JP7317437B2 - 注入支援システム及び方法、並びにプログラム - Google Patents
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Description
しかし、数値を読み取るだけでは、注入の状況をリアルタイムで直観的に把握するのは難しい。
本発明は、かかる事情に鑑み、施工中のトンネルの周辺の地山に注入材を注入する注入工法において、注入の状況をリアルタイムで直観的に把握できるようにすることを目的とする。
各注入孔における注入データを取得する取得部と、
前記注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する作成部と、
前記表示データを画像表示する画像表示部と
を備えたことを特徴とする。
前記作成部が、各注入孔における注入状況を実際の注入孔の並びにしたがって表示画面上に並べた表示データを作成することが好ましい。
前記注入度合が、注入量又は注入圧を含むことが好ましい。
前記グラフは、棒グラフでもよく、折れ線グラフでもよい。
前記注入機が、前記注入領域ごとに注入材を注入し、
前記取得部が、前記注入領域ごとに注入データを取得し、
前記作成部が、各注入孔における注入状況を注入領域ごとに視覚的態様によって区別した表示データを作成することが好ましい。
前記視覚的態様が、線の種類(実線、点線など)、線の太さなど含んでいてもよい。前記視覚的態様が、点滅などの時間的変化を伴うものであってもよい。
前記送信された注入データを受信する遠隔無線端末と、を更に備え、
前記遠隔無線端末が、前記作成部と、前記表示データを画像表示する画像表示部とを含むことが好ましい。
前記注入機が、受信した前記操作情報にしたがって運転されることが好ましい。
前記遠隔無線端末が、前記注入データを蓄積する記憶部を含み、かつ前記記憶端末に蓄積された注入データを定期的又は不定期的に受信して、前記記憶部の注入データを更新することが好ましい。
各注入孔における注入データを取得する工程と、
前記注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する工程と、
前記表示データを画像表示する工程と
を備えたことを特徴とする。
各注入孔における注入データを受け取る処理と、
受け取った注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する処理と、
を実行させることを特徴とする。
前記注入機に対する操作入力部の表示指令を受け付ける処理と、
前記表示指令を受けたとき、前記操作入力部を前記画像表示部に表示させる処理と、
前記操作入力部の操作を受け付ける処理と、
前記操作入力部の操作情報を前記注入機へ送信する処理と、
を実行させることを特徴とする。
図1は、例えばNATM工法によって施工中の山岳トンネル1において、周辺の地山に注入材2を注入する様子を示したものである。注入材2としては、シリカレジン等のウレタン系発泡樹脂が用いられている。該注入材2は、A液とB液を出発物質とする。これら2液が混合されて発泡しながら地山に注入されて硬化する。これによって、トンネル周辺の地山が安定化される。
図3に示すように、注入機10には、1又は複数の注入ポンプ11と、操作盤13と、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)30が設けられている。ここでは、2台で1組の注入ポンプ11が3組、合計6台設けられている。1組の注入ポンプ11のうち1台がA液用であり、他の1台がB液用である。管理の便宜上、各組の注入ポンプ11に機番が付され、2台1組ごとに「1号機」、「2号機」、「3号機」と称されている。これら機番(「1号機」、「2号機」、「3号機」)は、それぞれ注入領域R1,R2,R3と対応している。
各注入管16の先端部には、歪センサなどの注入圧センサ17が設けられている。
なお、図4において、注入孔21の口径は、軸長に対して誇張されている。
操作つまみ13aは、A液用の注入ポンプとB液用の注入ポンプの何れかを個別に操作するか、A液用とB液用の両方の注入ポンプをまとめて同時に操作するかを選択するためのつまみである。
操作つまみ13bは、運転開始ボタンである。
操作つまみ13cは、運転停止ボタンである。
操作つまみ13dは、注入流速調整ボリュームである。
操作つまみ13eは、リセットボタンである。
図示は省略するが、更に注入機10には、注入データをチャート紙に出力するチャート出力部、注入データをセブンセグメントなどで表示する数値表示部、最終注入量の目標値や注入圧の上限値などを設定する設定部などが設けられている。
注入管16に流量計を設けて注入流速を検知し、PLC30に入力してもよい。
注入ポンプ11の1回転あたりの吐出流量と回転回数とによって注入量(kg)を算出してもよい。
注入データ取得の時間間隔は、例えば0.1秒から0.数秒程度であるが、これに限られるものではない。
注入支援データ31dは、前記蓄積注入データ31gの他、前記帳票の書式データ等の注入支援プログラム31pを実行するためのデータを含む。
図6に示すように、遠隔無線端末32は、CPU32a、ディスプレイ32b(画像表示部)、記憶部32m、無線通信部32eを含む。
注入データ蓄積・更新処理プログラム32qは、PLC30から注入データを経時的に受け取って記憶部32mに蓄積注入データ32gとして蓄積する処理、及びその蓄積注入データ32gを定期的又は不定期的に更新する処理を、遠隔無線端末32に実行させる。
前記注入状況は、未注入か注入中か注入完了かの区別、注入量、注入速度、注入圧などを含む。
なお、注入状況表示画面37における画像40,50,60どうしのレイアウトは、図7の例示に限らず、適宜変更してもよい。注入状況表示画面37内に注入量の合計や注入圧の平均など数値データをまとめた表37bを設けてもよい。
アーチ画像40には、各部分42e,42aの視覚的態様と注入状況との関係を説明した凡例43を付けることが好ましい。凡例43は表示指令に応じて表示されるようになっていてもよい。
棒グラフ画像50には、色等の視覚的態様とポンプ機番(ひいては注入領域R1,R2,R3)との関係を説明した凡例53を付けることが好ましい。凡例53は表示指令に応じて表示されるようになっていてもよい。
最終注入圧の折れ線61を太線で表し、初期注入圧の折れ線62を細線で表してもよい。
折れ線グラフ画像60には、折れ線の線種、色、太さなどの視覚的態様が何を表しているかを説明した凡例63を付けることが好ましい。凡例63は表示指令に応じて表示されるようになっていてもよい。
初期注入圧の折れ線62だけを表示したり、最終注入圧の折れ線61だけを表示したり、両方の折れ線61,62を表示したり選択可能にしてもよい。
例えば操作入力部38aは、A液用の注入ポンプとB液用の注入ポンプの何れかを個別に操作するか、A液用とB液用の両方の注入ポンプをまとめて同時に操作するかを選択するボタンであり、操作盤13の操作つまみ13aと対応する。
操作入力部38bは、運転開始ボタンであり、操作つまみ13bと対応する。
操作入力部38cは、運転停止ボタンであり、操作つまみ13cと対応する。
操作入力部38dは、注入流速調整ボリュームであり、操作つまみ13dと対応する。
操作入力部38eは、注入量(注入積算流量)などのリセットボタンであり、操作つまみ13eと対応する。
好ましくは、注入操作指令画面38における各操作入力部38a~38e等の配置は、操作盤13における操作つまみ13a~13e等の配置と実質的に同じである。
さらに、注入操作指令画面38には、注入する孔番号を指定する操作入力部38f、操作権限を選択する操作入力部38gなどが設けられている。
捨て打ち運転の開始及び停止の操作入力部が設けられていてもよい。
トンネル1をあるスパンだけ掘進して覆工(図示せず)を構築するとともに、ドリルジャンボ(図示せず)によって先受け鋼管20を打設することで注入孔21を形成する。
その後、前記ドリルジャンボを後退させ、入れ替わりにトラック4を切羽1e側へ前進させる。
トラック4の注入機10から延びる注入管13を注入孔21に差し入れる。続いて、注入ポンプ11を駆動することによって、注入材2を注入孔21から地山に注入する。
一般に、まず孔番号が奇数番の注入孔21へ注入を行い、その後、偶数番の注入孔21へ注入を行う。各注入孔21については、好ましくは注入領域R1,R2,R3ごとに、対応する機番の注入ポンプ11によって注入を行う。
注入機10の操作は、操作盤13で行うだけでなく、注入支援システム3の遠隔無線端末32によっても行うことができる。
図9のフローチャートに示すように、作業者Aが遠隔無線端末32の電源を入れると、注入支援プログラム32pが自動起動されて(ステップ001)、トップメニューが表示され(ステップ002)、遠隔無線端末32が、例えば注入状況表示画面37及び注入操作指令画面38の何れかの表示指令の受付けモードになる(ステップ003)。
作業者Aが注入操作指令画面38の表示指令を選択すると(ステップ004)、図10に示すように、操作入力部38a~38f等を含む注入操作指令画面38がディスプレイ32bに表示される(ステップ100)。
また、注入流速調整用の操作入力部38dによって注入流速を設定する。
続いて、例えば操作入力部38aによってAB同時注入を選択するとともに、運転開始用の操作入力部38bを押下する。
3つの機番の操作入力部38a~38eをそれぞれ操作する。
図11に示すように、PLC30は、前記操作情報を受信したときは(ステップ201)、その操作情報にしたがって所定の処理を実行する(ステップ202)。これによって、注入機10が、遠隔無線端末32からの操作情報にしたがって運転される。
操作入力部38a~38eについてはレイアウトが操作盤13の操作つまみ13a~13eと同じであるために、操作盤13の操作に慣れた作業者Aは、注入操作指令画面38を容易に操作することができる。
取得した注入データは、LAN33によって記憶端末31及び遠隔無線端末32に送信される(ステップ204)。
なお、記憶端末31においても、同様に受信した注入データを受信時刻などと共に記憶部31mに蓄積注入データ31gとして蓄積する。
ここで、PLC30と記憶端末31とは有線LAN接続であるから、通信エラーが発生しにくい。したがって、記憶端末31の蓄積注入データ31gのほうが、遠隔無線端末32の蓄積注入データ32gより信頼性が高いと言える。
これを受信した遠隔無線端末32は、記憶部32mの蓄積注入データ32gを前記記憶端末31からの蓄積注入データ31gに更新(上書き)する(ステップ311~ステップ312)。これによって、遠隔無線端末32の蓄積注入データ32gの信頼性を向上させることができる。
棒グラフ画像50によって、各注入孔21の注入量を一目で把握できる。しかも、注入領域R1,R2,R3ごとの注入量をも簡単に把握できる。
折れ線グラフ画像60によって、各注入孔21の注入圧、ひいては隣接する注入孔21相互間の注入圧差を一目で、かつリアルタイムで把握できる。
このように、注入支援システム3を用いて注入材2の注入状況を可視化することによって、先行地山(切羽1eの奥側の地山)の改良状態を的確に予測しながら、トンネル1の掘進を行うことができる。
また、記憶端末31の蓄積注入データ31gを用いて、作業日報などの帳票を簡単に作成できる。一般的な表計算ソフトウェアで編集可能な帳票を出力することもできる。
例えば、トンネル1の外部の例えばオフィスや詰所の外部コンピュータが、注入支援システム3のネットワーク33に組み込まれていてもよい。該外部コンピュータによっても、注入状況表示画面37(図7)で注入状況をリアルタイムで確認できるようにしたり、注入操作指令画面38(図8)で注入機10を遠隔操作できるようにしたりしてもよい。
外部コンピュータとPLC3及び端末31,32との接続には、図5の二点鎖線にて示すインターネットなどの公衆通信網5を用いてもよい。
外部コンピュータとPLC30及び端末31,32とによって、仮想プライベートネットワーク(VPN)が構築されるようにしてもよい。
注入材2は、ウレタン系発泡樹脂に限らず、モルタル、セメントなどであってもよい。
1 トンネル
1a アーチ部
2 注入材
3 注入支援システム
3c 取得部
10 注入機
11 注入ポンプ
13d 操作つまみ
17 注入圧センサ(取得部)
21 注入孔
30 プログラマブルロジックコントローラ(取得部)
31 記憶端末
31g 蓄積注入データ
31p 注入支援プログラム
32 遠隔無線端末
32a CPU(作成部)
32b ディスプレイ(画像表示部)
32d 注入支援データ
32g 蓄積注入データ
32p 注入支援プログラム(プログラム)
32q 注入データ蓄積・更新処理プログラム(プログラム)
32r 注入状況表示プログラム(プログラム)
32s 注入操作プログラム(プログラム)
34 アーチ表示データ(表示データ)
35 棒グラフ表示データ(表示データ)
36 折れ線グラフ表示データ(表示データ)
37 注入状況表示画面
38 注入操作指令画面
38a~38g 操作入力部
40 アーチ画像
50 棒グラフ画像
60 折れ線グラフ画像
Claims (12)
- 施工中のトンネル内に設置された注入機からの注入材を、周辺の地山に形成した複数の注入孔から前記地山に注入する注入工法における注入支援システムであって、
前記複数の注入孔が、前記トンネルの周方向に間隔を置いて並んで配置されており、
各注入孔における注入データを取得する取得部と、
前記注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する作成部と、
前記表示データを画像表示する画像表示部と
を備え、前記作成部は、前記トンネルを模した図形に沿って、前記各注入孔を模した、前記図形より小さな複数の図形が、実際の注入孔の並び順の通りに間隔を置いて配置され、かつ前記小さな複数の図形の各々における内側部分の色が、その図形が表す注入孔の外部かつ周辺の地山へ広がる前記注入材の注入度合を表す表示画面の表示データを作成することを特徴とするトンネル施工における注入支援システム。 - 前記作成部が、前記トンネルを模した図形として前記トンネルのアーチ部を模した大径の半円部に沿って、各注入孔を模した前記小さな図形として複数の小径の円部を並べた表示データを作成し、かつ前記各円部の視覚的態様によって対応する注入孔の注入状況を表すことを特徴とする請求項1に記載の注入支援システム。
- 前記作成部が、前記各円部の縁部分の色が、対応する注入孔について未注入か注入中か注入完了かを表し、前記各円部の前記縁部分より内側部分の色が、対応する注入孔が注入中であるとき、前記外部かつ周辺の地山へのリアルタイムの注入度合を表す表示データを作成することを特徴とする請求項2に記載の注入支援システム。
- 前記作成部が、縦軸を各注入孔における注入度合とし、横軸を前記実際の注入孔の並びとしたグラフの表示データをさらに作成することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の注入支援システム。
- 前記注入度合が、注入量又は注入圧を含むことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の注入支援システム。
- 各注入孔が、直線状に延び、かつ延び方向に複数の注入領域に区分けされており、
前記注入機が、前記注入領域ごとに注入材を注入し、
前記取得部が、前記注入領域ごとに注入データを取得し、
前記作成部が、各注入孔における注入状況を注入領域ごとに視覚的態様によって区別した表示データを作成することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の注入支援システム。 - 前記取得部が取得した注入データを送信する通信部と、
前記送信された注入データを受信する遠隔無線端末と、を更に備え、
前記遠隔無線端末が、前記作成部と、前記表示データを画像表示する画像表示部とを含むことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の注入支援システム。 - 前記遠隔無線端末が、前記注入機に対する操作入力部を前記画像表示部に表示させる操作表示部と、前記操作入力部の操作情報を前記注入機へ送信する操作送信部とを更に含み、
前記注入機が、受信した前記操作情報にしたがって運転されることを特徴とする請求項7に記載の注入支援システム。 - 前記取得部と接続され、前記取得部からの注入データを蓄積する記憶端末を更に備え、
前記遠隔無線端末が、前記注入データを蓄積する記憶部を含み、かつ前記記憶端末に蓄積された注入データを定期的又は不定期的に受信して、前記記憶部の注入データを更新することを特徴とする請求項7又は8に記載の注入支援システム。 - 施工中のトンネル内に設置された注入機からの注入材を、周辺の地山に形成した複数の注入孔から前記地山に注入する注入工法における注入支援方法であって、
前記複数の注入孔が、前記トンネルの周方向に間隔を置いて並んで配置されており、
各注入孔における注入データを取得する工程と、
前記注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する工程と、
前記表示データを画像表示する工程と
を備え、前記作成する工程では、前記トンネルを模した図形に沿って、前記各注入孔を模した、前記図形より小さな複数の図形が、実際の注入孔の並び順の通りに間隔を置いて配置され、かつ前記小さな複数の図形の各々における内側部分の色が、その図形が表す注入孔の外部かつ周辺の地山へ広がる前記注入材の注入度合を表す表示画面の表示データを作成することを特徴とする注入支援方法。 - 請求項1~9の何れか1項に記載の注入支援システムにおける作成部を構成するコンピュータに、
各注入孔における注入データを受け取る処理と、
受け取った注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する処理と、
を実行させ、前記作成する処理では、前記トンネルを模した図形に沿って、前記各注入孔を模した、前記図形より小さな複数の図形が、実際の注入孔の並び順の通りに間隔を置いて配置され、かつ前記小さな複数の図形の各々における内側部分の色が、その図形が表す注入孔の外部かつ周辺の地山へ広がる前記注入材の注入度合を表す表示画面の表示データを作成する処理を実行させることを特徴とするプログラム。 - 請求項8に記載の注入支援システムにおける遠隔無線端末を構成するコンピュータに、
各注入孔における注入データを受け取る処理と、
受け取った注入データに基づいて、各注入孔における注入状況を視覚的に識別可能に表す表示データを作成する処理と、
前記注入機に対する操作入力部の表示指令を受け付ける処理と、
前記表示指令を受けたとき、前記操作入力部を前記画像表示部に表示させる処理と、
前記操作入力部の操作を受け付ける処理と、
前記操作入力部の操作情報を前記注入機へ送信する処理と、
を実行させ、前記作成する処理では、前記トンネルを模した図形に沿って、前記各注入孔を模した、前記図形より小さな複数の図形が、実際の注入孔の並び順の通りに間隔を置いて配置され、かつ前記小さな複数の図形の各々における内側部分の色が、その図形が表す注入孔の外部かつ周辺の地山へ広がる前記注入材の注入度合を表す表示画面の表示データを作成する処理を実行させることを特徴とするプログラム。
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