JP2023069277A - 現像性を有する硬化性組成物、硬化物、積層体 - Google Patents

現像性を有する硬化性組成物、硬化物、積層体 Download PDF

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JP2023069277A
JP2023069277A JP2021181032A JP2021181032A JP2023069277A JP 2023069277 A JP2023069277 A JP 2023069277A JP 2021181032 A JP2021181032 A JP 2021181032A JP 2021181032 A JP2021181032 A JP 2021181032A JP 2023069277 A JP2023069277 A JP 2023069277A
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祐太 井上
Yuta Inoue
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Abstract

【課題】紫外線未照射部の優れた現像性、紫外線照射部の耐薬品性を両立できる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び硬化塗膜、及び基材の表面に当該硬化物からなる硬化塗膜を有する積層体を提供する。【解決手段】1分子中に1個のカルボキシル基および1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(A)、1分子中に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(C)、光重合開始剤(D)、並びに、シランカップリング剤(E)を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関し、より詳しくは溶剤乾燥後の現像
性と硬化後の密着性、耐薬品性及び硬度に優れた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関
する。
スマートフォンやタブレットPCのようなディスプレイ機器のカバーウィンドウ上には
、非表示領域であるベゼルが存在する。ベゼルの製造方法の一つとしてスクリーン印刷法
があるが、膜厚の均一性等の点で課題があった。また、フォトリソグラフィ法においては
現像のしやすさと硬化後の膜の強度の点で課題があった。
例えば特許文献1にはカルボキシル基を含有する(メタ)アクリロイルモノマーとアク
リル系共重合体からなるアルカリ現像性に優れた樹脂組成物が記載されている。
特開平7-76663号公報
特許文献1はアルカリ現像性に優れるものの、耐薬品性及び耐擦傷性に劣るという問題
があった。
本発明の目的は、溶剤乾燥後の現像性、及び紫外線照射後の密着性、耐薬品性及び硬度
を両立し得る活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、1分子中に1個のカル
ボキシル基および1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と1分子中に少なくとも
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物を配合
することにより、その硬化塗膜の現像性及び耐アルコール性が向上することを見出し本発
明に至った。
すなわち本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、
[1]1分子中に1個のカルボキシル基および1個の(メタ)アクリロイル基を有する化
合物(A)(以下、成分(A))と1分子中に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイ
ル基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)(以下、成分(B))を含むこ
とを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[2]成分(A)が1分子中に少なくとも一つ以上の環状骨格を有することを特徴とする
[1]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[3]成分(A)、成分(B)に加えて、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を
有する多官能(メタ)アクリレート化合物(C)(以下、成分(C))を含むことを特徴
とする[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[4]成分(A)~(C)の総量に対して成分(A)が50~90質量%、成分(B)が
1~30質量%、成分(C)が1~20質量%である[1]~[3]に記載の活性エネル
ギー線硬化型樹脂組成物。
[5]成分(A)~成分(C)の総量に対して光重合開始剤(D)(以下、成分(D))
を1~30質量%含むことを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の活性エネル
ギー線硬化型樹脂組成物。
[6]成分(A)~成分(C)の総量に対してシランカップリング剤(E)(以下、成分
(E))を1~20質量%含むことを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載の活
性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に活性
エネルギー線を照射して硬化してなる硬化物。
[8]基材の表面に[7]に記載の硬化物を有する積層体。
本発明は、溶剤乾燥後の優れた現像性、紫外線照射後の密着性、耐薬品性及び硬度を両
立できる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び硬化塗膜、及び基材の表面に当該硬化物
からなる硬化塗膜を有する積層体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書における「(メタ)アクリレート」と
は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を、「(メタ)アクリル」とは「アク
リル」及び/又は「メタクリル」を、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及
び/又は「メタクリロイル」を、「(メタ)アクリロニトリル」とは「アクリロニトリル
」及び/又は「メタクリロニトリル」を、「(共)重合」とは「単独重合」及び/又は「
共重合」を意味する。また、本明細書における現像性を有するとは溶剤を乾燥させた未硬
化状態の塗膜をアルカリ水溶液に浸漬させた際に、基材から塗膜を除去できることを意味
する。
[活性エネルギー線硬化型樹脂組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(以下、本組成物という。)は、後述する
1分子中に1個のカルボキシル基および1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(
A)[成分(A)という。]、1分子中に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基
を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)[成分(B)という。]、分子中に
4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(C)[
成分(C)という。]、光重合開始剤(D)[成分(D)という。]、並びに、シランカ
ップリング剤(E)[成分(E)という。]を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物で
ある。
[成分(A)]
本組成物に配合される成分(A)は、1分子中に1個のカルボキシル基および1個の(
メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーである。塗膜の現像性と本
組成物を硬化して得られる硬化塗膜(以下、単に硬化塗膜という。)の耐アルコール性を
付与させるために使用する。
成分(A)の分子量としては100~1000が好ましく、110~500がより好ま
しく、120~400がさらに好ましい。分子量が下限範囲以上であれば硬化塗膜の強靭
さが向上して耐アルコール性が向上し、上限範囲以下であれば塗膜の現像性が向上する。
成分(A)の具体例としては、酸無水物または二塩基酸と水酸基含有(メタ)アクリレ
ートとのモノエステル反応生成物(1);有機ラクトンと水酸基含有(メタ)アクリレー
トとの反応生成物(2)が挙げられる。
反応生成物(1)を合成するのに用いられる二塩基酸または酸無水物としては、フタル
酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸およびこれら
の無水物が挙げられる。また、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等
のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートへのエチレンオキシドの付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのプ
ロピレンオキシドの付加物が挙げられる。
これらの中でも耐薬品性、耐擦傷性の観点から環状骨格を有するものが好ましく、さら
には芳香環を有するものがより好ましいことから、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘ
キサヒドロフタル酸が好ましく、アルカリ現像性の観点からフタル酸がより好ましい。
また、反応生成物(2)を合成するのに用いられるラクトンとしては、ε-カプロラク
トンが挙げられ、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、前記の反応生成物(1)の
合成で例示した化合物が挙げられる。
この中でも、塗膜の現像性及び硬化塗膜の耐アルコール性の観点からフタル酸モノヒド
ロキシエチルアクリレートが好ましい。
[成分(A)の配合割合]
成分(A)の配合割合は成分(A)~(C)の総量に対して成分(A)が50~90質
量%が好ましく、60~80質量%がより好ましい。成分(A)は多いほど現像性が向上
し、少ないほど硬化塗膜の耐アルコール性が向上する傾向がある。
[成分(B)]
成分(B)は、1分子中に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレ
タン(メタ)アクリレート化合物である。成分(B)は、硬化塗膜の要求性能に応じて適
宜選択すればよい。成分(B)としては、例えば、ポリイソシアネート(B1)、ポリオ
ール(B2)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(B3)又はポリイソシアネート(
B1)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(B3)を反応させて得られたウレタン(
メタ)アクリレートが挙げられる。成分(B)は、硬化塗膜の靭性に寄与する。
[ポリイソシアネート(B1)]
化合物(B1)は、イソシアネート基を少なくとも2つ以上有するイソシアネート化合
物である。化合物(B1)は、硬化塗膜の可撓性に寄与する。
化合物(B1)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェ
ニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の非環式脂肪族系ジイソシアネート;
水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネ
ンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビ
ス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネート;等の多価イソ
シアネートや、上記ジイソシアネートを用いて、アロファネート構造、ヌレート構造、ビ
ウレット構造等を有する多量体化した多価イソシアネート系化合物が挙げられる。これら
のうち1種を単独で、又は2種以上を併せて用いることができる。
成分(B)の合成には、化合物(B1)として1種の化合物を単独で、又は2種以上の
化合物を併せて用いることができる。
[ポリオール(B2)]
成分(B)の合成に使用するポリオール(B2)の具体例としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロ
ールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリス
リトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン等のアルコールや
ポリエ―テルポリオール、多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオ
ール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオールなどがある。
[水酸基含有(メタ)アクリレート(B3)]
成分(B)の合成に使用する水酸基含有(メタ)アクリレート(B3)の具体例として
は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ
)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートとエチレンオキシドの付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートとプロピレンオキシドの付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと
ε-カプロラクトンなどの有機ラクトン類の付加物などを挙げることができる。(B)成
分の合成には、化合物(B3)として1種の化合物を単独で、又は2種以上を併せて使用
できる。
[成分(B)の合成法]
成分(B)の合成法は、例えば、従来から知られるウレタン(メタ)アクリレート合成
法を使用できる。具体的な合成法としては、例えば、フラスコ内に化合物(B1)を2m
ol仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒を混合し、フラスコ内の温度を
40~80℃に保ちながら、滴下ロートを用いて化合物(B2)1molを滴下して、末
端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタン
プレポリマー末端に残存するイソシアネート基に当量の水酸基を有する化合物(B3)2
molを滴下し、60~85℃でウレタンプレポリマーのイソシアネート基と化合物(B
3)の水酸基との付加反応を行うことで成分(B)を合成することができる。その反応終
点は、残存するイソシアネート基を定量することで判定できる。終点の反応率は、好まし
くは97%以上、より好ましくは99%以上である。
成分(B)の分子量としては500~50000が好ましく、600~40000がよ
り好ましく、700~30000がさらに好ましい。分子量が下限範囲以上であれば硬化
塗膜の強靭さが向上して耐アルコール性が向上し、上限範囲以下であれば塗膜の現像性が
向上する。
[成分(B)の配合割合]
本組成物中の成分(B)の配合割合は、成分(A)~成分(C)の総量に対して1~3
0質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましい。(B)成分の配合割合は、多いほ
ど硬化塗膜の靭性が向上し、少ないほど現像性が向上する傾向がある。
[成分(C)]
本組成物に配合される成分(C)は、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有
する多官能(メタ)アクリレート化合物である。成分(C)は、硬化塗膜の耐アルコール
性に寄与する。
成分(C)として使用できる4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとし
ては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、及び、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ
)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッ
ドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有
するポリ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート
等のトリメチロールプロパン骨格を有するポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
成分(C)の分子量としては200~800が好ましく、250~700がより好まし
い。分子量が下限範囲以上であれば硬化塗膜の強靭さが向上して耐アルコール性が向上し
、上限範囲以下であれば塗膜の現像性が向上する。
[成分(D)]
成分(D)は光重合開始剤であり、本組成物を活性エネルギー線照射により硬化させる
成分である。成分(D)としては、例えば、ベンゾフェノン型、アントラキノン型、アル
キルフェノン型、チオキサントン型、アシルフォスフィンオキサイド型、フェニルグリオ
キシレート型の光重合開始剤が挙げられる。
成分(D)としては、例えば、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,
6-トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト及び4-フェニル
ベンゾフェノン等のベンゾフェノン型;t-ブチルアントラキノン及び2-エチルアント
ラキノン等のアントラキノン型;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-
1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェ
ニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、ベンゾインメチルエーテル、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-
2-モルホリノ-1-プロパノン及び2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキ
シ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアルキルフェノン型;2
-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジ
エチルチオキサントン及びイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン型;2,4,
6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシ
ベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド及びビス(2,4
,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィン
オキサイド型;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキ
シレート型の光重合開始剤が挙げられる。
これらの中でも、硬化塗膜の指触乾燥性の点から、2,4,6-トリメチルベンゾイル
ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニ
ルホスフィンオキサイドが好ましい。
成分(D)としては、1種の化合物を単独で、又は2種以上を併せて使用できる。
[成分(D)の配合量]
成分(D)の配合量は、成分(A)~成分(C)の総量に対して、1~30質量%が好
ましく、5~25質量%がより好ましい。成分(D)の配合量は、多いほど本組成物の空
気雰囲気中での硬化性が向上し、少ないほど硬化塗膜に残存する成分(D)の量が少なく
なる傾向がある。
[成分(E)]
成分(E)はシランカップリング剤であり、硬化塗膜の基材密着性を向上させる成分で
ある。成分(E)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ
プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。
これらの中でも、基材密着性と塗料の貯蔵安定性の点から3-メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランが好ましい。
[成分(E)の配合量]
成分(E)の配合量は、成分(A)~成分(C)の総量に対して、1~20質量%が好
ましく、3~10質量%がより好ましい。成分(E)の配合量は、多いほど基材への密着
性が向上し、少ないほど耐薬品性が向上する傾向がある。
[有機溶剤]
本組成物には、粘度に調整するため等の目的で必要に応じて有機溶剤を配合することが
できる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、
乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の
芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン、石油ナフサ等の脂肪族化合物;イソプロピルアルコ
ール、イソブタノール、n-ブタノール等のアルコール系化合物;1-メトキシプロパノ
ール、1-メトキシプロパノールアセテート等のプロピレングリコール系化合物を挙げる
ことができる。
[他の成分]
本組成物には、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防
止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、顔料等の添加剤を配合してもよい。
[硬化物]
硬化性組成物の硬化物は、例えば、硬化性組成物を基材又は物品の面上に塗布して塗膜
を形成し、必要に応じて乾燥した後、塗膜に活性エネルギー線を照射することにより形成
できる。
本組成物の塗布方法としては、例えば、ハケ塗り法、スプレーコート法、ディップコー
ト法、スピンコート法及びフローコート法、インクジェット法が挙げられる。塗布の作業
性、硬化塗膜の平滑性及び均一性の点から、スプレーコート法及びインクジェット法が好
ましい。
本組成物が有機溶剤を含む場合には、塗布した本組成物に活性エネルギー線を照射して
硬化させる前に有機溶剤を揮発させることが好ましい。その際には、IRヒーターや温風
で加温し、30~70℃で、2~8分間かけて有機溶剤を揮発させることが好ましい。
また、本組成物を硬化するために用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子
線等が挙げられる。例えば、LED-UVや高圧水銀灯を用いて紫外線を照射する場合、
そのエネルギー量は100~5000mJ/cm2が好ましく、500~2000mJ/
cm2がより好ましい。
硬化塗膜の膜厚は、好ましくは3~50μm、より好ましくは5~20μmの範囲であ
る。硬化物の厚みが上記範囲内であれば、所望の初期密着性や硬度を実現しやすい。
なお、硬化物の厚みは、膜厚計を用いた計測により求められる。
[積層体]
本発明の積層体は、本組成物に活性エネルギー線を照射して硬化してなる硬化塗膜を基
材の表面に有する積層体である。当該基材としてはガラス又は樹脂製の成形物が好ましい
。樹脂製の成形物としては、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、ポリカーボネート、アク
リル樹脂、ポリスチレン等の樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;
PET、PBT等のポリエステル等の成形物が挙げられる。本組成物は、ガラスに対して
塗膜の現像性と耐アルコール性に優れた硬化塗膜の材料として好適である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り
以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は質量基準を意味
する。
各成分の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり
、高速液体クロマトグラフを用いて測定することができる。
[実施例1]
成分(A)としてM-5400(東亜合成製 商品名アロニックスM-5400)25
.5質量部、成分(B)としてUV-3000B(三菱ケミカル製、商品名紫光UV-3
000B)3.4質量部、成分(C)としいてM600(Miwon製、商品名MIRA
MER M600)5.3質量部、成分(D)としてTPO(IGM Resins製、
商品名Omnirad TPO)7質量部、成分(D)としてKBM-503(信越化学
製、商品名KBM-503)2質量部、その他成分としてPM-21(日本化薬製、商品
名KAYARAD PM-21)0.78質量部、BYK-3440(BYK製、商品名
BYK-3400)0.01質量部、チタン顔料(石原産業製、商品名CR-90)20
質量部、TH-976C(三菱ケミカル製、商品名ダイヤビームTH-976C)36質
量部を混合溶解して活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
この活性エネルギー線硬化型組成物について、以降に説明する方法で現像性を評価し、
また初期付着性と耐アルコール性及び硬度の評価を行った。結果を表1に示した。
[現像性の評価]
組成物をバーコーターにより、ガラス製基材に硬化後の膜厚が10μmとなるように塗
装した。次いで、オーブンを用いて60℃で2分間加熱することにより有機溶剤を揮発さ
せた。その後、1%炭酸水素ナトリウム水溶液に10分浸漬させ、塗膜の剥離具合から現
像性を評価した。現像性は以下の基準で評価した。
◎…10分以内に塗膜が容易に剥離する
〇…10分後に手でこすった際、塗膜が容易に剥離する
△…10分後に手でこすってわずかに剥離する
×…10分後に手でこすっても剥離しない
[初期付着性の評価]
現像性試験と同様の方法で塗膜を作製した後、浜松ホトニクス製UV-LED照射装置
(波長:395nm)を使用し、照度:5000mW/cm2、積算光量:1500mJ
/cm2で照射して硬化させた。その後150℃で30分アニールを行って硬化塗膜を得
た。その硬化塗膜にカッターナイフで十字にカットを入れ、その上にニチバン製のセロテ
ープ(登録商標)を貼りつけてから急激にはがし、硬化塗膜と基材の間での剥離の状態を
観察した。初期付着性は以下の基準で評価した。
◎…剥離試験で剥離なし
〇…剥離なしだが、切り溝がやや欠ける
△…やや剥離
×…全面剥離
[耐アルコール性の評価]
初期付着性の評価と同様の方法で硬化塗膜を作製した後、99.7%エタノールを使用
し、500g荷重で100往復平面摩耗試験を行った。耐アルコール性は以下の基準で評
価した。
◎…外観に変化無し
〇…耐アルコール試験後、光沢が若干低下する
△…耐アルコール試験後、若干剥離がみられる
×…全面剥離する
[硬度の評価]
初期付着性の評価と同様の方法で硬化塗膜を作製した後、JIS K-5600に準じ
て試験を行い、鉛筆硬度を測定した。
[実施例2~8、比較例1~2]
表1の組成欄に示す配合及び組成とする以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー
線硬化型組成物を調製し、評価した。結果を表1に示した。
Figure 2023069277000001
表1中の配合比率以外の数値の単位は質量部とする。また表1中の略号は、以下の化合
物を示す。
・M-5400:東亜合成製 アロニックス M-5400(商品名、フタル酸モノヒド
ロキシエチルアクリレート)
・UV-3000B:三菱ケミカル製 紫光UV-3000B(商品名、ウレタンアクリ
レート)
・UV-7605B:三菱ケミカル製 紫光UV-7605B(商品名、ウレタンアクリ
レート)
・UV-1705B:三菱ケミカル製 紫光UV-1705B(商品名、ウレタンアクリ
レート)
・M600:Miwon製 MIRAMER M600(商品名、ジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレート)
・TPO:IGM Resins製、Omnirad TPO(商品名、2,4,6-ト
リメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)
・KBM-503:信越化学工業製 KBM-503(商品名、3-メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン)
・4-HBA:大阪有機化学工業製 4-HBA(商品名、4-ヒドロキシブチルアクリ
レート)
・BR-605:三菱ケミカル製 BR-605(商品名、メタクリル系共重合体)
・PM-21:日本化薬製 KAYARAD PM-21(商品名、2-メタクリロイロ
キシエチルカプロエートアシッドホスフェート)
・BYK-3440:BYK製 BYK-3440(商品名、アクリルコポリマー系レベ
リング剤)
・チタン顔料:石原産業製 CR-90(商品名、酸価チタン)
・TH-976C:三菱ケミカル製 ダイヤビームTH-976C(商品名、希釈用シン
ナー)
以上の実施例から、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は塗膜の現像性、硬化
塗膜の耐アルコール性に優れていた。一方、成分(A)を配合しなかった比較例1の活性
エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成した塗膜、成分は現像性が不十分であった。また
、成分(C)を配合しなかった比較例2の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成し
た塗膜、成分は硬度及び耐アルコール性が不十分であった。

Claims (8)

  1. 1分子中に1個のカルボキシル基および1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
    (A)(以下、成分(A))と1分子中に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基
    を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(B)(以下、成分(B))を含むことを
    特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  2. 成分(A)が1分子中に少なくとも一つ以上の環状骨格を有することを特徴とする請求
    項1に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  3. 成分(A)、成分(B)に加えて、分子中に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有す
    る多官能(メタ)アクリレート化合物(C)(以下、成分(C))を含むことを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  4. 成分(A)~(C)の総量に対して成分(A)が50~90質量%、成分(B)が1~
    30質量%、成分(C)が1~20質量%である請求項1~3に記載の活性エネルギー線
    硬化型樹脂組成物。
  5. 成分(A)~成分(C)の総量に対して光重合開始剤(D)(以下、成分(D))を1
    0~30質量%含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の活性エネルギー
    線硬化型樹脂組成物。
  6. 成分(A)~成分(C)の総量に対してシランカップリング剤(E)(以下、成分(E
    ))を1~20質量%含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の活性エネ
    ルギー線硬化型樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に活性エネル
    ギー線を照射して硬化してなる硬化物。
  8. 基材の表面に請求項7に記載の硬化物を有する積層体。
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