JP7316113B2 - 半導体デバイス用基板に用いる洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
特許文献2には、セリアを研磨用組成物で研磨した後に得られる研磨済研磨対象物を表面処理するための表面処理組成物であって、カルボキシ基又はその塩を有する単量体由来の構造単位を有する、カルボキシ基含有(共)重合体と、SOx又はNOy(ただし、x及びyはそれぞれ独立して1~5の実数である)で表される部分構造を有する、SOx又はNOy部分構造含有化合物と、分散媒とを含み、pHが1以上8以下である表面処理組成物が提案されている。
特許文献3には、(a)スルホン酸(塩)基を有する単量体、カルボン酸(塩)基を有する単量体、水酸基を有する単量体、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドに由来する骨格を有する単量体、及び窒素原子を有する単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体、並びに、(b)ビニルホスホン酸(塩)、からなる単量体成分を共重合してなる共重合体(塩)を主成分とする半導体部品用洗浄剤が提案されている。
下記水溶性重合体(成分A)構造中のホスフィノ基(-P(O)(OM)-)がセリア粒子表面と強く相互作用することにより、下記水溶性重合体(成分A)が効率よくセリアに吸着する。その結果、下記水溶性重合体(成分A)のカルボキシル基がセリア表面に多く露出することにより、セリアの分散性を向上し、基板からのセリアの脱離、再付着を抑制することにより、セリアが効率的に除去されるものと考えられる。
但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる水溶性重合体(以下、「成分A」ともいう)は、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位(以下、「構成単位a」ともいう)、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位(以下、「構成単位b」ともいう)を含有する。成分Aは、1種単独でもよいし、2種以上の組合せであってもよい。本開示において「水溶性」とは、一又は複数の実施形態において、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。また、「主鎖」とは、水溶性重合体(成分A)において、構成単位a及び構成単位bが結合して形成される直鎖構造のうち最も長い部分をいい、「側鎖」とは、前記直鎖から枝分かれしている部分をいう。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる水(以下、「成分B」ともいう)としては、イオン交換水、RO水、蒸留水、純水、超純水が使用されうる。本開示の洗浄剤組成物の洗浄時における成分Bの含有量は、成分A及び必要に応じて配合される後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、pH調整剤(以下、「成分C」ともいう)をさらに含むことができる。成分Cとしては、例えば、硫酸、硝酸等の無機酸;オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸;及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質;等が挙げられる。成分Cは、1種単独でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物は、上述した成分A、成分B、及び成分C以外に、必要に応じてその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、成分A以外の水溶性重合体、成分A以外の界面活性剤、キレート剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、シリコーン系消泡剤、酸化防止剤、エステル類、アルコール類等が挙げられる。本開示の洗浄剤組成物の洗浄時におけるその他の成分の含有量は、本開示の効果を妨げない観点から、0質量%以上2質量%以下が好ましく、0質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.3質量%以下がさらに好ましく、0質量%以上1質量%以下がよりさらに好ましい。
本開示の洗浄剤組成物は、例えば、成分A、成分B及び必要に応じて任意成分(成分C、その他の成分)を公知の方法で配合することにより製造できる。例えば、本開示の洗浄剤組成物は、少なくとも成分A及び成分Bを配合してなるものとすることができる。したがって、本開示は、一態様において、少なくとも成分A及び成分Bを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B及び必要に応じて任意成分(成分C、その他の成分)を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の各成分の含有量と同じとすることができる。
被洗浄基板としては、一又は複数の実施形態において、セリアを含む研磨液組成物を用いた研磨後の基板、セリアを含む研磨液組成物を用いたCMP後の基板、基板表面にセリア砥粒由来の異物が付着した基板等が挙げられる。基板としては、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板等の半導体デバイス用基板が挙げられる。半導体デバイス用基板は、一又は複数の実施形態において、半導体デバイス用基板の製造に用いられる基板である。被洗浄基板の表面材料は特に限定されず、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、熱シリコン酸化膜、ノンドープシリケートガラス膜、リンドープシリケートガラス膜、ボロンドープシリケートガラス膜、リンボロンドープシリケートガラス膜、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)膜、プラズマCVD酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンカーバイド膜、シリコンオキサイドカーバイド膜、又はシリコンオキサイドカーバイドナイトライド膜等が挙げられる。さらに、ガラス、石英、水晶、セラミックス等も挙げられる。一又は複数の実施形態において、被洗浄基板は、これら材料単独で構成される基板でもよいし、2種以上の材料がある分布を持ってパターニングされた基板や積層された基板でもよい。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する工程(以下、「本開示の酸性洗浄工程」ともいう)を含む、基板の洗浄方法(以下、「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。本開示の酸性洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、被洗浄基板に本開示の洗浄剤組成物を接触させる工程を含む。本開示の酸性洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、被洗浄基板を本開示の洗浄剤組成物に接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。被洗浄基板としては、上述した基板を用いることができる。
ブラシ洗浄とは、一又は複数の実施形態において、基板表面に洗浄剤組成物を供給しながら、基板表面に洗浄ブラシを押し当てて基板と洗浄ブラシとを相対的に動かして基板表面を洗浄する方法である。洗浄ブラシとしては、例えば、ロールブラシ、ペンシルブラシ等が挙げられる。
パッドを用いた洗浄とは、一又は複数の実施形態において、基板表面にパッドを押し当て、基板とパッドとの間に洗浄剤組成物を供給しながら、基板とパッドとを相対的に動かすことにより基板表面を洗浄する方法である。パッドとしては、例えば、一般的なCMP研磨で用いられる発泡ポリウレタン製パッド、不織布、フッ素樹脂、スエードパッド(バフ)等が挙げられる。スエードパッドを用いた洗浄は、バフ洗浄ともよばれている。
上述したブラシ洗浄やパッドを用いた洗浄以外にも、例えば、浸漬洗浄、超音波洗浄、揺動洗浄、スプレー洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄等が挙げられる。
上述した洗浄方式は、単独で実施してもよいし、複数組み合わせて実施してもよい。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法を用いて、被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、半導体デバイス用基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。被洗浄基板としては、上述した基板を用いることができる。本開示の基板製造方法の洗浄工程における洗浄方法や洗浄条件は、上述した本開示の洗浄方法と同じとすることができる。本開示の基板製造方法は、一又は複数の実施形態において、(1)セリアを含む研磨液組成物を用いてCMPを行う工程、及び、(2)本開示の洗浄方法を用いて工程(1)で研磨された基板を洗浄する工程、を含むことができる。
まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒して二酸化シリコン層を含むシリコン基板を形成する。次いで、シリコン基板の二酸化シリコン層側、例えば二酸化シリコン層上に、窒化珪素(Si3N4)膜を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、このようにして得られたシリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された窒化珪素膜とを含む基板、例えば、シリコン基板とシリコン基板の一方の主面上に配置された窒化珪素膜とを含む基板、又はシリコン基板とシリコン基板の一方の主面上に配置された窒化珪素膜とからなる基板に、フォトリソグラフィー技術を用いて窒化珪素膜を貫通し溝底がシリコン基板内に達したトレンチを形成する。次いで、例えばシランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用の酸化珪素(SiO2)膜を形成し、前記トレンチに酸化珪素が埋め込まれ、トレンチ及び窒化珪素膜が酸化珪素膜で覆われた被研磨基板を得る。酸化珪素膜の形成により、前記トレンチは酸化珪素膜の酸化珪素で満たされ、窒化珪素膜の前記シリコン基板側の面の反対面は酸化珪素膜によって被覆される。このようにして形成された酸化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された、段差を有する。次いで、CMP法により、酸化珪素膜を、少なくとも窒化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまでセリアスラリーで研磨し、より好ましくは、酸化珪素膜の表面と窒化珪素膜の表面とが面一になるまで酸化珪素膜を研磨する。
水溶性重合体(成分A又は非成分A)を所定濃度となるように水(成分B)に配合し、必要に応じてpH調整剤(成分C)を用いてpH調整を行い、実施例1~7、参考例1及び比較例2~4の洗浄剤組成物を調製した。pH調整には、1質量%硝酸水溶液又は1規定のアンモニア水を用いた。表2に示す成分A又は非成分Aの含有量は、洗浄剤組成物の使用時における含有量(質量%、有効分)である。表2に示すpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHである。
(成分B)
水[栗田工業株式会社製の連続純水製造装置(ピュアコンティ PC-2000VRL型)とサブシステム(マクエース KC-05H型)を用いて製造した超純水]
(成分C)
硝酸[富士フィルム和光純薬製]
アンモニア水[富士フィルム和光純薬製]
[洗浄剤組成物のpH]
洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社製、HM-30G)を用いて測定した値であり、pHメータの電極を洗浄剤組成物に浸漬して1分後の数値である。
カラム:TSKgel α-M+TSKgel α-M(東ソー製)
溶離液:60mmol/L リン酸,50mmol/L LiBr/DMF
温度:40℃
流速:1.0ml/分
試料サイズ:5mg/ml
検出器:RI
標準物質:ポリスチレン(分子量3600、30000:西尾工業株式会社社製。9.64万、842万:東ソー株式会社製、92.9万:Chemco社製)
調製した実施例1~7、参考例1及び比較例2~4の洗浄剤組成物を用いて下記の評価を行った。
水に正帯電のセリア(平均一次粒径:45nm)及び2-ヒドロキシピリジン-N-オキシドを混合し、アンモニア水を用いることにより、pHを5に調整し、各濃度が0.15質量%、0.015質量%である研磨液組成物を調製した。研磨前の試験片として、シリコンウエハ(12インチ)の片面に、TEOS-プラズマCVD法で厚さ2000nmの酸化珪素膜を形成したものから、40mm×40mmに切り出した酸化珪素膜試験片を用いた。また、研磨装置には定盤径380mmのテクノライズ社製「R15M-TRK1」を、研磨パッドにはニッタ・ハース株式会社製の積層パッド「IC1000/SUBA400」を用いた。研磨装置の定盤に、研磨パッドを貼り付け、試験片をホルダーにセットし、試験片の酸化珪素膜を形成した面が下になるように、すなわち酸化珪素膜が研磨パッドに接するように、ホルダーを研磨パッドに載せた。さらに、試験片にかかる荷重が300g重/cm2となるように、錘をホルダーに載せ、研磨パッドを貼り付けた定盤の中心に、研磨液組成物を50mL/分の速度で滴下しながら、定盤及びホルダーのそれぞれを同じ回転方向に90回転/分で30秒間回転させて、酸化珪素膜試験片の研磨を行い、洗浄評価用試験片を作製した。
まず、洗浄評価用試験片を洗浄剤組成物(実施例1~7、参考例1、比較例2~4)に浸漬し、マグネチックスターラーを用いて回転数500rpmで30秒間攪拌し、水ですすぐ。次いで、アルカリ性洗浄剤組成物(アルカリ剤:TMAH、0.06質量%、pH12.3)に浸漬し、マグネチックスターラーを用いて回転数500rpm)で30秒間攪拌し、水ですすぐ。
その後、試験片を、硫酸:20質量%及び過酸化水素:12質量%を含む混合液に浸漬する(浸漬温度:60℃、浸漬時間:12時間)。そして、混合液中のセリウム(Ce)イオン濃度をICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジー社製の“Afilent 5110”)を用いて測定する。測定したセリウムイオン濃度からセリア(CeO2)溶解量(ppb)を算出する。参考例1の値を100として相対値を表2に示す。値が小さいほど、洗浄後の基板のセリア付着量が少なく、洗浄性に優れると評価できる。
Claims (8)
- 水溶性重合体(成分A)及び水(成分B)を含有する洗浄剤組成物であって、
成分Aが、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位、及び、下記式(II)で表される基を含む構成単位を含有し、
成分Aは、下記式(III)で表される構成を含む水溶性重合体であり、
pHが1以上3.5以下であり、
酸化セリウム粒子を含む研磨液組成物を用いて研磨された基板である半導体デバイス用基板に用いる洗浄剤組成物。
- SOx又はNOy(ただし、x及びyはそれぞれ独立して1~5の実数である)で表される部分構造を有する化合物を含有しない、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
- 成分Aが、ホスフィン酸又はその塩由来の構成単位と、モノエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩及びモノエチレン性不飽和カルボン酸誘導体又はその塩から選ばれる少なくとも1種のモノマー由来の構成単位とを含む共重合体である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
- 成分Aが、ビス(ポリ-2-カルボキシエチル)ホスフィン酸又はその塩、及び、ビス(ポリ-1、2-ジカルボキシエチル)ホスフィン酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 成分Aの重量平均分子量は、1,000以上である、請求項1から4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 請求項1から5のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する工程を含み、
被洗浄基板は、酸化セリウム粒子を含む研磨液組成物を用いた研磨後の基板である、基板の洗浄方法。 - 被洗浄基板を請求項1から5のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて洗浄した後、アルカリ性洗浄剤組成物を用いて洗浄する工程をさらに含む、請求項6に記載の洗浄方法。
- 請求項6又は7に記載の洗浄方法を用いて被洗浄基板を洗浄する工程を含み、
被洗浄基板は、酸化セリウム粒子を含む研磨液組成物を用いた研磨後の基板である、半導体デバイス用基板の製造方法。
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