JP7318675B2 - 方向性電磁鋼板とその製造方法ならびに歪導入装置 - Google Patents

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本発明は、主として変圧器などの電力機器の鉄心材料として用いられる方向性電磁鋼板とその製造方法ならびに歪導入装置に関し、具体的には、コイルの全長に亘って優れた磁気特性(低鉄損、高磁束密度)を有する方向性電磁鋼板とその製造方法、および、その製造方法に用いる歪導入装置に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主に変圧器等の鉄心材料として用いられており、変圧器のエネルギ使用効率向上のため、低鉄損であることが強く要求されている。方向性電磁鋼板を低鉄損化する方法には、鋼板の比抵抗を増大する、鋼板表面の被膜張力を増大する、鋼板の板厚を薄くするなどの方法の他に、結晶粒のGoss方位への集積度を高めて先鋭化したり、鋼板表面に加工を施して磁区細分化したりする方法等がある。
上記方法のうち、鋼板の比抵抗を増大する方法は、比抵抗を高める元素であるSiやAlの含有量を増加することが有効であるが、SiやAl含有量の過度の増大は、鋼板の製造性や加工性を著しく損なうことから、方向性電磁鋼板のSiやAlの含有量は一般に3mass%程度に抑えられている。また、鋼板表面の被膜張力を増大する方法は、CVD法やPVD法を用いた被膜形成により高い被膜張力が得られるが、大型設備の導入が必要であることから製造コストの増大を招くという問題がある。また、鋼板板厚を薄くする方法は、渦電流損の低下に効果があるものの、生産性の低下や、鋼板の剛性低下によるハンドリング性の低下、占積率(被膜と地鉄からなる鋼板の厚みに対する地鉄厚の割合)の低下を招くだけでなく、過度に薄くした場合には、逆にヒステリシス損の増大を招くという問題がある。
また、鋼板表面に加工を施して磁区細分化する方法は、鋼板表面の圧延方向を横切る方向にレーザーや電子ビームを照射する技術が確立されており、特に後者の方法は、近年のビーム照射出力の増大と制御技術の進歩が相まって、低鉄損化効果は年々高くなっている。
図1は、電子ビーム照射による磁区細分化処理前の方向性電磁鋼板の磁束密度Bと鉄損W17/50との関係を示したものである。この図から、磁区細分化処理後の鉄損は、素材鋼板の磁束密度と高い相関があり、素材の磁束密度が高いほど低鉄損化する傾向がある。
また、結晶粒の結晶方位をGoss方位{110}<001>に先鋭化する、すなわち、素材鋼板の磁束密度Bを高める技術としては、冷間圧延における温間圧延や時効処理の採用、一次再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)時の急速加熱等によって、一次再結晶組織における二次再結晶粒の核となるGoss方位の存在頻度を高める方法や、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍中にGoss方位を選択的に成長させる方法等、多くの方法が提案されている。
上記で言う仕上焼鈍前の一次再結晶組織中に存在するGoss方位に先鋭化された結晶粒は、完全にGoss方位に向いた結晶粒のみからなるわけではなく、Goss方位からややずれた方位の結晶粒がある程度の広がりをもって存在する。これらのGoss方位からずれた結晶粒も二次再結晶を起こすため、磁束密度の低下の原因となる。したがって、磁束密度をより高めるためには、Goss方位のみを選択的に成長させることが重要となる。そこで、仕上焼鈍中にGoss方位のみを選択的に成長させる技術として、例えば、仕上焼鈍前の結晶集合組織(一次再結晶組織)を適正化する方法や、鋼素材の化学成分を適正化してインヒビション効果を高める方法などが知られている。
仕上焼鈍中に二次再結晶した完全なGoss方位を有する結晶粒は、Goss方位からずれた結晶粒に比較し、仕上焼鈍時の粒成長性が高いと考えられている。このような性質は、仕上焼鈍中に一次再結晶組織の成長を抑制するインヒビターと呼ばれる析出物に大きく影響され、インヒビターの抑制力が高いほどGoss方位への先鋭性が高まる。そこで、例えば、特許文献1には、インヒビション効果を高めることによって、磁束密度Bが1.97Tを超える方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、Goss方位からのずれが大きい結晶粒の成長を、非定常組織を導入することによって抑制し、磁束密度が高く低鉄損の方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。この技術は、Goss方位からのずれが大きい方位ほど、塑性加工部において粒成長が抑制される傾向があることを利用し、Goss方位からのずれが大きい方位の量を最小限に止める方法であり、それにより磁束密度の増大が可能になる。
特開2001-303031号公報 特公昭54-023647号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術は、Goss方位への集積度を高めることができる反面、Goss方位を有する二次再結晶粒が極めて粗大な結晶粒となり、大きいものでは、数百mmの大きさに達するものもある。
仕上焼鈍は、通常、鋼板をコイルに巻いた状態で行われ、一次再結晶組織内に存在するGoss方位粒の核(図2(a)参照)は、仕上焼鈍中に二次再結晶を起こして粒成長するが、その結晶方位は、鋼板形状に影響されない。すなわち、二次再結晶粒は、図2(b)に示したように、コイルに巻かれた鋼板内において粒成長する。
仕上焼鈍後のコイルは、強い巻き癖(コイルセット)が付いているため、仕上焼鈍後の平坦化焼鈍等において形状矯正を行うのが一般的である。これにより、鋼板形状がコイルの巻かれた湾曲状態から平坦状態に変化するが、鋼板内の二次再結晶粒の結晶方位も、図2(c)に示したように圧延方向で変化する。そのため、仕上焼鈍時にコイルに巻かれたときの鋼板の湾曲が大きい場合は、平坦化焼鈍を施した後の結晶方位が圧延方向で大きく変化し、磁束密度が低下することが知られている。
例えば、コイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rが300mmで、二次再結晶粒の圧延方向の大きさが200mmであると仮定したとき、<001>軸の同一結晶粒内での圧延方向における変化量は理論上35°以上になると見積もられ、磁束密度の低下要因として無視できない値となる。ただし、実際には、平坦化焼鈍によって二次再結晶粒内でサブグレイン化が生じ、ある程度の領域毎に結晶方位が不連続に変化するようになるため、厳密には上述の議論は当てはまらない。
ここで、本発明では、仕上焼鈍時のコイル内の位置をコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rで表すこととしたとき、図3は、仕上焼鈍時のコイル内位置Rが、平坦化焼鈍後の磁束密度Bに及ぼす影響を示したものであり、具体的には、同一コイル内の曲率半径Rの異なる3つの位置(R=300mm、525mmおよび675mm)から、圧延方向を長さ方向とする100mm幅×300mm長さの単板をそれぞれ10枚ずつ採取し、圧延方向の磁束密度BをSST試験(単板磁気試験)で測定し、10枚の平均値と標準偏差σを求めた結果を示したものである。この図から、曲率半径Rが小さい領域で磁束密度が低下していることがわかる。これは、平坦化焼鈍時に起きる二次再結晶粒内の結晶方位の変化量が、コイル巻取り時の湾曲が大きい(曲率半径が小さい)ほど、すなわち、仕上焼鈍時のコイル内径側であるほど大きくなるためである。因みに、調査を行ったコイルの曲率半径Rが675mmの位置における二次再結晶粒の圧延方向の平均径は110mmであった。
このような問題を解消するため、仕上焼鈍時の鋼板の湾曲を小さくしたり、二次再結晶粒を小さくしたりすることが有効である。鋼板の湾曲を小さくする方法としては、仕上焼鈍時のコイル内径を大きくすることが考えられるが、同じコイル単重では、コイル外径が大きくなるため、仕上焼鈍炉に組み込めなくなるなどの問題が生じる。また、この問題を回避するため、コイル単重を小さくすると、生産性が低下するという別の問題が生じる。
このような問題に対し、先述した特許文献2には、二次再結晶前の鋼板組織に機械的な塑性加工部を局部的に導入し、二次再結晶焼鈍中に歪導入部に細粒を生成させることにより二次再結晶粒を制御する技術が提案されている。この技術は、Goss方位からのずれが大きい結晶粒ほど、上記塑性加工部から発生した細粒による粒成長抑制効果が大きい傾向があることを利用し、Goss方位からのずれが大きい結晶粒の成長を最小限に止め、Goss方位により近い結晶粒を優先的に成長させることにより、磁束密度を高めている。
しかしながら、技術革新に伴い、近年では、二次再結晶粒の方位がGoss方位にますます集積してきている。そのため、Goss方位に極めて近い二次再結晶粒が得られる方向性電磁鋼板を対象とする場合には、上記細粒による二次再結晶粒の粒径制御技術が適用できなくなってきている。
本発明は、従来技術が抱える上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次再結晶粒の方位がGoss方位に極めて高度に集積している場合でも、仕上焼鈍時のコイル内の位置に拘わらず優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提供し、その有意な製造方法を提案するとともに、上記方法に用いる歪導入装置を提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記の課題、すなわち、二次再結晶粒の方位がGoss方位に極めて近い場合には、粒成長性が早いために二次再結晶粒が過度に粗大化し、磁気特性、特に、平坦化焼鈍後、仕上焼鈍時のコイル内巻部の磁気特性の劣化を招くという問題を解決する方法について、特許文献2に開示された二次再結晶前の鋼板組織に局部的に塑性加工部を導入し、その部分から発生した細粒により二次再結晶粒の成長を抑制する技術に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
(1)仕上焼鈍時において1000℃以下で二次再結晶を完了させた場合には、上記細粒は、Goss方位に極めて近い二次再結晶粒によっても蚕食され難く、粒成長抑制効果を有する。
(2)製品コイルの全長に亘って優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を得るためには、上記細粒を生成する歪導入部の領域は必要最小限とし、かつ、上記細粒を生成する歪導入部の圧延方向の繰返し間隔は、仕上焼鈍時のコイル内巻側ほど小さくするのが好ましい。
上記知見に基づき開発した本発明は、鋼板表面にセラミックス被膜を有する方向性電磁鋼板において、{110}<001>からの方位差角が15°以内の二次再結晶粒が面積比率で鋼板表面の90%以上であり、上記二次再結晶粒の圧延方向の粒界を規定し、鋼板の圧延方向を横切る方向に直線状あるいは曲線状に延びる粒径制御処理痕が、圧延方向に所定の間隔をもって形成してなり、上記二次再結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均結晶粒径が30mm以上で、かつ、上記二次再結晶粒の各結晶粒内のβ角の圧延方向の変化量がコイルの全長に亘って15°以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板である。ここで、上記方位差角とは、二次再結晶粒における理想ゴス方位粒からのずれの大きさを、圧延方向を軸とした回転角で表したものをいう。
本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記粒径制御処理痕の圧延方向の形成間隔が、仕上焼鈍時のコイル内巻側ほど小さいことを特徴とする。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記粒径制御処理痕上に、上記{110}<001>からの方位差角が15°以内の二次再結晶粒と粒界を共有する圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒群が連続的または非連続的に形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記粒径制御処理痕上に存在する微細粒群の存在比率が30%以下(0%を含む)であることを特徴とする。ここで、上記微細粒の存在比率とは、粒径制御処理痕の全長に対する圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒が存在する部分の合計長さの比(%)のことをいう。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記粒径制御処理痕の上に、フォルステライト被膜が形成されてなることを特徴とする。
また、本発明は、方向性電磁鋼板用の冷間圧延した素材鋼板を、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍して冷延板とし、該冷延板の表面に焼鈍分離剤を塗布し、コイルに巻き取った後、該コイル状態の鋼板に二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記仕上焼鈍前の鋼板のコイル全長に亘って歪導入部を形成する粒径制御処理を施した後、上記仕上焼鈍において二次再結晶を1000℃以下の温度で完了させることを特徴とする上記のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。ここで、上記二次再結晶の完了とは、歪導入部以外の領域において、二次再結晶粒の圧延方向および圧延直角方向のいずれか1以上の平均粒径が5mm以上となった状態をいう。
本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記歪導入部を、電子ビームあるいはレーザービームを、圧延方向を横切る方向に、かつ、圧延方向に所定の間隔をあけて繰り返し照射して形成することを特徴とする。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記歪導入部を、ロール表面の周方向に所定の間隔をもって突起を有する突起付きロールを鋼板に押し付け、鋼板に歪みを導入することにより形成することを特徴とする。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記歪導入部の圧延方向の形成間隔を、仕上焼鈍時のコイル内巻側が小さくなるよう、コイルの長手方向で変化させることを特徴とする。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記歪導入部を、仕上焼鈍時のコイル内巻部のみに形成することを特徴とする。ここで、上記コイル内巻部とは、コイルに巻いた鋼板の曲率半径が500mm未満の部分をいう。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上焼鈍において、二次再結晶を完了させた後、1100℃以上の温度まで加熱することを特徴とする。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる、仕上焼鈍前の鋼板に歪導入部を形成する歪導入装置であって、仕上焼鈍時のコイル位置情報に基づき、上記歪導入部の圧延方向の処理間隔を変更する機能を有することを特徴とする歪導入装置である。
本発明によれば、仕上焼鈍時のコイル内位置に応じて、仕上焼鈍時に二次再結晶粒の圧延方向への成長を抑制する粒径制御領域の形成間隔を変化するようにしたので、仕上焼鈍時のコイル内位置に拘わらず、1つの結晶粒内の圧延方向のβ角の変化量を低く抑えることができ、コイル全長に亘って優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提供することが可能となる。したがって、本発明によれば、エネルギ使用効率に優れた変圧器や回転機器を製造することが可能となるので、産業上奏する効果は大である。
素材の磁束密度Bと、磁区細分化処理後の鉄損W17/50との関係を示すグラフである。 仕上焼鈍におけるコイルの巻き癖が磁束密度に影響を及ぼすメカニズムを説明する模式図である。 仕上焼鈍時のコイル内位置Rが磁束密度Bに及ぼす影響を示すグラフである。 仕上焼鈍の1000℃以下での二次再結晶の完了有無が、歪導入部から生成した細粒の、二次再結晶したGoss粒の粒成長抑制効果に及ぼす影響を示す写真である。 仕上焼鈍板の組織において、磁気特性に有害な圧延方向粒径1mm以下の微細粒の存在比率の求め方を説明する模式図である。
以下、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
まず、発明者らは、先述した特許文献2の技術を参考に、仕上焼鈍前の鋼板に局所的に不均一な組織を形成することによって、二次再結晶したGoss粒の成長を抑制することを試みた。具体的には、C:0.03mass%、Si:3.35mass%、Mn:0.08mass%、Al:0.04mass%およびN:0.0085mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼素材A(スラブA)と、C:0.04mass%、Si:3.40mass%、Mn:0.05mass%、Al:0.03mass%およびN:0.0065mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼素材B(スラブB)の2種類のスラブを熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、950℃で熱延板焼鈍し、酸洗し、1回目の冷間圧延して中間板厚1.6mmとし、1050℃で中間焼鈍した後、2回目の冷間圧延して最終板厚0.22mmの冷延板とし、次いで、上記冷延板に脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に電子ビームを、加速電圧150kV、ビーム電流5mA、走査速度20m/sで、圧延方向と直交する向きに、かつ、圧延方向に30mmの間隔で繰返し走査して照射し、歪導入部を形成した。次いで、上記冷延板の表面にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、乾燥した後、内径が600mm、外径が1600mmのコイルに巻き取った後、コイル状態のまま、二次再結晶を完了させた後、1150℃の温度に加熱する仕上焼鈍を施し、平坦化焼鈍を施して製品板とした。なお、比較として、電子ビーム照射を行わない製品板も製造した。
斯くして得た平坦化焼鈍後の鋼板の、仕上焼鈍時のコイルのコイル内位置R(鋼板の曲率半径R)が600mm(コイル径:1200mm)の位置から、試験片を採取し、二次再結晶粒の圧延方向の平均粒径の測定と、電子ビーム照射部によって二次再結晶粒の粒成長が抑制されているか否かと、該照射部に、圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒が存在しているか否かを調査し、その結果を表1に示した。なお、別途、X線で測定した結果では、上記鋼板は、いずれも二次再結晶粒のGoss方位からのずれ角は15°以内であった。
この結果から、電子ビームを仕上焼鈍前に照射しなかった場合、鋼素材AおよびBから製造した鋼板は、いずれも、圧延方向の粒径が47mm以上と粗大粒となったが、電子ビームを仕上焼鈍前に照射した場合、鋼素材Bから製造した鋼板は、電子ビーム照射で形成した歪導入部によって二次再結晶粒の粒成長が抑止され、圧延方向の粒径が29mmに細粒化していたのに対して、鋼素材Aから製造した鋼板では、図4に示した磁区構造写真からわかるように、電子ビーム照射部を超えて二次再結晶が成長しており、電子ビーム照射による二次再結晶粒の細粒化効果が得られなかった。
Figure 0007318675000001
そこで、上記実験を再度実施し、その際、鋼板コイルと一緒に試験片を熱処理炉内に装入し、試料の温度が1000℃に達した時点で、該試料を熱処理炉から取出し、水冷し、組織観察を行ったところ、鋼素材Bから製造した鋼板は、温度が1000℃に到達したときには既に二次再結晶が完了していたが、鋼素材Aから製造した鋼板では、二次再結晶は完了していなかった。ここで、上記二次再結晶の完了とは、歪導入部以外の領域において、二次再結晶粒の大きさが5mm以上となっている状態をいう。なお、いずれの鋼素材から製造した鋼板も、1000℃に達した時点では、電子ビームを照射した歪導入部に圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒の存在が確認されたが、仕上焼鈍後には、上記微細粒の存在は確認されず、電子ビーム照射部であることを示す痕跡としての粒界、または、圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒群が存在し、該粒界または微細粒群によって、二次再結晶粒の圧延方向の粒径が規定されていた。なお、本発明では、仕上焼鈍後の鋼板に認められる上記粒界または微細粒群からなる部分を、「粒径制御処理痕」と称することとする。
上記のように鋼素材Aから製造した鋼板において、電子ビーム照射部から生成した細粒に二次再結晶粒の粒成長抑制効果が得られなかった理由は、1000℃よりも高い温度で二次再結晶が発現するため、核生成した二次再結晶粒の粒成長が早く、歪導入部から生成した細粒を蚕食するためであると考えられる。したがって、1000℃以下で二次再結晶を完了させることで、Goss方位に極めて近い方位を有する二次再結晶粒であっても、歪導入部から生成した細粒によって粒成長を抑制することができると考えられる。
本発明は、上記の新規な知見に、さらに、コイル全長に亘って優れた磁気特性を得るための歪導入条件についての検討を重ねて完成したものである。
次に、本発明に係る方向性電磁鋼板(製品板)について説明する。
まず、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼成分として、C:0.0050mass%以下、Si:1~7mass%、Mn:0.1mass%以下、sol.Al(酸可溶Al):0.005mass%未満、N:0.0020mass%以下、S:0.0010mass%未満およびSe:0.005mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることが好ましい。Cは、製品板に残存していると、磁気時効を起こし、鉄損が劣化する。より好ましくは0.0030mass%未満である。Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するため、1mass%以上含有させることが好ましい。しかし、過度の含有は、磁束密度が低下したり、鋼が硬質化し、製造するのが難しくなったりするので、上限は7mass%とするのが好ましい。Mnは、SとMnSなどの析出物を形成して鉄損を劣化するため、上限値を0.1mass%とするのが好ましい。また、二次再結晶を発現させるAlNやMnS、MnSe等のインヒビターを形成する成分であるAl,S,SeおよびNは、仕上焼鈍における1100℃以上の高温への加熱により鋼板中から除去され(純化処理)、上記値まで低減される。なお、Nは、歪取焼鈍時に、窒化ケイ素などを形成して析出し、鉄損を損なうため、極力低減することが望ましい。
なお、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物であるが、磁気特性の向上等を目的として、上記成分に加えてさらに、Cr,Cu,Ni,Bi,B,Sn,Sb,Mo,P,Ti,Nb,V,ZrおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の成分をそれぞれ0.0005~0.50mass%の範囲で含有していてもよい。
ただし、製品板にフォルステライト被膜を形成する場合には、アンカーを発達させるCrは極力少なくし、0.1mass%以下とするのが好ましい。また、Pは、比抵抗を高め、硬さ調整にも有用な成分であるが、製造性を低下したり、飽和磁束密度を低下させたりするため、上限は0.1mass%とするのが好ましい。また、Ti,Nb,V,ZrおよびTaは、炭化物や窒化物を形成し、鉄損を劣化させるため、合計の含有量を0.01mass%以下に抑えることが望ましい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼板のマトリックスを構成する二次再結晶粒は、その結晶方位がGoss方位{110}<001>あるいはその近傍方位である、具体的には、Goss方位から15°以内の方位差角を有する二次再結晶粒(以降、この二次再結晶粒を「Goss粒」とも称する)が、面積比率で鋼板表面の90%以上であることが必要である。ここで、本発明における上記方位差角は、着目している結晶方位Aと理想Goss方位Bとの間の結晶方位関係において、対称性を考慮した複数の共通回転軸まわりでの二つの結晶方位を一致させるための回転角のうちの最小の回転角と定義されるものである。なお、Goss粒の面積比率は、鋼板の表裏面で異なることがあるが、その場合には、大きい方の値を採用する。より好ましい面積比率は97%以上である。
上記のように規定する理由は、本発明の効果は、Goss方位に極めて近い二次再結晶粒からなる方向性電磁鋼板においてのみ得ることができるため、上記範囲を超えると、本発明を適用する技術的意味がないからである。なお、本発明の技術を適用する方向性電磁鋼板は、さらに、二次再結晶粒の<100>軸と鋼板表面とがなす最小の角(β角)のコイル全長の平均値が0~3°の範囲内にあるものであることが好ましい。ここで、上記コイル全長の平均値とは、仕上焼鈍前のコイル先端および尾端から切り出した圧延方向300mm×幅方向100mmの試験片10枚(計20枚)を平坦に重ね、焼鈍雰囲気およびヒートパタンを再現したオフライン試験にて仕上焼鈍を行い、得られた試料について、例えば5mm間隔毎の格子状位置で、β角の測定を行い、全測定点で平均した値のことをいう。
また、本発明は、Goss方位を有する二次再結晶粒の圧延方向への粒成長を抑制しつつ、圧延直角方向へ粒成長を促進して、粗大化を図る技術である。そこで、本発明においては、粗大な二次再結晶粒の指標として、Goss方位から15°以内の方位差角を有する二次再結晶粒(Goss粒)の圧延方向に直角方向の平均結晶粒径が30mm以上であることとする。30mm未満では、本発明の効果が十分に発揮されない。より好ましくは50mm以上である。なお、上記平均結晶粒径は、板厚中心層において面積加重平均で算出した粒径である。
さらに、本発明の方向性電磁鋼板は、Goss方位から15°以内の方位差角を有する二次再結晶粒の圧延方向の粒径を、コイルの長手方向の位置に応じて異ならせることによって、各二次再結晶粒内の圧延方向におけるβ角の変化量をコイル全長に亘って15°以下に抑えてなることが必要である。
二次再結晶粒の圧延方向の粒径をコイルの長手方向で変化させる方法については、特に限定しないが、例えば、後述するように、二次再結晶を起こさせる前の鋼板に、電子ビームやレーザービームを照射し、あるいは、突起付きロールを鋼板に押し付けることによって、鋼板に局部的に歪みを導入し(以下、この処理を、以降「粒径制御処理」ともいう)、この歪導入部から仕上焼鈍時に生成した細粒で二次再結晶粒の粒成長を抑制する方法を適用することができる。なお、仕上焼鈍中の鋼板温度や昇温速度を、コイル内位置で変化することで、二次再結晶粒の粒成長を制御する方法を用いてもよい。
ところで、二次再結晶粒の粒径制御処理によって、仕上焼鈍時に該処理部から周囲の組織とは異なる結晶粒(本発明では、二次再結晶粒より明らかに小さい結晶粒であることをふまえ「細粒」と呼ぶ)が生成する。歪み誘起粒成長によって成長した結晶粒であると考えられるが詳細は不明である。この細粒は、Goss方位から大きくずれた結晶方位を有することから、磁気特性にとって有害な組織でもある。したがって、仕上焼鈍後の製品板においては、上記細粒は消失し、歪導入部には、粒径が制御された二次再結晶粒(Goss粒)の粒界のみが残存することが好ましいが、歪導入部から生成した細粒を完全に消失させることは困難である。ここで、本発明では、上記歪導入部の痕跡としての粒界と、その部分に残存する細粒を含めて「粒径制御処理痕」と称する。なお、上記粒径制御処理痕に細粒が残存する場合、圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒となって存在しており、圧延方向の粒径が1mmを超える細粒はほとんど存在せず、無視することができる。
ただし、上記「粒径制御処理痕」に微細粒が残存する場合には、磁気特性に有害な圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒の存在比率が30%以下(0%も含む)であることが好ましい。ここで、上記微細粒の存在比率とは、粒径制御処理痕の全長に対する、圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒が存在する粒径制御処理痕の合計長さの比(%)のことをいう。例えば、図5に模式的に示す組織の場合、{(m+m+m)/L}×100で求められる。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、製品鋼板の表面上に、セラミックス質の被膜を有するものであることが必要である。上記セラミックス質の被膜としては、一般的に用いられているMgSiOを主成分とするガラス状のフォルステライト被膜でもよく、また、化学蒸着や物理蒸着などで形成したTiCやTiNの被膜、SiOなどの酸化被膜であってもよい。
なお、上記セラミックス被膜として、フォルステライト被膜を用いる場合、二次再結晶の粒径制御処理でレーザービームや電子ビームを用いると、脱炭焼鈍時に鋼板表層に形成されたサブスケールが除去され、該処理部にフォルステライト被膜が形成されなくなることがある。この局所的なフォルステライト被膜の消失は、外観を損なうため、少ない方が好ましい。発明者らの実験よれば、電子ビームやレーザービームの出力を、粒径制御に必要な最小限度に抑えることで、フォルステライト被膜の消失を抑制できる。なお、突起付きロールを用いて歪導入部を形成する方法では、上記問題点は生じない。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、上記セラミックス質の被膜の上に、さらに、鉄心組立時の層間の絶縁性を高めるため、張力付与型の酸化物絶縁被膜が形成されていることが好ましい。また、上記張力付与型の酸化物絶縁被膜は、無機物の処理液を焼き付けた被膜であることが好ましい。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼板表面に局部的に歪導部を形成することによって仕上焼鈍時に細粒を生成させ、これにより二次再結晶粒の粗大化を防止する技術であるが、これに加えてさらに、鋼板表面に溝を形成したり、レーザービームや電子ビームを仕上焼鈍後の鋼板表面に照射して局所的に歪を導入したりする従来公知の磁区細分化処理を施したものであってもよい。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、板厚が0.10~0.35mmの範囲であることが好ましい。板厚が0.10mm未満では、二次再結晶の発現が不安定となって、高い磁気特性が得られ難くなる。一方、0.35mmを超えると、二次再結晶したGoss方位粒の成長抑止に必要な処理痕の面積を増大する必要があり、粒径制御処理痕が仕上焼鈍中に消失し難くなるため、高い磁束密度が得られなくなるからである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、以下に説明する所定の成分組成を有する鋼素材(スラブ)を熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、鋼板表面にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻き取り、コイル状態のまま、二次再結晶させた後、さらに高温に加熱する仕上焼鈍を施し、その後、平坦化焼鈍を施す従来公知の一連の製造工程で製造することができ、その際の各工程の条件については、鋼素材成分と、後述する二次再結晶粒の粒径制御処理、および、仕上焼鈍工程を除いて、方向性電磁鋼板の製造方法として従来公知の条件に準じて行えばよい。
以下、鋼素材の成分組成と、二次再結晶粒の粒径制御処理および仕上焼鈍について説明する。
まず、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材は、基本成分として、C:0.005~0.100mass%、Si:1~7mass%およびMn:0.1mass%以下を含有するものであることが好ましい。Cが、0.005mass%未満では、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして製造に支障をきたすようになる。一方、0.100mass%を超えると、脱炭焼鈍で磁気時効の起こらない0.0050mass%以下に低減することができなくなる。
なお、SiおよびMnの限定理由は、先述したとおりである。
さらに、本発明に用いる鋼素材は、仕上焼鈍において二次再結晶を発明させるためにインヒビターを用いる場合は、上記基本成分に加えて、下記AおよびB群から選ばれる少なくとも1群のインヒビター形成成分を含有することが好ましい。下記成分範囲とすることで、仕上焼鈍において1000℃以下の低温でも二次再結晶が完了し、従来技術ではなし得なかった、歪導入部から生成した細粒に、二次再結晶粒に対する粒成長抑制効果を付与することができる。

・A群:sol.Al:0.010~0.025mass%およびN:0.003~0.010mass%
・B群:S:0.005~0.02mass%およびSe:0.005~0.02mass%のうちから選ばれる1種以上
一方、仕上焼鈍において二次再結晶を発現させるためにインヒビターを用いない場合は、上記インヒビター形成成分は極力低減するのが好ましく、具体的には、sol.Al:0.010mass%未満、N:0.008mass%未満、S:0.010mass%未満およびSe:0.010mass%未満であることが好ましい。
なお、上記鋼素材中に含まれるCは、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍において0.0050mass%以下に低減され、また、インヒビター形成成分であるAl,N,SおよびSeは、仕上焼鈍における純化処理で、sol.Al:0.005mass%未満、N:0.0020mass%以下、S:0.0010mass%未満およびSe:0.005mass%未満まで低減される。
本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなるが、磁気特性の改善等を目的として、上記成分に加えてさらに、Cr,Cu,Ni,Bi,B,Sn,Sb,Mo,P,Ti,Nb,V,ZrおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の成分をそれぞれ0.0005~0.50mass%の範囲で含有してもよい。
ただし、製品板にフォルステライト被膜を形成する場合には、アンカーを発達させるCrは極力少なくし、0.1mass%以下とするのが好ましい。また、Pは、比抵抗を高め、硬さ調整にも有用な成分であるが、製造性を低下するほか、飽和磁束密度を低下するため、上限は0.1mass%とするのがより好ましい。また、Ti,Nb,V,ZrおよびTaは、炭化物や窒化物を形成し、鉄損を劣化させるため、合計の含有量を0.01mass%以下に抑えることが望ましい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法において最も重要な工程である、二次再結晶粒の粒径制御処理について説明する。
本発明では、二次再結晶粒の粒成長を抑制して粒径を制御する方法として、レーザービーム照射、電子ビーム照射および突起付きロールのいずれか1以上の手段を用いて仕上焼鈍前の鋼板に歪みを導入し、仕上焼鈍において該歪導入部に細粒を生成させる方法を採用する。
まず、レーザービームや電子ビーム(以下、単に「ビーム」とも記す)を照射する方法を用いる場合は、仕上焼鈍前の鋼板に、上記ビームを、圧延方向を横切る方向に、かつ、圧延方向に所定の間隔をもって繰返し走査して照射し、鋼板表面に線状または点列状の歪導入部を形成する。この歪導入部からは、仕上焼鈍時に細粒が生成し、この細粒によって二次再結晶粒の圧延方向への粒成長を抑止し、二次再結晶粒の圧延方向粒径の粗大化を防止することが可能となる。
上記ビームの出力は、低すぎると、導入される歪量が不十分になり、仕上焼鈍時に細粒が形成されず、一方、高すぎると、仕上焼鈍時にフォルステライト被膜を形成するサブスケールが除去されてしまう。また、最適な出力は、鋼板の表面状態、鋼板温度などの条件によって異なる。そのため、適正な出力を事前に調査しておくことが好ましい。また、高い生産性を確保する観点から、上記ビームの鋼板表面上の走査速度は20m/s以上とするのが好ましい。
また、ビームを照射するときの圧延方向の処理間隔は、仕上焼鈍時のコイル内位置によって変化させても良く、具体的には、仕上焼鈍時のコイル内径部は、二次再結晶粒が粗大な場合、平坦化焼鈍後、1つの結晶粒内のβ角の変化量が大きくなるので、コイル内径側の処理間隔は、コイル外径側より小さくするのが好ましい。なお、コイル内径部とコイル外径部との区別は、仕上焼鈍時のコイル径が1000mm未満(コイル内位置Rが500mm未満)をコイル内径部、コイル径が1000mm以上(コイル内位置Rが500mm以上)をコイル外径部とするのが好ましいがこの限りではない。なお、コイル内径部のみに粒径制御処理を施してもよいことは勿論である。
ここで、上記電子ビームやレーザービームを鋼板表面に照射して歪導入部を形成する装置は、圧延方向の形成間隔を高い精度で制御するため、鋼板の巻き取り長さまたは巻き取ったコイルの外径変化を測定したり、上記情報を外部から入手したりし、その結果に応じて、自動的に圧延方向の走査繰返し間隔を変更する機構を備えたものであることが好ましい。上記、走査間隔の変更は、連続的に変化させてもよいし、幾つかの範囲を設けて、階段状に変化させてもよい。
一方、粒径制御処理に突起付きロールを用いる場合、ロール表面の周方向に所定の間隔をもって突起が形成されたロールを鋼板に押し付けて機械的に歪みを導入する方法であるため、電子ビームやレーザービーム照射のように、サブスケールが熱によって消失することはない。しかし、突起付きロールを用いる場合、ビームを照射する方法に比較して、圧延方向の処理間隔をコイル内位置によって柔軟に変化させることが難しい。そこで、1本の突起付きロールを用いる場合は、仕上焼鈍時のコイル内巻部にのみ、粒径制御処理を施すようにしてもよい。なお、突起間隔が異なる複数のロールを用いて、仕上焼鈍時のコイル内位置によって使い分けるようにしてもよい。また、突起付きロールに設けた突起の高さは、低すぎると十分な歪みが導入されず、一方、高すぎると、地鉄が過度に減厚され、磁束密度が低下してしまうため、ビーム出力と同様、適正な高さを事前に調査しておくことが好ましい。
次に、本発明において、上記の粒径制御処理によって生成した細粒が、二次再結晶粒の圧延方向の粒成長を防止する効果を発現するためには、仕上焼鈍において、1000℃以下の温度において二次再結晶を完了させることが必要である。ここで、上記二次再結晶の完了とは、歪導入部以外の領域において、二次再結晶粒の圧延方向および圧延直角方向のいずれか1以上の平均粒径が5mm以上となっている状態をいう。
仕上焼鈍において二次再結晶を1000℃以下の温度で安定的に完了させる方法としては、例えば、素材成分を制御する場合は、前述したインヒビターを用いない成分系の鋼素材を用いたり、用いる場合であっても、sol.Al:0.010~0.020mass%未満のものを用いる方法がある。
また、製造条件を制御する場合は、冷間圧延率を高めて一次再結晶組織を微細化したり、熱延板焼鈍を低温、短時間として冷間圧延前の粒径を小さしく、一次再結晶組織を微細化したりすることで、二次再結晶の駆動力を高める方法がある。
また、本発明においては、仕上焼鈍において、二次再結晶を完了させた後、1100℃以上の高温に加熱して、鋼板から不純物を除去する純化処理を施すとともに、二次再結晶粒の粒成長駆動力を高め、仕上焼鈍の初期段階で歪導入部から生成した磁気特性上好ましくない細粒を低減または消滅させることが好ましい。この高温での熱処理を施すことで、磁気特性をより向上する効果が得られる。なお、上記効果をより確実に得るためには1130℃以上に加熱することが好ましく、1160℃以上に加熱することがより好ましい。なお、上記温度の上限は、1250℃程度とするのが好ましい。
板厚が0.22mmで、Si:3.4mass%およびMn:0.12mass%を含有し、さらに、インヒビター形成成分としてsol.Al:0.012mass%、N:0.005mass%およびS:0.01mass%を含有し、Cを0.0010mass%以下に脱炭した一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、TiOを10mass%添加したMgOを主体とした焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状にして塗布し、乾燥した後、電子ビームを鋼板表面に照射し、内径が550mm、外径が1700mmのコイルに巻き取った。この際、電子ビーム照射は、加速電圧175kV、ビーム電流8mA、走査速度40m/sの条件で、圧延直角方向に0.1mm間隔の点列状に照射し、電子ビームの圧延方向における繰り返し間隔は、表2に示すようにコイル内位置によって複数レベルに変化させた。なお、比較として、電子ビーム照射を施さないコイルも製造した。
次いで、上記コイルに巻き取った鋼板は、300℃から800℃間に30hr滞留し、800℃から950℃まで50hr滞留する昇温速度で加熱して、二次再結晶を完了させた後、さらに、1150℃まで加熱した後、冷却する仕上焼鈍を施し、その後、リン酸塩系の張力付与型の絶縁被膜を塗布し、該被膜の焼付けと鋼板の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品板とした。
斯くして得られた製品板コイルの、仕上焼鈍時のコイル径が550mm(コイル内位置R=275mm)のコイル最内巻部、1000mm(コイル内位置R=500mm)のコイル中間部および1400mm(コイル内位置R=700mm)のコイル最外巻部のそれぞれの位置からエプスタイン試験片を採取し、磁束密度Bを測定し、その結果を表2に併記した。この結果から、本発明によれば、コイル全長に亘って高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板を製造できることがわかる。
Figure 0007318675000002
板厚が0.22mmで、Si:3.35mass%およびMn:0.08mass%を含有し、さらに、インヒビター形成成分として、Al:0.014mass%、N:0.005mass%およびSe:0.005mass%を含有し、Cを0.0010mass%以下に脱炭した一次再結晶焼鈍後の鋼板表面にTiOを10mass%添加したMgOを主体とした焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状として塗布し、乾燥した後、該鋼板表面に、電子ビームを圧延方向に直角方向に、かつ、圧延方向に5mm、30mmおよび50mmのいずれかの間隔を開けて繰返し照射することによって線状の歪領域を導入する粒径制御処理を施した後、内径が600mm、外径が1900mmのコイルに巻き取り、コイル状態で仕上焼鈍を施した後、平坦化焼鈍して製品板とした。
この際、電子ビームを照射するコイル内位置は、コイル全長とする場合と、コイル内径部(コイル内位置R:500mm未満)とする場合の2水準とした。また、比較として、電子ビーム照射を施さないコイルも製造した。
また、上記仕上焼鈍は、300℃から800℃間に30hr滞留し、800℃から950℃まで50hr滞留する昇温速度で加熱して、二次再結晶を完了させた後、さらに、1150℃まで加熱して純化処理した後、冷却する条件で行った。なお、一部のコイルに対しては、仕上焼鈍における800℃から950℃までの昇温時間をコイル外巻部で60hr、コイル内巻部で40hrとし、コイル内径部の二次再結晶粒の細粒化を図った。
次いで、上記仕上焼鈍時のコイル径が600mm(コイル内位置R=300mm)のコイル最内巻部、1000mm(コイル内位置R=500mm)のコイル中間部および1900mm(コイル内位置R=950mm)のコイル最外巻部のそれぞれの位置から試験片を採取し、二次再結晶粒(Goss粒)の圧延方向の粒径、1つの二次再結晶粒内のβ角の変化量および圧延方向の磁束密度Bを測定し、その結果を表3に示した。なお、上記仕上焼鈍においては、いずれのコイルも950℃以下の温度で二次再結晶が完了しており、仕上焼鈍後の鋼板の電子ビーム照射部には、圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒は認められなかった。また、仕上焼鈍後の鋼板は、いずれも、Goss方位から15°以内の方位差角の二次再結晶粒が、面積比率で鋼板表面の90%以上であり、圧延方向に直角方向の平均結晶粒径も30mm以上であった。
Figure 0007318675000003
上記表3から、二次再結晶粒の粒径制御処理を施さなかったNo.1の鋼板(比較例)は、コイル内のいずれの位置でも二次再結晶粒は100mm以上に粗大化し、仕上焼鈍時のコイル外巻部(R=700mm)では極めて高い磁束密度を示すが、コイル内巻部(R=300mm)では低い値を示している。これは、仕上焼鈍後の平坦化焼鈍により、コイル内巻部の1つの結晶粒内におけるβ角の変化量が大きくなったためと考えられる。
また、仕上焼鈍の800℃から950℃までの昇温時間をコイル外巻部とコイル内巻部で変えることで、仕上焼鈍時のコイル内巻部の二次再結晶粒の粒径を小さくしたNo.2の鋼板(比較例)では、コイル内巻部で磁束密度の改善傾向が認められるが、コイル内径部の改善代は十分ではない。
また、二次再結晶粒の粒径制御処理を圧延方向に5mm間隔でコイル全長に亘って施したNo.3の鋼板(比較例)は、圧延方向の結晶粒径は極めて小さく、結晶粒内のβ角の変化量も小さく抑えることができたが、コイル全長に亘って磁束密度が低下している。これは、粒径制御処理により、二次再結晶を起こす結晶粒が増加する一方で、Goss方位から大きくずれた結晶粒の割合が高くなったことが原因と考えられる。
これに対して、二次再結晶粒の粒径制御処理を圧延方向に50mm間隔でコイル全長に亘って施したNo.4の鋼板(発明例)は、コイル全長に亘って磁束密度は改善されているが、圧延方向の処理間隔が広いため、粒径制御処理無しの鋼板と比較し、コイル内径部部の改善効果が小さい。
また、仕上焼鈍時のコイル内巻部(R<500mm)のみに、粒径制御処理を圧延方向の間隔を30mmとして施したNo.5の鋼板(発明例)は、コイル全長に亘って極めて高い磁束密度を得ることができている。
板厚が0.22mmで、Si:3.25mass%およびMn:0.10mass%を含有し、さらに、インヒビター形成成分として、Al:0.014mass%、N:0.005mass%およびSe:0.005mass%を含有し、Cを0.0010mass%以下に脱炭した一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、TiOを10mass%添加したMgOを主体とした焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状として塗布し、乾燥した後、該鋼板表面に、線状の歪領域を導入する粒径制御処理を施した後、内径が600mm、外径が1400mmのコイルに巻き取り、コイル状態で仕上焼鈍を施した後、平坦化焼鈍して製品板とした。
なお、上記粒径制御処理は、レーザービームまたは電子ビームを用いる場合は、圧延方向の処理間隔を、コイル内径部(コイル内位置R:500mm未満)で30mm、コイル外径部(コイル内位置R:500mm以上)で50mmとして施した。また、突起付きロールを用いる場合は、コイル内径部(コイル内位置R:500mm未満)のみに、圧延方向の処理間隔を30mmとした粒径制御処理を施した。また、比較として、粒径制御処理を施さないコイルも製造した。
次いで、上記コイルに巻き取った鋼板は、300℃から800℃間に30hr滞留し、800℃から950℃まで50hr滞留する昇温速度で加熱して二次再結晶を完了させた後、さらに、1100℃以上の温度まで加熱して純化処理を施した後、また、一部の条件では1095℃の温度に加熱して純化処理をした後、冷却する仕上焼鈍を施し、リン酸塩系の張力付与型の絶縁被膜を塗布し、該被膜の焼付けと鋼板の平坦化を目的とする平坦化焼鈍を施して製品板とした。
次いで、上記仕上焼鈍時のコイル径が600mm(コイル内位置R=300mm)のコイル最内巻部、1000mm(R=500mm)のコイル中間部および1400mm(R=700mm)のコイル最外巻部のそれぞれの位置から試験片を採取し、各コイル内位置の磁束密度Bを測定し、その平均値を算出するとともに、コイル内巻部(コイル内位置R=350mm)における、仕上焼鈍後の鋼板の粒径制御処理痕に残存している微細粒の存在比率と、二次再結晶した{110}<001>からの方位差角が15°以内の二次再結晶粒(Goss粒)の鋼板表面の面積比率を測定し、その結果を表4に示した。
下記表4に示すように、レーザービームで粒径制御処理したNo.2の鋼板は、No.1の処理しない鋼板に比較して、磁束密度が大きく改善されている。これは、二次再結晶粒の粗大化が抑止されたためである。また、仕上焼鈍での最高加熱温度(純化処理温度)が1095℃と低いNo.3の鋼板は、粒径制御処理痕上に残存している圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒の存在比率が30%を超えていたため、1100℃以上に加熱したNo.2の鋼板と比較し、磁束密度が低くなった。その他の電子ビーム照射や突起付きロールで粒径制御処理し、1100℃以上に加熱したNo.4~6の鋼板は、いずれもNo.1の鋼板よりも磁束密度が向上している。
Figure 0007318675000004
板厚が0.22mmで、Si:3.40mass%、Mn:0.12mass%、Sb:0.10mass%を含有し、さらにインヒビター形成成分としてsol.Alを0.016mass%、Nを0.005mass%、Seを0.015mass%を含有し、Cを0.0010mass%以下に脱炭した一次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、TiOを10mass%添加したMgOを主体とした焼鈍分離剤を水と混ぜてスラリ状として塗布した後、該鋼板表面に、コイル全長にわたってレーザービームを圧延方向に直角方向に、かつ、圧延方向に4mm、5mmおよび10mmのいずれかの間隔を開けて繰返し照射して線状の歪領域を導入する粒径制御処理を施した後、コイルに巻き取った。次いで、上記鋼板に、コイル状態で仕上焼鈍を施した後、平坦化焼鈍して製品板とした。この際、上記仕上焼鈍における二次再結晶完了後の純化処理温度を1100℃、1130℃、1160℃、1190℃および1220℃の5水準に変化させた。また、比較例として、レーザービーム照射を施さない製品板も製造した。
次いで、上記仕上焼鈍時のコイルの径が600mm(コイル内位置R=300mm)のコイル最内巻部、1000mm(コイル内位置R=500mm)のコイル中間部および1400mm(コイル内位置R=700mm)のコイル最外巻部のそれぞれの位置から試験片を採取し、各コイル内位置の磁束密度Bを測定し、その平均値を算出するとともに、コイル内巻部(コイル内位置R=300mm)における、仕上焼鈍後の鋼板の粒径制御処理部に残存している微細粒の存在比率と、二次再結晶した{110}<001>からの方位差角が15°以内の結晶粒(ここではGoss粒とする)の鋼板表面の面積比率を測定し、その結果を表5に示した。
Figure 0007318675000005
上記表5から、圧延方向の粒径制御処理間隔が小さい場合、特に5mm以下の場合には、仕上焼鈍でのコイル内径部の粒径制御部における微細粒の存在比率が高くなると、コイル内平均の磁束密度Bが低下する傾向が認められた。また、微細粒の存在比率は、仕上焼鈍温度が高くなるほど低減することも認められた。これらの結果から、圧延方向の粒径制御処理間隔が小さい場合には、微細粒の存在頻度を低減して磁束密度を高めるために、仕上焼鈍の純化処理温度を高くする、好ましくは1130℃以上、より好ましくは1160℃以上とするのが望ましいいことがわかる。

Claims (11)

  1. 鋼板表面にセラミックス被膜を有する方向性電磁鋼板において、
    {110}<001>からの方位差角が15°以内の二次再結晶粒が面積比率で鋼板表面の90%以上であり、
    上記二次再結晶粒の圧延方向の粒界を規定し、鋼板の圧延方向を横切る方向に直線状あるいは曲線状に延びる粒径制御処理痕が、圧延方向に所定の間隔をもって形成してなり、
    上記二次再結晶粒の圧延方向の平均結晶粒径が25~95mm、圧延方向に直角な方向の平均結晶粒径が30mm以上で、かつ、
    上記二次再結晶粒の各結晶粒内のβ角の圧延方向の変化量がコイルの全長に亘って15°以下であり、
    上記粒径制御処理痕上に、上記{110}<001>からの方位差角が15°以内の二次再結晶粒と粒界を共有する圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒群が連続的または非連続的に形成されてなることを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 上記粒径制御処理痕の圧延方向の形成間隔が、仕上焼鈍時のコイル内巻側ほど小さいことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
  3. 上記粒径制御処理痕上に存在する微細粒群の存在比率が30%以下(0%を含む)であることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板。ここで、上記微細粒の存在比率とは、粒径制御処理痕の全長に対する圧延方向の粒径が1mm以下の微細粒が存在する部分の合計長さの比(%)のことをいう。
  4. 上記粒径制御処理痕の上に、フォルステライト被膜が形成されてなることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板。
  5. 方向性電磁鋼板用の冷間圧延した素材鋼板を、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍して冷延板とし、該冷延板の表面に焼鈍分離剤を塗布し、コイルに巻き取った後、該コイル状態の鋼板に二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記仕上焼鈍前の鋼板のコイル全長に亘って歪導入部を形成する粒径制御処理を施した後、
    上記仕上焼鈍において二次再結晶を1000℃以下の温度で完了させることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。ここで、上記二次再結晶の完了とは、歪導入部以外の領域において、二次再結晶粒の圧延方向および圧延直角方向のいずれか1以上の平均粒径が5mm以上となった状態をいう。
  6. 上記歪導入部を、電子ビームあるいはレーザービームを、圧延方向を横切る方向に、かつ、圧延方向に所定の間隔をあけて繰り返し照射して形成することを特徴とする請求項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 上記歪導入部を、ロール表面の周方向に所定の間隔をもって突起を有する突起付きロールを鋼板に押し付け、鋼板に歪みを導入することにより形成することを特徴とする請求項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 上記歪導入部の圧延方向の形成間隔を、仕上焼鈍時のコイル内巻側が小さくなるよう、コイルの長手方向で変化させることを特徴とする請求項6または7に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 上記歪導入部を、仕上焼鈍時のコイル内巻部のみに形成することを特徴とする請求項5~8のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。ここで、上記コイル内巻部とは、コイルに巻いた鋼板の曲率半径が500mm未満の部分をいう。
  10. 上記仕上焼鈍において、二次再結晶を完了させた後、1100℃以上の温度まで加熱することを特徴とする請求項5~9のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  11. 請求項5~10のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる、仕上焼鈍前の鋼板に歪導入部を形成する歪導入装置であって、仕上焼鈍時のコイル位置情報に基づき、上記歪導入部の圧延方向の処理間隔を変更する機能を有することを特徴とする歪導入装置。
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