JP7379829B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
多層プリント配線板の製造技術としては、内層基板上に絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。絶縁層は、一般に、樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
例えば、特許文献1には、シアネートエステル樹脂、特定のエポキシ樹脂及び活性エステル硬化剤を含む樹脂組成物を用いて、プリント配線板における絶縁層を形成することが開示されており、絶縁層は、低粗度かつめっきにより形成される導体層の高いピール強度を両立し、さらに低熱膨張率を達成することが記載されている。
特開2011-144361号公報
近年、電子機器や電子部品の小型化のニーズにより、基板の薄型化、大型化が求められている。このため、絶縁層を形成する樹脂組成物の量を少なくすることで薄型化に対応している。
しかし、絶縁層を形成する樹脂組成物の量が少なくなると、粗化工程後に内層基板中の配線やパッドなどの下層銅形状に沿った割れ、つまり内層基板のパターンに沿った割れが発生することがわかってきた。
本発明の課題は、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制できるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、粗化工程後の基板のパターンに沿った割れが発生する原因を以下のように考えた。内層基板のパターンにおける配線及びパッドなどの凸部上の部分では、一般に、絶縁層に対して応力の集中が生じやすい。ところが、凸部上の絶縁層は局所的に薄くなっていることから、応力が大きくなるにもかかわらず、基板全体に対する樹脂組成物の割合が減っている場合には、応力に対する絶縁層の耐久性は低くなってしまっている。よって、絶縁層が応力に耐えきれずに割れが発生してしまうと考えた。これを踏まえて本発明者らが検討した結果、一定条件下で加熱を行い、かつ樹脂組成物の硬化物の吸水率を所定値以下とすることにより、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)内層基板と、該内層基板上に接合した、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを備える積層体の樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、
(C)絶縁層を60℃以上150℃以下でアニール処理する工程、及び
(D)絶縁層を酸化剤溶液でデスミア処理する工程、をこの順で含むプリント配線板の製造方法であって、
樹脂組成物の硬化物の吸水率が0.6%以下である、プリント配線板の製造方法。
[2] (A)工程が、
(A-1)支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む樹脂シートを準備する工程、
(A-2)樹脂組成物層が内層基板と接合するように樹脂シートを積層し、積層体を得る工程、及び
(A-3)樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、を含む、[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3] (A)工程後(C)工程前に、
(B)絶縁層を室温まで冷却する工程、を含む、[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4] (C)工程は、60℃以上150℃以下の温度に加熱された液体中に絶縁層を浸漬させて行う、[1]~[3]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[5] 液体のpHが6以上14以下である、[4]に記載のプリント配線板の製造方法。
[6] 液体のpHが6.5以上7.5以下である、[5]に記載のプリント配線板の製造方法。
[7] 液体が、水である、[4]~[6]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[8] 樹脂組成物は、活性エステル系硬化剤を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[9] 樹脂組成物は、無機充填材を含む、[1]~[8]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[10] 無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、[9]に記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制できるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
本発明のプリント配線板の製造方法について詳細に説明する前に、本発明のプリント配線板の製造方法において使用され得る樹脂シートについて説明する。
[樹脂シート]
樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む。以下、樹脂シートが有する樹脂組成物層及び支持体について説明する。
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層に用いられる樹脂組成物は、(A)工程に記載の条件で硬化させた硬化物の吸水率が0.6%以下となる樹脂組成物を用いることができる。吸水率が0.6%以下の樹脂組成物を用いて絶縁層を形成することにより、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制することができる。
樹脂組成物の硬化物の吸水率としては、0.6%以下であり、好ましくは0.55%以下、より好ましくは0.5%以下であり、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.15%以上、さらに好ましくは0.2%以上である。吸水率は、後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。
樹脂組成物の硬化物の吸水率が0.6%以下とするには、例えば、活性エステル系硬化剤を樹脂組成物に含有させる方法、無機充填材を樹脂組成物に含有させる方法等が挙げられる。また、樹脂組成物としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用される硬化性樹脂を用いることができる。したがって、一実施形態において、樹脂組成物は、(A)活性エステル系硬化剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(D)熱可塑性樹脂、(E)硬化促進剤、及び(F)その他の添加剤を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
-(A)活性エステル系硬化剤-
一実施形態において、樹脂組成物は(A)成分として、活性エステル系硬化剤を含有し得る。(A)活性エステル系硬化剤を使用すると、通常、硬化物の吸水率を低くできる。さらに、(A)成分と後述する熱硬化性樹脂との結合は強固であるので、硬化物の機械的強度を向上させることができる。(A)成分は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤がより好ましく、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤がさらに好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤が好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
(A)活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、「EXB9451」(DIC社製、活性エステル基当量223)、「EXB9460」(DIC社製、活性エステル基当量223)、「EXB9460S」(DIC社製、活性エステル基当量223)、「HPC-8000-65T」(DIC社製、活性エステル基当量223)、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製、活性エステル基当量224)、「HPC8000L-65TM」(DIC社製、活性エステル基当量220)、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「EXB-8100L-65T」(DIC社製、活性エステル基当量234)、「EXB8150-60T」(DIC社製、活性エステル基当量226)、「EXB9416-70BK」(DIC社製、活性エステル基当量274)、「PC1300-02」(エア・ウォーター社製、活性エステル基当量200)、りん含有活性エステル系硬化剤として「EXB9401」(DIC社製、活性エステル基当量307)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製、活性エステル基当量149)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
(A)活性エステル系硬化剤の活性エステル基当量は、吸水率が低い硬化物を得る観点から、好ましくは50g/eq.~500g/eq.、より好ましくは50g/eq.~400g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性エステル基当量は、1当量の活性エステル基を含む活性エステル系硬化剤の質量である。
(A)活性エステル系硬化剤の含有量は、吸水率が低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上である。また、上限は好ましくは30質量%以下、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
-(B)熱硬化性樹脂-
一実施形態において、樹脂組成物は、(B)成分として(B)熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂としては、絶縁層等の絶縁部材として使用可能な熱硬化性樹脂を用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂等が挙げられる。但し、(A)成分に該当するものは(B)成分から除かれる。以下、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂をまとめて「硬化剤」ということがある。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。(B)成分は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としてのエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(B)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(B)成分としてのエポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(B)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。(B)成分としては樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られたり、樹脂組成物層の硬化物の破断強度を向上させたりできる観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは10:1~1:20、より好ましくは5:1~1:15、特に好ましくは1:1~1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq~5000g/eq、より好ましくは50g/eq~3000g/eq、さらに好ましくは80g/eq~2000g/eq、さらにより好ましくは110g/eq~1000g/eqである。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(B)成分としてのエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OD100」(ベンゾオキサジン環当量218)、「JBZ-OP100D」(ベンゾオキサジン環当量218)、「ODA-BOZ」(ベンゾオキサジン環当量218);四国化成工業社製の「P-d」(ベンゾオキサジン環当量217)、「F-a」(ベンゾオキサジン環当量217);昭和高分子社製の「HFB2006M」(ベンゾオキサジン環当量432)等が挙げられる。
シアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系樹脂の具体例としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V-03(カルボジイミド基当量:216、V-05(カルボジイミド基当量:262)、V-07(カルボジイミド基当量:200);V-09(カルボジイミド基当量:200);ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P(カルボジイミド基当量:302)が挙げられる。
アミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する樹脂が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する樹脂が挙げられる。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
(B)成分としてエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する場合、エポキシ樹脂とすべての硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.5~1:3がより好ましく、1:1~1:2がさらに好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることが可能となる。
(B)成分としての硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
-(C)無機充填材-
一実施形態において、樹脂組成物は(C)成分として、(C)無機充填材を含有する。(C)無機充填材を含有させることで、吸水率が低い硬化物を得ることができる。
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(E)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)無機充填材の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;などが挙げられる。
(C)無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、1μm以下である。
(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で(C)無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(C)無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(C)無機充填材の含有量は、吸水率が低い硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
-(D)熱可塑性樹脂-
一実施形態において、樹脂組成物は(D)成分として、(D)熱可塑性樹脂を含有し得る。(D)熱可塑性樹脂を含有させることで、硬化物の応力を緩和させることが可能となる。
(D)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、(D)熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂としては、イミド構造を有する樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、例えば、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリイミド樹脂は市販品を用いることができる。市販品としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、カーボネート構造を有する樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。
カーボネート樹脂は市販品を用いることができる。市販品としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7553BH30」、及び「YL7482」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
(D)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
(D)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
-(E)硬化促進剤-
一実施形態において、樹脂組成物は(E)成分として、(E)硬化促進剤を含有し得る。(E)硬化促進剤を含有させることで、樹脂組成物の熱硬化を促進させることができる。
(E)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。(E)硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(E)硬化促進剤の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
<(F)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、難燃剤;有機充填材;増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の樹脂添加剤;などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、30μm以下又は25μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
(支持体)
樹脂シートに用いる支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、
(A)内層基板と、該内層基板上に接合した、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを備える積層体の樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、
(C)絶縁層を60℃以上150℃以下でアニール処理する工程、及び
(D)絶縁層を酸化剤溶液でデスミア処理する工程、をこの順で含み、樹脂組成物の硬化物の吸水率が0.6%以下である。
先述したように、内層基板のパターン形状に沿って、デスミア処理(粗化処理)後にクラックなど割れが発生しやすくなるという課題が本発明者らにより見出された。これに対し、樹脂組成物の硬化物の吸水率が0.6%以下である樹脂組成物を用いることにより、デスミア処理、特に酸化剤溶液による絶縁層の膨潤を抑制できるので、デスミア時の絶縁層の機械的強度を高く維持できる。さらに、熱硬化して絶縁層を形成後にアニール処理する工程を行うことで、樹脂組成物の熱硬化により生じた絶縁層中の応力が緩和される。そして、これらの作用により割れの抑制をすることができる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、必要に応じて、(A)工程後(C)工程前に(B)絶縁層を室温まで冷却する工程を含んでいてもよい。
以下、本発明のプリント配線板の製造方法における各工程について説明する。
<(A)工程>
この(A)工程では、内層基板と、該内層基板上に接合した、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを備える積層体の樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する。
(A)工程は、以下の(A-1)~(A-3)工程をこの順で含むことが好ましい。
(A-1)支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む樹脂シートを準備する工程、
(A-2)樹脂組成物層が内層基板と接合するように樹脂シートを積層し、積層体を得る工程、及び
(A-3)樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程
(A-1)工程では、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む樹脂シートを準備する。支持体及び樹脂組成物は、上記[樹脂シート]において説明したとおりである。
樹脂シートは、例えば、樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
(A-2)工程では、樹脂組成物層が内層基板と接合するように樹脂シートを積層し、積層体を得る。
内層基板とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用し得る。
樹脂組成物層が、内層基板と接合するように、内層基板に樹脂シートを積層し、積層体を得る。一実施形態において、内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
(A-3)工程では、樹脂組成物層を130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する。
樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は130℃以上であり、好ましくは150℃、より好ましくは170℃である。上限は220℃以下であり、好ましくは210℃、より好ましくは200℃である。
硬化時間は、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上、さらに好ましくは15分間以上であり、好ましくは120分間以下、より好ましくは100分間以下、さらに好ましくは90分間以下である。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。予備加熱温度としては、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、好ましくは120℃未満、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。また、予備加熱時間としては、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上、さらに好ましくは15分間以上であり、好ましくは150分間以下、より好ましくは130分以下、さらに好ましくは120分間以下である。
絶縁層の厚みとしては、プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下又は40μm以下である。絶縁層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
<(B)工程>
一実施形態において、本発明のプリント配線板の製造方法は、(B)絶縁層を室温まで冷却する工程を含み得る。(B)工程は、(A)工程と(C)工程との間に行うことが好ましい。(B)工程を行うことで、樹脂組成物の熱硬化で生じる応力が過剰となることを抑制できる。よって、(C)工程にて絶縁層での応力の残留をより抑制でき、内層基板のパターンに沿った割れの発生を効果的に抑制することができる。ここで室温とは、通常10~30℃を表し、25℃が好ましい。
冷却する方法は、特に限定されず、絶縁層を放冷してもよく、強制的に絶縁層を冷却してもよい。強制的に絶縁層を冷却する場合、公知の種々の方法で冷却すればよく、例えば、絶縁層を放置して冷却する方法、絶縁層に冷風を吹きあてる方法、絶縁層を冷却したロールに押し当てる方法などが挙げられる。
<(C)工程>
(C)工程は、絶縁層を60℃以上150℃以下でアニール処理する。(A)工程での熱硬化温度よりも低い温度でアニール処理を行うことで、内層基板のパターン形状に依存した応力を緩和させることができ、その結果(D)工程後に発生する内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制することができる。
アニール処理の温度としては、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制する観点から、60℃以上であり、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上である。上限は、150℃以下であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、100℃以下である。
アニール処理は、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制する観点から、60℃以上150℃以下の温度を所定時間保持することが好ましい。保持時間としては、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは10分以上であり、好ましくは90分以下、より好ましくは60分以下、さらに好ましくは40分以下である。
アニール処理は、大気中で絶縁層を加熱することによって行ってもよく、液体中に絶縁層を浸漬させて行ってもよい。絶縁層中の応力をより緩和させる観点から、液体中に絶縁層を浸漬させて行うことが好ましい。なお、液体の沸点が150℃以下である場合、液体の沸点がアニール処理の上限温度となり得る。
液体としては、沸点が60℃以上のものを用いることができる。このような液体としては、例えば、水;水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等の膨潤液等が挙げられ、中でも、絶縁層中の応力をより緩和させる観点から、水、膨潤液が好ましく、水であることがより好ましい。膨潤液は市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。
液体のpHとしては、内層基板のパターン形状に依存した応力をより効果的に緩和させる観点から、好ましくは6以上、より好ましくは6.5以上、さらに好ましくは7以上であり、好ましくは14以下、さらに好ましくは13.5以下、12以下、12.5以下、11以下、10以下、8以下、7.5以下であり、pHは7が特に好ましい。
アニール処理は1回のみ行ってもよく、2回行ってもよい。一実施形態として、アニール処理は、60℃以上150℃以下で1回目のアニール処理を行った後、さらに60℃以上150℃以下の温度に加熱された膨潤液中に絶縁層を浸漬させる2回目のアニール処理を行う。好適な一実施形態は、60℃以上150℃以下の温度に加熱された水中に絶縁層を浸漬させる1回目のアニール処理を行った後、さらに60℃以上150℃以下の温度に加熱された膨潤液中に絶縁層を浸漬させる2回目のアニール処理を行う。アニール処理を2回行うことで、(D)工程において、絶縁層表面を効果的にデスミア処理することができる。
プリント配線板を製造するに際しては、(C)工程と(D)工程との間に絶縁層に穴あけする工程をさらに実施してもよい。絶縁層に穴あけする工程は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、(C)工程におけるアニール処理を2回行う場合、絶縁層に穴あけする工程は、1回目のアニール処理と2回目のアニール処理との間に実施してもよい。
絶縁層に穴あけする工程により、絶縁層にビアホール、スルーホールを形成することができる。穴あけする工程は、例えば、ドリル、レーザー(炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等)、プラズマ等を使用して実施することができる。
<(D)工程>
(D)工程は、絶縁層を酸化剤溶液でデスミア処理する工程、即ち絶縁層表面をデスミア処理する。かかるデスミア処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。
酸化剤溶液としては、通常のデスミア処理にて用いる酸化剤溶液を用いることができる。このような酸化剤溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、酸化剤溶液の酸化剤濃度としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
酸化剤溶液は、市販品を用いてもよい。酸化剤溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
酸化剤溶液は、効率的にデスミア処理を行う観点から、加熱することが好ましい。酸化剤溶液の加熱温度としては、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
また、絶縁層を酸化剤溶液に浸漬させる時間としては、好ましくは5分、より好ましくは10分、さらに好ましくは15分であり、好ましくは40分、より好ましくは30分、さらに好ましくは25分である。
(D)工程は、絶縁層を酸化剤溶液でデスミア処理した後、酸化剤の塩の残渣物等を除去する観点から、中和液にて中和処理を行ってもよい。
中和液としては、酸性の水溶液を用いることが好ましい。中和液は市販品を用いてもよく、中和液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」等が挙げられる。
中和処理は、(D)工程においてデスミア処理がなされた絶縁層の表面を加熱した中和液に浸漬させることにより行うことができる。
中和液の加熱温度としては、酸化剤の塩の残渣物等を除去する観点から、好ましくは、20℃以上、より好ましくは25℃以上、さらに好ましくは30℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。
浸漬時間としては、酸化剤の塩の残渣物等を除去する観点から、好ましくは1分間以上、より好ましくは3分間以上、さらに好ましくは5分間以上であり、好ましくは30分間以下、より好ましくは25分以下、さらに好ましくは20分以下である。
プリント配線板を製造するに際しては、(D)工程の後に(E)絶縁層の表面に導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。
(E)工程における導体層に使用される導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層の形成の容易性、コスト、パターン加工の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
支持体は、(A-2)工程と(A-3)工程と工程の間、(A-3)工程と(B)工程との間、(B)工程と(C)工程との間、又は(C)工程の後に除去してもよい。また、各工程終了後、必要に応じて水洗処理を行ってもよい。
本発明の製造方法により得られたプリント配線板は、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制することができるという優れた効果を奏する。よって、内層基板のパターンに沿った割れの発生を抑制することができる絶縁層をもたらす。例えば、本発明のプリント配線板の製造方法で製造されたプリント配線板のデスミア処理後の絶縁層表面のうち、内層基板のL/Sパターンの形状に沿って表面に割れが発生しているか確認し、割れの発生していない割合を歩留まりとして算出する。この歩留まりとしては、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。割れの評価の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
[半導体装置]
本発明の製造方法により得られたプリント配線板を用いて、かかるプリント配線板を含む半導体装置を製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<調製例1:樹脂シートAの作製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180g/eq.)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製の「YX4000H」、エポキシ当量約190g/eq.)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN475V」、エポキシ当量332g/eq.)5部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)50部、トリアジン骨格及びノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)15部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)5部、4-ジメチルアミノピリジン(固形分5質量%のMEK溶液)3部、MEK30部、及びアミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO-C2」)120部を、ミキサーを用いて均一に分散して、樹脂ワニスを得た。
作製した樹脂ワニスを、PETフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)上に、乾燥後の厚さが25μmになるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて樹脂シートAを得た。
<調製例2~7:樹脂シートB~Gの調製>
下記表に示す配合割合で各成分を配合した以外は調製例1と同様にして、ミキサーを用いて均一に分散して、樹脂ワニス及び樹脂シートB~Gを得た。
<吸水率の測定>
樹脂シートを、熱風循環炉を用いて、190℃、90分の熱硬化条件で樹脂シートの樹脂組成物層を熱硬化させた。熱硬化後PETフィルムを剥離することで評価用硬化物を得た。
評価用硬化物を40mm角の試験片に切断し、該試験片を130℃で30分乾燥した後に秤量した(この秤量した質量をA(g)とする)。煮沸させたイオン交換水中に試験片を1時間浸漬させた。その後、室温(25℃)のイオン交換水中に試験片を1分間浸漬させ、試験片をクリーンワイパー(クラレクラフレックス社製)にて試験片表面の水滴をふき取り、秤量した(この秤量した質量をB(g)とする)。5つの試験片の吸水率を下記式からそれぞれ求め、その平均値を下記表に示した。
吸水率(%)=((B-A)/A)×100
下記表中の略語等は以下のとおりである。
HPC8000-65T:活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)
SO-C2:アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO-C2」)
828US:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製の「828US」、エポキシ当量約180g/eq.)
YX4000H:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製の「YX4000H」、エポキシ当量約190g/eq.)
ESN475V:ナフトール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量332g/eq.)
SN485-60M:ナフトール系硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN-485」、活性基当量約215g/eq.、固形分60%のMEK溶液)
SN395-60M:ナフトール系硬化剤(日鉄ケミカル&マテリアル社製「SN395」、水酸基当量107g/eq.、固形分60%のMEK溶液)
LA-3018-50P:トリアジン骨格及びノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)
V-03:カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、不揮発分50質量%のトルエン溶液)
LA-7054:トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(DIC社製「LA-7054」、水酸基当量125g/eq.、窒素含有量約12重量%、固形分60重量%のMEK溶液)
YL7553BH30:フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)
DMAP-5M:4-ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液
MEK:メチルエチルケトン
Figure 0007379829000001
[実施例1]
<樹脂シートのラミネート>
予め作製した樹脂シートAを準備した。L/S=8μm/8μmの配線パターンにて形成された回路導体(銅)を両面に有する内層基板(日立化成社製「MCL-E700G」、導体層の厚さ35μm、計0.4mm厚、残銅率40%)の両面に、樹脂組成物層が内層基板と接するように樹脂シートをラミネートした。かかるラミネートは、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーターMVLP-500を用い、温度120℃にて30秒間真空吸引後、温度120℃、圧力7.0kg/cmの条件で、PETフィルム上から、耐熱ゴムを介して30秒間プレスすることによりラミネートした。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度120℃、圧力5.5kg/cmの条件で60秒間プレスを行った。
<樹脂組成物層の熱硬化>
ラミネートされた樹脂シートから、PETフィルムを剥離し、熱風循環炉を用いて、170℃、30分の熱硬化条件で樹脂シートの樹脂組成物層を熱硬化させて絶縁層を形成した。次に、絶縁層を形成した基板を放置し、室温(25℃)まで冷却させた。
<樹脂組成物層のアニール処理>
絶縁層を形成した基板を、熱風循環路を用いて80℃で大気環境下30分加熱を行った。その後、絶縁層表面のPETフィルムを剥離し、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P、pHは11)に60℃で10分間浸漬した。
<デスミア処理>
酸化剤としてアトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクト CPに80℃で20分間浸漬した。最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションソリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。その後80℃で30分間乾燥した。
[実施例2]
実施例1において、大気環境下でのアニール処理の温度を80℃から130℃に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
[実施例3]
実施例1において、アニール処理を以下のように行った。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
<実施例3における樹脂組成物層のアニール処理>
絶縁層を形成した基板を、60℃の水浴(pHは7)に浸漬させ、30分加熱を行った。その後、絶縁層表面のPETフィルムを剥離し、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)に60℃で10分間浸漬した。
[実施例4]
実施例3において、水浴の温度を60℃から80℃に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[実施例5]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートBに変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[実施例6]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートCに変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[実施例7]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートDに変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[実施例8]
実施例1において、アニール処理を以下のように行った。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
<実施例8における樹脂組成物層のアニール処理>
絶縁層表面のPETフィルムを剥離し、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)に60℃で10分間浸漬した。
[比較例1]
実施例1において、アニール処理(即ち、大気中での加熱及び膨潤液への浸漬)を行わなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
[比較例2]
実施例1において、大気環境下での加熱温度を80℃から40℃に変え、膨潤液への浸漬温度を60℃から40℃に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
[比較例3]
実施例3において、水浴の温度を60℃から40℃に変え、膨潤液への浸漬温度を60℃から40℃に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[比較例4]
実施例1において、樹脂シートAを樹脂シートEに変え、さらにアニール処理(即ち、大気中での加熱及び膨潤液への浸漬)を行わなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして行った。
[比較例5]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートEに変え、水浴の温度を60℃から40℃に変え、膨潤液への浸漬温度を60℃から40℃に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[比較例6]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートFに変え、さらに水浴の温度を60℃から70℃に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
[比較例7]
実施例3において、樹脂シートAを樹脂シートGに変え、さらに水浴の温度を60℃から40℃に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして行った。
<割れの評価方法>
デスミア処理後の絶縁層表面のうち、内層基板のL/Sパターン上を観察した。100個の内層基板のパターン形状に沿って表面に割れが発生しているか確認し、割れの発生していないパターン上の割合を数えた。この割合を「歩留まり」として算出した。また、算出した歩留まりを以下の基準で点数をつけた。
1点:0%以上20%未満
2点:20%以上40%未満
3点:40%以上60%未満
4点:60%以上80%未満
5点:80%以上
また、3点以上を「○」とし、2点以下を「×」として評価した。
Figure 0007379829000002
Figure 0007379829000003

Claims (9)

  1. (A)内層基板と、該内層基板上に接合した、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを備える積層体の樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、
    (C)絶縁層を60℃以上150℃以下でアニール処理する工程、及び
    (D)絶縁層を酸化剤溶液でデスミア処理する工程、をこの順で含むプリント配線板の製造方法であって、
    樹脂組成物は、活性エステル系硬化剤と、活性エステル系硬化剤ではない熱硬化性樹脂とを含み、
    前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、及び酸無水物系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含み、
    樹脂組成物の硬化物の吸水率が0.6%以下であり、
    (C)工程は、液体中に絶縁層を浸漬させてアニール処理することを含む、プリント配線板の製造方法。
  2. (A)工程が、
    (A-1)支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む樹脂シートを準備する工程、
    (A-2)樹脂組成物層が内層基板と接合するように樹脂シートを積層し、積層体を得る工程、及び
    (A-3)樹脂組成物層を、130℃以上220℃以下で熱硬化させ、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. (A)工程後(C)工程前に、
    (B)絶縁層を室温まで冷却する工程、を含む、請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. (C)工程は、60℃以上150℃以下の温度に加熱された液体中に絶縁層を浸漬させて行う、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 液体のpHが6以上14以下である、請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 液体のpHが6.5以上7.5以下である、請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 液体が、水である、請求項4~6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 樹脂組成物は、無機充填材を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項8に記載のプリント配線板の製造方法。
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