(エレベータ制御システムの構成例)
以下に、図1を用いて、行き先階呼び装置30を含むエレベータ制御システム100について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、3つの行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cを備える。3つの行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cは互いに、有線または無線等のネットワークで接続されている。ここで、本実施形態では、行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cを3つ設けているが、これに限定されず、2個以上であればよい。また、行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cを区別しない場合には、行き先階呼び装置30と称する。
エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30に接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線等のネットワークで接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
また、行き先階呼びは、通信部12を介して行き先階呼び装置30から受信する呼び登録要求である。乗り場呼びは、通信部12を介して乗り場呼び装置(不図示)から受信する呼び登録要求である。
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
また、制御部11は、行き先階呼び装置30から行き先階呼びを受信した場合、行き先階呼びを送信した行き先階呼び装置30に対して表示灯313Aの明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯313Aを明点灯させる。また、制御部11は、乗り場呼び装置から乗り場呼びを受信した場合、乗り場呼び装置に対して表示灯の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯を明点灯させる。
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
次に、行き先階呼び装置30について説明する。
図2は、第1の実施形態の行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cの機能的構成の一例を示すブロック図である。行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cは、いずれも同じ機能的構成を有している。
行き先階呼び装置30は、主操作盤318A(図3参照)の各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付け、利用者の操作に対して処理を行う装置である。行き先階呼び装置30は、エレベータ制御装置を構成する。
行き先階呼び装置30は、物体検知部31、複数のセンサ部311A、押下検知部32、複数の押しボタン312A、複数の表示灯313A、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311A、押しボタン312A、及び表示灯313Aは乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
センサ部311Aは、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象とも称する)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311Aに手指等をかざすと、センサ部311Aは利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン312Aは、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312Aは、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312Aを押下することが可能に構成されている。
表示灯313Aは、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311Aに手指等をかざし、または、対応する押しボタン312Aを押下すると、その行き先階に対応する表示灯313Aが所定の態様で発光する。
物体検知部31は、計時部31aと、制御部31bとを備える。計時部31aは、いずれかのセンサ部311Aが利用者の手指等の物体を検知すると、検知時間の計時を開始する。計時部31aは、そのセンサ部311Aが物体を検知し続けている間は、遅延時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、遅延時間経過前に、そのセンサ部311Aが物体を検知しなくなった場合には、検知時間の計時を終了する。
また、計時部31aは、遅延時間を経過して後述する仮登録がされてから、また検知時間を計時する。そして、計時部31aは、そのセンサ部311Aが物体を検知し続けている間は、第1の時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、第1の時間経過前に、そのセンサ部311Aが物体を検知しなくなった場合には、検知時間の計時を終了する。
計時部31aは、いずれかのセンサ部311Aが物体を検知した後に、そのセンサ部311Aが物体を検知しない状態、すなわち、非検知状態になると、計時を終了する。計時部31aは、センサ部311Aが非検知となった場合に、非検知時間の計時を開始する。そして、計時部31aは第2の時間が経過したら、非検知時間の計時を終了する。
遅延時間、第1の時間、第2の時間は、任意に設定することができる。例えば、遅延時間を20ms、第1の時間を300ms、第2の時間を200msとすることができるがこれらに限定されるものではない。
また、遅延時間、第1の時間、第2の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。例えば、主操作盤318Aの下部に設けられたボックス(不図示)内のダイヤルにより遅延時間、第1の時間、第2の時間を調整するように構成することができる。また、制御盤10に設けたボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30(あるいは乗り場呼び装置)ごとに遅延時間、第1の時間、第2の時間を調整するように構成することができる。
制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより手指等による操作が検知された場合、他の行き先階呼び装置30に検知しているか否かを問い合わせ、問い合わせに対する応答に基づいて、単一のセンサ部311Aを特定し、特定されたセンサ部311Aによる操作に基づく行き先呼び登録に関する情報を、制御盤に送信する。
例えば、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合であって、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30から、行き先階呼びに対する権限有りの旨の通知を受信した場合には、行き先階呼びに関する制御を行う。
具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aが利用者の手指等の物体を検知すると、対象のセンサ部311Aを特定する。すなわち、単一のセンサ部311Aが利用者の手指等の物体を検知すると、当該単一のセンサ部311Aを対象のセンサ部311Aと特定する。複数のセンサ部311Aが略同時に利用者の手指等の物体を検知すると、検知された複数のセンサ部311Aから、所定の方式、言い換えれば、予め定められた検知状態のパターンに従って、対象のセンサ部311Aと特定する。予め定められた検知状態のパターンに従って、対象のセンサ部311Aと特定手法については後述する。ここで、略同時とは、時間的に完全に一致している必要はなく、所定の微少時間内に複数検知されれば略同時に検知されたと判断される。
制御部31bは、計時部31aが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部31bは、特定されたセンサ部311Aについて遅延時間に達する前に、計時部31aが遅延時間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311Aに対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aについて遅延時間に達した場合に、他のセンサ部311Aが物体を検知しなければ、物体を検知したセンサ部311Aに対応する呼びがあったものと判定し仮登録する。そして、制御部31bは、仮登録した場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313Aを暗点灯させる。一方、制御部31bは、当該センサ部311Aが非検知となった場合には暗点灯した表示灯313Aを消灯させる。
制御部31bは、センサ部311Aよる操作に基づく仮登録された時点から検知状態で第1の時間経過し、かつ特定されたセンサ部311Aが非検知となった場合に、特定されたセンサ部311Aによる操作に基づく呼び登録に関する情報として行き先階呼びを、通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤10により特定されたセンサ部311Aに対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、特定されたセンサ部311Aに対応する表示灯313Aが明点灯する。
押下検知部32は、制御部32bを備える。制御部32bは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押下された押しボタン312Aに対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。そして、制御部32bは、行き先階への呼びがあったと判定した場合、押下された押しボタン312Aに対応する行き先階への行き先階呼びを通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤10により押下された押しボタン312Aに対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、押下された押しボタン312Aに対応する表示灯313Aが明点灯する。
ここで、本実施形態では、表示灯313Aの発光態様としては、上述のように、第1の態様としての暗点灯と、第2の態様としての明点灯がある。暗点灯は明点灯より照度が暗い点灯を意味する。表示灯313Aの明点灯は、押しボタン312Aの押下、およびセンサ部311Aによる仮登録から第1の時間経過かつ手指を離すことによる非検知による呼び登録の入力を、第1の行き先階呼び装置30が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。明点灯は、全点灯とも称されることができる。
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
通信部34は、通信インタフェース(通信I/F)であり、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階登録呼びの情報を制御盤10に送信する。
なお、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312Aの他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン等を備えている。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を通知してもよい。
また、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313Aの他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯等を備えている。この場合、押下検知部32は、検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
次に、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPUが実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
行き先階呼び装置30は、CPU、ROM、RAM、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
ROMには、例えば、センサ部311Aの検知に基づく呼び等の制御プログラム、押しボタン312Aの押下に基づく呼び等の制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、物体検知部31の計時部31a、制御部31b、押下検知部32の制御部32b等が実現される。
ここで、呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。また、呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される各制御プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
(主操作盤の構成例)
図3は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置の一部である主操作盤318Aの構成の一例を示す模式図である。
主操作盤318Aは、エレベータの乗りかご1内の利用者による操作を受け付けたり、利用者に乗りかご1の運行状況等を表示したりすることが可能なように、乗りかご1内に設置される。乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。
主操作盤318Aの設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、乗りかご1内の扉側に向かって右側袖壁部分である。主操作盤318Aが、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
操作盤318Aは、例えば、行き先階表示部310A、センサ部311A、押しボタン312A,315A、表示灯313A,316A、開閉表示部314A、及び表示装置317Aを備える。
行き先階表示部310Aは、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して主操作盤318Aに複数配置されている。図3の例では、乗りかご1の行き先階である1階~72階にそれぞれ対応して、72つの行き先階表示部310A(一部省略)が縦方向に4列で配置されている。すなわち、例えば1~18階に対応する行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとのセットが縦1列に配置され、その列の右隣に、例えば2~36階に対応する行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとのセットが更に縦1列に配置される。同様に、その右隣に、例えば37~54階に対応する行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとのセットが縦1列に配置され、その右隣に、例えば55~72階に対応する行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとのセットが縦1列に配置されいる。ここで、図3の例では、符号は一部の階の行き先階表示部のみに付している。なお、行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとがセットですべて縦一列に配置されていてもよい。また、行き先階表示部310Aとセンサ部311Aおよび押しボタン312Aとがセットで縦2列もしくは5列以上に配置されていても良い。
センサ部311Aは、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310Aにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310A近傍の主操作盤318Aに複数配置されている。図3の例では、縦方向に4列に並ぶ行き先階表示部310Aに、それぞれ対応する72個のセンサ部311Aが一体化されて配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311Aに手指等をかざすと、そのセンサ部311Aが、対応する行き先階表示部310Aへの操作として利用者の手指等を検知する。
センサ部311Aは、例えば非接触式の反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311Aは、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
ここで、本実施形態では、センサ部311Aと押しボタン312Aは一体化されている。
図4は、実施形態にかかるセンサ部311(311A)と押しボタン312(312A)を側面から見た構成とセンサ部311の検知範囲を示す模式図である。具体的には、図4に示すように、押しボタン312の裏面3122側にセンサ部311が装着されている。
センサ部311は、図4に示すように、押しボタン312のおもて面3121から所定距離だけ離れた検知範囲401を有している。センサ部311は、図4に示すように、センサ部311と押しボタン312のおもて面3121(すなわち行き先階表示部310のおもて面3121)から第1距離だけ離間した位置までの第1空間領域405では利用者の操作を検知しない。検知範囲401は、第2空間領域に相当し、押しボタン312のおもて面3121から第1距離から離間した位置から第2距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1距離は、例えば、押しボタン312のおもて面3121から5mm程度であり、第2距離は、例えば、押しボタン312のおもて面3121から25mm程度とすることができる。ただし、第1距離、第2距離についてはこれに限定されるものではない。検知範囲401は、図4に示すように、押しボタン312のおもて面3121から離れるに従って狭まる山型である。検知範囲401は、全体が押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。検知範囲401は、押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。図4に示すように、検知範囲401は、おもて面3121と直交する第1方向D1から見て押しボタン312のおもて面3121内に収まり、かつ、その中央C1がおもて面3121の略中央C2と重なるように設定されている。一例として、検知範囲401の中央C1とおもて面3121の中央C2とは、第1方向D1から見て一致する。このように、検知範囲401の全体が押しボタン312のおもて面3121と対向する位置に設定されている。
利用者は、行き先階登録をする際には、自分の手指403等を押しボタン312へ向けて前進させ、この際に、センサ部311の検知範囲401に指先が入ってセンサ部311が検知状態となり、指先が検知範囲401から抜けて第1空間領域に入ると、センサ部311は非検知状態となる。利用者は、さらに手指403を前進させて、押しボタン312を押下する。
図3に戻り、押しボタン312Aは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Aにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Aと一体的に操作盤318Aに複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312Aのそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310Aである文字盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312Aを押下すると、上述の押下検知部32が、対応する行き先階表示部310Aへの操作として押しボタン312Aの押下を検知する。
表示灯313Aは、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Aにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Aと一体的に操作盤318に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312Aのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313Aが埋め込まれている。後述する物体検知部31からのセンサ接点信号に基づいて、及び後述するネットワークに接続された制御盤10からの点灯指令に基づいて、対応する表示灯313Aが点灯する。表示灯313Aが点灯すると、押しボタン312A及び行き先階表示部310Aを透過した表示灯313Aの光が利用者に目視される。
図3の例では、複数の表示灯313Aのうち、3階と15階を示す行き先階表示部310Aに対応する表示灯313Aが暗点灯または明点灯する様子を示している。
開閉表示部314Aは、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314Ae、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314Acを含む。図3の例では、開閉表示部314Ae,314Acが左右に並んで主操作盤318Aに配置されている。
押しボタン315Aは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部314Ae,314Acにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314Aと一体的に操作盤318Aに複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン315Ae,315Acのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部314Ae,314Acである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン315Aを押下すると、上述の押下検知部32が、対応する開閉表示部314Aへの操作として押しボタン315Aの押下を検知する。
表示灯316Aは、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部314Ae,314Acにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314Aと一体的に主操作盤318Aに内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン315Ae,315Acのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯316Ae,316Acが埋め込まれている。例えば後述の押下検知部32の検知結果に基づいて、対応するいずれかの表示灯316Ae,316Acを点灯すると、押しボタン315A及び開閉表示部314Aを透過した表示灯316Aの光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部314Ae,314Acに対する操作と認識されたかを知ることができる。
図3の例では、表示灯316Ae,316Acのいずれもが消灯している様子を示している。
表示装置317Aは、例えば液晶表示部としての液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図3の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
なお、主操作盤318Aの構成および各種構成の配置は図3の例に限られない。
また、センサ部311Aの近傍に、センサ部311Aの存在を示す表示またはセンサ部311Aに手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311Aの近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
また、それぞれのセンサ部311Aの近傍に、それらのセンサ部311Aに対応する行き先階を示す点字、センサ部311Aの存在を示す点字、またはセンサ部311Aに手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311Aの近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
また、主操作盤318Aは、乗りかご1の開閉も非接触で行うことができるよう、開閉表示部314Ae,314Acにそれぞれ対応するセンサ部を備えていてもよい。
その他、主操作盤318Aは、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
ここで、行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cのそれぞれが対象とする階床の範囲は異なっている。図5は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置30A, 30B, 30Cのそれぞれが対象とする階床の範囲を説明するための模式図である。図5では、主操作盤318Aに配列されたセンサ部311Aおよび押しボタン312Bで、対象となる階床の範囲を示している。
図5に示すように、行き先階呼び装置30Aは、1階から24階の範囲501を対象とし、当該範囲の階床でセンサ部311Aによる検知および押しボタン312Aによる押下を検知する。行き先階呼び装置30Bは、25階から48階の範囲502を対象とし、当該範囲の階床でセンサ部311Aによる検知および押しボタン312Aによる押下を検知する。行き先階呼び装置30Cは、49階から72階の範囲503を対象とし、当該範囲の階床でセンサ部311Aによる検知および押しボタン312Aによる押下を検知する。
具体的には、行き先階呼び装置30Aの基板の端子に、1階から24階までのセンサ部311Aおよび押しボタン312Aのそれぞれが接続されている。そして、行き先階呼び装置30Aが1階から24階までの各センサ部311Aからの検知信号、および1階から24階までの押しボタン312Aからの押下信号を受信するようになっている。
また、行き先階呼び装置30Bの基板の端子に、25階から48階までのセンサ部311Aおよび押しボタン312Aのそれぞれが接続されている。そして、行き先階呼び装置30Bが25階から48階までの各センサ部311Aからの検知信号、および25階から48階までの押しボタン312Aからの押下信号を受信するようになっている。
同様に、行き先階呼び装置30Cの基板の端子に、49階から72階までのセンサ部311Aおよび押しボタン312Aのそれぞれが接続されている。そして、行き先階呼び装置30Cが49階から72階までの各センサ部311Aからの検知信号、および49階から72階までの押しボタン312Aからの押下信号を受信するようになっている。なお、各基板(不図示)は、主操作盤318Aの裏面に装着されている。各基板は、LANケーブル等の有線または無線で接続されている。
上述のように主操作盤318Aには、センサ部311Aおよびセンサ部311Aと一体となった押しボタン312Aが少なくとも縦方向、本実施形態では4列縦方向に配列されており、かつ、配列されたセンサ部311Aおよび押しボタン312Aのそれぞれの間隔が狭いため、利用者が行き先階を指定しようとして手指をセンサ部311Aに近づけると、手指の大きさの範囲にある複数のセンサ部311Aが手指を検知してしまい、これらが誤検知あるいは過検知となって、利用者が意図する行き先階に対応するセンサ部311A以外のセンサ部311Aが行き先階呼び登録されてしまう可能性がある。このため、本実施形態での制御部31bでは、主操作盤318Aにおいて複数のセンサ部311Aが検知された場合に、所定の方式として、検知された複数のセンサ部311Aの検知パターンにより、利用者が意図する行き先階のセンサ部311Aを対象として特定している。
また、本実施形態では、行き先階呼び装置30ごとに対象とする階床の範囲が異なっている。このため、二つまたは三つの異なる範囲の階床のセンサ部311Aに亘って利用者の手指が接近した場合、各行き先階呼び装置30で、過検知防止の処理が実行されてしまい、行き先階呼び装置30ごとにセンサ部311Aが特定されて利用者の意図しない階の行き先階呼びがなされてしまう。
このため、本実施形態では、複数の行き先階呼び装置30の互いに異なる範囲の階床で、略同時にセンサ部311Aが検知した場合には、複数の行き先階呼び装置30で連携して、利用者が意図する階を対象とする行き先階呼び装置30を決定する。そして、決定された行き先階呼び装置30の制御部31bは、略同時に検知された一または複数のセンサ部311Aの中から、利用者が意図する階の単一のセンサ部311Aを特定している。
具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合、複数の行き先階呼び装置30のうち自己より上位の範囲の行き先階への呼びの制御を行う一または複数の行き先階呼び装置30に検知の問い合わせを行い、問い合わせに対して検知の旨の応答を受信した場合に、応答があった行き先階呼び装置30のうち最上位の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30に、行き先階呼びに対する権限有りの旨を通知する。
また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合であって、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30から、問い合わせを受信した場合には、検知した旨の応答を、問い合わせの送信先の行き先階呼び装置30に送信する。
そして、制御部31bは、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30から、行き先階呼びに対する権限有りの旨の通知を受信した場合には、検知された複数のセンサ部311Aから、予め定められた検知状態のパターンに従って、対象のセンサ部311Aと特定し、行き先階呼びを行う。
図6及び図7は、第1の実施形態にかかるセンサ部311Aの特定手法の一例を説明するための説明図である。図6の例では、利用者の手指のうち、3列にわたって利用者の手が覆うように利用者が主操作盤318Aの右側から手指(人差し指)403の指先を50階のセンサ部311Aに接近させるものとする。このとき、行き先階呼び装置30Cの対象範囲503である目的の50階のセンサ部311Aが検知してオンとなる他、人差し指403以外の指等の部分により、同範囲の49階のセンサ部311A、行き先階呼び装置30Bの対象範囲502である30,31,48階のセンサ部311A、および行き先階呼び装置30Aの対象範囲501である12階のセンサ部311Aも略同時に検知してオンとなる。
このとき、行き先階呼び装置30Aは自己より上位の階を対象範囲とする行き先階呼び装置30B, 30Cにセンサ部311Aが検知しているかの問い合わせを送信し、行き先階呼び装置30Bは自己より上位の階を対象範囲とする行き先階呼び装置30Cにセンサ部311Aが検知しているかの問い合わせを送信する。
問い合わせを受信した行き先階呼び装置30Bは、30,31,48階のセンサ部311Aが検知しているため、問い合わせの送信先である行き先階呼び装置30Bに検知している旨を通知する。問い合わせを受信した行き先階呼び装置30Cは、49,50階のセンサ部311Aが検知しているため、問い合わせの送信先である行き先階呼び装置30A, 30Bに検知している旨を通知する。
行き先階呼び装置30B, 30Cから検知の旨の通知を受信した行き先階呼び装置30Aは、検知の旨を送信した行き先階呼び装置30B, 30Cの中で最上位の範囲を対象とする行き先階呼び装置30Cに、権限有りの旨を通知する。行き先階呼び装置30Bも、最上位の範囲を対象とする行き先階呼び装置30Cに権限有りの旨を通知してもよい。
権限有りの旨の通知を受信した行き先階呼び装置30Cは、検知してオンとなっている49階と50階のセンサ部311Aから利用者の意図する階のセンサ部311Aを特定する。特定手法としては、例えば、一または複数の列のセンサ部311Aが検知されている場合、検知されているセンサ部311Aのうち高さが最も高いセンサ部311Aを特定したり、複数の列のセンサ部311Aが検知されている場合で、複数の列で高さが最も高いセンサ部311Aが存在する場合には、検知されているセンサ部311Aの数が少ない方の列のセンサ部311Aを利用者が意図する単一のセンサ部311Aと特定することができる。
図6の例では、このような特定手法により、行き先階呼び装置30Cの制御部31bは、50階のセンサ部311Aを利用者が意図した階のセンサ部311Aと特定する。なお、特定の手法は、これに限定されるものではない。
また、図7の例では、利用者の手指のうち、2列にわたって利用者の手が覆うように利用者が主操作盤318Aの右側から手指(人差し指)403の指先を26階のセンサ部311Aに接近させるものとする。このとき、行き先階呼び装置30Bの対象範囲502である目的の26階のセンサ部311Aが検知してオンとなる他、人差し指403以外の指等の部分により、同範囲の25,41,42,43階のセンサ部311A、行き先階呼び装置30Aの対象範囲501である23、24階のセンサ部311Aも略同時に検知してオンとなる。
このとき、行き先階呼び装置30Aは自己より上位の階を対象範囲とする行き先階呼び装置30Bにセンサ部311Aが検知しているかの問い合わせを送信する。問い合わせを受信した行き先階呼び装置30Bは、25,26,41,42,43階のセンサ部311Aが検知しているため、問い合わせの送信先である行き先階呼び装置30Aに検知している旨を通知する。
行き先階呼び装置30Bから検知の旨の通知を受信した行き先階呼び装置30Aは、検知の旨を送信したのは行き先階呼び装置30Bのみであるため、行き先階呼び装置30Bに、権限有りの旨を通知する。
権限有りの旨の通知を受信した行き先階呼び装置30Bの制御部31bは、検知してオンとなっている25,26,41,42,43階のセンサ部311Aの中から、上述の特定手法により、26階のセンサ部311Aを利用者が意図した階のセンサ部311Aと特定する。
なお、制御部31bは、所定の方式としての検知パターンにより特定されたセンサ部311Aから所定範囲としての下方2または3列5個の範囲に位置する複数のセンサ部311Aを行き先呼び登録の候補から除外してもよい。図6、7の例では、符号451で示す範囲となる。
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、図8、図9を用いて、本実施形態のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。
図8は、第1の実施形態にかかる行き先階呼び装置30による主操作盤318Aのセンサ部311Aの検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
図8に示すように、物体検知部31の制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aが、対応する行き先階表示部310Aへの操作を検知したか否かを判定する(S101)。いずれのセンサ部311Aも非検知状態であった場合には(S101:No)、制御部31bはいずれかのセンサ部311Aが検知状態となるまで待機する。
例えば、所定のセンサ部311Aが、ある行き先階を表示する行き先階表示部310Aへの操作を検知した場合には(S101:Yes)、制御部31bは、RAM等を参照して、操作を検知したセンサ部311Aが既に上記所定の範囲(図6,7の符号451)に属するセンサ部311Aであり、行き先階呼び登録の対象外となっているか否かを判断する(S102)。操作を検知したセンサ部311Aが既に行き先階呼び登録の対象外となっている場合には(S102:Yes)、処理はS101に戻り、検知に対する処理は実行されない。
一方、S102で、操作を検知したセンサ部311Aが行き先階呼び登録の対象外となっていない場合には(S102:No)、制御部31bは、自己の対象とする階の範囲と異なる階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から、検知の旨の問い合わせを受信したか否かを判断する(S301)。そして、検知の旨を受信している場合には(S301:Yes)、検知している旨を、問い合わせを送信した行き先階呼び装置30に送信する(S302)。そして、制御部31bは、さらに当該異なる階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から、権限有りの通知を受信したか否かを判断する(S303)。
S301で、検知の旨を受信していない場合には(S301:No)、制御部31bは、S303およびS305の処理は実行しない。
S305で、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階呼び装置30から、権限有りの通知を受信した場合には(S305:Yes)、制御部31bは、自己の行き先階呼び装置30の対象とする階の範囲で、利用者が意図する階のセンサ部311Aを特定するものと判断し、S103以降の行き先階呼びの処理を実行する。
一方、S305で、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階呼び装置30から、権限有りの通知を受信していない場合には(S305:No)、制御部31bは、自己の対象とする階の範囲より上位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30に検知の旨の問い合わせを送信する(S307)。そして、制御部31bは、上位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から検知の旨を受信したか否かを判断する(S309)。
上位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から検知の旨を受信した場合には(S309:Yes)、制御部31bは、検知の旨を送信した行き先階呼び装置30の中から最上位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30に対して権限有りの通知を送信し(S311)、S101から処理を繰り返す。
一方、S309で、上位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から検知の旨を受信しない場合には(S309:Yes)、制御部31bは、S103からの処理を実行する。
なお、S301で下位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から検知の旨を受信したか否かを判断したり、S305で下位の階の範囲を対象とする行き先階呼び装置30から権限有りの旨を受信したか否かを判断するように制御部31bを構成することもできる。
次に、制御部31bは、略同時に、他のセンサ部311Aにより対応する行き先階表示部310Aへの操作を検知したか否かを判断する(S103)。そして、略同時に他のセンサ部311Aにより対応する行き先階表示部310Aへの操作を検知した場合には(S103:Yes)、制御部31bは、図6,7を用いて説明したとおり、検知された複数のセンサ部311Aのパターンに従って、利用者が操作を意図する単一のセンサ部311Aを対象として特定する(S121)。
そして、制御部31bは、特定されたセンサ部311Aから上述した所定の範囲(図4の符号451参照)に属する複数のセンサ部311Aおよび複数の押しボタン312Aを、行き先階呼び登録の対象から除外する(S122)。なお、制御部31bは、行き先階呼び登録の対象から除外した複数のセンサ部311Aおよび複数の押しボタン312Aに関する情報として、対応する階の番号等を、RAM等に記憶させる。そして、処理はS104に進む。
一方、S102で、略同時に他のセンサ部311Aにより対応する行き先階表示部310Aへの操作を検知していない場合、すなわち単一のセンサ部311Aに対応する行き先階表示部310Aへの操作しか検知していない場合には(S102:No)、制御部31bは、当該センサ部311Aを対象として特定し、処理を次のステップに進める。
次に、物体検知部31の計時部31cは第1検知時間の計時を開始し、計時部31aは検知時間の計時を開始する(S104)。そして、制御部31bは、第2検知時間が遅延時間を経過したか否かを判断する(S105)。検知時間が遅延時間を経過していない場合には(S105:No)、遅延時間の経過まで待機する。一方、検知時間が遅延時間を経過した場合には(S105:Yes)、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S106)。次に、制御部31bは、当該行き先階の仮登録を行い、対応する表示灯313を暗点灯させる(S107)。また、計時部31aは、当該行き先階を表示する行き先階表示部310Aに対応するセンサ部311Aについて検知時間の計時を開始する(S108)。
次に、制御部31bは、計時対象のセンサ部311A、すなわちS121等で特定されたセンサ部311Aが非検知となったか否かを判定する(S109)。当該センサ部311Aが検知状態を維持している場合には(S109:No)、非検知状態となるまで待機する。
そして、S121等で特定されたセンサ部311Aが非検知状態となると(S109:Yes)、制御部31bは、計時部31aがカウントした検知時間が、第1の時間に達したか否かを判定する(S110)。
検知時間が第1の時間に達していなかった場合(S110:No)、制御部31bが当該行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S125)。また、制御部31bは、暗点灯している表示灯313を消灯させる(S126)。そして、処理は終了する。
一方、S110で、検知時間が第1の時間に達していた場合(S110:Yes)、ステップS113以降の処理が開始される。すなわち、計時部31aは検知時間の計時を終了する(S113)。
また、計時部31aは、行き先階を表示する行き先階表示部310Aに対応するセンサ部311Aについて非検知時間の計時を開始する(S114)。制御部31bは、計時部31aがカウントした非検知時間が、第2の時間に達したか否かを判定する(S115)。非検知時間が第2の時間に達するまでの間(S115:No)、制御部31bは、他のいずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310Aへの操作を検知したか否かを判定する(S127)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S127:No)、制御部31bは、非検知時間が第2の時間に達するまで待機する。
S115で、非検知時間が第2の時間に達すると(S115:Yes)、制御部31bが行き先階に対する呼びがあったと判定し、計時部31aは非検知時間の計時を終了する(S116)。また、制御部31bは、通信部34を介して、当該行き先階に対する呼びの情報としての行き先階呼びを制御盤10に通知(すなわち送信)する(S117)。制御盤10の通信部12が行き先階呼びを受信すると、制御盤10の制御部11は行き先階についての呼び登録を行うとともに、明点灯の指令を、通信部12を介して第1の行き先階呼び装置30の呼びのあった行き先階に対応する表示灯313Aに送出する。これにより、主操作盤318Aの行き先階に対応する表示灯313Aが明点灯される(S118)。
その後、制御部11は、その呼び登録に基づいて駆動装置2を制御して、乗りかご1を行き先階呼び情報で指定された行き先階へと走行させる。
一方、S127で、非検知時間が第2の時間に達する前に(S115:No)、例えば所定のセンサ部311Aが、他の行き先階を表示する行き先階表示部310Aへの操作を検知した場合には(S127:Yes)、制御部31bがS121等で特定された行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31aは非検知時間のカウントを終了する(S128)。そして、制御部31bは、S121等で特定された行き先階を表示する行き先階表示部310Aに対応し、暗点灯している表示灯313Aを消灯させる(S211)。そして、S127で検知された他の行き先階を、行き先階として(S212)、S102からの処理を繰り返し実行する。
なお、各行き先階呼び装置30において、いずれのセンサ部311Aも検知しない場合には、他の行き先階呼び装置30に対して検知しない旨を通知するように制御部31bを構成することができる。
このように本実施形態では、行き先階呼び装置30の制御部31bは、利用者が行き先階表示部310Aに近づく場合において、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合、他の行き先階呼び装置30に検知の旨を問い合わせ、問い合わせに対する応答に基づいて、単一のセンサ部311Aを特定し、特定されたセンサ部311Aによる操作に基づく行き先呼び登録に関する情報を、制御盤に送信する。具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合、複数の行き先階呼び装置30のうち自己より上位の範囲の行き先階への呼びの制御を行う一または複数の行き先階呼び装置30に検知の問い合わせを行い、問い合わせに対して検知の旨の応答を受信した場合に、応答があった行き先階呼び装置30のうち最上位の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30に、行き先階呼びに対する権限有りの旨を通知する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合であって、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30から、問い合わせを受信した場合には、検知した旨の応答を、問い合わせの送信先の行き先階呼び装置30に送信する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合であって、自己の階の範囲と異なる階の範囲の行き先階への呼びの制御を行う行き先階呼び装置30から、行き先階呼びに対する権限有りの旨の通知を受信した場合には、行き先階呼びに関する制御を行う。さらに、制御部31Bは、複数のセンサ部311Aにより略同時に操作が検知された場合には、所定の方式で単一のセンサ部を特定し、特定されたセンサ部による操作に基づく行き先呼び登録に関する情報を制御盤10に送信する。
すなわち、本実施形態によれば、互いに異なる範囲の行き先階の呼びを制御する複数の行き先階呼び装置30を連携して過検知防止処理を行っている。このため、本実施形態によれば、利用者が意図しない階の行き先階呼びがなされることを回避し、無駄な行き先階呼びを制限して、エレベータの運用効率を向上させることができる。
(変形例1)
上記実施形態では、例えば、乗りかご1内の扉側に向かって右側袖壁部分に設置された主操作盤318Aに設けられたセンサ部311A等により検知された場合の処理であったが、これに限定されるものではない。例えば、車椅子用操作盤に上記実施形態を適用することもできる。
このような車椅子用操作盤318Bの構成について説明する。図10は、変形例1の車椅子用操作盤318Bの構成の一例を示す図である。車椅子用操作盤318Bは、図10に示すように、例えば行き先階表示部310B、センサ部311B、押しボタン312B,315B、表示灯313B、開閉表示部314B、非常用ボタン316B及び液晶表示部317Bを備える。
行き先階表示部310Bは、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して車椅子用操作盤801に複数配置されている。図10の例では、乗りかご1の行き先階である1階~72階にそれぞれ対応して、72個の行き先階表示部310Bが横方向に4列となって配置されている。
センサ部311Bは、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Bの近傍に複数配置されている。
押しボタン312Bは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Bと一体的に車椅子用操作盤318Bに複数配置されている。
ここで、本実施形態では、センサ部311Bと押しボタン312Bは、センサ部311Aと押しボタン312Aと同様に、一体化されている。
表示灯313Bは、複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に車椅子用操作盤318Bに複数内蔵されている。
開閉表示部314Bは、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部と乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部とから構成される。図10の例では、二つの開閉表示部314Bが左右に並んで車椅子用操作盤318Bに配置されている。
押しボタン315Bは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、二つの開閉表示部314Bにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314Bと一体的に車椅子用操作盤318Bに複数配置されている。二つの開閉表示部314Bにそれぞれ対応して、二つの表示灯(不図示)が対応する開閉表示部314Bと一体的に車椅子用操作盤318Bに内蔵されている。
非常用ボタン316Bは、押下されることにより、管理センタ等の外部に非常事態を通知するためのボタンである。
液晶表示部317Bは、液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図10の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
ここで、センサ部311B、押しボタン312B、315B、表示灯313B、開閉表示部314B、液晶表示部317Bのそれぞれの構成は、主操作盤318Aのセンサ部311A、押しボタン312A、315A、表示灯313A、316A、開閉表示部314A、表示装置317Aの押しボタン312Aの構成と同様である。なお、車椅子用操作盤318Bの構成および各種構成の配置は図10の例に限られない。
また、エレベータ制御処理については、第1の実施形態と同様に行われる。このため、変形例1によれば第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
(変形例2)
上記実施形態、変形例1では、複数の行き先階呼び装置30が相互間で問い合わせや通知を行って連携し、センサ部311Aを特定する行き先階呼び装置30を決めていたが、これに限定されるものではない。
この変形例2では、さらに、乗りかご1内に複数の行き先階呼び装置30にネットワークで接続される管理装置を設け、行き先階呼び装置30の制御部31bを、いずれかのセンサ部311Aにより操作が検知された場合、管理装置にに検知の旨を通知するように構成する。そして、管理装置は、行き先階呼び装置30のそれぞれから検知の旨の通知を受信し、通知を送信した一または複数の行き先階呼び装置30の中から、一の行き先階呼び装置30を選定し、選定した行き先階呼び装置30に対して、行き先階呼びに関する権限有りの旨を通知する。そして、通知を受信した行き先階呼び装置30の制御部31bは、単一のセンサ部を特定し、特定されたセンサ部311Aによる操作に基づく行き先呼び登録に関する情報を、制御盤10に送信する。
このように構成することで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して第2の実施形態について詳細に説明する。第2の実施形態のエレベータ制御システムでは、第1の実施形態の行き先階呼び装置30Aの構成および機能が、行き先階の呼び機能を有する乗り場呼び装置に適用されている。以下の図面においては、上述の第1の実施形態と同様の機能を有する構成には同様の符号を付し、それらの説明を省略する。
(エレベータ制御システムの構成例)
図11は、第2の実施形態にかかるエレベータ制御システム200の機能構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、エレベータ制御システム200は、制御盤10、、3つの乗り場呼び装置50A, 50B, 50Cを備える。3つの乗り場呼び装置50A, 50B, 50Cは、有線または無線のネットワークで接続されている。乗り場呼び装置50A, 50B, 50Cを区別しない場合には、乗り場呼び装置50と称する。本実施形態では、乗り場呼び装置50を3つ設けた構成としているが、これに限定されるものではなく、2個以上であればよい。
エレベータ制御システム200が制御を行うエレベータは、例えば乗りかご1等を含む上述の第1の実施形態と同様の構成を備える。制御盤10は、例えば上述の第1の実施形態と同様の構成を備える。制御盤10と乗り場呼び装置50とは、各種信号の授受が可能なように有線または無線等のネットワークで接続されている。乗り場呼び装置50は、エレベータ制御装置を構成する。
次に、乗り場呼び装置50について説明する。乗り場呼び装置50A, 50B, 50Cはいずれも同じ構成を有している。
図12は、第2の実施形態にかかる乗り場呼び装置50の機能構成の一例を示すブロック図である。図12に示すように、乗り場呼び装置50は、物体検知部51、複数のセンサ部511A、押下検知部52、複数の押しボタン512A、複数の表示灯513A、及び通信部54を備え、乗り場の利用者による乗り場呼びを受け付ける。乗り場は、乗りかご1が発着し、利用者が乗りかご1に対して乗降車する場所である。乗り場呼び装置50のうち、少なくともセンサ部511A, 511B(511Bu, 511Bd)、押しボタン512A, 512B(512Bu, 512Bd)、及び表示灯513A, 513B(513Bu, 513Bd)は乗り場に設けられている。乗り場呼び装置50の全体が乗り場に設けられていてもよい。
センサ部511Aは、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象とも称する)にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311Aに手指等をかざすと、センサ部B11Aは利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン512Aは、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。押しボタン512Aは、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン512Aを押下することが可能に構成されている。
表示灯513Aは、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511Aに手指等をかざし、または、対応する押しボタン512Aを押下すると、その行き先階に対応する表示灯513Aが所定の態様で発光する。
センサ部511B(511Bu,511Bd)は、乗りかご1の上下の行き先方向(行き先対象)にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511Bに手指等をかざすと、センサ部511Bは利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン512B(512Bu,512Bd)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。押しボタン512Bは、所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン512Bを押下することが可能に構成されている。
発光部としての表示灯513B(513Bu,513Bd)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511Aに手指等をかざし、または、対応する押しボタン512Bを押下すると、その行き先方向に対応する表示灯513Bが所定の態様で発光する。
物体検知部51は、計時部51aと、制御部51bとを備える。制御部51bは、いずれかのセンサ部511Aが利用者の手指等の物体を検知すると、第1の実施形態と同様に、行き先階呼びに関する処理を実行する。また、制御部52bは、いずれかのセンサ部511Aが利用者の手指等の物体を検知すると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。
押下検知部52は、計時部52aと、制御部52bとを備える。制御部52bは、いずれかの押しボタン512Bが利用者によって押下されると、第1の実施形態と同様に、制御部52cととともに、行き先階呼びに関する処理を実行する。また、制御部52bは、いずれかの押しボタン512Aが利用者によって押下されると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。
通信部54は、物体検知部51または押下検知部52が、行き先階呼びまたは乗り場呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階呼びまたは乗り場呼びの情報を制御盤10に送信する。
制御盤10の制御部11は、受信した行き先階呼び、乗り場呼びを登録する。制御部11が、乗り場呼び装置50から行き先階呼びを受信した場合の処理は、第1の実施形態と同様である。
また、制御部11は、乗り場呼び登録の内容に応じて、乗りかご1をその乗り場呼びに応答させる。つまり、制御部11は、乗り場呼び登録に登録した行き先方向に走行予定の乗りかご1を、乗り場呼びがあった乗り場へと向かわせる。
なお、乗り場呼び装置50Aは、上記以外にも、乗り場の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
(主操作盤の構成例)
次に、図13を用いて、第2の実施形態の主操作盤518Aの構成例について説明する。図13は、第2の実施形態にかかる乗り場の主操作盤518Aの構成の一例を示す模式図である。
主操作盤518Aの設置位置は、例えば乗りかご1が発着する乗り場の扉横等である。1つの乗り場には少なくとも1つの主操作盤518Aが設置されていればよい。複数の乗りかご1が乗り場を発着する場合には、複数の乗りかご1のそれぞれに対応する複数の主操作盤518Aが設置されていてもよい。
すなわち、主操作盤518Aは、例えば、行き先方向表示部510B(510Au,510Ad)、センサ部511B(511Bu,511Bd)、押しボタン512B(512Bu,512Bd)、表示灯513B(513Bu,513Bd)、及び表示装置517Aを備える。また、主操作盤518Aは、例えば、利用者が行き先階を表示するための構成として、行き先階表示部510A、センサ部511A、押しボタン512A、表示灯513Aを備える。ここで、行き先階表示部510A、センサ部511A、押しボタン512A、表示灯513Aの構成および機能は、第1の実施形態にかかる主操作盤318Aの行き先階表示部310A、センサ部311A、押しボタン312A、表示灯313Aと同様である。
行き先方向表示部510Bは、例えば乗り場に到着する乗りかご1の上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかご1の行き先方向に対応して主操作盤518Aに複数配置されている。図13の例では、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応して、2つの行き先方向表示部510Bu,510Bdが縦方向に配置されている。
センサ部511Bは、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサであり、複数の行き先方向表示部510Bにそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510B近傍の主操作盤518Aに複数配置されている。図13の例では、縦方向に並ぶ行き先方向表示部510Bu,510Bdに一体的に、それぞれ対応する2つのセンサ部511Bu,511Bdが配置されている。
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部511Bに手指等をかざすと、そのセンサ部511Bが、対応する行き先方向表示部510Bへの操作として利用者の手指等を検知する。
押しボタン512Bは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510Bにそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510Bと一体的に操作盤518Bに複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン512Bのそれぞれの前面には、対応する行き先方向表示部510Bである表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン512Bを押下すると、上述の押下検知部52が、対応する行き先方向表示部510Bへの操作として押しボタン512Bの押下を検知する。
第2の実施形態では、対応する行き先方向表示部510Bが互いに等しい押しボタン512Bとセンサ部511Bとが一体的に構成されている。
表示灯513Bは、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510Bにそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510Bと一体的に主操作盤518Bに複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン512Bのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯513Bが埋め込まれている。上述の物体検知部51からセンサ接点信号、及び押下検知部52からの押しボタン接点信号に基づいて、対応する表示灯513Bが点灯すると、押しボタン512B及び行き先方向表示部510Bを透過した表示灯513Bの光が利用者に目視される。これにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
表示装置517Aは、例えば液晶パネル等として構成され、その主操作盤518Aに対応する乗りかご1、または乗り場呼びに応答中の乗りかご1等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図13の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
なお、主操作盤518Aの構成および各種構成の配置は図13の例に限られない。例えば、センサ部511A, 511Bの近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
また例えば、行き先階表示部510A、行き先方向表示部510B、押しボタン512A, 512B、表示灯513A, 513Bのうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に主操作盤518Aに配置されていてもよい。また例えば、主操作盤518Aは、押しボタン512Bu,512Bd等を備えていなくともよい。
その他、主操作盤518Aは、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
また、センサ部511Aの検知により行き先階呼びに関するエレベータ制御処理については、第1の実施形態と同様に行われる。このため、本実施形態1によれば第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。