JP7323078B2 - エレベーター - Google Patents

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    • B66B1/28Control systems with regulation, i.e. with retroactive action, for influencing travelling speed, acceleration, or deceleration electrical
    • B66B1/32Control systems with regulation, i.e. with retroactive action, for influencing travelling speed, acceleration, or deceleration electrical effective on braking devices, e.g. acting on electrically controlled brakes

Description

本開示は、エレベーターに関する。
特許文献1は、エレベーターの例を開示する。エレベーターにおいて、主ロープに吊られるかごの速度、および主ロープが巻き掛けられる綱車の速度が検出される。制御ユニットは、綱車に与える制動力を制御する。エレベーターの非常停止時において、綱車の速度およびかごの速度の差が閾値以下の場合に、制御ユニットは全制動力を与える。一方、主ロープが滑ることで綱車の速度およびかごの速度の差が閾値を超える場合に、制御ユニットは、全制動力より弱い制動力を与える。
日本特開2004-231355号公報
しかしながら、主ロープの滑りが発生するときのかごの速度などの状況によって、主ロープの滑りを抑えるために制動力を弱めると、かごの制動距離が長くなる場合がある。
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、非常停止時のかごの制動距離を抑えられるエレベーターを提供する。
本開示に係るエレベーターは、かごを昇降路で昇降させる巻上機において、かごを昇降路に吊り下げる主ロープが巻き掛けられる綱車を制動するブレーキと、綱車に対する主ロープの滑りの有無を検知する滑り検知部と、綱車の速度を検出する綱車速度検出部と、非常停止時において滑り検知部が滑りの発生を検知するときに、非常停止の開始から滑り出しまでの予め設定された任意の参照時点における綱車速度検出部に検出された綱車の速度を予め設定された速度閾値と比較し、当該参照時点の速度が速度閾値を超える場合に、綱車および主ロープの間の滑りを解消させる滑り解消制御方式によってブレーキを制御し、当該参照時点の速度が速度閾値を超えない場合に、設定減速度で綱車が減速するようにブレーキの制動力を制御する制動力制御方式によってブレーキを制御するブレーキ制御部と、を備える。
本開示に係るエレベーターは、かごを昇降路で昇降させる巻上機において、かごを昇降路に吊り下げる主ロープが巻き掛けられる綱車を制動するブレーキと、綱車に対する主ロープの滑りの有無を検知する滑り検知部と、かごの速度を検出するかご速度検出部と、綱車の速度を検出する綱車速度検出部と、非常停止時において滑り検知部が滑りの発生を検知するときに、非常停止の開始から滑り出しまでの予め設定された任意の参照時点におけるかご速度検出部に検出されたかごの速度を予め設定された速度閾値と比較し、当該参照時点の速度が速度閾値を超える場合に、綱車および主ロープの間の滑りを解消させる滑り解消制御方式によってブレーキを制御し、当該参照時点の速度が速度閾値を超えない場合に、設定減速度で綱車が減速するようにブレーキの制動力を制御する制動力制御方式によってブレーキを制御するブレーキ制御部と、を備える。
本開示に係るエレベーターであれば、非常停止時のかごの制動距離が抑えられる。
実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。 実施の形態1に係るかごの非常停止時における速度波形の例を示す図である。 実施の形態1に係るかごの非常停止時における速度波形の例を示す図である。 実施の形態1に係るかごの非常停止時における速度波形の例を示す図である。 実施の形態1に係るかごの非常停止時における速度波形の例を示す図である。 実施の形態1に係るエレベーターの動作の例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係るエレベーターの主要部のハードウェア構成図である。 実施の形態2に係るエレベーターの構成図である。
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に設けられる。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる空間である。
エレベーター1は、かご3と、巻上機4と、主ロープ5と、釣合い錘6と、調速機7と、ブレーキ8と、綱車速度検出部9と、かご速度検出部10と、安全スイッチ11と、制御装置12と、を備える。
かご3は、昇降路2に配置される。かご3は、複数の階床の間で利用者などを輸送する装置である。巻上機4は、昇降路2に配置されたかご3を昇降させる装置である。巻上機4は、駆動力を発生させる図示されない電動機と、当該電動機に回転駆動される綱車13と、を備える。主ロープ5は、綱車13に巻き掛けられる。主ロープ5は、綱車13の一方側でかご3を昇降路2に吊り下げる。主ロープ5は、綱車13の他方側で釣合い錘6を昇降路2に吊り下げる。釣合い錘6は、主ロープ5を通じて綱車13の両側にかかる荷重の釣合いをかご3との間でとる装置である。
調速機7は、かご3の速度を制限する装置である。調速機7は、調速機ロープ14と、調速機シーブ15と、を備える。調速機ロープ14は、かご3に取り付けられるロープである。調速機シーブ15は、調速機ロープ14が巻き掛けられるシーブである。調速機シーブ15は、かご3の走行に連動して移動する調速機ロープ14によって回転する。調速機7は、調速機シーブ15の回転速度に応じてかご3の速度を制限する。
ブレーキ8は、綱車13を制動する装置である。ブレーキ8は、例えばディスクブレーキ、ドラムブレーキ、またはその他の可動部を有するブレーキなどである。通常時において制動状態にあるときに、ブレーキ8は、静止した状態でかご3および釣合い錘6を保持できる制動力を綱車13に加える。制動力は、例えば綱車13の回転を抑制する摩擦力、または当該摩擦力を生じさせる押圧力などである。一方、ブレーキ8は、解放状態にあるときに、綱車13の回転を妨げない。
綱車速度検出部9は、綱車13の速度を検出する部分である。綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度は、例えば綱車13の外周の速度である。綱車速度検出部9は、例えば綱車13の回転量を検出するエンコーダなどを有する。綱車速度検出部9は、綱車13の回転量を綱車13の回転速度または綱車13の外周の速度などに換算する機能を搭載していてもよい。
かご速度検出部10は、かご3の速度を検出する部分である。かご速度検出部10が検出するかご3の速度は、例えばかご3の鉛直方向の走行速度である。かご速度検出部10は、例えば調速機シーブ15の回転量を検出するエンコーダなどを有する。かご速度検出部10は、調速機シーブ15の回転量をかご3の走行速度などに換算する機能を搭載していてもよい。また、かご速度検出部10は、例えばかご3に設けられる位置センサ、速度センサ、または加速度センサなどの検出結果に基づいてかご3の速度を検出してもよい。また、かご速度検出部10は、かご3に連動して動作する主ロープ5または釣合い錘6などの速度を検出することによってかご3の速度を検出してもよい。
安全スイッチ11は、昇降路2に設けられる。安全スイッチ11は、昇降路2の上端部および下端部などに配置される。安全スイッチ11は、例えばかご3が最上階または最下階の着床位置を行き過ぎて走行することを検知するスイッチである。安全スイッチ11が作動するときに、例えば保守員などの点検を受けるまでエレベーター1は走行せずに待機する場合がある。この場合に、かご3に乗車していた利用者の閉じ込めが発生する可能性がある。
制御装置12は、エレベーター1の動作を制御する装置である。エレベーター1の動作は、例えば、かご3の走行およびブレーキ8の動作などを含む。ブレーキ8の動作は、非常停止を含む。非常停止は、非常停止信号の入力、非常停止する事象の発生の検出、または停電の発生などによって、走行しているかご3を停止させる動作である。非常停止は、例えばかご3の走行中に何らかの異常が検知されることによって開始される。非常停止を開始させる異常は、エレベーター1に設けられる図示されない異常検知器などによって検知される。異常検知器は、例えばエレベーター1に設けられる安全装置などである。制御装置12は、滑り検知部16と、ブレーキ制御部17と、を備える。
滑り検知部16は、綱車13との間の主ロープ5の滑りの有無を検知する部分である。ここで、非常停止において、ブレーキ8は、主ロープ5とともに回転している綱車13に制動力を加える。このとき、主ロープ5に連動するかご3の昇降路内の位置、走行方向、走行加速度、および質量、搭乗人数およびかご3に搭載される機器によって変動するかご3内の荷重、綱車13のロープ溝の形状、主ロープ5と綱車13の摩擦係数、ならびにブレーキ8の制動力などによって、綱車13に対する主ロープ5の滑りが発生する場合がある。滑り検知部16は、このように非常停止などの際の主ロープ5の滑りの有無を検知する。滑り検知部16は、例えば綱車13の外周部に対する主ロープ5の周方向の相対運動を検知することによって主ロープ5の滑りの有無を検知する。滑り検知部16は、例えば次のように滑りの有無を検知する。
滑り検知部16は、かご速度検出部10および綱車速度検出部9がそれぞれ検出したかご3の速度および綱車13の速度の差を綱車13に対する主ロープ5の相対速度として算出する。滑り検知部16は、算出した相対速度が予め設定された閾値を超えるときに、主ロープ5の滑りの発生を検知する。一方、滑り検知部16は、算出した相対速度が予め設定された閾値を下回るときに、主ロープ5の滑りの解消を検知する。
なお、かご3からかご速度検出部10までに共振系が存在する場合などに、滑り検知部16は、かご3からかご速度検出部10までの機械特性の逆モデルフィルタをかご速度検出部10の出力に用いて、当該機械特性の影響を除去する処理を行ってもよい。滑り検知部16は、例えば当該処理を行った上で綱車速度検出部9の出力との相対速度を算出してもよい。また、滑り検知部16は、巻上機4からかご3の位置までおよびかご3からかご速度検出部10までの各々の機械特性フィルタをかご速度検出部10の出力に適用したものと、かご3の速度とを用いて、綱車13に対する主ロープ5の相対速度を算出してもよい。これにより、主ロープ5の滑りの他の主ロープ5の伸び縮みなどによる影響が除去されるので、綱車13に対する主ロープ5の相対速度が精度よく算出される。このため、滑りの有無の検知に対する閾値を小さくすることができるので、主ロープ5の滑り検知の精度が高められる。
ブレーキ制御部17は、ブレーキ8の動作を制御する部分である。ブレーキ制御部17は、複数の制御方式を切り替えてブレーキ8の動作を制御する。複数の制御方式は、制動力制御方式および滑り解消制御方式を含む。
制動力制御方式は、設定減速度で綱車13が減速するようにブレーキ8の制動力を制御する制御方式である。設定減速度は、第1減速度aおよび第2減速度aの間で予め設定された一定の減速度である。ここで、減速度は、速度の絶対値を減少させる加速度である。この例において、第1減速度aの絶対値は、第2減速度aの絶対値より大きい。なお、制動力制御方式におけるブレーキ8の制御は、綱車速度検出部9が検出した綱車13の速度に基づいて行われてもよい。また、滑りが発生していない状況ではかご3の速度と綱車13の速度は概略一致するため、制動力制御方式におけるブレーキ8の制御は、かご速度検出部10が検出するかご3の速度から推定される綱車13の減速度に基づいて行われてもよい。
第1減速度aは、第1減速度aより絶対値が小さい減速度で非常停止する場合に、綱車13との間の主ロープ5の滑りが発生しないことが見込まれる減速度である。第1減速度aは、巻上機4のトラクション能力の見込み値から予め計算される。トラクション能力の見込み値は、例えば巻上機4の綱車13および主ロープ5の形状および材質などの仕様または設計値などに基づいて算出される、主ロープ5の綱車13に対する滑りにくさなどである。トラクション能力の見込み値において、綱車13および主ロープ5の間の摩耗などの局所的な摩擦条件の低下などは考慮されない。また、第1減速度aの計算において、主ロープ5の滑りが発生しやすいかご3の走行方向および荷重の条件などが考慮される。滑りが発生しやすい条件は、例えば無負荷での上昇時または最大負荷での下降時などの条件を含む。第1減速度aは、例えば、局所的な摩擦条件の低下などを考慮しない場合に滑りが発生しないように予め計算された上限の減速度である。
第2減速度aは、第2減速度aより絶対値が大きい減速度で非常停止する場合に、安全スイッチ11が配置される位置までかご3が走行しないことが見込まれる減速度である。第2減速度aは、かご3、釣合い錘6、主ロープ5、および綱車13の重量ならびにかご3の定格速度などの仕様または設計値などに基づいて予め算出される。第2減速度aの計算において、かご3の行き過ぎ量が大きくなるかご3の走行方向および荷重の条件などが考慮される。ここで、行き過ぎ量は、最上階または最下階などの終端階の着床位置から当該着床位置を行き過ぎてかご3が停止した位置までの距離である。かご3の行き過ぎ量が大きくなる条件は、例えば無負荷での上昇時または最大負荷での下降時などの条件を含む。第2減速度aは、例えば、ブレーキ8の制御のオーバーシュートなどを考慮しない場合に安全スイッチ11が作動しないように予め計算された下限の減速度である。ここで、ブレーキ8の制御のオーバーシュートは、指令に対して制動力が過大になることを表す。
第1減速度aおよび第2減速度aの間の減速度を設定減速度として制動力制御方式でブレーキ制御部17がブレーキ8の動作を制御することで、非常停止が行われる場合においても主ロープ5の滑りの発生および利用者の閉じ込めの発生が抑制される。しかしながら、局所的な摩擦条件の低下またはブレーキ8の制御のオーバーシュートなどによって、主ロープ5の滑りが発生する場合がある。このため、ブレーキ制御部17は、かご3の制動距離が長くならないように、滑りが発生した場合のかご3の速度などの条件に応じて滑り解消制御方式への切り替えを行う。
滑り解消制御方式は、綱車13および主ロープ5の間の滑りを解消させる制御方式である。綱車13および主ロープ5の間の滑りが解消された状態は、主ロープ5および綱車13の相対速度が0になり一体となって運動している状態である。滑り解消制御方式において、ブレーキ制御部17は、例えば綱車13の速度をかご3の速度に追従するようにブレーキ8の制動力を制御する。ブレーキ制御部17は、例えばかご速度検出部10が検出するかご3の速度と綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度との差異が小さくなるように、綱車13に加える制動力の大きさを調整することで綱車13の減速度を制御する。これにより、主ロープ5の滑りの解消、すなわちトラクション回復が行われる。望ましくは、ブレーキ制御部17は、滑り解消制御方式においてブレーキ8の状態を制動状態のまま解放状態に状態遷移しないように制動力を調整しながらブレーキ8を制御する。あるいは、ブレーキ制御部17は、滑り検知部16が滑りの解消を検出するまでブレーキ8を解放してもよい。その他、滑りが解消された状態にするものであれば、滑り解消制御方式におけるブレーキ8の制御の方法は問わない。
続いて、図2および図3を用いて、非常停止の際のかご3の制動距離の例を説明する。
図2および図3は、実施の形態1に係るかご3の非常停止時における速度波形の例を示す図である。
図2および図3の横軸は、時間を表す。図2および図3の縦軸は、かご3および綱車13の速度を表す。図2および図3において、実線はかご3の速度波形を表す。図2および図3において、破線は綱車13の速度波形を表す。なお、説明のため、図2および図3において、ブレーキトルクがステップ状に立ち上がるように単純化した場合の速度波形の例が示される。
図2において、ブレーキ制御部17が制御方式を切り替えない場合の例が示される。
エレベーター1の異常検知器が異常を検知する場合に、制御装置12に検知信号が入力される。このとき、制御装置12は、かご3の非常停止を行う。制御装置12は、動力停止指令を巻上機4に出力する。巻上機4は、入力された指令に基づいて、綱車13の回転駆動を停止する。また、例えば制御装置12に検知信号が入力されるときに、ブレーキ制御部17は、かご3の非常停止を開始する。図2の点Aは、ブレーキ制御部17がかご3の非常停止を開始する時刻に対応する。
非常停止を開始するときに、ブレーキ制御部17は、制動力制御方式によってブレーキ8を制御する。ブレーキ制御部17は、ブレーキ制御指令をブレーキ8に出力する。ブレーキ8は、ブレーキ制御指令が入力された後に、綱車13の制動を開始する。ここで、ブレーキ8に指令が入力されてから制動力が発生するまでの間に、ブレーキ8の可動部の動作などのために遅れ時間がある。図2の点Bは、指令が入力されてから遅れ時間後にブレーキ8が制動力を発生させた時刻に対応する。
点Aから点Bまでのブレーキ8が制動力を発生させる遅れ時間の間に、かご3および綱車13は、かご3および釣合い錘6のアンバランストルクによって加速または減速する。この例において、かご3の制動距離が長くなる状況としてかご3が加速する場合が示される。アンバランストルクによってかご3が加速する状況は、例えば無負荷での上昇時、または最大荷重での下降時などである。かご3は、点Aから点Bまでの遅れ時間の間に、一定の加速度で増速する。なお、ロープアンバランスなどによって実際は一定の加速度にならない場合もあるが、本実施の形態では加速度が一定であると仮定して簡素化したモデルで説明を行う。
遅れ時間の後にブレーキ8の制動力によって綱車13に減速度が生じた場合に、綱車13およびかご3は減速を開始する。ここで、減速を開始する直前の綱車13およびかご3の速度を最大速度と呼ぶ。綱車13および主ロープ5がブレーキ8の制動力によって減速するときに、綱車13に対する主ロープ5の滑りが生じうる。図2において、ブレーキ8が制動力を発生させた直後に滑りが発生する場合の例が示される。すなわち、図2の点Bは、主ロープ5の滑り出し時に対応する。
主ロープ5の滑りが発生するときに、滑り検知部16は、主ロープ5の滑りを検知する。滑り検知部16は、検知信号をブレーキ制御部17に出力する。ブレーキ制御部17は、滑り検知部16から検知信号が入力されたときに、参照時点におけるかご3または綱車13の速度をかご速度検出部10または綱車速度検出部9によって検出する。参照時点は、非常停止の開始から滑り出しまでのいずれかの予め設定された任意の時点である。参照時点において主ロープ5はまだ滑っていないため、主ロープ5と連動するかご3の速度および綱車13の速度は等しい。このため、ブレーキ制御部17は、かご速度検出部10が検出するかご3の速度または綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度の少なくとも一方の値を参照時点の速度として用いることができる。ブレーキ制御部17は、検知信号が入力されたときに、参照時点における速度が速度閾値Vlimを超えるかを判定する。速度閾値Vlimは、非常停止時のかご3の制動距離を抑えうるように予め設定されたかご3の速度の値である。
この例のブレーキ制御部17は、滑り検知部16から検知信号が入力されたときに、滑り出しの点Bを参照時点として点Bにおける速度Vが速度閾値Vlimを超えるかを判定する。ブレーキ制御部17は、例えば検知信号が入力されたときのかご速度検出部10または綱車速度検出部9の検出値を点Bにおける速度Vとしてもよい。あるいは、ブレーキ制御部17は、かご速度検出部10または綱車速度検出部9の検出値の時系列データに基づいて、内挿または外挿などによって滑り出し時の点Bにおける速度Vを算出してもよい。図2の例においては、本実施の形態の内容を適用せずに、非常停止動作において主ロープ5が滑り続けた場合の速度波形が示されている。また図2の速度波形は、本実施の形態の内容を適用し、Vが速度閾値Vlimを超えていない場合、すなわち主ロープ5が滑り続けた場合の速度波形に対して、概形は同じく、点Aおよび点Bにおける速度は小さく、BC間の時間が短くなる。
主ロープ5の滑りが発生した後に、綱車13およびかご3は互いに異なる減速度で減速する。この例においてブレーキ制御部17は制動力制御方式を維持しているので、綱車13は一定の減速度で減速した後に、点C1において停止する。また、かご3は、綱車13に対して滑る主ロープ5の摩擦などによって一定の減速度で減速した後に、点F1において停止する。
かご3が停止するときに、ブレーキ制御部17は、かご3の停止判定を行う。かご3の停止判定は、例えばかご速度検出部10が検出するかご3の速度に基づいて行われる。ブレーキ制御部17は、例えばかご3の速度の絶対値が予め設定された閾値を下回るときに、かご3が停止したと判定する。あるいは、ブレーキ制御部17は、かご3の速度の絶対値が予め設定された速度の閾値を下回り、かつ、当該速度の時間変化率が予め設定された変化率の閾値を下回るときに、かご3が停止したと判定してもよい。また、例えば主ロープ5が綱車13に対して滑っていない場合などに、ブレーキ制御部17は、綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度に基づいてかご3の停止判定を行ってもよい。主ロープ5が滑っていない場合にかご3の速度および綱車13の速度は同一となるので、ブレーキ制御部17は、かご3の速度を用いる停止判定と同様の方法で綱車13の速度を用いたかご3の停止判定を行うことができる。また、ブレーキ制御部17は、他の方法によってかご3の停止判定を行ってもよい。かご3が停止したと判定した後に、ブレーキ制御部17は、通常時と同様に静止した状態でかご3および釣合い錘6を保持できる制動力を綱車13に加える。一方、かご3が停止していないと判定するときに、ブレーキ制御部17は、非常停止時のブレーキ8の制御を継続する。
図2の場合におけるかご3の制動距離Sは、実線で示される速度波形および横軸の間の部分の面積に対応する。このため、制動距離Sの推定値は、次の式(1)によって表される。
Figure 0007323078000001
ここで、SABは、点Aから点Bまでの間にかご3が走行する距離を表す。aropeは、主ロープ5が綱車13に対して滑りながら減速する場合のかご3の減速度の見込み値である。加速度aropeは、図2において点Bおよび点F1を結ぶ線分の傾きに対応する。加速度aropeは、かご3の速度の絶対値を減少させる加速度であるため、かご3の走行方向を正の向きとした場合に負の値をとる。
なお、距離SABは、例えば次の式(2)によって算出されてもよい。
Figure 0007323078000002
ここで、aは、アンバランストルクによるかご3の空走加速度の見込み値を表す。加速度aは、図2において点Aおよび点Bを結ぶ線分の傾きに対応する。加速度aは、かご3の速度の絶対値を増加させる加速度であるため、かご3の走行方向を正の向きとした場合に正の値をとる。Tは、点Aから点Bの間のブレーキ8が制動力を発生させるまでの時間の見込み値を表す。見込み値Tは、解放状態から制動状態へのブレーキ8の状態遷移に要する見込み時間を含む。
また、ブレーキ制御部17は、非常停止の開始時のA点を参照時点として、A点における速度Vに基づいてブレーキ8の制御をおこなってもよい。このとき、式(1)および式(2)において、次の式(3)を用いて点Aにおける速度Vから算出された速度Vの値が用いられてもよい。
Figure 0007323078000003
なお、速度Vの場合と同様に、ブレーキ制御部17は、かご速度検出部10が検出するかご3の速度または綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度の少なくとも一方の値を速度Vとして用いることができる。また、ブレーキ制御部17は、非常停止の開始時のA点から主ロープ5の滑り出し時のB点までの任意の時点を参照時点として、参照時点における速度に基づいてブレーキ8の制御を行ってもよい。このとき、式(3)と同様にして参照時点における速度から算出された速度Vなどの値が用いられてもよい。
一方、図3において、ブレーキ制御部17が制御方式を切り替える場合の例が示される。
図3において、図2と同様にブレーキ8が制動力を発生させた直後に滑りが発生する場合の例が示される。
この例のブレーキ制御部17は、滑り検知部16から検知信号が入力されたときに、参照時点である点Bにおける速度Vが速度閾値Vlimを超えるかを判定する。この例において、速度Vは、速度閾値Vlimを超える。このとき、ブレーキ制御部17は、制御方式を制動力制御方式から滑り解消制御方式に切り替える。
ここで、滑りが発生してから滑り検知部16が検知信号を出力するまでの間に遅れ時間がある。この遅れ時間の間に、綱車13およびかご3は互いに異なる減速度で減速する。遅れ時間の間にブレーキ制御部17は制御方式を制動力制御方式からまだ切り替えていないので、綱車13は一定の減速度で減速している。また、かご3は、綱車13に対して滑る主ロープ5の摩擦などによって一定の減速度で減速している。
その後、滑り検知の検知遅れなどによる遅れ時間の後に、ブレーキ8は、滑り解消制御方式によって綱車13の制動を開始する。図3の点C2は、滑りが発生してから遅れ時間後に滑り解消制御方式への切替えによってブレーキ8の制動力が制動力制御方式から変化した時刻に対応する。ここで、点Bおよび点Cの間の遅れ時間は、滑りの検出遅れおよびブレーキ8の制御応答遅れを含む。滑り解消制御方式によって、ブレーキ8は、主ロープ5の滑りが解消されるように制御される。例えば、ブレーキ制御部17は、ブレーキ8が綱車13に与える制動力を綱車13の速度がかご3の速度に追従するように制御する。図3の点Dは、滑り解消制御方式によって主ロープ5の滑りが解消された時刻に対応する。ここで、滑りが解消してから滑り検知部16に検知されるまでの間においても、滑りの発生の検知と同様に遅れ時間がある。この遅れ時間の間、ブレーキ8は、滑り解消制御方式に基づく制動力を綱車13に与えている。図3の点Eは、滑りが解消してから遅れ時間後にブレーキ8が制動力制御方式に基づく制動力を発生させた時刻に対応する。
図3の例において、滑り解消制御方式に基づく制動力は、制動力制御方式において発生した主ロープ5の滑りを解消しうるように制動力制御方式に基づく制動力より小さい。このため、点Dから点Eまでのブレーキ8が制動力を発生させる遅れ時間の間に、かご3は、かご3および釣合い錘6のアンバランストルクによって加速または減速する。この例において、かご3の制動距離が長くなる状況であるかご3が加速する場合が示される。かご3は、点Dから点Eまでの遅れ時間の間に、一定の加速度で増速する。
遅れ時間の後に、点Eにおいて綱車13およびかご3は減速を開始する。このとき、主ロープ5の滑りは解消されているので、主ロープ5および綱車13は一体となって運動している。このため、かご3および綱車13は、互いに等しい一定の減速度で減速した後に点F2において停止する。
図3の場合におけるかご3の制動距離Sは、実線で示される速度波形および横軸の間の部分の面積に対応する。このため、制動距離Sの推定値は、次の式(4)によって表される。
Figure 0007323078000004
ここで、aは、トラクションが回復した後、すなわち主ロープ5の滑りが解消した後の減速度の指令値である。加速度aは、図3において点Eおよび点F2を結ぶ線分の傾きに対応する。加速度aは、かご3の速度の絶対値を減少させる加速度であるため、かご3の走行方向を正の向きとした場合に負の値をとる。atrは、トラクションが回復した後の遅れ時間の間のかご3の加速度の見込み値である。加速度atrは、図3において点Dおよび点Eを結ぶ線分の傾きに対応する。加速度atrは、かご3の速度の絶対値を増加させる加速度であるため、かご3の走行方向を正の向きとした場合に正の値をとる。また、ブレーキ8の開放によって滑り状態を解消する場合に、加速度atrは空走加速度aと等しくなる。Tは、点Bから点Dの間のトラクションが回復するまでの時間の見込み値である。見込み値Tは、滑り検知部16における滑りの発生の検知の遅れ時間を含む。また、制動力制御方式から滑り解消制御方式への切り替えにおいてブレーキ8の状態が制動状態から解放状態に遷移する場合に、見込み値Tは、当該状態遷移に要する見込み時間を含む。Tは、点Dから点Eの間のブレーキ8が制動力制御方式に基づく制動力を発生させるまでの時間の見込み値である。見込み値Tは、滑り検知部16における滑りの解消の検知の遅れ時間を含む。また、滑り解消制御方式から制動力制御方式への切り替えにおいてブレーキ8の状態が解放状態から制動状態に遷移する場合に、見込み値Tは、当該状態遷移に要する見込み時間を含む。
なお、主ロープ5の滑りは、例えば摩擦係数の減少などの局所的な要因、またはブレーキ制御のオーバーシュートなどの一時的な要因などであるため、トラクション回復後の減速度の指令値aは、滑りが発生しない通常の範囲の減速度に設定される。また、指令値aの絶対値は、例えば滑りが発生した場合の減速度の見込み値aropeの絶対値より大きい値に設定される。指令値aの値は、例えば設定減速度の値などである。指令値aの絶対値を見込み値aropeの絶対値より十分大きくとることで、トラクション回復のためにかご3が増速した場合においても制動距離への増速の影響がキャンセルされうる。
この例において、式(1)から式(4)で用いられる見込み値a、arope、atr、T、T、およびTは、例えばエレベーター1の仕様または設計値などに基づいて予め設定または算出される値である。また、指令値aは、予め設定される値である。
続いて、図4および図5を用いて、速度閾値Vlimの例を説明する。
図4および図5は、実施の形態1に係るかご3の非常停止時における速度波形の例を示す図である。
図4および図5の横軸は、時間を表す。図4および図5の縦軸は、かご3の速度を表す。図4および図5において、実線はブレーキ制御部17が制御方式を切り替えた場合の速度波形を表す。図4および図5において、破線はブレーキ制御部17が制御方式を切り替えない場合の速度波形を表す。なお、図2および図3と同様に、図4および図5においてブレーキトルクがステップ状に立ち上がるように単純化した場合の速度波形の例が示される。
図4において、ブレーキ制御部17が制御方式を切り替えない場合の制動距離Sと制御方式を切り替えた場合の制動距離Sとが等しくなる場合の例が示される。
速度閾値Vlimは、制動距離Sおよび制動距離Sが等しくなるときの参照時点における速度として設定される。この例において点Bを参照時点とするので、速度閾値Vlimは、制動距離Sおよび制動距離Sが等しくなるときの点Bにおける速度として設定される。式(1)から式(4)においてS=Sとすることで得られる速度閾値Vlimは、見込み値a、arope、atr、T、T、およびT、ならびに指令値aなどによって表される。この例において、制動距離Sおよび制動距離S、または速度閾値Vlimは、予め設定された評価用の運転条件に基づいて算出される。評価用の運転条件は、かご3の内部の荷重の大きさおよびかご3の走行方向などの条件を含む。評価用の運転条件は、かご3の位置に応じて決められるかご3の加速度の条件などを含んでもよい。
かご3の制動距離は速度波形および横軸の間の部分の面積に対応するため、制動距離Sおよび制動距離Sの差異は、面積αおよび面積αの差異に対応する。ここで、面積αは、破線の速度波形が実線の速度波形より大きい部分の面積である。面積αは、実線の速度波形が破線の速度波形より大きい部分の面積である。図4において、制動距離Sおよび制動距離Sが等しくなるので、面積αおよび面積αは等しい。
図5において、参照時点Bにおける速度Vが速度閾値Vlimを超える場合の例が示される。この例において、速度Vの値は、速度閾値Vlimの値より速度差ΔVだけ大きい。
速度閾値Vlimは、制動距離Sおよび制動距離Sが等しくなるときの参照時点Bの速度である。よって、図5の一点鎖線より上側の領域において、実線の速度波形が破線の速度波形より大きい部分の面積と破線の速度波形が実線の速度波形より大きい部分の面積は等しい。このため、面積αは、一点鎖線より下側の領域の分だけ面積αより大きくなる。したがって、制動距離Sは制動距離Sより大きくなる。
同様に、参照時点Bにおける速度Vが速度閾値Vlimを下回る場合において(図示せず)、面積αは、面積αより小さくなる。したがって、制動距離Sは制動距離Sより小さくなる。
ブレーキ制御部17は、参照時点Bにおける速度Vと速度閾値Vlimとの比較に基づいて制御方式を切り替えることで、制動距離Sおよび制動距離Sのうちの短い方の制動距離でかご3が停止するようにブレーキ8の制御を行うことができる。なお、ブレーキ制御部17は、非常停止の開始時のA点から主ロープ5の滑り出し時のB点までの任意の時点を参照時点としてもよい。この場合においても、ブレーキ制御部17は、当該参照時点に対して同様に設定された速度閾値と当該参照時点における速度の比較の結果に基づいて制御方式を切り替えることで、短い制動距離でかご3が停止するようにブレーキ8の制御を行うことができる。
続いて、図6を用いて、エレベーター1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態1に係るエレベーター1の動作の例を示すフローチャートである。
図6において、非常停止についてのブレーキ制御部17の動作の例が示される。
ステップS1において、非常停止を開始するときに、ブレーキ制御部17は、制動力制御方式によってブレーキ8の制動を制御する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS2に進む。
ステップS2において、ブレーキ制御部17は、滑り検知部16が滑りを検知したかを検知信号の有無などに基づいて判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS3に進む。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS6に進む。
ステップS3において、ブレーキ制御部17は、滑り出し時を参照時点として、参照時点Bにおける速度Vを検出する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS4に進む。
ステップS4において、ブレーキ制御部17は、速度Vが速度閾値Vlimを超えるかを判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS5に進む。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS6に進む。
ステップS5において、ブレーキ制御部17は、滑り解消制御方式によってブレーキ8の制動を制御する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS2に進む。
ステップS6において、ブレーキ制御部17は、制動力制御方式によってブレーキ8の制動を制御する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS7に進む。
ステップS7において、ブレーキ制御部17は、かご3が停止したかを判定する。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS2に進む。判定結果がYesの場合に、非常停止についてのエレベーター1の動作は、終了する。
なお、滑り検知部16は、次のように綱車13のみかけの慣性質量の変化によって主ロープ5の滑りの有無を検知してもよい。主ロープ5の滑りがない場合に、綱車13のみかけの慣性質量は、綱車13自身の慣性質量に、かご3および釣合い錘6の慣性質量が加わったものとなる。一方、主ロープ5の滑りがある場合に、綱車13のみかけの慣性質量は、綱車13自身の慣性質量のみとなる。このため、綱車13に加えられるトルクおよびブレーキ8が綱車13に与える制動力などが同じ場合であっても、滑りの有無によって綱車13の減速度が変化する。主ロープ5の滑りがあると綱車13の減速度は大きくなるので、滑り検知部16は、綱車13の減速度が予め設定された閾値を超えるときに滑りの発生を検知してもよい。ここで、滑り検知部16は、綱車13の減速度を例えば綱車速度検出部9が検出する綱車13の速度などから算出してもよい。また、滑り検知部16は、綱車速度検出部9およびかご速度検出部10が検出する速度の少なくとも一方の速度情報に基づいた綱車13またはかご3の減速もしくは増速の加速度と、制動力制御方式の減速度指令値とを用いた滑りの検知を行ってもよい。滑り検知部16は、綱車速度検出部9およびかご速度検出部10が検出する速度の少なくとも一方の速度情報に基づいた綱車13またはかご3の減速もしくは増速の加速度と、ブレーキ8の制御状態とに基づく滑りの解消検知を行ってもよい。また、滑り検知部16は、主ロープ5の滑りの有無を検知する複数の手段を組み合わせてもよい。
本開示においては、かご3および釣合い錘6のアンバランストルクによってかご3が進行方向に対して増速する場合を例に説明を行ったが、減速する場合についても本開示の内容を適用することができる。なお、減速する場合は、減速を開始する直前の綱車13およびかご3の速度は最大速度とはならないが、本開示においては、便宜上、最大速度と呼ぶ。
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーター1は、ブレーキ8と、滑り検知部16と、かご速度検出部10と、ブレーキ制御部17と、を備える。かご3を昇降路2に吊り下げる主ロープ5は、巻上機4の綱車13に巻き掛けられる。巻上機4は、かご3を昇降路2で昇降させる。ブレーキ8は、巻上機4において綱車13を制動する。滑り検知部16は、綱車13に対する主ロープ5の滑りの有無を検知する。かご速度検出部10は、かご3の速度を検出する。非常停止時において滑り検知部16が滑りの発生を検知するときに、ブレーキ制御部17は、参照時点におけるかご速度検出部10に検出されたかご3の速度を予め設定された速度閾値と比較する。参照時点は、非常停止の開始から滑り出しまでの予め設定された任意の時点である。
また、実施の形態1に係るエレベーター1は、かご速度検出部10とともに、またはかご速度検出部10に替えて綱車速度検出部9を備えてもよい。綱車速度検出部9は、綱車13の速度を検出する。このとき、非常停止時において滑り検知部16が滑りの発生を検知する場合に、ブレーキ制御部17は、参照時点におけるかご速度検出部10に検出されたかご3の速度、または綱車速度検出部9に検出された綱車13の速度を予め設定された速度閾値と比較する。
比較を行った参照時点の速度が速度閾値を超える場合に、ブレーキ制御部17は、滑り解消制御方式によってブレーキ8を制御する。滑り解消制御方式は、綱車13および主ロープ5の間の滑りを解消させる制御方式である。一方、比較を行った参照時点の速度が速度閾値を超えない場合に、ブレーキ制御部17は、制動力制御方式によってブレーキ8を制御する。制動力制御方式は、設定減速度で綱車13が減速するように制動力を制御する制御方式である。
当該構成によって、非常停止の開始から滑り出しまでの参照時点におけるかご3または綱車13の速度などの状況に応じて、主ロープ5が滑り出した後のブレーキ8の制御方式がかご3の制動距離が短くなるように選択される。このため、ブレーキ8の作動の遅れ時間および滑り検知の遅れ時間などによってかご3が増速しうる場合などにおいても、非常停止時のかご3の制動距離が抑えられる。また、滑り出し時までの参照時点における速度に基づいて制御方式が選択されるので、ブレーキ制御部17は、滑りの発生が検知された後、選択された制御方式によって速やかにブレーキ8の制御を行うことができる。
ここで、主ロープ5が滑るときの主ロープ5および綱車13の間の摩擦力は、主ロープ5および綱車13の相対速度が大きくなると低下する。このため、滑りの発生が検知された後も制動力制御方式を継続する場合に、かご3が停止するまでの間にかご3の減速度は変動する。滑り出し時から綱車13が停止するまで、かご3の減速度の絶対値は滑り出し時の減速度から次第に小さくなる。その後、綱車13が停止した後、相対速度が小さくなるためかご3の減速度は次第に大きくなる。その後、遅くともかご3が停止するときまでに、かご3の減速度の絶対値は滑り出し時の減速度まで小さくなる。このため、かご3の減速度の変動を考慮した速度波形は、図2などにおける滑り出し時の減速度のまま一定で減速する速度波形より上側の波形となる。したがって、式(1)によって算出される制動距離Sは、滑り解消制御方式によるブレーキ8の制御を行わない場合において最小の条件で算出された制動距離となる。ブレーキ制御部17は、制動距離Sが制動距離Sを下回る場合に滑り解消制御方式によるブレーキ8の制御を行うので、制御方式の切り替えによってかご3の制動距離が長くなることはない。
また、ブレーキ制御部17は、主ロープ5の滑り出しの時点を参照時点とする。これにより、滑り出しの時点より前の制動距離の影響が制動距離Sおよび制動距離Sの評価においてキャンセルされるので、速度閾値Vlimは、主ロープ5が実際に滑り出すまでのかご3の運動の影響をうけない。このため、ブレーキ8が制動力を綱車13に加え始めた直後には主ロープ5が滑り出さない場合においても、速度閾値Vlimの算出および速度閾値Vlimとの比較などが容易になる。
また、ブレーキ制御部17は、非常停止の開始の時点を参照時点とする。これにより、主ロープ5が滑り出す前に参照時点および速度閾値を比較できるので、ブレーキ制御部17は、滑りの発生が検知された後、選択された制御方式によってより速やかにブレーキ8の制御を行うことができる。
また、ブレーキ制御部17は、非常停止時において滑り検知部16が滑りの発生を検知する前に、制動力制御方式によってブレーキ8を制御する。また、ブレーキ制御部17は、滑り検知部16が滑りの解消を検知するときに、制動力制御方式によってブレーキ8を制御する。これにより、主ロープ5の滑りが発生していないときに、設定減速度などの大きい減速度によってかご3を減速できる。このため、かご3の制動距離がより短くなる。
また、ブレーキ制御部17は、制動距離の推定値Sおよび制動距離の推定値Sが等しくなるような参照時点のかご3または綱車13の速度を速度閾値Vlimとして、滑り解消制御方式および制動力制御方式を切り替える。制動距離Sは、滑り検知部16が滑りの発生を検知したときに制動力制御方式によってブレーキ8が制御される場合のかご3の制動距離の推定値である。制動距離Sは、滑り検知部16が滑りの発生を検知したときに滑り解消制御方式によってブレーキ8が制御される場合のかご3の制動距離の推定値である。このように、速度閾値Vlimが制動距離の推定値Sおよび制動距離の推定値Sに基づいて設定されるので、非常停止時のかご3の制動距離がより確実に抑えられる。
また、速度閾値Vlimは、減速度の見込み値aropeと、加速度の見込み値atrと、設定減速度と、滑り検知部16の滑りの有無の検知の遅れ時間の見込み値と、ブレーキ8の状態遷移の遅れ時間の見込み値と、を含む情報に基づいて算出される。見込み値aropeは、滑り検知部16が滑りの発生を検知したときに制動力制御方式によってブレーキ8が制御される場合のかご3の減速度の見込み値である。見込み値atrは、綱車13に対する主ロープ5の滑りが解消したときに滑り解消制御方式によってブレーキ8が制御される場合のかご3の加速度の見込み値である。検知の遅れ時間の見込み値および状態遷移の遅れ時間の見込み値は、遅れ時間の見込み値T、T、およびTなどに含まれる。これにより、速度閾値Vlimは、既知の情報などに基づいて滑り検知の前に算出できる。このため、ブレーキ制御部17は、滑りの発生が検知された後、選択された制御方式によってより速やかにブレーキ8の制御を行うことができる。
また、ブレーキ制御部17は、滑り解消制御方式においてブレーキ8の制動状態から解放状態への状態遷移が生じないようにブレーキ8の制動力を制御してもよい。これにより、ブレーキ8の状態遷移の時間がなくなるので、ブレーキ8の制動遅れ時間が短くなる。このため、トラクション回復直後のかご3が増速する時間が抑えられる。
また、ブレーキ制御部17は、第1減速度aより絶対値が小さく、かつ、第2減速度aより絶対値が大きい減速度を設定減速度としてブレーキ8を制御する。第1減速度aは、綱車13に対する主ロープ5の滑りが発生しない上限の減速度として巻上機4のトラクション能力の見込み値から予め計算されたかご3の減速度である。第2減速度aは、昇降路2に設けられた安全スイッチ11を作動させない下限の減速度として予め計算されたかご3の減速度である。これにより、主ロープ5の滑りの発生および安全スイッチ11の作動による閉じ込めの発生が抑えられる。
なお、滑り検知部16およびブレーキ制御部17などの一部または全部は、制御装置12の外部の装置に搭載されていてもよい。
続いて、図7を用いて、エレベーター1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係るエレベーター1の主要部のハードウェア構成図である。
エレベーター1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーター1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーター1の各機能を実現する。
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
エレベーター1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーター1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーター1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーター1の各機能を実現する。
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図8は、実施の形態2に係るエレベーター1の構成図である。
エレベーター1は、荷重検出部18を備える。荷重検出部18は、かご3の内部の荷重を検出する部分である。荷重検出部18は、例えばかご3の下部またはかご3に取り付けられる主ロープ5の端部などに設けられる。通常時において、荷重検出部18は、例えばかご3の荷重によって変動するアンバランストルクの補償およびかご3の過積載の検知などに用いられる。
制御装置12は、方向検出部19を備える。方向検出部19は、上昇または下降のかご3の走行方向を検出する部分である。方向検出部19は、例えば綱車速度検出部9またはかご速度検出部10が検出する速度の符号に基づいて上昇または下降を判定する。この例において、ブレーキ制御部17は、滑り出し時を参照時点としてブレーキ8の制御を行う。
かご3の荷重は、主ロープ5を通じて綱車13にかかるトルクに影響する。また、ブレーキトルクがかかる方向は、かご3の走行方向によって変化する。このため、主ロープ5が滑らない条件はかご3の荷重および走行方向によって変化する。これにより、主ロープ5の滑り出しの最大減速度は、かご3の荷重および走行方向によって変化する。主ロープ5が滑らない条件は、次の式(5)によって表される。
Figure 0007323078000005
ここで、Γはトラクション係数を表す。expは指数関数を表す。kは綱車13の溝係数を表す。溝係数は、綱車13のロープ溝の形状などによって定まる係数である。μは主ロープ5および綱車13の間の摩擦係数である。溝係数kおよび摩擦係数μの積kμは、主ロープ5および綱車13の間のみかけの摩擦係数を表す。θは主ロープ5の綱車13への巻き付け角を表す。Ten1は綱車13から見たかご3側の張力を表す。Ten2は綱車13から見た釣合い錘6側の張力を表す。主ロープ5の滑りは、式(5)の右辺の張力比がトラクション係数Γを超える場合に発生する。
また、主ロープ5の滑りが発生していないときの綱車13の回転軸周りの運動方程式は、次の式(6)によって表される。
Figure 0007323078000006
ここで、Mtmは綱車13の慣性に相当する等価質量を表す。atmは綱車13の減速度を表す。FBKはブレーキトルクを綱車13の回転方向の力に換算した力を表す。力FBKの符号は、かご3の上昇時に負となり、かご3の下降時に正となるように取られる。
主ロープ5がちょうど滑り出す条件は式(5)において張力比がトラクション係数に等しくなることであるため、当該条件を満たす張力を式(6)に適用することによって滑り出し時の減速度atmが計算できる。ここで、張力Ten1および張力Ten2の値は、例えば巻上機4、釣合い錘6、およびロープ類の質量、ならびに滑車類の慣性質量および質量などを用いて、ローピングに応じて計算できる。ここで、ロープ類は、例えば主ロープ5、コンペンセーションロープ、制御ケーブル、および調速機ロープ14などを含む。滑車類は、例えば反らせ車、返し車、およびコンペンセーションシーブなどを含む。
ブレーキ制御部17は、かご3の荷重およびかご3の走行方向に応じた滑り出し時の減速度を算出する。ブレーキ制御部17は、当該減速度を用いて例えば実施の形態1と同様の計算方法によって速度閾値Vlimを算出する。ブレーキ制御部17は、算出した速度閾値Vlimに基づいて非常停止時のブレーキ制御を行う。これにより、負荷の条件に応じた制御方式が選択されるため、制動距離がより短縮される。
なお、ブレーキ制御部17は、かご3の荷重および走行方向が変化する都度計算を行って速度閾値Vlimを更新してもよい。あるいは、ブレーキ制御部17は、かご3の荷重および走行方向ごとに予め計算された速度閾値Vlimのテーブルを参照することで速度閾値Vlimを更新してもよい。
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーター1は、方向検出部19と、荷重検出部18と、を備える。方向検出部19は、かご3の走行方向を検出する。荷重検出部18は、かご3の内部の荷重を検出する。速度閾値Vlimは、方向検出部19が検出するかご3の走行方向と、荷重検出部18が検出するかご3の荷重と、を含む情報に基づいて算出される。
当該構成によって、かご3の負荷および走行方向などの運転条件に応じて速度閾値Vlimが設定される。これにより、かご3の制動距離がより短くなるブレーキ8の制御方式が運転条件に応じて選択される。
なお、速度閾値Vlimは、方向検出部19が検出するかご3の走行方向および荷重検出部18が検出するかご3の荷重のいずれか一方のみを含む情報に基づいて算出されてもよい。かご3の走行方向の検出値が速度閾値Vlimを算出する情報に含まれないときに、速度閾値Vlimは、予め設定された評価用のかご3の走行方向に基づいて算出されてもよい。また、かご3の荷重の検出値が速度閾値Vlimを算出する情報に含まれないときに、速度閾値Vlimは、予め設定された評価用のかご3の荷重に基づいて算出されてもよい。
本開示に係るエレベーターは、複数の階床を有する建物に適用できる。
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 かご、 4 巻上機、 5 主ロープ、 6 釣合い錘、 7 調速機、 8 ブレーキ、 9 綱車速度検出部、 10 かご速度検出部、 11 安全スイッチ、 12 制御装置、 13 綱車、 14 調速機ロープ、 15 調速機シーブ、 16 滑り検知部、 17 ブレーキ制御部、 18 荷重検出部、 19 方向検出部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア

Claims (13)

  1. かごを昇降路で昇降させる巻上機において、前記かごを前記昇降路に吊り下げる主ロープが巻き掛けられる綱車を制動するブレーキと、
    前記綱車に対する前記主ロープの滑りの有無を検知する滑り検知部と、
    前記綱車の速度を検出する綱車速度検出部と、
    非常停止時において前記滑り検知部が滑りの発生を検知するときに、非常停止の開始から滑り出しまでの予め設定された任意の参照時点における前記綱車速度検出部に検出された前記綱車の速度を予め設定された速度閾値と比較し、当該参照時点の速度が前記速度閾値を超える場合に、前記綱車および前記主ロープの間の滑りを解消させる滑り解消制御方式によって前記ブレーキを制御し、当該参照時点の速度が前記速度閾値を超えない場合に、設定減速度で前記綱車が減速するように前記ブレーキの制動力を制御する制動力制御方式によって前記ブレーキを制御するブレーキ制御部と、
    を備えるエレベーター。
  2. 前記ブレーキ制御部は、
    前記滑り検知部が滑りの発生を検知したときに前記制動力制御方式によって前記ブレーキが制御される場合の前記かごの制動距離の推定値と、
    前記滑り検知部が滑りの発生を検知したときに前記滑り解消制御方式によって前記ブレーキが制御される場合の前記かごの制動距離の推定値と、
    が等しくなるような前記参照時点の前記綱車の速度を前記速度閾値として、前記滑り解消制御方式および前記制動力制御方式を切り替える
    請求項1に記載のエレベーター。
  3. かごを昇降路で昇降させる巻上機において、前記かごを前記昇降路に吊り下げる主ロープが巻き掛けられる綱車を制動するブレーキと、
    前記綱車に対する前記主ロープの滑りの有無を検知する滑り検知部と、
    前記かごの速度を検出するかご速度検出部と、
    前記綱車の速度を検出する綱車速度検出部と、
    非常停止時において前記滑り検知部が滑りの発生を検知するときに、非常停止の開始から滑り出しまでの予め設定された任意の参照時点における前記かご速度検出部に検出された前記かごの速度を予め設定された速度閾値と比較し、当該参照時点の速度が前記速度閾値を超える場合に、前記綱車および前記主ロープの間の滑りを解消させる滑り解消制御方式によって前記ブレーキを制御し、当該参照時点の速度が前記速度閾値を超えない場合に、設定減速度で前記綱車が減速するように前記ブレーキの制動力を制御する制動力制御方式によって前記ブレーキを制御するブレーキ制御部と、
    を備えるエレベーター。
  4. 前記ブレーキ制御部は、
    前記滑り検知部が滑りの発生を検知したときに前記制動力制御方式によって前記ブレーキが制御される場合の前記かごの制動距離の推定値と、
    前記滑り検知部が滑りの発生を検知したときに前記滑り解消制御方式によって前記ブレーキが制御される場合の前記かごの制動距離の推定値と、
    が等しくなるような前記参照時点の前記かごの速度を前記速度閾値として、前記滑り解消制御方式および前記制動力制御方式を切り替える
    請求項3に記載のエレベーター。
  5. 前記ブレーキ制御部において、前記参照時点は前記主ロープの滑り出しの時点として予め設定される
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーター。
  6. 前記ブレーキ制御部において、前記参照時点は非常停止の開始の時点として予め設定される
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーター。
  7. 前記ブレーキ制御部は、非常停止時において前記滑り検知部が滑りの発生を検知する前に、前記制動力制御方式によって前記ブレーキを制御する
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーター。
  8. 前記ブレーキ制御部は、前記滑り検知部が滑りの解消を検知するときに、前記制動力制御方式によって前記ブレーキを制御する
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエレベーター。
  9. 前記ブレーキ制御部は、
    アンバランストルクによる前記かごの空走加速度の見込み値と、
    前記参照時点と
    前記滑り検知部が滑りの発生を検知したときに前記ブレーキの制御方式を前記ブレーキ制御部が切り替えず前記主ロープが前記綱車に対して滑りながら減速する場合の前記かごの減速度の見込み値と、
    前記綱車に対する前記主ロープの滑りが解消したときに前記滑り解消制御方式によって前記ブレーキが制御される場合の前記かごの加速度の見込み値と、
    前記制動力制御方式における設定減速度と、
    前記滑り検知部の滑りの有無の検知の遅れ時間の見込み値と、
    前記ブレーキの状態遷移の遅れ時間の見込み値と、
    を含む情報に基づいて算出される前記速度閾値によって前記滑り解消制御方式および前記制動力制御方式を切り替える
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーター。
  10. 前記かごの走行方向を検出する方向検出部と、
    を備え、
    前記ブレーキ制御部は、前記方向検出部が検出する前記かごの走行方向を含む情報に基づいて算出される前記速度閾値によって前記滑り解消制御方式および前記制動力制御方式を切り替える
    請求項9に記載のエレベーター。
  11. 前記かごの内部の荷重を検出する荷重検出部と、
    を備え、
    前記ブレーキ制御部は、前記荷重検出部が検出する前記かごの荷重を含む情報に基づいて算出される前記速度閾値によって前記滑り解消制御方式および前記制動力制御方式を切り替える
    請求項9または請求項10に記載のエレベーター。
  12. 前記ブレーキ制御部は、前記滑り解消制御方式において前記ブレーキの制動状態から解放状態への状態遷移が生じないように前記ブレーキの制動力を制御する
    請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のエレベーター。
  13. 前記ブレーキ制御部は、前記綱車に対する前記主ロープの滑りが発生しない上限の減速度として前記巻上機のトラクション能力の見込み値から予め計算された第1減速度より絶対値が小さく、かつ、前記昇降路に設けられた安全スイッチを作動させない下限の減速度として予め計算された第2減速度より絶対値が大きい減速度を前記設定減速度として前記ブレーキを制御する
    請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーター。
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