JP7264112B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として変圧器等の電力機器の鉄心材料に用いられる低鉄損かつ高磁束密度の方向性電磁鋼板とその製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主に変圧器等の鉄心材料として用いられており、変圧器のエネルギー使用効率向上のため、低鉄損であることが強く要求されている。方向性電磁鋼板を低鉄損化する方法には、鋼板の比抵抗を増大する、鋼板表面の被膜張力を増大する、鋼板の板厚を薄くするなどの方法の他に、結晶粒のGoss方位への集積度を高めて先鋭化したり、鋼板表面に加工を施して磁区細分化したりする方法等がある。
上記方法のうち、鋼板の比抵抗を増大する方法は、比抵抗を高める元素であるSiやAlの含有量を増加することが有効であるが、SiやAl含有量の過度の増大は、鋼板の製造性や加工性を著しく損なうことから、方向性電磁鋼板のSiやAlの含有量は一般に3mass%程度に抑えられている。また、鋼板表面の被膜張力を増大する方法は、CVD法やPVD法を用いた被膜形成により高い被膜張力が得られるが、大型設備の導入が必要であることから製造コストの増大を招くという問題がある。また、鋼板板厚を薄くする方法は、渦電流損の低下に効果があるものの、生産性の低下や、鋼板の剛性低下によるハンドリング性の低下、占積率(被膜と地鉄からなる鋼板の厚みに対する地鉄厚の割合)の低下を招くだけでなく、過度に薄くした場合には、逆にヒステリシス損の増大を招くという問題がある。
また、鋼板表面に加工を施して磁区細分化する方法は、鋼板表面の圧延方向を横切る方向にレーザーや電子ビームを照射する技術が確立されており、特に後者の方法は、近年のビーム照射出力の増大と制御技術の進歩が相まって、低鉄損化効果は年々高くなっている。
図1は、電子ビーム照射による磁区細分化処理前の方向性電磁鋼板の磁束密度Bと鉄損W17/50との関係を示したものである。この図から、磁区細分化処理後の鉄損は、素材鋼板の磁束密度と高い相関があり、素材の磁束密度が高いほど低鉄損化する傾向がある。
また、結晶粒のGoss方位への集積度を高めて先鋭化する、すなわち、素材鋼板の磁束密度Bを高める技術としては、冷間圧延における温間圧延や時効処理の採用、一次再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)時の急速加熱等によって、一次再結晶組織における二次再結晶粒の核となるGoss方位の存在頻度を高める方法や、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍中にGoss方位を選択的に成長させる方法等、多くの方法が提案されている。
上記仕上焼鈍前の一次再結晶組織中に存在するGoss方位粒は、完全にGoss方位に向いた結晶粒のみからなるわけではなく、Goss方位からずれた方位の結晶粒がある程度の広がりをもって存在する。これらのGoss方位からずれた結晶粒も二次再結晶を起こすため、磁束密度の低下の原因となる。したがって、磁束密度をより高めるためには、Goss方位のみを選択的に成長させることが重要となる。そこで、仕上焼鈍中にGoss方位のみを選択的に成長させる技術として、例えば、仕上焼鈍前の結晶集合組織(一次再結晶組織)を適正化する方法や、鋼素材の化学成分を適正化してインヒビション効果を高める方法などが知られている。
仕上焼鈍中に二次再結晶した完全なGoss方位を有する結晶粒は、Goss方位からずれた結晶粒に比較し、仕上焼鈍時の粒成長性が高いと考えられている。このような性質は、仕上焼鈍中に一次再結晶組織の成長を抑制するインヒビターと呼ばれる析出物に大きく影響され、インヒビターの抑制力が高いほどGoss方位への先鋭性が高まる。そこで、例えば、特許文献1には、インヒビション効果を高めることによって、磁束密度Bが1.97Tを超える方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、Goss方位からのずれが大きい結晶粒の成長を、非定常組織を導入することによって抑制し、磁束密度が高く低鉄損の方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。この技術は、Goss方位からのずれが大きい方位ほど、塑性加工部において粒成長が抑制される傾向があることを利用し、Goss方位からのずれが大きい方位の量を最小限に止める方法であり、それにより磁束密度の増大が可能になる。
特開2001-303031号公報 特公昭54-023647号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術は、Goss方位への集積度を高めることができる反面、Goss方位を有する二次再結晶粒が極めて粗大な結晶粒となり、大きいものでは、数百mmの大きさに達するものもある。
仕上焼鈍は、通常、鋼板をコイルに巻いた状態で行われ、一次再結晶組織内に存在するGoss方位粒の核(図2(a)参照)は、仕上焼鈍中に二次再結晶を起こして粒成長するが、その結晶方位は、鋼板形状に影響されない。すなわち、二次再結晶粒は、図2(b)に示したように、コイルに巻かれた鋼板内において粒成長する。
仕上焼鈍後のコイルは、強い巻き癖(コイルセット)が付いているため、仕上焼鈍後の平坦化焼鈍等において形状矯正を行うのが一般的である。これにより、鋼板形状がコイルの巻かれた湾曲状態から平坦状態に変化するが、鋼板内の二次再結晶粒の結晶方位も、図2(c)に示したように圧延方向で変化する。そのため、仕上焼鈍時にコイルに巻かれたときの鋼板の湾曲が大きい場合は、平坦化焼鈍を施した後の結晶方位が圧延方向で大きく変化し、磁束密度が低下することが知られている。
例えば、コイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rが300mmで、二次再結晶粒の圧延方向の大きさが200mmであると仮定したとき、<001>軸の同一結晶粒内での圧延方向における変化量は理論上35°以上になると見積もられ、磁束密度の低下要因として無視できない値となる。ただし、実際には、平坦化焼鈍によって二次再結晶粒内でサブグレイン化が生じ、ある程度の領域毎に結晶方位が不連続に変化するようになるため、厳密には上述の議論は当てはまらない。
ここで、本発明では、仕上焼鈍時のコイル内の位置をコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rで表すこととしたとき、図3は、仕上焼鈍時のコイル内位置Rが、平坦化焼鈍後の磁束密度Bに及ぼす影響を示したものであり、具体的には、同一コイル内の曲率半径Rの異なる3つの位置(R=300mm、525mmおよび675mm)から、圧延方向を長さ方向とする100mm幅×300mm長さの単板をそれぞれ10枚ずつ採取し、圧延方向の磁束密度BをSST試験(単板磁気試験)で測定し、10枚の平均値と標準偏差σを求めた結果を示したものである。この図から、曲率半径Rが小さい領域で磁束密度が低下していることがわかる。これは、平坦化焼鈍時に起きる二次再結晶粒内の結晶方位の変化量が、コイル巻取り時の湾曲が大きい(曲率半径が小さい)ほど、すなわち、仕上焼鈍時のコイル内径側であるほど大きくなるためである。因みに、調査を行ったコイルの曲率半径Rが675mmの位置における二次再結晶粒の圧延方向の平均径は110mmであった。
このような問題を解消するため、仕上焼鈍時の鋼板の湾曲を小さくしたり、二次再結晶粒を小さくしたりすることが有効である。鋼板の湾曲を小さくする方法としては、仕上焼鈍時のコイル内径を大きくすることが考えられるが、同じコイル単重では、コイル外径が大きくなるため、仕上焼鈍炉に組み込めなくなるなどの問題が生じる。また、この問題を回避するため、コイル単重を小さくすると、生産性が低下するという別の問題が生じる。
このような問題に対し、先述した特許文献2には、二次再結晶前の鋼板組織に機械的な塑性加工部を局部的に導入し、二次再結晶焼鈍中に歪導入部に微細粒を生成させることにより二次再結晶粒を制御する技術が提案されている。この技術は、Goss方位からのずれが大きい結晶粒ほど、上記塑性加工部から発生した微細粒による粒成長抑制効果が大きい傾向があることを利用し、Goss方位からのずれが大きい結晶粒の成長を最小限に止め、Goss方位により近い結晶粒を優先的に成長させることにより、磁束密度を高めている。
しかしながら、技術革新に伴い、近年では、二次再結晶粒の方位がGoss方位にますます集積してきている。そのため、Goss方位に極めて近い二次再結晶粒が得られる方向性電磁鋼板を対象とする場合には、上記微細粒による二次再結晶粒の粒径制御技術が適用できなくなってきている。
本発明は、従来技術が抱える上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次再結晶粒の方位がGoss方位に極めて高度に集積している場合でも、仕上焼鈍時のコイル内位置に拘わらず優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提供するとともに、その有意な製造方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記の課題、すなわち、二次再結晶粒の方位がGoss方位に極めて近い場合には、粒成長性が早いために二次再結晶粒が過度に粗大化し、磁気特性、特に、平坦化焼鈍後、仕上焼鈍時のコイル内巻部の磁気特性の劣化を招くという問題を解決する方法について、特許文献2に開示された二次再結晶前の鋼板組織に局部的に塑性加工部を導入し、その部分から発生した微細粒により二次再結晶粒の成長を抑制する技術に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
(1) 冷間圧延後から仕上焼鈍前のいずれかの工程において、鋼板表面に高いエネルギーを加えて得られた鋼板組織は、仕上焼鈍において、従来では得られなかったような高い二次再結晶粒(Goss粒)の成長抑止効果を有することがある。
(2) 上記Goss粒の成長抑止効果を有する鋼板組織は、結晶方位が{100}<011>近傍の組織であり、{100}<011>を主方位とする鋼板の表面に、鋼が溶融するほどの高いエネルギーを加えることで得られる。
(3) したがって、上記{100}<011>近傍の組織を、仕上焼鈍前の鋼板に、圧延方向と直交する方向に、かつ、圧延方向に所定の間隔をもって、所定の比率(面積比率)で存在させることで、仕上焼鈍時に、二次再結晶したGoss粒の圧延方向への成長を抑止することができ、ひいては、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を得ることができる。
上記知見に基づき開発した本発明は、マトリックスがGoss方位({110}<001>)近傍の結晶粒群からなる方向性電磁鋼板において、結晶方位が{100}<011>近傍の結晶粒群が、圧延方向を横切る方向に線状にまたは2.0mm未満の間隔をもって点列状に、かつ、圧延方向に3~50mmの等間隔あるいは非等間隔で形成されてなることを特徴とする方向性電磁鋼板である。ここで、上記{110}<001>近傍とは、{110}<001>からの方位差角が15°以内にあることを、また、上記{100}<011>近傍とは、{100}<011>からの方位差角が15°以内であることをいう。
本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記{100}<011>近傍の結晶粒群の仕上焼鈍時のコイル内巻部の鋼板表面における面積比率Aが0.1~5.0%で、仕上焼鈍時のコイル外巻部の鋼板表面における面積比率Bが上記A未満かつ2.0%以下であることを特徴とする。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分、また、仕上焼鈍時のコイル外巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm以上である部分のことをいう。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板は、上記{100}<011>近傍の結晶粒群が、仕上焼鈍時のコイルの内巻部の全体あるいは一部に形成されてなり、かつ、上記{100}<011>近傍の結晶粒群の形成領域において、その鋼板表面における面積比率Cが0.1~5.0%であることを特徴とする。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分のことをいう。
また、本発明は、方向性電磁鋼板用の冷延鋼板の表面に電子ビームを圧延方向に3~50mmの等間隔または非等間隔で、かつ、圧延方向を横切る方向に線状にまたは2.0mm未満の間隔をもって点列状に照射して結晶方位が{100}<011>近傍の結晶粒群を形成した後、一次再結晶焼鈍しまたは脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、その後、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記{100}<011>近傍の結晶粒群を、仕上焼鈍時のコイル内巻部に、鋼板表面の面積比率Aで0.1~5.0%となるよう、および、仕上焼鈍時のコイル外巻部に、鋼板表面の面積比率Bで上記A未満かつ2.0%以下となるよう形成することを特徴とする。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分、また、仕上焼鈍時のコイル外巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm以上である部分のことをいう。
また、本発明の上記方向性電磁鋼板の製造方法は、上記{100}<011>近傍の結晶粒群を、仕上焼鈍時のコイル内巻部の全体あるいは一部にのみ、鋼板表面の面積比率Cで0.1~5.0%となるよう形成することを特徴とする。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分のことをいう。
本発明によれば、粒成長が早いGoss方位に極めて近い二次再結晶粒の粒成長を抑止する効果のある{100}<011>近傍の結晶粒群を、仕上焼鈍前の鋼板コイルの圧延方向に所定の間隔をもって形成し、二次再結晶粒の圧延方向への過度の粒成長を抑止するので、粗大結晶粒に起因した磁束密度の低下を防止し、製品コイルの全長に亘って極めて高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板を得ることが可能となる。したがって、本発明によれば、コイル全長に亘って磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を提供することができるので、変圧器等のエネルギー効率の向上に大きく寄与する。
素材の磁束密度Bと、磁区細分化処理後の鉄損W17/50との関係を示すグラフである。 仕上焼鈍におけるコイルの巻き癖が磁束密度に影響を及ぼすメカニズムを説明する模式図である。 仕上焼鈍時のコイル内位置Rが磁束密度Bに及ぼす影響を示すグラフである。 ビーム電流が10mAのときの電子ビーム照射部の断面組織写真である。 ビーム電流が30mAのときの電子ビーム照射部の断面組織写真である。 {100}<011>近傍の結晶粒群の形成間隔が、Goss粒の成長抑止効果に及ぼす影響を説明する図である。 {100}<011>近傍の結晶粒群の体積分率が磁束密度との関係を示すグラフである。 RD間隔が、磁束密度に及ぼす影響を示すグラフである。 電子部ビームの出力が、照射部に及ぼす影響を説明する図である。 電子ビーム照射条件が、処理速度に及ぼす影響を説明する図である。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
<実験1>
発明者らは、先述した特許文献2の技術を参考にして、仕上焼鈍前の鋼板組織(一次再結晶組織)に、局所的に不均一な組織を形成することによって、二次再結晶したGoss粒の成長を抑止することを試みた。具体的には、C:0.02mass%、Si:3.35mass%、Al:0.04mass%およびN:0.008mass%を含有する鋼スラブを熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とし、950℃で熱延板焼鈍し、酸洗し、1回目の冷間圧延で中間板厚1.6mmとし、1050℃で中間焼鈍を施し後、2回目の冷間圧延して最終板厚0.22mmの冷延板とした。次いで、上記冷延板の鋼板表面に電子ビームを照射した。この際、上記電子ビームの照射は、加速電圧:150kV、ビーム電流:10mA、走査速度:10m/sで、圧延方向に10mmの間隔を開け、かつ、圧延方向と直角の向きに0.3mmの間隔をあけて点列状に照射する条件で行った。その後、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、内径が600mm、外径が1600mmのコイルに巻き取った後、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍し、未反応の焼鈍分離剤を除去した後、張力付与型の絶縁被膜を塗布し、該被膜の焼き付けと形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施し、製品板とした。
図4は、上記実験において、冷延板に電子ビームを照射した部分の断面組織写真を示したものである。電子ビーム照射部には、鋼板表面から板厚方向に約30μmの深さまでお椀状に伸長した、再結晶したと思われるフェライト組織が観察された。なお、この組織は、再結晶した後、さらに、溶融、凝固して形成した可能性も考えられるが、以下では、上記ビーム照射部の鋼板組織を便宜的に「再結晶部」あるいは「再結晶組織」と呼ぶことにする。この再結晶組織をSEM-EBSD法で解析したところ、Goss方位、{211}<011>方位および{111}<012>方位などからなるランダム方位であった。なお、この再結晶組織は、その後の一次再結晶焼鈍によってもほとんど変化しなかった。
また、上記実験において、この再結晶組織が、一次再結晶後の仕上焼鈍中に、二次再結晶によって優先的に成長するGoss方位粒に蚕食されるか否かについて調査を行ったところ、二次再結晶したGoss粒に蚕食された。すなわち、この再結晶組織にはGoss粒の成長抑止効果は認められなかった。なお、上記Goss粒は、{110}<001>からの方位差角が2°であった。ここで、上記方位差角とは、着目している結晶方位Aと基準となる結晶方位Bとの間の結晶方位関係において、対称性を考慮した複数の共通回転軸まわりでの二つの結晶方位を一致させるための回転角のうちの最小の回転角と定義されるものである。(以降、同様)。因みに、上記Goss粒のβ角は1°であった。ここで、上記β角とは、二次結晶粒が有する3つの<001>軸のうち、圧延方向に最も近い<001>軸が圧延面(板面)となす角(≧0°)の各結晶粒の平均値のことをいう(以降、同様)。
また、平坦化焼鈍後の製品板(コイル)の、仕上焼鈍時にコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rが320mmのコイル内位置から、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm×長さ:300mmの単板を10枚採取し、圧延方向の磁束密度BをSST試験(単板磁気試験)で測定した。
さらに、平坦化焼鈍後の製品板(コイル)の、上記単板と同じコイル内位置から採取した、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm、長さ:500mmの斜角切断した鋼板を、積み厚:15mmになるよう積層し、さらにベークライト製の押さえ板で約0.1Mpaの加重で挟み込み、固定して、外形寸法が500mm角で鉄心重量が約20kgの三相三脚の積み鉄心型変圧器を模擬したモデル変圧器を組み上げた後、最大磁束密度1.7T、周波数50Hzでの変圧器の鉄損W17/50を測定した。なお、上記モデル変圧器の積み方式は2枚重ねの5段ステップラップ、ヨークと中央部のT接合部はVノッチ方式とした。
上記<実験1>の測定結果は、電子ビーム照射部の鋼板組織の観察結果とも併せて、表1に示した。
Figure 0007264112000001
<実験2>
次いで、発明者らは、再結晶組織によるGoss方位粒の粒成長抑止効果を高めるべく、上記電子ビームの電流値を30mAまで高め、その他の条件は<実験1>と同じとして同様の実験を行った。図5には、冷延板に電子ビームを照射した部分の断面組織写真を示した。この写真から、電子ビーム照射部には、板厚方向に伸長した再結晶組織が、鋼板表面から板厚を貫通して観察された。なお、図5中の再結晶組織をSEM-EBSD法で解析したところ、{100}<011>を主方位とする組織であった。
また、この組織が、仕上焼鈍中に優先成長するGoss方位近傍の二次再結晶粒に蚕食されるか否かについて調査したところ、この組織は二次再結晶したGoss粒に蚕食されなかった。すなわち、{100}<011>を主方位とする再結晶組織には、Goss粒の成長抑止効果が認められた。なお、この主方位が{100}<011>である再結晶組織は、その後の一次再結晶焼鈍によってもほとんど変化しなかった。また、上記Goss粒は、{110}<001>からの方位差角が2°、β角が1°であった。
さらに、<実験1>と同様、仕上焼鈍後かつ平坦化焼鈍後の製品板コイルの、仕上焼鈍時にコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rが320mmであるコイル内位置から、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm×長さ:300mmの単板を10枚採取し、圧延方向の磁束密度BをSST試験(単板磁気試験)で測定するとともに、同位置から、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm、長さ:500mmの斜角切断した鋼板を採取して、モデル変圧器を組み立て、変圧器の鉄損W17/50を測定し、それらの結果を電子ビーム照射部の鋼板組織の観察結果とも併せて、表2中に示した。
この<実験2>の結果では、<実験1>と比較し、磁束密度Bは同等であったが、変圧器としての鉄損W15/50は若干向上した。これは、粗大なGoss方位近傍の二次再結晶粒の形成が抑止されてコイルセットの影響が小さくなったことによる磁束密度の向上と、主方位が{100}<011>である再結晶組織が形成されたことによる磁束密度の低下とが相殺したため、磁束密度に大きな変化はなかったが、電子ビーム照射部から生成した{100}<011>組織は、圧延方向から45°面内に傾いた方向の磁気特性に優れることから、変圧器鉄心として組込んだとき、45°方向に磁化する鋼板接合部近傍における低鉄損化に寄与したためと考えられる。
Figure 0007264112000002
<実験3>
発明者らは、さらに、一次再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)後の鋼板に対しても、<実験2>と同じ条件で電子ビーム照射を行い、同様の調査を行った。その結果、電子ビーム照射部には、図5と同様、板厚方向に伸長した再結晶組織が鋼板表面から板厚を貫通して観察され、この再結晶組織をSEM-EBSD法で解析したところ、{100}<012>、{111}<112>などの方位であった。また、この組織も、仕上焼鈍中において優先成長するGoss方位を有する二次再結晶粒によって蚕食されなかった。また、上記Goss粒は、{110}<001>からの方位差角が2°、β角が1°であった。
さらに、<実験1>と同様、仕上焼鈍後かつ平坦化焼鈍後の製品板コイルの、仕上焼鈍時にコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rが320mmであるコイル内位置から、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm×長さ:300mmの単板を10枚採取し、圧延方向の磁束密度BをSST試験(単板磁気試験)で測定するとともに、同位置から、圧延方向を長さ方向とする幅:100mm、長さ:500mmの斜角切断した鋼板を採取して、モデル変圧器を組み立て、変圧器の鉄損W17/50を測定し、それらの結果を電子ビーム照射部の鋼板組織の観察結果とも併せて、表3中に示した。
この表から、<実験3>の結果は、磁束密度Bが<実験2>と比較して劣り、モデル変圧器の鉄損W17/50も<実験2>の鋼板と比較して劣っていることがわかる。この原因は、鋼板面内に磁化困難軸を含む{100}<012>などの結晶方位が形成されたためと考えている。
Figure 0007264112000003
上記<実験1>~<実験3>の結果から、仕上焼鈍時における二次再結晶粒(Goss)の粒成長を抑止して粗大な二次再結晶粒の形成を防止し、良好な磁気特性を得るためには、冷間圧延後の鋼板表面に高エネルギー密度の電子ビーム等を照射し、該照射部に主方位が{100}<011>方位である再結晶組織を形成させること重要であることがわかった。
さらに、発明者らの実験によれば、電子ビーム照射部に、主方位が{100}<011>方位である再結晶組織を形成させるためには、電子ビームを照射する鋼板自体(被照射材)が、主方位に{100}<011>を含んでいることが必要であることがわかった。下記の表4は、様々な主方位を有する鋼板に電子ビームを照射して溶融凝固させ、該溶融凝固部に{100}<011>を主方位とする再結晶組織が形成されるか否かを調査した結果を示したものであり、電子ビーム被照射材が主方位に{100}<011>を含まない場合には、電子ビーム照射部の溶融凝固部には{100}<011>方位が形成されない。通常、冷間圧延後の鋼板は、主方位に{100}<011>を含んでいる。したがって、本発明は、冷間圧延後の鋼板(冷延板)に電子ビームを照射するのが好ましいことがわかった。
本発明は、上記の新規な知見に、さらに改良を加えて完成したものである。
Figure 0007264112000004
次に、本発明の方向性電磁鋼板(製品板)について説明する。
まず、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼成分として、C:0.0050mass%以下、Si:1~7mass%、Mn:0.1mass%以下、sol.Al(酸可溶Al):0.005mass%未満、N:0,0020mass%未満、S:0.0010mass%未満およびSe:0.005mass%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることが好ましい。Cは、製品板に残存していると、磁気時効を起こし、鉄損が劣化する。より好ましくは0.0030mass%未満である。Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するため、1mass%以上含有させることが好ましい。しかし、過度の含有は、磁束密度が低下したり、鋼が硬質化し、製造するのが難しくなったりするので、上限は7mass%とするのが好ましい。Mnは、SとMnSなどの析出物を形成して鉄損を劣化するため、上限値を0.1mass%とするのが好ましい。また、二次再結晶を発現させるAlNやMnS、MnSe等のインヒビターを形成する成分であるAl,S,SeおよびNは、仕上焼鈍の純化処理において鋼板中から除去され、上記値まで低減される。なお、Nは、歪取焼鈍時に、窒化ケイ素などを形成して析出し、鉄損を損なうため、極力含有していないことが望ましい。
なお、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物であるが、磁気特性の向上等を目的として、上記成分に加えてさらに、Cr,Cu,Ni,Bi,B,Sn,Sb,Mo,P,Ti,Nb,V,ZrおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の成分をそれぞれ0.0005~0.50mass%の範囲で含有してもよい。
ただし、製品板にフォルステライト被膜を形成する場合には、アンカーを発達させるCrは極力少なくし、0.1mass%以下とするのが好ましい。また、Pは、比抵抗を高め、硬さ調整にも有用な成分であるが、製造性を低下したり、飽和磁束密度を低下させたりするため、上限は0.1mass%とするのが好ましい。また、Ti,Nb,V,ZrおよびTaは、炭化物や窒化物を形成し、鉄損を劣化させるため、合計の含有量は0.01mass%以下であることが望ましい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板(製品板)の鋼板組織について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、主方位がGoss方位({110}<001>)近傍のマトリックスの結晶粒群中に、主方位が{100}<011>近傍の結晶粒群が圧延方向に所定の間隔をあけて形成されている、すなわち、主方位がGoss方位({110}<001>)近傍の結晶粒群からなる領域と、主方位が{100}<011>近傍の結晶粒群からなる領域とが、圧延方向に所定の間隔をもって交互に形成されていることを特徴とする。ここで、方位差角を、2つの結晶粒のうちの一方の結晶粒を他方の結晶粒にその結晶方位の回転により一致させるのに必要な最小角度差と定義したとき、上記{110}<001>近傍とは、{110}<001>からの方位差角が15°以内にあることを、また、上記{100}<011>近傍とは、{100}<011>からの方位差角が15°以内であることをいう。
上記主方位が{100}<011>近傍の結晶粒群は、1つの結晶粒で構成されていても、複数の結晶粒で構成されていてもよい。この主方位が{100}<011>近傍の結晶粒群は、冷間圧延後の鋼板表面に電子ビーム等の高エネルギービームを照射することにより生成した圧延方向幅が100~1000μmの組織であり、Goss方位粒によって蚕食され難いため、仕上焼鈍よりも前の段階で圧延方向に所定の間隔を開けて形成されていることで、仕上焼鈍において二次再結晶粒、特に、Goss方位に極めて近い方位を有する二次再結晶粒の圧延方向への粒成長を抑止し、二次再結晶粒が粗大化するのを防止する機能を有する。なお、上記「主方位が{100}<011>近傍の結晶粒群」が形成された領域を、以降「{100}<011>近傍方位領域」ともいう。
ここで、{100}<011>近傍方位領域が上記機能を効果的に発現するためには、上記結晶粒群は、圧延方向を横切る方向に線状にまたは2.0mm未満の間隔をもって点列状に、かつ、圧延方向に3~50mmの等間隔あるいは非等間隔で形成されてなることが必要である。以下、具体的に説明する。
圧延方向の間隔
上記{100}<011>近傍方位領域が設けられた圧延方向の間隔(以降、「RD間隔」とも称する)は、3~50mmの範囲であることが必要である。なお、上記間隔は、3~50mmの範囲内にあれば、等間隔でも、非等間隔でもよい。{100}<011>方位は、Goss方位よりも圧延方向の磁気特性に劣ることから、RD間隔が3mm未満になると、相対的に{100}<011>近傍方位領域の面積比率が高くなり、圧延方向の磁気特性が劣化するようになる。一方、{100}<011>近傍方位領域は、仕上焼鈍中におけるGoss方位粒の粒成長を抑制し、Goss方位粒の圧延方向径をRD間隔と実質的に同一とする効果があるが、RD間隔が50mmを超えると、Goss方位粒も50mmを超えて粗大化するため、圧延方向の磁気特性が劣化するようになる。好ましいRD間隔は、コイル内位置によって変化するが、10~50mmの範囲である。
圧延方向を横切る方向の間隔
また、{100}<011>近傍方位領域は、圧延方向を横切る向き(板幅方向)にある繰り返し間隔(以降、「CD間隔」とも称する)2.0mm未満で点列状に形成されていてもよいし、繰り返し間隔が0mm、すなわち、連続して形成されていてもよい。CD間隔が2.0mm以上に大きくなると、図6に示したように、間隙部からGoss方位粒が浸みだして成長するため、Goss方位粒の成長抑止効果が消失してしまうからである。
面積比率
{100}<011>近傍方位領域は、圧延方向の磁気特性がGoss方位よりも劣ることから、鋼板内に存在する{100}<011>近傍方位領域は、上記Goss方位粒の粒成長抑止効果を確保できる範囲内で最小限の量とするのが好ましい。Goss方位粒の粒成長を抑止するのに必要な{100}<011>近傍方位領域は、二次再結晶における焼鈍温度によって異なると考えられるため、焼鈍温度に応じて適宜調整するのが好ましい。
発明者らの調査結果によれば、二次再結晶が発現する温度が900℃±30℃であるとき、Goss方位粒の粒成長抑止効果を確保できる最小の{100}<011>近傍方位領域の鋼板表面における面積比率は0.1%であった。一方、{100}<011>近傍の結晶粒群を形成しない場合に対する磁束密度Bの劣化量が1%となる{100}<011>近傍方位領域の面積比率は、図7に示したように約5%であった。そこで、本発明においては、{100}<011>近傍方位領域の面積比率を0.1~5%の範囲とすることとした。より好ましくは0.3~3%の範囲である。なお上記{100}<011>近傍方位領域の面積比率は、1200℃で3hrの純化処理する仕上焼鈍後の鋼板の表面について調べた値である。面積比率は、鋼板の表裏面で異なることがあるが、その場合は大きい方の値とする。
また、本発明は、{100}<011>近傍方位領域の面積比率を、仕上焼鈍時のコイル内巻部と外巻部で異ならせることが好ましい。すなわち、コイル長手方向の内巻部における{100}<011>方位の結晶粒群の面積比率をAおよび外巻部における{100}<011>方位の結晶粒群の面積比率をBとしたとき、A:0.1%以上5.0%以下、B:A以下かつ2%以下であることが好ましい。ここで、コイル内位置をコイルに巻かれたときの鋼板の曲率半径Rで表すこととしたとき、本発明において、仕上焼鈍時のコイル内巻部と外巻部とは、コイルに巻いたときの鋼板の曲率半径Rで定義し、Rが500mm未満をコイル内巻部、500mm以上をコイル外巻部とする。
表5は、コイル内位置R、および、鋼板表面に電子ビーム照射により導入する{100}<011>方位の結晶粒群の圧延方向間隔(RD間隔)と、平坦化焼鈍後の圧延方向の磁束密度Bとの関係を示したものである。なお、この調査では、{100}<011>近傍方位領域の面積比率は、磁束密度が過度に小さくならない範囲内の2.1%以下で実施した。また、この表4の結果をRD間隔と圧延方向の磁束密度Bとの関係として示したものが図8である。
Figure 0007264112000005
表5および図8から、鋼板の曲率半径Rが小さいコイル内巻部(R=250,350mm)においては、RD間隔が小さい場合、大きい場合とも、磁束密度が低下する傾向が認められた。これに対して、鋼板の曲率半径Rが大きいコイル外巻部(R=650,750mm)においては、RD間隔が小さい場合にのみ、磁束密度が低下する傾向が認められた。このように、RD間隔が小さい場合に、磁束密度が低下する理由は、相対的に{100}<011>方位の結晶粒群の面積比率が高くなる(ここでは2.0%より大きくなる)ことによるものと考えられる。一方、RD間隔が大きい場合に、コイル内巻部においてのみ磁束密度が低下した理由は、二次再結晶したGoss方位粒の圧延方向径が粗大化し、平坦化焼鈍後の結晶粒内の方位変化が大きくなったためであると考えられる。
また、上記表5および図8の結果から、仕上焼鈍時のコイル内位置で、RD間隔を一定とするよりも、コイル内位置に応じて変化させる方が、コイル全体の平均磁束密度は向上する。例えば、RD間隔を50mm(一定)とした場合、R=250mmのコイル内巻部の位置では1.959T、R=750mmのコイル外巻部の位置では1.964Tであるが、RD間隔を不定とし、コイル内巻部ではRD間隔を20mm、コイル外巻部では{100}<011>方位の結晶粒群の形成なしとすれば、それぞれの位置における磁束密度は1.962Tと1.965Tとなり、コイル全体の磁束密度の平均値が高くなる。すなわち、コイル外巻部における面積比率を、内巻部のそれに対して低くすれば、コイル全体の磁束密度は高くなる。上記のように、{100}<011>方位の結晶粒群の面積比率が2.1%では、仕上焼鈍時のコイル外巻部の磁束密度が低下したことから、仕上焼鈍時のコイル外巻部における{100}<011>方位の結晶粒群の面積比率は2.0%以下とするのが好ましい。
なお、本発明を適用する方向性電磁鋼板は、コイル内位置Rが600mm以上のコイル外巻部において測定したβ角の平均値が0~3°の範囲内にあることが好ましい。ここで、上記β角とは、二次再結晶粒が有する3つの<001>軸のうち、圧延方向に最も近い<001>軸と鋼板表面とがなす角度のことをいう。本発明は、二次再結晶粒がGoss方位に極めて近い鋼板において、その効果を発現する技術であるため、上記位置でのβ角が3°を超える鋼板では、本発明を適用する意味がないからである。
また、本発明の技術は、{100}<011>方位の結晶粒群を圧延方向に所定の間隔をもって形成することにより、Goss方位に極めて近い粗大な二次再結晶の粒成長を抑制するものであるので、本技術を適用しない場合において、圧延方向と圧延方向のうちの少なくとも圧延方向の平均結晶粒径が20mm以上となる方向性電磁鋼板に適用することが好ましい。より好ましくは30mm以上のものである。さらに好ましくは50mm以上のものである
また、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼板地鉄の上にフォルスライト被膜等のセラミックス質被膜が形成され、さらにその上に、鉄心組立時の層間の絶縁性を高めるため、張力付与型の酸化物絶縁被膜が形成されていることが好ましい。また、上記張力付与型の酸化物絶縁被膜は、無機物の処理液を焼き付けた被膜であることが好ましい。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、冷間圧延後の鋼板に{100}<011>方位の結晶粒群を圧延方向に所定に間隔をもって形成することによって、二次再結晶粒の粗大化を防止する技術であるが、これに加えてさらに、鋼板表面に溝を形成したり、レーザービームや電子ビームを鋼板表面に照射して局所的に歪を導入したりする従来公知の磁区細分化処理を施したものであってもよい。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、板厚が0.10~0.35mmの範囲であることが好ましい。板厚が0.10mm未満では、二次再結晶の発現が不安定となって、高い磁気特性が得られにくい。一方、0.35mmを超えると、二次再結晶したGoss方位粒の成長抑止に必要な{100}<011>近傍方位領域の面積分率が高くなって、高い磁束密度が得られないからである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、以下に説明する所定の成分組成を有する鋼素材(スラブ)を熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、鋼板表面にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻き取り、コイル状態のまま、二次再結晶させた後、高温で純化処理する仕上焼鈍を施し、その後、平坦化焼鈍する、従来公知の一連の製造工程で製造することができ、その際の各工程の条件については、鋼素材成分と、後述する{100}<011>近傍方位領域を形成することを除き、方向性電磁鋼板の製造方法として従来公知の条件に準じて行えばよい。そこで、鋼素材の成分組成と、{100}<011>近傍方位領域を形成する方法について、以下に説明する。
まず、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材は、基本成分として、C:0.005~0.100mass%、Si:1~7mass%およびMn:0.1mass%以下を含有するものであることが好ましい。Cが、0.005mass%未満では、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして製造に支障をきたすようになる。一方、0.100mass%を超えると、脱炭焼鈍で磁気時効の起こらない0.0050mass%以下に低減することができなくなる。なお、SiおよびMnの限定理由は、先述したとおりである。
さらに本発明に用いる鋼素材は、仕上焼鈍において二次再結晶を発明させるためにインヒビターを用いる場合は、上記基本成分に加えて、下記AおよびB群から選ばれる少なくとも1群のインヒビター形成成分を含有することが好ましい。

・A群:sol.Al:0.010~0.030mass%およびN:0.003~0.010mass%
・B群:S:0.005~0.03mass%およびSe:0.005~0.03mass%のうちから選ばれる1種以上
一方、仕上焼鈍において二次再結晶を発現させるためにインヒビターを用いない場合は、上記基本成分以外のインヒビター形成成分は極力低減するのが好ましく、具体的には、sol.Al:0.010mass%未満、N:0.008mass%未満、S:0.010mass%未満およびSe:0.010mass%未満であることが好ましい。
なお、上記鋼素材中に含まれるCは、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍において0.0050mass%以下に低減され、また、インヒビター形成成分であるAl,N,SおよびSeは、仕上焼鈍における純化処理で、sol.Al:0.005mass%未満、N:0.0020mass%未満、S:0.0010mass%未満およびSe:0.005mass%未満まで低減される。
本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなるが、磁気特性の改善等を目的として、上記成分組成に加えてさらに、Cr,Cu,Ni,Bi,B,Sn,Sb,Mo,P,Ti,Nb,V,ZrおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の成分をそれぞれ0.0005~0.50mass%の範囲で含有してもよい。
ただし、製品板にフォルステライト被膜を形成する場合には、アンカーを発達させるCrは極力少なくし、0.1mass%以下とするのが好ましい。また、Pは、比抵抗を高め、硬さ調整にも有用な成分であるが、製造性を低下するほか、飽和磁束密度を低下するため、上限は0.1mass%とするのがより好ましい。また、Ti,Nb,V,ZrおよびTaは、炭化物や窒化物を形成し、鉄損を劣化させるため、合計の含有量を0.01mass%以下に抑えることが望ましい。
次に、本発明において最も重要な工程である、方位が{100}<011>近傍の結晶粒群({100}<011>近傍方位領域)を形成する方法について説明する。
方位が{100}<011>近傍の結晶粒群を形成する方法としては、高エネルギーのビーム、例えば、前述したように高出力の電子ビームを照射する方法がある。{100}方位は、凝固集合組織として知られ、電子ビーム照射により鋼板を溶融するまで加熱し、その後、冷却することにより形成することができる。ただし、発明者らの別途実施した実験によれば、図9に示すように、電子ビームの出力が高過ぎるあるいは電子ビームの照射時間が長過ぎると、照射部のビーム孔(チャンネル、キーホールと呼ばれることもある)と思われる穴が顕著に増加し、磁束密度の低下を招く。一方、電子ビームの出力が低過ぎると、鋼板が溶融しないため、{100}<011>方位が形成されない。したがって、鋼板の板厚や温度、製造履歴に応じて、電子ビームの出力や照射時間を適宜調整し、{100}<011>方位を主とした組織が形成する条件を選択する必要がある。なお、方位が{100}<011>近傍の結晶粒群を形成する高エネルギーのビームとしては、鋼板の地鉄を局所的に短時間で溶融できる方法であればよく、例えば、レーザービームを用いてもよい。ただし、レーザービームは、冷延鋼板表面での反射率が高いために、電子ビームよりエネルギー効率が低くなる。
なお、鋼板に投入するビームエネルギーを増大するためには、例えば、電子ビームの場合、加速電圧やビーム電流、照射時間の増大(ビーム走査速度の低減)などが必要であるが、生産性を高めるためには、ビーム走査速度を高める必要があるため、両立が困難であった。なお、ビームの照射源(電子銃の台数)を増やす方法も考えられるが、設備費やメンテナンス費用が増大するため好ましくない。この問題は、レーザービームを用いる場合においても同様である。
そこで、本発明では、電子ビームの高いビーム照射位置の高速制御技術に着目し、ビーム照射を連続的ではなく、点列状とすることにより上記課題を解決した。具体的には、高エネルギービームを用いる場合、高度なビーム位置制御が可能であるという特徴を生かし、圧延方向を横切る方向に、連続的(直線状)ではなく、点列状に地鉄を溶融することによって、{100}<011>近傍方位領域を点列状に形成することが可能ある。そこで、図10に示すように、例えば、電子ビームを150kV、60mAで連続的に照射する場合には、主方位が{100}<011>の溶融凝固部を形成するために必要なビームの走査速度の上限は40m/sであったが、電子ビームを1.0mmピッチで照射する場合には、走査速度を1.5倍の60m/sまで高速化できる。電子ビームの走査速度は、生産量にほぼ比例することから、点列状に電子ビームを照射する方法を用いることで、高い生産性を確保することが可能となる。
C:0.030mass%、Si:3.4mass%およびMn:0.07mass%を含有する板厚が0.22mmの方向性電磁鋼板用の冷間圧延後の鋼板(冷延板)の表面に、電子ビームを、加速電圧:175kV、ビーム電流:50mA、平均走査速度:40m/sで、圧延直角方向の照射間隔(CD間隔):0.5mmとして照射し、点列状に溶融凝固部を形成した。この際、電子ビームを走査する圧延方向の間隔(RD間隔)を表6に示したように、仕上焼鈍時のコイル内位置Rに応じて変化させた。
次いで、上記電子ビームを照射した冷延板に、酸素ポテンシャルPH2O/PH2=0.3の雰囲気下で840℃の温度に120s間保持する脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。この一次再結晶焼鈍後の鋼板の電子ビーム照射部には、{100}<011>を主方位とする結晶群が形成されていることを確認した。
次いで、上記一次再結晶焼鈍後の鋼板両表面に、MgOを主成分とし、TiOを10mass%含有する焼鈍分離剤をスラリ状にして塗布し、乾燥した後、内径:600mm、外径:1700mmのコイルに巻き取った。
次いで、上記コイルに巻き取った鋼板に、300~800℃間を30hrで加熱した後、870~930℃間で50hr保持し、その後、1200℃で3hr保持して純化処理する仕上焼鈍を施した後、リン酸塩系の張力付与型絶縁被膜用コーティング液を塗布し、該被膜の焼付けと鋼板の形状矯正を兼ねた平坦化焼鈍を施して製品板コイルとした。
斯くして得た製品板コイルの、仕上焼鈍時のコイル内位置Rが300mmと700mmの位置からエプスタイン試験片を採取し、磁束密度(B)を測定し、その結果を表6に示した。この表から、本発明を適用することにより、仕上焼鈍時のコイル内径部の磁束密度が大きく改善され、コイル内位置に拘わらず優れた磁束密度が得られること、さらに、コイル内位置に応じで、RD間隔を適正に変化させることで、コイル全体としての平均磁束密度をより高めることができることがわかる。
Figure 0007264112000006

Claims (6)

  1. マトリックスがGoss方位({110}<001>)近傍の結晶粒群からなる方向性電磁鋼板において、
    結晶方位が{100}<011>近傍かつ板厚を貫通した結晶粒群が、圧延方向を横切る方向に線状にまたは2.0mm未満の間隔をもって点列状に、かつ、圧延方向に3~50mmの等間隔あるいは非等間隔で形成されてなることを特徴とする方向性電磁鋼板。ここで、上記{110}<001>近傍とは、{110}<001>からの方位差角が15°以内にあることを、また、上記{100}<011>近傍とは、{100}<011>からの方位差角が15°以内であることをいう。ここで、圧延方向の間隔とは、「圧延方向直線が横切る、交点同士の間隔」をいう。
  2. 上記{100}<011>近傍の結晶粒群の仕上焼鈍時のコイル内巻部の鋼板表面における面積比率Aが0.1~5.0%で、仕上焼鈍時のコイル外巻部の鋼板表面における面積比率Bが上記A未満かつ2.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分、また、仕上焼鈍時のコイル外巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm以上である部分のことをいう。
  3. 上記{100}<011>近傍の結晶粒群が、仕上焼鈍時のコイルの内巻部の全体あるいは一部に形成されてなり、かつ、上記{100}<011>近傍の結晶粒群の形成領域において、その鋼板表面における面積比率Cが0.1~5.0%であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分のことをいう。
  4. 方向性電磁鋼板用の冷延鋼板の表面に電子ビームを圧延方向に3~50mmの等間隔または非等間隔で、かつ、圧延方向を横切る方向に線状にまたは2.0mm未満の間隔をもって点列状に照射して結晶方位が{100}<011>近傍かつ板厚を貫通した結晶粒群を形成した後、一次再結晶焼鈍しまたは脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍し、その後、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍し、平坦化焼鈍を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 上記{100}<011>近傍の結晶粒群を、仕上焼鈍時のコイル内巻部に、鋼板表面の面積比率Aで0.1~5.0%となるよう、および、仕上焼鈍時のコイル外巻部に、鋼板表面の面積比率Bで上記A未満かつ2.0%以下となるよう形成することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分、また、仕上焼鈍時のコイル外巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm以上である部分のことをいう。
  6. 上記{100}<011>近傍の結晶粒群を、仕上焼鈍時のコイル内巻部の全体あるいは一部にのみ、鋼板表面の面積比率Cで0.1~5.0%となるよう形成することを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。ここで、上記仕上焼鈍時のコイル内巻部とは、仕上焼鈍時にコイルに巻かれた鋼板の曲率半径が500mm未満である部分のことをいう。
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