JP2005013332A - 電気エネルギーで凝固切開する内視鏡下の手術用器具、内視鏡下の手術用器具の製造方法 - Google Patents

電気エネルギーで凝固切開する内視鏡下の手術用器具、内視鏡下の手術用器具の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内視鏡をもちいた外科手術の施術用器具にて、加熱凝固、切離、切除、およびその前段階の、狙った部位を挟むという機能を兼備した使い勝手のよい器具の提供、および電気エネルギー発熱部を有する前記器具の絶縁構造に関する製造法の提供。
【解決手段】逆方向鋏という概念に基づいて、狙った部位を挟んだ後に器具を牽引する手段と組み合わせた構造で加熱凝固切断機能を向上した。挟持物を先端発熱部に集め、手前に向かって切断する。熱収縮絶縁樹脂のチューブを加熱収縮固着することで2−3mm径の微細構造の先端電極以外を絶縁して製造する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本案は、内視鏡をもちいた外科手術の施術用器具に関するもので、内視鏡の視野下で狙った患部組織を正確に挟み、かつ、高周波の電気エネルギー発熱による加熱凝固(coagulating)で患部を切離・切除する器具に関する。本案で呼称する「内視鏡下の手術用器具」とは、上記の加熱凝固、切離、切除、およびその前段階である狙った部位を正確に挟む、という機能を兼備した内視鏡視野下手術操作を行う器具である。
【0002】
【従来の技術】
電気メスは一般的に、特許文献7のようなブレード型、針型、鉗子またはハサミ型(特許文献3、図12)、あるいはカット板状(特許文献6、図11)の先端電極を持つ。その先端電極を狙った組織に接触させ、電気エネルギーを集中的に与え加熱凝固する。電気エネルギーを与える先端部以外は絶縁されている。たとえば絶縁材を筒状に成形したスリーブで導体を被覆している。電気メス機能をもつ手術用器具は「ELECTROSURGICAL INSTRUMENT(BLADE)」、「ELECTROSURGICAL COAGULATING AND CUTTING INSTRUMENT」とも呼ばれる(特許文献7、特許文献6)。
【0003】
電気エネルギーを与える先端部にはモノポーラ(monopolar)電極式とバイポーラ(bipolar)電極式がある。モノポーラ式先端部は、施術部位から離れた患者体表に固定電極を設け、先端から固定電極に電流を流す方式で、バイポーラ式は、把持鉗子型またはハサミ型のふたつの電極をもつ器具で狙った患部を挟み、その部位だけに通電する方式である。特にモノポーラ式では通電する単極先端部以外はしっかりと絶縁することが必要で絶縁が甘いと患部以外の部位で発熱して危険である。本案の電極は患部を挟む機能は有するが電極はモノポーラ式である。
【0004】
ハサミ型の電気メス(特許文献3、図12)では、 術者が操作するハンドル部、処置する生体組織を把持して凝固切開するジョー(jaw)、ハンドル部とジョーの鋏状などの支持部材とから構成され、ジョーには、生体組織に熱エネルギーを与えるための発熱源となるヒータ部や電極が設けられており、このバイポーラ型の電極間に電気メス電流を流すことで把持した生体組織にエネルギーを与える。
【0005】
さて内視鏡下の手術では、電気メスのモノポーラ電極またはバイポーラ電極の先端を長い内視鏡チューブを通し、患部に到達させ、内視鏡画像で見ながら先端をマニピュレ−トして切開除去手術が行われる。当然この場合、電源より先端部に達する内視鏡チューブ以上の長さの導線を必要とする。これらは先端部が可能な限りコンパクトで、かつ、内視鏡下の視野の限定された状況下で生体組織の凝固切開を効率よく行えることが必要である。
【0006】
内視鏡下手術にて使用される上記の電気メスや鉗子は、限定された視野の下で狙った組織切開等の処置が手早く行えるようでなければならない。使い勝手向上のための機能とそれを満たす構造が多く提案されている。たとえば、患部が体内のどのような向きに存在していても一対の鉗子片を適切な向きに開閉させ容易に処置を行うことができる内視鏡用鉗子(特許文献1、図10(a)参照)、複雑な構成や操作を要することなく、先端の向きを変換できる内視鏡用生検鉗子(特許文献2、図10(b)参照)、先端部の回転機構をもつクリップ(掴み)操作を行う器具(特許文献4、特許文献5、図13)などである。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−126103「内視鏡用鉗子」ペンタックス株式会社
【0008】
【特許文献2】
特開2003−010190「内視鏡用生検鉗子」ペンタックス株式会社
【0009】
【特許文献3】
特開2003−116871「処置具」オリンパス光学工業株式会社
【0010】
【特許文献4】
特開2003−144443「内視鏡用クリップ装置」ペンタックス株式会社
【0011】
【特許文献5】
特開2002−355249「内視鏡用クリップ装置」旭光学工業株式会社
【0012】
【特許文献6】
米国特許US6554829 「Electrosurgical instrument with minimally invasive jaws」SCHULZE
【0013】
【特許文献7】
米国特許US6511479 「Electrosurgical blade having directly adhered uniform coating of silicone release material and method of manufacturing same」
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来提案されてる電気メス、内視鏡用鉗子、内視鏡用クリップ装置、Electrosurgical bladeなどよりも、より安全かつ良好な操作性を有する内視鏡外科手術用施術器具であって、使い勝手のよい器具の提供を課題とする。課題をより具体的に説明する。より安全かつ良好な操作性を器具にもたせるために、<手前に向かう切断><本質的に高効率、切りやすい><絶縁安全性><先端転回による操作性>の5つの課題を取り上げた。
【0015】
<手前に向かう切断>とは、鋏と逆に先方から手前に切断することである。視野の限定された内視鏡下手術では、先方のなにがあるかわからない部分に向かって切断するのは危険を伴う。従って通常のメスやレ−ザは使いにくい。視野で確認された部位の組織を先方から手前に向かって切断(加熱凝固)するものがよい。<本質的に高効率、切りやすい>とは、切断対象物が生体組織のような軟弱なものであっても切断ラインに連続的に切断エネルギーを移動しつつ集中させうることである。<絶縁安全性>は、シンプルなモノポーラ式電極をつかうためには必要である。
【0016】
操作性安全性向上の課題をさらに説明する。たとえば早期消化管癌の内視鏡的治療が行われているが、患部が平坦かつ比較的大きい場合に、従来器具で粘膜を切除した場合は一括に切除できずバラバラとなる。そのためそういった離散した切除組織では正確な病理診断ができなくなるという問題がある。
【0017】
そのため最近、針状またはフック状の処理具を用いて腫瘍の回りの正常部分の粘膜をあらかじめ切離してから切除する方法も提案されている。しかし従来器具で、かかる切除法を行うのは困難である。その理由は、従来器具はいずれも先のとがった針状の処置具であるため安全性に問題がある。また、患部がしばしば楕円形をしているのに対して、従来器具で曲線状に切離することが技術的に難しい。施術のため合併症を発症したとの報告もある。本発明は、かかる従来の内視鏡下の手術用器具の問題の解決を課題とし、簡単にかつ安全に施術できる器具を提供する。
【0018】
また絶縁についてたとえば特許文献7では、シリコーン(silicone =polysiloxane)による絶縁被覆の形成法が提案されている。しかし、局所的に200℃を超える電気エネルギー凝固部において、シリコーン被覆では耐熱性や剥離強度が不充分である。本案は適切な絶縁材と絶縁被覆形成する器具製法の提供も課題とする。
【0019】
<先端転回による操作性>とは、マニピュレータである器具先端を内視鏡軸まわりに回転する操作性の向上である。特許文献4、特許文献5(図13)のような内視鏡軸を全体にわたって捻るという操作性を阻害する機構ではないシンプルな転回機構の提供も課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本案の凝固切断器具の特徴は、通常の鋏とは逆に操作者に対して手前に引いて切る、という切断方向である。この切断方向が新規性・進歩性を有する。図5にて、通常鋏との逆方向に切る、操作者方向に移動して切る逆方向鋏の概念を説明する。図5左図は本案の器具(後述)にて手前に引いて切断する図、右図は通常の鋏の切断で、刃のせん断力集中点が手前から先端に移行する図である。E1が従来の鋏で切断開始時に刃同士のせん断エネルギーが集中する部位、E2が切断完了時に刃同士のせん断エネルギーが集中する部位。F1が本案の器具(後述)で凝固切開の開始時に刃同士の電気エネルギーが集中する部位、F2が凝固切開を完了時に電気エネルギーが集中する部位である。
【0021】
本案器具はモノポーラ電極方式であるので、先端の尖鋭部分では電流密度が高く電気エネルギーが集中する。その電気エネルギー集中先端が鋏での刃クロス部のせん断力集中点と等価である。内視鏡器具の牽引動作は容易であるので、図5左図に示すように器具を手前に牽引して切断(凝固切開)する。
【0022】
本案の器具は、挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点、すなわちふたつの爪状の先端をもつ挟持パーツの接触部、に移動収束させつつに手前に牽引する。この牽引手段は公知の内視鏡付帯機器を用いる。かかる牽引による器具の後退中に挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点に収束させる流れ9ができる。すなわち9は、本案の逆方向切断で器具の間隙3の患部組織が切断点F1、F2に集中する流れである。爪状の先端をもつ挟持パーツをふたつ組み合わせて挟持のための可動動作可能なものを「ジョー(顎)」と記載する。爪状の先端をもつ挟持パーツを可動支持部と記載する。ふたつの可動支持部の先端、すなわちジョー先端を端に「先端」または「先端部」と記載することもある。
【0023】
本案の器具を図1で説明する。図1(a)は本案の手術用器具の第一例の斜視図、(b)は第一例のopen状態側面図と正面図、(c)は第一例のclose状態側面図と正面図、(d)はジョー先端より0.5〜2mmの露出部以外の可動支持部表面が絶縁樹脂で被覆されている本案の手術用器具(後述請求項4)説明図、(e)は先端がクロスする本案の手術用器具の構成のバリエーション(後述)の説明図である。
【0024】
本案器具は(請求項1)、内視鏡下で患部を電気エネルギーで凝固切開する手術用器具であって、開閉する先端2と該先端が閉状態にて先端2から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙3を形成した可動支持部1をもつ図1に例示される導電性のジョーと、前記ジョーに通電する電気エネルギーの供給手段(図示略)を有する手術用器具である。ふたつの先端2の接触部を頂点とした三角形状、または接触部を頂点とした凹曲面三角形状であるので、挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点、すなわちふたつの先端鋭利な爪状の挟持具の接触部、に移動収束させることができる。
【0025】
前述のように本案器具の可動支持部1は(請求項2)、可動支持部1が平面で患部を挟み、患部を挟む間隙3の形状が、ジョー先端側を頂点とする鋭角三角形を断面とした形状である。本案器具の可動支持部1の他の例は(請求項3)、可動支持部1が凹曲面で患部を挟み、患部を挟む間隙3の形状が、ジョー先端側を頂点とする滑らかな凸曲面形状である。これを図7図8で図示説明する。
【0026】
図7は、請求項2のジョー先端側を頂点とする鋭角三角形を断面とした形状の説明図で、上図は本案器具の平面図である。その上図のa−a’断面(下左図)、b−b’断面(下中央図)、c−c’断面(下右図)を(A)(B)のふたつの例について示す。中段(A)は外周が凸曲面の例、下段(B)は外周が平面で刺抜きのような形状である。(B)の例は単純な形状パーツの組み合わせなので加工が簡単である。これらは先端を頂点とした鋭角三角形が平面断面となる間隙をもつ形状なので、牽引による器具後退中に間隙3に挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点に収束させる流れ(図5の9)ができる。これらは本案の手術用器具の第一例のバリエーションである。
【0027】
図8は、請求項3の可動支持部が凹曲面で患部を挟み患部を挟む間隙の形状がジョー先端側を頂点とする外縁が滑らかな凸曲面形状の説明図である。図8は、図7同様に本案器具の平面図である上図のa−a’断面(下左図)、b−b’断面(下中央図)、c−c’断面(下右図)を示す。このように鳥の嘴状の形状(内側に凸曲面空間の間隙をもつ)でもよい。図7例と同様、ジョー先端側を頂点とする外縁が滑らかな平面断面形状なので、牽引による器具後退中に間隙3に挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点に収束させる流れ(図5の9)ができる。これも本案の手術用器具の第一例のバリエーションである。
【0028】
図3は本案手術用器具の第二例図である。このように間隙3にて患部を挟むための特に広いスペース3aを設けてもよい。また、図4の第三例図、第四例図のように平坦な粘膜などを掬いやすい非対称形状でもよい。このような上下非対称形状の方が平坦な粘膜型腫瘍を凝固切開するには好適である。さらにまた、本案の手術用器具の第一〜第四例のすべてのバリエーションとして、図1(e)のように先端クロスするものであってもよい。先端クロス構成ではふたつの先端を段差をもたせてクロスさせる。必要に応じてふたつの先端を鏡面非対称とする(詳しい図示は略)。
【0029】
前述のように本案器具には、先端の閉動作で挟持した切断対象組織を電気エネルギー集中点に移動収束させながら電気エネルギーで凝固切開するため、手前に牽引する手段を要する。かかる牽引手段は内視鏡の付帯機器として公知であるので説明と図示は略す。請求項にも牽引手段のクレーム記載は除く。
【0030】
本案器具は(請求項4)図1(d)に示すようにジョー先端2より0.5〜2mmの露出部以外の可動支持部表面が絶縁樹脂で被覆されている(図1(d)の斜線部)のが好適である。かかる絶縁は、特にシンプルなモノポーラ式電極をつかうためには必要である。モノポーラ式の場合、先端が他の部分よりも相対的に断面積が小さければ電流密度が大きくなるので先端で放電するが、もしも他の部分が露出されているとそこからも放電する可能性もあるので、不適切である。先端の露出部以外の可動支持部表面がしっかりと絶縁されていることが必要である。絶縁樹脂の主成分は(請求項5)、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂であるのがよい。
【0031】
もちろん本案でも原理的にバイポーラ式の採用は可能である。たとえば2つある先端の一方を正、他方を負電極とする。ただしその場合は、閉でも両先端が離隔されていること、2つの支持部が絶縁されていることが必要で、構造上複雑で製造が難しくなる。また、両先端を共に共通に正、他の部分、たとえば支持部の基部を負電極とする構成もとれるが、基部と他の部分の絶縁が必要で構造上複雑である。
【0032】
<先端転回による操作性>の向上手段に関して説明する。すなわち特許文献4、特許文献5(図13)のような内視鏡軸を全体にわたって捻るという操作性を阻害する機構ではなく、先端部分のみにシンプルな転回機構を付加配備することで先端転回操作性を向上させる。図9に示すように(請求項6)、可動支持部1の基部に先端の開閉方向を転回する転回機構8を配備する。この転回機構8には、転回トルクの発生手段は不必要である。外力が加わって自在に転回できればよい。というのは、施術者は内視鏡下で適当なひっかかりのできる硬い組織等に先端をあてることで、先端転回トルクを生じさせることが容易だからである。
【0033】
患部の挟持操作に転回という自由度がわずかでも与えられば操作性の向上は顕著なので、360度の自在転回ができなくとも90度程度の転回ができれば十分である。操作ワイヤーなどで構造上転回が困難であっても90度程度なら実現できる。
【0034】
さて、本案器具の製作であるが各パーツの機械加工については公知の技術を用いればよい。本案器具が挿入される内視鏡のマニピュレ−タ挿入孔は2−3mm径程度と微小であるので、構造が複雑な先端支持部パーツはマイクロマシン(MEMS)技術をもちいてミクロンオーダの微細加工でパーツ製作しこれを組み合わせる。これも公知である。器具の絶縁については発明者が、特願2003−165890で開示した手法を転用する。すなわち(請求項7)、内視鏡下で患部を電気エネルギーで凝固切開する手術用器具の製造方法であって、開閉する先端と、該先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙を形成した可動支持部をもつ導電性のジョーの製作工程において、前記可動支持部と概同一長の絶縁材樹脂チューブに前記可動支持部を通した後、該可動支持部を加熱するステップと、先端から0.5〜2mmの絶縁材樹脂を剥がすステップとを有する手術用器具の製造方法である。
【0035】
絶縁材樹脂チューブについては(請求項8)、その主成分が、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂であるのが好適である。可動支持部を加熱するステップにて、絶縁材樹脂チューブをエポキシ等の接着剤で接着固定し、段差が問題にならないように加熱しながらチューブを延伸して厚みをコントロールしつつ、表面をスムーズ形状に仕上げる。かつ加熱によって絶縁材と可動支持部表面との密着性を上げて被覆する。
【0036】
ここで、絶縁材樹脂チューブの素材は熱収縮性であれば好適である。望ましい市販品として、Zeus Industrial Products,Inc.(Orangeburg,South Calif.USA)社の製品、Fluoropolymer Heat Shrinkable Tubeが挙げられる。これは、複数の組成の樹脂の多重層チューブであり、これに適度な熱をかけることで熱収縮して別素材に固着する。したがって円筒形の表面に樹脂コーティングができる。
【0037】
このZeus Industrial Products,Inc.の商品は、化学的に安定で消毒液に対しても非溶出性、医学用途としても実績があり好適である。同社ではDuPont社のTefronなどに代表されるいわゆるフッ素系ポリマー:PTFE、FEP、MFA、PFAなどを主成分とした熱収縮チューブが商品化されている。
【0038】
ポリイミドの絶縁材樹脂チューブとしては、古河電工株式会社のポリイミドチューブが好適である。これは常用で220℃、短時間なら400℃にも耐える仕様であり、万一過加熱した場合にも自己消火性を備え有毒ガス発生もない。
【0039】
本案器具の別の絶縁被覆の製法として(請求項9)、可動支持部の全長を絶縁材塗料で塗装するステップ、または前記可動支持部の全長を液相の絶縁材樹脂に浸けた後かかる可動支持部を加熱するステップと、先端から0.5〜2mmの絶縁材樹脂を剥がすステップとを有する手術用器具の製造方法を採用してもよい。
【0040】
すなわち、絶縁性樹脂の塗料で塗装によって可動支持部の絶縁被覆を形成する。その場合、溶出する重金属が塗料の成分中にないことを注意する。また、可動支持部を液相の絶縁材樹脂に浸けた後かかる可動支持部を加熱して絶縁被覆を形成してもよい。いわゆるどぶ漬け被覆形成である。これら塗装、どぶ浸けにおける絶縁材塗料の主成分、または液相の絶縁材樹脂の主成分も前記同様、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂であるとよい(請求項10)。
【0041】
【発明の実施の形態】
図2が、本案の手術用器具による手術の実施模式図で、図2左は患部を挟持前の図、中央は患部を挟持し電気エネルギーで凝固切断開始の図、右が牽引しながら電気エネルギーによる凝固切断中の図である。このように手前に向かう、本質的に高効率、切りやすい、かつ安全性の高い施術ができる。図6(a)が、本案の電気切開手術器具の試作品close状態の写真、図6(b)が、本案の電気切開手術器具の試作品open状態の写真である。
【0042】
【発明の効果】
導電性のジョーの可動支持部の形態と形成する間隙で<手前に向かう切断>ができ、<本質的に高効率、切りやすい>器具を提供した。ポリイミド絶縁樹脂チューブ等による製法でモノポーラ電極先端以外の<絶縁安全性>を確保した。可動支持部の基部に先端の開閉方向を転回する転回機構を配備し<先端転回による操作性>を向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本案の手術用器具の第一例の斜視図、(b)第一例のopen状態側面図と正面図、(c)第一例のclose状態側面図と正面図、(d)ジョー先端より0.5〜2mmの露出部以外の可動支持部表面が絶縁樹脂で被覆されている本案の手術用器具(請求項4)説明図、(e)先端がクロスする本案の手術用器具の別の先端構成例の説明図
【図2】本案の手術用器具による手術の例図:左は患部を挟持前の図、中央は患部を挟持し電気エネルギーで凝固切断開始の図、右が牽引しながら電気エネルギーによる凝固切断中の図
【図3】本案の手術用器具の第二例図:間隙3にて患部を挟むための特に広いスペース3aを設けた例
【図4】本案の手術用器具の第三例、第四例の図:第三例、第四例共に平坦腫瘍粘膜の切除に好適な平滑患部を掬い上げる非対称形状の例
【図5】逆方向に切る(手前に引いて操作者方向に移動して切る)逆方向鋏の概念の説明図:(左図)本案の器具にて手前に引いて切断、(右図)通常の鋏の切断では刃のせん断力集中点が手前から先端に移行する
【図6】(a)本案の電気切開手術器具の試作品close状態の写真、(b)本案の電気切開手術器具の試作品open状態の写真
【図7】請求項2のジョー先端側を頂点とする鋭角三角形を断面とした形状の説明図で、手術用器具の側面である上図のa−a’断面(下左図)、b−b’断面(下中央図)、c−c’断面(下右図)を(A)(B)の2例について示す図:器具の側面である上図のa−a’断面(下左図)、b−b’断面(下中央右図)、c−c’断面(下右図)を示す図で(A)は外周が凸曲面の例、(B)は外周が平面で刺抜きのような形状である
【図8】請求項3の可動支持部が凹曲面で患部を挟み患部を挟む間隙の形状がジョー先端側を頂点とする滑らかな凸曲面形状の説明図で、手術用器具の側面である上図のa−a’断面(下左図)、b−b’断面(下中央図)、c−c’断面(下右図)を示す図
【図9】請求項6の可動支持部の基部に先端の開閉方向を転回する転回機構の例図で(a)は先端開閉動作が可能であることを示す図、(b)が転回機構の動作を示す図
【図10】(a)特開2003−126103「内視鏡用鉗子(特許文献1)」の図、(b)特開2003−010190「内視鏡用生検鉗子(特許文献2)」の図:(a)(b)共に手前から先端に切断する従来の切断切開を行うジョー(鉗子)の例である。また(a)(b)共にジョーの首振り機構を持っているがジョーの転回はできない
【図11】米国特許US6554829 「Electrosurgical instrument with minimally invasive jaws」(特許文献6)の図:図ではわかりにくいが包丁のような上刃とそれに嵌合する刃受け型のジョーである。これも手前から先端に切断する
【図12】特開2003−116871「処置具(特許文献3)」の図:鋏そのもののジョーで手前から先端に切断する
【図13】特開2003−144443「内視鏡用クリップ装置(特許文献4)」および特開2002−355249「内視鏡用クリップ装置(特許文献5)」の図:患部等のクリップ(掴み)を行う器具であり転回も可能であるが長い内視鏡の操作端から先端までを捻ることで転回している
【符号の説明】
1 可動支持部、すなわち開閉する先端2と該先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙3を形成した可動支持部
2 開閉する先端
3 開閉する先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙
3a 間隙3にて患部を挟むための特に広いスペース
4 導電性のジョー
5 ジョー先端側を頂点とする鋭角三角形を断面とした間隙
6 患部を挟む平面
7 患部を挟む凹曲面
8 可動支持部の基部に配備された可動支持部全体を転回して先端の開閉方向を転回する転回機構
9 本案の逆方向切断で手前に引いて操作者方向に移動するとき、間隙3の患部組織が切断点F1、F2に集中する流れ
E1 従来の鋏で切断開始時に刃同士のせん断エネルギーが集中する部位
E2 従来の鋏の切断完了時に刃同士のせん断エネルギーが集中する部位
F1 本案の手術用器具で凝固切開の開始時に先端で電流密度が高く電気エネルギーが集中する部位
F2 本案の手術用器具を移動させて凝固切開を完了する時に先端で電流密度が高く電気エネルギーが集中する部位

Claims (10)

  1. 内視鏡下で患部を電気エネルギーで凝固切開する手術用器具であって、開閉する先端と該先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙を形成した可動支持部をもつ導電性のジョーと、前記ジョーに通電する電気エネルギーの供給手段を有する手術用器具
  2. 可動支持部が平面で患部を挟み、患部を挟む間隙の形状がジョー先端側を頂点とする鋭角三角形を断面とした形状である請求項1の手術用器具
  3. 可動支持部が凹曲面で患部を挟み、患部を挟む間隙の形状がジョー先端側を頂点とする外縁が滑らかな凸曲面形状である請求項1の手術用器具
  4. ジョー先端より0.5〜2mmの露出部以外の可動支持部表面が絶縁樹脂で被覆されている請求項1の手術用器具
  5. 絶縁樹脂の主成分が、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂である請求項4の手術用器具
  6. 可動支持部の基部に先端の開閉方向を転回する転回機構が配備された請求項1の手術用器具
  7. 内視鏡下で患部を電気エネルギーで凝固切開する手術用器具の製造方法であって、開閉する先端と、該先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙を形成した可動支持部をもつ導電性のジョーの製作工程において、前記可動支持部と概同一長の絶縁材樹脂チューブに前記可動支持部を通した後、該可動支持部を加熱するステップと、先端から0.5〜2mmの絶縁材樹脂を剥がすステップとを有する手術用器具の製造方法
  8. 絶縁材樹脂チューブの主成分が、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂である請求項7の手術用器具の製造方法
  9. 内視鏡下で患部を電気エネルギーで凝固切開する手術用器具の製造方法であって、開閉する先端と、該先端が閉状態にて先端から支持側に向かって漸次広い面積で患部を挟む間隙を形成した可動支持部をもつ導電性のジョーの製作工程において、前記可動支持部の全長を絶縁材塗料で塗装するステップ、または前記可動支持部の全長を液相の絶縁材樹脂に浸けた後かかる可動支持部を加熱するステップと、先端から0.5〜2mmの絶縁材樹脂を剥がすステップとを有する手術用器具の製造方法
  10. 絶縁材塗料の主成分、または液相の絶縁材樹脂の主成分が、フッ素系ポリマー樹脂またはポリイミド樹脂である請求項9の手術用器具の製造方法
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