JP7317197B1 - 無溶剤型反応性接着剤、及び積層体 - Google Patents

無溶剤型反応性接着剤、及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス原料を用いながらも、優れた外観とポットライフを有し、且つ、水性インキ層に接した際の接着強度に優れる接着剤の提供。外観に優れ、水性インキ層を接した構成においても接着強度に優れる積層体の提供。【解決手段】上記課題は、ポリオール(A)、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物を含むポリイソシアネート(B)、及び、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)を含む無溶剤型反応性接着剤、及びそれを用いた積層体によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、無溶剤型反応性接着剤及びそれを用いた積層体に関し、より詳細には、食品、医療品、化粧品等の包装用材料として有用な反応性接着剤及びそれを用いた積層体に関する。
従来、包装材料の製造において、各種プラスチックフィルム同士、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルム、プラスチックフィルムと金属箔とを貼り合わせる工程には、ポリオール/イソシアネート系の溶剤型接着剤を用いるドライラミネート方式が用いられてきた。しかし、ドライラミネート方式は、揮発した有機溶剤による環境汚染、火災爆発の危険性、作業環境の衛生性阻害等の課題があり、労働作業環境の改善、消防法の強化、大気中へのVOC(揮発性有機化合物)の放出規制等の要求から、接着剤の無溶剤化の検討が進められている。一方、印刷インキの観点では、大気中へのVOCの放出規制等の要求から、水性インキの要求が高まっている。
しかしながら、無溶剤型接着剤は、塗工時にゆず肌状の模様が発生し、外観不良が生じるという問題がある。また、特に、無溶剤型接着剤を用いて蒸着フィルム等のバリア性基材を貼りあわせた構成では、硬化過程で生じた二酸化炭素ガスにより、接着剤層に気泡やゆず肌状の模様が発生し、外観不良が生じるという問題がある。
このような外観不良を改良する方法として、例えば特許文献1及び2には、接着剤の粘度を下げる方法が提案されている。
また特許文献3には、トリアセチン等の高沸点溶剤を配合することで接着剤の粘度を下げる方法が提案されている。
特開平8-283691号公報 特開2002-249745号公報 特開2016-121270号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、樹脂の凝集力が低下し、接着性能が低下する。これにより、比較的接着が容易な延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム等のフィルム同士の接着には適用できるが、金属蒸着フィルムや金属箔等に対しては接着性能が不足するという課題がある。
さらに、低粘度化するために分子量を下げることによって反応点が増加し、ポットライフが悪化するという課題がある。特に近年、環境対応としてバイオマス原料の利用が求められているが、上記ポットライフの問題は、バイオマス原料を用いることで悪化し易い傾向にあり、塗工作業中に粘度が大幅に増加することで、ハンドリングに劣るだけでなく、塗工物の性能が安定しないという問題がある。
また、特許文献3記載の方法では、接着剤硬化膜のガラス転移点(Tg)が下がり、硬化膜が柔軟になる傾向にある。特に、水性インキ層に接して接着剤層を設ける場合、接着剤層が水性インキ層中に含まれる水分を吸収して硬化不良が生じるという課題がある。
したがって、従来の技術では、外観に優れ、長いポットライフを有し、且つ水性インキ層と接した場合でも硬化不良を生じない接着剤を提供することができない。
したがって、本発明の課題は、バイオマス原料を用いながらも、優れた外観とポットライフを有し、且つ、水性インキ層に接した際の接着強度に優れる接着剤を提供することにある。また本発明の課題は、外観に優れ、水性インキ層を接した構成においても接着強度に優れる積層体を提供することにある。
本開示の一態様に係る無溶剤型反応性接着剤は、ポリオール(A)、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物を含むポリイソシアネート(B)、及び、
実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)を含むことを特徴とする。
本開示の一態様に係る無溶剤型反応性接着剤は、前記ポリオール(b1)が、ポリオール(b1)の質量を基準として、ポリエーテルポリオールを50質量%以上含むことを特徴とする。
本開示の一態様に係る無溶剤型反応性接着剤は、前記ポリイソシアネート(b2)が、ポリイソシアネート(b2)の質量を基準として、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを75質量%以上含むことを特徴とする。
本開示の一態様に係る無溶剤型反応性接着剤は、前記実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)の含有率が、接着剤の質量を基準として1~20質量%であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る無溶剤型反応性接着剤は、前記実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)の、JIS K0070:1992に準拠して測定したヨウ素価が、40~150gI/100gの範囲であり、且つ、25℃で液状であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る積層体は、前記反応性接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に配置されたことを特徴とする。
本発明により、バイオマス原料を用いながらも、優れた外観とポットライフを有し、且つ、水性インキ層に接した際の接着強度に優れる接着剤を提供することができる。また本発明により、外観に優れ、水性インキ層を接した構成においても接着強度に優れる積層体を提供することができる。
本発明の無溶剤型反応性接着剤は、ポリオール(A)、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物を含むポリイソシアネート(B)、及び、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)を含むことを特徴とする。
実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸を含み、且つ、ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたウレタンイソシアネートを用いることで、反応速度が速くポットライフに劣る無溶剤型反応性接着剤において、反応速度を制御でき、優れたポットライフを発揮することができる。加えて、一度反応が開始した後は、素早い反応速度を維持することができ、水性インキ層と接した場合でも硬化不良を抑制することができる。
また、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸を含むことで、塗工時の粘度を下げることができ、塗工後のレベリング性が向上するため、優れた外観を達成することができる。
<ポリオール(A)>
本発明におけるポリオール(A)は、分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物であればよく、特に制限されない。
このようなポリオール(A)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ポリヒドロキシアルカン、フッ素系ポリオールが挙げられる。
また、ポリオール(A)は、ひまし油、ひまし油誘導体のようなひまし油系ポリオール等の植物油由来のポリオールであってもよい。植物油由来のポリオールを用いることで、接着剤のバイオマス度を高め環境への負荷を低減することができる。
これらのポリオールは変性されていてもよく、例えば、これらのポリオールは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であって、水酸基の一部にポリイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
例えば、これらのポリオールは、ポリオールと酸無水物との反応生成物であって、水酸基の一部に酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものであってもよい。
前記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物は、例えば、炭素数2~30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールビスアンハイドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンハイドロトリメリテート等を用いることができる。
これらポリオール、ポリイソシアネート、及び酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリオール(A)は、接着性能及びポットライフの観点から、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、植物油由来のポリオール、及びこれらの変性物であり、より好ましくは、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物、植物油由来のポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物である。
なお、本明細書において、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物をポリエーテルウレタンポリオール、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物をポリエステルウレタンポリオール、ポリエーテルポリオールと多価カルボン酸との反応生成物をポリエーテルエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物又は前記ポリエーテルエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物をポリエーテルエステルウレタンポリオール、植物油由来のポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を植物油系ポリウレタンポリオールと略記することがある。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールは、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよい。
上記ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が挙げられる。
また、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体をポリエーテルポリオールとして用いてもよい。
該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、例えば、カルボキシ基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記カルボキシ基成分は公知のものであれば特に制限されず、単官能カルボン酸又は多価カルボン酸を用いることができる。このようなカルボキシ基成分としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸のような芳香環を有する単官能のカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸のような非環状脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸;これら脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類;が挙げられる。
上記水酸基成分は公知のものであれば特に制限されないが、例えば、ジオールや3官能以上のポリオールが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサンのような脂肪族ジオール;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコールのようなエーテルグリコール;前記脂肪族ジオールと、エチレンオキシド、テトラヒドロフランのような種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルジオール;前記脂肪族ジオールと、ラクタノイド、ε-カプロラクトンのような種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFのようなビスフェノールにエチレンオキサイド等を付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物;が挙げられる。
前記3官能以上のポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールのような脂肪族ポリオール;前記脂肪族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルのような種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記脂肪族ポリオールと、ε-カプロラクトンのような種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;ひまし油、ひまし油誘導体のようなひまし油系ポリオール;が挙げられる。
本発明に用いるポリオール(A)は、JIS Z 8803に規定される単一円筒型回転粘度計(以下、B型粘度計)を用いて測定された25℃における粘度が、好ましくは100~10,000mPa・s、より好ましくは500~8,000mPa・sの範囲である。100mPa・s以上であるとトンネリングの発生が抑制され、10,000mPa・s以下であると塗工時の糸曳きが抑制され、レベリング性を維持できるため好ましい。
<ポリイソシアネート(B)>
本発明に用いるポリイソシアネート(B)は、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートを含む。
[植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物]
植物油由来のポリオールは、ポリオール(b1)の質量を基準として30質量%以上であることが重要である。30質量%以上であることで、疎水性が向上し、優れた耐水性を発揮する。植物油由来のポリオール含有率は、耐水性の観点から、好ましくは35質量%以上である。また、ポットライフの観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
(ポリオール(b1))
ポリオール(b1)は、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むことが重要である。30質量%以上含むことで、樹脂骨格が疎水性となり、優れた耐水性を発揮する。植物油由来のポリオールの含有量は、ポットライフの観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。また、ポリオール(b1)は、接着強度の観点から、植物油由来のポリオールと、その他ポリオールとを併用することが好ましい。
(植物油由来ポリオール)
植物油由来ポリオールは、ひまし油に代表される植物油の成分を使用したポリオールであり、例えば、ひまし油、ひまし油誘導体、ひまし油以外の植物油誘導体が挙げられる。植物油由来ポリオールは、バイオマス由来であることで、ラミネート接着剤のバイオマス度を高め環境への負荷を低減することができる側面もある。また、後述する、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)と同じ植物油脂系であり、混和性が良好なことから好適に用いられる。
《ひまし油》
ひまし油は、リシノール酸を主成分とする脂肪酸のグリセリドであって、例えば、リシノール酸、オレイン酸及びリノール酸を含む不飽和脂肪酸と、パルミチン酸及びステアリン酸を含む飽和脂肪酸とのグリセリドが挙げられる。
ひまし油における各成分の含有割合は、通常、リシノール酸が87~90質量%であり、オレイン酸が2.5~4質量%であり、リノール酸が4~5質量%であり、パルミチン酸が0.5~1.5質量%であり、ステアリン酸が0.5~1.5質量%である。ひまし油における水酸基の平均官能基数は、例えば2~3.3程度であり、好ましくは2.5~3程度である。ひまし油における水酸基価は、例えば、150~175mgKOH/gであり、好ましくは155~170mgKOH/gである。なお、水酸基価は、JIS K 1557-1(2007年)に準拠するアセチル化法やフタル化法等により求めることができる。
ひまし油は、市販品を用いることができる。ひまし油の市販品としては、例えば、脱臭精製ひまし油(豊国製油社製)、精製ひまし油(豊国製油社製)、ELA-DR(豊国製油社製)、工業用一号ひまし油(豊国製油社製)、精製ひまし油特A(マルトクA)(伊藤製油社製)、精製ひまし油特A(カクトクA)(伊藤製油社製)、精製ひまし油特A(ダイヤ)(伊藤製油社製)、精製ひまし油工1(カクコウイチ)(伊藤製油社製)、精製ひまし油工1(コウイチ)(伊藤製油社製)、FSG CASTOR OIL(ROYAL CASTOR PRODUCTS社製)、COLD PRESS CASTOR OIL(ROYAL CASTOR PRODUCTS社製)が挙げられる。
《ひまし油誘導体、ひまし油以外の植物油誘導体》
ひまし油誘導体としては、例えば、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるひまし硬化油(以下、水添ひまし油)、ひまし油のエチレンオキシド5~50モル付加体、ひまし油系ポリオールが挙げられる。
ひまし油系ポリオールとは、ひまし油を強塩基等で加水分解して得られる前記脂肪酸に、低分子ジオールや多官能アルコールを縮合させることで得られる両末端水酸基のポリオールやひまし油と低分子ジオールや多官能アルコールをエステル交換反応させたものが挙げられる。
ひまし油以外の植物油誘導体としては、エポキシ化大豆油等に低分子ジオールや多官能アルコールを付加させたものが挙げられる。
上記低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の2官能アルコール若しくはそれらの混合物が挙げられる。
上記多官能アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサトリオール、1,2,4-ブタントリオール等の3官能以上の多官能アルコール若しくはそれらの混合物が挙げられる。
(その他ポリオール)
上記その他ポリオールとしては、例えば、上述する<ポリオール(A)>の項に記載したものを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、その他ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが好適に用いられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられ、中でもポリプロピレンオキサイドが好適に用いられる。ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール(b1)中、50質量%以上であることが好ましい。
ポリエーテルポリオールを使用することで、優れた接着強度及びポットライフを発揮し、植物油由来ポリオールを使用することで、優れた耐水性を発揮する。
(ポリイソシアネート(b2))
ポリイソシアネート(b2)は、イソシアナト基を2つ以上有する化合物であればよく、好ましくは芳香族ポリイソシアネートである。芳香族ポリイソシアネートを用いることで、硬化時の反応が早くエージング時間の短縮ができ、且つ、硬化後の塗膜が剛直化するため、優れた熱耐性を発揮することができる。芳香族ポリイソシアネートとして好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート、より好ましくは4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである。ポリイソシアネート(b2)中の4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
すなわち、ポリイソシアネート(B)として好ましくは、植物油由来ポリオール(30質量%以上)とポリエーテルポリオールとの混合物であるポリオール、及び、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの比率が75質量%以上である芳香族ポリイソシアネートの反応生成物であり、より好ましくは、植物油由来ポリオール(30質量%以上、50質量%以下)とポリエーテルポリオール(50質量%以上、70質量%以下)との混合物であるポリオール、及び、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物である。
ポリイソシアネート(B)が芳香族骨格を含むことにより、水分に対する耐性が向上し硬化不良を抑制することができる。さらに4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量が75質量%以上であると、反応速度が向上し短エージング時間での接着性能向上が達成できる。また、ポリイソシアネート(B)がポリエーテルポリオールに由来する構造を有することで、硬化膜が適度な柔軟性を有し、接着強度が向上する。
本発明に用いるポリイソシアネート(B)は、JIS Z 8803に規定される単一円筒型回転粘度計(以下、B型粘度計)を用いて測定された25℃における粘度が、好ましくは3,000~12,000mPa・s、より好ましくは5,000~10,000mPa・sの範囲である。3,000mPa・s以上であると適度な粘度によりトンネリングの発生が抑制され、12,000mPa・s以下であると塗工時の糸曳きが抑制され、レベリング性を維持できるため好ましい。
[その他ポリイソシアネート]
前記ポリイソシアネート(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他ポリイソシアネートを含有してもよい。
このような化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエンのような有機トリイソシアネート、4,4′-ジフェニルジメチルメタン-2,2′-5,5′-テトライソシアネートのような有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体;上記ジイソシアネート又はポリイソシアネート単量体から誘導された、ダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上記ジイソシアネート又はポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネートが挙げられる。
上記その他ポリイソシアネートは、上述のジイソシアネートやポリイソシアネート単量体に、グリコールを付加した付加体であってもよい。
上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオール、或いは、分子量200~20,000のポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオールが挙げられる。
このようなその他ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
<実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)>
本発明で用いられる実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)は、ひまし油等の水酸基を有することを特徴とした植物油及びその脂肪酸以外の植物油又はその脂肪酸を表す。詳細には、リシノレイン酸(リシノール酸)のような水酸基を有する脂肪酸を実質的に構成単位として含まない植物油を意味し、実質的に含まないとは、植物油を構成する脂肪酸中、水酸基を有する脂肪酸の含有量が1質量%以下であることを意味する。なお、本明細書において、植物油とは、1つのグリセリンに脂肪酸が3つ結合した構造を有するものであり、該脂肪酸とは、炭素数2以上の炭化水素の末端にカルボキシ基を有するものを表す。
実質的に水酸基を有しない植物油としては、例えば、オリーブ油、菜種油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、落花生油、アーモンド油、ヤシ油、パーム油、カカオ脂、亜麻仁油,桐油、芥子油、荏油、シソ油、クルミ油、ひまわり油、綿実油、サフラワー油、月見草油、大豆油、コーン油、キャノーラ油、こめ油、ごま油、ピーナッツ油、ローズヒップ油、マカデミアナッツ油、シア脂、アボカド油、モクロウ、アルガン油、ユチャ油、ハト麦油、各植物の種子油(核油)、各植物の果実油、脱水ひまし油等が挙げられる。
脂肪酸としては、前述した実質的に水酸基を有しない植物油をアルカリ処理して得られる脂肪酸であれば特に制限はない。このような脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ステアリドン酸、プニカ酸、パルミトレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、エレオステアリン酸、ピノレン酸、アラキドン酸、9,11-オクタデカジエン酸、9,12-オクタデカジエン酸が挙げられる。
実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)のヨウ素価は、好ましくは、40gI/100g以上、150gI/100g以下の範囲であり、より好ましくは50gI/100g以上、130gI/100g以下の範囲である。150gI/100g以下だと高温下での酸素との反応が抑制されるため、高温安定性やポットライフに優れ、40gI/100g以上だとクーリングロール等の冷却による油脂の凝結で発生する接着剤の分離からなる接着強度低下や外観悪化が抑制されるため好ましい。
植物油中のヨウ素価は、JIS K0070:1992に準拠して測定することができる。
また、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)は、25℃(常温)で液状であることが好ましい。ヨウ素価は、油脂中の二重結合数の指標であり、大きいほど二重結合数が多いことを表す。二重結合が多い植物油ほど、空気中の酸素と酸化重合を引き起こし、硬化する傾向にある。一方、炭素-炭素二重結合が適度に存在することで、油脂骨格中の構造に乱れが生じて結晶性が下がり、25℃(常温)で液状である確率が高くなる。
ヨウ素価及び25℃(常温)で液状であるという観点から、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)としては、コーン油、オリーブ油等が好適に用いられる。
実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)の含有率は、接着剤の質量を基準として、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%の範囲である。1質量%以上であるとポットライフが伸びるため好ましく、20質量%以下であると短エージング性及び高温安定性が確保できるため好ましい。
本発明の反応性接着剤において、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)の配合比率は特に制限されず、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。ポリオール(A)中の水酸基数とポリイソシアネート(B)中のイソシアナト基数との比[OH/NCO]は、好ましくは1.0~10.0、より好ましくは1.5~4.0の範囲である。上記範囲であると、残留ポリイソシアネートの抑制、硬化速度、硬化膜の形成の観点から好ましい。
<その他成分>
本発明の反応性接着剤は、更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防徽剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、顔料、充填剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。また、接着性能を更に高めるために、シランカップリング剤、リン酸、リン酸誘導体、酸無水物、粘着性樹脂等の接着助剤を含有してもよい。また、硬化反応を調節するため公知の触媒、添加剤等を含有してもよい。これらのその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<接着剤の製造方法>
本発明における接着剤は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)と実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)とを、適切な配合比で混合することで製造することができる。実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)は、予めポリオール(A)やポリイソシアネート(B)と混合して2液混合型として使用してもよい。
配送する際の、ポリイソシアネート(B)中のイソシアナト基数とポリオール(A)中の水酸基数との比(NCO/OH)は、好ましくは1.0~10.0、より好ましくは1.3~5.0の範囲である。
<積層体>
本発明の積層体は、上述する反応性接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に積層されたものである。すなわち、本発明は、少なくとも、第1基材層、本発明の無溶剤型反応性接着剤の硬化物である接着剤層、及び第2基材層を順次備える積層体であり、例えば、反応性接着剤を第1基材上に塗布した後に、第2基材を貼り合わせ、両基材の間に位置する接着剤層を、常温又は加温下で硬化して形成することができる。
本発明の積層体は、さらに接着剤層等を介して別の層が配置されていてもよく、例えば、「(外側)第1基材/第1接着剤層/第2基材/第2接着剤層/第3基材(内容物側)」のような、積層体が3層以上の基材を含む積層体の場合、本発明の無溶剤型反応性接着剤は、内容物の影響を受けにくい外層側だけでなく、内層側においても好適に使用できる。
無溶剤型反応性接着剤の塗布量は、基材の種類や塗工条件等に応じて適宜選択されるが、通常、1.0~5.0g/mであり、好ましくは1.5~4.5g/mである。また、接着剤層の厚みは、基材の種類や塗工条件等に応じて適宜選択されるが、通常、1.0~5.0μmであり、好ましくは1.5~4.5μmである。
また、積層体の厚みは、包装材としての強度や耐久性の観点から、好ましくは10μm以上である。
[基材]
基材は特に制限されず、包装体用途に一般的に使用される、プラスチックフィルム、紙、ガスバリア基材、シーラント等が挙げられ、2つの基材は同種であってもよく、異種であってもよい。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチックフィルムは、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~30μmの厚さを有するものである。
紙としては、天然紙や合成紙等が挙げられる。
ガスバリア基材としては、アルミニウム箔の他、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層を有するプラスチックフィルムが好ましい。例えばアルミニウム箔の場合は、経済的な面から3~50μmの範囲の厚みが好ましい。
シーラントとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。中でもレトルト時の耐熱性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、ヒートシール性の観点から未延伸ポリプロピレンが特に好ましい。
シーラントの厚みは特に限定されないが、包装体への加工性やヒートシール性等を考慮して10~60μmの範囲が好ましく、15~40μmの範囲がより好ましい。また、シーラントに高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラントに滑り性や包装体の引き裂き性を付与することが可能である。
また、各種シーラントはアルミニウム箔の他、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層を有していてもよい。
基材は、基材上に印刷層を有していてもよい。印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様等の所望の任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、印刷層の形成方法は特に限定されない。
一般的には、印刷層は、顔料や染料等の着色剤を含む印刷インキを用いて形成される。印刷インキの塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことにより印刷層を形成することができる。
印刷層は、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは1~5μm、さらに好ましくは1~3μmの厚さを有するものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
<数平均分子量(Mn)>
ポリオールの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算した値を算出した。
<粘度>
粘度は、JIS Z 8803に規定される単一円筒型回転粘度計(以下、B型粘度計)を用いて測定された25℃における粘度を用いた。
<ポリオール(A)の製造>
(合成例A1)
グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した分子量約400のトリオール40部、分子量約2,000のポリプロピレングリコール50部、トリレンジイソシアネート10部を反応容器に仕込んだ。窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃~90℃で4時間加熱してウレタン化反応を行い、粘度5,000mPa・sの、両末端に水酸基を有するポリエーテルウレタンポリオールであるポリオール(A1)を得た。
(合成例A2)
ひまし油96部、トリレンジイソシアネート4部を反応容器に仕込んだ。窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃~90℃で4時間加熱してウレタン化反応を行い、粘度1,500mPa・sの、両末端に水酸基を有する植物油系ポリウレタンポリオールであるポリオール(A2)を得た。
(合成例A3)
グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した分子量約400のトリオール40部、分子量約2,000のポリプロピレングリコール25部、アジピン酸とプロピレングリコールを主成分とする分子量約2,000のポリエステルポリオール(株式会社アデカ製、商品名:アデカニューエースF7-67)25部にトリレンジイソシアネート10部を反応容器に仕込んだ。窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃~90℃で4時間加熱しウレタン化反応を行い、粘度6,000mPa・sの、両末端に水酸基を有するポリエーテルエステルウレタンポリオールであるポリオール(A3)を得た。
得られたポリオール(A)の一覧を表1に示す。
表1中の略称を以下に示す。
ひまし油:豊国製油株式会社製、商品名:工業用一号ひまし油
PPG400(3f):グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した分子量約400のトリオール(株式会社アデカ製、商品名:アデカポリエーテルG-400)
PPG2000:分子量約2,000のポリプロピレングリコール(株式会社アデカ製、商品名:アデカポリエーテルP-2000)
1,2-PG/AdA:アジピン酸とプロピレングリコールを主成分とする分子量約2,000のポリエステルポリオール(株式会社アデカ製、商品名:アデカニューエースF7-67)
TDI:トリレンジイソシアネート
<ポリイソシアネート(B)の製造>
(合成例B1)
ひまし油22.2部、分子量約2,000のポリプロピレングリコール33.4部、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート44.4部を反応容器に仕込んだ。窒素ガス気流下で撹拌しながら80℃~90℃で4時間加熱してウレタン化反応を行い、粘度9,000mPa・sの、両末端にイソシアナト基を有するポリウレタンポリイソシアネートであるポリイソシアネート(B1)を得た。
(合成例B2~B8)
ポリオール(b1)及びポリイソシアネート(b2)を表2に示す内容に変更した以外は、(B1)と同様にして、ポリイソシアネート(B2)~(B8)を得た。
得られたポリイソシアネート(B)の一覧を表2に示す。
Figure 0007317197000002
表2中の略称を以下に示す。
ひまし油:豊国製油株式会社製、商品名:工業用一号ひまし油
ひまし油ポリオール:豊国製油株式会社製、商品名:HS 2G-270B
PPG400(3f):グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した分子量約400のトリオール(株式会社アデカ製、商品名:アデカポリエーテルG-400)
PPG2000:分子量約2,000のポリプロピレングリコール(株式会社アデカ製、商品名:アデカポリエーテルP-2000)
4,4′-MDI:4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート
2,4′-MDI:2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート
<無溶剤型反応性接着剤の製造>
[実施例1~12、比較例1~4]
ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)等を表3に示す配合組成で混合し、無溶剤型反応性接着剤を得た。
<無溶剤型反応性接着剤の評価>
得られた無溶剤型反応性接着剤について以下の評価を行った。結果を表3に示す。
[ポットライフ評価]
接着剤を配合して1分後の40℃における溶融粘度と、40℃30分間経過した後の40℃における溶融粘度とを、B型粘度計で測定した。1分後と30分後の増粘割合を下記式より求め、以下の基準で評価した。B以上が、実用範囲内である。
増粘割合(%)=(40℃30分間経過した後の40℃における溶融粘度)/(1分後の40℃における溶融粘度)×100
S:増粘割合が100%未満
A:増粘割合が100%以上、200%未満
B:増粘割合が200%以上、300%未満
[外観評価]
(積層体1の作製)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名:E5100)上に、印刷用油性グラビア白インキ(東洋インキ株式会社製、リオアルファ)を用いて、ベタ柄を印刷した。印刷層の厚みは1μmとした。次いで、得られた接着剤を70℃に調整し、上記積層体の印刷層上に、無溶剤テストコーターで塗布した。接着剤の塗布量は、2.0g/mとした。次いで、接着剤塗布面に、厚み25μmのアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)フィルムを貼り合わせた。次いで、得られた積層体を40℃の恒温槽に2日間入れて接着剤を硬化させることで、PET/油性インキ層/接着剤層/VMCPPの構成である積層体1を得た。
(評価)
得られた積層体1について、ランダムに10cm×10cmの試験片を10枚切り出し、気泡の数を観察し、試験片1枚あたりの気泡数の平均値を算出した。該平均値に基づき、下記の基準で評価した。B以上が、実用範囲内である。
S:気泡が確認されない
A:平均気泡数が10個未満
B:平均気泡数が10個以上50個未満
C:平均気泡数が50個以上
[水性インキ耐性評価]
(積層体2の作製)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名:E5100)上に、印刷用水性フレキソ白インキ(東洋インキ株式会社製、アクワリオナ)を用いて、ベタ柄を印刷した。印刷層の厚みは1μmとした。次いで、得られた接着剤を70℃に調整し、上記積層体の印刷層上に、無溶剤テストコーターで塗布した。接着剤の塗布量は、2.0g/mとした。次いで、接着剤塗布面に、厚み25μmのアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)フィルムを貼り合わせた。次いで、得られた積層体を40℃の恒温槽に2日間入れて接着剤を硬化させることで、PET/水性インキ層/接着剤層/VMCPPの構成である積層体2を得た。
(評価)
上述で得られた積層体1及び積層体2を、MD方向で長さ300mm、幅15mmに切り取り、試験片とした。インストロン型引張試験機を使用し、剥離速度300mm/分で引張り、PET/VMCPP間のT型剥離強度(N/15mm)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求めた。積層体1の強度及び剥離界面、並びに、積層体2の強度及び剥離界面、を比較して、水性インキ耐性を以下の基準で評価した。B以上は実用範囲内である。
接着強度の変化率=[積層体2の剥離強度の平均値(N/15mm)]/[積層体1の剥離強度の平均値(N/15mm)]
S:剥離界面が変わらず、接着強度の変化率が10%未満
A:剥離界面が変わらず、接着強度の変化率が10%以上50%未満
B:剥離界面が変わり、接着強度の変化率が50%未満
C:剥離界面が変わり、接着強度の変化率が50%以上
[エージング速度評価]
(積層体3の作製)
得られた接着剤を70℃に調整し、厚み15μmのナイロン(NY)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名:N1102)上に、無溶剤テストコーターで塗布した。接着剤の塗布量は2.0g/mとした。次いで、接着剤塗布面に、厚み60μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東レフィルム加工株式会社製、商品名:ZK207)を貼り合わせて、NY/未硬化の接着剤層/CPPの構成である積層体3を得た。
(評価)
得られた積層体3を3cm×2cmで切り出し、FT-IRでイソシアネートピークの吸光度を測定した。次いで、積層体3を40℃下に放置しエージングを開始した。エージング開始から24時間ごとに、72時間後までイソシアネートの吸光度減衰をFT-IRで追跡した。得られた吸光度の減衰カーブから初期の吸光度を100%とした時にピーク強度が20%を切った時のエージング時間T20%を算出し、以下の基準で評価した。
S:T20%が、24時間未満
A:T20%が、24時間以上、36時間未満
B:T20%が、36時間以上
表3中の略称を以下に示す。
コーン油:ヨウ素価115gI/100g、25℃で液体
あまに油:ヨウ素価180gI/100g、25℃で液体
パーム油:ヨウ素価50gI/100g、25℃で固体
表3によれば、ポリオール(A)、植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物を含むポリイソシアネート(B)、及び、実質的に水酸基を有しない植物油又はその脂肪酸(C)を含む本発明の接着剤は、バイオマス原料を用いながらも、優れた外観とポットライフを有し、且つ、水性インキ層に接した際の接着強度に優れていた。
特に、ヨウ素価が40~150gI2/100gの範囲であり、且つ、25℃で液状であるコーン油を用いた実施例1は、あまに油やパーム油を用いた実施例11、12と比較して、良好なポットライフ、外観を有していた。

Claims (6)

  1. ポリオール(A)、
    植物油由来のポリオールを30質量%以上含むポリオール(b1)と、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート(b2)との反応生成物を含むポリイソシアネート(B)、及び、
    実質的に水酸基を有しない植物油(C)
    を含む無溶剤型反応性接着剤。
  2. 前記ポリオール(b1)が、ポリオール(b1)の質量を基準として、ポリエーテルポリオールを50質量%以上含む、請求項1に記載の無溶剤型反応性接着剤。
  3. 前記ポリイソシアネート(b2)が、ポリイソシアネート(b2)の質量を基準として、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを75質量%以上含む、請求項1に記載の無溶剤型反応性接着剤。
  4. 前記実質的に水酸基を有しない植物油(C)の含有率が、接着剤の質量を基準として1~20質量%である、請求項1に記載の無溶剤型反応性接着剤。
  5. 前記実質的に水酸基を有しない植物油(C)は、JIS K0070:1992に準拠して測定したヨウ素価が、40~150gI/100gの範囲であり、且つ、25℃で液状であることを特徴とする、請求項1に記載の無溶剤型反応性接着剤。
  6. 請求項1に記載の反応性接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つの基材の間に配置された積層体。
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