JP7315072B2 - 異常検知装置、異常検知システム、異常検知方法および異常検知プログラム - Google Patents

異常検知装置、異常検知システム、異常検知方法および異常検知プログラム Download PDF

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Description

本開示は、異常検知装置、異常検知システム、異常検知方法および異常検知プログラムに関するものである。
従来、特許文献1に記載されているように、加工室と、加工室内の音を収集するマイクとを備える工作機械が知られている。この工作機械では、マイクによって収集された音から工作機械の運転中の定常状態の音が除去され、その除去された残りの音が抽出される。そして、その抽出された音の信号レベルが規定された範囲外であると、そのことが報知される。
特許第6282148号公報
発明者の検討によれば、マイクによって収集された音には、工作機械の運転中の定常状態の音以外にも、工作機械の周辺の外部音や工作機械に備えられる電子部品等によるノイズが含まれる。このノイズにより、特許文献1に記載された工作機械では、その抽出された音の信号レベルが規定された範囲外となることで異常であると誤判定される。
本開示は、異常の誤判定を抑制する異常検知装置、異常検知システム、異常検知方法および異常検知プログラムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、異常検知装置であって、加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、周波数成分において加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値以上から摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、工具が破損したと判定することで、加工機の異常であると判定する判定部と、を備え、物理量は、音または振動である、異常検知装置である。
また、請求項10に記載の発明は、異常検知システムであって、加工機(10)の加工によって発生する物理量を検出するセンサ(20)と、物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、周波数成分において加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値以上から摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、工具が破損したと判定することで、加工機の異常であると判定する判定部と、を有する異常検知装置(30)と、を備え、物理量は、音または振動である、異常検知システムである。
さらに、請求項11に記載の発明は、異常検知方法であって、加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得し、周波数成分において加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出し、平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、平滑化された値が摩耗閾値以上から摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、工具が破損したと判定することで、加工機の異常であると判定し、物理量は、音または振動である、異常検知方法である。
また、請求項12に記載の発明は、異常検知プログラムであって、異常検知装置を、加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)、周波数成分において加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)、および、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、算出部によって平滑化された値が摩耗閾値以上から摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、工具が破損したと判定することで、加工機の異常であると判定する判定部として、機能させ、物理量は、音または振動である、異常検知プログラムである。
これにより、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値が平滑化されるため、平滑化されない場合と比較してノイズが小さくなる。したがって、ノイズにより、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値が破損閾値および摩耗閾値の間の範囲外であると誤判定されることが抑制される。よって、加工機の異常の誤判定が抑制される。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態の異常検知システムの構成図。 第1、第4実施形態の異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 異常検知システムのセンサの電気信号に対応する強度と時間との関係図。 異常検知装置によって取得される周波数特性を示す図。 図4のV部拡大図。 周波数特性と摩耗量との関係図。 平滑化した値と時間との関係図。 切削加工機による穴あけを示す図。 時間と平滑化した値と差分とその差分和との関係図。 第2実施形態の異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 異常検知システムの切削加工機の環境音の周波数特性を示す図。 第3実施形態の異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 第5実施形態の異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 第6実施形態の異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 第7実施形態の異常検知システムの構成図。 異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 第8実施形態の異常検知システムの構成図。 第9実施形態の異常検知システムの構成図。 異常検知システムの異常検知装置の処理を示すフローチャート。 他の実施形態の異常検知システムの異常検知装置による平滑化した値と時間との関係図。
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態の異常検知システム1は、切削加工機10の工具13の摩耗または破損による異常を検知する。具体的には、異常検知システム1は、図1に示すように、切削加工機10、センサ20、異常検知装置30および警報装置40を備える。
切削加工機10は、被加工物60の切削を行う。具体的には、切削加工機10は、加工制御部11、工具用モータ12、工具13、ステージ14、スライド15および工具交換機50を有する。
加工制御部11は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、加工制御部11は、加工制御部11のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、後述の異常検知装置30からの信号に基づいて、後述の工具用モータ12、ステージ14およびスライド15に流す電流を制御する。さらに、加工制御部11は、その制御した電流を後述の工具用モータ12、ステージ14およびスライド15に流す。
工具用モータ12は、加工制御部11によって制御された電流により回転する。工具13は、ドリルであって、工具用モータ12とともに回転する。
ステージ14は、図示しないステージ板上に置かれた被加工物60を、工具13の軸と直交する一方向およびその一方向と直交する方向に移動させる。具体的には、ステージ14は、図示しないステージ板、ステージ用第1モータ、ステージ用第1ボールねじ、ステージ用第1レールおよびステージ用第1ブロックを含む。また、ステージ14は、図示しないステージ用第2モータ、ステージ用第2ボールねじ、ステージ用第2レールおよびステージ用第2ブロックを含む。
ステージ板は、工具13の軸と直交する。ステージ用第1ボールねじおよびステージ用第1レールは、工具13の軸と直交する一方向に延びている。ステージ用第1ボールねじおよびステージ用第1レールには、ステージ用第1ブロックが取り付けられており、このステージ用第1ブロックには、ステージ板が取り付けられている。ステージ用第1モータは、加工制御部11によって制御された電流により回転する。ステージ用第1モータが回転すると、ステージ用第1モータとともにステージ用第1ボールねじが回転することによって、ステージ用第1ブロックがステージ用第1レールに沿って工具13の軸と直交する一方向に移動する。これにより、ステージ板は、ステージ用第1ブロックとともに、工具13の軸と直交する一方向に移動する。このため、ステージ板に置かれた被加工物60が工具13の軸と直交する一方向に移動する。また、ステージ用第2ボールねじおよびステージ用第2レールは、上記一方向と直交する方向に延びている。ステージ用第2ボールねじおよびステージ用第2レールには、ステージ用第2ブロックが取り付けられており、このステージ用第2ブロックには、ステージ板が取り付けられている。ステージ用第2モータは、加工制御部11によって制御された電流により回転する。ステージ用第2モータが回転すると、ステージ用第2モータとともにステージ用第2ボールねじが回転することによって、ステージ用第2ブロックがステージ用第2レールに沿って上記一方向と直交する方向に移動する。これにより、ステージ板は、ステージ用第2ブロックとともに、上記一方向と直交する方向に移動する。このため、ステージ板に置かれた被加工物60が上記一方向と直交する方向に移動する。
スライド15は、工具13を軸方向に移動させる。具体的には、スライド15は、図示しないスライド用モータ、スライド用ボールねじ、スライド用レールおよびスライド用ブロックを含む。
スライド用ボールねじおよびスライド用レールは、工具13の軸方向に延びている。スライド用ボールねじおよびスライド用レールには、スライド用ブロックが取り付けられており、このスライド用ブロックには、工具13が取り付けられている。スライド用モータは、加工制御部11によって制御された電流により回転する。スライド用モータが回転すると、スライド用モータとともにスライド用ボールねじが回転することによって、スライド用ブロックがスライド用レールに沿って工具13の軸方向に移動する。これにより、工具13は、スライド用ブロックとともに、工具13の軸方向に移動する。
工具交換機50は、ATCであって、後述の異常検知装置30からの信号により、摩耗または破損した工具13を新しい工具13と交換する。
センサ20は、マイクロホンを有することにより、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音を電気信号に変換する。さらに、センサ20は、この変換した電気信号を後述の異常検知装置30に出力する。なお、マイクロホンは、ムービングコイル型、リボン型、コンデンサ型、カーボンマイク、圧電マイクおよびレーザーマイク等である。
また、センサ20は、レゾルバ、エンコーダ等を有することにより、工具用モータ12の回転数を検出することで工具13の回転数を検出する。さらに、センサ20は、この検出した工具13の回転数に応じた信号を後述の異常検知装置30に出力する。
異常検知装置30は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、異常検知装置30は、異常検知装置30のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、センサ20からの電気信号に基づいて、切削加工機10の工具13の異常を示す信号を後述の警報装置40に出力する。さらに、異常検知装置30は、異常検知装置30のROMに記憶されているプログラムを実行することにより、センサ20からの電気信号に基づいて、工具交換機50に工具13を交換させる。
警報装置40は、異常検知装置30からの信号により、例えば、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13の異常を知らせる。
以上のように、第1実施形態の異常検知システム1は、構成されている。この異常検知システム1の異常検知装置30によって、工具13の摩耗または破損による異常が検知される。次に、この異常検知について、図2のフローチャートおよび図3-図9を参照して説明する。なお、異常検知装置30のプログラムは、例えば、切削加工機10の図示しない電源がオンされたとき、実行される。また、下記では、異常検知装置30のステップS100の処理が開始されてからステップS100の処理に戻るまでの一連の動作の期間を、異常検知装置30の制御周期τとする。
ステップS100において、異常検知装置30は、工具13の回転数をセンサ20から取得する。また、異常検知装置30は、図3に示すような切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音に対応する電気信号をセンサ20から取得する。さらに、異常検知装置30は、この時間波形を所定の長さの時間区間分、抽出する。なお、図3において、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音に対応する電気信号が強度で示されている。
続いて、ステップS102において、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した時間波形の強度成分を短時間フーリエ変換する。これにより、異常検知装置30は、図4および図5に示すように、ステップS100にて取得したセンサ20からの電気信号の周波数と強度との関係を示す周波数特性を取得する。さらに、異常検知装置30は、この取得した周波数特性の所定範囲の周波数とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Srを算出する。なお、この周波数特性は、周波数ドメインにおける波形であって、所定の周波数区間内における複数の周波数ビンのそれぞれに強度の値が割り当てられたデータである。また、図5において、面積Srの範囲が斜線ハッチングで示されている。
ここで、上記所定範囲は、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときの工具13が摩耗するときの音の周波数を含む範囲である。具体的には、図6に示すように、摩耗量の増加に伴って、3.0~12.0kHzの範囲のうち1.0kHz~2.0kHzの区間、例えば、4.0~5.0kHzの区間、10.0~12.0kHzの区間における強度のベースラインとピーク値との差が増加する。このことから、工具13の摩耗状態を検知するため、上記所定範囲は、3.0~12.0kHzの範囲のうち1.0kHz~2.0kHzの区間である。そして、ここでは、上記所定範囲は、例えば、4.0kHz~5.0kHzとされている。
図2に戻って、ステップS102に続くステップS104において、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した工具13の回転数から、工具13の周波数を算出する。また、異常検知装置30は、この算出した工具13の周波数の倍数が上記所定範囲内であるかを判定する。この倍数が上記所定範囲内であるとき、異常検知装置30は、その倍数を工具13の回転周波数として算出する。なお、ここでは、工具13の回転周波数は、例えば、4.012kHzである。
続いて、ステップS106において、異常検知装置30は、ステップS104にて算出した工具13の回転周波数を中心とする所定の周波数帯、例えば、4.002~4.022kHzの周波数帯を算出する。また、異常検知装置30は、図6に示すように、この算出した所定の周波数帯とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Stを算出する。さらに、異常検知装置30は、ステップS102にて算出した面積Srから上記算出した面積Stを減算する。これにより、異常検知装置30は、減算値を算出する。このため、ステップS102にて取得されたセンサ20の電気信号に対応する周波数特性から工具13の回転によるノイズが除去される。なお、図6において、面積Stの範囲が網掛けハッチングで示されている。
続いて、ステップS108において、異常検知装置30は、ステップS106にて算出した減算値を所定範囲の区間にて除算することで、平均値Ssを算出する。これにより、異常検知装置30は、周波数成分の中の所定範囲の単位周波数に対応する強度に関する値を算出する。
続いて、ステップS110において、異常検知装置30は、ステップS108にて算出した平均値Ssにおいて時間についての平滑化した値Saを算出する。これにより、図7に示すように、時間に対して平均値Ssが平滑化されるため、平滑化した値Saに含まれるノイズは、平均値Ssに含まれるノイズよりも小さい。なお、ここで、平滑化とは、統計および信号処理において、ノイズ、その他の微細な構造または急激な現象を排除しながら、データの重要な特徴を抽出した近似関数を作成することをいう。また、平滑化は、例えば、単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均、三角移動平均、正弦加重移動平均および累積移動平均等を用いて行われる。さらに、平滑化は、畳み込み、KZフィルタ、包絡線および移動標準偏差等を用いて行われてもよい。また、平滑化は、平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ、メディアンフィルタ、最大値フィルタおよび最小値フィルタ等のフィルタを用いて行われてもよい。
ここで、工具用モータ12によって工具13が回転しつつスライド15によって工具13が軸方向に移動することで、図8に示すように、1つの穴について複数回に分けて被加工物60が穿孔される。このため、図7では、1つの穴の切削初期時において平滑化した値Saのピーク値が生成される。また、1つの穴の切削初期後に、平滑化した値Saは、時間が経過するに伴ってピーク値から減少する。さらに、複数の穴について被加工物60が穿孔されていることから、時間が経過するに伴って、平滑化した値Saのピーク値が複数生成されている。
図2に戻って、ステップS110に続くステップS112において、異常検知装置30は、ステップS110にて算出した今回制御周期(t)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるか否かを判定する。これにより、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下している可能性が高いか否かを判定する。なお、摩耗閾値Sw_thは、工具13の摩耗による切削精度の低下の可能性が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、tは、0以上の整数であって、異常検知装置30のステップS100からの一連の処理の実行回数を示す。さらに、制御周期τ(0)における平滑化した値Saは、例えば、0である。また、図2のフローチャートにおいて、今回制御周期τ(t)における平滑化した値SaがSa(t)で示されている。
そして、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるとき、工具13の摩耗音の強度が高いことから、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下している可能性が高いと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS114に移行する。また、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th未満であるとき、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるときと比較して工具13の摩耗音の強度が低い。このことから、このとき、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下している可能性が低いと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS120に移行する。
ステップS112に続くステップS114において、異常検知装置30は、図9に示すように、ステップS110にて算出した平滑化した値Saから摩耗閾値Sw_thを減算する。これにより、異常検知装置30は、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saのうち摩耗閾値Sw_thを越えた差分Swtを算出する。なお、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th未満であるとき、今回制御周期τ(t)における差分Swtは、0である。さらに、制御周期τ(0)における差分Swtは、例えば、0である。
また、異常検知装置30は、この算出した今回制御周期τ(t)における差分Swtを、前回制御周期τ(t-1)における差分和Swt_sumに加算する。これにより、異常検知装置30は、今回制御周期τ(t)における差分和Swt_sumを算出する。なお、制御周期τ(0)における差分和Swt_sumは、例えば、0である。
図2に戻って、ステップS114に続くステップS116において、異常検知装置30は、ステップS114にて算出した差分和Swt_sumが和閾値Swt_th以上であるか否かを判定する。これにより、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下しているか否かを判定する。なお、和閾値Swt_thは、工具13の摩耗による切削精度の低下が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、和閾値Swt_thは、異常検知装置30のユーザによって自由に設定されてもよい。
そして、差分和Swt_sumが和閾値Swt_th以上であるとき、瞬間的に工具13の摩耗音の強度が高くなったのではなく、工具13の摩耗による切削精度の低下が生じている。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下していると判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS118に移行する。また、差分和Swt_sumが和閾値Swt_th未満であるとき、瞬間的に工具13の摩耗音の強度が高くなっているため、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下していないと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS120に移行する。
ステップS116に続くステップS118において、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度の低下が生じている旨を示す信号を警報装置40に出力する。このとき、警報装置40は、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13の摩耗による切削精度の低下による切削加工機10の工具13の異常を知らせる。また、異常検知装置30は、ステップS114にて算出した差分和Swt_sumを0にすることによって、差分和Swt_sumをリセットする。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS124に移行する。
ステップS120において、異常検知装置30は、ステップS110にて算出した平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上である状態から破損閾値Sb_th未満に変化したか否かを判定する。これにより、異常検知装置30は、工具13が破損したか否かを判定する。なお、破損閾値Sb_thは、工具13の破損が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、ここでは、破損閾値Sb_thは、摩耗閾値Sw_thよりも小さくなっている。さらに、破損閾値Sb_thは、異常検知装置30のユーザによって自由に設定されてもよい。
具体的には、異常検知装置30は、過去制御周期τ(t-x)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上、かつ、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saが破損閾値Sb_th未満であるか否かを判定する。そして、過去制御周期τ(t-x)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上、かつ、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saが破損閾値Sb_th未満であるとする。このとき、平滑化した値Saが低下していることから切削加工機10の切削による発生音が小さくなっている。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13が破損したと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS122に移行する。なお、過去制御周期τ(t-x)は、今回制御周期τ(t)よりも前の制御周期τである。また、図2のフローチャートにおいて、過去制御周期τ(t-x)における平滑化した値SaがSa(t-x)で示されている。さらに、xは、tが1以上の整数であるとき、1以上の整数である。また、xは、tが0であるとき、0である。さらに、xは、工具13の破損が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。
また、前回制御周期τ(t-1)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上、かつ、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saが破損閾値Sb_th以上であるとする。このとき、平滑化した値Saの変化が小さいことから切削加工機10の切削による発生音の変化が小さい。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13が破損していないと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS100に戻る。
さらに、前回制御周期τ(t-1)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th未満、かつ、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saが破損閾値Sb_th未満であるとする。このとき、平滑化した値Saの変化が小さいことから切削加工機10の切削による発生音の変化が小さい。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13が破損していないと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS100に戻る。
また、前回制御周期τ(t-1)における平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th未満、かつ、今回制御周期τ(t)における平滑化した値Saが破損閾値Sb_th以上であるとする。このとき、平滑化した値Saの変化が小さいことから切削加工機10の切削による発生音の変化が小さい。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13が破損していないと判定する。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13が破損していないと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS100に戻る。
ステップS120に続くステップS122において、異常検知装置30は、工具13の破損したことを示す信号を警報装置40に出力する。このとき、警報装置40は、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13が破損したことを知らせる。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS124に移行する。
ステップS124において、異常検知装置30は、工具13を交換させるための信号を工具交換機50に出力する。これにより、工具交換機50は、摩耗または破損した工具13を新しい工具13と交換する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS100に戻る。
以上のように、異常検知装置30は、工具13の摩耗または破損による異常を検知する。この異常検知装置30によって、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。次に、この誤判定の抑制について説明する。
異常検知装置30は、ステップS102にて、切削加工機10の切削によって発生する音の周波数成分を取得する。また、異常検知装置30は、ステップS108にて、前記周波数成分において工具13が切削により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値、ここでは、平均値Ssを算出する。さらに、異常検知装置30は、ステップS110にて、平均値Ssにおいて時間についての平滑化した値Saを算出する。また、異常検知装置30は、ステップS112にて、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるとき、工具13の摩耗による切削精度が低下している可能性が高いと判定する。また、異常検知装置30は、ステップS120にて、平滑化した値Saが破損閾値Sb_th以上から破損閾値Sb_th未満に変化したとき、工具13が破損したと判定する。したがって、異常検知装置30は、平滑化した値Saが破損閾値Sb_thおよび摩耗閾値Sw_thの間の範囲外であるとき、工具13が異常であると判定する。なお、異常検知装置30は、解析部、算出部、判定部に対応する。また、音は、物理量に対応する。さらに、平均値Ssは、周波数成分の中の所定範囲の周波数に対応する強度に関する値に相当する。
異常検知装置30によって、平均値Ssにおいて時間についての平滑化した値Saが算出されることから、時間に対して平均値Ssが平滑化される。このため、平滑化した値Saに関する値に含まれるノイズは、平均値Ssに含まれるノイズよりも小さい。したがって、ノイズにより、平滑化した値Saに関する値が破損閾値Sb_thおよび摩耗閾値Sw_thの間の範囲外であると誤判定されることが抑制される。よって、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。
また、この誤判定が抑制されることから、工具13が破損しているにもかかわらず、工具13が破損していないと誤判定されることが抑制される。これにより、工具13が破損した状態で切削加工機10による切削されることが抑制されることから、加工時間の無駄が省かれる。したがって、切削加工機10の設備総合効率が向上するため、切削加工機10の生産性が向上する。
また、異常検知装置30では、以下に記載する効果も奏する。
[1-1]ここで、特開2002-59342号公報に記載された摩耗検出装置では、切削工具の固有振動数を含む所定範囲の周波数成分の信号レベルが予め設定された設定値以上であれば、切削工具が摩耗していると判定される。しかし、上記摩耗検出装置では、切削工具の固有振動数によるノイズにより、取り出された所定範囲の周波数成分の信号レベルが予め設定された設定値以上となることで切削工具が異常であると誤判定される。
これに対して、異常検知装置30は、ステップS106にて、ステップS104にて算出した工具13の回転周波数を中心とする所定の周波数帯を算出する。また、異常検知装置30は、この算出した所定の周波数帯とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Stを算出する。さらに、異常検知装置30は、ステップS102にて算出した面積Srから上記算出した面積Stを減算する。これにより、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、工具13の回転による周波数のうち所定範囲に含まれる周波数に対応する強度に関する値を減算した値となる。このため、工具13の回転によるノイズが除去されることから、平滑化した値Saに関する値に含まれるノイズが小さくなる。したがって、ノイズにより、平滑化した値Saに関する値が破損閾値Sb_thおよび摩耗閾値Sw_thの間の範囲外であると誤判定されることが抑制される。よって、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。
[1-2]ステップS114にて算出した差分和Swt_sumが和閾値Swt_th以上であるとする。このとき、異常検知装置30は、ステップS116にて、工具13が摩耗による異常である、ここでは、工具13の摩耗による切削精度が低下していると判定する。これにより、異常検知装置30が工具13の摩耗状態を認識できる。このため、工具13の摩耗による切削精度が低下するまで工具13を使い切ることができる。また、差分和Swt_sum、すなわち、積算値が用いられることにより、瞬間的に工具13の摩耗音の強度が高くなったことによる異常の誤判定が抑制される。なお、差分和Swt_sumは、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値の積算値に対応する。
[1-3]破損閾値Sb_thは、摩耗閾値Sw_thよりも小さくなっている。また、異常検知装置30は、ステップS120にて、ステップS110にて算出した平滑化した値Saに関する値が摩耗閾値Sw_th以上である状態から破損閾値Sb_th未満に変化したとき、工具13が破損したと判定する。これにより、異常検知装置30は、工具13の破損を認識できる。
[1-4]異常検知装置30は、ステップS118にて、工具13の摩耗による切削精度の低下が生じている旨を示す信号を警報装置40に出力する。このとき、警報装置40は、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13の摩耗による切削精度の低下による切削加工機10の工具13の異常を知らせる。また、異常検知装置30は、ステップS122にて、工具13の破損したことを示す信号を警報装置40に出力する。このとき、警報装置40は、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13が破損したことを知らせる。したがって、異常検知装置30は、報知部に対応しており、工具13が異常であると判定したとき、警報装置40に工具13が異常であることを報知させる。これにより、切削加工機10の作業者等の外部の者が、工具13が異常であることを知ることができる。
[1-5]異常検知装置30は、交換部に対応しており、ステップS124にて、工具13が異常であることから、工具13を交換させるための信号を工具交換機50に出力する。このとき、工具交換機50は、摩耗または破損した工具13を新しい工具13と交換する。これにより、作業者等の人による交換がなくなることで、切削加工機10の停止時間が短くなることから、切削加工機10の設備総合効率が向上する。このため、切削加工機10の生産性が向上する。
(第2実施形態)
第2実施形態では、異常検知装置30の処理が異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。この異常検知装置30の処理について、図10のフローチャートおよび図11を参照して説明する。
ステップS100において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様に、切削加工機10によって発生する音に対応する電気信号をセンサ20から取得する。また、異常検知装置30は、この時間波形を所定の長さの時間区間分、抽出する。さらに、異常検知装置30は、異常検知装置30のメモリに記憶された環境音に対応する電気信号をそのメモリから読み出す。なお、環境音は、切削加工機10の外部の音、切削加工機10の被加工物60の切削前における工具13の回転による音および切削加工機10の図示しないエアブロー音等を含む切削加工機10の空転時の音である。また、異常検知装置30は、環境音についての情報をメモリから読み出すことに限定されない。例えば、異常検知装置30は、工具13が被加工物60と接触しているときおよび接触していないときを時間的に分離することで、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音と環境音とを分離することにより、環境音を取得してもよい。
続いて、ステップS102において、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した時間波形の強度成分を短時間フーリエ変換する。これにより、異常検知装置30は、第1実施形態と同様に、ステップS100にて取得したセンサ20からの電気信号の周波数と強度との関係を示す周波数特性を取得する。さらに、異常検知装置30は、この取得した周波数特性の所定範囲の周波数とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Srを算出する。また、異常検知装置30は、図11に示すように、短時間フーリエ変換を行うことにより、ステップS100にて読み出した環境音の周波数特性を取得する。さらに、異常検知装置30は、この取得した環境音の周波数特性における上記所定範囲の周波数とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Seを算出する。
図10に戻って、ステップS102に続くステップS200において、異常検知装置30は、ステップS102にて取得した面積Srから面積Seを減算する。これにより、異常検知装置30は、減算値を算出する。このため、ステップS102にて取得されたセンサ20の電気信号に対応する周波数特性から環境音によるノイズが除去される。その後、ステップS108~ステップS124の処理は、第1実施形態と同様に行われる。
以上のように、第2実施形態では、異常検知装置30の処理が行われる。第2実施形態では、下記に説明する効果を奏する。
[2]ここで、特許第6712236号公報に記載された異常予兆検知システムでは、センシングした音響波形と設定した標本線との隣り合う交点間の時間が積算される。そして、その積算値と正常時における値との割合が所定値以下であるとき、上記異常予兆検知システムの加工工具に異常予兆があると判定される。しかし、上記異常予兆検知システムでは、環境音によるノイズが考慮されていないことから、環境音によるノイズにより、上記割合が所定値以下となることで加工工具に異常予兆があると誤判定される。
これに対して、異常検知装置30は、ステップS200にて、ステップS102にて取得した面積Srから面積Seを減算する。これにより、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、環境音の周波数のうち所定範囲に含まれる強度に関する値を減算した値となる。このため、環境音によるノイズが除去されることから、平滑化した値Saに関する値に含まれるノイズが小さくなる。したがって、ノイズにより、平滑化した値Saに関する値が破損閾値Sb_thおよび摩耗閾値Sw_thの間の範囲外であると誤判定されることが抑制される。よって、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。
(第3実施形態)
第3実施形態では、異常検知装置30の処理が異なる。これ以外は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。この異常検知装置30の処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
第3実施形態では、異常検知装置30は、ステップS102の処理後、第1実施形態のステップS104、ステップS106および第2実施形態のステップS200を行わないで、ステップS108の処理を行う。
具体的には、ステップS108において、異常検知装置30は、ステップS102にて算出した面積Srにおいて周波数についての平均値Ssを算出する。これにより、周波数についてのノイズが小さくなる。
続いて、ステップS110において、異常検知装置30は、ステップS108にて算出した平均値Ssにおいて時間についての平滑化した値Saを算出する。これにより、時間に対して平均値Ssが平滑化されるため、平滑化した値Saに含まれるノイズは、平均値Ssに含まれるノイズよりも小さい。その後、ステップS112~ステップS124の処理は、第1実施形態と同様に行われる。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
第4実施形態では、異常検知装置30のステップS104の処理が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
図2に示すように、ステップS102に続くステップS104において、異常検知装置30は、工具13の回転周波数を算出する。また、ここでは、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した工具13の回転数から工具13の周波数を算出することに代えて、ステップS102にて取得した周波数特性から工具13の回転周波数を算出する。
ここで、工具13の回転周波数に対応する強度は、図6に示すように、摩耗に関する強度のピーク値と比較して大きい。したがって、異常検知装置30は、ステップS102にて取得した周波数特性から、教師データを元にピーク値を検出するような機械学習等を用いて、摩耗に関する強度のピーク値を算出する。また、異常検知装置30は、この算出した摩耗に関する強度のピーク値よりも大きいピーク値を検出する。さらに、異常検知装置30は、この検出したピーク値の周波数を中心とする所定の周波数帯、ここでは、4.002~4.022kHzの周波数帯を、工具13の回転周波数として算出する。なお、異常検知装置30は、上記した統計的手法によって、工具13の回転周波数を算出することに限定されない。例えば、異常検知装置30は、教師データを元にピーク値を検出するような機械学習等を用いて、工具13の回転周波数を算出してもよい。
以上のように、第4実施形態の異常検知装置30は、処理を行う。第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、下記に記載する効果も奏する。
[3]異常検知装置30は、ステップS104にて、所定範囲の周波数に含まれる摩耗に関するピーク値よりも大きいピーク値を算出する。これにより、工具13の回転周波数が実験的に算出される場合と比較して算出されやすくなる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、異常検知装置30のステップS114、ステップS116およびステップS118の処理が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。次に、これらのステップS114、ステップS116およびステップS118の処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。
ステップS112に続くステップS114において、異常検知装置30は、ステップS110にて算出した平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるときの時間和Tw_sumを算出する。例えば、異常検知装置30は、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるとき、前回制御周期τ(t-1)における時間和Tw_sumに制御周期τを加算する。これにより、異常検知装置30は、今回制御周期τ(t)における時間和Tw_sumを算出する。なお、制御周期τ(0)における時間和Tw_sumは、例えば、0である。
ステップS114に続くステップS116において、異常検知装置30は、ステップS114にて算出した時間和Tw_sumが時間閾値Tw_th以上であるか否かを判定する。これにより、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下しているか否かを判定する。なお、時間閾値Tw_thは、工具13の摩耗による切削精度の低下が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、時間閾値Tw_thは、異常検知装置30のユーザによって自由に設定されてもよい。
そして、時間和Tw_sumが時間閾値Tw_th以上であるとき、瞬間的に工具13の摩耗音の強度が高くなったのではなく、工具13の摩耗による切削精度の低下が生じている。このため、このとき、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下していると判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS118に移行する。また、時間和Tw_sumが時間閾値Tw_th未満であるとき、瞬間的に工具13の摩耗音の強度が高くなっているため、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度が低下していないと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS120に移行する。
ステップS116に続くステップS118において、異常検知装置30は、工具13の摩耗による切削精度の低下が生じている旨を示す信号を警報装置40に出力する。このとき、警報装置40は、音および光を用いて、切削加工機10の作業者等に、工具13の摩耗による切削精度の低下による切削加工機10の工具13の異常を知らせる。また、異常検知装置30は、ステップS114にて算出した時間和Tw_sumを0にすることによって、時間和Tw_sumをリセットする。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS124に移行する。
以上のように、第5実施形態の異常検知装置30は、処理を行う。第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
第6実施形態では、異常検知装置30の処理が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。次に、この異常検知装置30の処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。
ステップS100において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様に、切削加工機10によって発生する音に対応する電気信号をセンサ20から取得する。また、異常検知装置30は、この時間波形を所定の長さの時間区間分、抽出する。さらに、異常検知装置30は、異常検知装置30のメモリに記憶された切削加工機10、工具13、センサ20および被加工物60に関する情報をそのメモリから読み出す。なお、切削加工機10に関する情報は、例えば、環境音の強度および周波数、切削加工機10の図示しないエアブローによる音の強度および周波数、切削加工機10の温度、ならびに、切削加工機10に用いられる油の添加量、種類および添加周期等である。また、工具13に関する情報は、例えば、工具13の大きさ、材質、形状、回転速度およびトルク、ならびに、工具13と切削加工機10との取り付け状態等である。さらに、センサ20に関する情報は、例えば、センサ20の位置、センサ20から工具13までの距離、センサ20から被加工物60までの距離、ならびに、センサ20の種類および個数等である。また、被加工物60に関する情報は、例えば、被加工物60の大きさ、材質および形状、ならびに、被加工物60と工具13との接触角度等である。さらに、切削加工機10、工具13、センサ20および被加工物60に関する情報は、異常検知装置30のユーザによって自由に設定されるとともにメモリに更新される。
続いて、ステップS102、ステップS104およびステップS106において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様の処理を行う。
ステップS106に続くステップS130において、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した切削加工機10、工具13、センサ20および被加工物60に関する情報とマップとを用いる。これにより、異常検知装置30は、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときの工具13が摩耗するときの音の周波数を含む所定範囲の周波数を算出する。なお、所定範囲の周波数を算出するためのマップは、実験やシミュレーション等により設定される。
ステップS130に続くステップS108において、異常検知装置30は、ステップS130にて算出した所定範囲の周波数の強度に関する値、ここでは、平均値Ssを算出する。続いて、ステップS110~ステップS124において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様の処理を行う。
以上のように、第6実施形態の異常検知装置30は、処理を行う。第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第6実施形態では、下記に記載する効果も奏する。
[4]異常検知装置30は、ステップS130にて、切削加工機10、工具13、センサ20および被加工物60に関する情報に基づいて、工具13が摩耗するときの音の周波数を含む所定範囲の周波数を算出する。これにより、切削加工機10、工具13、センサ20および被加工物60毎によって変化する上記所定範囲の設定調整がしやすくなる。
(第7実施形態)
第7実施形態では、図15に示すように、異常検知システム1のセンサ20が2つ備えられる。また、異常検知装置30の処理が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
一方のセンサ20は、マイクロホンを有することにより、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音を電気信号に変換する。さらに、一方のセンサ20は、この変換した電気信号を異常検知装置30に出力する。また、一方のセンサ20は、レゾルバ、エンコーダ等を有することにより、工具用モータ12の回転数を検出することで工具13の回転数を検出する。さらに、一方のセンサ20は、この検出した工具13の回転数に応じた信号を異常検知装置30に出力する。
もう一方のセンサ20は、マイクロホンを有することにより、環境音を電気信号に変換する。また、もう一方のセンサ20は、この変換した電気信号を異常検知装置30に出力する。
次に、第7実施形態の異常検知装置30の処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。
ステップS100において、異常検知装置30は、工具13の回転数を一方のセンサ20から取得する。また、異常検知装置30は、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音に対応する電気信号を一方のセンサ20から取得することに加えて、環境音に対応する電気信号をもう一方のセンサ20から取得する。さらに、異常検知装置30は、これらの時間波形を所定の長さの時間区間分、抽出する。
ステップS100に続くS140において、異常検知装置30は、ステップS100にて取得した切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音の強度から、環境音の強度を時間毎に減算する。これにより、異常検知装置30は、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音から環境音を除去することで、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音に含まれるノイズを除去する。
ステップS140に続くステップS102において、異常検知装置30は、ステップS140にて算出した時間波形の強度成分を短時間フーリエ変換する。これにより、異常検知装置30は、周波数と強度との関係を示す周波数特性を取得する。さらに、異常検知装置30は、この取得した周波数特性の所定範囲の周波数とその強度との関係を示す線によって囲まれる面積Srを算出する。続いて、ステップS104~ステップS124において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様の処理を行う。
以上のように、第7実施形態の異常検知装置30は、処理を行う。第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第7実施形態では、下記に記載する効果も奏する。
[5]異常検知装置30は、複数のセンサ20によって検出された音の周波数成分を取得する。これにより、複数のセンサ20がそれぞれ異なる音を集音することで、異常検知装置30は、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音とその音に含まれるノイズの周波数成分を取得することができる。このため、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音に含まれるノイズを除去できるため、切削加工機10によって被加工物60が切削されるときに発生する音のSN比が向上する。
(第8実施形態)
第8実施形態では、図17に示すように、異常検知装置30は、インターネット等のネットワークに接続されている。また、切削加工機10、センサ20および警報装置40は、このネットワークを介して異常検知装置30と通信する図示しない通信部を有する。さらに、異常検知装置30は、ネットワークを介して切削加工機10、センサ20および警報装置40と通信することで、切削加工機10、センサ20および警報装置40を作動させる。また、異常検知装置30は、ネットワークを経由して切削加工機10、センサ20および警報装置40と通信することで、切削加工機10、センサ20および警報装置40についての情報を切削加工機10、センサ20および警報装置40から取得する。これら以外は、第1実施形態と同様である。この第8実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第8実施形態では、下記に記載する効果も奏する。
異常検知装置30は、ネットワークに接続されており、ネットワークを介して切削加工機10と通信する。このため、ネットワーク経由でユーザにサービス、すなわち、クラウドサービスを提供することができる。これにより、例えば、複数の異常検知装置30を使用する場合に、異常検知装置30のそれぞれが異常検知装置30を機能させるプログラムを持つ必要がなくなるため、異常検知装置30のコストを削減できる。また、異常検知装置30を機能させるための情報の一元管理をすることができる。このため、例えば、工場等で複数の異常検知装置30を使用する場合に、複数の異常検知装置30の管理がしやすくなることから、工場の生産性向上につながる。
(第9実施形態)
第9実施形態では、図18に示すように、切削加工機10は、加工制御部11、工具用モータ12、工具13、ステージ14、スライド15および工具交換機50に加えて、測定器80を有する。また、異常検知装置30の処理が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
測定器80は、例えば、レーザ測定器や画像測定器であって、異常検知装置30の信号により、光を用いて工具13の形状を測定する。
次に、異常検知装置30の処理について、図19のフローチャートを参照して説明する。ステップS100~ステップS122において、異常検知装置30は、第1実施形態と同様の処理を行う。
ステップS118およびステップS122のどちらかの処理後、ステップS150において、異常検知装置30は、工具13の形状を測定させるための信号を測定器80に出力する。これにより、測定器80は、工具13の形状を測定する。また、異常検知装置30は、測定器80によって測定された工具13の形状に関する情報を測定器80から取得する。
続いて、ステップS152において、異常検知装置30は、ステップS150にて取得した今回制御周期τ(t)における工具13の形状と、前回制御周期τ(t-1)における工具13の形状とを比較する。これにより、異常検知装置30は、工具13の異常度合が大きいか否かを判定する。なお、工具13の異常度合とは、例えば、工具13の寸法変化や形状変化である。
例えば、異常検知装置30は、今回制御周期τ(t)における工具13の大きさと前回制御周期τ(t-1)における工具13の大きさとの差の絶対値を算出することにより、工具13の大きさの変化量を算出する。また、異常検知装置30は、この算出した変化量が変化量閾値以上であるとき、工具13の大きさの変化が大きいことから、工具13の異常度合が大きいと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS124に移行する。さらに、異常検知装置30は、この算出した変化量が変化量閾値未満であるとき、工具13の大きさの変化が小さいことから、工具13の異常度合が小さいと判定する。その後、異常検知装置30の処理は、ステップS100に戻る。なお、変化量閾値は、工具13の形状変化の大小が異常検知装置30によって判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、変化量閾値は、異常検知装置30のユーザによって自由に設定されてもよい。
以上のように、第9実施形態の異常検知装置30は、処理を行う。第9実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第9実施形態では、下記に記載する効果も奏する。
[6]異常検知装置30は、ステップS150にて、切削加工機10が異常であると判定したとき、工具13の形状を測定器80に測定させる測定部としての役割を果たす。また、異常検知装置30は、ステップS152にて、工具13の形状変化を算出することにより工具13の異常度合を算出する度合算出部としての役割を果たす。
これにより、切削加工機10の切削によって発生する音から工具13の摩耗または破損による異常の判定をしていることに加えて、工具13の形状変化から工具13の摩耗または破損による異常の判定をすることができる。このため、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。また、測定器80が光を用いて工具13の形状を測定する。これにより、工具13の形状が非接触で測定されるため、工具13の異常度合への影響が抑制される。したがって、工具13の異常度合の精度が向上することから、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
本開示に記載の解析部、算出部、判定部、報知部、交換部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の解析部、算出部、判定部、報知部、交換部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の解析部、算出部、判定部、報知部、交換部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
上記各実施形態では、切削加工機10は、被加工物60の穴あけを切削として行っている。これに対して、切削加工機10による切削は、被加工物60の穴あけであることに限定されない。切削加工機10による切削は、旋削、中ぐり、フライス削り、平削り、形削り等であってもよい。
上記各実施形態では、センサ20は、切削加工機10の切削によって発生する音を物理量として検出する。これに対して、センサ20は、切削加工機10の切削によって発生する音を物理量として検出することに限定されない。センサ20は、例えば、圧電素子等を有することにより、切削加工機10の切削によって発生する工具13の加速度または振動を物理量として検出してもよい。この場合、異常検知装置30は、センサ20からの電気信号に対応する加速度または振動の周波数成分を用いて、ステップS100からステップS124までの一連の処理を行う。これにより、異常検知装置30は、上記各実施形態と同様に、工具13の摩耗または破損による異常を検知する。この場合においても、上記各実施形態と同様に、工具13の摩耗または破損による異常の誤判定が抑制される。
上記各実施形態では、破損閾値Sb_thは、摩耗閾値Sw_thよりも小さくなっている。これに対して、破損閾値Sb_thは、摩耗閾値Sw_thよりも小さくなっていることに限定されない。異常検知システム1の構成によって工具13の摩耗および破損状態が異なることから、破損閾値Sb_thは、摩耗閾値Sw_th以上であってもよい。
上記各実施形態では、異常検知装置30は、ステップS110において、ステップS108にて算出した平均値Ssにおいて時間についての平滑化した値Saを算出する。これに対して、異常検知装置30は、例えば、図20に示すように、包絡線検出を行うことにより、平滑化した値Saを算出してもよい。
上記各実施形態では、異常検知装置30は、ステップS114において、平滑化した値Saのうち摩耗閾値Sw_thを越えた差分Swtおよび差分和Swt_sumを算出する。これに対して、異常検知装置30は、ステップS114において、差分Swtおよび差分和Swt_sumを算出することに限定されない。例えば、異常検知装置30は、ステップS110にて算出した平滑化した値Saに制御周期τを乗算する。これにより、異常検知装置30は、平滑化した値Saが摩耗閾値Sw_th以上であるときの平滑化した値Saと時間との関係を示す線によって囲まれる面積を算出する。また、異常検知装置30は、この算出した面積の和を算出する。そして、異常検知装置30は、この算出した面積和と閾値とを用いて、工具13の摩耗による切削精度が低下していると判定してもよい。この場合、面積和は、所定範囲の周波数に対応する強度に関する値の積算値に対応する。
上記各実施形態では、ステージ14は、被加工物60を工具13の軸と直交する一方向およびその一方向と直交する方向に移動させる。これに対して、ステージ14は、被加工物60を工具13の軸と直交する一方向およびその一方向と直交する方向に移動させるに加えて、工具13の軸方向に移動させてもよい。
上記各実施形態では、スライド15は、工具13を軸方向に移動させる。これに対して、スライド15は、工具13を軸方向に移動させることに加えて、工具13の軸と直交する一方向およびその一方向と直交する方向に移動させてもよい。
上記各実施形態は、適宜組み合われてもよい。
(本発明の特徴)
[請求項1]
加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、
前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、
前記算出部によって平滑化された値が破損閾値(Sb_th)および摩耗閾値(Sw_th)の間の範囲外であるとき、前記加工機が異常であると判定する判定部(S112、S114、S116、S120)と、
を備える異常検知装置。
[請求項2]
前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、前記加工機の工具(13)の回転による周波数のうち前記所定範囲に含まれる周波数に対応する強度に関する値を減算した値であって、
前記算出部は、前記減算した値を平滑化した値を算出する請求項1に記載の異常検知装置。
[請求項3]
前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、前記加工機の空転時に発生する前記物理量の周波数のうち前記所定範囲に含まれる周波数に対応する強度に関する値を減算した値であって、
前記算出部は、前記減算した値を平滑化した値を算出する請求項1に記載の異常検知装置。
[請求項4]
前記算出部は、前記所定範囲の周波数に含まれる前記加工機の加工による摩耗に関するピーク値よりも大きいピーク値を算出する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項5]
前記判定部(S112、S114、S116)は、前記算出部によって平滑化された値が前記摩耗閾値以上であるとき、前記加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項6]
前記破損閾値は、前記摩耗閾値よりも小さくなっており、
前記判定部(S120)は、前記算出部によって平滑化された値が前記摩耗閾値以上から前記破損閾値未満に変化したとき、前記加工機の工具(13)が破損したと判定する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項7]
前記判定部(S114、S116)は、前記算出部によって平滑化された値の積算値が閾値以上であるとき、前記工具が摩耗による異常であると判定する請求項5に記載の異常検知装置。
[請求項8]
前記解析部は、複数のセンサ(20)によって検出された前記物理量の周波数成分を取得する請求項1ないし7のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項9]
前記異常検知装置は、ネットワークに接続されており、前記ネットワークを介して前記加工機と通信する請求項1ないし8のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項10]
前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、前記加工機が異常であることを警報装置(40)に報知させる報知部(S118、S122)さらに備える請求項1ないし9のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項11]
前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、前記加工機の工具(13)を工具交換機(50)に自動交換させる交換部(S124)をさらに備える請求項1ないし10のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項12]
前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、光を用いて前記加工機の工具(13)の形状を測定する測定器(80)に前記工具の形状を測定させる測定部(S150)と、
前記工具の形状変化を算出することにより前記工具の異常度合を算出する度合算出部(S152)と、
をさらに備える請求項1ないし11のいずれか1つに記載の異常検知装置。
[請求項13]
加工機(10)の加工によって発生する物理量を検出するセンサ(20)と、
前記物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、前記算出部によって平滑化された値が破損閾値(Sb_th)および摩耗閾値(Sw_th)の間の範囲外であるとき、前記加工機が異常であると判定する判定部(S112、S114、S116、S120)と、を有する異常検知装置(30)と、
を備える異常検知システム。
[請求項14]
加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得し、
前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出し、
平滑化された値が破損閾値(Sb_th)および摩耗閾値(Sw_th)の間の範囲外であるとき、前記加工機が異常であると判定する、異常検知方法。
[請求項15]
異常検知装置を、
加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)、
前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)、および、
前記算出部によって平滑化された値が破損閾値(Sb_th)および摩耗閾値(Sw_th)の間の範囲外であるとき、前記加工機が異常であると判定する判定部(S112、S114、S116、S120)として、機能させる異常検知プログラム。
1 異常検知システム
10 切削加工機
11 加工制御部
12 工具用モータ
13 工具
20 センサ
30 異常検知装置
40 警報装置
50 工具交換機

Claims (12)

  1. 異常検知装置であって、
    加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、
    前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、
    前記算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、前記加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、前記算出部によって平滑化された値が前記摩耗閾値以上から前記摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、前記工具が破損したと判定することで、前記加工機の異常であると判定する判定部と、
    を備え
    前記物理量は、音または振動である、異常検知装置。
  2. 前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、前記工具の回転による周波数のうち前記所定範囲に含まれる周波数に対応する強度に関する値を減算した値であって、
    前記算出部は、前記減算した値を平滑化した値を算出する請求項1に記載の異常検知装置。
  3. 前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値は、前記所定範囲の周波数に対応する強度に関する値から、前記加工機の空転時に発生する前記物理量の周波数のうち前記所定範囲に含まれる周波数に対応する強度に関する値を減算した値であって、
    前記算出部は、前記減算した値を平滑化した値を算出する請求項1に記載の異常検知装置。
  4. 前記算出部は、前記所定範囲の周波数に含まれる前記加工機の加工による摩耗に関するピーク値よりも大きいピーク値を算出する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  5. 前記解析部は、複数のセンサ(20)によって検出された前記物理量の周波数成分を取得する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  6. 前記異常検知装置は、ネットワークに接続されており、前記ネットワークを介して前記加工機と通信する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  7. 前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、前記加工機が異常であることを警報装置(40)に報知させる報知部(S118、S122)さらに備える請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  8. 前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、前記工具を工具交換機(50)に自動交換させる交換部(S124)をさらに備える請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  9. 前記判定部によって前記加工機が異常であると判定されたとき、光を用いて前記工具の形状を測定する測定器(80)に前記工具の形状を測定させる測定部(S150)と、
    前記工具の形状変化を算出することにより前記工具の異常度合を算出する度合算出部(S152)と、
    をさらに備える請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検知装置。
  10. 異常検知システムであって、
    加工機(10)の加工によって発生する物理量を検出するセンサ(20)と、
    前記物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)と、前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)と、前記算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、前記加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、前記算出部によって平滑化された値が前記摩耗閾値以上から前記摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、前記工具が破損したと判定することで、前記加工機の異常であると判定する判定部と、を有する異常検知装置(30)と、
    を備え
    前記物理量は、音または振動である、異常検知システム。
  11. 異常検知方法であって、
    加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得し、
    前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出し、
    平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、前記加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、
    平滑化された値が前記摩耗閾値以上から前記摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、前記工具が破損したと判定することで、前記加工機の異常であると判定し、
    前記物理量は、音または振動である、異常検知方法。
  12. 異常検知プログラムであって、
    異常検知装置を、
    加工機(10)の加工によって発生する物理量の周波数成分を取得する解析部(S102)、
    前記周波数成分において前記加工機の加工により摩耗するときの周波数を含む所定範囲の周波数に対応する強度に関する値を平滑化した値を算出する算出部(S110)、および、
    前記算出部によって平滑化された値が摩耗閾値(Sw_th)を超えた差分の積算値に関する値が閾値以上であるとき、前記加工機の工具(13)が摩耗による異常であると判定し、前記算出部によって平滑化された値が前記摩耗閾値以上から前記摩耗閾値よりも小さい破損閾値(Sb_th)未満に変化したとき、前記工具が破損したと判定することで、前記加工機の異常であると判定する判定部として、機能させ
    前記物理量は、音または振動である、異常検知プログラム。
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