以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施形態によって本開示が限定されるものではない。
ここで、本実施形態では、電気式毛切断装置についての各方向を以下のように定義する。
(A)電気式毛切断装置のグリップ部の長手方向を長手軸方向ZAとし、電気式毛切断装置の正面視において長手軸方向ZAと直行する方向を幅方向ZBとする。
(B)長手軸方向ZAおよび幅方向ZBに直交する方向を前後方向ZCとする。
(C)グリップ部側からヘッド部側に向かう方向を長手軸方向ZAの上方ZA1とする。
(D)ヘッド部側からグリップ部側に向かう方向を長手軸方向ZAの下方ZA2とする。
(E)グリップ部の背面側から正面側に向かう方向を前後方向ZCの前方ZC1とする。
(F)グリップ部の正面側から背面側に向かう方向を前後方向ZCの後方ZC2とする。
(G)可動刃の直線往復方向(可動刃の移動方向)を刃移動方向Wとする。
(H)刃移動方向Wのうち、長手軸方向ZAの上方ZA1側に向かう方向を押し方向WAとし、長手軸方向ZAの下方ZA2側に向かう方向を引き方向WBとする。
(I)刃移動方向Wに対して前後方向ZCにほぼ沿うように直交する方向を奥行き方向WCとする。
(J)ヘッド部の背面側から正面側に向かう方向を奥行き方向WCの前方WC1とする。
(K)ヘッド部の正面側から背面側に向かう方向を奥行き方向WCの後方WC2とする。
本実施形態にかかる電気式毛切断装置1は、図1および図2に示すように、刃部23が設けられるヘッド部20と、ヘッド部20が支持されるグリップ部30と、を備えている。この電気式毛切断装置1は、例えば、使用者等の体毛(毛)を処理したり整えたりするボディ用のトリマーとして用いることができる。
また、電気式毛切断装置1は、合成樹脂製の本体部10を備えており、この本体部10は、複数の分割体を継ぎ合わせることで形成されている。本実施形態では、本体10は、分割体としてのケース11およびカバー12を備えている。
そして、分割体を継ぎ合わせて形成した本体部10の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。これら複数の分割体は、例えば、ねじを用いたり、分割体同士を嵌合させたりすることで継ぎ合わせることができる。本実施形態では、固定部材としてのねじ92を用いてカバー12をケース11に固定させるものを例示している(図3参照)。
また、上述したように、本実施形態では、電気式毛切断装置1は、ヘッド部20およびグリップ部30を備えている。
グリップ部30は、長手軸方向ZAに細長い円筒状をしており、使用者が片手で把持することができる程度の大きさに形成されている。
ヘッド部20は、グリップ部30の長手軸方向ZAの上方ZA1に、グリップ部30よりも前後方向ZCの前方ZC1に突出するように、グリップ部30に一体に連設されている。
そして、このヘッド部20には、刃部23が設けられており、刃部23は、固定刃24aと、固定刃24aに対して往復摺動する可動刃25aと、を備えている。この可動刃25aは、固定刃24aに対して刃移動方向Wに往復動するように構成されている。
また、ヘッド部20における刃部23(固定刃24aおよび可動刃25a)の周囲には周面20aが形成されている。本実施形態では、この周面20aは、幅方向ZBの両側に形成される一対の側面20bと、刃ユニット22の外表面22aと、押し方向WA側に形成される上面20cと、引き方向WB側に形成される下面20dと、を備えている。
ここで、本実施形態では、ヘッド部20に形成された支持ユニット21に、刃部23が形成された刃ユニット22を着脱可能に装着することで、刃部23(固定刃24aおよび可動刃25a)がヘッド部20に設けられるようにしている。
具体的には、ヘッド部20の幅方向ZBの一方側の側壁を、奥行き方向WCの前方WC1に開口するように切り欠かれた形状とすることで、ヘッド部20に支持ユニット21が形成されるようにしている(図3参照)。
刃ユニット22は、毛を切断する機能を有しており、図4に示すように、複数の固定刃24aが形成された固定プレート24と、複数の可動刃25aが形成された可動プレート25と、を備えている。また、刃ユニット22は、固定プレート24を支持するフレーム26と、可動プレート25を支持する保持プレート27と、を備えている。さらに、刃ユニット22は、フレーム26に取り付けられて、可動プレート25を固定プレート24に押し付けることにより固定刃24aと可動刃25aとを接触させるばね28を備えている。
ここで、固定プレート24と可動プレート25とは、刃ユニット22を支持ユニット21に装着させた状態で、幅方向ZBで対向するように配置されている。そして、フレーム26が、固定プレート24に対して可動プレート25が配置される側とは反対側から固定プレート24を支持している。こうすることで、固定プレート24が位置ずれしてしまうことが抑制されるようにしている。また、保持プレート27は、可動プレート25に対して固定プレート24が配置される側とは反対側から可動プレート25を支持している。こうすることで、可動プレート25が位置ずれしてしまうことが抑制されるようにしている。
なお、固定刃24aと可動刃25aとを接触させるばね28としては、例えば、トーションばねを用いることができ、本実施形態では、このばね28がフレーム26に取り付けられている。
そして、このような刃ユニット22が支持ユニット21に着脱可能に装着されている。この刃ユニット22は、固定刃24aの刃先および可動刃25aの刃先が、グリップ部30の長手方向と交差する方向を向くようにした状態で、支持ユニット21に装着されている。
具体的には、刃ユニット22は、固定刃24aの刃先および可動刃25aの刃先が、長手軸方向ZAと交差する方向である奥行き方向WCの前方WC1を向くようにした状態で、支持ユニット21に装着されている。
また、本実施形態では、刃ユニット22は、ばね(保持部)91に保持された状態で支持ユニット21に装着されている。
このとき、刃ユニット22の外表面22aがヘッド部20の側面20b(周面20a)と略面一となるようにしている。そして、刃ユニット22を支持ユニット21に装着した状態では、刃ユニット22の外表面22aもヘッド部20の周面20aとして機能するようにしている。
また、本実施形態では、刃ユニット22を支持ユニット21に装着させた状態で、支持ユニット21の先端21aが、固定刃24aの刃先および可動刃25aの刃先よりも奥行き方向WCの前方WC1に突出するようにしている(図1および図2参照)。
また、保持プレート27には接続部271が設けられており、刃ユニット22を支持ユニット21に取り付けた状態で、この接続部271には、後述する連結部6221(変換部60)が連結されるようにしている。こうすることで、後述する電気モータ50を駆動させた際に、変換部60から接続部271に刃ユニット22の幅方向(刃移動方向W)の力が伝達されるようにしている。
ここで、本実施形態では、接続部271を含む保持プレート27を可動刃25a(可動プレート25)と一体化させている。そのため、変換部60から接続部271に力が伝達されると、保持プレート27が刃ユニット22の幅方向(刃移動方向W)に往復移動し、この保持プレート27の往復移動に連動して可動プレート25が刃ユニット22の幅方向に往復移動することになる。
このように、本実施形態では、接続部271と可動刃25aとを一体化させることで、接続部271と可動刃25aとが一体に移動(互いの位置関係を相対的に変化させることなく移動)できるようにしている。
さらに、本実施形態では、フレーム26には、ガイド溝26aが刃ユニット22の幅方向に延在するように形成されている(図4参照)。そして、このガイド溝26aに、保持プレート27に形成された図示せぬガイド突起がスライド可能に挿入されるようにしている。こうすることで、可動プレート25を支持した保持プレート27が、固定プレート24を支持したフレーム26に対して、刃ユニット22の幅方向(刃移動方向W)に相対的に直線移動できるようにしている。
したがって、刃ユニット22を支持ユニット21に装着させた状態では、複数の可動刃25aが複数の固定刃24aに対して刃移動方向Wに往復直線運動することになる。
また、本実施形態では、可動刃25aが、図4に示す移動範囲R1の範囲内で、刃ユニット22の幅方向(刃移動方向W)に往復直線運動するようにしている。なお、刃ユニット22を支持ユニット21に装着させた状態では、図4に示すR1aが、可動刃25aの移動範囲R1の最上端となり、図4に示すR1bが、可動刃25aの移動範囲R1の最下端となる。
また、本実施形態では、電気式毛切断装置1は、固定刃24aに対する可動刃25aの移動方向(刃移動方向W)と、グリップ部30の長手方向(長手軸方向ZA)とのなす角度θ1が鋭角となるように構成されている。この角度θ1は、電気式毛切断装置1を用いて毛を切断するときの操作性に基づいて決められるものであり、45°以下とするのが好ましい。本実施形態では、角度θ1を10°としたものを例示している。なお、電気式毛切断装置1は、固定刃24aに対する可動刃25aの移動方向と、グリップ部30の長手方向とが平行となるように構成されていてもよい。
さらに、本実施形態では、電気式毛切断装置1は、固定刃24aと可動刃25aとが摺動する面である刃切断面P1とグリップ部30の長手方向(長手軸方向ZA)とのなす角度θ2が鋭角となるようにしている。
具体的には、グリップ部30の長手方向と直交する方向、かつ、刃切断面P1に沿う方向から電気式毛切断装置1を見ると、図5に示すように、刃切断面P1の投影形状が線状となる。そして、刃切断面P1の投影線とグリップ部30の長手方向とのなす角度θ2が鋭角となるようにしている。この角度θ2は、10°以下とするのが好ましく、本実施形態では、角度θ2を3°としたものを例示している。
こうすれば、電気式毛切断装置1を主操作方向である幅方向ZBの一方向に移動させる場合の操作感と、幅方向ZBの他方に移動させる場合の操作感との差を低減することができる。その結果、幅方向ZBの一方側と他方側の両方向で、違和感なく使用することができるようになって、電気式毛切断装置1の使い勝手をより向上させることができるようになる。
また、本実施形態では、本体部10の内部に形成される空洞内には、電気モータ50、変換部60および電源部70等が収容されている(図6および図7参照)。
具体的には、グリップ部30側に形成される空洞内に、電源部70および電気モータ50が収容されており、ヘッド部20側に形成される空洞内に変換部60が収容されている。
本実施形態では、電気モータ50は、電源部70に電気的に接続される本体部51と、本体部51から長手軸方向ZAの上方ZA1に向けて突出する出力軸52と、を備えている。この電気モータ50は、電源部70から供給される電力によって駆動されるものである。
電源部70は電気モータ50に電力を供給するものであり、本実施形態では、電源部70として、充電が可能な二次電池が用いられている。そして、二次電池としての電源部70が、グリップ部30の長手軸方向ZAの下方ZA2に形成された充電用のコネクタ部32に電気的に接続されている。なお、電源部70として一次電池を用いることも可能であるし、外部の電源供給装置に接続可能な電源コードを用いることも可能である。
ここで、本実施形態では、電気モータ50の出力軸52の回転運動を可動刃25aの往復直線運動に変換する変換部60の構成をより簡素化できるようにした。
具体的には、変換部60を、出力軸52の回転運動を出力軸52と平行な方向(長手軸方向ZA)と交差する中心軸線CL1まわりの往復回動運動に変換する機構として機能させるようにした(図8参照)。そして、この変換部60によって変換された往復回動運動を、可動刃25aと一体化させた接続部271に直接伝達させるようにし、接続部271に直接伝達された往復回動運動によって可動刃25aを往復直線運動させるようにした。
本実施形態にかかる変換部60は、出力軸52に取り付けられる偏心回転部610と、偏心回転部610に連結されて、偏心回転部610の偏心運動を往復回動運動に変換する入力変換部620と、を備えている。
また、偏心回転部610は、出力軸52に回転可能に取り付けられる回転体611を備えている。この回転体611は、出力軸52に一体に取り付けられており、出力軸52の回転に連動して回転するものである。本実施形態では、回転体611に形成された圧入孔611aに出力軸52を圧入することで、回転体611が出力軸52と一緒に回転するようにしている。
また、偏心回転部610は、回転体611の回転中心から外れた位置(出力軸52に対して偏心した位置)に設けられた偏心軸612を備えている。本実施形態では、この偏心軸612は、出力軸52と平行な方向(長手軸方向ZA)に突出するようにした状態で回転体611に一体に連結されている。こうすることで、回転体611の回転に伴って偏心軸612が出力軸52を中心として回転することになる。本実施形態では、回転体611に形成された圧入孔611bに偏心軸612を圧入することで、この偏心軸612を回転体611と一体化させている。
また、偏心回転部610は、偏心軸612に保持されるローラー613を備えている。このローラー613には、偏心軸612の突出方向(長手軸方向ZA)に貫通する挿通孔613aが形成されており、この貫通孔613aに偏心軸612を挿通させることで、ローラー613が偏心軸612に保持されている。
本実施形態では、ローラー613は、偏心軸612の軸方向に沿って相対的に移動できるようにした状態で偏心軸612に取り付けられている。さらに、ローラー613は、偏心軸612に対して相対的に回転できるようにした状態で偏心軸612に保持されている。
一方、入力変換部620は、偏心軸612の回転運動を往復回動運動に変換できるようにローラー613を介して偏心軸612に連結されている。この入力変換部620は、中心軸線CL1を有する略円筒状の回転中心部623と、回転中心部623に形成された挿通孔6231に挿入される略円柱状の回転支持軸624と、を備えている。
本実施形態では、回転中心部623の挿通孔6231に回転支持軸614を圧入した状態で、当該回転支持軸614の一端(幅方向ZBの一方側)を、ケース11に形成された略円筒状のリブ11aに挿入し、ケース11に回転可能に支持させている(図3参照)。また、回転支持軸614の他端(幅方向ZBの他方側)を、カバー12に形成されたリブに挿入する等して回転可能に支持させている。こうすることで、回転中心部623および回転支持軸624が、中心軸線CL1を中心として回転できるようにした状態で本体部10内に配置されるようにしている。
なお、回転中心部623を回転支持軸624に対して相対的に回転させることで、中心軸線CL1を中心として回転できるようにした構成としてもよい。
また、入力変換部620は、回転中心部623に、中心軸線CL1まわりに往復回動運動できるように連結される第1アーム部621を備えている。本実施形態では、第1アーム部621は、回転中心部623の側部に一体に形成されており、回転中心部623の側部から径方向外側に向けて突出している。そして、この第1アーム部621の先端側に、偏心軸612に保持されたローラー613を保持するための保持アーム6211が設けられている。
本実施形態では、保持アーム6211は、第1アーム部621の先端側を前後方向ZCの両側に分岐させたような形状をしている。すなわち、保持アーム6211は、前後方向ZCの前方ZC1側に設けられる第1保持アーム6212と、前後方向ZCの後方ZC2側に設けられる第2保持アーム6213と、を備えている。
本実施形態では、第1保持アーム6212は、幅方向ZBに細長い板状の部材を前後方向ZCの前方ZC1側に凸となるように湾曲させた形状をしている。一方、第2保持アーム6213は、幅方向ZBに細長い板状の部材を前後方向ZCの後方ZC2側に凸となるように湾曲させた形状をしており、第1保持アーム6212と前後方向ZCと対向するように形成されている。
こうすることで、互いに対向する第1保持アーム6212と第2保持アーム6213との間に、幅方向ZBに延在する略円柱状の凹部6214が形成されるようにしている。そして、この凹部6214内に偏心軸612に保持されたローラー613を収容することで、保持アーム6211によってローラー613が保持されるようにしている。本実施形態では、ローラー613の外面613bを保持アーム6211の内面6215に摺接させた状態で、ローラー613が保持アーム6211に保持されるようにしている。すなわち、本実施形態では、内面6215がローラー613の外面613bに対応した形状となるように保持アーム6211を形成している。
また、入力変換部620は、第1アーム部621の動きに連動して中心軸線CL1まわりに往復回動運動する第2アーム部62を備えている。本実施形態では、第2アーム部622も、回転中心部623の側部に一体に形成されており、回転中心部623の側部から径方向外側に向けて突出している。そして、この第2アーム部622の先端側には、保持プレート27の接続部271に連結される連結部6221が設けられている。
本実施形態では、連結部6221は、幅方向ZBに細長い略円柱状をしており、この連結部6221が、奥行き方向WC(刃移動方向Wと直交する方向)の後方WC2に開口するスリット状の接続部271に収容されている。このとき、連結部6221は、外面6221aを接続部271の内面271aに摺接させた状態で、接続部271に連結されている。なお、接続部271は、可動刃25aと一体化された部材であって、変換部60が接続されて、変換部60から伝達される往復回動運動により駆動するものである。
上述したように、本実施形態では、第1アーム部621が回転中心部623の側部に一体に形成されており、第2アーム部621が回転中心部623の側部に一体に形成されている。すなわち、本実施形態では、第1アーム部621、第2アーム部622および回転中心部623が一体に(一部品で)形成されている。この第1アーム部621、第2アーム部622および回転中心部623は、例えば、樹脂を用いて形成することができる。
このように、第1アーム部621、第2アーム部622および回転中心部623を一体に形成すれば、第1アーム部621の中心軸線CL1まわりの往復回動運動に連動して第2アーム部622が中心軸線CL1まわりに往復回動運動することになる。すなわち、第1アーム部621と第2アーム部622とが一体に移動(互いの位置関係を相対的に変化させることなく移動)することになる。
なお、第1アーム部621、第2アーム部622および回転中心部623のうちの少なくともいずれか1つを別部材で構成し、各部材を一体化させることで、第1アーム部621と第2アーム部622とが一体に移動できるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、第1アーム部621を、回転中心部623の側部から径方向の外側に向けて一直線状に延在させている。また、第2アーム部622を回転中心部623の側部から径方向の外側であって、第1アーム部621が延在する方向とは異なる方向に向けて一直線状に延在させている。
このように、本実施形態では、入力変換部620は、中心軸線CL1に沿って見たときに、略L字状となるように形成されている。そして、略L字状の入力変換部620の一端(第1アーム部621の先端)を偏心回転部610に連結させるとともに、他端(第2アーム部622の先端)を接続部271に連結させている。こうすることで、電気モータ50の出力軸52の回転運動を中心軸線CL1まわりの往復回動運動に変換し、変換した往復回動運動を接続部271に伝達して、可動刃25aを往復直線運動させるようにしている。
このように、入力変換部620を一部品とすることで、入力変換部620の構成の簡素化を図ることができる。また、入力変換部620を略L字状に形成することで、入力変換部620自体のコンパクト化を図ることができ、本体部10内における入力変換部620の配置スペースをより小さくすることができる。その結果、本体部10の小型化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、このような形状をした入力変換部620を、中心軸線CL1が電気モータ50の出力軸線L1を通るようにした状態で、本体部10内に配置している。
すなわち、回転中心部623が電気モータ50の出力軸線L1上に配置されるようにしている。言い換えると、電気モータ50の出力軸線L1が回転中心部623を通過するように、入力変換部620を本体部10内に配置している。
こうすれば、第1アーム部621を電気モータ50の出力軸線L1を中心として均等に回動させることができる。すなわち、電気モータ50の出力軸線L1から前後方向ZCへの回動角度をほぼ同じ角度にすることができる。
さらに、入力変換部620を本体部10内に配置する際には、中心軸線CL1に沿って見たときに、出力軸52と偏心軸612とが一直線上に並んだ状態で、第1アーム部621の中心線を電気モータ50の出力軸線L1と略一致させるようにするのが好ましい。
こうすれば、ローラー613を、第1アーム部621の中心線を中心として均等にスライドさせることができ、入力変換部620がガタついてしまうことが抑制され、電気式毛切断装置1の静音化を図ることが可能となる。また、入力変換部620の中心軸線CL1の延在方向(幅方向ZB)の小型化を図ることもできる。
さらに、本実施形態では、中心軸線CL1が、可動刃25aの移動範囲R1の中央を通り可動刃25aの移動方向Wと直交する中央平面P1と電気モータ50の出力軸線L1との交点CP1を通るようにした状態で、入力変換部620を本体部10内に配置している。
ここで、中央平面P1は、移動範囲R1の上端R1aと下端R1bとの中点を通り、可動刃25aの移動方向Wと直交する平面で、奥行き方向WCに沿う平面である。
このように、交点CP1上に回転中心部623を配置すれば、第2アーム部622の延在方向を可動刃25aの移動方向Wと直交する方向(奥行き方向WC)に略一致させることができる。さらに、第2アーム部622を可動刃25aの移動範囲R1の中央に位置させることができる。
こうすれば、第2アーム部622の中心軸線CL1まわりの往復回転運動を、中央平面P1の投影線を中心として、可動刃25aの移動方向Wに均等に回動させることができる。その結果、可動刃25aを刃移動方向Wの両側に均等にスライドさせることができる。
また、第2アーム部622の中心軸線CL1まわりの往復回転運動時に、第2アーム部622の先端の連結部6221が描く円弧の両端を結ぶ直線が、刃移動方向Wと略平行になる。そのため、同じ角度だけ回動させた際における、可動刃25aを刃移動方向Wに移動させる量(可動刃25aの移動量)を最大にすることができる。
このように、交点CP1上に回転中心部623を配置すれば、入力変換部620の配置スペースを最小化させつつ可動刃の移動量を最大化することができ、刃部23での毛切断性能を低下させることなく電気式毛切断装置1のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、電気式毛切断装置1は、上述したように、刃移動方向Wとグリップ部30の長手方向(長手軸方向ZA)とのなす角度θ1が鋭角となるように構成されている。そして、この角度θ1を10°としたものを例示している。
すなわち、本実施形態では、下端側が上端側よりも前後方向ZCの前方ZC1に突出するように刃部23が配置された電気式毛切断装置1を例示しており、このような構成とすることで、電気式毛切断装置1の使い勝手をより向上できるようにしている。
ここで、本実施形態では、入力変換部620の形状を、本実施形態で示す電気式毛切断装置1により適した形状となるようにしている。
具体的には、第1アーム部621と第2アーム部622とのなす角度θ3が鈍角となるように、入力変換部620の形状を設定している。なお、角度θ3は、具体的には、第1アーム部621の中心線と第2アーム部622の中心線とのなす角度のことである。この角度θ3は、90°以上かつ180°未満とするのが好ましい。本実施形態では、角度θ3は、100°から110°程度に設定されている。
このように、第1アーム部621と第2アーム部622とのなす角度θ3を鈍角にすれば、より使い勝手のよい電気式毛切断装置1に適した入力変換部620とすることができ、電気式毛切断装置1の小型化を図ることができる。
例えば、角度θ3を180°に設定すると、このような入力変換部620の形状に適した電気式毛切断装置の形状は、鉛直方向に延在するグリップ部に対して刃部が水平方向に延在する、いわゆるT字型の電気式毛切断装置となる。
このような電気式毛切断装置は、使用する際に手を持ち替える頻度が高くなってしまうため、あまり使い勝手がよくない装置になっている。
そのため、角度θ3を180°に設定した場合、入力変換部620の形状が、使い勝手のよい電気式毛切断装置にはあまい適さない形状になってしまうため、電気式毛切断装置の小型化を図ることができなくなってしまう。
また、角度θ3を90度未満に設定すると、このような入力変換部620の形状に適した電気式毛切断装置の形状は、上端側が下端側よりも前後方向ZCの前方ZC1に突出するように刃部が配置された電気式毛切断装置となる。
このような電気式毛切断装置では、鉛直方向に延在するグリップ部に対して刃部が斜め下方を向く電気式毛切断装置となる。
このような形状の電気式毛切断装置を使用すると、刃部を肌などに当てにくくなってしまうため、刃部が斜め下方を向く電気式毛切断装置も、あまり使い勝手がよくない装置になっている。
さらに、電気式毛切断装置を小型化させると、グリップ部の長さも短くなるため、グリップ部を把持した際に手の指が刃部の下端近傍に位置することになる。このとき、刃部の下端側の突出量が小さいと、グリップ部と刃部との間に指を配置するスペースを確保することができず、より使い勝手が悪い電気式毛切断装置になってしまう。
また、グリップ部と刃部との間に指を配置するスペースを確保するために、刃部の下端の突出量を大きくすると、刃部の上端の突出量がさらに大きくなってしまう。
そのため、上下方向の小型化を図りつつ、指を配置するスペースを確保すると、前後方向に大型化してしまう。
このように、角度θ3を90°未満や180°に設定すると、入力変換部620の形状を、使い勝手が悪化してしまうことを抑制しつつ小型化を図ることができる電気式毛切断装置に適した形状とすることができなくなってしまう。すなわち、入力変換部620の形状が、電気式毛切断装置の小型化と使い勝手のよさを両立させることができない形状になってしまう。
これに対して、角度θ3を90°以上かつ180°未満に設定すれば、すなわち、角度θ3を鈍角にすれば、入力変換部620の形状を、鉛直方向に延在するグリップ部に対して刃部が斜め下方を向く電気式毛切断装置に適した形状とすることができる。
このような電気式毛切断装置は、上述したように使い勝手のよいものである。さらに、電気式毛切断装置の小型化を図った場合であっても、刃部の下端側の突出量が上端側と同等以上となるため、前後方向に大型化してしまうことを抑制しつつ、グリップ部と刃部との間に指を配置するスペースを確保することができるようになる。
このように、角度θ3を鈍角にすれば、小型化と使い勝手のよさを両立させることが可能な電気式毛切断装置により適した入力変換部620の形状となる。
また、本実施形態では、本体部10内には、シール部80が設けられており、電気モータ50が配置される空間内に水が入ってしまうことを抑制できるようにしている。
本実施形態では、シール部80は、ゴム等の弾性を有する部材で形成された防水部材81と、この防水部材81を支持する金属または樹脂製の防水部材支持部82と、を備えている。
この防水部材81および防水部材支持部82には、挿通孔81aおよび挿通孔82aがそれぞれ形成されており、挿通孔81aおよび挿通孔82aに電気モータ50の出力軸52が挿通されるようになっている。
そして、図3に示すように、まず初めに、防水部材支持部82の挿通孔82aに電気モータ50の出力軸52を挿通させて、本体部51上に防水部材支持部82を配置する。次に、防水部材81の挿通孔81aに電気モータ50の出力軸52を挿通させて、防水部材支持部82に防水部材81を支持させる。なお、防水部材81には、挿通孔81aの周縁部に防水リブ81bが形成されており、本体部10内に配置した際に、この防水リブ81bがケース11および防水部材支持部82によって挟持されるようになっている。また、挿通孔81aの径は、出力軸52の径よりも若干小径となうように形成されており、挿通孔81aの周縁部が、全周に亘って出力軸52を弾性的に押圧するように構成されている。
こうすることで、電気モータ50が配置される空間内に水が入ってしまうことを抑制できるようにしている。
そして、この防水部80よりも上方に突出した出力軸52に上述した回転体611が圧入されている。
さらに、本実施形態では、本体部10内に毛などの異物が侵入して、偏心軸612ローラー613に巻きついてしまうことを抑制するための防塵部材83を備えている。
本実施形態では、防塵部材83としてクッションが用いられている。この防塵部材83の挿通孔83aに第1アーム部621を挿通し、この第1アーム部621の途中に形成された切り欠き6216に防塵部材83を係合させることで、第1アーム部621に取り付けられている。また、防塵部材83は、ケース11に形成された防塵部材保持部11bに収容することで、ケース11に保持されている。
こうすることで、偏心軸612側に比較的長い毛などの異物が侵入してしまうことを抑制できるようにしている。
また、本実施形態では、ハウジング11には、電気式毛切断装置1を動作させる(電源をオン・オフさせる)スライド式の操作スイッチ40が形成されている。なお、本実施形態ではスイッチとしてスライド式の操作スイッチ40を例示したが、電源をオン・オフできるスイッチであれば押圧式やその他のスイッチであってもよい。
本実施形態では、操作スイッチ40は、グリップ部30の前面(正面:外面)30aに、長手軸方向ZAにスライドできるように設けられている。具体的には、長手軸方向ZAの下方ZA2側から上方ZA1側に向けて操作スイッチ40をスライドさせることで、電気式毛切断装置1の電源がオフからオンに切り替えられるようになっている。また、長手軸方向ZAの上方ZA1側から下方ZA2側に向けて操作スイッチ40をスライドさせることで、電気式毛切断装置1の電源がオンからオフに切り替えられるようになっている。
このように、本実施形態では、操作スイッチ40を上方にスライドさせることで、電気式毛切断装置1の電源がオフからオンに切り替わるようにしている。そして、電気式毛切断装置1の電源がオフからオンに切り替わることで、電気モータ50が駆動して、出力軸52が回転するようにしている。
このように、電気式毛切断装置1の電源をオンにして、出力軸52を回転させると、この出力軸52に一体に取り付けられた回転体611および偏心軸612も、出力軸52に連動して回転することになる。
具体的には、偏心軸612は、出力軸52を中心とした円運動を行うことになる。すなわち、偏心軸612は、出力軸52まわりに回転することになる。このとき、偏心軸612に保持されたローラー613も出力軸52まわりに回転する。すなわち、ローラー613は、例えば、図9(b)に示す位置から図9(d)に示す位置を通って、図9(f)に示す位置に向かうように回転することになる。なお、ローラー613を逆方向に回転させるようにしてもよい。
このように、ローラー613も出力軸52まわりに回転させると、ローラー613を保持している保持アーム6211も、ローラー613の回転に伴って移動することになる。具体的には、ローラー613は、出力軸52まわりに回転する際に、保持アーム6211の凹部6214内で、偏心軸612に対して回転しながら(凹部6214内で転がりながら)中心軸線CL1に沿って凹部6214内を移動することになる。そして、このローラー613の移動により、保持アーム6211が押されて、第1アーム部621が、中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。なお、ローラー613は、偏心軸612の軸方向にも往復移動しながら出力軸52まわりに回転している。
そして、第1アーム部621が中心軸線CL1まわりに往復回動運動すると、第1アーム部621と一体に形成された回転中心部623および回転中心部623に一体化された回転支持軸624が連動して中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。さらに、第1アーム部621および回転中心部623と一体に形成された第2アーム部622も、第1アーム部621の中心軸線CL1まわりの往復回動運動に連動して中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。
そして、第2アーム部622の先端に形成された連結部6221が接続部271に連結されているため、この接続部271には、連結部6221を介して第2アーム部622の中心軸線CL1まわりの往復回動運動が伝達される。
ここで、本実施形態では、上述したように、ガイド溝26aおよびガイド突起によって保持プレート27がフレーム26に対して、刃ユニット22の幅方向(刃移動方向W)に相対的に直線移動するように構成されている。
そのため、接続部271(保持プレート27)は、往復回動運動により連結部6221から加えられる刃移動方向Wの力(分力)によって、刃移動方向Wに往復直線運動することになる。
このように、本実施形態では、第2アーム部622の中心軸線CL1まわりの往復回動運動が接続部271に直接伝達されるようにすることで、接続部271および接続部271に一体化された可動刃25aが刃移動方向Wに往復直線運動するようにしている。本実施形態では、ローラー613が図9(b)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の上端側に位置している(図9(a)参照)。また、ローラー613が図9(d)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の中央側に位置している(図9(c)参照)。そして、ローラー613が図9(f)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の下端側に位置している(図9(e)参照)。
なお、連結部6221は、スリット状の接続部271内で奥行き方向WCに往復移動しながら、往復回動運動している。
さらに、本実施形態では、上述したように、ローラー613は、保持アーム6211の凹部6214内を、転がりながら中心軸線CL1に沿って移動している。
すなわち、ローラー613は、出力軸52まわりに回転しているときには、奥行き方向WCの位置を変化させながら保持アーム6211を押圧していることになる。
このように、奥行き方向WCの位置を変化させながら保持アーム6211を押圧すると、第1アーム部621に中心軸線CL1方向に回転させる方向のモーメントが生じることがある。そして、第1アーム部621に中心軸線CL1方向に回転させる方向のモーメントが生じると、入力変換部620の振動が大きくなってしまい、騒音が発生してしまうことがある。
また、第2アーム部622には、刃ユニット22の抵抗力によって、奥行き方向WCまわりの回転モーメントが生じることがある。そして、奥行き方向WCまわりの回転モーメントが生じることでも、入力変換部620の振動が大きくなってしまい、騒音が発生してしまうことがある。
そこで、本実施形態では、入力変換部620が振動してしまうことを抑制することができるようにした。
具体的には、回転中心部623の中心軸線CL1方向の幅が、第1アーム部621の中心軸線CL1方向の幅よりも大きくなるようにした。さらに、回転中心部623の中心軸線CL1方向の幅が、第2アーム部622の中心軸線CL1方向の幅よりも大きくなるようにした。
本実施形態では、中心軸線CL1方向の一端側では、回転中心部623の中心軸線CL1方向の一端623aが第1アーム部621の中心軸線CL1方向の一端621aよりも中心軸線CL1方向の一端側に位置するようにしている。さらに、中心軸線CL1方向の他端側では、回転中心部623の中心軸線CL1方向の他端623bが第1アーム部621の中心軸線CL1方向の他端621bとほぼ同じ位置となるようにしている。
こうすることで、第1アーム部621に生じる中心軸線CL1方向に回転させる方向のモーメントにより発生する振動を低減できるようにしている。
また、中心軸線CL1方向の一端側では、回転中心部623の中心軸線CL1方向の一端623aが第2アーム部622の中心軸線CL1方向の一端622aよりも中心軸線CL1方向の一端側に位置するようにしている。さらに、中心軸線CL1方向の他端側では、回転中心部623の中心軸線CL1方向の他端623bが第2アーム部622の中心軸線CL1方向の他端622bよりも中心軸線CL1方向の他端側に位置するようにしている。
こうすることで、第2アーム部622に生じる奥行き方向WCまわりの回転モーメントにより発生する振動を低減できるようにしている。
なお、本実施形態では、中心軸線CL1方向の一端側では、第1アーム部621の中心軸線CL1方向の一端621aが第2アーム部622の中心軸線CL1方向の一端622aよりも中心軸線CL1方向の一端側に位置するようにしている。さらに、中心軸線CL1方向の他端側では、第1アーム部621の中心軸線CL1方向の他端621bが第2アーム部622の中心軸線CL1方向の他端622bよりも中心軸線CL1方向の他端側に位置するようにしている。
すなわち、第1アーム部621と第2アーム部622とは、中心軸線CL1方向においてほぼ同じ位置に形成されている。
こうすれば、第1アーム部621および第2アーム部622に加えられる力によって、回転中心部623が座屈してしまうことを抑制することができるようになる。
ところで、本実施形態では、上述した先行技術文献に開示のローラーとほぼ同一の形状をしたローラー613が用いられている。
このような形状をしたローラー613を用いると、ローラー613は、出力軸52まわりに回転する際に、保持アーム6211の凹部6214内で転がりながら中心軸線CL1に沿って凹部6214内を移動することになる。
本開示では、このようなローラー613の替わりに、図12から図14に示すローラー613Aを用い、保持アーム6211を押圧する際の動きを簡略化させるようにすることも可能である。
具体的には、ローラー613Aの外面613bAが、保持アーム6211に形成された凹部6214の内面6215に面接触する平坦面613cAを備えるようにしている。そして、平坦面613cAと凹部6214の内面6215との面接触により、ローラー613Aの偏心軸612に対する回転(転がり)が規制されるようにしている。すなわち、ローラー613Aを出力軸52まわりに回転させた際に、ローラー613Aが凹部6214内で、転がらずに中心軸線CL1に沿ってスライドするようにしている。
このようなローラー613Aとしては、例えば、図12から図14に示す形状とすることができる。
図12から図14に示すローラー613Aは、本体部6131を備えており、この本体部6131には、偏心軸612の突出方向(長手軸方向ZA)に貫通する挿通孔613aAが形成されている。そして、この貫通孔613aAに偏心軸612を挿通させることで、ローラー613Aが偏心軸612に保持されるようにしている。
また、ローラー613Aは、本体部6131の外面613bAから外方に向けて突出する突出部6132を備えている。そして、ローラー613Aを保持アーム6211の凹部6214内に収容した際には、この突出部6131の外面613bAが凹部6214の内面6215に摺接するようにしている。
具体的には、突出部6132は、挿通孔613aAの周方向に沿うように形成され、挿通孔613aAの径方向の外側に突出する略帯状の第1突出部6132aを備えている。この第1突出部6132aは、挿通孔613aAの周囲の全周を囲うように形成されている。そして、この第1突出部6132aには、第1保持アーム6212と第2保持アーム6213とが対向する方向である前後方向ZCの両側に、上述した平坦面613cAが、前後方向ZCに直交するように形成されている。
また、突出部6132は、第1突出部6132aと交差するように突出する第2突出部6132bを備えている。
図12から図14に示すローラー613Aでは、本体部6131の前後方向ZCの両側が、前後方向ZCに直交する平坦面となっている。そして、この一対の平坦面上には、外面613bAが中心軸線CL1を中心とした円弧となる第2突出部6132bがそれぞれ形成されている。
この第2突出部6132bの外面613bAの形状は、中心軸線CL1に沿って見た凹部6214の内面6215の湾曲形状と対応した形状となっている。
次に、図12から図14に示すローラー613Aを用いた場合の動作の一例を説明する。
まず、電気式毛切断装置1の電源をオンにして、出力軸52を回転させる。このように、出力軸52を回転させると、この出力軸52に一体に取り付けられた回転体611および偏心軸612も、出力軸52に連動して回転することになる。
具体的には、偏心軸612は、出力軸52を中心とした円運動を行うことになる。すなわち、偏心軸612は、出力軸52まわりに回転することになる。このとき、偏心軸612に保持されたローラー613Aも出力軸52まわりに回転する。すなわち、ローラー613Aは、例えば、図15(b)に示す位置から図15(d)に示す位置を通って、図15(f)に示す位置に向かうように回転することになる。なお、ローラー613Aを逆方向に回転させるようにしてもよい。
このように、ローラー613Aも出力軸52まわりに回転させると、ローラー613Aを保持している保持アーム6211も、ローラー613Aの回転に伴って移動することになる。
このとき、ローラー613Aは、平坦面613cAを凹部6214の内面6215に面接触させている(図16参照)。そのため、ローラー613Aは、出力軸52まわりに回転する際に、保持アーム6211の凹部6214内で、偏心軸612に対する回転が規制された状態で(凹部6214内で転がらずに)、中心軸線CL1に沿って凹部6214内を移動することになる。そして、このローラー613Aの移動により、保持アーム6211が押されて、第1アーム部621が、中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。なお、ローラー613Aもローラー613と同様に、偏心軸612の軸方向にも往復移動しながら出力軸52まわりに回転している。
そして、第1アーム部621が中心軸線CL1まわりに往復回動運動すると、第1アーム部621と一体に形成された回転中心部623および回転中心部623に一体化された回転支持軸624が連動して中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。さらに、第1アーム部621および回転中心部623と一体に形成された第2アーム部622も、第1アーム部621の中心軸線CL1まわりの往復回動運動に連動して中心軸線CL1まわりに往復回動運動する。
そして、第2アーム部622の先端に形成された連結部6221が接続部271に連結されているため、この接続部271には、連結部6221を介して第2アーム部622の中心軸線CL1まわりの往復回動運動が伝達される。
なお、ローラー613Aが図15(b)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の上端側に位置している(図15(a)参照)。また、ローラー613Aが図15(d)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の中央側に位置している(図15(c)参照)。そして、ローラー613Aが図15(f)に示す位置にあるときには、可動刃25aは、移動範囲R1の下端側に位置している(図15(e)参照)。
このように、図12から図14に示すローラー613Aを用いた場合、ローラー613Aは、凹部6214の内面6215において中心軸線CL1に沿う方向に往復直線運動しながら出力軸52まわりを回転することになる。こうすれば、ローラー613Aの動きが簡略化され、騒音および振動を低減させることができるようになる。
また、電気式毛切断装置1は、切断される毛の長さ(切断長さ)を調節するアタッチメント100が着脱可能に装着できるようになっている(図17参照)。
図17には、電気式毛切断装置1に対して、刃移動方向Wと略直交する方向である奥行き方向WCの後方WC2に相対移動させることで、電気式毛切断装置1に装着されるようにしたアタッチメント100を例示している。
このアタッチメント100は、周壁101を備えており、アタッチメント100を電気式毛切断装置1に装着させた状態で、この周壁101が、ヘッド部20における刃部23の周囲に形成される周面20aを全周に亘って覆うようにしている。
こうすることで、アタッチメント100が装着された電気式毛切断装置1を、アタッチメント100の着脱方向と略直交するどの方向に動かしたとしても、ヘッド部20の周面20aにアタッチメント100の周壁101を当接させることができるようにしている。そして、アタッチメント100が電気式毛切断装置1から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようにしている。
また、アタッチメント100は、固定刃24aと可動刃25aとの間に毛を案内可能な櫛部(整毛部)102を備えている。具体的には、複数本の櫛部102が刃移動方向Wに沿って並設されており、刃移動方向Wで隣り合う櫛部102の間には、櫛部102によって案内された毛を内側(刃部23側)に導入することが可能な導入孔104が形成されている。
また、アタッチメント100は、当該アタッチメント100を電気式毛切断装置1に装着させた状態で、グリップ部30の外面30aを把持可能に覆う延長部103を備えている。
すなわち、アタッチメント100を電気式毛切断装置1に装着させた状態で、グリップ部を把持する際に、グリップ部30とともに、グリップ部30を覆う延長部103も把持できるようにしている。
こうすることで、アタッチメント100が外れてしまうことを抑制できるようにしている。
また、電気式毛切断装置1の本体部10には段差部10aが形成されており、アタッチメント100を電気式毛切断装置1に装着させた状態で、この段差部10aにアタッチメント100の端面100aが当接するようにしている。
なお、アタッチメント100および電気式毛切断装置1には、互いに係合する係合部および被係合部が形成されており、電気式毛切断装置1に装着させたアタッチメント100が外れてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
また、図17に示すアタッチメント100以外の形状をしたアタッチメントを電気式毛切断装置1に装着させるようにしてもよい。
[作用・効果]
以下では、上記実施形態およびその変形例で示した電気式毛切断装置の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
(1) 上記実施形態およびその変形例で示した電気式毛切断装置は、ヘッド部に設けられる固定刃に対する可動刃の移動方向と、ヘッド部を支持するグリップ部の長手方向とのなす角度が鋭角、または、移動方向と長手方向とが平行となるように構成されている。
この電気式毛切断装置は、電気モータと、電気モータの出力軸の回転運動を出力軸と平行な方向と交差する中心軸線まわりの往復回動運動に変換する変換部と、を備えている。また、電気式毛切断装置は、可動刃と一体化された接続部であって、変換部が接続されて、変換部から伝達される往復回動運動により駆動する接続部を備えている。
また、変換部は、出力軸まわりに回転できるように出力軸に対して偏心した位置に配置される偏心軸を有し、出力軸に回転可能に連結される偏心回転部と、偏心軸の回転運動を往復回動運動に変換できるように偏心軸に連結される入力変換部と、を備えている。
また、入力変換部は、中心軸線を有する回転中心部と、回転中心部に中心軸線まわりに往復回動運動できるように連結されるとともに、偏心軸に連結される第1アーム部と、を備えている。そして、入力変換部は、第1アーム部の動きに連動して中心軸線まわりに往復回動運動し、接続部に連結される第2アーム部を備えている。
こうすれば、変換部によって変換された往復回動運動を、可動刃と一体化させた接続部に直接伝達させることが可能となるため、変換部の構成の簡素化を図ることが可能となる。
このように、本開示によれば、より構成の簡素化を図ることが可能な電気式毛切断装置を得ることができるようになる。
(2) また、上記(1)の電気式毛切断装置において、入力変換部の中心軸線が、電気モータの出力軸線を通るようにしてもよい。
こうすれば、第1アーム部を電気モータの出力軸線を中心として均等に回動させることができ、入力変換部の小型化を図ることができるようになる。
(3) また、上記(2)の電気式毛切断装置において、入力変換部の中心軸線が、可動刃の移動範囲の中央を通り可動刃の移動方向と直交する中央平面と電気モータの出力軸線との交点を通るようにしてもよい。
こうすれば、第2アーム部の中心軸線まわりの往復回転運動を、中央平面の投影線を中心として、可動刃の移動方向に均等に回動させることができ、入力変換部のより一層の小型化を図ることができるようになる。
(4) また、上記(1)から(3)のうちいずれか1つの電気式毛切断装置において、第1アーム部と第2アーム部とのなす角度が鈍角となるようにしてもよい。
こうすれば、より使い勝手のよい電気式毛切断装置に適した入力変換部とすることができ、電気式毛切断装置1の小型化を図ることができる。
(5) また、上記(1)から(4)のうちいずれか1つの電気式毛切断装置において、回転中心部の中心軸線方向の幅が、第1アーム部の中心軸線方向の幅、および、第2アーム部の中心軸線方向の幅よりも大きくなるようにしてもよい。
こうすれば、第1アーム部や第2アーム部に生じるモーメントにより発生する振動を低減させることができるようになる。
[その他]
以上、本開示にかかる電気式毛切断装置の内容を説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、上記実施形態およびその変形例では、アタッチメントを着脱可能に装着することができる電気式毛切断装置を例示しているが、アタッチメントの装着を想定していない電気式毛切断装置とすることも可能である。
また、ヘッド部やグリップ部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。