JP2013159850A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】被膜損傷を伴う電子ビーム照射を行った場合であっても、十分な磁区細分化を達成されて、満足のいく鉄損低減効果が発現し、しかも磁束密度の劣化が極めて少ない方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の圧延方向を横切る向きに延びる線状の歪を鋼板地鉄内部に有し、かつこの歪み存在領域上の被膜が少なくとも部分的に剥離した方向性電磁鋼板であって、被膜剥離内部の表面SEM観察による二次電子像において、地鉄溶融痕の生成を抑制する。
【選択図】図3

Description

本発明は、変圧器の鉄心などの用途に使用される方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、特に熱歪み導入型の磁区細分化に際し、磁束密度の劣化を招くことなしに、鉄損特性の有利な向上を図ろうとするものである。
変圧器などに使用される方向性電磁鋼板には、高磁束密度を始めとして、低鉄損、高透磁率、低騒音など、多岐にわたる特性が求められる。特に、低鉄損化と高磁束密度化が従来から追求され続けてきた。
方向性電磁鋼板の鉄損を低減する方法としては、これまで素材の組織や化学組成の調整の他に、鋼板への線状溝の形成、レーザ、プラズマ炎、電子ビームの照射などによる磁区細分化が知られている(例えば特許文献1など)。
上記した方法のうち、線状溝の形成は、鉄損の改善効果が大きいことが知られているが、磁束密度を劣化させるという欠点がある。
一方、レーザやプラズマ炎、電子ビーム照射による磁区細分化は、鉄損を劇的に改善することができるだけでなく、鋼板の磁束密度はほとんど劣化しないために、高磁束密度と低鉄損が両立できるとされてきた。しかしながら、磁区細分化処理前の鋼板の改善による磁束密度の向上効果が飽和傾向を示し、0.005Tの磁束密度向上が非常に大きな技術的進歩と考えられる中、熱歪み導入型の磁区細分化によってわずかに減少する鋼板の磁束密度を如何に抑制するかが重要な問題になっている。
方向性電磁鋼板を高磁束密度化させる技術については、従来から多くの検討がなされており、電磁鋼板の結晶方位をGoss方位へ集積させることによって向上させることができるとされる。例えば特許文献2には、1.97Tを超える磁束密度B8を有する方向性電磁鋼板の製造方法が示されている。
一方、磁区細分化処理を施した鋼板の磁束密度の向上化に関しては、例えば特許文献3に示されるように溝形成法については数多くなされているものの、レーザや電子ビームなどを照射する熱歪み導入法については、ほとんどなされて来なかった。
特公平7-65106号公報 特許第4123679号公報 特許第4384451号公報 特許第4091749号公報 特開昭58-26405号公報
熱歪み導入法は、溝歪み導入法に比較して、地鉄の体積減少がないことから、導入前後における磁束密度の減少量が非常に小さい。しかしながら、熱歪み導入型においても、適切な条件を整えない場合には、磁束密度が大きく減少する。例えば、発明者らの実験では、圧延方向のB8が1.935Tの鋼板に、14.4mJのエネルギを、圧延直角方向に0.3mm間隔で、かつ圧延方向に5mm間隔で電子ビームにより照射した場合、鋼板の地鉄体積減少は認められなかったものの、照射後のB8は0.032T減少した。
この問題に対し、発明者らは種々検討を重ねた結果、熱歪み導入法による磁束密度の変化は、熱導入時における、地鉄の結晶方位の変化によるものであると考えられた。
すなわち、鋼板に局所的に大きな熱を加えた場合、急激に加熱された照射部が塑性変形あるいは弾性的な結晶回転を起こして、結晶方位が変化することがB8の劣化要因の一つであると考えた。特に、照射部により多くの熱が蓄積した場合には、照射部が溶融し、再凝固時に元の結晶方位からずれた結晶方位になると考え、熱照射による照射部の地鉄溶融を抑制することができれば、磁束密度の劣化を抑制できるのではないかとの結論を得るに至った。
従来技術(例えば、特許文献4)では、被膜損傷のない方向性電磁鋼板の製造方法が多く提案されている。被膜の損傷がなければ、地鉄溶融もないと考えられるが、このような従来技術では、ビームのエネルギ密度を低減する必要があるため、高エネルギ密度照射に比較して、トランス鉄損に大きな影響を及ぼすヒステリシス損と渦電流損の構成比を変化させたり、また処理能力を低下させてしまう傾向がある。さらに、被膜密着性などの被膜性状が異なれば、当然、損傷しないビーム照射条件は異なることから、このような照射技術は、製造安定性の観点からすると好ましくない。
また、特許文献5などには、被膜損傷がある場合には、被膜が蒸発するときに鋼板に反力を及ぼし、磁区細分化に有利な応力を形成させるとも報告されている。
上記のような理由から、被膜損傷を有する熱歪み導入型の方向性電磁鋼板の製造必要性は高い。本発明は、このような被膜損傷を有する熱歪み導入型方向性電磁鋼板のB8を高くすることについて検討したものである。
従来技術による方法によれば、レーザなどを鋼板表面上に照射すると、被膜が高温化し、さらに損傷するため、地鉄が表面にむき出しになる。すると、引続いて地鉄がさらに高温化するため、溶融してしまう。このような溶融を抑制するには、例えばビーム出力を低減すれば良いのであるが、この場合は十分な磁区細分化に必要な熱歪みが形成されず、鉄損低減効果が減少してしまう。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、被膜損傷を伴う電子ビーム照射を行った場合に、十分な磁区細分化を達成されて満足のいく鉄損低減効果が得られるのは言うまでもなく、かような電子ビーム照射に伴う磁束密度の劣化が極めて小さい方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
ところで、従来の知見に基づいて、レーザ法と電子ビーム法による磁区細分化を比較すると、磁区細分化に必要な鋼板への総エネルギ照射量は後者の方が多い。
発明者らは、この事実などをヒントに実験を繰返すことによって、電子ビームの場合、照射した鋼板の内部で、表面に比べてより広範囲に広がる熱分布が形成されると推定した。従って、電子ビーム照射の場合は、鋼板内部の局所的な熱の蓄積が抑制されるため、地鉄溶融抑制に有利であると考えた。
さらに、このように、鋼板内部で熱影響部が拡大する理由は、電子ビームが地鉄表層からやや内部に侵入する特性があるためと考え、例えば、K. Kanaya and S. Okayamaらの理論によって計算すると、150kVの加速電圧で入射した電子は、鋼板表面から10μm程度内部でエネルギの散逸が最も大きいことが示された。
そこで、発明者らは、このような電子ビームの特長を最大限活用することを考え、加速電圧Va(kV)とビーム径d(μm)との関係について、綿密な検討を重ねたところ、これらが所定の関係を満足するように制御することによって、被膜が損傷しても、地鉄の溶融が抑制され、その結果、磁束密度の劣化なしに十分な磁区細分化効果が発現することを見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.鋼板の圧延方向を横切る向きに延びる線状の歪を鋼板地鉄内部に有し、かつこの歪み存在領域上の被膜が少なくとも部分的に剥離した方向性電磁鋼板であって、
被膜剥離内部の表面SEM観察による二次電子像において、地鉄溶融痕がないことを特徴とする方向性電磁鋼板。
2.上記の方向性電磁鋼板を製造するに当たり、加速電圧をVa(kV)、ビーム径をd(μm)とするとき、これらVaおよびdが、次式
d>0.007×Va2−2.72×Va+474
の関係を満足する条件で電子ビームを照射して線状の歪みを導入することを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明に従う条件で電子ビームを照射することによって、照射に伴う磁束密度の劣化を極めて小さくすることができ、その結果、照射後に低鉄損と高磁束密度が両立した方向性電磁鋼板を得ることが可能になる。
従って、本発明の方向性電磁鋼板を、変圧器の鉄心などに使用した場合、従来に比べて変圧器のエネルギ使用効率を大幅に向上させることができ、産業上極めて有用である。
溶融痕が有る被膜損傷部の二次電子像写真である。 溶融痕がない被膜損傷部の二次電子像写真である。 電子ビームの加速電圧とビーム径を種々に変化させた場合における、照射部の地鉄溶融痕の有無についての調査結果を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
[被照射材]
本発明は、地鉄の上に絶縁被膜などがコーティングされている方向性電磁鋼板に適用される。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、鋼板の圧延方向を横切る向きに延びる線状の歪を鋼板地鉄内部に有しており、かつこの歪み存在領域上で被膜が部分的に、あるいは全体的に剥離した領域を有する。ここで、被膜が剥離している状態とは、地鉄が表層に露出していることをいい、EPMAなどにより簡単に分析することができる。
さらに、本発明の方向性電磁鋼板は、被膜剥離内部の表面SEM観察による二次電子像において、地鉄溶融痕がないことを特徴とする。ここで、SEM観察条件は、表層被膜形態や地鉄が十分良く観察できるように適宜行えば良いが、本発明においては、加速電圧:5kV、倍率:3000を観察条件とした。
なお、本発明において、地鉄溶融痕があるとは、上記被膜剥離部の地鉄形状が、非被膜剥離部における被膜との界面の地鉄形状と顕著な違いがある場合を指す。すなわち、地鉄の上にフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板の場合には、被膜との界面の地鉄形状はフォルステライトの構造を反映した凹凸形状になっており、SEMの二次電子像で観察した場合には、エッジ効果によって凹凸を反映した白黒のコントラストが生じ、網の目状のネットワーク構造が観察される。この網の目の間隔は通常5μm未満であるが、地鉄が溶融すれば溶融部の網の目構造は消失し、5μm以上の領域で網の目構造が観察されなくなる。従って、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板において、地鉄溶融痕があるとは、SEMの二次電子像において、5μm以上の地鉄露出領域でエッジ効果によって観察される網の目状のネットワーク構造が観察されないことを指すものとする。したがって、本発明では以上に定義した地鉄溶融痕を有しないことを特徴とするものである。
図1および図2にそれぞれ、溶融痕が有る被膜損傷部と溶融痕がない被膜損傷部の二次電子像写真を示す。
各図において、上側の黒い部分は被膜であり、その下部に見られる領域が地鉄の露出部である。
図1では、地鉄が溶融した後に凝固した滑らかな曲線状の組織を呈しているのに対し、図2の地鉄組織は、より細かい不連続な凹凸状になっており、フォルステライト被膜が生成したときの形状が残存した凹凸の形状、すなわち、網の目状のネットワーク構造となっているのが分かる。
[ビーム照射手法]
図2に示したような地鉄組織は、以下に示す照射条件にて、方向性電磁鋼板に電子ビームを照射することによって得ることが可能である。
電子ビームは、鋼板を横切るように、鋼板の幅端部からもう一方の幅端部まで、その方向が鋼板の圧延方向から60〜120°の角度になるように、鋼板表面を走査させる。この範囲から逸脱した場合には、磁区細分化効果が弱く、照射後の鉄損が十分に低減しない。また、走査は、一方向に直線状でも、曲線状でも良い。さらに、照射を要する領域の長さが大きい場合には、複数の照射源を用いて照射しても良い。
また、ビームは、鋼板表面の走査線に沿って、ビームの照射時間が、長時間(s1)と短時間(s2)を繰返すようにして行うが、通常、s1に比較してs2は十分小さいため、s1の逆数を照射周波数と定義することができる。また、この繰返しの距離周期をドットピッチと呼ぶ。
ここで、照射周波数は、20〜1000kHzとすることが好ましい。照射周波数が20kHz未満では、1ドットでの照射時間が過度に長くなるため、地鉄が溶融しやすくなり、一方1000kHz超では照射時間が短すぎて十分な熱量を投入することができず、鉄損が低減しない。
また、ドットピッチは、0.1mm以上0.5mm以下とすることが望ましい。0.1mmよりも小さい場合は、ビームの走査速度が遅くなって、照射材の生産効率が悪くなる。一方、0.5mmよりも大きい場合には、磁区細分化効果が弱く、鉄損が十分には低減しない。
さらに、上記の鋼板の端部から端部までの走査は、圧延方向に2〜10mmの間隔を隔てて繰り返し行う。この間隔が過度に短いと、生産能力が過度に減少してしまうため、2mm以上とするのが好ましい。また、過度に長いと、磁区細分化効果が十分発揮されないため、10mm以下とすることが好ましい。
そして、本発明においては、上記した条件での電子ビームの照射に際し、電子ビームの加速電圧Va(kV)とビーム径d(μm)について、次式
d>0.007×Va2−2.72×Va+474
の関係を満足させることが重要である。
図3に、電子ビームの加速電圧とビーム径を種々に変化させた場合における、照射部の地鉄溶融痕の有無について調査した結果を示す。また、横軸0の位置には、レーザ照射に際してビーム径を種々に変化させた場合の調査結果を併記する。なお、その他の電子ビームの照射条件は、ドットピッチ:0.4mm、照射周波数:100kHzである。また、レーザ照射は40m/sの走査速度の連続レーザによって行った。
同図に示したとおり、電子ビーム照射の場合に、地鉄における溶融痕を抑制するには、電子ビームの加速電圧Va(kV)とビーム径d(μm)について、上記の関係式を満足させる必要があることが分かる。これに対し、レーザ照射の場合には、ビーム径を500μmまで拡大させても溶融痕をなくすことはできなかった。
なお、溶融痕の生成を抑制した場合は、照射による磁束密度の劣化が極めて小さく、図3中に○印で示した鋼板は、いずれも磁束密度の減少量ΔB8は0.001T以下であった。
上記の関係式により、溶融痕が支配されることに関して、その詳細は明確に解明されたわけではないが、発明者らは次のように考えている。
加速電圧は高い方が、地鉄の照射内部にまで電子が侵入し、熱影響領域が拡大して、局所的な地鉄の高温化が抑制されるため、溶融しにくいと考えられる。また、ビーム径は大きい方が、ビームのエネルギ密度が減少し、同様に局所的な地鉄の高温化が抑制されるため、地鉄が溶融しにくいと考えられる。従って、これらを適切に制御することによって、溶融痕の生成が効果的に抑制され、その結果、十分な低鉄損化が磁束密度の劣化なしに達成できたものと考えられる。
なお、ビームの照射表層でエネルギが吸収されるレーザ照射の場合には、本条件の下、ビーム径の調整だけでは、溶融痕の抑制は難しい。
本発明において、電子ビームの加速電圧Vaは40〜300kV程度とすることが望ましい。というのは、加速電圧Vaが40kVに満たないと鋼板内部への侵入深さが過度に小さくなって、局所的に熱が蓄積して地鉄が溶融しやすくなってしまい、一方300kVを超えると照射するビーム電流の絶対値が小さくなって、高精度の制御ができなくなるからである。
また、ビーム径dは200〜500μm程度とすることが望ましい。というのは、ビーム径dが200μmに満たないと照射熱が局所的に蓄積して地鉄が溶融しやすくなり、一方500μmを超えると格子歪みの形成領域の体積が過度に大きくなって、鉄損、特にヒステリシス損が劣化するからである。
また、ビーム径はビームプロファイル(ビーム強度の空間分布)を測定し、ピーク強度値の1/e2(〜13.5%)の強度を有する部分の径として定義した。
本発明を実施するために最良なその他の電子ビーム照射条件として、照射エネルギなどは、WD(ワーキングディスタンス)、真空度などの条件によって調整範囲、適正値が異なるため、従来知見に基づき適宜調整を行えば良い。
[鉄損および磁束密度の評価]
長さ(圧延方向):280mm、幅(圧延直角方向):100mmの試料を用い、JIS C2556に準拠して、単板磁気試験装置による磁気測定を行った。
[素材の成分組成]
本発明が適用される方向性電磁鋼板の素材の成分組成としては、例えば以下の元素が挙げられる。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下するため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
C:50質量ppm以下
Cは、熱延板組織の改善のために添加を行うが、最終製品では磁気時効の起こらない50質量ppm以下までCを低減することが好ましい。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.50質量%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.50質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn,Sb,Cu,P,MoおよびCrはそれぞれ、磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと磁気特性の向上効果が小さく、一方上記した各成分の上限量を超えると二次再結晶粒の発達が阻害されるため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
フォルステライト被膜およびリン酸塩系の張力被膜をそなえる板厚:0.23mmの方向性電磁鋼板に対して、表1に示す条件で、電子ビーム照射を行った。電子ビームの照射条件は、ドットピッチ:0.4mm、照射周波数:100kHz、圧延方向の照射線間隔:5mmとした。
なお、得られた被膜はいずれも、φ30mmの丸棒に巻き付けたときに、巻きの内側に被膜損傷が生じる剥離特性を有するものであった。ビーム照射後に、照射部のSEM観察および磁気測定を行った。磁気測定は圧延方向280mm×圧延直角方向100mmの試料にて、JIS C 2556に準拠した単板磁気試験装置(SST装置)を用いて行った。
得られた結果を、表1に示す。
同表に示したとおり、本発明に従って電子ビームを照射することにより、被膜損傷部に地鉄溶融が認められない方向性電磁鋼板を得ることができる。
しかも、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板は、照射後の鉄損W17/50が0.70W/kg以下であり、しかも照射による磁束密度の低減量ΔB8が0.001T以下という高磁束密度を兼ね備えていた。

Claims (2)

  1. 鋼板の圧延方向を横切る向きに延びる線状の歪を鋼板地鉄内部に有し、かつこの歪み存在領域上の被膜が少なくとも部分的に剥離した方向性電磁鋼板であって、
    被膜剥離内部の表面SEM観察による二次電子像において、地鉄溶融痕がないことを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 上記の方向性電磁鋼板を製造するに当たり、加速電圧をVa(kV)、ビーム径をd(μm)とするとき、これらVaおよびdが、次式
    d>0.007×Va2−2.72×Va+474
    の関係を満足する条件で電子ビームを照射して線状の歪みを導入することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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