JP7325364B2 - 建物本体の支持構造 - Google Patents
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Description
上記構造では、地震発生時に建物および杭頭キャップが杭に対して傾動することで杭頭に作用するモーメントが低減される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、地震時の建物の柱の過大な浮き上がりや損傷を抑制し、かつ、浮き上がった建物本体が降下する際の衝撃を緩和する上で有利な建物本体の支持構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記ロッドは単一で、前記ロッド挿通孔は、前記摩擦部材の中心に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ロッドは互いに間隔をおいて複数設けられ、前記ロッド挿通孔は、単一で前記摩擦部材の中央部に前記複数のロッドが挿通される大きさで形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記地震検知部は、地震の初期微動であるP波を検出するP波検出器を備え、前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器で検出された前記P波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、前記流体給排部による前記流体室への前記流体の充填を行なうことでなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器によって検出される前記P波の加速度が大きいほど、前記流体給排部によって前記流体室へ充填される前記流体の量を増加させるようになされることを特徴とする。
また、本発明は、前記地震検知部は、前記P波に遅れて到達する地震の主要動であるS波を検出するS波検出器をさらに備え、前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記流体室への前記流体の充填後、前記S波検出器によって検出される前記S波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、前記流体給排部による前記流体の前記流体室への充填を停止し前記流体室から前記流体の排出を行なうようになされることを特徴とする。
また、本発明は、前記基礎梁と前記柱脚との間に、前記基礎梁に対して前記柱脚の上方への変位を許容しつつ前記柱脚の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、前記抵抗機構は、前記位置決め部の内側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め部は、前記基礎梁の上面に取着され、その上部が前記柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状の柱脚キャップを含んで構成され、前記抵抗機構は、前記柱脚キャップの内側を通って設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記基礎梁と前記柱脚との間に、前記基礎梁に対して前記柱脚の上方への変位を許容しつつ前記柱脚の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、前記抵抗機構は、前記位置決め部と前記柱脚部とにわたって設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記位置決め部は、前記基礎梁の上面に取着されその上部が前記柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中実状の柱脚キャップを含んで構成され、前記抵抗機構は、前記柱脚キャップの上面と前記柱脚部とにわたって設けられていることを特徴とする。
やがて地震動が建物本体の直下の地盤に到達すると、建物本体に大きな水平力が作用し、そのモーメントにより建物本体が傾動し、建物本体の一側が浮き上がる方向に変位しようとする。
この場合、膨張した摩擦部材とロッドとの間に摩擦抵抗が生じ、建物本体の上方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、建物本体の浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、建物本体の過大な浮き上がりを抑制し、建物本体の損傷を抑制する上で有利となる。
また、建物本体の浮き上がり後の降下時には、膨張した摩擦部材による摩擦抵抗が生じ、建物本体の下方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、建物本体の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じ、建物本体の衝撃を抑制する上で有利となり、建物本体の損傷を抑制する上で有利となる。
また、ロッドを単一とし、ロッド挿通孔を摩擦部材の中心に設けると、ロッドが一本で済むとともに、摩擦部材の構成を簡素化できるため、コストダウンを図る上で有利となる。
また、ロッドを互いに間隔をおいて複数設け、ロッド挿通孔を単一とし、ロッド挿通孔を摩擦部材の中央部に複数のロッドが挿通される大きさで形成すると、ロッドを単一とした場合に比較してロッド間に摩擦部材が侵入する隙間を形成することができるので、流体室に流体を充填して摩擦部材を膨張させた際に、ロッドと摩擦部材との接触面積を大きく確保し、大きな摩擦力を得ることで、建物本体の損傷を抑制する上で有利となる。
また、P波検出器で検出された地震の初期微動であるP波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、流体給排部による流体室への流体の充填を行なうようにすると、建物本体の直下の地盤に地震の主要動であるS波が到達する前に摩擦部材を膨張させるので、建物本体の損傷を抑制する上でより有利となる。
また、P波の加速度が大きくなるほど、流体室に充填する流体の量を増加させると、P波の加速度が小さく地震によって生じる建物本体の上方への僅かな変位に対しては、摩擦部材による摩擦抵抗が抑制されるため、建物本体の浮き上がりを許容しつつ低めの摩擦抵抗を生じ、建物本体の損傷を抑制する上で有利となる。また、P波の加速度が大きく、地震によって生じる建物本体の上方への大きな変位に対しては、摩擦部材による摩擦抵抗が大きくなるため、建物本体の浮き上がりを許容しつつ高めの摩擦抵抗を生じ、建物本体の損傷を抑制する上で有利となり、また、ロッドの柱脚からの抜落を阻止する上で有利となる。
また、S波検出器によって検出されるS波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、流体給排部による流体の流体室への充填を停止し流体室から流体の排出を行なうようにすると、地震が収束した段階で摩擦部材を収縮させるので、摩擦部材を膨張させている時間を最小限に短縮できるため、流体給排部の無駄な動作を抑制できると共に、摩擦部材の耐久性の向上を図る上で有利となる。
また、基礎梁と柱脚との間に、基礎梁に対して建物本体の上方への変位を許容しつつ建物本体の水平方向の位置決めを行なう位置決め部を設け、抵抗機構を位置決め部の内側に設けると、地震時、建物本体に過大な水平力が加わることで一時的に建物本体の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、位置決め部により建物本体の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に建物本体を水平に支持する上で有利となる。
また、位置決め部を、基礎梁の上面に取着され、その上部が柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる柱脚キャップを含んで構成し、抵抗機構を、柱脚キャップの内側を通って設けると、柱脚が柱脚キャップに対してあらゆる方向に傾動可能となるため、仮に基礎梁が傾斜していても建物本体を水平に支持する上で有利となる。
また、基礎梁と柱脚との間に、基礎梁に対して建物本体の上方への変位を許容しつつ建物本体の水平方向の位置決めを行なう位置決め部を設け、抵抗機構を位置決め部と柱脚部とにわたって設けると、地震時、建物本体に過大な水平力が加わることで一時的に建物本体の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、位置決め部により建物本体の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に建物本体を水平に支持する上で有利となる。
また、位置決め部を、基礎梁の上面に取着されその上部が柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる柱脚キャップを含んで構成し、抵抗機構を、柱脚キャップの上面と柱脚部とにわたって設けると、柱脚が柱脚キャップに対してあらゆる方向に傾動可能となるため、仮に基礎梁が傾斜していても建物本体を水平に支持する上で有利となる。
図1に示すように、本実施の形態の建物本体の支持構造10は、水平方向に延在する基礎梁12から立設された複数の柱14を含む建物本体16を基礎梁12上で支持するものであり、抵抗機構20を含んでいる。
すなわち、建物18は、建物本体16と基礎梁12とを含んで構成され、建物18は、体育館、倉庫、鉄塔などの構造物であり、建物本体16は、基礎梁12から立設された複数の柱14、それら柱14間に架け渡された複数の梁などを含んで構成されている。
基礎梁12として、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)など従来公知の様々なものが使用可能である。
なお、図中符号22は基礎梁12上に設けられた床スラブを示し、符号2202は、後述する柱脚キャップ30を基礎梁12の上面1202に取着するための開口を示す。
なお、本実施の形態において、柱14は、鋼管柱である。
柱本体24は、基礎梁12の上面1202から立設され、柱脚2402の下面は基礎梁12の上面1202に対向している。
柱脚部26は、柱脚2402の下方に開放状に形成されている。
本実施の形態では、柱本体24は鋼管柱であるため、円柱状の空間部が柱本体24の内部で柱本体24の全長にわたって形成されている。
また、図中符号25は、柱脚部26の下部の外周面の全周に沿って設けられた補強用のリングであり、リング25は溶接によって柱脚部26に接合されている。
位置決め部28は、基礎梁12と柱脚2402との間に設けられ、基礎梁12に対して柱脚2402の上方への変位を許容しつつ柱脚2402の水平方向の位置決めを行なうものである。
本実施の形態では、位置決め部28は柱脚キャップ30と柱脚2402を含んで構成されている。
柱脚キャップ30は、鋼製であり、キャップ本体3002と、蓋板部3004とを備えている。
キャップ本体3002は、基礎梁12の上面1202から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状を呈し、本実施の形態では、截頭円錐形の中空の枠状を呈し、キャップ本体3002の上部は柱脚部26にはめ込まれ、言い換えると柱脚2402の下端にはめ込まれている。
蓋板部3004は、キャップ本体3002の下縁よりも大きな輪郭を有する正方形の鋼板で構成され、蓋板部3004の中心には、後述するロッド32のフランジ3202を収容する孔部3005が形成されている。
蓋板部3004は、キャップ本体3002の軸心と蓋板部3004の中心とを合致させた状態でキャップ本体3002の下縁と蓋板部3004の上面とが溶接で接合されている。
蓋板部3004は、基礎梁12の上面1202にボルトB1とナットN1を介して締結されている。
キャップ本体3002の上部が柱脚部26にはめ込まれた状態でキャップ本体3002の上部は柱脚2402の内周面2404の下縁2406に摩擦接触している。
なお、本明細書において、截頭円錐形は部分球形状、球面形状などの形状を広く含む。
本発明において柱脚キャップ30は省略可能であるが、柱脚キャップ30を用いることにより以下の効果が奏される。
1)柱脚2402の柱脚部26にキャップ本体3002をはめ込むことで、柱脚2402がキャップ本体3002に対してあらゆる方向に傾動可能となるため、柱脚部26の損傷が避けられる。
2)地震時、建物本体16に過大な水平力が加わることで一時的に建物本体16の浮き上がりや水平方向へのずれが生じても、キャップ本体3002が柱脚2402の柱脚部26にはめ込まれることで建物本体16の水平方向の位置が元の位置に戻るため、地震の収束後に建物本体16を水平に支持する上で有利となる。
なお、位置決め部28は柱脚キャップ30に限定されず、従来公知の様々な構造が適用可能であるが、柱脚キャップ30を用いると上述の効果を奏する点で有利となる。
また、本実施の形態では、柱24が断面形状が円形の鋼管柱で構成されている場合について説明したが、柱は角柱であってもよく、その場合、柱脚キャップは、基礎梁12の上面1202から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状、あるいは、中実状を呈していればよく、具体的には截頭角錐形となる。
抵抗機構20は、建物本体16の浮き上がりに対して浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、かつ、建物本体16の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じるものである。
抵抗機構20は、ロッド32と、摩擦部材34と、流体給排部36と、地震検知部38と、制御部40とを含んで構成されている。
ロッド32は単一で、建物本体16の基礎梁12の上面1202から柱脚キャップ30の内側を通り柱脚キャップ30の上方に突設され、柱脚部26に挿入されている。
ロッド32は、その下端フランジ3202が基礎梁12の上面1202にボルトB2、ナットN2を介して締結されることで配設されている。
したがって、抵抗機構20は、柱脚キャップ30の内側を通って設けられ、言い換えると、抵抗機構20は、位置決め部28の内側に設けられている。
なお、柱脚キャップ30が中実の截頭円錐形を呈している場合には、柱脚キャップ30の上面は、基礎梁12の上面1202を構成するため、ロッド32は柱脚キャップ30の上面から突設されることになる。
その場合、抵抗機構20は、柱脚キャップ30の下面と柱脚24(柱脚部26)とにわたって設けられ、言い換えると、抵抗機構20は、位置決め部28と柱脚24(柱脚部26)とにわたって設けられることになる。
本実施の形態では、摩擦部材34は、弾性変形可能なゴム材料で中空の円板状に形成され、円形の上端面3402と下端面3404と、それら上端面3402と下端面3404を接続する外周面3406とを備えている。
摩擦部材34は、その外周面3406が柱脚2402の内周面2404の全周にわたって接着剤により、あるいは、ボルト、ナットなどにより取着されており、摩擦部材34は柱脚2402に対して上下方向に(柱14の軸方向に)移動不能となっている。
摩擦部材34は、ロッド32が上下方向に挿通されたロッド挿通孔3410を有し、ロッド挿通孔3410は、摩擦部材34の中心に設けられている。
摩擦部材34の内部に流体室42が形成されており、流体室42はロッド挿通孔3410の周囲全周にわたって形成されており、環状を呈している。
摩擦部材34は、流体室42への流体(空気)の給排により膨張縮小可能で膨張することでロッド挿通孔3410を構成する内周面3412がロッド32の外周面3204に圧接する。
本実施の形態では、流体として空気を用いるが、流体として油や水などの液体、あるいは、炭酸ガスなどの気体を用いることができる。
なお、流体として液体を用いる場合は、流体室42と流路を介して連通する液体タンクを設け、この液体タンクに液体を蓄えておく必要がある。また、流体として炭酸ガスなど空気とは異なる気体を用いる場合は、流体室42と流路を介して連通する気体タンクを設け、この気体タンクに気体を蓄えておく必要がある。
これに対して、本実施の形態のように流体として空気を用いると、大気中の空気を用いればよいため、液体タンクや気体タンクなどの専用の部材が不要となり、構成の簡素化を図りコストダウンを図る上で有利となる。
空気ポンプ3604は、大気中の空気を流体室42に接続された流路3602を介して流体室42に圧送するものであり、制御部40によって運転の開始、停止が制御される。
このような空気ポンプ(流体ポンプ)3604として従来公知の様々な構成のポンプが使用可能である。
また、流体室42と空気ポンプ3604とを連通する流路3602は、流体室42が摩擦部材34とともに上下方向に(柱14の軸方向に)移動できるように、伸縮する構造となっている。
電磁弁3606は、その一端が流体室42に連通し、他端が大気中に開放され、制御部40によって開弁、閉弁が制御される。電磁弁3606は、摩擦部材34に不図示の取付具を介して支持されている。
P波検出器3802およびS波検出器3804は、建物本体16の直下の地盤、言い換えると、建物本体16の近傍の地盤に設置され、P波検出器3802およびS波検出器3804は、地盤の加速度からP波、S波の加速度を検出する。
なお、P波検出器3802およびS波検出器3804はP波、S波を検出できればよく、P波検出器3802およびS波検出器3804の設置場所は、建物本体16の直下の地盤から離れた地盤の箇所であっても、あるいは、建物本体16の箇所であっても、あるいは、基礎梁12の箇所であってもよい。
本実施の形態では、制御部40は、P波検出器3802で検出されたP波の加速度Apが、予め定められた充填開始しきい値A1を上回ったならば、直ちに空気ポンプ3604を作動させ、図2に示すように、流体室42に空気を充填させることで摩擦部材34を膨張させ摩擦部材34のロッド挿通孔3410を構成する内周面3412をロッド32の外周面3204に圧接させる圧接制御を実施する。
また、制御部40による圧接制御は、充填開始しきい値A1を超えたP波の加速度Apが大きくなるほど、空気ポンプ3604により流体室42に充填する空気量を増加させ、摩擦部材34の膨張量を高めロッド32への圧接力を高めるようになされる。
また、制御部40は、S波検出器3804で検出されるS波の加速度Asが、予め定められた充填解除しきい値A2を下回った状態が予め定められた解除判定時間Tr以上継続したならば、空気ポンプ3604を停止させて空気の流体室42への充填を停止すると共に、電磁弁3606を開弁して流体室42から空気を排出させ、摩擦部材34を収縮させ摩擦部材34のロッド挿通孔3410を構成する内周面3412のロッド32への圧接を解除し電磁弁3606を閉弁する圧接解除制御を実施する。
予め電磁弁3606は閉弁されているものとする。
制御部40は、P波検出器3802でP波を検出したか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10が否定ならばステップS10を繰り返す。
ステップS10が肯定ならば、制御部40は、P波検出器3802で検出されたP波の加速度Apが予め定められた充填開始しきい値A1を上回ったか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12が肯定ならば、制御部40は圧接制御を実施する(ステップS14)。すなわち、制御部40は、直ちに空気ポンプ3604を作動させ、図2に示すように、流体室42に空気を充填させることで摩擦部材34を膨張させ摩擦部材34の内周面3412をロッド32の外周面3204に圧接させる。これにより、摩擦部材34とロッド32の外周面3204との摩擦抵抗が発生する。さらに、制御部40は、充填開始しきい値A1を超えたP波の加速度Apが大きくなるほど、空気ポンプ3604により流体室42に充填する空気量を増加させ、摩擦部材34の膨張量を高めロッド32の外周面3204への圧接力を高める。
また、制御部40は、S波検出器3804がP波から時間的に遅れて到達するS波を検出したか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16が否定ならばステップS16に戻る。
ステップS16が肯定ならば、制御部40は、S波検出器3804で検出されたS波の加速度Asが予め定められた充填解除しきい値A2を下回ったか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18が否定ならばステップS18に戻る。
ステップS18が肯定ならば、制御部40は、S波の加速度Asが充填解除しきい値A2を下回った状態が解除判定時間Tr以上継続したか否かを判定する(ステップS20)。
ステップS20が否定ならばステップS18に戻る。
ステップS20が肯定ならば、制御部40は、圧接解除制御を実施する(ステップS22)。すなわち、制御部40は、空気ポンプ3604の停止させると共に、電磁弁3606を開弁して流体室42から空気を排出させ、摩擦部材34を収縮させ摩擦部材34の内周面3412のロッド32の外周面3204への圧接を解除し電磁弁3606を閉弁する。
これにより、摩擦部材34が縮小し摩擦部材34の内周面3412のロッド32の外周面3204への圧接が解除され、摩擦部材34の内周面3412とロッド32の外周面3204との摩擦抵抗が予め設定された値に低下する。
以上で地震の発生から収束に至るまでの一連の制御が終了する。
そして、地震動が建物本体16の直下の地盤に到達すると、建物本体16に大きな水平力が作用し、そのモーメントにより建物本体16が傾動し、図2に示すように、建物本体16の一側が浮き上がる方向に変位しようとする。
この場合、膨張した摩擦部材34の内周面3412とロッド32の外周面3204との間に摩擦抵抗が生じ、建物本体16の上方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、建物本体16の浮き上がりを許容しつつ抵抗を生じ、建物本体16の損傷を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
また、建物本体16の浮き上がり後の降下時には、膨張した摩擦部材34の内周面3412とロッド32の外周面3204との間に摩擦抵抗が生じ、建物本体16の下方への変位に対しての抵抗を生じる。
したがって、建物本体16の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ抵抗を生じ、建物本体16の衝撃を抑制する上で有利となる。
そのため、建物本体16の損傷を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
したがって、建物本体16の直下の地盤Gに地震の主要動(S波)が到達する前に、摩擦部材34を膨張させ摩擦部材34の内周面3412をロッド32の外周面3204に圧接させる圧接制御を実施するので、建物本体16の損傷を抑制する上でより有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上でより有利となる。
したがって、P波の加速度Apが小さく、したがって、比較的弱い地震によって生じる建物本体16の上方への僅かな変位に対しては、摩擦部材34のロッド32の外周面3204への圧接力が低めとなり摩擦部材34とロッド32の外周面3204との摩擦抵抗が抑制されるので、建物本体16の浮き上がりを許容しつつ低めの摩擦抵抗を生じ、建物本体16の損傷を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
また、比較的弱い地震時には、建物本体16の浮き上がり後の降下時には、低めの摩擦抵抗が生じ、建物本体16の下方へ僅かな変位に対しての低めの抵抗を生じることから、建物本体16の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ低めの抵抗を生じ、建物本体16の衝撃を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
また、比較的強い地震時には、建物本体16の浮き上がり後の降下時には、高めの摩擦抵抗が生じ、建物本体16の下方への大きな変位に対して高めの抵抗を生じることから、建物本体16の浮き上がり後の降下時に降下に対して降下を許容しつつ高めの抵抗を生じ、建物本体16の衝撃を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、P波の加速度Apの大きさから予測される地震の大きさに応じて摩擦部材34と内周面2404との摩擦抵抗を調整することで建物本体16の損傷をより確実に抑制する上で有利となり、また、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上でより有利となる。
したがって、地震が収束した段階で摩擦部材34を収縮させるので、摩擦部材34を膨張させている時間を最小限に短縮できるため、流体給排部36の無駄な動作を抑制できると共に、摩擦部材34の耐久性の向上を図る上で有利となる。
しかしながら、ロッド32を互いに間隔をおいて複数設け、ロッド挿通孔3410を単一とし、ロッド挿通孔3410を摩擦部材34の中央部に複数のロッド32が挿通される大きさで形成するようにしてもよい。
このようにすると、ロッド32を単一とした場合に比較してロッド32間に摩擦部材34が侵入する隙間を形成することができるので、流体室42に空気を充填して摩擦部材34を膨張させた際に、ロッド32と摩擦部材34との接触面積を大きく確保し、大きな摩擦力を得ることで、建物本体16の損傷を抑制する上で有利となり、建物本体16に所在する人の不快感を軽減させる上で有利となる。
12 基礎梁
1202 上面
14 柱
16 建物本体
18 建物
20 抵抗機構
22 床スラブ
2202 開口
24 柱本体
2402 柱脚
2404 内周面
26 柱脚部
28 位置決め部
30 柱脚キャップ
3002 キャップ本体
3004 蓋板部
32 ロッド
3202 下端フランジ
3204 外周面
34 摩擦部材
3402 上端面
3404 下端面
3406 外周面
3410 ロッド挿通孔
3412 内周面
36 流体給排部
3602 流路
3604 空気ポンプ
3606 電磁弁
38 地震検知部
3802 P波検出器
3804 S波検出器
40 制御部
42 流体室
Claims (10)
- 基礎梁から立設された柱を含む建物本体の前記基礎梁上での支持構造であって、
前記柱の柱脚と前記基礎梁とにわたって抵抗機構が設けられ、
前記柱脚に下方に開放された柱脚部が形成され、
前記抵抗機構は、
前記基礎梁から上方に突設され前記柱脚部に挿入されるロッドと、
前記柱脚部の内周面に取着され前記ロッドが上下方向に挿通されたロッド挿通孔とこのロッド挿通孔の周囲に設けられた流体室とを有し、前記流体室への流体の給排により膨張縮小可能で膨張することで前記ロッドに圧接する摩擦部材と、
前記流体室への前記流体の充填および前記流体室からの前記流体の排出を行なう流体給排部と、
地震を検知する地震検知部と、
前記地震検知部による地震の検知に基づいて前記流体給排部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする建物本体の支持構造。 - 前記ロッドは単一で、
前記ロッド挿通孔は、前記摩擦部材の中心に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の建物本体の支持構造。 - 前記ロッドは互いに間隔をおいて複数設けられ、
前記ロッド挿通孔は、単一で前記摩擦部材の中央部に前記複数のロッドが挿通される大きさで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の建物本体の支持構造。 - 前記地震検知部は、地震の初期微動であるP波を検出するP波検出器を備え、
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器で検出された前記P波の加速度が予め定められた充填開始しきい値を上回ったならば、前記流体給排部による前記流体室への前記流体の充填を行なうことでなされる、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の建物本体の支持構造。 - 前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記P波検出器によって検出される前記P波の加速度が大きいほど、前記流体給排部によって前記流体室へ充填される前記流体の量を増加させるようになされる、
ことを特徴とする請求項4記載の建物本体の支持構造。 - 前記地震検知部は、前記P波に遅れて到達する地震の主要動であるS波を検出するS波検出器をさらに備え、
前記制御部による前記流体給排部の制御は、前記流体室への前記流体の充填後、前記S波検出器によって検出される前記S波の加速度が予め定められた充填解除しきい値を下回った状態が予め定められた解除判定時間以上継続したならば、前記流体給排部による前記流体の前記流体室への充填を停止し前記流体室から前記流体の排出を行なうようになされる、
ことを特徴とする請求項4または5記載の建物本体の支持構造。 - 前記基礎梁と前記柱脚との間に、前記基礎梁に対して前記柱脚の上方への変位を許容しつつ前記柱脚の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、
前記抵抗機構は、前記位置決め部の内側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の建物本体の支持構造。 - 前記位置決め部は、前記基礎梁の上面に取着され、その上部が前記柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中空状の柱脚キャップを含んで構成され、
前記抵抗機構は、前記柱脚キャップの内側を通って設けられている、
ことを特徴とする請求項7記載の建物本体の支持構造。 - 前記基礎梁と前記柱脚との間に、前記基礎梁に対して前記柱脚の上方への変位を許容しつつ前記柱脚の水平方向の位置決めを行なう位置決め部が設けられ、
前記抵抗機構は、前記位置決め部と前記柱脚部とにわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の建物本体の支持構造。 - 前記位置決め部は、前記基礎梁の上面に取着されその上部が前記柱脚部にはめ込まれ前記基礎梁の上面から上方に離れるにつれて断面積が次第に小さくなる中実状の柱脚キャップを含んで構成され、
前記抵抗機構は、前記柱脚キャップの上面と前記柱脚部とにわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項9記載の建物本体の支持構造。
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