JP7323483B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents

排ガス浄化装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7323483B2
JP7323483B2 JP2020039500A JP2020039500A JP7323483B2 JP 7323483 B2 JP7323483 B2 JP 7323483B2 JP 2020039500 A JP2020039500 A JP 2020039500A JP 2020039500 A JP2020039500 A JP 2020039500A JP 7323483 B2 JP7323483 B2 JP 7323483B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outflow
catalyst layer
cell
partition wall
inflow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020039500A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021137766A (ja
Inventor
幸司 杉浦
寛真 西岡
直人 三好
あけみ 佐藤
啓介 村脇
雅俊 池部
貴也 太田
諒太 中島
浩隆 小里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cataler Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Cataler Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cataler Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Cataler Corp
Priority to JP2020039500A priority Critical patent/JP7323483B2/ja
Publication of JP2021137766A publication Critical patent/JP2021137766A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7323483B2 publication Critical patent/JP7323483B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ウォールフロー構造のフィルタに触媒が設けられた排ガス浄化装置に関する。
自動車等における内燃機関から排出される排ガスには、大気汚染の原因となる炭素を主成分とする粒子状物質(PM:Particulate Matter、以下では「PM」と略すことがある。)や不燃成分であるアッシュ等が含まれている。PMを排ガスから捕集して除去するためのフィルタとして、ウォールフロー構造のフィルタが広く用いられている。
ウォールフロー構造のフィルタは、通常、ハニカム基材を備え、ハニカム基材が流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する多孔質の隔壁を有し、複数のセルが隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含んでいる。そして、流入セルは、流入側端が開口し、流出側端が封止され、流出セルは、流入側端が封止され、流出側端が開口している。このため、流入セルに流入側端から流入した排ガスは隔壁を透過することで流出セルに流入し、流出セルの流出側端から排出される。そして、排ガスが隔壁を透過する時に、PMが隔壁の気孔内に捕集される。ウォールフロー構造のフィルタとしては、例えば、ディーゼルエンジン用のディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)やガソリンエンジン用のガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)等が知られている。
一方、排ガスには、PMの他に、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等の有害成分が含まれている。有害成分は、貴金属触媒等の触媒を塗布したフィルタによって排ガスから除去できる。このため、近年、PM及び有害成分の両方を排ガスから除去するために、ウォールフロー構造のフィルタに触媒が設けられた排ガス浄化装置が用いられている。
ウォールフロー構造のフィルタに触媒が設けられた排ガス浄化装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、隔壁の内部であって流出セルに面する領域の少なくとも一部に、隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで設けられている触媒層を備える、排ガス浄化装置が知られている。
国際公開第2018/173557号
このようなウォールフロー構造のフィルタに触媒が設けられた排ガス浄化装置では、流入セルに流入側端から流入した排ガスが隔壁を透過することで流出セルに流入する際に、排ガスが隔壁の流出側端に近い領域に偏って隔壁を透過し、隔壁の延伸方向に隔壁を透過する排ガスの流量分布が生じることになる。特に、GPFは、DPFと比較して隔壁の透過率が高いために、隔壁の延伸方向に隔壁を透過する排ガスの流量分布が顕著に生じ易い。
排ガスが隔壁の流出側端に近い領域に偏って隔壁を透過し、隔壁の延伸方向に隔壁を透過する排ガスの流量分布が生じる場合には、隔壁の流出側端に近い触媒層では、排ガスの透過流量が多過ぎることで、排ガスを十分に浄化することができず、隔壁の流出側端から離れた触媒層では、浄化可能な最大の透過流量よりずっと少ない流量だけしか排ガスを透過させることができない結果、浄化性能が不十分となることがあった。
これに対し、排ガスの浄化性能の不足を補うために、単純に触媒層の密度を大きくすることで隔壁の流出側端に近い領域での排ガス及び触媒層の接触性を高めようとする場合には、浄化性能を向上させることができたとしても、隔壁の排ガスの透過率が低下し、圧力損失が大きくなるおそれがある。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浄化性能を向上することができ、かつ圧力損失を抑制することができる排ガス浄化装置を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明の排ガス浄化装置は、ハニカム基材と流出セル側触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、上記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する多孔質の隔壁を有し、上記複数のセルは、上記隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含み、上記流入セルは、流入側端が開口し、流出側端が封止され、上記流出セルは、流入側端が封止され、流出側端が開口し、上記流出セル側触媒層は、上記隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで延在する流出セル側触媒領域における上記流出セル側の内部領域に設けられ、上記隔壁の上記流出セル側触媒領域及び上記流出セル側触媒層を含む流出側隔壁部のガス透過係数は、上記隔壁の上記所定位置から流出側端に向かって低下することを特徴とする。
本発明によれば、浄化性能を向上することができ、かつ圧力損失を抑制することができる。
実施形態の排ガス浄化装置の一例を概略的に示す斜視図である。 図1に示す排ガス浄化装置におけるセルの延伸方向に平行な断面の要部を概略的に示す断面図である。 (a)~(c)は、図2に示す流出側隔壁部における第1触媒層の配置領域、第2触媒層の配置領域、及び第3触媒層の配置領域をそれぞれ表す断面写真である。 (a)は、実施例の排ガス浄化装置を概略的に示す断面図であり、(b)は、比較例の排ガス浄化装置を概略的に示す断面図である。 実施例及び比較例の排ガス浄化装置のNOx50%浄化温度を示すグラフである。 (a)は、実施例の排ガス浄化装置の内部を排ガスが流れる様子を概略的に示す断面図であり、(b)は、比較例の排ガス浄化装置の内部を排ガスが流れる様子を概略的に示す断面図である。
本発明の排ガス浄化装置の実施形態は、ハニカム基材と流出セル側触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、上記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する多孔質の隔壁を有し、上記複数のセルは、上記隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含み、上記流入セルは、流入側端が開口し、流出側端が封止され、上記流出セルは、流入側端が封止され、流出側端が開口し、上記流出セル側触媒層は、上記隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで延在する流出セル側触媒領域における上記流出セル側の内部領域に設けられ、上記隔壁の上記流出セル側触媒領域及び上記流出セル側触媒層を含む流出側隔壁部のガス透過係数は、上記隔壁の上記所定位置から流出側端に向かって低下することを特徴とする。
ここで、「流入側」とは、排ガス浄化装置において排ガスが流入する側を指し、「流出側」とは、排ガス浄化装置において排ガスが流出する側を指す。
実施形態において、隔壁の延伸方向は、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向と略同一であり、セルの延伸方向は、特に限定されないが、通常、隔壁の延伸方向と略同一である。以下の説明では、「延伸方向」とは、隔壁及びセルの延伸方向、すなわち流入側及び流出側が対向する方向であって、ハニカム基材の軸方向と略同一の方向を指す。
まず、実施形態の排ガス浄化装置の概略について、例示して説明する。図1は、実施形態の排ガス浄化装置の一例を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示す排ガス浄化装置におけるセルの延伸方向に平行な断面の要部を概略的に示す断面図である。
図1及び図2に示されるように、本例の排ガス浄化装置1は、ハニカム基材10と封止部16と流出セル側触媒層30と流入セル側触媒層40とを備えている。ハニカム基材10は、円筒状の枠部11と枠部11の内側の空間をハニカム状に仕切る隔壁14とが一体形成された基材である。隔壁14は、ハニカム基材10の流入側端面10Saから流出側端面10Sbまで延びる複数のセル12を画成する多孔質体である。隔壁14の形状は、複数のセル12の延伸方向に垂直な断面が正方形になるように、互いに離間して平行に配置される複数の壁部14Lと、これらの複数の壁部14Lと直行しかつ互いに離間して平行に配置される複数の壁部14Sとを含み、延伸方向に垂直な断面が格子状となっている。
複数のセル12は、隔壁14を挟んで隣接する流入セル12A及び流出セル12Bを含んでいる。流入セル12Aは、流入側端12Aaが開口し、流出側端12Abが封止部16により封止されており、流出セル12Bは、流入側端12Baが封止部16により封止され、流出側端12Bbが開口している。なお、流入セル12Aの延伸方向に垂直な断面形状は、延伸方向で一定である。
流出セル側触媒層30は、隔壁14の流出側端14bから流入側の所定位置14mまで延在する流出セル側触媒領域14Rbにおける流出セル側の内部領域14NBに設けられている。流出セル側触媒層30は、隔壁14の所定位置14mから流出側端14bに向かって順番に設けられた第1触媒層30A、第2触媒層30B、及び第3触媒層30Cを含有している。第1触媒層30A、第2触媒層30B、及び第3触媒層30Cは、触媒金属粒子(図示せず)とそれを担持する担体(図示せず)とを含有している。
流出セル側触媒層30では、密度及び厚さが第1触媒層30A、第2触媒層30B、及び第3触媒層30Cの順に増加している。この結果、隔壁14の流出セル側触媒領域14Rb及び流出セル側触媒層30を含む流出側隔壁部では、ガス透過係数が、第1触媒層30Aの配置領域、第2触媒層30Bの配置領域、及び第3触媒層30Cの配置領域の順に低下している。これにより、隔壁14の流出側隔壁部のガス透過係数が、隔壁14の所定位置14mから流出側端14bに向かって順に低下している。
なお、図3(a)~図3(c)は、図2に示す流出側隔壁部における第1触媒層の配置領域、第2触媒層の配置領域、及び第3触媒層の配置領域をそれぞれ表す断面写真である。
流入セル側触媒層40は、隔壁14の流入側端14aから流出側に向かって所定位置14mより流出側の位置まで延在する流入セル側触媒領域14Raにおける流入セル側の表面14SAに設けられている。流入セル側触媒層40は、触媒金属粒子(図示せず)とそれを担持する担体(図示せず)とを含有している。
本例の排ガス浄化装置1では、隔壁14の流出セル側触媒領域14Rb及び流出セル側触媒層30を含む流出側隔壁部において、ガス透過係数が、第1触媒層30Aの配置領域、第2触媒層30Bの配置領域、及び第3触媒層30Cの配置領域の順に低下している。これにより、隔壁14の流出側隔壁部のガス透過係数が、隔壁14の所定位置14mから流出側端14bに向かって順に低下している。このため、流出側隔壁部のガス透過係数が延伸方向で一定となっている場合と比較して、図2に示されるように、流入側端14aから流入セル12Aに流入した排ガスが隔壁14の流出側端14bに近い領域に偏って隔壁14を透過することを抑制し、隔壁14の延伸方向に隔壁14を透過する排ガスの流量分布が生じることを抑制することができる。この結果、流出セル側触媒層30では、隔壁14の流出側端14bに近い触媒層における排ガスの透過流量が浄化できないほど過剰となることを抑制でき、隔壁14の流出側端14bから離れた触媒層における排ガスの透過流量を該触媒層の浄化性能が十分に発揮される流量とすることができる。よって、流出セル側触媒層30の密度を大きくすることなく、浄化性能を向上させることができる。
従って、実施形態の排ガス浄化装置では、上記の例と同様に、流出セル側触媒層の密度を大きくすることなく、浄化性能を向上させることができる。このため、浄化性能を向上することができ、かつ圧力損失を抑制することができる
続いて、実施形態の排ガス浄化装置の各構成を詳細に説明する。
1.流出側隔壁部
流出側隔壁部は、上記隔壁の上記流出セル側触媒領域及び上記流出セル側触媒層を含む。隔壁の流出セル側触媒領域は、上記隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで延在する領域である。流出セル側触媒層は、流出セル側触媒領域における上記流出セル側の内部領域に設けられている。流出側隔壁部のガス透過係数は、上記隔壁の上記所定位置から流出側端に向かって低下する。
ここで、「ガス透過係数」とは、ダルシーの透過係数を意味し、下記式で算出されるものを指す。
[数1]
K=QVT/AM
(但し、K=ガス透過係数(m)、Q=ガスの流量(単位:m/sec)、V=ガスの粘度(単位:Pa・sec)、T=隔壁部の厚さ(単位:m)、A=隔壁部におけるガスを透過させる部分のガス透過方向に垂直な断面積(単位:m)、M=隔壁部にガスを流量Qで流して透過させる場合における隔壁部のガスが流入する側と流出する側の差圧(単位:Pa))
ガス透過係数の測定方法は、特に限定されないが、例えば、市販のパームポロメータ(例えば、PMI社(Porous Materials Inc.)製パームポロメータ)を用いて、ガス圧を変化させながら、25℃の空気を1L/min~200L/minの流量で隔壁部の10mm角の部分(隔壁部におけるガスを透過させる部分)を透過させる場合において、隔壁部のガスが流入する側と流出する側の差圧が10kPaとなる時の空気の流量を測定し、測定した空気の流量を用いて上記式から算出する方法等が挙げられる。
流出側隔壁部のガス透過係数は、流出側隔壁部にガスを厚さ方向に流して透過させる場合におけるガスの流量及び流出側隔壁部のガスが流入する側と流出する側の差圧から求められるものを指す。
流出側隔壁部としては、隔壁の流出セル側触媒領域及び流出セル側触媒層を含み、ガス透過係数が隔壁の所定位置から流出側端に向かって低下するものであれば特に限定されないが、例えば、触媒層の密度が隔壁の所定位置から流出側端に向かって増加するもの等が好ましく、中でも、図1に示される流出側隔壁部のように、隔壁の所定位置から流出側端に向かって順番に設けられた複数の触媒層を含有する流出セル側触媒層を含み、流出セル側触媒層に含有される複数の触媒層の密度が隔壁の流出側端に近い順に増加しているもの等が好ましい。
なお、流出側隔壁部の延伸方向の長さは、隔壁の流出セル側触媒領域及び流出セル側触媒層の延伸方向の長さと一致し、隔壁の流出側端から流入側の所定位置までの延伸方向の長さを指す。
以下、流出側隔壁部に含まれる隔壁及び流出セル側触媒層について説明する。なお、隔壁については、ハニカム基材が有するものであるため、ハニカム基材の一部として説明する。
(1)ハニカム基材
上記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する多孔質の隔壁を有する。そして、上記複数のセルは、上記隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含み、上記流入セルは、流入側端が開口し、流出側端が封止され、上記流出セルは、流入側端が封止され、流出側端が開口している。
ハニカム基材は、枠部と枠部の内側の空間をハニカム状に区切る隔壁とが一体形成された基材である。
ハニカム基材の軸方向の長さは、特に限定されず、一般的な長さを用いることができるが、例えば、30mm以上500mm以下の範囲内が好ましく、中でも50mm以上300mm以下の範囲内が好ましい。ハニカム基材の容量、すなわち、セルの総体積は、特に限定されず、一般的な容量を用いることができるが、例えば、0.1L以上5L以下の範囲内が好ましい。
ハニカム基材の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、コージェライト、炭化ケイ素(SiC)、チタン酸アルミニウム等のセラミックス、ステンレス等の合金等が挙げられる。
枠部の形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができるが、例えば、円筒形の他、楕円筒形、多角筒形等の筒形が挙げられる。枠部の他の構成は、特に限定されず、一般的な構成を用いることができる。
隔壁の形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができる。隔壁の延伸方向の全長は、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向の長さと略同一となる。隔壁の厚さは、特に限定されず、一般的な厚さを用いることができるが、例えば、50μm以上2000μm以下の範囲内が好ましく、中でも100μm以上1000μm以下の範囲内が好ましい。隔壁の厚さがこれらの範囲内であることにより、基材の強度を確保しつつ、十分なPMの捕集性能を得ることができ、圧力損失を十分に抑制できるからである。
隔壁は排ガスが透過可能な多孔質構造を有する。隔壁の気孔率は、特に限定されず、一般的な気孔率を用いることができるが、例えば、40%以上70%以下の範囲内が好ましく、中でも50%以上70%以下の範囲内が好ましい。気孔率がこれらの範囲の下限以上であることにより、圧力損失を効果的に抑制できるからであり、気孔率がこれらの範囲の上限以下であることにより、十分な機械的強度を確保できるからである。隔壁の気孔の平均細孔径は、特に限定されず、一般的な平均細孔径を用いることができるが、例えば、1μm以上60μm以下の範囲内が好ましく、中でも5μm以上30μm以下の範囲内が好ましい。気孔の平均細孔径がこれらの範囲内であることにより、十分なPMの捕集性能を得ることができ、圧力損失を十分に抑制できるからである。なお、「隔壁の気孔の平均細孔径」は、例えば、パームポロメータを用いたバブルポイント法により測定されたものを指す。
流入セル及び流出セルは、枠部の内側の空間を隔壁が区切ることで形成されたものであり、隔壁を挟んで隣接する。流入セル及び流出セルは、通常、延伸方向に垂直な方向が隔壁で囲まれている。
流入セルは、通常、流出側端が封止部により封止されている。流出セルは、通常、流入側端が封止部により封止されている。封止部の延伸方向の長さは、特に限定されず、一般的な長さでよいが、例えば、2mm以上20mm以下の範囲内が好ましい。封止部の材料は、特に限定されず、一般的な材料でよい。
流入セル及び流出セルの延伸方向に垂直な断面形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができ、排ガス浄化装置を透過する排ガスの流量及び成分等を考慮して適宜設定することができる。断面形状としては、例えば、正方形等の矩形、六角形等を含む多角形、円形等が挙げられる。流入セル及び流出セルの延伸方向に垂直な断面積は、特に限定されず、一般的な断面積を用いることができるが、例えば、1mm以上7mm以下の範囲内である。流入セル及び流出セルの延伸方向の長さは、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向の長さから封止部の延伸方向の長さを差し引いた長さと略同一となる。流入セル及び流出セルの配置態様は、第1例及び第2例における配置態様のように、流入セル及び流出セルを交互に配置する市松模様のような態様等が挙げられる。
(2)流出セル側触媒層
流出セル側触媒層は、上記隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで延在する流出セル側触媒領域における上記流出セル側の内部領域に設けられている。
流出セル側触媒層としては、流出側隔壁部のガス透過係数が隔壁の所定位置から流出側端に向かって低下するものであれば特に限定されないが、例えば、隔壁の所定位置から流出側端に向かって順番に設けられた複数の触媒層を含有し、複数の触媒層の密度が隔壁の流出側端に近い順に増加しているものが挙げられる。具体的には、例えば、図1に示される流出セル側触媒層のように、隔壁の所定位置から流出側端に向かって順番に設けられた第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層を含有し、密度が第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層の順に増加しているものでもよいし、隔壁の所定位置から流出側端に向かって順番に設けられた第1触媒層及び第2触媒層を含有し、密度が第1触媒層及び第2触媒層の順に増加しているものでもよい。
流出セル側触媒層の延伸方向の長さは、隔壁の延伸方向の全長以下の範囲内であれば特に限定されないが、例えば、隔壁の延伸方向の全長の20/100以上100/100以下の範囲内が好ましい。長さがこの範囲内であることにより、浄化性能の向上及び圧力損失の抑制が顕著となるからである。
流出セル側触媒層が第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層を含有するものである場合には、第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層の延伸方向の長さの比は、特に限定されないが、例えば、第3触媒層の延伸方向の長さに対する第1触媒層の延伸方向の長さの比が、1/5以上4/5以下の範囲内であり、第3触媒層の延伸方向の長さに対する第2触媒層の延伸方向の長さの比が、1/5以上4/5以下の範囲内であるものが好ましい。浄化性能の向上及び圧力損失の抑制が顕著となるからである。
流出セル側触媒層の密度は、特に限定されず、一般的な密度を用いることができるが、例えば、20g/L以上200g/L以下の範囲内が好ましい。密度がこの範囲の下限以上であることにより、浄化性能を十分に向上できるからであり、密度がこの範囲の上限以下であることにより、圧力損失を十分に抑制できるからである。なお、触媒層の密度とは、触媒層の合計の質量を、触媒層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
流出セル側触媒層が第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層を含有するものである場合には、第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層の密度の比は、密度が第1触媒層から第3触媒層の順に増加するものであれば特に限定されないが、例えば、第3触媒層の密度に対する第1触媒層の密度の比が1/5以上3/5以下の範囲内であり、第3触媒層の密度に対する第2触媒層の密度の比が2/5以上4/5以下の範囲内であるものが好ましい。流出セル側触媒層における隔壁の流出側端に近い触媒層の密度が所定の下限以上となり、隔壁の流出側端から離れた触媒層の密度が所定の上限以下となることで、隔壁の流出側端に近い触媒層における排ガスの透過流量が浄化できないほど過剰となることを抑制でき、隔壁の流出側端から離れた触媒層における排ガスの透過流量を該触媒層の浄化性能が十分に発揮される流量とすることができるからである。さらに、流出セル側触媒層における隔壁の流出側端に近い触媒層の密度が所定の上限以下となり、隔壁の流出側端から離れた触媒層の密度が所定の下限以上となることで、隔壁の流出側端に近い触媒層における排ガスの透過流量が過剰に抑制されることを回避でき、隔壁の流出側端から離れた触媒層における排ガスの透過流量が浄化できないほど過剰となることを抑制できるからである。
流出セル側触媒層の厚さは、特に限定されず、一般的な厚さを用いることができるが、例えば、隔壁の厚さの50/100以上100/100以下の範囲内が好ましい。厚さがこれらの範囲の下限以上であることにより、排ガスが隔壁を通過する際に触媒層と排ガスの接触頻度を確保できるからである。
流出セル側触媒層が第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層を含有するものである場合には、第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層の厚さの組み合わせは、特に限定されないが、例えば、第1触媒層、第2触媒層、及び第3触媒層の順に増加しているものが好ましく、中でも、第1触媒層の厚さが隔壁の厚さの10/100以上60/100以下の範囲内であり、第2触媒層の厚さが隔壁の厚さの30/100以上80/100以下の範囲内であり、第3触媒層の厚さが隔壁の厚さの50/100以上100/100以下の範囲内であるものが好ましい。各触媒層の厚さがこれらの範囲内であることにより、浄化性能の向上及び圧力損失の抑制の点で有利となるからである。
流出セル側触媒層は、通常、触媒金属粒子と触媒金属粒子を担持する担体とを含有する。流出セル側触媒層は、例えば、触媒金属粒子を担持した触媒付担体が隔壁の内部領域の気孔内に配置されることで構成されたものである。触媒金属粒子を担体に担持させる方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、触媒金属粒子塩(例えば、硝酸塩等)又は触媒金属粒子錯体(例えば、テトラアンミン錯体等)を含有する水溶液に担体を含浸させた後、乾燥して焼成する方法等が挙げられる。
触媒金属粒子の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)等の貴金属等が挙げられる。触媒金属粒子の材料は、1種の金属又は2種以上の金属でもよいし、2種以上の金属を含有する合金でもよい。触媒金属粒子の材料としては、Rhが好ましい。
触媒金属粒子の平均粒径は、特に限定されず、一般的な平均粒径を用いることができるが、例えば、0.1nm以上20nm以下の範囲内が好ましい。平均粒径がこの範囲の上限以下であることにより、排ガスとの接触面積を大きくできるからである。なお、触媒金属粒子の平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される粒径から求められる平均値を指す。
触媒金属粒子の基材の体積1L当たりの含有量は、特に限定されず、一般的な含有量を用いることができるが、触媒金属粒子の材料によって異なり、例えば、材料がRh、Pd、又はPtである場合には、0.01g以上2g以下の範囲内が好ましい。含有量がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、含有量がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。ここで、「触媒金属粒子の基材の体積1L当たりの含有量」とは、触媒層に含有される触媒金属粒子の質量を、触媒層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
担体の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、シリカ(SiO)、マグネシア(MgO)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物、又は例えば、セリア-ジルコニア(CeO-ZrO)複合酸化物等のようなこれらの固溶体等が挙げられる。担体の材料としては、これらのうちの1種でも2種以上でもよい。担体の材料としては、アルミナ及びセリア-ジルコニア複合酸化物等の少なくとも1種が好ましい。担体の形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができるが、粉末状が好ましい。より大きい比表面積を確保できるからである。
粉末状の担体の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上4μm以下の範囲内が好ましい。平均粒径がこの範囲の下限以上であることにより、十分な耐熱特性を得ることができるからである。平均粒径がこの範囲の上限以下であることにより、流出セル側触媒層を形成するために粉末状の担体を含むスラリーを隔壁の内部領域に供給する時にスラリーを隔壁の内部領域に浸透させることができるからである。なお、「粉末状の担体の平均粒径」は、例えば、レーザ回折・散乱法により求められる平均粒径を指す。
触媒金属粒子及び担体の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比は、特に限定されず、一般的な質量比を用いることができるが、例えば、0.01質量%以上10質量%以下の範囲内が好ましい。質量比がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、質量比がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。
流出セル側触媒層の形成方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリーを隔壁の流出セル側触媒領域における流出セル側の内部領域に供給した後に、乾燥して焼成する方法が挙げられる。
スラリーは、通常、溶媒の他に触媒金属粒子及び担体を含む。スラリーは、さらにバインダ及び添加剤等の任意の成分を含んでもよい。溶媒は、特に限定されず、一般的な溶媒を用いることができるが、例えば、イオン交換水等の水、水溶性有機溶媒、又は水及び水溶性有機溶媒の混合物等が挙げられる。スラリーの固形分濃度及び粘度等の性状並びにスラリーの各成分の形状及び粒径等は、スラリーが隔壁の内部に浸透するように適宜調整してもよい。
スラリーを隔壁の流出セル側触媒領域における流出セル側の内部領域に供給する方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリー中にハニカム基材を流出側端面側から浸漬し、所定の時間が経過した後、スラリーから取り出す方法等が挙げられる。スラリーを隔壁に供給した後に、乾燥し、焼成する方法において、乾燥条件及び焼成条件は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。
なお、流出セル側触媒層の密度、厚さ、及び気孔率等の性状は、スラリーの供給量、スラリーの性状、スラリーの各成分の形状、粒径、及び含有量、乾燥条件、並びに焼成条件等により調製できる。
2.流入セル側触媒層
排ガス浄化装置は、特に限定されないが、例えば、図1に示される排ガス浄化装置のように、隔壁の流入側端から流出側に向かって延在する流入セル側触媒領域における流入セル側の表面上に設けられた流入セル側触媒層をさらに備えるものでもよい。これにより、排ガスが隔壁における触媒層が形成されていない部分を透過することを抑制できる。
流入セル側触媒層の延伸方向の長さは、特に限定されないが、例えば、隔壁の延伸方向の全長から流出セル側触媒層の延伸方向の長さを差し引いた長さ以上かつ該長さに隔壁の延伸方向の全長の30/100を加えた長さ以下の範囲内が好ましい。長さがこの範囲の下限以上であることにより、排ガスが隔壁における触媒層が形成されていない部分を透過することを効果的に抑制できるからである。長さがこの範囲の上限以下であることにより、隔壁における流入セル側触媒領域及び流出セル側触媒領域の重複領域を排ガスが透過する速度が低下することで浄化性能の低下及び圧力損失の増大を招くことを抑制できるからである。
流入セル側触媒層の密度は、特に限定されず、一般的な密度を用いることができるが、例えば、30g/L以上350g/L以下の範囲内が好ましい。密度がこの範囲の下限以上であることにより、浄化性能を効果的に向上できるからである。密度がこの範囲の上限以下であることにより、圧力損失を効果的に抑制できるからである。
流入セル側触媒層の厚さは、特に限定されず、一般的な厚さを用いることができるが、例えば、隔壁の厚さの5/100以上50/100以下の範囲が好ましい。厚さがこの範囲の下限以上であることにより、隔璧の流入セル側触媒領域及び流入セル側触媒層を含む隔壁部を排ガスが透過することを効果的に抑制できるからである。厚さがこの範囲の上限以下であることにより、圧力損失を顕著に抑制できるからである。
流入セル側触媒層は、通常、触媒金属粒子と触媒金属粒子を担持する担体とを含有する。流入セル側触媒層は、例えば、触媒金属粒子を担持した触媒付担体の多孔質焼結体である。触媒金属粒子を担体に担持させる方法については、流出セル側触媒層における触媒金属粒子を担体に担持させる方法と同様であるためここでの説明を省略する。
触媒金属粒子の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)等の貴金属等が挙げられる。触媒金属粒子の材料は、1種の金属又は2種以上の金属でもよいし、2種以上の金属を含有する合金でもよい。触媒金属粒子の材料としては、Pd及びPt等の少なくとも1種が好ましい。
触媒金属粒子の平均粒径は、特に限定されず、流出セル側触媒層における触媒金属粒子の平均粒径と同様であるためここでの説明を省略する。
触媒金属粒子の基材の体積1L当たりの含有量は、特に限定されず、一般的な含有量を用いることができるが、触媒金属粒子の材料によって異なり、例えば、材料がPd、Pt、又はRhである場合には、ハニカム基材の1L当たり0.05g以上5g以下の範囲内が好ましい。含有量がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、含有量がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。
担体の材料及び形状については、特に限定されず、流出セル側触媒層における担体の材料及び形状と同様であるためここでの説明を省略する。粉末状の担体の平均粒径は、特に限定されないが、例えば1μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。平均粒径がこの範囲の下限以上であることにより、十分な耐熱特性が得られるからであり、平均粒径がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の分散性を十分に確保することで浄化性能を効果的に向上できるからである。
触媒金属粒子及び担体の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比については、流出セル側触媒層における触媒金属粒子及び担体の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比と同様であるためここでの説明を省略する。
流入セル側触媒層の形成方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリーを隔壁の流入セル側触媒領域における流入セル側の表面上に供給した後に、乾燥して焼成する方法が挙げられる。
スラリーは、通常、溶媒の他に触媒金属粒子及び担体を含む。スラリーは、さらにバインダ及び添加剤等の任意の成分を含んでもよい。溶媒は、特に限定されず、一般的な溶媒を用いることができるが、例えば、イオン交換水等の水、水溶性有機溶媒、又は水及び水溶性有機溶媒の混合物等が挙げられる。スラリーの固形分濃度及び粘度等の性状並びにスラリーの各成分の形状及び粒径等は、スラリーが隔壁の内部に浸透しないように適宜調整してもよい。
スラリーを隔壁の流入セル側触媒領域における流入セル側の表面上に供給する方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリー中にハニカム基材を流入側端面側から浸漬し、所定の時間が経過した後、スラリーから取り出す方法等が挙げられる。この方法では、スラリーが隔壁の内部に浸透しないように、流出セルを加圧して流出セル及び流入セルの間に圧力差を生じさせてもよい。スラリーを隔壁に供給した後に、乾燥し、焼成する方法において、乾燥条件及び焼成条件は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。
なお、流入セル側触媒層の密度、厚さ、及び気孔率等の性状は、スラリーの供給量、スラリーの性状、スラリーの各成分の形状、粒径、及び含有量、乾燥条件、並びに焼成条件等により調製できる。
3.排ガス浄化装置
排ガス浄化装置は、ハニカム基材と流出セル側触媒層と流入セル側触媒層とを備える場合には、流入セル側触媒層がPt(白金)及びPd(パラジウム)の少なくとも1種を含有する触媒金属粒子を含み、流出セル側触媒層がRh(ロジウム)を含有する触媒金属粒子を含むものが好ましい。リッチ雰囲気の排ガスのHC(炭化水素)を流入セル側触媒層に含まれるPt及びPdの少なくとも1種で効率的に酸化できるので、流出セル側触媒層がCeを起点としてHCで被毒されることを、抑制できるからである。また、そのHCをPt及びPdの少なくとも1種で酸化する場合には、Rhで酸化する場合よりも発熱が大きくかつHOの生成量が多いのに加え、Rhの水蒸気改質能はPt及びPdよりも高いので、そのHCを流出セル側触媒層で効率的に改質できるからである。該排ガス浄化装置としては、中でも、流入セル側触媒層がPtを含有する触媒金属を含むものが好ましい。より効果的に浄化性能を向上できるからである。
なお、排ガス浄化装置は、通常、流入セルの流出端及び流出セルの流入側端を封止する封止部をさらに備える。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本実施形態に係る排ガス浄化装置をさらに具体的に説明する。
[実施例]
図4(a)に示す触媒付きのGPFの排ガス浄化装置1を作製した。具体的には、まず、ハニカム基材10と封止部16とを備え、流入セル12Aの流出側端12Abが封止部16により封止され、流出セル12Bの流入側端12Baが封止部16により封止された、触媒がコートされていないフィルタを準備した。ハニカム基材10及び封止部16の材質及び寸法等は、下記の通りである。
(ハニカム基材及び封止部)
ハニカム基材の材質:コージェライト
ハニカム基材の形状:円柱型
ハニカム基材のサイズ:外径×軸方向の長さ=117mm×122mm
隔壁の厚さ:10minch
隔壁の気孔率:約63%
セル密度:1平方インチ当たり300個
封止部の延伸方向の長さ:4mm
次に、アルミナから構成される粉末状の担体(平均粒径:0.1μm~1μmの範囲内)にRh(ロジウム)から構成される触媒金属粒子を担持させた触媒付担体と溶媒とを混合することで、流出セル側触媒層用スラリーを準備した。
次に、流出セル側触媒層用スラリーを、隔壁14の流出側端14bから流入側に向かって隔壁14の延伸方向の長さの80%延在する領域(流出セル側触媒領域)における流出セル12B側の内部領域14NBに対し、コート量(塗布領域の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の領域の体積1L当たりの担体及び触媒金属粒子の合計の塗布量)が42.5g/Lとなるように塗布した後に、乾燥して焼成した。この際には、流出セル12Bを流出側端12Bbから加圧することで、スラリーを隔壁14の内部領域14NBに浸透させた。次に、流出セル側触媒層用スラリーを、隔壁14の流出側端14bから流入側に向かって隔壁14の延伸方向の長さの60%延在する領域における流出セル12B側の内部領域14NBに対し、コート量が20g/Lとなるように塗布した後に、乾燥して焼成した。この際には、流出セル12Bを流出側端12Bbから加圧することで、スラリーを1回目の塗布よりも奥まで浸透させた。次に、流出セル側触媒層用スラリーを、隔壁14の流出側端14bから流入側に向かって隔壁14の延伸方向の長さの40%延在する領域における流出セル12B側の内部領域14NBに対し、コート量が20g/Lとなるように塗布した後に、乾燥して焼成した。この際には、流出セル12Bを流出側端12Bbから加圧することで、スラリーを2回目の塗布よりも奥まで浸透させた。これにより、流出セル側触媒層30を形成した。なお、合計コート量(ハニカム基材全体の体積1L当たりの担体及び触媒金属粒子の合計の塗布量)は54g/Lであり、ハニカム基材全体の体積1L当たりの触媒金属粒子の含有量は0.4g/Lである。
流出セル側触媒層30は、隔壁14の流入側から流出側端14bに向かって順番に設けられた第1触媒層30A、第2触媒層30B、及び第3触媒層30Cを含んでいる。第1触媒層30Aは、上述した1回目の塗布及び焼成で形成された触媒層のみを含んでおり、第2触媒層30Bは、上述した1回目及び2回目の塗布及び焼成で形成された触媒層を含んでおり、第3触媒層30Cは、上述した1回目、2回目、及び3回目の塗布及び焼成で形成された触媒層を含んでいる。
次に、アルミナから構成される粉末状の担体(平均粒径:1μm~10μmの範囲内)と溶媒とを混合することで、流入セル側触媒層用スラリーを準備した。なお、流入セル側触媒層用スラリーには触媒金属粒子を混合しなかった。
次に、流入セル側触媒層用スラリーを、隔壁14の流入側端14aから流出側に向かって隔壁14の延伸方向の長さの40%延在する領域(流入セル側触媒領域)における流入セル12A側の表面14SA上に対し、コート量が50g/Lとなるように供給した後に、乾燥して焼成した。これにより、流入セル側触媒層40を形成した。以上により、排ガス浄化装置1を作製した。
[比較例]
図4(b)に示す触媒付きのGPFの排ガス浄化装置1を作製した。具体的には、流出セル側触媒層30を形成する際に、まず、流出セル側触媒層用スラリーを、隔壁14の流出側端14bから流入側に向かって隔壁14の延伸方向の長さの80%延在する領域(流出セル側触媒領域)における流出セル12B側の内部領域14NBに対し、コート量が67.5g/Lとなるように塗布した後に、乾燥して焼成した。これにより、流出セル側触媒層30(厚さ:隔壁14の厚さの6/10)を形成した。以上の点を除いて実施例1と同様の方法により、排ガス浄化装置1を作製した。
[排ガス浄化装置の浄化性能の比較]
実施例及び比較例の排ガス浄化装置について、NOx50%浄化温度を測定した。
排ガス浄化装置をガソリンエンジンベンチの排気系に設置した後に、まず、前処理として、ストイキの雰囲気の排ガスを触媒床温700℃で15分にわたり流す処理を行った。
次に、上記の排気系のエンジン条件を固定して、上記の排気系に設置した排ガス浄化触媒装置に対して、ストイキの雰囲気の排ガスを35g/secの流量で流しながら、排ガス浄化装置の上流に取り付けた熱交換器を用いることで、入りガス温度を200℃から650℃まで20℃/minの昇温速度で上昇させた。各入りガス温度で入りガス及び出ガスのNOx濃度を測定してNOx浄化率を算出し、NOxが50%浄化された時点の入りガスの温度をNOx50%浄化温度として測定した。
図5は、実施例及び比較例の排ガス浄化装置のNOx50%浄化温度を示すグラフである。図6(a)は、実施例の排ガス浄化装置の内部を排ガスが流れる様子を概略的に示す断面図であり、図6(b)は、比較例の排ガス浄化装置の内部を排ガスが流れる様子を概略的に示す断面図である。
図5に示されるように、実施例の排ガス浄化装置のNOx50%浄化温度は、比較例の排ガス浄化装置よりも低下し、良好な結果となった。これは、図4及び図6に示されるように、実施例の排ガス浄化装置1では、隔壁14の流出セル側触媒領域及び流出セル側触媒層30を含む流出側隔壁部において、ガス透過係数が、第1触媒層30Aの配置領域、第2触媒層30Bの配置領域、及び第3触媒層30Cの配置領域の順に低下していることにより、比較例の排ガス浄化装置1と比較して、隔壁14の流出側端14bに近い触媒層では排ガスの透過流量が抑制されることで排ガスを十分に浄化することができ、隔壁14の流出側端14bから離れた触媒層では浄化可能な最大の透過流量に近い流量の排ガスを透過させることができたためであると考えられる。
以上、本発明の排ガス浄化装置の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1 排ガス浄化装置
10 ハニカム基材
10Sa ハニカム基材の流入側端面
10Sb ハニカム基材の流出側端面
12 セル
12A 流入セル
12Aa 流入セルの流入側端
12Ab 流入セルの流出側端
12B 流出セル
12Ba 流出セルの流入側端
12Bb 流出セルの流出側端
14 隔壁
14a 隔壁の流入側端
14b 隔壁の流出側端
14m 隔壁の延伸方向の所定位置
14Ra 隔壁の流入セル側触媒領域
14Rb 隔壁の流出セル側触媒領域
14SA 隔壁の流入セル側の表面
14NB 隔壁の流出セル側の内部領域
16 封止部
30 流出セル側触媒層
30A 第1触媒層
30B 第2触媒層
30C 第3触媒層
40 流入セル側触媒層

Claims (1)

  1. ハニカム基材と流出セル側触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、
    前記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する多孔質の隔壁を有し、
    前記複数のセルは、前記隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含み、
    前記流入セルは、流入側端が開口し、流出側端が封止され、
    前記流出セルは、流入側端が封止され、流出側端が開口し、
    前記流出セル側触媒層は、前記隔壁の流出側端から流入側の所定位置まで延在する流出セル側触媒領域における前記流出セル側の内部領域に設けられ、
    前記隔壁の前記流出セル側触媒領域及び前記流出セル側触媒層を含む流出側隔壁部のガス透過係数は、前記隔壁の前記所定位置から流出側端に向かって低下することを特徴とする排ガス浄化装置。
JP2020039500A 2020-03-09 2020-03-09 排ガス浄化装置 Active JP7323483B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020039500A JP7323483B2 (ja) 2020-03-09 2020-03-09 排ガス浄化装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020039500A JP7323483B2 (ja) 2020-03-09 2020-03-09 排ガス浄化装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021137766A JP2021137766A (ja) 2021-09-16
JP7323483B2 true JP7323483B2 (ja) 2023-08-08

Family

ID=77667273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020039500A Active JP7323483B2 (ja) 2020-03-09 2020-03-09 排ガス浄化装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7323483B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008126861A1 (ja) 2007-04-09 2008-10-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 排ガス浄化フィルタとその製造方法
JP2008272737A (ja) 2007-03-30 2008-11-13 Ibiden Co Ltd ハニカムフィルタ
JP2011147931A (ja) 2009-12-25 2011-08-04 Ngk Insulators Ltd 表面捕集層付き担体及び触媒担持表面捕集層付き担体
WO2016060048A1 (ja) 2014-10-16 2016-04-21 株式会社キャタラー 排ガス浄化用触媒

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008272737A (ja) 2007-03-30 2008-11-13 Ibiden Co Ltd ハニカムフィルタ
WO2008126861A1 (ja) 2007-04-09 2008-10-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 排ガス浄化フィルタとその製造方法
JP2011147931A (ja) 2009-12-25 2011-08-04 Ngk Insulators Ltd 表面捕集層付き担体及び触媒担持表面捕集層付き担体
WO2016060048A1 (ja) 2014-10-16 2016-04-21 株式会社キャタラー 排ガス浄化用触媒

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021137766A (ja) 2021-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3207989B2 (en) Exhaust gas purification catalyst
EP3513873B1 (en) Exhaust gas purifying catalyst
KR101765354B1 (ko) 존형 촉매화 매연 필터
JP7211893B2 (ja) 排ガス浄化装置
JP6279448B2 (ja) 排ガス浄化装置
EP3434356A1 (en) Exhaust gas purification device
WO2016060030A1 (ja) 排ガス浄化装置
WO2018173557A1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JPWO2016060049A1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2016513584A5 (ja)
JP6386697B1 (ja) 排ガス浄化用触媒
WO2016056573A1 (ja) 排ガス浄化装置
WO2020031975A1 (ja) 触媒塗工ガソリンパティキュレートフィルター及びその製造方法
JP6445228B1 (ja) 排ガス浄化用触媒
JP2006007117A (ja) 排気ガス浄化構造体および該構造体を用いた排気ガス浄化方法
JP7381372B2 (ja) 排ガス浄化装置
JP2018149463A (ja) 排ガス浄化用触媒
JP7323483B2 (ja) 排ガス浄化装置
JP7332530B2 (ja) 排ガス浄化装置
JP2020193568A (ja) 排ガス浄化装置
JP2021143664A (ja) 排ガス浄化装置
WO2023167128A1 (ja) 排ガス浄化用触媒の製造方法
JP2022178611A (ja) 排ガス浄化装置
JP2022186014A (ja) 排ガス浄化装置
JP2022170972A (ja) 排ガス浄化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230727

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7323483

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151