JP7321501B2 - 医療用鉗子 - Google Patents

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本発明は、外科手術で使用される医療用鉗子に係り、特に、先端に導電体を備えることで、少ない手順により生体の薄膜に通電して剥離可能な医療用鉗子に関する。
まず、外科手術における一般的な手技について、図10を用いて説明する。図10(a)は、従来技術を使用した場合の手術部位の断面斜視図であり、図10(b)はその一部分を拡大した拡大図である。
図10(a)に示すように、外科手術の対象部位のうち、特に胸腹部には多くの主要な臓器60や、血管61、神経62が存在している。しかし、臓器60や血管61等は、いずれも体内にむき出しの状態で存在しているわけではなく、幾重にも折りたたまれた多層の膜63によって包まれている。そのため、目的の臓器60に手術器具を到達させるためには、多層の膜63を手前側から1枚ずつ摘まみ上げ、浮かせ、切開する操作が必要となる。また、この操作は常に血管損傷・臓器損傷のリスクを伴うため、細心の注意が求められる。
詳細には、術者は自身の一方の手に持った攝子(図示せず)で多層の膜63を摘まみ上げた後、図10(a)に示すように、このうちの1枚を他方の手に持ったケリー鉗子50で浮かせる操作を行う。なお、ケリー鉗子とは、生体組織や他の手術器具等を掴んだり、牽引したりするために使用される鉗子の一種であって、一対の先端部が揃って湾曲した形状をなしている。この形状から、ケリー鉗子は、薄膜を剥離させるのに最適とされ、外科手術において欠かせない手術器具となっている。
次に、図10(b)に示すように、助手が電気メス51で、または術者が攝子を電気メス51に持ち替えて、浮かせた1枚の膜63に電流を流し、この膜63に熱を発生させて切開する。これらの操作を交互に繰り返すことで多層の膜63に包まれた臓器60や血管61等を同定し、それぞれ適した処理を行うことになる。
上記のような従来の手技では、まずケリー鉗子50で膜63を剥離させ、次に電気メス51で剥離後の膜を切開するという二段階の操作が必要である。したがって、従来の手技では、操作手順が多く、時間がかかるという課題があった。また、電気メス51によって剥離した膜63の深部や周囲組織を損傷してしまう危険性もあった。特に、助手が電気メス51を操作する場合では、助手側の視野は著しく限られていることが多いため、電気メス51による損傷の危険性が増大するという課題があった。
そこで、近年、生体組織を摘まむ操作と、切開する操作を1種類の手術器具で行うための技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
特許文献1には「把持部に向かって可動な切断ワイヤを備えた電気手術用掴み器具」という名称で、生体組織を挟んで切断可能な電気手術用掴み器具に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、長尺のハンドル部分の先端に設けられる第1及び第2の把持部と、第1及び第2の端部を有し導電性電極を形成する切断ワイヤと、この切断ワイヤの曲がり具合を制御するトリッピング装置を備え、第1の把持部は、第2の把持部に面した第1の掴み面を有し、第2の把持部は、第1の把持部に面した第2の掴み面を有し、第1及び第2の把持部は共同でプライヤ式の掴み運動を行うように構成され、切断ワイヤは第1の掴み面に載置されることを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、第1の掴み面と第2の掴み面で生体組織を挟んだ後、トリッピング装置を操作して切断ワイヤを第2の掴み面側に突出するように撓ませ、さらにこの切断ワイヤに電力供給すると、挟まれた生体組織が切断ワイヤの両側において凝固又は切断される。
次に、特許文献2には「医療器械」という名称で、生体組織を把持し、加熱処置を行う医療器械に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、生体組織を把持するために操作部の操作に応じて開閉される第1把持部と第2把持部を有したハサミ型の鉗子ユニットと、生体組織に接触してこの生体組織に熱的に作用する処置部と、この処置部に熱を供給する発熱部とを有した処置ユニットとを具備し、処置部は生体組織の加熱処置用熱源部と、この熱源部から伝熱され、横断面が先細状をなす刃部を備えた伝熱部が組み付けられていることを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、第1把持部と第2把持部の間に生体組織を挟み込み、この把持状態で、処置部の熱源部に通電し、熱源部を加熱動作させる。このとき、熱源部で発生した熱は伝熱部に伝わり、その刃部が高温度に加熱される。このため、第1把持部と第2把持部との間に圧接されている生体組織は刃部の熱によって加熱され、凝固や切開が行われる。
さらに、特許文献3には「手術器械」という名称で、生体組織を挟んで切開可能な手術器械に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、先端部に生体組織を把持する互いに開閉自在な第1及び第2の把持部を有し、第1の把持部は、この第1の把持部と電気的に接続された電熱線が設けられ、この電熱線の発熱により生体組織を処置することを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、処置したい生体組織を第1と第2の把持部の間で把持した後、電熱線に電流を流すとこの電熱線が発熱し、電熱線に接触している生体組織が凝固され、脆くなって切開される。なお、第1及び第2の把持部は、ハサミ型の鉗子の先端寄りに設けられるほか、長尺の挿入部の先端にも設けられる。
特表2014-527845号公報 特開2005-177239号公報 特開2003-61976号公報
特許文献1乃至特許文献3に開示された発明によれば、いずれも生体組織を挟む操作と、切開する操作をともに行うことができる。
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、第1及び第2の把持部はそれぞれ平坦な第1及び第2の掴み面を有していることから、この第1及び第2の掴み面で組織をその両側から挟み込むことはできるものの、多層の膜のうちの目的の1枚を浮かせることは困難である。すなわち、多層の膜を1枚ずつ剥離させることが困難であることに加え、多層の膜すべてに熱を発生させることになるため、この中に血管や神経といった周辺組織が含まれる場合、これらの周辺組織を熱で損傷してしまうおそれがある。
また、第1及び第2の把持部が互いに閉じられると切断ワイヤを視認できないことから、組織が切断されていく過程を視認することができない。そのため、組織が確実に切断されているか、過加熱になっていないか、といった点について十分に安全性を確認することが困難である。
さらに、特許文献1に開示された発明では、組織を切断する際にトリッピング装置を操作することで切断ワイヤを第2の掴み面側に突出するように略円弧状に撓ませるという作用を有する。しかし、切断対象である組織の種類によっては、これを構成する繊維の伸縮性や構造が異なるため、第1及び第2の掴み面で組織を挟み込むことで略円弧状の撓みが変形し平坦となるおそれがある。
このような場合には、切断ワイヤの撓みの形状や張り具合を直ちに検知し、これらを適切に制御可能であることが望ましい。しかし、特許文献1に開示された発明においては、前述したように切断時は切断ワイヤを視認できないため、撓みが変形していることを検知できず、組織を迅速に切断できない可能性がある。逆に、既に組織が完全に切断されているにも関わらず第1及び第2の把持部が閉じられたままとなって、切断箇所周囲の組織が第1及び第2の把持部による圧力損傷を受ける可能性もある。
次に、特許文献2に開示された発明においては、ハサミ型の鉗子ユニットの第1把持部と第2把持部の間に組織を挟み込んで加熱するため、特許文献1に開示された発明と同様に、多層の膜を1枚毎剥離させることが困難であることに加え、周辺組織を熱や圧力で損傷してしまうおそれがある。
さらに、特許文献3に開示された発明においても、第1の把持部と第2の把持部の間に組織を挟み込んで加熱するため、特許文献1及び特許文献2にそれぞれ開示された発明と同様の不利益が発生するおそれがある。
また、加熱用の電熱線は、第1の把持部に固定されているので、電熱線自体の張り具合を検知したり、調節したりすることができない。よって、電熱線が組織を圧接する力を微調整することが困難である。そのため、組織が既に切開されたにもかかわらず、過剰な加熱や圧力が組織に加えられるおそれがある。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、先端に導電体を備えており、外科手術の際に、臓器等を被覆する多層の膜を1枚ずつ浮かせ、この浮いた膜に熱を発生させて容易に剥離可能であり、これにより操作手順や手術時間を効率化できるとともに周辺組織の損傷を回避可能であって、しかも組織が熱により切開されていく過程を視認可能なために、安全に組織を切開することができる医療用鉗子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、枢軸を介して交差するように連結され、一端及び他端がそれぞれ枢軸回りに開閉面上で開閉する第1及び第2のアームを備え、一端に、開閉面と直交する直交面に向かって湾曲する第1及び第2の湾曲部がそれぞれ形成されるとともに、他端に、一端を開閉操作するための第1及び第2の操作部がそれぞれ形成される医療用鉗子であって、第1の湾曲部と第1の操作部の間に設けられる保持部と、保持部に保持される基端部と、この基端部に連なり保持部の外方へ露出する摘み部を備えた、保持部の長軸方向に沿ってスライド可能なレバーと、前端及び後端が、それぞれ第1の湾曲部及び基端部に取り付けられ、かつ直交面に沿って設けられる長尺状の導電体を備えることを特徴とする。
このような構成の発明において、第1及び第2のアームの一端にそれぞれ第1及び第2の湾曲部が形成される医療用鉗子としては、例えば、ケリー鉗子が考えられる。ただし、第1及び第2の湾曲部が形成される限り、その湾曲の曲率は特に限定されるものではない。よって、医療用鉗子はケリー鉗子のほか、モスキート鉗子やペアン鉗子であっても良い。
また、開閉面及び直交面とは、いずれも仮想平面である。そして、長尺状の導電体は、屈曲はするが伸縮性を有しない非伸縮性材で形成されても良いし、伸縮性を有して復元力を有する弾性材で形成されても良い。なお、長尺状の導電体としては、例えば線状や帯状の導電体が考えられる。材質に注目すれば、導電体として、形状記憶合金や超弾性合金等からなる金属線を使用することが考えられる。
さらに、導電体に通電するための電力供給手段としては、第1の操作部に設置されて導電体の後端と接続される単極電極が考えられる。
上記構成の発明においては、第1及び第2のアームの一端にそれぞれ第1及び第2の湾曲部が設けられるため、前述したように、臓器を被覆する多層の膜のうちの1枚を、第1及び第2の湾曲部で容易に浮かせることができる。
また、第1の湾曲部には導電体の前端が取り付けられ、レバーの基端部には導電体の後端が取り付けられており、このレバーは保持部の長軸方向に沿ってスライド可能であることから、レバーを第1の操作部の方へスライド移動させない場合、導電体は張力が加えられず緩んだ状態となる。一方、レバーを第1の操作部の方へスライド移動させる場合では、導電体は張力が加えられて直線状となる。
なお、上記のような作用を発揮させるために、導電体の前端と後端間の長さは予め適切な長さに調整されている。また、導電体が直線状となる場合、導電体は直交面に沿って設けられていることから、導電体は側面視であたかも第1の湾曲部に張られた弦のような状態となる。
よって、上記構成の発明においては、第1及び第2の湾曲部で浮かせた1枚の膜に対し、直線状となった導電体を接触させることができる。次いで、導電体に通電すると、この導電体から電流が浮いた1枚の膜に供給されて、この膜のみに熱が発生し切開されることになる。
次に、第2の発明は、第1の発明において、導電体は、その長さ方向に沿って弾性を有するとともに、屈曲可能であり、その長さは、非通電時に導電体が、第1の湾曲部から保持部までの間において、第1のアームに接触するように調整されることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、非通電時、すなわち、レバーを第1の操作部の方向へ保持部の長軸方向に沿ってスライド移動させない場合には、第1の湾曲部から保持部までの間において、導電体が第1のアームに接触する。そのため、第1の湾曲部から保持部までの間において、導電体の余長が発生しない。
一方、レバーを第1の操作部の方向へスライド移動させる場合には、導電体はその弾性力に逆らって直線状に変化するから、第1の湾曲部から保持部までの間において第1のアームから浮き上った状態になる。そして、この状態からレバーを元の第1の操作部の方へスライド移動させないようにすると、導電体がその弾性力によって第1のアームに接触した状態へと自動的に復帰する。
続いて、第3の発明は、第1又は第2の発明において、保持部は、その内部に収容部を備え、この収容部は、第1の湾曲部寄りに遠位端が設けられるとともに、第1の操作部寄りに近位端が設けられ、かつ基端部と遠位端の間に介設される遠位弾性体、及び、基端部と近位端の間に介設される近位弾性体、のうちの少なくともいずれかが収容され、遠位弾性体は、基端部と遠位端の間隔を近づけるように付勢し、近位弾性体は、基端部と近位端の間隔を遠ざけるように付勢することを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、近位弾性体が設けられる場合、この近位弾性体はレバーの基端部と収容部の近位端の間隔を遠ざけるように付勢するため、常にレバーは第1の湾曲部側へ引っ張られた状態となっている。また、遠位弾性体が設けられる場合、この遠位弾性体はレバーの基端部と収容部の遠位端の間隔を近づけるように付勢するため、やはり、常にレバーは第1の湾曲部側へ引っ張られた状態となっている。
したがって、近位弾性体のみ、又は遠位弾性体のみ、又は近位弾性体と近位弾性体の双方、が設けられる3通りの場合のいずれであっても、レバーを第1の操作部側へスライド移動させるよう力を加える場合に限り、導電体の後端も第1の操作部側へスライド移動する。この後、力を加えるのを中止すると、レバー及び導電体の後端は、直ちに元の第1のアーム寄りの位置へ復帰する。なお、導電体自体は、弾性を有していても、いなくても良い。
さらに、第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、保持部は、第1の湾曲部寄りに、導電体が保持部の長軸方向に沿って配置されるように案内するための案内部が設けられることを特徴とする。
このような構成の発明において、案内部として、導電体が収容される溝部、または導電体が貫通する貫通孔や筒状部が考えられる。
上記構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、案内部により導電体が保持部の長軸方向に沿って配置されるため、レバーのスライド移動に伴う導電体の往復移動がスムーズに行われるとともに、非通電時に導電体が、第1の湾曲部から保持部までの間において、第1のアームから横方向に撓んでずれることが防止される。
続いて、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、導電体の前端は、取付手段を介して第1の湾曲部の先端部に取り付けられ、取付手段は、先端部に形成されて前端を嵌合する嵌合溝、または先端部に装着されて前端を保持するアダプターであることを特徴とする。
このような構成の発明においては、取付手段として、例えば、先端部を周回して形成される嵌合溝や、第1の湾曲部の先端部に固定されるクリップ状やピン状に形成されるアダプターが考えられる。
上記構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかに記載の発明の作用に加えて、前端が、第1の湾曲部へ確実に取り付けられるため、不意に第1の湾曲部から外れることが防止される。
第1の発明によれば、第1及び第2の湾曲部で浮かせた1枚の膜に対し、直線状となった導電体を接触させ、浮いた1枚の膜のみが切開されるため、従来のケリー鉗子と電気メスを交互に使用して切開する場合と比較して、容易に膜を剥離可能であるとともに、作業手順を省略可能であり、手術時間を大いに短縮することができる。また、1枚の膜のみを浮かせて切開できるので、周辺組織の損傷を回避可能である。
また、導電体は、直交面に沿って設けられるため、膜が切開されていく過程を視認可能である。したがって、発生する熱の過不足を把握可能であり、浮かせた膜のみに対し、最適な熱量となるよう制御することができる。よって、この点においても周囲組織の損傷を抑制可能であり、安全に膜を切開することができる。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、導電体はその弾性によって第1のアームに接触した状態へと自動的に復帰するから、通電した後でレバーを元の位置に戻さなくて良い。そのため、第2の発明は、作業性も良好である。
第3の発明によれば、遠位弾性体と近位弾性体によって、第2の発明の効果と少なくとも同等の効果を発揮可能である。特に、導電体も弾性を有する場合では、第2の発明が発揮する良好な操作性を一層向上させることができる。
第4の発明によれば、第1乃至第3のいずれかの発明の効果に加えて、案内部によって、導電体をスムーズにスライドさせることができる。切開が複数回繰り返されても、手術時間が長くなるといった不利益が発生することがない。
第5の発明によれば、第1乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、前端が取付手段を介して第1の湾曲部に取り付けられるため、例えば溶接やロウ付けにより前端を第1の湾曲部へ直接固定するといった煩雑な製造工程が不要となる。また、例えば、アダプターの形状を様々に工夫することも可能となるから、導電体の付加による医療用鉗子の操作性の低下防止や、導電体の過度の形状変化による疲労の防止が期待できる。
(a)は実施例に係る医療用鉗子の外観を示す斜視図であり、(b)は医療用鉗子を構成する第1の湾曲部の先端部の拡大図である。 図3(a)におけるA-A線矢視断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ図1におけるB線矢視図である。 (a)及び(b)は、それぞれ実施例に係る医療用鉗子の使用状態図である。 実施例の第1の変形例に係る医療用鉗子の図3(a)におけるA-A線と同一の線上における矢視断面図である。 (a)は実施例の第2の変形例に係る医療用鉗子を、図1におけるB線方向からみた場合の矢視図であり、(b)は(a)のC-C線矢視断面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び外観斜視図である。 (a)及び(b)は、それぞれ実施例の第4の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び(a)におけるD線方向からみた場合の矢視図であり、(c)及び(d)は、それぞれ実施例の第5の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び(c)におけるE線方向からみた場合の矢視図である。 (a)及び(b)は、それぞれ実施例の第6の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図であり、(c)及び(d)は、それぞれ実施例の第7の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図である。 (a)は、従来技術を使用した場合の手術部位の断面斜視図であり、(b)はその一部分を拡大した拡大図である。
本発明の実施の形態に係る医療用鉗子について、図1乃至図9を用いて詳細に説明する。図1(a)は実施例に係る医療用鉗子の外観を示す斜視図であり、図1(b)は医療用鉗子を構成する第1の湾曲部の先端部の拡大図である。
図1(a)に示すように、実施例に係る医療用鉗子1は、枢軸2を介して交差するように連結され、一端3a,4a及び他端3b,4bがそれぞれ枢軸2回りに開閉面S(図3(a)に表示した仮想平面)上を開閉する第1のアーム3と第2のアーム4を備える。さらに、一端3a,4aに、開閉面Sと直交する直交面S(図3(a)に表示した仮想平面)に向かって湾曲する第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6がそれぞれ形成されるとともに、他端3b,4bに、一端3a,4aを開閉操作するための第1の操作部7及び第2の操作部8がそれぞれ形成される医療用鉗子であって、通常、ケリー鉗子と呼ばれるものである。
このうち、第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6は、第1のアーム3と第2のアーム4を閉じた場合に、合わさって一つのかぎ爪形状となるよう、それぞれ先細形状をなしている。また、第1の操作部7及び第2の操作部8には、それぞれ指を差し込んで第1のアーム3と第2のアーム4を開閉させるためのリング7a,8aがそれぞれ形成されている。
さらに、医療用鉗子1は、第1の湾曲部5と第1の操作部7の間に設けられ、その内部に長尺の略四角柱形状をなす収容部10が形成される保持部9と、この保持部9の長軸方向Yに沿ってスライド可能なレバー11と、前端12a及び後端12b(図2参照)が、それぞれ第1の湾曲部5及びレバー11の基端部11a(図2参照)に取り付けられ、かつ直交面Sに沿って設けられる線状の導電体12と、この導電体12へ通電するための単極電極16を備える。
導電体12は、その長さ方向に沿って弾性を有するとともに、屈曲可能な超弾性合金からなる。この超弾性合金として、例えば、ニッケル-チタン合金が使用されるが、これ以外の材質が使用されても良い。また、導電体12の長さは、非通電時、すなわちレバー11を第1の操作部7の方へスライド移動させない場合には、導電体12が、第1の湾曲部5から保持部9までの間において、第1のアーム3に接触するように調整される。なお、導電体12は、線状である以外にも、直交面Sに沿った横幅を有する帯状に形成されても良い。
次に、前端12aの第1の湾曲部5への取付手段について説明する。導電体12の前端12aは、取付手段を介して第1の湾曲部5の先端部5aに取り付けられる。
この取付手段は、先端部5aに形成されて前端12aを嵌合する嵌合溝5bであって、例えば、図1(b)に示すように、先端部5aにおける外側の周面と、内側(第2の湾曲部6と対向する側)の周面に、予め導電体12の線径と同等の幅で形成されている。よって、この嵌合溝5bに導電体12の前端12aを巻回して嵌合し、さらに図示しない金属製の環状部材を、嵌合した前端12aの上に被せることで、この前端12aが嵌合溝5bへ圧接して固定される。
このほか、嵌合溝5bの横幅を導電体12の線径よりもやや幅狭に形成する場合には、この嵌合溝5bに前端12aを巻回して嵌合することのみで、前端12aが先端部5aへ固定されるため、前述の環状部材は省略されても良い。なお、後端12bの基端部11aへの固定方法は、図2を用いながら説明する。
なお、嵌合溝5bが絶縁材料で構成されておらず、導電材料で構成されていて第1の湾曲部5などから高周波電流が漏洩するような場合には絶縁材料で被覆される必要がある。
次に、実施例に係る医療用鉗子を構成する保持部及び第1の操作部の内部構造について、図2を用いて説明する。図2は、図3(a)におけるA-A線矢視断面図である。なお、図1で示した構成要素については、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、枢軸の図示も省略する。
保持部9は略角筒形状をなし、その四面の厚さは均一である。また、図2に示すように、保持部9は、閉止された上端9aと、開放された下端9bを有している。このうち、上端9aは、後述する案内部14の閉止端14b,14cが、枢軸2の頭部と反対側の一部を占めている。さらに保持部9は、長軸方向Yに沿った、互いに対向する両側面を有している。この両側面のうち、一方の側面9cには、レバー11を挿通させるためのスリット13が形成される。このスリット13は、レバー11が長軸方向Yに沿って十分スライドできる程度の長さを有している。
さらに、保持部9は、第1の湾曲部5(図1参照)寄りの、枢軸2の頭部とは反対側の面に、導電体12が長軸方向Yに沿って配置されるように案内するための案内部14が設けられる。この案内部14とは、例えば、絶縁性材料が長軸方向Yに沿った細長の溝状に形成されたものである。すなわち、案内部14は、導電体12が長軸方向Yに沿ってスライド可能に収容される溝部14aと、この溝部14aの上下端をそれぞれ構成する閉止端14b,14cからなる。このうち、閉止端14bは導電体12が通過する開放溝14dが形成され、閉止端14cは導電体12が貫通する貫通孔14eが穿通されている。
次に、収容部10は、第1の湾曲部5寄りに遠位端10aが設けられるとともに、第1の操作部7(図1参照)寄りに近位端10bが設けられる。このうち、遠位端10aは、閉止端14b,14cを含む保持部9の上端9aにより、貫通孔14eを除いて閉止されている。また、近位端10bは、後述する電極端子16の上端面16aにより完全に閉止されている。
さらに、収容部10には、遠位端10aと近位端10bの間に、角筒状に形成された絶縁性シート15が設けられる。この絶縁性シート15は、導電体12を中心として収容部10の内周面に接して配置される。ただし、絶縁性シート15のうち、スリット13に対応する箇所には間隙が形成されて、レバー11のスライド移動を可能としている。また、絶縁性シート15は、その上縁及び下縁がそれぞれ案内部14の閉止端14bと、単極電極16の上端面16aによって挟まれることで、収容部10内で移動不能となっている。
続いて、レバー11は、収容部10に収容され、絶縁性シート15の内周面の一部に沿って摺動する基端部11aと、この基端部11aに連なりスリット13を通って保持部9の外方へ露出する摘み部11bを備える。
このうち、基端部11aは、導電体12の後端12bを把持する部分である。なお、導電体12は、基端部11aに把持される箇所のみが絶縁性を有する被覆材料(図示せず)で被覆されている。ただし、この被覆が省略される代わりに、後端12bと接触する基端部11aの面が、絶縁部材によって被覆されても良いし、基端部11a全体あるいはレバー11全体が絶縁部材で構成されてもよい。この場合、基端部11aの可動域、すなわち、スリット13が形成される範囲では絶縁性シート15の配置を省略することが可能である。この点は、この後で説明する変形例についても同様である。
また、導電体12の後端12bは、基端部11aを挟んで、第1の湾曲部5寄りに環状の固定用部材12cが固着され、第1の操作部7寄りに円柱形状のコネクタ12dが被着されている。
これにより、後端12bはレバー11の基端部11aに対して移動不能に固定される。そのため、レバー11をスリット13に沿ってスライドさせる場合に、後端12bがレバー11の動きに追随することになる。
また、第1の操作部7は、リング7aの他に、長尺の単極電極16を収容するための筒体部7bを備える。この筒体部7bは、リング7aを超えて枢軸2から遠ざかる方向へ延設されている。
さらに、単極電極16は、収容部10から筒体部7bにかけて配設される。詳細には、単極電極16の上端面16aが完全に収容部10の近位端10bを閉止するとともに、下端16bが筒体部7bの末端部から露出している。このうち、上端面16aには、導電体12のコネクタ12dが挿入される挿入孔16cが形成される。この挿入孔16cの直径及び深さは、コネクタ12dの直径及び長さとそれぞれ等しい。なお、医療用鉗子1では、レバー11の可動域は、コネクタ12dの先端面と、挿入孔16cの底面との間隔Lとなる。ただし、コネクタ12dが挿入孔16cに接触可能であれば導電体12に通電できるため、間隔Lは適宜変更可能である。
具体的には、例えば、コネクタ12dの直径と挿入孔16cの直径を同等とする一方、コネクタ12dの長さを挿入孔16cの深さよりも短くすると、導電体12への通電を開始後に、コネクタ12dを挿入孔16cの底部の方へなおも移動させることができる。したがって、通電中にレバー11の引き具合を調整することができるから、切開中に切開部12e(図3(b)、図4(b)参照)のテンションを高めることができる。
また、下端16bには、高周波電流を発生する外部電源と接続されたケーブルのソケット(図示せず)が接続される。なお、ケーブルの途中には、高周波電流の流れのオン・オフを制御するフットスイッチが介設される。したがって、ケーブルのソケットに下端16bを差し込んだ後に、単極電極16の挿入孔16bの表面にコネクタ12dの表面を接触させ、かつフットスイッチを踏み込んで高周波電流をケーブルに流す場合に限り、導電体12へ高周波電流が供給されることになる。
さらに、実施例に係る医療用鉗子の作用について、図3を用いて説明する。図3(a)及び図3(b)は、それぞれ図1におけるB線矢視図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)は、医療用鉗子1のレバー11を第1の操作部7の方向へスライド移動させていない場合における、医療用鉗子1の側面図である。この場合、導電体12の後端12bはレバー11の基端部11aに固定され、さらにこの基端部11aはスリット13の両端部のうち、第1の湾曲部5(図1参照)側の端部寄りに配置されていることから、後端12bに被着されたコネクタ12dは、単極電極16の挿入孔16c(図2参照)から保持部9の方向へ離れた位置にある。したがって、導電体12への通電は行われない。
また、導電体12は、屈曲可能であるから、前端12aが第1の湾曲部5に沿って屈曲する。さらに、これ以外の導電体12の部分が保持部9に設けられる案内部14の開放溝14dに案内されることにより、第1の湾曲部5の先端部5a(図1参照)から案内部14の閉止端14cまでの間、すなわち第1の湾曲部5から保持部9までの間において、導電体12が第1のアーム3の第1の湾曲部5寄りの一部分に接触した状態となる。
これに対し、図3(b)は、レバー11を第1の操作部7の方向へスライド移動させた場合における、医療用鉗子1の側面図である。この場合、レバー11の基端部11aはスリット13の両端部のうち、第1の操作部7側の端部寄りに引き下げられるから、後端12bに被着されたコネクタ12dが単極電極16の挿入孔16c(図2参照)へ挿入される。したがって、導電体12への通電が行われる。
また、前端12aは第1の湾曲部5の先端部5aに固定されているため、導電体12は、前端12aから案内部14の閉止端14cまでの直交面S上で、第1のアーム3から浮き上がって直線部分が出現する。すなわち、導電体12は、側面視であたかも第1の湾曲部5に張られた弦のような状態となっているが、前述の直線部分が、組織を切開するための切開部12eとして利用される。
この切開部12eは、組織と接触した際に、単極電極16(図2参照)による通電によって高周波電流を組織へ流入させる。流入した高周波電流は、細胞を構成する分子を振動させて分子同士の摩擦熱を発生させるため、細胞が瞬時に凝固・蒸散し、組織が切開されることになる。なお、単極電極16が使用されることから、外科手術の際は、予め対極板を人体に貼付しておくことが必要である。
なお、導電体12から発せられる高周波電流は、第1の湾曲部5の嵌合溝5bが絶縁材料から構成されるか絶縁材料で被覆されることから導電体12以外の箇所から漏洩することなく人体組織を介して対極板から流出する。
切開部12eによる膜63(図4参照)等の組織の切開が終了すると、レバー11を第1の操作部7の方向へ引っ張ることを中止する。すると、導電体12は、その長さ方向に沿って弾性を有するから、後端12bに被着されたコネクタ12dは、単極電極16の挿入孔16c(図2参照)から保持部9の方向へ自動的に移動し、この挿入孔16cから抜き出されるため、導電体12への通電が停止する。
続いて、実施例に係る医療用鉗子の使用方法について、図4を用いて説明する。図4(a)及び図(b)は、それぞれ実施例に係る医療用鉗子の使用状態図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10(a)で説明したように、術者は自身の一方の手に持った攝子(図示せず)で多層の膜63を摘まみ上げた後、このうちの1枚を他方の手で持った医療用鉗子1の第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6で浮かせる操作を行う。このとき、導電体12は通電されておらず、図3(a)を用いて説明したように、導電体12が第1の湾曲部5に沿って湾曲した状態となっている。
次に、図4(a)に示すように、第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6で浮かせた1枚の膜63を離し、浮いた膜63の側方へ少なくとも第1の湾曲部5の先端部5aを当接させ、そのまま先端部5aを膜63に向かって図中X方向へ進行させると、膜63に貫通孔63aが開口する。
そして、図4(b)に示すように、第1の湾曲部5の先端部5aを浮かせた膜63の側方へさらに押し込み、導電体12の前端12aを膜63の裏側へ接触させると同時に、レバー11を第1の操作部7(図3参照)の方向へスライドさせて導電体12に切開部12eを出現させる。すると、切開部12eによって貫通孔63aが拡張されるとともに、前端12aによって膜63に新たな貫通孔63bが開口する。
術者は、この状態を維持しながら、フットスイッチ(図示せず)を踏み込むと、貫通孔63bから高周波電流が膜63に流入し、この膜63が熱を発生する。そこで、導電体12に通電したまま先端部5aを図中X方向へ戻すことにより、膜63のうち導電体12の前端12aが接触している部分が順次熱を発生するから、この熱によって膜63が線状に切開されることになる。なお、膜63の切開方法は、上述したものに限定されず、術者によって適宜変更、調整される。
以上説明したように、実施例に係る医療用鉗子1によれば、第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6で1枚の膜63を浮かせると同時に、導電体12へ通電することにより、浮いた1枚の膜63のみを切開可能である。したがって、従来のケリー鉗子と電気メスを交互に使用して切開する場合と比較して、容易に膜63を剥離可能であるとともに、作業手順を省略可能であり、手術時間を大いに短縮することができる。
特に、従来の術者と助手とで組織を切開する場合と比較すると、互いの協調作業が不要となるから、より効率的に外科手術を進行させることができる。また、前述したような、助手の視野が限られることによって周辺組織の損傷の危険性が増大するという課題も解決することができる。さらに、一人の術者が術野を注視していれば足りるので、体表の傷を可能な限り小さくすることが要請される昨今の低侵襲手術への対応も十分に可能である。
また、導電体12は、直交面Sに沿って設けられることにより、側面視であたかも第1の湾曲部5に張られた弦のような状態となるから、1枚の膜63を浮き上がらせた後、必ずしもこの膜63を第1の湾曲部5及び第2の湾曲部6で挟まなくても、導電体12をこの膜63に接触させることができる。そのため、膜63が熱を発生して切開されていく過程を視認可能である。したがって、発生する熱の過不足を把握可能であり、浮かせた膜63のみに対し、最適な熱量となるよう導電体12への通電を制御することができる。よって、周囲組織の損傷を抑制可能であり、安全に膜63を切開することができる。
さらに、医療用鉗子1によれば、導電体12はその弾性によって第1のアーム3に接触した状態へと自動的に復帰するから、通電した後でレバー11をその都度元の位置に戻さなくて良い。そのため、医療用鉗子1は、作業性が良好であり、術者の疲労を抑制できる。
加えて、非通電時に、医療用鉗子1が第1のアーム3に接触した状態となるため、第1の湾曲部5から保持部9までの間において、導電体12の余長が発生しない。そのため、導電体12が、膜63を浮かせるという作業の妨げになることを防止できる。
そして、医療用鉗子1によれば、案内部14によって、導電体12をスムーズにスライドさせることができるので、膜63等の組織の切開が複数回繰り返されても、導電体12が異常変形することもなく、使用困難になるといった不利益が発生することがない。
次に、実施例の第1の変形例に係る医療用鉗子について、図5を用いて説明する。図5は、実施例の第1の変形例に係る医療用鉗子の図3(a)におけるA-A線と同一の線上における矢視断面図である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については、図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5に示すように、実施例の第1の変形例に係る医療用鉗子1aにおいて、医療用鉗子1と同様に、保持部9は、その内部に収容部10を備える。
この収容部10は、遠位弾性体17と、近位弾性体18の両方が収容される。遠位弾性体17はレバー11の基端部11aと収容部10の遠位端10aの間に介設され、近位弾性体18は基端部11aと近位端10bの間に介設される。
詳細には、遠位弾性体17は、導電体12をその内部に収容して配置される、絶縁性を有する1本のコイルバネであって、基端部11aと遠位端10aの間隔を近づけるように付勢する。また、遠位弾性体17の両端は、それぞれ案内部14の閉止端14bと、基端部11aの上縁(第1の湾曲部5寄りの縁部)に対し、固着されている。この固着方法として、例えば、閉止端14bと、基端部11aの上縁に小孔を設け、この小孔に遠位弾性体17の両端を係止することが考えられる。
そして、近位弾性体18も、コネクタ12dをその内部に収容して配置される、絶縁性を有する1本のコイルバネであって、基端部11aの下縁(第1の操作部7寄りの縁部)と近位端10bの間隔を遠ざけるように付勢する。なお、近位弾性体18の両端は、それぞれ基端部11aの下縁と、単極電極16の上端面16aに固着されてはいない。医療用鉗子1aのこれ以外の構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1aにおいては、レバー11を第1の操作部7(図1参照)側へスライド移動させるよう力を加えると、遠位弾性体17が伸展され、また近位弾性体18は収縮する。これにより、レバー11と導電体12の後端12bは、第1の操作部7側へスライド移動するので、導電体12に直線状の切開部12e(図3(b)参照)が出現する。
そして、所望の膜63を切開後に、レバー11に力を加えるのを中止すると、遠位弾性体17は収縮し、近位弾性体18は伸展して、それぞれ元の長さへと復帰する。よって、レバー11と後端12bも、直ちに元の第1のアーム3(図1参照)寄りの位置へ復帰し、切開部12eが消滅する。医療用鉗子1aのこれ以外の作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。
以上説明したように、医療用鉗子1aによれば、遠位弾性体17と近位弾性体18によって、実施例に係る医療用鉗子1の効果と少なくとも同等の効果を発揮可能である。特に、導電体12も弾性を有するため、医療用鉗子1が発揮する良好な操作性を一層向上させることができる。
続いて、実施例の第2の変形例に係る医療用鉗子について、図6を用いて説明する。図6(a)は実施例の第2の変形例に係る医療用鉗子を、図1におけるB線方向からみた場合の矢視図であり、図6(b)は図6(a)のC-C線矢視断面図である。なお、図1乃至図5で示した構成要素については、図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、図6(b)においては、枢軸、第1及び第2の湾曲部の図示も省略する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、実施例の第2の変形例に係る医療用鉗子1bは、実施例に係る医療用鉗子1を構成する保持部9において、スリット13に加え、スリット19を備える。このスリット19は、保持部9の内部を滅菌し易くするために、保持部9の一方の側面9c(図6(b)参照)に対向する他方の側面9dに形成される。
さらに、スリット19は、保持部9の長軸方向Yに沿って、上端9a寄りから下端9b寄りまで形成されている。そのため、スリット19の長さは、スリット13(図2参照)の長さよりも長くなっている。
なお、本変形例では、保持部9の内部を滅菌し易くするために、保持部9の一方の側面9cにスリット13と、この側面9cに対向する他方の側面9dにスリット19が形成されているが、医療用鉗子1における収容部10自体をなくすように、スリット19からスリット13までの間隙の幅を図6(b)に示される摘み部11bの幅よりも少し広い幅としつつ、断面の上から下まで略直線状に構成、すなわち面一に構成させている。
その場合も導電体12の絶縁部材による被覆や摘み部11bやレバー11を構成する材料や被覆の状態によって、絶縁シート15の配置の是非を検討することは既に実施例のところで説明したとおりである。
また、図6(b)に示すように、スリット19の両側の側面9dには、半円筒形状の凹面9e,9eが形成される。さらに、保持部9においては、絶縁性シート15のうち、スリット19に対応する箇所には間隙が形成されて、レバー11のスライド移動を可能としている。なお、絶縁性シート15の基端部11aの両側の部分は、保持部9が二分割されて形成された分割片9A,9Bを閉鎖構造としている。また、図示は省略するが、長軸方向Yに沿った分割片9A,9Bの両端もそれぞれ側面9c,9dによって閉鎖されている。
そして、レバー11においては、基端部11aが、スリット13とスリット19を介し、保持部9を貫通して設置されている。さらに、基端部11aの、摘み部11bと反対側の端部には、長軸方向Yに沿って円柱形状をなす係止部11cが形成される。この係止部11cは、その直径が、スリット19の横幅より大きく、かつ凹面9e,9eの横幅よりも小さい。これ以外の医療用鉗子1bの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成を有する医療用鉗子1bにおいては、スリット19が設けられ、その長さがスリット13の長さよりも長くなっているため、レバー11の可動域が実施例に係る医療用鉗子1の間隔L(図2参照)と同じになる。よって、医療用鉗子1と同様に、導電体12を、屈曲状態(図3(a)参照)と、伸展状態(図3(b)参照)の二通りに変形させることができる。さらに、スリット19の長さが長いことによって、使用後に、スリット19を介して、例えば高圧蒸気や薬剤といった滅菌剤を速やかにスリット19へ送り込んだり、スリット19から排出したりすることができる。したがって、医療用鉗子1bによれば、スリット19を備えることで、保持部9が容易かつ確実に滅菌可能となり、清潔性を向上させることができる。これ以外の医療用鉗子1bの作用及び効果は、実施例に係る医療用鉗子1の作用及び効果と同様である。
また、医療用鉗子1bは、医療用鉗子1における収容部10自体がないため、絶縁性シート15,15と基端部11aの隙間を洗浄することで足りるので、より容易かつ確実に滅菌可能である。
さらに、実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子について、図7を用いて説明する。図7(a)及び図7(b)は、それぞれ実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び外観斜視図である。なお、図1乃至図6で示した構成要素については、図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)に示すように、実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子1cは、実施例に係る医療用鉗子1の第1の湾曲部5における先端部5aの代わりに、先端部20を備える。この先端部20は、先端部5aに形成されたような嵌合溝5b(図1(b)参照)を備えていない。
また、図7(b)に示すように、医療用鉗子1cにおいて、導電体12の前端12aは、取付手段21を介して第1の湾曲部5の先端部20に取り付けられる。この取付手段21は、先端部20に装着されて前端12aを保持するアダプターであって、具体的には、先端部20に被着するキャップである。この取付手段21は、絶縁部材からなり、平坦面21aと、曲面21bと、下縁21cからなる略三角錐形状の外観を有する。さらに、下縁21cには、先端部20と同じ形状を有する被着孔21dが形成される。
加えて、取付手段21は、平坦面21aの周面と、曲面21bの周面に、導電体12の線径よりもやや幅狭の横幅を有する嵌合溝21eが形成される。これ以外の医療用鉗子1cの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1cにおいては、導電体12の前端12aが、医療用鉗子1において先端部5aの嵌合溝5bに嵌合される代わりに、取付手段21の嵌合溝21aに嵌合される。この場合、嵌合溝21eの横幅は、導電体12の線径よりもやや幅狭であることから、嵌合溝21eに前端12aを巻回して嵌合することのみで、前端12aが嵌合溝21eへ固定される。
したがって、取付手段21の被着孔21dを先端部20に被着すると、導電体12が取付手段21を介して先端部20に固定される。このとき、取付手段21は、平坦面21aが第2の湾曲部6(図1参照)に対向するように被着される。
このように構成される第3の変形例においても、導電体12から発せられる高周波電流は、取付手段21が絶縁部材から構成されることから導電体12以外の箇所から漏洩することなく人体組織を介して対極板から流出する。
これ以外の医療用鉗子1cの作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。
医療用鉗子1cによれば、導電体12の前端12aを第1の湾曲部5に固定するための嵌合溝5b(図1(b)参照)を、予め第1の湾曲部5に形成せずとも良くなるため、製造工程を簡略化することができ、コストを抑制することができる。これ以外の医療用鉗子1cの効果は、実施例に係る医療用鉗子1の効果と同様である。
なお、第3の変形例では嵌合溝21aを備える取付手段21としたが、嵌合溝21a以外の構成で導電体12を固定できて第1の湾曲部5に着脱可能なキャップであればよく、その構成は本変形例に限定するものではない。さらに、本変形例では、取付手段21は先端部20の頂部まで覆っているが、頂部を露出させるようなキャップであってもよく、第6の変形例においても同様である。
実施例の第4及び第5の変形例に係る医療用鉗子について、それぞれ図8及び図9を用いて説明する。図8(a)及び図8(b)は、それぞれ実施例の第4の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び図8(a)におけるD線方向からみた場合の矢視図であり、図8(c)及び図8(d)は、それぞれ実施例の第5の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図及び図8(c)におけるE線方向からみた場合の矢視図である。なお、図1乃至図7で示した構成要素については、図8においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)及び図8(b)に示すように、実施例の第4の変形例に係る医療用鉗子1dは、実施例に係る医療用鉗子1の先端部5aの代わりに、先端部22を備える。この先端部22には、縫合糸で血管等を結紮する際に、この縫合糸を係止するための溝23が、第1の湾曲部5の外周側に形成されている。これ以外にも、複数本の溝23が第1の湾曲部5の長手方向に沿って並列して形成される場合がある。
また、図8(a)に示すように、医療用鉗子1dにおいて、導電体12の前端12aは、取付手段24を介して第1の湾曲部5の先端部22に取り付けられる。この取付手段24は、先端部22に装着されて前端12aを保持するアダプターであって、具体的には、先端部22の端面22a寄りの箇所を、第1の湾曲部5の内周側から挟持するクリップである。
より詳細には、取付手段24は、絶縁性を有する平板状の金属片を曲げ変形させたものであり、図8(b)に示すように、先端部22の周面と一致するような略半月形状をなし、かつ一部に開放口24bを有する挟持部24aと、挟持部24aの円弧部分の途中に形成される略リング状の保持体24cからなる。この保持体24cの内直径の大きさは、前端12aの直径の大きさよりもわずかに小さく設計されている。なお、導電体12が通電時に接触する可能性のある箇所、例えば第1の湾曲部5や先端部22については絶縁性を有する塗料や材料で被覆するか、絶縁性を有する構造材で構成される。
これ以外の医療用鉗子1dの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1dにおいては、取付手段24を先端部22に取り付ける前に、予め導電体12の前端12aを保持体24cに嵌め込んでおく。そうしておいて、例えば、開放口24bをやや拡げ、端面22aと溝23の間の先端部22を挟持部24aで挟み込むと、導電体12が取付手段24を介して先端部22に固定される。これにより、挟持部24aが先端部22を強固に挟み込んだ状態になるため、挟持部24aが先端部22の長手方向に沿ってずれ動くことがない。
これ以外の医療用鉗子1dの作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。なお、開放口24bは省略されても良く、この場合、挟持部24aの内部へ端面22aを先頭に先端部22を挿入することにより、取付手段24が先端部22に固定される。
医療用鉗子1dによれば、実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子1cと同様に、嵌合溝5b(図1(b)参照)を予め第1の湾曲部5に形成せずとも良くなるため、製造コストを抑制することができる。また、取付手段24自体も、金属片を変形させて容易に製造できるため、比較的安価な製造が可能となる。さらに、挟持部24aが先端部22の長手方向に沿ってずれ動くことがないので、導電体12の形状変化(図3(a)及び(b)参照)を精度良く繰り返すことができる。
加えて、取付手段24は、図8(b)に示したように、第1の湾曲部5の先端部22の外方へ大きくはみ出していない。そのため、取付手段24が、膜63に貫通孔63aを開口する場合(図4(a)参照)の妨げになることはない。これ以外の医療用鉗子1dの効果は、実施例に係る医療用鉗子1の効果と同様である。
次に、図8(c)及び図8(d)に示すように、実施例の第5の変形例に係る医療用鉗子1eは、実施例に係る医療用鉗子1の先端部5aの代わりに、先端部25を備える。この先端部25は、医療用鉗子1dの先端部22に対し、溝26が形成されたものである。この溝26は、先端部25の端面25aに開口し、先端部25の平坦面25bと平行な方向に沿って刻設されている。
また、図8(c)に示すように、医療用鉗子1eにおいて、導電体12の前端12aは、取付手段27を介して第1の湾曲部5の先端部25に取り付けられる。この取付手段27は、先端部25に装着されて前端12aを保持するアダプターであって、具体的には、溝26に差し込まれるピンである。
詳細には、取付手段27は、絶縁性を有する細長の金属片を曲げ変形させたものであり、図8(d)に示すように、溝26に差し込まれる直線状の差し込み部27aと、差し込み部27aの一端に固着され、導電体12の前端12aが挿入固定される円筒箱状の保持体27bと、差し込み部27aの他端にねじ留めされる留め部27cからなる。なお、保持体27bの内直径の大きさは、前端12aの直径の大きさの同等以下である。また、保持体27bと、留め部27cの間隔は、平坦面25bと平行する溝26の長さと略同一となるように調整されている。保持体27bは円筒箱状であるので導電体12は先端部25に接触する可能性は小さいかもしれないが、万一、導電体12が通電時に接触する可能性があれば第1の湾曲部5も含めて絶縁性を有する塗料や材料で被覆するか、絶縁性を有する構造材で構成されるとよい。
これ以外の医療用鉗子1dの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1eにおいては、取付手段27を先端部25に取り付ける前に、予め導電体12の前端12aを保持体27bに嵌め込んでおき、その後差し込み部27aを溝26に挿入して留め部27cをねじ留めすると、導電体12が取付手段27を介して先端部25に固定される。これは、保持体27bと、留め部27cの間隔が、平坦面25bと平行する溝26の長さと略同一となるように調整されていることにより、差し込み部27aが溝26の中をずれ動かないためである。
これ以外の医療用鉗子1eの作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。なお、溝26の代わりに、平坦面25bと平行する貫通孔が設けられても良い。このほか、前端12aは、保持体27bに嵌め込まれる際に、この保持体27bとロウ付けされても良い。
また、医療用鉗子1eによれば、実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子1dと同様の効果を発揮できる。
実施例の第6及び第7の変形例に係る医療用鉗子について、図9を用いて説明する。図9(a)及び図9(b)は、それぞれ実施例の第6の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図であり、図9(c)及び図9(d)は、それぞれ実施例の第7の変形例に係る医療用鉗子を構成する取付手段の使用状態図である。なお、図1乃至図8で示した構成要素については、図9においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、実施例の第6の変形例に係る医療用鉗子1fは、実施例に係る医療用鉗子1の先端部5aの代わりに、医療用鉗子1dの先端部22と同様の構成の先端部28を備える。
また、図9(a)に示すように、医療用鉗子1fにおいて、導電体12の前端12aは、取付手段29を介して第1の湾曲部5の先端部28に取り付けられる。この取付手段29は、先端部28に装着されて前端12aを保持するアダプターであって、具体的には、絶縁材料からなるキャップ30と、このキャップ30の外周面において、キャップ30と一体的に形成される円筒形の筒状体31からなる。
このうち、キャップ30は、実施例の第3の変形例に係る医療用鉗子1cを構成する取付手段21(図7参照)から嵌合溝21eを省略したものと同様の構成を有する。また、筒状体31は、その中空部に導電体12の前端12aを通過させることで前端12aを保持するものであり、前端12aを移動不能に保持する環状部31aと、この環状部31aに連なる屈曲自在な屈曲部31bからなる。
なお、環状部31aの内直径の大きさは、前端12aの直径の大きさの同等以下である。また、屈曲部31bは、具体的には、金属線がらせん状に巻回されたコイルであり、その一方の端部が環状部31aに固着されている。ただし、屈曲部31bは、その内部を通過する前端12aを直接保持してはいない。これ以外の医療用鉗子1fの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1fにおいては、キャップ30を先端部28に取り付けるとともに、導電体12の前端12aを筒状体31の中空部に貫通させると、導電体12が取付手段29を介して先端部28に固定される。このとき、環状部31aが前端12aを強固に挟み込んだ状態になるため、前端12aが筒状体31の長手方向に沿ってずれ動くことがない。
さらに、図9(a)及び図9(b)に示すように、導電体12の形状変化に伴って前端12aも特定の屈曲箇所F(図9(b)参照)において強い屈曲と伸展を繰り返すため、長期間使用すると屈曲箇所Fが疲労するおそれがある。しかし、屈曲部31bは前端12aを直接保持してはいないものの、屈曲部31bによって前端12aの過度の屈曲や反動が防止されることから、前端12aの屈曲箇所Fの疲労が抑制される。これ以外の医療用鉗子1fの作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。
医療用鉗子1fによれば、筒状体31が前端12aを保持した状態のキャップ30を先端部28に被着することで、導電体12を第1の湾曲部5へ取り付けることができる。また、屈曲部31bは、前端12aの屈曲箇所Fの疲労を防止可能なため、前端12aが破断したり、その弾性が失われたりすることを防ぐことができる。また、筒状体31はキャップ30の後端寄りに設けられるので、医療用鉗子1dの取付手段24と同様に、筒状体31が膜63に貫通孔63aを開口する場合(図4(a)参照)の妨げになることはない。これ以外の医療用鉗子1fの効果は、実施例に係る医療用鉗子1の効果と同様である。
次に、図9(c)及び図9(d)に示すように、実施例の第7の変形例に係る医療用鉗子1gは、実施例に係る医療用鉗子1の先端部5aの代わりに、医療用鉗子1dの先端部22と同様の構成の先端部32を備える。
また、図9(c)に示すように、医療用鉗子1gにおいて、導電体12の前端12aは、取付手段33を介して第1の湾曲部5の先端部32に取り付けられる。この取付手段33は、先端部32に装着されて前端12aを保持するアダプターであって、具体的には、絶縁材料からなるリング34と、このリング34の外周面において、リング34と一体的に形成される円筒形の筒状体35からなる。
このうち、リング34は、先端部32の周面と一致するような略半月形状をなす。また、筒状体35は、具体的には、医療用鉗子1fの筒状体31を構成する屈曲部31bと同様の、屈曲自在なコイルである。さらに、導電体12は、筒状体35を貫通するのではなく、筒状体35の両端のうち、リング34に固着されていない方の端部35aに前端12aが差し込まれている。
なお、前端12aが差し込まれる際に、この前端12aを締め付けるようにコイルを巻回する、または、コイルと前端12aをロウ付けする等の製造方法によれば、端部35aに前端12aを確実に接続することができる。これ以外の医療用鉗子1gの構成は、実施例に係る医療用鉗子1の構成と同様である。
上記構成の医療用鉗子1gにおいては、リング34を先端部32に嵌め込むとともに、導電体12の前端12aを筒状体35へ差し込んで接続すると、導電体12が取付手段33を介して先端部32に固定される。
さらに、導電体12の形状変化に伴って強い屈曲と伸展を繰り返す屈曲箇所F(図9(c)参照)は、前端12aではなく、筒状体35の途中に存在するから、医療用鉗子1gを長期間使用しても導電体12が疲労することがない。これ以外の医療用鉗子1gの作用は、実施例に係る医療用鉗子1の作用と同様である。
医療用鉗子1gによれば、筒状体35が前端12aを保持した状態の取付手段33を先端部32に嵌め込むことで、導電体12を第1の湾曲部5へ取り付けることができる。また、前端12aに代わって筒状体35が屈曲箇所Fにおいて強い屈曲と伸展を繰り返すため、医療用鉗子1gの製品寿命を一層延ばすことができる。これ以外の医療用鉗子1gの効果は、実施例に係る医療用鉗子1の効果と同様である。
なお、本発明に係る医療用鉗子1,1a~1gは、実施例に示すものに限定されない。例えば、保持部9は、略角筒形状をなす以外に、略円筒形状をなしていても良い。また、超弾性合金からなる導電体12の代わりに、弾性を有するゴム芯材に導電体が巻回されてなる弾性導電体や、温度に依存して形状が変化する形状記憶合金からなる導電体が使用されても良い。なお、後者では、導電体を加熱するための加熱手段が必要となる。
さらに、保持部9の内周面に電気絶縁塗料が塗布されても良く、この場合、絶縁性シート15は省略されても良い。そして、導電体12の後端12bが第1の操作部7から外部へ延設されても良い。すなわち、単極電極16は医療用鉗子1に含まれず、この医療用鉗子1から離れた任意の位置に設置される。
また、医療用鉗子1aにおいては、遠位弾性体17と近位弾性体18のいずれか一方が省略されても良く、弾性を有する導電体12の代わりに弾性を有しない導電体が使用されても良い。そして、導電体12の前端12aは、医療用鉗子1,1cにおいては、それぞれ嵌合溝5b,21eにロウ付けや溶接されても良い。このほか、医療用鉗子1fにおいては、屈曲部31bが省略されるとともに、キャップ30と環状部31aの間に導電体12の形状変化を阻害しない回動軸が設けられても良く、医療用鉗子1gにおいては、筒状体35の代わりに屈曲不能な円筒体が設けられるとともに、この円筒体とリング34の間に上述の回動軸が設けられても良い。
本発明は、外科手術において、臓器等を被覆する多層の膜を容易に切開して剥離可能な医療用鉗子として利用可能である。
1,1a~1g…医療用鉗子 2…枢軸 3…第1のアーム 3a…一端 3b…他端 4…第2のアーム 4a…一端 4b…他端 5…第1の湾曲部 5a…先端部 5b…嵌合溝 6…第2の湾曲部 7…第1の操作部 7a…リング 7b…筒体部 8…第2の操作部 8a…リング 9…保持部 9a…上端 9b…下端 9c,9d…側面 9e…凹面 9A,9B…分割片 10…収容部 10a…遠位端 10b…近位端 11…レバー 11a…基端部 11b…摘み部 11c…係止部 12…導電体 12a…前端 12b…後端 12c…固定用部材 12d…コネクタ 12e…切開部 13…スリット 14…案内部 14a…溝部 14b,14c…閉止端 14d…開放溝 14e…貫通孔 15…絶縁性シート 16…単極電極 16a…上端面 16b…下端 16c…挿入孔 17…遠位弾性体 18…近位弾性体 19…スリット 20…先端部 21…取付手段 21a…平坦面 21b…曲面 21c…下縁 21d…被着孔 21e…嵌合溝 22…先端部 22a…端面 23…溝 24…取付手段 24a…挟持部 24b…開放口 24c…保持体 25…先端部 25a…端面 25b…平坦面 26…溝 27…取付手段 27a…差し込み部 27b…保持体 27c…留め部 28…先端部 29…取付手段 30…キャップ 31…筒状体 31a…環状部 31b…屈曲部 32…先端部 33…取付手段 34…リング 35…筒状体 35a…端部 50…ケリー鉗子 51…電気メス 60…臓器 61…血管 62…神経 63…膜 63a,63b…貫通孔

Claims (5)

  1. 枢軸を介して交差するように連結され、一端及び他端がそれぞれ前記枢軸回りに開閉面上で開閉する第1及び第2のアームを備え、前記一端に、前記開閉面と直交する直交面に向かって湾曲する第1及び第2の湾曲部がそれぞれ形成されるとともに、前記他端に、前記一端を開閉操作するための第1及び第2の操作部がそれぞれ形成される医療用鉗子であって、
    前記第1の湾曲部と前記第1の操作部の間に設けられる保持部と、
    前記保持部に保持される基端部と、この基端部に連なり前記保持部の外方へ露出する摘み部を備えた、前記保持部の長軸方向に沿ってスライド可能なレバーと、
    前端及び後端が、それぞれ前記第1の湾曲部及び前記基端部に取り付けられ、かつ前記直交面に沿って設けられるとともに前記第1の湾曲部の内側面に配置される長尺状の導電体を備えることを特徴とする医療用鉗子。
  2. 前記導電体は、その長さ方向に沿って弾性を有するとともに、屈曲可能であり、
    その長さは、非通電時に前記導電体が、前記第1の湾曲部から前記保持部までの間において、前記第1のアームに接触するように調整されることを特徴とする請求項1に記載の医療用鉗子。
  3. 前記保持部は、その内部に収容部を備え、
    この収容部は、前記第1の湾曲部寄りに遠位端が設けられるとともに、前記第1の操作部寄りに近位端が設けられ、かつ前記基端部と前記遠位端の間に介設される遠位弾性体、及び、前記基端部と前記近位端の間に介設される近位弾性体、のうちの少なくともいずれかが収容され、
    前記遠位弾性体は、前記基端部と前記遠位端の間隔を近づけるように付勢し、
    前記近位弾性体は、前記基端部と前記近位端の間隔を遠ざけるように付勢することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療用鉗子。
  4. 前記保持部は、前記第1の湾曲部寄りに、前記導電体が前記保持部の前記長軸方向に沿って配置されるように案内するための案内部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医療用鉗子。
  5. 前記導電体の前記前端は、取付手段を介して前記第1の湾曲部の先端部に取り付けられ、
    前記取付手段は、前記先端部に形成されて前記前端を嵌合する嵌合溝、または前記先端部に装着されて前記前端を保持するアダプターであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の医療用鉗子。
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