JP7322427B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
各種電子機器に広く使用されているプリント配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、回路配線の微細化、高密度化が求められている。プリント配線板は、一般に、内層基板に絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式を行い、さらに各導体層を電気的に接続するため、絶縁層にビアホールを形成することによって製造されている。
例えば、特許文献1では、サンドブラスト処理を行ってビアホールを形成する配線板の製造方法が開示されている。
特開2008-41932号公報
近年、電子機器の小型化が進められている。それに伴い、より小径のビアホールを形成することが求められている。
特許文献1には、孔径が30μm以上300μm以下のビアホールを作製可能であると記載されているが、特許文献1の実施例では孔径が100μmのビアホールを形成していることが記載されているのみであり、より小径のビアホールの形成を良好に行うことが可能かは記載されていない。
本発明者は、特許文献1について検討したところ、サンドブラスト処理を行って100μm程度のビアホール形成する場合においては、接続信頼性の向上に有効であるものの、より小径なビアホールの形成を行う際にはまだ課題があり、適用が難しいことを知見した。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ビアホールが小径であっても接続信頼性に優れたプリント配線板の製造方法を提供する。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、内層回路基板の絶縁層を積層させる面の算術平均粗さ(Ra)を所定の範囲となるように調整し、絶縁層中に含まれる無機充填材の修正モース硬度と、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度とが所定の関係を満たし、さらに、前記の砥粒の平均粒径を所定の範囲内とすることで、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の内容を含む。
[1] (A)内層回路基板の、算術平均粗さ(Ra)が500nm以下である主表面上に、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、及び
(B)砥粒を用いるサンドブラスト処理を行い、絶縁層にビアホールを形成する工程、を含み、
樹脂組成物中の無機充填材の修正モース硬度をAとし、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度をBとしたとき、B-A≧2の関係を満たし、
砥粒の平均粒径が、0.5μm以上5μm以下である、プリント配線板の製造方法。
[2] 主表面の十点平均粗さ(Rz)が、4000nm以下である、[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3] 無機充填材の平均粒径が、0.1μm以上1μm以下である、[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4] 絶縁層の厚みが、50μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[5] 無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、90質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[6] ビアホールのトップ径が、30μm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[7] 砥粒が、アルミナ、炭化ケイ素、及びシリカのいずれかを含む、[1]~[6]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、ビアホールが小径であっても接続信頼性に優れたプリント配線板の製造方法を提供できる。
図1は、内層回路基板の主表面上に絶縁層を形成した様子の一例を示す模式断面図である。 図2は、絶縁層上にドライフィルムを積層した様子の一例を示す模式断面図である。 図3は、フォトマスクをドライフィルム上に設けた様子の一例を示す模式断面図である。 図4は、露光、現像した後の様子の一例を示す模式断面図である。 図5は、サンドブラスト処理を行った後の様子の一例を示す模式断面図である。 図6は、絶縁層を粗化処理する工程後の様子の一例を示す模式断面図である。 図7は、導体層を形成する工程後の様子の一例を示す模式断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[樹脂組成物]
本発明のプリント配線板の製造方法について詳細に説明する前に、本発明のプリント配線板の製造方法において使用される「樹脂組成物」及び「接着フィルム」について説明する。
絶縁層の形成に用いられる樹脂組成物は、その硬化物が十分な弾性率と硬度と絶縁性とを有するものであり得る。一実施形態において、樹脂組成物は、(A)無機充填材及び(B)硬化性樹脂を含む。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、(C)硬化促進剤、(D)熱可塑性樹脂、及び(E)その他の添加剤を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)無機充填材>
樹脂組成物は、(A)無機充填材を含有する。(A)無機充填材の修正モース硬度としては、サンドブラスト処理により小径のビアホールを形成する観点から、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下であり、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上、3以上である。(A)無機充填材の修正モース硬度は、例えばモース硬度計を用いて測定することができる。
無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも炭酸カルシウム、シリカが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(A)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」、「SPH516-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;などが挙げられる。
(A)成分の比表面積としては、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(A)成分の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
(A)成分の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で(A)成分の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(A)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤が好ましく、アミノシラン系カップリング剤がより好ましい。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM1003」(ビニルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(A)成分の含有量(質量%)は、十分な弾性率、硬度、及び絶縁性が向上した絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
(A)成分の含有量(体積%)は、十分な弾性率、硬度、及び絶縁性が向上した絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
<(B)硬化性樹脂>
樹脂組成物は、(B)硬化性樹脂を含有する。(B)硬化性樹脂としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用され得る硬化性樹脂を用いることができ、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂等が挙げられる。(B)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。以下、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂のように、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させることができる樹脂を、まとめて「硬化剤」ということがある。樹脂組成物としては、(B)成分として、エポキシ樹脂及び硬化剤を含むことが好ましく、エポキシ樹脂及び活性エステル系樹脂を含むことが好ましい。
(B)成分としてのエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(B)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(B)成分の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(B)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1~1:20、より好ましくは1:0.3~1:15、特に好ましくは1:0.5~1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。さらに、通常は、接着フィルムの形態で使用する場合に、適度な粘着性がもたらされる。また、通常は、接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、通常は、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(B)成分としてのエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
(B)成分としての活性エステル系樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する樹脂を用いることができる。中でも、活性エステル系樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する樹脂が好ましい。当該活性エステル系樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系樹脂がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系樹脂の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「EXB9416-70BK」、「EXB-8150-65T」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
(B)成分としてのフェノール系樹脂及びナフトール系樹脂としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
(B)成分としてのベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OD100」(ベンゾオキサジン環当量218)、「JBZ-OP100D」(ベンゾオキサジン環当量218)、「ODA-BOZ」(ベンゾオキサジン環当量218);四国化成工業社製の「P-d」(ベンゾオキサジン環当量217)、「F-a」(ベンゾオキサジン環当量217);昭和高分子社製の「HFB2006M」(ベンゾオキサジン環当量432)等が挙げられる。
(B)成分としてのシアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
(B)成分としてのカルボジイミド系樹脂の具体例としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V-03(カルボジイミド基当量:216、V-05(カルボジイミド基当量:216)、V-07(カルボジイミド基当量:200);V-09(カルボジイミド基当量:200);ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P(カルボジイミド基当量:302)が挙げられる。
(B)成分としてのアミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する樹脂が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
(B)成分としての酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する樹脂が挙げられる。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
(B)成分としてエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する場合、エポキシ樹脂とすべての硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.5~1:3がより好ましく、1:1~1:2がさらに好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(B)成分として、エポキシ樹脂と硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、柔軟性に優れる絶縁層を得ることができる。
(B)成分としての硬化剤の含有量は、柔軟性に優れる絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
<(C)硬化促進剤>
樹脂組成物は、任意の成分として(C)硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(C)硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
<(D)熱可塑性樹脂>
樹脂組成物は、任意の成分として(D)熱可塑性樹脂を含有していてもよい。(D)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは38000以上、より好ましくは40000以上、さらに好ましくは42000以上である。上限は、好ましくは100000以下、より好ましくは70000以下、さらに好ましくは60000以下である。(D)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、(D)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」、三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
中でも、(D)熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。中でも、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂が好ましく、重量平均分子量が40,000以上のフェノキシ樹脂が特に好ましい。
(D)熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(E)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、難燃剤;有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;着色剤等の樹脂添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられ、ホスファゼン化合物が好ましい。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ホスファゼン化合物は、窒素とリンを構成元素とする環状化合物であれば特に限定されないが、ホスファゼン化合物は、フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物であることが好ましい。
ホスファゼン化合物の具体例としては、例えば、大塚化学社製の「SPH-100」、「SPS-100」、「SPB-100」「SPE-100」、伏見製薬所社製の「FP-100」、「FP-110」、「FP-300」、「FP-400」等が挙げられ、大塚化学社製の「SPH-100」が好ましい。
ホスファゼン化合物以外の難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA-HQ」、大八化学工業社製の「PX-200」等が挙げられる。難燃剤としては加水分解しにくいものが好ましく、例えば、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド等が好ましい。
難燃剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL2655」、アイカ工業社製の「AC3401N」、「AC3816N」等が挙げられる。有機充填材は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
有機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
[接着フィルム]
接着フィルムは、支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。樹脂組成物は、[樹脂組成物]欄において説明したとおりである。
樹脂組成物層の厚みは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下である。樹脂組成物層の厚みの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、接着フィルムは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、
(A)内層回路基板の、算術平均粗さ(Ra)が500nm以下である主表面上に、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、及び
(B)砥粒を用いるサンドブラスト処理を行い、絶縁層にビアホールを形成する工程、を含み、
絶縁層中の無機充填材の修正モース硬度をAとし、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度をBとしたとき、B-A≧2の関係を満たし、砥粒の平均粒径が、0.5μm以上5μm以下である。
絶縁層に小径のビアホールを形成する方法として、レーザーを用いる方法が考えられる。しかし、本発明者は、レーザー照射に由来する熱が、絶縁層及び内層回路基板の下地金属に伝わることでハローイング現象が生じることを見出した。ハローイング現象とは、ビアホールの周囲において絶縁層と内層回路基板との間で剥離が生じることをいう。このようなハローイング現象は、通常、ビアホールの周囲の樹脂が熱により劣化し、その劣化した部分が粗化液等の薬液に侵食されて生じる。なお、前記の劣化した部分は、通常変色部として観察される。また、レーザーによりビアホールを形成する際に生じたスミアを除去することも、ビアホールが小径であるほど困難であることも見出した。
レーザーを用いてビアホールを形成する方法以外に、サンドブラスト処理にてビアホールを形成する方法がある。サンドブラスト処理にてビアホールを形成することでスミアの発生を抑制することが可能となる。しかし、上述したように、サンドブラスト処理を行ってビアホール形成するにあたって、より小径なビアホールの形成や微細な配線形成を行う際にはまだ課題があるのが現状であった。
本発明では、内層回路基板の絶縁層を積層させる面の算術平均粗さ(Ra)を所定の範囲となるように調整し、さらに、絶縁層中に含まれる無機充填材の修正モース硬度と、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度とが所定の関係を満たし、さらに、前記の砥粒の平均粒径を所定の範囲内とすることで、サンドブラスト処理を行うことでビアホールが小径であっても接続信頼性に優れたプリント配線板が製造可能となる。また、接続信頼性に優れることから、微細な配線形成も可能となり、さらに、通常は、ビアホールの加工性が向上し、ビアホールの底面(ビア底)の砥粒残りが抑制される。
以下、プリント配線板の製造方法の各工程について説明する。
<工程(A)>
工程(A)は、内層回路基板の、算術平均粗さ(Ra)が500nm以下である主表面上に、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程である。内層回路基板の主表面とは、絶縁層が設けられる、内層回路基板の表面を表す。
工程(A)を行うにあたって、(A-1)内層回路基板を準備する工程を含んでいてもよい。内層回路基板は、通常、支持基板と、支持基板の表面に設けられた金属層を備える。金属層は、内層回路基板の主表面に露出しており、この金属層があるエリアにビアホールが形成される。よって、内層回路基板の主表面においてビアホールが形成されるエリアは、金属層で形成される。
支持基板の材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。金属層の材料としては、銅箔、キャリア付き銅箔、後述する導体層の材料等が挙げられ、銅箔が好ましい。
また、工程(A)を行うにあたって、(A-2)接着フィルムを準備する工程を含んでいてもよい。接着フィルムは、上記において説明したとおりである。
本発明では、内層回路基板の主表面の算術平均粗さ(Ra)を500nm以下とする。これにより、ビアホールの絶縁信頼性を向上させることが可能となる。内層回路基板の主表面とは、絶縁層が設けられる、内層回路基板の表面を表す。
内層回路基板の主表面の算術平均粗さ(Ra)としては、500nm以下であり、好ましくは450nm以下、より好ましくは400nm以下、350nm以下である。内層回路基板の主表面の算術平均粗さ(Ra)を500nm以下とすることで、主表面上に形成された絶縁層が内層回路基板の奥深くまで入り込むことを抑制でき、絶縁信頼性を向上させることができる。下限については特に限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。主表面の算術平均粗さ(Ra)は、ISO 25178に準拠して測定された値であり、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
また、前記の算術平均粗さ(Ra)が主表面において一定でない場合、金属層が形成されたエリアでの主表面の算術平均粗さ(Ra)が前記の範囲にあればよく、ビアホールが形成されるエリアでの主表面の算術平均粗さ(Ra)が前記範囲にあることが好ましい。
内層回路基板の主表面の十点平均粗さ(Rz)としては、好ましくは5000nm以下であり、より好ましくは4500nm以下、さらに好ましくは4000nm以下である。内層回路基板の主表面の十点平均粗さ(Rz)を5000nm以下とすることで、主表面上に形成された絶縁層が内層回路基板の奥深くまで入り込むことを抑制でき、絶縁信頼性を向上させることができる。下限については特に限定されないが、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは1000nm以上である。主表面の十点平均粗さ(Rz)は、ISO 25178に準拠して測定された値であり、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
また、前記の十点平均粗さ(Rz)が主表面において一定でない場合、金属層が形成されたエリアでの主表面の十点平均粗さ(Rz)が前記の範囲にあることが好ましく、ビアホールが形成されるエリアでの主表面の十点平均粗さ(Rz)が前記範囲にあることがより好ましい。
内層回路基板の主表面は、例えばエッチング処理、研磨を行うことで算術平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)を前記範囲に調整することができる。
図1に一例を示すように、内層回路基板10は、支持基板11、及び支持基板11の表面に設けられた金属層12を備え、内層回路基板10の主表面10a上に接着フィルムを積層させ、絶縁層20を形成する。通常、金属層12の表面上に絶縁層20が設けられるので、金属層12の支持基板11側の表面とは反対側の表面が主表面10aである。なお、図1では金属層12は支持基板11の一方の表面に設けられているが、支持基板11の両表面に設けられていてもよい。
内層回路基板と接着フィルムの積層は、例えば、支持体側から接着フィルムを内層回路基板に加熱圧着することにより行うことができる。接着フィルムを内層回路基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着フィルムに直接プレスするのではなく、内層回路基板の表面凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層回路基板と接着フィルムの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された接着フィルムの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、接着フィルムを積層後熱硬化させる前に除去してもよく、工程(A)の後又は工程(B)の後に除去してもよい。
接着フィルムを内層回路基板に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間)予備加熱してもよい。
絶縁層は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成されているので、絶縁層の厚みを薄くすること可能である。絶縁層の厚みとしては、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下である。絶縁層の厚みの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上等とし得る。
なお、接着フィルムを用いて絶縁層を形成する代わりに、内層回路基板の主表面上に直接樹脂組成物を塗布し、絶縁層を形成してもよい。その際の絶縁層を形成する条件は、接着フィルムを用いて絶縁層を形成する条件と同様である。
樹脂組成物層を200℃で90分間硬化させた硬化物(絶縁層)の23℃における弾性率は、ビアホールの加工を容易にする観点から、好ましくは1GPa以上、より好ましくは2GPa以上、より好ましくは3GPa以上であり、好ましくは25GPa以下、より好ましくは20GPa以下、さらに好ましくは15GPa以下である。弾性率は、後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。
<工程(B)>
工程(B)は、砥粒を用いるサンドブラスト処理を行い、絶縁層にビアホールを形成する工程である。工程(B)は、以下の工程(B-1)~(B-3)をこの順で含むことが好ましい。
(B-1)絶縁層上又は支持体上にドライフィルムをラミネートする工程、
(B-2)フォトマスクを用いてドライフィルムを露光及び現像を行い、パターンドライフィルムを得る工程、及び
(B-3)パターンドライフィルムをマスクとし、サンドブラスト処理を行い、ビアホールを形成する工程。
工程(B-1)では、図2に一例を示すように、内層回路基板10の主表面10a上に形成された絶縁層20上にドライフィルム30をラミネートする。絶縁層20とドライフィルム30の積層条件は、内層回路基板10と接着フィルム20との積層条件と同様であり得る。図2では、絶縁層20上にドライフィルム30をラミネートしているが、図示しない接着フィルムの支持体上にドライフィルム30をラミネートしてもよい。
工程(B-1)にて用いるドライフィルムとしては、露光及び現像によりパターンドライフィルムが得られるものであれば良く、サンドブラスト処理に対して耐性があるフィルムで有ればなお良い。また、ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムを用いることができる。このようなドライフィルムとしては、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等の樹脂で形成されたドライフィルムを用いることができる。
ドライフィルムの厚みとしては、ビアホールの加工性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
工程(B-2)において、図3に一例を示すように、所定のパターンを有するフォトマスク40を通して、図示しない活性エネルギー線を照射し露光を行う。露光の詳細は、ドライフィルムの表面に、フォトマスクを通して活性エネルギー線を照射して、ドライフィルムの露光部分を光硬化させる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、紫外線が好ましい。紫外線の照射量及び照射時間は、ドライフィルムに応じて適切に設定できる。露光方法としては、例えば、マスクパターンをドライフィルムに密着させて露光する接触露光法、マスクパターンをドライフィルムに密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法などが挙げられる。
露光後、図4に一例を示すように、現像を行うことでドライフィルム30の露光部分を除去して、パターンドライフィルム31を形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれを行ってもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられる。
工程(B-3)において、図5に一例を示すように、パターンドライフィルム31をマスクとし、サンドブラスト処理を行い、ビアホール50を形成する。ここで、サンドブラスト処理とは、パターンドライフィルムで覆われていない絶縁層又は支持体の表面に、所定の圧力で噴射するエアーによって砥粒又は砥粒のスラリー溶液をノズルから噴射させ、この砥粒を絶縁層又は支持体に衝突させ、ビアホールを形成する処理をいう。工程(B-3)におけるサンドブラスト処理は、砥粒を吹き付けるドライブラスト処理、及び砥粒のスラリー溶液を吹き付けるウェットブラスト処理のいずれであってもよい。工程(B-3)におけるサンドブラスト処理としては、ビアホールの形成しやすさの観点から、ドライブラスト処理が好ましい。
サンドブラスト処理にて用いる砥粒の修正モース硬度としては、サンドブラスト処理により小径のビアホールを形成する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上、7以上である。上限値は通常15以下等としうる。砥粒の修正モース硬度は、例えばモース硬度計を用いて測定することができる。
絶縁層中の無機充填材の修正モース硬度をAとし、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度をBとしたとき、下記式(1)を満たし、下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(3)を満たすことがより好ましい。式(1)を満たすことで、絶縁層を好適に研削することができ、その結果接続信頼性に優れた小径のビアホールが形成可能となる。
B-A≧2 (1)
B-A≧3 (2)
B-A≧4 (3)
式(1)~(3)の「B-A」の上限値としては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、さらに好ましくは8以下、7以下である。
砥粒としては、シリカ、ガラス等の無機化合物;スチール、ステンレス、亜鉛、銅等の金属化合物;ガーネット、ジルコニア、炭化ケイ素、アルミナ、ボロンカーバイト等のセラミックス;ドライアイス等を主成分とした粒子等が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、無機化合物、セラミックスが好ましく、アルミナ、炭化ケイ素、及びシリカのいずれかが好ましい。シリカは、結晶シリカが好ましい。
砥粒は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、デンカ社製「DAW-03」、日鉄ケミカル&マテリアル社製「AY2-75」(アルミナ);信濃電気精錬社製「GP#4000」、「SER-A06」(炭化ケイ素);龍森社製「IMSIL A-8」(結晶シリカ);不二製作所製「フジランダムWA」(溶融アルミナ)等が挙げられる。
砥粒の平均粒径としては、0.5μm以上であり、好ましくは0.55μm以上、より好ましくは0.6μm以上である。砥粒の平均粒径の下限値を斯かる範囲内とすることで、ビアホールの加工時間を短縮できるとともに、ビアホール加工性を向上させることができる。また、サンドブラスト処理における砥粒の吹き返しを抑制でき、パターンドライフィルムの研削を抑制することが可能となる。砥粒の吹き返しは、ビアホール及び主表面の凹み等の穴に吹き付けられた砥粒が、孔に侵入して戻ってくる気流の作用によって衝突速度を低下させる現象をいい、特に平均粒径の小さい砥粒においては顕著である。砥粒の平均粒径の上限値は、3μm以下であり、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2μm以下である。砥粒の平均粒径の上限値を斯かる範囲内とすることで、小径のビアホールの加工性を向上させることができる。砥粒の平均粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定することができ、詳細は、特開2008-41932号公報に記載の方法により行うことができる。
小径のビアホールは、サンドブラスト処理における加工圧力、ノズルの走査スピード等を調整することで形成することができる。
砥粒を噴射する圧力(加工圧力)としては、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPa以上であり、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.8MPa以下、さらに好ましくは0.5MPa以下である。加工圧力を斯かる範囲内にすることで、絶縁層の加工を現実な時間で行うことができる。ここでの加工圧力は、絶縁層表面における値である。
通常は、砥粒を噴射するノズルを、主表面を走査するように移動させながらサンドブラスト処理を行う。ノズルの走査スピードとしては、好ましくは20mm/s以上、より好ましくは25mm/s以上、さらに好ましくは30mm/s以上である。下限値を斯かる範囲内にすることにより、一度の走査で砥粒が絶縁層を貫通することがないので、サンドブラスト処理により内層回路基板に与えるダメージが小さくて済む。操作スピードの上限値は、好ましくは150mm/s以下、より好ましくは130mm/s以下、さらに好ましくは120mm/s以下である。上限値を斯かる範囲内にすることにより、ノズルの走査回数を少なくすることができ、効率的にビアホールを形成することができる。通常、ノズルは、加工を行う絶縁層と一定の距離を保ちながら絶縁層の表面と平行に走査する。また、ノズルではなく絶縁層側が移動する機構でもよい。
ノズルの径としては、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。上限値を斯かる範囲内にすることにより、エアー不足による圧力低下を抑制することができる。また、下限値は、砥粒を広い範囲に噴射する観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。ノズルの形状は、広い範囲に砥粒を噴射する広角ノズルや先の尖ったノズルなどを用いることができる。
ノズルの本数としては、好ましくは15本以下である。ノズルの本数を斯かる範囲内とすることにより、エアー不足による圧力低下を抑制しつつ加工速度を上げることが出来る。下限は特に限定されないが1本以上である。
ノズルと絶縁層との距離としては、好ましくは200mm以下、より好ましくは190mm以下、さらに好ましくは180mm以下であり、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、さらに好ましくは20mm以上である。前記の距離を斯かる範囲内にすることにより、効率的にビアホールを形成することができる。
工程(B)を行うことにより形成されるビアホールの形状は、特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。また、工程(B)を行うことで形成可能となるビアホールのトップ径(開口径)は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、好ましくは3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。ここで、ビアホールのトップ径とは、絶縁層の表面でのビアホールの開口の直径をいう。小径のビアホールとは、ビアホールのトップ径が30μm以下のものをいう。
内層回路基板の主表面の算術平均粗さ(Ra)をRとし、砥粒の平均粒径をrとしたとき、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、R/rが、好ましくは65以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは75以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは700以下である。
絶縁層の弾性率をEとし、砥粒の平均粒径をrとしたとき、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、E/rが、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは1.0以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。
<その他の工程>
プリント配線板を製造するに際しては、工程(A)~(B)終了後、(C)絶縁層を粗化処理する工程、(D)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(C)及び工程(D)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。また、必要に応じて、工程(A)~工程(D)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
工程(C)は、絶縁層を粗化処理(デスミア処理ともいう)する工程である。通常、この工程(C)において、図6に一例を示すように、図示しない砥粒及びパターンドライフィルム31の除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」、「スウェリングディップ・セキュリガントP」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に1分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。なお、支持体を(B)工程終了後に除去する場合、パターンドライフィルム31は、支持体とともに除去すればよい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(D)は、導体層を形成する工程であり、図7に一例を示すように絶縁層20上に導体層60を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、(B)工程を含むため、小径のビアホールであっても絶縁信頼性に優れるという特性を示す。具体的には、工程(A)~(B)を行った評価用配線板を用意し、評価用配線板にデスミア処理を行い、導体層を形成する。導体層に切り込みを入れ、つかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mm引き剥がす。その結果、ビアホールのトップ径が30μmと小径であっても、ビアホール部分の導体層の破断箇所は、評価用配線板の銅と導体層との界面以外とできる。詳細は、後述する実施例に記載の方法にて行うことができる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、絶縁層中に含まれる無機充填材の修正モース硬度と、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度とが所定の関係を満たし、さらに、前記の砥粒の平均粒径を所定の範囲内である。よって、小径のビアホールであっても加工性に優れるという特性を示す。具体的には、ビアホールのトップ径が30μm以下と小径であっても、工程(B)を行った後、ドライフィルムが残っており、かつ内層回路基板の主表面の銅が露出する。詳細は、後述する実施例に記載の方法にて行うことができる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、小径のビアホールであってもビア底の砥粒残りが抑制されるという特性を示す。具体的には、工程(A)~(B)を行った評価用配線板を用意し、評価用配線板にデスミア処理を行う。このとき、ビアホールのトップ径が30μmと小径であっても、電子顕微鏡でビア底(ビアホールの底)を観察すると、砥粒残りが見られない。詳細は、後述する実施例に記載の方法にて行うことができる。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、プリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明の製造方法により得られたプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
<修正モース硬度の測定>
無機充填材及び砥粒の修正モース硬度は、既知の値を使用することが出来る他、モース硬度識別キット(ミストラル社製)を用いJIS K 5600-5-4準拠の方法で測定しても良い。
<接着フィルム1の作製>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)10部、液状1,4-グリシジルシクロヘキサン(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ZX1658」、エポキシ当量約135)10部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量約185)10部、活性エステル系樹脂(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)50部、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)6部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部、カルボジイミド系樹脂(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216、固形分50質量%のトルエン溶液)10部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、修正モース硬度7、アドマテックス社製「SO-C2」)75部、リン系難燃剤(三光社製「HCA-HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド)1部、ゴム粒子(ガンツ化成社製、スタフィロイドAC3816N)1部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)5部、メチルエチルケトン15部、シクロヘキサノン10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm、(以下、「離型PET」ということがある。))の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが30μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で6分間乾燥させて、接着フィルム1を作製した。
<接着フィルム2の作製>
接着フィルム1の作製において、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、修正モース硬度7、アドマテックス社製「SO-C2」)の量を75部から220部に変更し、乾燥後の樹脂組成物層の厚みを、30μmから50μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布した。以上の事項以外は接着フィルム1の作製と同様にして接着フィルム2を作製した。
<接着フィルム3の作製>
接着フィルム1の作製において、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、修正モース硬度7、アドマテックス社製「SO-C2」)75部を、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.3μm、修正モース硬度7、日鉄ケミカル&マテリアル社製「SPH516-05」)75部に変更した。以上の事項以外は接着フィルム1の作製と同様にして接着フィルム3を作製した。
<接着フィルム4の作製>
接着フィルム1の作製において、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、修正モース硬度7、アドマテックス社製「SO-C2」)75部を、炭酸カルシウム(平均粒径1.0μm、修正モース硬度3、丸尾カルシウム社製「ナノックス#30」)32質量部に変更した。以上の事項以外は接着フィルム1の作製と同様にして接着フィルム4を作製した。
<接着フィルム5の作製>
接着フィルム1の作製において、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、修正モース硬度7、アドマテックス社製「SO-C2」)75部を、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形アルミナ(平均粒径0.3μm、修正モース硬度12、デンカ社製「ASFP-20」)75質量部に変更した。以上の事項以外は接着フィルム1の作製と同様にして接着フィルム5を作製した。
Figure 0007322427000001
[樹脂組成物層の硬化物の弾性率の測定]
<評価用硬化物の作製>
離型剤処理されたPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み38μm、240mm角)の離型剤未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(パナソニック社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した(以下、「固定PETフィルム」ということがある。)。
作製した各接着フィルムを上記「固定PETフィルム」の離型処理面上にバッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製、MVLP-500)を用いてラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
次いで、離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を剥離し、200℃のオーブンに投入後90分間の硬化条件で接着フィルムを熱硬化させた。
熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥がし、硬化物をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板から取り外し、更にPETフィルム(リンテック社製「501010」)も剥離して、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
<弾性率の測定>
得られた評価用硬化物を、日本工業規格(JIS K7127)に準拠し、テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)により硬化物の引っ張り試験を行い、樹脂組成物層の硬化物の23℃での弾性率を測定した。
[実施例1]
(1)接着フィルムのラミネート
バッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製、MVLP-500)を用いて、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8201」)により銅表面の粗化処理(銅エッチング量:0.5μm、粗化処理後の算術平均粗さ(Ra):310nm、粗化処理後の算術十点平均粗さ(Rz):3920nm)を行った内層回路基板(パナソニック社製、「R-1766」)の両面に、作製した接着フィルム1の樹脂組成物層が接するようにラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
内層回路基板の銅表面の粗化処理後の算術平均粗さ(Ra)及び粗化処理後の算術十点平均粗さ(Rz)は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製、「WYKO NT3300」)を用いて測定した。なお、上記の算術平均粗さ(Ra)及び算術十点平均粗さ(Rz)はISO 25178に準拠して測定された値である。
(2)樹脂組成物層の硬化
ラミネートされた接着フィルム1から離型PETを剥離し、180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化し絶縁層を形成した。
(3)パターンドライフィルムの形成
上記絶縁層が形成された内層回路基板の絶縁層表面に厚さ20μmのドライフィルム(ニッコー・マテリアルズ社製、「ALPHO 20A263」)を貼りあわせ。ドライフィルムの積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にした後、圧力0.1MPa、温度70℃にて、20秒間加圧して行った。その後、ビアパターンを有するガラスマスクをドライフィルムの保護層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に置き、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射を行った。UV照射後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗を行いトップ径が30μmのビアホールが形成されるようパターニングを行った。
(4)サンドブラスト処理
次に、砥粒としてアルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を用いて絶縁層に加工圧力0.2MPaでサンドブラスト処理を行い、ビアホールを形成し、評価用配線板を作製した。
[実施例2]
実施例1において、アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、炭化ケイ素(平均粒径3.3μm、修正モース硬度13、信濃電気精錬社製「GP#4000」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[実施例3]
実施例1において、アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、炭化ケイ素(平均粒径0.6μm、修正モース硬度13、信濃電気精錬社製「SER-A06」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[実施例4]
実施例1において、接着フィルム1を接着フィルム2に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[実施例5]
実施例1において、接着フィルム1を接着フィルム3に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[実施例6]
実施例1において、接着フィルム1を接着フィルム4に変更し、
アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、結晶シリカ(平均粒径2.0μm、修正モース硬度8、龍森社製「IMSIL A-8」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[比較例1]
実施例1において、アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、結晶シリカ(平均粒径2.0μm、修正モース硬度8、龍森社製「IMSIL A-8」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[比較例2]
実施例1において、接着フィルム1を接着フィルム5に変更し、
アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、炭化ケイ素(平均粒径3.3μm、修正モース硬度13、信濃電気精錬社製「GP#4000」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[比較例3]
実施例1において、アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、炭化ケイ素(平均粒径5.1μm、修正モース硬度13、信濃電気精錬社製「GP#2500」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[比較例4]
実施例1において、アルミナ(平均粒径4.0μm、修正モース硬度12、デンカ社製「DAW-03」)を、アルミナ(平均粒径0.3μm、修正モース硬度12、デンカ社製「ASFP-20」)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[比較例5]
実施例1において、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8201」)による銅表面の粗化処理(銅エッチング量:0.5μm、粗化処理後の算術平均粗さ(Ra):310nm、粗化処理後の算術十点平均粗さ(Rz):3920nm)を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)による銅表面の粗化処理(銅エッチング量:1.0μm、粗化処理後の算術平均粗さ(Ra):570nm、粗化処理後の算術十点平均粗さ(Rz):4950nm)に変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして評価用配線板を作製した。
[ビアホールの加工性の評価]
(4)サンドブラスト処理を行った後、パターンドライフィルムが残っており、かつ内層回路基板の銅が露出したものを「〇」と評価し、内層回路基板の銅が露出していないものを「×」と評価した。
[ビア底の砥粒残り、及びビア接続信頼性の評価]
<ビア底の砥粒残りの評価>
(4)サンドブラスト処理を行った後、評価用配線板を、膨潤液であるアトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で5分間浸漬した。次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で15分間浸漬させ、最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬することで、ドライフィルムレジストの剥離、絶縁層表面の粗化処理、及びビアホールのデスミア処理を行った。その後、電子顕微鏡でビア底(ビアホールの底)を観察し、砥粒残りが見られないものを「〇」と評価し、砥粒残りが見られるものを「×」と評価した。
比較例1、2及び4は、ビアホールを形成することができなかったため、ビア底の砥粒残りの評価を行うことができなかった。
<接続信頼性の評価>
デスミア処理を行った評価用配線板(ビア底の砥粒残りの評価後の評価用配線板)を、PdClを含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、硫酸銅電解メッキを行い、20±5μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。続いて、導体層に幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機、AC-50CSL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mm引き剥がした。ビアホール部分の導体層の破断箇所が評価用配線板の銅と導体層との界面の場合を「×」と評価し、それ以外を「〇」と評価した。
Figure 0007322427000002
実施例1~6は、トップ径が30μmのビアホールであっても、ビアホールの加工性、ビア底の砥粒残り、及び接続信頼性に優れることがわかる。
これに対し、無機充填材と砥粒とのモース硬度の差(B-A)が2未満である比較例1、2は、絶縁層を研削することができなかった。このため、ビアホールの加工性、ビア底の砥粒残り、及び接続信頼性の評価を行うことができなかった。
砥粒の平均粒径が大きい比較例3は、砥粒が内層回路基板の銅に入り込んでしまい、実施例1~6よりもビアホールの加工性、ビア底の砥粒残り、及び接続信頼性が劣ることがわかる。
砥粒の平均粒径が小さい比較例4は、加工圧力が弱まり、研削力が不足する。その結果、実施例1~6よりもビアホールの加工性、ビア底の砥粒残り、及び接続信頼性が劣ることがわかる。
主表面の算術平均粗さRaが500nmよりも大きい比較例5は、主表面上に形成された絶縁層が内層回路基板の奥深くまで入り込んでしまい、実施例1~6よりも接続信頼性が劣ることがわかる。
10 内層回路基板
11 支持基板
12 金属層
10a 主表面
20 絶縁層
30 ドライフィルム
31 パターンドライフィルム
40 フォトマスク
50 ビアホール
60 導体層

Claims (7)

  1. (A)内層回路基板の、算術平均粗さ(Ra)が500nm以下である主表面上に、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、及び
    (B)砥粒を用いるサンドブラスト処理を行い、絶縁層にビアホールを形成する工程、を含み、
    樹脂組成物中の無機充填材の修正モース硬度をAとし、サンドブラスト処理における砥粒の修正モース硬度をBとしたとき、B-A≧2の関係を満たし、
    砥粒の平均粒径が、0.5μm以上5μm以下であり、
    樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を200℃で90分間硬化させた硬化物の23℃における弾性率が、1GPa以上20GPa以下である、プリント配線板の製造方法。
  2. 主表面の十点平均粗さ(Rz)が、4000nm以下である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 無機充填材の平均粒径が、0.1μm以上1μm以下である、請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 絶縁層の厚みが、50μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、90質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. ビアホールのトップ径が、30μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 砥粒が、アルミナ、炭化ケイ素、及びシリカのいずれかを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
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