1.ポリイソシアネート組成物
本発明のポリイソシアネート組成物は、イソシアネート誘導体を少なくとも含む。
イソシアネート誘導体は、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIとする。)と、ポリチオールとの反応生成物であり、分子末端がイソシアネート基である。
XDIは、構造異性体として、1,2-XDI(o-XDI)、1,3-XDI(m-XDI)、1,4-XDI(p-XDI)を含んでいる。これらXDIの構造異性体は、単独使用または2種類以上併用されてもよい。
XDIは、好ましくは、1,3-XDIおよび/または1,4-XDIを含み、より好ましくは、1,3-XDIを含み、さらに好ましくは、1,3-XDIからなる。
ポリチオールは、2つ以上、例えば、8つ以下、好ましくは、6つ以下、より好ましくは、4つ以下のメルカプト基(チオール基)を有する。
ポリチオールとして、例えば、2つのメルカプト基を有する二官能チオール、3つのメルカプト基を有する三官能チオール、4つのメルカプト基を有する四官能チオール、5つのメルカプト基を有する五官能チオール、6つのメルカプト基を有する六官能チオール、および、8つのメルカプト基を有する八官能チオールが挙げられる。
二官能チオールとして、例えば、脂肪族二官能チオール、芳香族二官能チオール、複素環含有二官能チオール、および、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する二官能チオールが挙げられる。
脂肪族二官能チオールとして、例えば、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-シクロヘキサンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、および、1,4-シクロヘキサンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
芳香族二官能チオールとして、例えば、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン、1,4-ナフタレンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2,7-ナフタレンジチオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール、9,10-アントラセンジメタンチオール、2,2´-ジメルカプトビフェニル、4,4´-ジメルカプトビフェニル、4,4´-ジメルカプトビベンジル、2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール、1,3-ジ(p-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、3,4,5-トリブロム-1,2-ジメルカプトベンゼン、および、2,3,4,6-テトラクロル-1,5-ビス(メルカプトメチル)ベンゼンが挙げられる。
複素環含有二官能チオールとして、例えば、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-エチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-モルホリノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-シクロヘキシルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-フェノキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、2-チオベンゼンオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、および、2-チオブチルオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジンが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する二官能チオールとして、例えば、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2―メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3―メルカプトプロピネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2―メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3―メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-チオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、4,4-ジチオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(4,5-ジメルカプト-2-チアペンチル)-1,3-ジチアシクロペンタン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン、1,5-ビス[4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ]-3-[2-(1,3-ジチエタニル)]メチル-2,4-ジチアペンタン、4,6-ビス{3-[2-(1,3-ジチエタニル)]メチル-5-メルカプト-2,4-ジチアペンチルチオ}-1,3-ジチアン、3,7-ビス[2-(1,3-ジチエタニル)]メチル-1,9-ジメルカプト-2,4,6,8-テトラチアノナン、4,5-ビス{1-[2-(1,3-ジチエタニル)]-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ}-1,3-ジチオラン、2-{ビス[4-(5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラニル)チオ]メチル}-1,3-ジチエタン、4-[4-(5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラニル)チオ]-5-{1-[2-(1,3-ジチエタニル)]-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ}-1,3-ジチオラン、2,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、2,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、2-メルカプトエチルチオ-4-メルカプトメチル-1,3-ジチアシクロペンタン、および、2-(2,3-ジメルカプトプロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタンが挙げられる。
三官能チオールとして、例えば、脂肪族三官能チオール、芳香族三官能チオール、および、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する三官能チオールが挙げられる。
脂肪族三官能チオールとして、例えば、1,2,3-プロパントリチオール、2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)、チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトプロピオネート)、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(2-メルカプトアセテート)、および、グリセリントリス(3-メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
芳香族三官能チオールとして、例えば、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、および、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼンが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する三官能チオールとして、例えば、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタンチオール、3-メルカプトメチルチオ-1,7-ジメルカプト-2,6-ジチアヘプタン、3-メルカプトメチルチオ-1,6-ジメルカプト-2,5-ジチアヘキサン、4,6-ビス[4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ]-6-[4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ]-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、2,4,6-トリス(メルカプトメチルチオ)-1,3,5-トリチアシクロヘキサン、トリス[(4-メルカプトメチル-2,5-ジチアシクロヘキシル-1-イル)メチルチオ]メタン、4-メルカプトメチル-2-(2,3-ジメルカプトプロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタン、および、4-メルカプトメチル-2-(1,3-ジメルカプト-2-プロピルチオ)-1,3-ジチアシクロペンタンが挙げられる。
四官能チオールとして、例えば、脂肪族四官能チオール、芳香族四官能チオール、および、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する四官能チオールが挙げられる。
脂肪族四官能チオールとして、例えば、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、および、テトラキス(メルカプトメチル)メタンが挙げられる。
芳香族四官能チオールとして、例えば、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、および、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼンが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する四官能チオールとして、例えば、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,5,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-3-チアペンタン、1,1,6,6-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-3,4-ジチアヘキサン、2,5-ビス(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)-1,4-ジチアン、2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-プロパンジチオール、3,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,9-ジメルカプト-2,5,8-トリチアノナン、4-[3,5-ビス(メルカプトメチルチオ)-7-メルカプト-2,6-ジチアヘプチルチオ]-6-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチアン、1,1-ビス[4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ]-1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、3-[2-(1,3-ジチエタニル)]メチル-7,9-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,11-ジメルカプトー2,4,6,10-テトラチアウンデカン、4-[3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ]-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラン、2-[3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ]メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチエタン、4-{1-[2-(1,3-ジチエタニル)]-3-メルカプト-2-チアプロピルチオ}-5-[1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-4-メルカプト-3-チアブチルチオ]-1,3-ジチオラン、1,1,5,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-2,4-ジチアペンタン、および、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロパンが挙げられる。
五官能チオールとして、例えば、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する五官能チオールが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する五官能チオールとして、例えば、1-[4-(6-メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアニルチオ]-3-[2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル]-7,9-ビス(メルカプトメチルチオ)-2,4,6,10-テトラチアウンデカン、および、ビス[4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアブチル]-(メルカプトメチルチオ)メタンが挙げられる。
六官能チオールとして、例えば、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する六官能チオールが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する六官能チオールとして、例えば、1,1,9,9-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-5-(3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-1-チアプロピル)3,7-ジチアノナン、トリス(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリス(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)メタン、3,5,9,11-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-1,13-ジメルカプト-2,6,8,12-テトラチアトリデカン、3,4,8,9-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-1,11-ジメルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデカン、4,6-ビス[3,5-ビス(メルカプトメチルチオ)-7-メルカプト-2,6-ジチアヘプチルチオ]-1,3-ジチアン、3-[2-(1,3-ジチエタニル)]メチル-7,9,13,15-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-1,17-ジメルカプト-2,4,6,10,12,16-ヘキサチアヘプタデカン、4-[3,4,8,9-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-11-メルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデシル]-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラン、4,5-ビス[3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ]-1,3-ジチオラン、4-[3-ビス(メルカプトメチルチオ)メチル-5,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-8-メルカプト-2,4,7-トリチアオクチル]-5-メルカプトメチルチオ-1,3-ジチオラン、2-{ビス[3,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-6-メルカプト-2,5-ジチアヘキシルチオ]メチル}-1,3-ジチエタン、2-[3,4,8,9-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-11-メルカプト-2,5,7,10-テトラチアウンデシルチオ]メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチエタン、2-[3-ビス(メルカプトメチルチオ)メチル-5,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-8-メルカプト-2,4,7-トリチアオクチル]メルカプトメチルチオメチル-1,3-ジチエタン、トリス[4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアブチル]メタン、トリス[2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル]メタン、トリス[4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-3-チアブチル]メタン、および、2,4,6-トリス[3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル]-1,3,5-トリチアシクロヘキサンが挙げられる。
八官能チオールとして、例えば、1分子中にメルカプト基以外に硫黄原子を含有する八官能チオールが挙げられる。
メルカプト基以外に硫黄原子を含有する八官能チオールとして、例えば、テトラキス(4,4-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアブチル)メタン、3,5,9,11,15,17-ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)-1,19-ジメルカプト-2,6,8,12,14,18-ヘキサチアノナデカン、9-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-3,5,13,15-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-1,17-ジメルカプト-2,6,8,10,12,16-ヘキサチアヘプタデカン、テトラキス(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、3,4,8,9,13,14-ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)-1,16-ジメルカプト-2,5,7,10,12,15-ヘキサチアヘキサデカン、8-[ビス(メルカプトメチルチオ)メチル]-3,4,12,13-テトラキス(メルカプトメチルチオ)-1,15-ジメルカプト-2,5,7,9,11,14-ヘキサチアペンタデカン、および、テトラキス[3,3-ビス(メルカプトメチルチオ)-2-チアプロピル]メタンが挙げられる。
また、ポリチオールとして、上記したポリチオールのハロゲン置換体を使用することもできる。上記したポリチオールのハロゲン置換体として、例えば、上記したポリチオールの塩素置換体、および、上記したポリチオールの臭素置換体が挙げられる。
なお、ポリチオールは、上記した例示化合物のみに限定されるものではない。
ポリチオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
ポリチオールは、好ましくは、三官能チオールおよび/または四官能チオールを含み、より好ましくは、三官能チオールまたは四官能チオールを含む。
三官能チオールとして、好ましくは、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する三官能チオールが挙げられ、より好ましくは、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジアオクタン(以下、GSTとする。)が挙げられる。
四官能チオールとして、好ましくは、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する四官能チオールが挙げられ、より好ましくは、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(以下、FSHとする。)が挙げられる。
また、ポリチオールが二官能チオールを含む場合、好ましくは、二官能チオールは、三官能チオールおよび/または四官能チオールとともに併用される。
二官能チオールとして、好ましくは、メルカプト基以外に硫黄原子を含有する二官能チオールが挙げられ、より好ましくは、ビス(メルカプトエチル)スルフィドが挙げられる。
二官能チオールと、三官能チオールおよび/または四官能チオールとが併用される場合、二官能チオールの含有割合は、三官能チオールおよび四官能チオールの総和100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
また、ポリチオールは、とりわけ好ましくは、三官能チオールまたは四官能チオールからなり、特に好ましくは、三官能チオールからなる。
また、ポリチオールは、少なくとも1つのポリオールと併用することもできる。
ポリイソシアネート組成物を製造するには、例えば、亜鉛含有触媒の存在下において、XDIと上記したポリチオールとを、メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])が後述する範囲となるように、チオウレタン化反応させる。
メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])は、2.0以上、好ましくは、2.2以上、12.0以下、好ましくは、8.0以下、より好ましくは、6.0以下である。
メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比が上記下限以上であると、ポリイソシアネート組成物がゲル化することを抑制できる。メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比が上記上限以下であると、ポリイソシアネート組成物の屈折率の向上を図ることができ、ひいては、ポリイソシアネート組成物から製造される樹脂の屈折率の向上を確実に図ることができる。
亜鉛含有触媒として、例えば、国際公開第2010/001550号に記載の亜鉛化合物が挙げられ、好ましくは、ジチオカルバミン酸亜鉛類、および、脂肪酸亜鉛が挙げられる。
ジチオカルバミン酸亜鉛類として、例えば、ビス(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N-ジエチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N-ジプロピルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N,N-ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビス(N-エチル-N-フェニルジチオカルバミン酸)亜鉛、および、ビス(N,N-ジベンジルジチオカルバミン酸)亜鉛が挙げられる。
脂肪酸亜鉛として、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、および、シュウ酸亜鉛が挙げられる。
亜鉛含有触媒は、単独使用または2種類以上併用できる。
亜鉛含有触媒は、好ましくは、ジチオカルバミン酸亜鉛類および/または脂肪酸亜鉛を含み、より好ましくは、ジチオカルバミン酸亜鉛類を含み、さらに好ましくは、ビス(N,N-ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛を含む。
また、亜鉛含有触媒は、好ましくは、ジチオカルバミン酸亜鉛類および/または脂肪酸亜鉛からなる。
亜鉛含有触媒の添加割合は、XDI100質量部に対して、例えば、0.0001質量部以上、好ましくは、0.0005質量部以上、また、例えば、0.01質量部以下、好ましくは、0.005質量部以下である。
より詳しくは、亜鉛含有触媒を予め有機溶媒(後述)に溶解して、亜鉛含有触媒溶液を調製し、亜鉛含有触媒溶液をXDIに添加する。その後、メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])が上記の範囲となるように、上記したポリチオールを、亜鉛含有触媒溶液およびXDIの混合液に添加する。
チオウレタン化反応は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において実施される。反応温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上、また、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。反応時間は、例えば、2時間以上、好ましくは、4時間以上、また、例えば、72時間以下、好ましくは、24時間以下である。
また、チオウレタン化反応は、反応系において、所望のイソシアネート基含有量(仕込み量から算出される、未反応のイソシアネート基濃度の理論量)となった時点で、終了する。
これによって、XDIのイソシアネート基と、ポリチオールのメルカプト基とがチオウレタン化反応する。このとき、イソシアネート誘導体(後述する単核体および多核体)が生成するとともに、後述する環状化合物が副生する。
以上によって、イソシアネート誘導体と、環状化合物とを含有するポリイソシアネート組成物が製造される。
イソシアネート誘導体は、ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体(以下、単核体とする。)と、ポリチオール多分子-キシリレンジイソシアネート多分子体(以下、多核体とする。)とを含む。
単核体は、n(nは、2以上の整数を示す。)つのメルカプト基を有するポリチオール1分子と、XDIn分子との反応生成物である。nは、2以上、また、例えば、8以下、好ましくは、6以下、より好ましくは、4以下の整数を示す(以下同様)。単核体の構造は、ポリイソシアネート組成物の製造に使用されるポリチオールの種類に対応する。
単核体(ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体)として、例えば、二官能チオール1分子-XDI2分体、三官能チオール1分子-XDI3分体、および、四官能チオール1分子-XDI4分体が挙げられる。
単核体は、ポリチオールの種類に対応して、単独または2種類以上含有できる。
単核体は、好ましくは、三官能チオール1分子-XDI3分体および/または四官能チオール1分子-XDI4分体を含み、より好ましくは、三官能チオール1分子-XDI3分体または四官能チオール1分子-XDI4分体を含む。
また、単核体が二官能チオール1分子-XDI2分体を含む場合、単核体は、好ましくは、二官能チオール1分子-XDI2分体と、三官能チオール1分子-XDI3分体および/または四官能チオール1分子-XDI4分体と含有する。
また、単核体は、とりわけ好ましくは、三官能チオール1分子-XDI3分体または四官能チオール1分子-XDI4分体からなり、特に好ましくは、三官能チオール1分子-XDI3分体からなる。
多核体は、n(nは、2以上の整数を示す。)つのメルカプト基を有するポリチオール2分子以上と、XDI3分子以上との反応生成物である。多核体の構造は、単核体と同様に、ポリイソシアネート組成物の製造に使用されるポリチオールの種類に対応する。多核体の分子量は、同じポリチオールから生成される単核体よりも大きい。
多核体は、ポリチオールに由来するユニット(以下、チオール由来ユニットとする)の個数に基づいて区別される。多核体として、例えば、二核体、三核体、四核体、五核体、および、六核体以上の多核体(以下、m核体(m≧6)とする。)が挙げられる。
二核体は、nつのメルカプト基を有するポリチオール2分子と、XDI(2n-1)分子との反応生成物であって、2つのチオール由来ユニットを有する。二核体として、例えば、二官能チオール2分子-XDI3分体、三官能チオール2分子-XDI5分体、および、四官能チオール2分子-XDI7分体が挙げられる。
三核体は、nつのメルカプト基を有するポリチオール3分子と、XDI(3n-2)分子との反応生成物であって、3つのチオール由来ユニットを有する。三核体として、例えば、二官能チオール3分子-XDI4分体、三官能チオール3分子-XDI7分体、および、四官能チオール3分子-XDI10分体が挙げられる。
四核体は、nつのメルカプト基を有するポリチオール4分子と、XDI(4n-3)分子との反応生成物であって、4つのチオール由来ユニットを有する。四核体として、例えば、二官能チオール4分子-XDI5分体、三官能チオール4分子-XDI9分体、および、四官能チオール4分子-XDI13分体が挙げられる。
五核体は、nつのメルカプト基を有するポリチオール5分子と、XDI(5n-4)分子との反応生成物であって、5つのチオール由来ユニットを有する。五核体として、例えば、二官能チオール5分子-XDI6分体、三官能チオール5分子-XDI11分体、および、四官能チオール5分子-XDI16分体が挙げられる。
m核体(m≧6)は、六核体以上の多核体を含む。六核体は、nつのメルカプト基を有するポリチオール6分子と、XDI(6n-5)分子との反応生成物であって、6つのチオール由来ユニットを有する。六核体として、例えば、二官能チオール6分子-XDI7分体、三官能チオール6分子-XDI13分体、および、四官能チオール6分子-XDI19分体が挙げられる。
多核体は、ポリチオールの種類に対応して、単独または2種類以上含有できる。
多核体は、好ましくは、二核体および三核体を含む。
ポリイソシアネート組成物におけるポリイソシアネート誘導体の含有割合は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。ポリイソシアネート誘導体の含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出できる。
ポリイソシアネート組成物における単核体の含有割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。単核体の含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出できる。
単核体の含有割合が上記下限以上であれば、溶剤への溶解性と、活性水素基含有成分(後述)との相溶性とに優れたポリイソシアネート組成物を得ることができる。単核体の含有割合が上記上限以下であれば、ポリイソシアネート組成物から製造される樹脂に、密着性を確実に付与できる。
ポリイソシアネート組成物における多核体の含有割合は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。多核体の含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
また、単核体(ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体)に対する多核体(ポリチオール多分子-キシリレンジイソシアネート多分子体)の質量比は、0.50以上、好ましくは、0.70以上、より好ましくは、1.00以上、さらに好ましくは、1.10以上、また、5.2以下、好ましくは、3.0以下である。単核体に対する多核体の質量比は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出される単核体および多核体の含有割合から算出できる。
多核体の質量比が上記範囲であれば、樹脂に密着性を付与できるとともに、ポリイソシアネート組成物の屈折率の向上を図ることができ、ひいては、樹脂の屈折率の向上を図ることができる。
また、単核体に対する二核体の質量比は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.35以上、より好ましくは、0.40以上、また、例えば、1.5以下、好ましくは、1.0以下、より好ましくは、0.70以下である。単核体に対する二核体の質量比は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出される単核体および二核体の含有割合から算出できる。
二核体の質量比が上記下限以上であれば、樹脂に密着性を確実に付与できるとともに、ポリイソシアネート組成物の屈折率の向上を確実に図ることができる。
単核体に対する三核体の質量比は、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上、また、例えば、1.0以下、好ましくは、0.70以下である。単核体に対する三核体の質量比は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出される単核体および三核体の含有割合から算出できる。
三核体の質量比が上記下限以上であれば、ポリイソシアネート組成物の屈折率の向上をより確実に図ることができる。三核体の含有割合が上記上限以下であれば、溶剤への溶解性と、活性水素基含有成分(後述)との相溶性とに優れたポリイソシアネート組成物を得ることができる。
環状化合物は、上記したポリイソシアネート組成物の製造において副生するチオウレタン化合物である。環状化合物は、XDIに由来する2以上のチオウレタン結合を含む環構造を有する。環状化合物の構造は、ポリイソシアネート組成物の製造に使用されるポリチオールの種類に対応する。
環状化合物として、例えば、二官能チオールに対応する第1環状化合物、三官能チオールに対応する第2環状化合物、および、四官能チオールに対応する第3環状化合物が挙げられる。
第1環状化合物として、例えば、下記式(1)に示すチオウレタン結合含有環状化合物が挙げられる。
下記式(1)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、ビス(メルカプトエチル)スルフィドに対応する。
第2環状化合物として、例えば、下記式(2)~(4)に示すチオウレタン結合含有環状化合物が挙げられる。
下記式(2)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジアオクタンに対応する。
下記式(3)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジアオクタンに対応する。
下記式(4)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジアオクタンに対応する。
第3環状化合物として、例えば、下記式(5)~(9)に示すチオウレタン結合含有環状化合物が挙げられる。
下記式(5)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンに対応する。
下記式(6)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンに対応する。
下記式(7)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンに対応する。
下記式(8)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンに対応する。
下記式(9)に示すチオウレタン結合含有環状化合物は、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンに対応する。
上記式(2)~(7)において、Rは、水素原子、または、下記式(10)に示す原子団を示す。
環状化合物は、ポリチオールに対応して、単独または2種類以上含有できる。
ポリイソシアネート組成物における環状化合物の含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、または、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、7質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。環状化合物の含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
環状化合物の含有割合が上記上限以下であれば、活性水素基含有成分(後述)との硬化性に優れ、樹脂の密着性の向上を確実に図ることができる。
単核体に対する環状化合物の質量比は、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、または、例えば、0.40以下、好ましくは、0.35以下である。単核体に対する環状化合物の質量比は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出される単核体および環状化合物の含有割合から算出できる。
また、ポリイソシアネート組成物は、上記したポリイソシアネート組成物の製造において残存する残存モノマーとして、未反応のXDIを含有してもよい。
ポリイソシアネート組成物におけるXDIの含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上、または、例えば、85質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。XDIの含有割合は、後述する実施例に記載の方法に準拠して算出できる。
また、ポリイソシアネート組成物から、未反応のXDIを除去することもできる。
未反応のXDIの除去方法として、例えば、薄膜蒸留などの蒸留法、液-液抽出などの抽出精製法が挙げられる。
薄膜蒸留法では、XDIが残存するポリイソシアネート組成物を、薄膜蒸留器により蒸留する。
液-液抽出法では、XDIが残存するポリイソシアネート組成物に、抽出溶剤(例えば、後述する有機溶媒)を接触させる。これにより、ポリイソシアネート組成物からXDIを分離する。液-液抽出法は、特開2010-265364の段落番号[0026]~[0034]の記載に準拠して実施できる。
未反応のXDIの除去方法として、好ましくは、液-液抽出法が挙げられる。なお、抽出溶剤の一部が、そのままポリイソシアネート組成物の希釈に用いられてもよい。
このようなポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は、例えば、5.0質量%以上、好ましくは、10.0質量%以上、また、例えば、50.0質量%以下、好ましくは、30.0質量%以下である。イソシアネート基濃度は、電位差滴定装置を用いて、JIS K-1556に準拠したn-ジブチルアミン法により測定できる(以下同様)。
また、ポリイソシアネート組成物の平均官能基数は、例えば、2.0以上、好ましくは、2.5以上、また、例えば、30以下、好ましくは、20以下である。なお、平均官能基数は、ポリイソシアネート組成物の製造に用いられる原料の仕込み量により算出できる。
また、ポリイソシアネート組成物の屈折率は、例えば、1.50以上、好ましくは、1.57以上、より好ましくは、1.59以上、また、例えば、1.80以下、好ましくは、1.70以下である。なお、ポリイソシアネート組成物の屈折率は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
ポリイソシアネート組成物から製造される樹脂の屈折率は、ポリイソシアネート組成物の屈折率に比例する。そのため、ポリイソシアネート組成物の屈折率が上記下限以上であれば、ポリイソシアネート組成物から製造される樹脂に優れた屈折率を付与することができる。
さらに、ポリイソシアネート組成物は、必要に応じて有機溶媒で希釈してもよい。なお、希釈前のポリイソシアネート組成物における固形分濃度は、100質量%である。
有機溶媒として、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、エステル類、グリコールエーテルエステル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および、含窒素化合物類が挙げられる。
脂肪族炭化水素類として、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、および、オクタンが挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンが挙げられる。
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、および、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、および、プロピレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、および、酢酸ブチルが挙げられる。
グリコールエーテルエステル類として、例えば、メチルセロソルブアセテート、および、エチルセロソルブアセテートが挙げられる。
ハロゲン化脂肪族炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、および、四塩化炭素が挙げられる。
含窒素化合物類として、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、および、ジメチルホルムアルデヒドが挙げられる。
有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
有機溶媒のなかでは、好ましくは、エステル類およびケトン類が挙げられ、より好ましくは、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンが挙げられる。
ポリイソシアネート組成物の希釈液における固形濃度は、例えば、30質量%以上、好ましくは、50質量%以上、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、例えば、30mPa・s以上、また、例えば、10000mPa・s以下である。
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度が、上記下限以上であれば、液の飛散を抑制でき、作業性を向上できる。また、ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度が、上記上限以下であれば、流動性を確保でき、主剤と十分に混和できる。
2.作用効果
上記したポリイソシアネート組成物は、ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体と、ポリチオール多分子-キシリレンジイソシアネート多分子体とを含み、ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体に対する、ポリチオール多分子-キシリレンジイソシアネート多分子体の質量比が、上記範囲内である。
そのため、ポリイソシアネート組成物から製造される樹脂に優れた密着性を付与できながら、樹脂の屈折率の向上を図ることができる。
また、環状化合物の含有割合は、単核体と多核体との総和100質量部に対して、上記上限以下である。そのため、樹脂の密着性の向上を確実に図ることができる。
また、上記したポリイソシアネート組成物の製造方法によれば、上記したポリイソシアネート組成物を円滑に製造することができる。
3.二液型樹脂原料
上記したポリイソシアネート組成物は、樹脂の原料として、各種産業製品に利用できる。具体的には、ポリイソシアネート組成物は、二液型樹脂原料のA剤(硬化剤)として好適に利用できる。
二液型樹脂原料の用途として、例えば、コーティング材(例えば、プラスチック用塗料、自動車用塗料、および、フィルムコート剤)、接着剤、二液硬化型シーリング原料、および、ポッティング剤が挙げられる。二液型樹脂原料の用途のなかでは、好ましくは、コーティング材および接着剤が挙げられ、より好ましくは、優れた屈折率が要求される光学用コーティング材および光学用接着剤が挙げられる。
二液型樹脂原料は、ポリイソシアネート組成物を含有するA剤(硬化剤)と、活性水素基含有成分を含有するB剤(主剤)とを別々に備え、A剤およびB剤を使用直前に配合するものである。言い換えれば、二液型樹脂原料がコーティング材または接着剤である場合、コーティング材および接着剤のそれぞれは、二液型樹脂原料からなり、具体的には、ポリイソシアネート組成物を含有するA剤と、活性水素基含有成分を含有するB剤とを備える。
A剤は、必須成分として、上記したポリイソシアネート組成物を含有する。
また、A剤は、必要に応じて、その他のポリイソシアネート(上記したポリイソシアネート組成物を除くポリイソシアネート)を含むことができる。
その他のポリイソシアネートとして、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および、それらポリイソシアネートから変性される変性体が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとして、例えば、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、および、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとして、例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3-および/または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)(Trans-体、Cis-体、もしくはその混合物)、および、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-、2,4’-または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans-体、Trans,Cis-体、Cis,Cis-体、もしくはその混合物))(H12MDI)が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとして、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、および、トリレンジイソシアネート(TDI)が挙げられる。
ポリイソシアネートから変性される変性体として、例えば、多量体、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、および、トリオール付加体が挙げられる。
その他のポリイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート組成物100質量部に対して、例えば、0質量部以上、また、例えば、40質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
A剤は、とりわけ好ましくは、その他のポリイソシアネートを含有せず、イソシアネート成分として、上記したポリイソシアネート組成物のみを含有する。
B剤は、必須成分として、活性水素基含有成分を含有する。
活性水素基含有成分として、例えば、ポリオール成分(水酸基を2つ以上有するポリオールを主として含有する成分)、ポリチオール成分(メルカプト基を2つ以上有するポリチオールを主として含有する成分)、および、ポリアミン成分(アミノ基を2つ以上有するポリアミンを主として含有する化合物)が挙げられる。
活性水素基含有成分は、単独使用または2種類以上併用できる。
活性水素基含有成分のなかでは、好ましくは、ポリオール成分およびポリチオール成分が挙げられる。
ポリオール成分として、例えば、低分子量ポリオールおよび高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上400未満、好ましくは、300以下の化合物である。低分子量ポリオールとして、例えば、2価アルコール、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコール、6価アルコール、7価アルコール、および、8価アルコールが挙げられる。低分子量ポリオールのなかでは、好ましくは、2価アルコールおよび3価アルコールが挙げられる。
2価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(7~22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、アルカン-1,2-ジオール(C(炭素数、以下同様。)17~20)、イソソルビド、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、および、ビスフェノールAが挙げられる。
3価アルコールとして、例えば、グリセリン、および、トリメチロールプロパンが挙げられる。
また、低分子量ポリオールとして、数平均分子量60以上400未満のポリアルキレンオキサイドが挙げられる。ポリアルキレンオキサイドには、2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体が含まれる。ポリアルキレンオキサイドは、上記のアルコールを開始剤として、アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)を付加させて得られる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好ましくは、500以上、また、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下の化合物である。
高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
ポリオール成分のなかでは、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジペート系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、および、ラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
このようなポリオール成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオール成分の水酸基価は、例えば、5mgKOH/g以上、好ましくは、10mgKOH/g以上、また、例えば、300mgKOH/g以下、好ましくは、250mgKOH/g以下である。なお、水酸基価は、JISK1557-1のA法またはB法に準拠するアセチル化法またはフタル化法から測定できる。
また、ポリオール成分の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、2000以上、好ましくは、5000以上、また、例えば、100000以下、好ましくは、50000以下である。
ポリチオール成分として、例えば、上記したポリチオールが挙げられ、好ましくは、上記した四官能チオールが挙げられ、より好ましくは、上記したメルカプト基以外にイオン原子を含有する四官能チオールが挙げられる。
ポリチオール成分は、単独使用または2種類以上併用できる。
そして、樹脂を形成するには、例えば、上記したA剤と、上記したB剤とを混合して、その混合液を対象物に塗布して硬化させる。樹脂は、上記したポリイソシアネート組成物と、上記した活性水素基含有成分との反応生成物を含む。樹脂として、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂、および、ポリウレア樹脂が挙げられる。
A剤およびB剤の混合において、B剤中の活性水素基に対するA剤中のイソシアネート基の当量比([NCO]/[活性水素基])は、例えば、0.5以上、好ましくは、0.8以上、例えば、1.5以下、好ましくは、1.2以下である。
なお、二液型樹脂原料は、必要に応じて、公知の添加剤(例えば、着色顔料、染料、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤、リンの酸素酸またはその誘導体、および、シランカップリング剤)を適宜の割合で含有することができる。
添加剤は、予め、上記A剤および/またはB剤に添加してもよく、A剤およびB剤を混合した後に、その混合液に添加することもできる。
二液型樹脂原料がコーティング材である場合、上記したA剤およびB剤の混合液を、対象物としての被塗物に対して、公知の塗装方法(例えば、スプレー塗装、はけ塗り、および、ロールコーター)により塗装して硬化させる。これによって、樹脂を含む硬化膜が、被塗物上に形成される。このようなコーティング材は、硬化膜に優れた密着性を付与できながら、硬化膜の屈折率の向上を図ることができる。
被塗物として、例えば、無機物(例えば、コンクリート、自然石、ガラス、および、金属)、および、有機物(例えば、プラスチック、ゴム、接着剤、および、木材)が挙げられ、好ましくは、有機物が挙げられ、より好ましくは、プラスチックが挙げられる。
プラスチックとして、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、および、ポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、および、ポリスチレンが挙げられ、好ましくは、ポリオレフィンおよびポリエステルが挙げられる。
二液型樹脂原料が接着剤である場合、上記したA剤およびB剤の混合液を、被着物を接着する所定位置に公知の塗工方法(例えば、ドライラミネート法、および、ウェットラミネート法)により塗工した後、対象物としての被着物を接着剤に接触させて、接着剤を硬化させる。これによって、接着剤が、硬化して被着物を所定位置に接着する。このような接着剤は、接着剤の硬化物に優れた密着性を付与できながら、接着剤の硬化物の屈折率の向上を図ることができる。
被着物として、各種建材および各種積層フィルムが挙げられ、具体的には、包装材料(例えば、プラスチックフィルム、金属箔、および、金属蒸着フィルム)、および、土木材料(例えば、FRP、および、鋼材)が挙げられ、好ましくは、包装材が挙げられ、より好ましくは、プラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムとして、例えば、上記したプラスチックから形成されるプラスチックフィルムが挙げられ、好ましくは、ポリオレフィンフィルムおよびポリエステルフィルムが挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、および、パラメータの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、および、パラメータの該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(単核体、多核体、環状化合物および残存モノマーの含有割合)>
ポリイソシアネート組成物を、メタノールと反応させて、メチルウレタン化物を得た。そして、メチルウレタン化物40mgを、テトラヒドロフラン4mlに溶解させて、サンプルを調製した。
次いで、サンプルを、下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にて分析した。
装置; Alliance(WATERS社製)、
カラム;Plgel 5μmMixed-C(測定分子量範囲;100-1000000、Polymerlab社製)3本を直列に連結、
検出器;示差屈折率検出器、
遊離液;テトラヒドロフラン、
流量;1.0mL/min、
カラム温度;40℃、
検出器温度;40℃、
注入量;10μL。
なお、クロマトグラムにおける各ピークを、下記のようにアサインした。
保持時間20.7分をピークトップとするピークa);上記したm核体(m≧6)、
保持時間25.4分をピークトップとするピークb);上記した五核体、
保持時間25.7分をピークトップとするピークc);上記した四核体、
保持時間26.2分をピークトップとするピークd);上記した三核体、
保持時間26.8分をピークトップとするピークe);上記した二核体、
保持時間27.8分をピークトップとするピークf);上記した単核体、
保持時間28.5分をピークトップとするピークg);上記した環状化合物、
保持時間30.3分をピークトップとするピークh);残存モノマー(XDI)。
そして、EMPOWERデータ処理装置(WATERS社製)を使用して、ガスクロマトグラム(GPCチャート)の面積値から、ポリイソシアネート組成物における単核体、多核体、環状化合物および残存モノマーの含有割合を算出した。
具体的には、全ピーク面積に対する、ピークa)~e)のピーク面積の総和の割合(面積%)を算出して、ポリイソシアネート組成物における多核体(ポリチオール多分子-キシリレンジイソシアネート多分子体)の含有割合とした。
また、全ピーク面積に対する、ピークf)のピーク面積の総和の割合(面積%)を算出して、ポリイソシアネート組成物における単核体(ポリチオール1分子-キシリレンジイソシアネートn分子体)の含有割合とした。
また、全ピーク面積に対する、ピークg)のピーク面積の総和の割合(面積%)を算出して、ポリイソシアネート組成物における環状化合物の含有割合とした。
また、全ピーク面積に対する、ピークh)のピーク面積の総和の割合(面積%)を算出して、ポリイソシアネート組成物における残存モノマー(XDI)の含有割合とした。
<固形分濃度(単位:質量%)>
ポリイソシアネート組成物またはポリイソシアネート組成物の希釈液を、窒素雰囲気下、120℃で6時間加熱乾燥し、乾燥前後の質量を測定した。そして、下記式により、ポリイソシアネート組成物またはポリイソシアネート組成物の希釈液の固形分濃度を算出した。
固形分濃度(質量%)=乾燥後質量(g)/乾燥前質量(g)×100
<ポリイソシアネート組成物の屈折率の測定>
ポリイソシアネート組成物の屈折率を、屈折率計(Abbemat550、Anton Paar社製)を用いて測定した。なお、ポリイソシアネート組成物の希釈液を屈折率の測定に用いた場合、ポリイソシアネート組成物の希釈液の固形分濃度および屈折率の値と、有機溶媒の屈折率の値とから、ポリイソシアネート組成物の屈折率を算出した。
<ポリイソシアネート組成物の製造>
実施例1
亜鉛含有触媒としてのビス(ジブチルジチオカルバミン酸)亜鉛(ZnBTC)の存在下で、ポリチオールとしての4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジアオクタン(GST)と、m-XDIとを、チオウレタン化反応させた。GSTのメルカプト基に対するXDIのイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])を、2.2とした。
具体的には、撹拌機、温度計、窒素導入ラインおよび滴下ロートを備え付けた4つ口フラスコに、XDI260.1質量部を装入し、攪拌を開始した。次いで、ZnBTCのプロピレングリコールジメチルエーテル溶液(濃度1.0質量%)0.37質量部を、フラスコに加え、反応液の内温が80℃になるように加熱した。そこへ、GST100質量部を滴下ロートにて30分かけてフィードし、内温を80℃に保って24時間攪拌した。
以上によって、実施例1のポリイソシアネート組成物を得た。
各実施例および各比較例に関し、ポリチオールの種類と、触媒の種類と、メルカプト基に対するイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])と、ポリイソシアネート組成物の固形分濃度と、GPCチャートにおける各ピークの面積値と、単核体に対する多核体の質量比と、ポリイソシアネート組成物の屈折率とを、表1に示す。なお、実施例1のGPCのチャート(ゲルパーミエーションクロマトグラム)を図1に示す。
実施例2
[NCO]/[SH]を3.0に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のポリイソシアネート組成物を得た。
実施例3
[NCO]/[SH]を6.0に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のポリイソシアネート組成物を得た。
実施例4
亜鉛含有触媒を、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛(2EHA-Zn)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4のポリイソシアネート組成物を得た。
実施例5
実施例3と同様にして得たポリイソシアネート組成物から、残存モノマー(未反応のXDI)を除去した。
具体的には、ポリイソシアネート組成物300質量部に対して、酢酸エチル80質量部を加えて30分間攪拌した。ポリイソシアネート組成物と酢酸エチルとの混合液の温度は、50℃に調整した。次いで、混合液にヘキサン230質量部を加えて30分間攪拌した。これによって、残余モノマーとしてのXDIがヘキサンに溶解し、イソシアネート誘導体および環状化合物は、酢酸エチルに溶解した。
その後、攪拌を止めて30分間静置し、2層に分離した成分のうち上層(ヘキサン層)を吸引した。同様の操作を10回繰り返した後、下層(酢酸エチル層)を採取した。
その後、採取した酢酸エチル層に酢酸エチル120質量部を加えて希釈して、実施例5のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。
なお、実施例5のGPCのチャート(ゲルパーミエーションクロマトグラム)を図2に示す。
実施例6
ポリチオールを、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン(FSH)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。
実施例7
ポリチオールを、GSTとビス(メルカプトエチル)スルフィド(MES)との混合物に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。なお、GSTとMESとの質量比(GST:MES)は、90:10であった。
実施例8
[NCO]/[SH]を12.0に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例8のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。
比較例1
タケネートD-110N(XDIのトリメチロールプロパン(TMP)アダクト体、イソシアネート基含有量11.5質量%、固形分75質量%、溶媒:酢酸エチル、三井化学社製)を、比較例1のポリイソシアネート組成物の希釈液として準備した。
なお、比較例1のGPCのチャート(ゲルパーミエーションクロマトグラム)では、四核体に対応するピークの保持時間が26.1分であり、三核体に対応するピークの保持時間が26.5分であり、二核体に対応するピークの保持時間が27.1分であり、単核体に対応するピークの保持時間が28.0分であり、残存モノマー(XDI)に対応するピークの保持時間が30.3分であった。
比較例2
亜鉛含有触媒を使用しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、比較例2のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。
比較例3
亜鉛含有触媒を、オクチル酸スズ(SnOct)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3のポリイソシアネート組成物の希釈液を得た。
比較例4
[NCO]/[SH]を1.5に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のポリイソシアネート組成物を得た。比較例4のポリイソシアネート組成物は、ゲル化しており、GPC分析ができなかった。
<評価>
<<硬化膜の作製および密着性(硬化性)の評価>>
ポリエステルポリオール(商品名:オレスターQ202、三井化学社製、水酸基価:225mgKOH/g)を、主剤(B剤)として準備した。また、各実施例および各比較例のポリイソシアネート組成物(または、ポリイソシアネート組成物の希釈液)を、硬化剤(A剤)とした。
そして、ポリエステルポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の当量比([NCO]/[OH])が1.05となるように、主剤と硬化剤とを混合した。
次いで、硬化触媒としてジブチルスズジクロリド(東京化成工業社製)を固形分に対して100ppmの濃度になるようにメチルエチルケトンに希釈して加え、混合液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の表面に、厚みが40μmとなるように塗布した。その後、混合液が塗布されたPET基材を、60℃で2時間加熱し、さらに25℃で7日間養生した。これにより、硬化膜が、PET基材上に形成された。
また、得られた硬化膜の密着性(硬化性)を下記の基準で評価した。
〇:硬化膜の剥がれなし。
×:硬化膜の少なくとも一部に剥がれあり。
それらの結果を表1に示す。
<<樹脂の屈折率、ガラス転移温度(Tg)および貯蔵弾性率の測定>>
ポリエステルポリオール(商品名:オレスターQ202、三井化学社製、水酸基価(OHV):225mgKOH/g)を、主剤(B剤)として準備した。また、実施例5のポリイソシアネート組成物の希釈液を、硬化剤(A剤)とした。
そして、ポリエステルポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の当量比([NCO]/[OH])が1.05となるように、主剤と硬化剤とを混合した。
次いで、硬化触媒としてジブチルスズジクロリド(東京化成工業社製)を固形分に対して100ppmの濃度になるようにメチルエチルケトンに希釈して加え、混合液を、ポリプロピレン(PP)基材の表面に、厚みが40μmとなるように塗布した。その後、混合液が塗布されたPP基材を、60℃で2時間加熱し、さらに25℃で7日間養生した。これにより、硬化膜が、PP基材上に形成された。
次いで、硬化膜をPP基材から剥離して、硬化膜の屈折率を、アッベ屈折率計(DR-M4、アタゴ社製、D線、25℃)を用いて測定した。硬化膜の屈折率は、1.593であった。
また、硬化膜のTgおよび貯蔵弾性率を、レオメーター(RSA-III、ティー・エス・インスツルメント社製)を用いて測定した。硬化膜のTgは、52℃であり、硬化膜の25℃における貯蔵弾性率は、1347MPaであった。
主剤(B剤)を表2のように変更したこと以外は、上記と同様にして、硬化膜を作製して、硬化膜の屈折率、Tg、および、25℃における貯蔵弾性率を測定した。なお、主剤としてFSHを使用した場合は、FSHのチオール基に対する、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の当量比([NCO]/[SH])が1.05になるように、主剤と硬化剤とを混合した。その結果を表2に示す。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれるものである。