hobsonら、Cell 40巻:9~17頁(1985年)、HIV-2(Guyaderら、Nature 328巻:662~669頁(1987年);欧州特許出願公開第0 269 520号;Chakrabartiら、Nature 328巻:543~547頁(1987年);欧州特許出願第0 655 501号)、およびHIV-LPなどの他の単離体(国際出願公開第94/00562号));Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス(Gustら、Intervirology 20巻:1~7頁(1983年)、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calcivirdae(例えば、胃腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronaviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス);Bunyaviridae(bungaviridae)(例えば、ハンターンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);Arenaviridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvoviridae(パルボウイルス);Parvoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Papovaviridae(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1)、およびHSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス;Poxviridae(天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);Iridoviridae(例えば、アフリカブタ熱ウイルス)、ならびに分類されないウイルス(例えば、海綿状脳症の原因物質、デルタ型肝炎の原因物質(B型肝炎ウイルスのサテライト欠損と考えられている)、非A、非B型肝炎(クラス1=内部伝播;クラス2=非経口伝播;すなわちC型肝炎)の原因物質;ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルスが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
感染性細菌の例には、Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sp.(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonae)、Salmonella、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrheae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus sp.(viridans群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus sp.(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter sp.、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracis、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Escherichia coli、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、およびActinomyces israelliならびに抗生物質耐性変種を含む任意の変種が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
感染性真菌の例には、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Chlamydia trachomatis、Candida albicansが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。他の感染性生物は、Plasmodium falciparumおよびToxoplasma gondiiなどの原生生物である。
5.抗生物質プロファイリング
本明細書において提供される方法は、抗生物質耐性を含む薬物耐性に関係するヌクレオチド変化を検出する速度および精度を改善することができる。イソニアジド、リファンピン、ストレプトマイシン、フルオロキノロン、およびエチオナミドに対する耐性に関係する遺伝子座が同定されている[Heymら、Lancet、344号:293頁(1994年)およびMorrisら、J. Infect. Dis. 171巻:954頁(1995年)]。ピラジナミドおよびエタンブトールまたはストレプトマイシンと共にイソニアジド(inh)およびリファンピン(rif)の併用は、M.tuberculosisの確認された症例に対する第一選択薬として日常的に使用されている[Banerjeeら、Science 263巻:227頁(1994年)]。そのような耐性菌の頻度の増加により、それらを検出するための迅速なアッセイの開発が必要となり、それによって無効な、およびおそらく有害な処置を続行する費用および地域社会の健康に及ぼす害を低減させる。薬物耐性に関係する遺伝子座の一部の同定によって、薬物耐性が起こるヌクレオチド変化の迅速なスクリーニングへの変異検出技術の採用が促進されている。加えて、技術は、処置のモニタリングおよび追跡、または微生物集団構造ならびに処置の際の調査モニタリングを促進する。加えて、混合集団の相関および調査モニタリングを実施することができる。
6.一倍体遺伝子型決定
本明細書において提供される方法は、一倍体を検出するために使用することができる。任意の二倍体細胞において、任意の遺伝子または他の染色体セグメントに少なくとも1つの識別可能な相違を含有する2つの一倍体が存在する。多くの十分に研究された遺伝子系において、一倍体は、単一ヌクレオチドバリエーションよりも表現型に強力に相関する。このため、一倍体の決定は、疾患の素因または感受性、治療介入に対する応答を含む多様な表現型、ならびに医学、動物飼育、および農業における目的の他の表現型の遺伝的基礎を理解するために極めて重要である。
本明細書において提供される一倍体の遺伝子型決定技法によって、個々の2つの相同染色体の1つからの配列の一部を選択することが可能であり、配列のその部分における連鎖SNPの遺伝子型を決定することが可能である。諸一倍体を直接分離することにより、情報内容の増加がもたらされ、任意の連鎖する疾患遺伝子の診断を改善するか、またはそれらの疾患に関連する連鎖を同定することができる。
7.マイクロサテライト
本明細書において提供される方法は、マイクロサテライト配列バリエーションの迅速で、明白な検出を可能にする。マイクロサテライト(時に、反復回数が異なるタンデム反復配列またはVNTRと呼ばれる)は、1~7塩基またはそれ超の短いタンデム反復ヌクレオチド単位であり、その中で最も顕著なものは、ジ、トリ、およびテトラヌクレオチド反復配列である。マイクロサテライトは、ゲノムDNAにおいて100,000bpごとに存在する(J. L. WeberおよびP. E. Can、Am. J. Hum. Genet. 44巻、388頁(1989年);J. Weissenbachら、Nature 359巻、794頁(1992年))。例えば、CAジヌクレオチド反復配列は、ヒトミトコンドリア外のゲノムの約0.5%を構成し、CTおよびAG反復配列は、共に約0.2%を構成する。CG反復配列はまれであり、その理由はCpGアイランドの調節機能による可能性が最も高い。マイクロサテライトは、長さに関して非常に多型であり、ゲノム全体にわたって広く、非コード配列に主に多量に分布しており、ゲノム内でのその機能は不明である。ある集団は、その集団にとって特徴的で、雑種ではない他の集団とは異なる多様なマイクロサテライトを維持することから、マイクロサテライトは法医学応用において重要でありうる。
マイクロサテライト内の多くの変化がサイレントでありうるが、一部は、遺伝子産物または発現レベルの有意な変更を引き起こしうる。例えば、遺伝子のコード領域に見出されるトリヌクレオチド反復配列は、一部の腫瘍において影響を受け(C. T. Caskeyら、Science 256巻、784頁(1992年))、マイクロサテライトの変更によって、がんに対する素因となる遺伝子不安定性が起こりうる(P. J. McKinnen, Hum. Genet. 175巻、197頁(1987年);J. Germanら、Clin. Genet. 35巻、57頁(1989年))。
8.短いタンデム反復配列
本明細書において提供される方法を使用して、例えばSTR領域を含有しないヒトゲノム中の参照配列と比較して、ヒトゲノムの一部の標的配列における短いタンデム反復配列(STR)領域を同定することができる。STR領域は、いかなる疾患または状態にも関連しない多型領域である。ヒトゲノムにおける多くの座が多型の短いタンデム反復配列(STR)領域を含有する。STR座は、長さが3~7塩基対の短い反復配列エレメントを含有する。200,000個の予想される三量体および四量体STRが存在すると推定され、これはヒトゲノムにおいて15kbごとに1回の頻度で存在する(例えば、国際PCT出願公開第9213969 A1号、Edwardsら、Nucl. Acids Res. 19巻:4791頁(1991年);Beckmannら(1992年)Genomics 12巻:627~631頁を参照されたい)。これらのSTR座のほぼ半分が多型であり、遺伝子マーカーの豊富な起源を提供する。特定の座での反復単位の数のバリエーションは、観察された配列バリエーションの原因であり、これらは、反復回数が異なるヌクレオチドタンデム反復配列(VNTR)座(Nakamuraら (1987年)Science 235巻:1616~1622頁);およびより長い反復単位を含有するミニサテライト座(Jeffreysら(1985年)Nature 314巻:67~73頁)、ならびにマイクロサテライトまたはジヌクレオチド反復座(Lutyら (1991年)Nucleic Acids Res. 19巻:4308頁;Littら(1990)Nucleic Acids Res. 18巻:4301頁;Littら(1990年)Nucleic Acids Res. 18巻:5921頁;Lutyら(1990年)Am. J. Hum. Genet.46巻:776~783頁;Tautz(1989年)Nucl. Acids Res. 17巻:6463~6471頁;Weberら(1989年)Am. J. Hum. Genet. 44巻:388~396頁;Beckmannら(1992年)Genomics 12巻:627~631頁)を想起させる。VNTR型決定は、微生物の型決定、例えばM.tuberculosis(MIRU型決定)において十分に確立されたツールである。
STR座の例には、ヒトCD4座(Edwardsら、Nucl. Acids Res. 19巻:4791頁(1991年));ヒトアロマターゼチトクロームP-450遺伝子におけるテトラヌクレオチド反復配列(CYP19;Polymeropoulosら、Nucl. Acids Res.、19巻:195頁(1991年));ヒト血液凝固第XIII因子Aサブユニット遺伝子におけるテトラヌクレオチド反復配列(F13A1;Polymeropoulosら、Nucl. Acids Res. 19巻:4306頁(1991年));F13B座におけるテトラヌクレオチド反復配列(Nishimuraら、Nucl. Acids Res. 20巻:1167頁(1992年));ヒトc-les/fps、がん原遺伝子におけるテトラヌクレオチド反復配列(FES;Polymeropoulosら、Nucl. Acids Res. 19巻:4018頁(1991年));LFL遺伝子におけるテトラヌクレオチド反復配列(Zulianiら、Nucl. Acids Res. 18巻:4958頁(1990年));ヒト膵臓ホスホリパーゼA-2遺伝子におけるトリヌクレオチド反復配列配列バリエーション(PLA2;Polymeropoulosら、Nucl. Acids Res. 18巻:7468頁(1990年));VWF遺伝子におけるテトラヌクレオチド反復配列配列バリエーション(Ploosら、Nucl. Acids Res. 18巻:4957頁(1990年));およびヒト甲状腺ペルオキシダーゼ(hTPO)座におけるテトラヌクレオチド反復配列(Ankerら、Hum. Mol. Genet. 1巻:137頁(1992年))が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
9.生物の同定
多型STR座および遺伝子の他の多型領域は、ヒトの身元確認、父親および母親の検査、遺伝子マッピング、移民、および相続争い、双生児における接合性試験、ヒトにおける近親交配の試験、ヒト培養細胞の品質管理、古い死体の身元確認、並びに法医学における精液試料、血液染色、微生物、および他の材料の試験のための極めて有用なマーカーである配列バリエーションである。そのような座はまた、商業的動物育種および血統分析、および商業的植物育種において有用なマーカーである。作物および動物における経済学的に重要な形質を、多型DNAマーカーを使用して連鎖分析を通して同定することができる。そのような座がどの座かを決定するための効率的かつ正確な方法が本明細書において提供される。
10.対立遺伝子バリエーションの検出
本明細書において提供される方法は、対立遺伝子変種のハイスループットの迅速かつ正確な検出を可能にする。対立遺伝子バリエーションの試験は、複雑なバックグラウンドにおける特異的配列の検出のみならず、少数のまたは単一のヌクレオチドの差を有する配列間の識別を伴う。PCRによって対立遺伝子特異的変種を検出する1つの方法は、鋳型鎖とプライマーの3’末端との間にミスマッチが存在するときにTaqポリメラーゼがDNA鎖を合成することが難しいという事実に基づく。対立遺伝子特異的変種は、可能性がある対立遺伝子の1つのみと完全にマッチするプライマーを使用することによって検出することができ、他の対立遺伝子に対するミスマッチは、プライマーの伸長を防止するように作用して、それによってその配列の増幅を防止する。本明細書における方法は、会合試験、コピー数バリエーション、疾患マーカーの検出、および型決定のためのSNPの組等に応用可能である。
11.対立遺伝子頻度の決定
本明細書において記載される方法は、年齢、民族群、性別、または他のいくつかの基準の関数として、集団内でその頻度が変化する1つまたは複数の遺伝子マーカーを同定するために極めて重要である。例えば、ApoE遺伝子型の年齢依存的分布は、当技術分野で公知である(例えば、Schechterら、(1994年)Nature Genetics 6巻:29~32頁を参照されたい)。疾患に何らかのレベルで関連することが公知である配列バリエーションの頻度もまた、疾患状態の進行を検出またはモニターするために使用することができる。例えば、リポタンパク質リパーゼ遺伝子のN291S多型(N291S)は、それによってアミノ酸コドン291位のアスパラギンの代わりにセリンへの置換が起こり、それによって男性のアテローム性動脈硬化症、特に心筋梗塞のリスクの増加に関連する高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)レベルが低減される(Reymerら、(1995年)Nature Genetics 10巻:28~34頁を参照されたい)。加えて、対立遺伝子頻度の変化を決定することにより、これまで未知の配列バリエーション、ならびに最終的には疾患の開始および進行に関係する遺伝子または経路を同定することができる。
12.エピジェネティクス
本明細書において提供される方法は、配列に基づかない、参照核酸またはタンパク質と比較して標的核酸またはタンパク質におけるバリエーション、例えば核酸またはタンパク質の天然に存在する単量体単位である塩基またはアミノ酸がどのようなものかを試験するために使用することができる。例えば、メチル化パターンなどの配列非依存的特徴の差、修飾塩基もしくはアミノ酸の存在、または標的分子と参照分子の間のより高次構造の差を認識するために、本明細書において提供される方法を使用して、配列非依存的部位で切断される断片を生成することができる。エピジェネティクスは、遺伝子配列の差よりむしろ遺伝子発現の差に基づく情報の遺伝に関する研究である。エピジェネティック変化は、核酸配列の変化によって説明することができない遺伝子機能の有糸分裂および/もしくは減数分裂によって遺伝される変化、または高次核酸構造の変化を指す。エピジェネティックバリエーションまたは変化に供される特徴の例には、動物におけるDNAメチル化パターン、ヒストン修飾およびポリコーム-トライソラックス群(Pc-G/tx)タンパク質複合体が挙げられるがこれらに限定されるわけではない(例えば、Bird, A.、Genes Dev. 16巻:6~21頁(2002年)を参照されたい)。
エピジェネティック変化によって通常、遺伝性であるが必ずしも遺伝性ではない遺伝子発現の変化が起こるが、必ずしも起こるとは限らない。例えば、以下に詳しく考察するように、メチル化パターンの変化は、がんおよび他の疾患の発生および進行における早期事象である。多くのがんにおいて、特定の遺伝子が、異常なメチル化により不適切にスイッチが切られ、またはスイッチが入れられている。メチル化パターンが転写を抑制または活性化する能力は遺伝されうる。メチル化と同様に、Pc-G/trxタンパク質複合体は、遺伝性に転写を抑制することができる。Pc-G/trxマルチタンパク質アセンブリは、遺伝子が活性であるか不活性であるかによらず、それが遺伝子の胚性遺伝子発現状態を有効に凍結するゲノムの特異的領域を標的とし、発達の間、その状態を安定に伝播する。タンパク質のPc-G/trx群がゲノムを標的として結合する能力は、そのゲノムに含まれる遺伝子の発現レベルのみに影響を及ぼし、遺伝子産物の特性には影響を及ぼさない。本明細書において提供される方法は、エピジェネティック変化などの配列非依存的変化に基づいて、参照配列と比較した標的配列におけるバリエーションを同定する特異的切断試薬または特異的伸長反応と共に使用することができる。
13.メチル化パターン
本明細書において提供される方法は、標的配列におけるメチル化パターンの変化などの標的配列におけるエピジェネティック変化である配列バリエーションを検出するために使用することができる。細胞メチル化の分析は、新たに出現した研究課題である。メチル基のシトシンへの共有結合による付加は、CpGヌクレオチドに主に存在する(マイクロサテライト)。プロモーター領域に存在しないCpGアイランドの機能は、なおも研究されなければならないが、プロモーター領域におけるCpGアイランドは、そのメチル化状態が関連遺伝子の転写および発現を調節することから、特に重要である。プロモーター領域のメチル化によって、遺伝子発現のサイレンシングが起こる。このサイレンシングは永続的であり、有糸分裂のプロセスを通して持続する。遺伝子発現におけるその重要な役割により、DNAメチル化は、発達プロセス、インプリンティング、およびX-染色体不活化ならびに腫瘍の発生、加齢、および同様に寄生DNAの抑制に影響を及ぼす。メチル化は、肺がん、乳がん、および結腸がんなどの多くの広範な腫瘍、ならびに白血病の発がんに関係すると考えられている。同様に、メチル化とタンパク質機能障害(Q-T延長症候群)または代謝疾患(一過性の新生児糖尿病、2型糖尿病)との間には関連がある。
ゲノムDNAの亜硫酸水素塩処置を利用して、DNA内のメチル化シトシン残基の位置を分析することができる。核酸を亜硫酸水素塩によって処置すると、シトシン残基は脱アミノ化されてウラシル残基となるが、メチル化シトシンは修飾されないままである。このため、亜硫酸水素塩によって処置されていない標的核酸の配列を、本明細書において提供される方法において亜硫酸水素塩によって処置した核酸の配列と比較することによって、核酸におけるメチル化の程度ならびにシトシンがメチル化される位置を推定することができる。
制限エンドヌクレアーゼ反応を介したメチル化分析は、HpaIIおよびMSPIなどのメチル化特異的認識部位を有する制限酵素を使用することによって可能である。基本原理は、ある特定の酵素が、認識配列中のメチル化シトシンによって遮断されることである。この識別がなされれば、得られた断片のその後の分析を、本明細書において提供される方法を使用して行うことができる。
これらの方法は、combined bisulfite restriction analysis(COBRA)において共に使用することができる。亜硫酸水素塩による処置によって、増幅されたPCR産物におけるBstUI認識部位の喪失が引き起こされ、無処置試料と比較して分析上に新規の検出可能な断片が出現する。本明細書において提供される方法は、標的核酸配列におけるメチル化パターンに対して迅速で信頼可能な情報を提供するためにメチル化部位の特異的切断と共に使用することができる。
14.再シークエンシング
様々な生物から利用可能なゲノム配列情報の量は劇的に増えつつあり、配列情報を、機能、表現型、または種類に相関させるために大規模な比較配列分析を可能にする技術の必要性が高まっている。そのような技術の比較配列分析への応用は、病原体のSNP発見および配列特異的同定を含めて、広範でありうる。したがって、再シークエンシングおよびハイスループット変異シークエンシング技術は、疾患の基礎となる変異の同定ならびに異なる薬物応答の基礎となる遺伝的多様性にとって重要である。
いくつかのアプローチが、これらの必要性を満たすために開発されている。ハイスループットDNAシークエンシングのための現在の技術は、電気泳動およびレーザー誘導蛍光検出を使用するDNAシークエンサーを含む。電気泳動に基づくシークエンシング法は、ヘテロ接合体の検出に固有の制限を有し、GCコンプレッションによって損なわれる。このため、電気泳動を使用することなくデジタルデータを生じるDNAシークエンシングプラットフォームは、これらの問題を克服することができる。マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)は、核酸断片を測定してデジタルデータを出力する。本明細書において提供される方法は、参照配列と比較した、配列同一性および配列バリエーションの検出においてハイスループット、高速、および高精度を可能にする。このアプローチによって、乳がんの発生に関連するBRCA1およびBRCA2の創始者変異に対するスクリーニングなどの、正確な変異検出のためにMALDI-TOF MSシークエンシングを日常的に使用することが可能となる。
15.疾患発生のモニタリング
地球規模での輸送および旅行の時代に、病原性の風土病の発生は、その世界中の流行を防止して制御を可能にするために厳密なモニタリングを必要とする。ハイスループット技術によるDNAに基づく型決定は、発生の状況で必要とされる比較的短時間で迅速な試料処理量を可能にする(例えば、病院の環境でのモニタリング、早期警告システム)。モニタリングは、使用される微生物マーカー領域に依存するが、属、種、株、またはサブタイプ特異的レベルでのモニタリングを促進しうる。そのようなアプローチは、生体防御、臨床および薬学的モニタリング、ならびにメタジェノミクス応用(例えば、腸菌叢の分析)において有用でありうる。処置の進行または失敗のそのようなモニタリングは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,255,992号、米国特許第7,217,510号、米国特許第7,226,739号、および米国特許第7,108,974号において記載されている。
16.ワクチンの品質管理および生産クローンの品質管理
本明細書において提供される方法は、ワクチンでありうるか、または例えばインスリンもしくは他の任意の生産クローンもしくは生物学的もしくは医学的産物でありうる組み換え型生産クローン(ワクチンに限定されない)が何かを管理するために使用することができる。
17.生産管理および品質に対する薬理学での微生物モニタリング
本明細書において提供される方法は、例えば、そのような産物におけるある特定の微生物標的核酸の存在または非存在を検出することによって、薬理学的産物の品質を管理するために使用することができる。
キット
一部の実施形態では、本明細書において記載される方法を実施するためのキットが提供される。キットはしばしば、本明細書において記載される1つまたは複数の成分を含有する1つまたは複数の容器を含む。キットは、任意の数の個別の容器、パケット、チューブ、バイアル、マルチウェルプレート等において1つもしくは複数の成分を含み、または成分はそのような容器中に様々な組合せで混合されうる。例えば、以下の成分の1つまたは複数をキットに含めてもよい:(i)その1つまたは複数が検出標識を含みうる、1つまたは複数のヌクレオチド(例えば、停止ヌクレオチドおよび/または非停止ヌクレオチド);(ii)捕捉剤を含む1つまたは複数のヌクレオチド;(iii)その1つまたは複数が検出標識(例えば、増幅プライマー、1つまたは複数の伸長プライマー(UEP)、タグを含むオリゴヌクレオチド、捕捉剤を含むオリゴヌクレオチド)を含みうる、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド;(iv)1つまたは複数の酵素(例えば、ポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼ、制限酵素等);(v)制御成分(例えば、制御ゲノムDNA、プライマー、合成鋳型、標的核酸等);(vi)1つまたは複数の緩衝剤;ならびに(vii)印刷物(例えば、指示、表示等)。キットの実施形態では、提供される指示に従って溶解時に、大量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドの濃度(C[WT])が、少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドの濃度(C[Mut])より低くなるように、停止ヌクレオチドの相対量が溶液中に存在するか、または相対量で存在する。実施形態では、大量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドの濃度C[WT]は、少量核酸種に対して特異的な鎖停止ヌクレオチドの濃度(C[Mut])の20%未満であり、C[WT]は一般的に、C[Mut]の約0.5%~約20%未満の間、C[Mut]の約0.5%~約15%未満、C[Mut]の約1%~約15%、C[Mut]の約1%~約10%、C[Mut]の約2%~約10%、またはC[Mut]の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%である。ある特定の実施形態では、C[WT]は、C[Mut]の約0.1%~約10%の間、C[Mut]の約0.01%~約10%の間、またはC[Mut]の約0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、もしくは10%である。
キットは時に、プロセスと共に利用され、1つまたは複数のプロセスを実施するための説明書および/または1つまたは複数の組成物の説明を含みうる。キットは、本明細書において記載されるプロセスを実行するために利用されうる。説明書および/または説明は、有形の形態(例えば、紙等)または電子形態(例えば、タングル媒体(例えば、コンパクトディスク)のコンピューター読み取り可能なファイル等)でありえて、キットのインサートに含まれうる。キットはまた、そのような説明書または説明を提供するインターネットロケーションに対する書面での説明を含みうる。
以下に示す実施例は、本技術について例示するものであり、これを限定するものではない。
(実施例1)
PCR増幅
本明細書において提供される方法についての実施形態では、1つまたは複数の大量核酸種および1つまたは複数の少量核酸種の混合物を含有する試料または試料の組合せに対し、適切な増幅プライマーを使用してPCR増幅を行う。例示的な増幅条件が、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0237428A1号、米国特許第8,349,566号、および米国特許第8,003,317号、および2006年11月10日出版のOethら、SEQUENOM(登録商標)Application Note、Document No.8876-006、R04に示されている。例えば、以下の通り増幅条件を設定することができる:
Figure 0007325467000001
表1の成分を混合し、穏やかにボルテックスする。PCRサイクリングの例示的な条件は以下の通りである:94℃で15分間;94℃で20秒間/56℃で30秒間/72℃で1分間を45サイクル;72℃で3分間;4℃に冷却。
(実施例2)
エビアルカリホスファターゼ(SAP)での処理
増幅後、組み込まれていないdNTPをSAPでの処理により脱リン酸化する。「SAPミックス」は、表2に示す試薬の組合せを使用して調製する:
Figure 0007325467000002
表2に従って調製したSAPミックス(総体積:2μl)を、実施例1のPCR反応液5μlに添加する。この方式で処理したPCR反応液各5μlを穏やかに混合するかボルテックスする。処理した試料を以下の通り標準的なサーモサイクラーでインキュベートする:37℃で40分間;85℃で5分間;4℃に冷却。
(実施例3)
UEPプライマー伸長
実施例2の、SAP処理した試料のそれぞれに、伸長カクテルミックス2μlを添加する。伸長カクテルミックスの例示的なものを以下の表3に示す通り調製する:
Figure 0007325467000003
表1の成分を混合し、穏やかにボルテックスする。伸長サイクリングの例示的な条件は以下の通りとすることができる:標準的なサーモサイクラーでの2ステップの200ショートサイクルプログラム、94℃で30秒間;94℃で5秒間/(52℃で5秒間/80℃で5秒間-これを5回繰り返し、合計200のショートサイクルとする)を40サイクル;72℃で3分間;4℃に冷却。200ショートサイクルプログラムでは、40サイクルのループ中に5サイクルのループがある、2つのサイクリングループを使用し、それにより200のサイクルプログラムとなる。
(実施例4)
MALDI-TOF分析
CLEAN Resin(Sequenom)6mgを添加することにより、実施例3に従って形成された伸長産物の脱塩を行う。切断反応液15nlを、ナノディスペンサーを使用して、マトリックスが予めローディングされたシリコンチップ(SpectroCHIP(登録商標)、SEQUENOM(登録商標))に、ロボット制御により分配する。MassARRAY Compact Analyser(MALDI-TOF質量分析計)を使用して質量分析スペクトルを得る。384ウェルSPECTROCHIP(登録商標)-(SEQUENOM(登録商標);San Diego、CA)に試料を移す。試料の自動測定が可能なBRUKER/SEQUENOM(登録商標)質量分析計に、SPECTROCHIP(登録商標)マイクロチップ全体を移す。陽イオンが分析され、約100のシングルショットスペクトルが累積される(例えば、5ラスター位置X20ショット/位置)。試料は全て、遅延イオン引き出しおよび全加速電圧20kVを使用して直線飛行時間モードで分析する。説明用にSEQUENOM(登録商標)(San Diego、CA)から入手可能である、MASSARRAY(登録商標)Nanodispenser User's Guideの「Dispensing Primer Mass Extension Reaction Products onto SPECTROCHIP(登録商標)」章を参照のこと。これもSEQUENOM(登録商標)-(San Diego、CA)から入手可能である、MASSARRAY(登録商標)Typer User's Guideの「SPECTROACQUIRE」の章に記載されているように、MASSARRAY(登録商標)Typerシステム(Typerバージョン3.0)を使用して、SPECTROCHIP(登録商標)からスペクトルを得る。
(実施例5)
偏ったddNTP濃度を使用した、例示的なプロトコールおよび結果
論じられるように、本明細書において提供される方法は、少量対立遺伝子などの、試料中の少量核酸種についての改善された検出感度を、大量対立遺伝子などの大量核酸種と比較した少量核酸種の頻度、量またはコピー数を定量する能力と組み合わせるものである。これは、伸長反応における、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬(例えばddNTP)の濃度範囲を、少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度未満にして、それにより少量核酸種由来のシグナルの検出限界を増加させるように調整し、ただし、大量核酸種シグナルがバックグラウンドノイズのレベルまで低減してしまうことにより大量核酸種シグナルが陽性対照(この方法の完全性を保証するため、すなわち、少量核酸種に対応するシグナルの存在または非存在について検出したとき、観察された結果が正しいことを保証するため)として、または少量核酸種の相対量(例えば頻度、コピー数)を定量するための基準として使用されることが防げられるほど低くてしないように調整することで遂行される。例示的なプロトコールは以下の通りである:
アッセイデザイン
各アッセイは、3つのプライマー、2つのPCRプライマーおよび1つの単一塩基伸長プライマーからなる。アンプリコン(核酸の長さ)は変化してよいが、通常は、循環無細胞DNA、およびFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)から単離された分解DNAなどの試料における増幅を確実に成功させるため、長さ150bp未満とすることが推奨されうる。組み込まれていないPCRプライマーを分析質量窓から除くため、または次世代シークエンシングを使用した検査を可能にするため、質量タグをプライマーの5’末端に付加する。伸長プローブデザインもいくつかの必要条件を有する。まず、伸長産物の質量は、アッセイ間の競合(例えば、シグナルの重複)がないように、質量差によって十分に間隔がなければならない。次に、マルチプレックス化は、各反応容器が、同じ、組み込まれる特異的な鎖停止ヌクレオチドを有する核酸種に限定されるようにデザインされた反応に基づく。例えば「A」マルチプレックス反応では、反応において、核酸種全てに対する鎖停止ヌクレオチドがddAであり、この停止ヌクレオチドによるアッセイは全て組み合わせることができる。リバースデザインを可能にすること、すなわち、反対鎖の配列を探索することにより、デザインにおけるさらなる自由が得られ、この場合、反対鎖の「A」を標的とするプローブとして、「T」を調べることができる。
PCR増幅
1mM MgClを補充した1x PCR緩衝剤、125μMのdNTP、0.125Uのウラシル-DNAグリコシラーゼ(New England Biolabs(登録商標)、Ipswich、MA、USA)、4UのTaqポリメラーゼ、および100nMの各PCRプライマーからなるマスターミックス10μLを補充したDNA鋳型10μL、総体積20μL中でPCRを実施した。まず反応液を30℃で10分間、その後94℃で2分間インキュベートした。94℃で30秒間、56℃で30秒間、および72℃で1分間のPCRを45サイクル実施した。72℃で5分間の最終インキュベーションでPCRを完了した。増幅産物5μLを、0.5Uエビアルカリホスファターゼ(SAP)の0.24x SAP緩衝剤溶液2μlの添加により総体積7μLで、37℃で40分間コンディショニングし、その後、85℃で10分間SAP酵素を変性させた。使用した試薬は全て、別途明記されない限り、Agena Bioscience,Inc.から得た。
単一塩基伸長
0.2x伸長緩衝剤、200μMの少量対立遺伝子変種ヌクレオチドアンプリコンおよび0.25μM~20μMの範囲の様々な濃度の大量対立遺伝子変種ヌクレオチドアンプリコン、各種濃度の伸長プライマー、および0.14UのiPLEX(登録商標)Pro酵素からなるマスターミックス2μLを添加することにより、単一塩基伸長を実施した。総体積9μLで単一塩基伸長反応を実施した。反応パラメータは、94℃で30秒間の最初のインキュベーション、その後の、52℃で5秒間、次いで80℃で5秒間のネステッドサイクル5回を伴う、94℃で5秒間の40サイクルを含んでいた。72℃で3分間のインキュベーションで単一塩基伸長を完了した。
捕捉およびデータ取得
ナノディスペンシングの前に、脱塩のためアニオン交換樹脂スラリー5μL(3mg)で産物をコンディショニングした。最後に、RS1000ナノディスペンサーを使用して、Spectrochip(登録商標)II固体支持体に分析物を分配した。MassARRAY(登録商標)4装置を使用したMALDI-TOF質量分析により、データを得た。
本明細書において提供される方法による例示的な分析結果を図1~3に例示する。図1に示すように、少量対立遺伝子が大量対立遺伝子と比較して5%頻度で存在する、少量核酸種(少量対立遺伝子)と大量核酸種(大量対立遺伝子)との混合物を含有する試料を、iPLEX(商標)法に従う、または本明細書において提供される方法に従う増幅および伸長反応に供する。一番左のパネルは、等モル濃度の鎖停止試薬を使用するiPLEX(商標)法を使用する分析結果を示す。パネルから示されるように、左のシグナルピークは、大量対立遺伝子からの伸長産物に対応し、そのため優勢であるが、右側の少量ピークは、バックグラウンドノイズレベルまで低減して、そのため検出不能である。中央のパネルは、大量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が少量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度の20%(5分の1)であるときに得られた結果を示す。中央のパネルに見られるように、少量対立遺伝子伸長産物(右のピーク)からの検出シグナルの強度は、この場合、大量対立遺伝子伸長産物(左のピーク)からのシグナルと比較してより高くより明白である。しかし、少量対立遺伝子シグナルはなおも小さく、バックグラウンドノイズレベルに近い。一番右のパネルは、大量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、少量対立遺伝子に対して特異的な鎖停止試薬の濃度の約6~7%(15分の1)であるときに得られた結果を示す。右のパネルに見られるように、少量対立遺伝子伸長産物からのシグナル(右のピーク)は、この場合、大量対立遺伝子からのシグナル(左のピーク)と同等である。このように、図1は、鎖停止試薬の濃度を少量核酸種にとって有利となるように偏らせることによって、iPLEX(商標)などの方法では有効に検出することができない10%未満の頻度の少量核酸種を、本明細書において提供される方法によって検出することができることを実証する。
さらに、図3に示すように、本明細書において提供される方法は、試料中の大量核酸種と比較して2%未満、1.25%もの低い頻度で存在する少量核酸種の検出にとって有用でありうる。図3は、試料を、増幅後に3つの条件、(A)大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(野生型対立遺伝子;C[WT]ddNTP)が、少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤ddNTPの濃度(バリアント対立遺伝子;C[Mut]ddNTP)に等しい;(B)C[WT]ddNTPが、C[Mut]ddNTPの濃度の約20%未満(すなわち、C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率が0.2)である;および(C)C[WT]ddNTPが、C[Mut]ddNTPの濃度の約5%未満である(すなわち、C[WT]ddNTP:C[Mut]の比率が0.05)である条件下での伸長に供するときに得られた結果の比較を示す。図3に見られるように、C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率が1であるとき、すなわち2つの鎖停止剤濃度が等しいとき(例えば、iPLEX(商標)法で使用されるように)、5%、2.5%、および1.25%のバリアント対立遺伝子頻度は全て、検出限界(LOD)未満であった。C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率を0.2に減少させると、5%のバリアント対立遺伝子頻度は検出することができるが、2.5%および1.25%のバリアント対立遺伝子頻度は、なおも検出限界未満であった。C[WT]ddNTP:C[Mut]ddNTPの比率を0.05にさらに減少させると、3つ全てのバリアント対立遺伝子頻度(5%、2.5%、および1.25%)が検出可能であった。
(実施例6)
iPLEX+可能性研究
MassARRAYシステムで実施されるiPLEX化学反応により、単一ヌクレオチド多型(SNP)、体細胞変異およびコピー数バリエーション(CNV)の正確かつ感度のよい検出がもたらされる。理論により限定されるものではないが、体細胞変異による少量変種の検出におけるiPLEX化学反応の感度は10%およびそれ超である。少量対立遺伝子頻度閾値10%は、MassARRAYプラットフォーム特性に由来する、iPLEX法の実用的限界である。MassARRAYは、最大ダイナミックレンジ50X(スペクトルの最小~最大ピーク)を有する80cmリニアTOF分析装置を特徴とするMALDI-TOF質量分析計である。このダイナミックレンジ50Xは、イオンシグナル含量およびノイズの量によりさらに低減する。例えば、保守的なダイナミックレンジ閾値10X(少量変種頻度10%)が、iPLEX体細胞変異への適用に採用されている。iPLEX+化学反応は、既存のiPLEX化学反応の感度を、少量変種10%未満のレベルまで増加させようとするものである。
体細胞変異への適用では、優勢な野生型(WT)ピークに対する少量バリアントピーク強度の比率、または少量バリアントピークのパーセンテージのいずれかとして、変異頻度が決定される。いずれの場合でも、WTピーク強度は、それに対してバリアントピークが測定されるバックグラウンドとして機能する。例えば、MassARRAY装置における理論上のダイナミックレンジ50X、および実用上のダイナミックレンジ10Xを前提とすると、仮想上の少量対立遺伝子5%は、検出限界(LOD)閾値未満のレベルで検出されることになり、したがって、高信頼性の変異として報告されない。
通常のiPLEXと比較してWTイオンピーク量を枯渇させることによる、通常のiPLEXのダイナミックレンジ限界の変化について調べた。この、改変されたバージョンのiPLEXをiPLEX+と呼ぶ。
iPLEX反応中、200回の伸長反応サイクルにわたって、鋳型特異的な単一の停止ヌクレオチド(アシクロヌクレオチド)を組み込むことにより、未伸長のプライマーヌクレオチド(UEP)が産物に変換される。伸長反応は、産物量(観察されたピーク)が、WTまたは少量ピークのいずれかのDNA鋳型濃度と、停止ヌクレオチド量との積に比例する二分子反応である:
Figure 0007325467000004
より濃度の高いWT DNA鋳型、ならびに通常のiPLEXにおける等しい濃度のWTおよび少量停止剤を前提とすると、検出されたピークの相対的強度はDNA鋳型量に比例することになる。WTピーク量を減少させ、平衡を少量産物へ「移動」させる1つの方法は、少量停止ヌクレオチドと比較してWT停止ヌクレオチドの量を低減させることである。iPLEX+は、通常のiPLEXの、WTを枯渇させたバージョンであり、これまでは等モルであった4種の停止ヌクレオチド混合物を、ここではWT対立遺伝子において枯渇させる(例えば、全体の1%未満のレベルまで枯渇させる)。WT特異的な停止剤の量を低減させることにより、伸長反応の平衡が少量産物の形成に移動する。少量ピークの濃縮は、反応に利用可能なWT停止剤の量に従って変化する。
可能性研究を行って、iPLEX+と呼ばれる、WTを枯渇させたiPLEX法(WTを枯渇させた停止ヌクレオチド混合物)により、10%未満のレベルの少量対立遺伝子の検出が可能であるかどうかを決定した。ヒト-チンパンジーDNAの希釈系列として0%、1%、2.5%および5%が作り出されたモデルシステムを使用する、可能性のある全てのWT-バリアントシナリオ(トランジション)をカバーする包括的なアッセイパネルを使用して、iPLEX+の性能を調べた。直交技術(Ion Torrent PGM)により、モデルシステムを検証した。300超のアッセイのiPLEX+パネルを、希釈系列全体の複数の技術的反復に対して調べる、包括的な研究を3ラウンド行った。各実現可能性ラウンドの後、パネル全体の性能を改善しようといくつかの伸長反応パラメータを評価した。さらなる目標には、iPLEX+法の感度を確立すること、iPLEX+が定量的であるかどうかを決定すること、およびこの生化学反応の最初のパラメータ(停止ヌクレオチド混合物、停止ヌクレオチド量および伸長反応パラメータ)を確立することが含まれる。iPLEX+法により、バリアント5%では検出感度100%近く、バリアント2.5%では感度90%超、およびバリアント1%では平均感度35~61%(方法の条件次第であり、50%が平均感度である)が可能であることが、この研究により実証された。
モデルシステム
低頻度変異を模倣し、かつ可能性のある全てのWT-バリアント対立遺伝子の組合せを調べるために使用したモデルシステムは、ヒトおよびチンパンジー(Pan Troglodytes)ゲノムDNAの混合物であった。ヒトhg19参照アセンブリとP.troglodytes 2013アセンブリとの間で全ゲノム配列アラインメントを行って、ヒトとチンパンジーとの間で単一の安定なヌクレオチドミスマッチを有する短いオーソロガス配列を選択した。これらの領域がiPLEX+アッセイ候補となった。オーソロガス領域に適用される別の一連の基準は、エクソン5つまたはそれ超のORF内のヒトエクソンに位置しなければならないこと、および同じ染色体上の領域間の距離が5,000b.p超でなければならないことである。資格を満たしたアッセイ候補の最終的な数は5,822であった。
アッセイデザイン
Agena Bioscience Assay Design Suite 2.0を使用して、ヒト-チンパンジーモデルからの候補を使用するiPLEX+アッセイをデザインした。最大マルチプレックスレベル15の「体細胞変異」設定を使用して、アッセイデザインを実施した。iPLEX+は、一般的なiPLEXアッセイデザインの一部でない、マルチプレックス化による制約を示す。WTを枯渇組成の停止ミックスにより、4種のヌクレオチドのうち1種が、「チャネル」における全てのアッセイについてのWTであるシナリオが作り出される。全てがWT大量対立遺伝子をAとして有するアッセイのマルチプレックスはA-チャネルまたはA-トランジションと呼ばれる。Aトランジションは、全ての大量WT産物を伸長させる枯渇させたAヌクレオチド、ならびに少量産物を伸長させるC、GおよびTヌクレオチドを有する。相補的ヌクレオチド(アッセイデザイナーの一般的な特性)によるリバースアッセイデザインを排除するため、デザインの前に指定されるアッセイ方向性を有するインプット配列を用いてアッセイデザインを行った。アッセイデザインを4種のチャネル(WT-A、C、G、T)について別々に行い、マルチプレックスを最終デザインに組み合わせた。最終デザインは、可能性のある12種のWT-少量トランジション、WT停止剤ごとに3種のトランジション(例えば、A-チャネルは3種のWT-少量トランジションa/C、a/G、a/Tを有する)の全てを特徴としていた。組み合わされたアッセイデザインは、24マルチプレックスにおける334のアッセイを特徴とし、少なくとも20アッセイで表される、可能性のあるトランジション全てを有する。
生物試料
プールされたヒトゲノムHapMap01(Coriell)DNA試料、および単一の個体、Max由来のチンパンジーDNA(Coriell)を使用して、生物試料を作り出した。全てのヒト-チンパンジー混合物において、ヒトDNAはWT対立遺伝子をもたらす大量成分であり、チンパンジーDNAは少量成分として使用した。試料(純粋であれ混合物であれ)あたりのDNA総量を、試料あたりのDNA10ngに相当する、約3,300ゲノムDNAコピーに設定した。
iPLEXによるアッセイ検査
100%ヒト試料、100%チンパンジー試料および50%ヒト-チンパンジー混合物を使用する通常のiPLEX化学反応を使用して、334のアッセイを検査した。通常のiPLEXによる最初の検査を行って、性能が不十分なアッセイを決定した。性能が不十分なアッセイとは、伸長率が低い(通常80%未満)アッセイ、およびアッセイの偏りで現れる不十分な鋳型特異性(非鋳型対立遺伝子の非特異的な伸長)を有するアッセイである。UEPを含む全てのアッセイピークのうちのアッセイ産物ピークの割合として、アッセイ伸長率を算出する。
Figure 0007325467000005
iPLEXによる検査を行って、技術的または生物学的理由のいずれかにより失敗したアッセイを決定した。これらの理由には、不十分なデザイン(不十分なプライマー特異性、不十分なアニーリング特性、不十分なマルチプレックス化など)、生物学(PCRプライマーまたは伸長プライマーのいずれかの位置での、アンプリコン内の予期しないSNPまたは配列多様性、アッセイプライマーの非特異的なアニーリング)、または技術的理由(アッセイが塩付加物の位置に位置する、質が不十分なアッセイプライマー)が含まれている。デザインされた334のアッセイのうち、15のアッセイが80%未満の伸長率を有し、したがって、不十分であるとしてこれらに目印を付けた。伸長率に加えて、通常のiPLEXデータを使用して、偏ったアッセイまたは非特異的な伸長を有したアッセイを決定した。アッセイはヒトおよびチンパンジーDNA両方の安定な領域を調べるため、100%ヒトおよび100%チンパンジー試料はホモ接合となることが予期される。しかし、41のアッセイが、ヘテロ接合対立遺伝子の位置で、10%またはそれ超の少量対立遺伝子頻度を有していた。例えば、100%チンパンジー試料においてヘテロ接合となるアッセイが、G対立遺伝子(ヒト)の非鋳型伸長を示し、ホモ接合T対立遺伝子のみが予期されるところでヘテロ接合コールを生じた。したがって、合計49の独自のアッセイが、不十分な伸長率または非特異的な伸長のいずれかを有することが判明した。デザイン-パネル(design-to-panel)成功率は、ADS2.0受容基準である、デザインされたアッセイの成功率80%超に入る85%であった。49の不十分なアッセイのうち、24の失敗アッセイ(0.5未満の非常に不十分な伸長率および非鋳型対立遺伝子伸長)を、さらなる分析から除外した。
iPLEX+第1のラウンド
iPLEX+実験の第1のラウンドは以下の研究からなっていた。ヒト/チンパンジーDNAを、0%、1%、2.5%および5%チンパンジー寄与率に相当するように希釈系列にプールした。0%チンパンジー試料は100%ヒトWT対照試料である。WT停止ヌクレオチドの割合を、4種の停止剤ミックス(a/CGT、c/AGT、g/CATおよびt/ACG)全てで1%に設定した。各希釈系列を16の技術的反復で調べた。方法の性能を決定する際、以下の基準を評価した:
・ 0%チンパンジー試料におけるアッセイ伸長、
・ 0%チンパンジー試料におけるチンパンジー頻度、
・ アッセイ感度、
・ トランジション性能および感度、
・ 全体の感度。
最初の2つの基準を質管理尺度として使用し、実験中に失敗したアッセイを除外した。個々のアッセイの感度を評価するため、個々のアッセイを0%チンパンジー(100%ヒトWT DNA試料)において伸長させ、最低限の検出可能なWTピーク(SNR 5またはそれ超)を生じさせなければならない。0%チンパンジーでは実行可能なWTシグナルがないため、1%、2.5%および5%チンパンジーでのアッセイ性能は、ベースラインとの比較がないことから、評価することができない。2番目の基準-WT試料において観察されたチンパンジー少量対立遺伝子を使用して、iPLEX+法ではなくアッセイデザインのため失敗する非特異的なアッセイを除外した。
iPLEX+の、WTを枯渇させる原則を前提とすると、5%チンパンジーおよび通常のiPLEXでの伸長率よりも、100%WTでのiPLEX+アッセイではより小さい伸長率が観察されることが予期された。通常のiPLEXの平均アッセイ伸長率は0.95であったが、iPLEX+0%チンパンジー試料の伸長率は0.40、iPLEX+5%チンパンジー試料では0.78であった。WTを枯渇させたヌクレオチド停止剤ミックスの配合により、平衡が少量対立遺伝子産物に向かって移動し、したがって少量産物が存在しない100%ヒトWT試料は、はるかにより小さいアッセイ伸長率を示した。可能性研究の課題の1つは、100%WT試料におけるアッセイ伸長を確実にするWTヌクレオチド濃度を確立することであった。第1のラウンドにおいて方法の性能を評価した後、96のアッセイが100%ヒトWT試料において伸長せず、36のアッセイがWT試料において非特異的なチンパンジー伸長を有した。したがって、57%のアッセイのみが機能した。
不十分なアッセイを除外した後、アッセイ性能およびパネル感度を推定した。アッセイ性能を推定するために使用した主な基準は、1%、2.5%および5%チンパンジー希釈液から実験的に観察されたチンパンジー頻度が、0%チンパンジーWT試料と区別されうるかどうかであった。チンパンジー頻度は、2つのピーク、ヒト対立遺伝子ピークおよびチンパンジー対立遺伝子ピークの間の対立遺伝子比率から導いた。対立遺伝子ピーク比率は、以下の通り数値による遺伝子型として表した:
Figure 0007325467000006
式中、強度低質量は低質量対立遺伝子のピーク強度であり、強度高質量は高質量対立遺伝子のピーク強度である。数値による遺伝子型は、チンパンジー対立遺伝子が低質量である場合のチンパンジー少量対立遺伝子頻度を表す。チンパンジー対立遺伝子が高質量である場合は、1-数値による遺伝子型としてチンパンジー頻度を算出した。
16の技術的反復でのアッセイごとの性能を評価した。観察されたチンパンジー頻度をy軸、WT試料が0%チンパンジーである希釈系列をx軸とする、アッセイごとの格子プロットとして、データ(観察されたチンパンジー頻度)をプロットした。ある程度の統計的有意性をもって、試料が0%チンパンジーと区別されうるかどうかに従って、データを評価した。使用した統計値は、多重比較のためのボンフェローニ補正によるt検定であり、臨界アルファ値を0.95に設定した。アッセイchr2_A~C_104は、2.5%および5%チンパンジー試料を0%チンパンジー試料と有意に区別することができた。以下の2つのアッセイ、chr20_A~C_118およびchr4_A~C_146は、5%を0%チンパンジーと識別することができたのみであり、chr1_A~G_115アッセイは全ての希釈液を0%チンパンジーと区別することができた。各アッセイからの有意性結果を使用することにより、iPLEX+の、トランジションごとの感度および全体の感度を算出した。図4は、iPLEX+の、トランジションごとの感度を示す。各希釈レベル(0%、1%、2.5%および5%チンパンジー)での感度を、その希釈レベルにおいて(0%チンパンジーと)統計的に有意差があるアッセイの平均数として算出した。例えば、図4の最上段左角は、A~Cトランジションに相当するアッセイに基づくと、1%チンパンジーでの感度が0、2.5%チンパンジーでの感度が0.33、5%チンパンジーでの感度が1.0であることを示している。このことは、このトランジションではあらゆるアッセイで、1%を0と識別することはできず、2.5%希釈液は33%の確率で識別可能であり、5%希釈液は100%の確率で識別可能であることを意味する。各希釈系列におけるパネル全体の感度は、1%では0.61、2.5%では0.88、5%チンパンジー頻度試料では1.0であった。
iPLEX+感度は、アッセイおよびトランジションによって異なっていた。iPLEX+の定量的側面に影響を及ぼす、有意なアッセイ特異的およびトランジション特異的バイアスが観察された。図5は、ヒト中チンパンジーDNA 5%希釈液を使用した、様々なトランジションでのアッセイにおいて観察されたチンパンジー頻度を示す。
可能性研究のラウンド1の間、iPLEX+のWTヌクレオチドを枯渇させる手法を使用して、WT対立遺伝子シグナルをうまく低減させ、アッセイ感度を10%未満のレベルまで増加させることができることが示された。データによれば、5%バリアントで100%という優れた感度、2.5%バリアントで88%、および1%バリアントで61%であることから、iPLEX+を使用して10%未満の少量バリアントを検出することができる。ラウンド1の時点でのこの方法の欠点のいくつかには、WT試料における不十分なアッセイ伸長、およびアッセイ特異的なヌクレオチドの組込みが含まれる。小さいアッセイ伸長、小さい産物強度を克服するため、かつアッセイ特異的な組込みバイアスのいくつかを軽減するため、ヌクレオチド停止ミックス(ラウンド1において、WTヌクレオチドについては1%、バリアント対立遺伝子については等モルに設定)を各トランジションについて最適化する、一連の最適化を実施した。
ヌクレオチド停止剤の最適化
各アッセイについて得られるデータ点16個(反復14個およびNTC 2個)を生じる、5%チンパンジー希釈液の技術的反復を使用して、ヌクレオチド停止剤の最適化を行った。以下の停止ミックスを評価した:2%、4%、8%および16%WTヌクレオチド。ヌクレオチド停止剤最適化の目標は、各トランジションにおけるWTヌクレオチド停止剤の最適な割合を決定することであった。最適化の基準は、WTピークに対する5%チンパンジー少量対立遺伝子ピークの相対的なピーク高さであった。最適化の目標は、WTおよび5%チンパンジーピークで等しいピーク高さを生じる停止剤混合物を作り出すことであった。
様々な濃度のWTヌクレオチドにより、チンパンジー少量産物による様々な応答が生じた。WT停止剤量を1%から16%に増加させると、全てのトランジションにおいて、観察される少量対立遺伝子の割合が減少する。WTヌクレオチドの割合を8%から16%に増加させると、5%チンパンジー少量対立遺伝子由来のシグナルが弱まる結果となり、それによりiPLEX+が通常のiPLEXと同様に振る舞う。これまでのiPLEX+実験と同様に、各WTパーセントにおいてデータ点が全体的に広がっていることにより、トランジション特異的な対立遺伝子の組込みが示された。しかし、0.5チンパンジー対立遺伝子頻度として5%チンパンジー少量対立遺伝子を検出するのに、平均すると2%のWTヌクレオチド量が最適量である。
0.5チンパンジー対立遺伝子頻度を得るように、各トランジションにおける、調整されたWTヌクレオチドパーセンテージ(そのトランジションにおける平均に基づく)を算出した。これらのデータを表4に提示する。調節されたWTヌクレオチドパーセンテージ(最下行)を選択して、iPLEX+実現可能性の次のラウンドに使用した。
Figure 0007325467000007
iPLEX+第2のラウンド
iPLEX+可能性研究の第2のラウンドは、停止ミックスを除いて、レイアウトおよび範囲においては第1のラウンドと同一であった。ラウンド1は共通のヌクレオチド混合物中の1%WTヌクレオチド停止剤を使用して実施したが、ラウンド2はトランジション特異的なWTヌクレオチド量(表4)を使用して行った。iPLEX+実現可能性のラウンド2は以下の研究からなっていた。ヒト/チンパンジーDNAを、0%、1%、2.5%および5%チンパンジー寄与率に相当するように希釈系列にプールした。各希釈系列を、16の技術的反復で調べた。ラウンド1の場合と同様に、方法の性能を決定する際、以下の基準を評価した:
・ 0%チンパンジー試料におけるアッセイ伸長、
・ 0%チンパンジー試料におけるチンパンジー頻度、
・ アッセイ感度、
・ トランジション性能および感度、
・ 全体の感度。
ラウンド1と同様に、ラウンド2において性能が不十分なアッセイを同定した。44のアッセイ(ラウンド1の96と比較)が、100%WT試料において十分なシグナルを生じなかった。これはラウンド1と比較して2.2倍の改善であり、完全に、ラウンド2におけるWTヌクレオチド濃度の増加によるものである。失敗したアッセイに加えて、33のアッセイが100%WT試料においてチンパンジー対立遺伝子を伸長した(ラウンド1の36と比較)。ラウンド1での136アッセイ(パネルの43%)と比較して、ラウンド2では合計77のアッセイ(パネルの25%)が不十分であった。これらのアッセイをさらなる分析から除外した。
WTヌクレオチド寄与率を増加させることが伸長率に及ぼす効果を調べた。(0%チンパンジー、5%チンパンジーおよび通常のiPLEX)。ラウンド1での伸長率からの有意な変化は観察されなかった。0%チンパンジー試料における平均伸長率は0.41であり(ラウンド1の0.40と比較)、5%チンパンジー試料では0.63であった(ラウンド1の0.78と比較)。
ラウンド1で使用した同じ手法を使用して、各トランジションの感度およびパネル全体の感度を試験した。各トランジションレベルで緩やかな変化が観察されたが、ラウンド2パネル全体の性能はラウンド1と同様であった。
ラウンド2パネル全体の感度は、1%チンパンジーで0.52(ラウンド1の0.61と比較)、2.5%チンパンジーで0.91(ラウンド1の0.88と比較)、および5%チンパンジーで0.98(ラウンド1の1.0と比較)であった。さらに、ラウンド1と同様に、各希釈系列で観察された少量対立遺伝子の割合の高い変動性を生じた、有意な程度のアッセイ特異的な伸長が観察された。したがって、トランジション特異的なWTヌクレオチド手法の主な利点は、0%で伸長することができなかったアッセイが、ラウンド1(96アッセイ)よりもラウンド2(44アッセイ)でより少なかったことである。
モデルシステムの直交検査
ラウンド1、ヌクレオチド最適化およびラウンド2研究の後、iPLEX+開発で使用したヒト-チンパンジーモデルシステムを検証するため、一連の実験を行った。ヒトおよびチンパンジーゲノムで異なる標的領域を調べるためのアッセイ(これまでにモデルシステムに記載)を作り出し、大量ヒト対立遺伝子のバックグラウンドに対して0%チンパンジー、1%チンパンジー、2.5%チンパンジーおよび5%チンパンジー少量対立遺伝子頻度に相当するように希釈系列試料を作り出した。Ion Torrent PGM(Life Technologies)を使用して一連の実験を行い、標的領域を検査し希釈の程度を検証した。iPLEX PCRカクテルおよびdNTPを使用して、iPLEX(+)でデザインされたアンプリコンを増幅することにより、シークエンシング用のライブラリーを調製した。このPCR反応への推奨されるgDNAインプットは、マルチプレックスあたり10~20ngであった。各マルチプレックスのDNA含量をBioAnalyzer DNA1000キットで測定し、等モル部分にプールした。Ion Torrent用NEBNext(登録商標)Fast DNA Fragmentation & Library Prep Setへのインプットアンプリコンライブラリーは、各マルチプレックスで50ngであった。Ion Torrentライブラリー調製は、末端修復、P1およびAアダプターによるアダプターライゲーション、ニックトランスレーション、ならびにスモール6xサイクルPCRを伴った。個々のステップ後の精製はAmpure XP Beadsによるものであった。BioAnalyzer DNA1000キットを使用してライブラリーQCおよび定量化を実施し、Ion Torrent-PGM OT2 200キットへのライブラリーインプットは26pmolであった。Ion Torrent OT2 ES機を使用して、鋳型ISPの濃縮を実施した。Ion Torrent 200シークエンシングキットおよび240フローのヌクレオチドを使用するPGMシステムで、これらの鋳型ISPのシークエンシングを実施した。単数の318または318 v2チップを使用して各モデルをシークエンシングした。シークエンシングリードを、iPLEX(+)によりデザインされた標的アンプリコンのゲノム座標を含有するBEDファイルにアラインメントすることにより、データ分析を実施した。Ion Torrentカバレッジ分析および変種コーラープラグインを使用して、標的表示および少量変種頻度を自動的に算出、および検査した。
Ionデータ(標的の90%)を使用して、5%チンパンジー希釈液ライブラリーについて310の標的のうち278が確認された。チンパンジー少量対立遺伝子変種頻度の中央値は、5%チンパンジーライブラリーでは4.9%であり、標的カバレッジの中央値は10,000Xであった。最小カバレッジカットオフは、分析において5,000Xであった。2.5%希釈系列ライブラリーでは、少量対立遺伝子変種頻度の中央値3.6%およびカバレッジの中央値8,200Xで確認された、189の標的(61%)が生じた。
各希釈液ライブラリーは、所期の5%および2.5%よりもはるかに大きいチンパンジー対立遺伝子頻度の外れ値を5%未満含有していた。5%および2.5%希釈系列標的間の相関関係試験により、5%および2.5%データに見られる様々な外れ値が同じ標的アッセイに属することが明白となった。
1% Ion PGMランにおける1%変種は、主に、1%チンパンジー変種を同定するのに十分な標的カバレッジを生じない不十分なチップローディングのため、同定されなかった。0%チンパンジーライブラリーは、予期された変種を生じなかった。
ヒト-チンパンジーライブラリー全体の質は、アッセイ標的の90%によるPGMデータにより確認されたように、PGMにより確認されたチンパンジー希釈液5%から、ほぼ同一の少量変種頻度の中央値4.9%となり、優れていた。ライブラリー外れ値が同じアッセイ標的に属するという証拠から、これらの人工産物がiPLEX+法ではなくアッセイデザインにおける影響によるものであることが示される。
ヌクレオチド量調整
iPLEX+実現可能性ラウンド2の後、WT試料におけるiPLEX+アッセイの伸長率を改善することについての研究を継続させた。トランジション特異的な様式でWTヌクレオチド濃度を増加させた結果、WTでの不十分な伸長のため失敗となるアッセイ数が2.2減少した。さらに、伸長反応の以下のパラメータを、WT試料を使用してiPLEX+パネルを調べる研究で検討し、WT試料でのアッセイ伸長率に対する影響について調べた:
・ PCRアニーリング時間-伸長中のアニーリング時間を増加させると、ポリメラーゼ(Thermosequenase)がより長時間、枯渇させたWTヌクレオチドを「見つける」ことができる。
・ 総ヌクレオチド濃度-ラウンド2と同じWTヌクレオチド比率を維持するが総量をより多くすると、WT組込み率が増加する。
・ 300サイクルPCR-サイクル数を200から300に増加させると、より多くの産物、および強度がより大きい対立遺伝子ピークが生じる。
・ ポリメラーゼ量を増加させること-ポリメラーゼ濃度を増加させると、より早い回転により産物量が増加し、強度がより大きい対立遺伝子ピークが生じる。
図6は、上記で概説した各条件におけるアッセイ伸長率についての箱ひげ図を示す。
0%チンパンジーWT試料において最も高いアッセイ伸長率を生じる条件は、#1、#2、#5および#6(x軸上で左から右)である。これらの4つの条件での一定の成分は2Xヌクレオチド量である。2Xヌクレオチド量は、ラウンド2で維持されるWTのトランジション特異的な割合でのヌクレオチド総濃度の2倍に相当する。
iPLEX+第3のラウンド
iPLEX+可能性研究の第3および最終ラウンドでは、これまでに決定されたトランジション特異的なWTヌクレオチド濃度および2X総ヌクレオチド濃度を利用した。ラウンド1および2と同様に、iPLEX+実現可能性のラウンド3は以下の研究からなっていた。ヒト/チンパンジーDNAを、0%、1%、2.5%および5%チンパンジー寄与率に相当するように希釈系列にプールした。各希釈系列を、16の技術的反復で調べた。ラウンド1の場合と同様に、方法の性能を決定する際、以下の基準を評価した:
・ 0%チンパンジー試料におけるアッセイ伸長、
・ 0%チンパンジー試料におけるチンパンジー頻度、
・ アッセイ感度、
・ トランジション性能および感度、
・ 全体の感度。
0%チンパンジーWT試料において伸長が不十分だったこと、およびWT試料において33の試料で非特異的にチンパンジーが伸長されたことにより、37のアッセイが失敗した。これは、ラウンド2(44アッセイ)と比較してさらなる改善である。ラウンド3で生じた不十分なアッセイの割合は23%である(ラウンド2の25%と比較)。2N総停止ヌクレオチドを使用することによってアッセイ伸長率の緩やかな改善も観察された。0%チンパンジー試料での平均アッセイ伸長率は0.53、0%および5%チンパンジー試料では0.72である。これは、ラウンド2の結果(0%チンパンジーで0.41、および5%チンパンジー試料で0.63)を上回る改善である。ラウンド1および2と同様に、各トランジションの感度およびパネル全体の感度を決定した。各トランジションレベルで緩やかな変化が観察されたが、ラウンド3パネル全体の性能は、1%チンパンジー感度を除いて、ここでも最初の2つのラウンドと同様であった。
ラウンド3パネル全体の感度は、1%チンパンジーで0.35(ラウンド2の0.52と比較)、2.5%チンパンジーで0.89(ラウンド2の0.91と比較)、5%チンパンジーで0.99(ラウンド2の0.98と比較)であった。1%チンパンジー試料におけるラウンド3アッセイの感度は、0.52から0.35に減少した。理論により限定されるものではないが、停止ヌクレオチド濃度を増加させることによる、1%チンパンジー試料において観察されたパネル感度の減少(ラウンド1で0.61、ラウンド2で0.52、およびラウンド3で0.35)についての可能性のある2つの説明は以下の通りである:
・ WTヌクレオチドパーセンテージおよび総ヌクレオチド濃度を増加させることで、大量WT対立遺伝子のピーク強度の増加につながる。このことにより、1%少量対立遺伝子シグナルが強度の低いノイズピークとなる通常のiPLEXと同様の性能の方法が得られる。
・ WTヌクレオチドパーセンテージおよび総ヌクレオチド濃度を増加させることで、不十分に伸長するアッセイ数がラウンド1の96からラウンド2の44、およびラウンド3の37に減少した。ラウンド2および3におけるQCをほとんど通過しない、これらの「最近不十分な」アッセイでは、小さいシグナルノイズ比を有するため1%チンパンジー感度が減少するが、ここでは全体の感度を算出する際に考慮に入れる。
(実施例7)
最適なヌクレオチド濃度
可能性のある各トランジションについてのiPLEX+反応における、最適なヌクレオチド濃度を表5に示す。WT/Mut(大量対立遺伝子/少量対立遺伝子)比も示す。
Figure 0007325467000008
(実施例8)
iPLEX Plus検証研究
iPLEX Plusアッセイを検証するための研究を実施した。NRASおよびEGFR遺伝子(モデル)における変異についての体細胞変異検出に関する機能、感度および再現性について、アッセイを試験した。
アッセイ機能
実験では、5%バリアントとして200コピー/μlのバリアントを使用した。その他の少量変種は全て、この開始値から滴定した。野生型の寄与率は4000コピー/μlであった。
・ 野生型の鋳型および標準的なiPLEX停止ミックスを使用して、適切な野生型伸長についてアッセイを評価した。適切な野生型ヌクレオチドを伸長することができなかったアッセイを非特異的な相互作用について評価し、適宜再デザインするか別のプレックスに移した。
・ 非鋳型対照における非特異的な伸長についてアッセイを評価し、適宜別のプレックスに移した。
・ カスタムヌクレオチドミックスを使用して、5%バリアントモデルにおける適切な伸長についてアッセイを評価した。適切な変種の遺伝子型が全て観察された。
・ エクソヌクレアーゼ活性およびさらなるシグナルについてアッセイを評価した。
・ ピークSNR(シグナルノイズ比)によりアッセイを評価した。開発中、3つのアッセイがピークSNRにおいて、繰り返される不十分な性能を示した。各アッセイを原因について検査した。提案された原因を、新たなデザインおよび/またはプレックスの再割当てにより軽減させた。
アッセイ感度
最初の研究では、5%およびそれ未満(最初のヌクレオチドミックス)での少量変種検出を行うのに必要なヌクレオチド比率を調べた。試料は3連でランし、WT試料も各プレックスにつき3連でランした。最初のヌクレオチドミックスでは必要な感度が生じなかった。野生型シグナルが高いことによってバリアントの比率が小さくなり、それによりその他のバリアントクラスとの区別が不可能となる(データは示さない)。
バリアント対立遺伝子に対する感度を増強するため、WTヌクレオチド寄与率を減少させた。この評価では、WTおよびNTC試料とともに5%、2%および1%少量変種を使用した。各試料を3連でランした。野生型の減少によりバリアントの比率がうまく増加してより高度な少量変種の差別化が可能になったが、いくつかのアッセイにおいてWTピークのSNRが、ピークをコールするためのカットオフ(SNR 5)未満に減少した(データは示さない)。
WT SNRを増加させるように、調節されたヌクレオチドミックス中のWTヌクレオチド濃度をわずかに増加させた。この評価では、WTヌクレオチドの減少について探索するこれまでの実験と同じ基準および少量変種を利用した。WT試料を二重でランし、各プレックスにつきNTC 1つをランした。元のミックスとWTを減少させたミックスとの間の濃度までミックスのWT寄与率を増加させると、WTシグナルが不十分な、または変種クラス間の差別化が不十分な多くのアッセイがうまく調節された(データは示さない)。3つのヌクレオチドミックス試験全てのデータを評価したところ、WTおよびバリアントの間でカスタムヌクレオチド比を使用することが提案される。
これまでの4連の2つの実験と同じ12の対照を用いて、カスタムヌクレオチドミックスを評価した。WTおよびNTCも、プレックスあたり4連でランした。カスタムヌクレオチド比ミックスにより、ピークを認識可能にし、かつソフトウェアによってコールされる(SNR値5超)ことを可能にするのに十分なWT SNRが維持されつつ、区別可能なバリアント比率がうまくもたらされる(表6を参照のこと)。カスタムヌクレオチドミックス(表6)は、表5の最適なヌクレオチド濃度ミックスをさらに改良したものを表す。
Figure 0007325467000009
再現性
感度実験に使用した各少量変種モデル(5%、2.5%、1%、およびWT)を、24反復で(WTは96反復で)評価した。各モデルの少量変種クラスが、統計的に有意差のある分布を生じた(データは示さない)。
(実施例9)
実施形態の非限定的な実施例
ここから、本技術についてのある特定の実施形態の非限定的な実施例を提供する。
(A1)
1つまたは複数の少量核酸種と1つまたは複数の大量核酸種の混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、
(i)前記1つまたは複数の大量核酸種が、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬が、(A)前記増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または
(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが、前記増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって、前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度より低い、ステップと、
(c)(b)の伸長産物を分析し、それによって、前記1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するステップと
を含む、マルチプレックス方法。
(A2)
前記核酸集団が、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が、単一のマルチプレックス反応において同定される、実施形態A1に記載の方法。
(A3)
(b)が少なくとも2つの反応槽または区画の組において実施され、
第1の槽または区画が、前記大量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬を含むが、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的である鎖停止試薬を含まない伸長条件を含み、
残りの槽または区画のそれぞれが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的かつ共通である単一の鎖停止試薬を含むが、前記大量核酸種に対して特異的または共通の単一の鎖停止試薬を共有しない少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含まない伸長条件を含む、
実施形態A1に記載の方法。
(A4)
前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知である、実施形態A1からA3のいずれかに記載の方法。
(B1)
1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種との混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種を定量する方法であって、前記少量核酸種が同じ大量核酸種の変種であり、それぞれ前記大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)(i)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれ、および(ii)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含む伸長条件下で、前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、(1)前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、かつ(2)前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度より低い、ステップと、
(c)前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度と比較した、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度に基づいて、前記大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと
を含む、方法。
(C1)
1つまたは複数の少量核酸種と大量核酸種との混合物を含む核酸集団において前記1つまたは複数の少量核酸種を定量するマルチプレックス方法であって、それぞれの少量核酸種が対応する大量核酸種の変種であり、その対応する大量核酸種のコピー数より少ないコピー数で存在し、前記方法が、
(a)dNTPを含む増幅条件下で増幅プライマー対を用いて前記混合物の標的領域を同時に増幅し、それによって大量および少量核酸種を含む核酸の増幅混合物を産生するステップと、
(b)鎖停止試薬を含む伸長条件下で前記増幅混合物に伸長プライマーを接触させるステップであって、
(i)前記1つまたは複数の大量核酸種が、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない共通の鎖停止試薬を共有し、
(ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止試薬を有し、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止試薬が(A)前記増幅混合物中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅混合物中の他の少量核酸種によって共有されないか、または(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが前記増幅混合物中の少なくとも1つの他の少量核酸種と共通の鎖停止試薬を共有し、
それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長するかまたはそれを超えて伸長し、それによって前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、(1)前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度が既知であり、(2)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度より低い、ステップと、
(c)前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量(複数)の比率を決定するステップと、
(d)(c)の比率に基づいて、および前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度と比較した、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度(複数)に基づいて、前記大量核酸種の量と比較した少量核酸種の量を定量するステップと
を含む、マルチプレックス方法。
(C2)
前記核酸集団が、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が単一のマルチプレックス反応において同定される、実施形態B1または実施形態C1に記載の方法。
(C3)
(b)が少なくとも2つの反応槽または区画の組において実施され、
第1の槽または区画が、大量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含むが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含まない伸長条件を含み、
残りの槽または区画のそれぞれが、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的かつ共通である単一の鎖停止試薬を含むが、大量核酸種に対して特異的または共通の単一の鎖停止試薬を共有しない少量核酸種に対して特異的な鎖停止試薬を含まない伸長条件を含む、実施形態C1の方法。
(D1)
前記少量および前記大量核酸種の配列が、単一塩基だけ異なり、プライマーが、異なっている前記単一塩基までまたはそれを超えて伸長する、実施形態A1からA4、B1およびC1からC3のいずれかに記載の方法。
(D2)
前記少量核酸種の配列が、前記大量核酸種の配列と比較して挿入または欠失を含む、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1のいずれかに記載の方法。
(D3)
前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の単一ヌクレオチド多型(SNP)変種である、実施形態A1からA4、B1、C1からC3、D1およびD2のいずれかに記載の方法。
(D4)
前記少量および前記大量核酸種がそれぞれ、同じ遺伝子のバリアントおよび野生型対立遺伝子である、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD3のいずれかに記載の方法。
(D5)
前記大量核酸種が宿主対象に由来し、そして前記少量核酸種が前記宿主以外の対象に由来するか、または、前記少量核酸種が宿主対象に由来し、そして前記大量核酸種が前記宿主以外の対象に由来する、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD4のいずれかに記載の方法。
(D6)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約10%未満であるコピー数で存在する、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD5のいずれかに記載の方法。
(D7)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約1%~10%未満の間であるコピー数で存在する、実施形態D6に記載の方法。
(D8)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約2%~10%未満の間であるコピー数で存在する、実施形態D7に記載の方法。
(D9)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約5%またはそれ未満であるコピー数で存在する、実施形態D7に記載の方法。
(D10)
前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種のコピー数の約2%またはそれ未満であるコピー数で存在する、実施形態D7に記載の方法。
(D10.1)
1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、大量核酸種のコピー数の約1%であるコピー数で存在する、実施形態D7の方法。
(D11)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約1%~約20%の間である、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD10.1のいずれかに記載の方法。
(D12)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.1%~約10%の間である、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD10.1のいずれかに記載の方法。
(D13)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.1%~約4%の間である、実施形態D12に記載の方法。
(D13.1)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.01%~約10%の間である、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD10.1のいずれかに記載の方法。
(D13.2)
前記大量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止試薬のそれぞれの濃度の約0.01%~約4%の間である、実施形態D13.1に記載の方法。
(D14)
前記大量核酸種に対する前記鎖停止試薬の濃度が、特定の大量種/少量種トランジションに基づいて変化する、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD13.2のいずれかに記載の方法。
(D15)
前記鎖停止試薬が鎖停止ヌクレオチドである、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD14のいずれか一項に記載の方法。
(D16)
前記鎖停止ヌクレオチドが、独立してddATP、ddGTP、ddCTP、ddTTP、およびddUTPから選択される、実施形態D15に記載の方法。
(D17)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが1つの鎖停止ヌクレオチドからなる、実施形態D15またはD16に記載の方法。
(D18)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが2つの鎖停止ヌクレオチドからなる、実施形態D15またはD16に記載の方法。
(D19)
1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが3つの鎖停止ヌクレオチドからなる、実施形態D15またはD16に記載の方法。
(D20)
前記鎖停止試薬が、1つまたは複数の非環式停止剤を含む、実施形態A1からA4、B1、C3およびD1からD19のいずれかに記載の方法。
(D21)
(a)において約30~約45の間のPCR増幅サイクルを含む、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD20のいずれかに記載の方法。
(D22)
(b)の前記伸長条件が、約20~約300の間のサイクルを含む、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD21のいずれかに記載の方法。
(D23)
(b)の前記伸長条件が少なくとも50サイクルを含む、実施形態D22に記載の方法。
(D24)
1つまたは複数の前記鎖停止試薬が検出可能な標識を含む、実施形態A1からA4、B1、C1からC3およびD1からD23のいずれかに記載の方法。
(D25)
前記標識が蛍光標識または色素である、実施形態D24に記載の方法。
(D26)
前記標識が質量標識である、実施形態D24に記載の方法。
(D27)
前記標識の検出をさらに含み、それによって前記1つまたは複数の少量核酸種が同定または定量される、実施形態D24からD26のいずれかに記載の方法。
(D28)
前記標識が質量標識であり、検出が質量分析による、実施形態D27に記載の方法。
(D28.1)
前記標識が蛍光標識または色素であり、検出が電気泳動またはリアルタイムPCRによる、実施形態D27に記載の方法。
(D29)
(a)の増幅反応条件が、水、ゲノムDNA、緩衝剤、dNTP、プライマー対、MgCl、およびポリメラーゼを含み、dNTPのそれぞれ1つの濃度に対するMgClの濃度の比率が、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、または5:1以下から選択される、実施形態A1~A4、B1、C1~C3およびD1~D28.1のいずれかの方法。
(D30)
ポリメラーゼが、少なくとも濃度約0.03unit/μlのTaqポリメラーゼである、実施形態D29の方法。
(D31)
(a)の増幅反応条件が、約400~700μMの間の各dNTP、約100nMのプライマー対、および約1.6~最大約4.8mMの間のMgClを含む、実施形態A1~A4、B1、C1~C3およびD1~D30のいずれかの方法。
(D32)
配列タグが、増幅プライマー対における1つまたは複数のプライマーに結合される、実施形態A1~A4、B1、C1~C3およびD1~D31のいずれかの方法。
(D33)
遊離Mg2+濃度が1.0~2.0mMの間である、実施形態A1~A4、B1、C1~C3およびD1~D32のいずれかの方法。
本明細書において本明細書により言及される各特許、特許出願、刊行物および文書全体が、参照により組み込まれる。上記の特許、特許出願、刊行物および文書を引用することは、上記のいずれかが関連先行技術であると認めることにはならず、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して認めることにもならない。
上記に対し、本技術の基本的な態様から逸脱することなく改変を加えることができる。本技術は、1つまたは複数の特定の実施形態に関して十分詳細に記載されているが、本出願で具体的に開示される実施形態に対して変更を加えることができ、しかしながらこれらの改変および改善が本技術の範囲および趣旨内にあることを、当業者は認識しているものである。
説明のために本明細書に記載される技術は、本明細書において具体的に開示されない任意の要素の非存在下で適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、「~を含む」、「~から本質的になる」、および「~からなる」という語のいずれかを、その他の2つの語のいずれかで置き換えることができる。使用される語および表現は、限定ではなく説明のための語として使用され、このような語および表現の使用により、示されかつ記載される特徴またはその一部についての任意の同等物が除外されることはなく、請求項に係る技術の範囲内で各種改変が可能である。要素1つまたは要素1つ超のいずれかについて記載されていることが文脈上明らかでない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」という語は、これらが修飾する要素1つまたは複数を指すことができる(例えば「a reagent」は1つまたは複数の試薬を意味することができる)。本明細書において使用される場合、「約」という語は、元となるパラメータの10%以内の値(すなわち、プラスまたはマイナス10%)を指し、一連の値の始めに「約」という語を使用すれば、値のそれぞれが修飾される(すなわち、「約1、2および3」は約1、約2および約3となる)。例えば、重量「約100グラム」には、重量90グラム~110グラムが含まれうる。したがって、本技術は代表的な実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されるが、当業者は本明細書において開示される概念の改変および変更を行使してもよく、このような改変および変更は本技術の範囲内にあるとみなされる、ということが理解されるべきである。
本技術の実施形態を、以下の請求項に示す。

Claims (32)

  1. 1つまたは複数の標的核酸を含む試料において1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するマルチプレックス方法であって、前記方法が、
    (a)前記試料の標的核酸を同時に増幅するステップであって、それぞれの標的核酸が、1つの大量核酸種と1つまたは複数の少量核酸種とを有し、それぞれの少量核酸種が、前記大量核酸種の低頻度変種またはコピー数変種である、ステップと、
    (b)1つまたは複数の大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤と、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な1つまたは複数の鎖停止剤とを含む伸長条件下で(a)の前記増幅核酸に1つまたは複数の伸長プライマーを接触させるステップであって、dNTPが前記伸長条件に存在する場合、前記dNTPに存在する「N」と同一の塩基を含む鎖停止剤は、前記伸長条件には存在せず、
    (i)前記1つまたは複数の大量核酸種がすべて、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない同じ鎖停止剤により停止され、
    (ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止剤により停止され、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止剤が、(A)前記増幅核酸中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅核酸中の他の少量核酸種には独自でないか、または(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが、前記増幅核酸中の少なくとも1つの他の少量核酸種の鎖停止剤と同じ鎖停止剤により停止され、
    (iii)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度より低く、
    それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置までまたは前記ヌクレオチド位置を通って伸長し、それによって、前記試料中に存在する、前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成される、ステップと、
    (c)(b)の伸長産物を分析し、前記少量核酸種に対応する1つまたは複数の鎖停止伸長産物の存在または非存在を検出し、それによって、前記1つまたは複数の少量核酸種の存在または非存在を同定するステップと
    を含み、
    ここで、前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度またはコピー数の0.25%~10%未満、または、0.5%~10%未満、または、1%~10%未満の間の頻度またはコピー数で存在するか、あるいは、前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満または0.01%未満に相当し、
    前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度の1%~20%、または0.1%~10%、または、0.01%~5%である、マルチプレックス方法。
  2. 前記核酸試料が、単一の大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が、単一のマルチプレックス反応において同定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記核酸試料が、それぞれが1つまたは複数の少量核酸種を有する複数の大量核酸種を含み、前記少量核酸種が単一のマルチプレックス反応において同定される、請求項1に記載の方法。
  4. (c)において1つまたは複数の大量核酸種の存在または非存在を同定することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 標的核酸を含む核酸試料において大量核酸種の量に対して1つまたは複数の少量核酸種を定量する方法であって、前記方法が、
    (a)前記試料の標的核酸を同時に増幅するステップであって、前記標的核酸が、1つの大量核酸種と1つまたは複数の少量核酸種とを有し、前記1つまたは複数の少量核酸種が、同じ大量核酸種の変種であり、それぞれの少量核酸種が、前記大量核酸種の低頻度変種またはコピー数変種である、ステップと、
    (b)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対して特異的な鎖停止剤と、前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤とを含む伸長条件下で(a)の前記増幅核酸に伸長プライマーを接触させるステップであって、それによって、前記プライマーが前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置までまたは前記ヌクレオチド位置を通って伸長し、それによって、前記試料中に存在する、前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成され、dNTPが前記伸長条件に存在する場合、前記dNTPに存在する「N」と同一の塩基を含む鎖停止剤は、前記伸長条件には存在せず、(1)前記鎖停止剤のそれぞれの濃度が既知であり、かつ、(2)前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度より少ない、ステップと、
    (c)前記1つまたは複数の少量核酸種の伸長産物のそれぞれに対応する検出シグナルと、前記大量核酸種の伸長産物に対応する検出シグナルを検出することにより、前記大量核酸種の伸長産物に対応する検出シグナルに対する、前記1つまたは複数の少量核酸種の伸長産物のそれぞれに対応する検出シグナルの割合に基づき、前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比を決定するステップと、
    (d)(c)で決定した前記比に基づき、かつ、前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度に基づき、標準化係数を用いて、前記大量核酸種の量に対する前記少量核酸種の量を定量するステップと、
    を含み、
    ここで、前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度またはコピー数の0.25%~10%未満、または、0.5%~10%未満、または、1%~10%未満の間の頻度またはコピー数で存在するか、あるいは、前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満または0.01%未満に相当し、
    前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度の1%~20%、または0.1%~10%、または、0.01%~5%である、方法。
  6. 1つまたは複数の標的核酸を含む核酸試料において大量核酸種の量に対して1つまたは複数の少量核酸種を定量するマルチプレックス方法であって、前記方法が、
    (a)前記試料の標的核酸を同時に増幅するステップであって、それぞれの標的核酸が、1つの大量核酸種と1つまたは複数の少量核酸種とを有し、それぞれの少量核酸種が、前記大量核酸種の低頻度変種またはコピー数変種である、ステップと、
    (b)1つまたは複数の大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤と、1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な1つまたは複数の鎖停止剤とを含む伸長条件下で(a)の前記増幅核酸に伸長プライマーを接触させるステップであって、dNTPが前記伸長条件に存在する場合、前記dNTPに存在する「N」と同一の塩基を含む鎖停止剤は、前記伸長条件には存在せず、
    (i)前記1つまたは複数の大量核酸種がすべて、前記大量核酸種に対して特異的であるが、前記少量核酸種に対して特異的でない同じ鎖停止剤により停止され、
    (ii)前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれが、前記少量核酸種に対して特異的であるが、前記大量核酸種に対して特異的でない鎖停止剤により停止され、前記少量核酸種に対して特異的である前記鎖停止剤が、(A)前記増幅核酸中の特定の少量核酸種に独自のものであり、前記増幅核酸中の他の少量核酸種には独自でないか、または(B)前記1つもしくは複数の少量核酸種のうちの少なくとも1つが、前記増幅核酸中の少なくとも1つの他の少量核酸種の鎖停止剤と同じ鎖停止剤により停止され、
    (iii)前記鎖停止剤のそれぞれの濃度が既知であり、前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度より低く、
    それによって前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置までまたは前記ヌクレオチド位置を通って伸長し、それによって、前記試料中に存在する、前記少量核酸種および前記大量核酸種にそれぞれ対応する鎖停止伸長産物が生成される、ステップと、
    (c)前記1つまたは複数の少量核酸種の伸長産物のそれぞれに対応する検出シグナルと、前記大量核酸種の伸長産物に対応する検出シグナルを検出することにより、前記大量核酸種の伸長産物に対応する検出シグナルに対する、前記1つまたは複数の少量核酸種の伸長産物のそれぞれに対応する検出シグナルの割合に基づき、前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比を決定するステップと、
    (d)(c)で決定した前記比に基づき、かつ、前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度に基づき、標準化係数を用いて、前記大量核酸種の量に対する前記少量核酸種の量を定量するステップと、
    を含み、
    ここで、前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度またはコピー数の0.25%~10%未満、または、0.5%~10%未満、または、1%~10%未満の間の頻度またはコピー数で存在するか、あるいは、前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満または0.01%未満に相当し、
    前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度の1%~20%、または0.1%~10%、または、0.01%~5%である、マルチプレックス方法。
  7. 前記標準化係数が、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度と比較した、前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度の比に反比例する、請求項5または請求項6に記載の方法。
  8. 前記核酸試料が、1つの大量核酸種の変種である複数の少量核酸種を含み、前記複数の少量核酸種が、単一のマルチプレックス反応において同定される、請求項5または請求項6に記載の方法。
  9. 前記プライマーが、前記大量核酸種と比較して前記少量核酸種において異なるヌクレオチド位置まで伸長する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記少量および前記大量核酸種の配列が、単一塩基だけ異なり、前記プライマーが、異なっている前記単一塩基まで伸長する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記少量核酸種の配列が、前記大量核酸種の配列と比較して挿入または欠失を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記1つまたは複数の少量核酸種が、前記大量核酸種の単一ヌクレオチド多型(SNP)変種である、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記少量および前記大量核酸種がそれぞれ、同じ遺伝子のバリアントおよび野生型対立遺伝子であるか、または、前記1つまたは複数の少量核酸種が、野生型の大量核酸種の体細胞変異体である、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記大量核酸種が宿主被験体由来であり、前記少量核酸種が前記宿主以外の被験体由来であるか、または、前記少量核酸種が宿主被験体由来であり、前記大量核酸種が前記宿主以外の被験体由来である、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度またはコピー数の10%未満、もしくは5%未満、もしくは4%未満、または、2%~10%未満の間、もしくは1%~10%未満の間、もしくは1%~5%の間、もしくは1%~4%の間、もしくは1%~3.5%の間、もしくは1%~3%の間の頻度またはコピー数で存在する、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度が、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤のそれぞれの濃度の5%未満、または、0.5%~15%未満の間、もしくは1%~10%の間、もしくは1%~2%の間、もしくは6%~7%の間である、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度と、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度の比が、前記大量核酸種に対して特異的な特定の鎖停止剤および前記少量核酸種に対して特異的な特定の鎖停止剤に基づいて選択される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度と、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度の比が、1:15であり、前記少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度の10%未満の頻度で存在する、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度と、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度の比が、0.2であり、前記少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度の約5%の頻度で存在し、ここで、「約」は示した値の±10%を意味する、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記大量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度と、前記少量核酸種に対して特異的な鎖停止剤の濃度の比が、0.05であり、前記少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度の約5%、約2.5%、または約1.25%の頻度で存在し、ここで、「約」は示した値の±10%を意味する、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記鎖停止剤が鎖停止ヌクレオチドであり、任意選択的に1つまたは複数の非環式停止剤を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記鎖停止ヌクレオチドが、独立してddATP、ddGTP、ddCTP、ddTTP、およびddUTPから選択される、請求項2に記載の方法。
  23. 1つまたは複数の前記少量核酸種に対して特異的な前記鎖停止ヌクレオチドが、1つの鎖停止ヌクレオチド、2つの鎖停止ヌクレオチド、または3つの鎖停止ヌクレオチドからなる、請求項21または請求項22に記載の方法。
  24. (a)において30~45の間のPCR増幅サイクルを含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  25. 伸長反応が前記伸長条件下で行われ、前記伸長条件が複数の伸長サイクルを含み、前記伸長反応が、少なくとも65、70、75、80、85、90、95または100回繰り返されるか、または、200~300回繰り返されるか、または、200回繰り返される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記1つまたは複数の少量核酸種がそれぞれ、前記大量核酸種の頻度またはコピー数の約1%の頻度またはコピー数で存在し、ここで、「約」は示した値の±10%を意味する、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記鎖停止剤が検出可能な標識を含まない、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記伸長産物が、質量分析スペクトルにより分析される、請求項2に記載の方法。
  29. 前記大量核酸種に対応する伸長産物の量に対する、前記1つまたは複数の少量核酸種のそれぞれに対応する伸長産物の量の比が、質量分析スペクトルによる分析により生成された前記大量核酸種のシグナルに対する、質量分析スペクトルによる分析により生成された前記少量核酸種のシグナルの比として決定される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  30. 1つまたは複数の前記鎖停止剤が検出可能な標識を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記標識の検出をさらに含み、それによって前記1つまたは複数の少量核酸種が同定または定量される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記標識が質量標識であり、検出が質量分析スペクトルによるか、または前記標識が蛍光標識もしくは色素であり、検出が電気泳動またはリアルタイムPCRによる、請求項3に記載の方法。
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