1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る複合ケーブル1Aは、それぞれ線状の導電部材2Aと導電部材2Aの外周面を被覆する絶縁性の外被4Aとにより形成されていて、導電部材2Aの延在方向に垂直な断面方向において互いに離間して配置されている第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aと、第1導体ケーブル20Aの外被4Aと第2導体ケーブル30Aの外被4Aとに接続されていて、断面方向に隣接して配置されている連結部6Aと、を備える。
〔2〕上記〔1〕に記載の複合ケーブルにおいて、複合ケーブルの断面方向における第2導体ケーブル30A側の端部が第1導体ケーブル20Aの側に折り返されることにより、連結部6Aまたは第2導体ケーブル30Aの外被が、第1導体ケーブル20Aの外被の少なくとも一部(例えば、上部41A,内側面部42A,外側面部43A)を覆い、連結部6Aと第1導体ケーブル20Aとの間に、導電部材2Aの延在方向に延びる空間が形成され、前記空間には少なくとも1本のケーブルが収容されている。
例えば、連結部6Aは、第1導体ケーブル20Aの外側面部43Aが第2導体ケーブル30Aの内側面部72Aに隣接するように折り返されることにより、延在方向に延びる空間が形成される。また、前記連結部6Aは、第1導体ケーブル20Aの上部41Aを第2導体ケーブル30Aの上面部71Aに重ね合わせるように折り返されることにより、延在方向に延びる空間が形成される。なお、具体例は上述の例には限られない。
〔3〕上記〔1〕または[2]に記載の複合ケーブルにおいて、連結部6Mの空間の側の面に設けられている導電箔64Mを備える。
〔4〕上記〔2〕または[3]に記載の複合ケーブルにおいて、連結部6Kが折り返された状態を保持する保持部63Kを備える。
〔5〕上記〔4]に記載の複合ケーブルにおいて、前記保持部63Kは、連結部6Kと第1導体ケーブル20Kの外被4Kとを係合させる係合部材である。
〔6〕上記〔4〕に記載の複合ケーブルにおいて、保持部63Aは、連結部6Aと第1導体ケーブル20Aの外被4Aとを接着する接着部材である。
〔7〕上記〔4〕に記載の複合ケーブルにおいて、保持部63Aは、連結部6Aと第1導体ケーブル20Aの外被4Aとを溶着させることにより形成されている。
〔8〕上記〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の複合ケーブルにおいて、連結部6Lは、少なくとも一部が蛇腹状に形成されている。
〔9〕上記〔1〕乃至〔8〕のいずれかに記載の複合ケーブルにおいて、第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bは、導電部材2Bを複数有する。
〔10〕上記〔1〕乃至〔9〕のいずれかに記載の複合ケーブルにおいて、第1導体ケーブル20G及び第2導体ケーブル30Gは、外被4G,7Gの内周面に接し導電部材200Gの外周面を被覆する絶縁材料から構成された絶縁被覆5Gを有する。
〔11〕上記〔10〕に記載の複合ケーブルにおいて、絶縁被覆5Gの外周に導電体により形成されているシールド部材210Gを有する。
〔12〕上記〔1〕乃至〔11〕のいずれかに記載の複合ケーブルにおいて、第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aは、1本の金属線により構成されている単線である。
〔13〕上記〔1〕乃至〔11〕のいずれかに記載の複合ケーブルにおいて、第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bは、複数の金属線により構成されている。
〔14〕本発明の代表的な実施の形態に係る複合ケーブルの組立方法は、第1導体ケーブル及び第2導体ケーブルに用いられる2本の導電部材を準備する第1ステップと、前記第1ステップで準備された前記第1導体ケーブル及び前記第2導体ケーブルそれぞれの導電部材の外周面を被覆する絶縁材料から構成された外被を、押出成形により形成する第2ステップと、前記連結部に少なくとも1本のケーブルを配置する第3ステップと、前記連結部の前記第2導体ケーブルの側の端部を前記第1導体ケーブルの側に折り返すことにより、前記第1導体ケーブルの外被の少なくとも一部を覆う第4ステップと、前記連結部が前記第1導体ケーブルの側に折り返された状態に保持させる第5ステップと、を実行する。
〔15〕上記〔14]に記載の複合ケーブルの組立方法において、第3ステップで連結部に配置されるケーブルは、延在方向の端部に第2外部端子があらかじめ設けられている。
〔16〕上記〔14]または[15]に記載の複合ケーブルの組立方法において、第2ステップでは、外被とともに第1導体ケーブルの外被と第2導体ケーブルの外被とに断面方向に隣接して配置されている連結部を押出成形により形成する。
[17]上記〔14]または[15]に記載の複合ケーブルの組立方法において、第3ステップでは、第1導体ケーブルの外被と第2導体ケーブルの外被との間に、断面方向に隣接する連結部を取り付けた後に、連結部に少なくとも1本のケーブルを配置する。
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図の説明における、「上」「下」「左」「右」等の表記は、あくまでも各図における「上」「下」「左」「右」等を意味するものであり、例えば現実の製品等における「上」「下」「左」「右」等を意味するものではない。
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの斜視図である。また、図2は、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの断面図である。図1及び図2に示される複合ケーブル1Aは、例えば、電源の供給または接地と電気信号の伝送とが可能なケーブルである。
図1及び図2に示すように、複合ケーブル1Aは、第1導体ケーブル20A、第2導体ケーブル30A、ケーブル3A、及び連結部6Aを有する。
第1導体ケーブル20Aは、導電部材2Aと外被4Aとにより構成されている。第2導体ケーブル30Aは、導電部材2Aと外被7Aとにより構成されている。導電部材2Aは、導電性を有する材料から構成されている。複合ケーブル1Aをワイヤハーネスの幹線または枝線に採用した場合、導電部材2Aは、例えば、電力伝送のための電源ケーブルまたは接地のためのアースケーブルとして機能させることが可能となっている。
具体的に、導電部材2Aは、金属材料から構成された中実の単線(金属線)である。導電部材2Aは、例えば、断面視角形状(矩形状)である。導電部材2Aは、導体性を有する金属材料であればよく、アルミニウム、銅、銅合金、錫めっき線、鉄、及びニッケル等の金属材料を例示することができる。
外被4A,7Aは、導電部材2Aの外周面を被覆する絶縁材料から構成されている。絶縁材料としては、例えばポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等を例示することができる。例えば、外被4A,7Aは、押出成形によって形成される。外被4A,7Aは、例えば複合ケーブル1Aの断面方向において互いに離間して配置されている第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aそれぞれの導電部材2Aの外周面を一体で覆うことができるような形状、例えば断面視長方形状である。
連結部6Aは、第1導体ケーブル20Aの外被4Aと第2導体ケーブル30Aの外被7Aとに接続されている。連結部6Aは、第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aのそれぞれの断面方向に隣接して配置されている。連結部6Aは、上部61Aにケーブル3Aなどを配置することができるように、断面方向において第1導体ケーブル20Aと第2導体ケーブル30Aとの間に所定の距離を有して平滑な領域が生じるように形成されている。連結部6Aは、上部61Aの反対側の面である下部62Aが、第1導体ケーブル20Aの下面部44A及び第2導体ケーブル30Aの下面部74Aと連続した平滑な面を形成している。また、連結部6Aは、第1導体ケーブル20Aの上部41Aまたは第2導体ケーブル30Aの上面部71Aの延在方向における長さよりも延在方向の長さが長くなるように形成されている。連結部6Aは、延在方向において第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aとともに延在するように形成されている。連結部6Aは、断面方向において第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aの少なくともいずれか一方の外被4A,7Aの厚さよりも薄く形成されていてもよい。
連結部6Aは、外被4A,7Aと同様に絶縁材料から構成されている。絶縁材料としては、例えばポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等を例示することができる。例えば、連結部6Aは、外被4A,7Aと同様に押出成形によって形成される。つまり、連結部6Aは、例えば第1導体ケーブル20Aの外被4A及び第2導体ケーブル30Aの外被7Aと一体で形成されていてもよい。なお、連結部6Aは、第1導体ケーブル20Aの外被4A及び第2導体ケーブル30Aの外被7Aと別体で形成されていて、接着や溶着などの適宜な方法により外被4A,7Aに接続されていてもよい。
ケーブル3Aは、連結部6Aの上部に、例えば非拘束状態で配置されている。ケーブル3Aは、ここでは線状体である。ケーブル3Aは、例えば通信ケーブルであり、より具体的には光ファイバ心線である。複合ケーブル1Aをワイヤハーネスの幹線または枝線に採用した場合、ケーブル3Aは、例えば、信号伝送のための通信ケーブルとして機能させることが可能となっている。ここで、連結部6Aの上部には、通信ケーブルに加えて、電力ケーブルやアースケーブルなどが配置されていてもよい。
なお、図1には、連結部6Aの上部61Aに、2本のケーブル3Aとしての光ファイバ心線が収容された場合が例示されているが、連結部6Aの上部61Aに収容されるケーブル3Aの本数は、特に制限されない。すなわち、連結部6Aの上部61Aに収容されるケーブル3Aは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。以下、ケーブル3Aが通信ケーブルである例について説明する。
図3は、通信ケーブル3Aとしての光ファイバ心線の断面図である。
図3に示すように、通信ケーブル3Aとしての光ファイバ心線は、コア101、クラッド102、ファイバ素線被覆103、緩衝材104、及びアウタージャケット105を有する。コア101とクラッド102は、例えば、石英ガラスや樹脂等から構成されている。クラッド102の外径は、通信用途で通常用いられる125マイクロメートルと同等または小さくすることができ、例えば80マイクロメートル(±5%の誤差を含む)とすることができる。クラッド102の外径を小さくすることにより、光ファイバの曲げひずみが小さくなり、破断確率を下げることができる。しかし、クラッド102の外径を小さくしすぎると、コアサイズを小さくする必要性が生じ、接続損失が増大する傾向がある。
ファイバ素線被覆103は、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などで構成されている。例えば、車載用途の場合は、耐熱性を考慮して、シリコンアクリレート等で構成されている。
緩衝材104は、光ファイバの長手方向にかかる引張力に対する強度を高めるためにファイバ素線被覆103の周囲に配置される部材である。緩衝材104は、例えば、複数の繊維からなり、ファイバ素線被覆103の全周に配置される。上記繊維としては、アラミド繊維等を例示することができる。アウタージャケット105は、例えばナイロンやフッ素樹脂(例えばETFE)から構成されていることが好ましい。アウタージャケット105の外径は、1ミリメートル以下であることが好ましく、例えば800~900マイクロメートルで、適宜所望の値で構成する。アウタージャケット105の外径を小さくすることにより、光ファイバ心線が曲がりやすくなり、配索性の向上につながる。しかし、アウタージャケット105の外径を小さくしすぎると、外力からの保護が不十分になり、伝送損失が増大する傾向がある。
なお、複合ケーブル1Aにおいて、通信ケーブル3Aは、例えば金属線(メタル線)であってもよい。この場合において、通信ケーブル3Aは、例えば、ツイスト線、シールド線、同軸ケーブルなどであり、ツイスト線とその外周を被覆するジャケットを備えたケーブルなどであってもよい。
図4は、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの連結部6Aを第1導体ケーブル20Aの側に折り返した状態を示す斜視図である。図4に示すように、複合ケーブル1Aは、連結部6Aの断面方向における第2導体ケーブル30A側の端部を第1導体ケーブル20Aの側に折り返すことにより、第1導体ケーブル20Aの外被4Aの少なくとも一部を覆うことができるように形成されている。具体的には、複合ケーブル1Aは、連結部6Aの上部61Aを第1導体ケーブル20Aの上部41Aの側に折り返して第1導体ケーブル20Aの外被4Aの外側面部43Aと第2導体ケーブル30Aの外被7Aの内側面部72Aとが隣接するように配置することができる。このように、連結部6Aは、断面方向において、第1導体ケーブル20Aの外側面部43Aが第2導体ケーブル30Aの内側面部72Aに隣接するように折り返すことにより、前記延在方向に延びる空間が形成される。例えば、各通信ケーブル3Aは、空間において移動可能な状態で配置されている。なお、第1導体ケーブル20Aの外側面部43Aと第2導体ケーブル30Aの内側面部72Aとは、接していてもよく、離間していてもよい。また、図1および図4において、第2導体ケーブル30Aの外被7Aの下面部74Aが、他の外被の面より厚くなっているが、これは、図1の複合ケーブルを図4のように折り返すことを前提として、第1導体ケーブル20Aの下面部44Aと第2導体ケーブル30Aの上面部71Aがほぼ同じ高さ位置になるようにする場合の例であり、実際にはこれに限られず、例えば、すべての外被の面を同じ厚さにするなどとしてもよい。これらの事項は、以下の例についても同様である。
複合ケーブル1Aにおいて、連結部6Aが折り返された状態を保持する保持部63Aを備える。保持部63Aは、例えば、連結部6Aの上部61Aと第1導体ケーブル20Aの外被4Aの上部41Aとを接着部材などの係合部材により接着することにより係合させる。なお、保持部63Aは、連結部6Aの上部61Aと第1導体ケーブル20Aの外被4Aの上部41Aとを溶着させていてもよい。また、保持部63Aは、連結部6Aの上部61Aと第1導体ケーブル20Aの外被4Aの上部41Aとを面ファスナーや粘着テープにより係合させてもよい。
上述した構成を有する複合ケーブル1Aによれば、第1導体ケーブル20Aの外被4Aと第2導体ケーブル30Aの外被4Aとに接続されていて、断面方向に隣接して配置されている連結部6Aと、を備える。このように構成されていることにより、複合ケーブル1Aは、この連結部6Aに配置されている少なくとも1本の通信ケーブル3Aを配置して連結部6Aを折り返すことで、電源ケーブルまたはアースケーブルとして用いることができる第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aと通信ケーブル3Aとを備える複合ケーブル1Aを容易に生産することができる。
従って、上述した構成を有する複合ケーブル1Aによれば、生産性の向上を図ることができる。
また、複合ケーブル1Aによれば、導電性の導電部材2Aを有する第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aと、第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aに隣接して配置されている連結部6Aで囲まれる空間に収容された少なくとも一本の通信ケーブル3Aとを有しているので、第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aによる例えば電力供給または接地と、通信ケーブル3Aとしての光ファイバによる光信号の伝送とを一つのケーブルによって実現することができる。
また、通信ケーブル3Aが連結部6Aで囲まれる空間に収容されているので、複合ケーブル1Aの外被4A,7Aや連結部6Aに対して外力が加わった場合であっても、通信ケーブル3Aに直接外力が作用し難い。特に、連結部6Aは、断面方向において第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aの少なくともいずれか一方の外被4A,7Aの厚さよりも薄く形成されているため、複合ケーブル1Aの外被4A,7Aに対して外力が加わった場合であっても、先に第1導体ケーブル20Aまたは第2導体ケーブル30Aに外力が加わりその後通信ケーブル3Aに加わることになるため、通信ケーブル3Aに直接外力が作用し難い。これにより、通信ケーブル3Aに外力が加わることによる、通信ケーブル3Aによる信号伝送への悪影響を抑えることが可能となる。
加えて、通信ケーブル3Aが連結部6Aで囲まれる空間に非拘束状態で収容されている場合、すなわち、通信ケーブル3Aが、連結部6Aの上部61Aと通信ケーブル3Aとの間に空間が設けられていて、通信ケーブル3Aが移動可能な状態で配置されている場合には、外力により連結部6Aが変形しても、通信ケーブル3Aが連結部6A内を移動し、通信ケーブル3Aに外力が加わることを回避することが可能となる。
また、複合ケーブル1Aによれば、外被4A,7A及び連結部6Aが柔軟性を有する絶縁性の部材で形成されているので、複合ケーブル1Aが湾曲した時に連結部6Aが塑性変形することが可能となり、複合ケーブル1Aの屈曲性能を高めることが可能となる。また、複合ケーブル1Aは、断面の形状が楕円形や長円形などの扁平な形状であるために、同材料、同等断面積の円形ケーブルに比べ、短軸方向の可撓性が向上し、車両への配索性が向上する。
また、通信ケーブル3Aとして光ファイバを用いることにより、通信ケーブル3Aにおける信号伝送は、電源線としての第1導体ケーブル20A及び第2導体ケーブル30Aや外部において発生した電磁波による悪影響を受け難くなる。
以上、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aによれば、ワイヤハーネスとして十分な性能を有するケーブルを提供することが可能となる。
≪実施の形態2≫
図5は、実施の形態2に係る複合ケーブル1Bの断面図である。
実施の形態2に係る複合ケーブル1Bは、第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bに用いられる導電部材2Bが複数の金属線を撚り合わせた撚線である点において、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
図5に示すように、複合ケーブル1Bにおいて、第1導体ケーブル20Bの外被4B、及び、第2導体ケーブル30Bの7Bは、断面視多角形状(矩形状)に限定されず、例えば、断面視丸形状、あるいは三角形状や五角形状などの多角形状であってもよい。外被4B,7Bの厚さは、第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bの断面形状においてほぼ均一な厚さで設けられている。導電部材2Bは、複数の金属線200Bを撚り合わせて1つの線状体として機能するように形成されている。導電部材2Bは、外周面に外被4B,7Bのほかに被覆が設けられていない、いわゆる裸撚線である。導電部材2Bは、複合ケーブル1Bにおいて第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bにそれぞれ1本ずつの計2本が備えられていて、延在方向に垂直な方向である断面方向に沿って配列されている。
実施の形態2に係る複合ケーブル1Bによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態3≫
図6は、実施の形態3に係る複合ケーブル1Cの断面図である。
実施の形態3に係る複合ケーブル1Cは、第1導体ケーブル20C及び第2導体ケーブル30Cに用いられる導電部材2Cが断面視円形状の中実の単線である点において、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。複合ケーブル1Cにおいても、外被4C,7Cの厚さは、第1導体ケーブル20C及び第2導体ケーブル30Cの断面形状においてほぼ均一な厚さで設けられていることが望ましい。
図6に示すように、複合ケーブル1Cにおいて、導電部材2Cは、金属材料から構成された中実の単線(金属線)である。導電部材2Cは、上述した導電部材2Aのような断面視多角形状(矩形状)に限定されず、例えば、断面視が三角形状や五角形状などの多角形状であってもよく、また、導電部材2Cは、複数並んで配置されていてもよい。
実施の形態3に係る複合ケーブル1Cによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態4≫
図7は、実施の形態4に係る複合ケーブル1Dの断面図である。
実施の形態4に係る複合ケーブル1Dは、第1導体ケーブル20D及び第2導体ケーブル30Dに用いられる導電部材2Dが先に説明した導電部材2Bのように複数の金属線を撚り合わせた撚線であって、その断面形状が断面視角形状(長方形状)である点において、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
図7に示すように、複合ケーブル1Dにおいて、導電部材2Dは、複数の金属線200Dを撚り合わせて1つの線状体として機能するように形成されている。導電部材2Dは、導電部材2Bと同様に外周面に外被4D,7Dのほかに被覆が設けられていない、いわゆる裸撚線である。
実施の形態4に係る複合ケーブル1Dによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態5≫
図8は、実施の形態5に係る複合ケーブル1Eの断面図である。
実施の形態5に係る複合ケーブル1Eは、第1導体ケーブル20E及び第2導体ケーブル30Eに用いられる導電部材2Eが、複数の金属線200Eを撚り合わせた断面視円形状の撚線を複数(例えば3本)組み合わせたものである点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
図8に示すように、複合ケーブル1Eにおいて、導電部材2Eは、複数の金属線200Eを撚り合わせた撚線を1つの線状体とした上でこれら複数の撚線を組み合わせて1つの導電部材として機能するように形成されている。導電部材2Eは、導電部材2Bと同様に外周面に外被4B,7Fのほかに被覆が設けられていない、いわゆる裸撚線である。
実施の形態5に係る複合ケーブル1Eによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態6≫
図9は、実施の形態6に係る複合ケーブル1Fの断面図である。
実施の形態6に係る複合ケーブル1Fは、第1導体ケーブル20F及び第2導体ケーブル30Fに用いられる導電部材2Fが、複数の金属線200Fを撚り合わせた断面視角形状(長方形状)の撚線を複数(例えば2本)組み合わせたものである点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
図9に示すように、複合ケーブル1Fにおいて、導電部材2Fは、複数の金属線200Fを撚り合わせた撚線を1つの線状体とした上でこれら複数の撚線を組み合わせて1つの導電部材として機能するように形成されている。導電部材2Fは、導電部材2Bと同様に外周面に外被4F、7Fのほかに被覆が設けられていない、いわゆる裸撚線である。
実施の形態6に係る複合ケーブル1Fによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態7≫
図10は、実施の形態7に係る複合ケーブル1Gの断面図である。
実施の形態7に係る複合ケーブル1Gは、導電部材2Gの構成が異なる点において、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。複合ケーブル1Gにおいても、外被4G,7Gの厚さは、第1導体ケーブル20G及び第2導体ケーブル30Gの断面形状においてほぼ均一な厚さで設けられていることが望ましい。
具体的に、図10に示すように、複合ケーブル1Gにおける第1導体ケーブル20G及び第2導体ケーブル30Gは、導電部材2Gと絶縁被覆5Gとシールド部材210Gとを有する。
導電部材2Gは、先に説明した導電部材2Aと同様に金属材料から構成された断面視円形状の中実の単線(金属線)である。
絶縁被覆5Gは、導電部材2Gの外周面を被覆している絶縁材料である。絶縁被覆5は、例えば、外被4G,7G(外被4A,7A)と同様の絶縁材料から構成されている。絶縁被覆5Gは、例えば押出成形によって形成される。
シールド部材210Gは、例えば実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの導電部材2Aに用いられる金属線(銅電線)のような導電性を有する材料、つまり非絶縁性の材料を筒状に形成したものである。シールド部材210Gは、例えば押出成形またはシート状材料の筒状への成形などによって形成される。導電部材2Gは、シールド部材210Gの外周面が外被4G,7Gによって覆われている。
実施の形態7に係る複合ケーブル1Gは、シールド部材210Gが非絶縁性の材料により形成されている。このため、実施の形態7に係る複合ケーブル1Gによれば、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの作用効果に加えて、導電部材2Gあるいはその他の装置から発生する電磁波が、シールド部材210Gの外部の金属線により形成されている通信ケーブル3Gに干渉することがなく、信号障害の発生を抑制することができる。
≪実施の形態8≫
図11は、実施の形態8に係る複合ケーブル1Hの断面図である。
実施の形態8に係る複合ケーブル1Hは、第1導体ケーブル20H及び第2導体ケーブル30Hに用いられる導電部材2H、絶縁被覆5H、及びシールド部材210Hの形状が、実施の形態7に係る複合ケーブル1Gと相違し、その他の点においては、実施の形態7に係る複合ケーブル1Gと同様である。
図11に示すように、複合ケーブル1Hにおいて、導電部材2Hは、先に説明した導電部材2Eのように複数の金属線を撚り合わせた断面視円形状の撚線を複数組み合わせて1つの線状体として機能するように形成されている。
絶縁被覆5Hは、導電部材2Hを形成している複数の断面視円形状の撚線全体の外周面を被覆している。
シールド部材210Hは、先に説明したシールド部材210Gとは異なり、導電部材2Hを形成している複数の断面視円形状の撚線全体の外周面を被覆している絶縁被覆5Hの外周面を一体で覆う断面視楕円形状または断面視長円形状の筒状の非絶縁性部材である。シールド部材210Hと導電部材2Hとの間には、図11に示すように空隙が設けられていてもよい。
実施の形態8に係る複合ケーブル1Hによれば、上述の実施の形態7に係る複合ケーブル1Gと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態9≫
図12は、実施の形態9に係る複合ケーブル1Iの断面図である。
実施の形態9に係る複合ケーブル1Iは、第1導体ケーブル20I及び第2導体ケーブル30Iに用いられる導電部材2Iが、複数の金属線200Iを撚り合わせた断面視角形状(長方形状)の撚線を複数(例えば2本)組み合わせたものである点、及び、複数の撚線の外周面を一体で被覆する絶縁被覆5Iを有する点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
実施の形態9に係る複合ケーブル1Iによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態10≫
図13は、実施の形態10に係る複合ケーブル1Jの断面図である。
実施の形態10に係る複合ケーブル1Jは、第1導体ケーブル20J及び第2導体ケーブル30Jに用いられる導電部材2Jが、複数の金属線200Fを撚り合わせた断面視角形状(長方形状)の撚線を複数(例えば2本)組み合わせたものである点、及び、複数の撚線の外周面をそれぞれ被覆する絶縁被覆5Jを有する点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
実施の形態10に係る複合ケーブル1Jによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態11≫
図14は、実施の形態11に係る複合ケーブル1Kの保持部63Kを示す拡大断面図である
実施の形態11に係る複合ケーブル1Kは、連結部6Kが折り返された状態を保持する保持部63Kが、連結部6Kに設けられている第1爪部81Kと第1導体ケーブル20Kの外被4Kに設けられている第2爪部82Kとにより構成されていて、連結部6Kと外被4Kとを係合させる係合部材である点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの保持部63Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
実施の形態11に係る複合ケーブル1Kによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができる。
≪実施の形態12≫
図15は、実施の形態12に係る複合ケーブル1Lの連結部6Lを示す拡大断面図である。
実施の形態12に係る複合ケーブル1Lは、連結部6Lが、蛇腹状(断面視波状)に構成されている点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの連結部6Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
実施の形態11に係る複合ケーブルによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができるのに加えて、蛇腹状に形成されている連結部6Lを有することにより、より折り返しを容易に行うことができるため、より生産性の向上を図ることができる。
≪実施の形態13≫
図16は、実施の形態13に係る複合ケーブル1Mの連結部6Mを示す拡大断面図である。
実施の形態13に係る複合ケーブル1Mは、連結部6Mが、上部61Mに導電箔64Mが設けられている点が、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの連結部6Aと相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様である。
導電箔64Mは、例えば実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの導電部材2Aに用いられる金属線(銅電線)のような導電性を有する材料、つまり非絶縁性の材料をシート状に形成したものである。導電箔64Mは、連結部6Mの上部61Mに接着剤などを用いて接着されている。
実施の形態13に係る複合ケーブル1Mによれば、上述の実施の形態1に係る複合ケーブル1Aと同様の作用効果を得ることができるのに加えて、導電箔64Mによりシールド効果を得ることができる。
≪実施の形態14≫
図17は、実施の形態14に係る複合ケーブル1Aの断面図である。
図17は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブル1Aの端部に外部端子を接続した構成を示す図である。同図には、一例として、実施の形態2(図1参照)に係る複合ケーブル1Aに外部端子8,9を接続した場合が示されている。
外部端子8(第1外部端子)は、複合ケーブル1Aにおける導電部材2Aと外部機器や他の配線との接続を容易にするための簡易接続部材である。外部端子8としては、圧着端子等を例示することができる。外部端子8は、導電部材2Aの延在方向の端部に接続されている。なお、外部端子8は、圧着端子には限られず、例えば平板状端子等でもよく、外部端子8と導電部材2Aとの接続も、例えば圧着のほか、超音波溶接、抵抗溶接、はんだ付け等の接合技術などを適用してもよく、これらの技術を組み合わせて適用してもよい。
外部端子9(第2外部端子)は、複合ケーブル1Aにおける通信ケーブル3Aと外部機器や他の配線との接続を容易にするための簡易接続部材である。例えば、通信ケーブル3Aが光ファイバの場合、外部端子9としては、FCやSC等の各種光コネクタを例示することができる。外部端子9は、各通信ケーブル3Aの延在方向の端部にそれぞれ接続されている。
なお、本実施の形態では、複合ケーブル1Aの導電部材2Aと通信ケーブル3Aとにそれぞれ別個の外部端子8,9が接続される場合を例示したが、これに限られない。例えば、複合ケーブル1Aの端部に外部端子8,9を一体に形成した一つのコネクタ状の簡易接続部材を接続してもよい。
図18は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブル1Bの端部に外部端子を接続した構成の変形例1を示す図である。同図には、図17に示した例の変形例1として、実施の形態2(図5参照)に係る複合ケーブル1Bに外部端子8,9を接続した場合が示されている。また、図19は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブル1Dの端部に外部端子を接続した構成の変形例2を示す図である。同図には、図17に示した例の変形例2として、実施の形態4(図7参照)に係る複合ケーブル1Dに外部端子8,9を接続した場合が示されている。
外部端子9(第2外部端子)は、複合ケーブル1Bにおける通信ケーブル3Bと外部機器や他の配線との接続を容易にするための簡易接続部材である。例えば、通信ケーブル3Bが光ファイバの場合、外部端子9としては、FCやSC等の各種光コネクタを例示することができる。外部端子9は、各通信ケーブル3Bの延在方向の端部にそれぞれ接続されている。
本実施の形態では、実施の形態2に係る複合ケーブル1Bに外部端子8,9を接続する場合を例示したが、上述した変形例1及び変形例2を含め、実施の形態1乃至13に係る各複合ケーブル1A~1Mにも同様に外部端子8,9を接続することができる。
≪実施の形態15≫
次に、上述した複合ケーブル1A~1Mの組立方法について説明する。ここでは、代表的に、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの組立方法の流れについて説明するが、他の実施の形態に係る複合ケーブル1Aについても略同様の流れによって組み立てることができる。
まず、第1ステップとして、導電性を有する導電部材2Aを準備する。上述したように、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、錫めっき線、鉄、及びニッケル等の金属材料を押出成形することによって、導電部材2Aが形成される。
次に、第2ステップとして、第1ステップで準備された導電部材2Aの外周面を被覆する絶縁材料から構成された外被4A,7A、及び、外被4A,7Aに接続されていて、断面方向に隣接して配置されている連結部6Aを、押出成形により形成する。例えば、上述したように、導電部材2Aの外周面において、ポリエチレン、PVC、ナイロン、シリコン等の材料を押出成形(例えば、一括押出成形)することによって、外被4A,7A及び連結部6Aが形成される。
次に、第3ステップとして、連結部6Aの上部61Aに、通信ケーブル3Aを配置する。
次に、第4ステップとして、連結部6Aの第2導体ケーブル30A側の端部を第1導体ケーブル20Aの側に、換言すれば第1導体ケーブル20Aの外側面部43Aが第2導体ケーブル30Aの内側面部72Aに隣接するように折り返すことにより、第1導体ケーブル20Aの外被4Aの少なくとも一部を覆う。
最後に、第5ステップとして、保持部63Aにより、連結部6Aが第1導体ケーブル20Aの側に折り返された状態に保持させる。
なお、必要に応じて、外被4Aが形成された導電部材2Aの延在方向の端部に、第1外部端子としての簡易接続部材8を接続してもよい。
また、必要に応じて、通信ケーブル3Aの延在方向の端部に第2外部端子としての簡易接続部材9を接続してもよい。なお、簡易接続部材8,9の接続は、従来の圧着端子の接続方法等の公知の手法を用いることにより、実現することができる。また、第3ステップにおいて、第2外部端子としての簡易接続部材9が、延在方向の端部にあらかじめ設けられている通信ケーブル3Aを連結部6Aの上部61Aに配置してもよい。
以上により、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aを組み立てることが可能となる。
ここで、実施の形態15の変形例として、以下の組立方法を採用してもよい。各ステップの詳細については、特に記載のない限り、実施の形態15と同様である。
まず、第1ステップとして、導電性を有する導電部材2Aを準備する。
次に、第2ステップとして、第1ステップで準備された導電部材2Aの外周面を被覆する絶縁材料から構成された外被4A,7Aを、押出成形により形成する。
次に、第3ステップとして、外被4Aと外被7Aの間に、断面方向に隣接するように連結部6Aを取り付け、その後に、連結部6Aの上部61Aに、通信ケーブル3Aを配置する。
次に、第4ステップとして、連結部6Aの第2導体ケーブル30A側の端部を第1導体ケーブル20Aの側に折り返すことにより、第1導体ケーブル20Aの外被4Aの少なくとも一部を覆う。
最後に、第5ステップとして、保持部63Aにより、連結部6Aが第1導体ケーブル20Aの側に折り返された状態に保持させる。
なお、第3ステップにおいて、第2外部端子としての簡易接続部材9が、延在方向の端部にあらかじめ設けられている通信ケーブル3Aを連結部6Aの上部61Aに配置してもよい。
≪実施の形態16≫
図20,図21は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブルを車載用のワイヤハーネスとして用いた場合の配索例を示す図である。なお、この配索例はあくまでも一例であり、本発明の実施の形態に係る複合ケーブルの配索形態や使用形態は、この例に限られない。
図20には、上記実施の形態に係る複合ケーブル1A~1Mの何れかを用いたワイヤハーネスの配索構造の平面図が示され、図21には、当該ワイヤハーネスの配索構造を表す要部斜視図が示されている。
図20,図21に示されるワイヤハーネスの配索構造500は、車両600に搭載されるものである。車両600としては、例えば、ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車等を含む自動車を挙げることができる。
図20,図21に示すように、ワイヤハーネスの配索構造500は、電源の供給系統として、車両600に搭載された電源10に接続された第一の電源幹線12aと、第一の電源幹線12aに接続された第一の電源分配器11aと、第一の電源分配器11aに接続されると共に車両の前後方向に配索された第二の電源幹線12bと、第二の電源幹線12bに接続された第二の電源分配器11bと、第二の電源分配器11bに接続されると共に車幅方向に配索された第三の電源幹線12cと、第三の電源幹線12cに接続された第三の電源分配器11cと、第三の電源分配器11cに接続されると共に車両の前後方向に配索された第四の電源幹線12dと、第四の電源幹線12dに接続された第四の電源分配器11dと、を有する。また、ワイヤハーネスの配索構造500は、通信インフラとして、第一の通信制御部21aと、第一の通信制御部21aに接続されると共に車両の前後方向に配索された第一の通信幹線22aと、第一の通信幹線22aに接続された第二の通信制御部21bと、第二の通信制御部21bに接続されると共に車幅方向に配索された第二の通信幹線22bと、第二の通信幹線22bに接続された第三の通信制御部21cと、第三の通信制御部21cに接続されると共に車両の前後方向に配索された第三の通信幹線22cと、第三の通信幹線22cに接続された第四の通信制御部21dと、を有する。また、第一から第四の電源分配器11aから11dの各々の電源分配器に接続された枝線(通信枝線及び電源枝線)13と、各々の枝線13に接続された第一の補機14と、第一から第四の通信制御部21aから21dの各々の通信制御部に接続された枝線(通信枝線及び電源枝線)15と、各々の枝線15に接続された第二の補機16と、を有する。第一の電源分配器11aと第一の通信制御部21aは第一の筺体31に収容され、一体化されている。同様に、第二の電源分配器11bと第一の通信制御部21aは第二の筺体32に収容され、第三の電源分配器11cと第三の通信制御部21cは第三の筺体33に収容され、第四の電源分配器11dと第四の通信制御部21dは第四の筺体34に収容され、それぞれ一体化されている。
ワイヤハーネスの配索構造500において、電源線及び通信線を含む幹線、すなわち電源幹線12a~12d及び通信幹線22a~22cの少なくとも一部に、上述した実施の形態1乃至14の何れかに係る複合ケーブル1A~1Mを採用することができる。例えば、図20においては、電源幹線12bと通信幹線22aの組み合わせ、電源幹線12cと通信幹線22bの組み合わせ、電源幹線12dと通信幹線22cの組み合わせなどについて、複合ケーブル1A~1Mを採用することができる。同様に、ワイヤハーネスの配索構造500において、幹線から分岐した枝線(電源枝線及び通信枝線)13,15の少なくとも一部に、上述した実施の形態1乃至14の何れかに係る複合ケーブル1A~1Mを採用することができる。
このように、車両用のワイヤハーネスの配索構造500において、上述した実施の形態1乃至14の何れかに係る複合ケーブル1A~1Mを採用することにより、一つのケーブルによって電源線と通信線を引き廻すことができるので、車両内のワイヤハーネスの配索性を更に向上させることが可能となる。
なお、ワイヤハーネスの配索構造500において、電源幹線12a~12d及び枝線13,15(電源枝線)は、電源電圧が供給されるケーブルとグラウンド電圧が供給されるケーブル(アース線)を含んでいてもよいし、電源幹線12a~12d及び枝線13,15(電源枝線)を電源電圧が供給されるケーブルとし、これらの電源線とは別にグラウンド電圧が供給されるアース線を設けてもよい。すなわち、上述した実施の形態1乃至14の何れかに係る複合ケーブル1A~1Mは、同様の配索構造をとることができる。
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、複合ケーブル1Aにおける導電部材2Aは、図1などに示したような扁平な四角形状には限定されず、例えば楕円形状あるいは長円形状などであってもよい。また、複合ケーブル1Eにおける導電部材2Eは、図8に示したように断面視における長手方向(横方向)に複数配列するものには限定されず、例えば短手方向(縦方向)に複数配列されていてもよい。また、複合ケーブル1Fにおける導電部材2Fは、図9に示したように断面視における短手方向(縦方向)に複数配列するものには限定されず、例えば長手方向(横方向)に複数配列されていてもよい。
図22は、実施の形態1に係る複合ケーブル1Aの連結部6Aを第1導体ケーブル20Aの側に折り返した状態の変形例を示す斜視図である。複合ケーブル1Aは、図22に示すように、連結部6Aの上部61Aを第1導体ケーブル20Aの上部41Aの側に折り返して第1導体ケーブル20Aの外被4Aの上部41Aと第2導体ケーブル30Aの外被7Aの上面部71Aとが向かい合うように配置することができ、図4と同様に、延在方向に延びる空間が形成される。
また、上述したように、図6に示した複合ケーブル1Cにおいて、導電部材2Cは、金属材料から構成された1本の中実の単線(金属線)であったがこれに限定されず、例えば、図8に示した導電部材2E、図9に示した導電部材2F、図11に示した導電部材2H、あるいは図13に示した導電部材2Jのように複数並んで配置されていてもよい。
図23は、実施の形態2に係る複合ケーブル1Bの変形例を示す断面図である。
実施の形態2に係る複合ケーブル1Bは、外被4B,7Bの断面視の形状が図5に示した面視多角形状(矩形状)に限定されず、例えば、図23に示すように、断面視丸形状、あるいは三角形状や五角形状などの多角形状であってもよい。外被4B,7Bの厚さは、断面視の形状を問わず、第1導体ケーブル20B及び第2導体ケーブル30Bの断面形状においてほぼ均一な厚さで設けられている。
図24は、実施の形態2に係る複合ケーブル1Bの変形例の連結部を第1導体ケーブル20Bの側に折り返した状態を示す斜視図である。図24に示すように、図23に示した複合ケーブル1Bの変形例においても、導電部材2Bの延在方向の端部に外部端子8を接続することができる。また、図24に示すように、複合ケーブル1Bは、外被4B,7Bの断面形状を問わず、連結部6Bの断面方向における第2導体ケーブル30B側の端部を第1導体ケーブル20Bの側に折り返すことにより、第1導体ケーブル20Bの外被4Bの少なくとも一部を覆うことができる。