以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(乗りかご内部の構成)
図1は、第1の実施形態の乗りかご1の内部を示す模式図である。エレベータの乗りかご1には、図1に示すように、正面側と背面側にそれぞれ乗降口がある。このように2つの乗降口を有するエレベータを2方向エレベータと称する。本実施形態の乗りかご1には、図1に示すように、正面側の乗降口を開閉する扉1401Aと、背面側の乗降口を開閉する扉1401Bを備えている。本実施形態では、1,3,4,6,7,9~16階の13階床では、正面側の扉1401Aが開き、2,5,8階の3階床では、背面側の扉1401Bが開くように構成されている。
また、正面側の扉1401Aの横の壁面には、主操作盤318Aが設けられている。背面側の扉1401Bの横の壁面には、主操作盤318Bが設けられている。主操作盤318A, 318Bは、利用者が主として行き先階等を指定する操作を行うためのものである。主操作盤318A, 318Bは、いずれも正面側の扉1401A(乗降口)が開く階および背面側の扉1401B(乗降口)が開く階の双方の行き先階を指定できるようになっている。ここで、主操作盤318A, 318Bを区別しない場合には、主操作盤318と称する。
また、乗りかご1内の側壁面のほぼ中央部には、車椅子用操作盤318Cが設けられている。車椅子用操作盤318Cは、主として、車椅子に乗った利用者が行き先階等を指定する操作を行うためのものである。車椅子用操作盤318Cは、車椅子に乗った利用者が操作可能なように、主操作盤318A,318Bより低い高さ位置に設けられている。
ここで、主操作盤318A, 318Bより低い高さ位置は、主操作盤318Aと一部が重なる高さであってもよい。
(エレベータ制御システムの構成例)
主操作盤318Aは、例えば主操作盤318Aの各部を制御する正面側の行き先階呼び装置30の一部を構成する。主操作盤318Bは、例えば主操作盤318Bの各部を制御する背面側の行き先階呼び装置30の一部を構成する。つまり、以下に述べる正面側の行き先階呼び装置30は、主操作盤318Aの各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付ける。背面側の行き先階呼び装置30は、主操作盤318Bの各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付ける。ここで、正面側の行き先階呼び装置30と背面側の行き先階呼び装置30の構成は同じであるため、同一の符号を付している。
以下に、図2を用いて、2つの行き先階呼び装置30を含むエレベータ制御システム100について説明する。
図2は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、正面側および背面側の2つの行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される2つの行き先階呼び装置30のそれぞれと接続されている。制御盤10と2つの行き先階呼び装置30のそれぞれとは有線または無線等のネットワークで接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
また、行き先階呼びは、通信部12を介して2つの行き先階呼び装置30のそれぞれから受信する呼び登録要求である。乗り場呼びは、通信部12を介して乗り場呼び装置から受信する呼び登録要求である。
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
また、制御部11は、2つの行き先階呼び装置30のいずれかから行き先階呼びを受信した場合、双方の行き先階呼び装置30に対して表示灯313の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯313を明点灯させる。また、制御部11は、乗り場呼び装置から乗り場呼びを受信した場合、乗り場呼び装置に対して表示灯の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯を明点灯させる。
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置30及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
2つの行き先階呼び装置30のそれぞれは、エレベータ制御装置を構成する。2つの行き先階呼び装置30の各部をひとつのエレベータ制御装置として構成してもよい。
次に、行き先階呼び装置30について説明する。正面側の行き先階呼び装置30と背面側の行き先階呼び装置30の構成は同一であるため、各部につき同一の符号を付して説明する。行き先階呼び装置30は、主操作盤318の各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付け、利用者の操作に対して処理を行う装置である。
行き先階呼び装置30は、物体検知部31、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、及び表示灯313は乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
センサ部311(311a,311b,311c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象とも称する)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン312(312a,312b,312c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312は、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。
表示灯313(313a,313b,313c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先階に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
物体検知部31は、計時部31aと、制御部31bとを備える。計時部31aは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、検知時間の計時を開始する。計時部31aは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、遅延時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、遅延時間経過前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合には、検知時間の計時を終了する。
また、計時部31aは、遅延時間を経過して後述する仮登録がされてから、また検知時間を計時する。そして、計時部31aは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、第1の時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、第1の時間経過前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合には、検知時間の計時を終了する。
計時部31aは、いずれかのセンサ部311が物体を検知した後に、そのセンサ部311が物体を検知しない状態、すなわち、非検知状態になると、計時を終了する。計時部31aは、センサ部311が非検知となった場合に、非検知時間の計時を開始する。そして、計時部31aは第2の時間が経過したら、非検知時間の計時を終了する。
遅延時間、第1の時間、第2の時間は、任意に設定することができる。例えば、遅延時間を20ms、第1の時間を300ms、第2の時間を200msとすることができるがこれらに限定されるものではない。
また、遅延時間、第1の時間、第2の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。例えば、主操作盤318の下部に設けられたボックス(不図示)内のダイヤルにより遅延時間、第1の時間、第2の時間を調整するように構成することができる。また、制御盤10に設けたボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30(あるいは乗り場呼び装置)ごとに遅延時間、第1の時間、第2の時間を調整するように構成することができる。
制御部31bは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、対象のセンサ部311を特定する。すなわち、単一のセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、当該単一のセンサ部311を対象のセンサ部311と特定する。複数のセンサ部311が略同時に利用者の手指等の物体を検知すると、検知された複数のセンサ部311から、所定の方式、言い換えれば、予め定められた検知状態のパターン(以下、「検知パターン」と称する。)に従って、対象のセンサ部311と特定する。ここで、略同時とは、時間的に完全に一致している必要はなく、所定の微少時間内に複数検知されれば略同時に検知されたと判断される。
ここで、制御部31bは、複数のセンサ部311により略同時に操作が検知された場合に、検知された複数のセンサ部311からの検知信号を入力する入力端子群のポート番号に対して予め割り当てられた階床番号、すなわち、検知された複数のセンサ部311のそれぞれに対応する階床を示す階床番号と検知パターンとに基づいて、単一のセンサ部を特定する。なお、ポート番号に対する階床番号の割り当ての詳細、センサ部311の特定手法の詳細については後述する。
制御部31bは、計時部31aが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部31bは、特定されたセンサ部311について遅延時間に達する前に、計時部31aが遅延時間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について遅延時間に達した場合に、他のセンサ部311が物体を検知しなければ、物体を検知したセンサ部311に対応する呼びがあったものと判定し仮登録する。そして、制御部31bは、仮登録した場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる。一方、制御部31bは、当該センサ部311が非検知となった場合には暗点灯した表示灯313を消灯させる。
制御部31bは、センサ部311よる操作に基づく仮登録された時点から検知状態で第1の時間経過し、かつ特定されたセンサ部311が非検知となった場合に、特定されたセンサ部311による操作に基づく呼び登録に関する情報として行き先階呼びを、通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤10により特定されたセンサ部311に対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、特定されたセンサ部311に対応する表示灯313が明点灯する。
また、制御部31bは、所定の方式としての検知パターンにより特定されたセンサ部311から所定範囲としての下方2列5個の範囲(図5の符号451で示す範囲)に位置する複数のセンサ部311を行き先呼び登録の候補から除外する。
押下検知部32は、制御部32bを備える。制御部32bは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押下された押しボタン312に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。そして、制御部32bは、行き先階への呼びがあったと判定した場合、押下された押しボタン312に対応する行き先階への行き先階呼びを通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤10により押下された押しボタン312に対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、押下された押しボタン312に対応する表示灯313が明点灯する。
ここで、本実施形態では、表示灯313の発光態様としては、上述のように、第1の態様としての暗点灯と、第2の態様としての明点灯がある。暗点灯は明点灯より照度が暗い点灯を意味する。表示灯313の明点灯は、押しボタン312の押下、およびセンサ部311による仮登録から第1の時間経過かつ手指を離すことによる非検知による呼び登録の入力を、行き先階呼び装置30が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。明点灯は、全点灯とも称されることができる。
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
通信部34は、通信インタフェース(通信I/F)であり、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階登録呼びの情報と、利用者が呼びの操作を行った主操作盤318が正面側の主操作盤318Aか背面側の主操作盤318Bであるかの情報とを制御盤10に送信する。
なお、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン等を備えている。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を通知してもよい。
また、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯等を備えている。この場合、押下検知部32は、検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
次に、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPU101が実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
行き先階呼び装置30は、CPU、ROM、RAM、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
ROMには、例えば、センサ部311の検知に基づく呼び等の制御プログラム、押しボタン312の押下に基づく呼び等の制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、物体検知部31の計時部31a、制御部31b、押下検知部32の制御部32b等が実現される。
ここで、呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。また、呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される各制御プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
(主操作盤の構成例)
図3は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置30の一部である主操作盤318の構成の一例を示す模式図である。主操作盤318A, 318Bは同一構成を有している。このため、主操作盤318と総称してその構成について説明する。
主操作盤318は、エレベータの乗りかご1内の利用者による操作を受け付けたり、利用者に乗りかご1の運行状況等を表示したりすることが可能なように、乗りかご1内に設置される。乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。
主操作盤318の設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、乗りかご1内の扉側に向かって右側袖壁部分である。主操作盤318が、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
主操作盤318は、例えば、行き先階表示部310(310a~310e)、センサ部311(311a~311e)、押しボタン312(312a~312e),315(315e,315c)、表示灯313(313a~313e),316(316e,316c)、開閉表示部314(314e,314c)、及び表示装置317を備える。
行き先階表示部310は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して主操作盤318に複数配置されている。図3の例では、乗りかご1の行き先階である1階~16階にそれぞれ対応して、16個の行き先階表示部310a~310e(一部省略)が縦方向に二列で配置されている。すなわち、例えば1、3、5、7、9,11、13,15階に対応する行き先階表示部310aとセンサ部311および押しボタン312とのセットが縦1列に配置され、その列の右隣等に、例えば2、4、6、8、10、12、14、16階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311および押しボタン312とのセットが更に縦1列に配置されている。ここで、図3の例では、符号は一部の階の行き先階表示部のみに付している。なお、行き先階表示部310とセンサ部311および押しボタン312とがセットで縦一列に配置されていてもよい。また、行き先階表示部310とセンサ部311および押しボタン312とがセットで縦三列以上に配置されていても良い。
センサ部311は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310近傍の主操作盤318Aに複数配置されている。図3の例では、縦方向に二列に並ぶ行き先階表示部310a~310e・・・に、それぞれ対応する16個のセンサ部311a~311eが一体化されて配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
センサ部311は、例えば非接触式の反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311は、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
ここで、本実施形態では、センサ部311と押しボタン312は一体化されている。ただし、これに限定されるものではなく、センサ部311と押しボタン312とを別体で構成することもできる。
図4は、実施形態にかかるセンサ部311と押しボタン312を側面から見た構成とセンサ部311の検知範囲を示す模式図である。具体的には、図4に示すように、押しボタン312の裏面3122側にセンサ部311が装着されている。
センサ部311は、図4に示すように、押しボタン312のおもて面3121から所定距離だけ離れた検知範囲401を有している。センサ部311は、図4に示すように、センサ部311と押しボタン312のおもて面3121(すなわち行き先階表示部310のおもて面3121)から第1距離だけ離間した位置までの第1空間領域405では利用者の操作を検知しない。検知範囲401は、第2空間領域に相当し、押しボタン312のおもて面3121から第1距離から離間した位置から第2距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1距離は、例えば、押しボタン312のおもて面3121から5mm程度であり、第2距離は、例えば、押しボタン312のおもて面3121から25mm程度とすることができる。ただし、第1距離、第2距離についてはこれに限定されるものではない。検知範囲401は、図4に示すように、押しボタン312のおもて面3121から離れるに従って狭まる山型である。検知範囲401は、全体が押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。検知範囲401は、押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。図4に示すように、検知範囲401は、おもて面3121と直交する第1方向D1から見て押しボタン312のおもて面3121内に収まり、かつ、その中央C1がおもて面3121の略中央C2と重なるように設定されている。一例として、検知範囲401の中央C1とおもて面3121の中央C2とは、第1方向D1から見て一致する。このように、検知範囲401の全体が押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。
利用者は、行き先階登録をする際には、自分の手指403等を押しボタン312へ向けて前進させ、この際に、センサ部311の検知範囲401に指先が入ってセンサ部311が検知状態となり、指先が検知範囲401から抜けて第1空間領域に入ると、センサ部311は非検知状態となる。利用者は、さらに手指403を前進させて、押しボタン312を押下する。
図3に戻り、押しボタン312は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310である文字盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、上述の押下検知部32が、対応する行き先階表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
表示灯313は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313が埋め込まれている。後述する物体検知部31からのセンサ接点信号に基づいて、及び後述するネットワークに接続された制御盤10からの点灯指令に基づいて、対応する表示灯313が点灯する。表示灯313が点灯すると、押しボタン312及び行き先階表示部310を透過した表示灯313の光が利用者に目視される。
図2の例では、複数の表示灯313のうち、3階と15階の行き先階表示部310b,310eに対応する表示灯313b,313eが暗点灯または明点灯する様子を示している。
開閉表示部314は、例えば乗りかご1の扉1401A, 1401Bの開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314e、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314cを含む。図3の例では、開閉表示部314e,314cが左右に並んで主操作盤318に配置されている。
押しボタン315は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に主操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部314e,314cである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン315を押下すると、上述の押下検知部32が、対応する開閉表示部314への操作として押しボタン315の押下を検知する。
表示灯316は、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に主操作盤318に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯316e,316cが埋め込まれている。例えば押下検知部32の検知結果に基づいて、対応するいずれかの表示灯316e,316cを点灯すると、押しボタン315及び開閉表示部314を透過した表示灯316の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部314e,314cに対する操作と認識されたかを知ることができる。
図3の例では、表示灯316e,316cのいずれもが消灯している様子を示している。
表示装置317は、例えば液晶表示部としての液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図3の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
なお、主操作盤318の構成および各種構成の配置は図3の例に限られない。
また、センサ部311の近傍に、センサ部311の存在を示す表示またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311の近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
また、それぞれのセンサ部311の近傍に、それらのセンサ部311に対応する行き先階を示す点字、センサ部311の存在を示す点字、またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311の近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
また、主操作盤318は、乗りかご1の開閉も非接触で行うことができるよう、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応するセンサ部を備えていてもよい。
その他、主操作盤318は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
上述のように主操作盤318には、センサ部311およびセンサ部311と一体となった押しボタン312が少なくとも縦方向、本実施形態では二列縦方向に配列されており、かつ、配列されたセンサ部311および押しボタン312のそれぞれの間隔が狭いため、利用者が行き先階を指定しようとして手指をセンサ部311に近づけると、手指の大きさの範囲にある複数のセンサ部311が手指を検知してしまい、これらが誤検知あるいは過検知となって、利用者が意図する行き先階に対応するセンサ部311以外のセンサ部311が行き先階呼び登録されてしまう可能性がある。このため、本実施形態での制御部31bでは、主操作盤318において複数のセンサ部311が検知された場合に、所定の方式として、検知された複数のセンサ部311の検知パターンにより、利用者が意図する行き先階のセンサ部311を対象として特定している。具体的には、以下のように特定される。
図5は、第1の実施形態におけるセンサ部311の特定手法の一例を説明するための模式図である。制御部31bは、複数のセンサ部311により操作が検知された場合に、複数のセンサ部311のうち、最上位のセンサ部311を利用者が意図する単一のセンサ部311として特定する。図5(a)の例では、二列のうち右側の列側で、利用者が手指403の指先を16階のセンサ部311に接近させると、手指403の指先以外の部分により、目的の16階のセンサ部311が検知してオンとなる他、8,10,12,14階のセンサ部311も検知してオンとなる。しかし、制御部31bは、このうち、最上位である16階のセンサ部311を有効な単一のセンサ部311として特定するので、利用者の意図に従ったものとなる。
このとき、制御部31bは、特定されたセンサ部311から所定の範囲である下方の2列5個までの範囲451に属する(言い換えれば、位置する)複数のセンサ部311およびそれぞれと一体となった複数の押しボタン312を行き先階呼び登録の候補の対象から除外する。図5(a)の例では、16階の下方の5~14階に対応する10個のセンサ部311および10個の押しボタン312が上記所定の範囲451に属することになり、行き先階呼び登録の候補の対象から除外される。このため、5~14階に対応するセンサ部311が、手指で検知されたり、5~14階に対応する押しボタン312が押下されても、制御部31bは、仮登録、本登録の処理は行わない。
また、制御部31bは、複数列の複数のセンサ部311により操作が検知された場合に、検知された複数のセンサ部311の複数列のうち、検知されたセンサ部311の配列の最上位のセンサ部311の位置が高い方の列の最上位のセンサ部311を利用者が意図する単一のセンサ部311として特定する。図5(b)の例では、二列の双方の列にわたって利用者の手が覆うように利用者が手指403の指先を15階のセンサ部311に接近させると、手指403の指先以外の部分により、目的の15階のセンサ部311が検知してオンとなる他、11,12,13,14階のセンサ部311も検知してオンとなる。しかし、制御部31bは、二列のうちでセンサ部311の配列の最上位のセンサ部311の位置が高い方の列である左列の最上位である15階のセンサ部311を有効な単一のセンサ部311として特定するので、利用者の意図に従ったものとなる。
ここで、図5(b)の例では、5~14階に対応する10個のセンサ部311および10個の押しボタン312が上記所定の範囲451に属することになり、制御部31bは、上記所定の範囲451に属する5~14階に対応するセンサ部311および押しボタン312を行き先階呼び登録の対象から除外する。
制御部31bは、複数列の複数のセンサ部311により操作が検知された場合に、複数列の複数のセンサ部311のうち、検知された複数のセンサ部311の複数列のうち、検知されたセンサ部311の配列数が少ない方の列の最上位のセンサ部311を利用者が意図する単一のセンサ部として特定する。図5(c)の例では、二列の双方の列にわたって利用者の手が覆うように利用者が手指403の指先を15階のセンサ部311に接近させると、手指403の指先以外の部分により、目的の15階のセンサ部311が検知してオンとなる他、14、16階のセンサ部311も検知してオンとなる。ここで、検知されたセンサ部311の列の高さは右列と左列で同じであるため、図5(b)の手法では特定することができない。このため、制御部31bは、二列のうちで検知されたセンサ部311の配列数が少ない方の列である左列の最上位の15階のセンサ部311を有効な単一のセンサ部311として特定するので、利用者の意図に従ったものとなる。
ここで、図5(c)の例では、5~14階に対応する10個のセンサ部311および10個の押しボタン312が上記所定の範囲451に属することになり、制御部31bは、5~14階に対応するセンサ部311および押しボタン312を行き先階呼び登録の対象から除外する。
なお、図5(c)の例は、主操作盤318が、乗りかご1内から乗り場方向をみて、乗りかご1内の右横の前壁面に配置されていた場合において、利用者の手指403が主操作盤318の右方向から15階のセンサ部311に近接する状態を示している。ただし、これに限られず、主操作盤318が、乗りかご1内から乗り場方向をみて、乗りかご1内の左横の前壁面に配置されていた場合もあり得る。このような主操作盤318の配置の場合には、通常、利用者は、手指403を主操作盤318の左方向から15階のセンサ部311に近接させることが多い。このように、主操作盤318が扉の左側に配置され、利用者の手指403が左方向からセンサ部311に近づく場合においても、上記特定の手法を適用することができる。
なお、制御部31bは、単一のセンサ部311の操作しか検知されていない場合には、当該センサ部311を対象として特定する。
上述したセンサ部311の特定において、制御部31bは、どのセンサ部311が検知されているかは、センサ部311からの検知信号が入力された入力端子のポート番号に基づいて判断する。
図6は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置30のハードウェアを搭載した基板610の一例を示す模式図である。基板610は、主操作盤318の裏面に設けられている。基板610は、図6に示すように、その下部に24個の入力端子を備えている。入力端子はポートとも称する。
入力端子のそれぞれには、入力端子を識別するための第1の識別情報としてのポート番号が1~24の順に付されている。
ここで、ポート番号1~16までの16個の入力端子には、正面側の乗降口が開く階床に対応するセンサ部311が接続される。このポート番号1~16までの連続する範囲を、正面用範囲621と称する。ポート番号1~16までの16個の入力端子は第1の入力端子に相当する。ポート番号17~24までの18個の入力端子には、背面側の乗降口が開く階床に対応するセンサ部311が接続される。このポート番号17~24までの連続する範囲を、背面用範囲622と称する。ポート番号17~24までの18個の入力端子は第2の入力端子に相当する。このように正面用と背面用とでポート番号の連続する範囲を分けているのは、設計上の理由等による。ここで、すべての入力端子を入力端子群と称する。
本実施形態では、正面用の乗降口が開く1,3,4,6,7,9~16階に対応するセンサ部311は、図6に示すように、それぞれ階床の番号と等しいポート番号1,3,4,6,7,9~16の入力端子に接続される。一方、背面用の乗降口が開く2,5,8階に対応するセンサ部311は、図6に示すように、それぞれポート番号17,21,24の入力端子に接続される。
図7は、第1の実施形態における主操作盤318のセンサ部311および押しボタン312の配置とセンサ部311が接続される入力端子620のポート番号との対応の一例を示す模式図である。図7の例では、センサ部311および押しボタン312の横に入力端子620のポート番号を付して示している。図7に示すように、2方向エレベータにおける主操作盤318では、センサ部311に対応する階の番号と、センサ部311が接続される入力端子620のポート番号がすべて一致しているわけではない。
すなわち、正面側の乗降口が開く1,3,4,6,7、9-16階のセンサ部311に対する入力端子620のポート番号は階床の番号と同じだが、背面側の乗降口が開く2,5、8階のセンサ部311に対する入力端子620のポート番号は階床の番号と異なり、それぞれ18,21、24となっている。
ここで、制御部31bは、入力端子から検知信号を入力する際に、検知信号を送出した入力端子のポート番号を判別し、そのポート番号に対応する階床のセンサ部311が検知されてオンとなっていると判断するが、上述したセンサ部311の特定の際に、ポート番号のみで判断すると、以下のような問題が生じることがある。
図8は、図7で示した主操作盤318において利用者の手指403が近接した状態の一例を示す模式図である。この例では、図8に示すように、利用者が9階の呼びを行うため、主操作盤318の9階のセンサ部311に手指403を近づけると、略同時に、5~8階の4つのセンサ部311も検知してオンとなり、全部で5つのセンサ部311がオンとなる。
このとき、上述した検知パターンにより、制御部31bは、検知されている5つのセンサ部311のうち、検知されているセンサ部311が多い左列で、最上位である9階のセンサ部311を利用者が意図した階のセンサ部311であると特定すべきである。この際に、制御部31bは、左列の中で最上位のセンサ部311を、左列の中で最大のポート番号で判断すると、最大のポート番号が21であるため、背面側の乗降口を開く5階のセンサ部311を特定してしまい、利用者が意図しない階の行き先階呼びを行ってしまうことになる。
このため、本実施形態では、予め入力端子群のポート番号に、接続するセンサ部311に対応する階を示す階床番号を割り当てておく。具体的には、正面側の乗降口が開く階のセンサ部311が接続される入力端子(ポート番号1~16)はセンサ部311に対応する階の階床番号と同一のポート番号であるため、ポート番号と同じ階床番号をそのまま割り当てる。一方、背面側の乗降口が開く階のセンサ部311が接続される入力端子(ポート番号17~24)はセンサ部311に対応する階の階床番号と異なるポート番号であるため、センサ部311に対応する階の階床番号をポート番号に割り当てておく。
を割り当てておく。そして、制御部31bは、この階床番号と上記の検知パターンとに基づいて、単一のセンサ部311を特定する。ここで、階床番号は、階床に基づく第2の識別情報に相当する。
図9は、第1の実施形態におけるポート番号に対する階床番号の割当の一例を示す説明図である。図9に示すように、正面側の乗降口を開く1、3、4、6、7、9~16階のセンサ部311が接続されるポート番号1、3、4、6、7、9~16のそれぞれに、これと同一の階床番号1、3、4、6、7、9~16を割り当てておく。すなわち、ポート番号がそのまま階床番号として用いられる。一方、背面側の乗降口を開く2,5,8階のセンサ部311が接続されポート番号18,21,24のそれぞれに、当該入力端子に接続されるセンサ部311の階の階床番号2,5,8に割り当てておく。そして、制御部31bは、当該階床番号を用いてセンサ部311の特定を行う。図9に示す割当は、テーブルでROM等の記憶部に保存して、制御部31bが当該テーブルを参照するように構成することができる。
このため、図8の例では、5階のセンサ部311のポート番号21は階床番号5として制御部31bで扱われ、左列の最上位の階として、ポート番号9のセンサ部311が特定されることになる。
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、図10を用いて、本実施形態のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。
図10は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置30による主操作盤318のセンサ部311の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
図10に示すように、物体検知部31の制御部31bは、いずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S101)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S101:No)、制御部31bはいずれかのセンサ部311が検知状態となるまで待機する。
例えば所定のセンサ部311が、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(S101:Yes)、制御部31bは、RAM等を参照して、操作を検知したセンサ部311が既に上記所定の範囲(図5の符号451)に属するセンサ部311であり、行き先階呼び登録の対象外となっているか否かを判断する(S102)。操作を検知したセンサ部311が既に行き先階呼び登録の対象外となっている場合には(S102:Yes)、処理はS101に戻り、検知に対する処理は実行されない。
一方、S102で、操作を検知したセンサ部311が行き先階呼び登録の対象外となっていない場合には(S102:No)、制御部31bは、略同時に、他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判断する(S103)。そして、略同時に他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(S103:Yes)、制御部31bは、図8,9を用いて説明したとおり、予めポート番号に割り当てられた階床番号を用いて、検知された複数のセンサ部311のパターンに従って、利用者が操作を意図する単一のセンサ部311を対象として特定する(S121)。
そして、制御部31bは、特定されたセンサ部311から上述した所定の範囲(図4の符号451参照)に属する複数のセンサ部311および複数の押しボタン312を、行き先階呼び登録の対象から除外する(S122)。なお、制御部31bは、行き先階呼び登録の対象から除外した複数のセンサ部311および複数の押しボタン312に関する情報として、対応する階の番号等を、RAM等に記憶させる。そして、処理はS104に進む。
一方、S102で、略同時に他のセンサ部311により対応する行き先階表示部310への操作を検知していない場合、すなわち単一のセンサ部311に対応する行き先階表示部310への操作しか検知していない場合には(S102:No)、制御部31bは、当該センサ部311を対象として特定し、処理を次のステップに進める。
次に、物体検知部31の計時部31cは第1検知時間の計時を開始し、計時部31aは検知時間の計時を開始する(S104)。そして、制御部31bは、第2検知時間が遅延時間を経過したか否かを判断する(S105)。検知時間が遅延時間を経過していない場合には(S105:No)、遅延時間の経過まで待機する。一方、検知時間が遅延時間を経過した場合には(S105:Yes)、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S106)。次に、制御部31bは、当該行き先階の仮登録を行い、対応する表示灯313を暗点灯させる(S107)。また、計時部31aは、当該行き先階を表示する行き先階表示部310に対応するセンサ部311について検知時間の計時を開始する(S108)。
次に、制御部31bは、計時対象のセンサ部311、すなわちS121等で特定されたセンサ部311が非検知となったか否かを判定する(S109)。当該センサ部311が検知状態を維持している場合には(S109:No)、非検知状態となるまで待機する。
そして、S121等で特定されたセンサ部311が非検知状態となると(S109:Yes)、制御部31bは、計時部31aがカウントした検知時間が、第1の時間に達したか否かを判定する(S110)。
検知時間が第1の時間に達していなかった場合(S110:No)、制御部31bが当該行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S125)。また、制御部31bは、暗点灯している表示灯313を消灯させる(S126)。そして、処理は終了する。
一方、S110で、検知時間が第1の時間に達していた場合(S110:Yes)、ステップS113以降の処理が開始される。すなわち、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S113)。
また、計時部31aは、行き先階を表示する行き先階表示部310に対応するセンサ部311について非検知時間の計時を開始する(S114)。制御部31bは、計時部31aがカウントした非検知時間が、第2の時間に達したか否かを判定する(S115)。非検知時間が第2の時間に達するまでの間(S115:No)、制御部31bは、他のいずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S127)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S127:No)、制御部31bは、非検知時間が第2の時間に達するまで待機する。
S115で、非検知時間が第2の時間に達すると(S115:Yes)、制御部31bが行き先階に対する呼びがあったと判定し、計時部31aは非検知時間の計時を終了する(S116)。また、制御部31bは、通信部34を介して、当該行き先階に対する呼びの情報としての行き先階呼びを制御盤10に通知(すなわち送信)する(S117)。制御盤10の通信部12が行き先階呼びを受信すると、制御盤10の制御部11は行き先階についての呼び登録を行うとともに、明点灯の指令を、通信部12を介して第1の行き先階呼び装置30の呼びのあった行き先階に対応する表示灯313に送出する。これにより、主操作盤318Aの行き先階に対応する表示灯313が明点灯される(S118)。
その後、制御部11は、その呼び登録に基づいて駆動装置2を制御して、乗りかご1を行き先階呼び情報で指定された行き先階へと走行させる。
一方、S127で、非検知時間が第2の時間に達する前に(S115:No)、例えば所定のセンサ部311が、他の行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(S127:Yes)、制御部31bがS121等で特定された行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31aは非検知時間のカウントを終了する(S128)。そして、制御部31bは、S121等で特定された行き先階を表示する行き先階表示部310に対応し、暗点灯している表示灯313を消灯させる(S211)。そして、S127で検知された他の行き先階を、行き先階として(S212)、S102からの処理を繰り返し実行する。
このように本実施形態では、乗りかご1に乗降口が2つ設けられ2方向エレベータにおいて、入力端子群のポート番号を、複数のセンサ部311のそれぞれに対応する階の階床番号に割り当てておく。そして、制御部31bは、複数のセンサ部311により略同時に操作が検知された場合に、検知された複数のセンサ部311からの検知信号を入力する入力端子群のポート番号に割り当てられた階床番号と上述した検知パターンとに基づいて、単一のセンサ部を特定する。すなわち、背面側の乗降口を開くセンサ部311が接続される入力端子(例えば、ポート番号17~24)のポート番号は、対応する階床を示す階床番号に割り当て、正面側の乗降口を開くセンサ部311が接続される入力端子(例えば、ポート番号1~16)のポート番号を、そのまま対応する階の階床番号に予め割り当てておく。そして、制御部31bは、この階床番号と上記の検知パターンとに基づいて、単一のセンサ部311を特定する。
このため、本実施形態によれば、階床番号と異なるポート番号の入力端子に背面側の乗降口が開く階に対応するセンサ部311が接続されている場合でも、ポート番号をそのまま用いて検知されたセンサ部311を特定するのではなく、ポート番号に予め割り当てられた階床番号によりセンサ部311が特定される。このため、本実施形態によれば、2つの乗降口を有するエレベータにおいても、構造を変更することなく、センサ部311の過検知および誤検知を防止しながら、利用者が意図する行き先階の呼びを確実に登録することができる。従って、本実施形態によれば、エレベータの運用効率を向上させることができる。
なお、階の順番と同一の順番の識別情報であれば、階床の番号に変えて当該識別情報をセンサ部311の特定に用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。