[1012] 次世代の多機能性材料は、21世紀における技術革新の基礎をなすと考えられる。科学と専門的な工学知識とを組み合わせることにより、先進的な機能性材料に関する研究は、自動車、航空宇宙、電気通信、エネルギー、およびマイクロエレクトロニクス産業で使用することができる広く様々な適用例に向けて、最先端の多機能性、軽量、および高性能の材料を設計し開発できるようになる。過去10年間にわたり、伝導性ポリマー複合体は、非常に望ましい種類の先端機能性材料として、莫大な可能性を示してきた。これらには数々の魅力的な性質がある。金属およびセラミック複合体と比較すると、ポリマー複合体には、加工のし易さ、化学物質および腐食に対する優れた耐性、ならびに調整可能な物理的/機械的性質を含めた数々の魅力ある性質がある。種々の充填剤を組み込むことによって実現されるポリマー複合体の調整可能な機能性は、広範な最先端の適用例の要件に対処することを助けることができる。
[1013] ナノ材料の最近の進歩およびそれらの増えつつある利用可能性により、ポリマー複合体に利用可能なタイプおよび機能が、著しく開発されてきた。これは、様々な適用例に優れた性質を持つポリマー複合体(例えば、グラフェンナノプレートレット含有ポリマーナノ複合体)の開発に、将来性ある機会をもたらしている。現在、浮上している充填剤の候補の一例は、グラフェンである。グラフェンは、2-Dのハニカム構造化格子を形成したsp2炭素原子から構成された、原子的に厚い層である。近年、グラフェンは、その並外れた機械的、電気的、および熱的性質に起因して、多くの関心を引き付けている。とりわけグラフェンは、130GPaの極限強度および1TPaのヤング率を持つ、これまで測定された中で最強の材料である。単層グラフェンの熱および電気伝導度は、それぞれ約5000W/(m.K)および約6000S/cm2と報告されている。
[1014] しかし、グラフェンをベースにしたポリマー複合体の、経済的に実現可能な製造のための土台は不明である。ポリマー母材中のグラフェン層の剥離および分散の複雑さに起因して、グラフェンの最大限の可能性を利用することはかなり難しいことであり費用がかかる。
[1015] 黒鉛材料(例えば、グラフェンナノプレートレット)を生成し剥離する、いくつかの手法がある:(i)グラフェン酸化物小板の形成、およびその後の還元。この手法では、天然黒鉛材料をインターカラントおよび酸化剤で処理して、黒鉛酸化物とも呼ばれる黒鉛インターカレート化合物を生成する。次いで得られた生成物を、超音波により支援される溶液ベースの分離手法または熱衝撃曝露のいずれかにすることができる剥離手順に、供することになる。(ii)非常に難しいグラフェンナノプレートレットの分離および剥離を行うための、黒鉛フレークの直接超音波処理など、化学的インターカレーション経路を経ることのない天然黒鉛からの直接的な未処理のグラフェンナノプレートレットの形成。(iii)化学気相成長およびエピタキシャル成長を使用する、グラフェンナノプレートレットの小規模生成。(iv)ボトムアップ法と用ばれる、分子からのグラフェンナノプレートレットの合成。
[1016] 上述の黒鉛インターカレーションおよび剥離方法のほとんどでは、退屈な洗浄工程をもたらすかなりの量の化学物質が必要とされる。手法(i)で調製されたグラフェン酸化物は、この方法で高度に酸化された黒鉛の完全な還元の複雑さに起因して、化学的および熱的手還元の後であっても、未処理のグラフェンナノプレートレットに比べて非常に低い熱および電気伝導度を依然として示す。(iii)および(iv)手法を通して生成されたグラフェンナノプレートレットは、高度に伝導性があり欠陥がないが、これらの手法は、グラフェンナノプレートレットの大規模生産に関して桁違いの費用がかかる。
[1017] したがって、黒鉛材料を剥離し黒鉛材料をポリマー母材中に分散させるプロセス、および費用効果のあるプロセスが、産業において長年にわたり切実に求められている。
[1018] 本明細書で使用される「薄膜黒鉛」という用語は、その厚さを約300層~約1,200層の厚さにまで低減させ、約100nm~約400nmの間にほぼ等しい、結晶質黒鉛を指す。本明細書で使用される「数層グラフェン」という用語は、約1グラフェン層~約10グラフェン層の厚さを有する結晶質黒鉛を指す。本明細書で使用される「黒鉛材料」、「グラフェンフレーク」、「グラフェンナノフレーク」、「グラフェンシート」、および「グラフェンナノプレートレット」は全て、グラフェン層から構成された任意の構造化材料を指す。
[1019] 本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、他に文脈が示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって例えば、「メンバー(a member)」という用語は、単一メンバーまたはメンバーの組合せを意味するものとし、「材料(a material)」は、1種もしくは複数の材料、またはこれらの組合せを意味するものとする。
[1020] 本明細書で使用される「組(set)」および「複数(plurality)」という用語は、多数のフィーチャー、または多数の部分を持つ単一のフィーチャーを指すことができる。例えば、ひと組の電極と言う場合、電極の組は、多数の部分を持つ1つの電極と見なすことができ、または電極の組は、多数の全く異なる電極と見なすことができる。さらに例えば、複数の電気化学セルという場合、複数の電気化学セルは、多数の全く異なる電気化学セルまたは多数の部分を持つ1つの電気化学セルと見なすことができる。したがって、ひと組の部分または複数の部分は、互いに連続したまたは不連続である多数の部分を含んでいてもよい。複数の粒子または複数の材料は、別々に生成されかつ後で一緒に接合される(例えば、混合、接着剤、または任意の適切な方法を介して)、多数の物品から製作することもできる。
[1021] 本明細書で使用される「約」、「実質的に」、および「凡そ」という用語は一般に、記載される値のプラスマイナス10%を意味し、例えば約250μmは、225μm~275μmを含むことができ、約1,000μmは900μm~1,100μmを含むことができる。
[1022] 高い表面エネルギー(例えば、約40mJ/m2~約60mJ/m2)および非常に高い表面積(例えば、約2630m2/g)と連結させたグラフェンの並外れた性質(例えば、機械的、熱的、電気的など)は、グラフェンが、非常に低い負荷レベル(即ち、添加剤濃度)、例えば約2wt%未満であっても、材料の機械的、電気的、および熱的性質を改善する際に非常に有効な添加剤として働くことができることを示唆する。一部の実施形態では、記載される適用例で黒鉛材料を使用する前または最中に、グラフェンシートを生成し(例えば、厚いグラフェンナノフレークを剥離する)、積層されたグラフェンシートを解凝集し、かつ/または解凝集した/剥離したグラフェンナノフレークの再積層を防止することを望み得る。
[1023] 一部の実施形態では、黒鉛の酸化から得られたグラフェン酸化物の還元、膨張黒鉛の熱的剥離、黒鉛の化学機械的剥離、または黒鉛材料の化学気相成長などの大規模生成方法を、グラフェンシートの生成で使用してもよい。一部の実施形態では、用いられる生成方法に応じて、得られたグラフェン生成物は、単層グラフェン、数層グラフェン、およびグラフェンナノプレートレットなど、種々の数のグラフェン層を有する黒鉛材料を含み得る。しかし、上述の技法から生成されたグラフェンシートには、種々の欠点がある可能性がある。例えば、グラフェン酸化物の還元から生成されたグラフェンナノフレークは主に単層グラフェンを含むことができるが、ナノフレークは、不十分な結晶質品質を有する可能性がありかつ高密度の平面内欠陥を含有する可能性がある。さらにグラフェン酸化物は、様々な母材中で好ましい分散挙動を示すことができるが、グラフェン酸化物の還元から生成されたグラフェン含有生成物は、グラフェンの凝集に起因して分散または管理することが難しくなる可能性がある。別の例として、熱的剥離方法は、グラフェンシートの大規模生成に適切とすることができるが、シートサイズならびに得られたグラフェンナノフレークの欠陥含量を制御するのに難しさがある可能性がある。化学気相成長法は、高品質のグラフェンをもたらすことができるが、大規模生成に最も適しているわけではない。比較すると、参照によりその全内容が本明細書に全体として組み込まれているPCT国際特許出願No.PCT/CA2015/051292に論じられる黒鉛の化学機械的剥離は、制御可能な機能性を持つ低欠陥グラフェンシートの生成を可能にすることができる。
[1024] 黒鉛材料をポリマー母材中に分散させるためのいくつかの以前の方法は、参照によりその全内容が本明細書に全体として組み込まれる2017年1月6日出願の、「Methods of Compounding Graphene with Non-Conductive Particles and Applications Thereof」という名称のPCT国際特許公開No.WO/2017/117683(以後、「‘683号公開」)に論じられている。これらの以前の方法は、黒鉛材料のポリマー中へのある程度の分散を実現し得るが、黒鉛材料は、黒鉛材料とポリマーとを混合する最中または後に、典型的にはさらに剥離されない。
[1025] グラフェン含有ポリマー複合体の物理的および機械的性質は、グラフェンナノプレートレットの化学組成、欠陥濃度、アスペクト比、および剥離のレベルに依存するだけではなく;グラフェンナノプレートレットがポリマー母材中にどのようにうまく分散するのかにも高度に依存する。グラフェンナノプレートレットを熱可塑性ポリマー中に分散させるための、最も経済的に実現可能で拡大縮小可能な技法は、現行の工業的実施に対する高い適合性に起因して、溶融混合である。しかし、グラフェン含有ポリマー複合体(例えば、グラフェンナノプレートレットをベースにしたポリマーナノ複合体)の溶融混合に関する知識は、依然として不十分である。溶融ブレンド中のグラフェンナノプレートレットの再積層および凝集は、生成物の機能性強化においてそれらの有効性を著しく低減させる可能性がある。したがって、剥離したグラフェンナノプレートレットが剥離したままであるだけでなく、ブレンド中にそれらをさらに剥離させかつ分散させることも確実にするために、経済的に実現可能で拡大縮小可能な溶融ブレンドの方法を開発することが望ましい。
[1026] したがって本開示は、ポリマーマトリックス中での高レベルの剥離および分散がなされる、グラフェン含有マスターバッチの超臨界流体支援製造の方法について記載する。一部の実施形態では、黒鉛材料は、溶融混合中にポリマーとブレンドして、処理可能なグラフェンナノプレートレット-ポリマー混合物を形成することができる。次いで一部の実施形態では、溶融グラフェンナノプレートレットポリマー混合物を、超臨界流体に供することができる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、十分な期間にわたり、超臨界流体は黒鉛層状化構造をインターカレートすることが可能であると考えられる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、黒鉛材料の層間での超臨界流体のインターカレーションは、黒鉛材料層の結合力を弱める可能性があり、それが黒鉛材料を剥離し分散させるのを容易にする。さらに、ポリマー融解物中の超臨界流体は、グラフェンナノプレートレット表面とポリマー融解物との間で好ましい相互作用を提供することができ、系のエネルギーの低減をもたらす。これは黒鉛材料とポリマー母材との間の表面張力を低減させることができ、その結果、黒鉛材料のより良好な分散が得られる。さらに超臨界流体の可塑化効果は、ポリマー分子の拡散性を高める。したがって、黒鉛材料の中間層領域への超臨界流体の浸透は、超臨界流体が除去されたあとの中間層領域へのポリマー鎖のインターカレーションをより容易にする。その結果、グラフェンナノプレートレットの剥離および層分離がさらに、誘発される。気体を完全に溶解するために、プロセス(例えば、二軸スクリュー押出し)全体を通してポリマー/気体混合物の単相を完全に維持することが望ましい。第2の相が発生した場合、この剥離はそれほど明確ではなくなる。
[1027] 次いでプロセスは、急速減圧が続けてなされて、インターカレート超臨界流体を気体に変化させ、気体を逃す。相転移中、拡張する超臨界流体はさらに、個々のグラフェン層を分離しかつ剥離することができる。さらに、相変態中、多くの小さいセルが、インターカレートされたポリマー/気体混合物中の小板間に発生して、ポリマー混合物中の個々の小板のさらなる層剥離および分離がもたらされる。一方、超臨界流体の減圧および相変態中、グラフェンナノプレートレットの層剥離および分散のための追加の駆動力が、発生する。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、核化剤として作用するグラフェンナノプレートレット近くでの核化セルの成長は、ポリマー母材中のグラフェンナノプレートレットをさらに層剥離し、均一に分散させ得る。
[1028] 本明細書に記載される実施形態は、一般に、ポリマー母材中に分散された黒鉛材料を含むマスターバッチを製造するための、システムおよび方法に関する。一部の実施形態では、マスターバッチを製造するための方法は、黒鉛材料とポリマーとを組み合わせ、この混合物を超臨界流体に曝露し、超臨界流体を減圧して超臨界流体を除去することを含むことができる。一部の実施形態では、混合物を超臨界流体に曝露し、次いで繰り返し減圧することができる。
[1029] 一部の実施形態では、方法は、黒鉛材料とポリマーとを、第1の期間にわたって混合して、第1の混合物を形成することを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、超臨界流体を第1の混合物に移送して、第2の混合物を形成することを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、第2の混合物を第2の期間にわたって混合することを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、第2の混合物を減圧して、超臨界流体を気相に転移させることを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、第2の混合物を、超臨界流体の臨界圧力よりも高く維持することを含むことができる。一部の実施形態では、方法はさらに、第2の混合物を、超臨界流体の臨界温度よりも高く維持することを含むことができる。
[1030] 一部の実施形態では、黒鉛材料は、結晶質黒鉛、グラフェンナノプレートレット、数層グラフェン、単層グラフェン、グラフェン酸化物、膨張黒鉛酸化物、およびこれらの組合せの少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、黒鉛材料は、第1の期間の前に第1の平均厚さを、第1の期間の後に第1の厚さ未満の第2の平均厚さを有することができる。一部の実施形態では、黒鉛材料は、第2の期間の後に、第2の平均厚さ未満の第3の平均厚さを有することができる。一部の実施形態では、黒鉛材料は、第2の混合物の減圧後に、第3の平均厚さ未満の第4の平均厚さを有することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、二酸化炭素および窒素の少なくとも1種を含むことができる。一部の実施形態では、第2の混合物は、約10wt%よりも高いグラフェンを含むことができる。
[1031] 一部の実施形態では、第1の平均厚さは約10層~約100層の間とすることができる。一部の実施形態では、第2の平均厚さは約10層~約100層の間とすることができる。一部の実施形態では、第3の平均厚さは約5層~約50層の間とすることができる。一部の実施形態では、第4の平均厚さは1層~約10層の間とすることができる。
[1032] 一部の実施形態では、超臨界流体を第1の超臨界流体とすることができ、方法はさらに、第2の超臨界流体を第2の混合物に移送して第3の混合物を形成し、この第3の混合物を第3の期間にわたり混合すること含むことができる。一部の実施形態では、第1の超臨界流体を、第2の超臨界流体とは異なるものとすることができる。一部の実施形態では、混合物を超臨界流体に曝露し、次いで繰り返し減圧することができる。
(グラフェンを製造する方法)
[1033] 本明細書に記載される実施形態は、任意の適切な方法により製造された任意の黒鉛材料を使用することができる。一部の実施形態では、黒鉛材料は、大規模合成プロセスで製造することができ、荷電および/または官能化グラフェンシートが生成される。一部の実施形態では、本明細書に記載される製造プロセスは、前駆体結晶質黒鉛の薄膜化および酸化プロセスを介して、少なくとも部分的に酸化されたグラフェンシートを生成することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される酸化プロセスは、一般にそのような生成物中および溶媒(例えば、極性、無極性など)中での、黒鉛材料の混合性および/または分散性を増大させることができる。一部の実施形態では、結晶質前駆体黒鉛から静電的に帯電しかつヒドロキシル化されたグラフェンシートを生成するための方法およびシステムが、開示される。
[1034] 一部の実施形態では、方法がミリングプロセスを含むことができ、高度に帯電した(静電的に)ヒドロキシル化され酸化された薄膜黒鉛材料が、前駆体結晶質黒鉛材料から開始して生成される。一部の実施形態では、前駆体結晶質黒鉛を薄くするために開示されたプロセスは、前駆体結晶質黒鉛の横方向サイズを低減させ得る。言い換えれば、グラフェンシートの層は結晶質黒鉛から除去されるので、得られる薄膜化生成物の平面内サイズも低減され得る。一部の実施形態では、本開示のプロセスは、高度に帯電した(静電的に)ヒドロキシル化され酸化された薄膜黒鉛材料が前駆体結晶質黒鉛材料から開始して生成されるミリングプロセスを含むことができる。
[1035] 一部の実施形態では、方法は、結晶質黒鉛(例えば、フレーク黒鉛粉末を)、グラフェンシートの縁部のヒドロキシル化および/またはカルボニル化を容易にする荷電縁部を持つ単一の数層または多層グラフェンシートにまで薄くすることができる、プロセスを含む。一部の実施形態では、プロセスは、大きい結晶質前駆体黒鉛と電解質スラリーとを、アトライターまたはアトライターボールミルなどであるがこれらに限定されない粉砕槽またはジャー内で組み合わせることを含む。一部の実施形態では、電解質スラリーは、少なくとも金属水酸化物塩と、極性溶媒(例えば、水、エタノール、1-プロパノール)、弱酸化剤、および界面活性剤を含む水溶液とを含む。一部の実施形態では、粉砕槽および/または関連する粉砕媒体は、開示されるプロセス中に発生することが望まれる静電荷の量に基づいて選択することができる。一部の実施形態では、粉砕槽および/または関連する粉砕媒体の選択は、薄膜グラフェンシートの荷電レベルの制御として使用することができる。例えば、一部の実施形態では、同じ/類似のタイプの粉砕ボールが付随するアルミナまたはジルコニアなどの絶縁材料から作製された槽またはジャーは、ステンレス鋼のジャーおよびボールよりも高い静電荷を発生させる。一部の実施形態では、開示されたミリングプロセス中に生成される静電荷の発生および量を制御するのに使用することができる別のパラメーターは、回転速度である。例えば、一部の実施形態では、粉砕槽の媒体回転速度は、電解質の表面および内部に静電荷を導入することができ、その結果、金属水酸化物塩のイオン化がもたらされる。
[1036] 一部の実施形態では、金属水酸化物塩から電解質スラリーに放出された水酸化物イオンは、層状化結晶質前駆体黒鉛の中間層のスペーシング内に拡散することができ、即ち水酸化物イオンは、n-段階インターカレート黒鉛の形成を引き起こすように黒鉛をインターカレートする。一部の実施形態では、nは、結晶質前駆体黒鉛中のグラフェン層の数よりも少ない自然数のいずれか1つにすることができる。例えばnは、1、2、3、4、5などである。一部の実施形態では、n段階インターカレート黒鉛は、異なる段階のインターカレート黒鉛の組合せにすることができる。例えば水酸化物イオンは、1段階および2段階インターカレート黒鉛、および/または同様のものの形成を引き起こすように、黒鉛をインターカレートすることができる。一部の実施形態では、粉砕槽またはジャーの回転中に誘発された剪断力によって、前駆体黒鉛からのグラフェンシートの層の剥離が容易になり得る。一部の実施形態では、得られたグラフェンシートは、特に初期の前駆体黒鉛の厚さと比較して、それらの厚さを劇的に低下し得る状態で、前駆体黒鉛の初期の横方向サイズを維持する傾向がある。一部の実施形態では、得られたグラフェン含有生成物(例えば単層、数層、および多層グラフェンシートなどであるがこれらに限定されない薄い黒鉛材料を含み得る)は、外来の副生成物を少なくとも除去するように、後処理(例えば、濾過、洗浄、乾燥、および/または同様のもの)されてもよい。一部の実施形態では、ミリングプロセスの終わりに、得られたグラフェン生成物は黒くなるように見え、綿毛状の構造を示してもよい。さらに、得られた生成物は、静電的に高度に帯電し、ヒドロキシル分子を含有してもよく、静電荷およびヒドロキシル分子は、表面(例えば、中心に向かって)よりも、得られたグラフェンシートの縁部でより多く見られる。
[1037] 一部の実施形態では、プロセスは、電解質溶液の存在下で、前駆体結晶質黒鉛を薄くすることを含む。本明細書で使用される「結晶質黒鉛」または「前駆体結晶質黒鉛」という用語は、粉砕またはミリング槽またはジャー内でミリングされるようにサイズが構成された、結晶質構造の黒鉛をベースにした材料を指す。例えば結晶質黒鉛は、空隙、間隙、線欠陥などを含むような欠陥があるまたはない、層状化グラフェンシートとすることができる。結晶質黒鉛は、天然結晶質黒鉛、熱分解黒鉛(例えば、高度に規則的な熱分解黒鉛(HOPG))、合成黒鉛、黒鉛繊維、黒鉛棒、黒鉛鉱物、黒鉛粉末、フレーク黒鉛、結晶質になるように物理的および/または化学に改質された任意の黒鉛材料、および/または同様のものを含む規則的な黒鉛などであるがこれらに限定することのない、多様な形になってもよい。一部の実施形態では、結晶質黒鉛は、黒鉛酸化物とすることができる。規則的な黒鉛の横方向または平面内サイズならびに厚さは、広範な値を想定することができる。例えば、上記にて論じた規則的な黒鉛の横方向サイズを定量する適切な尺度を使用すると(例えば形状に応じて、例えば平均横方向サイズ、直径など)、規則的な黒鉛の横方向シートサイズは、約1nm~約1,500μm、約2nm~約1,400μm、約3nm~約1,300μm、約4nm~約1,200μm、約5nm~約1,000μm、約6nm~約900μm、約7nm~約800μm、約8nm~約700μm、約9nm~約600μm、または約10nm~約500μmの範囲であってもよく、それらの間の全ての値および範囲も含まれる。黒鉛の厚さは、そのサイズがミリングまたは薄膜化プロセスを妨げることがない限り、望み通りに大きくすることができる。
[1038] 一部の実施形態では、開示された粉砕またはミリングプロセスは、槽を含みかつ結晶質前駆体黒鉛材料の剪断、剥離、荷電、ヒドロキシル化などを可能にする、任意のタイプの粉砕またはミリングシステムで実施することができる。プロセスに使用することができる、そのようなシステムの例には、ボールミル、ロッドミル、ペブルミル、オートジニアスミル、セミオートジニアスミル、ローラーミル(例えば、ジャーローラーミル、リングミル、摩擦ボールミルなど)、アトライター、遊星ミル、ジェットミル、空力ミル、剪断ミキサー、および/または同様のものなどであるがこれらに限定されないミリング槽が含まれる。一部の実施形態では、ミルジャーまたは槽は、伝導性材料、絶縁体、および/または半導体であって、セラミック材料、アルミナ、ステンレス鋼、および/またはジルコニアを含めたものから作製することができ、ポリウレタン、ゴムなどの材料で裏打ちすることもできる。一部の実施形態では、槽は、黒鉛などの前駆体材料の粉砕/剪断を支援するための粉砕媒体を含んでいてもよい。一部の実施形態では、粉砕媒体は、粉砕媒体が内部で使用されている槽またはジャーと同じタイプの材料から作製することができる。したがって例えば、槽および/または粉砕媒体は、電気伝導性であってもよく、ステンレス鋼、金属、および/または合金(例えば、炭化タングステン)などの材料を含んでいてもよい。一部の実施形態では、槽および/または粉砕媒体は、電気伝導性材料でコーティングされていてもよい。一般に、槽および/または粉砕媒体は、電荷を伝導するように構成されてもよい。例えば粉砕媒体は、アルミナ、ジルコニア、ステンレス鋼などから作製することができる。一部の実施形態では、粉砕媒体は、種々の形を想定してもよい。例えば、粉砕媒体は、少なくとも実質的にボール(したがって一般名称は「ボールミリング」)、少なくとも実質的にシリンダー、少なくとも実質的にロッドとすることができ、実際には前駆体材料の粉砕/剪断を支援することが可能な任意の形状とすることができる。本明細書で使用される「粉砕媒体」または「ミリングボール」という用語は、ボールミリングジャー内での結晶質黒鉛の剥離および薄膜化に使用することができる任意の粉砕機を指す。一般命名「ミリングボール」が使用される場合であっても、粉砕媒体またはミリングボールは特定の幾何形状に限定されず、形状、サイズ、組成などの任意の所望の性質を有することができる。
[1039] 一部の実施形態では、黒鉛材料(例えば、結晶質黒鉛)、溶媒(例えば、極性溶媒)、粉砕媒体、金属水酸化物塩、弱酸化剤、および界面活性剤を、ミリング槽に添加して、ミリングプロセスを開始することができる。一部の実施形態では、電解質混合物を、ステンレス鋼、金属、または合金などの電気伝導性材料から作製されたミリング槽またはジャーに入れてもよい。一部の実施形態では、先の例におけるものなどの電解質混合物を、電解質混合物中で静電荷を発生させるように構成された期間にわたりかつ回転速度で、ミリングしまたは回転させることができる。一部の実施形態では、回転速度は、その横方向サイズに実質的に影響を及ぼすことなく黒鉛の初期厚さが低減するように、構成されてもよい。例えば、より高いミリング槽回転速度をもたらす可能性のある、粉砕媒体と結晶質黒鉛との間のより強力な機械的相互作用は、結晶質黒鉛の厚さだけではなくその横方向サイズも低減させることができる。
[1040] したがって、ミリングプロセス中、ミリング速度は、分当たり約10回転(rpm)~約500rpmの範囲であり得る。一部の実施形態では、ミリング速度は、約10rpm~約300rpm、約10rpm~約250rpm、約10rpm~約150rpm、約10rpm~約100rpm、約50rpm~約300rpm、約150rpm~約250rpm、約200rpm~約250rpm、および/または同様の範囲であり得る。一部の実施形態では、ミリング速度は、約1rpm、約2rpm、約3rpm、約4rpm、約5rpm、約6rpm、約7rpm、約8rpm、約9rpm、約10rpm、約15rpm、約20rpm、約25rpm、約30rpm、約35rpm、約40rpm、約45rpm、約50rpm、約55rpm、約60rpm、約65rpm、約70rpm、約75rpm、約80rpm、約85rpm、約90rpm、約95rpm、約100rpm、約105rpm、約110rpm、約115rpm、約120rpm、約125rpm、約130rpm、約135rpm、約140rpm、約145rpm、約150rpm、約155rpm、約160rpm、約165rpm、約170rpm、約175rpm、約180rpm、約185rpm、約190rpm、約195rpm、約200rpm、約225rpm、約250rpm、約275rpm、約300rpm、約325rpm、約350rpm、約375rpm、約400rpm、約425rpm、約450rpm、約475rpmよりも大きく、または約500rpmよりも大きくすることができ、それらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1041] 一部の実施形態では、前駆体黒鉛の厚さを低減させかつヒドロキシル化の薄膜黒鉛またはグラフェンシートに到達するためのミリングプロセスの持続時間は、約1時間~約36時間の範囲であり得る。一部の実施形態では、ミリングプロセスの持続時間は、約1時間~約24時間、約1時間~約24時間、約1時間~約20時間、約1時間~約19時間、約1時間~約18時間、約1時間~約17時間、約1時間~約16時間、約1時間~約15時間、約1時間~約14時間、約1時間~約13時間、約1時間~約12時間、約1時間~約11時間、約1時間~約10時間、約1時間~約9時間、約1時間~約8時間、約1時間~約7時間、約1時間~約6時間、約1時間~約5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、約1時間~約2時間、約2時間~約36時間、約2時間~約24時間、約2時間~約20時間、約3時間~約19時間、約4時間~約18時間、約5時間~約17時間、約6時間~約16時間、約7時間~約15時間、約8時間~約14時間、約9時間~約13時間、約3時間~約36時間、約4時間~約36時間、約5時間~約36時間、約6時間~約36時間、約7時間~約36時間、約8時間~約36時間、約9時間~約36時間、約10時間~約36時間、約11時間~約36時間、約12時間~約36時間、約13時間~約36時間、約14時間~約36時間、約15時間~約36時間、約16時間~約36時間、約17時間~約36時間、約18時間~約36時間、約19時間~約36時間、約20時間~約36時間、約24時間~約36時間、約28時間~約36時間、または約32時間~約36時間の間の範囲でもよく、それらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、ミリングの持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間よりも長くすることができ、または約36時間よりも長くすることができ、それらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、ミリングの持続時間は、約36時間、約35時間、約34時間、約33時間、約32時間、約31時間、約30時間、約29時間、約28時間、約27時間、約26時間、約25時間、約24時間、約23時間、約22時間、約21時間、約20時間、約19時間、約18時間、約17時間、約16時間、約15時間、約14時間、約13時間、約12時間、約11時間、約10時間、約9時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間よりも短くすることができ、または約1時間よりも短くすることができ、それらの間の全ての値または範囲も含まれる。
[1042] 一部の実施形態では、プロセス中の回転は、溶液中の塩(分極し得る)と反応させるために電解質溶液中の静電荷に十分なエネルギーを提供するように構成され得る、粉砕媒体による剪断力を発生させてもよい。一部の実施形態では、静電荷と金属水酸化物塩との間の反応は、原子状酸素を発生させてもよい。電解質混合物中に原子状酸素を発生させるための追加のメカニズムは、混合物中に存在し得る(例えば、金属水酸化物塩からの)ヒドロキシルイオンによる弱酸化剤の相互作用を通すことができる。一部の実施形態では、弱酸化剤は、ヒドロキシルイオンと相互作用して、黒鉛の剥離に使用してもよい原子状酸素を放出してもよい。例えば、一部の実施形態では、発生したかつ/または放出された原子状酸素は、結晶質黒鉛の層間に拡散されてもよく、平面内分離を増大させてもよい。平面内距離が、ある特定の距離を超える場合、一部の実施形態では、黒鉛の平面内結合(共有、ファンデルワールスなど)は、穏やかな剪断力が結晶質黒鉛から層を剥離し得るよう十分に弱くなり得る。一部の実施形態では、電解質中のヒドロキシル陰イオンは、黒鉛の層間に拡散されてもよく、層間結合を弱めてもよい。一部の実施形態では、溶媒は、規則的な黒鉛の層間に浸透してもよく、かつこれらの層を一緒に保持する力を弱めてもよく、それによって、ミリングプロセス中の結晶質黒鉛の薄膜化に寄与する。
[1043] 一部の実施形態では、ミリング槽またはジャー内の粉砕媒体の数および/またはサイズは、運転時間、回転速度、結晶質黒鉛の量/サイズ、粉砕媒体の平均サイズ、および/または同様のものなどであるがこれに限定することのない、ミリングプロセス関連の因子に依存する可能性がある。例えば、所与の量の結晶質黒鉛では、ボールミリングプロセスの速度および長さに応じて結晶質黒鉛層のより効率的な剪断を実行するのに特に有益である可能性がある、いくつかのミリングボールサイズ(逆に言えばミリングボールの数)がある可能性がある。一部の実施形態では、粉砕媒体は小さいサイズのボールであってもよく、それらの量は、処理される結晶質黒鉛の量に基づいて選択されてもよい。例えば粉砕媒体の量は、ミリングプロセス中に、粉砕媒体の、結晶質黒鉛に対する重量割合が、約5:1~約20:1の範囲になるように選択されてもよい。一部の実施形態では、粉砕媒体の、結晶質黒鉛に対する割合は、約7:1~約15:1、約9:1~約12:1、約10:1の範囲であってもよく、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、粉砕媒体の、結晶質黒鉛に対する割合は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1よりも大きくすることができ、または約25:1よりも大きくすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、粉砕媒体(例えば、ボール)の平均サイズは、約1mm~約150mm、約2mm~約125mm、約3mm~約100mm、約4mm~約75mm、約5mm~約50mm、約6mm~約25mm、約1mm~約50mm、約2mm~約49mm、約3mm~約48mm、約4mm~約47mm、約5mm~約46mm、約6mm~約45mm、約7mm~約44mm、約8mm~約43mm、約9mm~約42mm、約10mm~約41mm、約11mm~約40mm、約12mm~約39mm、約13mm~約38mm、約14mm~約37mm、約15mm~約36mm、約20mm~約30mm、約10mm~約20mm、約5mm~約15mm、約1mm~約10mm、約8mm~約12mmの範囲にあってもよく、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、粉砕媒体の、結晶質黒鉛に対する割合は、約50:1、約45:1、約40:1、約35:1、約30:1、約25:1、約20:1、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1未満にすることができ、または約1:1未満にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1044] 一部の実施形態では、ミリングプロセスが行われる電解質溶液は、極性溶媒を含む。極性溶媒の例は、再蒸留脱イオン水などであるがこれに限定されない精製水であってもよい。その他の例には、プロパノール、ブタノール、酢酸、エタノール、メタノール、ギ酸、および/または同様のものが含まれる。一部の実施形態では、これらの溶媒のいくつかは、ミリングプロセス中にその他の目的で使用されてもよい。例えば、エタノールを消泡剤として使用してもよい。
[1045] 一部の実施形態では、ミリングプロセス中に、弱酸化剤を使用してヒドロキシルイオンと相互作用させることにより、黒鉛をインターカレートしかつ中間層のファンデルワールス結合を弱めることができる、原子状酸素を発生させてもよい。その伝導特性により、弱酸化剤は、ミリングプロセス中に生成された静電荷に関する消去剤として使用することができる。即ち、弱酸化剤は、電解質溶液全体にわたる静電荷の消去を支援するように構成されてもよい。本明細書で使用される「弱」酸化剤は、酸化電位が約1.5V未満である化学剤を指す。弱酸化剤の例には、希薄過酸化水素、クロム酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、および/または同様のものが含まれる。この文脈において、希薄酸化剤は、酸化剤を約30重量%含有する酸化剤を意味し得る。例えば希薄弱過酸化水素酸化剤は、酸化剤過酸化水素を約30重量%有する。一部の実施形態では、希薄酸化剤は、酸化剤を、重量で約10%~約50%、約15%~約45%、約20%~約40%、約25%~約35%および/または同様のものが含有し得る。一部の実施形態では、希薄酸化剤は、酸化剤を約1重量%よりも多く、約5wt%よりも多く、約10wt%よりも多く、約15wt%よりも多く、約20wt%よりも多く、約25wt%よりも多く、約30wt%よりも多く、約35wt%よりも多く、約40wt%よりも多く、約45wt%よりも多く、または約50wt%よりも多く含有してもよく、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、希薄酸化剤は、酸化剤を約50重量%未満、約45wt%未満、約40wt%未満、約35wt%未満、約30wt%未満、約25wt%未満、約20wt%未満、約15wt%未満、約10wt%未満、約5wt%未満、または約1wt%未満含有していてもよく、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1046] 一部の実施形態では、金属および水酸化物イオンを生成するため静電荷と相互作用するように構成された金属水酸化物塩を、本明細書に開示されるプロセスの粉砕槽またはジャーに添加することができる。上記にて論じたように、ヒドロキシルイオンはさらに、静電荷と相互作用して原子状酸素を発生させてもよく、この酸素が、結晶質黒鉛をインターカレートしかつ中間層のファンデルワールス結合を弱めて、黒鉛のグラフェンシートの剪断を容易にすることができる。一部の実施形態では、水酸化物イオンは、層状化結晶質前駆体黒鉛の中間層スペーシングに拡散して、黒鉛をインターカレートしかつ粉砕槽またはジャーの回転中に発生した剪断力によってグラフェンシートの剥離を容易にすることもできる。一部の実施形態では、金属水酸化物塩は、ヒドロキシルイオンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素族元素などから選択される金属との組合せから形成することができる。開示されるプロセスに使用することができる金属水酸化物塩の例には、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Cs、Rb、Tiの水酸化物、これらの混合物、および/または同様のものが含まれる。一部の実施形態では、開示されるプロセスで使用される金属水酸化物塩の量は、広範な値を想定することができる。例えば、一部の実施形態では、金属水酸化物塩の量は、電解質溶液の約1%~約50重量%の範囲であり得る。一部の実施形態では、金属水酸化物塩の量は、約2wt%~約45wt%、約3wt%~約40wt%、約4wt%~約35wt%、約5wt%~約25wt%、約10wt%~約20wt%、約14wt%~約16wt%の範囲であり得、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、金属水酸化物塩の量は、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%よりも多くすることができ、または約50wt%よりも多くすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、金属水酸化物塩の量は、約50wt%、約45wt%、約40wt%、約35wt%、約30wt%、約25wt%、約20wt%、約15wt%、約10wt%、約9wt%、約8wt%、約7wt%、約6wt%、約5wt%、約4wt%、約3wt%、約2wt%未満、または約1wt%未満とすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、量は、電解質溶液に可溶な最大量に等しくまたはそれよりも少ない任意の量であってもよい。一部の実施形態では、特に、得られたグラフェンシートに金属粒子をドープする目的で、金属水酸化物塩の量は、溶液の約90体積%まで増加させることができる。
[1047] 一部の実施形態では、プロセスに使用されてもよい金属水酸化物塩のタイプは、前駆体結晶質黒鉛を、薄膜の荷電グラフェンシートへと変えるための、プロセスの所望の生成収率に依存し得る。一部の実施形態では、生成収率は、定義された数のグラフェン層またはそれよりも少ない層の薄膜黒鉛へと変えられた、前駆体黒鉛材料の割合と定義されてもよい。一部の実施形態では、プロセスの生成収率は、金属水酸化物塩の部分である金属のタイプに基づいて、変化し得る。例えば、一部の実施形態では、約60%よりも高い高生成収率の場合(即ち、前駆体黒鉛の約60重量%よりも高い割合が、プロセスの結果として約10層の薄膜グラフェンにまで変換された場合)、金属水酸化物塩の部分である金属は、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、およびBaを含むアルカリおよび/またはアルカリ土類金属のメンバーであってもよい。一部の実施形態では、約60%未満の低い生成収率の場合、金属は、B、Al、Ga、In、およびTiを含むホウ素族元素のメンバーであってもよい。一部の実施形態では、本明細書に開示されるミリングまたは粉砕プロセスで使用される金属水酸化物塩は、金属および水酸化物イオンを含む単一金属水酸化物塩であってもよく、一部の実施形態では、金属水酸化物塩は、上記特定された金属水酸化物塩のいずれかの混合物であってもよい。
[1048] 一部の実施形態では、プロセスの最終生成物のクランピングが回避されるようにまたは最小限に抑えられるように、界面活性剤をプロセスに含めることができる。さらに界面活性剤は、粉砕槽内の混合物の伝導度を増大させてもよく、ヒドロキシルイオンの拡散を増大させ、それによって、上記にて論じた結晶質黒鉛からのグラフェン層の剥離に寄与する。さらに界面活性剤は、一般に混合に不都合な極性および無極性溶媒の混合を容易にするのに使用されてもよい。さらに界面活性剤は、所与の溶媒との混合に不都合な成分と、溶媒との接触を、容易にするのに使用されてもよい。例えば、界面活性剤は、疎水性黒鉛材料と水との間の接触を容易にするのに使用されてもよい。プロセス中にそのような目的で使用することができる界面活性剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ピリジニウム(PY+)、酢酸チオニン塩、トリトン、これらの混合物、および/または同様のものが含まれる。
[1049] 一部の実施形態では、ミリングプロセス中に使用される界面活性剤の濃度は、結晶質黒鉛を薄くすることとその横方向サイズの低減との間のバランスを維持する望みに基づいて決定することができる。上記にて論じたように、一部の実施形態では、界面活性剤は、結晶質黒鉛に対する剪断力を高め、結晶質黒鉛の薄膜化を容易にする。一方、大量の界面活性剤(例えば、結晶質黒鉛の凝集を回避しまたは最小限に抑えるのに使用される量よりも多く)は、横方向サイズの低減をもたらす可能性があり、ある状況においては望ましくない可能性がある。したがって、一部の実施形態では、界面活性剤の約1μモル~約200μモルの間の平均濃度は、前駆体黒鉛の薄膜化および荷電プロセス中に十分と見なすことができる。一部の実施形態では、平均濃度は、約0.05μモル~約150μモル、約0.1μモル~約100μモル、約0.15μモル~約100μモル、約0.2μモル~約100μモル、約0.25μモル~約100μモル、約0.3μモル~約100μモル、約0.35μモル~約100μモル、約0.4μモル~約100μモル、約0.45μモル~約100μモル、約0.5μモル~約100μモル、約0.55μモル~約100μモル、約0.6μモル~約100μモル、約0.65μモル~約100μモル、約0.7μモル~約100μモル、約0.75μモル~約100μモル、約0.8μモル~約100μモル、約0.85μモル~約100μモル、約0.9μモル~約100μモル、約0.95μモル~約100μモル、約1μモル~約100μモル、約10μモル~約50μモル、約50μモル~約100μモル、または約0.2μモル~約5μMの範囲であり得、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、界面活性剤の平均濃度は、約0.001μモル、約0.01μモル、約0.1μモル、約0.15μモル、約0.2μモル、約0.25μモル、約0.3μモル、約0.35μモル、約0.4μモル、約0.45μモル、約0.5μモル、約0.55μモル、約0.6μモル、約0.65μモル、約0.7μモル、約0.75μモル、約0.8μモル、約0/85μモル、約0.9μモル、約0.95μモル、約1μモル、約5μモル、約10μモル、約20μモル、約30μモル、約40μモル、約50μモル、または約100μモルよりも大きくすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1050] 一部の実施形態では、ミリングプロセスに使用される電解質溶液は、非常に伝導性のあるアルカリ性環境を有することができる。例えば、pHレベルは、ほぼ中性から非常に強力な塩基性の範囲にまで及んでもよい。一部の実施形態では、pHレベルは、約8~約14、約9~約14、約9~約11、約12~約14、および/または同様の範囲であり得る。アルカリ度は、電解質溶液の溶媒(複数可)に溶解した後の金属水酸化物塩の小さいイオン化電位の結果として生じ得る。
[1051] 一部の実施形態では、ミリングプロセスは、様々な理由で(例えば、安全性)気体を逃すため、しばしば中断され得る。例えば一部の実施形態では、ミリングプロセスは、ミリング槽の回転/ミリング中に生成された気体副生成物を排出させるために約30分ごとに停止され得る。一部の実施形態では、ミリングのプロセスは、電解質水溶液から水などの溶媒の蒸発を回避するように設計される手法で行われてもよい。例えば、ミリングプロセスで使用されるミリング槽またはジャーは、溶媒の蒸発を回避するように処方された温度、例えば室温で保持されてもよい。
[1052] 一部の実施形態では、ミリングで得られた生成物は黒色に見え、綿毛状の構造を保有し得る。この得られた生成物は、例えば金属イオン、界面活性剤、金属塩などであるが、これらに限定されない外来の副生成物または残留物を少なくとも除去するために、後処理されてもよい。例えば生成物は、ミリング槽またはジャーから除去されてもよく、水、塩酸(HCl)、エタノール、および/または同様のものの1種または複数で洗浄されてもよい。一部の実施形態では、洗浄の後に真空濾過および真空乾燥が続いてもよい。一部の実施形態では、得られた生成物は、主に縁部で高度に帯電しかつヒドロキシル化した、単一のまたは薄膜の数層グラフェンシートとすることができる。
[1053] 一部の実施形態では、前駆体および/または得られた薄膜黒鉛は、横方向サイズまたはさらに厚さの尺度の便利な特定を可能にする、規則的な形状を持たなくてもよい。例えば、本明細書に記載される前駆体黒鉛は、ロッド、繊維、粉末、フレーク、および/または同様のものを含めた種々の形を想定することができる。しかし一部の実施形態では、少なくとも前駆体黒鉛/薄膜黒鉛の幾何形状に応じて、厚さおよび/または横方向サイズの一般化された定義を、これらの量の特徴付けに使用することができる。一部の実施形態では、不規則な形をとる結晶質黒鉛の厚さおよび/または平面内横方向サイズは、適切な線形寸法および/または線形寸法の平均によって特徴付けることができる。
[1054] 例えば、厚さは、層状化グラフェンシートの表面に直交する方向と実質的に同じ方向での、何等かの適切な長さ(例えば、規則的に層状化された黒鉛フレークの最上層から最低層までの高さ、不規則な形状の場合には平均高さなど)と定義することができる。別の例として、結晶質黒鉛の横方向サイズは、何等かの適切な線形寸法および/または黒鉛の表面に沿った寸法の組合せ(例えば、半径、直径、表面に沿ったいくつかの線形寸法の平均、黒鉛の幾何学的不規則性を考慮に入れた形態因子によって適切に正規化された線形寸法など)によって定義され得る。いずれの場合も、妥当な手法で結晶質黒鉛の厚さおよび横方向サイズを特徴付ける適切な線形寸法は、横方向サイズの厚さに対する比としてアスペクト比を定義する際に使用されてもよい。例えば、材料の平面内形状を、比較的正確に規則的な幾何学的物体によってモデル化できない場合、線形寸法は、当技術分野で公知の特性パラメーターによって表すことができる(例えば、形状または形態因子によって)。
[1055] 一部の実施形態では、開示されたミリングプロセスから生成された黒鉛材料は、前駆体黒鉛と同等の横方向サイズを持つが単層グラフェンシートを含めた数層グラフェン層の厚さを持つ、グラフェンまたは薄膜黒鉛材料を含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、グラフェンシートの平均横方向シートサイズを約500μmにすることができ、一方、層の平均数は、約1グラフェン層~約100グラフェン層の間であってもよい。一部の実施形態では、グラフェンシートの平均横方向シートサイズは、約100nm~約500μm、約200nm~約450μm、約300nm~約400μm、約400nm~約350μm、約500nm~約300μm、約600nm~約250μm、約700nm~約200μm、約800nm~約150μm、約900nm~約100μm、約100nm~約450μm、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約100nm~約300μm、約100nm~約250μm、約100nm~約200μm、約100nm~約150μm、約100nm~約100μm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約200nm、約200nm~約500μm、約300nm~約500μm、約400nm~約500μm、約500nm~約500μm、約600nm~約500μm、約700nm~約500μm、約800nm~約500μm、約900nm~約500μm、約1,000nm~約500μm、約100μm~約500μm、約150μm~約500μm、約200μm~約500μm、約250μm~約500μm、約300μm~約500μm、約350μm~約、約~約500μm、約400μm~約500μm、または約450μm~約500μmの間にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、層の平均数は、1グラフェン層~約100グラフェン層、約2グラフェン層~約95グラフェン層、約3グラフェン層~約90グラフェン層、約4グラフェン層~約85グラフェン層、約5グラフェン層~約80グラフェン層、約6グラフェン層~約75グラフェン層、約7グラフェン層~約70グラフェン層、約8グラフェン層~約65グラフェン層、約9グラフェン層~約60グラフェン層、約10グラフェン層~約55グラフェン層、約11グラフェン層~約50グラフェン層、1グラフェン層~約95グラフェン層、1グラフェン層~約90グラフェン層、1グラフェン層~約85グラフェン層、1グラフェン層~約80グラフェン層、1グラフェン層~約75グラフェン層、1グラフェン層~約70グラフェン層、1グラフェン層~約65グラフェン層、1グラフェン層~約60グラフェン層、1グラフェン層~約55グラフェン層、1グラフェン層~約50グラフェン層、1グラフェン層~約45グラフェン層、1グラフェン層~約40グラフェン層、1グラフェン層~約35グラフェン層、1グラフェン層~約30グラフェン層、1グラフェン層~約25グラフェン層、1グラフェン層~約20グラフェン層、1グラフェン層~約19グラフェン層、1グラフェン層~約18グラフェン層、1グラフェン層~約17グラフェン層、1グラフェン層~約16グラフェン層、1グラフェン層~約15グラフェン層、1グラフェン層~約14グラフェン層、1グラフェン層~約13グラフェン層、1グラフェン層~約12グラフェン層、1グラフェン層~約11グラフェン層、1グラフェン層~約10グラフェン層、1グラフェン層~約9グラフェン層、1グラフェン層~約8グラフェン層、1グラフェン層~約7グラフェン層、1グラフェン層~約6グラフェン層、1グラフェン層~約5グラフェン層、1グラフェン層~約4グラフェン層、1グラフェン層~約3グラフェン層、および1グラフェン層~約2グラフェン層の間にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、グラフェン層の平均数は、約100グラフェン層、約95層、約90層、約85層、約80層、約75層、約70層、約65層、約60層、約55層、約50層、約45層、約40層、約35層、約30層、約25層、約20層、約19層、約18層、約17層、約16層、約15層、約14層、約13層、約12層、約11層、約10層、約9層、約8層、約7層、約6層、約5層、約4層、約3層、約2層未満、または単一グラフェン層にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1056] 一部の実施形態では、薄膜化生成物の品質および/または薄膜化プロセスの効率は、薄膜化黒鉛材料の厚さおよび横方向サイズに関する情報を組み込むアスペクト比などのパラメーターによって表すことができる。例えば、横方向サイズまたは平面内寸法の、厚さに対する比として、アスペクト比を定義してもよい。アスペクト比に対するその他の定義が可能であり、事態の状況に基づいて(例えば、生成物の幾何形状などに基づいて)採用してもよいことに、留意されたい。一般にアスペクト比は、横方向シートサイズの低減を回避しまたは最小限に抑えながら、薄膜化黒鉛を生成する「効率」および/または有効性に関する情報を提供する。例えば、薄膜化結晶質黒鉛生成物が300μmの平均横方向サイズおよび200nmの厚さを有する場合、上記定義されたアスペクト比は300,000/200(即ち、1,500)になる。しかし、100μmの平均横方向寸法を実現しながら、同じ前駆体黒鉛の厚さを100nmに低減させるプロセス(即ち、アスペクト比が1,000)は、それほど効率的ではないと考えられ、最終結果は、横方向サイズが比較的大規模に低減されるので、先の例(さらに薄い最終結果を持つ)と比較してより低い品質と見なされる可能性がある。
[1057] 一部の実施形態では、グラフェンシートは高度に静電的に帯電していてもよく、グラフェンシートの表面の中心に向かってではなくほぼ縁部に在るヒドロキシル分子を含有していてもよい。したがって、これは薄膜化グラフェンシートの全表面と比較して、縁部の選択的機能性をもたらし得る。
[1058] 一部の実施形態では、前駆体黒鉛材料を薄くするための本明細書に開示されるプロセスは、様々な厚さおよび横方向サイズの薄膜化黒鉛(例えば、単層、二重層、数層、および多層グラフェンなど)を生成することができる。例えば、開示される薄膜化プロセスは、約1,500層(約500nm)、約400nm、約300nm、約200nm、約100nm、約50nm、約30nm、約10nm未満などの厚さ(例えば上記にて定義されたような)を持つ、薄膜化最終生成物を実現することができる。一部の実施形態では、薄膜化最終生成物の横方向サイズ(例えば上記にて定義されたような)は、約500μm、約250μm、約100μm、約1000nm、約500nm、約250nm、約100nm、約50nm、約10nmなどの大きさであってもよい。したがって、約10nm/500nm(約0.2)~約500μm/10nm(約50,000)に及ぶ広範なアスペクト比を持つ薄膜化黒鉛生成物は、本出願に開示される薄膜化プロセスから得ることができる。
(ミリングされた黒鉛材料の分類)
[1059] 一部の実施形態では、ミリングプロセスは、前駆体結晶質黒鉛の厚さを低減させかつ高度に静電的に帯電したヒドロキシル化グラフェンシートを生成するために、実験的に用いることができる。黒鉛材料、これを製造するための方法、およびこれを特徴付けるための方法の例は、「‘683号公開」に見出すことができる。実験結果の一部の実施形態では、これらのグラフェンシートの少なくともいくつかは、下記のクラスまたはグレードに都合良く分類することができる:
[1060] グレードA: 約3~4グラフェン層および約5μm~約20μmの横方向サイズ(例えば、フレーク直径)である、数層グラフェン粉末。これらのグラフェンシートは、高度に活性化された縁部および低欠陥密度を示すことが見出された。
[1061] グレードB: 約2~約3グラフェン層および約0.5μm~約5μmの横方向サイズ(例えば、フレーク直径)である、数層グラフェン粉末。これらのグラフェンシートは、高度に活性化された縁部および低欠陥を示すことが見出された。
[1062] グレードC: グレードAに類似した性質を持つが中程度に活性化された縁部を持つ、数層グラフェン粉末。
[1063] グレードD: グレードBに類似した性質を持つが中程度に活性化された縁部を持つ、数層グラフェン粉末。
[1064] 一部の実施形態では、これらの様々なグレードの横方向サイズおよび厚さは、任意の数の実験技法から得てもよい。
[1065] ミリングプロセスで得られた生成物の厚さおよび欠陥密度に関し、一部の実施形態では、ラマン分光法を使用して、これらの性質を特徴付けることができる。一部の実施形態では、可視光(例えば、532nmの波長の光は2.33eVのエネルギーに相当する)を使用して、バルク結晶質黒鉛、グレードAの数層グラフェン、グレードBの数層グラフェン、グレードCの数層グラフェン、およびグレードDの数層グラフェンに関するラマンスペクトルを得てもよい。一部の実施形態では、全てのグレードに関するラマンスペクトルは、分光法で使用されるレーザに起因する励起によって引き起こされた平面内振動モードの結果である、ピークを示してもよい。これらのピークまたはバンドは、波数1580cm-1付近のいわゆるGバンドの一次平面内モード、波数1300cm-1付近のいわゆるDバンドの異なる平面内振動モード、およびDバンドの二次倍音、波数2700cm-1付近のいわゆる2Dバンドを含む。参照によりその両方の全内容が本明細書に全体として組み込まれる、Phys.Rev.Lett.,97,187401(2006)およびJournal of Physics:Conference Series 109(2008)012008で論じられるような、Dピークの分析は、開示されたミリングプロセスから得られる種々のグレードのグラフェンシートの厚さに関する情報を提供することができる。一部の実施形態では、参照によりその全内容が本明細書に全体として組み込まれるJ.Raman Spectrosc.2009,40,1791-1796に開示された技法を使用して、Gピークを分析しかつグラフェンシートの層の数を評価してもよい。さらに一部の実施形態では、DピークおよびGバンドの分析は互いに、グラフェンシートの欠陥密度に関する情報を明らかにし得る。例えば、Gバンドでの強度の、Dバンドでの強度に対する比は、欠陥密度を特徴付けるためのパラメーターとして働いてもよい。例えば、大きい比は、得られたグラフェン生成物中の欠陥の存在がほとんどないか全くないことを示し、一方、小さい値の比は、大きい欠陥が存在することを示し得る。ラマン分光法の結果から、グレードA、B、C、およびDのグラフェンシートに関する比の平均値は、約20であると計算することができ、大きい値は、ミリングプロセスで得られたグラフェンシート内での低い欠陥数を示す(さらに、グラフェンシートが大きいサイズを有することを示す)。
[1066] Dピークの分析に関し、一部の実施形態では、ラマンスペクトルの2Dピークの形状、幅、および位置の変化を使用して、調査されているグラフェンシートのグレードの厚さを特定してもよい。上述のJournal of Physics論文(Journal of Physics: Conference Series 109 (2008) 012008)で論じられた技法を使用して、ローレンツの関数を使用した2ピークデコンボリューションを選択することができ、層の数が2を超えたことが示される。一部の実施形態では、種々のグレードのグラフェンシートの中での2Dピークの分析的比較は、多数のグラフェンシートを持つ結晶質黒鉛のより高い波数から、グレードDの薄膜化生成物などの数層グラフェンのより低い波数へと、2Dピークがシフトすることを明らかにすることができる。一部の実施形態では、種々のグレードに関する2Dピークの位置と、参照によりその全内容が本明細書に全体として組み込まれるChem.Comm.,2011,47,9408-9410に提供されるデータとを比較して、グレードA~Dのグラフェンシートおよびバルク結晶質黒鉛内の層の数を確立してもよい。各グレードに関する2Dピークおよび層の数の作表を、以下の表に示す:
[1067] Gピークの分析に関し、一部の実施形態では、記載されるJ.Raman Spectroscopy論文(J. Raman Spectrosc. 2009, 40, 1791-1796)の開示を用いて、層の数の経験的評価を行ってもよく、これはGピーク位置から、方程式
を使用して決定することもでき、式中、Nは、数層グラフェンのGピークの波数であり、nは層の数であり、N黒鉛は、nの大きい値(例えば、n>10)に対応するバルク黒鉛の波数であり、Kは、計算された係数である。例えば、グレードA~Dの前述のGピークに関する波数を使用して、かつバルク黒鉛の波数N黒鉛を約1579.38cm-1に設定して、係数Kは約54±3であると計算することができる。一部の実施形態では、評価するこの方法は、約2~3層を持つグレードBおよびDに関して何等かの一貫した結果を与え;しかし一部の実施形態では、小さい差を、最大4層を示す(例えば、3層の代わりに)グレードAおよびBに関して観察することができる。グレードA~Dの試料における層の数を決定する上記2つの方法(DピークおよびGピークの分析)の合成から、一部の実施形態では、グレードBおよびDに関する約2~3層とグレードAおよびCに関する約3~4の妥当な決定を行うことができる。
[1068] 上述のように、一部の実施形態では、開示されたプロセスのミリング工程の結果であるグラフェンシートは高度に帯電し、ヒドロキシル化された縁部を含有し、即ち、ヒドロキシル基(OH-)がグラフェンシートの縁部に結合される。縁部でのヒドロキシル基の出現は、グラフェンシートの化学的「フック」として働き、X線光子分光法(XPS)などの実験技法は、ヒドロキシル基を特定するのにかつ/または表面を特徴付けるのに使用してもよい。
[1069] グラフェンシートの縁部でのヒドロキシル基の存在の確認は、縁部の活性化および様々なグレードのその他の性質を特徴付けるのに使用され得る減衰全反射型フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)などのその他の技法から得ることができる。一部の実施形態では、全てのグレードは、1060cm-1付近でC-O伸長モードを、および1200cm-1付近でC-OH伸長モードを示してもよい。これらのモードは、グラフェンフレーク上でのヒドロキシル基の存在を確認する。1600cm-1付近で、黒鉛ドメインの振動はグレードA~Dのグラフェンシートで観察されるが、黒鉛層の高い数に起因してバルク黒鉛では観察されない。このことはさらに、グレードAからDまでのグラフェンシートが、バルクまたは多数の黒鉛とは異なって、数層のグラフェンを含むことの証拠である。3400cm-1付近のO-H伸長モードは、13.2(グレードC)でのみ観察された。このモードは、全てのその他のグレードでも予測された。
[1070] 一部の実施形態では、グレードA~Dのグラフェンシートの熱安定性は、温度の関数としての材料の熱転移、ポリマー中の溶媒および可塑剤の損失、無機材料中の水和水、および/または材料の分解などであるがこれらに限定されない転移を追跡する熱重量分析(TGA)を介して調査してもよい。例えばTGA分析は、グラフェンシートが入っている炉の温度を上昇させ、試料重量を測定することによって、グレードごとに行うことができる。グレードA、B、C、およびDに関し、分解は690℃付近で開始し得るのに対し、黒鉛では約800℃およびグラフェン層では約600℃で開始するが、これらのグレードは数層のグラフェン生成物を含むことを示し、ラマン分光法などのその他の測定の結果に一致する。一部の実施形態では、分解前の損失が観察されており(例えば、2%未満)、主に洗浄プロセスからの残留物と見なすことができる。結果は一般に、グレードA~Dのグラフェンシートで耐熱性を示す。
(黒鉛材料の任意選択の機能化)
[1071] 一部の実施形態では、前述のミリングプロセスは、前駆体黒鉛から単層、数層、および/または多層グラフェンシートへの薄膜化を行うだけではなく、薄膜化黒鉛材料の帯電および機能化も行うことができる。一部の実施形態では、黒鉛の薄膜化および/または機能化は、酸化電位に基づいて様々な役割を演じることができる酸化剤によって、容易にすることができる。例えば薄膜化プロセス中、酸化剤、特に「弱」酸化剤を使用して、前駆体黒鉛からのグラフェンのシートの剪断を容易にすることができる。一部の実施形態では、これは酸化剤が、酸化剤を含む電解質溶液中で静電荷と相互作用しかつ原子状酸素の放出を引き起こし、次いで層状化結晶質黒鉛をインターカレートしかつ層間の結合を弱めたときに実現することができる。一部の実施形態では、「弱」酸化剤は、酸化電位が約1.5V、約1.25V、約1.0V、約0.75V、約0.5V、約0.25V、約0V、約-1V、約-2V、約-3V未満などである化学剤を指す。
[1072] 一部の実施形態では、ミリングプロセス中、「強」酸化剤を使用して、ヒドロキシル化黒鉛材料の縁部に結合されたヒドロキシルの、カルボニル基への変換を容易にしてもよい。言い換えれば、強酸化剤は、グラフェンシートの少なくとも部分的な酸化をもたらし、ヒドロキシル化された縁部のヒドロキシルからの水素原子が放出され、炭素原子に二重結合された酸素が残され、即ち部分的に酸化されたグラフェンシートになる。一部の実施形態では、ヒドロキシルからカルボニルへの変換を容易にすることが可能な酸化剤は、強酸化電位を有し、したがって「強」酸化剤という用語になる。一部の実施形態では、「強」酸化剤は、酸化電位が約1.5V、約1.6V、約1.75V、約1.9V、約2.25V、約2.5V、約2.75V、約3Vなどよりも大きい化学剤を指す。
[1073] 一部の実施形態では、結晶質黒鉛のミリングから生成された黒鉛材料を、少なくとも金属水酸化物塩、強酸化剤、ならびに極性溶媒(例えば、水)、無極性溶媒(例えば、アセトニトリル)、弱酸化剤、および界面活性剤を含む水溶液を含む、スラリーと組み合わせることができる。この組合せは、いくつかの手法で効果を上げることができる。例えば、得られたグラフェン生成物は、成分(例えば、金属水酸化物塩、強酸化剤、無極性溶媒、極性溶媒、弱酸化剤、および/または界面活性剤)の少なくともいくつかが入っている第2の粉砕槽に移送されてもよい。一部の実施形態では、ミリングされた黒鉛材料を第2のミリング槽に移送するのではなく、例えば強酸化剤、無極性溶媒などであるがこれらに限定されない、第2のミリング/機能化工程中に特に使用される成分を、第1のミリング槽に添加してもよい。いずれの場合も、一部の実施形態では、上述のミリングプロセスのグラフェン生成物、強酸化剤、弱酸化剤、極性溶媒、無極性溶媒、金属水酸化物塩、および界面活性剤を含む組合せを、ミリング槽(例えば、アトライター)内で、ある期間にわたり所望の回転速度で回転させてもよい。一部の実施形態では、得られたヒドロキシル化生成物は褐色に見え、綿毛状の構造を示してもよい。一部の実施形態では、得られる生成物を後処理をしてもよい(例えば、濾過、洗浄、乾燥、および/または同様の処理)。一部の実施形態では、得られた生成物は、ヒドロキシル化された縁部を持つ、少なくとも部分的に酸化された薄膜グラフェンシートにすることができ、このグラフェンシートの縁部に結合されたヒドロキシルの少なくとも一部は、カルボニル分子に変換される。カルボニル分子は、ヒドロキシル基よりも結合に関して活性が高くなる傾向があるので、一部の実施形態では、得られる少なくとも部分的に酸化されたグラフェンシートは、極性および無極性溶媒を含む種々の種類の溶液中で高い分散性および/または混合性を示す。
(黒鉛材料の凝集)
[1074] 典型的には、上述の方法により調製された黒鉛材料は凝集してもよく、ポリマー全体にわたって均一に分散しなくてもよい。液体樹脂に関する超音波処理、ならびに溶融混合を介した熱可塑性樹脂に関するコンパウンダーおよび押出しを使用して、グラフェンナノフレークを解凝集し、それらをポリマー中に十分分散させた。超音波処理は、液体媒体中でグラフェンナノフレークを解凝集するのに有効にすることができ、グラフェンのさらなる剥離をさらに容易にすることができる。しかし、液体媒体中のグラフェンの限られた分散性、典型的には約0.1~約1mg/mlの範囲の分散性、ならびに必要とされる長い加工時間に起因して、商業的用途のために大きな規模で方法を適用することが難しくなる可能性がある。さらに、分散溶液中のグラフェンナノフレークは、フレークが凝集しかつ溶液から析出する傾向があるので、安定ではなくなる可能性がある。界面活性剤を使用して、ある程度まで安定性を改善することができるが、一部の実施形態では、グラフェンナノフレークの沈降が生ずる可能性があり、コーティング、塗料、および印刷材料などの多くの領域でグラフェンを実際に適用するのに望ましくない可能性がある。一部の実施形態では、特にコーティングの適用例では、安定なグラフェン含有コーティング溶液を調製することに関連した難題を回避するために、in situでのグラフェン剥離およびコーティング技術を有することが望ましいと考えられる。
[1075] 一方、グラフェンと熱可塑性樹脂との溶融混合は、商用のコンパウンダーおよび押出し機を使用して、溶融コンパウンディング、溶媒ブレンド、およびin situ重合を含む様々な混合方法を介して実現することができる。一部の実施形態では、溶融配合は、ポリマー母材中に剥離したグラフェンを分散させるのに、それほど有効ではない可能性がある。一部の実施形態では、ポリマーにおけるグラフェンの改善された分散体は、最初にグラフェンナノプレートレットを非溶媒中で超音波によって分散させ、その後、ポリマーとさらに混合して、グラフェンナノプレートレットで均一にコーティングされたポリマー粒子を生成し、その後、溶融混合することによって実現されてもよい。改善された、ポリマー中のグラフェンの分散体は、グラフェンナノプレートレット/ポリプロピレン複合体のより低い電気的パーコレーション閾値から導き出すことができる。
[1076] ‘683号公開に記載されるように、溶融混合効率は、グラフェンナノフレークを、第1のポリマー粒子の溶液に懸濁し、その後、第2のポリマー粒子の噴霧コーティングを行って、コア-シェル構造を得ることによって改善された。しかし、噴霧コーティング中の液滴サイズは一般に大きく(例えば、約10μmよりも大きい)、噴霧された液滴中の第1のポリマーの接着効果と組み合わせると、グラフェンナノフレークの解凝集または剥離はほとんどまたは全くなかった。次いでグラフェンがコーティングされたポリマー粒子を、射出成型に供し、体積抵抗率および気体障壁特性を評価した。体積抵抗率の低下は、グラフェンでコーティングされたポリマー粒子を射出成型に供した後のグラフェン改質材料に関して観察することができるが、気体障壁特性には明らかな改善がほとんどまたは全くなく、グラフェンの不十分な分散が示唆された。したがって、本明細書に記載される一部の実施形態では、有効な溶融混合の場合、予備剥離、ならびに剥離したグラフェンナノフレークとポリマー粒子またはペレットとの混合が、望ましいと考えられる。一部の実施形態では、本開示は、溶融混合前にグラフェンナノフレークとポリマーとを予備混合し、それと共に溶融混合中に黒鉛材料をさらに剥離するために、グラフェンナノフレークを有効に解凝集および/または剥離する方法を提供する。‘683号公開によれば、溶融混合中の黒鉛材料のさらなる剥離の機会はなく、このことが、なぜ予備剥離およびエレクトロスプレー堆積が示唆されるかの理由である。したがって、本明細書に記載される方法およびこれから製造される材料は、黒鉛材料をさらに剥離しかつ‘683号公開と比較して優れたグラフェン/ポリマー母材構造を形成するのに自明でない溶液を明らかに示す。
(黒鉛材料-ポリマー複合体)
[1077] 本明細書に記載される、ポリマー材料中に分散した黒鉛材料のマスターバッチを製造する方法は、黒鉛材料をポリマー材料中により良好に分散させかつ黒鉛材料のさらなる剥離をもたらすものを、実施することができる。
[1078] 図1は、ポリマー材料中に分散された黒鉛材料を含むマスターバッチを製造する方法10を示し、黒鉛材料とポリマーとを第1の期間にわたって混合して、第1の混合物を形成すること11が含まれる。一部の実施形態では、黒鉛材料およびポリマー材料は、本明細書に記載される任意の適切な材料または当業者に公知のいずれかを含むことができる。一部の実施形態では、黒鉛材料およびポリマー材料は、混合槽内で混合することができる。一部の実施形態では、黒鉛材料は、混合槽に移送される前にポリマー材料と混合することができる。一部の実施形態では、ポリマー材料は、第1の時間で混合槽内に移送することができ、黒鉛材料は、第2の時間で混合槽内に移送することができる。一部の実施形態では、黒鉛材料をポリマー材料の一部と混合して第1の混合物を形成することができ、第1の混合物を、ポリマーの残りの部分と混合して、第2の混合物を形成することができる。
[1079] 一部の実施形態では、ポリマーは、可溶性または分散性ポリマー前駆体、オリゴマー、またはポリマーを含むことができ、その例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテルケトン)、フッ素化ポリマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む熱可塑性エラストマー(TPE)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、およびその他の熱硬化性樹脂であって熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリエステル、エポキシ、シリコーンゴムを含めたもの、およびこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、ポリマー前駆体、オリゴマー、またはポリマーの、黒鉛材料に対する重量比は、約0.0001~約5,000、約0.001~約2,500、約0.01~約1,000、約0.01~約500、約0.05~約100、約0.05~約50、約1~約50、約0.05~約0.5、約5~約100、約5~約50、または約50~約100の範囲にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、ポリマー前駆体、オリゴマー、またはポリマーの、黒鉛材料に対する重量比は、約0.0001、約0.001、約0.01、約0.1、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約200、約300、約400、約500、約1,000、約2,500、または約5,000よりも大きくすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1080] 一部の実施形態では、「ポリマー前駆体」という用語は、ポリマーを生成するために、触媒の存在下または触媒なしで、引き続きそれ自体とまたはその他の化学物質と反応することができる反応性モノマー、オリゴマー、またはポリマーを指すのに使用される。「オリゴマー」という用語は、小分子よりも高い分子量であるがポリマーよりも低い分子量を有する高分子を指してもよく、例えばこの分子量は、約100~約10,000の範囲、約500~約8,000の範囲などとすることができる。適切なオリゴマーは、その構造を直鎖状、分岐状、星形、または樹状とすることができる。「ポリマー」という用語は、約10,000よりも高い分子量、例えば数平均分子量(Mn)を有する高分子を指してもよい。ポリマーは、直鎖状構造、分岐状構造、高分岐状構造、もしくは樹状構造を有することができ、またはポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、もしくは勾配構造を持つポリマーとすることができ、またはポリマーは、結晶質もしくは非晶質、もしくは液晶とすることができ、またはポリマーは、熱可塑性もしくは熱硬化性とすることができる。
[1081] 一部の実施形態では、混合は、押出し、熱間押出し、冷間押出し、摩擦押出し、マイクロ押出し、一軸オーガー押出し、タンデム押出し、二軸オーガー押出し、共回転二軸オーガー押出し、反転二軸オーガー押出し、二軸スクリュー押出し、共回転二軸スクリュー押出し、反転二軸スクリュー押出し、水平水圧プレス押出し、直接押出し、間接押出し、後方押出し、静水圧押出し、インフレーションフィルム押出し、シート/フィルム押出し、チュービング押出し、オーバージャケット押出し、共押出し、押出しコーティング、射出成型、引抜き成型、その他の適切なプロセス、およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切なプロセスにより実施することができる。
[1082] 一部の実施形態では、混合槽は、静的体積、体積加工容量、押出しの線形長さ、押出し機の直径、またはスクリューの直径によって測定された規模を有することができる。一部の実施形態では、混合槽は、約0.01m3~約150m3、約0.1m3~約125m3、約0.25m3~約100m3、約0.5m3~約75m3、約0.75m3~約50m3、約1m3~約25m3、約0.01m3~約125m3、約0.01m3~約100m3、約0.01m3~約75m3、約0.01m3~約50m3、約0.01m3~約25m3、または約0.01m3~約15m3の規模を有することができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、混合槽は、約1kg/時~約10,000kg/時、5kg/時間~約4,000kg/時間、10kg/時間~約3,000kg/時間、15kg/時間~約2,900kg/時間、20kg/時間~約2,800kg/時間、25kg/時間~約2,700kg/時間、30kg/時間~約2,600kg/時間、35kg/時間~約2,500kg/時間、40kg/時間~約2,400kg/時間、45kg/時間~約2,300kg/時間、50kg/時間~約2,200kg/時間、55kg/時間~約2,100kg/時間、60kg/時間~約2,000kg/時間、65kg/時間~約1,900kg/時間、70kg/時間~約1,800kg/時間、75kg/時間~約1,700kg/時間、80kg/時間~約1,600kg/時間、85kg/時間~約1,500kg/時間、90kg/時間~約1,400kg/時間、95kg/時間~約1,300kg/時間、100kg/時間~約1,200kg/時間、105kg/時間~約1,100kg/時間、110kg/時間~約1,000kg/時間、115kg/時間~約950kg/時間、120kg/時間~約900kg/時間、125kg/時間~約850kg/時間、130kg/時間~約800kg/時間、135kg/時間~約750kg/時間、140kg/時間~約700kg/時間、150kg/時間~約650kg/時間、155kg/時間~約600kg/時間、または160kg/時~約500kg/時の規模を有することができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、押出しの線形長さは、約0.5m~約100m、約1m~約95m、約1.5m~約90m、約2m~約85m、約2.5m~約80m、約3m~約75m、約3.5m~約70m、約4m~約65m、約5m~約60m、約6m~約55m、約7m~約50m、約8m~約45m、約9m~約40m、約10m~約35m、約1m~約100m、約5m~約100m、約10m~約100m、約15m~約100m、約20m~約100m、約25m~約100m、約30m~約100m、約35m~約100m、約40m~約100m、約45m~約100m、約50m~約100m、約0.5m~約90m、約0.5m~約85m、約0.5m~約85m、約0.5m~約80m、約0.5m~約75m、約0.5m~約70m、約0.5m~約65m、約0.5m~約60m、約0.5m~約55m、約0.5m~約50m、約0.5m~約45m、約0.5m~約40m、約0.5m~約35m、約0.5m~約30m、約0.5m~約25m、約0.5m~約20m、約0.5m~約15m、約0.5m~約10m、約0.5m~約5m、または約0.5m~約1mにすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、押出し機の直径は、約0.01m~約20m、約0.1m~約19m、約0.2m~約18m、約0.3m~約17m、約0.4m~約16m、約0.5m~約15m、約0.6m~約14m、約0.7m~約13m、約0.8m~約12m、約0.9m~約11m、約1m~約10m、約1.1m~約9m、約1.2m~約8m、約1.3m~約7m、約1.4m~約6m、約1.5m~約1.6m~約5m、約1.7m~約4m、約1.8m~約3m、約0.01m~約25m、約0.01m~約20m、約0.01m~約15m、約0.01m~約10m、約0.01m~約9m、約0.01m~約8m、約0.01m~約7m、約0.01m~約6m、約0.01m~約5m、約0.01m~約4m、約0.01m~約3m、約0.01m~約2m、または約0.01m~約1mの間とすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、スクリューの直径は、約0.01m~約20m、約0.1m~約19m、約0.2m~約18m、約0.3m~約17m、約0.4m~約16m、約0.5m~約15m、約0.6m~約14m、約0.7m~約13m、約0.8m~約12m、約0.9m~約11m、約1m~約10m、約1.1m~約9m、約1.2m~約8m、約1.3m~約7m、約1.4m~約6m、約1.5m~約1.6m~約5m、約1.7m~約4m、約1.8m~約3m、約0.01m~約25m、約0.01m~約20m、約0.01m~約15m、約0.01m~約10m、約0.01m~約9m、約0.01m~約8m、約0.01m~約7m、約0.01m~約6m、約0.01m~約5m、約0.01m~約4m、約0.01m~約3m、約0.01m~約2m、または約0.01m~約1mの間とすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1083] 一部の実施形態では、第1の期間は、約0.0001秒~約1時間、約1秒~約50分、約5秒~約45分、約10秒~約40分、約15秒~約35分、約20秒~約30分、約25秒~約25分、約30秒~約20分、約35秒~約19分、約40秒~約18分、約45秒~約17分、約50秒~約16分、約55秒~約15分、約1分~約14分、約2分~約13分、約3分~約12分、約4分~約11分、約5分~約10分、約0.0001秒~約55分、約0.0001秒~約50分、約0.0001秒~約45分、約0.0001秒~約40分、約0.0001秒~約35分、約0.0001秒~約30分、約0.0001秒~約25分、約0.0001秒~約20分、約0.0001秒~約19分、約0.0001秒~約18分、約0.0001秒~約17分、約0.0001秒~約16分、約0.0001秒~約15分、約0.0001秒~約14分、約0.0001秒~約13分、約0.0001秒~約12分、約0.0001秒~約11分、約0.0001秒~約10分、約0.0001秒~約9分、約0.0001秒~約8分、約0.0001秒~約7分、約0.0001秒~約6分、約0.0001秒~約5分、約0.0001秒~約4分、約0.0001秒~約3分、約0.0001秒~約2分、約0.0001秒~約1分、約0.0001秒~約45秒、約0.0001秒~約30秒、約0.0001秒~約25秒、約0.0001秒~約10秒、約0.0001秒~約1秒、約1秒~約1時間、約10秒~約1時間、約15秒~約1時間、約30秒~約1時間、約45秒~約1時間、約1分~約1時間、約2分~約1時間、約3分~約1時間、約4分~約1時間、約5分~約1時間、約6分~約1時間、約7分~約1時間、約8分~約1時間、約9分~約1時間、約10分~約1時間、約11分~約1時間、約12分~約1時間、約13分~約1時間、約15分~約1時間、約16分~約1時間、約17分~約1時間、約18分~約1時間、約19分~約1時間、約20分~約1時間、約25分~約1時間、約30分~約1時間、約35分~約1時間、約40分~約1時間、約45分~約1時間、約50分~約1時間、または約55分~約1時間を含むがこれらに限定されない任意の非ゼロ期間とすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、第1の期間は、ゼロ秒、約0.0001秒、約0.01秒、約0.1秒、約0.5秒、約1秒、約10秒、約15秒、約30秒、約45秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、約20分、約25分、約30分、約35分、約45分、約50分、約55分よりも長くもしくは等しくすることができ、または約1時間よりも長くすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、第1の期間は、約1時間、約55分、約50分、約45分、約40分、約35分、約30分、約25分、約20分、約19分、約18分、約17分、約16分、約15分、約14分、約13分、約12分、約11分、約10分、約9分、約8分、約7分、約6分、約5分、約4分、約3分、約2分、約1分、約45秒、約30秒、約15秒、約10秒、約5秒、約1秒、約0.1秒、約0.001秒、または約0.0001秒未満またはこれに等しくすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1084] 一部の実施形態では、マスターバッチを製造するためのシステムは、並列してまたは直列で動作する2つまたはそれよりも多くの混合槽を含むことができる。一部の実施形態では、黒鉛材料およびポリマーの混合物を、ホッパーまたはその他の適切に構成された貯蔵槽から混合槽に、移送することができる。一部の実施形態では、混合槽は、ポリマーの融点よりも高く混合物を加熱するように構成することができる。一部の実施形態では、混合槽は、流体を混合槽に移送するよう構成された投入ポートを含むことができる。
[1085] 一部の実施形態では、黒鉛材料とポリマーとの混合(例えば、溶融混合)は、黒鉛材料中の平均グラフェン層の、1層~100層、約2層~約95層の間、約3層~約90層の間、約4層~約85層の間、1層~約35層の間、1層~約30層の間、1層~約25層の間、1層~約20層の間、1層~約19層の間、1層~約18層の間、1層~約17層の間、1層~約16層の間、1層~約15層の間、1層~約14層の間、1層~約13層の間、1層~約12層の間、1層~約11層の間、1層~約10層の間、1層~約9層の間、1層~約8層の間、1層~約7層の間、1層~約6層の間、1層~約5層の間、1層~約4層の間、1~約3層の間、1~約2層の間であってこれらの間の全ての値および範囲も含めた層への低減を、引き起こし得る。
[1086] 方法10はさらに、超臨界流体を第1の混合物に移送して、第2の混合物12を形成することを含む。一部の実施形態では、超臨界流体は、混合と同時に、混合物が加えられた後であるが温度がポリマー溶融を開始するのに十分上昇する前に、ポリマー溶融中に、ポリマーが完全に溶融した後に、または製造プロセス中の任意のその他の適切な点で、混合槽に移送することができる。
[1087] 一部の実施形態では、超臨界流体を、ポリマーおよび/または黒鉛材料と実質的に同時に混合槽に添加することができる。一部の実施形態では、超臨界流体を、混合槽内の1つまたは複数の投入ポートを通して混合槽に添加することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、2種またはそれよりも多くの材料を含むことができる。
[1088] 一部の実施形態では、超臨界流体を第1の超臨界流体とすることができ、第2の超臨界流体を、移送12工程中にまたは方法10中の別の時間に添加することができる。一部の実施形態では、第2の超臨界流体は、第1の超臨界流体と同じ超臨界流体とすることができる。一部の実施形態では、第2の超臨界流体を添加して、混合槽内の圧力を第1の臨界流体の臨界圧力よりも高く維持することができる。一部の実施形態では、第2の超臨界流体を添加して、混合層内の温度を第1の臨界流体の臨界温度よりも高く維持することができる。
[1089] 一部の実施形態では、超臨界流体は、二酸化炭素、窒素、キセノン、エタン、水素、水、塩化メチレン、ヘキサン、メタン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、アセトン、亜酸化窒素、またはこれらの組合せを含むことができるがこれらに限定するものではない。単なる例として、超臨界流体が二酸化炭素である場合、混合槽内の温度は、31.1℃(304.25K)よりも高くまたは等しくなる可能性があり、混合槽内の圧力は、7.39MPa(1,071psi)よりも大きくまたは等しくなる可能性がある。単なる例として超臨界流体が窒素である場合、混合槽内の温度は-147℃(126.2K)よりも高くまたは等しくなる可能性があり、混合槽内の圧力は、3.4MPa(493.128psi)よりも大きくまたは等しくなる可能性がある。これらの材料は、任意の適切な方法によって超臨界流体になるようにすることができる。例えば、材料は、混合槽内の圧力が臨界圧力に達するまで、密閉した混合槽に投入することができ、混合槽は、材料が臨界温度に達するまで加熱することができる。一部の実施形態では、材料は、加熱および/または体積低減、加熱および/または個別の容器への十分な質量移動など、任意の適切な方法により、個別の容器内で気体から超臨界流体へと転移させることができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、永久気体として分類された材料とすることができ、これは超臨界流体への転移が、混合槽または個別の容器内の圧力または温度の1つのみを変更することによって実現できることを意味する。
[1090] 一部の実施形態では、混合槽は、約10psi~約7,000psi、約14psi~約6,500psi、約15psi~約6,200psi、約16psi~約6,100psi、約17psi~約6,000psi、約18psi~約5,900psi、約19psi~約5,800psi、約20psi~約5,700psi、約25psi~約5,600psi、約30psi~約5,500psi、約35psi~約5,400psi、約40psi~約5,300psi、約45psi~約5,200psi、約50psi~約5,100psi、約75psi~約5,000psi、約100psi~約4,900psi、約150psi~約4,800psi、約200psi~約4,700psi、約300psi~約4,600psi、約400psi~約4,500psi、約500psi~約4,400psi、約600psi~約4,300psi、約700psi~約4,200psi、約800psi~約4,100psi、約900psi~約4,000psi、約1,000psi~約7,000psi、約1,000psi~約6,000psi、約1,000psi~約5,000psi、約1,000psi~約4,500psi、約1,000psi~約4,000psi、約10psi~約6,500psi、約10psi~約6,000psi、約10psi~約5,500psi、約10psi~約5,000psi、約10psi~約4,500psi、約10psi~約4,000psi、約10psi~約3,500psi、約10psi~約3,000psi、約10psi~約2,500psi、約10psi~約2,000psi、約10psi~約1,500psi、約10psi~約1,000psi、約10psi~約750psi、約10psi~約500psi、約10psi~約250psi、約25psi~約7,000psi、約50psi~約7,000psi、約75psi~約7,000psi、約100psi~約7,000psi、約250psi~約7,000psi、約500psi~約7,000psi、約750psi~約7,000psi、約1,000psi~約7,000psi、約1,250psi~約7,000psi、約1,500psi~約7,000psi、約1,750psi~約7,000psi、約2,000psi~約7,000psi、約2,250psi~約7,000psi、約2,500psi~約7,000psi、約2,750psi~約7,000psi、約3,000psi~約7,000psi、約3,250psi~約7,000psi、約3,500psi~約7,000psi、約3,750psi~約7,000psi、約4,000psi~約7,000psi、約4,500psi~約7,000psi、約5,000psi~約7,000psi、約5,500psi~約7,000psi、または約6,000psi~約7,000psiの間であって、これらの間の全ての値および範囲を含めた圧力に、加圧することができる。一部の実施形態では、混合槽は、約10psi、25psi、50psi、75psi、100psi、250psi、500psi、750psi、1,000psi、1,500psi、2,000psi、2,500psi、3,000psi、3,500psi、4,000psi、4,500psi、5,000psi、5,500psi、6,000psi、6,500psiよりも高い、または約7,000psiよりも高い圧力に、これらの間の全ての値および範囲も含めて加圧することができる。
[1091] 一部の実施形態では、混合槽に添加される超臨界流体の量は、混合槽内のポリマー/黒鉛材料混合物の約0.0001wt%~約15wt%の間にすることができる。一部の実施形態では、超臨界流体の量は、約0.001wt%~約14wt%、約0.01wt%~約13wt%、約0.1wt%~約12wt%、約1wt%~約11wt%、約1.5wt%~約10wt%、約2wt%~約9wt%、約2.5wt%~約8wt%、約3wt%~約7wt%、約3.5wt%~約6wt%、約4wt%~約5wt%、約0.001wt%~約15wt%、約0.01wt%~約15wt%、約0.1wt%~約15wt%、約1wt%~約15wt%、約2wt%~約15wt%、約3wt%~約15wt%、約4wt%~約15wt%、約5wt%~約15wt%、約6wt%~約15wt%、約7wt%~約15wt%、約8wt%~約15wt%、約9wt%~約15wt%、約10wt%~約15wt%、約11wt%~約15wt%、約12wt%~約15wt%、約13wt%~約15wt%、約14wt%~約15wt%、約1wt%~約14wt%、約1wt%~約13wt%、約1wt%~約12wt%、約1wt%~約11wt%、約1wt%~約10wt%、約1wt%~約9wt%、約1wt%~約8wt%、約1wt%~約7wt%、約1wt%~約6wt%、約1wt%~約5wt%、約1wt%~約4wt%、約1wt%~約3wt%、約1wt%、および約2wt%、約3wt%~約5wt%、または約2wt%~約6wt%の間にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、超臨界流体の量は、約0.0001wt%、0.001wt%、約0.01wt%、約0.1wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、または約15wt%よりも高くすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1092] 方法10はさらに、第2の混合物を、第2の期間にわたり混合すること13を含む。一部の実施形態では、第2の期間は、第1の期間に関して本明細書に記載した値または範囲のいずれかを含むことができる。一部の実施形態では、第2の期間は、第1の期間に実質的に類似させることができる。一部の実施形態では、第2の期間は、第1の期間よりも長くすることができる。一部の実施形態では、第1の期間は、黒鉛材料/ポリマー混合物の超臨界流体への曝露が短期間でのみ生ずるように(例えば、フラッシュ曝露)、全混合期間の実質的に全てまたはほとんどにすることができる。
[1093] 一部の実施形態では、混合槽内の圧力は、黒鉛材料/ポリマー/超臨界流体混合物の混合13中、超臨界流体の臨界圧力でまたはそれよりも高く維持することができる。一部の実施形態では、混合槽内の温度は、黒鉛材料/ポリマー/超臨界流体混合物の混合13中、超臨界流体の臨界温度でまたはそれよりも高く維持することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、混合槽内の圧力を超臨界流体の臨界圧力よりも高く維持するために、混合13工程中に添加することができる。一部の実施形態では、超臨界流体のさらなる添加は、超臨界流体の臨界温度よりも高く混合槽内の温度を維持するのを助けることができる。
[1094] 方法10は、第2の混合物を減圧して超臨界流体を気相に転移させること16をさらに含む。一部の実施形態では、減圧工程16は、超臨界溶液の急速膨張を含むことができる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、超臨界流体または超臨界溶液の減圧は、ポリマー母材の再結晶、黒鉛材料粒子/小板の分離、および/または黒鉛材料のさらなる剥離を引き起こし得る。一部の実施形態では、得られる混合物を、ガス貧溶媒プロセスでの使用に合わせて構成することができるように、超臨界流体を溶媒と混合することができる。一部の実施形態では、ガス貧溶媒プロセスは、ポリマーの再結晶、架橋、またはインターカレーションを引き起こして、黒鉛材料がポリマー母材中に実質的に分散されているポリマー母材を形成する可能性がある。一部の実施形態では、混合物を超臨界流体に曝露し、次いで所望の最終組成が実現されるまで繰り返し減圧することができる。
[1095] 一部の実施形態では、減圧速度は、約1psi/分~約1,000psi/秒、約10psi/分~約900psi/秒、約50psi/分~約800psi/秒、約100psi/分~約700psi/秒、約150psi/分~約600psi/秒、約200psi/分~約500psi/秒、約250psi/分~約400psi/秒、約300psi/分~約300psi/秒、約300psi/分~約200psi/秒、約350psi/分~約150psi/秒、約400psi/分~約100psi/秒、約450psi/分~約50psi/秒、約500psi/分~約25psi/秒、約550psi/分~約1,250psi/分、約600psi/分~約1,000psi/分、約650psi/分~約950psi/分、約1psi/分~約950psi/秒、約1psi/分~約900psi/秒、約1psi/分~約850psi/秒、約1psi/分~約800psi/秒、約1psi/分~約750psi/秒、約1psi/分~約700psi/秒、約1psi/分~約650psi/秒、約1psi/分~約600psi/秒、約1psi/分~約550psi/秒、約1psi/分~約500psi/秒、約1psi/分~約450psi/秒、約1psi/分~約400psi/秒、約1psi/分~約350psi/秒、約1psi/分~約300psi/秒、約1psi/分~約250psi/秒、約1psi/分~約200psi/秒、約1psi/分~約150psi/秒、約1psi/分~約125psi/秒、約1psi/分~約125psi/秒、約1psi/分~約50psi/秒、約1psi/分~約1,250psi/分、約1psi/分~約1,000psi/分、約1psi/分~約950psi/分、約1psi/分~約900psi/分、約1psi/分~約850psi/分、約1psi/分~約800psi/分、約1psi/分~約750psi/分、約1psi/分~約700psi/分、約1psi/分~約650psi/分、約1psi/分~約600psi/分、約1psi/分~約550psi/分、約1psi/分~約500psi/分、約1psi/分~約450psi/分、約1psi/分~約400psi/分、約1psi/分~約350psi/分、約1psi/分~約300psi/分、約1psi/分~約250psi/分、約1psi/分~約200psi/分、約1psi/分~約150psi/分、約1psi/分~約100psi/分、約1psi/分~約75psi/分、約1psi/分~約50psi/分、約1psi/分~約25psi/分、約1psi/分~約10psi/分、約1psi/分~約5psi/分、約5psi/分~約1,000psi/秒、約10psi/分~約1,000psi/秒、約15psi/分~約1,000psi/秒、約25psi/分~約1,000psi/秒、約50psi/分~約1,000psi/秒、約75psi/分~約1,000psi/秒、約100psi/分~約1,000psi/秒、約125psi/分~約1,000psi/秒、約150psi/分~約1,000psi/秒、約200psi/分~約1,000psi/秒、約300psi/分~約1,000psi/秒、約400psi/分~約1,000psi/秒、約500psi/分~約1,000psi/秒、約600psi/分~約1,000psi/秒、約700psi/分~約1,000psi/秒、約800psi/分~約1,000psi/秒、約900psi/分~約1,000psi/秒、約1,000psi/分~約1,000psi/秒、約1,250psi/分~約1,000psi/秒、約50psi/秒~約1,000psi/秒、約100psi/秒~約1,000psi/秒、約150psi/秒~約1,000psi/秒、約200psi/秒~約1,000psi/秒、約300psi/秒~約1,000psi/秒、約400psi/秒~約1,000psi/秒、約500psi/秒~約1,000psi/秒、約600psi/秒~約1,000psi/秒、約700psi/秒~約1,000psi/秒、約800psi/秒~約1,000psi/秒、または約900psi/秒~約1,000psi/秒にすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、減圧16は、相対的により計量された、断続的な、連続的な、および/またはその他の手法で低速にされた減圧を含むことができる。一部の実施形態では、減圧は、約1分、約55秒、約50秒、約45秒、約40秒、約35秒、約30秒、約25秒、約20秒、約15秒、約10秒、約5秒、約4秒、約3秒、約2秒、または約1秒よりも長く、これらの間の全ての値および範囲も含めて実施することができる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、使用されるポリマーおよび減圧速度に応じて、超臨界流体または超臨界溶液の急速減圧は、いくらかの量の崩壊をポリマー母材に引き起こし得る。
[1096] 一部の実施形態では、減圧は、1層~約100層の間、1層~約50層の間、1層~約45層の間、1層~約40層の間、1層~約35層の間、1層~約30層の間、1層~約25層の間、1層~約20層の間、1層~約19層の間、1層~約18層の間、1層~約17層の間、1層~約16層の間、1層~約15層の間、1層~約14層の間、1層~約13層の間、1層~約12層の間、1層~約11層の間、1層~約10層の間、1層~約9層の間、1層~約8層の間、1層~約7層の間、1層~約6層の間、1層~約5層の間、1層~約4層の間、1~約3層の間、1~約2層の間であって、これらの間の全ての値および範囲の層にまで、黒鉛材料中の平均グラフェン層の低減を引き起こし得る。
[1097] 一部の実施形態では、黒鉛材料とポリマーとの最終混合物は、約0.0001wt%~約45wt%の間の黒鉛材料、約0.001wt%~約44wt%、約0.01wt%~約43wt%、約0.1wt%~約42wt%、約1wt%~約41wt%、約1wt%~約40wt%、約1wt%~約39wt%、約1wt%~約38wt%、約1wt%~約37wt%、約1wt%~約36wt%、約1wt%~約35wt%、約1wt%~約34wt%、約1wt%~約33wt%、約1wt%~約32wt%、約1wt%~約31wt%、約1wt%~約30wt%、約1wt%~約29wt%、約1wt%~約28wt%、約1wt%~約27wt%、約1wt%~約26wt%、約1wt%~約25wt%、約1wt%~約24wt%、約1wt%~約23wt%、約1wt%~約22wt%、約1wt%~約21wt%、約1wt%~約20wt%、約1wt%~約19wt%、約1wt%~約18wt%、約1wt%~約17wt%、約1wt%~約16wt%、約1wt%~約15wt%、約1wt%~約14wt%、約1wt%~約13wt%、約1wt%~約12wt%、約1wt%~約11wt%、約1wt%~約10wt%、約1wt%~約9wt%、約1wt%~約8wt%、約1wt%~約7wt%、約1wt%~約6wt%、約1wt%~約5wt%、約1wt%~約4wt%、約1wt%~約3wt%、約1wt%~約2wt%、約2wt%~約45wt%、約3wt%~約45wt%、約4wt%~約45wt%、約5wt%~約45wt%、約6wt%~約45wt%、約7wt%~約45wt%、約8wt%~約45wt%、約9wt%~約45wt%、約10wt%~約45wt%、約11wt%~約45wt%、約12wt%~約45wt%、約13wt%~約45wt%、約14wt%~約45wt%、約15wt%~約45wt%、約16wt%~約45wt%、約17wt%~約45wt%、約18wt%~約45wt%、約19wt%~約45wt%、約20wt%~約45wt%、約21wt%~約45wt%、約22wt%~約45wt%、約23wt%~約45wt%、約24wt%~約45wt%、約25wt%~約45wt%、約26wt%~約45wt%、約27wt%~約45wt%、約28wt%~約45wt%、約29wt%~約45wt%、約30wt%~約45wt%、約2wt%~約5wt%、約2wt%~約10wt%、約2wt%~約15wt%、約2wt%~約20wt%、約2wt%~約25wt%、約2wt%~約30wt%、約2wt%~約35wt%、約2wt%~約40wt%、または約2wt%~約45wt%を含むことができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。一部の実施形態では、黒鉛材料およびポリマーの最終混合物は、約0.0001wt%、約0.001wt%、約0.01wt%、約0.1wt%、約0.1wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%、約40wt%、約41wt%、約42wt%、約43wt%、約44wt%よりも高くすることができ、または約45wt%よりも高くすることができ、これらの間の全ての値および範囲も含まれる。
[1098] 図2は、ポリマーに分散された黒鉛材料を含む、ポリマーのマスターバッチ(例えば、ペレット)を製造するためのシステム200を示す。一部の実施形態では、システム200は、ポリマーまたは黒鉛材料の少なくとも1種の供給材を含有するように構成されたリザーバー210を含むことができる。一部の実施形態では、リザーバー210は、流路に沿って材料を加熱しかつ/または伝えるように構成された、一次混合デバイス220に連結することができる。一部の実施形態では、ポリマーおよび黒鉛材料の固体混合物は、リザーバー210から一次混合デバイス220まで、間隔を空けてまたは連続して移送することができる。一部の実施形態では、一次混合デバイス220は、方法10に関してこれまで記載してきた混合デバイスのいずれかを含むことができる。一部の実施形態では、一次混合デバイス220は、ポリマーがリザーバー210と一次混合デバイス220の末端部(図示せず)との間で完全に溶融し得るように、加熱することができる。一部の実施形態では、混合物が末端部に到達すると、ポリマーを完全に溶融することができかつ黒鉛材料をポリマー中に完全に分散させることができ、最終混合物240が形成される。
[1099] 一部の実施形態では、一次混合デバイス220は、超臨界流体を一次混合デバイス220に伝えるように構成された投入ポート230を画定するアパーチャーを含むことができる。一部の実施形態では、投入ポート230は、超臨界流体がポリマーおよび黒鉛材料と実質的に同時に一次混合デバイス220に投入されるように、流路の開始付近に位置決めすることができる。一部の実施形態では、投入ポート230は、超臨界流体が一次混合デバイス220に投入される前に、ポリマーが部分的にまたは完全に溶融しかつ黒鉛材料が部分的にまたは完全にポリマーに分散するように、流路にさらに沿って位置決めすることができる。
[10100] 一部の実施形態では、システム200はさらに、末端部240で一次混合デバイス220に連結するように構成された、二次混合デバイス250を含むことができる。一部の実施形態では、二次混合デバイス250は、方法10に関して既に述べた混合デバイスのいずれかを含むことができる。一部の実施形態では、二次混合デバイス250は、混合中に超臨界流体を減圧することができるように、構成することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、ポリマー、黒鉛材料、および超臨界流体の混合物が一次混合デバイス220から二次混合デバイス250に伝えられたときに、減圧することができる。
[10101] 一部の実施形態では、二次混合デバイス250は、二次混合デバイス250の遠位端に静的ミキサー260を含むことができる。一部の実施形態では、静的ミキサー260は、ポリマーおよび黒鉛材料混合物を完全に均質化するように構成することができる。一部の実施形態では、二次混合デバイス250はさらに、静的ミキサー260に連結されたダイ270を含むことができる。一部の実施形態では、ダイ270は、ポリマーおよび黒鉛材料の混合物を、凝固形態因子に形成するように構成することができる。一部の実施形態では、ダイ270は、可塑性および黒鉛材料混合物を型に押し遣るように構成することができる。一部の実施形態では、ダイ270は、黒鉛材料がポリマー母材中に分散状態で実質的に固定されるように、可塑性の流体混合物を冷却するよう構成することができる。
[10102] 図3は、ポリマー中に分散された黒鉛材料を含む、ポリマーのマスターバッチ(例えば、ペレット)を製造するためのシステム300を示す。一部の実施形態では、システム300は、計量された量のポリマーおよび/または黒鉛材料を混合デバイス320に投入するように構成されたリザーバー310を含むことができる。図3に示されるように、混合デバイス320は、ポリマーを、少なくとも部分的に溶融する点まで加熱するように構成された、共回転二軸スクリュー押出しデバイスを含むことができる。一部の実施形態では、二軸スクリュー押出しデバイスは、ポリマーの溶融前、溶融中、および/または溶融後に黒鉛材料をポリマー中に少なくとも部分的に分散するように構成することができる。一部の実施形態では、二軸スクリューは、任意の適切な構成による閉鎖バレル内のスプラインシャフト上に取り付けることができる。一部の実施形態では、二軸スクリュー押出しデバイスは、スクリュー回転、二軸スクリュー回転方向、選択されるスクリュー形状および材料、スクリュー間の距離、またはその他のパラメーターを制御することによって、ポリマー材料を工学ポリマー母材に変換するように構成することができる。
[10103] 一部の実施形態では、混合デバイス320は、熱電対、ヒートラッピング、および/または熱交換機などの加熱要素を含むことができ、加熱要素は、ポリマーの溶融に少なくとも部分的に寄与するように構成される。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、二軸スクリューの回転によって引き起こされた剪断力は、ポリマーの溶融に寄与し得る。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、混合の動水力および/または剪断力は、ポリマーおよび黒鉛材料の混合中に黒鉛材料の剥離のある程度まで寄与し得る。
[10104] 一部の実施形態では、システム300は、超臨界流体を混合デバイス320に移送するように構成された投入ポート330を含むことができる。一部の実施形態では、投入ポート330は、混合デバイス320により画定されたポリマー流路に沿った任意の点で位置決めすることができる。一部の実施形態では、投入ポート330は、混合デバイス320の外面または絶縁ジャケットに画定されたアパーチャーを含むことができる。一部の実施形態では、計量デバイスおよび/またはポンプは、超臨界流体を、投入ポート330を通して混合デバイス320に移送するように構成することができる。一部の実施形態では、投入ポート330は、超臨界流体を、実質的に連続的に、断続的に、またはバッチ式に移送するように構成することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、混合デバイス320に投入される前に、ポリマーまたは別の材料の一部と混合することができる。
[10105] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、超臨界流体の混合デバイス320への移送は、ポリマーのさらなる溶融および/またはポリマー/黒鉛材料混合物の均質化を引き起こし得る。単なる例として、一部の実施形態では、黒鉛材料をグラフェンナノプレートレットとすることができ、超臨界流体の導入に起因して、さらに剥離して数層グラフェンにしてもよい。単なる例として、一部の実施形態では、黒鉛材料は数層グラフェンとすることができ、超臨界流体の導入に起因して、さらに剥離して単層グラフェンになってもよい。
[10106] 一部の実施形態では、システム300は、ポリマーの均質化混合物を受容しかつこの混合物を混合デバイス320の外に移送するように構成された、ダイ370を含むことができる。一部の実施形態では、ダイ370は、ポリマーおよび黒鉛材料の混合物が凝固形態因子に形成されるように、構成することができる。一部の実施形態では、ダイ370は、可塑性および黒鉛材料混合物を形に押し遣るように構成することができる。一部の実施形態では、ダイ370は、黒鉛材料がポリマー母材中に分散状態で実質的に固定されるように、可塑性の流体混合物を冷却するよう構成することができる。
[10107] 図4および5は、ポリマーに分散された黒鉛材料を含む、ポリマーのマスターバッチ(例えば、ペレット)を製造するためのシステム400を示す。一部の実施形態では、システム400は、計量された量のポリマーおよび/または黒鉛材料を混合デバイス420に投入するように構成されたリザーバー410を含むことができる。一部の実施形態では、混合デバイス420は、押出し機またはオーガーを含むことができる。一部の実施形態では、混合デバイス420は、混合デバイス120、混合デバイス220、または混合デバイス320に実質的に類似させることができる。一部の実施形態では、混合デバイス420は、少なくとも部分融解する点に、ポリマーを加熱するよう構成することができる。一部の実施形態では、混合デバイス420は、ポリマーの溶融の前、最中、および/または後に、黒鉛材料をポリマーに少なくとも部分的に分散させるように構成することができる。
[10108] 一部の実施形態では、混合デバイス420は、熱電対、ヒートラッピング、および/または熱交換機などの加熱要素を含むことができ、加熱要素は、ポリマーの溶融に少なくとも部分的に寄与するように構成される。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、二軸スクリューの回転によって引き起こされる剪断力は、ポリマーの溶融に寄与し得る。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、混合の水圧力および/または剪断力は、ポリマーおよび黒鉛材料の混合中、黒鉛材料の剥離のいくらかの程度まで寄与し得る。
[10109] 一部の実施形態では、システム400は、超臨界流体を混合デバイス420に移送するように構成された投入ポート430を含むことができる。一部の実施形態では、投入ポート430は、混合デバイス420によって画定されたポリマー流路に沿った任意の点で位置決めすることができる。一部の実施形態では、投入ポート430は、混合デバイス420の外面または絶縁ジャケットに画定されたアパーチャーを含むことができる。一部の実施形態では、計量デバイスおよび/またはポンプは、超臨界流体を、投入ポート430を通して混合デバイス420に移送するように構成することができる。一部の実施形態では、投入ポート430は、超臨界流体を、実質的に連続的に、断続的に、またはバッチ式に移送するよう構成することができる。一部の実施形態では、超臨界流体は、混合デバイス420に投入される前に、ポリマーまたは別の材料の一部と混合することができる。
[10110] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、超臨界流体の混合デバイス420への移送は、ポリマーのさらなる溶融および/またはポリマー/黒鉛材料混合物の均質化を引き起こして最終混合物440を形成し得る。単なる例として、一部の実施形態では、黒鉛材料をグラフェンナノプレートレットとすることができ、超臨界流体の導入に起因して、さらに剥離して数層グラフェンにすることができる。単なる例として、一部の実施形態では、黒鉛材料を数層グラフェンとすることができ、超臨界流体の導入に起因して、さらに剥離することにより単層にすることができる。
[10111] 一部の実施形態では、システム400は、均質化されたポリマー混合物を受容しかつこの混合物を混合デバイス420の外に移送するように構成された、ダイ470を含むことができる。一部の実施形態では、ダイ470は、ポリマーおよび黒鉛材料の混合物を、部分的に凝固された形態因子に形成するように構成することができる。一部の実施形態では、最終混合物440は、最終混合物440の一部のみがダイ470内で部分的に凝固するように、ダイ470にバッチごとに投入することができる。一部の実施形態では、ダイ470は、可塑性および黒鉛材料混合物を型に押し遣るように構成することができる。一部の実施形態では、ダイ470は、黒鉛材料がポリマー母材中に分散状態で実質的に固定されるように、可塑性の流体混合物を冷却するよう構成することができる。一部の実施形態では、ダイ470は、型480へのコンジットまたはその他の適切なパススルーとすることができる。一部の実施形態では、型は、ポリマーおよび黒鉛材料の均質な混合物を型480に押し遣ることによって成型される1つまたは複数の物品の範囲を画定するように構成された、キャビティ490を含むことができる。一部の実施形態では、図5に示されるように、最終混合物440をキャビティ490に射出した後、複数の微細構造492が最終混合物440中に形成され得る。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、材料の加熱、冷却、圧縮、および/またはキャビティへの添加は、最終混合物440中に微細構造492の形成を引き起こし得る。一部の実施形態では、微細構造492は、泡、ポリマー母材の核、または任意のその他の適切な構造を含むことができる。
[10112] 図6および7は、グラフェンナノプレートレット粉末、グラフェンナノプレートレット/高密度ポリエチレン、および超臨界流体で処理されたグラフェンナノプレートレット/高密度ポリエチレンナノ複合体であって、それぞれ10wt%および20wt%のグラフェンナノプレートレットを含み、射出成型およびタンデム押出し技法を使用したものの、広角X線回折パターンを示すx線回折図である。2θでの回折ピーク=26.5°は、単層グラフェンシート間のd間隔から得られた黒鉛の002反射(I002)の特徴である。グラフェンナノプレートレット/高密度ポリエチレンのSc-N2およびSc-CO2処理はそれぞれ、対応する未処理のナノ複合体のI002回折の強度に94%および86%の低下をもたらす。これは、グラフェンナノプレートレットの効率的な剥離および構造的不規則性の出現を示唆する。しかし、各段階では依然として層状化グラフェンナノプレートレット構造が保持され、これはグラフェンナノプレートレット/高密度ポリエチレンナノ複合体の超臨界流体処理の後でさえ、僅かな回折(I002)が存在することを説明する。しかし、超臨界流体処理されたグラフェンナノプレートレット/ポリマーナノ複合体のI002回折は、より低い角度に僅かにシフトし、グラフェンナノプレートレットの層状化構造のd間隔膨張が示される。
[10113] この技法は、超臨界流体(例えば、CO2、N2)をグラフェンナノプレートレット-ポリマー混合物に射出するのに必要とされる機器を備えた、押出し機、二軸スクリューコンパウンダー、または射出成型など、いくつかの装置を使用して実施することができる。実装された装置を使用して、グラフェンナノプレートレット-ポリマー混合物を可塑化し溶融した後、所定量の圧力をグラフェンナノプレートレット-ポリマー混合物に加える。その後、超臨界流体を、所定の流量および圧力で、グラフェンナノプレートレット-ポリマー溶融体に射出し、それと共に混合物の剪断を、プロセス全体を通して一定して加える(例えば、押出しまたは射出成型)。十分な期間の後、プロセスは、グラフェンナノプレートレット-ポリマー-超臨界流体混合物の急速減圧に進んで、グラフェンナノプレートレットを実質的に剥離しかつポリマー母材中に分散させる。減圧工程は、混合物を、周囲条件に至るまで押し出し、その後、生成物を脱気することができる。
[10114] 一部の実施形態では、本明細書に記載される方法およびシステムは、均一に分散されかつ高度に剥離されたグラフェンナノプレートレットをポリマー内に有する、グラフェンナノプレートレットをベースにしたナノ複合体を製造する拡大縮小可能な方法を提供する。この超臨界流体で支援される方法は、後続の工程を統合するものである:(i)黒鉛材料の剥離、および(ii):ポリマー中での黒鉛材料の分散であり、共に1工程にある。これは、妥当なコストでの、多機能性黒鉛材料をベースにしたポリマーナノ複合体の大規模生成に、非常に好ましい。これは、調整された性質を持つ、グラフェンナノプレートレットをベースにしたポリマーナノ複合体の工業規模の加工の進歩および最適化にも影響を及ぼし、電子パッケージ、超コンデンサー、電磁干渉遮蔽、および燃料電池のバイポーラ板などの数多くの適用例での使用をもたらす。
[10115] 一部の実施形態では、本開示により得られた黒鉛材料/ポリマー粉末またはペレットをさらに、機械的混合を通して上述のその他のポリマー粉末またはペレットと混合することができる。一部の実施形態では、本開示により得られた黒鉛材料/ポリマー粉末またはペレット、あるいはそれらの、他のポリマー粉末またはペレットとの混合物を、押出しによってさらに加工して、黒鉛材料/ポリマー複合体フィラメントまたはペレット、あるいは黒鉛ナノフレークがポリマー母材中に高度に分散されかつ均一に分布された成形物品を、生成することができる。一部の実施形態では、本開示により得られた黒鉛材料/ポリマー粉末またはペレット、あるいはそれらの、他のポリマー粉末またはペレットとの混合物を、射出成型によってさらに加工して、グラフェンナノフレークがポリマー母材中に高度に分散されかつ均一に分布された成形物品を生成することができる。一部の実施形態では、本開示により得られた黒鉛材料/ポリマー粉末またはペレット、あるいはそれらの、他のポリマー粉末またはペレットとの混合物を、圧縮成型によってさらに加工して、グラフェンナノフレークがポリマー母材中に高度に分散されかつ均一に分布された成形物品を生成することができる。
[10116] システム、方法、およびデバイスの様々な実施形態について、これまで記載してきたが、それらは単なる例として提示され、限定するものではないことを理解されるべきである。上述の方法および工程は、ある特定の順序で生ずるある特定の事象を示すが、本開示の利益を有する当業者なら、ある特定の工程の順序は修正されてもよく、そのような修正は本発明の変形例によるものであることが理解されよう。例えば、非水性電解質は、ゲルポリマー電解質を含むこともできる。さらに、ある特定の工程は、可能な場合には並行プロセスで同時に行ってもよく、それと共に上述のように逐次行ってもよい。実施形態について特に図示し記載してきたが、形態および詳細の様々な変更を行ってもよいことが理解されよう。