JP7321444B2 - 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品 - Google Patents

紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品 Download PDF

Info

Publication number
JP7321444B2
JP7321444B2 JP2018190600A JP2018190600A JP7321444B2 JP 7321444 B2 JP7321444 B2 JP 7321444B2 JP 2018190600 A JP2018190600 A JP 2018190600A JP 2018190600 A JP2018190600 A JP 2018190600A JP 7321444 B2 JP7321444 B2 JP 7321444B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
coating composition
functional group
group
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018190600A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020059783A (ja
Inventor
礼一朗 川瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Natoco Co Ltd
Original Assignee
Natoco Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Natoco Co Ltd filed Critical Natoco Co Ltd
Priority to JP2018190600A priority Critical patent/JP7321444B2/ja
Publication of JP2020059783A publication Critical patent/JP2020059783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7321444B2 publication Critical patent/JP7321444B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、紫外線硬化型塗料組成物に関する。
着色塗料の塗装において、塗装後加熱工程が必要な一液熱硬化型塗料や二液熱硬化型塗料を用いると、塗膜を乾燥や硬化させるために加熱時間がかかり、工程が長くかかるという問題がある。
そこで、近年環境への配慮から、着色顔料や光輝顔料を含む塗料についても、工程時間が短い活性エネルギー線(主に紫外線)硬化型のものが提案されている。
ところが、着色顔料や光輝顔料を含む着色用の紫外線硬化型塗料は、紫外線硬化時に、塗膜中に含まれている着色顔料や光輝顔料が紫外線を反射・吸収するため、塗膜の深部まで紫外線が届かず硬化不良が起きるといった問題が発生する傾向がある。
また、紫外線が均一に届かず、塗膜表面が均一に硬化しないため「硬化ムラ」が発生し、硬化膜の外観不良が起きるといった問題が発生する傾向がある。
特許文献1には、着色顔料と当該着色顔料を分散させる分散用バインダー樹脂((メタ)アクリル系樹脂)とを含んでいる塗料が開示されている。
特許文献2には、モノ-、ビス-若しくは多価脂肪族又は芳香族グリシジルエーテル類、二酸化チタン(顔料)、光開始剤としてヨードニウムヘキサフルオロホスファート塩の少なくとも1つと、増感剤化合物を含む、UV硬化性カチオン重合性組成物が開示されている。
特許文献3には、ポリ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]イソシアヌレート(A)、4またはそれ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(B)、アクリル樹脂(C)、および、着色顔料および光輝性顔料からなる群から選択される少なくとも1種の顔料(D)、を含む、活性エネルギー線硬化性塗料組成物であって、アクリル樹脂(C)は、重量平均分子量が5,000~30,000の範囲内であり、溶解性パラメーターが9.0~11.5の範囲内である、活性エネルギー線硬化性塗料組成物が開示されている。
特開2012-92154 特表2002-513078 特許6279800
しかし、上記列挙した先行技術文献で開示されている発明は、十分に硬化させるには強い紫外線の照射が必要であったり(紫外線硬化性が不十分)、顔料の添加量を増やすと紫外線硬化が阻害されたりといった懸念がある(特許文献1、特許文献3)。また、カチオン重合性のエネルギー線硬化型塗料は、ラジカル重合反応に比べ反応速度が遅いことから、硬化工程の時間が長くなる(特許文献2)といった懸念がある。なお、当然のことながら、先行技術文献にはそのようなデメリットは記載されていない。
上記のとおり、着色用紫外線硬化型塗料組成物の検討は盛んに行われている。しかしながら、紫外線硬化性に優れ、且つ得られる硬化膜の外観が良好な塗料組成物を得ることは困難であった。
本発明は、紫外線硬化性に優れ、得られる硬化膜外観が良好な、着色用の紫外線硬化型塗料組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を行ったところ、下記に示す手段により得られる紫外線硬化型塗料組成物が、紫外線硬化性に優れ、且つ該塗料組成物から得られる硬化膜は外観が良好であるという知見を得た。本明細書は、かかる知見に基づいて以下の手段を提供する。
上記の課題を解決することができる本発明は、以下に示す紫外線硬化型塗料組成物である。
本発明は、
(メタ)アクリル樹脂(A)と
光重合開始剤(B)と
顔料(C)とを含み、
前記(メタ)アクリル樹脂が、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、
前記顔料が、着色顔料及び光輝顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、
紫外線硬化型塗料組成物である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<紫外線硬化型塗料組成物>
本実施形態の紫外線硬化型塗料組成物は、
紫外線硬化型塗料組成物であって、
(メタ)アクリル樹脂(A)と
光重合開始剤(B)と
顔料(C)とを含み、
前記(メタ)アクリル樹脂が、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、
前記顔料が、着色顔料及び光輝顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、
紫外線硬化型塗料組成物である。
なお、以下において、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂を「樹脂(A)」とも表記する。また、光重合開始剤を「開始剤(B)」とも、着色顔料及び光輝顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む顔料を「顔料(C)」とも表記する。
本明細書で開示する紫外線硬化型塗料組成物(以下、本塗料組成物ともいう。)は、紫外線硬化性が良好で、得られる硬化膜の外観が良好な塗料組成物である。この理由は必ずしも全てが明らかではないが、以下のように説明することができる。
本塗料組成物は、樹脂(A)と開始剤(B)と顔料(C)を含む。樹脂(A)は、硬化膜形成成分であり、本塗料組成物を塗装して得られる塗膜に、紫外線を照射すると開始剤(B)が開始ラジカルを形成し、樹脂(A)が側鎖に有する(メタ)アクリロイル基がラジカル重合し硬化膜を形成する。また、顔料(C)は硬化膜の着色に寄与する。
一方で、前述したとおり、一般的に着色用紫外線硬化型塗料組成物は、紫外線硬化性に課題がある。顔料は、開始剤が開始ラジカルを形成するために必要な紫外線領域の波長の光を、反射したり吸収したりするため、紫外線硬化を阻害してしまう。特に、顔料が多い場合、紫外線硬化性が劣る傾向がある。
加えて、一般的に着色用の紫外線硬化型塗料組成物は、得られる硬化膜に外観不良が生じやすいことが課題として挙げられる。これは、紫外線硬化の際、紫外線が顔料で反射したり吸収されたりするため、塗膜に対して紫外線を一様に照射したとしても、塗膜全体の中でも硬化が速い部分と硬化が遅い部分が発生してしまうことに起因していると推測される。つまり、硬化が速い部分からは顔料が押し出され、その押し出された顔料は硬化が遅い部分へと移動する。すると、塗膜中で顔料濃度の薄い部分と濃い部分が発生し、塗膜全体として均一に硬化反応が進行しなくなる。その結果として、いわゆる「硬化ムラ」が発生し、外観不良となってしまうと推測される。
また、樹脂(A)以外の多官能(メタ)アクリレート化合物のみが硬化膜形成成分である紫外線硬化型塗料組成物の場合、紫外線硬化の際に硬化収縮が発生し、さらに顔料が移動しやすく硬化膜の外観不良が発生しやすいと考えられる。
そこで、本塗料組成物は、樹脂(A)を使用し、紫外線硬化時の不均一な硬化反応や硬化収縮に起因する顔料(C)の移動を起きにくくしている。換言すると、樹脂(A)が紫外線硬化時に顔料(C)の移動を防ぐ役割を担っている。そのメカニズムは必ずしも全てが明らかではないが、以下のように説明することができる。
第一に、樹脂(A)の顔料分散効果が挙げられる。
樹脂(A)は、前述したような硬化膜形成成分としての役割だけではなく、顔料(C)の分散状態を向上する効果がある。樹脂(A)は顔料の周囲に存在し、顔料(C)同士の凝集を防ぎ、顔料(C)の分散状態が向上すると考えられる。
樹脂(A)の顔料分散効果によって、顔料(C)は塗膜中に均一に存在することができ、紫外線硬化の際、顔料の移動を防ぐことができると考えられる。そのため、塗膜中の顔料濃淡が発生しにくく、外観不良が発生しにくいと考えられる。
第二に、樹脂(A)の硬化特性が挙げられる。
樹脂(A)は、硬化収縮が起きにくいという特性がある。これは、樹脂(A)中での(メタ)アクリロイル基同士の距離が、樹脂(A)以外のいわゆる一般的な多官能(メタ)アクリレート化合物中の(メタ)アクリロイル基同士の距離よりも大きい傾向があるためである。
そのため塗膜中の成分が流動しにくく、さらに、顔料(C)が移動することを防止すると考えられる。また、樹脂(A)は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有しているため、紫外線照射後、速やかに硬化し、顔料(C)が移動しにくくすることができると推定される。
そのため、樹脂(A)を使用することで顔料の移動が抑制され、塗膜中の顔料濃度の濃淡が発生しにくく、塗膜外観が良好になる。
本実施形態の塗料組成物の各成分について説明する。
[(メタ)アクリル樹脂(A)]
(樹脂(A)の特性)
本実施形態の塗料組成物は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有している(メタ)アクリル樹脂を含む。前述したとおり、本明細書中に記載の(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方の概念を含んでいる。
(メタ)アクリロイル基は、開始剤(B)から形成された開始ラジカルを起点に、ラジカル重合し、硬化膜の形成に寄与する。
アクリロイル基は、メタクリロイル基と比較し反応速度が速いため、紫外線硬化性、硬化膜の各種物性の観点から、樹脂(A)は側鎖にアクリロイル基を有している(メタ)アクリル樹脂であることがより好ましい。
樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基の含有量は、樹脂(A)1gあたりに1mmol~10mmolであり、より好ましくは1.2mmol~5mmolであり、さらに好ましくは1.5mmol~4mmolである。このような数値範囲とすることで、硬化速度と硬化収縮のバランスの良い塗料組成物となり、外観が良好な硬化膜を得ることができる。加えて、このような数値範囲とすることで、十分に塗膜が硬化し、耐薬品性に優れる硬化膜を得ることができる。
なお、本明細書内記載の樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基の含有量は、本塗料組成物から樹脂(A)を単離精製し、JIS-K-0070に準ずる手法によりヨウ素価を求めてその値から算出したり、H-NMR測定により算出したりすることができる。
樹脂(A)の数平均分子量や、重量平均分子量は、塗料組成物中の顔料(C)の分散性や、硬化時の顔料(C)の移動に影響する。
樹脂(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1,000~30,000であり、より好ましくは2,000~20,000であり、さらに好ましくは3,000~10,000である。また、樹脂(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは2,000~60,000であり、より好ましくは4,000~40,000であり、さらに好ましくは6,000~20,000である。
このような数値範囲とすることで、顔料(C)を安定的に分散するため、紫外線硬化の際、顔料の移動を防止し、外観が良好な硬化膜を得ることができる。
なお、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算値として測定することができる。
樹脂(A)の酸価は、特に限定はされないが、好ましくは0~20mgKOH/gであり、より好ましくは0~10mgKOH/gであり、さらに好ましくは0~3mgKOH/gである。
酸価は、樹脂(A)の酸性基の量を表している。酸性基は、薬品、特に、日焼け止めや化粧料といった極性の高い薬品との親和性が高く、硬化膜の耐薬品性に影響する。
酸価をこの数値範囲にすることで、酸性基の影響を受けにくく、硬化膜外観が良好で、耐薬品性が良好な硬化膜を得ることができる。
なお、本明細書内記載の樹脂(A)の酸価は、本塗料組成物から樹脂(A)を単離精製し、JIS-K-5601-2-1に準じて測定することが出来る。
塗料組成物中の樹脂(A)の含有量は、塗料組成物の不揮発成分全体に対して、5~99質量%であることが好ましく、10~96質量%であることがより好ましく、20~90質量%であることがさらに好ましい。
このような数値範囲とすることで、紫外線硬化において、塗膜中の顔料(C)の移動を防止し、紫外線硬化性が優れる塗料組成物となり、外観が良好な硬化膜を得ることができる。
樹脂(A)は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂であれば、特に限定はされないが、市販のものを用いることもできるし、自ら製造したものを用いることもできる。
樹脂(A)を自ら製造する場合、特に限定はされないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物を重合させて得られる(メタ)アクリル共重合体に、(メタ)アクリロイル基を導入することによって得ることができる。
樹脂(A)の側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定はされないが、側鎖に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体と、第一の官能基と反応する第二の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとを反応させて得ることが好ましい。
なお、本明細書中で(メタ)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルのモノマーのことを表す。
あくまで一例ではあるが、以下の一般式(1)に(メタ)アクリル共重合体の模式図(化学構造を簡略化した構造式)を、表1に第一の官能基と第二の官能基の組み合わせの例を示す。
(一般式(1)中のXは、第一の官能基を表す。)
(表中のRは水素またはメチル基を表す。2つのRは互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。表中の各一般式において、Rは、置換または非置換の炭化水素基を表す。表中の各一般式はRを有していてもよいし、有していなくてもよい。Xは第一の官能基を表す。)
本明細書において、樹脂(A)を得るための(メタ)アクリル共重合体とは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位を有する重合体を意味する。
(メタ)アクリル共重合体は、公知の方法に従って製造できる。
たとえば、溶剤中にて重合開始剤の存在下および加熱下に、(メタ)アクリル系モノマーの1種または2種以上を重合させることによって、本発明で使用する(メタ)アクリル共重合体が得られる。
また、(メタ)アクリル共重合体は、(メタ)アクリル系モノマーではないモノマーに由来する構造単位を一部含んでいてもよい。
例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸モノマーなどに由来する構造単位を含んでもよい。
ただし、(メタ)アクリル構造に由来する効果を十二分に得る観点では、(メタ)アクリル共重合体は、全構造単位の50質量%以上が(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位であることが好ましく、全構造単位の80質量%以上が(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位であることがより好ましい。
(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度、すなわち樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度は、好ましくは-20~100℃であり、より好ましくは20~80℃、である。このような数値範囲にすることで、実用上問題ない硬度の硬化膜を得ることができる。
本明細書中のガラス転移温度は、(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度、すなわち樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度を表す。
なお、(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度は、種々の方法で求めることが可能であるが、例えば以下式(Foxの式として知られている)に基づいて求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+(W3/Tg3)+・・・+(Wn/Tgn)
式中、Tgは、(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度(K)、W1、W2、W3・・・Wnは、それぞれのモノマーの質量分率、Tg1、Tg2、Tg3・・・Tgnは、それぞれ各(メタ)アクリル系モノマーおよび(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーの質量分率に対応する(メタ)アクリル系モノマーおよび(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーからなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す。
(第一の官能基)
第一の官能基としてはグリシジル基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基などが挙げられる。その中でも、耐薬品性や合成のしやすさの観点から、グリシジル基、水酸基、イソシアネート基であることが好ましい。これらのような第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体を使用することで、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂(樹脂(A))を得ることができる。
第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体は、共重合可能な不飽和二重結合及び第一の官能基とを併有するモノマーを該モノマーと共重合することが出来るモノマー等と共重合することで得ることが出来る。より具体的には、一般式(2)で示すような第一の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したり、または、該モノマーと共重合可能なモノマー等と共重合したりすることで得ることができる。
(R、Xは、一般式(1)、表1におけるものと同義である。Rは、置換または非置換の炭化水素基を表す。一般式(2)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい。)
共重合可能な不飽和二重結合及び第一の官能基を併有するモノマーは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体について説明する。
以下に、説明する(メタ)アクリル共重合体はあくまで、例示であり本発明の構成を限定するものではない。
まず、1つ目の例として第一の官能基としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
第一の官能基としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル共重合体は、共重合可能な不飽和二重結合及びグリシジル基とを併有するモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーを共重合することで得ることが出来る。例えば、下記一般式(3)で示すようなグリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したり、または、該モノマーと共重合可能なモノマーなどと共重合したりすることで得ることができる。
(Rは、表1におけるものと同義である。Rは一般式(2)におけるものと同義である。一般式(3)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい。)
グリシジル基(第一の官能基)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸α-エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸α-n-プロピルグリシジル、(メタ)アクリル酸α-n-ブチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸α-エチル-6,7-エポキシヘプチル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4-HBAGE)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等などが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル共重合体の調製のしやすさや、樹脂(A)の各種性状(重量平均分子量や、樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度、(メタ)アクリロイル基の含有量、酸価等)の調整のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、及びα-n-プロピル(メタ)アクリル酸グリシジルを用いることが好ましく、その中でも(メタ)アクリル酸グリシジルを用いることがより好ましい。
次に、2つ目の例として第一の官能基として水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
第一の官能基として水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体は、共重合可能な不飽和二重結合及び水酸基を併有するモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーを共重合することで得ることが出来る。例えば、下記一般式(4)で示すような水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したり、または、該モノマーと共重合可能なモノマーなどと共重合したりすることで得ることができる。
(Rは、表1におけるものと同義である。Rは一般式(2)におけるものと同義である。)
水酸基(第一の官能基)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル共重合体の調製のしやすさや、樹脂(A)の各種性状(重量平均分子量や、樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度、(メタ)アクリロイル基の含有量、酸価等)の調整のしやすさの観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、を用いることが好ましく、その中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
次に、3つ目の例として第一の官能基としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
第一の官能基としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル共重合体は、共重合可能な不飽和二重結合及びイソシアネート基を併有するモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーを共重合することで得ることが出来る。例えば、下記一般式(5)のようなイソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したり、または、該モノマーと共重合可能なモノマーなどと共重合したりすることで得ることができる。
(Rは、表1におけるものと同義である。Rは一般式(2)におけるものと同義である。一般式(5)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい。)
イソシアネート基(第一の官能基)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートオクチル(メタ)アクリレート、p-メタクリロキシ-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、m-アクリロキシ-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、m-又はp-イソプロペニル-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物のイソシアネートの一部を水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させたもの等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル共重合体の調製のしやすさや、樹脂(A)の各種性状(重量平均分子量や、樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度、(メタ)アクリロイル基の含有量、酸価等)の調整のしやすさの観点から、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、その中でも、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
4つ目の例として、第一の官能基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
第一の官能基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体は、共重合可能な不飽和二重結合及びカルボキシル基を併有するモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーを共重合することで得ることが出来る。例えば、下記、一般式(6)、一般式(7)で示すようなカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したり、または、該モノマーと共重合可能なモノマーなどと共重合したりすることで得ることができる。
(Rは、表1におけるものと同義である。Rは一般式(2)におけるものと同義である。一般式(7)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい。)
カルボキシル基(第一の官能基)を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル共重合体の調製のしやすさや、樹脂(A)の各種性状(重量平均分子量や、樹脂(A)の主鎖のガラス転移温度、(メタ)アクリロイル基の含有量、酸価等)の調整のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、その中でも、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましい。
上記で例示したような、各第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体の製造に使用することのできるモノマー(共重合可能な不飽和二重結合及び第一の官能基を併有するモノマーと共重合可能なモノマー)としては、共重合可能なエチレン性不飽和化合物であれば特に限定しないが、(メタ)アクリル系モノマーやその他ビニル系モノマーなどが挙げられる。
前述したとおり、(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルを表している。共重合可能な不飽和二重結合及び第一の官能基を併有するモノマーと共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーやその他ビニル系モノマーは、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、マクロモノマー、窒素含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
マクロモノマーとしては、例えば、片末端(メタ)アクリレート変性ポリアルキレングリコール、片末端(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
片末端(メタ)アクリレート変性ポリアルキレングリコールとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製NKエステル20G、40G、90G、230G、日油株式会社製日油ブレンマーPEシリーズ及びAEシリーズ等が挙げられる。
片末端(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、JNC株式会社製サイラプレーンFM-0711、FM-0721、FM-0725等、信越化学工業株式会社製X-22-174DX、X-22-2426等、及び、東亞合成株式会社製AK-5、AK-32等が挙げられる。
窒素含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの各種ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のビニル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニルや、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンまたはジビニルベンゼンなどの各種スチレン系芳香族単量体(芳香族ビニル系単量体)ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネートなどのマレイン酸、フマル酸、イタコン酸などによって代表される各種のジカルボン酸と1価アルコールとのジエステル等が挙げられる。
これらの中でも、共重合可能な不飽和二重結合及び第一の官能基を併有するモノマーと共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーとしては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであれば、(メタ)アクリル共重合体(樹脂(A)の主鎖)のガラス転移温度(Tg)を調整することが容易となる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中でも、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。
(メタ)アクリル共重合体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜適用可能である。例えば、重合反応により製造することが好ましく、ラジカル重合により製造することがより好ましい。また、重合は、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合などの公知の方法のいずれであってもよい。これらのうち、重合の精密な制御等の観点から、溶液重合が好ましい。
ラジカル重合の重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、および2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクタノエート、ジイソブチルパーオキサイド、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシピバレート、デカノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、およびt-ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化物系開始剤、過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなど、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の配合量は、特に限定されないが、重合するモノマーの混合液全体を100質量部とした場合に、0.001~10質量部とすることが好ましい。
また、重合反応に際しては、適宜、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤、分子量調整剤などを用いてもよい。さらに、重合反応は、1段階で行ってもよいし、2段階以上で行ってもよい。重合反応の温度は特に限定されないが、典型的には50℃~200℃、好ましくは80℃~150℃の範囲内である。
第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体としては、樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基の含有量や酸価を調整するという観点から、グリシジル基を有する(メタ)アクリル共重合体、水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル共重合体を用いることが好ましい。
(第二の官能基)
第二の官能基は、第一の官能基と反応する官能基であれば特に限定はされない。
第一の官能基がグリシジル基である(メタ)アクリル共重合体を用いたとき、第二の官能基は、カルボキシル基であることが好ましい。
第二の官能基として、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、下記一般式(8)で示すような、(メタ)アクリル酸、下記一般式(9)で示すようなβ-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキエシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドフタル酸等が挙げられる。
(R、Rは表1におけるものと同義である。一般式(9)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい)
上述したもの以外の第二の官能基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートマレイン酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのマレイン酸付加物、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのジカルボン酸付加物、EO6モル付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのマレイン酸付加物、EO10モル付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのシクロヘキセニルカルボン酸付加物等が挙げられる。
その中でも、樹脂(A)の調製のしやすさ、紫外線硬化の観点から、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリル系モノマーを用いることが好ましく、その中でも、アクリロイル基を有するアクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、カルボキシル基を有する多官能アクリル系モノマーを用いることがさらに好ましい。
第一の官能基が水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体を用いたとき、第二の官能基は、イソシアネート基であることが好ましい。
第二の官能基としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、下記一般式(10)で示すような、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートオクチル(メタ)アクリレート、p-メタクリロキシ-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、m-アクリロキシ-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、m-又はp-イソプロペニル-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
(R、Rは表1におけるものと同義である。一般式(10)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい)
上述したもの以外のイソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、ポリイソシアネート化合物のイソシアネートの一部を水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させたもの等が挙げられる。
その中でも、樹脂(A)の調製のしやすさ、紫外線硬化の観点から、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ポリイソシアネート化合物のイソシアネートの一部を水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物と反応させたものを用いることが好ましく、その中でも、アクリロイル基を有するイソシアネートエチルアクリレート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ポリイソシアネート化合物のイソシアネートの一部を水酸基とアクリロイル基を有する化合物と反応させたものを用いることがさらに好ましい。
第一の官能基がイソシアネート基である(メタ)アクリル共重合体を用いたとき、第二の官能基は、水酸基であることが好ましい。
第二の官能基として水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、一般式(11)で示すような2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(R、Rは表1におけるものと同義である。)
上述したもの以外の第二の官能基として水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する多官能(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
その中でも、樹脂(A)の調製のしやすさ、紫外線硬化の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、水酸基を有する多官能(メタ)アクリル系モノマーを用いることが好ましく、その中でも、アクリロイル基を有する2-ヒドロキシエチルアクリレートを用いることがより好ましい。
第一の官能基がカルボキシル基である(メタ)アクリル共重合体を用いたとき、第二の官能基は、グリシジル基であることが好ましい。
第二の官能基としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、一般式(12)で示すような(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸α-エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸α-n-プロピルグリシジル、(メタ)アクリル酸α-n-ブチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸α-エチル-6,7-エポキシヘプチル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4-HBAGE)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、エポキシ化シクロヘキシルポリラクトンメタクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等などが挙げられる。
(R、Rは表中におけるものと同義である。一般式(12)は、Rを有していてもよいし、有していなくてもよい)
その中でも、樹脂(A)の調製のしやすさ、紫外線硬化の観点から、(メタ)アクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを用いることが好ましく、その中でも、アクリロイル基を有するアクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを用いることがより好ましい。
[光重合開始剤(B)]
本塗料組成物は、開始剤(B)を含む。本塗料組成物に使用できる光重合開始剤としては、特に限定されるものはなく、用途や目的に応じて使い分けることができる。具体的には、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、アントラキノン系化合物、ベンジルメチルケタール化合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、α-アミノアルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル系化合物、ビイミダゾール系化合物、アリールヨードニウム塩系化合物などが挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用しても良い。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソプロポキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-イソブトキシ-2-フェニルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、4,4’-ジメトキシベンジル等が挙げられる。
アントラキノン系化合物としては、例えば、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-フェノキシアントラキノン、2-(フェニルチオ)アントラキノン、2-(ヒドロキシエチルチオ)アントラキノンが挙げられる。
ベンジルメチルケタール化合物としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。
α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-オンが挙げられる。
α-アミノアルキルフェノン系化合物としては、例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノンが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
オキシムエステル系化合物としては、例えば、(2E)-2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1-オンオキシムエステル、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシムが挙げられる。
ビイミダゾール系化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,
4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾ
ール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テト
ラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが挙げられる。
アリールヨードニウム塩系化合物としては、例えば、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム-ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。アリールスルホニウム塩系化合物としては、例えば、フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム-ヘキサフルオロホスフェート、フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム-ヘキサフルオロアンチモネートが挙げられる。
開始剤(B)としては、他の成分との相溶性という観点から、環状骨格と水酸基を併有するα-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物が好ましく、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンがより好ましい。
また別の観点から、開始剤(B)を二種類以上併用する場合は、吸収波長域の異なる開始剤(B)を含むことが好ましい。
吸収波長域が異なる開始剤(B)を二種類以上併用すると、紫外線領域の波長の光を、反射したり、吸収したりする顔料(C)の影響を受けにくく、紫外線硬化性が良好になる傾向がある。
なお、本明細書において、「吸収波長域の異なる」とは、開始剤(B)の極大吸収波長が5nm以上異なることを表す。この「極大吸収波長」とは、開始剤(B)の0.2質量%メタノール溶液について、JIS-K-0115-2004に基づく液体の吸光度測定に基づいて測定された吸収スペクトルを測定し、最も長波長側に現れる吸収極大に対応する波長を指す。前記極大吸収波長は、10nm以上異なることが好ましく、50nm以上異なることがより好ましい。
より具体的には、370~420nmの範囲内に極大吸収波長を有する開始剤(B)と、360nm以下の範囲内に極大吸収波長を有する開始剤(B)を1種類以上組み合わせることが好ましい。
370~420nmの範囲内に極大吸収波長を有する開始剤(B)としては、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(極大吸収波長:390nm)、2,4,6-トリメチルベンゾイルージフェニル-フォスフィンオキサイド(極大吸収波長:380nm)、ビス(2,4、6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(極大吸収波長:380nm)等が挙げられる。
それらの中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイルージフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4、6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドが好ましく、その中でも、ビス(2,4、6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドがより好ましい。
360nm以下の範囲内に極大吸収波長を有する開始剤(B)としては、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(極大吸収波長:330nm)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(極大吸収波長:340nm)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(極大吸収波長:330nm)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(極大吸収波長:320nm)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルーベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(極大吸収波長:330nm)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(極大吸収波長:330nm)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(極大吸収波長:340nm)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]―,1-(0-アセチルオキシム)、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]―エチルエステルとオキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]―エチルエステルの混合物(極大吸収波長:330nm)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(極大吸収波長:340nm)等が挙げられる。
それらの中でも、相溶性の観点から、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが好ましい。
本塗料組成物に含まれる開始剤(B)の量は、当該組成物を適切に硬化できる程度の量が含まれていれば良く、特に限定するものではない。
例えば、開始剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して1質量部~10質量部であることが好ましく、2質量部~9質量部であることがより好ましい。また、本塗料組成物が後述する多官能(メタ)アクリレート化合物(D)を含む場合、開始剤(B)の含有量は、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート化合物(D)との総量100質量部に対して、1質量部~10質量部であることが好ましく、2質量部~9質量部であることがより好ましい。
開始剤(B)の含有量が、1質量部以上であれば、本塗料組成物に十分な紫外線硬化性を与えることが可能となり、一方で、光重合開始剤の含有量が10質量部以下であれば、硬化膜の黄変や、光重合開始剤が硬化膜からブリードアウトするなどの不具合が生じにくくなる。
[顔料(C)]
本塗料組成物は着色に寄与する顔料(C)を含む。
前述したとおり、一般的に、顔料は、紫外線硬化を阻害し、硬化膜外観不良の原因となる可能性がある。そのため、紫外線硬化型塗料組成物に、着色に必要な量の顔料を添加することは困難であった。しかし、本塗料組成物は、樹脂(A)を使用することで顔料(C)の移動を防ぎ、良好な硬化膜外観を得ることができる。そのため、本塗料組成物は、十分な着色に必要な量の顔料(C)を含むことが可能である。
顔料(C)としては、公知の着色顔料または、光輝顔料を適宜用いることができる。
顔料(C)を含むことより、着色された物品を得ることができる。
本実施形態の塗料組成物は、2種以上の顔料(C)を含んでいてもよい。
公知の着色顔料として具体的には、例えば、白色顔料としては、チタン白(酸化チタン)、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などが挙げられる。また、黒色顔料しては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどが挙げられる。黄色顔料としては、ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどが挙げられ、黄褐色顔料としては、クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどが挙げられる。
赤色顔料としては、酸化鉄、アンバーなどの赤褐色顔料、ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッドキナクリドン赤顔料などが挙げられる。紫色顔料としては、コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなど、青色顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなど、緑色顔料としては、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものでもない。
光輝顔料としては、メタリック顔料またはパール顔料を適宜用いることができる。
メタリック顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレーク、ガラスフレーク、雲母状酸化鉄、マイカフレーク、金属酸化物を被覆した雲母状酸化鉄、金属酸化物を被覆したマイカフレーク等が挙げられる。
パール顔料としては、例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン、被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。
顔料(C)は、本塗料組成物中では分散剤を用いて分散させることが好ましい。
顔料(C)はあらかじめ分散剤で分散されたものを使用してもよいし、本塗料組成物を製造する際に分散剤を用いて分散させてもよい。
また、顔料(C)は、顔料(C)と分散剤を含む市販の顔料ペーストを使用してもよいし、自ら分散剤を用いて分散させたものを用いても良い。
自ら顔料(C)を分散する方法は、特に限定されないが、分散する方法としては、例えば、ホモジナイザー、ディスパー、ビーズミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を使用することが可能である。
顔料を分散する分散剤としては、ビックケミー社製顔料分散剤や(Anti-Terra-U、Disperbyk-101、103、106、110、161、162、164、166、167、168、170、174、182、184及び2020等)、味の素ファインテクノ社製顔料分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール社製顔料分散剤(ソルスパーズ5000、12000、32000、33000及び39000等)等が挙げられる。
また、顔料を分散する分散剤としては、樹脂(A)を用いることもできる。
分散剤に樹脂(A)を用いた場合、硬化膜に分散剤も固定されるため硬化膜硬度が向上したり、耐薬品性が向上する傾向がある。
本塗料組成物に含まれる顔料(C)の含有量は、着色する程度の量が含まれていれば良く、特に限定するものではない。
例えば、顔料(C)の含有量が、樹脂(A)100質量部に対して0.5~100質量部含むことが好ましく、1~90質量部含むことがより好ましい。
また、本塗料組成物が後述する多官能(メタ)アクリレート化合物(D)を含む場合、顔料(C)の含有量は、樹脂(A)と多官能(メタ)アクリレート化合物(D)との総量100質量部に対して、0.5~100質量部含むことが好ましく、1~90質量部含むことがより好ましい。顔料(C)の含有量がこのような範囲であれば、紫外線硬化性が良好な塗料組成物となり、十分に着色された硬化膜が得られる。
一方で、顔料(C)の種類によって、硬化膜を着色するための必要量が異なる。例えば、一般的に、カーボンブラック(黒)等は比較的少量でも十分に着色するが、酸化チタン(白)等では十分に着色させるためには比較的多くの量を必要とする。このように、顔料の種類によって着色の程度が違うため、単純に顔料の含有量のだけで着色の程度を調整することは困難である。
そのため、着色の程度を調整するため、硬化膜の「透明性」を1つの指標として、本塗料組成物を設計した。
より具体的には、顔料(C)の添加量が多いほど、塗膜の「透明性」は低くなり、全光線透過率が低くなる。換言すると、全光線透過率が低いほど、十分に着色されていると言える。そこで、硬化膜の「透明性」(全光線透過率)を指標として、着色の程度を調整した。
本明細書中の全光線透過率とは、可視光領域での透過率を測定した値であり、一見、紫外線領域が関係する紫外線硬化性には影響しないようにも思われる。
しかし、見た目の着色の程度(可視光領域での全光線透過率)は、紫外線硬化性に影響する傾向がある。一般的に、硬化膜の全光線透過率が低いすなわち硬化膜の「透明性」が低いほど、紫外線が塗膜に十分に到達せず、十分に硬化しない傾向がある。加えて、そのような塗料組成物は、前述の理由により、紫外線硬化時の顔料移動の影響を受けやすく、硬化ムラも起きやすい傾向がある。
しかし、本塗料組成物は、樹脂(A)の顔料(C)を分散する効果と顔料(C)の移動を防ぐ効果から、顔料(C)の含有量が多い場合でも、すなわち、全光線透過率が低い場合でも、紫外線硬化性が良好な塗料組成物を得ることができる。
着色の観点から、本塗料組成物から得られる膜厚5μmの硬化膜の全光線透過率が0~60%となるように顔料(C)を含むことが好ましい。
硬化膜の全光線透過率が上記の範囲であれば、紫外線硬化性が良好な塗料組成物となり、着色された硬化膜が得られる。
顔料(C)の平均粒子径は、好ましくは0.01~50μm、より好ましくは0.015~40μmであり、さらに好ましくは0.02~30μmである。
顔料(C)の平均粒子径がこのような範囲であれば、紫外線硬化性が良好な塗料組成物となり、着色された硬化膜を得られる。
なお、平均粒子径は、典型的には動的光散乱法により測定することができる。具体的には、顔料(C)をメタノールにて希釈し、25℃で、Malvern Instruments Ltdの装置「ゼータサイザー」を用い、光強度分布よりキュムラント解析(ISO13321)を行い、得られたZ-Averageの値を平均粒子径とすることができる。
[多官能(メタ)アクリレート化合物(D)]
本塗料組成物には、樹脂(A)、開始剤(B)、顔料(C)に加えて、さらに樹脂(A)と異なる多官能(メタ)アクリレート化合物(D)、すなわち(メタ)アクリル樹脂骨格を持たない多官能(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。多官能(メタ)アクリレート化合物(D)は、樹脂(A)の硬化膜物性に加えて、異なる硬化膜物性(例えば、高硬度の硬化膜を得ることや、耐薬品性の向上など、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)に由来する物性)を付与することができる。
多官能(メタ)アクリレート化合物(D)は、下記、一般式(13)に示すような(メタ)アクリロイル基を一分子中に2個以上の有する多官能(メタ)アクリレートを含む。多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことで、より一層、高硬度で傷に強い硬化膜を得ることが出来る。
(Rは一般式(1)におけるものと同義である、*は結合手を示す)
繰り返しになるが、一般的に、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)は、樹脂(A)と比較して、硬化収縮が起きやすく顔料(C)の移動を防ぐことができない。また、樹脂(A)と比較し、顔料(C)の分散効果も低い。
そのため、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)のみが硬化膜形成成分である着色用紫外線硬化型塗料組成物は、硬化膜の外観不良が発生しやすい。しかし、樹脂(A)と併用すると、樹脂(A)の顔料(C)の移動を防ぐ効果と、顔料(C)の分散効果を維持しつつ、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)に由来する物性を発揮することができる。
多官能アクリレート化合物(D)は、一般式(13)に表されるような(メタ)アクリロイル基を1分子内に2個以上有する化合物であれば、特に限定はしないが、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、1分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールグリシジルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサアクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
その中でも、高硬度の硬化膜を得るという観点では、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用することがより好ましい。
高硬度の硬化膜を得るという観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、組成物の不揮発成分全体に対して、0~90質量%が好ましく、20~85質量%がより好ましく、40~80質量%がさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量をこの範囲にすることで、高硬度の硬化膜が得られ、かつ良好な硬化膜外観を得ることが出来る。
[その他の成分]
本塗料組成物は、本発明の効果を損なわない限り、前記(A)~(D)成分以外の成分(以下、「その他の成分」という)をさらに含んでいてもよい。その他の成分としては、具体的には、顔料(C)以外の顔料、艶消し剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール・ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤(UVA)、界面活性剤、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤等が挙げられる。
本塗料組成物に用いることのできる顔料(C)以外の顔料としては、体質顔料が挙げられる。体質顔料としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。これらを、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。
なお、これらの顔料(C)以外の顔料は、紫外線を吸収しにくく、紫外線硬化性や、硬化膜外観に影響しにくい。
<紫外線硬化型塗料組成物の製造方法>
本塗料組成物の製造方法としては特に限定されるものではなく、上記の各構成成分を公知の方法により混合することで製造することができる。例えば、上記の各成分を全て一括で混合し、公知の高速分散機等で撹拌することにより製造することができる。
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、本塗料組成物の硬化物から形成されるものである。
硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、基材上に、公知の方法により本塗料組成物を塗装し、紫外線照射し硬化させることで形成することができる。
基材としては、特に限定はしないが、例えば、プラスチック等の有機素材、ガラス、セラミックス及び金属等の無機素材が挙げられる。上記プラスチックとしては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアルキレン、ABS及びこれらの混合物が挙げられる。
本塗料組成物の塗装方法としては、例えば、スプレー塗装法、静電塗装法、カーテンコート塗装法、スピンコート塗装法、ディッピング塗装法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等などが挙げられる。硬化膜の厚みとしては、用途に応じて適宜設計できる。乾燥膜厚は、1~100μmが好ましく、3~50μmがより好ましく、5~20μmがさらに好ましい。乾燥膜厚をこのような数値範囲とすることで、十分に紫外線硬化させることができ、十分に着色された硬化膜を得ることができる。
紫外線硬化の際は、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。波長は、190~450nmの範囲にある紫外線が好ましい。また、紫外線の照射量は、一般的には10~10,000mJ/cmが好ましく、100~2,000mJ/cmがより好ましく、300~1,000mJ/cmがさらに好ましい。紫外線の照射量を、このような数値範囲とすることで、十分に紫外線硬化した硬化膜を得ることができる。
<硬化膜を備える物品>
上述のような方法によって得られる硬化膜を備える塗装物品としては、特に限定はしないが、例えば、各種のプラスチック成形品、例えば、携帯電話、電家製品、自動車のバンパー等が挙げられ、有機素材、無機素材を問わず使用できる。
これら対象となる物品に対して、本塗料組成物を直接塗装することもできるし、あらかじめ、別の基材に本塗料組成物を塗装してフィルム又はシートにしたものを対象となる物品に貼り付けて使用することもできる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<樹脂(A)の合成>
(樹脂(A-1)の合成)
撹拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管を備えた4つ口フラスコを準備した。
このフラスコに、イソ酢酸ブチル100部を仕込み、窒素雰囲気中で115℃まで撹拌しながら加温した。ついで、イソボルニルメタクリレート25部、メタクリル酸グリシジル75部、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル(和光純薬工業株式会社製、V-40)4質量部を混ぜた混合液を2時間かけて上記フラスコに滴下した。
滴下終了後、さらに115℃で5時間撹拌し反応させた。その後、加熱を止めて室温まで冷却し、第一の官能基としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル共重合体組成物を得た。
(メタ)アクリル共重合体の前述のFoxの式に基づき使用したモノマー配合比より求めたガラス転移温度は67℃であった。ここで求めたアクリル共重合体のガラス転移温度は、後述する(メタ)アクリル樹脂(A-1)の主鎖のガラス転移温度を表す。
次に、得られた(メタ)アクリル共重合体を用いて、二段階目の反応を行い、以下の通り樹脂(A-1)を合成した。
得られた(メタ)アクリル共重合体組成物に、さらにアクリル酸35質量部(カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部、トリフェニルフォスフィン1.0質量部を混合した後、105℃にまで加熱し、さらに、8時間撹拌しながら、第一の官能基のグリシジル基と、第二の官能基であるカルボキシル基を反応させた。その後、加熱を止めて、室温まで冷却し、固形分が40質量%となるまで、イソ酢酸ブチルを加え、(メタ)アクリル樹脂(A-1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂(A-1)の数平均分子量は6,500、重量平均分子量は11,000だった。さらに樹脂1gあたりの(メタ)アクリロイル基の含有量は3.6mmol、酸価0mgKOH/gであった。
なお、数平均分子量と重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、算出した。用いた装置、条件等は以下の通りである。
・使用機器:HLC8220GPC(株式会社東ソー製)
・使用カラム:TSKgel SuperHZM-M、TSKgel GMHXL-H、TSKgel G2500HXL、TSKgel G5000HXL(株式会社東ソー製)
・カラム温度:40℃
・標準物質:TSKgel 標準ポリスチレンA1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(株式会社東ソー製)
・検出器:RI(示差屈折)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1ml/min
なお、樹脂(A)1gあたりの(メタ)アクリロイル基の含有量は、樹脂(A)を精製し、残存モノマーの影響を除いた状態で、JIS-K-0070に準ずる手法によりヨウ素価を求めてその値から算出した。
酸価も同様に樹脂(A)を精製し、残存モノマーの影響を除いた状態で、JIS-K-5601-2-1(酸価滴定法)に準ずる手法により測定した。
(樹脂(A-2)~(A-6)の合成)
(メタ)アクリル樹脂(A-2)~(A-6)についても、樹脂(A-1)の合成法に準じた方法で合成した。
(樹脂(A-7)の合成)
また、樹脂(A-7)については、樹脂(A-1)と同様に表2の原料を用いて第一の官能基として水酸基を有する(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル共重合体組成物を得た。
次に、得られた(メタ)アクリル共重合体を用いて、二段階目の反応を行い、以下の通り、樹脂(A-7)を合成した。
得られた(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル共重合体組成物に、さらにイソシアネートエチルアクリレートを26質量部(イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部混合した後、70℃で6時間撹拌し第一の官能基である水酸基と第二の官能基であるイソシアネート基を反応させた。そして、赤外線吸収スペクトル装置(Perkin Elmer製FTIR Spectrum100)によりスペクトルを測定し、イソシアネート基が完全に消費されたことを確認した。この確認の後、フラスコを冷却し、固形分が40質量%となるまで、イソ酢酸ブチルを加え、(メタ)アクリル樹脂(A-7)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。
(樹脂(A-8)の合成)
樹脂(A-8)については、樹脂(A-1)と同様に表2の原料を用いて第一の官能基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル共重合体組成物を得た。
次に、得られた(メタ)アクリル共重合体を用いて、二段階目の反応を行い、以下の通り、樹脂(A-8)を合成した。
得られた(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル共重合体組成物に、さらに4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(三菱ケミカル株式会社製、以下「4HBAGE」)42質量部(クリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部、トリフェニルフォスフィン1.0質量部を混合した後、105℃にまで加熱し、8時間撹拌し第一の官能基であるカルボキシル基と第二の官能基であるグリシジル基を反応させた。加熱を止めて、室温まで冷却し、固形分が40質量%となるまで、イソ酢酸ブチルを加え、(メタ)アクリル樹脂(A-8)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。
(樹脂(A-9)の合成)
(メタ)アクリル樹脂(A-9)についても、(メタ)アクリル樹脂(A-8)の合成法に準じた方法で合成した。
(樹脂(A-10)の合成)
(メタ)アクリル樹脂(A-10)に関しては、二段階目の反応は行わず、表2記載の原料を用いて、(メタ)アクリル樹脂(A-10)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。
(メタ)アクリル樹脂(A-1)~(A-10)の原料および原料の仕込み量、ならびに、酸価、数平均分子量および重量平均分子量を示す。
なお、表2の原料の欄における、配合量の数値の単位は「質量部」である。
表2の用語の説明
・GMA・・・メタクリル酸グリシジル
・HEMA・・・2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・AA・・・アクリル酸
・MMA・・・メチル(メタ)アクリレート
・BMA・・・n-ブチルメタクリレート
・IB-X・・・イソボルニルメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名ライトエステルIB-X)
・BA・・・nーブチルアクリレート
・AOI・・・イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工株式会社製、商品名カレンズAOI)
・4HBAGE・・・4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(三菱ケミカル株式会社製)
[実施例1]
<塗料組成物の調製>
上記で合成した(メタ)アクリル樹脂(A-1)を含む(メタ)アクリル樹脂組成物250質量部(含まれる樹脂(A-1)は100質量部)と、カーボンブラック分散体(大日精化工業株式会社製、型番FPGS245S)16質量部(含まれるカーボンブラックは1.3質量部)と、4.5質量部のイルガキュアー184とを混合し、さらにイソプロピルアルコールを添加して、固形分30質量%の塗料組成物を作製した。
なお、表において、(メタ)アクリル樹脂の量は、樹脂組成物(固形分比率:40質量%)としての量ではなく、樹脂組成物に含まれる樹脂(固形分)の量を記載している。カーボンブラックについても同様で、カーボンブラック分散体としての量ではなく、分散体に含まれる顔料(カーボンブラック)の量を記載している。
[実施例2~35]
表3~7に記載した配合割合となるように、実施例1と同様にして、各塗料組成物を作製した。
なお、表6中のアルミペーストの値についても、上記のカーボンブラックと同様に、アルミペーストとしての量ではなく、アルミペースト中に含まれるアルミ顔料の量を記載している。
<試験塗板および評価用膜の作成>
各実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、黒色ABS樹脂板(エンジニアリングテストサービス社製、厚さ1.0mm、辺の長さ100mm×100mmの正方形状)に乾燥後の膜厚が5μmになるようにエアスプレーで塗装し、その後、80℃で5分間乾燥させた。さらに、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス株式会社製)を使用して、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線照射を行って硬化させ、膜厚5μmの硬化膜を備えた樹脂板(以下、試験塗板という)を得た。
また、No.12のバーコーターを用いて塗料組成物をポリプロピレン樹脂板(縦100mm×横100mm×厚み2mm、JIS-K-6921に準じて作成されたもの)に塗装し、その後、80℃で5分間乾燥させた。さらに、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス株式会社製)を使用して、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線照射を行って硬化させ、硬化膜を備えた樹脂板を得た。得られた樹脂板から硬化膜を剥離し、膜厚5μmの硬化膜(以下、評価用膜という)を得た。
<評価>
得られた各種の塗料組成物から得られた試験塗板と評価用膜(硬化膜)について、以下の評価を行った(なお、全光線透過率の評価についてのみ、評価用膜(硬化膜)そのものを使用し、それ以外の評価については試験塗板を用いた)。各評価結果については、各種の塗料組成物の配合とともに表3~6に記載した。
(硬化膜外観)
試験塗板上の硬化膜に2mmの間隔で格子パターン方向に26本ずつ線を引き格子(25マス×25マス)を描写した。そのうち格子1マスずつ、外観異常がないか(硬化ムラが無いかどうか)を目視で確認し、外観異常のある格子の数で外観異常の面積の割合を評価した。
5・・・どの格子にも硬化膜外観異常が見られない。
4・・・外観異常(硬化ムラ)の面積の割合が10%未満
3・・・外観異常(硬化ムラ)面積の割合が10%以上20%未満
2・・・外観異常(硬化ムラ)面積の割合が20%以上50%未満
1・・・外観異常(硬化ムラ)面積の割合が50%以上
(紫外線硬化性(硬化性))
試験塗板上の硬化膜の硬化状態について、以下の評価基準に従って評価した。
硬化膜を指で触り、指に塗料組成物が付着する程度を下記の評価基準で評価した。
5・・・硬化膜を指で触っても、硬化膜に変化がない。
4・・・硬化膜を指で触ると、うっすらと指の跡が残る。
3・・・硬化膜を指で触ると、はっきり指の跡が残る
2・・・硬化膜を指で触ると、少し指に塗料組成物が付着する。
1・・・硬化膜を指で触ると、べったりと指に付着する。
(60°光沢)
試験塗板上の硬化膜の60°光沢(光沢(60°))を、BYK-Gardner GmbH社製の光沢計「マイクロ-グロス」で測定した。艶消し剤含まない塗料組成物では、この光沢値が高いほど硬化膜の外観が良好な傾向がある。
(全光線透過率)
ヘーズメーター(東京電色社製、オートマチックヘーズメーター TC-H3DPK/2)で、評価用膜(硬化膜)の全光線透過率を測定した。全光線透過率が低いほど膜が十分に着色されている傾向にある。
なお、先に説明したとおり、本評価についてのみ、ポリプロピレン樹脂板から剥離した「評価用膜(硬化膜)そのもの」を用いて行なっている。
(鉛筆硬度)
試験塗板を使用し、表面性測定器(新東科学株式会社製、トライボギア14FW)及び鉛筆硬度測定用鉛筆(三菱鉛筆株式会社製の三菱Uni)を用い、JIS‐K‐5600-5-4(1999)硬化膜の機械的性質―引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠した試験を行った。測定荷重は750g、測定の速度は30mm/min、測定距離は5mmとした。測定は5回行い、合格数が4/5を超えた鉛筆の硬度を評価結果とした。
<表3:樹脂(A)の影響>
<表4:多官能(メタ)アクリレート化合物(D)の併用>
<表5:開始剤(B)の影響>
<表6:顔料(C)の影響>
表3~6の用語の説明
・DPHA・・・新中村化学株式会社製、NKエステルA-DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・PETA・・・東亞合成株式会社製、アロニックスM-305、ペンタエリスリトールトリアクリレート
・A-9300・・・新中村化学株式会社製、NKエステルA-9300、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
・A-200・・・新中村化学株式会社製、NKエステルA-200、ポリエチレングリコールジアクリレート
・カーボンブラック・・・カーボンブラック分散体、型番FPGS245S、大日精化工業株式会社製、平均粒径0.024μm、顔料濃度8質量%
・酸化チタン CR-95・・・石原産業株式会社製、酸化チタン、平均粒径0.28μm
・アルミペーストFZ-U75C・・・東洋アルミ社製、アルミペースト、平均粒径30μm、顔料濃度43質量%
・イルガキュアー184・・・BASF株式会社製、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、極大吸収波長:330nm
・イルガキュアー127・・・BASF株式会社製、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、極大吸収波長:330nm
・イルガキュアー819・・・BASF株式会社製、ビス(2,4、6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、極大吸収波長:380nm
表3~6に記載した結果から判る通り、本発明の構成通りの実施例1~29においては、紫外線硬化性が良好な紫外線硬化型塗料組成物となり、硬化膜の外観が良好であった。
一方、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有していない(メタ)アクリル樹脂を使用したものでは(比較例1~4)、得られる硬化膜の外観が良好で、紫外線硬化性が良好な紫外線硬化型塗料組成物を得ることができなかった。また、硬化膜形成成分として樹脂(A)を含まずに、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)のみを使用したもの(比較例5)においては、良好な硬化膜外観を得ることができなかった。
このことは、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂(樹脂(A))を用いることで、紫外線硬化時に、樹脂(A)が塗膜内の顔料(C)の移動を抑制し、均一に紫外線硬化したことによるものであると考えられる。
[追加の検討]
上記の各種評価に加えて耐薬品性の評価を行った。
<耐薬品性の評価>
(耐薬品性)
試験塗板の硬化膜の表面に、日焼け止め剤[商品名:ウルトラシアードライタッチ・サンブロックSPF45,ニュートロジーナ社製,紫外線吸収剤:サリチル酸エステル誘導体(10質量%)及びベンゾフェノン誘導体(5質量%)]を0.1g/20cmの割合で塗布し、その後、強制対流のない乾燥機(温度はそれぞれ40±2℃と80±2℃)にて4時間静置した。その後、水洗して日焼け止め剤を除去し、硬化膜の外観を以下の評価基準にて目視で判定した。
5・・・硬化膜外観に変化が全くない。
4・・・硬化膜のツヤがわずかに低下する。
3・・・硬化膜にわずかに痕跡が残る
2・・・硬化膜にはっきりと痕跡が残る
1・・・硬化膜が基材から剥離する。
表7の結果からわかるように、実施例2、11、21、23、30、31、34、35は、硬化膜外観と、紫外線硬化性だけではなく、耐薬品性も良好な結果であった。
この理由としては、実施例2及び実施例21は、実施例3や実施例8、実施例32と比較して、樹脂(A)1gあたりの(メタ)アクリロイル基の含有量が多いために硬化膜が密に架橋し、これにより薬品が硬化膜中に浸透しにくくなって耐薬品性が良好な結果になったことが考えられる。
また、同様に実施例11、23、30、31、34、35は、多官能(メタ)アクリレート化合物を併用したことで硬化膜がより密に架橋し、さらに耐薬品性が向上したと考えられる。
さらに詳しく見ると、実施例30及び実施例34は、実施例31や実施例35と比較して、耐薬品性がより良好となっている。この理由としては、これらの実施例で使用している樹脂(A-8)は酸価が低いため、硬化膜に薬品が浸透しにくくなっていることが考えられる。
また、実施例11、23、30、31、34、35中でも、酸価が低い樹脂(A-2)及び樹脂(A-8)を使用し、かつ、吸収波長域の異なる開始剤(B)を併用した実施例23、34は、耐薬品性が特に良好であった。これは、極大吸収波長域の異なる開始剤(B)を併用することで、顔料(C)の影響(紫外線の反射や吸収)を受けにくく、紫外線硬化性が良好となって耐薬品性が向上したと考えられる。

Claims (11)

  1. 紫外線硬化型塗料組成物であって、
    (メタ)アクリル樹脂(A)と光重合開始剤(B)と顔料(C)とを含み、
    前記(メタ)アクリル樹脂が、
    側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、
    前記顔料が、着色顔料及び光輝顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含み、
    前記紫外線硬化型塗料組成物から得られる膜厚5μm硬化膜の全光線透過率が0%以上60%以下となるように顔料を含み、
    前記(メタ)アクリロイル基の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂1gあたり1mmol以上10mmol以下であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂の酸価が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が2,000以上60,000以下である
    紫外線硬化型塗料組成物。
  2. 紫外線硬化型塗料組成物であって、
    (メタ)アクリル樹脂(A)と光重合開始剤(B)と顔料(C)とを含み、
    前記(メタ)アクリル樹脂が、
    側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、
    前記顔料が、着色顔料及び光輝顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含み、
    前記紫外線硬化型塗料組成物から得られる膜厚5μm硬化膜の全光線透過率が0%以上60%以下となるように顔料を含み、
    前記(メタ)アクリロイル基の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂1gあたり1mmol以上10mmol以下であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が2,000以上60,000以下であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂の酸価が0mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂の主鎖のガラス転移温度が30℃以上100℃以下である
    紫外線硬化型塗料組成物。
  3. 請求項2に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂の酸価が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である
    紫外線硬化型塗料組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂は、
    側鎖に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体と、
    前記第一の官能基と反応する第二の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物を含み、
    前記第一の官能基がグリシジル基であり、
    前記第二の官能基がカルボキシル基である、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂は、
    側鎖に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体と、
    前記第一の官能基と反応する第二の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物を含み、
    前記第一の官能基が水酸基であり、
    前記第二の官能基がイソシアネート基である、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂は、
    側鎖に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体と、
    前記第一の官能基と反応する第二の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物を含み、
    前記第一の官能基がイソシアネート基であり、
    前記第二の官能基が水酸基である、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  7. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂は、
    側鎖に第一の官能基を有する(メタ)アクリル共重合体と、
    前記第一の官能基と反応する第二の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとの反応物を含み、
    前記第一の官能基がカルボキシル基であり、
    前記第二の官能基がグリシジル基である、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記顔料は、
    平均粒径0.01μm以上50μm以下の顔料を含む、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂と異なる多官能(メタ)アクリレート化合物(D)をさらに含む、
    紫外線硬化型塗料組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の紫外線硬化型塗料組成物の硬化膜。
  11. 請求項10に記載の硬化膜を備えた物品。
JP2018190600A 2018-10-09 2018-10-09 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品 Active JP7321444B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018190600A JP7321444B2 (ja) 2018-10-09 2018-10-09 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018190600A JP7321444B2 (ja) 2018-10-09 2018-10-09 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020059783A JP2020059783A (ja) 2020-04-16
JP7321444B2 true JP7321444B2 (ja) 2023-08-07

Family

ID=70220010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018190600A Active JP7321444B2 (ja) 2018-10-09 2018-10-09 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7321444B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000104006A (ja) 1998-09-28 2000-04-11 Dainippon Printing Co Ltd 顔料分散剤、感光性着色組成物及び遮光層用組成物
JP2005075835A (ja) 2003-08-29 2005-03-24 Sanyo Chem Ind Ltd 電子線硬化型コーティング用組成物
JP2014210892A (ja) 2013-04-22 2014-11-13 昭和電工株式会社 (メタ)アクリレート系ポリマー、該ポリマーを含む組成物及びその用途
WO2016002399A1 (ja) 2014-07-02 2016-01-07 Dic株式会社 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、塗料、塗膜、及び積層フィルム

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5914507B2 (ja) * 1977-04-12 1984-04-04 日本ペイント株式会社 活性エネルギ−線硬化性エナメル塗料の製造方法
JPS63152604A (ja) * 1986-12-17 1988-06-25 Showa Highpolymer Co Ltd 光硬化可能な樹脂組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000104006A (ja) 1998-09-28 2000-04-11 Dainippon Printing Co Ltd 顔料分散剤、感光性着色組成物及び遮光層用組成物
JP2005075835A (ja) 2003-08-29 2005-03-24 Sanyo Chem Ind Ltd 電子線硬化型コーティング用組成物
JP2014210892A (ja) 2013-04-22 2014-11-13 昭和電工株式会社 (メタ)アクリレート系ポリマー、該ポリマーを含む組成物及びその用途
WO2016002399A1 (ja) 2014-07-02 2016-01-07 Dic株式会社 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、塗料、塗膜、及び積層フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020059783A (ja) 2020-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106715498B (zh) 光固化性树脂组合物、油墨和涂料
TW201231570A (en) Colored aqueous UV curable coating composition
JP6390143B2 (ja) 黒色組成物、黒色塗膜、および積層体
JP5569726B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びフィルム基材
JP5186768B2 (ja) 帯電防止用硬化性組成物、硬化膜及び積層体
JP2020041072A (ja) 樹脂および硬化性樹脂組成物
JP7321444B2 (ja) 紫外線硬化型塗料組成物、硬化膜、硬化膜を備えた物品
JP6874787B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、硬化物及び積層体
JP2008031234A (ja) 活性エネルギー線硬化被膜形成組成物用の顔料分散剤
CN111032793B (zh) 活性能量射线固化性涂料组合物
JP2018095764A (ja) 感光性用組成物、加飾シート、および成型加工品
JP6973031B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、加飾シート、および成型加工品
JP7058144B2 (ja) 硬化性組成物及びこれを用いたフィルム、およびフィルムを用いた成形品
JP7244172B2 (ja) 硬化性樹脂組成物およびこれを用いたフィルム、およびフィルムを用いた成形品
TWI808944B (zh) 光硬化性樹脂組成物、墨水及塗料
JP6911420B2 (ja) 活性エネルギー線重合性組成物
JP2018177838A (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2023057930A (ja) ラジカル重合性重合体および感光性組成物
JP2020172564A (ja) フィラー粒子、膜形成用組成物、膜を備えた物品、成形用樹脂材料および成形品
WO2024058031A1 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層物
JP2023003314A (ja) 光硬化性樹脂組成物および硬化被膜付き木質基材
JP2023069277A (ja) 現像性を有する硬化性組成物、硬化物、積層体
CN113661191A (zh) 紫外线固化型氨基甲酸酯丙烯酸酯树脂、及含有其的紫外线固化型树脂组合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220921

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221206

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230616

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20230626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7321444

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150