以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の乾燥装置40を備えた乾燥設備1の概要を模式的に示した図である。
図1に示すように、乾燥設備1は、燃焼装置10と、燃焼装置10から排出された乾燥用ガスによってワークWを乾燥させる乾燥装置40とを備える。なお、ワークWは、被乾燥物として機能する。この乾燥設備1は、乾燥装置40に導入した乾燥用ガスの一部を燃焼装置10に戻す循環式の乾燥設備である。
燃焼装置10は、燃料と酸化剤(空気中の酸素)を燃焼させて燃焼ガスを生成する。燃焼装置10は、燃焼室15と、バーナ20とを備える。
燃焼室15は、内部空間を有する筐体である。燃焼室15の一端15aには、バーナ20が備えられている。バーナ20は、バーナ本体21と、燃料供給管22と、給気ファン23とを備える。
燃料供給管22は、燃料供給源24から燃料をバーナ本体21に導く。燃料供給管22には、バーナ本体21に導入する燃料の流量を調整する流量調整弁25が設けられている。
給気ファン23は、燃焼用の空気をバーナ本体21に供給する。なお、バーナ本体21に空気を供給する燃焼用空気供給装置は、給気ファン23に限らず、コンプレッサやブロアでもよい。
バーナ本体21では、燃料供給管22から導入された燃料および給気ファン23から導入された空気が燃焼し、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼室15の内部に広がる。
燃焼室15の他端15bには、内部の燃焼ガスを排出するための排出口(図示しない)を有する。また、燃焼室15内の他端15b側には、例えば、図1に示すように、断面に亘ってフィルタ16が設けられている。このフィルタ16は、排出口に向かって流れる乾燥用ガス中の異物を除去する。
乾燥装置40は、燃焼室15から排出された乾燥用ガスによってワークWを乾燥させる。図1には、ワークWを搬送する搬送通路85の方向、すなわちワークWの搬送方向に垂直な断面が示されている。乾燥装置40は、ワークWの搬送方向に延設されている。
乾燥装置40は、ワークWに乾燥用ガスを噴出するための構成を備えるガス噴出部50と、ワークWを搬送通路85に沿って搬送する搬送装置90とを備える。ガス噴出部50は、乾燥用ガスが導入される乾燥用ガス導入空間54を備える。なお、乾燥装置40の構成については、後述する。
ガス噴出部50の乾燥用ガス導入空間54は、導入管30を介して燃焼室15に連通している。導入管30の一端は、燃焼室15の排出口(図示しない)に連結され、導入管30の他端は、ガス噴出部50に連結されている。
なお、ガス噴出部50における導入管30との連結部は、一箇所に限らず、複数個所であってもよい。連結部が複数ある場合、例えば、導入管30の他端側は、連結部の数に対応して複数に分岐される。
導入管30には、戻り配管33を介して乾燥装置40から燃焼室15に乾燥用ガスを戻すための循環ファン31が介在している。なお、循環ファン31は、導入管30を介して燃焼室15からガス噴出部50に乾燥用ガスを導入するための機能も備えている。
循環ファン31では、例えば、ファンモータ32を制御してファン回転数を調整することで、ガス噴出部50に供給される乾燥用ガスの流量が調整される。循環ファン31は、例えば、シロッコファンやターボファンなどで構成される。
乾燥装置40の搬送通路85は、戻り配管33を介して燃焼室15に連通している。戻り配管33の一端は、搬送通路85と連通するように設けられている。なお、戻り配管33の一端が配置される搬送通路85は、ワークWを乾燥する領域である。
ここでは、戻り配管33は、乾燥用ガス導入空間54を貫通しないように配管された一例を示している。なお、戻り配管33は、例えば、乾燥用ガス導入空間54を貫通して配管されてもよい。なお、戻り配管33の一端を複数に分岐して、搬送通路85の複数の位置から乾燥用ガスを吸引するようにしてもよい。
戻り配管33の他端は、燃焼室15の側壁に連結されている。戻り配管33の他端が連結される側壁位置は、例えば、図1に示すように、フィルタ16とバーナ20との間となるように設定される。これによって、戻り配管33を通って燃焼室15内に循環された乾燥用ガスは、再び燃焼室15から導入管30に導入される際、フィルタ16を通り異物が除去される。
戻り配管33の他端側には、大気導入管34が接続されている。大気導入管34の一方の端部は、大気開放されている。大気導入管34は、戻り配管33を介して乾燥装置40から燃焼室15に戻る乾燥用ガスに、大気(空気)を導入するための配管である。すなわち、大気導入管34の大気開放側の端部から大気を吸い込み、戻り配管33に導入する。
大気導入管34には、戻り配管33に導入する空気の流量を調整するための流量調整部35が備えられている。この流量調整部35は、例えば、ダンパなどで構成される。なお、ダンパの開度は、例えば、一定の流量の空気が戻り配管33に導入されるように調整されている。
すなわち、燃焼室15から導入管30に導入される乾燥用ガスは、バーナ20によって生成された燃焼ガスと、戻り配管33から燃焼室15に循環される大気を含む乾燥用ガスとの混合ガスである。
なお、図示していないが、乾燥装置40は、搬送通路85の乾燥用ガスを排気する排気管を備える。排気管の一端も、戻り配管33と同様に、搬送通路85と連通するように設けられている。また、排気管は、例えば、乾燥用ガス導入空間54を貫通しないように配管される。
次に、乾燥装置40の構成について説明する。
図2は、第1の実施の形態の乾燥装置40における、ワークWの搬送方向に垂直な断面を示す図である。図3は、図2のA-A断面を示す図である。なお、図2において、駆動装置120および先端噴出部70については断面で示していない。
図2および図3に示すように、乾燥装置40は、ガス噴出部50と、搬送通路85と、搬送装置90と、制御装置100とを備える。
ガス噴出部50は、ワークWに乾燥用ガスを噴出するための構成を備える。ガス噴出部50は、搬送通路85に沿って、搬送通路85を囲うように設けられている。換言すると、ガス噴出部50は、ワークWの搬送方向に沿って、搬送されるワークWを囲うように設けられている。
ガス噴出部50は、ガス噴出部本体51と、固定ガス噴出ノズル60と、可動ガス噴出ノズル65と、駆動装置120とを備えている。なお、固定ガス噴出ノズル60は、第1の乾燥用ガス噴出部として機能し、可動ガス噴出ノズル65および駆動装置120は、第2の乾燥用ガス噴出部として機能する。
ガス噴出部本体51は、外部ケーシング52と、内部ケーシング53とを備える。外部ケーシング52は、乾燥装置40の外郭を構成する。外部ケーシング52は、例えば、断面が矩形の筒状形状を有する。
外部ケーシング52の内側には、外部ケーシング52に沿って内部ケーシング53が備えられている。内部ケーシング53は、断面形状が逆U字状(コ字状)の筒状形状を有する。なお、内部ケーシング53は、搬送通路85に面するガス噴出部本体51の通路側壁部として機能する。
外部ケーシング52と内部ケーシング53との間には、所定の間隙が設けられている。そして、外部ケーシング52と内部ケーシング53との間には、搬送通路85に沿って断面形状が逆U字状(コ字状)の空間が形成されている。
この逆U字状の空間のうち、例えば、固定ガス噴出ノズル60が備えられる位置よりも下方側には、封止板55が備えられている。ここで、封止板55よりも上方の逆U字状の空間は、乾燥用ガスが導入される乾燥用ガス導入空間54を構成している。
なお、逆U字状の空間のうち、封止板55よりも下方側には、乾燥用ガスは流れない。乾燥用ガス導入空間54における搬送通路85方向の両端は、封鎖されている。
乾燥用ガス導入空間54には、導入管30から乾燥用ガスが導入される。なお、前述したように、ガス噴出部50(ガス噴出部本体51)と導入管30の接続部は、一箇所に限られない。分岐された複数の導入管30がガス噴出部本体51と連結されてもよい。ガス噴出部本体51と導入管30の接続部の位置および連結箇所数は、乾燥用ガス導入空間54に導入された乾燥用ガスの圧力分布が均一になるように設定されることが好ましい。
内部ケーシング53の側壁53aは、平板状部材で構成される。すなわち、2つの側壁53aは、搬送通路85を挟むように対向して配置されている。側壁53aは、例えば、搬送されるワークWと側壁53aとの距離が、搬送方向に亘って一定となるように配置されている。
内部ケーシング53内には、乾燥するワークWを搬送する搬送通路85が形成されている。内部ケーシング53の両端は、開口している。そして、内部ケーシング53の一端は、搬送通路85の入口であり、内部ケーシング53の他端は、搬送通路85の出口である。
搬送通路85の底部には、搬送装置90が備えられている。搬送装置90は、例えば、レール91と、駆動部92と、支持部93とを備える。
レール91は、乾燥装置40(外部ケーシング52)の床上に搬送方向に亘って配置されている。例えば、2本のレール91は、等間隔に配置されている。支持部93は、例えば、駆動部92上に配置され、ワークWを支持する。支持部93は、例えば、ワークWを下方から安定して支持する棒状部材などで構成される。
駆動部92は、支持部93および支持部93に支持されたワークWをレール91に沿って移動可能な駆動機構を備える。
なお、搬送装置90の構成は、これに限られない。搬送装置90は、搬送通路85に沿ってワークWを搬送方向に移動可能な構成であればよい。搬送装置90は、例えば、ワークWをワイヤなどに吊り下げて搬送する吊り下げ式搬送装置で構成されてもよい。
ここで、乾燥装置40におけるワークWの搬送形態として、例えば、タクト運転が採用される。タクト運転は、一定時間間隔で断続的にワークWを搬送する運転である。すなわち、タクト運転では、所定時間のワークWの搬送と所定時間のワークWの搬送停止が繰り返し行われる。
固定ガス噴出ノズル60は、内部ケーシング53の側壁53aから搬送通路85側に突出して設けられている。固定ガス噴出ノズル60は、乾燥用ガス導入空間54に導入された乾燥用ガスを乾燥空間である搬送通路85に噴出する。
ここで、固定ガス噴出ノズル60から噴出された乾燥用ガスと、ワークWとの熱伝達を向上させるために、例えば、固定ガス噴出ノズル60は、ワークWが搬送される方向に対して垂直となるように配置されることが好ましい。すなわち、固定ガス噴出ノズル60は、噴出する乾燥用ガスが搬送されるワークWの側面に対して垂直に衝突するように配置されることが好ましい。
また、上記した熱伝達を向上させるために、例えば、固定ガス噴出ノズル60から噴出される乾燥用ガスの流速は、高いほど好ましい。具体的には、固定ガス噴出ノズル60から噴出される乾燥用ガスの流れは、噴出方向に対して垂直な方向に広がらない高速の噴流であることが好ましい。
そこで、固定ガス噴出ノズル60は、このような噴流を形成しやすい、例えば、筒状の直管などで構成される。筒状の直管としては、例えば、円管などが使用される。
固定ガス噴出ノズル60は、例えば、側壁53aの同じ高さ位置(鉛直方向の同じ高さ位置)に搬送通路85に沿って所定の間隔をあけて配置される。ここで、この鉛直方向の同じ高さ位置における搬送通路85に沿う複数の固定ガス噴出ノズル60を搬送方向ノズル群と称する。
搬送方向ノズル群は、側壁53aの鉛直方向に所定の間隔をあけて複数段配置されている。この場合、鉛直方向に見たときに、固定ガス噴出ノズル60は、直線的に一列に配置されてもよい。また、鉛直方向に見たときに、固定ガス噴出ノズル60は、搬送方向ノズル群の一段おきに搬送方向にずらして千鳥格子状に配置されてもよい。
なお、側壁53aにおける固定ガス噴出ノズル60の配置構成は、特に限定されるものではない。固定ガス噴出ノズル60の配置構成は、ワークWの外側面を均一に乾燥できる配置構成であることが好ましい。また、固定ガス噴出ノズル60の配置構成は、乾燥用ガスを均一な速度(流量)で噴出できる配置構成であることが好ましい。
ここでは、筒状管形状の固定ガス噴出ノズル60を例示したが、この構成に限られない。固定ガス噴出ノズル60は、例えば、スリット状の噴出ノズルであってもよい。この場合、スリット状の固定ガス噴出ノズル60は、側壁53aの長手方向(ワークWの搬送方向)に亘って設けられる。また、スリット状の固定ガス噴出ノズル60は、側壁53aの高さ方向(鉛直方向)に複数段備えられてもよい。
次に、可動ガス噴出ノズル65について説明する。
図4は、第1の実施の形態の乾燥装置40における、可動ガス噴出ノズル65がワークWの中空部Whに挿入された状態でのワークWの搬送方向に垂直な断面を示す図である。なお、図4において、駆動装置120および先端噴出部70については断面で示していない。
図2~図4に示すように、可動ガス噴出ノズル65は、例えば、ガス噴出部本体51の天井壁から搬送通路85側に進退可能に設けられている。具体的には、可動ガス噴出ノズル65は、内部ケーシング53の天井壁53bを貫通して、搬送通路85側に進退可能に設けられている。この場合、可動ガス噴出ノズル65は、鉛直方向に進退可能に設けられている。
天井壁53bには、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に進退させるための貫通孔53cが形成されている。換言すると、天井壁53bには、可動ガス噴出ノズル65を貫通させるとともに、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に突出させたり、乾燥用ガス導入空間54側に引っ込めるための貫通孔53cが形成されている。
可動ガス噴出ノズル65は、管状部66と、先端噴出部70とを備える。管状部66は、中空の管状部材で構成される。管状部66は、直管で構成される。この管状部66は、天井壁53bの貫通孔53cを貫通するように配置されている。管状部66は、貫通孔53cを進退方向に移動させる部分である。
管状部66の一端には、先端噴出部70が、例えば、ねじ結合などによって着脱可能に取り付けられている。管状部66の他端は、後述する駆動装置120の棒状部材121と接続されている。
管状部66の他端側には、乾燥用ガス導入空間54の乾燥用ガスを導入する導入孔67が形成されている。先端噴出部70から噴出される乾燥用ガスの流量は、例えば、導入孔67の開口面積や導入孔67の数で調整される。
ここで、可動ガス噴出ノズル65は、図4に示すように、少なくとも一端が開口した中空部Whを有するワークWに対して使用される。図4では、ワークWの中央部に両端が開口する中空部Whを備えたワークW形状の一例を示している。中空部Whの開口は、少なくとも先端噴出部70を挿入する側に備えられている。
なお、可動ガス噴出ノズル65を使用する場合、乾燥装置40におけるワークWの搬送形態として、タクト運転が採用される。タクト運転において、ワークWの移動が所定時間停止されたときに、先端噴出部70をワークWの開口から中空部Whに挿入して、乾燥用ガスを噴出する。
また、可動ガス噴出ノズル65は、例えば、少なくとも中空部Whの最も深い部分、図4では下端の開口まで、先端噴出部70の先端を移動可能に設定される。また、図4に示すようにワークWの中空部Whが両端で開口している場合、可動ガス噴出ノズル65は、下端の開口を貫通して下端の開口よりも下方まで、先端噴出部70の先端を移動可能に設定されてもよい。なお、可動ガス噴出ノズル65は、中空部Whの任意の深さまで先端噴出部70を挿入できるように設定されている。
先端噴出部70は、導入孔67から管状部66内に導入された乾燥用ガスを中空部Whの内壁面に向けて噴出する。なお、先端噴出部70の構成については後述する。
駆動装置120は、棒状部材121と、駆動部122とを備える。
棒状部材121は、可動ガス噴出ノズル65を鉛直方向に移動可能に支持している。棒状部材121は、例えば、円筒状または円柱状の棒状部材で構成される。
棒状部材121の一端は、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側(鉛直方向)に進退することができるように、可動ガス噴出ノズル65の管状部66の他端に接続されている。
棒状部材121は、搬送通路85側とは異なる側に外部ケーシング52の天井壁52aを貫通している。天井壁52aには、棒状部材121を貫通させる貫通孔52bが形成されている。棒状部材121が貫通する貫通孔52bの内周面には、シール部材52cが設けられている。シール部材52cは、棒状部材121の外側面と当接しながら、棒状部材121を進退方向に摺動可能としている。
シール部材52cは、例えば、金属製のOリングなどで構成される。シール部材52cを設けることで、乾燥用ガス導入空間54に導入された乾燥用ガスが貫通孔52bと棒状部材121と間の隙間から外部に漏洩することを防止できる。
天井壁52aから外部に突出する棒状部材121の他端は、駆動部122に連結されている。駆動部122は、棒状部材121を介して可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に進退駆動する。この際、駆動部122は、ワークWの中空部Whに可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70を進退させるように、制御装置100によって制御される。
駆動部122としては、特に限定されないが、例えば、エアーシリンダ、ステッピングモータなどで構成される。
例えば、タクト運転においてワークWが搬送されている場合、搬送が停止している間、可動ガス噴出ノズル65は、搬送通路85側に突出する。そして、先端噴出部70は、ワークWの開口から中空部Wh内に挿入され、乾燥用ガスを噴出する。そして、搬送が開始する前に、先端噴出部70は、ワークWの中空部WhからワークWの外側に抜き取られ、天井壁53b側の所定位置まで移動される。
ここで、可動ガス噴出ノズル65は、搬送方向に少なくとも一つ備えられている。可動ガス噴出ノズル65は、搬送方向に所定の間隔をあけて複数配置されてもよい。例えば、ワークWの搬送形態がタクト運転の場合、ワークWが停止する搬送方向位置毎に可動ガス噴出ノズル65を配置してもよい。なお、可動ガス噴出ノズル65に対応して駆動装置120も設置される。
また、ワークWが少なくとも一端が開口した複数の中空部Whを備える場合には、中空部Whの数に対応して鉛直方向に進退する複数の可動ガス噴出ノズル65を備えてもよい。なお、この場合、ワークWの開口は、同じ方向に開口されている。換言すると、複数の中空部Whを備える場合、それぞれの開口は、先端噴出部70を鉛直上方から鉛直下方に向かって挿入可能なように構成されている。
制御装置100は、可動ガス噴出ノズル65の搬送通路85側への進退を制御する。具体的には、制御装置100は、例えば、ワーク搬送位置検知機構110からの検知信号に基づいて駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側へ進退させる。
制御装置100は、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に進退させる際、予め設定された位置に先端噴出部70を停止させることができる。また、予め設置される位置は、任意に設定可能である。
なお、制御装置100は、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側へ進退させるための、駆動部122を制御する機能を備えるが、この制御装置100の機能は、例えば、乾燥装置40または乾燥設備1を制御する制御装置に備えられてもよい。
ワーク搬送位置検知機構110は、ワークWの搬送位置に関する情報を検知する。このワーク搬送位置検知機構110は、乾燥装置40に備えられている。
ワーク搬送位置検知機構110は、例えば、非接触センサであるレーザセンサなどで構成される。ここで、図2および図4には、ワーク搬送位置検知機構110としてレーザセンサを使用した一例を示している。ワーク搬送位置検知機構110は、レーザ光を出射する出射部111と、出射部111が出射したレーザ光を検知する検知部112とを備える。
ここでは、出射部111および検知部112を内部ケーシング53の側壁53aに備えた一例を示している。出射部111と検知部112は、搬送通路85を介して互いに対向して配置されている。
また、ここでは、ワークWを搬送駆動する駆動部92を検知することで、ワークWの搬送位置を検知する一例を示している。なお、ワーク搬送位置検知機構110は、ワークWを直接検知可能な位置に設置されてもよい。
なお、出射部111および検知部112が搬送通路85内の乾燥用ガスに直接曝されないように、出射部111および検知部112の搬送通路85側には、例えば、耐熱ガラス111a、112aが設けられている。
ここで、出射部111と検知部112との間を駆動部92(ワークW)が存在するときには、検知部112は、出射部111から出射されたレーザ光を検知しない。出射部111と検知部112との間にワークWがないときには、検知部112は、出射部111から出射されたレーザ光を検知する。
すなわち、制御装置100は、ワーク搬送位置検知機構110からの検知信号に基づいて、タクト運転においてワークWが所定位置に停止していることを検知したとき、駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側へ突出させて、先端噴出部70をワークWの開口から中空部Whに挿入する。
ここで、制御装置100は、例えば、検知部112が出射部111からのレーザ光を所定時間検知しなくなったことに基づいて、ワークWが所定位置に停止していると判定する。所定時間として、例えば、ワークWが搬送されているときに駆動部92によってレーザ光が遮られる時間以上の時間が設定される。
そして、制御装置100は、タクト運転においてワークWが停止している設定時間およびワークWの停止後の経過時間に基づいて、ワークWが再度搬送される前に、駆動部122を制御して先端噴出部70をワークWの中空部Whから外部に引き抜く。
なお、タクト運転においてワークWが停止する所定位置に対応して、可動ガス噴出ノズル65は配置されている。
ここで、ワーク搬送位置検知機構110の構成は、上記した構成に限られない。ワーク搬送位置検知機構110は、例えば、光電センサ、近接スイッチなどの非接触センサで構成されてもよい。
また、例えば、搬送装置90の駆動部92において駆動軸の回転を検出するロータリーエンコーダなどが備えられている場合、ワーク搬送位置検知機構110は、パルス信号を出力するロータリーエンコーダで構成されてもよい。この場合、ワークWの搬送方向位置は、ロータリーエンコーダからのパルス信号に基づいて特定される。
すなわち、ワーク搬送位置検知機構110は、ワークWの搬送位置に関する情報を検知できる構成であればよい。
ここで、タクト運転においてワークWが所定位置に確実に停止する場合には、ワーク搬送位置検知機構110を備えずに、制御装置100によって可動ガス噴出ノズル65を制御することができる。すなわち、制御装置100は、駆動部92を制御する乾燥装置40の制御装置から信号に基づいて、ワークWが所定位置に停止したこと検知したとき、駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側へ突出させて、先端噴出部70をワークWの開口から中空部Whに挿入する。
そして、制御装置100は、タクト運転においてワークWが停止している設定時間およびワークWの停止後の経過時間に基づいて、ワークWが再度搬送される前に、駆動部122を制御して先端噴出部70をワークWの中空部Whから外側に引き抜く。
次に、可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70の構成について説明する。
先端噴出部70は、導入孔67から管状部66内に導入された乾燥用ガスをワークWの中空部Whの内壁面に向けて噴出する。先端噴出部70は、ワークWの開口から中空部Whに進退可能であり、中空部Whの内壁に乾燥用ガスを噴出可能なサイズに構成される。
先端噴出部70の形状は、中空部Whを形成するワークWの形状に対応させて適宜最適な形状に設定される。また、先端噴出部70の形状は、ワークWの中空部Whにおける内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tに応じて乾燥用ガスの噴出パターンが設定される。
ここで、肉厚Tは、図4に示すように、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の距離である。具体的には、肉厚Tは、中空部Whの内壁面の所定箇所から最短のワークWの外側面までの距離である。
ここで、先端噴出部70の形状を例示してその作用効果について説明する。
図5は、第1の実施の形態の乾燥装置40における可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70を示した平面図である。
図5に示した先端噴出部70は、網目状構造部材で構成された、乾燥用ガスを噴出する噴出部を備える。なお、先端噴出部70の全体が網目状構造部材で構成されてもよい。また、先端噴出部70において、中央に乾燥用ガスを導入する中空部を備え、その中空部の周囲が網目状構造部材で構成されてもよい。
網目状構造部材として、例えば、多孔質状部材、ポーラス状部材などが使用される。なお、先端噴出部70の先端および管状部66側の端部は、封止されていても、封止されていなくてもよい。
先端噴出部70を網目状構造部材で構成することで、ワークWの中空部Whの内壁面に向けて、先端噴出部70の側面から均一に乾燥用ガスを噴出することができる。
図6は、第1の実施の形態の乾燥装置40における可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70の他の形状を示した平面図である。図7は、図6のB-B断面を示した図である。
図6に示した先端噴出部70は、中空部73を有する筒状部材で構成されている。先端噴出部70は、先端噴出部70の中心軸に垂直な方向に形成されたスリット部71を備える。
ここでは、先端噴出部70の中心軸方向に2段のスリット部71を備えた先端噴出部70の一例を示している。なお、先端噴出部70は、1段または2段以上のスリット部71を備える。なお、図6に示した先端噴出部70では、先端噴出部70の先端および管状部66側の端部は、封止されている。
図7に示すように、スリット部71は、先端噴出部70の中心軸から半径方向に設けられた複数のスリット区画壁72によって周方向に区画されている。
先端噴出部70の中空部73に導入された乾燥用ガスは、スリット区画壁72間のスリット状通路74を通り、ワークWの中空部Whの内壁面に向けて放射状に噴出される。ここでは、周方向に均一なスリット状通路74が形成された一例を示しているが、スリット状通路74の周方向の通路幅は、周方向に不均一であってもよい。
例えば、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、肉厚Tが厚い熱容量の大きな部分に、より多くの乾燥用ガスを噴出できるように、スリット部71の段数、スリット状通路74の周方向の通路幅、スリット部71の中心軸方向の配置位置などが設定される。これによって、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できる。
図8は、第1の実施の形態の乾燥装置40における可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70の他の形状を示した平面図である。図9は、図8のC-C断面を示した図である。
図8に示した先端噴出部70は、中空部76を有する筒状部材で構成されている。先端噴出部70は、先端噴出部70の中心軸方向に形成されたスリット75を備える。スリット75は、筒状部材の側部に中心軸方向に形成されている。なお、図8に示した先端噴出部70では、先端噴出部70の先端および管状部66側の端部は、封止されている。
ここでは、複数列のスリット75が周方向に備えられた先端噴出部70の一例を示している。なお、先端噴出部70は、1列または2列以上のスリット部71を備える。
また、ここでは、周方向に等間隔で複数列のスリット75が形成された一例を示しているが、複数列のスリット75は、周方向に不規則な間隔で形成されてもよい。また、スリット幅(スリット75の周方向の幅)が均一に形成された一例を示しているが、スリット幅は、スリット75ごとに不均一に形成されてもよい。
図9に示すように、先端噴出部70の中空部76に導入された乾燥用ガスは、スリット75を通り、ワークWの中空部Whの内壁面に向けて放射状に噴出される。
例えば、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、肉厚Tが厚い熱容量の大きな部分に、より多くの乾燥用ガスを噴出できるように、スリット75の列数、スリット幅、スリット部71の周方向の位置などが設定される。これによって、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できる。
図10は、第1の実施の形態の乾燥装置40における可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70の他の形状を示した平面図である。図11は、図10のD-D断面を示した図である。
図10に示した先端噴出部70は、中空部76を有する筒状部材で構成されている。先端噴出部70は、筒状部材の側面に複数の噴出パイプ77を備えている。噴出パイプ77は、例えば、図11に示すように、先端噴出部70の中心軸から半径方向に設けられている。
噴出パイプ77は、例えば、外周にねじ部を備え、筒状部材の側面に形成されたねじ穴に取り外し可能に螺合されている。なお、噴出パイプ77は、筒状部材の側面にロウ付けなどで接続されてもよい。
噴出パイプ77は、例えば、周方向に均等に配置されている。ここで、周方向に均等に配置された複数の噴出パイプ77を噴出パイプ群と称する。ここでは、先端噴出部70の中心軸方向に噴出パイプ群を2段備えられた一例を示している。
また、噴出パイプ群において、周方向に等間隔で複数の噴出パイプ77を備えた一例を示しているが、複数の噴出パイプ77を周方向に不規則な間隔で形成してもよい。また、噴出パイプ群は、先端噴出部70の中心軸方向に少なくとも一段備えられていればよい。
なお、先端噴出部70の先端および管状部66側の端部は、封止されていても、封止されていなくてもよい。
図11に示すように、先端噴出部70の中空部78に導入された乾燥用ガスは、噴出パイプ77を通り、ワークWの中空部Whの内壁面に向けて放射状に噴出される。
例えば、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、肉厚Tが厚い熱容量の大きな部分に、より多くの乾燥用ガスを噴出できるように、噴出パイプ群の噴出パイプ77の数や間隔、噴出パイプ群の段数、噴出パイプ群の中心軸方向の配置位置などが設定される。これによって、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できる。
図12は、第1の実施の形態の乾燥装置40における可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70の他の形状を示した平面図である。図13は、図11のE-E断面を示した図である。図14は、図12に示された先端噴出部70の縦断面を示した図である。
図12に示された先端噴出部70は、管状部79と、円環状部80とを備える。図12~図13に示すように、管状部79は、中空部81を有する筒状部材で構成されている。円環状部80は、屈曲しながら半径方向に広がる円環状部材で構成されている。なお、管状部79と円環状部80は連結されている。
図12および図14に示すように、円環状部80の先端部は、外縁から中央(先端噴出部70の中心軸)に行くに伴って管状部79側に突出する略円錐形状である。円環状部80における環状流路82は、例えば、噴出口83に行くに伴って流路が先細り形状となる。
先端噴出部70の管状部79に導入された乾燥用ガスは、円環状部80の環状流路82に導かれる。環状流路82に導かれた乾燥用ガスは、整流されながら噴出口83に向かって流れる。そして、乾燥用ガスは、ワークWの中空部Whの内壁面に向けて、噴出口83から放射状に噴出される。
ここでは、周方向に亘って同形状の環状流路82を有し、乾燥用ガスが噴出口83から均一な速度で放射状に噴出される先端噴出部70の形状の一例を示したが、この形状に限られない。例えば、円環状部80において、周方向における環状流路82の形状を異なるように構成してもよい。
例えば、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、肉厚Tが厚い熱容量の大きな部分に、より多くの乾燥用ガスを噴出できるように、周方向における環状流路82の形状などが設定される。これによって、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できる。
上記したように、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚TやワークWの中空部Whの形状などに応じて、先端噴出部70の形状を設定することで、ワークWの中空部Whにおける加熱パターンを調整することができる。
また、上記したように先端噴出部70の形状を設定することで、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できる。これによって、ワークWにおける温度斑の発生を防止できる。
なお、ここでは、中空部Whの形状が対称形状の場合を例示して先端噴出部70の形状の説明をしたが、先端噴出部70の形状はこれらに限られない。ここで、対称形状とは、先端噴出部70を回転軸まわりに回転させるときに所定の回転角ごとに初めの形状と一致する回転対称性を有する形状をいう。
例えば、中空部Whの形状が非対称形状の場合には、中空部Whの形状に対応されて先端噴出部70の形状を非対称形状としてもよい。なお、非対称形状とは、上記した対称形状とならない形状である。
この場合においても、乾燥用ガスは、先端噴出部70からワークWの中空部Whの内壁面に向けて噴出される。また、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tが均一でない場合、先端噴出部70の形状は、熱容量の大きな箇所に集中的に乾燥用ガスを噴出できるように設定される。
また、例えば、中空部Whの形状が非対称形状の場合において、対称形状の先端噴出部70を使用する場合には、先端噴出部70の乾燥用ガスの噴出部から中空部Whの内壁面までの噴出距離が乾燥用ガスの噴出方向において異なることがある。このような場合、例えば、噴出距離に応じて先端噴出部70から噴出する乾燥用ガスの運動量が変わるように先端噴出部70の噴出部を設定する。
例えば、噴出距離が長い方向に乾燥用ガスを噴出する先端噴出部70の噴出部においては、乾燥用ガスが遠くまで到達するように、噴出部から噴出する乾燥用ガスの運動量を大きく設定する。一方、噴出距離が短い方向に乾燥用ガスを噴出する先端噴出部70の噴出部においては、噴出部から噴出する乾燥用ガスの運動量を小さく設定する。
次に、乾燥設備1の作用について説明する。
まず、図1を参照して、乾燥設備1全体における作用を説明する。
乾燥設備1の運転開始時において、給気ファン23、循環ファン31が駆動される。
バーナ20における燃焼が開始すると、循環ファン31の吸引によって、燃焼室15内の燃焼ガスが乾燥用ガスとして導入管30内に吸引される。導入管30内に吸引された乾燥用ガスは、乾燥装置40のガス噴出部50に導入される。
ガス噴出部50の乾燥用ガス導入空間54内に広がった乾燥用ガスの一部は、固定ガス噴出ノズル60から搬送通路85に噴出される。また、乾燥用ガス導入空間54内に広がった乾燥用ガスの残部は、可動ガス噴出ノズル65から搬送通路85に噴出される。なお、乾燥装置40における作用は、後に詳しく説明する。
燃焼室15内の乾燥用ガスが循環ファン31によって吸引されるため、燃焼室15内の圧力は、乾燥装置40の搬送通路85内の圧力よりも低くなる。そのため、搬送通路85の乾燥用ガスは、戻り配管33を通り燃焼室15に導かれる。
この際、大気導入管34の大気開放側の端部からも空気が吸引される。そして、大気導入管34を介して、所定量の空気が戻り配管33に導入され、燃焼室15に導かれる。
戻り配管33を介して燃焼室15に導入された乾燥用ガスおよび空気は、バーナ20における燃焼によって生成した燃焼ガスと混合し、導入管30内に吸引され、前述したように乾燥装置40のガス噴出部50に導入される。
このように、燃焼室15において形成された乾燥用ガスの一部は、乾燥装置40を経て燃焼室15に循環される。
次に、図2~図4を参照して、乾燥装置40における作用を説明する。
乾燥用ガスは、図2に示すように、導入管30を介して乾燥装置40のガス噴出部50に導入される。ガス噴出部本体51内の乾燥用ガス導入空間54に広がった乾燥用ガスの一部は、固定ガス噴出ノズル60から搬送通路85に噴出される。この際、乾燥用ガスは、図2~図4に示すように、固定ガス噴出ノズル60に対向するワークWの側面に向けて噴出される。
なお、固定ガス噴出ノズル60から噴出された乾燥用ガスの流れは、噴出方向に対して垂直な方向への広がりが抑制されるとともに高速であるため、熱伝達が向上する。そのため、乾燥用ガスの熱量を効率的にワークWに伝達することができる。
一方、乾燥用ガス導入空間54内に広がった乾燥用ガスの残部は、可動ガス噴出ノズル65から搬送通路85に噴出される。
可動ガス噴出ノズル65が搬送通路85側へ突出していない状態では、図2および図3に示すように、可動ガス噴出ノズル65は、乾燥用ガス導入空間54側に収容されている。この状態において、先端噴出部70は、乾燥用ガス導入空間54における内部ケーシング53の天井壁53bの近傍に位置する。
ここで、制御装置100は、ワーク搬送位置検知機構110からの検知信号に基づいて駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を進退させる。
例えば、タクト運転においてワークWが搬送されている場合において、制御装置100は、ワーク搬送位置検知機構110からの検知信号に基づいて可動ガス噴出ノズル65を進退させることができる所定位置にワークWが停止しているか否かを判定する。
そして、制御装置100は、可動ガス噴出ノズル65を進退させることができる所定位置にワークWが停止していると判定した場合には、駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側へ突出させる。
そして、図4に示すように、可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70は、ワークWの開口から中空部Wh内に挿入される。制御装置100は、先端噴出部70が中空部Wh内の所定位置で停止するように、駆動部122を制御する。
なお、先端噴出部70を停止させる所定位置は、例えば、先端噴出部70の仕様、中空部Whの形状、中空部Whにおける加熱パターンなどに基づいて設定される。
乾燥用ガス導入空間54内の乾燥用ガスは、導入孔67から管状部66内に流入する。管状部66内に流入した乾燥用ガスは、先端噴出部70から中空部Whの内壁に向けて噴出される。
この際、先端噴出部70の仕様は、例えば、中空部Wh内を加熱する際に要求される加熱パターンなどに基づいて設定される。加熱パターンは、例えば、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tや中空部Whの形状などに基づいて設定される。例えば、中空部Whを構成する内壁において、熱容量の大きな部分に噴出される乾燥用ガスの流量は、他の部分に噴出される乾燥用ガスの流量よりも多い。
また、制御装置100は、タクト運転においてワークWが停止しているタクト停止設定時間、ワークWが停止してからの経過時間に基づいて、駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を乾燥用ガス導入空間54側に収容する。すなわち、制御装置100は、ワークWが停止してからタクト停止設定時間の所定時間前に、駆動部122を制御して可動ガス噴出ノズル65を乾燥用ガス導入空間54側に収容する。これによって、ワークWの搬送が開始される前に、先端噴出部70は、中空部Wh内から乾燥用ガス導入空間54における天井壁53bの近傍の所定位置に移動される。
ここで、所定時間は、先端噴出部70を中空部Wh内から乾燥用ガス導入空間54における天井壁53bの近傍の所定位置に移動させる時間を考慮して設定される。また、所定位置は、ワークWが搬送される際に先端噴出部70がワークWに接触しない位置である。
上記したように、タクト運転においてワークWが所定位置に停止している間、ワークWは、固定ガス噴出ノズル60によって外側面側から加熱され、可動ガス噴出ノズル65によって内部から加熱される。
上記したように、第1の実施の形態の乾燥装置40では、可動ガス噴出ノズル65を備えることで、ワークWの中空部Wh内に乾燥用ガスを噴出することができる。これによって、ワークWを外側面および中空部Whから加熱することができるとともに、ワークWを外側面からのみ加熱する場合よりも加熱時間(乾燥時間)を短縮できる。
また、乾燥装置40では、ワークWの中空部Whの内壁に向けて乾燥用ガスを噴出する先端噴出部70の仕様を中空部Wh内を加熱する際に要求される加熱パターンなどに基づいて設定することができる。
このように先端噴出部70の仕様を設定することで、中空部Whの内壁面とワークWの外側面との間の肉厚Tや中空部Whの形状などが均一でない場合においても、ワークWにおける温度斑の発生を防止できる。
このように乾燥装置40では、先端噴出部70を有する可動ガス噴出ノズル65を備えることで、ワークW全体を均一に加熱することができるとともに、乾燥時間を短縮することができる。
また、乾燥装置40では、ワークWの乾燥時間を短縮することができるため、乾燥装置40の搬送通路85を短くすることができる。
ここでは、可動ガス噴出ノズル65を鉛直方向に進退可能な構成について説明したが、この構成に限られない。
図15は、第1の実施の形態の他の構成の乾燥装置40における、可動ガス噴出ノズル65がワークWの中空部Whに挿入された状態でのワークWの搬送方向に垂直な断面を示す図である。なお、図15において、駆動装置120および先端噴出部70については断面で示していない。
図15に示すように、ワークWの開口が内部ケーシング53の側壁53aに対向する側に形成され、中空部Whが搬送方向に垂直でかつ水平方向に形成されるワークWを乾燥する場合、可動ガス噴出ノズル65を内部ケーシング53の側壁53aから搬送通路85側に進退可能に設けてもよい。
具体的には、可動ガス噴出ノズル65は、内部ケーシング53の側壁53aを貫通して、搬送通路85側に進退可能に設けられている。この場合、可動ガス噴出ノズル65は、水平方向に進退可能に設けられている。
側壁53aには、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に進退させるための貫通孔53cが形成されている。換言すると、側壁53aには、可動ガス噴出ノズル65を貫通させるとともに、可動ガス噴出ノズル65を搬送通路85側に突出させたり、乾燥用ガス導入空間54側に引っ込めるための貫通孔53cが形成されている。
他の構成の乾燥装置40では、固定ガス噴出ノズル60は、内部ケーシング53の天井壁53bから搬送通路85側に突出して設けられている。
ここで、可動ガス噴出ノズル65の先端噴出部70は、水平方向に移動され、ワークWの開口から中空部Wh内に挿入される。なお、図15に示す可動ガス噴出ノズル65の作用において、水平方向に進退させる以外は、前述した鉛直方向に可動ガス噴出ノズル65を進退させる場合の作用と同様である。
可動ガス噴出ノズル65を水平方向に進退させる場合においても、可動ガス噴出ノズル65を鉛直方向に進退させる場合と同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
図16は、第2の実施の形態の乾燥装置41における、ワークWの搬送方向に垂直な断面を示す図である。図17は、第2の実施の形態の乾燥装置41における、可動ガス噴出ノズル65およびガスチャンバ130から乾燥用ガスを噴出している状態でのワークWの搬送方向に垂直な断面を示す図である。図18は、図16のF-F断面を示した図である。
なお、図16および図17において、駆動装置120、160および先端噴出部70については断面で示していない。図18では、ガスチャンバ130以外の構成は、省略されている。第2の実施の形態において、第1の実施の形態の乾燥装置40と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
第2の実施の形態の乾燥装置41において、ガスチャンバ130およびガスチャンバ130を移動させる駆動装置160以外の構成は、第1の実施の形態の乾燥装置40の構成と同じである。すなわち、ガス噴出部50は、ガス噴出部本体51と、可動ガス噴出ノズル65と、ガスチャンバ130と、駆動装置120、160とを備えている。ここで、ガスチャンバ130は、第1の乾燥用ガス噴出部として機能し、ガスチャンバ130および駆動装置160は、例えば、第1の実施の形態の乾燥装置40の固定ガス噴出ノズル60の代わりに備えられている。
そのため、ここでは、ガスチャンバ130および駆動装置160の構成について主に説明する。
ガスチャンバ130は、ワークWを乾燥する際、ワークWの周囲を囲い、ワークWの外側面に向けて乾燥用ガスを噴出する。図16および図17に示すように、ガスチャンバ130は、例えば、ガス噴出部本体51の天井壁から搬送通路85側に進退可能に設けられている。具体的には、ガスチャンバ130は、内部ケーシング53の天井壁53bを貫通して、搬送通路85側に進退可能に設けられている。この場合、ガスチャンバ130は、鉛直方向に進退可能に設けられている。
天井壁53bには、ガスチャンバ130を搬送通路85側に進退させるための貫通孔53dが形成されている。換言すると、天井壁53bには、ガスチャンバ130を貫通させるとともに、ガスチャンバ130を搬送通路85側に突出させたり、乾燥用ガス導入空間54側に引っ込めるための貫通孔53dが形成されている。
ガスチャンバ130は、ガスチャンバ本体140と、管状部150とを備える。
ガスチャンバ本体140は、環状空間145を有する環状筐体で構成されている。ガスチャンバ本体140は、環状内壁141と、環状外壁142と、環状上部壁143と、環状下部壁144とを備える。
環状内壁141は、乾燥用ガスをワークWに噴出する際、ワークWの周囲を取り囲む。環状内壁141には、乾燥用ガスを噴出するための複数の噴出孔141aが形成されている。
例えば、環状内壁141の形状は、例えば、ワークWの形状に対応させて構成される。なお、ワークWの形状が非対称形状の場合には、環状内壁141の形状もワークWの形状に対応させて非対称形状となる。
環状内壁141の形状は、例えば、ワークWと一定の間隔をあけてワークWの外周を囲むように構成される。これによって、ワークWの外側面と噴出孔141aとの距離が一定に維持される。
ここで、噴出孔141aとして、環状内壁141を貫通する孔を例示しているが、この形状に限られない。環状内壁141は、例えば、環状内壁141から内側(ワークW側)に突出する管状の噴出部を備えてもよい。
環状外壁142は、環状内壁141と所定の間隙をあけて環状内壁141の外周に設けられている。環状上部壁143は、環状内壁141と環状外壁142の間隙の上端を塞ぐように設けられている。環状下部壁144は、環状内壁141と環状外壁142の間隙の下端を塞ぐように設けられている。
環状内壁141および環状外壁142の鉛直方向の高さは、図17に示すように、ワークWの鉛直方向の高さに対応して設定される。環状内壁141および環状外壁142の鉛直方向の高さは、例えば、ワークWの外側面のすべてを囲うように、ワークWの鉛直方向の高さ以上に設定される。
このような構成のガスチャンバ本体140には、図18に示すように、環状内壁141、環状外壁142、環状上部壁143および環状下部壁144に囲まれる環状空間145が形成される。この環状空間145には、管状部150から乾燥用ガスが供給される。
管状部150は、中空の管状部材で構成される。管状部150は、直管で構成される。この管状部150は、天井壁53bの貫通孔53dを貫通するように配置されている。管状部150は、貫通孔53dを進退方向に移動させる部分である。
管状部150の一端は、環状上部壁143に形成された連結孔146に連結されている。管状部150の他端は、後述する駆動装置160の棒状部材161と接続されている。
管状部150の他端側には、環状空間145に乾燥用ガスを導入する導入孔151が形成されている。環状内壁141の噴出孔141aから噴出される乾燥用ガスの流量は、例えば、導入孔151の開口面積や導入孔151の数などで調整される。
ここで、複数の噴出孔141aは、環状内壁141に均一に形成されてもよい。また、複数の噴出孔141aは、環状内壁141に不均一に形成されてもよい。不均一に形成する場合、例えば、ワークWの熱容量の大きな部分に対向する位置に多くの噴出孔141aを形成する態様が例示できる。
なお、ガスチャンバ130を使用する場合、第1の実施の形態と同様に、乾燥装置40におけるワークWの搬送形態として、タクト運転が採用される。タクト運転において、ワークWの移動が所定時間停止されたときに、図17に示すように、ガスチャンバ本体140をワークWを囲む位置に移動して、乾燥用ガスを噴出する。
駆動装置160は、棒状部材161と、駆動部162とを備える。
棒状部材161は、ガスチャンバ130を鉛直方向に移動可能に支持している。棒状部材161は、例えば、円筒状または円柱状の棒状部材で構成される。
棒状部材161の一端は、ガスチャンバ130を搬送通路85側(鉛直方向)に進退することができるように、ガスチャンバ130の管状部150の他端に接続されている。
棒状部材161は、搬送通路85側とは異なる側に外部ケーシング52の天井壁52aを貫通している。天井壁52aには、棒状部材161を貫通させる貫通孔52dが形成されている。棒状部材161が貫通する貫通孔52dの内周面には、シール部材52eが設けられている。シール部材52eは、棒状部材161の外側面と当接しながら、棒状部材161を進退方向に摺動可能としている。
シール部材52eは、例えば、金属製のOリングなどで構成される。シール部材52eを設けることで、乾燥用ガス導入空間54に導入された乾燥用ガスが貫通孔52dと棒状部材161と間の隙間から外部に漏洩することを防止できる。
天井壁52aから外部に突出する棒状部材161の他端は、駆動部162に連結されている。駆動部162は、棒状部材161を介してガスチャンバ130を搬送通路85側に進退駆動する。この際、駆動部162は、ワークWの周囲にガスチャンバ本体140を進退させるように、制御装置100によって制御される。
駆動部162としては、特に限定されないが、例えば、エアーシリンダ、ステッピングモータなどで構成される。
例えば、タクト運転においてワークWが搬送されている場合、搬送が停止している間、ガスチャンバ130は、搬送通路85側に突出する。そして、図17に示すように、ワークWの周囲にガスチャンバ本体140を移動して、乾燥用ガスを噴出する。そして、搬送が開始する前に、ガスチャンバ本体140は、ワークWの周囲からから天井壁53b側の所定位置まで移動される。
ここで、ガスチャンバ130は、搬送方向に少なくとも一つ備えられている。ガスチャンバ130は、搬送方向に所定の間隔をあけて複数配置されてもよい。例えば、ワークWの搬送形態がタクト運転の場合、ワークWが停止する搬送方向位置毎にガスチャンバ130を配置してもよい。なお、ガスチャンバ130に対応して駆動装置160も設置される。
また、ここでは、ガスチャンバ本体140内に乾燥用ガスを導入する一つの管状部150を備えた一例が示されているが、この構成に限られない。例えば、複数の管状部150を備えてもよい。この場合、環状上部壁143には、管状部150の一端と連結するための複数の連結孔146が周方向に形成される。そして、各管状部150の一端は、対応する連結孔146に連結されている。
例えば、複数の管状部150のうちの一つの管状部150の他端が、前述したように駆動装置160の棒状部材161に連結される。他の管状部150の他端は、封鎖される。なお、各管状部150の他端側には、乾燥用ガス導入空間54の乾燥用ガスを管状部150内に導入する導入孔151が形成される。なお、天井壁53bには、各管状部150に対応して貫通孔53dが形成される。
また、複数の管状部150を備える場合、複数の駆動装置160を備えてもよい。この場合、駆動装置160に連結される管状部150において、管状部150の他端が、駆動装置160の棒状部材161に連結される。この場合、各駆動部162は、同期して制御され、ガスチャンバ130を同じ動作で進退させる。
次に、図16および図17を参照して、乾燥装置40における作用を説明する。
乾燥用ガスは、図16および図17に示すように、導入管30を介して乾燥装置40のガス噴出部50に導入される。
制御装置100は、可動ガス噴出ノズル65およびガスチャンバ130を進退させることができる所定位置にワークWが停止していると判定した場合には、駆動部122および駆動部162を制御して可動ガス噴出ノズル65およびガスチャンバ130を搬送通路85側へ突出させる。
なお、可動ガス噴出ノズル65の作用は、前述したとおりである。ここでは、ガスチャンバ130の作用について主に説明する。
そして、図17に示すように、ガスチャンバ130のガスチャンバ本体140は、ワークWの周囲を取り囲む位置まで移動される。制御装置100は、ガスチャンバ本体140がワークWを取り囲む位置で停止するように、駆動部162を制御する。
乾燥用ガス導入空間54内の乾燥用ガスは、導入孔151から管状部150内に流入する。管状部150内に流入した乾燥用ガスは、ガスチャンバ本体140の環状空間145に流入して環状空間145内に広がる。環状空間145内に広がった乾燥用ガスは、噴出孔141aからワークWの外側面の全面に向けて噴出される。
この際、噴出孔141aから噴出された乾燥用ガスがワークWの外側面に衝突することで、熱伝達が向上する。そのため、乾燥用ガスの熱量を効率的にワークWに伝達することができる。
また、制御装置100は、タクト運転においてワークWが停止しているタクト停止設定時間、ワークWが停止してからの経過時間に基づいて、駆動部122および駆動部162を制御して可動ガス噴出ノズル65およびガスチャンバ130を乾燥用ガス導入空間54側に収容する。ガスチャンバ130の場合、制御装置100は、ワークWが停止してからタクト停止設定時間の所定時間前に、駆動部162を制御してガスチャンバ130を乾燥用ガス導入空間54側に収容する。
ここで、所定時間は、先端噴出部70を中空部Wh内からおよびガスチャンバ本体140をワークWを取り囲む位置から乾燥用ガス導入空間54における天井壁53bの近傍の所定位置に移動させる時間を考慮して設定される。また、所定位置は、ワークWが搬送される際に先端噴出部70およびガスチャンバ本体140がワークWに接触しない位置である。
これによって、ワークWの搬送が開始される前に、先端噴出部70およびガスチャンバ本体140は、乾燥用ガス導入空間54における天井壁53bの近傍の位置に移動される。
上記したように、タクト運転においてワークWが所定位置に停止している間、ワークWは、ガスチャンバ130によって外側面側から加熱され、可動ガス噴出ノズル65によって内部から加熱される。
上記したように、第2の実施の形態の乾燥装置41では、ガスチャンバ130を備えることで、ワークWの外側面の全面に乾燥用ガスを噴出することができる。これによって、ワークWの外側面の全面を直接乾燥用ガスで加熱することができる。また、乾燥装置41では、可動ガス噴出ノズル65を備えることで、ワークWの中空部Wh内に乾燥用ガスを噴出することができる。
このように、乾燥装置41では、ワークWにおいて温度斑を発生することなく、ワークWを外側面の全面および中空部Whから加熱することができる。これによって、ワークWを外側面からのみ加熱する場合よりも加熱時間(乾燥時間)を短縮できる。
なお、可動ガス噴出ノズル65を備えることによる効果は、前述したとおりである。
このように乾燥装置41では、先端噴出部70を有する可動ガス噴出ノズル65およびガスチャンバ130を備えることで、ワークW全体を均一に加熱することができるとともに、乾燥時間を短縮することができる。
また、乾燥装置41では、ワークWの乾燥時間を短縮することができるため、乾燥装置41の搬送通路85を短くすることができる。
ここで、ガスチャンバ130の構成は、上記した構成に限られない。
図19は、第2の実施の形態において、他の構成のガスチャンバ131を備えた乾燥装置41の水平断面を示す図である。図20は、図19のG-G断面を示す図である。
なお、図19では、ガスチャンバ131以外の構成は、省略されている。
図19に示すように、ガスチャンバ131は、半割ガスチャンバ本体170Aを備える半割ガスチャンバ131Aと、半割ガスチャンバ本体170Bを備える半割ガスチャンバ131Bとを備えている。半割ガスチャンバ131Aと半割ガスチャンバ131Bは、搬送方向に対して垂直かつ水平な方向からワークWを挟み込むことができるように、それぞれ対向して配置されている。
また、乾燥装置41は、半割ガスチャンバ131Aを移動させる駆動装置190Aと、半割ガスチャンバ131Bを移動させる駆動装置190Bとを備える。
半割ガスチャンバ本体170Aと半割ガスチャンバ本体170Bとを水平方向に移動させて合体することで、ワークWの周囲を囲う環状のガスチャンバ本体が構成される。
半割ガスチャンバ本体170Aおよび半割ガスチャンバ本体170Bは、搬送通路85内において、内部ケーシング53の側壁53a側から搬送通路85側に進退可能に設けられている。この場合、半割ガスチャンバ本体170Aおよび半割ガスチャンバ本体170Bは、水平方向に進退可能に設けられている。
側壁53aには、半割ガスチャンバ本体170A、170Bを搬送通路85側に進退させるための貫通孔200が形成されている。
ここで、半割ガスチャンバ131Aの構成と半割ガスチャンバ131Bの構成は同じである。また、駆動装置190Aの構成と駆動装置190Bの構成は同じである。そのため、ここでは、半割ガスチャンバ131Aの構成および駆動装置190Aの構成について説明する。
なお、半割ガスチャンバ131Aの構成および駆動装置190Aの構成についての説明において、半割ガスチャンバ131Aの構成に対応する半割ガスチャンバ131Bの構成の符号および駆動装置190Aの構成に対応する駆動装置190Bの構成の符号をかっこ書きで示す。
半割ガスチャンバ131A(131B)は、半割ガスチャンバ本体170A(170B)と、管状部180A(180B)とを備える。
半割ガスチャンバ本体170A(170B)は、半環状空間176A(176B)を有する半環状筐体で構成されている。半割ガスチャンバ本体170A(170B)は、半環状内壁171A(171B)と、半環状外壁172A(172B)と、半環状上部壁173A(173B)と、半環状下部壁174A(174B)と、端部封止壁175A(175B)とを備える。
半環状内壁171A(171B)は、乾燥用ガスをワークWに噴出する際、ワークWの周囲の一部を取り囲む。半環状内壁171A(171B)には、乾燥用ガスを噴出するための複数の噴出孔210A(210B)が形成されている。
例えば、半環状内壁171A(171B)の形状は、例えば、ワークWの形状に対応さて構成される。すなわち、半割ガスチャンバ本体170Aと半割ガスチャンバ本体170Bとを合体させた際、ワークWの形状に対応してワークWの周囲を囲う環状のガスチャンバ本体が構成される。
半環状内壁171A(171B)の形状は、例えば、ワークWと一定の間隔をあけてワークWの外周の一部を囲むように構成される。これによって、ワークWの外側面と噴出孔210A(210B)との距離が一定に維持される。
ここで、噴出孔210A(210B)として、半環状内壁171A(171B)を貫通する孔を例示しているが、この形状に限られない。半環状内壁171A(171B)は、例えば、半環状内壁171A(171B)から内側(ワークW側)に突出する管状の噴出部を備えてもよい。
半環状外壁172A(172B)は、半環状内壁171A(171B)と所定の間隙をあけて半環状内壁171A(171B)の外周に設けられている。半環状上部壁173A(173B)は、半環状内壁171A(171B)と半環状外壁172A(172B)の間隙の上端を塞ぐように設けられている。半環状下部壁174A(174B)は、半環状内壁171A(171B)と半環状外壁172A(172B)の間隙の下端を塞ぐように設けられている。2つの端部封止壁175A(175B)は、半環状空間176A(176B)の両端部を塞ぐようにそれぞれ設けられている。
このような構成の半割ガスチャンバ本体170A(170B)には、半環状内壁171A(171B)、半環状外壁172A(172B)、半環状上部壁173A(173B)、半環状下部壁174A(174B)および端部封止壁175A(175B)に囲まれる半環状空間176A(176B)が形成される。この半環状空間176A(176B)には、管状部180A(180B)から乾燥用ガスが供給される。
なお、半環状内壁171A(171B)および半環状外壁172A(172B)の鉛直方向の高さについては、前述した環状内壁141および環状外壁142の鉛直方向の高さと同じである。
管状部180A(180B)の構成は、前述した管状部150の構成と同じである。管状部180A(180B)は、側壁53aの貫通孔200を貫通するように配置されている。管状部180A(180B)は、貫通孔200を進退方向に移動する部分である。
管状部180A(180B)の一端は、半環状上部壁173A(173B)に形成された連結孔177A(177B)に連結されている。管状部180A(180B)の他端は、後述する駆動装置190A(190B)の棒状部材191A(191B)と接続されている。
管状部180A(180B)の他端側には、半環状空間176A(176B)に乾燥用ガスを導入するための導入孔181A(181B)が形成されている。半環状内壁171A(171B)の噴出孔210A(210B)から噴出される乾燥用ガスの流量は、例えば、導入孔181A(181B)の開口面積や導入孔181A(181B)の数などで調整される。
なお、噴出孔210A(210B)の配置構成は、前述した噴出孔141aの配置構成と同じである。
駆動装置190A(190B)は、棒状部材191A(191B)と、駆動部192A(192B)とを備える。
棒状部材191A(191B)は、半割ガスチャンバ131A(131B)を水平方向に移動可能に支持している。棒状部材191A(191B)は、例えば、円筒状または円柱状の棒状部材で構成される。
棒状部材191A(191B)の一端は、半割ガスチャンバ131A(131B)を搬送通路85側(水平方向)に進退することができるように、半割ガスチャンバ131A(131B)の管状部180A(180B)の他端に接続されている。
棒状部材191A(191B)の他端側は、搬送通路85側とは異なる側に外部ケーシング52の側壁52fを貫通している。側壁52fには、棒状部材191A(191B)を貫通させる貫通孔205が形成されている。棒状部材191A(191B)が貫通する貫通孔205の内周面には、シール部材206が設けられている。シール部材206は、棒状部材191A(191B)の外側面と当接しながら、棒状部材191A(191B)を進退方向に摺動可能としている。
なお、シール部材206の構成は、前述したシール部材52eの構成と同じである。シール部材206を設けることで、乾燥用ガス導入空間54に導入された乾燥用ガスが貫通孔205と棒状部材191A(191B)と間の隙間から外部に漏洩することを防止できる。
側壁52fから外部に突出する棒状部材191A(191B)の他端は、駆動部192A(192B)に連結されている。駆動部192A(192B)は、棒状部材191A(191B)を介して半割ガスチャンバ131A(131B)を搬送通路85側に進退駆動する。この際、駆動部192A(192B)は、ワークWの周囲に半割ガスチャンバ本体170A(170B)を進退させるように、制御装置100によって制御される。
なお、駆動部192A(192B)の構成は、前述した駆動部162の構成と同じである。
他の構成のガスチャンバ131を備えた乾燥装置41におけるガスチャンバ131の作用について説明する。なお、可動ガス噴出ノズル65の作用は、前述したとおりである。
タクト運転においてワークWが停止した際、半割ガスチャンバ131Aは、ワークWの搬送方向に対して垂直かつ水平な一方の方向からワークWの周囲を取り囲む位置まで移動される。また、半割ガスチャンバ131Bは、ワークWの搬送方向に対して垂直かつ水平な他方の方向からワークWの周囲を取り囲む位置まで移動される。制御装置100は、半割ガスチャンバ本体170A、170BがワークWを取り囲む位置で停止するように、駆動部192A、192Bを制御する。
この際、半割ガスチャンバ本体170Aの端部封止壁175Aと半割ガスチャンバ本体170Bの端部封止壁175Bとが当接して環状のガスチャンバ本体が構成される。
乾燥用ガス導入空間54内の乾燥用ガスは、導入孔181A、181Bから管状部180A、180B内に流入する。なお、半割ガスチャンバ本体170Aの端部封止壁175Aと半割ガスチャンバ本体170Bの端部封止壁175Bとが当接する際、導入孔181A、181Bは、乾燥用ガス導入空間54内に位置する。
管状部180A、180B内に流入した乾燥用ガスは、半割ガスチャンバ本体170A、170Bの半環状空間176A、176Bに流入して半環状空間176A、176B内に広がる。半環状空間176A、176B内に広がった乾燥用ガスは、噴出孔210A、210BからワークWの外側面の全面に向けて噴出される。
この際、噴出孔210A、210Bから噴出された乾燥用ガスがワークWの外側面に衝突することで、熱伝達が向上する。そのため、乾燥用ガスの熱量を効率的にワークWに伝達することができる。
また、制御装置100は、タクト運転においてワークWが停止しているタクト停止設定時間、ワークWが停止してからの経過時間に基づいて、駆動部192A、192Bを制御して半割ガスチャンバ131A、131BをワークWの周囲から側壁53aの近傍の所定位置に移動する。具体的には、制御装置100は、ワークWが停止してからタクト停止設定時間の所定時間前に、駆動部192A、192Bを制御して半割ガスチャンバ131A、131BをワークWの周囲から側壁53aの近傍の所定位置に移動する。
ここで、所定時間は、半割ガスチャンバ131A、131BをワークWを取り囲む位置から乾燥用ガス導入空間54における側壁53aの近傍の所定位置まで移動させる時間を考慮して設定される。また、所定位置は、ワークWが搬送される際に半割ガスチャンバ131A、131BがワークWに接触しない位置である。
これによって、ワークWの搬送が開始される前に、半割ガスチャンバ本体170A、170Bは、ワークWの周囲から乾燥用ガス導入空間54における側壁53aの近傍の所定位置に移動される。
上記したように、タクト運転においてワークWが所定位置に停止している間、ワークWは、半割ガスチャンバ131A、131Bによって外側面側から加熱される。
第2の実施の形態において、他の構成のガスチャンバ131を備える場合においても、ガスチャンバ130を備える場合と同様の効果が得られる。
また、他の構成のガスチャンバ131のように、ガスチャンバ131を分割構造とすることで、例えば、逆円錐台形状のようにワークWの形状が上方から下方に向かって小さくなるような場合でも、ガスチャンバ131は、ワークWの側面全体に対して一定の間隔をあけてワークWの外周を囲うことができる。
ここで、例えば、ワークWの形状が非対称形状の場合には、半割ガスチャンバ本体170Aの形状は、半割ガスチャンバ本体170Bの形状と異なる形状に構成されることがある。この場合においても、半割ガスチャンバ本体170Aと半割ガスチャンバ本体170Bとを合体した際には、ワークWの周囲を囲う環状のガスチャンバ本体が構成される。
なお、前述した実施の形態では、燃焼装置10において発生した燃焼ガスを乾燥用ガスとして使用した一例を示したが、乾燥用ガスは他の手段で発生させてもよい。例えば、乾燥用ガスとして、電気炉などで加熱された空気を使用してもよい。
また、ここでは、ワークWを加熱して乾燥させる乾燥設備の一例を示したがこれに限られるものではない。ワークWを冷却して乾燥させる乾燥設備においても、本実施の形態における乾燥装置40、特にガス噴出部50の構成を適用できる。ワークWを冷却して乾燥させる乾燥設備では、燃焼装置10の代わりに、例えば、空気を冷却する冷却装置が使用される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。