JP7319473B2 - エレベータ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電動操作器によって作動する非常止め装置を備えるエレベータ装置に関する。
エレベータ装置には、乗りかごの昇降速度を常時監視して、所定の過速状態に陥った乗りかごを非常停止させるために、ガバナおよび非常止め装置が備えられている。一般に、乗りかごとガバナはガバナロープによって結合されており、過速状態を検出すると、ガバナがガバナロープを拘束することで乗りかご側の非常止め装置を動作させ、乗りかごを非常停止するようになっている。
このようなエレベータ装置では、昇降路内に長尺物であるガバナロープを敷設するため、省スペース化および低コスト化が難しい。また、ガバナロープが振れる場合、昇降路内における構造物とガバナロープとが干渉しやすくなる。
これに対し、ガバナロープを用いない非常止め装置が提案されている。
ガバナロープを用いない非常止め装置に関する従来技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。本従来技術では、乗りかごの下部の二か所に、楔状のブレーキシューを有するブレーキユニットが設けられ、ブレーキシューにはブレーキリンクが接続される。二つのブレーキリンクは、接続部によって互いに接続されており、連動して各ブレーキシューを上下動させて、ブレーキをかけたり、ブレーキを解除したりする。
一方のブレーキユニット側には、ブレーキがかからないようにブレーキリンクの動作をロックしたり、ブレーキをかけるときにロックを解除したりする、ロック部が設けられる。制御部からの指令によりロック部が備えるソレノイドが作動すると、ソレノイドに連動する機構が、解放されたばねの弾性エネルギーによりブレーキリンクを瞬時に上方へ動かす。これにより、ブレーキシューが上方へ引き上げられ、乗りかごが制動される。
他方のブレーキユニット側には、非常止め装置を通常状態へ復帰させる復帰部が設けられる。復帰部が備えるリニアアクチュエータを駆動し、リニアアクチュエータに連動する機構により捻りばねを付勢する。この状態で、制御部からの指令により、乗りかごが少し引き上げられると、捻りばねの付勢力を受けたリンク機構によって、ブレーキシューが、ガイドレールから外れて、引き下げられる。
上述のように、電動操作器によって作動する従来の非常止め装置は、動作機構の構成が複雑になる。
そこで、本発明は、電動操作器によって作動しながらも動作機構の複雑化を抑制できるとともに、動作の信頼性を向上することができる非常止め装置を備えるエレベータ装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明によるエレベータ装置は、乗りかごと、乗りかごに設けられる非常止め装置と、乗りかごに設けられ、非常止め装置を動作させる電動操作器と、を備えるものであって、電動操作器は、電磁石と、電磁石の動作に連動して非常止め装置を操作する操作レバーと、操作レバーに接続されるアマチュアと、モータによって駆動されて、電磁石を直線的に移動させるリニアアクチュエータと、モータの駆動を制御するモータ駆動制御部と、を備え、モータ駆動制御部は、非常止め装置が動作後におけるアマチュアの位置に電磁石を移動してアマチュアを吸引し、さらに電磁石を移動してアマチュアを待機時の位置に復帰させるように、モータに流れるモータ電流に基づいてモータの駆動を制御する。
本発明によれば、非常止め装置を作動させる動作機構を複雑化することなく、電動操作器の動作の信頼性を向上できる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ装置について、実施例により、図面を用いながら説明する。なお、各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示している。
図1は、本発明の一実施例であるエレベータ装置の概略構成図である。
建屋に形成される昇降路内において複数の階床間を移動する乗りかご1が、主ロープ102を介して釣合おもり101に接続されている。主ロープ102は、反らせ車103と、巻上機200が備える綱車202とに巻き掛けられる。これにより、乗りかご1および釣合おもり101は、昇降路内において、主ロープ102によって吊られる。
巻上機200が備える電動機201によって綱車202が回転駆動されることにより主ロープ102が駆動されると、乗りかご1および釣合おもり101は、昇降路内を互いに上下反対方向に移動する。電動機201(例えば、永久磁石同期電動機)は、エレベータ制御装置300が備える図示されない電力変換器(例えば、インバータ装置)から供給される電力によって駆動される。また、電動機201は、乗りかご1を停止するときに、巻上機200が備えるブレーキ装置203によって制動される。
図1に示すように、乗りかご1は、電動操作器10と、駆動機構(12~18)と、引上げロッド21と、非常止め装置2とを備えている。
乗りかご1は、上述のように昇降路内に主ロープ102により吊られており、ガイド装置を介してガイドレール4に摺動可能に係合している。巻上機200により主ロープ102が摩擦駆動されると、乗りかご1は、ガイドレール4に案内されながら、昇降路内を昇降する。
電動操作器10は、本実施例では電磁操作器であり、乗りかご1の上部に配置される。電磁操作器は、例えば、ソレノイドもしくは電磁石によって作動する可動片もしくは可動杆を備えるものである。電動操作器10は、乗りかご1が所定の過速状態になると作動する。このとき、操作レバー11に接続されている駆動機構(12~18)により、引上げロッド21が引き上げられる。これにより、非常止め装置2が制動状態となる。なお、駆動機構(12~18)については後述する。
非常止め装置2は、乗りかご1の左右に一台ずつ配置される。各非常止め装置2が備える図示しない一対の制動子は、制動位置および非制動位置の間で可動であり、制動位置においてガイドレール4を挟持し、さらに、乗りかご1の下降により相対的に上昇すると、制動子とガイドレール4との間に作用する摩擦力により制動力を生じる。これにより、非常止め装置2は、乗りかご1が過速状態に陥ったときに作動し、乗りかご1を非常停止させる。
本実施例のエレベータ装置は、ガバナロープを用いない、いわゆるロープレスガバナシステムを備えるものであり、乗りかご1の昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(例えば、定格速度の1.3倍を超えない速度)に達すると、巻上機200の動力電源が遮断され、ブレーキ装置203が作動する。また、乗りかご1の下降速度が第2過速度(例えば、定格速度の1.4倍を超えない速度)に達すると、乗りかご1に設けられる電動操作器10が動作して、非常止め装置2を作動させて、乗りかご1が非常停止される。
本実施例において、ロープレスガバナシステムは、昇降路内における乗りかご1の位置を検出する位置センサ(図示せず)と、位置センサの出力信号に基づいて、乗りかご1の過速状態を判定する安全制御装置(図示せず)とから構成される。この安全制御装置は、位置センサの出力信号に基づいて乗りかご1の速度を計測し、計測される速度が第1過速度に達したと判定すると、巻上機200の動力電源を遮断するための指令信号を出力する。また、安全制御装置は、計測される速度が第2過速度に達したと判定すると、電動操作器10を作動するための指令信号を出力する。
位置センサとしては、例えば、乗りかご1に設けられる画像センサが用いられる。画像センサによって取得されるガイドレール4の表面状態の画像情報に基づいて、乗りかご1の位置および速度を検出する。この場合、予め計測され記憶装置に記憶されるガイドレール4の表面状態の画像情報と、画像センサによって所得される画像情報を照合することにより、乗りかご1の位置が検出される。
また、位置センサとしては、乗りかご1に設けられ、乗りかご1の移動とともに回転するロータリーエンコーダを用いてもよい。
前述のように、非常止め装置2が備える一対の制動子が引上げロッド21によって引き上げられると、一対の制動子がガイドレール4を挟持する。引上げロッド21は、電動操作器10に接続される駆動機構(12~18)によって駆動される。
以下、この駆動機構の構成について説明する。
電動操作器10の操作レバー11と第1の作動片16が連結され、略T字状の第1リンク部材が構成される。操作レバー11および第1の作動片16はそれぞれT字の頭部および足部を構成する。略T字状の第1リンク部材は、操作レバー11と第1の作動片16の連結部において、第1の作動軸(図1では図示せず。図2の「19」参照)を介してクロスヘッド50に回動可能に支持される。T字の足部となる第1の作動片16における操作レバー11と第1の作動片16の連結部とは反対側の端部に、一対の引上げロッド21の内の一方(図中左側)の引上げロッドの端部が接続される。
接続片17と第2の作動片18が連結され、略T字状の第2リンク部材が構成される。接続片17および第2の作動片18はそれぞれT字の頭部および足部を構成する。略T字状の第2リンク部材は、接続片17と第2の作動片18の連結部において、第2の作動軸(図示せず)を介してクロスヘッド50に回動可能に支持される。T字の足部となる第2の作動片18における接続片17と第2の作動片18の連結部とは反対側の端部に、一対の引上げロッド21の内の他方(図中右側)の引上げロッドの端部が接続される。
操作レバー11の端部と、接続片17の両端部の内、第2の作動軸(図示せず)よりも乗りかご1の上部に近い端部とが、それぞれ、乗りかご1上に横たわる駆動軸12の一端(図中左側)と他端(図中右側)とに接続される。駆動軸12は、クロスヘッド50に固定される固定部14を摺動可能に貫通している。また、駆動軸12は、押圧部材15を貫通し、押圧部材15は駆動軸12に固定されている。なお、押圧部材15は、固定部14の第2リンク部材(接続片17、第2の作動片18)側に位置する。固定部14と押圧部材15の間に、弾性体である駆動ばね13(圧縮ばね)が位置し、駆動ばね13には駆動軸12が挿通される。
電動操作器10が作動すると、すなわち本実施例では電磁石(図1では図示せず。図2の「35」参照)への通電が遮断されると、駆動ばね13の付勢力に抗して操作レバー11の動きを拘束する電磁力が消失するので、押圧部材15に加わる駆動ばね13の付勢力によって、駆動軸12が長手方向に沿って駆動される。このため、第1リンク部材(操作レバー11、第1の作動片16)が第2の作動軸(図2の「19」)の回りに回動するとともに、第2リンク部材(接続片17、第2の作動片18)が第2の作動軸(図示せず)の回りに回動する。これにより、第1リンク部材の第1の作動片16に接続される一方の引上げロッド21が駆動されて引き上げられるとともに、第2リンク部材の第2の作動片18に接続される他方の引上げロッド21が駆動されて引き上げられる。
なお、図1に示すように、エレベータ制御装置300は、非常止め装置2が作動後、電動操作器10を復帰状態に戻す際に、電動操作器10が備えるモータ(図2の「45」参照)を制御するモータ駆動制御部301およびモータ電流計測部302を備えている。モータ駆動制御部301およびモータ電流計測部302については、後述する。
図2は、本実施例における電動操作器10の機構部を示す要部構成図であり、図1の設置状態における正面図である。なお、図2において、非常止め装置は非作動状態であり、電動操作器10は待機状態にある。すなわち、エレベータ装置は、通常の稼動状態である。
図2に示すように、操作レバー11は、アマチュア34に設けられるアマチュアブラケット38に、回動可能に接続される。待機状態においては、操作レバー11に接続されるアマチュア34が、励磁されている電磁石35に吸引されている。これにより、駆動ばね13の付勢力に抗して、操作レバー11の動きが拘束されている。なお、アマチュア34における少なくとも電磁石35と吸着する部分は磁性体、好ましくは軟磁性体からなる。
操作レバー11は、アマチュア34に設けられるアマチュアブラケット38に、回動可能に接続される。
操作レバー11は、アマチュア34に設けられるアマチュアブラケット38に、回動可能に接続される。
図示しない安全制御装置からの指令により、電磁石35の励磁が停止されると、アマチュア34に作用する吸引力が消失する。これにより、アマチュア34の電磁的拘束が解けるので、駆動ばね13の付勢力によって駆動軸12が駆動される。ここで、アマチュア34は、後述する復帰機構部(35,40,45)とは機械的には接続されておらず、復帰機構部からは機械的に自由な状態にある。
駆動軸12が駆動されると、駆動軸12に接続される操作レバー11が第1の作動軸19の回りに回動し、連動して、操作レバー11に連結される第1の作動片16が第1の作動軸19の回りに回動する。これにより、第1の作動片16に接続される引上げロッド21が引き上げられる。引上げロッド21が引き上げられると、非常止め装置2(図2では、制動子のみ記載)が備える楔状の一対の制動子が引き上げられる。なお、本実施例における非常止め装置は、公知技術によるものである。
上述のように操作レバー11が回動すると、操作レバー11に接続されるアマチュア34は、操作レバー11の回動方向に沿って移動する。このため、電動操作器10を待機状態に復帰させるためには、電動操作器10が備える復帰機構部によって、アマチュア34を非常止め動作後の移動位置(図3参照)から待機時の位置に戻す。
本実施例において、復帰機構部は、モータ45と、モータ45によって駆動される電動リニアアクチュエータ40とを備えている。モータ45を回転すると、電動リニアアクチュエータ40は、電磁石35を直線的に移動させる。なお、本実施例では、モータ45として直流モータ(例えば、直流サーボモータ)が適用される。
電動リニアアクチュエータ40は、例えば、モータ45によって回転される送りネジを有する。この場合、電磁石35はネジ孔を有するネジ孔部材を備え、このネジ孔部材が送りネジと螺合する。回転する送りネジと電磁石35が備えるネジ孔部材とによって、モータ45の回転が、送りネジの軸方向に沿った電磁石35の直線的移動に変換される。
電動リニアアクチュエータ40によって、非常止め動作後に待機時の位置に留まる電磁石35をアマチュア34の位置に移動して、アマチュア34を電磁石35に吸着した後、電磁石35を待機時の位置まで移動すれば、アマチュア34を待機時の位置に移動することができる。このとき、本実施例では、モータ電流計測部302によって計測されるモータ45のモータ電流に基づいて、モータ駆動制御部301によってモータ45が駆動制御される。これにより、電動リニアアクチュエータ40による電磁石35の移動が制御される。
図3は、本実施例における電動操作器10の復帰動作を示す要部構成図である。
非常止め動作時に、アマチュア34は、待機時の位置(図2参照)から動作時の位置(図3)へ移動する。このとき、電磁石35は、復帰動作のためにモータ45が回転を開始するまで、待機時の位置(実線)に留まる。
モータ45が回転すると、電動リニアアクチュエータ40によって、電磁石35がアマチュア34に向かって直線的に移動する。電磁石35は、動作後のアマチュア34の位置まで移動すると(破線)、アマチュア34を押し込むとともに、アマチュア34を電磁力で吸着する(復帰動作A)。
電磁石35がアマチュア34を吸着した後、モータ45が逆転すると、電動リニアアクチュエータ40によって、電磁石35は、アマチュア34を吸着したまま、待機時の位置に移動する(復帰動作B)。これにより、アマチュア34は、待機時の位置に移動する。
なお、本実施例ではモータ45の回転開始とともに、電磁石35の励磁が再開されるが、これに限らず、電磁石35がアマチュア34の動作後の位置に到達する直前もしくは直後に励磁が再開されてもよい。
図3に矢印(B)で示すように、電動操作器10の復帰動作Bに連動して、引上げロッド21、第1の作動片16、駆動軸12などの機構部も待機時の位置に戻り、非常止め装置2および非常止め装置の駆動機構(12~18)も待機状態に復帰する。
図4は、本実施例の電動操作器10の復帰動作中におけるモータ45のモータ電流の時間変化を示す波形図である。縦軸はモータ電流Iを表し、横軸は時間tを表す。
なお、モータ電流は、モータ電流計測部302が、シャント抵抗やCT(current transformer)などの電流センサを用いて計測する。
復帰動作Aにおいて、モータ駆動制御部301は、所定の移動速度で電磁石を移動するように、モータ電流を制御する。このため、電磁石35がアマチュア34の位置に到達してアマチュア34に接触するまでは、モータ45には、略一定値のモータ電流(図4中の「アマチュア方向移動時電流」)が流れる。
電磁石35がアマチュア34の位置に到達してアマチュア34を押し込むと、モータ45の負荷が増大するため、モータ駆動制御部301は、モータ電流を増大させる(図4中の「アマチュア押込時電流」)。モータ電流が所定の閾値(図4中の「アマチュア位置検出閾値」)を超えると、モータ駆動制御部301は、電磁石35がアマチュア34の位置に到達したと判定して、モータ電流を遮断し、モータ45を一旦停止する。
次に、復帰動作Bでは、モータ駆動制御部301は、モータ45の回転を再開する。このとき、モータ駆動制御部301は、復帰動作Aとは逆方向(図4の負の方向)のモータ電流をモータ45に流す。すなわち、モータ駆動制御部301は、モータ45を復帰動作Aの場合とは逆方向に回転させる。これにより、電磁石35と、電磁石35に吸着されるアマチュア34は、待機時の位置に向かって移動する。
復帰動作Bでは、駆動ばね13(図1~3参照)が圧縮されるにしたがって、モータ45の負荷が徐々に増大するため、モータ駆動制御部301がモータ45に流すモータ電流が徐々に増大する。アマチュア34が所定の待機位置に到達すると、アマチュア34およびアマチュア34に機械的に接続される機構部の動きが停止するため、モータ45の負荷が急激に増大する。モータ電流が所定の閾値(図4中の「待機位置検出閾値」)を超えると、モータ駆動制御部301は、電磁石35およびアマチュア34が待機時の位置に到達したと判定する。
モータ駆動制御部301は、電磁石35およびアマチュア34が待機時の位置に到達したと判定すると、モータ45の回転を停止させて電磁石35およびアマチュア34の位置を待機時の位置に保持するために、所定値のモータ電流(図4中の「待機位置電流」)をモータ45に流す。
本実施例では、このようなモータ電流に基づいて、モータ45を駆動制御することにより、アマチュア34を精度よく待機時の位置に戻すことができるので、電動操作器10およびこれに連動する非常止め装置の駆動機構を確実に待機状態に復帰させることができる。したがって、電動操作器の構成を複雑化することなく、電動操作器の動作の信頼性が向上する。
図5は、本実施例におけるモータ駆動制御部301の制御動作を示すフローチャートである。
なお、本実施例では、モータ駆動制御部301はマイクロコンピュータを備え、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することにより、モータ駆動制御部301は制御動作を行う。
処理を開始すると、ステップS1において、モータ駆動制御部301は、モータ45の正転を開始する。ここで、正転とは、非常止め動作後におけるアマチュア34の位置に向かって電磁石35を移動する場合の回転を意味する。なお、後述する、逆転は、電磁石35および電磁石に吸着されたアマチュア34を待機時の位置に戻す場合におけるモータ45の回転を意味する。
次に、ステップS2において、モータ駆動制御部301は、タイマを用いて、モータ45の正転開始時からの時間経過の計測を開始する。
次に、ステップS3において、モータ駆動制御部301は、モータ電流計測部302を用いて、モータ電流の計測を開始する。
次に、ステップS4において、モータ駆動制御部301は、モータ電流の計測値が所定の閾値(図4の「アマチュア位置検出閾値」)以上であるかを判定する。本ステップS4により、モータ駆動制御部301は、前述のように電磁石35がアマチュア34の位置に到達したかを判定する。モータ駆動制御部301は、閾値以上であると判定した場合(ステップS4のYES)、次にステップS5を実行し、閾値に未到達であると判定した場合(ステップS4のNO)、次にステップS21(後述)を実行する。
ステップS5において、モータ駆動制御部301は、電磁石35がアマチュア34の位置に到達したとして、モータ電流を遮断して、モータ45の正転を終了させる。
次に、ステップS6において、モータ駆動制御部301は、ステップS2で開始した時間計測を終了する。なお、ステップS1~S6は、前述の復帰動作A(図4)に対応する。
次に、ステップS7において、モータ駆動制御部301は、モータ45の逆転を開始する。
次に、ステップS8において、モータ駆動制御部301は、タイマを用いて、モータ45の逆転開始時からの時間経過の計測を開始する。
次に、ステップS9において、モータ駆動制御部301は、モータ電流計測部302を用いて、モータ電流の計測を開始する。
次に、ステップS10において、モータ駆動制御部301は、モータ電流の計測値に基づいてモータ電流の時間変化量(図4における待機位置方向移動時電流の傾き(時間変化)の大きさ)を算出する。
次に、ステップS11において、モータ駆動制御部301は、ステップS10で算出したモータ電流の時間変化量が所定の閾値以上であるかを判定する。前述したように、アマチュア34を吸引する電磁石35が待機時の位置に戻るとき、モータ45にかかる負荷が増加するためモータ電流が増大する。したがって、本ステップS11によれば、モータ駆動制御部301は、電磁石35にアマチュア34が確実に吸引されていることを判定できる。
モータ駆動制御部301は、モータ電流の時間変化量が所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS11のYES)、次にステップS12を実行し、モータ電流の時間変化量が所定の閾値に未到達であると判定した場合(ステップS11のNO)、次にステップS23(後述)を実行する。
ステップS12において、モータ駆動制御部301は、モータ電流の計測値が所定の閾値(図4の「待機位置検出閾値」)以上であるかを判定する。本ステップS12により、モータ駆動制御部301は、前述のように電磁石35と、電磁石35に吸着されたアマチュア34とが、待機時の位置に到達したかを判定する。モータ駆動制御部301は、閾値以上であると判定した場合(ステップS12のYES)、次にステップS13を実行し、閾値に未到達であると判定した場合(ステップS12のNO)、次にステップS24(後述)を実行する。
ステップS13において、モータ駆動制御部301は、電磁石35およびアマチュア34が待機時の位置に到達したとして、モータ45の正転を終了して、電磁石35およびアマチュア34の位置を待機時の位置に保持するために、所定値のモータ電流(図4中の「待機位置電流」)を流す。
次に、ステップS14において、モータ駆動制御部301は、ステップS8で開始した時間計測を終了する。
次に、ステップS15において、モータ駆動制御部301は、ステップS9で開始したモータ電流の計測を終了する。なお、ステップS7~S12は、前述の復帰動作B(図4)に対応する。
モータ駆動制御部301は、ステップS15を実行すると、一連の処理を終了する。
上述のように、モータ駆動制御部301は、ステップS4において、モータ電流が閾値に未到達であると判定した場合(ステップS4のNO)、次にステップS21(後述)を実行する。ステップS21において、モータ駆動制御部301は、タイマによって計測された時間が、モータ45が正転を開始してから、電磁石35がアマチュア34の位置に到達してアマチュア34を押し込むまでに要する許容動作時間を経過したかを判定する。モータ駆動制御部301は、計測された時間が許容動作時間を経過していない場合(ステップS21のNO)、ステップS4を再度実行し、計測された時間が許容動作時間を経過している場合(ステップS21のYES)、次に、ステップS22を実行する。
ステップS22において、モータ駆動制御部301は、電磁石35がアマチュア34の位置に到達せずアマチュア34を押し込まず、復帰動作が失敗したと判定して、一連の処理を終了する。
上述のように、モータ駆動制御部301は、ステップS11において、モータ電流の時間変化量が所定の閾値に未到達であると判定した場合(ステップS11のNO)、次にステップS23を実行する。ステップS21において、モータ駆動制御部301は、電磁石35によるアマチュア34が確実には吸引されていない状態で電磁石が移動しており、復帰動作が失敗したと判定して、一連の処理を終了する。
上述のように、モータ駆動制御部301は、ステップS12において、モータ電流が閾値に未到達であると判定した場合(ステップS12のNO)、次にステップS24を実行する。ステップS24において、モータ駆動制御部301は、タイマによって計測された時間が、モータ45が逆転を開始してから、電磁石35およびアマチュア34が待機時の位置に到達するまでに要する許容動作時間を経過したかを判定する。モータ駆動制御部301は、計測された時間が許容動作時間を経過していない場合(ステップS24のNO)、ステップS11を再度実行し、計測された時間が許容動作時間を経過している場合(ステップS24のYES)、次に、ステップS25を実行する。
ステップS25において、モータ駆動制御部301は、電磁石35およびアマチュア34が待機時の位置まで到達せず、復帰動作が失敗したと判定して、一連の処理を終了する。
本実施例によれば、上述のように、非常止め動作後に、電動操作器10を待機状態に復帰させるときに、電動リニアアクチュエータ40を駆動するモータ45の駆動をモータ45に流れる電流に基づいて制御する。これにより、電動操作器10の構成を複雑化することなく、電動操作器10を確実に待機状態に復帰させることができるとともに、復帰動作に失敗するような電動操作器10の異常を確実に検出することができる。したがって、電動操作器10の構成を複雑化することなく、電動操作器の動作の信頼性を向上することができる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
例えば、電磁石35が、アマチュア34の非常止め動作後の位置や、アマチュア34のタ待機時の位置に到達したことを、マイクロスイッチのような機械的スイッチを用いて検出する手段を併用してもよい。この場合、モータ電流による手段と、機械的スイッチを用いる手段とのどちらかに異常が発生しても、アマチュア34の復帰動作を継続することができる。
また、モータ駆動制御部301は、復帰動作が失敗した場合、アラームを発信したり、通信手段を介して異常情報を送信したりしてもよい。
また、電動操作器10は、乗りかご1の上方部のほか、下方部や側方部に設けられてもよい。
また、エレベータ装置は、巻上機やエレベータ制御装置が設けられる機械室を備えるエレベータでもよいし、巻上機やエレベータ制御装置が昇降路内に設置される、いわゆる機械室レスエレベータでもよい。
1…乗りかご、2…非常止め装置、4…ガイドレール、10…電動操作器、11…操作レバー、12…駆動軸、13…駆動ばね、14…固定部、15…押圧部材、16…第1の作動片、17…接続片、18…第2の作動片、19…第1の作動軸、21…引上げロッド、34…アマチュア、35…電磁石、38…アマチュアブラケット、40…電動リニアアクチュエータ、45…モータ、50…クロスヘッド、101…釣合おもり、102…主ロープ、103…反らせ車、200…巻上機、201…電動機、202…綱車、203…ブレーキ装置、300…エレベータ制御装置、301…モータ駆動制御部、302…モータ電流計測部
Claims (9)
- 乗りかごと、
前記乗りかごに設けられる非常止め装置と、
前記乗りかごに設けられ、前記非常止め装置を動作させる電動操作器と、
を備えるエレベータ装置において、
前記電動操作器は、
電磁石と、
前記電磁石の動作に連動して前記非常止め装置を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに接続されるアマチュアと、
モータによって駆動されて、前記電磁石を直線的に移動させるリニアアクチュエータと、
前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御部と
を備え、
前記モータ駆動制御部は、
前記非常止め装置が動作後における前記アマチュアの位置に前記電磁石を移動して前記アマチュアを吸引し、さらに前記電磁石を移動して前記アマチュアを待機時の位置に復帰させるように、前記モータに流れるモータ電流に基づいて前記モータの駆動を制御することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項1に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流に基づいて、前記電磁石が前記非常止め装置が動作後の前記アマチュアの位置に到達したかを判定することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項2に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流が所定の閾値以上である場合、前記電磁石が前記非常止め装置が動作後の前記アマチュアの位置に到達したと判定し、前記アマチュアの待機時の位置へ向かって前記電磁石を移動するように、前記モータの駆動を制御することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項3に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流が許容時間内に前記閾値に到達しなかった場合、前記アマチュアの復帰動作に失敗したと判定することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項1に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流に基づいて、前記電磁石が前記非常止め装置が前記アマチュアの待機時の位置に到達したかを判定することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項5に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流が所定の閾値以上である場合、前記電磁石が、前記アマチュアの待機時の位置に到達したと判定し、前記モータの回転を停止することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項6に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流が許容時間内に前記閾値に到達しなかった場合、前記アマチュアの復帰動作に失敗したと判定することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項1に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流の変化量に基づいて、前記電磁石が前記アマチュアの吸引に失敗したかを判定することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項8に記載のエレベータ装置において、
前記モータ駆動制御部は、前記モータ電流の変化量が所定の閾値を超えない場合、前記電磁石が前記アマチュアの吸引に失敗したと判定することを特徴とするエレベータ装置。
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