JP7317040B2 - ガラス板梱包体 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス板梱包体に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等に代表されるフラットパネルディスプレイ用のガラス基板として、ガラス板が用いられる。ガラス板は破損しやすいので、保管や輸送を行う際のガラス板の梱包形態が極めて重要になる。
ここで、特許文献1には、上記のガラス板の梱包に適したガラス板梱包体が開示されている。この梱包体では、最下層に保護シートを配した状態でガラス板と保護シートとを平置き姿勢で交互に積層して積層体とし、この積層体をパレットに積載した状態で梱包している。なお、保護シートとしては、例えば合紙が採用される。このような梱包形態によれば、ガラス板の重量が主としてガラス板の主面で支持されるため、破損しやすいガラス板の端部に無用な負荷が掛かり難くなる利点がある。
特開2013-224182号公報
ところで、上記のガラス板梱包体を開梱して積層体からガラス板を取り出すに際しては、例えば、図14および図15に示すような取り出しの形態を採用することがある。
同形態においては、図14に示すような、積層体100から最上層のガラス板200を吸着して取り出すロボット300と、図15に示すような、積層体100から最上層の保護シート400を吸着して取り出すロボット500とを交互に動作させる。これにより、複数枚のガラス板200を順々に積層体100から取り出していく。なお、積層体100は、支持台600aにより下方から支持された状態でパレット600に積載されている。
両ロボット300,500を動作させる際には、それぞれガラス板200および保護シート400の取り出しを容易にするための補助を行う。
図14に示すように、ロボット300を動作させる際には、押え部材700により、積層体100を構成するガラス板200の端部から食み出した保護シート400の端部を押える。このようにして、ロボット300が吸着した最上層のガラス板200と共に、これに引っ付いた直下の保護シート400まで取り出されることを防止する。一方、図15に示すように、ロボット500を動作させる際には、当該ロボット500が吸着した最上層の保護シート400と、これの直下のガラス板200とが引っ付かないように、両者を剥離させるべく、噴射ノズル800からガス800a(例えば空気等)を噴射する。
しかしながら、ガラス板の取り出しに際して上述の補助を行った場合には、下記のような解決すべき問題が発生していた。
すなわち、図16に示すように、取り出しの進行に伴って積層体100を構成するガラス板200の枚数が少数になると(図示例では一枚のみ)、ロボット500が最上層の保護シート400を取り出す際に、支持台600aと最下層の保護シート400との間にもガス800aが侵入してしまい、最下層の保護シート400と共に、ガラス板200が支持台600aから浮き上がってしまう場合があった。このような事態が生じると、支持台600aに対するガラス板200の位置がずれてしまい、ロボット300がガラス板200を正確に吸着できなくなる等して、取り出し不良が発生するという問題があった。
上述の事情に鑑みなされた本発明は、ガラス板梱包体を開梱して積層体からガラス板を取り出すに際し、ガスの噴射による取り出しの補助を行った場合でも、取り出し不良の発生を回避できる技術を確立することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明は、最下層に保護シートを配した状態でガラス板と保護シートとが平置き姿勢で積層されてなる積層体と、積層体を積載するパレットとを備えたガラス板梱包体であって、パレットが、積層体を下方から支持する支持台を有し、最下層の保護シートが、支持台に固定されていることを特徴とする。
この梱包体では、最下層の保護シートが支持台に固定されている。そのため、開梱時に積層体からガラス板を取り出すに際し、ガスの噴射による取り出しの補助を行った場合でも、ガスに起因して最下層の保護シートが支持台から浮き上がることを回避できる。従って、取り出しの進行に伴って積層体を構成するガラス板の枚数が少数になった際でも、これらガラス板が支持台から浮き上がることも同様に回避され、支持台に対するガラス板の位置ずれを防止できる。その結果、ガラス板の取り出し不良の発生を回避することが可能となる。
上記の構成において、最下層の保護シートが、粘着テープにより支持台に固定されていてもよい。
このようにすれば、粘着テープにより最下層の保護シートが支持台に固定されることから、粘着テープの貼り付け位置を変更するだけで、煩雑な作業を伴うことなく、保護シートの所望の部位を支持台に固定することができる。
上記の構成において、最下層の保護シートを挟み込んで保持する保持具により、最下層の保護シートが支持台に固定されていてもよい。
このようにすれば、保持具が最下層の保護シートを挟み込むことで、当該保護シートが支持台に固定されるため、粘着物等により積層体を構成するガラス板が汚染されてしまうような虞を確実に排除できる。また、粘着物等の存在を排除することで、例えば、ガラス板梱包体をクリーンルームに搬入する必要がある場合等に有利となる。
上記の構成において、保持具が、保持具に対する最下層の保護シートのずれを許容した状態で、最下層の保護シートを挟み込んでいることが好ましい。
このようにすれば、保持具に対する最下層の保護シートのずれが許容されるため、輸送時の振動等に起因して当該保護シートが破れてしまうような不具合を回避することが可能となる。
上記の構成において、保持具が、マグネットの磁力を利用して最下層の保護シートを挟み込んでいることが好ましい。
このようにすれば、単に磁力によって最下層の保護シートを挟み込むことができるため、保持具の耐久性を向上させることが可能となる。これにより、劣化した保持具の交換等に伴うコストの高騰を可及的に防止できる。
上記の構成において、保持具における最下層の保護シートを挟み込む部位の少なくとも一部が、樹脂で構成されていることが好ましい。
このようにすれば、樹脂が滑り止めの役割を果たすことで、保持具に対する最下層の保護シートの許容範囲を超えたずれを回避することが可能となる。
上記の構成において、最下層の保護シートにおける保持具に挟み込まれた部位が、折り曲げられた状態で挟み込まれていることが好ましい。
このようにすれば、最下層の保護シートにおける折り曲げられた部位が、保持具に対する当該保護シートのずれの抵抗となる。そのため、最下層の保護シートの許容範囲を超えたずれを回避する上で更に有利となる。
上記の構成において、保持具が、最下層の保護シートを表裏から挟み込む一対の挟み部を有し、一対の挟み部が、蝶番を介して相互に連結されていることが好ましい。
このようにすれば、蝶番のような簡易で破損し難い構造を利用することで、一対の挟み部による最下層の保護シートの挟み込み、及び、挟み込みの解除を実行することが可能となる。これにより、保持具から当該保持具を構成する部品が脱落するような事態の発生を可及的に防止できる。その結果、部品の混入による最終製品の品質の低下や、製造設備の損傷等を回避することが可能となる。
上記の構成において、支持台が、積層体を支持する上面と、上面に連なる側面とを有し、最下層の保護シートの端部が、保持具により支持台の側面上に固定されていることが好ましい。
このようにすれば、積層体を支持する上面とは異なる面上(側面上)に保持具が位置することになるため、保持具と積層体との干渉を確実に防止することができる。その上、最下層の保護シートの端部が支持台の側面上に位置することから、最下層の保護シートと支持台との間に形成される隙間は、下方に向けて開口した状態となる。これにより、ガラス板の取り出しの補助で噴射したガスが、上記の隙間に極めて侵入し難くなる。従って、より好適に最下層の保護シートが支持台から浮き上がることを回避できる。その結果、ガラス板の取り出し不良の発生を更に良好に回避することが可能となる。
上記の構成において、ガラス板が矩形状をなすと共に、保護シートがガラス板の端部から食み出した食出部を有し、パレットが、最下層の保護シートを除いた他の保護シートにおける食出部を下方から支持する支持部を備え、支持部が、ガラス板のコーナー部を形作る一方の辺の端部と、他方の辺の端部とのうち、少なくとも片方の端部に沿って配置されていることが好ましい。
積層体を構成する保護シートが、ガラス板の端部から食み出した食出部を有する場合、下層に配置された保護シートほど食出部が下方に折れ曲りやすくなる。このため、ガラス板梱包体を開梱して積層体からガラス板と保護シートとを取り出すにあたり、開梱前に最下層付近に位置していた保護シートをロボット等で取り出す際には、取出し対象である保護シートの折れ曲った食出部が、取出し対象でない保護シートやガラス板のコーナー部に引っ掛かってしまう場合がある。このような事態が生じると、ロボットに対して保護シートが滑ってずれる等して、当該保護シートの取り出し不良を起こす要因となる。ここで、食出部の引っ掛かりは矩形状をなすガラス板のコーナー部の周辺で発生しやすい。そのため、対策として、上記のように支持部を配置すれば、支持部による下方からの支持により、食出部の下方への折れ曲りを好適に回避できる。その結果、上記の引っ掛かりに起因した問題を解消することが可能となる。詳細には、ガラス板のコーナー部を形作る一方の辺の端部と、他方の辺の端部とのうち、少なくとも片方の端部に沿って支持部を配置すれば、まず、片方の端部から食み出した食出部を支持部が支持することで、当該食出部の下方への折れ曲りが回避される。そして、片方の端部から食み出した食出部の折れ曲りを回避しておけば、当該食出部と連なった残りの片方の端部から食み出した食出部についても、自然に下方への折れ曲がりが回避されるため、上記の引っ掛かりに起因した問題が解消される。
上記の構成において、ガラス板が矩形状をなすと共に、保護シートがガラス板の端部から食み出した食出部を有し、保持具が、最下層の保護シートを除いた他の保護シートにおける食出部を下方から支持し、保持具が、ガラス板のコーナー部を形作る一方の辺の端部と、他方の辺の端部とのうち、少なくとも片方の端部に沿って配置されていることが好ましい。
このようにすれば、保持具による下方からの支持により、食出部の下方への折れ曲りを好適に回避できる。また、保持具を支持部として用いるので、梱包体の構成を簡略化でき、設備コストを削減できる。
本発明によれば、ガラス板梱包体を開梱して積層体からガラス板を取り出すに際し、ガスの噴射による取り出しの補助を行った場合でも、取り出し不良の発生を回避できる。
第一実施形態に係るガラス板梱包体を示す斜視図である。 第一実施形態に係るガラス板梱包体に備わったパレットを示す斜視図である。 第一実施形態に係るガラス板梱包体に備わったパレットを示す平面図である。 第一実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 第二実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 第三実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 第四実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す側面図である。 第五実施形態に係るガラス板梱包体に使用される粘着テープを示す側面図である。 第六実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す斜視図である。 第七実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 第七実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す斜視図である。 第八実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 第九実施形態に係るガラス板梱包体に使用される保持具を示す断面図である。 従来技術の課題を説明するための正面図である。 従来技術の課題を説明するための正面図である。 従来技術の課題を説明するための正面図である。
以下、本発明の実施形態に係るガラス板梱包体について、添付の図面を参照しながら説明する。
<第一実施形態>
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係るガラス板梱包体1は、最下層に保護シート2x(以下、最下層シート2xと表記)を配した状態で、ガラス板3と保護シート2とが平置き姿勢で交互に積層されてなる積層体4と、積層体4を積載するパレット5とを備えている。
ここで、図1においては、説明の便宜上、最下層シート2xを除く他の保護シート2の端部が、ガラス板3の端部から食み出ることなく面一に図示されている。しかしながら、保護シート2はガラス板3に比べて大きい面積を有しており、実際には保護シート2の端部がガラス板3の端部から食み出している(図4を参照)。ガラス板3の端部から食み出した保護シート2の端部は、食出部2aを構成する。なお、本実施形態では、最下層シート2xが、他の保護シート2と比べて大きい面積を有しており、最下層シート2xの食出部2aが、他の保護シート2の食出部2aと比べて長いが、後述の第九実施形態のように、最下層シート2xを他の保護シート2と同じ面積とし、最下層シート2xの食出部2aを他の保護シート2の食出部2aと同じ長さとしてもよい(図13参照)。
積層体4を構成するガラス板3の厚みは、0.2mm~1.8mmであることが好ましく、0.2mm~0.5mmであることがより好ましい。ガラス板3は矩形状をなし、一辺の長さがG5サイズ(1100mm~1300mm)以上であることが好ましく、G8.5サイズ(2200mm~2500mm)以上であることがより好ましい。ガラス板3の密度は、2.0g/cm~3.0g/cmであることが好ましい。
積層体4を構成する保護シート2の厚みは、0.05mm~0.2mmであることが好ましく、0.05mm~0.1mmであることがより好ましい。保護シート2はガラス板3よりも面積の大きい矩形状をなし、一辺の長さがG5サイズ(1100mm~1300mm)以上であることが好ましく、G8.5サイズ(2200mm~2500mm)以上であることがより好ましい。本実施形態では、保護シート2として合紙を用いている。しかしながら、この限りではなく、合紙の代わりに発泡樹脂シート等を用いてもよい。
パレット5は、工場の床面や輸送車の荷台等に載置される基台部6と、基台部6の上に配置され、且つ積層体4を下方から支持する支持台7とを有する。後に詳述するが、この支持台7に最下層シート2xが固定されている。基台部6と支持台7との両者は、例えば、溶接等の手段により一体化されている。本実施形態では、平面視で基台部6と支持台7との双方が矩形状をなす(図3を参照)と共に、支持台7は基台部6に比べて小さく形成されている。なお、本実施形態では、ガラス板3がなす矩形状と、支持台7がなす矩形状とが略同一の面積を有する。また、本実施形態では、基台部6の上に支持台7が積み重なっているが、この限りではない。支持台7を取り除いて、基台部6に支持台としての機能を持たせてもよい。
基台部6の四隅の各々には、支柱(図示省略)を挿入して取り付けることが可能な挿入口8が設けられている。各挿入口8に取り付けられた支柱は、ガラス板梱包体1を上下複数段に積み重ねる際に、上段のガラス板梱包体1を下方から支持する機能を有する。また、基台部6の四側面の各々には、フォークリフトのフォークを挿入することが可能なフォーク用穴9が形成されている。
支持台7の四側面7aの各々には、積層体4を構成するガラス板3の横ずれ(水平方向の移動)を規制する規制板10が取り付けられている。規制板10の枚数は特に限定されるものではないが、本実施形態では、一側面7aにつき二枚(合計で八枚)の規制板10が配置されている。各規制板10は、その下端部が止め具(例えばボルト等)により支持台7の側面7aに固定されている。この規制板10は、ガラス板梱包体1を開梱して積層体4からガラス板3を取り出す際には、取り外される。
積層体4の上面には押え板(図示省略)が配置されており、この押え板をベルト等の締結具(図示省略)を介して基台部6に固定することで、積層体4が支持台7の上に保持される。なお、押え板としては、保護シート2よりも厚みが大きく、硬度の高い発泡樹脂製の緩衝板等が用いられる。また、積層体4を構成するガラス板3に塵埃が付着するのを防止するため、必要に応じて積層体4の周囲は樹脂シート(図示省略)で覆われる。
図2に示すように、支持台7は、アルミニウム合金等の金属からなる格子状に形成されたベース7xと、ゴムや発泡樹脂等からなる緩衝板7yとを重ね合わせた構造を有する。これにより、緩衝板7yの上面が、積層体4を支持する支持台7の上面7bを構成すると共に、ベース7xおよび緩衝板7yの側面が、上面7bに連なる支持台7の側面7aを構成している。上記の規制板10(同図では取り外されており図示省略)、及び、後述する最下層シート2xのみを支持台7に固定するための保持具11は、いずれもベース7xに取り付けられている。
ここで、本実施形態においては、ベース7xの上に直接に緩衝板7yを重ね合わせているが、ベース7xと緩衝板7yとの相互間にアルミニウム合金製やステンレス製の板を介在させてもよい。また、緩衝板7yは、単一の板からなる必要はなく、複数の小板に分割されていてもよい。
図3に示すように、支持台7の四側面7aのうち、平行な二側面7aの各々には、最下層シート2x(図1を参照)を挟み込んで保持することで、最下層シート2xを支持台7に固定する保持具11が配置されている。保持具11は、積層体4(図1を参照)に含まれた最下方のガラス板3の端部から食み出した最下層シート2xの端部を、その厚み方向に挟み込むことが可能である。これにより、最下層シート2xの端部が、保持具11により支持台7の側面7a上に固定されている。
ここで、本実施形態では、支持台7の四側面7aのうち、平行な二側面7aに保持具11を配置しているが、四側面7aの全てに保持具11を配置してもよいし、三側面7aを選択して保持具11を配置してもよいし、一側面7aのみを選択して保持具11を配置してもよい。なお、いずれの側面7aに保持具11を配置するかについては、以下の要領で決定することが好ましい。
まず、本実施形態に係るガラス板梱包体1は、開梱時に積層体4からガラス板3を取り出すに際し、ガスの噴射による取り出しの補助を行う場合に適した構成となっている。そして、ガスの噴射態様としては、例えば、積層体4からガラス板3と保護シート2とを交互に取り出すにあたり、ロボットが最上層に位置した保護シート2を吸着して取り出す際に、当該保護シート2と、これの直下のガラス板3とが引っ付かないように、両者2,3を剥離させるべくガスを噴射する態様が挙げられる。このような噴射態様の下、少なくとも、ガスの噴射ノズルに面する支持台7の側面7aに保持具11を配置することが好ましい。つまり、本実施形態は、支持台7の四側面7aのうち、平行な二側面7aの各々がガスの噴射ノズルに面する場合に適した構成ということになる。
本実施形態においては、一側面7aにつき二つ(合計で四つ)の保持具11が配置されている。一側面7aに配置された二つの保持具11は、いずれも支持台7(ガラス板3)のコーナー部の近傍(外側)に配置されている。詳細には、図3に二点鎖線で示すガラス板3の四つのコーナー部について、各コーナー部を形作る辺3aの端部3aaと辺3bの端部3baとのうち、辺3aの端部3aaに沿って保持具11が配置されている。ここで、一側面7aに配置される保持具11の数については、二つに限らず、ガスの噴射圧力や噴射位置等に応じて適宜増減させてよい。
なお、本実施形態の変形例として、支持台7の四側面7aのうち、平行な二側面7aに保持具11を配置する場合に、辺3aの端部3aaに代えて、辺3bの端部3baに沿って保持具11を配置してもよい。また、四側面7aの全てに保持具11を配置する場合に、辺3aの端部3aaと辺3bの端部3baとの双方に沿って保持具11を配置してもよい。
図4に示すように、保持具11は、最下層シート2xの端部を表裏から挟み込む一対の挟み部11a,11bを有し、一対の挟み部11a,11bにより最下層シート2xの端部を折り曲げた状態で挟み込むことが可能である。
一対の挟み部11a,11bは、蝶番12を介して相互に連結されている。最下層シート2xの裏側に配置された挟み部11bは、支持台7の側面7aに固定されている。一方、最下層シート2xの表側に配置された挟み部11aは、図4に矢印A‐Aで示すように、蝶番12に備わった軸12aの周りを旋回することが可能である。
旋回に伴って挟み部11aが図4に実線で示す位置(以下、挟み位置と表記)に移動すると、一対の挟み部11a,11bが協働して最下層シート2xの端部を挟み込む。なお、後に詳述するが、本実施形態では、マグネット(マグネットシート)の磁力を利用して最下層シート2xの端部を挟み込んでいる。一方、旋回に伴って挟み部11aが挟み位置から離反すると、最下層シート2xの端部の挟み込みが解除される。挟み込みを解除した状態にある挟み部11aは、例えば、図4に二点鎖線で示す位置(以下、待機位置と表記)で待機させることが可能である。待機位置は、マグネットの磁力で挟み部11aが移動しないように、挟み位置から十分に距離が離れている。
挟み部11bは、支持台7の側面7aに対して直接に固定された側板13と、側板13の下端部に連なって水平に延びる底板14と、側板13および底板14に沿って取り付けられた樹脂材15と、樹脂材15の上方で側板13に取り付けられたマグネットシート16とを備えている。
側板13および底板14は、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属からなる。底板14の一端には支持台7の側面7aと平行に延びる軸12aが備わっている。樹脂材15の材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を採用している。樹脂材15は、支持台7の側面7a側に向かって漸次に厚みが大きくなるように形成されており、樹脂材15における最下層シート2xの端部との接触部15aが水平面に対して傾斜している。マグネットシート16は、挟み部11aの後述するマグネットシート17と対向するように配置されている。
挟み部11aは、蝶番12に備わった軸12aを中心として旋回が可能な旋回板18と、旋回板18に沿って取り付けられた樹脂材19と、樹脂材19に固定された状態で、磁力によりマグネットシート16に引き寄せることが可能なマグネットシート17とを備えている。
旋回板18は、上記の側板13および底板14と同様に、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属からなる。樹脂材19の材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、上記の樹脂材15と同様に、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を採用している。樹脂材19における最下層シート2xの端部との接触部19aは、上記の樹脂材15における接触部15aに倣って水平面に対して傾斜している。樹脂材19の上端部には窪み部19bが形成されている。これにより、例えば、窪み部19bに人間の指等を引っ掛けることで、磁力に逆らってマグネットシート17をマグネットシート16から離反させるための力を付与しやすくなっている。
最下層シート2xの端部は、一対の挟み部11a,11bに対するずれが許容された状態で挟み込まれている。つまり、最下層シート2xの端部は、自身に付与される外力(例えば、ガラス板梱包体1の輸送時の振動に伴って付与される外力)に応じ、一対の挟み部11a,11bに対して任意の方向に摺動することが可能な程度の力で挟み込まれている。これにより、最下層シート2xが破れたりして破損することを防止できる。一対の挟み部11a,11bが最下層シート2xの端部を挟み込む力の大きさは、例えば、両マグネットシート16,17の厚みを変更して、磁力の大きさを変化させることで調節が可能である。この他、樹脂材19におけるマグネットシート17との界面に凹凸を設け、凹凸に倣って変形したマグネットシート17と最下層シート2xの端部との接触面積を調節することで、挟み込む力の大きさを調節してもよい。また、両樹脂材15,19の材質を変更し、摩擦係数を変化させることで、最下層シート2xが摺動し始める力の大きさを調節してもよい。
ここで、本実施形態の変形例として、支持台7の側面7aにマグネットを埋め込み、埋め込んだマグネットと別のマグネットとにより、最下層シート2xの端部を挟み込むようにしてもよい。
以下、上記のガラス板梱包体1による主たる作用・効果について説明する。
上記のガラス板梱包体1では、開梱時に積層体4からガラス板3を取り出す状態(規制板10等が取り外され状態)でも、最下層シート2xが支持台7に固定されている。そのため、開梱時に積層体4からガラス板3を取り出すに際し、ガスの噴射による取り出しの補助を行った場合でも、ガスに起因して最下層シート2xが支持台7から浮き上がることを回避できる。従って、取り出しの進行に伴って積層体4を構成するガラス板3の枚数が少数になった際でも、これらガラス板3が支持台7から浮き上がることも同様に回避され、支持台7に対するガラス板3の位置ずれを防止できる。その結果、ガラス板3の取り出し不良の発生を回避することが可能となる。
以下、本発明の他の実施形態に係るガラス板梱包体について説明する。なお、他の実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一の要素については、他の実施形態の説明で参照する図面に同一符号を付すことで重複する説明を省略し、第一実施形態との相違点についてのみ説明する。
<第二実施形態>
図5に示すように、第二実施形態においては、保持具11が、最下層シート2xの端部を表側から押える押え部材20と、バネ21を介して押え部材20と連結された基礎部22と、基礎部22の下端から水平に延びるアーム部23とを備えている。
押え部材20は、その下端がアーム部23の先端と連結されており、図5に矢印B‐Bで示すように、アーム部23の先端を中心として旋回することが可能である。一方、基礎部22は支持台7の側面7aに固定されている。バネ21の一端は、押え部材20の中間部に固定されると共に、バネ21の他端は、基礎部22に内包された状態で固定されている。バネ21は、押え部材20の所在位置を問わず、常に自然長よりも伸びた状態になっている。これにより、押え部材20は、バネ21の復元力に起因したモーメントで旋回し、支持台7の側面7a側に誘導されると共に、支持台7の側面7aと協働して最下層シート2xの端部を挟み込む。なお、挟み込む力の大きさは、例えば、バネ21のバネ定数を変更することで調節が可能である。最下層シート2xの端部の挟み込みを解除する際は、押え部材20に形成された持ち手部20aに人間の指等を引っ掛けながら、バネ21の復元力に逆らって押え部材20を支持台7の側面7aから離反させる。
<第三実施形態>
図6に示すように、第三実施形態においては、保持具11がスプリングバネ24で構成されている。
スプリングバネ24の下端部24aは、支持台7の側面7aに固定されている。一方、スプリングバネ24の上端部24bは、図6に矢印C‐Cで示すように、例えば、人手により支持台7の側面7aから離反させることが可能である共に、スプリングバネ24の復元力により支持台7の側面7aと協働して最下層シート2xの端部を挟み込むことが可能である。なお、挟み込む力の大きさは、例えば、スプリングバネ24のバネ定数を変更することで調節が可能である。
<第四実施形態>
図7に示すように、第四実施形態においては、保持具11が、支持台7の側面7aに取り付けられたバインダー25で構成されている。このバインダー25に備わった押え部25aと支持台7の側面7aとにより、最下層シート2xの端部を挟み込むことが可能である。なお、挟み込む力の大きさは、例えば、バインダー25に内蔵されたバネ(図示省略)のバネ定数を変更することで調節が可能である。
<第五実施形態>
図8に示すように、第五実施形態においては、保持具11に代えて、粘着テープ26により最下層シート2xの端部が支持台7の側面7aに固定されている。粘着テープ26は、最下層シート2xの端部と支持台7の側面7aとの両者に跨るように貼り付けられる。なお、使用する粘着テープ26の枚数は適宜増減させてよい。粘着テープ26に代えてマグネットシートを用いてもよい。この場合、支持台7の側面7aは、鉄、コバルト、ニッケル等といった強磁性体で構成される。
<第六実施形態>
図9に示すように、第六実施形態が上記の第一実施形態と相違する点は、保持具11に備わった樹脂材19から窪み部19bが取り除かれている点と、窪み部19bの代わりとして、旋回板18に人間の指等を引っ掛けるための張出部18aが形成されている点である。なお、図9では、最下層シート2xの図示を省略している。
軸12aが延びる方向において、旋回板18は樹脂材19よりも長手に形成されており、旋回板18における樹脂材19から一方側に張り出した部位と、他方側に張り出した部位との各々が張出部18aを構成している。この張出部18aに力を付与することで、磁力に逆らってマグネットシート17をマグネットシート16から離反させ得る。
本実施形態によれば、樹脂材19から窪み部19bが取り除かれていることで、樹脂材19の上に塵埃等が堆積する虞を低減することが可能となる。
<第七実施形態>
図10および図11に示すように、第七実施形態が上記の第一実施形態と相違する点は、保持具11について、両樹脂材15,19が取り除かれている点と、底板14が取り除かれ、側板13が蝶番12と連結されている点と、マグネットシート16,17がそれぞれ二枚に分割されている点と、丸棒27,28および持ち手部18bが新たに備わっている点である。なお、図11では、保持具11のみを図示している。
側板13には、上下二段に亘って軸12aと平行に延びる丸棒27が取り付けられている。これら二本の丸棒27を間に挟んで上方および下方の各々に、マグネットシート16が配置されている。旋回板18には、軸12aと平行に延びる丸棒28が、二本の丸棒27の相互間にあたる高さ位置に取り付けられている。この丸棒28を間に挟んで上方および下方の各々に、マグネットシート17が配置されている。持ち手部18bは、旋回板18の上端部に形成されており、人間の指等を引っ掛けることで、磁力に逆らってマグネットシート17をマグネットシート16から離反させるための力を付与できる。
本実施形態では、両樹脂材15,19および底板14が取り除かれていることで、第一実施形態との比較において、保持具11の厚み(支持台7の側面7aに対して鉛直な方向の厚み)が薄くなっている。また、本実施形態では、最下層シート2xの端部が、二本の丸棒27と丸棒28とにより波型に折り曲げられた状態で、一対の挟み部11a,11bにより挟み込まれる。
<第八実施形態>
図12に示すように、第八実施形態では、上記の第一実施形態の保持具11における挟み部11bが取り除かれており、挟み部11aに備わったマグネットシート17と、強磁性体で構成された支持台7の側面7aとで最下層シート2xの端部が挟み込まれている。
支持台7の側面7aは、一例として、鉄、コバルト、ニッケル等で構成される。マグネットシート17が取り付けられた旋回板18の上端部には、持ち手部18bが形成されている。この持ち手部18bは、上記の第七実施形態における持ち手部18bと同様の機能を有する。
<第九実施形態>
図13に示すように、第九実施形態が上記の第一実施形態と相違する点は、保護シート2の食出部2aが長くなっている点と、保持具11を各保護シート2(最下層シート2xを除く)の食出部2aをまとめて下方から支持する支持部として機能させている点である。
保持具11の上端部は、保持具11の上で重なり合った複数の食出部2aをまとめて支持するにあたり、最下方の食出部2aの下面を支えている。この保持具11による支持により、各食出部2aの下方への折れ曲りが防止される。保持具11の上端部は、支持台7の上面7bよりも下方に位置させており、両者間には段差が設けられている。これにより、食出部2aが折れ曲らない程度に下方に撓み、食出部2aにより側方からガラス板3の端部が覆われることで、ガラス板3が破損や傷の発生から保護される。また、上記の段差を設けたことで、仮にガラス板3が横ずれを起こした場合でも、保持具11と最下方のガラス板3との衝突(最下層シート2xを介した衝突)が回避されるようになっている。
ここで、食出部2aを保持具11により確実に支持するため、保持具11の厚み(支持台7の側面7aに対して鉛直な方向の厚み)は、例えば10~30mmとすることが好ましい。保持具11の上端部と支持台7の上面7bとの段差は、例えば10~20mmに設定することができる。
なお、本実施形態の変形例として、保持具11とは異なる部材により支持部を構成してもよい。一例として、支持台7の側面7a上における保持具11や規制板10が配置されていない箇所に、直方体状のケースや、側面7aに対して鉛直な上面を有する板を配置して支持部としてもよい。また、支持台7の上面7bの面積をガラス板3の面積よりも大きくし、上面7bにおけるガラス板3の端部から食み出した領域を支持部としてもよい。
以上に説明した第二~第九実施形態によっても、上記の第一実施形態と同様の主たる作用・効果を得ることが可能である。
ここで、第五実施形態のように、粘着テープ26で最下層シート2xの端部を支持台7の側面7aに固定すると、粘着テープ26が最下層シート2xの端部のずれを許容しない。このため、ガラス板梱包体1の輸送時の振動に伴って付与される外力により、最下層シート2xが破れて破損しやすい。最下層シート2xが破れて破損した場合、パレット5に積載されたガラス板3を取り出して洗浄した後、パレット5に再度積載する必要があり、製造効率が低下する。これを防止するため、第一~第四、及び、第六~第九実施形態のように、保持具11が、最下層シート2xの端部を挟み込むことにより、ずれを許容した状態で保持することが好ましく、第一、第六~第九実施形態のようにマグネットの磁力を利用して最下層シート2xの端部を挟み込んで保持することがより好ましい。
また、第一~第九実施形態では、矩形状の保護シート2が有する四辺の端部の全てにガラス板3の端部から食み出す食出部2aが形成されているが、支持台7に固定される辺の端部のみに食出部2aを形成してもよい。ガラス板3の端部を保護する観点では、保護シート2が有する四辺の端部の全てに食出部2aが形成されていることが好ましい。ガラス板3の端部を食出部2aにより的確に覆う観点では、食出部2aの食み出し長さ(ガラス板3の端部から食出部2aの先端までの長さ)は、10mm以上とすることが好ましい。また、保持具11で食出部2aを確実に保持する観点では、食出部2aの食み出し長さは、30mm以上とすることが好ましい。コスト削減の観点から、食出部2aの食み出し長さの上限は、80mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましく、40mm以下が最も好ましい。
1 ガラス板梱包体
2 保護シート
2a 食出部
2x 最下層の保護シート
3 ガラス板
3a 辺
3aa 辺の端部
3b 辺
3ba 辺の端部
4 積層体
5 パレット
7 支持台
7a 支持台の側面
7b 支持台の上面
11 保持具
11a 挟み部
11b 挟み部
12 蝶番
15 樹脂材
15a 接触部
16 マグネットシート
17 マグネットシート
19 樹脂材
19a 接触部
26 粘着テープ

Claims (11)

  1. 最下層に保護シートを配した状態でガラス板と保護シートとが平置き姿勢で積層されてなる積層体と、前記積層体を積載するパレットとを備えたガラス板梱包体であって、
    前記パレットが、前記積層体を下方から支持する支持台と、前記ガラス板の水平方向の移動を規制すると共に取り外しが可能な規制板とを有し、
    前記最下層の保護シートのみが、前記支持台に固定されていることを特徴とするガラス板梱包体。
  2. 前記最下層の保護シートが、粘着テープにより前記支持台に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板梱包体。
  3. 前記最下層の保護シートを挟み込んで保持する保持具により、前記最下層の保護シートが前記支持台に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板梱包体。
  4. 前記保持具が、前記保持具に対する前記最下層の保護シートのずれを許容した状態で、前記最下層の保護シートを挟み込んでいることを特徴とする請求項3に記載のガラス板梱包体。
  5. 前記保持具が、マグネットの磁力を利用して前記最下層の保護シートを挟み込んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載のガラス板梱包体。
  6. 前記保持具における前記最下層の保護シートを挟み込む部位の少なくとも一部が、樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載のガラス板梱包体。
  7. 前記最下層の保護シートにおける前記保持具に挟み込まれた部位が、折り曲げられた状態で挟み込まれていることを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載のガラス板梱包体。
  8. 前記保持具が、前記最下層の保護シートを表裏から挟み込む一対の挟み部を有し、
    前記一対の挟み部が、蝶番を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項3~7のいずれかに記載のガラス板梱包体。
  9. 前記支持台が、前記積層体を支持する上面と、前記上面に連なる側面とを有し、
    前記最下層の保護シートの端部が、前記保持具により前記支持台の前記側面上に固定されていることを特徴とする請求項3~8のいずれかに記載のガラス板梱包体。
  10. 前記ガラス板が矩形状をなすと共に、前記保護シートが前記ガラス板の端部から食み出した食出部を有し、
    前記パレットが、前記最下層の保護シートを除いた他の保護シートにおける前記食出部を下方から支持する支持部を備え、
    前記支持部が、前記ガラス板のコーナー部を形作る一方の辺の端部と、他方の辺の端部とのうち、少なくとも片方の端部に沿って配置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のガラス板梱包体。
  11. 前記ガラス板が矩形状をなすと共に、前記保護シートが前記ガラス板の端部から食み出した食出部を有し、
    前記保持具が、前記最下層の保護シートを除いた他の保護シートにおける前記食出部を下方から支持し、
    前記保持具が、前記ガラス板のコーナー部を形作る一方の辺の端部と、他方の辺の端部とのうち、少なくとも片方の端部に沿って配置されていることを特徴とする請求項3~9のいずれかに記載のガラス板梱包体。
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