JP7317758B2 - 全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質、全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法及び全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法 - Google Patents

全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質、全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法及び全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質、全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法及び全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、非水系電解質二次電池の需要が急激に伸びている。非水系電解質二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)で代表されるリチウムコバルト複合酸化物とともに、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)で代表されるリチウムニッケル複合酸化物、マンガン酸リチウム(LiMnO2)で代表されるリチウムマンガン複合酸化物等が広く用いられている。
ところで、コバルト酸リチウムは、埋蔵量が少ないため高価であり、かつ供給不安定で価格の変動も大きいコバルトを主成分として含有しているという問題点があった。このため、比較的安価なニッケルまたはマンガンを主成分として含有するリチウムニッケル複合酸化物またはリチウムマンガン複合酸化物がコストの観点から注目されている。
しかしながら、マンガン酸リチウムについては、熱安定性ではコバルト酸リチウムに比べて優れているものの、充放電容量が他の材料に比べ非常に小さく、かつ寿命を示す充放電サイクル特性も非常に短いことから、電池としての実用上の課題が多い。一方、ニッケル酸リチウムは、コバルト酸リチウムよりも大きな充放電容量を示すことから、安価で高エネルギー密度の電池を製造することができる正極活物質として期待されている。
出力特性を向上させることを目的とした正極活物質として、例えば、特許文献1に、Liを除く金属元素の総モル数に対するNiの割合が30モル%よりも多いリチウム複合酸化物を主成分として含み、前記リチウム複合酸化物は、平均粒子径が0.5μm以上の一次粒子が凝集して構成された粒子であって、W、Mo、Nb、及びTaから選択される少なくとも1種の元素が固溶している、非水電解質二次電池用正極活物質が開示されている。そして、このような構成によれば、非水電解質二次電池の出力特性を改善することができると記載されている。
また、特許文献2には、リチウム含有複合酸化物の一次粒子が複数凝集した二次粒子を含み、前記リチウム含有複合酸化物は、一般式aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1-a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表され、前記二次粒子は断面の空隙率が12~40%であり、かつ、正極活物質の孤立気孔率が5%以下であることを特徴とする正極活物質が開示されている。そして、このような構成によれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くし、かつDCRを低くすることができると記載されている。
特開2015-164119号公報 特許第6467352号公報
発火、漏えい、爆発の恐れのある非水系電解液を使用しない全固体電池は、安全性は向上するものの、正極層での固体電解質と正極活物質との接触を良好にとることができず、電池性能が低下する場合がある。
例えば、正極材粒子内部に多孔質状に空隙がある場合、電解液が粒子内部にまで浸透することで電気接触状態を保持することができるが、固体電解質では正極材粒子内部の空隙が電池の内部抵抗の増大や、電池として機能するための十分な容量を確保できない等の電池性能の低下を招く場合がある。
また、正極材粒子内部に空隙があることによりタップ密度が低下してしまい、体積当たりのエネルギー密度が低下してしまう問題がある。
そこで、本発明の実施形態は、高容量でタップ密度の高い全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を提供することを課題とする。
本発明は一実施形態において、組成式:(NixCoyMn1-x-y)CO3(式中、0.16≦x≦0.17、0.16≦y≦0.17である。)で表され、平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体である。
本発明の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体は一実施形態において、比表面積が7~25m2/gである。
本発明は別の一実施形態において、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α(式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95である全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質である。
本発明の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質は一実施形態において、比表面積が2.0~4.0m2/gである。
本発明は更に別の一実施形態において、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を備えた全固体リチウムイオン電池用正極である。
本発明は更に別の一実施形態において、正極層、負極層及び固体電解質層を備え、前記正極層が、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を含む全固体リチウムイオン電池である。
本発明は更に別の一実施形態において、ニッケル塩の水溶液、コバルト塩の水溶液、マンガン塩の水溶液、及び、炭酸塩の水溶液を混合して反応液を作製する工程と、前記反応液中のpHを8.2~8.8、アンモニウムイオン濃度を0~2.5g/L、液温を55~65℃に制御しながら晶析反応を行う工程と、を含み、組成式:(NixCoyMn1-x-y)CO3(式中、0.16≦x≦0.17、0.16≦y≦0.17である。)で表される、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法である。
本発明の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法は一実施形態において、前記前駆体の平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、比表面積が7~25m2/gであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である。
本発明は更に別の一実施形態において、本発明の実施形態に係る方法で製造された前記前駆体に、Ni、Co及びMnからなる金属の原子数の和(Me)とリチウムの原子数との比(Li/Me)が1.40~1.48となるようにLiを混合して、リチウム混合物を形成する工程と、前記リチウム混合物を、750~950℃で焼成する工程と、を含む全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法である。
本発明の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法は一実施形態において、前記正極活物質は、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α(式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95である。
本発明の実施形態によれば、高容量でタップ密度の高い全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を提供することができる。
(全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の構成)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体は、組成式:(NixCoyMn1-x-y)CO3(式中、0.16≦x≦0.17、0.16≦y≦0.17である。)で表される。
また、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体は、平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である。このような構成によれば、当該前駆体によって得られる本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質について、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95となるように制御しやすくなる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体は一実施形態において、比表面積が7~25m2/gであるのが好ましい。このような構成によれば、当該前駆体によって得られる本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の比表面積を2.0~4.0m2/gに制御しやすくなる。
(全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の構成)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質は、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α(式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)で表される。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質において、Liの組成が1.40以上であるため、リチウム量が十分であり安定した結晶構造を保持しやすい。また、Liの組成が1.48以下であるため、当該正極活物質を用いて作製した全固体リチウムイオン電池の放電容量が良好となる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質において、高電位下ではリチウムイオンとともに酸素イオンが酸化還元反応により電荷補償されて放電容量に寄与する。酸素の組成(O2+α)において、αが0.45未満では酸素量が不足して安定した結晶構造を保持しにくく、また、酸素の組成(O2+α)において、αが0.62超では酸素イオンの酸化還元反応の活性が下がり、当該正極活物質を用いて作製したリチウムイオン電池の放電容量が低くなる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の平均粒径D50は8.0~16.0μmに制御されている。当該平均粒径D50が8.0μm以上であると、固体電解質と正極活物質との接触面積が大きくなり、正極活物質と固体電解質との間のLiイオンの伝導性が良好となる。このため、高容量の全固体リチウムイオン電池の作製が可能となる。また、当該平均粒径D50が16.0μm超では、粒子間の空隙が大きくなり固体電解質との接触面積が小さくなるので、正極活物質と固体電解質との間のLiイオンの伝導性が担保できなくなる。当該平均粒径D50は、8.0~14.0μmであるのが好ましく、8.0~12.0μmであるのがより好ましい。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質は、タップ密度が1.6~2.0g/ccに制御されている。タップ密度が1.6g/cc以上であると、体積当たりのエネルギー密度が高い電池を構成することができる。当該タップ密度は、1.7g/cc以上であるのが好ましく、1.9g/cc以上であるのがより好ましい。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質は、円形度が0.88~0.95に制御されている。当該円形度が0.88以上であると、固体電解質と正極活物質との接触面積が大きくなり、正極活物質と固体電解質との間のLiイオンの伝導性が良好となる。このため、高容量の全固体リチウムイオン電池の作製が可能となる。当該円形度は、0.90以上が好ましく、0.92以上がより好ましい。
本発明の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質は一実施形態において、比表面積が2.0~4.0m2/gに制御されているのが好ましい。当該比表面積が2.0m2/g以上であると、固体電解質と正極活物質との接触面積が大きくなり、正極活物質と固体電解質との間のLiイオンの伝導性が良好となる。このため、高容量の全固体リチウムイオン電池の作製が可能となる。また、当該比表面積が4.0m2/g以下であると、充放電を繰り返すうちに正極活物質中の残留アルカリからリチウムイオンの析出反応が促進される。析出したリチウム化合物が電池の内部抵抗となり、充放電容量を低下させる。当該比表面積は、2.0~3.5m2/gがより好ましく、2.0~3.0m2/gが更により好ましい。
本発明において、「タップ密度」は、正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子について、セイシン企業製のタップデンサーを用いて求めることができる。具体的には、10ccのメスシリンダーに正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子5gを投入し、当該タップデンサーに設置し、1500回上下振動し、メスシリンダーの目盛を読み取り、正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子の体積と質量から算出した値である。
本発明において、「円形度」は、正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子について、Malvern社製の粒子画像分析装置「Morphologi G3」にて、取得した2万個以上の粒子の光学画像から、「solidity=0.93」のパラメータを用いてフィルタ処理を行い、測定した値である。
本発明において、「粒子断面の空隙率」は、正極活物質の前駆体粒子をエポキシ樹脂中に埋め込み、機械研磨した断面を、日本電子製JXA-8500Fにて観察する。得られた画像から、解析ソフトを用いて前駆体二次粒子1つの断面の粉体部と空隙部を色分けし、それぞれの面積を求め、
空隙率=空隙部の面積/(粉体部の面積+空隙部の面積)×100
とする。10個の二次粒子の断面について空隙率を求めて、その平均値をその前駆体二次粒子断面の空隙率とすることができる。
本発明において、「比表面積」は、正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子について、Quantachrome製 Monosorb Model MS-21を用い、窒素ガスの正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子への吸着量を測定することにより、比表面積を算出することで評価することができる。
(全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法について説明する。
まず、ニッケル塩の水溶液、コバルト塩の水溶液、マンガン塩の水溶液、及び、炭酸塩の水溶液を準備する。ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩としては、特に限定されないが、ニッケル、コバルト、マンガンの各硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩などを用いることができる。炭酸塩としては、特に限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウムなどを用いることができる。
次に、ニッケル塩の水溶液、コバルト塩の水溶液、マンガン塩の水溶液、及び、炭酸塩の水溶液を混合して反応液を作製する。次に、反応液中のpHを8.2~8.8、アンモニウムイオン濃度を0~2.5g/L、液温を55~65℃に制御しながら晶析反応を行う。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法は、このように反応液中のpH、アンモニウムイオン濃度、液温を一定の範囲内に制御しながら晶析反応させて、反応条件を最適化しており、このような特徴によって、平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、比表面積が7~25m2/gであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である前駆体を作製することができる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法においては、上述のように反応液中のpH、アンモニウムイオン濃度、液温を一定の範囲内に制御しながら晶析反応させるが、そのためには、例えば、(1)ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩、炭酸塩の混合水溶液、(2)アンモニア水、(3)アルカリ金属の塩基性水溶液の3つの原料を、反応槽に同時に少量ずつ連続供給して反応させる。一例を具体的に挙げると、10Lの反応槽に(1)ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩、炭酸塩の混合水溶液を0.60L/h、(2)アンモニア水を0.40L/h、(3)水酸化ナトリウムの水溶液を0.35L/hで同時に連続供給して晶析反応させてもよい。このように3つの原料を、反応槽に同時に少量ずつ連続供給して反応させることで、反応槽中の反応液のpHとアンモニウムイオン濃度の変動が良好に抑制され、反応液中のpHを8.2~8.8、アンモニウムイオン濃度を0~2.5g/Lに制御しやすくなる。
上記(3)のアルカリ金属の塩基性水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸塩等の水溶液であってもよい。また、当該炭酸塩の水溶液としては、例えば、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液などの炭酸基の塩を用いた水溶液が挙げられる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法において、反応液中のpHを8.2~8.8に制御しながら晶析反応を行うが、pHが8.2未満であると反応液中の金属溶解度が高くなり、生成する前駆体のNi比率が低下して、調整した金属塩の組成比から逸脱するおそれがある。またpHが8.8を超えると、生成する前駆体の粒径が小さくなり過ぎて、正極活物質の粉体密度が低下し、体積当たりのエネルギー密度が低下するおそれがある。反応液中のpHは8.3~8.7であるのが好ましく、8.4~8.6であるのがより好ましい。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法において、反応液中のアンモニウムイオン濃度を0~2.5g/Lに制御しながら晶析反応を行うが、反応液中にアンモニウムイオンがあると、ニッケルとコバルトの溶解度が高くなり、前駆体の粒子径を大きくすることができ、正極活物質の粉体密度が向上し、体積当たりのエネルギー密度を高くすることができる。アンモニウムイオン濃度が2.5g/Lを越えると反応液中のニッケルおよびコバルトの溶解度が高くなり、生成する前駆体のNi比率が低下して、調整した金属塩の組成比から逸脱するおそれがある。反応液中のアンモニウムイオン濃度は0~1.0g/Lであるのが好ましい。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法において、反応液の液温を55~65℃に制御しながら晶析反応を行うが、液温が55℃未満であると生成する前駆体の粒径が大きくなり過ぎて、正極活物質にした際に、固体電解質との接触面積が不十分となるので抵抗が大きくなる。その結果、充放電時のリチウムの移動が阻害されレート特性が低下するおそれがあり、65℃を超えると装置に不具合が生じるおそれやエネルギーコストの面で不利となるおそれがある。当該反応液の液温は60~65℃であることが好ましい。
(全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法は、まず、上述の本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体に、Ni、Co及びMnからなる金属の原子数の和(Me)とリチウムの原子数との比(Li/Me)が1.40~1.48となるようにLiを混合して、リチウム混合物を形成する。次に、当該リチウム混合物を750~950℃で焼成する。このようにして、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α(式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95である全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を作製することができる。
当該リチウム混合物を750℃未満で焼成すると前駆体とリチウム化合物が十分に反応しないという問題が生じるおそれがあり、950℃超で焼成すると結晶構造から酸素が脱離するという問題が生じるおそれがある。
当該リチウム混合物の焼成雰囲気としては、大気雰囲気であってもよく、酸素雰囲気であってもよい。
(全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を用いて、全固体リチウムイオン電池用正極を作製することができる。また、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を用いて正極層を形成し、固体電解質層、当該正極層及び負極層を備えた全固体リチウムイオン電池を作製することができる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1)
硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの1.5mol/Lの水溶液をそれぞれ調製した。
次に、これらを所定量秤量して、Ni:Co:Mn=16.7:16.7:66.6となるように混合溶液を調製した。
次に、撹拌翼付属の反応槽へ、調整した混合金属塩溶液を送液した。また、反応槽内のpHが8.8になるように1.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を反応槽へ送液し、ニッケル・コバルト・マンガンの複合炭酸塩を沈殿させた。このとき反応槽内が、晶析反応条件の反応温度60℃となるようにウォータージャケットにて保温した。反応で生成する共沈物の酸化を防止するために反応槽へ窒素ガスを導入した。反応槽へ導入するガスはヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガスなどの酸化を促進しないガスであれば、上記の窒素ガスに限らず使用することができる。
また、各原料は、反応槽に同時に少量ずつ連続供給して反応させた。
次に、得られた沈殿物を吸引ろ過した後、水洗して、120℃にて12時間乾燥させることで、前駆体であるNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)を作製した。
次に、当該複合炭酸塩粒子のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム(Li)原子数との比(Li/Me)が1.40となるように水酸化リチウムを加え、自動乳鉢で30分間混合し、混合粉を作製した。
次に、当該混合粉をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度850℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行い、正極活物質を得た。
(実施例2)
実施例2は、実施例1におけるNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)を1.44とし、マッフル炉にて焼成温度900℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例3)
実施例3は実施例1における反応槽内の混合液のpHが8.3となるように、炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は60℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.40となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度800℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例4)
実施例4は、実施例3におけるNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)を1.44とし、マッフル炉にて焼成温度950℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例3と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例5)
実施例5は実施例1における反応槽内の混合液のpHを8.2、アンモニウムイオン濃度2.5g/Lとなるように、アンモニア水と炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は60℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.40となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度750℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例6)
実施例6は、実施例5におけるNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)を1.48とし、マッフル炉にて焼成温度850℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例5と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例7)
実施例7は実施例1における硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの1.5mol/Lの水溶液をそれぞれ調製した。
次に、これらを所定量秤量して、Ni:Co:Mn=17.0:17.0:66.0となるように混合溶液を調製した。
反応槽内の混合液のpHが8.5となるように、炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は55℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.170Co0.170Mn0.660CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.44となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度800℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(実施例8)
実施例8は実施例1における硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸マンガンの1.5mol/Lの水溶液をそれぞれ調製した。
次に、これらを所定量秤量して、Ni:Co:Mn=16.0:16.0:68.0となるように混合溶液を調製した。
反応槽内の混合液のpHが8.5となるように、炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は65℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.160Co0.160Mn0.680CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.44となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度800℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1におけるNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)を1.20とし、マッフル炉にて焼成温度800℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(比較例2)
比較例2は実施例1における反応槽内の混合液のpHが9.5となるように、炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は50℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.167Co0.167Mn0.666CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.40となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度750℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(比較例3)
比較例3は実施例1における反応槽内の混合液のpHが7.8となるように、炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.148Co0.156Mn0.696CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.44となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度750℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(比較例4)
比較例4は実施例1における反応槽内の混合液のpHが8.5、アンモニウムイオン濃度5g/Lとなるように、アンモニア水と炭酸ナトリウム水溶液を前記反応槽内の混合液中に添加し、晶析法によってNi-Co-Mnの複合炭酸塩を共沈させた。このときの反応槽内の混合液の温度は60℃となるようにウォータージャケットで保温した。
このようにして作製されたNi-Co-Mn複合炭酸塩粒子(組成:Ni0.135Co0.126Mn0.739CO3)のNi、Co、Mnからなる金属の原子数の和をMeとした場合、リチウム原子数との比(Li/Me)が1.60となるように水酸化リチウムと混合して、自動乳鉢で30分間、混合し、混合された粉体をアルミナこう鉢に充填し、マッフル炉にて焼成温度800℃、保持時間8h、大気雰囲気にて焼成を行った以外、実施例1と同様の条件で正極活物質を作製した。
(評価)
上述のようにして、実施例1~8、比較例1~4にてそれぞれ酸化物系正極活物質前駆体及び酸化物系正極活物質を作製し、それらの平均粒径D50、タップ密度、円形度、粒子断面の空隙率、比表面積を測定し、さらに当該正極活物質を用いた全固体リチウムイオン電池の電池特性を測定した。また、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)及びイオンクロマトグラフ法により、正極活物質のLi、Ni、Mn、Coの含有量を測定した。その分析結果から、当該正極活物質をLiaNibCocMn1-b-cの金属組成で表した場合のa、b、cを求めた。その結果、後述の表1及び表2の正極活物質作製条件で示す組成と同様であることを確認した。なお、表2のLi/Me比は上記式中のaに対応する。
-平均粒径D50-
酸化物系正極活物質前駆体及び酸化物系正極活物質の平均粒径D50は、Microtrac製MT3300EXIIにより測定した。
-タップ密度-
タップ密度は、作製した酸化物系正極活物質前駆体及び正極活物質について、セイシン企業製のタップデンサーを用いて測定した。具体的には、10ccのメスシリンダーに正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子5gを投入し、当該タップデンサーに設置し、1500回上下振動し、メスシリンダーの目盛を読み取り、正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子の体積と質量からタップ密度を算出した。
-円形度-
円形度は、作製した酸化物系正極活物質前駆体及び正極活物質について、Malvern社製の粒子画像分析装置「Morphologi G3」にて測定した。具体的には、当該粒子画像分析装置にて、取得した2万個以上の粒子の光学画像から、「solidity=0.93」のパラメータを用いてフィルタ処理を行い、測定した。
-粒子断面の空隙率-
粒子断面の空隙率は、作製した前駆体を、エポキシ樹脂中に埋め込み、機械研磨した断面を、日本電子製JXA-8500Fにて観察した。得られた画像から、解析ソフトを用いて前駆体二次粒子1つの断面の粉体部と空隙部を色分けし、それぞれの面積を求め、
空隙率=空隙部の面積/(粉体部の面積+空隙部の面積)×100
とする。10個の二次粒子の断面について空隙率を求めて、その平均値をその前駆体二次粒子断面の空隙率とした。
-比表面積-
比表面積は、作製した酸化物系正極活物質前駆体及び正極活物質について、Quantachrome製 Monosorb Model MS-21を用い、窒素ガスの正極活物質の前駆体粒子、または、正極活物質粒子への吸着量を測定することにより、比表面積を算出することで評価した。
-電池特性-
以下、全固体電池セルの作製はアルゴン雰囲気下のグローブボックス内にて行った。実施例1~8、比較例1~4で得られた酸化物系正極活物質をそれぞれLiOC25とNb(OC255にて被覆した後に、酸素雰囲気にて400℃で1時間焼成し、ニオブ酸リチウムのアモルファス層にて表面を被覆した正極材活物質を作製した。
次に、当該表面を被覆した正極材活物質を75mgと、硫化物固体電解質材料Li3PS4を25mgとを、それぞれ測りとって混合し、正極合材を得た。
また、硫化物固体電解質材料Li3PS4を80mg測りとり、ペレット成形機を用いて5MPaの圧力でプレスし、固体電解質層を形成した。当該固体電解質層の上に正極合材を10mg投入し、30MPaの圧力でプレスして合材層を作製した。
次に、得られた固体電解質層と正極活物質層との合材層の上下を裏返し、固体電解質層側に、SUS板にLi箔(5mm径×厚み0.1mm)を貼り合わせたものを設け、20MPaの圧力でプレスしてLi負極層とした。これによって、正極活物質層、固体電解質層及びLi負極層がこの順で積層された積層体を作製した。
次に、当該積層体をSUS304製の電池試験セルに入れて拘束圧をかけて全固体二次電池とし、25℃電池初期特性(充電容量、放電容量、充放電特性)を測定した。なお、充放電条件は、充電条件:CC/CV 4.7V,0.1C、放電条件:CC 0.05C,3.0Vまでである。
上記実施例1~8、比較例1~4に係る試験条件及び評価結果を表1及び表2に示す。
(考察)
実施例1~8の正極活物質は、いずれも、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α(式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95であった。このため、いずれも高容量でタップ密度の高い正極活物質が得られた。
比較例1は、Li/Me比が低く、結晶性が低いため、放電容量が低い。
比較例2、3は、粉体内部の空隙率が高く、全固体電池を作製した際に空隙による内部抵抗が増大してしまうため、放電容量が低い。また粒子径が小さく粉体密度が上がらないため体積当たりのエネルギー密度が低い。
比較例4は、アンモニウムイオン濃度が高いため、複合炭酸塩粒子の金属組成がズレてしまっている。また、αの値が高く、充放電時の酸素イオンの酸化還元反応の活性が低いため放電容量が低い。

Claims (10)

  1. 組成式:(NixCoyMn1-x-y)CO3
    (式中、0.16≦x≦0.17、0.16≦y≦0.17である。)で表され、
    平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体。
  2. 比表面積が7~25m2/gである請求項1に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体。
  3. 組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α
    (式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)
    で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95である全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質。
  4. 比表面積が2.0~4.0m2/gである請求項3に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質。
  5. 請求項3または4に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を備えた全固体リチウムイオン電池用正極。
  6. 正極層、負極層及び固体電解質層を備え、
    前記正極層が、請求項3または4に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質を含む全固体リチウムイオン電池。
  7. ニッケル塩の水溶液、コバルト塩の水溶液、マンガン塩の水溶液、及び、炭酸塩の水溶液を混合して反応液を作製する工程と、
    前記反応液中のpHを8.2~8.8、アンモニウムイオン濃度を0~2.5g/L、液温を55~65℃に制御しながら晶析反応を行う工程と、
    を含み、
    組成式:(NixCoyMn1-x-y)CO3
    (式中、0.16≦x≦0.17、0.16≦y≦0.17である。)で表される、全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法。
  8. 前記前駆体の平均粒径D50が7.0~17.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、比表面積が7~25m2/gであり、円形度が0.88~0.95であり、粒子断面の空隙率が2~10%である請求項7に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の前駆体の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の方法で製造された前記前駆体に、Ni、Co及びMnからなる金属の原子数の和(Me)とリチウムの原子数との比(Li/Me)が1.40~1.48となるようにLiを混合して、リチウム混合物を形成する工程と、
    前記リチウム混合物を、750~950℃で焼成する工程と、
    を含む全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法。
  10. 前記正極活物質は、組成式:LiaNibCocMn1-b-c2+α
    (式中、1.40≦a≦1.48、0.16≦b≦0.17、0.16≦c≦0.17、0.45≦α≦0.62である。)
    で表され、平均粒径D50が8.0~16.0μmであり、タップ密度が1.6~2.0g/ccであり、円形度が0.88~0.95である請求項9に記載の全固体リチウムイオン電池用酸化物系正極活物質の製造方法。
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