JP7316527B2 - モータコアの製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、モータコアの製造方法に関する。
特許文献1には、回転子鉄心の製造方法が開示されている。この製造方法では、切断溶接装置によって、先の電磁鋼板の終端部と次の電磁鋼板の始端部を切断し、その切断された先の電磁鋼板の終端部と次の電磁鋼板の始端部とを溶接する工程を含んでいる。この切断溶接装置は、先の電磁鋼板の終端部と次の電磁鋼板の始端部を、回転子鉄心板を避けた位置で切断および溶接する構成となっている。このような構成によれば、回転子鉄心板に切断溶接部位が含まれることによる製品の特性の低下を防ぐことができる、と記載されている。
特開2014-168329号公報
モータコアの材料となる電磁鋼板等の母材は、母材ごとに異なる板厚を有していたり、母材ごとに異なる変形を生じていたりする場合がある。モータコアには高度な寸法精度が要求されており、母材ごとの板厚や形状の違いによる寸法精度の悪化を抑制する技術が求められている。
本開示は、積層高さの寸法精度が高いモータコアを効率よく製造できるモータコアの製造方法を提供することを目的としている。
本開示のモータコアの製造方法は、板状の母材を送り出す送出工程と、送り出された前記母材から複数の電磁鋼板を打ち抜いて、複数の電磁鋼板が積層されたブロックを形成するブロック形成工程と、を備えたモータコアの製造方法であって、前記送出工程では、第1母材を送り出し、次に前記第1母材の末端に先端が溶接された第2母材を送り出し、前記ブロック形成工程では、前記第1母材から打ち抜かれた複数の第1電磁鋼板のみを所定の高さに積層した第1ブロックと、前記第1母材から打ち抜かれた第1電磁鋼板と、前記第2母材から打ち抜かれた第2電磁鋼板とを少なくとも含む複数の電磁鋼板を前記所定の高さと異なる高さに積層した複合ブロックと、前記第2母材から打ち抜かれた複数の第2電磁鋼板のみを前記所定の高さに積層した第2ブロックと、を形成し、前記ブロック形成工程の後には、前記第1ブロック、前記複合ブロック、及び前記第2ブロックを含む複数の前記ブロックから、前記ブロックの積層高さに基づいて前記複合ブロックを取り除く複合ブロック取除工程を備える。
本開示によれば、積層高さの寸法精度が高いモータコアを効率よく製造できるモータコアの製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態1におけるステータコアを模式的に示す平面図である。 図2は、実施形態1におけるロータコアを模式的に示す平面図である。 図3は、図2のIII-III線断面図である。 図4は、送出工程及びブロック形成工程を説明する説明図である。 図5は、プレス装置による第1母材及び第2母材の打ち抜きを説明する説明図である。 図6は、ブロック形成工程の一例を表す説明図である。 図7は、積層体形成工程の一例を表す説明図である。 図8は、ブロック形成工程の他の例を表す説明図である。 図9は、積層体形成工程の他の例を表す説明図である。
<実施形態1>
本実施形態は、図1及び図2に示すステータコア10及びロータコア20の製造に本発明を適用したものである。ステータコア10はモータコアの一例であり、ロータコア20はモータコアの他の例である。
ステータコア10は、図1に示す複数の電磁鋼板11が積層された積層体からなる。ステータコア10は、全体としては略円環状をなす。ステータコア10は、複数のブロックが積層され、互いに溶接されている。複数のブロックの各々は、複数の電磁鋼板11が積層され、互いに組み付けられている。
ステータコア10は、スロット部12と、締結部13と、を有している。スロット部12は、ステータコア10の内周に沿って等間隔に設けられ、径方向の内側から外側へ向かって窪む形態で設けられている。スロット部12には、図示しないコイルが設けられる。締結部13は、ステータコア10の外周において径方向の外側へ向かって突出する形態で設けられている。締結部13は、ステータコア10の外周に沿って等間隔に3つ設けられている。締結部13は、ステータコア10を貫通する締結孔14を有している。
ロータコア20は、図2及び図3に示すように、複数の電磁鋼板31が積層された積層体からなるロータコア本体30を備えている。ロータコア本体30の積層方向両側には、エンドプレート21,21が溶接されている。ロータコア本体30は、全体としてはステータコア10の内径より小さい外径の円筒状をなす。ロータコア本体30は、複数のブロック32が積層され、接着、溶着等の手段によって互いに固着されている。複数のブロック32の各々は、複数の電磁鋼板31が積層され、互いに組み付けられている。図3では、説明の便宜のために、電磁鋼板31の厚さ及び枚数を変更して模式的に描いている。
ロータコア本体30は、シャフト孔33と、マグネット孔34とを有している。シャフト孔33は、ロータコア本体30の中心に貫通して設けられている。シャフト孔33には、シャフト23が挿入される。図2に示すように、マグネット孔34は、シャフト孔33の周囲に複数設けられている。複数のマグネット孔34の各々には、マグネット材26が封止される。マグネット材26は、四角柱状の永久磁石からなる。
シャフト23は、円筒状をなし、ロータコア20の回転中心軸を構成する。シャフト23の内部には、冷却油等の冷媒が流通するシャフト側冷媒流路24が形成されている。シャフト23の外周面には、シャフト側冷媒流路24の開口部25が周方向に間隔をあけて複数形成されている(図3参照)。開口部25は、シャフト側冷媒流路24からの冷却油をロータコア本体30に供給するための供給口である。
ロータコア20の内部には、図3に示すように、冷媒が流れる冷媒流路35が形成されている。冷媒流路35は、シャフト孔33の内周面に形成された内側開口部36と、ロータコア20の両底面に形成された外側開口部37,37と、を有している。内側開口部36は、シャフト23の開口部25と連通して、ロータコア20の内部に冷媒を導入する導入口である。外側開口部37,37は、ロータコア20の外部に向けて開口して、ロータコア20の内部から冷媒を排出する排出口である。冷媒流路35は、平面に見て異なった形状の孔を有する電磁鋼板31を積層することで形成される。
次に、ロータコア20の製造方法及びステータコア10の製造方法について説明する。ロータコア20及びステータコア10は、ロールフィーダ(不図示)、プレス装置50、溶接装置(不図示)、および制御装置(不図示)などを備える製造ラインで製造される。ロールフィーダ、プレス装置50、溶接装置等の各種装置は、制御装置によって制御される。制御装置は、プログラムに従って演算処理を行うCPUや製造プログラムなどの各種動作プログラムを格納したROMや作業領域などを有するRAMなどのメモリ等を備えている。
プレス装置50は、図4に示すように、上金型51及び下金型52を有している。上金型51及び下金型52は、ロータコア20およびステータコア10の各部の形状に対応した複数の抜き型を有している(図5参照)。図5では、ロータコア20およびステータコア10の材料となる母材40において、抜き型で抜かれた部位を実線で描いている。複数の抜き型は、白抜き矢印で示した母材40の送り出し方向に沿って配置されている。複数の抜き型は、母材40の幅方向に並んで2列設けられ、各列の抜き型が互い違いに配置されている。プレス装置50は、送り出される母材を多段階にプレスして、ロータコア20を構成する電磁鋼板31、ステータコア10を構成する電磁鋼板11を順に打ち抜く。
ロータコア20の製造方法は、板状の母材40を送り出す送出工程と、ブロック32を形成するブロック形成工程と、ブロック積層体38を形成する積層体形成工程と、を備える。ステータコア10の製造方法は、ロータコア20の製造方法と同様の送出工程と、ブロック形成工程と、積層体形成工程と、を備える。ロータコア20の製造方法は、ブロック積層体38にマグネット材26を封止する封止工程、マグネット材26が封止されたブロック積層体38にエンドプレート21,21を溶接する溶接工程等を更に備える。以下の説明では、モータコアの製造方法の一例として、ロータコア20の製造方法について説明する。
送出工程では、ロールフィーダを用いて、板状の母材40を送り出す。送出工程では、第1母材40Aを送り出し、次に第1母材40Aの末端40Eに先端40Sが溶接された第2母材40Bを送り出す。第1母材40A及び第2母材40Bとしては、長尺板状の電磁鋼板がロール状に巻回された加工部材を用いることができる。第1母材40Aの末端40Eと第2母材40Bの先端40Sは溶接装置を用いて溶接される。溶接方法は特に限定されないが、例えば、第1母材40Aの末端40Eと第2母材40Bの先端40Sを互いに平行する直線状に切断して、切断面同士を接触させた状態で末端40Eと先端40Sを溶接して溶接部41を形成する。第1母材40Aの末端40Eに第2母材40Bの先端40Sが溶接された状態では、両母材40A,40Bが一体化され、ロールフィーダによって共に送り出すことができる。
ブロック形成工程では、プレス装置50を用いて、送り出された母材40から複数の電磁鋼板31を打ち抜く。制御装置は、ロールフィーダが母材40を送るピッチと、プレス装置50よって母材40を打ち抜き加工するタイミングを同期する。このようにして、送り出された第1母材40A及び第2母材40Bから順次に複数の電磁鋼板31が打ち抜かれる。複数の電磁鋼板31において、第1母材40Aから打ち抜かれた電磁鋼板31と、第2母材40Bから打ち抜かれた電磁鋼板31を互いに区別する場合には、それぞれ第1電磁鋼板31A、第2電磁鋼板31Bと称する。
ブロック形成工程では、複数の電磁鋼板31が積層されたブロック32を形成する。ブロック32は、母材40の送り出しに伴って打ち抜かれた電磁鋼板31が、打ち抜かれた順に複数積層されることによって形成される。1のブロック32を構成する複数の電磁鋼板31の各々には、所謂ダボ加工により積層方向の一方に向けて突出する形態である結合部(不図示)が設けられている。互いに隣り合う電磁鋼板31は、結合部同士が凹凸の関係により、かしめられることで互いに結合されている。またブロック32の積層方向における一端には、上記結合部を有しない電磁鋼板31が配置されている。このため、ブロック32における一端側の電磁鋼板31は、自身の一端側に隣接した電磁鋼板31とは結合されない。プレス装置50は、制御装置によって所定枚数の電磁鋼板31毎に結合部を有しない電磁鋼板31を打ち抜く制御が行われることで、所定の高さに積層されたブロック32を形成する。
複数のブロック32は、図7及び図9に示すように、1段目から6段目まで積層されてブロック積層体38となる。ブロック積層体38は、単一の母材40のみに由来する電磁鋼板31で構成されている。すなわち、ブロック積層体38は、複数の第1電磁鋼板31Aのみが積層されたものと、複数の第2電磁鋼板31Bのみが積層されたものとを含み、第1電磁鋼板31Aと第2電磁鋼板31Bが混在するものを含まない。ロータコア本体30は、このようなブロック積層体38で構成されることによって、積層高さの寸法精度が担保される。
ブロック形成工程では、複数の第1電磁鋼板31Aのみを積層した第1ブロック32Aと、第1電磁鋼板31Aと第2電磁鋼板31Bとを少なくとも含む複数の電磁鋼板31を積層した複合ブロック32Cと、複数の第2電磁鋼板31Bのみを積層した第2ブロック32Bとを形成する。例えば、制御装置は、第1母材40Aと第2母材40Bの溶接部41が形成されたことを条件として、第1ブロック32Aの形成を終了して、複合ブロック32Cを形成するように、プレス装置50を制御する。そして、制御装置は、プレス装置50の1列の抜き型につき1つの複合ブロック32Cを形成した後に、第2ブロック32Bの形成を開始するような制御を行う。本実施形態において、第1ブロック32A、第2ブロック32B、複合ブロック32Cを互いに区別する場合には、ブロック32の符号に「A」、「B」、「C」をそれぞれ付し、これらを総称する場合には単にブロック32と称する。複合ブロック32Cは、ブロック形成工程の後に取り除かれ、ブロック積層体38を構成しない。複合ブロック32Cの取り除きは、後述する複合ブロック取除工程において行われる。
第1ブロック32Aは、複数の第1電磁鋼板31Aのみを所定の高さに積層してなる。「所定の高さ」は、その第1ブロック32Aがブロック積層体38において位置する段数に応じて設定された高さである。例えば、3段目及び4段目の第1ブロック32Aの積層高さは、1段目、2段目、5段目、6段目の第1ブロック32Aの積層高さより小さい高さに設定されている。第2ブロック32Bは、複数の第2電磁鋼板31Bのみを所定の高さに積層してなる。「所定の高さ」は、その第2ブロック32Bがブロック積層体38において位置する段数に応じて設定された高さであり、第1ブロック32Aにおける「所定の高さ」と共通する。
複合ブロック32Cは、第1電磁鋼板31Aと第2電磁鋼板31Bとを少なくとも含む複数の電磁鋼板31を所定の高さと異なる高さに積層してなる。「所定の高さと異なる高さ」は、最も積層高さが小さい第1ブロック32A及び第2ブロック32B(例えば、3段目の第1ブロック32A,第2ブロック32B)の積層高さ未満か、最も積層高さが大きい第1ブロック32A及び第2ブロック32B(例えば、1段目の第1ブロック32A,第2ブロック32B)の積層高さよりも大きい高さとすることができる。この「所定の高さと異なる高さ」は、後に詳しく説明する積層体形成工程における検知精度を良好とし、また、複合ブロック32Cの取り回しを容易にするという観点から、最も積層高さが大きい第1ブロック32A及び第2ブロック32Bの積層高さよりも大きい値に設定してもよい。なお、複合ブロック32Cは、第1母材40Aと第2母材40Bの溶接部41を含む電磁鋼板31を有していてもよい。
ブロック形成工程では、第1ブロック32A若しくは第2ブロック32Bを形成する場合には、ブロック積層体38において積層される位置が1段目から6段目までのブロック32をこの順に形成する。具体的には、図3に示す1段目用のブロック32、2段目用のブロック32、3段目用のブロック32、4段目用のブロック32、5段目用のブロック32、6段目用のブロック32が順に形成される。複数のブロック32は、ブロック積層体38において積層される段数に応じた形状及び積層高さを有している。例えば、3段目と4段目のブロック32は、冷媒流路35に対応した形状の孔を有し、分岐した冷媒流路35の経路長に応じた高さに積層されている。図6~図9では、1段目用の第1ブロック32Aを「A-1」と表記し、2段目用の第1ブロック32Aを「A-2」と表記し、6段目用の第1ブロック32Aを「A-6」と表記する。また、複合ブロック32Cを「*」と表記する。1段目用の第2ブロック32Bを「B-1」と表記し、6段目用の第1ブロック32Aを「B-6」と表記する。
ブロック形成工程では、複合ブロック32Cが形成された直後にブロック積層体38の1段目用の第2ブロック32Bを形成する。具体的には、制御装置は、複合ブロック32Cを構成する所定枚数の電磁鋼板31を打ち抜くと、これに引き続き、1段目用の第2ブロック32Bを構成する所定枚数の第2電磁鋼板31Bを打ち抜くようにプレス装置50を制御する。図6は、2段目用の第1ブロック32Aの次に複合ブロック32Cが形成され、複合ブロック32Cの次に1段目用の第2ブロック32Bが形成された様子を模式的に示している。図8は、6段目用の第1ブロック32Aの次に複合ブロック32Cが形成され、複合ブロック32Cの次に1段目用の第2ブロック32Bが形成された様子を模式的に示している。つまり、ブロック形成工程では、最後に形成された第1ブロック32Aが何段目用のブロック32であるかに関わらず、複合ブロック32Cの次には1段目用の第2ブロック32Bを形成する。
ロータコア20の製造方法は、ブロック形成工程の後に、第1ブロック32A、複合ブロック32C、及び第2ブロック32Bを含む複数のブロック32から、ブロック32の積層高さに基づいて複合ブロック32Cを取り除く複合ブロック取除工程を備える。複合ブロック取除工程は、ブロック積層体38を形成する際に、複合ブロック32Cが積層された場合に、複合ブロック32Cが積層された段数の積層高さが基準となる段数の積層高さと異なることを検知し、複合ブロック32Cまで積層された未完成のブロック積層体38Uを取り除くことによって、複合ブロック32Cの取り除きが行われる。本実施形態では、複合ブロック取除工程は、積層体形成工程において行われている。
積層体形成工程では、1段目用から6段目用までのブロック32を積層して、ブロック積層体38を形成する。ブロック32を積層する際には、ロータコア本体30の積層高さの寸法精度を向上するために、ブロック32を所定角度だけ回転させて積層する、所謂転積を行ってもよい。積層体形成工程では、1のブロック32が積層されると、検知装置(不図示)を用いて基準面からそのブロック32までの積層高さを測定する。そして、ブロック32までの積層高さの実測値と、予め定められた各段数において基準となる積層高さとを比較する。基準となる積層高さは、所定の幅を有した数値範囲であってもよい。実測値と基準値を比較した結果、実測値が基準値の数値範囲内であると判定された場合には、完成したブロック積層体38として次の工程に送られ、実測値が基準値の数値範囲外であると判定された場合には、未完成のブロック積層体38Uとして取り除かれる。このように、積層体形成工程において積層高さの判定を行うことによって、積層高さが不良であるブロック積層体38Uを取り除くことができる。
図6及び図7を用いて、積層体形成工程において複合ブロック32Cが積層された場合の一例について説明する。ブロック形成工程において、1段目用から6段目用の第1ブロック32A、1段目用の第1ブロック32A、2段目用の第1ブロック32A、複合ブロック32C、1段目用から6段目用の第2ブロック32Bが順に形成されると、図7(A)に示すように、1段目用から6段目用の第1ブロック32Aが順に積層されて、完成したブロック積層体38が形成される。次に、図7(B)に示すように、1段目用の第1ブロック32A、2段目用の第1ブロック32A、複合ブロック32Cが順に積層される。複合ブロック32Cは、3段目用のブロック32とは異なる積層高さを有するから、検知装置は、複合ブロック32Cが積層された3段目の積層高さが基準となる3段目の積層高さと異なることを検知する。そして、これら3つのブロック32からなる未完成のブロック積層体38Uが取り除かれることによって複合ブロック32Cの取り除きが行われる。続いて、図7(C)に示すように、1段目用から6段目用の第2ブロック32Bが順に積層されて、完成したブロック積層体38が形成される。
図8及び図9を用いて、積層体形成工程において複合ブロック32Cが積層された場合の別の例について説明する。ブロック形成工程において、1段目用から6段目用の第1ブロック32A、複合ブロック32C、1段目用から6段目用の第2ブロック32Bが順に形成されると、図9(A)に示すように、1段目用から6段目用の第1ブロック32Aが順に積層されて、完成したブロック積層体38が形成される。次に、図9(B)に示すように、複合ブロック32Cがブロック積層体38の1段目の位置に配置される。複合ブロック32Cは、1段目用のブロック32とは異なる積層高さを有するから、検知装置は、複合ブロック32Cが配置された1段目の積層高さが基準となる1段目の積層高さと異なることを検知する。そして、複合ブロック32Cのみからなる未完成のブロック積層体38Uが取り除かれることによって複合ブロック32Cの取り除きが行われる。続いて、図9(C)に示すように、1段目用から6段目用の第2ブロック32Bが順に積層されて、完成したブロック積層体38が形成される。
このように、積層体形成工程では、複合ブロック32Cの積層高さを第1ブロック32A及び第2ブロック32Bの積層高さと異なる高さとすることによって、複合ブロック32Cの取り除きを、積層高さが不良であるブロック積層体38Uの取り除きと同じ工程で行うことができる。さらに、複合ブロック32Cの取り除きを行う際には、図7(B)のように、順次積層したときに半端な段数となる第1ブロック32Aも複合ブロック32Cとともに取り除くことができる。この結果、ブロック積層体38において、第1ブロック32Aと第2ブロック32Bが混在して積層されることを防止できる。
積層体形成工程において形成されたブロック積層体38は、封止工程、溶接工程等の各種工程を経て、ロータコア本体30に形成される。以上のようにして、ロータコア本体30を備えたロータコア20の製造が完了する。
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。モータコアの材料となる母材は、母材ごとに異なる板厚を有していたり、母材ごとに異なる変形を生じていたりする場合がある。例えば、マザーコイルを分割して母材を形成する場合には、マザーコイルにおける位置や、圧延ムラ等に起因して、板面方向に沿った曲がり変形や、幅方向及び送り方向における板厚ムラを生じ得る。このため、ロータコア20を単一の母材から打ち抜かれた電磁鋼板31のみで形成することで、積層高さ不良を抑制し、積層枚数の調整に掛かる工数及び積層高さが不良で廃棄される部品点数を低減することが可能となる。本実施形態のように、冷媒流路35を有するロータコア本体30は、ブロック32の積層高さや転積によって回転できる角度に制限があり、本開示に係る技術が特に有効である。
本実施形態のロータコア20の製造方法によれば、ブロック32の積層高さに基づいて複合ブロック32Cを取り除く複合ブロック取除工程を備えるから、第1母材40Aから打ち抜かれた第1電磁鋼板31Aと、第2母材40Bから打ち抜かれた第2電磁鋼板31Bが混在した複合ブロック32Cを効率よく排除することができる。したがって、第1電磁鋼板31Aと第2電磁鋼板31Bが混在せず、積層高さの精度が高いロータコア20を効率よく製造できる。
本実施形態では、複数のブロック32は、1段目から6段目まで積層されてブロック積層体38となり、ブロック形成工程では、複合ブロック32Cが形成された直後にブロック積層体38の1段目用の第2ブロック32Bを形成する。仮に複合ブロック32Cが形成された直後にブロック積層体38の1段目用以外の第2ブロック32Bを形成する場合、複合ブロック32Cを取り除いた後のブロック32を順次積層すると、未完成のブロック積層体38が形成される。これに対して、本実施形態のブロック形成工程では、複合ブロック32Cが形成された直後にブロック積層体38の1段目用の第2ブロック32Bを形成するから、複合ブロック32Cを取り除いた後のブロック32を順次積層すると、完成したブロック積層体38が形成され得る。したがって、複合ブロック32Cの取り除きに伴って、未完成のブロック積層体38となる第2ブロック32Bを低減することができる。
本実施形態では、複合ブロック取除工程は、ブロック積層体38を形成する際に、複合ブロック32Cが積層された場合に、複合ブロック32Cが積層された段数の積層高さが基準となる段数の積層高さと異なることを検知し、複合ブロック32Cまで積層された未完成のブロック積層体38を取り除くことによって、複合ブロック32Cの取り除きが行われる。このため、ブロック積層体38を形成する際に各段数における積層高さを検知することを、複合ブロック32Cを取り除きに利用することができ、効率が良い。
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において、複合ブロック取除工程は、積層体形成工程とは別の工程で行われてもよい。また、ブロックの積層高さに基づいて複合ブロックを取り除く方法は、高さを実測する方法に限られない。
(2)上記実施形態において、複合ブロックが形成された直後にブロック積層体の1段目用の第2ブロックを形成しなくてもよい。例えば、溶接部を含む電磁鋼板の取り除きを目的として、複合ブロックを形成する直前に形成した第1ブロックの段数に連続する段数の第2ブロックを、複合ブロックが形成された直後に形成してもよい。
(3)上記実施形態以外にも、送出工程、ブロック形成工程、積層体形成工程は適宜変更可能である。例えば、積層体形成工程において、複数のブロックを積層する段数は適宜変更可能である。プレス装置は、厚さ方向に重ねられた複数の母材を一括して打ち抜く構成であってもよい。
(4)上記実施形態以外にも、ロータコア及びステータコアの構成は適宜変更可能である。例えば、複数のブロックは、積層されてブロック積層体となる段数は、6段に限られず、2以上の整数の段数であればよい。積層されてブロック積層体となる段数の上限値は特に限定しないが、通常、20段以下である。また、内部に冷媒流路を有しないロータコアやステータコアにおいても本開示の技術が有効である。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
10…ステータコア(モータコア)
11…電磁鋼板
20…ロータコア(モータコア)
31…電磁鋼板
31A…第1電磁鋼板
31B…第2電磁鋼板
32…ブロック
32C…複合ブロック
38…ブロック積層体
38U…未完成のブロック積層体
40…母材
40A…第1母材
40B…第2母材
40E…末端
40S…先端

Claims (3)

  1. 板状の母材を送り出す送出工程と、
    送り出された前記母材から複数の電磁鋼板を打ち抜いて、複数の電磁鋼板が積層されたブロックを形成するブロック形成工程と、を備えたモータコアの製造方法であって、
    前記送出工程では、第1母材を送り出し、次に前記第1母材の末端に先端が溶接された第2母材を送り出し、
    前記ブロック形成工程では、
    前記第1母材から打ち抜かれた複数の第1電磁鋼板のみを所定の高さに積層した第1ブロックと、
    前記第1母材から打ち抜かれた第1電磁鋼板と、前記第2母材から打ち抜かれた第2電磁鋼板とを少なくとも含む複数の電磁鋼板を前記所定の高さと異なる高さに積層した複合ブロックと、
    前記第2母材から打ち抜かれた複数の第2電磁鋼板のみを前記所定の高さに積層した第2ブロックと、を形成し、
    前記ブロック形成工程の後には、前記第1ブロック、前記複合ブロック、及び前記第2ブロックを含む複数の前記ブロックから、前記ブロックの積層高さに基づいて前記複合ブロックを取り除く複合ブロック取除工程を備える、モータコアの製造方法。
  2. 複数の前記ブロックは、1段目からN段目(Nは2以上の整数)まで積層されてブロック積層体となり、
    前記ブロック形成工程では、前記複合ブロックが形成された直後に前記ブロック積層体の1段目用の前記第2ブロックを形成する、請求項1に記載のモータコアの製造方法。
  3. 前記複合ブロック取除工程は、前記ブロック積層体を形成する際に、前記複合ブロックが積層された場合に、前記複合ブロックが積層された段数の積層高さが基準となる前記段数の積層高さと異なることを検知し、前記複合ブロックまで積層された未完成のブロック積層体を取り除くことによって、前記複合ブロックの取り除きが行われる、請求項2に記載のモータコアの製造方法。
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