以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、一実施例に係る駆動ユニット130を搭載した車両10を示す側面図を、図2はスライドドア13の取り付け構造を示す平面図を、図3は駆動ユニット130の詳細構造を示す平面図を、それぞれ示している。
図1に示す車両10は、例えば8人乗車が可能なワゴン車であり、車両10の車体11における側部には、比較的大きな出入口12が形成されている。出入口12は、開閉体としてのスライドドア(駆動対象物)13により開閉され、スライドドア13は車体11の側部に固定されたガイドレール14に案内され、全閉位置と全開位置との間で車両10の前後方向にスライドするようになっている。そして、スライドドア13を全開位置に向けてスライドさせることで出入口12が開き、乗員の乗降や荷物の積み下ろし等を容易に行うことができる。なお、車両10は、より大型な車両であってもよく、スライドドア13が複数設けられてもよい。
図2に示すように、スライドドア13の車両後方側で、かつスライドドア13の上下方向中央部には、ローラアッシー15が設けられている。ローラアッシー15はガイドレール14に案内され、これによりスライドドア13は車体11の側部に沿って車両10の前後方向に移動される。ガイドレール14の車両前方側には、車室内側(図中上側)に湾曲した湾曲部14aが設けられ、ローラアッシー15が湾曲部14aに案内されると、スライドドア13は、図中二点鎖線で示すように車体11の側面と略同一面となるよう車体11の内側に引き込まれて全閉位置の状態となる。
ここで、スライドドア13の上下方向中央部に設けたローラアッシー15に加え、スライドドア13の車両前方側でかつ上下部分にもそれぞれローラアッシー(不図示)が設けられている。また、上下部分のローラアッシーに対応して、車体11の出入口12の上下部分にもガイドレール(不図示)がそれぞれ設けられている。このように、スライドドア13は車体11に対して計3箇所で支持され、これにより車体11に対して安定した開閉動作が可能となっている。
車両10の車体11における側部には、スライドドア13を開閉駆動するためのスライドドア開閉機構120が設けられている。スライドドア開閉機構120は、駆動ユニット130を備えており、当該駆動ユニット130は、ガイドレール14の前後方向における略中央部に隣接して、車体11の内部に設置されている。
スライドドア開閉機構120は、ガイドレール14の車両後方側に設けられる反転プーリ121、ガイドレール14の車両前方側に設けられる反転プーリ122、スライドドア13を全開位置に向けて引っ張る開側ケーブル(ケーブル)123、スライドドア13を全閉位置に向けて引っ張る閉側ケーブル(ケーブル)124を備えている。各ケーブル123、124の一端側は、駆動ユニット130に延ばされている。一方、各ケーブル123、124の他端側は、各反転プーリ121、122を介して、車両後方側および車両前方側からそれぞれローラアッシー15(スライドドア13)に接続されている。
そして、駆動ユニット130を正転駆動(図3の時計回り方向を参照)することで、閉側ケーブル124が牽引されてスライドドア13は閉方向に移動される。一方、駆動ユニット130を逆転駆動(図3の反時計回り方向を参照)することで、開側ケーブル123が牽引されてスライドドア13は開方向に移動される。なお、各ケーブル123、124の車体11の外部に配置される部分は、ガイドレール14の内部の案内溝(不図示)に隠されている。これにより各ケーブル123、124は外部に露出されることが無い。よって、車両10の見栄えを良好にでき、各ケーブル123、124を雨水や埃等から保護できる。
各反転プーリ121、122と駆動ユニット130との間には、各ケーブル123、124の周囲を覆い、各ケーブル123、124を摺動自在に保持するアウターケーシング125、126がそれぞれ設けられている。各アウターケーシング125、126は可撓性を有し、その内側には所定の粘度を有するグリス(不図示)が塗布されている。これにより、各ケーブル123、124を保護しつつ、各ケーブル123、124の各アウターケーシング125、126に対するスムーズな摺動が確保される。
図3に示すように、駆動ユニット130は、ケーシング131、カバー(不図示)およびモータケース133を備えている。モータケース133は、ケーシング131の裏側(図3中奥側)に設けられ、カバーはケーシング131の開口部131bを閉塞するようになっている。ケーシング131、カバーおよびモータケース133は、それぞれ互いにシール部材(不図示)を介して接続され、これにより駆動ユニット130の内部に雨水や埃等が進入するのを防止している。ここで、図3においては、ケーシング131の内部構造を分かり易くするために、カバーを外した状態(省略した状態)としている。
ケーシング131は、図3に示すように、有底の略箱形状に形成され、ケーシング131の一側(図中奥側)には底部131aが設けられ、他側(図中手前側)には開口部131bが設けられている。ケーシング131には、ドラム収容部131cおよび一対のテンショナ収容部131dが形成されている。ドラム収容部131cには、ドラム150が回転自在に収容されている。このようにドラム150は、ケーシング131内に回転自在に設けられている。
ドラム150の周囲、つまり径方向外側には、図4に示すように、各ケーブル123、124が入り込む螺旋状のケーブル溝(不図示)が形成されている。このケーブル溝(不図示)は、各ケーブル123、124の一端側の巻掛けを案内するものであり、各ケーブル123、124の一端側が複数回巻掛けられている。そして、ドラム150の正転駆動(図3中破線矢印閉方向)により閉側ケーブル124がドラム150に巻掛けられ、ドラム150の逆転駆動(図3中破線矢印開方向)により開側ケーブル123がドラム150に巻掛けられる。このようにドラム150を正逆方向に回転駆動することにより、各ケーブル123、124の一部がケーシング131内に出入りするようになっている。
テンショナ機構160は、テンショナプーリ161とコイルスプリング162とを備えており、テンショナプーリ161には、各ケーブル123、124が巻掛けられている。コイルスプリング162は、テンショナプーリ161を、図中矢印M方向に常時押圧しており、これにより各ケーブル123、124の長期使用等による弛み(伸び)が取り除かれる。よって、スライドドア13(図1および図2参照)の移動時におけるガタつきの発生を防止することができる。
図4は、電動モータ21および電動モータ21を制御する制御装置41の構成を示す図である。
電動モータ21(駆動部の一例)は、上述したモータケース133内に収容され、例えば、3相(U相、V相、およびW相)のDCブラシレスモータである。この場合、図4に示すように、電動モータ21は、制御装置41から、所定の通電パターンに従って、3相の各相へ、それぞれ印加電圧Vu、印加電圧Vv、および印加電圧Vwが供給されることで作動する。
上記のように、電動モータ21が作動すると、ドラム収容部131cに収容されたドラム150は電動モータ21に駆動されて回転し、各ケーブル123、124が互いに逆向きに駆動(移動)される。すなわち、閉側ケーブル124が巻き取られると、スライドドア13は出入口12を閉じる方向に移動する。これとは逆に、開側ケーブル123が巻き取られると、スライドドア13は出入口12を開く方向に移動する。
また、電動モータ21の回転軸(不図示)には、回転子47(永久磁石)が固定されている。この回転子47の回転軌道近傍には、回転センサとしての3つのホールIC48u、ホールIC48v、およびホールIC48w(位置検出部の一例)が、回転軸を中心として互いに120度の位置に設けられている。電動モータ21の回転軸が回転すると、これらの3つのホールIC48u、ホールIC48v、およびホールIC48wは、それぞれ互いに120度位相のずれたパルス信号Su、パルス信号Sv、およびパルス信号Swを制御装置41に対して出力する。
制御装置41は、スライドドア13を予め設定された目標速度(以下、目標速度Vcとする)で開閉移動させるように電動モータ21の作動を制御する。
制御装置41は、駆動回路42、直流電源44、および制御部50を含んで構成される。
駆動回路42は、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子としての絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)42a~42fと、トランジスタ42a~42fの各コレクタ-エミッタ間に並列に接続されたフライホイールダイオード43a~43fとを含んで構成される。ブリッジ接続された6個のトランジスタ42a~42fの各ゲートは制御部50に接続される。また、6個のトランジスタ42a~42fのコレクタまたはエミッタは固定子巻線21u、21v、および21wに接続される。これによって、6個のトランジスタ42a~42fは、制御部50から入力されるパルス幅変調信号(PWM(Pulse Width Modulation)信号)としての駆動信号H1~H6によってスイッチング動作を行い、駆動回路42に印加される直流電源44の電源電圧を3相(U相、V相、W相)の印加電圧Vu、Vv、Vwに変換し、固定子巻線21u、21v、21wへ供給する。
制御部50は、電動モータ21への印加電圧Vu、Vv、Vwを可変制御するために、駆動回路42のトランジスタ42a~42fの各ゲートを駆動する駆動信号H1~H6をパルス幅変調信号(PWM信号)として形成する。
図4に示すように、制御部50は、駆動信号生成部51(駆動力パラメータ取得部の一例)、プリドライバ52、ROM(Read Only Memory)53、位置速度算出部54、計数処理部55および通知部56を含んで構成される。
駆動信号生成部51は、位置速度算出部54から入力される速度信号Vが示す速度および位置信号Pが示す位置と、ホールIC48u、ホールIC48v、およびホールIC48wからのパルス信号Su、パルス信号Sv、およびパルス信号Swとに基づいて、PWM指令信号(図4)を生成してプリドライバ52に向けて出力する。
プリドライバ52は、入力されるPWM指令信号に基づいて、トランジスタ42a~42fを交互にスイッチングするための駆動信号H1~H6を形成し、駆動回路42へ出力する。これによって、駆動回路42は、固定子巻線21u、21v、および21wを交互に通電する印加電圧Vu、Vv、Vwの通電パターンを各固定子巻線21u、21v、21wに印加し、回転子47を、所定の回転方向に回転させる。
図4に示すように、駆動信号生成部51は、開閉スイッチ45に接続される。操作者が開閉スイッチ45を操作し、開閉スイッチ45から駆動信号生成部51にドアの開閉開始を指令する操作信号Sが入力されると、駆動信号生成部51は、位置速度算出部54から入力される速度信号V、位置信号Pに応じてPWM指令信号を生成し、プリドライバ52に対して出力する。
駆動信号生成部51によるデューティ(プリドライバ52が出力する駆動信号のオン期間の周期に対する比率)の算出は、次のように実行される。すなわち、駆動信号生成部51は、スライドドア13の移動速度(速度信号Vの速度)と、予め設定されてROM53内に格納された目標速度Vcとに基づいたフィードバック制御、例えば、比例積分(PI)制御によりデューティを算出する。例えば、駆動信号生成部51は、駆動信号H1~H6のデューティを、速度信号Vが示すスライドドア13の移動速度と目標速度Vcとに基づいたPI演算、x=kp(V-Vc)+kiΣ(V-Vc)を算出する。つまり、駆動信号生成部51は、ROM53内に格納された速度マップを参照することにより出力xを算出する。ここで、kpは比例ゲイン、kiは積分ゲインを示す。目標速度Vcを規定する速度マップについては後述する。
位置速度算出部54は、駆動信号生成部51がPWM指令信号の生成に用いる速度信号V、および位置信号Pを、ホールIC48u、48v、48wがそれぞれ出力するパルス信号Su、Sv、およびSwから生成する。
位置速度算出部54は、ホールIC48u、48v、48wがそれぞれ出力するパルス信号Su、Sv、およびSwが入力されると、パルス信号の発生間隔に基づいて電動モータ21の回転速度、つまりスライドドア13の移動速度を算出し、速度信号Vを出力する。また、位置速度算出部54は、スライドドア13が基準位置(例えば全閉位置)となったときを起点として後述のパルス信号Su、Sv、およびSwの切替りをカウント(積算)することによりスライドドア13の位置を検出し、位置信号Pを出力する。
図5は、電動モータ21の駆動に関する各部の信号を示すタイムチャートである。
図5(a)は、制御装置41が電動モータ21を正転駆動する場合の各部の動作タイムチャートを示す図である。また、図5(b)、および図5(c)は、電動モータ21を正転駆動または逆転駆動する際の回転子位置シーケンスSnと、電動モータ21への通電パターンとの関係を示す図である。
電動モータ21を正転駆動する動作において、ホールIC48u、48v、48wはそれぞれパルス信号Su、Sv、およびSwとして、図5に示すようにハイ信号(H信号)またはロー信号(L信号)を出力する。例えば、回転子47が回転子位置シーケンスSnのS1の回転位置にあるとき、パルス信号Su、Sv、およびSwは、それぞれH信号、L信号、H信号となる。つまり、3つのホールICで検出するので、位置信号パターンは、H-L-H(パルス信号Su、Sv、およびSwを並列に並べた信号で示す)となり、この位置信号パターンを、便宜的に位置信号パターン「A」とする。また、回転子位置シーケンスSnがS2のとき、位置信号パターンは、H-L-Lとなり、位置信号パターンは「B」となる。
つまり、回転子位置が360°回転する回転子位置シーケンスS1~S6に対応して、パルス信号Su、Sv、およびSwの位置信号パターンは「A」~「F」の順で変化する。
一方、駆動信号生成部51は、パルス信号Su、Sv、およびSwの位置信号パターンに基づいて、電動モータ21を正転回転させるPWM指令信号を、所定のタイミングでプリドライバ52に対して出力する。プリドライバ52は、PWM指令信号に基づいて、駆動回路42のトランジスタ42a~42fの各ゲートを駆動するパルス幅変調信号(PWM信号)である駆動信号H1~H6を出力する。なお、図5において、駆動信号H1~H6のハッチング部分はトランジスタ42a~42fがPWM制御されてオンオフ駆動されていることを示している。
駆動回路42は、駆動信号H1~H6によって、トランジスタ42a~42fをスイッチング制御し、固定子巻線21u、21v、および21wに、図5に示すような、印加電圧Vu、Vv、Vwを印加する。これにより、電動モータ21の回転子47は、正転に回転する。本実施態様では、図5に示すように、上述した位置信号パターンA~Fに対応して、印加電圧Vu、Vv、Vwの通電パターンを便宜的に通電パターンG~Lとする。例えば、駆動回路42は、位置信号パターンAに対応して、(0)-(-V)-(+V)の通電パターンGを出力している。
このように、プリドライバ52は、駆動信号生成部51からの電動モータ21を正転駆動するためのPWM指令信号を受けて、トランジスタ42a~42fを駆動する駆動信号H1~H6をパルス幅変調(PWM)信号として出力する。また、上記のように、駆動信号生成部51によってPWM信号のパルス幅(デューティ)が目標速度Vcおよび移動速度に応じて調整される。これにより、電動モータ21の印加電圧Vu、Vv、Vwは可変制御され、電動モータ21の回転軸の回転速度が調整される。
図5(b)は、電動モータ21の正転時に規定された回転子位置シーケンスS1~S6と、位置信号パターンA~F、および通電パターンG~Lの関係を示している。
正転時の回転子位置シーケンスSnの順序S1→S2→S3→S4→S5→S6に対して、位置信号パターンの順序は、A→B→C→D→E→Fの順序となる。また、位置信号パターンに基づいて出力される通電パターンの順序は、G→H→I→J→K→Lの順序となる。
同様に、図5(c)に示すように、逆転時の回転子位置シーケンスSnの順序S6→S5→S4→S3→S2→S1に対して、位置信号パターンの順序は、F→E→D→C→B→Aの順序となる。また、位置信号パターンに基づいて出力される通電パターンの順序は、L→K→J→I→H→Gの順序となる。
図6は、スライドドア13を開く際の目標速度Vcを規定する速度マップを例示する図である。上記のように、速度マップはROM53に格納されている。なお、スライドドア13を閉じる際の目標速度Vcを規定する速度マップは、図6の速度マップとは異なる曲線として規定することができる。スライドドア13を閉じる動作を最適化するように目標速度Vcを規定すればよい。
図6に示すように、速度マップは、スライドドア13の目標速度Vcを、スライドドア13のドア開口幅、すなわちスライドドア13の位置に応じた値と対応付けて規定している。駆動信号生成部51は、位置速度算出部54から得られるスライドドア13の速度信号Vおよび位置信号Pに基づいて、速度信号Vを現時点の位置信号Pに対応付けられた目標速度Vcに追従させるように、フィードバック制御により駆動信号H1~H6のデューティを演算する。上記のように、駆動信号生成部51は、例えば、比例積分(PI)制御によりデューティを算出することができる。
図6に示すように、スライドドア13の目標速度Vcは、ドア開口幅に応じて異なる値をとる。すなわち、全閉位置からドア開口幅がL1になるまで、目標速度Vcは増加する。ドア開口幅がL1からL2に到達するまでは、目標速度Vcは一定の速度V1をとる。ドア開口幅がL2よりも大きくなると、目標速度Vcは低下し、速度V2となる。その後、ドア開口幅が増加しても、目標速度Vcはスライドドア13が全開位置に至るまで速度V2に維持される。
このように、ドア開口幅がL2よりも大きくなると目標速度Vcを低下させているのは、スライドドア13の動作に極力、違和感を覚えさせず、かつスライドドア13による挟み込みを抑制するためである。
また、駆動信号生成部51は、位置速度算出部54から得られるスライドドア13の位置信号Pとともに、スライドドア13が全開位置に到達したことを固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値に基づいて判断している。すなわち、スライドドア13が全開位置に到達すると、負荷が増加することに起因して、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が所定の閾値Th1を超えるため、これを利用してスライドドア13が全開位置に到達したことが検出される。そして、駆動信号生成部51は、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が所定の閾値Th1を超えたときに、電動モータ21への電流供給を停止する。これにより、スライドドア13が確実に全開位置で停止するように制御される。
次に、制御部50の動作について説明する。
図7は、制御部50の処理を示すフローチャートである。なお、計数処理部55は、所定イベントを検出した回数をカウントするが、そのカウント数の初期値(例えば、車両の出荷時の値)は、例えばゼロとされる。
図7のステップS102では、駆動信号生成部51は、スライドドア13の開動作が実行されているか否か判断し、判断が肯定されればステップS104へ処理を進め、判断が否定されればステップS102の処理を繰り返す。
ステップS103では、駆動信号生成部51は、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が、所定の閾値Th2よりも大きいか否か判断し、判断が肯定されればステップS103Bへ処理を進め、判断が否定されればステップS104へ処理を進める。固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値は、例えば駆動信号生成部51から得られる指令値に基づいて判断されてもよいし、電流センサが設けられる場合は、当該電流センサからのセンサ情報に基づいて判断されてもよい。所定の閾値Th2は、異物等の挟み込みを検出できるように設定され、例えば、異物等の挟み込みが発生した場合に取りうる電流の値の取りうる範囲の下限値に対応してよい。
ステップS103Bでは、駆動信号生成部51は、スライドドア13を停止させる処理を行い、ステップS102へ処理を進める。これにより、電動モータ21への電流が遮断され、スライドドア13が停止する。
ステップS104では、駆動信号生成部51は、ユーザによるスライドドア13の停止操作があったか否か判断し、判断が肯定されればステップS104Bへ処理を進め、判断が否定されればステップS106へ処理を進める。
ステップS104Bでは、駆動信号生成部51は、スライドドア13を停止させる処理を行い、ステップS102へ処理を進める。これにより、電動モータ21への電流が遮断され、スライドドア13が停止する。
ステップS106では、駆動信号生成部51は、位置速度算出部54を介して現在のスライドドア13の位置を取得し、スライドドア13のドア開口幅がL4(図6)よりも大きいか否か判断する。駆動信号生成部51は、判断が肯定されればステップS110へ処理を進め、判断が否定されればステップS103へ処理を進める。なお、図6に示す例では、L4は、L2より大きく、L3より小さい値であるが、L4の値は任意に定めることができる。なお、本実施例では、ドア開口幅がL4以下の場合に、スライドドア13が全開位置またはその近傍の位置にあるとしている。
このように、上記のステップS104の判断が肯定される場合は、ステップS106の判断が否定された場合、すなわち、スライドドア13が全開位置またはその近傍にない場合である。したがって、ステップS106の判断が肯定されるのは、スライドドア13が全開位置に到達していないが、何らかの要因でスライドドア13を停止させた場合である。例えば、挟み込みや何らかの異常が検出された場合などがこれに相当する。
ステップS110では、駆動信号生成部51は、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が、所定の閾値Th1よりも大きいか否か判断し、判断が肯定されればステップS114へ処理を進め、判断が否定されればステップS112へ処理を進める。
本ステップS110においては、上述したステップS103と同様に、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値(パラメータの一例)は、例えば駆動信号生成部51から得られる指令値に基づいて判断されてもよいし、電流センサが設けられる場合は、当該電流センサからのセンサ情報に基づいて判断されてもよい。なお、本ステップS110の判定には、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値に代えて又は加えて、位置速度算出部54から得られるスライドドア13の速度信号Vが示す速度または位置信号Pが示す位置を用いることもできる。
本ステップS110においては、所定の閾値Th1は、スライドドア13が全開位置に到達した状態を検出するための閾値であり、上述したステップS103で用いられる所定の閾値Th2と同じであってもよいし、有意に異なってもよい。なお、本実施例では、一例として、スライドドア13のドア開口幅がL4よりも大きい状況下で、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が、所定の閾値Th1よりも大きいと判定した場合に、スライドドア13が全開位置に到達したと判定する。これは、スライドドア13が全開位置に到達すると、固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値(スライドドア13の速度信号Vが示す速度または位置信号Pが示す位置も同様)が、スライドドア13により挟み込みが発生した状態と同様の挙動を示すためである。ただし、変形例では、挟み込みが発生しているか否かの判定と、スライドドア13が全開位置に到達したか否かの判定は、所定の閾値Th1等が異なる態様で、別々に実行されてもよい。
ステップS112では、駆動信号生成部51は、位置速度算出部54からの情報に基づいてスライドドア13の速度が規定値よりも下回っているか否か判断し、判断が肯定されればステップS114へ処理を進め、判断が否定されればステップS110へ処理を進める。
ステップS112におけるスライドドア13の速度が規定値よりも下回っているか否かは、位置速度算出部54から得られるスライドドア13の速度(速度信号Vが示す速度)を用いて判断することができる。ステップS112の判断が肯定されるのは、スライドドア13が全開位置に到達したと判定される場合である。
ステップS114では、駆動信号生成部51は、スライドドア13を停止させる処理を行い、ステップS116へ処理を進める。これにより、電動モータ21への電流が遮断され、スライドドア13が停止する。
ステップS116では、駆動信号生成部51は、計数処理部55にカウント数(イベントの発生回数)をカウントアップさせて、ステップS102へ処理を進める。
このように、スライドドア13が全開位置またはその近傍にある場合であって、ステップS110の判断またはステップS112の判断が肯定された場合には、駆動信号生成部51は、スライドドア13が全開位置に到達したと判定している。全開位置までスライドドア13が開く際には、スライドドア13の突き当てにより、開側ケーブル123または閉側ケーブル124に所定荷重以上の負荷がかかるイベント(以下、「所定イベント」とも称する)(すなわち、所定荷重以上の負荷をかける駆動力が電動モータ21により発生されるイベント)に対応している。このため、この所定イベントの発生(検出)の回数をカウントすることにより、開側ケーブル123または閉側ケーブル124へのダメージの蓄積量を推定することができる。
このような方法は、スライドドア13が開位置の近傍に到達したことを検出するリミットスイッチが設けられていない場合に、とくに有効となる。リミットスイッチにより直接的にスライドドア13の位置を検出する場合には、スライドドア13が開位置の近傍に到達したことを正確に検出でき、速やかに電動モータ21への電流供給を遮断するなどの制御が採用できる。この場合には、スライドドア13が全開位置に到達したときの突き当て時の衝撃を効果的に抑制でき、開側ケーブル123または閉側ケーブル124へのダメージが抑えられる。他方、リミットスイッチが設けられていない場合には、リミットスイッチを用いた場合のような適切なタイミングで電動モータ21への電流供給を遮断することが困難となる。このため、スライドドア13の突き当て時に固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値等に基づいてスライドドア13が全開位置に到達したことを正確に検出することが必要となる。したがって、スライドドア13が全開位置に到達したときの開側ケーブル123または閉側ケーブル124へのダメージが比較的、大きくなりがちであり、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換時期を予測、通知することの必要性が高まる。
なお、本実施例では、ステップS110およびステップS112のいずれかの判断が肯定された場合にカウント数(所定イベントの検出回数)をカウントアップ(ステップS116)しているが、ステップS110およびステップS112の判断のいずれか一方のみを行い、判断が肯定された場合に、カウント数(所定イベントの検出回数)をカウントアップしてもよい。また、ステップS110およびステップS112の判断の両者が肯定された場合に、カウント数(所定イベントの検出回数)をカウントアップしてもよい。
上記実施例では、スライドドア13が全開位置に到達した回数をカウントしているが、突き当ての強さ(開側ケーブル123または閉側ケーブル124に与えられる駆動力)に応じてカウント数に重み付けをすることもできる。例えば、挟み込みの発生時(ステップS110の判断が肯定)に固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値に応じて、カウント数を変化させることができる。固定子巻線21u、21v、21wへ供給される電流の値が大きい場合には、開側ケーブル123または閉側ケーブル124に与えられる駆動力がより大きいと考えられる。このため、電流の値が大きい場合には、挟み込みを1回検出したときにカウントアップするカウント数を増加させてもよい。
また、ステップS112の判断が肯定された際のスライドドア13の速度に応じて、カウント数を変化させることができる。例えば、スライドドア13の速度が急激に低下した場合には、カウント数を増加させてもよい。
図7の例では、スライドドア13の開動作において、ドア開口幅がL4以上の場合、すなわちスライドドア13が全開位置に到達した回数を、開側ケーブル123に所定荷重以上の負荷がかかるイベント(所定イベント)の検出回数として、カウントしている。これは、スライドドア13が全開位置に至らせる際に、開側ケーブル123に所定荷重以上の負荷がかかるような駆動力が電動モータ21により発生されるためである。しかし、スライドドア13が開動作中の他の位置にあるとき、またはスライドドア13の閉動作中において開側ケーブル123または閉側ケーブル124に大きな駆動力(閉側ケーブル124に所定荷重以上の負荷をかける駆動力)を与える状態の発生数を、所定イベントの検出回数としてカウントしてもよい。例えば、図7Bに示すように、スライドドア13が開動作中において任意の位置(ただし、スライドドア13のドア開口幅がL4以下である区間内)で挟み込みなどを検出した場合に、その挟み込みなどをカウントしてもよい。図7Bに示す例では、ステップS103で判断が肯定されると、ステップS116でカウント数(イベントの発生回数)がカウントアップされる。また、このような挟み込み検出におけるカウントアップは閉動作中においても実施してもよい。
図8は、通知部56の処理を示すフローチャートである。
図8のステップS202では、通知部56は、計数処理部55におけるカウント数が第3閾値に到達しているか否か判断し、判断が肯定されればステップS204へ処理を進め、判断が否定されればステップS206へ処理を進める。
ステップS204では、通知部56は、車内のインフォメーションディスプレイ(不図示)に第3のコメント、例えば、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換を要求する「今すぐ交換」という文字列を表示することで運転者等に必要な情報を通知し、ステップS202へ処理を進める。
ステップS206では、通知部56は、計数処理部55におけるカウント数が第3閾値よりも小さな値である第2閾値(第2のカウント数の一例)に到達しているか否か判断し、判断が肯定されればステップS208へ処理を進め、判断が否定されればステップS210へ処理を進める。
ステップS208では、通知部56は、車内のインフォメーションディスプレイに第2のコメント(第2の情報の一例)、例えば、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換の必要性を示す「交換時期間際」という文字列を表示することで運転者等に必要な情報を通知し、ステップS202へ処理を進める。
ステップS210では、通知部56は、計数処理部55におけるカウント数が第2閾値よりも小さな値である第1閾値(第1のカウント数の一例)に到達しているか否か判断し、判断が肯定されればステップS212へ処理を進め、判断が否定されればステップS202へ処理を進める。
ステップS212では、通知部56は、車内のインフォメーションディスプレイに第1のコメント(第1の情報の一例)、例えば、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換の必要性を示す「そろそろ交換」という文字列を表示することで車両10の運転者等に必要な情報を通知し、ステップS202へ処理を進める。
このように、通知部56は、計数処理部55におけるカウント数が所定の閾値に到達した場合に、必要な情報を通知している。また、複数の閾値(第1~第3閾値)を用意し、それぞれの閾値に対応した異なるコメントを表示することにより、運転者等に適切な情報を提示することができる。
情報の提示方法は限定されない。例えば、コメントの表示に代えて、あるいはコメントの表示とともに、メータや音により情報を提示してもよい。視覚的あるいは聴覚的に必要な情報、例えば交換時期を適切に伝えることができる。
図8の例では、コメントを車内で表示することで、情報の通知を行っているが、通知先や通知の方法は任意である。例えば、通信を介して車外、例えば、車両の所持者や車両のディーラーなどに情報を通知してもよい。
なお、計数処理部55における処理では、実質的に所定イベントの検出に応じて検出回数に対応するカウント数をカウントアップできればよい。例えば、計数処理部55においてカウント数を初期値Nからイベント検出ごとにデクリメントして、N=0となったときに通知部56において通知をしてもよい。この場合、初期値Nを、複数の閾値(第1~第3閾値)に対応して複数個容易することで、実質的に同様の処理を実現できる。
以上のように、本実施例によれば、駆動部により発生された駆動力に起因してケーブルに所定荷重以上の負荷がかかるイベントを検出し、その検出回数の増加に応じて、カウント数をカウントアップし、カウント数に基づいてケーブルの状態に関する通知を行う。このため、開側ケーブル123または閉側ケーブル124に与えられるダメージの蓄積量を、カウント数に基づいて推定することができ、カウント数に基づいて開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換に関する適切な情報を通知している。このため、車両の運転者等は、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の適切な交換時期を知ることができる。また、車両の使用年数や走行距離を目安にケーブルを交換する場合に起き得る不都合、すなわち、早すぎるタイミングで開側ケーブル123または閉側ケーブル124の交換を迫られる不都合も回避できる。
図9は、通知部56における別の処理を示すフローチャートである。図9において、図8と異なる部分について説明する。
図9の処理では、最初にステップS301において、通知部56は、駆動信号生成部51に対し、制御モードとして通常モードを選択するように指示する。ここで、通常モードは、スライドドア13の目標速度Vcとドア開口幅との関係が図6に示した関係となる制御モードである。
一方、通知部56は、計数処理部55におけるカウント数が第3閾値(第3のカウント数の一例)に到達していると判断した場合(ステップS202)、ステップS302において、駆動信号生成部51に対し、制御モードとして保護モードを選択するように指示した後、ステップS202へ処理を進める。
保護モードはスライドドア13の全開時の突き当たりを抑制する制御モードであり、開側ケーブル123または閉側ケーブル124へのダメージが抑制される制御モードである。例えば、保護モードでは、駆動信号生成部51は、スライドドア13の開動作時にドア開口幅が所定の閾値(例えば、L3)よりも小さくなると、電動モータ21への電流供給を遮断又は抑制(例えば駆動電流の上限値を下方に補正)するように制御する。これにより、計数処理部55におけるカウント数が第3閾値に到達している場合、すなわち、開側ケーブル123または閉側ケーブル124の残りの寿命が短いと推定される場合には、スライドドア13の全開時の突き当たりが抑制され、開側ケーブル123または閉側ケーブル124へのダメージが抑制される。したがって、スライドドア13が正常に開閉動作する期間を延ばすことが可能となる。
図10は、計数処理部55におけるカウント数をリセットする処理を示すフローチャートである。この処理は、開側ケーブル123または閉側ケーブル124を交換した場合など、カウント数をリセットすべき場合に実行される。
図10のステップS402は、計数処理部55は、カウント数のリセットの指示を受けたか否か判断し、判断が肯定されればステップS404へ処理を進め、判断が否定されればステップS402の処理を繰り返す。ここでは、例えば、車内に設けられた操作部(不図示)への操作が検出された場合に、ステップS402の判断が肯定されてもよい。
ステップS404では、計数処理部55におけるカウント数をリセットし、処理をステップS402へ進める。
このように、計数処理部55におけるカウント数をリセット可能とすることにより、ケーブルの交換のたびに、ケーブルの状態を正しく推定して必要な情報を通知できる状態とすることが可能となる。
以上、この発明の実施例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、上述した実施例では、駆動ユニット130は、車体11側に設けられるが、スライドドア13側に設けられてもよい。
また、上述した実施例では、スライドドア13の開閉用のケーブルは、開側ケーブル123と閉側ケーブル124とで別々に構成されているが、一本のケーブルで実現されてもよい。
また、上述した実施例では、開側ケーブル123または閉側ケーブル124に与えられるダメージの蓄積量を、共通のカウント数に基づいて推定しているが、別々に所定イベントの検出回数をカウントしてもよい。この場合、所定イベントは、開側ケーブル123と閉側ケーブル124とで異なってよい。
なお、以上の本発明の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
車両(10)に搭載されたスライドドア(13)を開閉するスライドドア開閉装置(14)であって、
前記スライドドアを開閉するための駆動力を発生させる駆動部(20)と、
前記駆動部により発生された前記駆動力を前記スライドドアに伝達するケーブル(123、124)と、
前記駆動部を制御する制御装置(41)と、を備え、
前記制御装置は、
前記駆動部により発生された前記駆動力に起因して前記ケーブルに所定荷重以上の負荷がかかるイベントを検出し、その検出回数の増加に応じて、カウント数をカウントアップする計数処理部(55)と、
前記カウント数に基づいて通知を行う通知部(56)と、
を備える、スライドドア開閉装置。
付記1の構成によれば、スライドドアの駆動に関する所定イベントの発生のカウント数をカウントするので、例えば、ケーブルの損傷状態など、ケーブルの状態を正確に推定できる。また、カウント数に基づいて通知を行うので、ケーブルの状態に関する適切な情報を適切なタイミングで通知できる。
(付記2)
前記スライドドアの位置を検出する位置検出部(48u、48v、48w)を更に備え、
前記制御装置は、前記位置検出部の検出結果に基づいて、前記スライドドアを全開位置に至らせる際に、前記ケーブルに前記所定荷重以上の負荷をかける第1駆動力を前記駆動部に発生させる、付記1に記載のスライドドア開閉装置。
付記2の構成によれば、スライドドアが全開位置またはその近傍の位置に至ったときにカウント数を更新するので、スライドドアが全開する際の突き当たりに起因するケーブルの状態の変化を正確に推定できる。
(付記3)
付記2に記載のスライドドア開閉装置において、
前記計数処理部は、前記位置検出部の検出結果に基づいて、前記イベントを検出する、スライドドア開閉装置。
付記3の構成によれば、スライドドアの位置に基づいてイベントを検出するので、スライドドアの位置に基づいて正しくイベントの発生を検出できる。
(付記4)
前記制御装置は、前記駆動部により発生された前記駆動力の大きさを表すパラメータの値を取得する駆動力パラメータ取得部(51)を更に備え、
前記計数処理部は、前記駆動力パラメータ取得部により取得された前記パラメータの値に基づいて、前記イベントを検出する、付記2または付記3に記載のスライドドア開閉装置。
付記4の構成によれば、駆動力パラメータ取得部により取得されたパラメータの値に基づいて、イベントを検出するので、駆動部により発生される駆動力の大きさに基づいて正しくイベントの発生を検出できる。
(付記5)
前記制御装置は、前記駆動部により発生された前記駆動力の大きさを表すパラメータ(例えば、駆動電流やパルス速度等)の値を取得する駆動力パラメータ取得部(51)を更に備え、
前記計数処理部は、前記位置検出部の検出結果に基づいて、前記スライドドアが全開位置またはその近傍の位置にあり、かつ、駆動力パラメータ取得部により取得された前記パラメータの値に基づいて、前記パラメータの値が所定閾値を超える場合に、前記イベントを検出する、付記2に記載のスライドドア開閉装置。
付記5の構成によれば、スライドドアの位置および駆動部により発生される駆動力の大きさに基づいてイベントを検出するので、スライドドアの位置に基づいて正しくイベントの発生を検出できる。
(付記6)
付記1~付記5のうちのいずれか1項に記載のスライドドア開閉装置において、
前記通知部は、前記カウント数が第1のカウント数に到達すると第1の情報を通知し、前記カウント数が第1のカウント数よりも大きい第2のカウント数に到達すると前記第1の情報よりも前記ケーブルの交換の必要性に対する注意喚起度の高い第2の情報を通知する、スライドドア開閉装置。
付記6の構成によれば、カウント数の大きさに従って、ケーブルの交換の必要性に対する注意喚起度が異なる情報が通知されるので、カウント数に応じた適切な情報を常に通知できる。
(付記7)
付記2~付記5のうちのいずれか1項に記載のスライドドア開閉装置において、
前記制御装置は、前記カウント数が第3のカウント数に到達した場合には、前記第1駆動力に代えて、該第1駆動力より小さい第2駆動力を発生させる、スライドドア開閉装置。
付記7の構成によれば、カウント数が第3のカウント数に到達した場合にスライドドアが全開位置に到達するときの駆動力が抑制されるので、カウント数が第3のカウント数に到達した後におけるケーブルの寿命を延ばすことができる。
(付記8)
付記1~付記7のうちのいずれか1項に記載のスライドドア開閉装置において、
計数処理部は、指示に応じて、前記カウント数をリセットする、スライドドア開閉装置。
付記8の構成によれば、計数処理におけるカウント数をリセット可能とすることにより、ケーブルの交換のたびに、ケーブルの状態を正しく推定して必要な情報を通知できる状態とすることが可能となる。
(付記9)
車両に搭載されたスライドドアを開閉するスライドドア開閉装置を構成する制御装置であって、
前記スライドドア開閉装置は、
前記スライドドアを開閉するための駆動力を発生させる駆動部と、
前記駆動部により発生された前記駆動力を前記スライドドアに伝達するケーブルと、を備え、
前記制御装置は、
前記駆動部により発生された前記駆動力に起因して前記ケーブルに所定荷重以上の負荷がかかるイベントを検出し、その検出回数の増加に応じて、カウント数をカウントアップする計数処理部と、
前記カウント数に基づいて、前記ケーブルの状態に関する通知を行う通知部と、
を備える、制御装置。
付記9の構成によれば、スライドドアの駆動に関する所定イベントの発生のカウント数をカウントするので、例えば、ケーブルの損傷状態など、ケーブルの状態を正確に推定できる。また、カウント数に基づいて通知を行うので、ケーブルの状態に関する適切な情報を適切なタイミングで通知できる。
(付記10)
車両に搭載されたスライドドアを開閉するスライドドア開閉装置を制御する制御方法であって、
前記スライドドア開閉装置は、
前記スライドドアを開閉するための駆動力を発生させる駆動部と、
前記駆動部により発生された前記駆動力を前記スライドドアに伝達するケーブルと、
を備え、
前記制御方法は、
前記駆動部により発生された前記駆動力に起因して前記ケーブルに所定荷重以上の負荷がかかるイベントを検出し、その検出回数の増加に応じて、カウント数をカウントアップする計数処理ステップと、
前記計数処理ステップによりカウントされた前記カウント数に基づいて、前記ケーブルの状態に関する通知を行う通知ステップと、
を備える、制御方法。
付記10の構成によれば、スライドドアの駆動に関する所定イベントの発生のカウント数をカウントするので、例えば、ケーブルの損傷状態など、ケーブルの状態を正確に推定できる。また、カウント数に基づいて通知を行うので、ケーブルの状態に関する適切な情報を適切なタイミングで通知できる。