JP7322628B2 - 円偏光板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、円偏光板、その製造方法、樹脂層形成用組成物及び表示装置に関する。
液晶表示装置に用いられる円偏光板は、例えば、ヨウ素で染色したポリビニルアルコールからなる偏光フィルムと1/4波長板などとを、粘着剤又は接着剤を介して積層させることで製造されている。このような円偏光板は、総厚みが厚くなることが避けられず、薄型化が求められる現在の表示装置に用いる円偏光板には不向きである。
そこで、貼り合わせによる積層を回避し、位相差層や偏光層を塗布により形成して、薄型の円偏光板を製造する試みがなされている(特許文献1参照)。
特開2014-063143号公報
位相差層上に直接塗布により偏光層を形成すると、位相差層の配向の影響を受け、得られる円偏光板が良好な偏光性を発現できないという不都合を有する。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、円偏光板として良好な偏光性を有する円偏光板、その製造方法、このような円偏光板の製造に用いることができる樹脂層形成用組成物、及び上記円偏光板を備える表示装置を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態に係る円偏光板は、第1の液晶化合物及び水を含む位相差層形成用組成物から形成される位相差層と、第2の液晶化合物及び水を含む偏光層形成用組成物から形成される偏光層とを有する円偏光板であって、上記位相差層と上記偏光層との間に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂層形成用組成物から形成される樹脂層を有する円偏光板である。
上記第1の液晶化合物及び第2の液晶化合物が、リオトロピック性を示す液晶化合物であることが好ましい。
上記樹脂が、ポリオルガノシロキサン、ポリ環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
上記樹脂層の全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る樹脂層形成用組成物は、第1の液晶化合物及び水を含む位相差層形成用組成物から形成される位相差層と、第2の液晶化合物及び水を含む偏光層形成用組成物から形成される偏光層とを有する円偏光板における、上記位相差層と上記偏光層との間に設けられる樹脂層を形成するための組成物であって、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂層形成用組成物である。
本発明の一実施形態に係る円偏光板の製造方法は、基板上に、第1の液晶化合物及び水を含む位相差層形成用組成物の塗布により位相差層を形成する工程、上記位相差層上に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂層形成用組成物の塗布により樹脂層を形成する工程、及び上記樹脂層上に、第2の液晶化合物及び水を含む偏光層形成用組成物の塗布により偏光層を形成する工程を備える円偏光板の製造方法である。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、当該円偏光板と表示素子とを備える表示装置である。
上記表示素子が、液晶セル、有機EL素子又はタッチパネルであることが好ましい。
本発明によれば、円偏光板として良好な偏光性を有する円偏光板、その製造方法、このような円偏光板の製造に用いることができる樹脂層形成用組成物、及び上記円偏光板を備える表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る円偏光板の模式的断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置(EL表示装置)の模式的断面図である。
<円偏光板>
図1に示す本発明の一実施形態に係る円偏光板100は、基板11、位相差層12、樹脂層13及び偏光層14がこの順に積層されてなる積層体である。円偏光板100は、基板11と、位相差層形成用組成物から形成される位相差層12と、偏光層形成用組成物から形成される偏光層14とを有し、さらに位相差層12と偏光層14との間に、樹脂層形成用組成物から形成される樹脂層13を有する。位相差層形成用組成物は、第1の液晶化合物及び水を含む。偏光層形成用組成物は、第2の液晶化合物及び水を含む。樹脂層形成用組成物は、樹脂及び有機溶媒を含む。各組成物中の水及び有機溶媒は、最終的には各層に残存していなくてよく、一部は残存していてもよい。
本発明の一実施形態に係る円偏光板の好適な詳細は、以下の円偏光板の製造方法の説明中においてあわせて記載する。
本発明の一実施形態に係る円偏光板は、さらにその他の層を備えていてもよい。その他の層としては、最表層として設けられる保護層や、配向膜、その他の位相差層(例えば、1/2波長の位相差を与える位相差層)等が挙げられる。また、当該円偏光板の厚さや剛性は特に限定されるものでは無く、円偏光フィルム等と称されるものも含まれる。
<円偏光板の製造方法>
本発明の一実施形態に係る円偏光板の製造方法は、
基板上に、第1の液晶化合物及び水を含む位相差層形成用組成物の塗布により位相差層を形成する工程(位相差層形成工程)、
上記位相差層上に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂層形成用組成物の塗布により樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)、及び
上記樹脂層上に、第2の液晶化合物及び水を含む偏光層形成用組成物の塗布により偏光層を形成する工程(偏光層形成工程)
を備える。
当該製造方法は、位相差層形成工程の前に、基板を準備する工程(準備工程)を備えていてよい。
当該製造方法においては、このように、位相差層上に塗布により樹脂層を積層し、この樹脂層上に塗布により偏光層を形成するため、偏光層が位相差層の配向の影響を受け難い。また、樹脂層形成用組成物は有機溶媒を溶媒としているため、樹脂層形成用組成物の塗布の際に、水を溶媒として形成された位相差層の第1の液晶化合物の配向に与える影響も小さい。このようなことから、当該製造方法によれば、良好な偏光性を有する円偏光板を得ることができる。また、位相差層と偏光層との間に設ける層を樹脂により形成するため、得られる層(樹脂層)ひいては円偏光板の熱安定性も良好である。従って、得られる円偏光板は、例えば高温下で使用あるいは放置後も偏光性能の劣化が抑制される。
(準備工程)
本工程は、円偏光板の基板を準備する工程である。基板は、光、特に可視光を透過し得る透明性を有する基板であることが好ましい。透明性とは、波長380~780nmに渡る光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。
基板は、例えば高分子フィルム等、高分子から形成されている基材が好ましい。高分子フィルムは、延伸フィルムであってもよいし、非延伸フィルムであってもよい。例えば、基板には位相差性が小さいことが求められる場合がある。このような場合、非延伸フィルムを好適に用いることができる。
基板を構成する高分子としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィン;ポリ環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性や、透明性がより高い点から、セルロースエステル、ポリ環状オレフィン系樹脂又はポリカーボネートが好ましい。さらには、耐熱性透明性の観点から、ポリ環状オレフィン系樹脂が特に好ましいこともある。また、位相差層形成用組成物の塗布性の点から、親水性基(ヒドロキシ基、エステル基、エーテル基等)を有する高分子が好ましいこともあり、セルロースエステルがより好ましい。
ポリ環状オレフィン系樹脂としては、後述する樹脂層形成用組成物に含まれる樹脂の一例として記載したポリ環状オレフィン系樹脂を用いることができる。ポリ環状オレフィン系樹脂には、極性基が導入されていてもよい。
セルロースエステルは、セルロースに含まれるヒドロキシ基の一部又は全部が、エステル化されたものである。セルロースエステルは、市販品を用いることができる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、“ZRF25”[富士フイルム];“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”[コニカミノルタオプト]などが挙げられる。
準備工程においては、基板の下地処理を施してもよい。下地処理としては、例えば基板表面の親水化処理等が挙げられる。親水化処理としては、セルロースエステル製基板の場合、表面(位相差層形成用組成物を塗布する面)のけん化処理等が挙げられる。
基板の厚さは特に限定されず、フィルムと称されるものであってもよい。基板の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。基板の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な強度を保つことができる。一方、この平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、60μmがより好ましく、40μmがさらに好ましい。基板の平均厚さを上記上限以下とすることで、得られる円偏光板の十分な薄型化を図ることができる。
基板の位相差層形成用組成物を塗布する面には、他の層が設けられていてもよいし、他の層が設けられていなくてもよい。他の層としては、配向膜などが挙げられる。基板の位相差層形成用組成物を塗布しない面にも、ハードコート層等の層が設けられていてもよい。
(位相差層形成工程)
本工程は、基板上に、位相差層形成用組成物の塗布により位相差層を形成する工程である。位相差層形成用組成物は、基板上に直接塗布してもよいし、他の層を介して塗布してもよい。
(位相差層形成用組成物)
位相差層形成用組成物は、第1の液晶化合物及び水を含む。第1の液晶化合物は、通常、光学異方性により位相差性を発現できる化合物である。このような化合物としては、芳香環を主鎖骨格に有する重合体や、芳香環が複数結合して共役系を形成している化合物が好ましい。芳香環を主鎖骨格に有する重合体、及び芳香環が複数結合して共役系を形成している化合物は、少量で高粘度を示し、水を溶媒として含むことで光学異方性を有する液晶を発現することも可能となる。
第1の液晶化合物は、リオトロピック性を示す液晶化合物(リオトロピック性液晶)であってもよく、サーモトロピック性を示す液晶化合物(サーモトロピック性液晶)であってもよいが、リオトロピック性を示す液晶化合物であることが好ましい。リオトロピック液晶は、水やその他の極性溶媒と混合することで、液晶が発現するものである。リオトロピック液晶は、濃度や塗布方向を調整することで液晶を配向させることができる。従って、第1の液晶化合物としてリオトロピック性を示す液晶化合物を用いることで、水を含む位相差層形成用組成物の塗布により、第1の液晶化合物が配向した位相差層を比較的容易に得ることができる。また、温度変化によって液晶状態となるサーモトロピック性液晶とは異なり、リオトロピック性を示す液晶化合物を用いることで、温度に依存せずに位相差層の配向状態が維持されるため、円偏光板の熱安定性を高めることができる。
第1の液晶化合物としては、下記式(1)又は式(2)で示される芳香環を主鎖骨格に有する重合体、及び芳香環が複数結合して共役系を形成している化合物が挙げられる。第1の液晶化合物としては、下記式(1)又は式(2)で示される芳香環を主鎖骨格に有する重合体と、芳香環が複数結合して共役系を形成している化合物とを含むことが好ましい。これらの化合物は、リオトロピック性を示し、屈折率異方性を有する液晶化合物である。第1の液晶化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
Figure 0007322628000001
式(1)、(2)中、Gは、それぞれ独立して、カルボキシ基、スルホ基又はホスホ基である。kは、それぞれ独立して、0から2の整数である。
芳香環を主鎖骨格に有する重合体の具体例としては、下記式(3)~(13)で示される重合体が挙げられる。
Figure 0007322628000002
Figure 0007322628000003
上記式(3)~(13)中、nは、任意の自然数である。
芳香環が複数結合して共役系を形成している化合物としては、下記式(14)~(35)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0007322628000004
Figure 0007322628000005
Figure 0007322628000006
これらの化合物の中でも、上記式(3)で表される重合体、及び上記式(28)で表される化合物が、位相差性発現性や基板への塗布性の観点などから好ましい。
第1の液晶化合物としては、米国特許第8895118号に記載の化合物を用いることができる。また、位相差層形成用組成物として、米国特許第8895118号に記載の液晶溶液を用いることもできる。第1の液晶化合物としては、その他、重合性液晶等を用いてもよい。この場合、位相差層形成用組成物には、重合開始剤等がさらに含まれていてよい。
位相差層形成用組成物における固形分に占める第1の液晶化合物の含有量は、例えば50質量%以上99質量%以下であり、70質量%以上が好ましい場合があり、90質量%以上がより好ましい場合もある。なお、固形分とは、溶媒以外の全成分をいう。
位相差層形成用組成物は、水以外の溶媒をさらに含んでいてもよい。このような溶媒としては、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族カルボン酸、炭化水素系溶媒、環式炭化水素、クロロ炭化水素、アルコールなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。具体的な有機溶媒としては、アセトン、キシレン、トルエン、エタノール、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、オクタン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエテン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、トリエチルアミン、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
位相差層形成用組成物における水を含む全溶媒の含有量としては特に限定されないが、例えば50質量%以上99質量%以下であってよい。すなわち、位相差層形成用組成物における固形分の含有量は、1質量%以上50質量%以下であってよい。
位相差層形成用組成物は、界面活性剤、可塑剤及びその他の添加剤をさらに含むことができる。
位相差層形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。但し、塗布により第1の液晶化合物を所定方向に配向させる点からは、バーコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が好ましい。但し、他の方法で第1の液晶化合物を配向させる場合は、この限りでは無い。
位相差層形成用組成物を塗布後に、塗膜を乾燥させることで、位相差層が形成される。この乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等、従来公知の方法を用いることができる。
得られる位相差層の平均厚さの下限としては、0.5μmが好ましく、1μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい場合もある。位相差層の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な位相差を発現することができる。一方、この平均厚さの上限としては、例えば20μmであり、10μm又は5μmであってもよい。
得られる位相差層は、典型的には、入射光(可視光)に対して1/4波長の位相差を与えるものであってよい。但し、位相差によらず、得られる円偏光板は、十分な偏光性能を発揮することができる。すなわち、本発明の一態様に係る円偏光板には、楕円偏光板も含まれる。
(樹脂層形成工程)
本工程は、上記位相差層形成工程にて得られた位相差層上に、樹脂層形成用組成物の塗布により樹脂層を形成する工程である。樹脂層形成用組成物は、通常、位相差層上に直接塗布される。
(樹脂層形成用組成物)
樹脂層形成用組成物は、樹脂及び有機溶媒を含む。
(樹脂)
上記樹脂は、透明樹脂であることが好ましい。上記樹脂としては、ポリオルガノシロキサン、ポリ環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらの各樹脂には、いずれも変性されたものも含まれる。
以下、樹脂について、特に好ましいものをより詳しく説明する。
(1)ポリ環状オレフィン系樹脂
上述のポリ環状オレフィン系樹脂は、単量体として環状オレフィンを含む重合体である。ポリ環状オレフィン系樹脂としては、下記式(X)で表される単量体及び下記式(Y)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体から得られる樹脂、又は必要に応じてさらにその樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 0007322628000007
上記式(X)中、Rx1~Rx4は、それぞれ独立に下記(i)~(viii)より選ばれる原子又は基を表す。k、m及びpは、それぞれ独立に0又は正の整数を表す。k、m及びpの上限は、それぞれ例えば5であってよく、2又は1であってもよい。
(i)水素原子
(ii)ハロゲン原子
(iii)トリアルキルシリル基
(iv)酸素原子、硫黄原子、窒素原子又はケイ素原子を含む連結基を有する、置換又は非置換の炭素数1~30の炭化水素基
(v)置換又は非置換の炭素数1~30の炭化水素基
(vi)極性基(但し(iv)を除く)
(vii)Rx1とRx2又はRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、該結合に関与しないRx1~Rx4は、それぞれ独立に上述の(i)~(vi)より選ばれる原子又は基を表す。
(viii)Rx1とRx2又はRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環若しくは多環の炭化水素環又は複素環を表し、その結合に関与しないRx1~Rx4は、それぞれ独立に上述の(i)~(vi)より選ばれる原子又は基を表す。あるいは、Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環又は複素環を表し、その結合に関与しないRx1~Rx4は、それぞれ独立に上記(i)~(vi)より選ばれる原子又は基を表す。
Figure 0007322628000008
上記式(Y)中、Ry1及びRy2は、それぞれ独立に上述の(i)~(vi)より選ばれる原子又は基を表すか、下記(ix)を表す。k及びpは、それぞれ独立に0又は正の整数を表す。k及びpの上限は、それぞれ例えば5であってよく、2又は1であってもよい。
(ix)Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環又は多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素又は複素環を表す。
(2)芳香族ポリエーテル系樹脂
上述の芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(I)で表される構造単位及び下記式(II)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を有することが好ましい。
Figure 0007322628000009
上記式(I)中、R~Rは、それぞれ独立に炭素数1~12の1価の有機基を示す。a~dは、それぞれ独立に0~4の整数を示す。なお、本明細書において有機基とは、炭素原子を含む基をいう。
Figure 0007322628000010
上記式(II)中、R~R及びa~dは、それぞれ独立に上記式(I)中のR~R及びa~dと同義である。Yは単結合、-SO-又は>C=Oを示す。R及びRは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1~12の1価の有機基又はニトロ基を示す。g及びhは、それぞれ独立に0~4の整数を示す。mは0又は1を示す。但し、mが0のとき、Rはシアノ基ではない。
また、上述の芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(III)で表される構造単位及び下記式(IV)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を有することが好ましい。
Figure 0007322628000011
上記式(III)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~12の1価の有機基を示す。Zは、単結合、-O-、-S-、-SO-、>C=O、-CONH-、-COO-又は炭素数1~12の2価の有機基(>C=O、-CONH-及び-COO-を除く)を示す。e及びfは、それぞれ独立に0~4の整数を示す。nは0又は1を示す。
Figure 0007322628000012
上記式(IV)中、R、R、Y、m、g及びhは、それぞれ独立に上記式(II)中のR、R、Y、m、g及びhと同義である。R、R、Z、n、e及びfは、それぞれ独立に上記式(III)中のR、R、Z、n、e及びfと同義である。
(3)ポリイミド系樹脂
上述のポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよい。ポリイミド系樹脂は、例えば、特開2006-199945号公報や特開2008-163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
(4)フルオレンポリカーボネート系樹脂
上述のフルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよい。フルオレンポリカーボネート系樹脂は、例えば、特開2008-163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
(5)フルオレンポリエステル系樹脂
上述のフルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよい。フルオレンポリエステル系樹脂は、例えば、特開2010-285505号公報や特開2011-197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
(6)フッ素化芳香族ポリマー系樹脂
上述のフッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、少なくとも1つのフッ素を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合及びエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーが挙げられる。フッ素化芳香族ポリマー系樹脂は、例えば、特開2008-181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
(7)ポリオルガノシロキサン
ポリオルガノシロキサンとは、有機基を有するポリシロキサンである。有機基としては、置換又は非置換の炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基、後述する重合性基、光配向性基、これらを組み合わせた基等を挙げることができる。
ポリオルガノシロキサンは、例えば、加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。使用するシラン化合物としては、加水分解性を示す限り特に制限されないが、例えばテトラアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリアルコキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、p-スチリルトリアルコキシシラン、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等を挙げることができる。シラン化合物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
シラン化合物の加水分解・縮合反応は、シラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行う。加水分解・縮合反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは1~30モルである。触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度などの反応条件などにより異なるが、例えばシラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.05~1倍モルである。反応に使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール等が挙げられる。これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10~1,000質量部である。
加水分解・縮合反応は、例えば油浴などにより加熱(例えば、40~130℃に加熱)して実施することが好ましい。加熱時間は、0.5~8時間とすることが好ましい。反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒相を必要に応じて水で洗浄し、有機溶媒相を乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とするポリオルガノシロキサンを得ることができる。なお、ポリオルガノシロキサンの合成方法は、上記加水分解・縮合反応に限らず、例えば加水分解性シラン化合物をシュウ酸及びアルコールの存在下で反応させる方法などにより行ってもよい。
ポリオルガノシロキサンとしては、重合性基を有するポリオルガノシロキサン及び光配向性基を有するポリオルガノシロキサンが好ましく、重合性基を有するポリオルガノシロキサンがより好ましい。重合性基と光配向性基とを有するポリオルガノシロキサンも好ましい。重合性基としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を挙げることができ、エポキシ基が好ましい。なお、エポキシ基は、炭素数2以上の環状エーテル基をいい、オキシラニル基及びオキセタニル基のいずれも含む基である。以下に一例として、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン、及び光配向性基を有するポリオルガノシロキサンについて説明する。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、例えば、エポキシ基を有するアルコキシシラン、又はエポキシ基を有するアルコキシシランとその他のシラン化合物との混合物を加水分解縮合することにより得ることができる。エポキシ基を有するアルコキシシランとしては、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリアルコキシシラン等を挙げることができる。
光配向性基を有するポリオルガノシロキサンは、例えば、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、光配向性基を有するカルボン酸(以下「特定カルボン酸」ともいう。)とを反応させることにより得ることができる。
特定カルボン酸は、光配向性基として桂皮酸構造含有基を有するカルボン酸であることが好ましい。なお、特定カルボン酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと特定カルボン酸との反応に際しては、その他のカルボン酸をさらに反応させてもよい。使用するその他のカルボン酸は、特に制限されないが、重合性基を有するカルボン酸が好ましく用いられ、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸がより好適に用いられる。
重合性基を有するカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸;無水トリメリット酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス-1,2,3,4-テトラヒドロフタル酸無水物等の不飽和多価カルボン酸無水物等を挙げることができる。重合性基を有するカルボン酸は、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他のカルボン酸としては、重合性基を有するカルボン酸以外の他、例えばプロピオン酸、安息香酸、メチル安息香酸等を使用してもよい。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応に際し、カルボン酸の使用割合は、当該反応を十分に行わせつつ、未反応のカルボン酸の量を少なくする観点から、ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基の合計1モルに対して、0.001~1.5モルとすることが好ましく、さらに0.01モル以上1.0モル未満とすることがより好ましく、0.1~0.8モルとすることが更に好ましい。
特定カルボン酸の使用割合(2種以上使用する場合にはその合計量)は、反応に使用するカルボン酸の全量に対して、10モル%以上とすることが好ましく、20モル%以上とすることがより好ましい。重合性基を有するカルボン酸を使用する場合、その使用割合は、反応に使用するカルボン酸の全量に対して、1モル%以上とすることが好ましく、3~50モル%とすることがより好ましく、5~30モル%とすることが更に好ましい。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応は、好ましくは触媒及び有機溶媒の存在下で行われる。触媒としては、3級有機アミン又は4級有機アミンを用いることが好ましい。触媒の使用割合は、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部である。使用する有機溶媒としては、原料及び生成物の溶解性、並びに生成物の精製のしやすさの観点から、エーテル、エステル及びケトンよりなる群から選ばれる少なくとも一種とすることが好ましい。特に好ましい溶媒の具体例として、2-ブタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン及び酢酸ブチル等を挙げることができる。有機溶媒は、固形分濃度が、5~50質量%となる割合で使用することが好ましい。反応温度は、好ましくは0~200℃であり、反応時間は、好ましくは0.1~50時間である。反応終了後は、反応液から分取した有機溶媒相を水で洗浄することが好ましい。
(8)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体である。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。
アクリル系樹脂は、重合性基を有する構造単位を含むことが好ましい。重合性基を有するアクリル系樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルをモノマーに用いて重合することにより得ることができる。また、エポキシ基を有する構造単位が導入されたアクリル系樹脂に、重合性基を有するカルボン酸を反応させることによっても得ることができる。
(9)ポリビニルアルコール系樹脂
ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコール単位を含む樹脂である。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリビニルエステル系樹脂をけん化することにより得られる。ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステルに由来する構造単位以外の構造単位を有していてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、重合性基を有する構造単位を含むことが好ましい。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、特開平9-152509号公報に記載のビニル基、エポキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位を含むポリビニルアルコール系樹脂を挙げることができる。
(10)市販品
樹脂層形成用組成物に含まれる樹脂は、市販品を用いることもできる。ポリ環状オレフィン系樹脂の市販品としては、例えばJSR株式会社製「アートン」、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」、三井化学株式会社製「APEL」、ポリプラスチックス株式会社製「TOPAS」等を挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、例えば住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」等を挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、例えば三菱ガス化学株式会社製「ネオプリムL」等を挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば帝人株式会社製「ピュアエース」等を挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば三菱ガス化学株式会社製「ユピゼータEP-5000」等を挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば大阪ガスケミカル株式会社製「OKP4HT」等を挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、例えば株式会社日本触媒製「アクリビュア」、日油株式会社製「マープルーフG-0105SA」、共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートDCP-A」等を挙げることができる。
樹脂層形成用組成物の樹脂としては、ポリオルガノシロキサン、ポリ環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及びアリルエステル系硬化型樹脂がより好ましく、ポリオルガノシロキサン、ポリ環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、及びアクリル系樹脂がさらに好ましく、ポリオルガノシロキサンが特に好ましい。これらの樹脂を用いることで、得られる円偏光板がより良好な偏光性能を発揮することができ、また、熱安定性も高まる。
また、樹脂層形成用組成物の樹脂は、重合性基を有する樹脂が好ましく、エポキシ基を有する樹脂がより好ましい。このような樹脂を用いることで、得られる円偏光板がより良好な偏光性能を発揮することができ、また、熱安定性も高まる。
樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000~50,000の範囲にあることが好ましく、5,000~30,000の範囲にあることがより好ましい。また、樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、1,000~50,000の範囲にあることが好ましく、5,000~30,000の範囲にあることがより好ましい。
樹脂層形成用組成物における固形分に占める樹脂の含有量としては、例えば50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい場合もある。
(有機溶媒)
樹脂層形成用組成物に用いる有機溶媒としては、特に限定されず、樹脂を安定に溶解又は分散できる溶媒であれば、特に限定されない。
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、テトラフルオロプロピルアルコール、ペンタフルオロプロピルアルコール等のフッ素系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、エーテル類及びエステル類が好ましい。これらの有機溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
有機溶媒の含有量は、樹脂100質量部に対して、100~10,000質量部が好ましく、500~8,000質量部がより好ましい。
樹脂層形成用組成物には、有機溶媒以外に水等の他の溶媒を含んでいてもよい。但し、全溶媒に占める有機溶媒の含有量としては、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。樹脂層形成用組成物の固形分濃度としては、例えば1質量%以上15質量%以下が好ましい。
(その他の成分)
樹脂層形成用組成物は、必要に応じて、重合開始剤、重合性化合物、硬化促進剤、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、透明ナノ粒子、シランカップリング剤等のその他の成分を含有することができる。
重合開始剤としては、光ラジカル発生剤及び光酸発生剤を挙げることができる。
光ラジカル発生剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合性化合物のラジカル重合を開始させる化合物である。光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
光ラジカル発生剤としては、例えばビイミダゾール化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、フェノン化合物、オキシム化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物等が挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、特開2008-276194号公報、特開2003-241372号公報、特表2009-519991号公報、特表2009-531730号公報、国際公開第2010/001691号、国際公開第2010/146883号、特開2011-132215号公報、特表2008-506749号公報、特表2009-519904号公報等に記載の化合物が挙げられる。
光酸発生剤は、光の照射により酸を発生させる化合物である。この酸の発生により、カチオン重合性化合物のカチオン重合を開始させることができる。光酸発生剤としては、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物等を挙げることができる。
重合性化合物は、好ましくは複数の重合性基を有する化合物である。重合性化合物には、樹脂(重合体)であるものは含まれない。重合性化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物及びカチオン重合性基を有する化合物を挙げることができる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基及びビニル基を挙げることができる。カチオン重合性基としては、エポキシ基等を挙げることができる。
ラジカル重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートと酸無水物とを反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性化合物としては、オキシラン環含有化合物、オキセタン環含有化合物、環状チオエーテル化合物、メチロール化アミノ基を有する化合物、アルキルエーテル化アミノ基を有する化合物、メチロール基含有芳香族化合物、アルキルエーテル化芳香族化合物等の活性メチレンを有する化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート基含有化合物(ブロック化されたものを含む。)、アルデヒド基含有フェノール化合物、ビニルエーテル化合物、ジプロペニルエーテル化合物等が挙げられる。
硬化促進剤としては、無水トリメリット酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸無水物;イミダゾール化合物;4級リン化合物;4級アミン化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム等の有機金属化合物;三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化合物;トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリ(p-トリル)シラノール等のシラノール基を有する化合物などを挙げることができる。樹脂層形成用組成物が硬化促進剤を含むことにより、得られる円偏光板の偏光性能や熱安定性をより高めることができる。
硬化促進剤の含有量としては、樹脂100質量部に対して例えば5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、フェノール性水酸基に対して2位及び6位の両方に置換基を有する化合物である。置換基としては、メチル基及びt-ブチル基が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、モノフェノール類、ビスフェノール類、ポリフェノール類のいずれであってもよい。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系化合物を使用できる。ヒンダードアミン系化合物としては、2,2’,6,6’-テトラアルキルピペリジン誘導体が好ましい。
透明ナノ粒子としては、Al、SiO、GeO、Y、La、CeO、TiO、ZrO、Nb、Ta等の粒子が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記その他の成分は、いずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
樹脂層形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、バーコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、スピンコーティング等、公知の方法を用いることができる。
樹脂層形成用組成物を塗布後に、塗膜を乾燥させることで、樹脂層が形成される。この塗布方法としては特に限定されず、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等、従来公知の方法を用いることができる。
樹脂層形成用組成物の塗膜には、乾燥の際、又は乾燥とは別に、加熱を施してもよい。樹脂層形成用組成物の樹脂が重合性基を有する場合や、樹脂層形成用組成物が重合性化合物を含有する場合は、加熱により重合が進行し、硬化した、熱安定性等に優れる樹脂層を得ることができる。加熱温度としては、例えば80℃以上150℃以下である。加熱時間としては、例えば0.5分以上10分以下である。
得られる樹脂層の平均厚さの下限としては、0.01μmが好ましく、0.02μmがより好ましく、0.05μmがさらに好ましい。樹脂層の平均厚さを上記下限以上とすることで、位相差層の配向の影響が十分に小さい偏光層を樹脂層上に形成することができる。一方、この平均厚さの上限としては、例えば3μmであり、1μm、0.5μm又は0.2μmであってもよい。樹脂層の平均厚さを上記上限以下とすることで、樹脂層の透光性を高めることなどができる。
樹脂層の全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。樹脂層がこのように高い光線透過率を有する場合、樹脂層を設けることによる光透過率の低下が抑制され、円偏光板としての有用性が高まる。全光線透過率とは、JIS K 7361-1:1997(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)に規定される測定法によって測定される値である。
(偏光層形成工程)
本工程は、上記樹脂層形成工程にて得られた樹脂層上に、偏光層形成用組成物の塗布により偏光層を形成する工程である。偏光層形成用組成物は、樹脂層上に直接塗布してもよいし、他の層(例えば、配向膜等)を介して塗布してもよい。但し、生産性等の点からは、樹脂層上に直接偏光層形成用組成物を塗布し、偏光層を設けることが好ましい。
(偏光層形成用組成物)
偏光層形成用組成物は、第2の液晶化合物及び水を含む。偏光層形成用組成物は、通常、二色性色素を含む。第2の液晶化合物の一部又は全部が二色性色素であってもよいし、第2の液晶化合物とは別に二色性色素を用いてもよい。第2の液晶化合物とは別に二色性色素を用いる場合も、第2の液晶化合物の配向に沿って二色性色素が配向する。
第2の液晶化合物は、リオトロピック性を示す液晶化合物であることが好ましい。位相差層の形成の場合と同様、第2の液晶化合物としてリオトロピック性を示す液晶化合物を用いることで、水を含む偏光層形成用組成物の塗布により、第2の液晶化合物が配向した偏光層を比較的容易に得ることができる。また、サーモトロピック性ではなく、リオトロピック性を示す液晶化合物を用いることで、円偏光板の熱安定性を高めることができる。
第2の液晶化合物としては、分子中に2以上の芳香炭化水素、複素環又は脂環式炭化水素を含む多環式有機化合物が好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、コロネン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、アセナフチレン、ピレン等の縮合環炭化水素含む化合物、フラン、オキシラン、4H-ピラン、2H-クロメン、ベンゾフラン、2H-ピラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、パラチアジン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピリミジン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、インドール、プリン、ベンズイミダゾール、キノリン、フェノチアジン、モルホリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール等の縮合複素環を含む化合物、縮合環炭化水素と縮合複素環との双方を含む化合物等を挙げることができる。これらの液晶化合物は、通常、リオトロピック性を示す液晶化合物であり、かつ二色性を有する。
これらの多環式有機化合物(第2の液晶化合物)の具体的な例としては、下記式(36)~(81)で示される化合物の水素原子の一部又は全部が極性基で置換された多環式有機化合物を挙げることができる。
Figure 0007322628000013
Figure 0007322628000014
Figure 0007322628000015
Figure 0007322628000016
Figure 0007322628000017
Figure 0007322628000018
Figure 0007322628000019
式(69)~(72)中、Mは、それぞれ独立して、2H、Cu、Zn、Co、Fe又はPtである。
上記式(36)~(81)で表される骨格を有する多環式有機化合物が有する極性基としては、炭素数1~12のアルコキシル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン、スルホ基、スルフィノ基、シアノ基及びニトロ基を挙げることができる。多環式有機化合物がこのような極性基を有することにより、水への溶解性を高め、良好なリオトロピック性を発現することができる。これらの極性基の中でも、水系での安定性、塗布性、偏光性能の発現性などの点から、スルホ基が好ましい。好ましい多環式有機化合物(第2の液晶化合物)としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0007322628000020
第2の液晶化合物としては、特表2009-511460号公報及び特表2011-513376号公報に記載の化合物を用いることができる。また、偏光層形成用組成物として、特表2009-511460号公報及び特表2011-513376号公報に記載の溶液を用いることもできる。
偏光層形成用組成物における固形分に占める第2の液晶化合物の含有量は、例えば50質量%以上99質量%以下であり、70質量%以上が好ましい場合があり、90質量%以上がより好ましい場合もある。
偏光層形成用組成物は、水以外の溶媒をさらに含んでいてもよい。このような溶媒としては、位相差層形成用組成物において例示した溶媒を挙げることができる。
偏光層形成用組成物における水を含む全溶媒の含有量としては特に限定されないが、例えば50質量%以上99質量%以下であってよい。すなわち、偏光層形成用組成物における固形分の含有量は、1質量%以上50質量%以下であってよい。
偏光層形成用組成物は、界面活性剤、可塑剤及びその他の添加剤をさらに含むことができる。
偏光層形成用組成物の塗布方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。但し、塗布により第1の液晶化合物を所定方向に配向させる点からは、バーコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が好ましい。
円偏光板の一実施形態においては、法線方向視において、位相差層の第1の液晶化合物の配向方向と偏光層の第2の液晶化合物の配向方向とが所定角度(例えば、45°)に制御されている。このような配向方向の制御は、各層を形成する組成物の塗布方向を制御することなどにより行うことができる。例えば、位相差層形成用組成物の塗布方向と偏光層形成用組成物の塗布方向とが45°の角度となるように塗布することができる。但し、塗布方向の制御以外の方法により配向方向を制御する場合はこの限りでは無い。
偏光層形成用組成物を塗布後に、塗膜を乾燥させることで、偏光層が形成される。この乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等、従来公知の方法を用いることができる。
偏光層には、有機溶媒などに対する不溶化処理を施してもよい。不溶化処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属水溶液を接触させることなどにより行うことができる。アルカリ金属水溶液に偏光層を接触させることで、偏光層中の多環式有機化合物のスルホ基等の酸性を示す基が、アルカリ金属の塩を形成し、有機溶媒に対する溶解性が低下する。
得られる偏光層の平均厚さの下限としては、0.3μmが好ましく、0.5μmがより好ましい。偏光層の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な偏光性能を発現することができる。一方、この平均厚さの上限としては、例えば10μmであり、5μm又は2μmであってもよい。
<表示装置>
本発明の一実施形態に係る円偏光板は、様々な表示装置等に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、表示素子は発光源として発光素子を含んでいてよい。表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED)等)、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置等)、タッチパネル型表示装置、及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。例えば、液晶表示装置における液晶セル、有機EL表示装置における有機EL素子、タッチパネル表示装置におけるタッチパネル等がそれぞれ表示素子である。
これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。本発明の一実施形態に係る円偏光板は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及びタッチパネル型表示装置に有効に用いることができ、特に、EL表示装置(有機EL表示装置及び無機EL表示装置)に有効に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る円偏光板と表示素子とを備えた表示装置の一例として、EL表示装置を、図2を参照して説明する。図2のEL表示装置30は、画素電極35が形成された基板33上に、発光源である有機機能層36、及びカソード電極37が積層されている。基板33を挟んで有機機能層36と反対側に、本発明の一実施形態に係る円偏光板100が配置される。画素電極35にプラスの電圧、カソード電極37にマイナスの電圧を加え、画素電極35及びカソード電極37間に直流電流を印加することにより、有機機能層36が発光する。発光源である有機機能層36は、電子輸送層、発光層及び正孔輸送層などからなる。有機機能層36から出射した光は、画素電極35、層間絶縁膜34、基板33、及び円偏光板100を通過する。図2のEL表示装置30においては、円偏光板100以外の構成が表示素子(有機EL素子)200である。表示素子200は、透明電極である画素電極35、発光源である有機機能層36、カソード電極37等を有する。以下具体的に有機機能層36を有する有機EL表示装置について説明するが、無機機能層を有する無機EL表示装置に適用してもよい。
EL表示装置30を製造するには、まず、基板33上に薄膜トランジスタ40を所望の形状に形成する。そして層間絶縁膜34を成膜し、次いで画素電極35をスパッタ法で成膜し、パターニングする。その後、有機機能層36を積層する。次いで、基板33の薄膜トランジスタ40が設けられている面の反対の面に、円偏光板100を設ける。その場合には、円偏光板100の位相差層が、基板33側になるように配置される。
次に、EL表示装置30の円偏光板100以外の部材について簡単に説明する。
基板33としては、サファイアガラス基板、石英ガラス基板、ソーダガラス基板及びアルミナなどのセラミック基板;銅などの金属基板;プラスチック基板などが挙げられる。基板33上に熱伝導性膜を形成してもよい。熱伝導性膜としては、ダイヤモンド薄膜(DLCなど)などが挙げられる。基板は単一で形成されていてもよく、複数の基板を接着剤で貼り合わせて積層基板として形成されていていてもよい。また、これらの基板は、板状のものに限定するものではない。
薄膜トランジスタ40としては、例えば多結晶シリコントランジスタなどを用いることができる。薄膜トランジスタ40は、画素電極35の端部に設けられ、その大きさは、例えば10~30μm程度である。画素電極35の大きさは、例えば20μm×20μm~300μm×300μm程度である。
基板33上には、薄膜トランジスタ40の配線電極が設けられている。配線電極は抵抗が低く、画素電極35と電気的に接続して抵抗値を低く抑える機能がある。一般的にはこの配線電極は、Al、Ti、窒化チタン(TiN)等を含有するものが用いられる。
薄膜トランジスタ40と画素電極35との間には層間絶縁膜34が設けられる。層間絶縁膜34は、SiOなどの酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機系材料をスパッタや真空蒸着で成膜したもの、SOG(スピン・オン・グラス)で形成した酸化ケイ素層、フォトレジスト、ポリイミド及びアクリル樹脂などの樹脂系材料の塗膜など、絶縁性を有するものであればいずれであってもよい。
層間絶縁膜34上に、リブ41を形成する。リブ41は、画素電極35の周辺部(隣接画素間)に配置されている。リブ41の材料としては、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂などが挙げられる。リブ41の厚みは、好ましくは1.0μm以上3.5μmであり、より好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。
画素電極35としては、例えばITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、IGZO、ZnO、SnO及びInなどが挙げられ、ITO及びIZOが好ましい。画素電極35の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すればよく、10~500nm程度とすることが好ましい。
画素電極35は、蒸着法(好ましくはスパッタ法)により形成することができる。スパッタガスとしては、特に制限するものではなく、Ar、He、Ne、Kr及びXeなどの不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いることができる。
有機機能層36は、それぞれ少なくとも1層のホール輸送層及び発光層を有し、例えば電子注入輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層を順次有する。
発光源である有機機能層36としては、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するもの、3重項励起子からの発光(燐光)を利用するもの、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するものと3重項励起子からの発光(燐光)を利用するものとを含むもの、有機物によって形成されたもの、有機物によって形成されたものと無機物によって形成されたものとを含むもの、高分子の材料、低分子の材料、高分子の材料と低分子の材料とを含むものなどを用いることができる。ただし、これに限定されず、EL素子用として公知の様々なものを用いた有機機能層36を、EL表示装置30に用いることができる。
カソード電極37の構成材料としては、例えばK、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn及びZrなどの金属元素を挙げることができる。電極の作動安定性を向上させるためには、例示した金属元素から選ばれる2成分又は3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1~20at%)、Al・Li(Li:0.3~14at%)、In・Mg(Mg:50~80at%)及びAl・Ca(Ca:5~20at%)などが好ましい。
カソード電極37は、蒸着法及びスパッタ法などにより形成される。カソード電極37の厚さは、0.1nm以上、さらには1~500nm以上であることが好ましい。
カソード電極37と封止フタ39との空間には乾燥剤38を配置する。これは、有機機能層36は湿度に弱いためである。乾燥剤38により水分を吸収し有機機能層36の劣化を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る円偏光板は、円偏光板として十分な偏光性能を有する。従って、本発明の一実施形態に係る円偏光板100を備えたEL表示装置30は、円偏光板100が優れた反射防止性能を有する。よって、EL表示装置30は、表示装置としての性能に優れたものとなる。本発明の一実施形態に係る円偏光板を他の表示装置に用いた場合も同様の効果を奏することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の例において、樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びエポキシ当量は、以下の方法により測定した。以下の例で用いた原料化合物及び樹脂の必要量は、下記の合成例に示す合成スケールでの合成を必要に応じて繰り返すことにより確保した。
[樹脂の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn]
Mw及びMnは、以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸-メチルエチルケトン法により測定した。
なお、以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。
[合成例1]<ポリオルガノシロキサン(SEp-1)の合成>
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン70.5g、テトラエトキシシラン14.9g、エタノール85.4g及びトリエチルアミン8.8gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水70.5gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で攪拌しつつ、80℃で2時間反応させた。反応溶液を濃縮し、酢酸n-ブチルで希釈する操作を2回繰り返すことにより、トリエチルアミン及び水を留去し、ポリオルガノシロキサン(SEp-1)を含む樹脂溶液を得た。H-NMR分析を行ったところ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このポリオルガノシロキサン(SEp-1)のMwは11,000、エポキシ当量は182g/モルであった。
[合成例2]<桂皮酸誘導体の合成>
以下の桂皮酸誘導体の合成反応は不活性雰囲気中で行った。冷却管を備えた500mLの三口フラスコに、1-ブロモ-4-シクロヘキシルベンゼン19.2g、酢酸パラジウム0.18g、トリス(2-トリル)ホスフィン0.98g、トリエチルアミン32.4g、及びジメチルアセトアミド135mLを混合した。この混合溶液に、シリンジでアクリル酸を7g加えて撹拌した。さらに、混合溶液を120℃で3時間、加熱しながら撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)で反応の終了を確認した後、反応溶液を室温まで冷却した。沈殿物をろ別した後、ろ液を1N塩酸水溶液300mLに注ぎ、沈殿物を回収した。回収した沈殿物を、酢酸エチルとヘキサンの1:1(質量比)溶液で再結晶することにより、下記式(M-1)で表される化合物(桂皮酸誘導体(M-1))を10.2g得た。
Figure 0007322628000021
[合成例3]<ポリオルガノシロキサン(S-1)の合成>
200mLの三口フラスコに、合成例1で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(SEp-1)27.9g、酢酸n-ブチル65.5g、合成例2で得た桂皮酸誘導体(M-1)4.0g、アクリロイル基を有するカルボン酸(アロニックスM-5300、東亜合成(株)製)2.6g及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.9gを仕込み、80℃で12時間撹拌した。反応終了後、酢酸n-ブチルをさらに75g追加し、この溶液を3回水洗した後、酢酸n-ブチルをさらに100g追加し、固形分濃度10質量%となるように溶媒を留去した。これにより、光配向性基及びアクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(S-1)を含有する固形分濃度10質量%の酢酸n-ブチル溶液を得た。ポリオルガノシロキサン(S-1)の重量平均分子量Mwは18,000であった。
[合成例4]<アクリル系樹脂(Pac-1)の合成>
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)1質量部、及び溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル180質量部を仕込んだ。続いて、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート70質量部及び3-メチル-3-オキセタニルメチルメタクリレート30質量部を加え、窒素置換した後、緩やかに攪拌を始めた。溶液温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持し、エポキシ基を有するアクリル系樹脂(Pac-1)を含む樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は32.8質量%であった。得られたアクリル系樹脂(Pac-1)のMnは16,000であった。
[合成例5]<アクリル系樹脂(Pac-2)の合成>
合成例4で得られたエポキシ基を有するアクリル系樹脂(Pac-1)100質量部、アクリロイル基を有するカルボン酸(アロニックスM-5300、東亜合成(株)製)20質量部、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド10質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で12時間撹拌した。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部で希釈し、3回水洗した。この溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、アクリロイル基を有するアクリル系樹脂(Pac-2)を含む樹脂溶液を得た。得られたアクリル系樹脂(Pac-2)のMnは20,000であった。なお、得られた樹脂溶液のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート含有量は20質量%であった。
[合成例6]<ポリビニルアルコール系樹脂(Pva-1)の合成>
特許第3907735号公報の段落[0073]に記載のポリマーNo.4(変性ポリビニルアルコール)を段落[0101]の記載に準じ、同公報の段落[0073]に記載のポリマーNo.4(メタアクリロイル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(Pva-1))を合成した。
[実施例1]
1.樹脂層形成用組成物の調製
樹脂として、合成例1で得たポリオルガノシロキサン(SEp-1)を含有する酢酸n-ブチル溶液を、ポリオルガノシロキサン(SEp-1)に換算して100質量部に相当する量、及び硬化促進剤として無水トリメリット酸(TA)20質量部を混合し、これに溶媒として、酢酸n-ブチル(BA)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加え、固形分濃度が3質量%、各溶媒の質量比がBA:PGMEA=80:20となるように調製した。次いで、この得られた溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、樹脂層形成用組成物(A-1)を調製した。
2.円偏光フィルム(円偏光板)の作製
(1)基材の表面処理
国際公開第2015/008773号に記載の方法に従い、セルロースフィルム(富士フィルム社製「ゼロレターデーションタック ZRF25」、平均厚さ:25μm)の片面にアルカリけん化処理を行った。具体的には、以下のようにして行った。
セルロースフィルムを、温度60℃の誘電式加熱ロール上を通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、アルカリ溶液を、ロッドコーターを用いて塗布量17mL/mで塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーターの下に10秒間滞留させた。アルカリ溶液の組成は、水酸化カリウム8.6質量部、水24.1質量部、イソプロパノール56.3質量部、界面活性剤(C1633O(CHCHO)10H)1.0質量部、及びプロピレングリコール10.0質量部とした。続いて、同じくロッドコーターを用いて蒸留水を2.8mL/m塗布し、次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返し、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、片面けん化処理フィルムを作製した。
(2)位相差層の作製
米国特許第8895118号に記載の下記化合物(Ad-1)及び(RP-1)並びに水を含む組成物(位相差層形成用組成物)を調製した。上記(1)で得たけん化処理フィルムのけん化処理面に、得られた位相差層形成用組成物をバーコーターを用いて塗布し、圧縮空気にて乾燥して、平均厚さ3μmの塗膜(位相差層)を形成した。
Figure 0007322628000022
(3)樹脂層の作製
上記(2)で得た位相差層上に、上記1.で調製した樹脂層形成用組成物(A-1)を、バーコーターを用いて塗布した。次いで、オーブン内にて120℃で2分間ベークして平均厚さ0.1μmの塗膜(樹脂層)を形成した。
(4)偏光層の作製
特表2011-513376号公報に記載の下記化合物(Ad-2)及び特表2009-511460号公報に記載の下記化合物(RP-2)並びに水を含む組成物(偏光層形成用組成物)を調製した。上記(3)で得た樹脂層上に、上記(2)で塗布した方向と45°をなす角に得られた偏光層形成用組成物をワイヤーバーコーターで塗布した。その後、圧縮空気にて乾燥して、平均厚さ0.9μmの塗膜(偏光層)を形成した。これにより、円偏光フィルムが得られた。
Figure 0007322628000023
3.光学異方フィルムの作製
上記「2.円偏光フィルム(円偏光板)の作製」における(1)、(2)及び(3)を行い、光学異方フィルムを得た。
4.偏光フィルムの作製
上記(1)で得たけん化処理フィルムのけん化処理面に、上記1.で調製した樹脂層形成用組成物(A-1)を、バーコーターを用いて塗布した。次いで、オーブン内にて120℃で2分間ベークして平均厚さ0.1μmの塗膜(樹脂層)を形成した。
次いで、得られた樹脂層の上に、上記化合物(Ad-2)及び(RP-2)を含む組成物(偏光層形成用組成物)をワイヤーバーコーターで塗布した。その後、圧縮空気にて乾燥して、平均厚さ0.9μmの塗膜(偏光層)を形成した。これにより、偏光フィルムを得た。
5.反射防止性(偏光性)の評価
(1)反射防止性(偏光性)
得られた円偏光フィルムについて、大塚電子社製の顕微分光膜厚計「OPTM-A1」を用いて、反射率を測定した。反射率が3%未満を「良好(A)」、3%以上7%未満を「可(B)」、7%以上を「不良(C)」と評価した。その結果、この実施例1では、反射防止性「良好(A)」の評価であった。
(2)熱安定性
60℃の恒温槽に100時間保管した後に測定したこと以外は、上記(1)に示した方法で反射率を評価した。反射率の変化(Δ反射率:絶対値)が0.1%未満を「良好(A)」、0.1%以上0.5%未満を「可(B)」、0.5%以上を「不良(C)」と評価した。その結果、この実施例1では熱安定性「良好(A)」であった。
6.位相差の評価
(1)位相差性
得られた光学異方フィルムについて、AXOMETRICS社製「Axo Step」を用いて、位相差を評価した。樹脂層(中間層)を形成しない光学異方フィルム(比較例2)と比較したときの位相差の差(Δ位相差:絶対値)が、3nm未満を「良好(A)」、3nm以上8nm未満を「可(B)」、8nm以上「不良(C)」と評価した。その結果、この実施例1では「良好(A)」であった。
(2)熱安定性
60℃の恒温槽に100時間保管した後に測定したこと以外は、上記(1)に示した方法で位相差を測定した。位相差の変化(Δ位相差:絶対値)が、0.5nm未満を「良好(A)」、0.5nm以上1nm未満を「可(B)」、1nm以上を「不良(C)」と評価した。その結果、この実施例1では「良好(A)」であった。
7.偏光度の評価
(1)偏光度
偏光フィルムにつき、フィルムを透過する光の偏光状態を解析し、波長550nmにおけるフィルムの偏光度を評価した。なお、性能が良好であるほど、偏光度は1に近い値となり、完全非偏光の場合は0となる。評価は、偏光度が0.990以上を「良好(A)」、0.985以上0.990未満を「可(B)」、0.985未満を「不良(C)」とした。なお、偏光度は、AXOMETRICS社製「Axo Step」を用いて測定した。その結果、この実施例1では「良好(A)」の評価であった。
(2)熱安定性
60℃の恒温槽に100時間保管した後に測定したこと以外は、上記(1)に示した方法で偏光度を測定した。偏光度の変化(Δ偏光度:絶対値)が0.001未満を「良好(A)」、0.001以上0.005未満を「可(B)」、0.005以上を「不良(C)」とした。その結果、この実施例1では「良好(A)」の評価であった。
[実施例2~6]
下記表1に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、上記「1.樹脂層形成用組成物の調製」と同様にして、各樹脂層形成用組成物(A-2)~(A-6)を調製した。但し、実施例2以外の樹脂層形成用組成物(A-3)~(A-6)の固形分濃度は、樹脂層形成用組成物(A-1)と同様に3質量%とし、実施例2の樹脂層形成用組成物(A-2)の固形分濃度は15質量%とした。
また、得られた各樹脂層形成用組成物を用いて、実施例1と同様にして円偏光フィルム、光学異方フィルム及び偏光フィルムを作製し、各種評価を行った。それらの結果を下記表2に示す。
なお、実施例1~6に用いた樹脂層形成用組成物(A-1)~(A-6)から形成された、厚さ1μmの塗膜の全光線透過率は、いずれも85%以上であった。
[比較例1]
樹脂層形成用組成物として2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(SEm-1)の溶液(a-1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして円偏光フィルム、光学異方フィルム及び偏光フィルムを作製し、各種評価を行った。その結果を下記表2に示す。
[比較例2]
樹脂層を全く形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして円偏光フィルム、光学異方フィルム及び偏光フィルムを作製し、各種評価を行った。その結果を下記表2に示す。
Figure 0007322628000024
表1中の樹脂及び硬化促進剤の配合量の数値は、樹脂100質量部に対する配合割合(質量部)を示す。また、表1中の溶媒の配合量の数値は、溶媒の合計100質量部に対する各溶媒の配合割合(質量部)を示す。
表1中、化合物の略号は以下の通りである。
SEp-1:合成例1で得られたエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(SEp-1)
S-1:合成例3で得られた光配向性基及びアクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(S-1)
Pac-2:合成例5で得られたアクリロイル基を有するアクリル系樹脂(Pac-2)
Pva-1:合成例6で得られたメタアクリロイル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(Pva-1)
TA:無水トリメリット酸
B-1:トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム(「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル製)
K-1:トリ(p-トリル)シラノール
BA:酢酸n-ブチル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
WT:蒸留水
MEOH:メタノール
Figure 0007322628000025
表2から明らかなように、実施例1~6の円偏光フィルムの反射率はいずれも「A」であり、反射防止性(偏光性)は良好であった。また、実施例1~6では、その他の円偏光フィルムの熱安定性、光学異方フィルムのΔ位相差及び熱安定性、並びに偏光フィルムの偏光度及び熱安定性の評価は、いずれも「A」又は「B」であった。各実施例においては、樹脂層が有効に機能していることがわかる。これに対し、樹脂層に替えて低分子化合物で中間層を設けた比較例1及び樹脂層(中間層)を設けなかった比較例2の円偏光フィルムの反射率は「B」又は「C」であり、実施例のものより劣っていた。さらに、比較例1及び比較例2の円偏光フィルムの熱安定性は、いずれも「C」であった。
<液晶表示装置の作製>
iPhone(登録商標)X(Apple社製)の有機ELセルから視認側の反射防止膜を剥し、有機ELの液晶セルとして利用した。剥がした反射防止膜の代わりに、実施例1と同様の手順で円偏光フィルムを有機ELセルの上に作製した。このiPhone(登録商標)X(Apple社製)の表示性能を確認し、目視で全くムラが視認できないこと、並びに、大塚電子製顕微分光膜厚計「OPTM-A1」を用いて、反射率を測定し、反射率が2.6%であることを確認した。
100 円偏光板
200 表示素子
11 フィルム(基板)
12 位相差層
13 樹脂層
14 偏光層
30 EL表示装置
33 基板
34 層間絶縁膜
35 画素電極
36 有機機能層
37 カソード電極
38 乾燥剤
39 封止フタ
40 薄膜トランジスタ
41 リブ

Claims (1)

  1. 基板上に、第1の液晶化合物及び水を含む位相差層形成用組成物の塗布により位相差層を形成する工程、
    上記位相差層上に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂層形成用組成物の塗布により樹脂層を形成する工程、及び
    上記樹脂層上に、第2の液晶化合物及び水を含む偏光層形成用組成物の塗布により偏光層を形成する工程
    を備え、
    上記第1の液晶化合物がリオトロピック性を示す液晶化合物であり、
    上記位相差層形成用組成物における固形分に占める上記第1の液晶化合物の含有量が90質量%以上である円偏光板の製造方法。
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Citations (18)

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